特表2015-528307(P2015-528307A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528307(P2015-528307A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】喫煙材の加熱
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20150901BHJP
【FI】
   A24F47/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-531647(P2015-531647)
(86)(22)【出願日】2013年9月18日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月11日
(86)【国際出願番号】GB2013052433
(87)【国際公開番号】WO2014045025
(87)【国際公開日】20140327
(31)【優先権主張番号】1216621.1
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ビタール、アーメド
(72)【発明者】
【氏名】ブレレトン、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ファレンデン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハットリック、デビッド
(72)【発明者】
【氏名】マッギンレー、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】トゥエルフトゥリー、トム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシシュタ、ヴィジュ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト、グラント
(57)【要約】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させて、化学的熱源と作動機構を含み、作動機構は、作動時に喫煙材を加熱する熱源を作動させる装置が提供される。吸引のために喫煙材の成分を揮発させるために喫煙材を加熱する方法および吸引のために装置内の喫煙材を加熱して、少なくとも1つの成分を揮発させる化学的熱源の使用が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる装置であって、この装置は化学的熱源と作動機構を含み、作動機構は、作動時に喫煙材を加熱する熱源を活性化させる装置。
【請求項2】
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる装置であって、この装置は、化学的熱源を含み、使用の際、化学的熱源は活性化されて熱を発生させる発熱化学反応を誘発する装置。
【請求項3】
化学的熱源は、
(i) 水系発熱反応などの発熱化学反応
(ii) 発熱空気系化学反応および
(iii) 発熱相変化、の内の1つ以上であることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記装置は加熱される喫煙材をさらに含み、喫煙材の少なくとも1つの成分が揮発するようになっていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記熱源および/または喫煙材は80〜125℃の目標温度に加熱されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記熱源および/または喫煙材は、40〜80℃の目標温度に加熱されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記目標温度は作動機構の作動から5分以内に到達することを特徴とする請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
前記目標温度は少なくとも3分間維持されることを特徴とする請求項5乃至7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
熱源チェンバーに熱源と、加熱チェンバーに喫煙材とを含み、加熱チェンバーと流体連通するハウジングとマウスピースとをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の装置。
【請求項10】
さらにフィルターを含むことを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記熱源は、
(i) 熱源チェンバー内に個別に保持される2つ以上の薬剤、または
(ii) 2つ以上の薬剤を含み、少なくとも1つの薬剤は熱源チェンバー内に保持され、もう一方の薬剤は熱源チェンバーではなく、別個の薬剤貯蔵チェンバー内に保持されることを特徴とする請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
前記作動機構は薬剤を混合して、発熱反応を活性化させることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
薬剤は酸化カルシウム(CaO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl)および硫酸マグネシウム(MgSO)からなる群から選択される1つ以上の反応物質と活性化剤として水を含むことを特徴とする請求項11または12記載の装置。
【請求項14】
前記反応物質は、固形、任意に粉、粒、ペレットおよび塊の内の1つ以上の形体で提供されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
熱源チェンバーは、作動機構によって活性化され、熱を発生させる相変化物質を含むことを特徴とする請求項9または10記載の装置。
【請求項16】
前記相変化物質は酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物および塩化マグネシウム六水和物からなる群から選択されることを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項17】
相変化物質の少なくともある程度が装置の外側から見えることを特徴とする請求項15または16記載の装置。
【請求項18】
ハウジングの少なくとも一部は、透明または半透明であることを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記熱源チェンバーの壁の少なくとも一部は、透明または半透明であることを特徴とする請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
前記熱源チェンバーは少なくとも部分的に加熱チェンバーを囲んでいることを特徴とする請求項17乃至19いずれか1項記載の装置。
【請求項21】
吸引のために喫煙材の成分を揮発させるために喫煙材を加熱する方法であって、
熱エネルギーを発生させるために化学的熱源を使用すること、
熱源から熱エネルギーを喫煙材に移行させて揮発温度に喫煙材を加熱し、これにより喫煙材の成分を揮発させることを含む方法。
【請求項22】
吸引のために喫煙材を加熱して少なくとも1つの成分を揮発させるための化学的熱源の使用。
【請求項23】
前記熱源は、
(i) 水系発熱反応などの発熱化学反応、
(ii) 発熱空気系化学反応および
(iii) 発熱相変化
の内の1つ以上を含む、ことを特徴とする請求項22記載の使用。
【請求項24】
前記発熱相変化は喫煙材を40〜80℃の温度に熱することを特徴とする請求項22または23記載の使用。
【請求項25】
吸引のために装置内の喫煙材を加熱して、少なくとも1つの成分を揮発させ、装置が良好に作動していることおよび/または装置の使用の準備ができていることを視認できるようにするための発熱相変化の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙材を加熱して喫煙材の成分を揮発させることに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコおよびシガーなどの喫煙品は、使用の際にタバコを燃やし、タバコ煙を発生させる。タバコ煙を発生させずに化合物を放出する製品によってこれら喫煙品の代替え品を提供しようとする試みがなされてきた。そのような製品の例としては、タバコを燃焼させずに加熱によって化合物を放出するいわゆる発熱するが燃焼しない製品が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の第1の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置であって、この装置は化学的熱源と作動機構を含み、作動機構は、作動時に喫煙材を加熱する熱源を活性化させる装置が提供される。
【0004】
本発明の第2の態様では喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が提供され、この装置は、化学的熱源を含み、使用の際、化学的熱源は活性化され、熱を発生させる発熱化学反応を誘発する。
【0005】
一部の実施態様では化学的熱源は、
(i) 水系発熱反応などの発熱化学反応
(ii) 発熱空気系化学反応および
(iii) 発熱相変化の内の1つ以上である。
