(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528178(P2015-528178A)
(43)【公表日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】接着促進剤を有する導電性ペースト
(51)【国際特許分類】
H01B 1/22 20060101AFI20150828BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20150828BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20150828BHJP
H01L 31/068 20120101ALI20150828BHJP
【FI】
H01B1/22 A
H01B13/00 503Z
H01L31/04 264
H01L31/06 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-517377(P2015-517377)
(86)(22)【出願日】2013年6月12日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月22日
(86)【国際出願番号】US2013045312
(87)【国際公開番号】WO2013188485
(87)【国際公開日】20131219
(31)【優先権主張番号】61/658,699
(32)【優先日】2012年6月12日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】512127176
【氏名又は名称】ヘレウス プレシャス メタルズ ノース アメリカ コンショホーケン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】クルツ エリック
(72)【発明者】
【氏名】カルポウィッチ リンジー エー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェイミン
【テーマコード(参考)】
5F151
5G301
5G323
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
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5G301DD01
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5G323AA03
(57)【要約】
本発明は、シリコン太陽電池およびシリコン太陽電池モジュールの製造、特にシリコンウェハ裏面のために有用な導電性ペーストに関する。導電性ペーストは、金属粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル、および接着促進剤を含む。接着促進剤は、金属もしくは金属酸化物、または焼成温度で金属もしくは金属酸化物に変換する任意の他の金属化合物を含む。接着促進剤は、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛、またはこれらの酸化物から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池上に裏面はんだパッドを形成する際に使用するための導電性ペースト組成物であって、
金属粒子と、
ガラスフリットと、
有機ビヒクルと、
金属もしくは金属酸化物、または焼成温度で金属もしくは金属酸化物に変換する任意の他の金属化合物を含む接着促進剤であって、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛、またはこれらの酸化物から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む、接着促進剤と、を含む、導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記接着促進剤が、テルル、タングステン、モリブデン、ニッケル、および亜鉛から成る群から選択される少なくとも1つの金属である、請求項1に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記接着促進剤がテルルである、請求項1または2に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項4】
前記接着促進剤が、二酸化テルル、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化銀、酸化コバルト、および酸化セリウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属酸化物である、請求項1に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項5】
前記接着促進剤が二酸化テルルである、請求項1または4に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項6】
前記接着促進剤が前記導電性ペースト組成物の約0.01〜5重量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項7】
前記接着促進剤が前記導電性ペースト組成物の約0.01〜2.5重量%、好ましくは約0.01〜1重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項8】
前記接着促進剤が前記ガラスフリット内に分散される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項9】
前記接着促進剤が前記ガラスフリットから独立した前記ペースト組成物内に分散される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項10】
前記金属粒子が前記導電性ペースト組成物の約30〜75重量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項11】
前記金属粒子が前記導電性ペースト組成物の60重量%以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項12】
前記金属粒子が前記導電性ペースト組成物の50重量%以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項13】
前記金属粒子が、銀、アルミニウム、金、およびニッケル、または任意のこれらの合金のうちの少なくとも1つである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項14】
前記金属粒子が銀である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項15】
前記ガラスフリットが前記導電性ペースト組成物の約1〜10重量%である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項16】
前記ガラスフリットが酸化鉛を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項17】
前記ガラスフリットが意図的に添加された鉛を含まない、請求項1〜16のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項18】
前記ガラスフリットが酸化ビスマスを含み、意図的に添加された鉛を含まない、請求項1〜17のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項19】
前記ガラスフリットが、Bi−B−Li−酸化物、Bi−Zn−B−酸化物、Bi−Si−Zn−B−酸化物、またはBi−Si−酸化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項20】
前記有機ビヒクルが、前記導電性ペースト組成物の約20〜60重量%、好ましくは約30〜50重量%、より好ましくは約45重量%である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項21】
前記有機ビヒクルが、結合剤、界面活性剤、有機溶剤、およびチキソトロープ剤を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項22】
前記結合剤が、エチルセルロースもしくはフェノール樹脂、アクリル、ポリビニルブチラール、もしくはポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、もしくはポリウレタン樹脂、またはロジン誘導体のうちの少なくとも1つである、請求項21に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項23】
前記界面活性剤が、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ポリ(エチレングレコール)酢酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩、パルチミン酸塩、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つである、請求項21または22に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項24】
前記有機溶剤が、カルビトール、テルピネオール、ヘキシルカルビトール、テキサノール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アジピン酸ジメチル、またはグリコールエーテルのうちの少なくとも1つである、請求項21〜23のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項25】
