特表2015-528503(P2015-528503A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-528503蛋白質キナーゼ阻害剤としてのアミノイソキノリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528503(P2015-528503A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】蛋白質キナーゼ阻害剤としてのアミノイソキノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 217/22 20060101AFI20150901BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20150901BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20150901BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20150901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150901BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20150901BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150901BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
   C07D217/22CSP
   A61K31/472
   A61K31/437
   C07D471/04 105A
   C07D471/04 102
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61K45/00
   A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2015-532031(P2015-532031)
(86)(22)【出願日】2013年9月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月10日
(86)【国際出願番号】US2013059362
(87)【国際公開番号】WO2014043296
(87)【国際公開日】20140320
(31)【優先権主張番号】61/701,155
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】513233724
【氏名又は名称】エターニティ バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ミンション・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ルー・ビアオ
【テーマコード(参考)】
4C034
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C034AL05
4C065AA04
4C065BB04
4C065BB05
4C065CC09
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK01
4C065KK02
4C065LL01
4C065LL02
4C065PP03
4C065PP17
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC30
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、本明細書中に定義する、新規のアミノイソキノリン化合物、その組成物、これらの化合物の蛋白質キナーゼ阻害剤として、ならびにRafキナーゼ、特にBRAFV600Eキナーゼ関連疾患または障害、例えばがんの治療剤としての使用を提供する。さらに、本発明は、これらの新規のアミノイソキノリン化合物の製造方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中:
Yが水素またはC1-C4アルキルであり、Zが水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシおよび−NRaRbから選択されるか; あるいは、YおよびZが、二重結合を介して結合しており (“Z=Y”)、それぞれ独立してCRy、CRz、または窒素 (N)であり、ここで、
RyおよびRzはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシより選択され;
X1、X2、X3およびX4はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシより選択され;
RはC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C6-C10アリールおよび5〜10員ヘテロアリール、5〜10員ヘテロシクリル、C3-C6シクロアルキル-(C1-C4)-アルキル、C6-C10アリール-(C1-C4)-アルキル、5〜10員ヘテロアリール-(C1-C4)-アルキルおよび5〜10員ヘテロシクリル-(C1-C4)-アルキルより選択され、それぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、−NRcRd、シアノ、ニトロ、オキソ、−C(O)R6、−C(O)OR7および−C(O)NRcRdより独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてよく;
Rxは水素またはC1-C4アルキルであるか、あるいは、RxおよびRは、それらが結合する窒素 (N) および硫黄 (S) 原子とともに5または6員環を形成し;
R1は水素、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、ベンジル、-C(O)R6または−C(O)OR7であり、それぞれはハロゲン、C1−C4アルキル、ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシ、シアノおよびNRaRbから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよく;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
RaおよびRbはそれぞれ独立して水素、C1-C6アルキル、ベンジルおよび−C(O)OR7から選択され、
R6は水素またはC1-C4アルキルであり;
R7はC1-C4アルキルであり;
RcおよびRdはそれぞれ独立して水素またはC1-C4アルキルである。]
の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
Yが水素またはC1-C4アルキルであり、Zが水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシおよび−NRaRbから選択される、請求項1記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
Yが水素であり、Zが水素である、請求項2記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
R1が水素または−NRaRbで置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここでRaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、請求項1〜3のいずれか記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、請求項4記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり; R がハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される、1、2、もしくは3の置換基により置換されていてよいC1-C6アルキルである、請求項5記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
YおよびZがそれぞれ水素であり;