【0006】
一部の実施態様では本発明の装置は加熱される喫煙材をさらに含み、喫煙材の少なくとも1つの成分が揮発するようになっている。
【0007】
一部の実施態様では熱源および/または喫煙材は80〜125℃の目標温度に加熱される。他の実施態様では熱源および/または喫煙材は、40〜80℃の目標温度に加熱される。
【0008】
一部の実施態様では目標温度は作動機構の作動から5分以内に到達する。
【0009】
一部の実施態様では目標温度は少なくとも3分間維持される。
【0010】
一部の実施態様では装置は熱源チェンバーに熱源と加熱チェンバーに喫煙材とを含み、加熱チェンバーと流体連通するハウジングとマウスピースとをさらに含む。選択的に本発明の装置は、フィルターを含んでもよい。
【0011】
一部の実施態様では熱源は熱源チェンバー内に個別に保持される2つ以上の薬剤を含む。
【0012】
一部の実施態様では熱源は2つ以上の薬剤を含み、少なくとも1つの薬剤は熱源チェンバー内に保持され、もう一方の薬剤は熱源チェンバーではなく、別個の薬剤貯蔵チェンバー内に保持される。
【0013】
一部の実施態様では、作動機構は薬剤を混合して、発熱反応を活性化させる。
【0014】
一部の実施態様では薬剤は酸化カルシウム(CaO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl)および硫酸マグネシウム(MgSO)からなる群から選択される1つ以上の反応物質と活性化剤として水を含む。
【0015】
一部の実施態様では反応物質は、固形、任意に粉、粒、ペレットおよび塊の内の1つ以上の形体で提供される。
【0016】
一部の実施態様では熱源チェンバーは、作動機構によって活性化され、熱を発生させる相変化物質を含む。
【0017】
選択的に相変化物質は酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物および塩化マグネシウム六水和物からなる群から選択される。
【0018】
一部の実施態様では相変化物質の少なくともある程度が装置の外側から見える。
【0019】
一部の実施態様ではハウジングの少なくとも一部は、透明または半透明であり、および/または熱源チェンバーの壁の少なくとも一部は、透明または半透明である。
【0020】
一部の実施態様では熱源チェンバーは少なくとも部分的に加熱チェンバーを囲んでいる。
【0021】
本発明の第3の態様では吸引のために喫煙材の成分を揮発させるために喫煙材を加熱する方法が提供され、この方法は、
熱エネルギーを発生させるために化学的熱源を使用すること、
熱源から熱エネルギーを喫煙材に移行させて揮発温度に喫煙材を加熱し、これにより喫煙材の成分を揮発させることを含む。
【0022】
本発明の第4の態様では吸引のために喫煙材を加熱して少なくとも1つの成分を揮発させるための化学的熱源の使用が提供される。
【0023】
一部の実施態様では熱源は、
(i) 水系発熱反応などの発熱化学反応、
(ii) 発熱空気系化学反応および
(iii) 発熱相変化の内の1つ以上を含む。
【0024】
一部の実施態様では発熱水系化学反応は喫煙材を80〜125℃の温度に熱する。他の実施態様では発熱相変化は喫煙材を40〜80℃の温度に熱する。
【0025】
本発明の第5の態様では吸引のために装置内の喫煙材を加熱して、少なくとも1つの成分を揮発させ、装置が良好に作動していることおよび/または装置の使用の準備ができていることを視認できるようにするための発熱相変化の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
あくまで例示を目的として、添付図面を参照して本発明の実施態様を以下に説明する。
図1】喫煙材を加熱して喫煙材から芳香族化合物および/またはニコチンを放出するように構成された本発明の1つの実施態様による装置の断面図である。
図2】別の実施態様による装置の分解図である。
図3】発熱反応を生じさせる水と種々の薬剤との組み合わせによって発せられた熱を示すグラフである。
図4】種々の量の水と硫酸マグネシウムとの組み合わせによって発せられた熱を示すグラフである。
図5a】種々の量の水と異なる形体の塩化カルシウムを使用して発生させた熱を示すグラフである。
図5b】種々の量の水と異なる形体の塩化カルシウムを使用して発生させた熱を示すグラフである。
図6a】種々の量の水と異なる形体の水酸化ナトリウムを使用して発生させた熱を示すグラフである。
図6b】種々の量の水と異なる形体の水酸化ナトリウムを使用して発生させた熱を示すグラフである。
図6c】種々の量の水と異なる形体の水酸化ナトリウムを使用して発生させた熱を示すグラフである。
図7a】種々の反応容器中で種々の量の水と水酸化カルシウム粉および/または塊によって発生させた熱を示すグラフである。
図7b】種々の反応容器中で種々の量の水と水酸化カルシウム粉および/または塊によって発生させた熱を示すグラフである。
図7c】種々の反応容器中で種々の量の水と水酸化カルシウム粉および/または塊によって発生させた熱を示すグラフである。
図8a】装置を垂直の向きに保持した際の装置の種々の部分の温度を示すグラフである。
図8b】装置を水平の向きに保持した際の装置の種々の部分の温度を示すグラフである。
図9】熱源および喫煙材の温度への装置を流れる空気の影響を示すグラフである。
図10】喫煙材を加熱して喫煙材から芳香族化合物および/またはニコチンを放出するように構成された本発明の別の実施態様による装置の断面図である。
図11】酢酸ナトリウム三水和物の相変化によって発生させた熱を示すグラフである。
図12】装置を流れる空気の装置内および装置の表面の温度への影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書中で使用する「喫煙材」なる用語は、加熱によって揮発した成分を供し、タバコ含有材を含むあらゆる材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコおよび再生タバコなどの処理または変性されたタバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。
【0028】
一部の実施態様では喫煙材は、揮発性成分をその沸点以下の温度で放出できる。これは温度を利用して物質の蒸気圧を高くすることによって行ってもよい。
【0029】
本発明では化学的熱源を使用して喫煙材を加熱し、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置が提供される。本発明の装置は、タバコ材を燃焼させずに喫煙材を加熱するように構成してもよい。一部の実施態様では本発明装置は、例えばニコチンおよび選択的に吸引可能な形体で風味および香りなどの他の成分を供給する無煙吸引装置であってもよい。一部の実施態様では本発明の装置はエアロゾル発生装置である。このような装置は、吸引可能なエアロゾルを発生させ、一部の実施態様ではこれはニコチンを含んでもよい。
【0030】
一部の実施態様では化学的熱源は、喫煙材を加熱して、作動機構の作動から5分以内、4分以内、3分以内、2分以内、1分以内、45秒以内、30秒以内、25秒以内、20秒以内、15秒以内または10秒以内で少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分な熱を発生させる。一部の実施態様では装置の作動から少なくとも1つの成分を揮発させるまでの時間は約10秒〜60秒である(標準的な条件下、即ちこの種の装置が消費者による使用の際に晒されると予測される温度および圧力において)。
【0031】
一部の実施態様では、熱源は喫煙材を加熱して目標範囲に温度を維持するために十分な熱を発生させ、作動機構の作動から少なくとも約3分間、一部の実施態様では少なくとも約5分間、少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0032】
一部の実施態様では本発明の装置は、ユーザーに少なくとも4回のパフ、一部の実施態様では約7〜8回のパフを供するのに充分な喫煙材を含むことになる。一部の実施態様では本発明の装置は、60秒ごとに35mlのパフに対して充分な蒸気を供することが可能である。一部の実施態様では本発明の装置は30秒ごとに55mlのパフに対して充分な蒸気を供給することができる。一部の実施態様では本発明の装置が発生させる蒸気中の総ニコチンの量は約0.01〜約0.5mgであり、一部の実施態様では約0.05〜約0.1mgである。
【0033】
一部の実施態様では熱源によって供される熱は、2つ以上の薬剤間の発熱化学反応によって供される。この種の熱源は、比較的高い温度の熱を供してもよい。従って2つ以上の薬剤間の発熱化学反応を伴う熱源を有する本発明の装置をここでは高温装置という。
【0034】
一部の実施態様では熱源は、少なくとも喫煙材の一部を約60〜125℃の温度に加熱することができる。一部の実施態様では熱源は、作動時に約60〜125℃の温度に加熱される。別の実施態様では熱源および/または加熱された喫煙材の少なくとも一部の温度は、約60〜100℃、65〜95℃、70〜90℃、75〜85℃または約80℃である。一部の実施態様では加熱された喫煙材の目標温度は、約80℃+/−10℃、即ち約70〜約90℃である。
【0035】
これとは別にまたは加えて熱源は、少なくとも約60〜100℃、65〜95℃、70〜90℃、75〜85℃または約80℃の温度を一定の持続時間維持できる。一部の実施態様では熱源は、喫煙材を加熱して、少なくとも喫煙材の一部が一定に持続時間少なくとも約60〜100℃、65〜95℃、70〜90℃、75〜85℃または約80℃の温度を維持するようにしてもよい。一部の実施態様ではその時間は、約1〜10分、2〜9 分、3〜8分または約4〜7分間であってもよい。
