(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528385(P2015-528385A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】カフ電極を開くためのピンチ
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20150901BHJP
【FI】
A61N1/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-532188(P2015-532188)
(86)(22)【出願日】2013年9月30日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月17日
(86)【国際出願番号】US2013062608
(87)【国際公開番号】WO2014055408
(87)【国際公開日】20140410
(31)【優先権主張番号】61/709,152
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トゥルー、カイル
(72)【発明者】
【氏名】ソルティス、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC02
(57)【要約】
本発明は、神経の周囲に配置されるように構成された弾性のカフ本体を含むカフ電極アセンブリを記載する。カフ本体は、第1端部および第2端部を含む。カフ本体は、概して円環状の断面形状を有する閉じた状態を画定するように、予め成形されていてもよい。閉じた状態において、第1および第2端部が異なる平面上で重なるように、カフ本体は螺旋状に延びる。カフ電極アセンブリは第1アーム部材および第2アーム部材を含み、これらはそれぞれカフ本体から半径方向外向きに突出するとともに、カフ本体に沿って互いに間隔を置いている。カフ本体は、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が第1端部および第2端部の相対変位を生じさせてカフ本体を開いた状態にするように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の神経に植込むためのカフ電極アセンブリであって、カフ電極アセンブリは、
目的の神経の周囲に配置されるように構成された弾性のカフ本体であって、カフ本体は第1自由端を有する第1端部、および第2自由端を有する第2端部を含み、カフ本体は、概して円環状の断面形状を有する閉じた状態を画定するように予め成形されており、閉じた状態において、カフ本体は螺旋状に延び、第1および第2端部が異なる平面上で互いに重なる、カフ本体と、
カフ本体からそれぞれ半径方向外向きに突出するとともにカフ本体に沿って互いに間隔を置いている第1アーム部材および第2アーム部材であって、カフ本体は、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が第2自由端および第1自由端の相対変位を生じさせて、カフ本体を目的の神経の周囲に配置することができる状態であるカフ本体の開いた状態を画定するように構成されている、第1アーム部材および第2アーム部材と、
少なくとも部分的にカフ本体の内部またはカフ本体上に配置され、カフ本体が目的の神経の周囲に配置された時に目的の神経に電気刺激を提供するように向けられた電極と
を備えるカフ電極アセンブリ。
【請求項2】
カフ本体が閉じた状態において目的の神経上に配置された時、その神経の周囲に360度よりも大きい角度で延びるように構成されている、請求項1に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項3】
第1アーム部材および第2アーム部材、ならびに第1アーム部材および第2アーム部材に近接したカフ本体の部分が、カフ電極アセンブリのピンチヒンジ部を画定し、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が、第1端部および第2端部の周方向に重なる角度を小さくするように作用する、請求項1に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項4】
第1アーム部材および第2アーム部材がピンチヒンジ部とともにヒンジ角度を形成し、カフ本体が閉じた状態にある時のヒンジ角度が180度未満である、請求項3に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項5】
ピンチヒンジ部が第1自由端および第2自由端からほぼ等距離の位置に配置される、請求項3に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項6】
ピンチヒンジ部が第2自由端よりも第1自由端の近くに配置される、請求項3に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項7】
カフ本体が可撓性かつ電気絶縁性のポリマーから実質的に形成されている、請求項1に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項8】