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ (F)またはクロロ (Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここでR7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルである、
請求項2記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
N-[3-(3-アミノ-7-イソキノリル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート;
N-[3-(3-アミノ-6-メトキシ-7-イソキノリル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-メトキシ-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート;
メチル N-[(1R)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-メトキシ-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート;
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-(2-フルオロエトキシ)-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート; および
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-エチル-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート
からなる群から選択される、請求項2記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
ZおよびYが二重結合を介して結合しており(Z=Y)、それぞれ独立してCRy、CRzまたは窒素 (N)であり、さらに式(II):
【化2】
により特徴付けられる、請求項1記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項10】
R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが水素および−C(O)OR7から独立して選択される、請求項9記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項11】
RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれがハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてよい、請求項10記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項12】
X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてよいC1-C6アルキルである、請求項9〜11のいずれか記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項13】
RxおよびRが、それらが結合する窒素(N)および硫黄(S)原子とともに、5もしくは6員環を形成する、請求項10記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項14】
RxおよびRがともに−CH2CH2CH2-を形成する、請求項10記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ (F)またはクロロ (Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、
R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
RyおよびRzがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される、
請求項9記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項16】
Yが窒素 (N)であり、ZがC-Rzであり、さらに、式(IIa):
【化3】
[式中、Rzは水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびNRaRbから選択される。]
により特徴付けられる、請求項9記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項17】
R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、請求項16記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項18】
RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、請求項17記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項19】
X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルキルである、請求項16〜18のいずれか記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項20】
RxおよびRが、それらが結合する窒素(N)および硫黄(S)原子とともに、5もしくは6員環を形成する、請求項17記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項21】
RxおよびRがともに−CH2CH2CH2-を形成する、請求項17記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項22】
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ (F)またはクロロ (Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、
R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
Rzが水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルより選択される、
請求項16記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項23】
YがC-Ryであり、Zが窒素 (N)であり、さらに式(IIb):
【化4】
[式中、Ryが水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびNRaRbから選択される。]
により特徴付けられる、請求項9記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項24】
R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、請求項23記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項25】
RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、請求項24記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項26】
X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルキルである、請求項23〜25のいずれか記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項27】
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ(F)またはクロロ(Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、
R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
Ryが水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される、