前面および裏面を有するシリコンウェハと、
請求項1〜24のいずれか1項に記載の導電性ペーストから生産される前記シリコンウェハ上に形成されたはんだパッドと、を備える、太陽電池。
【請求項26】
前記はんだパッドが前記太陽電池の前記裏面に形成される、請求項25に記載の太陽電池。
【請求項27】
前記はんだパッドが、1ニュートン以上の引張力で前記シリコンウェハから剥離され得る、請求項25または26に記載の太陽電池。
【請求項28】
前記はんだパッドが、2ニュートン以上の引張力で前記シリコンウェハから剥離され得る、請求項25〜27のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項29】
前記はんだパッドが、3ニュートン以上の引張力で前記シリコンウェハから剥離され得る、請求項25〜28のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項30】
前記はんだパッドが、5ニュートン以上の引張力で前記シリコンウェハから剥離され得る、請求項25〜29のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項31】
前記はんだパッドが、約30〜75重量%の金属粒子を含む導電性ペーストから形成される、請求項25〜30のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項32】
前記はんだパッドが、60重量%以下の金属粒子を含む導電性ペーストから形成される、請求項25〜31のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項33】
前記はんだパッドが、50重量%以下の金属粒子を含む導電性ペーストから形成される、請求項25〜32のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項34】
電極が前記シリコンウェハの前記前面に形成される、請求項25〜33のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項35】
前記シリコンウェハの前記前面が反射防止層を備える、請求項25〜34のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項36】
裏面を有するシリコンウェハと、
前記シリコンウェハの前記裏面に形成される少なくとも1つのはんだパッドと、を備え、前記はんだパッドが、
金属粒子と、
ガラスフリットと、
金属もしくは金属酸化物、または焼成温度で金属もしくは金属酸化物に変換する任意の他の金属化合物を含む接着促進剤であって、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛、またはこれらの酸化物から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む、接着促進剤と、を含む、太陽電池。
【請求項37】
前記接着促進剤がテルルである、請求項36に記載の太陽電池。
【請求項38】
前記接着促進剤が二酸化テルルである、請求項36に記載の太陽電池。
【請求項39】
請求項25〜38のいずれか1項に記載の電気的に相互接続された太陽電池を備える、太陽電池モジュール。
【請求項40】
太陽電池を生産する方法であって、
前面および裏面を有するシリコンウェハを提供するステップと、
請求項1〜24のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物を前記シリコンウェハの前記裏面に塗布するステップと、
前記シリコンウェハを適切なプロファイルに従って焼成し、はんだパッドを生成するステップと、を含む、方法。
【請求項41】
前記シリコンウェハが前記前面に反射防止膜を有する、請求項40に記載の太陽電池を生産する方法。
【請求項42】
アルミニウム含有ペーストを、請求項1〜24のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物の縁に重なる前記シリコンウェハの前記裏面に塗布するステップをさらに含む、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
銀含有ペーストを前記シリコンウェハの前記前面に塗布するステップをさらに含む、請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記アルミニウム含有ペーストを塗布する前記ステップがスクリーン印刷によるものである、請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2012年6月12日出願の米国特許仮出願第61/658,699号の優先権を主張するものであり、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、太陽電池パネル技術において、特に裏面はんだパッドの形成のために利用する導電性ペースト組成物に関する。特に、一態様において、本発明は、導電性粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル、および金属もしくは金属酸化物、または焼成温度で金属もしくは金属酸化物に変換する任意の他の金属化合物を含む接着促進剤、を含む、導電性ペースト組成物である。接着促進剤は、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛からなる群から選択される、少なくとも1つの元素またはその酸化物を含む。好ましくは、接着促進剤はテルルまたは酸化テルルである。さらに、本発明の別の態様は、はんだパッドを形成するために導電性ペーストをシリコンウェハ裏面に塗布することによって生産する太陽電池である。本発明の別の態様は、電気的に相互接続された太陽電池を備える太陽電池パネルである。最後に、本発明の別の態様は、太陽電池を生産する方法である。
【背景技術】
【0003】
太陽電池は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気に変換する装置である。ソーラーパワーは持続可能であり、無公害の副産物のみを生産するため、魅力的な無公害のエネルギー源である。その結果、現在多くの研究が、継続的に材料および生産費を低減しつつ向上した効率性を有する太陽電池の開発に充てられている。
【0004】
光が太陽電池に当たると、ごく少量の入射光が表面で反射し、残りが太陽電池に伝達される。伝達された光の光子を、通常シリコンなどの半導体物質で作られる太陽電池が吸収する。吸収した光子のエネルギーは、半導体物質の電子をその原子から刺激し、電子正孔対を発生させる。この電子正孔対は次にpn接合によって分離し、太陽電池の表面に加えられた導電性電極によって集結する。
【0005】
最も一般的な太陽電池はシリコン製のものである。具体的には、2つの電気接点層または電極に加え、n型拡散層をp型シリコン基板に塗布することによって、pn接合をシリコンから作る。p型半導体では、自由電荷担体(正孔)の数を増加させるためにドーパント原子を半導体に加える。本質的に、ドーピング物質は束縛が弱い外殻電子を半導体原子から除去する。p型半導体の1つの例はホウ素またはアルミニウムドーパントを有するシリコンである。太陽電池はn型半導体から作ることも可能である。n型半導体では、ドーパント原子がホスト基板に余剰電子を供給し、過剰な負電子電荷担体を作り出す。n型半導体の1つの例はリン系ドーパントを有するシリコンである。太陽電池による太陽光の反射を最小化するために、反射防止膜、例えば窒化ケイ素などをn型拡散層に塗布し、太陽電池に結合する光量を増加させる。
【0006】
太陽電池には概して前面および裏面の両方に導電性ペーストを塗布している。前面ペーストは、上記の通り、電子交換によって発生した電気を伝導する電極の形成をもたらし、一方で裏面ペーストは、はんだ塗装した導線を介して太陽電池を直列接続させるためのはんだ接合の機能を果たす。太陽電池を形成するためには、例えば銀ペーストまたは銀/アルミニウムペーストをスクリーン印刷するなどの方法によって、はんだパッドの形成のために裏面コンタクトをまず太陽電池の裏面に取り付ける。次に、アルミニウム裏面ペーストをわずかにはんだパッドの縁に重ねつつ太陽電池の裏面全体に塗布し、次に電池を乾燥させる。
図1は、太陽電池の全長に亘って広がるはんだパッド110を有し、アルミニウム裏面120を表面全体に印刷したシリコン太陽電池100を示す。最後に、異なるタイプの導電性ペーストを使用し、前面電極の機能を果たすために金属コンタクトを前面反射防止層にスクリーン印刷しても良い。電池の表面または前面にあるこの電気接点層は、光が入射するところであり、金属グリッド材は概して透光性がないため、概して完全な層ではなく、フィンガーラインおよびバスバーで作られるグリッドパターンで存在する。次に、印刷した前面および裏面ペーストを有するシリコン基板を、およそ700〜975℃の温度で焼成する。焼成後、前面ペーストが反射防止層を食刻し、金属グリッドと半導体との間に電気接点を形成し、金属ペーストを金属電極に変換する。裏面では、アルミニウムがシリコン基板内に拡散し、裏面電界(BSF)を作り出すドーパントの機能を果たす。この電界は太陽電池の効率性の向上に役立つ。
【0007】
その結果生じる金属電極は、太陽電池パネルに接続した太陽電池におよびそれから電気が流出入することを可能にする。パネルを組み立てるためには、多数の太陽電池を直列接続および/または並列接続し、最初の電池と最後の電池の電極端部を好ましくは出力配線に接続する。太陽電池は概して、例えばシリコンゴムまたはエチレン酢酸ビニルなどの透明な熱性プラスチック樹脂によりカプセル化される。透明ガラスシートを透明なカプセル化熱性プラスチック樹脂の前面に配置する。裏面保護材、例えば、優れた機械的性質および優れた耐候性を有するフッ化ビニル樹脂膜で覆ったテレフタル酸ポリエチレンシートなどを、カプセル化熱性プラスチック樹脂の下に配置する。これらの層状材料は空気を取り除くために適切な真空炉で加熱し得、次に加熱および圧縮によって1つの物体に一体化し得る。さらに、ソーラーモジュールは概して長時間外気に晒されるため、太陽電池の外周をアルミニウムまたは同種のものから成るフレーム材料で覆うことが望ましい。