前記可撓性かつ絶縁性のポリマーがシリコーンゴムである、請求項7に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項9】
カフ本体が前記可撓性かつ電気絶縁性のポリマー内にさらに強化材を含む、請求項7に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項10】
カフ本体が前記可撓性かつ絶縁性のポリマー内にさらに補強部材を含む、請求項7に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項11】
カフ本体を開いた状態にさせる力から解放された時、カフ本体を予め成形された閉じた状態に戻すように構成された補強部材をさらに含む、請求項1に記載のカフ電極アセンブリ。
【請求項12】
目的の神経を刺激するための植込み型リードアセンブリであって、前記リードアセンブリは、
少なくとも1つのカフ電極アセンブリであって、
目的の神経の周囲に配置されるように構成された弾性のカフ本体であって、カフ本体は、第1自由端を有する第1端部、および第2自由端を有する第2端部を含み、概して円環状の断面形状を有する閉じた状態を画定するように予め成形されており、閉じた状態において、カフ本体は螺旋状に延び、第1および第2端部が異なる平面上で互いに重なる、カフ本体と、
カフ本体からそれぞれ半径方向外向きに突出するとともにカフ本体に沿って互いに間隔を置いている第1アーム部材および第2アーム部材であって、カフ本体は、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が第2自由端および第1自由端の相対変位を生じさせて、カフ本体を目的の神経の周囲に配置することができる状態であるカフ本体の開いた状態を画定するように構成されている、第1アーム部材および第2アーム部材と、
少なくとも部分的にカフ本体の内部またはカフ本体上に配置され、カフ本体が目的の神経の周囲に配置された時に目的の神経に電気刺激を提供するように向けられた電極と
を備える少なくとも1つのカフ電極アセンブリ、
絶縁材料から形成された可撓性リード本体であって、近位端部と遠位端部とを有するリード本体、
少なくとも部分的にリード本体内に配置される絶縁された可撓性導体部材であって、カフ電極アセンブリの電極と電気的および機械的に結合された遠位端を含む導体部材、および
リード本体の近位端部および前記導体部材に結合されたコネクタアセンブリであって、前記導体部材を植込み型刺激装置に電気的に結合するように構成されたコネクタアセンブリ
を備えるリードアセンブリ。
【請求項13】
少なくとも1つのカフアセンブリが複数のカフ電極アセンブリを含み、前記リードが、リード本体内に少なくとも部分的に配置された複数の絶縁された可撓性導体部材をさらに含み、複数のカフ電極アセンブリの各々の電極が、複数の導体部材のうちの1つに電気的および機械的に結合される、請求項12に記載のリードアセンブリ。
【請求項14】
複数のカフ電極アセンブリが同時に開かれて植込まれるように構成されている、請求項13に記載のリードアセンブリ。
【請求項15】
カフ本体が可撓性かつ電気絶縁性のポリマーから実質的に形成されている、請求項12に記載のリードアセンブリ。
【請求項16】
カフ本体が前記可撓性かつ絶縁性のポリマー内にさらに補強部材を含む、請求項15に記載のリードアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は植込み型医療装置およびそのような装置の植込み方法に関する。より具体的には、本開示は神経の周囲に植込むためのカフ電極アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
体内の目的位置に電気刺激を与えるために、様々な種類の電極を使用することができる。そのうちの1つはカフ型電極であり、典型的な神経または神経線維の概して円環状の形状に従って形作られている。カフ型電極は刺激を提供するか、または組織/末梢神経からの電位を記録するように設計されている。カフ型電極は概して誘電材料を含むことができ、電気的に刺激される必要のある神経を受け入れるのに十分な直径を有する内腔を画定する。カフ電極アセンブリの改善が引き続き求められている。
【発明の概要】
【0003】
例1においては、目的の神経に植込むためのカフ電極アセンブリであって、カフ電極アセンブリは、弾性のカフ本体、第1アーム部材および第2アーム部材、ならびに電極を備える。カフ本体は目的の神経の周囲に配置されるように構成されており、第1自由端を有する第1端部、および第2自由端を有する第2端部を含む。カフ本体は、概して円環状の断面形状を有する閉じた状態を画定するように予め成形されている。閉じた状態において、カフ本体は螺旋状に延び、第1および第2端部が異なる平面上で互いに重なる。第1アーム部材および第2アーム部材はそれぞれカフ本体から半径方向外向きに突出し、カフ本体に沿って互いに間隔を置いている。カフ本体は、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が第2自由端および第1自由端の相対変位を生じさせて、カフ本体を目的の神経の周囲に配置することができる状態であるカフ本体の開いた状態を画定するように構成される。電極は、少なくとも部分的にカフ本体の内部またはカフ本体上に配置され、カフ本体が目的の神経の周囲に配置された時に目的の神経に電気刺激を提供するように向けられている。
