特表2015-528386(P2015-528386A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-528386能動的に膨張するガイドカテーテル閉塞バルーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528386(P2015-528386A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】能動的に膨張するガイドカテーテル閉塞バルーン
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20150901BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20150901BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20150901BHJP
【FI】
   A61B17/00 320
   A61M25/00 620
   A61M25/00 504
   A61M25/10 500
   A61M25/10 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-532192(P2015-532192)
(86)(22)【出願日】2013年11月14日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月17日
(86)【国際出願番号】US2013070031
(87)【国際公開番号】WO2014078494
(87)【国際公開日】20140522
(31)【優先権主張番号】61/727,006
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャイアマン、ブライス エル.
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ、ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】トックマン、ブルース エイ.
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、プ
(72)【発明者】
【氏名】ペピン、ヘンリー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C167
【Fターム(参考)】
4C160MM38
4C167AA05
4C167AA08
4C167BB05
4C167BB15
4C167BB29
4C167BB40
4C167CC19
4C167FF01
4C167GG01
4C167HH04
(57)【要約】
様々な実施形態は、冠静脈内に植込み型リードを送達するガイドカテーテルに関する。こうしたガイドカテーテルは、主内腔および少なくとも1つの予め形成された屈曲部を有する管状体を備えることができる。管状体は、内面を画定するライナと、ライナを円周方向に包囲する編組体と、編組体を覆い管状体の外面を画定するジャケットと、ジャケット内に埋め込まれた複数の膨張チューブとを備えることができる。ガイドカテーテルは、管状体の上に取り付けられたバルーンを含むことができ、複数の膨張チューブの各々はバルーンと連通する。ガイドカテーテルは、主内腔へのアクセスを可能にするハブをさらに含むことができ、ハブは、主内腔内に造影剤を導入する第1ポートと複数の膨張チューブと連通している第2ポートとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型リードを送達するためのガイドカテーテルであって、
近位端、遠位端、および前記近位端から前記遠位端まで延在する主内腔を有する管状体であって、前記主内腔が、前記植込み型リードが前記主内腔内で移動するのを可能にするような寸法であり、前記管状体が、
前記管状体の外面を画定するジャケットと、
前記ジャケット内に埋め込まれた複数の膨張チューブと、
を備える、管状体と、
前記管状体の前記遠位端に取り付けられたバルーンであって、前記複数の膨張チューブの各々が前記バルーンと連通しており、前記バルーンが、心臓の冠静脈を少なくとも部分的に閉塞するように膨張可能である、バルーンと、
前記管状体の前記近位端に取り付けられたハブであって、前記主内腔および前記複数の膨張チューブへのアクセスを提供するハブと、
を備えるガイドカテーテル。
【請求項2】
前記主内腔の内面が、第1タイプのポリマー材料から形成されたライナによって画定され、
前記ジャケットが、第2タイプのポリマー材料から形成されている、
請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項3】
前記管状体が、前記ライナを円周方向に取り囲む編組体をさらに備え、
前記編組体が前記ジャケットによって覆われている、
請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項4】
前記ジャケットが、第2タイプのポリマー材料から形成され、
前記複数の膨張チューブが、第3タイプのポリマー材料から形成され、
前記第2タイプのポリマー材料が前記第3タイプのポリマー材料とは異なる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のガイドカテーテル。
【請求項5】
前記第3タイプのポリマー材料が、前記第2タイプのポリマー材料よりも高い溶融温度を有する、請求項4に記載のガイドカテーテル。
【請求項6】
前記ジャケットが、
前記複数の膨張チューブの下の前記第2タイプのポリマー材料の第1層と、
前記複数の膨張チューブの上に半径方向に配置されかつ前記第1層に結合された、前記第2タイプのポリマー材料の第2層と
を備える、請求項4に記載のガイドカテーテル。
【請求項7】
前記管状体の外周の外形が隆起部を有し、前記複数の膨張チューブが、前記管状体に沿って前記隆起部の下に延在している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガイドカテーテル。
【請求項8】
前記複数の膨張チューブが、前記管状体に沿って互いに隣接して延在している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガイドカテーテル。
【請求項9】
前記複数の膨張チューブが、前記管状体よりも高い耐キンク性を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガイドカテーテル。
【請求項10】
前記バルーンが、膨張した時、冠静脈内の逆行する血流の向きを変える尖っていない遠位端外形と、前記バルーンが少なくとも部分的に膨張した時に前記バルーンをシース内に引き込むために必要な後退力を最小限にする先細りの近位端外形とを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガイドカテーテル。
【請求項11】
植込み型リードを送達するためのガイドカテーテルであって、
近位端、遠位端、前記近位端から前記遠位端まで延在する主内腔、および外側断面形状を有する管状体であって、前記主内腔が、前記植込み型リードが前記主内腔内で移動するのを可能にするような寸法であり、前記管状体が、
前記主内腔の内面を画定するライナであって、第1タイプのポリマー材料から形成されているライナと、
前記管状体の外面を画定するジャケットであって、第2タイプのポリマー材料から形成されているジャケットと、