【0008】
裏面に使用する典型的な導電性ペーストは、金属粒子、ガラスフリット、および有機ビヒクルを含有する。これらの成分は、結果生じる太陽電池の理論的電位を最大限に活用するために慎重に選択しなければならない。アルミニウム裏面層へのはんだ付けは実質的に不可能であるため、裏面銀または銀/アルミニウムペーストによって形成するはんだパッドは特に重要である。はんだパッドは、シリコン基板の長さを伸ばす棒、またはシリコン基板の長さに沿って配列した個別のセグメントとして形成し得る。はんだパッドは、シリコン基板にしっかりと接着し、太陽電池の効率性に有害な影響を与えずに、ボンディングワイヤをはんだ付けする機械的操作に耐えられなければならない。
【0009】
裏面はんだパッドの接着力を試験するのに使用する典型的な方法は、はんだ糸を銀層はんだパッドに取り付け、次に基板に対してある特定の角度(典型的に180度)ではんだ糸を剥離するのに必要な力を計測することである。概して、2ニュートンを上回る引張力が最低限必要であり、それ以上の力がより望ましいとされる。したがって、向上した接着強度を有する裏面ペーストのための組成物が望まれる。
【0010】
米国特許出願公開第2011/0308595A1号は、1層以上の絶縁層を有する太陽電池装置の前面に印刷するための厚膜ペーストを開示する。厚膜ペーストは、有機媒体内に分散する導電性金属および酸化鉛テルルを含む。酸化鉛テルルはペースト固形物の0.5〜15重量%の量で存在し、鉛対テルルのモル比は5/95〜95/5の間である。酸化鉛テルル(Pb−Te−O)は、TeO
2と酸化鉛粉を混合し、粉末混合物を空気または酸素を含有する大気中で過熱し溶解物を形成し、溶解物を冷却し、冷却した物質をすりつぶしボールミルで粉砕し、粉砕した物質をふるいにかけ、望ましい粒子の大きさを有する粉末を供給することで調製される。
【0011】
米国特許第5,066,621号は、重量%を単位として、13〜50%の酸化鉛、20〜50%の酸化バナジウム、2〜40%の酸化テルル、最大40%の酸化セレン、最大10%の酸化リン、最大5%の酸化二オブ、最大20%の酸化ビスマス、最大5%の酸化銅、および最大10%の酸化ホウ素を含む、封着ガラス組成物を開示する。重量%を単位として、50〜77%の銀、前述の通り封着ガラス組成物の8〜34%、0.2〜1.5%の樹脂およびチキソトロープ剤、および10〜20%の有機溶剤を含む、導電性製剤もまた開示する。開示された封着ガラス組成物は、半導体チップ包装の分野において、半導体チップ、すなわち、「ダイ」をセラミック基板に固着するのに使用する。
【0012】
米国特許出願公開第2011/0192457号は、シリコン太陽電池上に表面電極を形成するために使用する導電性ペースト組成物を開示する。ペーストは、導電性粒子、有機結合剤、溶剤、ガラスフリット、およびアルカリ土類金属、低い融点を有する金属、または低い融点を有する金属の系列にある化合物を含む有機化合物を含有する。公開第‘457号記載の導電性ペースト組成物は、シリコンウェハ前面(光を受ける)の表面電極を形成するためのものである。
【0013】
米国特許第7,736,546号および同第7,935,279号は、TeO
2ならびに1つ以上のBi
2O
3、SiO
2およびこれらの化合物を含む、意図的に添加した鉛を含まない無鉛ガラスフリットを開示する。これらの特許は、そのガラスフリットを含む導電性インクおよびそのような導電性インクを施した物品もまた開示する。特許‘546号および同‘279号記載の導電性ペースト組成物もまた、シリコンウェハ前面(光を受ける)の表面電極を形成するためのものである。
【0014】
欧州特許第EP1 713 095 A2号は、70〜85重量%の銀粉末、6重量%未満のマンガン含有添加剤、300〜600℃の範囲内の軟化点を有する4重量%未満のガラスフリットを含み、その全てが約5〜30重量%の有機媒体内に分散する、太陽電池装置の前面金属化に使用する導電性銀ペーストを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、太陽電池上にはんだパッドを形成する際に使用する、向上した接着強度を有する裏面ペーストを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、太陽電池上に裏面はんだパッドを形成する際に使用する導電性ペースト組成物で、金属粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル、および金属もしくは金属酸化物、または焼成温度で金属もしくは金属酸化物に変換する任意の他の金属化合物を含む接着促進剤、を含む導電性ペースト組成物を提供し、接着促進剤は、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛、またはこれらの酸化物から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む。
【0017】
本発明の1つの態様によると、接着促進剤はテルル、タングステン、モリブデン、ニッケル、および亜鉛から成る群から選択される少なくとも1つの金属であり、好ましくはテルルである。
【0018】
本発明の別の態様によると、接着促進剤は、二酸化テルル、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化銀、酸化コバルト、および酸化セリウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属酸化物であり、好ましくは二酸化テルルである。
【0019】
本発明のさらなる態様によると、接着促進剤は導電性ペースト組成物の約0.01〜5重量%である。接着促進剤は導電性ペースト組成物の約0.05〜2.5重量%、好ましくは約0.05〜1重量%でもあり得る。
【0020】
本発明のさらなる態様によると、接着促進剤はガラスフリット内に分散する。
【0021】
本発明のさらなる態様によると、接着促進剤はガラスフリットから独立したペースト組成物内に分散する。
【0022】
本発明の別の態様によると、金属粒子は導電性ペースト組成物の約30〜75重量%である。本発明の1つの実施形態において、金属粒子は導電性ペースト組成物の60重量%以下(例えば、約30〜60重量%)である。本発明の別の実施形態において、金属粒子は導電性ペースト組成物の50重量%以下(例えば、約30〜50重量%)である。
【0023】
本発明のさらなる態様によると、金属粒子は、銀、アルミニウム、金、およびニッケル、または任意のこれらの合金のうちの少なくとも1つであり、好ましくは銀である。
【0024】
本発明のさらなる態様によると、ガラスフリットは導電性ペースト組成物の約1〜10重量%である。本発明の1つの実施形態において、ガラスフリットは酸化鉛を含む。本発明の別の実施形態において、ガラスフリットは意図的に添加した鉛を含まない。本発明のさらなる実施形態において、ガラスフリットは酸化ビスマスを含み、意図的に添加した鉛を含まない。本発明のさらなる実施形態において、ガラスフリットは、Bi−B−Li−酸化物、Bi−Zn−B−酸化物、Bi−Si−Zn−B−酸化物、またはBi−Si−酸化物のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
本発明の別の態様によると、有機ビヒクルは導電性ペースト組成物の約20〜60重量%、好ましくは約30〜50重量%、より好ましくは約45重量%である。本発明の1つの実施形態において、有機ビヒクルは、結合剤、界面活性剤、有機溶剤、およびチキソトロープ剤を含む。本発明の別の実施形態において、結合剤は、エチルセルロースもしくはフェノール樹脂、アクリル、ポリビニルブチラール、もしくはポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、もしくはポリウレタン樹脂、またはロジン誘導体のうちの少なくとも1つである。本発明のさらなる実施形態において、界面活性剤は、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ポリ(エチレングレコール)酢酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩、パルチミン酸塩、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つである。本発明のさらなる実施形態において、有機溶剤は、カルビトール、テルピネオール、ヘキシルカルビトール、テキサノール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アジピン酸ジメチル、またはグリコールエーテルのうちの少なくとも1つである。
【0026】
本発明は、前述の通り、前面および裏面、ならびに任意の導電性ペーストから生産するシリコンウェハ上に形成するはんだパッドを有するシリコンウェハを備える太陽電池もまた提供する。
【0027】
本発明の1つの態様によると、はんだパッドは太陽電池の裏面に形成する。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、はんだパッドは1ニュートン以上の引張力でシリコンウェハから剥離し得る。本発明の別の実施形態において、はんだパッドは2ニュートン以上の引張力でシリコンウェハから剥離し得る。本発明のさらなる実施形態において、はんだパッドは3ニュートン以上の引張力でシリコンウェハから剥離し得る。本発明のさらなる実施形態において、はんだパッドは5ニュートン以上の引張力でシリコンウェハから剥離し得る。さらに別の実施形態では、はんだパッドをシリコンウェハから剥離するのに必要な引張力は少なくとも1ニュートン、2ニュートン、3ニュートン、4ニュートン、または5ニュートンである。