【0036】
一部の実施態様では発熱反応は水で活性化する反応であり、水または水溶液または懸濁液を1つ以上の薬剤に加えて、発熱化学反応を開始する。ここでは水または水溶液または懸濁液を「活性化剤」という。
【0037】
他の実施態様では発熱反応は水ではない2つ以上の薬剤間の反応であってもよい。例えば、発熱反応は活性化剤として酢酸などの有機液を含んでもよい。
【0038】
一部の実施態様では使用する発熱反応は、危険な薬剤を使用せず、また発熱反応中に発せられるあらゆる気体を含む危険な生成物を発生させない。
【0039】
一部の実施態様では水と組み合わされて水系発熱化学反応を生じさせる薬剤は、酸化カルシウム(CaO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl2)および硫酸マグネシウム(MgSO4)などである。発熱反応のための他の薬剤も使用可能であり、本発明の実施態様で説明される。一部の実施態様ではこれらの薬剤は、固形、例えば粉、粒、ペレットまたは塊の形体のものを使用してもよいが、他の形体であってもよい。ここではこれらの薬剤を「反応剤」という。
【0040】
発熱プロファイル、即ちこれらの反応剤と水の反応によって発せられる熱の量、発熱速度および発熱の持続時間は、複数の要因に依存する。例えば発熱プロファイルは、水と反応剤の比、反応剤の形体、特に反応剤の粒径および反応剤が粉状、粒状またはペレット状であるか、並びに粒径の比および混合度合いを調整することによって調節してもよい。活性化剤による反応剤の湿潤の速度および均一度もまた反応剤の純度および反応剤の分布と同様に発熱プロファイルに影響を与える。さらに反応の性質、即ち反応剤の選択は、明らかに発熱プロファイルに影響する。1つ以上の反応を個別にまたは共に利用してもよい(反応剤/反応の組み合わせが危険でなければ)。別の反応は同時に行ってもよい、またはずらしてあるいは順番に行ってもよい。
【0041】
一部の実施態様では反応剤を粒子形状、例えば粉状、粒状またはペレット状で供してもよい。これら粒子の大きさは、所望の発熱プロファイルを供するように選択される。特に小さい粒子を使用することで速く初期発熱を行うことができ、大きい粒子(1.6〜3.0mmの範囲の)は、発熱している期間を長くすることができる。
【0042】
迅速な初期発熱と長時間の発熱は両立しない。従って、一部の実施態様では反応剤は、例えば1mm未満の平均粒径を有する粉だけから構成されない。むしろ一部の実施態様では反応剤は粉(上記したような)およびペレットおよび/または顆粒などの大きな粒径の粒子の組み合わせを含んでもよい。一部の実施態様では粉とペレットおよび/または顆粒などのそれより大きな粒径の粒子の比は、重量で3:1〜1:3または2〜1:2または1.5:1〜1:1.5であってもよい。
【0043】
異なる形状の反応剤を組み合わせて使用する場合、別個のセクションまたは層、選択的に交互に重ねて種々の形体を形成するようにすると有益であり、これは温度を上昇させやすく、発熱寿命を長くすることが証明されている。他の実施態様では種々の形状の反応剤を混合してもよく、選択的に均一に混合してもよい。
【0044】
一部の実施態様では本発明の装置は、約0.5〜約5gの反応剤を含む。一部の実施態様では反応剤の質量は、約1〜4gまたは約2〜4gまたは約2〜3gの間である。一部の実施態様では本発明の装置は、約0.5〜2gの反応剤を含む。
【0045】
一部の実施態様では発熱を維持しやすくするために、熱源は粒(1.6〜3.0mmの大きさ)と微粉の組み合わせを粒1.45gに対し微粉1gの比で構成される。一部の特定の実施態様では粒は、マウスピースを有する装置の端部の方に配置され、微粉はもう一方の端部の方に配置される。異なる粒径の均一混合物を含む他の構成を使用してもよい。
【0046】
反応剤に対する活性剤の比は、発熱反応の温度および期間を決定づけるものであるので、発熱の維持および寿命にとって重要である。一部の実施態様では、使用する活性剤に対する反応剤の比は、重量で3:1から1:3または2:1〜1:2、または1.5:1〜1:1.5、または1.25:1〜1:1.25または約1:1であってもよい。
【0047】
一部の実施態様では水または水性活性化剤と組み合わせられる反応剤は、CaOまたはNaOHであってもよく、これらの反応剤は目標温度にすることができ、所望の持続時間に亘って熱を供することができる。
【0048】
発熱プロファイルに影響を与えるさらに重要な要因は、反応剤の活性化剤への混合および反応剤の活性化剤への浸透である。一部の実施態様では活性化剤の貯蔵および/または放出は、確実に薬剤が可能な限り多くの反応剤と接触するように構成されている。
【0049】
一部の実施態様では反応剤と活性化剤の迅速な混合は、活性化剤が、複数の場所で反応剤と接触するように活性化剤を導入することによって達成される。これは活性化剤を複数の開口部またはスリットなどの大きな(例えば、長尺の)開口部を介して放出することによって行ってもよい。これらの複数の開口部または1つの開口部は、活性剤が反応剤中に迅速に分散できるよう配置してもよい。これとは別にまたは加えて活性化剤は、加圧下で、例えば注射によって強制的に反応剤内に入り込むようにしてもよい。
【0050】
加えられる活性化剤の量もまた1つの要因である。可能な限り迅速に目標温度に到達するようにそして貯蔵された反応剤の全てが発熱反応するように充分な量を反応剤に加える必要がある。さらに一部の実施態様では装置を可能な限り小さくおよび/または軽くして過剰な量の活性化剤が含まれないようにすることが望ましい。必要以上に活性化剤を含むことは発熱を遅らせたり、到達温度を低くしたりして発熱に悪影響を与える場合がある。一部の実施態様では本発明の装置は、活性化剤として約0.5〜5ml の水または水溶液または懸濁液を含む。一部の実施態様では活性化剤の量は、約1〜5ml、約1.5〜4.5ml、約2〜4ml、または約2.5〜3mlである。一部の実施態様では本発明の装置は、約0.5〜2mlの活性化剤を含む。
【0051】
他の実施態様では熱は、空気系発熱化学反応によって発せられる。例えば、薬剤は鉄および酸素であってもよい。空気中の酸素に鉄を晒すと、鉄の発熱酸化が生じ、熱が発生する。一部の実施態様では反応混合物は、水、活性炭(反応を速めるために)、バーミキュライト(水の容器として作用する)および塩(触媒として作用する)をさらに含んでもよい。一部の実施態様では、鉄は微細に分割された形体で供され、酸素と反応できる表面積を大きくする。鉄の形体、例えば、その粒径、および作用時の鉄と空気の混合割合は、発熱プロファイルに影響を与え、所望の効果が得られるように最適化してもよい。
【0052】
一部の実施態様では熱源によって供される熱は、相変化反応によって発生させることができる。この種の熱源は上述の水系または空気系発熱化学反応より低温の熱を供してもよい。従って、相変化を伴う熱源を有する装置をここでは低温装置という。
【0053】
一部の実施態様では相変化を伴う熱源を有する低温装置の熱源は、少なくとも喫煙材の一部を約40〜80℃の温度に加熱することができる。一部の実施態様では熱源は、作動の際約40〜80℃の温度に加熱される。さらに別の実施態様では熱源および/または加熱された喫煙材の少なくとも一部の温度は、約40〜80℃、約40〜70℃、約40〜65℃または約40〜60℃である。一部の実施態様では到達する目標温度は、約50〜55℃の範囲内であってもよい。
【0054】
これとは別にまたは加えて熱源は、持続時間において少なくともまたは約40〜80℃、約40〜70℃、約40〜65℃または約40〜60℃の温度を維持することができるようにしてもよい。一部の実施態様ではその持続時間は、1〜15分、2〜10分または3〜8分間であってもよい。一部の実施態様では持続時間は、約7分であってもよい。他の実施態様では持続時間は約3〜4分間である。
【0055】
一部の実施態様では相変化は、液体から固体への相変化である。この相変化は、本発明の装置の使用に特に適している。しかしながら他の相変化材を使用してもよい。
【0056】
いくつかの種類の相変化物質(PCM)がある。これらの内、本発明の装置での使用に最も好適な2つは、パラフィンワックスおよび水和塩であるが、パラフィンワックスは過冷却しにくい。好適な相変化物質は、2つの要件、1)的確な範囲の溶融温度および2)室温および/または想定内の貯蔵温度での過冷却流体としての安定性を満たさなければならない。
【0057】
発熱相変化物質として利用可能な水和塩は、酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物および塩化マグネシウム六水和物などである。マグネシウム化合物は、室温で不安定になりやすく、本発明で使用するにはあまり向いていないが、ゲル化剤を加えて、相変化物質を安定させてもよい。酢酸ナトリウム三水和物は、相変化物質としての使用には有効である。これは室温で安定しており、無害である。一部の実施態様では添加剤をPCMに加えて、性能を向上させてもよい。例えば増粘剤を加えてもよい。
【0058】
相変化材によって生じる最大温度は、その相変化温度、例えば液体から固体への相変化の溶融温度に依存する。さらに熱が発せられ、特定の範囲の温度が維持される期間などの発熱プロファイルは、相変化物質から移行する熱の速度を制御することによって調整してもよい。このことは以下で詳しく説明する。