【0004】
例2においては、カフ本体が閉じた状態において目的の神経上に配置された時、その神経の周囲に360度よりも大きい角度で延びるように構成される、例1のカフ電極アセンブリ。
【0005】
例3においては、第1アーム部材および第2アーム部材、ならびに第1アーム部材および第2アーム部材に近接したカフ本体の部分が、カフ電極アセンブリのピンチヒンジ部を画定し、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が、第1端部および第2端部の周方向に重なる角度を小さくするように作用する、例1または2のカフ電極アセンブリ。
【0006】
例4においては、第1アーム部材および第2アーム部材がピンチヒンジ部とともにヒンジ角度を形成し、カフ本体が閉じた状態にある時のヒンジ角度が180度未満である、例3のカフ電極アセンブリ。
【0007】
例5においては、ピンチヒンジ部が第1自由端および第2自由端からほぼ等距離の位置に配置される、例3または4のカフ電極アセンブリ。
例6においては、ピンチヒンジ部が第2自由端よりも第1自由端の近くに配置される、例3または4のカフ電極アセンブリ。
【0008】
例7においては、カフ本体が可撓性かつ電気絶縁性のポリマーから実質的に形成されている、例1〜6のいずれかのカフ電極アセンブリ。
例8においては、前記可撓性かつ絶縁性のポリマーがシリコーンゴムである、例7のカフ電極アセンブリ。
【0009】
例9においては、カフ本体が前記可撓性かつ電気絶縁性のポリマー内にさらに強化材を含む、例7または8のカフ電極アセンブリ。
例10においては、カフ本体が前記可撓性かつ絶縁性のポリマー内にさらに補強部材を含む、例7〜9のいずれかのカフ電極アセンブリ。
【0010】
例11においては、カフ本体を開いた状態にさせる力から解放された時、カフ本体を予め成形された閉じた状態に戻すように構成された補強部材をさらに含む、例1〜10のいずれかのカフ電極アセンブリ。
【0011】
例12においては、目的の神経を刺激するための植込み型リードアセンブリであって、前記リードアセンブリは、少なくとも1つのカフ電極アセンブリ、可撓性リード本体、絶縁された可撓性導体部材、およびコネクタアセンブリを備える。前記少なくとも1つのカフ電極アセンブリは、弾性のカフ本体、第1アーム部材および第2アーム部材、ならびに電極を備える。カフ本体は目的の神経の周囲に配置されるように構成されており、第1自由端を有する第1端部、および第2自由端を有する第2端部を含む。カフ本体は、概して円環状の断面形状を有する閉じた状態を画定するように予め成形されている。閉じた状態において、カフ本体は螺旋状に延び、第1および第2端部が異なる平面上で互いに重なる。第1アーム部材および第2アーム部材はそれぞれカフ本体から半径方向外向きに突出し、カフ本体に沿って互いに間隔を置いている。カフ本体は、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が第2自由端および第1自由端の相対変位を生じさせて、カフ本体を目的の神経の周囲に配置することができる状態であるカフ本体の開いた状態を画定するように構成される。電極は、少なくとも部分的にカフ本体の内部またはカフ本体上に配置され、カフ本体が目的の神経の周囲に配置された時に目的の神経に電気刺激を提供するように向けられている。前記リードは絶縁材料から形成されるとともに、近位端部と遠位端部とを有する。導体部材は少なくとも部分的にリード本体内に配置されており、カフ電極アセンブリの電極と電気的および機械的に結合された遠位端を含む。コネクタアセンブリはリード本体の近位端部および導体部材に結合され、コネクタアセンブリは導体部材を植込み型刺激装置に電気的に結合するように構成されている。
【0012】
例13においては、少なくとも1つのカフアセンブリが複数のカフ電極アセンブリを含み、前記リードが、リード本体内に少なくとも部分的に配置された複数の絶縁された可撓性導体部材をさらに含み、複数のカフ電極アセンブリ各々の電極が、複数の導体部材のうちの1つに電気的および機械的に結合される、例12のリードアセンブリ。
【0013】
例14においては、複数のカフ電極アセンブリが同時に開かれて植込まれるように構成されている、例13のリードアセンブリ。
例15においては、カフ本体が可撓性かつ電気絶縁性のポリマーから実質的に形成されている、例12〜14のいずれかのカフ電極アセンブリ。
【0014】
例16においては、カフ本体が前記可撓性かつ絶縁性のポリマー内にさらに補強部材を含む、例15のカフ電極アセンブリ。