【0029】
本発明の別の態様によると、はんだパッドは、約30〜75重量%の金属粒子を含む導電性ペーストから形成される。本発明のさらなる態様によると、はんだパッドは、60重量%以下(例えば、約30〜60重量%)の金属粒子を含む導電性ペーストから形成される。本発明のさらなる態様によると、はんだパッドは、50重量%以下(例えば、約30〜50重量%)の金属粒子を含む導電性ペーストから形成される。
【0030】
本発明のさらなる態様によると、電極はシリコンウェハ前面に形成する。
【0031】
本発明のさらなる態様によると、シリコンウェハ前面は反射防止層を含む。
【0032】
本発明はさらに、前述の通り、電気的に相互接続した太陽電池を備える太陽電池モジュールを提供する。
【0033】
本発明は、前面および裏面を有するシリコンウェハを提供するステップと、任意の導電性ペースト組成物を前述の通りシリコンウェハ裏面上に塗布するステップと、シリコンウェハを適切なプロファイルに従って焼成するステップと、を含む、太陽電池を生産する方法もまた提供する。
【0034】
本発明の1つの態様によると、シリコンウェハは前面に反射防止膜を有する。
【0035】
本発明の別の態様によると、その方法は、前述の通り、アルミニウム含有ペーストを導電性ペースト組成物の縁に重ねつつシリコンウェハ裏面に塗布するステップをさらに含む。
【0036】
本発明のさらなる態様によると、その方法は、銀含有ペーストをシリコンウェハ前面に塗布するステップをさらに含む。
【0037】
本発明のさらなる態様によると、アルミニウム含有ペーストを塗布するステップは、スクリーン印刷によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】以下の詳細な説明を参照して、電池の全長に亘って印刷した銀はんだパッドを有するシリコン太陽電池の裏面の例図である添付の
図1と関連付けて考慮すれば、本発明およびそれに付随する多くの利点がより良く理解でき、さらに完全な理解が容易に得られるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、太陽電池の裏面への塗布に有用な導電性ペースト組成物に関する。導電性ペースト組成物は好ましくは金属粒子、ガラスフリット、接着促進剤、および有機ビヒクルを含む。そのような利用法に限らないが、当該ペーストは、太陽電池内に電気接点層または電極を形成するためだけでなく、モジュール内で太陽電池を相互接続するために使用するはんだパッドを形成するために使用することも可能である。具体的には、ペーストは太陽電池の前面または太陽電池の裏面に塗布しても良い。
【0040】
図1は、シリコン太陽電池100の裏面に堆積した例示的はんだパッド110を示す。この特定の実施例では、スクリーン印刷した銀はんだパッドが電池の全長に亘って広がっている。他の構成では、はんだパッドは個別のセグメントであり得る。はんだパッドは、例えば当技術分野で周知なもののように、いかなる形状および大きさでも良い。第2の裏面ペースト、例えばアルミニウム含有ペーストなどをまた、はんだパッドに接するシリコンウェハ裏面に印刷し、焼成時に太陽電池の裏面電極120を形成した。
【0041】
本発明の1つの態様は、裏面はんだパッドの形成に使用する導電性ペーストの組成に関する。望ましい裏面ペーストは、太陽電池の電気性能の最適化もしつつ、最適な太陽電池の機械的信頼性を可能にする、高い接着強度を有するものである。本発明に基づく導電性ペースト組成物は、金属粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル、および接着促進剤から成り、金属接着促進剤または金属酸化物接着促進剤の存在がペーストの接着強度を向上させるものである。接着促進剤は、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛から成る群から選択される少なくとも1つの金属またはその酸化物を含む。好ましくは、接着促進剤はテルルまたは二酸化テルルである。接着促進剤は、ガラスフリット内、またはガラスフリットから独立したペースト組成物内に分散することができる。
【0042】
裏面ペーストの、引張力としても知られる接着強度を計測する1つの方法は、はんだ糸をシリコン太陽電池の裏面に印刷した導電性ペースト層(はんだパッド)に取り付けることである。標準的なはんだ糸は、自動機械によって、または手持ちのはんだごてを使い手動で、はんだパッドに取り付ける。本発明においては、およそ20μm62/36/2のはんだ塗装を有する2.0×0.20mmの銅リボンを使用したが、当産業で一般的であり当技術分野で周知の他の方法を使用しても良い。銅ワイヤをはんだパッドの長さにはんだ付けした状態で、リボンの末端をおよそ180
oで剥ぎ取り一定の速度で引っ張り、その間フォースゲージが規定のサンプリングレートで引張力データを記録する。
【0043】
例示的ペーストを評価する際、はんだ付け工程の結果として生じるデータの変動を最小化するために、このはんだと延伸工程を概して4つの独立した裏面はんだパッドに対して4回行う。はんだ付け工程における個別の不連続変異が結果に影響し得るため、1つの実験からの1つの個別の計測結果は高い信頼性を持たない。したがって、4回の延伸の総合的な平均値を取得し、平均化引張力をペースト間で比較する。概して、最小1ニュートンの引張力が望ましい。接着強度の許容工業規格は概して2ニュートンを上回る。少なくとも3ニュートン、また場合によっては5ニュートンを上回る引張力を有する、より高い接着力が好ましい場合もある。
【0044】
導電性裏面ペーストの接着力はペーストの組成に影響される。本発明は、金属粒子、ガラスフリット、有機ビヒクル、および金属もしくは金属酸化物、または焼成温度で金属もしくは金属酸化物に変換する任意の他の金属化合物を含む接着促進剤を含む太陽電池上に、裏面はんだパッドを形成する際に使用する導電性ペースト組成物であり、その接着促進剤が、テルル、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、セリウム、および亜鉛、またはこれらの酸化物から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む、導電性ペースト組成物を提供する。
【0045】
本発明の1つの実施形態は、ペーストの総重量100%を基とし、約30〜75重量%の導電性粒子、約1〜10重量%のガラスフリット、約20〜60重量%の有機ビヒクル、ならびに接着促進剤としてタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、およびテルル(Te)の金属のうちの少なくとも1つを約0.01〜5重量%含む、導電性ペーストである。好ましくは、その金属はテルルである。別の好ましい実施形態では、ペーストはおよそ0.01〜2.5重量%、より好ましくは約0.01〜1重量%の金属テルルを含む。
【0046】
本発明の別の実施形態は、ペーストの総重量100%を基とし、約30〜75重量%の導電性粒子、約1〜10重量%のガラスフリット、約20〜60重量%の有機ビヒクル、ならびに接着促進剤として二酸化テルル(TeO
2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化タングステン(WO
3)、酸化銀(AgO)、酸化コバルト(CoO)および酸化セリウム(CeO
2)の金属酸化物のうちの少なくとも1つを約0.01〜5重量%含む、導電性ペーストである。好ましい実施形態では、その金属酸化物は二酸化テルルである。好ましくは、ペーストはおよそ0.01〜2.5重量%、より好ましくは約0.01〜1重量%の二酸化テルルを含む。さらに別の好ましい実施形態では、二酸化テルルの平均的な粒子の大きさは1μm未満であり、好ましくは0.6μm未満である。一般的に言えば、本発明の範囲を限定することなく、より小さな二酸化テルル粒子の大きさはペースト組成物内での分配を補助し、より良い接着力と電気的特性を提供する。
【0047】
さらに別の実施形態によると、接着促進剤は、タングステン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、マグネシウム、ジルコニウム、銀、コバルト、およびセリウム、またはこれらの酸化物の金属のうちの少なくとも1つである。
【0048】
導電性金属粒子
当技術分野で周知の、太陽電池表面電極としての使用に適しており、はんだ付けもしやすい導電性金属粒子、およびその混合物または合金を、本発明と併せて使用しても良い。1つの実施形態において、導電性粒子は、銀、アルミニウム、金、およびニッケル、または任意のこれらの合金のうちの少なくとも1つである。導電性粒子は概してペースト組成物の約30〜75重量%、または約35〜70重量%である。別の実施形態において、導電性粒子はペーストの約60重量%未満(例えば、約30〜60重量%)である。別の実施形態において、導電性粒子はペーストの約50重量%未満(例えば、約30〜50重量%)である。より低い導電性粒子の含有量は概してペースト組成物の費用も低減する。1つの好ましい実施形態において、導電性粒子は銀である。別の実施形態において、導電性粒子は銀およびアルミニウムの混合物である。
【0049】
導電性粒子は、元素金属、1つ以上の金属誘導体、またはこれらの混合物として存在し得る。適切な銀誘導体は、例として、例えばハロゲン化銀(例えば、塩化銀)、硝酸銀、酢酸銀、トリフルオロ酢酸銀、オルトリン酸銀、およびこれらの化合物などの銀合金および/または銀塩を含む。
【0050】
