(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528406(P2015-528406A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】印刷システムのサービス
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20150901BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/165 503
B41J2/01 401
B41J2/01 303
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-531900(P2015-531900)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月17日
(86)【国際出願番号】US2012056264
(87)【国際公開番号】WO2014046658
(87)【国際公開日】20140327
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】セセル,ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレロ,ホセ・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ジェフレイ,エイ
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EA14
2C056EA16
2C056EB07
2C056EC07
2C056EC23
2C056EC37
2C056FA10
2C056FA13
2C056JB04
2C056JB08
(57)【要約】
一例によれば、複数のプリントヘッドを取り付け可能なプリントバーを有する印刷システムが提供される。システムは、プリントヘッドノズルのグループにノズルサービス動作を選択的に行うためにプリントバーの長さにわたって移動可能なノズルサービスモジュールを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリントヘッドを取り付け可能なプリントバーを有する印刷システムであって、
プリントヘッドノズルのグループにノズルサービス動作を選択的に実行するための前記プリントバーの長さにわたって移動可能なノズルサービスモジュールを含む、印刷システム。
【請求項2】
前記ノズルサービスモジュールが、プリントヘッドノズルのグループにワイピング動作を選択的に実行するためのノズルワイピング要素を更に含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記プリントヘッドノズルのグループが、1つ又は複数のプリントヘッド上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ノズルサービスモジュールが、前記プリントバーを移動させずに、プリントヘッドノズルのグループにサービス動作を実行することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プリントバー上のプリントヘッドがページ幅アレイの構成に配列されており、その結果、取り付けられた際に、前記プリントヘッドが、印刷が行われ得る印刷区域の全幅を実質的に網羅し、前記プリントバーが基体の上に所定の高さで配置され、前記ノズルサービスモジュールが、前記プリントバーの前記高さを変更せずに、プリントヘッドノズルのグループにサービス動作を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プリントバーに平行に移動可能であり、補助プリントヘッドを取り付け可能なプリントヘッドキャリッジを更に含み、前記システムは、以下のこと、即ち
前記プリントバーに沿って、前記プリントバーの一端部から、ノズルサービス動作を行うための位置に前記ノズルサービスモジュールを移動させ、
前記プリントヘッドサービスモジュールと同期して前記プリントヘッドキャリッジを移動させ、
印刷動作中、前記プリントヘッドサービスモジュールにより隠される前記プリントバー上のプリントヘッドノズルに意図されたプリントヘッド制御データを、前記補助プリントヘッドの対応するノズル回路に転送することを行うためのコントローラを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記プリントバー上の前記プリントヘッドと前記補助プリントヘッドとの間の水平距離に基づいて、前記転送されるプリントヘッド制御データのタイミングを変更するように更に構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記印刷システムが、印刷動作を行うと同時に、実行されている前記印刷動作を中断せずに、前記ノズルサービスモジュールが前記プリントバー上のプリントヘッドにノズルサービス動作を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記補助プリントヘッドが、2つ以上のプリントヘッドからのノズルに取って代わる、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記補助プリントヘッドの前記ノズルが、前記ノズルサービスモジュールにより隠されているノズルの先を行く、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