例17においては、カフ電極アセンブリを目的の神経に植込む方法。カフ電極アセンブリは、弾性のカフ本体、第1アーム部材および第2アーム部材、ならびに電極を含む。カフ本体は目的の神経の周囲に配置されるように構成されており、第1自由端を有する第1端部、および第2自由端を有する第2端部を含む。カフ本体は、概して円環状の断面形状を有する閉じた状態を画定するように予め成形されている。閉じた状態において、カフ本体は螺旋状に延び、第1および第2端部が異なる平面上で互いに重なる。第1アーム部材および第2アーム部材はそれぞれカフ本体から半径方向外向きに突出し、カフ本体に沿って互いに間隔を置いている。カフ本体は、第1および第2アーム部材を互いに向かって付勢するように適用される力が第2自由端および第1自由端の相対変位を生じさせて、カフ本体を目的の神経の周囲に配置することができる状態であるカフ本体の開いた状態を画定するように構成される。電極は、少なくとも部分的にカフ本体の内部またはカフ本体上に配置され、カフ本体が目的の神経の周囲に配置された時に目的の神経に電気刺激を提供するように向けられている。前記方法は、カフ電極アセンブリを患者の体内に挿入する工程と、第1アーム部材および第2アーム部材のうちの少なくとも一方に力を適用して第1および第2アーム部材を一緒に付勢することにより、カフ本体が開いた状態になるように第1および第2自由端を変位させる工程とを含む。前記方法は続いて、カフ本体が目的の神経を少なくとも部分的に取り囲むように、カフ電極アセンブリを目的の神経に近接させて配置する工程と、その後、前記力を解放してカフ本体を閉じさせることにより、目的の神経の周囲にほぼ360度にわたり巻き付ける工程を含む。
【0015】
例18においては、カフ電極アセンブリがカフ本体内に、力が適用されて開いた状態にある間カフ本体を補強するように構成された補強部材をさらに含み、補強部材は、力の解放時にカフ本体を閉じた状態に戻すようにさらに構成されている、例17の方法。また、補強部材は、力の開放時に第1端部および第2端部が異なる平面上で互いに重なるように、カフ本体を目的の神経の周囲で閉じた状態に維持するようにも構成されている。
【0016】
例19においては、カフ電極アセンブリが、1つ以上の追加のカフ電極アセンブリを含む植込み型リードアセンブリの第1カフ電極アセンブリであり、前記1つ以上の追加のカフ電極アセンブリは第1カフ電極アセンブリに結合されている、例17または18の方法。
【0017】
例20においては、第1カフ電極アセンブリと、前記1つ以上の追加のカフ電極アセンブリとを同時に開く工程をさらに含む、例19の方法。
複数の実施形態が開示されるが、当業者には、本発明の例示的な実施形態を図示および説明している以下の詳細な説明から、なおも本発明の他の実施形態が明らかとなるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、限定するものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に従う植込まれた状態のシステムの略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従う、
図1のシステムに含まれるリードアセンブリの略図である。
【
図3A】本発明の実施形態に関連して使用され得る
図1のシステムに含まれるカフ電極アセンブリの正面略図を示す。
【
図3B】本発明の実施形態に関連する
図3Aのカフ電極アセンブリの斜視略図を示す。
【
図4】本発明の実施形態に関連する開いた状態にある
図3Aのカフ電極アセンブリの正面略図を示す。
【
図5】
図3Aのカフ電極アセンブリの斜視略図を示し、本発明の実施形態に関連する補強機構を示す。
【
図6A】カフ電極アセンブリの正面略図であり、本発明の実施形態に関連して使用され得る補強ピンを示す。
【
図6B】カフ電極アセンブリの正面略図であり、本発明の実施形態に関連して使用され得る補強ピンを示す。
【
図7】カフ電極アセンブリを目的の神経に植込む方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は様々な変形形態および代替形態に適しているが、図面には例として具体的な実施形態を示しており、それらは以下に詳細に記載されている。しかしながら、記載されている特定の実施形態に本発明を限定する意図はない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるとおりの本発明の範囲内に含まれるあらゆる変形形態、均等物、および代替例を包含するように意図される。
【0020】
(詳細な説明)
図1は、目的の神経102を刺激するための植込み型システム100の略図である。示されているように、システム100は、植込み型医療装置(implantable medical device:IMD)106に結合された植込み型リードアセンブリ104を含む。例示された実施形態において、リードアセンブリ104は近位端部110および遠位端部112を有するリード本体108と、コネクタアセンブリ114と、複数の絶縁された導体部材115と、複数のカフ電極アセンブリ116とを含む。様々な実施形態において、導体部材115の各々は、部分的にリード本体108内に配置され、それらの遠位端部112から遠位に延びていてもよい。さらに示されるように、カフ電極アセンブリ116の各々は導体部材115のうちの1つに結合される。また、例示された実施形態において、コネクタアセンブリ114はリード本体108の近位端部110に結合し、かつそこから延びる。コネクタアセンブリ114は、リードアセンブリ104をIMD106に機械的に結合するように操作可能であるとともに、導体部材115の各々をIMD106内の電子機器に電気的に結合するようにも操作可能である。様々な実施形態において、コネクタアセンブリ114は、導体部材115の1つひとつに各々が電気的に結合される複数の電気接続部(図示しない)を備える多極コネクタであってもよい。