導電性粒子は、様々な形状、表面、大きさ、表面積対体積比、酸素含有量、および酸化被膜を示すことが可能である。多数の形状が当技術分野で周知である。いくつかの例は、球状、角状、細長状(棒または針状)、および扁平状(シート状)である。導電性金属粒子は、異なる形状の粒子の化合物としても存在し得る。接着に有利に働く、1つの形状、または形状の組み合わせを有する金属粒子が、本発明によると好ましい。粒子の表面性を考慮せずにそのような形状の特性を示す1つの方法は、長さ、幅、および厚さのパラメータを通してである。本発明に係る粒子の長さは、粒子が両端点を包含する最長の空間変位ベクトルの長さによって表す。粒子の幅は、上記に定義される粒子が両端点を包含する長さベクトルと直角を成す最長の空間変位ベクトルの長さによって表す。粒子の厚さは、上記に定義される粒子が両端点を包含する長さベクトルおよび幅ベクトルの両方と直角を成す最長の空間変位ベクトルの長さによって表す。
【0051】
本発明に基づく1つの実施形態において、可能な限り均一な形状を有する金属粒子が好ましい(すなわち、長さ、幅、および厚さを相関する比率が可能な限り1に近く、好ましくはすべての比率が約0.7〜約1.5の範囲内、より好ましくは約0.8〜約1.3の範囲内、最も好ましくは約0.9〜約1.2の範囲内にある形状)。本実施形態において金属粒子の好ましい形状の例は、球体および立方体、またはこれらの組み合わせ、または1つ以上のこれらの形状と他の形状の組み合わせである。本発明に基づく別の実施形態において、長さ、幅および厚さの寸法を相関する比率のうちの少なくとも1つが、好ましくは約1.5を上回り、より好ましくは約3を上回り、最も好ましくは約5を上回る、低い均質性を有する形状を有する金属粒子が好ましい。本実施形態に基づく好ましい形状は、フレーク状、棒もしくは針状、またはフレーク状、棒もしくは針状と他の形状の組み合わせである。
【0052】
金属粒子の形状および表面の特性を示す別の方法は、表面積対体積比によるものである。粒子の表面積対体積比の最低値は、滑らかな表面を有する球体によって具体化される。形状が不均一で平坦でないほど、表面積対体積比は高くなる。本発明に基づく1つの実施形態において、好ましくは約1.0×10
7〜約1.0×10
9m
−1の範囲内、より好ましくは約5.0×10
7〜約5.0×10
8m
−1の範囲内、最も好ましくは約1.0×10
8〜約5.0×10
8m
−1の範囲内の、高い表面積対体積比を有する金属粒子を使用する。本発明に基づく別の実施形態において、好ましくは約6×10
5〜約8.0×10
6m
−1の範囲内、より好ましくは約1.0×10
6〜約6.0×10
6m
−1の範囲内、最も好ましくは約2.0×10
6〜約4.0×10
6m
−1の範囲内の、低い表面積対体積比を有する金属粒子を使用する。
【0053】
粒径d
50ならびに関連パラメーターd
10およびd
90は、当業者に周知の粒子の特性である。金属粒子の粒径d
50の中央値は、本発明によると約2〜約4μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは約2.5〜約3.5μmの範囲内、最も好ましくは約2.8〜約3.2μmの範囲内である。粒径d
50の測定方法は当業者に周知である。
【0054】
本発明の1つの実施形態において、金属粒子は、約1.5μmを上回るd
10を有し、好ましくは約1.7μmを上回り、より好ましくは1.9μmを上回る。d
10の値はd
50の値を上回ってはならない。
【0055】
本発明の1つの実施形態において、金属粒子は、約6μmを下回るd
90を有し、好ましくは約5μmを下回り、より好ましくは約4.5μmを下回る。d
90の値はd
50の値を下回ってはならない。
【0056】
金属粒子は表面被覆と共に存在し得る。当技術分野で周知であり、本発明の範囲で適切と見なされる任意のそのような被覆を、金属粒子の上に使用しても良い。本発明に基づく好ましい被覆は、導電性ペーストの接着特性を促進する被覆である。そのような被覆が存在する場合、本発明によると、各例において金属粒子の総重量を基とし、被覆が好ましくは約10重量%以下、より好ましくは約8重量%以下、最も好ましくは約5重量%以下に相当する。
【0057】
ガラスフリット
別の好ましい実施形態において、ガラスフリットはペースト組成物の約1〜10重量%であり得る。当技術分野で周知であり、裏面ペーストに適したガラスフリットを、本発明と併せて使用しても良い。好ましいガラスフリットは、ガラス転移を示す非結晶質または部分的に結晶性固体の粉末である。ガラス転移温度T
gは、加熱すると非晶質物質が固い固形物から部分的に流動性のある過冷却融液に変形するときの温度である。ガラス転移温度の測定方法は当業者に周知である。好ましくは、ガラス転移温度は導電性ペーストの望ましい焼成温度未満である。本発明によると、好ましいガラスフリットは、約250℃〜約700℃の範囲内、好ましくは約300℃〜約600℃の範囲内、最も好ましくは約350℃〜約500℃の範囲内の、ガラス転移温度を有する。
【0058】
本発明に係る背景において、導電性ペースト内に存在するガラスフリットは、好ましくは、加熱すると酸化物を発生する元素、酸化物、および/または化合物、他の化合物、またはこれらの混合物を含む。ガラスフリットは鉛を含んでも良いし、実質的に鉛を含まなくても良い。鉛系のガラスフリットは、ハロゲン化鉛塩、鉛カルコゲニド、炭酸鉛、硫酸鉛、リン酸鉛、硝酸鉛、および有機金属鉛化合物、または熱分解の間に酸化鉛または塩を形成可能な化合物を含むがこれに限らない、酸化鉛もしくは他の鉛系の化合物を含む。ガラスフリットは当技術分野で周知の他の酸化物または化合物を含み得る。例えば、シリコン、ホウ素、アルミニウム、ビスマス、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、チタニウム、または酸化ジルコニウムもしくは化合物が使用可能である。例えば、酸化ゲルマニウム、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化二オブ、酸化スズ、酸化インジウム、他のアルカリおよびアルカリ土類金属(例えば、K、Rb、CsおよびBe、Ca、Sr、Baなど)の化合物、希土類酸化物(例えば、La
2O
3、酸化セリウムなど)、酸化リンもしくは金属リン酸塩、遷移金属酸化物(例えば、酸化銅および酸化クロムなど)、または金属ハロゲン化物(例えば、フッ化鉛およびフッ化亜鉛など)などの、他のガラスマトリックス形成因子またはガラス修飾因子を、ガラス組成物の一部としても良い。本発明の1つの実施形態において、鉛のないガラスフリットは、ビスマスおよび他の酸化物、例えば、本発明の範囲を限定することなく、ビスマス−ホウ素−リチウム−酸化物、ビスマス−ケイ素−酸化物、ビスマス−ケイ素−亜鉛−ホウ素−酸化物、またはビスマス−亜鉛−ホウ素−酸化物を含み得る。
【0059】
ガラスフリット粒子が様々な形状、表面性、大きさ、表面積対体積比、および塗工層を示すことが可能であるということは当業者に周知である。ガラスフリット粒子の多数の形状が当技術分野で周知である。いくつかの例は、球状、角状、細長状(棒または針状)、および扁平状(シート状)である。ガラスフリット粒子は、異なる形状の粒子の化合物としても存在し得る。生じた電極の焼結、接着、電気接触、および導電率に有利に働く、1つの形状、または形状の組み合わせを有するガラスフリット粒子が、本発明によると好ましい。
【0060】
粒子の形状および表面の特性を示す1つの方法は、表面積対体積比によるものである。形状が不均一で平坦でないほど、表面積対体積比は高くなる。本発明に基づく1つの実施形態において、高い表面積対体積比を有するガラスフリット粒子金属粒子が好ましく、好ましくは約1.0×10
7〜約1.0×10
9m
−1の範囲内、より好ましくは約5.0×10
7〜約5.0×10
8m
−1の範囲内、最も好ましくは約1.0×10
8〜約5.0×10
8m
−1の範囲内である。本発明に基づく別の実施形態において、低い表面積対体積比を有するガラスフリット粒子が好ましく、好ましくは約6×10
5〜約8.0×10
6m
−1の範囲内、より好ましくは約1.0×10
6〜約6.0×10
6m
−1の範囲内、最も好ましくは約2.0×10
6〜約4.0×10
6m
−1の範囲内である。
【0061】
平均の粒径d
50ならびに関連パラメーターd
10およびd
90は、当業者に周知の粒子の特性である。ガラスフリットの粒径d
50の中央値は、本発明によると1μm未満、好ましくは0.6μm未満である。一般的に言えば、本発明の範囲を限定することなく、より小さなガラス粒子の大きさはペースト組成物内での分配を補助し、より良い接着力と電気的特性を提供する。粒径d
50の測定方法は当業者に周知である。
【0062】
ガラスフリット粒子は表面被覆と共に存在し得る。当技術分野で周知であり、本発明の範囲で適切と見なされる任意のそのような被覆を、ガラスフリット粒子の上に使用しても良い。本発明に基づく好ましい被覆は、導電性ペーストの接着力の向上を促進する被覆である。そのような被覆が存在する場合、本発明によると、各例においてガラスフリット粒子の総重量を基とし、被覆が好ましくは約10重量%以下、より好ましくは約8重量%以下、最も好ましくは約5重量%以下に相当する。
【0063】
有機ビヒクル
本発明の範囲で好ましい有機ビヒクルは、導電性ペーストの構成物質が融解、乳化、または分散した形態で存在することを確かにする、1つ以上の溶剤を基とする溶液、乳剤、または分散液であり、好ましくは、有機溶剤である。好ましい有機ビヒクルは、導電性ペースト内の構成物質の最適な安定性を提供し、導電性ペーストに一定の粘度を与え印刷適性を最適化するものである。
【0064】
有機ビヒクルはペースト組成物の約20〜60重量%、好ましくは約30〜50重量%、さらにより好ましくは約45重量%であり得る。有機ビヒクルは概して結合剤、界面活性剤、有機溶剤、およびチキソトロープ剤を含む。
【0065】