請求項23記載の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項28】
YがC-Ryであり、ZがC-Rzであり、さらに、式(IIc):
【化5】
[式中、RyおよびRzはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびNRaRbから選択される。]
により特徴付けられる、請求項9記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項29】
R1が水素、−C(O)R6、または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、請求項28記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項30】
RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、請求項29記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項31】
X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよいC1-C6アルキルである、請求項28〜30のいずれか記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項32】
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ(F)またはクロロ(Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、
R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
RyおよびRzがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される、請求項28記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項33】
以下からなる群から選択される、請求項1記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩または誘導体:
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2-クロロ-4-フルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジクロロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[4-クロロ-2-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
2-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-1,2-チアゾリジン 1,1-ジオキシド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロ-フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピロロ[2,3-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド; および
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-イミダゾ[4,5-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項35】
過増殖性疾患または障害を処置する方法であって、それを必要としている哺乳類患者に、治療上有効量の、請求項1〜33のいずれか記載の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、方法。
【請求項36】
過増殖性疾患または障害を処置する方法であって、それを必要としている哺乳類患者に請求項34記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項37】
過増殖性疾患または障害がBRAFV600Eキナーゼ活性に関連するものである、請求項35または36記載の方法。
【請求項38】
過増殖性疾患または障害ががんである、請求項35または36記載の方法。
【請求項39】
過増殖性疾患または障害が黒色腫; 甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がんおよび肺がん;および白血病から選択される、請求項35または36記載の方法。
【請求項40】
さらに、該患者に治療上有効量の第二の治療剤を投与することを組み合わせる、請求項35または36記載の方法。
【請求項41】
第二の治療剤が異なる抗がん剤である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
該哺乳類患者がヒトである、請求項35または36記載の方法。
【請求項43】
過増殖性疾患または障害の処置用の医薬の製造のための、請求項1〜33のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項44】
該過増殖性疾患または障害が黒色腫; 甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がんおよび肺がん;および白血病からなる群から選択される、請求項43記載の使用。
【請求項45】
黒色腫; 甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がんおよび肺がん; および白血病から選択される過増殖性疾患または障害の処置のための、請求項1〜33のいずれか記載の化合物。
【請求項46】
BRAFV600Eキナーゼ活性を試験管内で調節する方法であって、BRAFV600Eキナーゼを含む組織培養物を、請求項1〜33のいずれか記載の化合物に接触させることを含む、方法。
【請求項47】
本質的には、本明細書中に記載するとおりである、請求項1〜33のいずれか記載の化合物の合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2012年9月14日に出願された、米国仮出願第61/701,155に基づく優先権を主張するものであり、その全体は、引用により本明細書中に包含される。
【0002】
本発明は、新規のアミノイソキノリン誘導体ならびに、過増殖性疾患、例えば種々のがん、黒色腫および白血病の処置に有用なその組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
キナーゼは、ATPから標的蛋白質へリン酸基を転移させるスーパーファミリーの酵素である。ヒトゲノム中には、518種を超える多数のキナーゼがコードされており、その中には、90種のチロシンキナーゼ、388種のセリン/スレオニンキナーゼおよび40種の非定型キナーゼが含まれる (Manning, G., et al., Science, 2002, 298(5600): 1912-1934)。それらは、細胞の活性化、増殖、分化、遊走、血管透過性等において重要な役割を果たす。キナーゼの機能異常は、種々の疾患、例えばがん、炎症、心血管疾患、糖尿病および神経障害に関連している。がんの処置用にいくつかのキナーゼ阻害剤が開発されており、例えば、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、エベロリムス(evrolimus)、トラスツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブおよびベバシズマブが挙げられるが、これらに限定されるものではない (Knight, Z. A., et al., Nat. Rev. Cancer, 2010, 10(2): 130-137)。
【0004】