前記ジャケット内に埋め込まれた少なくとも1つの膨張チューブであって、前記少なくとも1つの膨張チューブは前記近位端から前記遠位端まで延在し、前記少なくとも1つの膨張チューブは第3タイプのポリマー材料から形成され、前記少なくとも1つの膨張チューブの各々は前記管状体よりも耐キンク性が高く、前記第2タイプのポリマー材料が、前記第3タイプのポリマー材料とは異なり、前記管状体の前記外側断面形状が、前記管状体に沿って前記少なくとも1つの膨張チューブの上に延在する隆起部を有する、少なくとも1つの膨張チューブと
を備える、管状体と、
前記管状体の前記遠位端に取り付けられたバルーンであって、前記少なくとも1つの膨張チューブが前記バルーンと連通しており、前記バルーンが、心臓の冠静脈を少なくとも部分的に閉塞するように膨張可能である、バルーンと
を備えるガイドカテーテル。
【請求項12】
前記バルーンが、膨張した時、冠静脈内の逆行する血流の向きを変える尖っていない遠位端外形と、前記バルーンが少なくとも部分的に膨張した時に前記バルーンをシース内に引き込むために必要な後退力を最小限にする先細りの近位端外形とを有する、請求項11に記載のガイドカテーテル。
【請求項13】
前記ジャケットが、
前記少なくとも1つの膨張チューブの下にあり、かつ前記編組体を少なくとも部分的に被覆する、前記第2タイプのポリマー材料の第1層と、
前記少なくとも1つの膨張チューブの上に半径方向に配置されかつ前記第1層に結合された、前記第2タイプのポリマー材料の第2層であって、前記管状体の前記外側断面形状の前記隆起部が、前記第2層によって少なくとも部分的に形成されている、第2層と
を備える、請求項11または12に記載のガイドカテーテル。
【請求項14】
前記少なくとも1つの膨張チューブの各々が、前記少なくとも1つの膨張チューブが前記管状体よりも高い伸び特性を有することに少なくとも部分的に基づいて、前記管状体よりも耐キンク性が高い、請求項11〜13のいずれか一項に記載のガイドカテーテル。
【請求項15】
ガイドカテーテルを作製する方法であって、
管状体を形成するステップであって、前記管状体が、近位端、遠位端、および前記近位端から前記遠位端まで延在する主内腔を有し、前記管状体が、
ポリマー管の上に編組体を延在させるステップであって、前記ポリマー管が第1タイプのポリマー材料から形成される、ステップと、
前記編組体および前記ポリマー管の上に第2タイプのポリマー材料の第1層を付与するステップと、
前記第1層の外面に沿って少なくとも1つの膨張チューブを配置するステップであって、前記少なくとも1つの膨張チューブが、前記第2タイプのポリマー材料とは異なる第3タイプのポリマー材料から形成される、ステップと、
前記第1層および前記少なくとも1つの膨張チューブの上に前記第2タイプのポリマー材料の第2層を付与するステップであって、前記第2層の付与中に熱を加えて前記第2層を前記第1層に結合し、かつ前記第1層と前記第2層との間に前記少なくとも1つの膨張チューブを埋め込む、ステップと、
によって形成される、ステップと、
前記少なくとも1つの膨張チューブを介してバルーンを膨張および収縮させることができるように、前記少なくとも1つの膨張チューブの各々の遠位先端部の上の前記管状体に前記バルーンを取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記第3タイプのポリマー材料の溶融温度が、前記第2タイプのポリマー材料の溶融温度よりも高い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2層を付与するステップが、前記第2層を、前記第2タイプのポリマー材料の溶融温度に略等しいが前記第3タイプのポリマー材料の溶融温度よりも低い温度まで加熱することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの膨張チューブが、前記第1層の外面に沿って配置された時にビーディングを含み、
前記第2層が前記第1層および前記少なくとも1つの膨張チューブの上に付与された後に、前記少なくとも1つの膨張チューブから前記ビーディングが除去される、
請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1層の外面に沿って前記少なくとも1つの膨張チューブを配置するステップが、前記第1層の外面に沿って少なくとも2つの膨張チューブを配置することを含み、
前記第2層を付与するステップが、前記少なくとも2つの膨張チューブの上に前記第2層を付与することを含み、
前記バルーンを取り付けるステップが、前記少なくとも2つの膨張チューブを介して前記バルーンを膨張および収縮させることができるように、前記少なくとも2つの膨張チューブの各遠位先端部の上の前記管状体に前記バルーンを取り付けることを含む、
請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2層を付与するステップが、
前記第1層および前記少なくとも1つの膨張チューブの上に前記第2タイプのポリマー材料から形成された管を配置することと、
前記第2タイプのポリマー材料から形成された前記管の上に、第4タイプのポリマー材料から形成された熱収縮チューブを配置することと、
前記熱収縮チューブに沿って熱を加えて、前記管の前記第2タイプのポリマー材料が前記第1層の前記第2タイプのポリマー材料と結合するようにすることと、
前記管状体の上から前記熱収縮チューブを除去することと、
を含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体内の解剖学的空間にアクセスする医療デバイスおよび方法に関する。より詳細には、様々な実施形態は、植込み型リードを血管内に送達するガイドカテーテルであって、静脈造影図を得るために血液流を少なくとも部分的に阻止するバルーンを有するガイドカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
不整脈および他の異常な心臓状態を治療するために、心調律管理システムが使用される。こうしたシステムは、一般に、心臓組織に電気刺激を送達しかつ/または心臓組織からの電気信号を検知する、心臓内またはその周辺に植込まれた1つまたは複数の心臓リードを含む。
【0003】
心臓再同期療法では、左心室を電気刺激の標的とすることができる。左心室に沿って血管系内に植込まれるリードが、左心室に電気刺激を送達することができる。理想的には、リードは、最小ステップ数の効率的な手順で正確に植込まれる。したがって、当技術分野では、左心室の刺激に好適な位置にリードを正確かつ効率的に配置するのを容易にするように適合されたデバイスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
例1は、植込み型リードを送達するためのガイドカテーテルであって、近位端、遠位端、および近位端から遠位端まで延在する主内腔を有する管状体であって、主内腔が、植込み型リードが主内腔内で移動するのを可能にするような寸法であり、管状体が、管状体の外面を画定するジャケットと、ジャケット内に埋め込まれた複数の膨張チューブとを備える、管状体と、管状体の遠位端に取り付けられたバルーンであって、複数の膨張チューブの各々がバルーンと連通しており、バルーンが、心臓の冠静脈を少なくとも部分的に閉塞するように膨張可能である、バルーンと、管状体の近位端に取り付けられたハブであって、主内腔および複数の膨張チューブへのアクセスを提供するハブとを備えるガイドカテーテルに関する。
【0005】
例2では、例1のガイドカテーテルであって、主内腔の内面が、第1タイプのポリマー材料から形成されたライナによって画定され、ジャケットが、第2タイプのポリマー材料から形成されている。
【0006】
例3では、例2のガイドカテーテルであって、管状体が、ライナを円周方向に取り囲む編組体をさらに備え、編組体がジャケットによって覆われている。
例4では、例1〜3のいずれかのガイドカテーテルであって、ジャケットが、第2タイプのポリマー材料から形成され、複数の膨張チューブが、第3タイプのポリマー材料から形成され、第2タイプのポリマー材料が第3タイプのポリマー材料とは異なる。