本発明の範囲で好ましい結合剤は、有益な安定性、印刷適性、および粘度を有する導電性ペーストの形成に寄与するものである。結合剤は当技術分野で周知である。当技術分野で周知であり、本発明の範囲で適切と見なされるあらゆる結合剤が、有機ビヒクル内の結合剤として使用可能である。本発明に基づく好ましい結合剤(しばしば「樹脂」と称する部類に属する)は、ポリマー結合剤、モノマー結合剤、およびポリマーとモノマーの化合物である結合剤である。ポリマー結合剤は、少なくとも2つの異なるモノマー単位を単一分子に包含するコポリマーでも良い。1つの実施形態によると、結合剤は、エチルセルロースもしくはフェノール樹脂、アクリル、ポリビニルブチラール、もしくはポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、もしくはポリウレタン樹脂、ロジン誘導体、または当技術分野で周知の任意の他の結合剤、または任意の上述のものの任意の化合物から成る群から選択され得る。
【0066】
本発明の範囲で好ましい界面活性剤は、有益な安定性、印刷適性、および粘度を有する導電性ペーストの形成に寄与するものである。界面活性剤は当業者に周知である。当技術分野で周知であり、本発明の範囲で適切と見なされるあらゆる界面活性剤が、有機ビヒクル内の界面活性剤として使用可能である。本発明に基づく好ましい界面活性剤は、直鎖、分枝鎖、芳香族鎖、フッ化鎖、シロキサン鎖、ポリエーテル鎖、およびこれらの化合物を基とするものである。好ましい界面活性剤は、単鎖型、二鎖型、またはポリ鎖型である。本発明に基づく好ましい界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性イオン性のヘッドを有する。好ましい界面活性剤は、ポリマー性およびモノマー性またはこれらの混合物である。1つの実施形態によると、界面活性剤は、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ポリ(エチレングレコール)酢酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩、パルチミン酸塩、およびこれらの混合物、または当技術分野で周知の任意の他の界面活性剤から成る群から選択される。
【0067】
本発明に基づく好ましい溶剤は、焼成の間にかなりの程度までペーストから除去される導電性ペーストの構成物質であり、好ましくは焼成後に存在するもので、その絶対重量が焼成前と比較して少なくとも約80%減少するものであり、好ましくは焼成前と比較して少なくとも約95%減少するものである。本発明に基づく好ましい溶剤は、有益な粘度、印刷適性、および安定性を有する導電性ペーストが形成できるようにするものである。溶剤は当技術分野で周知である。当技術分野で周知であり、本発明の範囲で適切と見なされるあらゆる溶剤が、有機ビヒクル内の溶剤として使用可能である。1つの実施形態によると、有機溶剤は、カルビトール、テルピネオール、ヘキシルカルビトール、テキサノール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アジピン酸ジメチルもしくはグリコールエーテル、または当技術分野で周知の任意の他の溶剤、または上述のものの任意の化合物から成る群から選択される。
【0068】
ペースト組成物は、1つ以上の無機添加剤をさらに含み得る。無機添加剤はペースト組成物の約0〜2重量%であり、当業者に周知の多種多様な無機化合物でも良い。添加剤は、金属、金属酸化物、塩、または焼成の間に金属酸化物を発生することができる任意の化合物、およびこれらの混合物を含み得る。有機ビヒクル内の好ましい添加剤は、前述のビヒクル成分と異なるものであり、導電性ペーストの有益な特性に寄与するものである。当技術分野で周知であり、本発明の範囲で適切と見なされる添加剤が、有機ビヒクル内の添加剤として使用可能である。本発明に基づく好ましい添加剤は、チキソトロープ剤、粘性調節剤、分解防止剤、無機添加剤、増粘剤、乳化剤、分散剤、またはpH調節剤である。本明細書の範囲で好ましいチキソトロープ剤は、カルボン酸誘導体、好ましくは脂肪酸誘導体、またはこれらの化合物である。好ましい脂肪酸誘導体は、C
9H
19COOH(カプリン酸)、C
11H
23COOH(ラウリン酸)、C
13H
27COOH(ミリスチン酸)、C
15H
31COOH(パルミチン酸)、C
17H
35COOH(ステアリン酸)、C
18H
34O
2(オレイン酸)、C
18H
32O
2(リノール酸)、またはこれらの化合物である。本明細書の範囲で脂肪酸を含む好ましい化合物はキャスターオイルである。
【0069】
導電性ペーストの形成
導電性ペースト組成物は、当技術分野で周知のペースト組成物を調製する任意の方法によって調製され得る。1つの例として、ペースト成分は、例えばミキサーによって混合し得、次に、例えば3ロールミルに通し、均一な分散ペーストを生成し得るが、これに限定されない。
【0070】
シリコン太陽電池
太陽電池の構成要素はシリコンウェハである。本発明に基づく好ましいウェハは、太陽電池の他の領域の中でも特に、高い効率性で光を吸収し、電子正孔対を生じさせ、境界をまたぎ、好ましくはpn接合境界をまたぎ、高い効率性で正孔および電子を分離させる機能がある領域を有する。本発明に基づく好ましいウェハは、本明細書でより完全に説明するように、前面ドープ層および裏面ドープ層から成る個体を備えるものである。
【0071】
ウェハは、適切にドープした四価元素、二元化合物、三元性化合物または合金から成ることが好ましい。本明細書の範囲で好ましい四価元素は、Si、Ge、またはSnであり、好ましくはSiである。好ましい二元化合物は、2つ以上の四価元素の化合物、第V族の元素を有する第III族の元素の二元化合物、第VI族の元素を有する第II族の元素の二元化合物、または第VI族の元素を有する第IV族の元素の二元化合物である。好ましい四価元素の化合物は、Si、Ge、Sn、またはC、好ましくはSiC、から選択される2つ以上の元素の化合物である。好ましい第V族の元素を有する第III族の元素の二元化合物はGaAsである。ウェハはSiを基とすることが本発明によると最も好ましい。Siを、ウェハに最も好ましい物質として、本出願の残りを通して明示的に呼称する。Siが明示的に言及される以下の文章の文節は、上述の他のウェハ組成物にも適用する。
【0072】
ウェハの前面ドープ層および裏面ドープ層が接するところがpn接合境界である。n型太陽電池においては、裏面ドープ層を電子供与性n型ドーパントでドープし、前面ドープ層を電子受容性または正孔供与性p型ドーパントでドープする。p型太陽電池においては、裏面ドープ層をp型ドーパントでドープし、前面ドープ層をn型ドーパントでドープする。本発明によると、まずドープSi基板を提供し、次に反対の型のドープ層をその基板の1つの面に施すことで、pn接合境界を有するウェハを調製することが好ましい。
【0073】
ドープSi基板は当業者に周知である。ドープSi基板は、当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意の方法で調製可能である。本発明に基づくSi基板の好ましいソースは、単結晶Si、多結晶Si、非結晶Siおよび高純度金属Siであり、単結晶Siまたは多結晶Siが最も好ましい。ドープSi基板を形成するためのドーピングは、Si基板の調製中にドーパントを添加することで同時に実施することもできれば、後続のステップで実施することもできる。Si基板の調製後のドーピングは例えばガス拡散型エピタキシーによって実施可能である。ドープSi基板はまた容易に商業的に入手可能である。本発明によると、Si混合物にドーパントを添加することにより、Si基板の最初のドーピングをその形成と同時に実施することは1つの選択肢である。本発明によると、前面ドープ層、および、もし存在すれば高ドープ裏面層の塗布を、気相エピタキシーによって実施することは1つの選択肢である。この気相エピタキシーは、好ましくは約500℃〜約900℃の範囲内、より好ましくは約600℃〜約800℃の範囲内、最も好ましくは約650℃〜約750℃の範囲内の温度で、約2kPa〜約100kPaの範囲内、好ましくは約10〜約80kPaの範囲内、最も好ましくは約30〜約70kPaの範囲内の圧力で実施する。
【0074】
Si基板が多数の形状、表面組織、および大きさを示し得るということは、当業者に周知である。その形状は、数ある中でも立方体状、円盤状、ウェハ状、および不規則多面体状を含む、多数の異なる形状のうちの1つであり得る。本発明に基づく好ましい形状は、ウェハ状であり、そのウェハが、近似した、好ましくは同等の2つの寸法、および他の2つの寸法より著しく小さい第3の寸法を有する立方体である、形状である。この文脈において、著しく小さいとは、好ましくは少なくとも約100分の1の大きさを意味する。
【0075】
様々な表面形が当業者に周知である。本発明によると、表面が粗いSi基板が好ましい。基板の粗度を算定する1つの方法は、基板の部分的表面の表面粗度パラメータを見積もることであり、その基板の部分的表面は、基板の全表面積と比較すると小さく、好ましくは全表面積の約100分の1未満であり、本質的に平面である。表面粗度パラメータ値は、平均二乗変位を最小化することで部分的表面に最適化した平面に部分的表面を投影して形成する仮想面積に対する、部分的表面面積の比によって表される。より高い表面粗度パラメータ値は、より粗く、より不規則な表面を示し、より低い表面粗度パラメータ値は、より滑らかで、より平坦な表面を示す。本発明によると、Si基板の表面粗度は、好ましくは、光吸収およびフィンガーの表面への接着を含むがこれに限定されない多数の要因の間の最適なバランスをもたらすように修正する。
【0076】
Si基板のうち大きい方の2つの寸法は、結果生じる太陽電池に求められる利用に適すために変更可能である。本発明によると、Siウェハの厚さは約0.5mm未満であることが好ましく、より好ましくは約0.3mm未満、最も好ましくは約0.2mm未満である。いくつかのウェハは最小0.01mmまたはそれ以上の大きさである。
【0077】