プリントバー上のプリントヘッドにサービス動作を行う方法であって、
印刷動作を行い、
前記プリントバー上のプリントヘッドのプリントヘッドノズルにサービス動作を行うためにプリントヘッドサービスモジュールを移動させ、
前記プリントヘッドサービスモジュールにより隠されるプリントヘッドノズルと位置合わせするために補助プリントヘッドのノズルを位置決めし、
前記プリントバー上の隠されたノズルのノズル回路に意図されたプリントヘッド制御データを、前記補助プリントヘッドのノズル回路に転送することを含む、方法。
【請求項12】
前記印刷動作を行うと同時に、前記印刷動作を中断せずに前記サービス動作を行うことを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記印刷動作を行うステップが、印刷ジョブを印刷することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記プリントヘッドサービスモジュールを移動させるステップが、前記プリントバー上の全てのプリントヘッドノズルにサービス動作を行うために、前記プリントバーの一端部から他端部まで前記プリントヘッドサービスモジュールを移動させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記プリントバー上の前記プリントヘッドと前記補助プリントヘッドとの間の距離に基づいて、前記転送されるプリントヘッド制御データのタイミングを変更することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
インクジェットプリントヘッドは、プリントヘッドノズルの近傍のインク残滓が固まることに起因して、プリントヘッドノズルが閉塞または部分的にふさがるようになることを欠点として持つ可能性がある。閉塞またはふさがったプリントヘッドノズルは、特にインク滴が印刷動作中に計画通りにノズルによって吐出されない場合には、印刷品質の問題の原因となる可能性がある。
【0002】
印刷区域の上を移動可能なプリントヘッドを有する印刷システムのような、可動プリントヘッドを使用する印刷システムにおいて、プリントヘッドは、印刷区域からプリントヘッドサービスステーションへと移動することができる。プリントヘッドサービスステーションにおいて、プリントヘッドノズルは例えば、印刷区域に戻される前に、インクつぼへパージされることにより、又は機械的なワイピング機構でもってワイピングされることにより、サービス(保守、手入れ)され得る。
【0003】
さて、本発明の例または実施形態が、制限しない単なる例示のために添付図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】一例による、印刷システムの一部のブロック図である。
【
図2】一例による、ノズルワイピングモジュールの断面図である。
【
図3】一例による、印刷システムの一部のブロック図である。
【
図4a】一例による、印刷システムの一部を示すブロック図である。
【
図4b】一例による、印刷システムの一部を示すブロック図である。
【
図4c】一例による、印刷システムの一部を示すブロック図である。
【
図4d】一例による、印刷システムの一部を示すブロック図である。
【
図5】一例による、方法例を概説する流れ図である。
【
図6】一例による、コントローラのブロック図である。
【0005】
詳細な説明
さて、
図1を参照すると、そこには一例による印刷システム100の簡易ブロック図が示されている。
【0006】
印刷システム100は、複数のインクジェットプリントヘッド104を取り付け可能なプリントバー102を有するページ幅アレイ印刷システムである。プリントヘッドは、サーマルインクジェットプリントヘッド又はピエゾインクジェットプリントヘッドのような、任意の種類のインクジェットプリントヘッドとすることができる。プリントヘッド104は、印刷が行われ得る印刷区域106の全幅をプリントヘッドが実質的に網羅するように、長手方向のアレイ構成で配列されている。従って、印刷システム100は、プリントバー102の下において、プリントバーに垂直な媒体前進方向110に基体108を進めることにより、印刷区域106において基体108の全幅に沿って印刷することができる。図示された例において、プリントヘッドは千鳥配列構成に配列されているが、他の例において、千鳥配列されていない線形構成が使用され得る。