【0059】
相変化物質が酢酸ナトリウム三水和物を含む場合、その処方は、発熱温度に影響を与える。例えばその処方において水の含有量が多いほど、酢酸ナトリウム三水和物の相変化による温度は低くなる。このことは他の相変化物質でも同様である。さらにその処方は、液体状態の相変化物質の安定性を向上させ、すでに装置に関連させている、使用前の装置に関連させられる別個の製品としてのいずれにおいても相変化熱源の保存可能期間を長くすることができる。
【0060】
一部の実施態様では本発明の装置は、2つ以上の異なる種類の熱源を組み合わせて含んでもよい。例えば本発明の装置は、発熱化学反応を基にした熱源および発熱相変化を基にした熱源の両方を含んでもよい。これとは別にまたは加えて本発明の装置は、2つ以上の異なる発熱化学反応を含んでもよい。これは2つ以上の異なる水系発熱反応の組み合わせまたは水系、非水系および/または空気系化学反応の組み合わせであってもよい。異なる熱源を組み合わせることは、所望の迅速な始動、目標温度および発熱期間を含む所望の発熱特性を達成するための手段であってもよい。
【0061】
本発明の装置は、ハウジングを含み、その中で熱源は熱源チェンバー内に保持され、喫煙材は加熱チェンバー内に保持され、熱源チェンバーおよび加熱チェンバーは、熱源チェンバーから喫煙材に熱を移行させるように配置され、これにより喫煙材の少なくとも1つの成分が揮発する。さらに本発明の装置は、マウスピースを含み、これを介して揮発した成分が吸い込まれる。また本発明の装置は、ユーザーが熱源を作動させることができるようにする作動機構を含む。
【0062】
一部の実施態様では熱源および/または喫煙材を別個に供してもよく、使用前に装置に導入してもよい。これにより熱源および/または喫煙材が取り替え可能および/または使い捨ておよび/または再利用可能なエレメントであれば装置を再利用することが可能になる。熱源および/または喫煙材は、装置に装填されるカートリッジとして提供してもよい。カートリッジは、熱源および喫煙材の一方または両方を含んでもよい。一部の実施態様では例えば熱源が相変化物質である場合、熱源を再度加熱し、再利用することも可能である。このことはあらゆる好適な手段、例えば電気加熱工程によって材料を加熱することによって行ってもよい。この再加熱は、使用済みの熱源が装置にある間または熱源を装置から取り除いて行ってもよい。他の実施態様では本発明の装置は、一度使用したらその後は装置全体が廃棄される。
【0063】
一部の実施態様では熱源は迅速に熱を喫煙材に伝えるように配置されている。例えば熱源を少なくとも部分的に喫煙材で囲んでもよい。この構成によって熱源によって発せられた熱を喫煙材に迅速かつ均一に移行させやすくなる。これとは別にまたは加えて喫煙材を少なくとも部分的に熱源で囲んでもよい。
【0064】
一部の実施態様では高温装置は、加熱される喫煙材に部分的にまたは完全に囲まれた熱源を有する。これとは別にまたは加えて喫煙材を熱源で少なくとも部分的に囲んでもよい。
【0065】
一部の実施態様では発熱相変化する熱源を有する低温装置は、部分的にまたは完全に加熱される喫煙材を囲むように構成された熱源を有する。この構成は、熱源の外面を囲む断熱層と組み合わせて、発生した熱を喫煙材に導きやすくしてもよい。これとは別にまたは加えて熱源を喫煙材で少なくとも部分的に囲んでもよい。
【0066】
一部の実施態様では装置は、相変化物質が少なくとも一部が装置の外側から見えるように構成される。これによりユーザーは装置が以前に使用されたものか否かを知ることができる(即ち相変化物質は、過去に活性化され、既に固体化しているかを)。さらに相変化物質を見ることができるということは、ユーザーが装置の作動によって上手く相変化を引き起こしたか否かを目で確認することができるということを意味する。また相変化物質の外観は、熱源が喫煙材を加熱し、成分を揮発させ、吸引可能な形体で供給することをユーザーに視認させる、即ち装置の準備が整ったことの視認表示として機能する。
【0067】
一部の実施態様では相変化物質は装置内の熱源チェンバーに保持される。一部の実施態様では加熱チェンバーの壁の少なくとも一部は、透明または半透明であり、相変化物質を見られるようになっている。本発明の装置がハウジングを含む場合、一部の実施態様ではハウジングの少なくとも一部は透明または半透明であり、相変化物質を見ることができる。一部の実施態様ではハウジングの少なくとも一部および熱源チェンバーおよび加熱チェンバー(喫煙材を保持するまたは収容する)を含む装置の内部チェンバーの壁の一部は、透明または半透明であり、相変化物質および喫煙材を装置の外側から見られるようにしてもよい。
【0068】
作動機構はボタンを含んでもよく、選択的にバネ式および/またはスライド式ボタンであってもよい。種々の作動機構もまた想定できる。例えば作動機構を捻るまたはねじって装置および/または熱源を作動させるように構成してもよい。1つの実施態様では作動機構は、装置の一部、マウスピースがない方の端部などの一端をユーザーが捻る、軽くたたく、押すまたはねじるようにしてもよい。他の実施態様では本発明の装置の一部は、熱源を作動させるために取り除くようにしてもよい。
【0069】
一部の実施態様では作動させることによって、反応剤と活性剤を混合させてもよい。他の実施態様では作動させることによって相変化物質の結晶化を引き起こす核生成点を供するようにしてもよい。これは、例えば粉末化反応剤を過冷却された液体反応剤を滴下することを含んでもよい。さらに別の実施態様では剪断運動によって相変化を開始してもよい。
【0070】
一部の実施態様では相変化物質は、相変化物質と接触させて相変化を引き起こす種晶によって活性化させてもよい。一部の実施態様では種晶を相変化物質から避けて保存してもよいが、作動機構によって相変化物質と接触する位置に移動させる。これとは別に相変化を核生成を供する鋭くとがった先または型抜きによって引き起こすことも可能である。
【0071】
一部の実施態様では本発明の装置は円筒形状を有し、紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロなどの従来の喫煙可能な製品と同じような寸法を有してもよい。これとは別の実施態様では本発明の装置はパイプと似ていてもよい。他の実施態様では本発明の装置はあらゆる所望の形状であってもよい。
【0072】
一部の実施態様では本発明装置は、約100〜800mgの喫煙材または100〜400mgの喫煙材を含む。一部の実施態様では100〜200mgの喫煙材が含まれ、他の実施態様では200〜300mgの喫煙材が含まれる。これとは別にまたは加えて喫煙材は、蒸気の形体で約0.01〜1mgまたは0.01〜0.5mgのニコチンを供するのに適した量含まれてもよい。一部の実施態様では本発明の装置から放出されるニコチンの量は、例えば600mgのタバコで約0.1〜0.3mgである。蒸気の形体で製せられるニコチン量は、喫煙材の量、喫煙材の特性および/または喫煙材が加熱される温度および喫煙材が加熱される長さを変えることによって調節してもよい。ニコチン送出量はISO条件下で測定されるが、当然のことながら本発明の装置は、消費者がどのように製品を使用するかによって異なる量のニコチンを放出するようにしてもよい。
【0073】
一部の実施態様では喫煙材が約60〜100℃の範囲の温度に加熱される高温装置の場合、約250〜300mgの間の量で含まれる喫煙材は、約0.1〜0.3mgのニコチンを蒸気の形体で生成してもよい。一部の実施態様では喫煙材が約40〜80℃の範囲の温度に加熱される低温装置では、約250〜300mgの間の量で含まれる喫煙材は、約0.03〜0.1mgのニコチンを蒸気の形体で生成する。
【0074】
図1は本発明の1つの実施態様による喫煙材3を加熱するための装置1を示し、熱は発熱水系化学反応によって供される、いわゆる高温装置を示している。
【0075】
装置1は熱源チェンバー2を含み、これは別個に2つの熱源薬剤(反応剤4および活性化剤5)を保持している。加熱チェンバー13は、喫煙材3が加熱チェンバー13内で加熱されるように喫煙材3を収容するように構成されている。例えば加熱チェンバー13は、熱源チェンバー2に隣接して位置し、熱源からの熱エネルギーでその中の喫煙材3を加熱して、喫煙材3を燃やさずに喫煙材3中の芳香族化合物およびニコチンを揮発させる。全ての部材はハウジング11内に保持されてもよい。マウスピース8が設けられており、これを介して装置1のユーザーは、装置1を使用している間、揮発した化合物を吸入することができる。装置1は、入り口15を通って加熱チェンバー13に入る空気のための流路を含む。加熱チェンバー13内の空気が、喫煙材3を加熱することによって発せられる揮発した化合物をそれがマウスピース8に到達する前に拾い上げ、空気および同伴する揮発した化合物がマウスピース8から吸い込まれる。流路は熱源チェンバー2から離隔されている。
【0076】
喫煙材3はタバコブレンドを含んでもよい。
【0077】
ハウジング11は、熱源チェンバー2に位置する熱源薬剤4、5および加熱チェンバー13内の喫煙材3などの装置1の部材を含んでもよい。図1に示すようにハウジング11は、ほぼ円柱の管であってもよく、これはハウジング11の中央長手軸に沿って位置合わせされ、喫煙材3を保持する加熱チェンバー13によって囲まれた熱源チェンバー2を含んでもよい。また図1は、装置の吸い口端(マウスピースを含む装置の端部である)に位置する任意のフィルター12を示している。
【0078】
確実に発熱化学反応が作動機構を作動させたときにのみ始動するように少なくとも1つの薬剤は他の薬剤とは別に貯蔵されている。作動機構の作動によって薬剤が混ざり、発熱反応を活性化する。