【0007】
例5では、例4のガイドカテーテルであって、第3タイプのポリマー材料が、第2タイプのポリマー材料よりも高い溶融温度を有する。
例6では、例4のガイドカテーテルであって、ジャケットが、複数の膨張チューブの下の第2タイプのポリマー材料の第1層と、複数の膨張チューブの上に半径方向に配置されかつ第1層に結合された、第2タイプのポリマー材料の第2層とを備える。
【0008】
例7では、例1〜6のいずれかのガイドカテーテルであって、管状体の外周の外形が隆起部を有し、複数の膨張チューブが、管状体に沿って隆起部の下に延在している。
例8では、例7のガイドカテーテルであって、複数の膨張チューブが、管状体に沿って互いに隣接して延在している。
【0009】
例9では、例1〜8のいずれかのガイドカテーテルであって、複数の膨張チューブが、管状体よりも高い耐キンク性を有する。
例10では、例1〜9のいずれかのガイドカテーテルであって、バルーンが、膨張した時、冠静脈内の逆行する血流の向きを変える尖っていない遠位端外形と、バルーンが少なくとも部分的に膨張した時にバルーンをシース内に引き込むために必要な後退力を最小限にする先細りの近位端外形とを有する。
【0010】
例11は、植込み型リードを送達するためのガイドカテーテルであって、近位端、遠位端、近位端から遠位端まで延在する主内腔、および外側断面形状を有する管状体であって、主内腔が、植込み型リードが主内腔内で移動するのを可能にするような寸法であり、管状体が、主内腔の内面を画定するライナであって、第1タイプのポリマー材料から形成されているライナと、管状体の外面を画定するジャケットであって、第2タイプのポリマー材料から形成されているジャケットと、ジャケット内に埋め込まれた少なくとも1つの膨張チューブであって、少なくとも1つの膨張チューブは近位端から遠位端まで延在し、少なくとも1つの膨張チューブは第3タイプのポリマー材料から形成され、少なくとも1つの膨張チューブの各々は管状体よりも耐キンク性が高く、第2タイプのポリマー材料が、第3タイプのポリマー材料とは異なり、管状体の外側断面形状が、管状体に沿って少なくとも1つの膨張チューブの上に延在する隆起部を有する、少なくとも1つの膨張チューブとを備える、管状体と、管状体の遠位端に取り付けられたバルーンであって、少なくとも1つの膨張チューブがバルーンと連通しており、バルーンが、心臓の冠静脈を少なくとも部分的に閉塞するように膨張可能である、バルーンとを備えるガイドカテーテルに関する。
【0011】
例12では、例11のガイドカテーテルであって、バルーンが、膨張した時、冠静脈内の逆行する血流の向きを変える尖っていない遠位端外形と、バルーンが少なくとも部分的に膨張した時にバルーンをシース内に引き込むために必要な後退力を最小限にする先細りの近位端外形とを有する。
【0012】
例13では、例11または12のいずれかのガイドカテーテルであって、ジャケットが、少なくとも1つの膨張チューブの下にあり、かつ編組体を少なくとも部分的に被覆する、第2タイプのポリマー材料の第1層と、少なくとも1つの膨張チューブの上に半径方向に配置されかつ第1層に結合された、第2タイプのポリマー材料の第2層であって、管状体の外側断面形状の前記隆起部が、第2層によって少なくとも部分的に形成されている、第2層とを備える。
【0013】
例14では、例11〜13のいずれかのガイドカテーテルであって、少なくとも1つの膨張チューブの各々が、少なくとも1つの膨張チューブが管状体よりも高い伸び特性を有することに少なくとも部分的に基づいて、管状体よりも耐キンク性が高い。
【0014】
例15は、ガイドカテーテルを作製する方法であって、管状体を形成するステップであって、管状体が、近位端、遠位端、および近位端から遠位端まで延在する主内腔を有し、管状体が、ポリマー管の上に編組体を延在させるステップであって、ポリマー管が第1タイプのポリマー材料から形成される、ステップと、編組体およびポリマー管の上に第2タイプのポリマー材料の第1層を付与するステップと、第1層の外面に沿って少なくとも1つの膨張チューブを配置するステップであって、少なくとも1つの膨張チューブが、第2タイプのポリマー材料とは異なる第3タイプのポリマー材料から形成される、ステップと、第1層および少なくとも1つの膨張チューブの上に第2タイプのポリマー材料の第2層を付与するステップであって、第2層の付与中に熱を加えて第2層を第1層に結合し、かつ第1層と第2層との間に少なくとも1つの膨張チューブを埋め込む、ステップとによって形成される、ステップと、少なくとも1つの膨張チューブを介してバルーンを膨張および収縮させることができるように、少なくとも1つの膨張チューブの各々の遠位先端部の上の管状体にバルーンを取り付けるステップとを含む方法に関する。
【0015】
例16では、例15の方法であって、第3タイプのポリマー材料の溶融温度が、第2タイプのポリマー材料の溶融温度よりも高い。
例17では、例16の方法であって、第2層を付与するステップが、第2層を、第2タイプのポリマー材料の溶融温度に略等しいが第3タイプのポリマー材料の溶融温度よりも低い温度まで加熱することを含む。
【0016】
例18では、例15〜17のいずれかの方法であって、少なくとも1つの膨張チューブが、第1層の外面に沿って配置された時にビーディングを含み、第2層が第1層および少なくとも1つの膨張チューブの上に付与された後に、少なくとも1つの膨張チューブからビーディングが除去される。
【0017】
例19では、例15〜18のいずれかの方法であって、第1層の外面に沿って少なくとも1つの膨張チューブを配置するステップが、第1層の外面に沿って少なくとも2つの膨張チューブを配置することを含み、第2層を付与するステップが、少なくとも2つの膨張チューブの上に第2層を付与することを含み、バルーンを取り付けるステップが、少なくとも2つの膨張チューブの内腔を介してバルーンを膨張および収縮させることができるように、少なくとも2つの膨張チューブの各遠位先端部の上の管状体にバルーンを取り付けることを含む。
【0018】
例20では、例15〜19のいずれかの方法であって、第2層を付与するステップが、第1層および少なくとも1つの膨張チューブの上に第2タイプのポリマー材料から形成された管を配置することと、第2タイプのポリマー材料から形成された管の上に、第4タイプのポリマー材料から形成された熱収縮チューブを配置することと、熱収縮チューブに沿って熱を加えて、管の第2タイプのポリマー材料が第1層の第2タイプのポリマー材料と結合するようにすることと、管状体の上から熱収縮チューブを除去することとを含む。
【0019】
複数の実施形態を開示するが、本発明のさらに他の実施形態が、本発明の例示的な実施形態を示し記載する以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。したがって、図面および詳細な説明は、限定するものではなく本質的に例示するものとしてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】冠状静脈洞の付近に植込まれた心臓リードを示す。
図2】冠状静脈洞を通してリードを植込むためのガイドカテーテルを示す。
図3】冠状静脈洞に挿管され冠状静脈洞を部分的に閉塞するガイドカテーテルを示す。
図4A】ガイドカテーテルの断面図を示す。
図4B】ガイドカテーテルの断面図を示す。
図5】ガイドカテーテル上のバルーンを示す。
図6】ガイドカテーテルを作製する方法のフローチャートを示す。
図7】ガイドカテーテルを用いてリードを植込む方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な変更形態および代替形態が可能であるが、具体的な実施形態を図面に例として示し、以下詳細に説明する。しかしながら、本発明を記載する特定の実施形態に限定する意図はない。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義するような本発明の範囲内にあるすべての変更形態、均等物および代替形態を包含するように意図されている。