【0007】
印刷システム100の動作は、プリンタコントローラ114により制御される。
【0008】
印刷システム100は、印刷されるべきイメージを表すデータに基づいて、プリントヘッドノズル噴射データを生成するノズル制御データ生成器116を含む。一例において、ノズル制御データ生成器116は、プリンタコントローラ114へ組み込まれるが、別の例において、それはプリンタコントローラ114から独立している。生成されたノズル制御データはプリントヘッド104に供給され、その結果、基体108がプリントバー102の下で進められる際に、プリントヘッド104の適切なノズルが特定の時間にインク滴を吐出して基体108上に印刷されるべきイメージを再現する。
【0009】
印刷システム100は、プリントバー102が印刷システム100の通常の動作中に印刷区域106の外へ移動できないように構成される。幾つかの例において、印刷システム100は、大判印刷システムとすることができ、この場合、プリントバー102は、長さが1mを超えるかもしれない。従って、ノズルサービス動作を行うために印刷区域106の外へ移動可能な係るプリントバーを有することは、一般に実用的ではない。
【0010】
印刷システム100は更に、ノズルサービスモジュール112を含み、その例がより詳細に
図2に示される。
【0011】
ノズルサービスモジュール112は、プリントバー102上に実装されたプリントヘッド104のノズルにノズルサービス動作を行うために、プリントバー102の長さに沿って移動可能である。
【0012】
図2は、一例によるノズルサービスモジュール112の断面図を示す。
【0013】
ノズルサービスモジュール112は、一対のガイド部材202によりプリントバー102に支持される。ガイド部材202により、ノズルサービスモジュール202がプリントバー102の長さに沿って移動することが可能になる。プリントバー102は、ガイド部材202が嵌まる又は係合する形状の側面部材を有することができる。ガイド部材202は例えば、ノズルサービスモジュール112とプリントバー102との間の摩擦を低減するために、適切なベアリング又はブッシュを含むことができる。
【0014】
図2には示されていないが、ノズルサービスモジュール112は、ノズルサービスモジュール112がプリンタコントローラ114の制御下でプリントバー102の長さに沿って移動することを可能にするための駆動システムを含む。駆動システムは例えば、電動ベルト、モータ、又は任意の他の適切な駆動機構を含むことができる。
【0015】
ガイド部材202aに、巻きほぐしローラ204が取り付けられ、ガイド部材202bに、巻取りローラ206が取り付けられる。ローラ204には、長いノズルワイピング材料208が巻き付けられている。一例において、マイクロファイバ生地のような織物材料が使用され得る。ノズルワイピン材料208がプリントバー102上のプリントヘッド104の下に送られて、巻取りローラ206に取り付けられる。一例において、巻取りローラ206は、電気モータにより動力を供給され、巻きほぐしローラ204は巻き戻しに対する組み込み式の抵抗を有し、その結果、巻取りローラ206が巻取り方向に回転する際に、ノズルワイピング材料がきつく保持される。一例において、往復動のワイピング動作を行うことを可能にするようにノズルワイピング材料208が巻きほぐしローラ204に巻き戻されることを可能にするために、巻きほぐしローラ204も動力を供給される。
【0016】
一例において、巻きほぐしローラ204及び巻取りローラ206は、ノズルワイピング材料がきつく保持される際に、プリントヘッドノズルが有効にワイピングされることを可能にするプリントヘッドノズルへの圧力をそれが加えるように、配置される。本例において、巻きほぐしローラ及び巻取りローラは、巻取りローラが付勢された際にプリントバー102の長手方向軸に直交する方向でワイピングが生じるように構成される。他の例において、巻きほぐしローラ及び巻取りローラは、プリントバー102の長手方向軸に斜めの方向にワイピングが生じるように構成される。
【0017】
従って、ワイピングは、ノズルサービスモジュール112がプリントバーに沿って移動する際に、巻取りローラ206が巻きほぐしローラ204からノズルワイピング材料208を巻き取る際に、又は双方の組み合わせで行うことができる。
【0018】
ノズルワイピング材料208の厚さは、それが約1〜10mm程度とすることができるプリントヘッドと基体との間隙210内に適合するように選択される。一例において、ノズルワイピング材料の幅は、プリントヘッドの幅以下である。
【0019】