BRAFは、セリン/スレオニン特異的蛋白質キナーゼであるRafキナーゼファミリーの一員である。BRAFは、MAPK/ERKシグナル伝達経路の調節に重要な役割を果たしており、該経路は、細胞分裂、増殖、分化および分泌に影響を及ぼす。RAS/RAF/MEK/ERK経路は、シグナル伝達因子として作用し、ホルモン、サイトカインおよび種々の増殖因子のような細胞外シグナルを細胞核内へ送達し、種々の生化学および生理学的なプロセス、例えば細胞分化、増殖、成長およびアポトーシスへと向かわせる(McCubrey, J. A., et al., Biochim. Biophys. Acta, 2007, 1773 (8): 1263-84)。該RAS/RAF/MEK/ERK経路は、多くのヒトのがんにおいて、変異していることがしばしばである(Downward, J., Nat. Rev. Cancer, 2003, 3 (1): 11-22)。BRAFの変異により、広範囲のヒトのがんが引き起こされるという知見、ならびに、これらの腫瘍の多くは、BRAF/MEK/ERK経路の恒常的活性化に依存しているという知見が刺激となって、BRAF変異体(特に、最も一般的な形態であるBRAFV600E)を標的とする低分子阻害剤の探索において、創薬のための努力がなされてきた(Davies, H., et al., Nature, 2002, 417: 949-954) (Flaherty, K.T., et al., New Engl. J. Med., 2010, 363: 809-819)。BRAF変異が悪性の黒色腫の50%よりも多く、甲状腺乳頭がんの約45%、結腸直腸がんの10%の原因となっていることが明らかになっており、卵巣がん、乳がんおよび肺がんにおいても同定されている(Cantwell-Dorris, E.R., et al., Molecular Cancer Therapy, 2011, 10: 385-394)。近年、殆ど全ての有毛細胞性白血病患者がBRAFV600E変異を保有しており、該酵素の阻害により、該疾患の有意な寛解が引き起こされたことが報告されている(Sascha, D., et al., New Engl. J. Med., 2012, 366:2038-2040)。BRAF特異的な阻害剤、例えばベムラフェニブ(RG7204)、PLX-4720、GDC-0879およびダブラフェニブ(Dabrofenib) (GSK2118436)は、前臨床試験および臨床試験の両方において、腫瘍の寛解を引き起こすのに有効であることが報告されている(Flaherty, K.T., et al., New Engl. J. Med., 2010, 363: 809-819; Kefford, R.A., et al., J. Clin. Oncol., 2010, 28: 15s)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Manning, G., et al., Science, 2002, 298(5600): 1912-1934
【非特許文献2】Knight, Z. A., et al., Nat. Rev. Cancer, 2010, 10(2): 130-137
【非特許文献3】McCubrey, J. A., et al., Biochim. Biophys. Acta, 2007, 1773 (8): 1263-84
【非特許文献4】Downward, J., Nat. Rev. Cancer, 2003, 3 (1): 11-22
【非特許文献5】Davies, H., et al., Nature, 2002, 417: 949-954
【非特許文献6】Flaherty, K.T., et al., New Engl. J. Med., 2010, 363: 809-819
【非特許文献7】Cantwell-Dorris, E.R., et al., Molecular Cancer Therapy, 2011, 10: 385-394
【非特許文献8】Sascha, D., et al., New Engl. J. Med., 2012, 366:2038-2040
【非特許文献9】Flaherty, K.T., et al., New Engl. J. Med., 2010, 363: 809-819;
【非特許文献10】Kefford, R.A., et al., J. Clin. Oncol., 2010, 28: 15s
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、BRAFV600Eキナーゼ活性を特異的に調節する低分子の発見および開発が、種々のBRAFV600Eキナーゼ関連疾患または障害、例えばがんの成功する処置のための治療上のアプローチとして有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有用なRafキナーゼ阻害剤、特にBRAFv600E阻害剤として、およびBRAFV600Eキナーゼ関連過増殖性疾患または障害、例えばがん、非限定的な例としては、黒色腫、甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、および肺がんならびに特定の型の白血病のための新規の治療剤として、新規のアミノキノリン誘導体を提供する。
【0008】
局面の一において、本発明は式(I):
【化1】
[式中、
Yは水素またはC1-C4アルキルであり、Zは水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシおよび−NRaRbから選択されるか;あるいは、YおよびZは二重結合を介して結合しており (“Z=Y”)、それぞれ独立して、CRy、CRz、または窒素 (N)であり、ここで、RyおよびRzはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから選択され;
X1、X2、X3およびX4はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから選択され;
RはC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C6-C10アリールおよび5〜10員ヘテロアリール、5〜10員ヘテロシクリル、C3-C6シクロアルキル-(C1-C4)-アルキル、C6-C10アリール-(C1-C4)-アルキル、5〜10員ヘテロアリール-(C1-C4)-アルキルおよび5〜10員ヘテロシクリル-(C1-C4)-アルキルから選択され、それぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、−NRcRd、シアノ、ニトロ、オキソ、−C(O)R6、−C(O)OR7および−C(O)NRcRdから選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよく;
Rxは水素またはC1-C4アルキルであるか、あるいは、RxおよびRは、それらが結合する窒素(N)および硫黄(S)原子と一体となって、5もしくは6員環を形成し;
R1は水素、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、ベンジル、-C(O)R6または−C(O)OR7であり、それぞれが、ハロゲン、C1−C4アルキル、ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシ、シアノおよびNRaRbから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよく;
R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから選択され;
RaおよびRbはそれぞれ独立して水素、C1-C6アルキル、ベンジルおよび−C(O)OR7から選択され、
R6は水素またはC1-C4アルキルであり;
R7はC1-C4アルキルであり;
RcおよびRdはそれぞれ独立して水素またはC1-C4アルキルである。]
の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0009】
この局面の態様の一において、本発明は、Yが水素またはC1-C4アルキルであり、Zが水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシおよび−NRaRbから選択され、Ra、Rb、R1〜R5、R、RxおよびX1〜X4が上に定義するとおりである、式(I)の化合物を提供する。
【0010】
この局面の他の態様において、本発明は、ZおよびYが二重結合を介して結合しており (Z=Y)、それぞれが独立して、CRy、CRzまたは窒素 (N)であり、さらに式(II):
【化2】
[式中、R1〜R5、R、Rx、Ry、RzおよびX1〜X4は上で定義するとおりである。]
により特徴付けられる化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0011】