【0022】
図1は、近位端16および遠位端18を有するリード14に結合されたパルス発生器12を含む心調律管理システム10の概略図である。リード14は、左鎖骨下静脈(図示せず)の壁に形成された血管進入部位を通って血管系に進入し、左腕頭静脈(図示せず)および上大静脈21を通って伸長して患者の心臓20にアクセスすることができる。リード14の遠位端18は、右心房22を通り、冠状静脈洞開口部29を通って冠状静脈洞31内に伸長することができる。リード14の図示する位置は、不整脈または他の心疾患の治療のために、センシングを行い、ペーシングパルスを送達し、かつ/または心臓20の左側に除細動エネルギーを送達するために使用され得る。リード14を接続することができるパルス発生器12を、患者の胸部または腹部に形成されたポケット内に植込むことができる。本明細書においてさらに説明するように、リード14を、ガイドカテーテルを用いて冠状静脈洞31内に送達することができる。
【0023】
図2は、ガイドカテーテル40の概略図を示す。ガイドカテーテル40は、管状体41、近位端42および遠位端43を含むことができる。管状体41は、管状体41の全長にわたって延在する主内腔を含むことができる。主内腔は、遠位先端部46に開口部44を有することができる。主内腔へは、ハブ45の主ポート47からアクセス可能である。ハブ45は、ハンドル45、膨張ポート48および造影剤ポート49を含むことができる。ガイドカテーテル40の遠位先端部46は、遠位先端部46が放射線不透過性となるようにタングステンを含有するポリマーを含むことができる。
【0024】
図3は、冠状静脈洞31に挿管されるガイドカテーテル40を示す。ガイドワイヤ90の遠位端91が、ガイドカテーテル40の主内腔から分岐血管内に遠位方向に延在することができる。膨張ポート48は、ガイドカテーテル40内に流体を導入する第2シリンジ38または他のデバイスと連結することができる。膨張ポート48は、管状体41に沿ってガイドカテーテル40の遠位端43のバルーン70まで延在することができる1つまたは複数の膨張チューブと連通することができる。バルーン70は、膨張ポート48に接続された第1シリンジ38によって提供される流体によって膨張させることができる。バルーン70は、冠状静脈洞31を少なくとも部分的に閉塞するように膨張させることができる。
【0025】
造影剤ポート49は、造影剤(たとえば、X線装置による静脈造影撮像において感知されるイオジン)を導入する第2シリンジ37または他のデバイスと連結することができる。造影剤ポート49は、造影剤を、ガイドカテーテル40を通して冠状静脈洞31および分岐血管内に送るために、ガイドカテーテル40の主内腔および/または造影剤内腔と連通することができる。造影剤は、様々な実施形態で主内腔の遠位開口部44から出ることができる。静脈造影術の一部として造影剤を導入することにより、遠位開口部44の遠位側の分岐血管の視覚化が可能になり、リード14の正確な配置を容易にすることができる。しかしながら、可能な植込み部位を表す分岐血管は、一般には、造影剤が注入される冠状静脈洞31に対して上流である。したがって、造影剤の移動を、冠状静脈洞31内の通常の血流に対して逆行させる必要が生じ得る。可能な植込み部位への造影剤の流れを容易にするために、冠状静脈洞31内の血流を部分的にまたは完全に阻止するようにバルーン70を膨張させて、分岐血管の視覚化のために造影剤を分岐血管内に移動させることができる。
【0026】
図4A図4Bは、管状体41の断面図を示す。図4A図4Bは、管状体41がライナ51の内面52によって画定される主内腔50を備えることを示す。いくつかの実施形態では、ライナ51は、管状体41の全長にわたって延在する長尺状の管である。主内腔50は、リードを主内腔50内で前進させることができるような寸法とすることができる。たとえば、主内腔50の内径は約1.65mm(約0.065インチ)〜約2.67mm(約0.105インチ)であり得る。いくつかの実施形態では、ライナ51を、第1タイプのポリマー材料から形成することができる。第1タイプのポリマー材料は、リード14の前進中に主内腔50の内面52とリード本体との間の摩擦を最小限にするように滑らかなまたは他の低摩擦材料であり得る。様々な実施形態では、第1タイプのポリマー材料はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。様々な実施形態では、ライナ51は、外径が約1.70mm(約0.067インチ)〜約2.72mm(約0.107インチ)である。様々な実施形態では、ライナ51の壁厚さを約0.025mm(約0.001インチ)とすることができる。
【0027】
様々な実施形態では、管状体41は、半径方向外側でライナ51に隣接する編組体54の層を含むことができる。図4Aに示すように、編組体54は、ライナ51を円周方向に取り囲んでもよい。編組体54は、ステンレス鋼ワイヤの編紐とすることができるが、これに加え、またはこれに代えて、他の材料を使用することができる。編組体54は、管状体41に沿ったトルクの伝達を容易にし、かつ/または管状体41のキンクに抵抗するように、管状体41を補強することができる。いくつかの実施形態では、編組体54は、管状体41の全長にわたって延在することができる。他のいくつかの実施形態では、編組体54は、遠位先端部46またはガイドカテーテル40の他の遠位部分まで延在しない場合があり、それにより、ガイドカテーテル40の1つまたは複数の遠位部分を、編組体54を含む1つまたは複数の近位部分に対してより可撓性にすることができる。いくつかの実施形態では、個々の編組ワイヤの直径を約0.10mm(約0.004インチ)とすることができる。すべての実施形態がライナ51および/または編組体54を含むとは限らないことに留意されたい。
【0028】
管状体41は、編組体54を覆うジャケット53をさらに含むことができる。管状体41は、管状体41の外面59を画定し得る。ジャケット53は、ポリマー材料の複数の層を含むことができる。図4Aに示すように、ジャケット53は、ポリマー材料の第1層55およびポリマー材料の第2層57を含むことができる。第1層55および第2層57の各々を、ライナ51を形成するために使用される第1タイプのポリマー材料に対して第2タイプのポリマー材料から形成することができる。様々な実施形態において、第2タイプのポリマー材料はポリエーテルブロックアミド(PEBA)であり得る。第1層55および第2層57が各々、同じタイプのポリマー材料から形成される実施形態では、第1層55を、管状体41の長さに沿って結合させることができる。第1層55と第2層57との境界を図示するために、基準線56が提供されているが、第1層55と第2層57との間では、ポリマー材料は連続しており同一であってもよい。たとえば、第1層55および第2層57を、互いに継目なしに結合してジャケット53を形成することができる。第1層55および第2層57を同じタイプのポリマー材料から形成することができるが、いくつかの実施形態では、第1層55および第2層57を、異なるタイプのポリマー材料から形成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1層55は少なくとも部分的に編組体54を被覆し、編組体54とジャケット53とを機械的に結合することができる。いくつかの実施形態では、ジャケット53は、管状体41の全長にわたって延在することができる。いくつかの実施形態では、第1層55および第2層57は、管状体41の全長にわたって延在することができる。しかしながら、他のいくつかの実施形態では、第1層55のみが管状体41の全長にわたって延在し、第2層57は、管状体41の全長よりも短い長さにわたって延在していてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、第2層57は、バルーン70まで延在しない場合があり、またはバルーン70の一部と重なるがバルーン70の遠位側には延在しない場合がある。