【0021】
操作中、リードアセンブリ104は、IMD106とカフ電極アセンブリ116との間で電気信号を送達する。カフ電極アセンブリ116は、目的の神経102に巻き付けられることで目的の神経102に固定されるように構成されている。様々な実施形態において、カフ電極アセンブリ116の各々に向かって、またはその各々から、大きさ、相、および/またはタイミングの特性の異なるエネルギーが送られるように、カフ電極アセンブリ116はIMD106によって個別に制御可能である。示されているリードアセンブリ104は3つのカフ電極アセンブリ116を含むが、これに代えて、より多いまたは少ない電極アセンブリ116をシステム100に採用してもよい。さらに別例として、患者の随意運動または不随意運動に起因して、動作中のカフ電極アセンブリ116が興奮性組織に対して移動するのを最小限に抑えるため、カフ電極アセンブリ116のうち1つまたは複数は、電気信号を伝えず、リードアセンブリ104を神経102に対して固定する張力緩和(strain relief)カフとして構成されてもよい。また、示されているIMD106は例示目的に過ぎない。様々な実施形態において、IMD106はリードアセンブリと共に使用されるのに適切な他の構成を取ることができ、患者の体内の適切な部位に植込まれ得る。IMD106は体内の、典型的には患者の胸部や腹部等の部位の皮下に植込むことができるが、他の植込み部位も可能である。
【0022】
様々な実施形態において、システム100は、交感神経系および/または副交感神経系を感知し刺激するように構成されてもよい。交感神経系および/または副交感神経系の刺激は、心臓Hに関連する生理学的パラメータ、例えば心拍数や血圧に影響を与え得る。加えて、交感神経系の刺激は瞳孔を開き、唾液および粘液の産生を抑制し、気管支筋を弛緩させ、胃の不随意収縮の連続波(蠕動)の減少および胃の運動性の低下をもたらし、肝臓によるグリコーゲンからグルコースへの変換を促進し、腎臓による尿分泌を減少させ、また、膀胱の壁を弛緩させ括約筋を閉鎖させる。副交感神経系の刺激(交感神経系の抑制)は瞳孔を収縮させ、唾液および粘液の産生を促進し、気管支筋を収縮させ、胃や大腸の分泌および運動性を増大させ、小腸における消化を促進し、尿分泌を促進し、膀胱の壁を収縮させ括約筋を弛緩させる。交感神経系および副交感神経系に関連する機能は数多くあり、相互に複雑に統合されている可能性がある。
【0023】
一実施形態において、目的の神経102は迷走神経であり、特に右迷走神経である。このような実施形態において、カフ電極アセンブリ116はカフ電極アセンブリ116にエネルギーを送り迷走神経102を刺激するように構成されたIMD106を伴って迷走神経102の周囲に配置することができる。迷走神経は、神経刺激が中枢神経系(CNS)に伝達されるという求心性の特性を有する。迷走神経刺激は、副交感神経活性の亢進と交感神経活性の低下を同時にもたらし、心筋梗塞(MI)後の患者における更なるリモデリングまたは致命的な不整脈になりやすい傾向を抑えること、自律神経バランスの回復および心拍変動(HRV)の増大を促進すること、肥大型心筋症(HCM)、神経性高血圧、および不整脈の予防における副交感神経の緊張の増大と交感神経の緊張の緩和を促進すること、狭心症症状の軽減を促進すること、冠血流(CBF)を増大すること、ならびにMI後の鬱血性心不全(CHF)の発症および悪化を予防することが考えられている。カフ電極アセンブリ116は、記載される生理学的応答を提供するために迷走神経Nを刺激するように構成および配置することができる。
図1に示されるカフ電極アセンブリ116は右迷走神経102の周囲に配置されているが、カフ電極アセンブリ116は、てんかんや鬱状態のような他の生理学的および心理学的症状を治療するために左迷走神経を刺激するように構成および配置されてもよい。
【0024】
図2は植込み型リードアセンブリ104の一部の斜視略図であり、目的の神経102に巻き付けられたカフ電極アセンブリ116を示す。
図2に示される特定の実施形態では、リードアセンブリ104は3つのカフ電極アセンブリ116a、116b、116cと、さらに3つの導体部材115a、115b、115cを含み、3つの導体部材はそれぞれ、リード本体遠位端部112に対し遠位方向に延び、カフ電極アセンブリのうちの対応する1つに結合している。しかしながら、前述したように、他の実施形態ではより多いまたは少ない電極アセンブリ116および導体部材115を所与のリードアセンブリ104において利用してもよい。
【0025】
本明細書においてさらに詳細に説明するように、カフ電極アセンブリ116a、116b、116cはそれぞれ、植込み中に操作され、神経102の上に配置でき、その後、臨床医によって選択された植込み位置に維持するために、神経102に対し十分な半径方向の力および摩擦力を加えながら目的の神経102に実質的に巻き付けられるように構成される。さらに、各カフ電極アセンブリ116a、116b、116cは、選択された治療的刺激を神経102に提供するために神経102に向けられた電極(
図1および2には示されていない)を含む。
【0026】