本発明によると、前面ドープ層が裏面ドープ層と比較して薄いことが好ましい。本発明によると、前面ドープ層が、好ましくは約0.1〜約10μmの範囲内、より好ましくは約0.1〜約5μmの範囲内、最も好ましくは約0.1〜約2μmの範囲内の厚さを有する。
【0078】
高ドープ層は、Si基板の裏面の、裏面ドープ層と任意のさらなる層との間に施すことが可能である。そのような高ドープ層は、裏面ドープ層と同じドープ型であり、そのような層は一般的に+で示す(n
+型層をn型裏面ドープ層に施し、p
+型層をp型裏面ドープ層に施す)。この高ドープ裏面層は、メタライゼーションを補助し、基板/電極界面における導電性を向上させる働きをする。本発明によると、高ドープ裏面層が、もし存在すれば、好ましくは約1〜約100μmの範囲内、より好ましくは約1〜約50μmの範囲内、最も好ましくは約1〜約15μmの範囲内の厚さを有する。
【0079】
ドーパント
好ましいドーパントは、Siウェハに添加すると、電子または正孔をバンド構造に導入することによってpn接合境界を形成するものである。本発明によると、これらのドーパントの同一性と濃度を、pn接合のバンド構造のプロファイルを調整し、光吸収および導電性プロファイルを必要に応じて定めるように特に選択することが好ましい。本発明に基づく好ましいp型ドーパントは、Siウェハのバンド構造に正孔を与えるものである。これらは当業者に周知である。当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なすあらゆるドーパントが、p型ドーパントとして使用可能である。本発明に基づく好ましいp型ドーパントは三価元素であり、特に周期律表第13族のものである。本発明の範囲で好ましい周期律表第13族元素は、B、Al、Ga、In、Tl、またはこれらのうち少なくとも2つの化合物を含むがこれに限らず、Bが特に好ましい。
【0080】
本発明に基づく好ましいn型ドーパントは、Siウェハのバンド構造に電子を与えるものである。これらは当業者に周知である。当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なすあらゆるドーパントが、n型ドーパントとして使用可能である。本発明に基づく好ましいn型ドーパントは周期律表第15族元素である。本発明の範囲で好ましい周期律表第15族元素は、N、P、As、Sb、Bi、またはこれらのうち少なくとも2つの化合物を含み、Pが特に好ましい。
【0081】
上述の通り、pn接合の様々なドーピングレベルは、結果として生じる太陽電池の望ましい特性を調整するように変更可能である。
【0082】
太陽電池
前述の目的のうちの1つを達成することには、少なくとも
i)上述の通り太陽電池前駆体(すなわち、シリコンウェハ)の準備、具体的には任意の上述の実施形態を組み合わせることと、
ii)太陽電池を入手するために太陽電池前駆体を焼成することと、を工程段階として含む、太陽電池の生産工程によって貢献する。
【0083】
印刷
本発明によると、導電性ペーストを塗布し、次に前述の導電性ペーストを焼成し焼結体を入手することによって、前面および裏面電極を印加することが好ましい。導電性ペーストは、当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす、含浸法、ディッピング法、鋳込み法、滴下法、注入法、散布法、ナイフコーティング法、カーテンコーティング法、はけ塗り法もしくは印刷法、またはこれらのうち少なくとも2つの組み合わせを含むがこれに限らない任意の方法で塗布することができ、好ましい塗布手法はインクジェット印刷法、スクリーン印刷法、タンポン印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、もしくは型紙捺染法、またはこれらのうち少なくとも2つの組み合わせである。本発明によると、導電性ペーストを印刷によって、好ましくはスクリーン印刷によって塗布するのが好ましい。本発明によると、スクリーンは250〜325メッシュ、乳剤厚5〜15μm、および線径20〜40μmが好ましく、最も好ましくは280メッシュ、乳剤厚5μm、および線径35μmのパラメータを有する。
【0084】
焼成
焼成は、固形の導電体を形成するため、印刷したはんだパッドを焼結するのに必要である。焼成は当業者に周知であり、当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意の方法で実施可能である。本発明の範囲では、焼成はガラスフリットのガラス転移温度を上回る温度で実施することが好ましい。
【0085】
本発明によると、最高焼成温度は、連結した熱電温度計を、シリコンウェハの熱応答のシミュレーションという目的である主要な金属薄板に取り付けたデータロガーによって計測し、約700〜975℃である。本発明によると、焼成は、総焼成時間が好ましくは約20秒〜約3分の範囲内、より好ましくは約20秒〜約2分の範囲内、最も好ましくは約20秒〜約40秒の範囲内の高速焼成工程で実施する。600℃を上回る時間は最も好ましくは約3秒〜7秒の範囲内である。
【0086】
前面および裏面上の導電性ペーストの焼成は、同時または順次実施することが可能である。同時焼成は、両面に塗布した導電性ペーストが近似した、好ましくは同一な、最適焼成条件を有する場合に適切である。適切な場合、焼成は同時に実施することが本発明によると好ましい。焼成を順次実施する場合、まず裏面導電性ペーストを塗布および焼成し、その後に導電性ペーストの前面への塗布および焼成が続くのが本発明によると好ましい。
【0087】
太陽電池
上述の目的のうち少なくとも1つを達成することに貢献する太陽電池は、本発明に基づく工程によって得る。本発明に基づく好ましい太陽電池は、電気エネルギー出力量に変換される入射光の総エネルギーの比率という観点から高い効率性を有し、軽量で耐久性のあるものである。本発明に基づく太陽電池の最小限の構成(純粋に化学的および機械的保護のための層を除く)は、(i)前面電極、(ii)前面ドープ層、(iii)pn接合境界、(iv)裏面ドープ層、および(v)はんだパッドである。
【0088】
パッシベーション層
本発明によると、1つ以上のパッシベーション層を前面および/または裏面に塗布することが可能である。好ましいパッシベーション層は電極界面近傍の電子/正孔再結合率を低減するものである。当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意のパッシベーション層が使用可能である。本発明に基づく好ましいパッシベーション層は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、および二酸化チタンであり、窒化ケイ素が最も好ましい。本発明によると、パッシベーション層は約0.1nm〜約2μmの範囲内の厚さを有することが好ましく、より好ましくは約10nm〜約1μmの範囲内、最も好ましくは約30nm〜約200nmの範囲内である。
【0089】
付加的な保護層
太陽電池の基本的な機能に直接的に寄与する上述の層に加え、さらなる層を機械的および化学的保護のために付加することもできる。
【0090】
化学的保護をするために電池をカプセル化することができる。カプセル化されたものは当業者に周知であり、当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意のカプセル化されたものが使用可能である。本発明によると、そのようなカプセル化されたものが存在すれば、しばしば透明熱可塑性樹脂と呼称される、透明ポリマーがカプセル化材料として好ましい。本発明の範囲で好ましい透明ポリマーは、例えばシリコンゴムおよびポリエチレン酢酸ビニル(PVA)である。
【0091】
電池前面を機械的保護するために、太陽電池の前面に透明ガラスシートを付加することができる。透明ガラスシートは当業者に周知であり、当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意の透明ガラスシートが、保護物として太陽電池の前面に使用可能である。
【0092】
機械的保護をするために、太陽電池の裏面に裏面保護材を付加することができる。裏面保護材は当業者に周知であり、当業者に周知であり当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意の裏面保護材が、保護物として太陽電池の裏面に使用可能である。本発明に基づく好ましい裏面保護材は、優れた機械的性質および耐候性を有するものである。本発明に基づく好ましい裏面保護材は、フッ化ビニル樹脂層を有するテレフタル酸ポリエチレンである。本発明によると、裏面保護材はカプセル化層下に存在することが好ましい(裏面保護層およびカプセル化されたものの両方が存在する場合)。
【0093】
機械的補助をするために、太陽電池の外側にフレーム材料を付加することができる。フレーム材料は当業者に周知であり、当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意のフレーム材料が、フレーム材料として使用可能である。本発明に基づく好ましいフレーム材料はアルミニウムである。
【0094】
太陽電池パネル
上述の目的のうち少なくとも1つを達成することに貢献するモジュールは、少なくとも上述の通りに得る太陽電池、特に上述の実施形態の少なくとも1つによるもの、および少なくとももう1つの太陽電池を含む。本発明に基づく多様な太陽電池は、空間的および電気的に接続して配置し、モジュールと呼ばれる集合配列を形成することが可能である。本発明に基づく好ましいモジュールは、多数の形状、好ましくは太陽電池パネルとして知られる長方形の表面をとることができる。太陽電池を電気的に接続する多種多様な方法、およびそのような電池を機械的に配列し固定し、集合配列を形成する多種多様な方法は、当業者に周知であり、当業者が本発明の範囲で適切と見なす任意の方法が使用可能である。本発明に基づく好ましい方法は、低い質量対出力比、低い体積対出力比、および高い耐久性をもたらすものである。アルミニウムが本発明に基づく太陽電池の機械的固定に好ましい材料である。