【0030】
ポリマー材料の複数の層を使用してするジャケット53を形成ことにより、ジャケット53内に1つまたは複数の膨張チューブを埋め込むことができる。図4Aは、ジャケット53内に埋め込まれた第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を示す。特に、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は各々、基準線56によって示すように、ジャケット53の第1層55と第2層57との間に位置している。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は、各膨張チューブがハブ45とバルーン70との間で管状体41に沿ってまっすぐに延在するように、管状体41の長手方向軸に沿って配列される。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を、各膨張チューブが管状体41の周囲でらせん状になるように、ジャケット53内で曲がりくねらせることができる。
【0031】
第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は、各々、第3タイプのポリマー材料から形成することができる。第3タイプのポリマー材料は、ジャケット53の第1層55および第2層57を形成する第2タイプのポリマー材料とは異なるタイプであり得る。たとえば、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62はPTFEから形成することができ、ジャケット53の第1層55および第2層57はPEBAから形成することができる。別法として、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62はFEPから形成することができる。第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62の第3タイプのポリマー材料とジャケット53の第2タイプのポリマー材料との間の結合を容易にするように、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62の外面を化学エッチングすることができる。図4Aは、ジャケット53の層の間に埋め込まれた2つの膨張チューブを示すが、様々な実施形態では、ジャケット53の層の間に、単一の膨張チューブ、3つの膨張チューブ、またはより多くの膨張チューブを埋め込むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は、図3に関して本明細書に記載した、膨張ポート48とバルーン70との間の連通回路の一部を形成することができる。したがって、膨張ポート48に導入される流体は、第1膨張チューブ61、第2膨張チューブ62およびバルーン70を加圧して、バルーン70を部分的にまたは完全に膨張させることができる。膨張ポート48とバルーン70との間の連通回路は封止可能であり、それにより、膨張ポート48からそれ以上流体を導入することなく所望の期間、圧力を維持することができる。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61または第2膨張チューブ62のいずれかは、管腔内に延在する長尺状金属部材を有することができる。別法として、第1膨張チューブ61または第2膨張チューブ62のいずれかを、長尺状金属部材に置き換えることができる。長尺状金属部材は、隣接しかつ開放した膨張チューブに耐つぶれ性を提供することができ、それにより、管状体41のキンクまたは圧縮中に、少なくとも1つの膨張チューブを開放形態で維持することができる。
【0033】
様々な実施形態では、ガイドカテーテル40は、主内腔50内のリードの前進の案内も行いながら、静脈造影図が撮影されるのを可能にするように冠状静脈洞31をバルーン70で部分的にまたは完全に閉塞することができるという点で、多機能性を有することができる。ガイドカテーテル40の多機能性により、リード植込み処置で使用され得る複数のカテーテルおよび追加の処置ステップをガイドカテーテル40で置き換えることができる。
【0034】
たとえば、従来法では、静脈造影図を得るために、閉塞バルーンおよび造影剤導入用の内腔を有する小型カテーテルが使用され得る。小型カテーテルはその後引き抜かれ、それよりも大型の従来のガイドカテーテルであって、バルーンを持たないがリードを収容するには十分な大きさであるガイドカテーテルに置換される。しかしながら、従来の静脈造影用カテーテルの内腔を、リードを収容するように拡張させることにより、または従来のガイドカテーテルにバルーンおよび膨張内腔を追加することにより、これらのカテーテルの外側形状が、冠状静脈洞31に挿管されるには大きすぎるサイズまで拡張する可能性がある。本開示の実施形態は、複数の膨張チューブの使用および/またはジャケットの異なる層の間に膨張チューブを埋め込むこと等、本明細書において説明する様々な特徴を含むことにより、ガイドカテーテル40の外形を最小化する。
【0035】
バルーンを膨張および収縮させるために発生させる必要がある膨張圧力は、バルーンに連通している膨張チューブの内部断面積と負の相関関係にある。発生する陰圧により膨張チューブ壁が内側に引っ張られ、断面積が縮小し、収縮プロセスが遅くなることがあるため、大きい内部断面積を有することがバルーン収縮を促進するのに有用である。たとえば、場合によっては、膨張時間に比べ、バルーンを収縮させるために10倍長い時間がかかる可能性がある。しかしながら、閉塞バルーンを収縮させる時間は、心臓内の血流が阻止される時間を短縮するように、かつ問題が発生した場合にガイドカテーテルの迅速な除去を可能にするように、最小限にするのが理想である。
【0036】
本開示の様々な実施形態において、複数の膨張チューブを設けることで、バルーン70を膨張および収縮させるために必要な総断面積を分割することができる。複数の膨張内腔は、同じ総断面積を有する単一の膨張内腔に比べて高さを低くすることができる。図4Aでは、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62はジャケット53の外面59において隆起部60の下方に示されている。隆起部60は、隆起部60のない外面59に比べて管状体41の外側形状を距離「d」だけ大きくする。いくつかの実施形態では、「d」は約0.178mm(約0.007インチ)である。第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62が、総内腔断面積が同じである単一膨張チューブに置き換えられた場合、距離「d」は大きくなる。したがって、管状体41の外面59の外側形状を、第1膨張チューブ61と第2膨張チューブ62と(または他の数の膨張チューブと)の間でバルーン70の膨張を分割することによって最小限にすることができる。
【0037】