他の局面において、本発明は、上述の式(I)または(II)の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物を提供する。この局面の態様の一において、該組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含む。
【0012】
他の局面において、本発明は、上述の式(I)または(II)の化合物、またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、それを必要としている患者に治療上有効量にて投与することを含む、過増殖性疾患または障害の処置方法を提供する。該化合物は、薬学的に許容される担体をさらに含む組成物で投与してよい。
【0013】
他の局面において、本発明は、過増殖性疾患または障害の処置用の医薬の製造のための上述の式(I)または(II)の化合物の使用を提供する。該過増殖性疾患または障害は、Rafキナーゼ、特にBRAFV600Eキナーゼの活性と関連しているもの、例えばがんであることが好ましい。該過増殖性疾患または障害は、黒色腫; 甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がんおよび肺がん; ならびに白血病から選択されるのが好ましい。
【0014】
他の局面において、本発明は、BRAFV600Eキナーゼ活性の試験管内の調節方法であって、BRAFV600Eキナーゼを含む組織培養物を、上述の式(I)または(II)の化合物と接触させることを含む方法を提供する。
【0015】
本発明の他の態様はまた、上述の式(I)または(II)の化合物、非限定的な例としては、実施例の化合物を、本質的には本明細書中に示すように、合成する方法を含む。
【0016】
本発明の他の局面および態様は、以下の記載および実施例により、よりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、新規のアミノイソキノリン化合物、その組成物、これらの化合物のBRAFV600E阻害剤およびRafキナーゼ、特にBRAFV600Eキナーゼ関連疾患または障害の処置用の治療剤としての使用、ならびにこれらの新規化合物の合成方法を提供する。
【0018】
局面の一において、本発明は、式(I)
【化3】
[式中:
Yが水素またはC1-C4アルキルであり、Zが水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシおよび−NRaRbから選択されるか;あるいはYおよびZが二重結合を介して結合しており(“Z=Y”)、それぞれ独立してCRy、CRzまたは窒素 (N)であり、ここで、RyおよびRzはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから選択され;
X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから選択され;
RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C6-C10アリールおよび5〜10員ヘテロアリール、5〜10員ヘテロシクリル、C3-C6シクロアルキル-(C1-C4)-アルキル、C6-C10アリール-(C1-C4)-アルキル、5〜10員ヘテロアリール-(C1-C4)-アルキルおよび5〜10員ヘテロシクリル-(C1-C4)-アルキルから選択され、それぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、−NRcRd、シアノ、ニトロ、オキソ、−C(O)R6、−C(O)OR7および−C(O)NRcRdから選択される1、2または3の置換基で置換されていてよく;
Rxが、水素またはC1-C4アルキルであるか、あるいは、RxおよびRが、それらが結合する窒素(N)および硫黄(S)原子と一体となって、5もしくは6員環を形成し;
R1が水素、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、ベンジル、-C(O)R6または−C(O)OR7であり、それぞれが、ハロゲン、C1−C4アルキル、ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシ、シアノおよびNRaRbから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてよく;
R2、R3、R4およびR5が、それぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから選択;
RaおよびRbがそれぞれ独立して水素、C1-C6アルキル、ベンジルおよび−C(O)OR7から選択され;
R6が水素またはC1-C4アルキルであり;
R7がC1-C4アルキルであり;
RcおよびRdがそれぞれ独立して水素またはC1-C4アルキルである。]
の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0019】
この局面の態様の一において、本発明は、Yが水素またはC1-C4アルキルであり、Zが水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシおよび−NRaRbより選択される、式(I)の化合物を提供する。
【0020】
この局面の他の態様において、本発明は、Yが水素でありZが水素である、式(I)の化合物を提供する。
【0021】
この局面の他の態様において、本発明は、R1が水素または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが、水素および−C(O)OR7から独立して選択される、式(I)の化合物を提供する。
【0022】
この局面の他の態様において、本発明は、RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてよい、式(I)の化合物を提供する。
【0023】
この局面の他の態様において、本発明は、X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよいC1-C6アルキルである、式(I)の化合物を提供する。
【0024】
この局面の他の態様において、本発明は、
YおよびZがそれぞれ水素であり;
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ (F)またはクロロ (Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルである、
式(I)の化合物を提供する。
【0025】
この局面の他の態様において、本発明は、以下からなる群から選択される化合物を提供する:
N-[3-(3-アミノ-7-イソキノリル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート;
N-[3-(3-アミノ-6-メトキシ-7-イソキノリル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-メトキシ-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート;
メチル N-[(1R)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-メトキシ-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート;
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-(2-フルオロエトキシ)-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート; および
メチル N-[(1S)-2-[[7-[2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホニルアミノ)フェニル]-6-エチル-3-イソキノリル]アミノ]-1-メチル-エチル]カルバメート。
【0026】
この局面の他の態様において、本発明は、ZおよびYが二重結合を介して結合しており (Z=Y)、それぞれ独立してCRy、CRzまたは窒素 (N)であり、さらに式(II):
【化4】
によって特徴付けられる、式(I)の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0027】
この局面の他の態様において、本発明は、R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、式(II)の化合物を提供する。