【0079】
図1に例示するような1つの可能な構成において薬剤4、5は、熱源チェンバー2に貯蔵され、断裂可能なエレメント14によって隔てられ、このエレメントは、作動機構6の作動の際断裂し、薬剤4、5を混ぜ合わせる。この断裂可能なエレメント14は、壁、壁の一部または例えば、薬剤を分け、特定の方法で力を加えることによって破綻しやすい、または取り除かれる、または刺し通し、穴を開ける、溶解させるまたは部分的にまたは完全に除去して薬剤を混合するいくつかの他の構造体であってもよい。図1では断裂可能なエレメントは可撓性の袋14であり、図示した作動機構は、活性化剤5が反応剤4と混ざるように可撓性の袋14を刺し通すまたは断裂させる挿通エレメント7を含む。
【0080】
熱源チェンバー2は装置1の長手方向軸に沿って延びてもよい。加熱チェンバー13は、装置1の長手方向軸に沿って延びてもよく、熱源チェンバー2に隣接して位置してもよい。例えば、図1に示した熱源チェンバー2は、実質的に装置1の中央長手軸に沿って延び、加熱チェンバー13は、その長手方向に延びた面の周囲に位置する。熱源チェンバー2が図1に示すように実質的に円筒状である場合、加熱チェンバー13が周りを延びる長手方向に延びた面は、熱源チェンバー2の円周面である。この種の構成では加熱チェンバー13は、熱源チェンバー2の周囲に同軸軸方向に延びた層を含んでもよい。これにより喫煙材3を加熱するために挿入される熱源チェンバー2の周囲に環状のスペースが設けられる。
【0081】
これとは別の構成は、加熱チェンバー13と熱源チェンバー2の位置を逆にしたものであり、加熱チェンバー13は、装置1の中央長手軸に沿って位置し、熱源チェンバー2は、同軸層としてその周囲に位置する。喫煙材を囲む熱源を有するこの一般的な構成を図10に示し、これは低温装置であり、後で詳しく説明する。
【0082】
図2は喫煙材3を加熱するために発熱水系化学反応を使用した別の装置1、高温装置を示している。装置1は、熱源反応剤4を保持する熱源チェンバー2と水などの活性化剤5を保持する別個の薬剤貯蔵チェンバー16とを含む。加熱チェンバー13は、喫煙材3が加熱チェンバー13内で加熱されるように喫煙材3を収容するように構成されている。これら全ての部材はハウジング11内に保持されている。マウスピース8が設けられており、これを介して装置1のユーザーは、装置1を使用している間、揮発した化合物を吸引することができある。図示した装置1のもう一方の端部には薬剤貯蔵チェンバー16から活性化剤を放出する際に押し下げられるボタン形状の作動機構6がある。
【0083】
薬剤貯蔵チェンバー16は、その長さに沿って一連の封止されたオリフィス17が設けられた管である。オリフィス17は、作動機構6の作動時に開口して、活性化剤5を管から出し、熱源チェンバー2に入れ、反応剤4と混合させて発熱反応を開始する。活性化剤を例えば作動機構の作動の結果として加圧下で強制的に管から排出するようにする場合、活性化剤を1つ以上のオリフィスから強制的に排出させてもよく、これは熱源チェンバーで反応剤との迅速かつ均一な混合を促進させる。特にこれにより作動機構の作動後すぐに目標温度に到達するようになる。
【0084】
他の実施態様では本発明の装置は、1つ以上のオリフィスを有する管を含むが、活性化剤はこの管には貯蔵されない。活性化剤は別個の薬剤貯蔵チェンバーに貯蔵される。装置が作動すると、活性化剤は薬剤貯蔵チェンバーから移動し、管内を通過し、1つ以上のオリフィスを介して熱源チェンバー内に入り、そこで活性化剤は反応剤と混ざり、発熱反応を開始する。活性化剤が加圧下で管に供給される場合、活性化剤は、強制的に1つ以上のオリフィスから排出され、これは熱源チェンバーで反応剤との迅速かつ均一な混合を促進させる。特にこれにより作動機構の作動後すぐに目標温度に到達するようになる。
【0085】
一部の実施態様ではハウジング11の長さは、約130mmである。熱源チェンバー2の長さは、加熱チェンバー13の長さとほぼ同じであってもよい。熱源チェンバー2および加熱チェンバー13は、実質的に装置の全長を延びてもよく、従って一部の実施態様では約130mmの長さを有する。他の実施態様では図1に示すように本発明の装置は、装置の吸い口端に装置の中央長手軸に沿って位置し、熱源チェンバー2および加熱チェンバー13の一端と当接するフィルターセクション12を含んでもよい。さらにまたはこれとは別に1つ以上のフィルターを以下に詳しく説明するように他の位置に設けてもよい。
【0086】
一部の実施態様ではハウジング11の直径は、例えば約7mm〜約18mmであってもよい。一部の実施態様ではハウジング11の直径は、約15mm〜約18mmであってもよい。一部の実施態様では直径は、ハウジングの両端において同じでもよいが、他の実施態様では直径は異なってもよい。例えば、一部の実施態様では吸い口端8での、ハウジングの直径は15mmであってもよく、ハウジングのもう一方の端部の直径は15mmでもよい。
【0087】
熱源チェンバー2の直径は、約1mm〜約6mmであってもよい。一部の実施態様では熱源チェンバーの直径を約1mm〜約1.2mmほどに小さくすることも可能である。ハウジングの直径の残りは、加熱チェンバー13に占められ、熱源チェンバー2の周囲で円周方向に配置されている。
【0088】
ハウジング11は、ユーザーが装置のマウスピースから揮発した喫煙材化合物を吸入することができるように装置1を使用している間、ユーザーが掴みやすくなっている。ハウジングは、断熱材で製造してもよく、または断熱材を含んでもよい。これにより熱の移動を妨げることによって装置の表面温度を下げることになる。装置の表面温度は、使用時に触れる場合に心地よい温度であるのが望ましい。好適な断熱材は、例えば、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、「Perspex」(登録商標)として知られているポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などがある。一部の実施態様ではスリーブをこれらのまたは他の好適な断熱材のいずれかまたは組み合わせから形成し、熱の移動を妨げるようにしてもよい。一部の実施態様ではスチレン発泡体で作製したスリーブを使用してもよい。一部の実施態様では装置の主外方ケーシングをアルミニウムまたはプラスチック材から構成することも可能である。
【0089】
薬剤4、5を含む熱源チェンバー2は、実質的に円筒状の長尺のチェンバーであってもよく、加熱チェンバー13は熱源チェンバー2の円周方向および長手方向に延びた面の周囲に位置する。加熱チェンバー13および喫煙材3は、従って熱源チェンバー2の周りに同軸の層を含む。しかしながら以下の説明から明らかなようにこれとは別に熱源チェンバー2および加熱チェンバー13の他の形状および構造も例えばこれらの間の界面の表面積を大きくし、多くの熱を移動させるために使用することも可能である。
【0090】
例えば一部の実施態様では熱源チェンバー2は螺旋状に形成されたチェンバーである。螺旋状に形成されたチェンバーは、加熱される喫煙材3を含む加熱チェンバー13に囲まれる。熱源チェンバー2の螺旋構造は、熱源と喫煙材3の間の界面の面積を大きくし、喫煙材3への熱移動を向上させる。
【0091】
熱源によって発生する熱は、隣接する加熱チェンバーおよびその中に保持されている喫煙材を加熱する。一部の実施態様では熱源チェンバー2および加熱チェンバー13は近接しており、熱を移動させやすくしている。一部の実施態様では熱源および喫煙材の間の、壁10は、導電性であり、熱源から加熱チェンバー13の内側の喫煙材3へ効果的に熱を移動させやすくなり、これによりマウスピース8を介して吸引するために喫煙材3の成分を揮発させるのに充分な温度に喫煙材3が加熱される。
【0092】
図1および2に例示した実施態様では本発明の装置は、吸引のために喫煙材3の成分を揮発させる。喫煙材3を含む加熱チェンバー13は、マウスピース8と流体接続している。しかしながら空気流路は、少なくとも一部の実施態様では熱源チェンバー2から離隔されている。このことは熱源が消費者が吸い込むべきではない気体を発生させる場合に特に望ましい。
【0093】
図1に例示すように本発明の装置は、セルロースアセテートトウなどのフィルター材を含むフィルター12を含んでもよく、これは包装されたプラグの形体で供してもよい。フィルター12は、加熱チェンバー13とマウスピース8の間に位置してもよい。フィルター12は、物理的および/または化学的ろ過を供するものであってもよい。一部の実施態様ではフィルターは、喫煙材粒子が空気流に同伴し、吸い込まれるのを防ぐために設けられる。他の好適なフィルターは、細目金網などを含んでもよい。これとは別にまたは加えてフィルターを装置内に引き込まれる空気をろ過するために組み入れてもよく、この場合フィルターは空気が加熱チェンバー13に入る前に空気をろ過するために空気入り口に配置してもよい。
【0094】
セルロースアセテートトウなどのフィルター材のプラグを含むフィルターを組み入れることは、装置の圧力降下を制御する上で有用である。その目的のために設けられる場合、フィルターは、一部の実施態様では装置を通る空気流経路に沿ったあらゆる地点に配置してもよく、空気入り口またはその近くに配置して、空気流が加熱チェンバーに入り、揮発した成分を同伴する前に空気流に影響を与えるようにしてもよい。
【0095】