第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を隆起部60内に少なくとも部分的に収容し、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62のすべてが1つの隆起部60内にあることにより、膨張内腔がカテーテルの壁に組み込まれている場合に比べ、管状体41の外側形状の拡張を最小限にすることができる。従来の膨張内腔がカテーテル壁に(たとえば、押出成形により)組み込まれた場合、管状体41の半径は、管状体41の円周方向に距離「d」だけ増大する。管状体41の円周全体の半径が隆起部60と同じ半径まで増大するのに対し、隆起部60の幅および外形は限定され得る。外側形状を隆起部60に沿ってわずかな量だけ増大させながら、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を管状体41に追加することができるため、管状体41を、静脈造影を実施するためにバルーン70の膨張を可能にしつつ、本質的に従来のガイドカテーテルと同じサイズ(たとえば約3mm(約9フレンチ))とすることができる。
【0038】
本明細書に記載するように、ジャケットの層の間に1つまたは複数の膨張チューブを埋め込むことには、特定の利点がある。従来法において、つぶれたかまたは他の態様で塞がれた膨張チューブは、バルーンが膨張している間にその膨張チューブがつぶれる場合、特定の問題を生じる可能性がある。バルーンが膨張した状態ではカテーテルを物理的に取り出すことができず、なおかつ、膨張内腔がつぶれたかまたは他の態様で塞がれたことでバルーンを収縮できないため、カテーテルが血管内で詰まってしまう可能性がある。
【0039】
本明細書では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62がつぶれるのを回避するかまたはその迅速な回復を容易にするために、様々な特徴を開示する。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を、管状体41よりもキンクする可能性が低くなるように構成することができる。こうした実施形態では、管状体41のキンクは第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62のキンクをもたらさない可能性がある。その理由は、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62が依然として、より大きい管状体41のキンクの屈曲部に沿って湾曲し得るためである。管状体41がよりキンクし易い場合、使用者が第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62をキンクさせる可能性は低いと考えられる(たとえば、状況によっては、使用者は第1膨張チューブ61をキンクさせる可能性のある位置にガイドカテーテル40を置けるようになる前に、管状体41を既にキンクさせ、引き抜いてしまっている可能性がある)。第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を管状体41よりも耐キンク性にするために、様々な特徴を提供することができる。たとえば、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は、管状体41よりも高い伸び特性を有することができる。伸び特性は、降伏ひずみ限界であってもよい。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62の各々は、管状体41(たとえば、ライナ51、編組体53およびジャケット53を含む)の壁厚さとガイドカテーテル40の外径との比よりも大きい、膨張チューブの壁厚さと膨張チューブの外径との比(すなわち、壁厚さ対外径比)を有することができる。いくつかの実施形態では、この大きい壁厚さ対外径比のため、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は管状体41に比べてキンクしにくくなり得る。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61(または第2膨張チューブ62)の外径と管状体41の外径との間の比(すなわち、膨張チューブ外径対ガイドカテーテル外径比)は、約0.15未満である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明するように、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を、第3タイプのポリマー材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62の第3タイプのポリマー材料は、比較的低い粘着性を有することができ、それにより、膨張チューブ内腔を、内腔がつぶれた時に剥がし易くするかまたはくっつきにくくすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62を融合させて、共通の長尺状構造体の一部とすることができる。いくつかの実施形態では、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62は、楕円形の外側形状を有することができる。場合によっては、第1膨張チューブ61の膨張内腔および第2膨張チューブ62の膨張内腔は楕円形の内側形状を有する。楕円形の外形は、円形の外形と比較して、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62が管状体41の外側形状に追加する高さを最小限にすることができる。
【0042】
図5は、血管76を少なくとも部分的に閉塞するように血管76内で膨張したバルーン70の概略図である。血管76は、冠状静脈洞31に相当するものであってもよい。図5に示すように、バルーン70は、血管壁78まで拡張しない。様々な実施形態では、バルーン70を、冠状静脈洞31を完全に閉塞するように血管壁78まで拡張するようなサイズとすることができる。図5に示すように、膨張した時、バルーン70の遠位端外形72(すなわち、遠位面)の勾配は、バルーン70の近位端外形71(すなわち、近位面)の勾配よりも急峻であり、したがって尖っていない外形および先細りの外形となる。
【0043】
流れ線75は、血管76内の血流の方向を示す。流れ線75は、血液がバルーン70の遠位端外形72に近づくに従い血流の向きが変わり、かつ/または血流が乱流になり得ることをさらに示す。遠位端外形72の尖っていない外形は、この外径がなければバルーン70の周囲を容易に流れることができたはずの血液の層流を乱し易くすることができる。したがって、バルーン70は血管76を完全に閉塞しない場合があるものの、遠位端外形72の尖っていない外形からもたらされる血流の方向転換および/または乱流は、注入された造影剤が血管76内の逆行する血流に打ち勝ち分岐血管に達し易くする。
【0044】
バルーン70の近位端外形71の比較的先細りの外形により、バルーン70を、イントロデューサ(図示せず)等の外側カテーテル内に円滑に引き込むのを容易にすることができる。たとえば、近位端外形71の先細りの外形は、バルーン70が少なくとも部分的に膨張する時にバルーン70をシース内に引き込むために必要な後退力を最小限にすることができる。また、近位端外形71の先細りの外形は、ガイドカテーテル40が外側カテーテル内に引き込まれる場合に引っ掛かりにくくすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、バルーン70を、完全にコンプライアントな(fully compliant)ポリマー材料、セミコンプライアント(semi−compliant)ポリマー材料またはノンコンプライアント(non−compliant)ポリマー材料から予め形成することができる。様々な実施形態では、バルーンを、ウレタン材料、PEBA材料またはシリコーン材料から形成することができる。セミコンプライアントポリマー材料またはノンコンプライアントポリマー材料からバルーン70を形成することにより、バルーン70が、膨張した時に、異なる近位端外形71および異なる遠位端外形72の外形を有することが可能になる。近位端外形71の先細りの外形および遠位端外形72の尖っていない外形を、先細りの外形および尖っていない外形に対応する形状を有する熱成形品から形成することができる。