【0028】
この局面の他の態様において、本発明は、RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、式(II)の化合物を提供する。
【0029】
この局面の他の態様において、本発明は、X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシから選択され; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルキルである、式(II)の化合物を提供する。
【0030】
この局面の他の態様において、本発明は、RxおよびRが、それらが結合する窒素(N)および硫黄(S)原子と一体となって、5もしくは6員環を形成する、式(II)の化合物を提供する。
【0031】
この局面の他の態様において、本発明は、RxおよびRが、ともに−CH2CH2CH2-を形成する、式(II)の化合物を提供する。
【0032】
この局面の他の態様において、本発明は:
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ(F)またはクロロ(Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
RyおよびRzがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される、
式(II)の化合物を提供する。
【0033】
この局面の他の態様において、本発明は、Yが窒素 (N)、ZがC-Rzであり、さらに、式(IIa):
【化5】
[式中、Rzは、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびNRaRbから選択される。]
によって特徴付けられる、
式(II)の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0034】
この局面の他の態様において、本発明は、R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、式(IIa)の化合物を提供する。
【0035】
この局面の他の態様において、本発明は、RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、式(IIa)の化合物を提供する。
【0036】
この局面の他の態様において、本発明は、X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルキルである、式(IIa)の化合物を提供する。
【0037】
この局面の他の態様において、本発明は、RxおよびRが、それらが結合する窒素(N)および硫黄(S)原子と一体となって、5もしくは6員環を形成する、式(IIa)の化合物を提供する。
【0038】
この局面の他の態様において、本発明は、RxおよびRがともに−CH2CH2CH2-を形成する、式(IIa)の化合物を提供する。
【0039】
この局面の他の態様において、本発明は、
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ(F)またはクロロ(Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
Rzが水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される、
式(IIa)の化合物を提供する。
【0040】
この局面の他の態様において、本発明は、YがC-Ry、Zが窒素 (N)であり、
さらに、式(IIb):
【化6】
[式中、Ryは水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびNRaRbから選択される。]
により特徴付けられる式(II)の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0041】
この局面の他の態様において、本発明は、R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、式(IIb)の化合物を提供する。
【0042】
この局面の他の態様において、本発明は、RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてもよい、式(IIb)の化合物を提供する。
【0043】
この局面の他の態様において、本発明は、X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルキルである、式(IIb)の化合物を提供する。
【0044】
この局面の他の態様において、本発明は、X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ(F)またはクロロ(Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
Ryが水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される、
式(IIb)の化合物を提供する。
【0045】
この局面の他の態様において、YがC-Ry、ZがC-Rzであり、さらに式(IIc):
【化7】
[式中、
RyおよびRzはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびNRaRbから選択される。]
により特徴付けられる、式(II)の化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0046】
この局面の他の態様において、本発明は、R1が水素、−C(O)R6または−NRaRbにより置換されていてもよいC1-C6アルキルであり、ここで、RaおよびRbが独立して水素および−C(O)OR7から選択される、式(IIc)の化合物を提供する。
【0047】
この局面の他の態様において、本発明は、RがC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルおよびC6-C10アリールから選択され、それぞれが、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4ハロアルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基により置換されていてよい、式(IIc)の化合物を提供する。
【0048】
この局面の他の態様において、本発明は、X1、X2、X3およびX4が独立して水素またはハロゲンであり; R2、R3、R4およびR5がそれぞれ独立して水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシであり; RがハロゲンおよびC1-C4アルコキシから独立して選択される1、2または3の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルキルである、式(IIc)の化合物を提供する。
【0049】
この局面の他の態様において、本発明は、
X1およびX2がそれぞれ独立してフルオロ(F)またはクロロ(Cl)であり;
X3およびX4がそれぞれ水素であり;
R1が水素または−NHCOOR7により置換されていてよいC1-C6アルキルであり、ここで、R7がC1-C4アルキルであり;
R2が水素、C1-C4アルコキシまたはC1-C4ハロアルコキシであり;
R3、R4およびR5がそれぞれ水素であり;
Rxが水素であり;
Rが1〜3のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-C6アルキルであり;
RyおよびRzがそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-C4アルキルおよびC3-C6シクロアルキルから選択される。]
式(IIc)の化合物を提供する。
【0050】
この局面の他の態様において、本発明は、以下からなる群から選択される化合物:
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2-クロロ-4-フルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジクロロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[4-クロロ-2-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