様々な実施形態において、絶縁された導体部材115a、115b、115cはそれぞれ、外側絶縁層で覆われた内側導体要素(図示しない)を含み、外側絶縁層は内側導体要素を外部の環境から電気的に絶縁するように作用する。導体要素の各々は、カフ電極アセンブリ116a、116b、116cのうちの1つの電極に電気的に結合される。
【0027】
様々な実施形態において、リード本体108は電気的に絶縁性の材料で形成されてもよく、また、様々な導体部材115a、115b、115cを外部環境から電気的に絶縁するように作用し得るとともに、リードアセンブリ104全体のための構造的な支持体も提供し得る。様々な実施形態において、導体部材115a、115b、115cの絶縁層はリード本体108と一体的に形成されてもよい。別例として、リード本体108を初めは別個の管状要素とし、絶縁された導体部材115a、115b、115cを後でリード本体108内に通してもよい。導体部材115a、115b、115cの導体要素は、特定のリードアセンブリ104に必要な電気的および機械的特性を提供するような構成とすることができる。様々な実施形態において、そのような導体要素は単線(single−filar)または複線(multi−filar)の導体コイルであってもよい。様々な実施形態において、導体要素は1本または複数本の撚り線からなるケーブル導体であってもよい。
【0028】
リード本体104および導体部材電気的絶縁層に使用するための材料の例としては、限定するものではないが、スチレン・イソプレン・ブタジエン(SIBS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、または他の生体適合性ポリマー等のポリマー材料が挙げられる。導体要素のための材料の例としては、限定するものではないが、MPTa、Pt被覆Ta、Pt被覆MP35N、MP35N、低チタンMP35N、MPAg、およびニチノールが挙げられる。しかしながら、前述の絶縁体および導体材料は、使用可能な適切な材料を例示目的のみで挙げたものであり、網羅的なリストとする意図は一切ないことを強調しておく。
【0029】
図3Aおよび3Bはそれぞれ、カフ電極アセンブリ116aの閉じた状態(すなわち、目的の神経102に類似した目的の神経の周囲に植込まれた状況における状態)の端面略図および斜視略図であり、
図4はカフ電極アセンブリ116aの開いた状態(すなわち、臨床医がカフ電極アセンブリ116aを目的の神経102の周囲に配置するのを可能にする状態)の端面略図である。カフ電極アセンブリ116b、116cは、カフ電極アセンブリ116aと実質的に同様のまたは同一の様式で構成され得ることが理解されよう。示されているように、カフ電極アセンブリ116aは弾性のカフ本体200と、一対のアーム部材204,206と、電極210とを備える。さらに、カフ本体200は外面214と、内面218と、第1自由端224を有する第1端部220と、第2自由端230を有する第2端部228とを備える。カフ本体200はさらに、第1および第2自由端224、230の間に延びる全長を有する。さらに示されているように、アーム部材204および206はカフ本体200から半径方向外向きに、その外面218から延び、カフ本体200に沿って互いに間隔を置いている。また、カフ電極アセンブリが目的の神経102上に配置された時、電極210は目的の神経102に向くこと、および/または目的の神経102とは逆に向くこと(
図1〜2を参照)が可能となるように、内面218上に配置されている。
【0030】
さらに示されているように、
図3Aの端面図で見ると、カフ本体200はほぼ円環状の断面形状である閉じた状態を取る。さらに、
図3Aから分かるように、カフ本体200の全長は概して螺旋構造を有し、これにより、閉じた状態において、カフ電極アセンブリ116aの長手方向軸を横断する異なる平面上で第1および第2自由端224および230が互いに重なる。様々な実施形態において、カフ本体200は、カフ本体200の全体または一部を異なる状態にさせる外力が存在しない時は
図3Aおよび3Bに示される閉じた状態を取り易くなるように、予め成形されている。様々な実施形態において、
図3Aおよび3Bに示されるように、カフ本体200は、目的の神経に配置された時、閉じた状態でその神経の周囲を360度を超えて覆うように構成されてもよい。
【0031】
カフ本体200は、
図4に示されるようなカフ本体200の開いた状態を画定するために、第1アーム部材204および第2アーム部材206を互いに向かって付勢するように適用される力が、第1自由端224および第2自由端230の相対変位を生じるように構成されてもよい。上記開いた状態は、カフ本体200を目的の神経の周囲に配置するのを可能にする。その後、上述した力が取り除かれると、カフ本体200は再び閉じた状態を取ろうとするため、目的の神経102には半径方向の力が適用されることになり、カフ電極アセンブリ116aは定位置に固定される。
【0032】
一実施形態において、第1アーム部材204は遠位部324を含み、また、第2アーム部材206は遠位部326を含む。使用時、開いた状態に達するように、力が第1アーム部材204の遠位部324および第2アーム部材206の遠位部326に適用され得る。一例として、力は第1アーム部材204に例えば方向A1に沿って、および第2アーム部材206に例えば方向A2に沿って適用されてもよい。一実施形態において、第1アーム部材204の遠位部324および第2アーム部材206の遠位部326は、力が全く加えられておらず、アセンブリが完全に閉じた状態にある間、例えば