【0046】
バルーン70は、近位尾部73および遠位尾部74を含むことができる。バルーン70の内部を封止しバルーン70が圧力を保持するのを可能にするように、近位尾部73および遠位尾部74を管状体41に接着させることができる。管状体41の外面と近位尾部73および遠位尾部74の内面との間の熱接着または接着剤の塗布により、近位尾部73および遠位尾部74を管状体41に結合することができる。近位尾部73と遠位尾部74との間の距離に応じて、様々な形状の遠位端外形72を支持することができる。たとえば、近位尾部73および遠位尾部74が管状体41に結合される位置が互いに近づけられる場合、遠位端外形72の外形は、血管76の逆行する血流を妨害可能なしわの寄った(puckered)形状を形成することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、近位尾部73を、隆起部60に重なるように管状体41に結合することができる。膨張チューブ61および62は、隆起部60から遠位側に現れ、バルーン70の内部へのアクセスを可能にすることができる。図5に示すように、第2層57は、近位尾部73の遠位側かつ遠位尾部74の近位側のバルーン70の表面下で終端することができる。第1層55は、第2層57の遠位側に、かつ近位尾部73および遠位尾部74の両方の遠位側に延在することができる。隆起部60は、バルーン70の表面下で終端することができる。隆起部60は、第2層57の遠位側終端において終端することができる。他のいくつかの実施形態では、第2層57は、遠位尾部74の遠位側に延在する。リードを、主内腔50の遠位開口部44から出して血管76内に遠位側に前進させることができる。
【0048】
図6は、ガイドカテーテルを作製する方法のフローチャートを示す。本方法を用いて、図2図5のガイドカテーテル40を作製することができる。本方法は、管の上に編組体を延在させるステップ100を含む。いくつかの実施形態では、編組体を管の上に延在させる100前に、管に剛性を与えるように管をマンドレルの上に配置することができる。管は、ライナ51に相当し得る。管は、リードの通過を可能にするような寸法である主内腔を有することができる。管は、第1タイプのポリマー材料から形成することができる。管の上に延在する100編組体は、編組体54に相当し得る。編組体を、管の上に配置できるようなスリーブ状に予め巻いておき、その後、編組体の近位端および遠位端の両方を引っ張って、編組体を管上に適合させることができる。
【0049】
本方法は、編組体の上にポリマー材料の第1層を付与するステップ101をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリマー材料の第1層を、第2タイプのポリマー材料から作製することができる。第1層を付与するステップは、編組体の上に第2タイプのポリマー材料の管を配置することと、その後、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)等の熱収縮チューブを第2タイプのポリマー材料の管の上に配置し、熱収縮チューブを加熱して第2タイプのポリマー材料が編組体の上および中を流れて第1層を形成するようにすることとを含むことができる。その後、熱収縮チューブを取り除いて、第1層を露出させることができる。いくつかの代替実施形態では、第1層を、編組体の上に押出成形することができる。
【0050】
本方法は、ビーディング(数珠つなぎ状態のビーズ)を含む少なくとも1つの膨張チューブをポリマー材料の第1層に沿って配置するステップ102をさらに含む。ブレッディング(breading)は、ビーディングが膨張チューブの近位開口部および遠位開口部を越えて延在するように、膨張チューブ内の全体に延在することができる。ビーディングは、たとえばPTFEまたはFEPから作製することができる。ビーディングは、円形断面を有することができる。いくつかの実施形態では、ビーディングは、外径が約0.0762mm(約0.003インチ)〜約0.152mm(約0.006インチ)である。ビーディングは、後続する処理ステップの間に少なくとも1つの膨張チューブの各々の内腔を維持することができる。
【0051】
少なくとも1つの膨張チューブの各々は、第3タイプのポリマー材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、第3タイプのポリマー材料は、第1タイプのポリマー材料と同じである。少なくとも1つの膨張チューブは、第1膨張チューブ61および第2膨張チューブ62に相当し得るが、第1層に沿ってより多くの膨張チューブを配置する102ことも可能である。複数の膨張チューブが第1層に沿って配置される102いくつかの場合では、複数の膨張チューブを(たとえば、膨張チューブの側部に沿って)融合することにより、別個の内腔を備えた単一の長尺状構造体を形成することができる。単一の長尺状構造は、互いに結合されていない複数の管に比べて容易に扱いかつ配置する102ことができる。
【0052】
本方法は、第1層および少なくとも1つの膨張チューブの各々の上にポリマー材料の第2層を付与するステップ103をさらに含む。ポリマーの第2層は、最初は第1層に沿って延在する少なくとも1つの膨張チューブの上に適合するのに十分大きい内径を有する管を含むことができる。その後、第2層の管の上に収縮チューブ(たとえば、第2層の管よりも大きいFEP管)を配置し、それを加熱して第2層の管を第1層の上で溶融させ第1層とともに流動させることができる。第2層のポリマー材料を、第2タイプのポリマー材料とすることができ、それにより、第1層および第2層は溶融して互いに結合し、編組体を包囲する連続したポリマーのジャケットを形成し、その中に、少なくとも1つの膨張チューブが埋め込まれる。別法として、第1層および少なくとも1つの膨張チューブの上に第2タイプのポリマー材料を押出成形することにより、第2層を付与することができる103。いくつかの実施形態では、第2層は、少なくとも1つの膨張チューブの遠位端の遠位側に付与される103。こうした場合、膨張チューブの内腔にアクセスするために、第2層を通して穴をあけることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、第3タイプのポリマー材料は、第2タイプのポリマー材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有することができる。第2層の材料を、第2タイプのポリマー材料の溶融温度に略等しいが、第3タイプのポリマー材料の溶融温度よりも低い温度まで加熱することにより、第2層を付与することができる103。第3タイプのポリマー材料の方が第2タイプのポリマー材料よりも融点が高いことにより、いくつかの利点を提供することができる。第1に、第1層および第2層の第2タイプの材料が加熱されて溶融し再流動する際、膨張チューブおよびその中の膨張内腔の完全性が維持される。第3タイプのポリマー材料が、第2タイプのポリマー材料の溶融温度以下で溶融する場合(または、アセンブリが第3タイプのポリマー材料の溶融温度まで加熱された場合)、第3タイプのポリマー材料は、第2タイプのポリマー材料内に流れ込む可能性があり、膨張内腔を、第3タイプのポリマー材料によって完全に画定することができなくなる。本明細書において説明するように、各膨張チューブをジャケット材料とは異なる材料によって画定することにより、陰圧下で屈曲しつぶれている最中にキンクに抵抗する等、いくつかの利点を提供することができる。
【0054】