装置1のユーザーは、喫煙材3が加熱チェンバー13の内側で喫煙材成分を揮発させるために充分な温度に加熱されたとき、マウスピース8から揮発した成分を吸引することができる。一部の実施態様ではユーザーによって装置を介して引き込まれる空気は、セルロースアセテートトウフィルターなどのフィルターを通過する。このようなフィルターは、圧力降下を制御するおよび/または空気をろ過して喫煙材粒子が吸引されるのを避けるために使用してもよい。
【0096】
一部の実施態様では熱源チェンバー2は、反応の際に熱源を膨張させる空隙を作動の前に含んでもよい。
【0097】
さらにまたはこれとは別に図1に示すように本発明の装置1は、発熱反応によって形成された気体を逃がすための通気口を含んでもよい。一部の実施態様では本発明の装置は、熱源チェンバー2からの排気通気孔に通気フィルター9を含んでもよい。通気口はマウスピースから離れて位置させて、あらゆる通気された気体のユーザーによる吸引を避けるために位置させてもよい。通気フィルター9は、蒸気などの排出ガスの特定の成分を捕捉しながら、解放される発熱反応の結果として熱源チェンバー内で圧力を増大させる。このための好適なフィルター材は、例えば、蛇行経路を供する材料、スチールウール、フィルタートウ(セルロースアセテートトウなどの)、アルミニウム箔、高密度ポリエチレン(HDPE)、金網または成形されたプラスチック金網である。
【0098】
喫煙材3を所望の揮発温度範囲内に加熱する、および喫煙材3の温度を所定の持続時間、所望の揮発温度範囲に維持することが望ましい。タバコなどの喫煙材の成分を揮発させる温度範囲の一例を挙げると、約40℃〜約250℃の間であるが、その他の範囲も好適な場合がある。持続時間は、平均的な紙巻きタバコを喫煙するのに要する時間とほぼ同じ長さである。例えば持続時間は、約4〜8分であり、約5〜7分などである。
【0099】
上述したように熱源チェンバー2からの熱は、加熱チェンバー13内の喫煙材3に移動し、喫煙材3が揮発温度に到達したときに喫煙材3の少なくとも1つの成分を揮発させる。選択的に装置1は、例えば加熱チェンバー13および/または加熱チェンバー13内の喫煙材3が所定の揮発温度に到達したときを検知するように構成されているサーモカップルを含む温度センサー(図示せず)を含んでもよい。温度センサーは、アラーム、表示ライトまたはユーザーに揮発温度に到達し、従って喫煙材3の成分が揮発して吸引可能になったことを知らせるうに構成されている他の好適な警告機構を含んでもよく、またはこれらと連通してもよい。このような警告は、例えば、目標温度に到達したときを示すサーモクロミックインクを利用してもよい。一部の実施態様では警告は、装置が最適な作動温度以下になったことを示してもよい。この場合もサーモクロミックインクがこれを示すようにしてもよい。
【0100】
一部の実施態様では係止機構を組み込んで、揮発温度に達する前にそして喫煙材3の成分が揮発して吸引可能になる前に装置が使用されることを妨げるようにしてもよい。このような係止機構は、例えば、バルブに接続された2種類の金属からなる条片を含み、これにより条片は目標温度に到達し、形を変えてバルブを開くまでバルブを係止する構造を有する。係止機構は、装置が使用後に最適な作動温度以下に温度が下がったら、係止状態に戻るように構成してもよい。
【0101】
さらにまたはこれとは別に装置1はタイマー(図示せず)を含んでもよく、これは作動機構が作動してからの時間を測定し、揮発温度が加熱チェンバー13内で到達していることに対応すると知られている所定の加熱時間が過ぎた時をユーザーに警告するように構成されている。さらにまたはこれとは別にタイマーは装置の作動から所定の時間が経過したことに基づいて消費者が吸引するための蒸気を装置が生成しなくなった時を示すことも可能である。
【0102】
熱源チェンバー2から放出された熱によって揮発したまたはその後に揮発する喫煙材3の成分は、マウスピースから吸引することができる。これにより装置1のユーザーは、ユーザーが紙巻きタバコなどの喫煙品から喫煙材成分を吸引するのと同じような方法で揮発した成分をマウスピース8から吸引する。
【0103】
一部の実施態様では装置1は空気入り口15を含んでもよく、これはパフの際にハウジング11内の加熱チェンバー13内にそして加熱された喫煙材3を介して外気を引き込む。空気入り口15は、ハウジング11の開口部であってもよく、喫煙材3および加熱チェンバー13の上流からマウスピースを有する端部とは反対のハウジング11の端部の方へと配置されてもよい。これは図1および2に示している。入り口15を介して引き込まれる空気は、加熱された喫煙材3を移動し、その中でユーザーによってマウスピース8で吸入される前に芳香蒸気などの喫煙材蒸気によって濃縮される。選択的に図1に示すように装置1は、フィルター12を含み、この中を喫煙材蒸気で濃縮された空気がマウスピース8で装置1から出る前に移動する。他の実施態様では喫煙材蒸気で濃縮された空気は、マウスピース8を通って装置1から出る前にフィルターを通過しない。一部の実施態様では空気は、加熱チェンバー13に入る前にフィルター内を流れる。
【0104】
選択的に断熱された加熱チェンバー13は、入り口および出口バルブを含んでもよく、これらは閉じているときに加熱チェンバー13を密閉封止する。これによりバルブは、空気がチェンバー13に不必要に出入りするのを妨げ、揮発した喫煙材の成分が必要とされるまたは要求されるまでチェンバー13から出るのを妨げる。入り口および出口バルブは、例えば断熱材に設けてもよい。
【0105】
一部の実施態様ではバルブは、全ての揮発した物質がパフとパフとの間にチェンバー13の内側に含まれたままになるようにコントローラーによって閉じられるようにしてもよい。パフとパフとの間の揮発した物質の分圧は、飽和蒸気圧に達し、従って蒸発した物質の量は、加熱チェンバー13内の温度のみにより変わる。これにより確実に揮発したニコチンおよび芳香性化合物の送出量をパフからパフの間一定に維持しやすくなる。パフしている間、コントローラーは、バルブを開いて、空気が加熱チェンバー13内を流れ、揮発した喫煙材成分をマウスピース8へと搬送するように構成されている。膜をバルブに配置して、確実に酸素が加熱チェンバー13内に入らないようにしてもよい。バルブは、息で作動するようにして、バルブがマウスピース8でのパフを検知したことに応じて開くようにしてもよい。これとは別にバルブは、マウスピース8で吸い込みを行ったときにユーザーによって発生させられる吸引力によって自動的に開くようにしてもよい。バルブはパフが終わったことの検知に応じて閉じるようにしてもよい。装置に適当なタイミングでバルブの開閉のきっかけとなるパフセンサーを設けてもよい。これとは別にバルブはそれらが開いた後、所定の期間が経過した後、閉じるようにしてもよい。この所定の期間は、コントローラーで調整してもよい。バルブが自動的に開閉するように選択的に機械的または他の好適な開閉手段があってもよい。例えばマウスピース8でユーザーがパフすることによって生じる気体の移動を使用してバルブを開閉してもよい。従ってコントローラーはバルブを作動させるために必ずしも必要ではない。揮発した成分がすぐに放出されるように加熱チェンバー13が封止される場合、揮発した成分が確実に加熱チェンバー13内で濃縮しないようにするための手段を組み入れることが望ましい。これは蒸気が濃縮する温度を超えた温度に蒸気を保つためのさらなる加熱を伴う。
【0106】
断熱材を喫煙材3とハウジング11の外面の間に設けて、装置1からの熱の損失を少なくし、従って喫煙材3の加熱効率を向上させてもよい。例えば図1に例示した装置を参照すると、ハウジング11の壁は、加熱チェンバー13の外側の周りに延びた断熱(図示せず)を含んでもよい。この断熱層は、加熱チェンバー13および喫煙材3の周りで同軸軸方向に位置する実質的に管状の長さある断熱材である。当然のことながら断熱材は、断熱材が喫煙材3の外側の周囲で同軸に位置する取り外し可能な カートリッジとして供される加熱チェンバーの一部として含まれてもよく、または一部であってもよい。
【0107】
一部の実施態様では断熱は、例えば、加熱チェンバー13とハウジング11の外面の間に真空領域を設けることにより装置1を断熱するように構成された真空断熱であってもよく、これにより実質的に伝導および対流による熱損失を避けることができる。ハウジング11および/または加熱チェンバー13は、さらにまたはこれとは別に喫煙材3およびハウジング11の外面の間に位置する赤外線反射層を設けて、熱放射を妨げるようにしてもよい。反射層は、断熱層上または断熱層内に設けてもよい 。
【0108】
断熱材によって確実にハウジング11の外面が実質的に熱源4、5によって加熱されず、従ってハウジング11の外面は、マウスピース8から揮発した成分を吸引する間、ユーザーが不快に感じない温度でハウジング11を把持できるようになっている。これとは別にまたは加えてハウジングを断熱スリーブで囲んでもよい。このスリーブは、装置の表面温度を下げ、および/または装置に所望の見栄えまたは感触を与えてもよい。
【0109】
図1に例示した実施態様では熱源薬剤は、酸化カルシウム(CaO)などの反応剤4を粒状の固形物の形で(例えば粉および/または塊形態で)と水5である第2(活性化する)薬剤を含む。図示した実施態様では水5は小袋または可撓性の袋14に保持されている。これとは別の実施態様では反応剤4を中実の円筒の形体で供してもよく、または開口した環状の構造体であってもよい。
【0110】
発熱反応は作動機構を使用して始動するようにしてもよい。図示した実施態様では作動機構は挿通部材6を含み、図に示した静止位置からこれを装置1内にスライド移動させた作動位置へと移動可能であり、これにより挿通端部7が水5を保持する可撓性の袋または小袋14と接触し、破裂させる。これにより水が他の薬剤4と接触するところの熱源チェンバー内に放出され、発熱反応を始動させ、熱を発生させる。