ノズルサービスモジュール112は、プリントバー102の長さに沿って移動するように、及びノズルのグループが動力付き巻取りローラ206を制御することによりワイピングもされるように、プリンタコントローラ114により制御可能である。このように、全てのプリントヘッド104の全ノズルは、プリントバーがサービスステーションに移動する必要なしに、及び重要な点はプリントバーを持ち上げる必要なしに、ノズルサービスモジュール112によりサービスされ得る。一例において、ノズルサービスモジュール112は、光学エンコーダのようなエンコーダを含み、プリントバー102は、エンコーダにより読み取り可能なエンコーダストリップを含み、その結果、ノズルサービスモジュール112の位置が、正確に求められることができ、及び正確に制御可能である。
【0020】
このように、係るノズルサービスモジュールは多くの利点を与える。しかしながら、ノズルサービス動作を行うことは、サービス中のノズルが印刷動作において使用されることができないので、印刷動作の中断をもたらす。
【0021】
図3、
図4及び
図5に関連して後述される更なる例は、印刷システム300を提供することにより前述した欠点を克服することを目標としており、当該印刷システム300は、ノズルサービスモジュール112に加えて、補助プリントヘッド304を取り付け可能な補助キャリッジ302を有する。一例において、補助プリントヘッド304は、プリントバー102上の他のプリントヘッド104と同じ特徴(特性)を有する。他の例において、複数のプリントヘッドがキャリッジ302に取り付け可能とすることができる。
【0022】
キャリッジ302は、プリンタコントローラ114の制御下で、プリントバー102に平行なキャリッジバー306に沿って移動可能である。一例において、キャリッジバー306は、プリントバー102から上流に配置されるが、別の例において、キャリッジバー306はプリントバー102から下流に配置される。
【0023】
補助プリントヘッド304は、ノズルサービスモジュール112によりサービスされているノズルのグループに対して、ノズルの冗長性を選択的に提供し、それにより、ノズルサービスモジュール112が、印刷動作を中断せずに、印刷ジョブを印刷するような印刷動作中にプリントヘッドノズルのグループにサービス動作を行うことが可能になる。
【0024】
このように、ノズルサービスモジュール112がプリントバー102にわたって移動しプリントヘッドノズルのグループにサービス動作を行う際、ノズルサービスモジュール112により隠されたプリントヘッドノズルは、補助プリントヘッド304のノズルに取って代えられる。更に後述されるように、サービスされているこれらノズルにより当初に印刷されることを意図されていたこれらインク滴を、補助プリントヘッド304が、印刷することを可能にするために、置き換えられたノズルのノズル噴射データは、補助プリントヘッド304に転送される。一例において、ノズル噴射データは、ノズルにインク滴を吐出させるノズル駆動回路を制御する。
【0025】
このように、印刷システム300は、印刷ジョブのような印刷動作を中断せずにプリントヘッドノズルをサービスすることができる。一例において、媒体がプリントバー102の下を進む速度は、通常の印刷動作中とプリントヘッドサービス動作中で同じである。更なる例において、媒体がプリントバー102の下を進む速度は、通常の印刷動作の速度に比べてプリントヘッドサービス動作中に低減される。
【0026】
このシステムは、例えばビジネス用プリンタにおいて、重要な利点を提供し、それはプリントヘッドサービス動作を行うために印刷動作を停止する必要がもはやなくなるので、印刷システムが動作している時間量を増大させることに役立つからである。
【0027】
補助プリントヘッド304のノズルを1つ又は複数のプリントヘッド104のノズルと一時的に置き換えることを可能にするために、印刷システム300は更にノズル冗長性コントローラ310を含む。一例において、ノズル冗長性コントローラ310は、プリンタコントローラ114に組み込まれるが、別の例において、ノズル冗長性コントローラ310はプリンタコントローラ114から独立している。
【0028】
ノズル冗長性コントローラ310は、ノズル制御データ生成器116により生成され且つプリントバー102上のプリントヘッド104のノズル回路に意図されたプリントヘッドノズル噴射データを、補助プリントヘッド302のノズル回路に転送する。このように、補助プリントヘッド304のノズルは、プリントヘッド104のノズルにより印刷されているイメージの一部の代わりに、印刷されるべきイメージの当該一部を印刷する。
【0029】
補助プリントヘッド302がプリントバー102上のプリントヘッド104と同じ垂直平面に配置されないので、ノズル噴射データのタイミングに対する適切な変更が、より詳細に後述されるように、ノズル冗長性コントローラ310により行われる。変更の量は、プリントバー102上のプリントヘッド104とキャリッジ306上のプリントヘッド304との間の水平距離に基づくことができる。
【0030】