図3Aに示すようなアーム部材距離328だけ隔てられていてもよい。アーム部材距離328の寸法は、アーム部材に適用される力の大きさに応じて変化してもよい。力はアーム部材距離328を縮めるように適用され、第1アーム部材204および第2アーム部材206を互いに向かって付勢する。これにより、第1および第2自由端224、230が、閉じた状態のそれぞれの位置から変位し、また、第1端部220と第2端部230との周方向の重なり度合いが少なくなる。
【0033】
一実施形態において、第1アーム部材204および第2アーム部材206、ならびに第1アーム部材204および第2アーム部材206に近接したカフ本体200の部分は、カフ電極アセンブリ116のピンチヒンジ部330を画定する。一実施形態において、ピンチヒンジ部330は、アーム部材距離328だけ隔てられた部分によって画定されてもよく、部分長340を含み、ここで、部分長340はカフ本体200の一部分に沿って構成され得る。ピンチヒンジ部330は、第1アーム部材204および第2アーム部材にヒンジ角332(α)を形成させ、力が全く加えられずにカフ本体200が完全に閉じた状態を取る時、ヒンジ角332(α)が180度未満となるように構成されてもよい。例示された実施形態では、ピンチヒンジ部330は第1自由端224および第2自由端230からほぼ等距離の位置に配置される。様々な他の実施形態では、ピンチヒンジ部330は、第1および第2自由端224、230のうちの一方よりも、第1および第2自由端224、230のうちの他方の近くに配置されてもよい。
【0034】
一実施形態において、電極210は少なくとも部分的にカフ本体200の内部またはカフ本体上に配置される。電極210は、カフ本体200が目的の神経に配置された時、目的の神経に電気刺激を提供するように向けられる。一実施形態において、電極210は、迷走神経などの目的の神経への電気刺激の提供および感知のため、カフ本体200の全長のうちの任意の部分に配置することができる。様々な実施形態において、カフ電極アセンブリ116aは1つまたは複数の電極110を含んでもよい。電極210に用いられる材料の例としては、限定するものではないが、白金、チタン、イリジウム、およびこれらのうちの任意の合金が挙げられる。
【0035】
一実施形態において、カフ電極アセンブリ116aの設計は、臨床医がカフ電極アセンブリ116aを閉じ、開き、または変形するために特別な訓練を必要としないような、簡単かつ操作の容易なものである。一例では、カフ電極アセンブリ116aは、カフ本体200と第1および第2アーム部材204、206とを操作することにより直接作動されるように構成されてもよい。一例では、カフ電極アセンブリ116aは植込み用ツール(図示しない)によって作動されるように構成されてもよい。様々な実施形態において、植込み用ツールは、所与のリードアセンブリ104における全カフアセンブリ116の全てのアーム部材に力を同時に適用するように構成されてもよい。これにより、全てのこのようなカフ電極アセンブリ116が目的の神経に同時に配置可能となる。
【0036】
前述したように、様々な実施形態において、カフ本体200は
図3Aおよび3Bに示される閉じた状態を取り易くなるように、予め成形されている。したがって、カフ本体200を開いた状態にさせる外力が取り除かれると、カフ本体200は閉じた状態に戻っていく。様々な実施形態において、カフ本体200は、カフ本体200を開いた状態に変位させ、その後、予め成形された閉じた状態に戻すために十分な弾力性を付与するポリマー材料から形成されてもよい。一実施形態において、カフ本体200はシリコーンゴムから形成され得る。様々な実施形態において、カフ本体200は追加の構造、例えば、ポリマー材料に組み込まれ又は埋め込まれてカフ本体200の機械的強度および/または弾力性を高める添加剤や強化要素を含んでもよい。カフ電極アセンブリ116aは、本明細書において単に説明および例示の目的で記載されている。しかしながら、116bや116cのような他のカフ電極アセンブリも、類似の様式で制限なく設計、配置、および採用することができる。
【0037】
図5は、ポリマー製カフ本体200に組み込まれた補強部材502を含む、カフ電極アセンブリ116aの代替実施形態の斜視略図を示す。例示された実施形態において、補強部材502は、カフ本体200の残りの部分を形成するポリマー材料に埋め込まれた帯状の材料である。様々な実施形態において、補強部材502は、カフ本体200に所望の程度の剛性および弾力性を提供する大きさおよび形状の、ポリマー材料または金属材料で形成されてもよい。様々な実施形態において、補強部材502は、外部から第1および第2端アーム部材204および206を互いに向かって付勢するように適用される前述したような力が取り除かれると、カフ本体200を閉じさせるように予め成形されている。そのような実施形態において、補強部材502は、アーム部材204、206への開く力が取り除かれた時、目的の神経を実質的に取り囲む閉じた状態にカフ本体200を維持するように構成されてもよい。
【0038】