【0111】
これとは別の実施態様では薬剤4、5は熱源チェンバーに貯蔵され、断裂可能なエレメントによって離隔され、このエレメントは作動機構が作動すると断裂し、薬剤が混ざり合う。この断裂可能なエレメントは、例えば、壁、壁の一部あるいは薬剤を分け、特定の方法で力を加えることによって破綻しやすい、または取り除かれる、または刺し通し、穴を開ける、溶解させるまたは部分的にまたは完全に除去して薬剤を混合するいくつかの他の構造体であってもよい。このような実施態様において作動機構は、断裂可能なエレメントを断裂させるように配置してもよい。熱源チェンバー内の薬剤の間に位置するこの断裂可能なエレメントは、装置の一端ではなく、装置の長さの中央の方に位置してもよい。従って作動機構は、装置のハウジングの外面に位置するボタン、スライダーまたは他のアクチュエーターによって作動する挿通機構を含んでもよい。
【0112】
別の構成では少なくとも1つの薬剤をその熱源チェンバーに貯蔵し、少なくとも1つの薬剤を別個の薬剤貯蔵チェンバーに貯蔵する。その後作動機構を作動させることによって薬剤貯蔵チェンバー内の少なくとも1つの薬剤を熱源チェンバーに移行させ、そこで薬剤の混合物が発熱反応を起こす。
【0113】
このような構成の一例を図2に例示した。活性化剤5を含む薬剤貯蔵チェンバー16は、反応剤4を含む熱源チェンバー2を通って長手方向に延びた管である。管には熱源チェンバー2内でその長さに沿って封止されたオリフィスが設けられている。作動機構6が作動すると、オリフィス17は開口し、活性化剤5が薬剤貯蔵チェンバー16から出て、熱源チェンバー2内の反応剤4と混ざる。また作動機構は、圧力を加えて、チェンバー 16から作動薬剤4を強制的に出して、反応剤4との混合を促進させてもよい。別の実施態様においてオリフィス17は、作動前に封止されているスリットに置き換えることも可能である。一部の実施態様では薬剤貯蔵チェンバー16は、所定の位置に例えば熱源チェンバー2の各端部で装置1内に位置する支持体18によって保持されてもよい。
【0114】
活性化剤5が熱源チェンバー2内の薬剤貯蔵チェンバー内に保持されない別の構成では、薬剤貯蔵チェンバーは熱源チェンバー2の外にある。例えば作動機構6の作動により薬剤貯蔵チェンバーから活性化剤を放出させ、熱源チェンバーに移行させてもよい。この移行は管を介して行ってもよい。例えば活性化剤5は、作動機構と関連するまたは作動機構内にある薬剤貯蔵チェンバー内に保持して、作動機構を作動させたときに活性化剤を熱源チェンバー2内に導入してもよい。例えば作動機構の作動により薬剤貯蔵チェンバーから活性化剤を放出し、例えば管または他の導管を介して熱源チェンバー2へ移行させてもよい。一部の実施態様では作動機構は、活性化剤が反応剤4と反応するところである熱源チェンバー2内に1つ以上のオリフィスを介して活性化剤5を押し込むまたは注入することによって発熱反応を始動させるプランジャー機構を有する注射器などのように作用してもよい。オリフィスは活性化剤5と反応剤4の混合を向上させるために配置してもよい。これとは別の実施態様では作動機構は、薬剤貯蔵チェンバーは、圧縮される、または絞られると、活性化剤5が熱源チェンバー2内に押し込まれるピペットのように作用してもよい。
【0115】
一部の実施態様では発熱反応は、活性化剤である水または水溶液または懸濁液が1つ以上の反応剤に加えられて、発熱化学反応が開始される水活性化反応であってもよい。
【0116】
水を伴う種々の可能と思われる発熱反応の適合性を評価した。1式の実験を考案し、発熱反応によって達成される温度に影響を与える次のような変数を評価した。反応剤の質量、水の量、添加される薬剤の形体および反応容器の性質。
【0117】
図3はCaCl、NaOHおよびCaO反応剤として試験した最初の実験の結果を示している。これらの反応は、絶縁されていない小型のガラス製ビーカー中で行った。サーモカップルを使用して温度を記録した。反応化学量論に基づいて、最小限の量の薬剤を加えて、全ての反応に対して最大量を約7mlまでとした。図3のグラフは、次の3つの反応による発熱を表している、(i)2.74gのCaClおよび1.75mlの水、(ii)2.06gのNaOHおよび3.5mlの水および(iii)2.07gのCaOおよび1.4mlの水。この初期の実験は、CaOおよびNaOHが本発明で提案する目標温度80℃に最も近かったことを示している。
【0118】
次に硫酸マグネシウムを水に対する比を変えて使用して試験した。図4のグラフに記載した結果が示すように目標温度の80℃は、MgSO4では反応が始まると直ぐに到達するが、温度減衰も早く、少なくとも3分、例えば少なくとも3〜4分の間、および一部の実施態様ではそれより長く80℃の目標温度を維持するという要望に適わない。
【0119】
反応剤の形体がどのように発熱特性に影響を与えるかを評価するためにさらに実験を行った。2種類の形体のCaClを使用した。最初に粒径が1〜6mmで水を3%以下含む粒状のCaClを試験した(Sigma Aldrich社からカタログ番号21074として入手可能である)。次に粒径が7mm未満の無水の粒状球体CaClを試験した(Sigma Aldrich社からカタログ番号C1016として入手可能である)。結果を図5aおよび5bにそれぞれ示した。この結果は、無水の形体のものが高い初期温度になることを示している。
【0120】
反応剤の形体がどのように発熱特性に影響を与えるかを評価するためにさらに実験を行った。2種類の形体のNaOHを使用した。最初にフレークの形体のNaOHを試験した(Sigma Aldrich社からカタログ番号71691として入手可能である)。次に無水のNaOHペレットを試験した(Sigma Aldrich社からカタログ番号S8045として入手可能である)。さらにこれらの形体のNaOHを組み合わせて実験を行った。結果を図6a、6bおよび6cにそれぞれ示した。これらの結果は、フレーク状のNaOHが最も高い温度および温度変調を呈したことを示している。2つの形体のNaOHの組み合わせは、反応温度が上昇し、温度減衰がゆっくりであった、即ち発熱が長く続いたという結果になった。
【0121】
CaOの形体が発熱特性にどのようにするかを評価するためにさらに実験を行った。2種類の形体のCaOを使用した。最初に粉状のCaOを試験した。次に塊状のCaOを試験した。さらに塊状のCaOを使用して小型のビーカーではなく試験管でさらに実験を行った。これは反応容器の容量(および形体)が変わることによる発熱特性への影響を評価するためのものである。それらの結果を図7a、7bおよび7cにそれぞれ示した。これらの結果は、粉状のCaOが直ぐに高い温度に到達するが、これは維持されず、温度が急激に下がったことを示している。これとは対照的に塊状のCaOを使用した反応は、これよりゆっくり最高温度に到達したが、発熱は長く維持された。塊状CaOで小さい反応容器中で反応を行ったことの影響は、初期発熱を速め、長時間に亘って良好に温度が維持されたということである。
【0122】
これらのグラフは、薬剤の量および反応容器を変えて異なる形体の反応剤を使用するおよび/または組み合わせることによって発熱特性を変えられるということを示している。これにより温度および発熱期間が調製可能になり、発熱特性をある程度の正確性をもって設計および制御することが可能になる。
【0123】
一部の実施態様では発熱反応薬剤はCaOまたはNaOHおよび水を含む。一部の実施態様では薬剤はCaOおよび水含む。この反応は、所定の持続時間に亘って所望の高温度を供する上で特に適している。種々の大きさの粒状形体(即ち粉、塊、ペレットまたは粒)を組み合わせてCaOを使用することによって、作動の際直ぐに装置の使用の準備を整えられるように迅速な初期加熱を供する発熱特性および数分間に亘って複数回のパフを供する従来の喫煙品を真似るために吸引のための揮発性成分を製する目標温度範囲内での一定期間に亘る加熱に確実に適合することが可能になる。この発熱は、反応チェンバーの大きさおよび形状もまた発熱特性に影響を与えることから、装置に設けられた特定の熱源チェンバー2に合わせて調整される。
【0124】
特定の実施態様において、種々の形体および種々の量のCaOを種々の方法で種々の量の水と組み合わせて、30〜100℃の範囲のピークまたは目標温度を有し、これらの温度で種々の期間を示す発熱特性を生じさせてもよい。
【0125】
喫煙材を少なくとも80℃の温度に作動から60秒以内で加熱し、少なくとも80℃の温度を少なくとも300秒維持する装置を提供しようとして、熱源チェンバーに1.75gの粒径約2mmのCaOの粉状の塊と1.25gの微粉状のCaO(両形体のCaOはAldrich Chemicals社から入手した)を含む反応剤4を供した。活性化剤には2.5mlの水道水を使用した。喫煙材にはタバコを使用した。熱源、タバコ、加熱チェンバー13の表面およびマウスピース8の温度を測定し、その結果を図8aおよび8bのグラフに示した。図8aに示したデータでは装置を垂直配向に保持し、図8bでは水平配向に保持した。これらのデータは、配向はほとんど性能に影響を与えないことを示している。加熱チェンバーの外面の温度は、ハウジングを含んでいなかったので、本発明による装置の表面温度とは同等ではなかった。
【0126】
可能な限り80℃近い温度に到達し、これを維持するための温度特性を最適化するために別の実験を行った。1.75gのCaOの塊、1.25gの粉状のCaOおよび3mlのHOに基づく発熱反応が本発明において使用するのに良好であるという結果が得られた。別の処方では1.75gのCaOの塊、1gの粉状のCaOおよび3mlのHOに基づく発熱反応によって良好な結果が得られた。