【実施例】
【0095】
実施例1
第1の例示的ペースト一式(A〜Fと呼ぶ)を調製した。これらの例示的ペーストの組成物を表1にて説明する。これらの例示的ペーストは接着力への影響を試験するために多数の金属を含む。ペーストの約0.5〜1重量%の割合で金属をペーストに添加した。各ペーストの成分をミキサーで混合し、3ロールミルに通して均一な分散ペーストを生成した。
【0096】
次に、250メッシュのステンレス鋼、5μm EOMを使用して、ペーストをブランクシリコンウェハ上に線径約30μmでスクリーン印刷した。裏面ペーストを印刷して、電池全長に亘って広がり、約4mm幅のはんだパッドを形成する。しかしながら、当業者に周知の異なる構造およびスクリーンパラメータが使用可能である。次に、異なるアルミニウム裏面ペーストを電池裏面の残りの領域全体に印刷し、アルミニウムBSFを形成する。その後電池を適切な温度で乾燥させる。電気性能を試験する場合は、標準的な前面ペーストを電池の前面に印刷する。印刷した前面および裏面ペーストを有するシリコン基盤を、次におよそ700〜975℃の温度で焼成する。
【0097】
第1の例示的ペースト一式の組成物
【表1】
【0098】
次に、例示的ペーストの接着強度を前述の手順に基づいて計測した。接着力を持たないペーストを「−」で示し、引張力がゼロまたはほぼゼロであった。2〜5ニュートンの引張力を示したペーストを「+」で示し、5〜8ニュートンの引張力を示すペーストを「++」で示し、8ニュートンを上回る引張力を示したペーストを「+++」で示す。表2で示す通り、例示的ペーストFは卓越した接着力を持つ。例示的ペーストA(W)、D(Ni)、およびE(Zn)もまた許容可能な接着強度を示した。
【0099】
第1の例示的ペースト一式の接着強度
【表2】
【0100】
実施例2
第2の組の例示的ペースト一式(G〜Pと呼ぶ)を調製した。これらの例示的ペーストの組成物を表3にて説明する。これらの例示的ペーストは接着力への影響を試験するために様々な酸化物を含む。酸化物はペーストの約0.5〜1重量%であった。成分を均一な濃度まで混合したら、実施例1で説明したパラメータに基づいてシリコンウェハ上にスクリーン印刷した。
【0101】
第2の例示的ペースト一式の組成物
【表3】
【0102】
次に、例示的ペーストの接着強度を前述の通り計測した。表4で示す通り、酸化テルルを含有する例示的ペーストIは卓越した接着力を持つ。例示的ペーストJ(NiO)、K(MgO)、L(ZrO
2)、M(WO
3)、およびP(CeO
2)もまた許容可能な接着強度を示した。
【0103】
第2の例示的ペースト一式の接着強度
【表4】
【0104】
実施例3
第3の組の例示的ペースト一式(Q〜Tと呼ぶ)を、例示的鉛系ガラスフリットおよび無鉛ガラスフリットを使用して調製した。2つの標準ペースト(対照1および対照2と呼ぶ)もまた調製した。対照1ならびに例示的ペーストQおよびSは鉛系ガラスフリットを含有し、対照2ならびに例示的ペーストRおよびTは無鉛ガラスフリットを含有する。これらの例示的ペーストおよび標準ペーストの組成物を表5にて説明する。テルルまたは酸化テルル接着促進剤はペーストの約0.5〜1重量%であった。ペーストを均一な濃度まで混合したら、実施例1で説明したパラメータに基づいてシリコンウェハ上にスクリーン印刷した。
【0105】
標準ペーストおよび第3の例示的ペースト一式の組成物
【表5】
【0106】
次に、標準ペーストおよび例示的ペーストの接着強度を計測した。表6で示す通り、接着促進剤を有する無鉛例示的ペーストの接着強度は、無鉛標準ペースト(対照2)より優れていた。接着促進剤を有する鉛系例示的ペーストは、許容可能な接着力も提供する。無鉛ペースト組成物の方が環境上より望ましい。したがって、本発明の接着促進剤、例えば、酸化テルルなどが、無鉛ガラスフリットを有する標準ペーストより優れた接着特性を提供することは有益である。
【0107】
標準ペーストおよび第3の例示的ペースト一式の接着強度
【表6】
【0108】
実施例4
すべて酸化テルル接着促進剤をペーストの約0.2〜0.7重量%持つ、第4の組の例示的ペースト一式(U、V、W、およびXと呼ぶ)を調製した。これらの例示的ペーストは異なる型の無鉛ガラスフリットを組み込む。有鉛ガラスフリットを含有する標準ペースト(対照と呼ぶ)もまた、比較のため使用した。これらの標準ペーストおよび例示的ペーストの組成物を表7にて説明する。ペーストを均一な濃度まで混合したら、実施例1で説明したパラメータに基づいてシリコンウェハ上にスクリーン印刷した。
【0109】
標準ペーストおよび第4の例示的ペースト一式の組成物
【表7】
【0110】
次に、標準ペーストおよび例示的ペーストの接着強度を前述の通り計測した。表8で示す通り、二酸化テルルを含有する無鉛例示的ペーストの接着強度は、試用したすべての無鉛ガラスフリットに対し、鉛系対照ペーストより一貫して優れていた。
【0111】
標準ペーストおよび第4の例示的ペースト一式の接着強度
【表8】
【0112】
実施例5
第5の組の例示的ペースト一式(ZおよびAAと呼ぶ)を、酸化テルルおよび同一の無鉛Bi−Si−酸化物ガラスフリットを有する金属テルル接着促進剤を使用して調製した。酸化テルルおよび金属テルル接着促進剤はペーストの約0.01〜0.5重量%であった。同一のモル量のテルル(Te)が両例示的ペースト内に存在した。これらの例示的ペーストの組成物を表9にて説明する。ペーストを均一な濃度まで混合したら、実施例1で説明したパラメータに基づいてシリコンウェハ上にスクリーン印刷した。
【0113】
第5の例示的ペースト一式の組成物
【表9】
【0114】
例示的ペーストの接着強度を前述の通り計測した。表10で示す通り、元素金属テルルを含有する例示的ペーストの接着強度は、酸化テルルを含有する例示的ペーストと同等の性能であった。
【0115】
第5の例示的ペースト一式の接着強度
【表10】
【0116】
実施例6
第6の例示的ペースト(BBと呼ぶ)を、約50重量%の銀粒子、約3重量%のBi−Si−酸化物ガラスフリット、約47重量%の有機ビヒクル、1重量%未満の無機添加剤、および約0.01〜0.5重量%の酸化テルル接着促進剤を使用して調製した。ペーストを均一な濃度まで混合したら、実施例1で説明したパラメータに基づいてシリコンウェハ上にスクリーン印刷した。前面ペーストをシリコンウェハに塗布し、電気性能試験用の電池を用意した。最後に、例示的ペーストの接着強度を、単結晶シリコンウェハ(cz−Si)および多結晶シリコンウェハ(mc−Si)の両方で計測した。当技術分野で周知の標準的な裏面標準ペースト(Ref.と呼ぶ)を接着強度および電気性能の比較のため使用した。
【0117】
この例示的ペーストの接着特性を表11にて説明し、結果として生じる太陽電池の電気性能を表12にて説明する。参照用および例示的太陽電池の電気性能をI−Vテスタを使用して試験した。I−Vテスタ内のキセノンアーク燈を使用して既知の明度を有する日光をシミュレーションし、太陽電池の前面に照射してI−V曲線を生成した。この曲線を使い、太陽電池効率性(NCell)、短絡電流密度(Isc)、開路電圧(Voc)、曲線因子(FF)、直列抵抗(Rs)、最大出力点(Pmpp)、−10Vでの逆電流(Irev1)、および−12Vでの逆電流(Irev2)を含む、電気性能比較を提供するこの計測方法で一般的な様々なパラメータを測定した。すべての計測値は標準ペーストに対して正常化されるものである。各試料に対する試験実施回数(N)を表12に示す。
【0118】
標準ペーストおよび第6の例示的ペーストの接着強度
【表11】
【0119】
標準ペーストおよび第6の例示的ペーストの電気性能
【表12】
【0120】
表11に示すように、この例示的ペーストは、単結晶シリコンウェハ上で試験した際、標準ペーストのそれに相当する接着強度を示し、多結晶シリコンウェハ上で試験した際、標準ペーストと比較して向上した接着強度を示した。さらに、この例示的ペーストは、単結晶および多結晶シリコンウェハの両方で、標準ペーストのそれに相当するかそれを上回る電気性能を示した。
【0121】
実施例7
第7の組の例示的ペースト一式を調製し、二酸化テルル接着促進剤はガラスフリットに包含した(CC)か、ガラスフリットと無関係である複合ペースト混合物に直接添加した(Z)。両例示的ペーストはBi−Si−酸化物ガラスフリットとも調製した。同量の酸化テルル接着促進剤が両例示的ペースト内に約0.01〜0.5重量%(ペーストの総重量100%を基とする)存在した。例示的ペーストCCを、例示的ペーストCC内の酸化テルルをペースト組成物全体に混合する前にガラスフリットに包含したことを除いては例示的ペーストZと同一の処方で調製した。これらの例示的ペーストの組成物を表13にて説明する。ペーストを均一な濃度まで混合したら、実施例1で説明したパラメータに基づいてシリコンウェハ上にスクリーン印刷した。
【0122】
第7の例示的ペースト一式の組成物
【表13】
【0123】
次に、これらの例示的ペーストの接着強度を計測した。表14に示すように、二酸化テルルをガラスフリットに包含した例示的ペースト(CC)の接着強度は、二酸化テルルを直接添加したペースト組成物と同等の性能であった。
【0124】
第7の例示的ペースト一式の接着強度
【表14】
【0125】
これらおよび他の本発明の利点は、前述の詳述から当業者にとって明白になるだろう。それに応じて、上述の実施形態は、広範で創意に富んだ本発明の概念から逸脱することなく、変更または修正し得るということを当業者は理解するであろう。特定のいかなる実施形態における具体的な寸法の説明は例示のみを目的とする。したがって、本発明は本明細書で説明する特定の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる変更や修正を本発明の範囲および趣旨の内に含まれるものとして包含することを意図するものと理解されたい。
【国際調査報告】