さて、印刷システム100を動作させる方法が、
図4及び
図5に関連して、より詳細に説明される。
【0031】
動作は、プリンタコントローラ114により制御され、プリンタコントローラ114のより詳細な実例が
図6に示される。
【0032】
プリンタコントローラ114は、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラのようなプロセッサ602、通信バス604によりプロセッサ602に結合されたメモリ606を含む。メモリ606は、プロセッサにより実行可能なノズルサービスモジュール制御命令608を格納し、その命令608は、プロセッサ602により実行された際に、本明細書で説明されたように、コントローラ114にノズルサービスモジュール112を制御させる。また、メモリ610は、プロセッサにより実行可能な補助プリントヘッド制御命令608も格納し、その命令608は、プロセッサ602により実行された際に、コントローラ114に補助プリントヘッド304を制御させる。
【0033】
さて、
図4aを参照すると、印刷システム300の一部がより詳細に示される。プリントバー上の多数のプリントヘッド104が示されるが、分かりやすくするためにプリントバー102は示されない。各プリントヘッド104は、インク又は他の流体がプリントヘッドのノズル回路により受信されている適切なノズル噴射データに応じて吐出され得る多数のノズル402を有する。
図4において、明瞭化のために各プリントヘッドには、僅かな数のノズルが示されている。しかしながら、理解されるように、プリントヘッド104は、数百または数千のノズルを含むことができる。
【0034】
使用されない場合、ノズルワイピングモジュール112は、プリントバー102上の待機領域で待機され、この場所ではあらゆるノズルを妨害しない。ノズルサービス動作が実施されるべきである場合、ノズルワイピングモジュール112が、プリンタコントローラ114の制御下で、プリントバーの一端部にある第1の待機区域の外へ及びプリントバー102に沿って移動する。一例において、ノズルワイピングモジュール112は、プリントバー102の全長にわたって、プリントバーの他端部にある第2の待機区域まで移動する。
【0035】
一例において、
図4aに示されるように、補助プリントヘッドのノズルが水平方向でノズルサービスモジュール112よりも先に延び出しているように、補助プリントヘッドは配置される。このように、ノズルサービスモジュール112及び補助プリントヘッドがプリントバー102にわたって移動する際、補助プリントヘッド302のノズルは、ノズルサービスモジュールによってまさに隠されようとしているプリントヘッド104上のこれらノズルの先を行く。これにより、まさにサービスされようとしているプリントヘッド上の対応するノズルがノズルサービスモジュール112により実際に隠される前に、補助プリントヘッドの端部ノズルが、当該対応するノズルと取って代わること可能にする。
【0036】
ブロック502において、コントローラ114は、ノズルワイピングモジュール112及び補助プリントヘッド302を待機区域からプリントバー102に沿って移動させることを始める。
【0037】
ブロック504において、コントローラ114は、たとえあるとしても、何らかのプリントヘッドの何らかのノズルがノズルワイピングモジュール112により隠されるか否かを判断する。
【0038】
コントローラ114が、1つ又は複数のノズルがノズルワイピングモジュール112により隠されると判断する場合、コントローラ114は、これら隠されるノズルのノズル回路に意図されたノズル制御データを、これら隠されるノズルと位置合わせされた補助プリントヘッド304上の適切なノズルのノズル回路に転送する。また、コントローラは適宜、補助プリントヘッド304の異なる水平位置を補償するために、補助プリントヘッド上のノズルに対するノズル制御データのタイミングも調整する。
【0039】
このプロセスは、ノズルワイピングモジュール112がプリントバー102の長さに沿って第2の待機区域まで移動するに従って繰り返される。
【0040】
図4aには、ノズルワイピングモジュール112が第1の待機位置から移動し始めた時の例が示されている。この例において、補助プリントヘッド304上のノズルは、ノズルワイピングモジュール112により隠されるプリントバー102上のプリントヘッド104のノズルと位置合わせされている。
【0041】
プリンタコントローラ114は、例えばノズルワイピングモジュール112上のエンコーダ又は位置検出器に基づいて、どのノズルがノズルワイピングモジュール112により隠されるかを正確に特定することができる。
【0042】
このように、プリントヘッド104a上のノズル402の第1のセット406は、ノズル冗長性コントローラ310によりイナクティブ(不活性)にされるが、残りのノズルはアクティブ(活性)のままである。不活性化されたノズルの第1のセット406に意図された、ノズル制御データ生成器116により生成されたノズル噴射データは、プリントヘッド104a上のノズル402の不活性化されたセット406と位置合わせされた補助プリントヘッド304上のノズルのセット410に転送される。