PTFEは、膨張チューブを形成する第3タイプのポリマー材料として好適であり得る。しかしながら、PTFEは、通常、ジャケットを形成する第2タイプの材料等、大部分の他の材料に結合しない。しかしながら、膨張チューブの外面を、第2タイプのポリマー材料が各膨張チューブの外面の周囲で溶融しそれに結合することができるように、化学エッチングすることができる。化学エッチングはまた、各膨張チューブがガイドカテーテルの外面で露出するのを防止することも可能である。様々な実施形態では、第2層を薄くすることができ、第2層のポリマー材料が膨張チューブの外側に結合しない限り、第2タイプのポリマー材料は、少なくとも1つの膨張チューブの周囲を流動して、管状体の外側で少なくとも1つの膨張チューブを露出させる可能性がある。したがって、各膨張チューブの外面の化学エッチングにより、管状体の円周方向外面が膨張チューブではなく第2層によって画定されることを確実にすることができる。
【0055】
本方法は、アセンブリ(たとえば、この段階では第1層と接合され少なくとも1つの膨張チューブを埋め込んだ第2層を含むアセンブリ、そこでは、編組体および管が第1層によって覆われている)の遠位端に沿って少なくとも1つの湾曲部を形成するステップ104をさらに含む。アセンブリを所望の形状に曲げ、その後、ジャケットを、第2タイプのポリマー材料の溶融温度に略等しいが第3タイプのポリマー材料の溶融温度よりも低い温度まで加熱することにより、少なくとも1つの湾曲部を熱硬化させることができる。
【0056】
本方法は、アセンブリの遠位端にバルーンを取り付けるステップ105をさらに含む。バルーンは、本明細書において例示し記載したバルーン70であり得る。場合によっては、バルーンの近位尾部がアセンブリに熱接着され(たとえば、この尾部を加熱して第2層に結合する)、その後、バルーンの遠位尾部もまたアセンブリに熱接着され得る。しかしながら、近位尾部が取り付けられた後に、かつ遠位尾部が管状体に取り付けられる前に、膨張チューブの各々からビーディングを除去することができる。このようにして、膨張内腔の完全性に影響を与える可能性がある著しい加熱を伴う処理ステップ(たとえば、付与ステップ103および形成ステップ104)の各々を、ビーディングを膨張チューブから除去することができるように完了することができる。場合によっては、ビーディングの近位端および遠位端の両方を同時に引っ張ってビーディングを伸長させることにより、ビーディングの外形を縮小してビーディングの除去を容易にすることができる。PTFE材料は、加熱を伴う先行するステップの間に膨張チューブの第3タイプの材料に付着する可能性が低いため、PTFEビーディングは他の材料に比べて容易に除去することができる。さらに、少なくとも1つの膨張チューブを形成する第3タイプのポリマー材料が、先行する加熱ステップのいずれによっても第3タイプのポリマー材料の溶融温度まで加熱されないようにすることは、ビーディングと少なくとも1つの膨張チューブとの間の結合を回避するのに役立つ。バルーンを取り付ける105前に少なくとも1つの湾曲部を形成する104ことが好ましい場合があり、その理由は、バルーンがその湾曲部のうちの1つにまたがっている場合があり、湾曲部を熱硬化させるプロセスがバルーンを溶融させる可能性があるためである。
【0057】
本方法は、アセンブリの近位端にハブを取り付けるステップ106をさらに含む。ハブは、図2のハブ45であり得る。数ある取付け方法の中でも特に、熱溶接、医療用接着剤または溶剤接着でハブを取り付ける106ことができる。ハブは、管状体の主内腔へのアクセスポートを含むことができる。ハブは、少なくとも1つの膨張チューブ(たとえば、2つ以上の膨張チューブ)と連通する単一の膨張ポートを含むことができ、膨張ポートは、膨張チューブの各々に分岐する。ハブは、造影剤を主内腔内に導入するポートを含むことができる。
【0058】
図7は、ガイドカテーテルを用いてリードを植込む方法のフローチャートを示す。本方法は、たとえば、図2および図3のガイドカテーテル40を用いて行うことができる。本方法は、ガイドカテーテルを静脈系に導入するステップ110を含む。ガイドカテーテルは、左鎖骨下静脈または他の血管の壁に形成された血管進入部位を通して静脈系に導入する110ことができる。場合によっては、ガイドカテーテルを、左腕頭静脈および上大静脈を通して右心房まで前進させることができる。右心房から、冠状静脈洞に、ガイドカテーテルの遠位端によって挿管する111ことができる。その後、ガイドカテーテルのバルーンを膨張させて、冠状静脈洞を少なくとも部分的に閉塞する112ことができる。様々な実施形態において、バルーンは液体ではなく空気で膨張させる場合がある。その理由は、少なくとも1つの膨張チューブ(このチューブはガイドカテーテルの外側外形を最小にするために特に小さい場合がある)の少なくとも1つの膨張内腔を介してバルーンを膨張させるのに必要な液圧が、そのガイドカテーテルの構成要素が操作されるには高すぎるか、かつ/または使用者が適度に生じさせるには高すぎる可能性があるためである。冠状静脈洞の逆行する血流が少なくとも部分的に阻止された状態で、ガイドカテーテルの主内腔を通して冠状静脈洞に造影剤(たとえば、放射線透過染料)が導入される113。
【0059】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤをガイドカテーテルのハブおよび主内腔を通して挿入して、冠状静脈洞内に伸長させることができる。造影剤の導入113によって明らかになる血管系に基づいて、標的血管を識別することができ、ガイドワイヤは標的血管にアクセスする114ことができる。造影剤の導入113は、ガイドワイヤの遠位端が血管系内を進められるに従い、必要に応じて繰り返されてもよい。
【0060】
ガイドワイヤが標的血管にアクセスする114と、リードを、ガイドカテーテル内でガイドワイヤにわたって前進させる115。リードは、標的血管までガイドワイヤをたどることができる。リードが標的血管において適所に置かれると、ガイドカテーテルをリードの上から取り除く116ことができる。いくつかの実施形態では、リードは、リードを適所に残しながらガイドカテーテルを取り除くことができるように、ガイドカテーテルが分割されるのを可能にする1つまたは複数の特徴を有している。たとえば、ガイドカテーテルのハブは、ハブの相対的に薄く容易に切断される部分を通るように刃を向けるガイドを有することができる。ガイドはさらに、刃を、ガイドカテーテルの管状体内の中をそれに沿うように向けることができる。
【0061】
本明細書に提示した例示的な実施形態は、リードを冠状静脈洞に送達するガイドカテーテルに関するが、本デバイスおよび方法を、体内の他の様々な位置へのリードの送達に適用することができる。本明細書に提示する例示的な実施形態は、リードを送達するガイドカテーテルに関するが、本特徴および方法を、(たとえば、リードの送達を伴わない場合もある)バルーンおよび1つまたは複数の膨張チューブを有するカテーテルに適用することができる。こうしたカテーテルは、体内で1つまたは複数の他の長尺状要素を送達するように構成されてもよい。
【0062】
説明した例示的な実施形態に対し、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および追加を行うことができる。たとえば、上述した実施形態は特定の特徴について述べているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組合せを有する実施形態、および記載した特徴のすべては含まない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲は、このような代替形態、変更形態および変形形態のすべてを、それらのすべての均等物とともに、請求項の範囲内に包含するように意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】