様々な実施形態において、補強部材502はカフ電極アセンブリ116aの電極としても作用する金属製の導電性要素であってもよい。補強部材502として用いられる材料の例としては、限定するものではないが、ニチノール等のニッケル−チタン合金、ステンレス鋼、白金合金等が挙げられる。そのような実施形態において、カフ電極アセンブリが目的の神経に配置された時にその神経と接触可能であるように、補強部材502の内面が露出していてもよい。さらに、そのような実施形態において、補強部材502は導体部材115a等の導体部材の導体要素と電気的に結合される(
図1〜2参照)。
【0039】
図6Aは、目的の神経に配置するために開いた状態にあるカフ電極アセンブリ616aの代替実施形態の正面略図である。例示された実施形態において、カフ電極アセンブリ116は、第1自由端718を備える第1端部716および第2自由端722を有する第2端部720ならびに補強部材802を有するカフ本体702を含む。示されているように、補強部材802は、内腔804を画定するカフ本体702内に延びる螺旋コイル状である。カフ電極アセンブリ616aはまた、本明細書に記載されたカフ電極アセンブリの電極208と同様のまたは同一の少なくとも1つの電極を含むことが理解されよう。
【0040】
さらに示されているように、第1部分812、反対側の第2部分814、およびハンドル部816を有する補強ピン810が提供される。示されているように、第1および第2部分812、814はそれぞれ、カフ本体702の第1端部716内の内腔804および第2端部720内の内腔804に配置されている。
図6Aに示すように配置されると、補強ピン810はカフ本体702を目的の神経の周囲への配置のために開いた状態に維持するように作用する。
図6Aにおいて矢印Aで示されるように、補強ピン810はカフ本体702から取り外すことができ、これによってカフ本体702を、
図6Bに示すような、目的の神経上の閉じた植込まれた配置にすることができる。様々な実施形態において、本明細書に記載のカフ電極アセンブリ116と同様に、カフ本体702が閉じた状態にある時、カフ本体702は、第1および第2自由端718、722が異なる平面上で互いに重なることができるように構成される。
【0041】
一実施形態において、補強部材802は、カフ本体702の相対的剛性を増強するように構成されることができ、また、カフ本体702を閉じた状態寄りの姿勢にするように動作可能である。補強部材802および補強ピン810は、前述した補強部材502に関して記載したものを含めた種々の金属材料やポリマー材料のうちの任意のもので形成することができる。
【0042】
図7は、カフ電極アセンブリ116a(あるいは116bまたは16c)に類似した神経カフ電極アセンブリを、目的の神経に植込むための方法900を例示するフローチャートである。方法900は、ステップ910の、カフ電極アセンブリ116aを患者の体内に挿入する工程を含む。一実施形態において、カフ電極アセンブリ116aは、右迷走神経等の目的の神経102の上のまたは近接した位置に挿入される(
図1および2に示す)。方法900は、ステップ920の、第1および第2アーム部材204および206のうちの少なくとも1つに力を適用し、アーム部材204、206を互いに向かって付勢することにより、第1および第2自由端224および230を互いから離すように変位させ、カフ本体200を開いた状態にさせる(または開いた状態に移行させる)工程をさらに含む。方法900は、ステップ930の、カフ本体200が目的の神経102を少なくとも部分的に取り囲むようにカフ電極アセンブリ116aを目的の神経102の周囲に配置する工程をさらに含む。方法900は、ステップ940の、アーム部材204、206を解放してカフ本体200を閉じた状態に戻す、または戻らせることにより、カフ本体200を目的の神経102に巻き付ける工程をさらに含む。閉じた状態を取った時、カフ電極アセンブリ116aは、カフ電極アセンブリ116aを定位置に固定する半径方向の力を、目的の神経102に適用できる。
【0043】
代替法において、カフ電極アセンブリ616aが植込まれてもよい。この実施形態によれば、
図6Aに示すように内腔804内に配置された補強ピン810を用いることによりカフ本体702を開いた状態に維持することとともに、方法はカフ電極アセンブリ616aを目的の神経の周囲に部分的に配置する工程を含む。所望のとおりに配置された後、臨床医はカフ本体702を定位置に保持したまま補強ピン810を取り外すことができる。補強ピン810が取り外されると、カフ本体702は(
図6Bに示すように)閉じた状態を取り易くなり、目的の神経に少なくとも部分的に巻き付く。前述のステップは、植込まれるリードアセンブリに追加のカフ電極アセンブリ616aがあれば、その各々について繰り返され得る。
【0044】
説明した例示的実施形態に対し、本発明の範囲から逸脱することなく様々な改良および追加を行うことができる。例えば、上述した実施形態は特定の特徴について述べているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組合せを有する実施形態、および記載された特徴の全ては含まない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲は、そのような代替形態、改良形態、および変形形態の全てを、それらの全ての均等物と共に、特許請求の範囲内に包含するように意図されている。
【国際調査報告】