【0127】
喫煙材を通る吸引空気の温度プロファイルへの影響について調べた。上述の図8aおよび8bのデータを得るために装置を封止して使用し、35mlのパフを真似て空気を注射器ポンプを使用して加熱チェンバーに引き込んだ。図9のグラフに示した結果から明らかなように熱源(反応)および喫煙材(タバコ)の温度への空気流の影響は極僅かであった。
【0128】
いくつかの別の実施態様では発熱反応は、反応を開始するために空気を必要とする(具体的には酸素)空気系反応である。1つの実施態様では空気と混合されて発熱反応を起こす薬剤は鉄(Fe)である。ここでも薬剤の粒径は、ある程度発熱分布を決定する。
【0129】
空気系発熱反応を使用するこのような実施態様において、装置の作動機構は、換気孔の開口を伴い、空気が熱源チェンバーに入るようにする。
【0130】
またさらに別の実施態様では熱源は相変化物質である。相変化物質は、熱エネルギーを蓄え、放出できる物質である。例えば熱は、材料が液体から固体に変化する際に放出させてもよい。
【0131】
一部の実施態様では相変化物質は、過冷却と呼ばれている方法で、固体を形成することなくその凍結温度以下に冷却される。このような過冷却された流体は、装置の作動によって始動すると固相へと結晶化が始まる。この過程が起こっている間、熱が発生し、その材料の温度は、その溶融温度に維持される。
【0132】
相変化物質による熱の発生は、エネルギーが系を出る速度が相変化の期間を制御するので自己調整的である。従って相変化物質の温度は、材料が1つの相から別の相に完全に変化するまで一定に維持される。これにより喫煙材を加熱する熱源が長時間一定に保たれる。その温度は予測可能かつ調節可能である。
【0133】
好適な相変化物質は、酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物または塩化マグネシウム六水和物などの水和塩などである。一部の実施態様では熱源材はさらにゲル化剤を含んでもよい。
【0134】
このような材料の相変化は、1つ以上の核生成部位を相変化物質に導入して引き起こされるようにしてもよい。これは均一核生成によって、例えば、種晶(固体相の相変化物質の一片)を液体相変化物質に導入することによって成してもよい。これとは別に小さい金属タブを相変化を引き起こす核を僅かに放出する相変化物質内に供してもよい(核は金属タブが曲げられるとその金属タブ表面から放出される相変化材の固体粒子の形体である)。これとは別の実施態様では相変化は、均一核生成によって引き起こしてもよい。例えば一部の実施態様では異なる材料の粒子を液体相変化物質に加えて、相変化を引き起こすようにしてもよい。さらに別の実施態様では金属タブをキャビテーションによって機能する相変化物質に供してもよく、これはそれが曲げられた際に微小の気泡を発生させ、これらの気泡は相変化を引き起こす核中心として機能する。
【0135】
熱エネルギーが熱源チェンバーを出て、加熱チェンバー内の喫煙材に移行する速度は、熱源チェンバーおよび/または加熱チェンバーの壁の構造、チェンバーの形状、使用する材料および喫煙材の充填密度からなる複数の要因の1つ以上によって調整してもよい。
【0136】
図10は熱源として相変化物質24を含む装置21を示している。相変化物質24は、管状構造を有し、喫煙材23を保持する加熱チェンバー33を囲む熱源チェンバー22に設けられている。図示した構成では加熱チェンバー13は、円筒状であり、装置と同軸に配置されている。一部の実施態様では装置21のハウジング31は、断熱されて、相変化物質23によって発せられる熱の大半が喫煙材23の内部に確実に案内されるようにしてもよい。
【0137】
作動時に相変化反応を引き起こす作動機構26を設けてもよい。一部の実施態様では作動機構はスライド部材を含み、これは相変化物質内に位置する金属タブを変形させ、これにより相変化を引き起こす核を放出する。加熱チェンバーは、装置が揮発した成分を含む最初のパフを供する準備が整うまで密閉封止されてもよい。
【0138】
一部の実施態様では装置21は、空気入り口35を含んでもよく、これはパフしている間外気がハウジング31内の加熱チェンバー33内にそして加熱された喫煙材23を通って引き込まれるようにする。空気流の経路を図10において矢印で示している。空気入り口35はハウジング31の開口部であってもよく、喫煙材23および加熱チェンバー33からマウスピース28を有する端部とは反対のハウジング31の端部の方へと上流に位置してもよい。これは図10に示している。入り口35を介して引き込まれる空気は、加熱された喫煙材23を通って移動し、マウスピース28でユーザーによって吸入される前にその中で芳香蒸気などの喫煙材蒸気によって濃縮される。
【0139】
任意に図10に示すように装置21は、フィルター32を含み、これを介して喫煙材蒸気で濃縮された空気がマウスピース28で装置21から出る前に移動する。従ってフィルター32は加熱チェンバー33とマウスピース28の間に位置してもよい。フィルター32が、物理的および/または化学的ろ過を行ってもよい。一部の実施態様ではフィルターは、喫煙材粒子が空気流に同伴され、吸い込まれることを防ぐために設けられるフィルターは、セルロースアセテートトウなどのフィルター材を含んでもよく、これは包装されたプラグの形体で提供されてもよい。他の好適なフィルターは、細目金網などであってもよい。これとは別にまたは加えてフィルターは、装置内に引き込まれる空気をろ過するために含まれてもよく、この場合フィルターは任意に空気入り口3に位置して、空気が加熱チェンバー33に入る前に空気をろ過してもよい。
【0140】
酢酸ナトリウム三水和物を使用した試験は、相変化を引き起こして2.5〜5秒で室温〜50℃まで材料の温度が上昇したことを示している。温度はビーカー内で流体の中央で測定した。8分後の温度は53.5〜54.8℃であり、最高で54.2〜55.2℃に到達した。
【0141】
熱源として酢酸ナトリウム三水和物を使用した装置の温度プロファイルを図11に示した。目標温度の50℃に到達するのに掛かった時間は、約50秒であり、熱源は300秒以上この温度またはそれ以上に保たれていた。装置の外面(ハウジングがない)の温度は約45℃であった。
【0142】
喫煙材を通って引き込まれる空気の温度プロファイルへの影響を調べた。装置を封止し、空気を35mlのパフを真似て注射器ポンプを使用して加熱チェンバーを介して引き込んだ。図12のグラフに示した結果から明らかなように装置の内側およびその表面の温度に対する空気流の影響は僅かであった。
【0143】
ここで説明した低温または高温装置のいくつかの構成では喫煙材は、ハウジングの好適な開口部を介して挿入および取り除かれる使い捨て喫煙材カートリッジまたは他の喫煙材消耗品の形体で提供されてもよい。従って、装置のユーザーは、ハウジングは再利用しつつ、異なるまたは改善された吸引を体験できるように喫煙材を交換するという選択肢を有する。
【0144】
加熱チェンバーが装置内の熱源チェンバーの外部にある一部の実施態様では、装置に例えばハウジングの端部(例えば吸い口端ではない)に位置するリング状開口部である開口部を設けて、喫煙材カートリッジを開口部内にスライドさせ、加熱チェンバー内に直接押し込んでもよい。他の実施態様では加熱チェンバーは、装置の中央に配置し、喫煙材カートリッジは、円筒状で中央の丸い開口部を介して装置内にスライドさせることができる。
【0145】
喫煙材との組み合わせにおいてまたは喫煙材とは別に熱源はハウジングの好適な開口部を介して熱源チェンバーに挿入できるまたは熱源チェンバーから取り外すことができる取り外し可能な熱源カートリッジの形体で供してもよい。熱源が相変化物質である場合、熱源は変化した相を元の相に戻すために加熱することによって復旧させてもよい。ユーザーは、異なる発熱分布を供する異なる熱源カートリッジを選択するようにしてもよく、これにより吸引のための異なる揮発成分が供せられる。
【0146】
これとは別にハウジングおよび喫煙材および熱源を含むその内部部材は、使用後ユーザーによって廃棄される使い捨てアイテムであってもよい。
【0147】
一部の実施態様では装置の圧力降下は、約25〜200mmWgの間、例えば約50mmWgの範囲内にあってもよい。圧力降下は、例えば、喫煙材の充填密度、フィルター(喫煙材の前および/後に位置する)および所望の方法で空気流を調整するための適した大きさの開口部を供することなどを含む装置のデザインなどの1つ以上の要因によって調整してもよい。
【0148】
一部の実施態様では熱源によって加熱される喫煙材の質量は、0.1〜1.0gの範囲内であってもよい。加熱される喫煙材の温度は、例えば50℃〜150℃の温度範囲のあらゆる温度にユーザーによって調整可能であってもよい。装置1全体としての質量は、2〜125gの範囲内であってもよい。
【0149】
当然のことながら上述した選択肢のいずれも単独または組み合わせて使用することができる。このことは特に熱源および加熱される喫煙材の相対位置などの装置の種々の部品の相対位置および1つ以上のフィルターの位置についても当てはまる。これらはここで説明した低および高温装置の両方で変えることが可能である。
【0150】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた装置および方法を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】