【0043】
一例において、ノズル冗長性コントローラ310によりイナクティブにされたノズルのセットは、ノズルワイピング機構112により実際に隠されるものよりも多いノズルを網羅する。これは、所定数のノズルの更なる安全マージンを可能にする。しかしながら、他の例において、ノズルワイピング機構112により隠されるまさにちょうどのこれらノズルがイナクティブにされてもよい。
図4aにおいて、看取され得るように、補助プリントヘッド304のノズルのセット412は、何らかのプリントヘッドノズルと位置合わせされておらず、従って、このノズルのセットもイナクティブにされる。
【0044】
図4bにおいて、ノズルワイピング機構112及び補助プリントヘッド304は、プリントバー102に沿って進んだ。プリントヘッド104aのノズル402の大部分は、ノズルワイピング機構112により隠され、上述した安全マージンでもって、プリントヘッド104aのノズルの全てを含むセット406が、ノズル冗長性コントローラ310によりイナクティブにされるが、補助プリントヘッド304上のノズルの全てを含むセット410が活性化される。プリントヘッド104aの不活性化されたノズルに意図された、ノズル制御データ生成器116により生成されたノズル噴射データは、補助プリントヘッド304のアクティブなノズルのセット410に転送される。
【0045】
図4cにおいて、ノズルワイピング機構112及び補助プリントヘッド304は、プリントバー102に沿って更に進み、その結果、プリントヘッド104aのノズルの第1のセット406aが、プリントヘッド104bのノズルのセット406bと共に、ノズル冗長性コントローラ310により不活性化される。プリントヘッド104aの不活性化されたノズルのセット(406a及び406b)に意図された、ノズル制御データ生成器116により生成されたノズル噴射データは、補助プリントヘッド304のアクティブなノズルのセット410に転送される。
【0046】
図4dにおいて、ノズルワイピング機構112及び補助プリントヘッド304はプリントバー102に沿って更にもっと進み、その結果、プリントヘッド104bのノズルのセット406がノズル冗長性コントローラ310により不活性化される。プリントヘッド104bの不活性化されたノズルのセット406に意図された、ノズル制御データ生成器116により生成されたノズル噴射データは、補助プリントヘッド304のアクティブなノズルのセット410に転送される。
【0047】
本例において、ノズルワイピング機構112及び補助プリントヘッド304は、同期して移動する。一例において、ノズルワイピング機構112及び補助プリントヘッド304は、補助キャリッジ302のような、同じ可動キャリッジ上に取り付けられ得る。別の例において、ノズルワイピング機構112及び補助プリントヘッド304は、ほぼ同期して移動することができる。
【0048】
理解されるように、本発明の例および実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせの形態で実現され得る。上述したように、任意の係るソフトウェアは、例えば、消去可能または書き換え可能であろうとなかろうと、ROMのような記憶デバイスのような揮発性または不揮発性記憶装置の形態で、又は例えばRAM、メモリチップ、デバイス又は集積回路のようなメモリの形態で、或いは例えばCD、DVD、磁気ディスク又は磁気テープのような光学的または磁気的に読み出し可能な媒体に格納され得る。理解されるように、記憶デバイス及び記憶媒体は、実行された場合に本発明の例を実現するプログラム(単数または複数)を格納するのに適した機械可読記憶装置の例である。本発明の例は、有線または無線接続を介して伝送される通信信号のような任意の媒体を介して電子的に伝えられることができ、例は適切にそれらを包含する。
【0049】
本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された特徴要素の全て、及び/又はそのように開示されたあらゆる方法またはプロセスのステップの全ては、係る特徴要素および/またはステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされ得る。
【0050】
本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された各特徴要素は、明示的に別段の定めをした場合を除き、同じ目的、等価な目的または類似の目的を果たす代替の特徴要素に置き換えられ得る。従って、明示的に別段の定めをした場合を除き、開示された各特徴要素は、包括的な一連の等価物または類似の特徴要素の単なる一例である。
【国際調査報告】