2-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-1,2-チアゾリジン1,1-ジオキシド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-4-フルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロ-フェニル]プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロ-フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-プロパン-1-スルホンアミド;
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピロロ[2,3-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド; および
N-[2,4-ジフルオロ-3-(3H-イミダゾ[4,5-c]イソキノリン-7-イル)フェニル]プロパン-1-スルホンアミド,
またはその互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩または溶媒和物を提供する。
【0051】
他の局面において、本発明は、上述の態様のいずれかの、式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc)のいずれかの化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物を提供する。この局面の態様の一において、該組成物はさらに薬学的に許容される担体を含む。
【0052】
他の局面において、本発明は、それを必要としている哺乳類患者に、上述の態様のいずれかに定義する式 (I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc)のいずれかの化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を治療上有効量を投与することを含む、過増殖性疾患または障害の処置方法を提供する。
【0053】
他の局面において、本発明は、それを必要としている患者に、上述の態様のいずれかで定義する式 (I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc) のいずれかの化合物またはその互変異性体、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物を投与することを含む、過増殖性疾患または障害の処置方法を提供する。この局面の態様の一において、該組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含む。
【0054】
他の局面において、本発明は、上述の態様のいずれかで定義する、式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc) のいずれかの化合物の、過増殖性疾患または障害の処置用の医薬の製造のための使用を提供する。
【0055】
他の局面において、本発明は、黒色腫; 甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がんおよび肺がん;および白血病から選択される過増殖性疾患または障害の処置のための、上述の態様のいずれかにて定義する式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc)のいずれかの化合物を提供する。
【0056】
態様の一において、本発明が処置する過増殖性疾患または障害はがんである。
【0057】
他の態様において、過増殖性疾患または障害は、黒色腫; 甲状腺乳頭がん、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がんおよび肺がん;および白血病から選択される。
【0058】
他の態様において、過増殖性疾患または障害の処置方法はさらに、患者に、治療上有効量の第二の治療剤を投与することを含む。
【0059】
他の態様において、第二の治療剤は、異なる抗がん剤である。
【0060】
態様の一において、患者は哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウマ等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、患者はヒトである。
【0061】
他の局面において、本発明は、BRAFV600Eキナーゼ活性の試験管内調節方法であって、BRAFV600Eキナーゼを含む組織培養を、上述の態様のいずれか1つにて定義する式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc)のいずれかの化合物と接触させることを含む、方法を提供する。
【0062】
本発明の他の態様はまた、上述の態様のいずれか1つにて定義する式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)および(IIc)のいずれかの化合物の合成方法を含み、該化合物は、本質的には、本明細書に記載する、例示化合物を含むが、これらに限定されない。
【0063】
さらに他の局面および態様を、本明細書の記載に見出してよい。
【0064】
本明細書中の用語は、いずれも、特にことわらない限り、当業者が理解する通常の意味である。
【0065】
本明細書中において、単数表現“a”、“an”および“the”は、文脈から明らかにそうでない限り、複数形を含む。
【0066】
特にことわらない限り、本発明の全てのアリール,シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル基は、そのそれぞれの定義で記載するように、置換されていてよい。例えば、ベンジルのようなアリールアルキル基のアリール部は、用語「アリール」の定義に示すように置換されていてよい。
【0067】
本明細書に記載する用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して、親分子に結合したアルキル基を指す。アルコキシ基の代表的な例としては、メトキシ (CH3O−)、エトキシ(CH3CH2O−)およびt−ブトキシ ((CH3)3CO−)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素から、飽和炭素のうちの1つから水素を除くことにより得られる基を指す。アルキル基は、1〜10の炭素原子を含むのが好ましい。アルキル基の代表的な例としては、メチル、エチル、イソプロピルおよびtert-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書で用いる用語「アリール」は、芳香族炭素環から、芳香族環から水素原子を除去することにより得られる基を指す。アリール基は、単環、二環または多環であってよい。アリール基の代表的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0070】
本明細書中で用いる用語「ベンジル」は、その上の水素原子の1つが、フェニル基で置換されているメチル基を指し、ここで、該フェニル基は、1つ以上の置換基で置換されていてよい。ベンジル基の代表的な例としては、PhCH2-、4-MeO-C6H4CH2-および2,4,6-トリメチル-C6H4CH2−が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書中で用いる用語「シアノ」は、−CNを指す。
【0072】
本明細書中で用いる用語「シクロアルキル」は、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する単環飽和炭素環から、水素原子を除くことにより得られる基を指す。シクロアルキル基の代表的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書中で用いる用語「ハロ」および「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0074】
本明細書中で用いる用語「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子に結合しているハロアルキル基を指す。
【0075】
本明細書中で用いる用語「ハロアルキル」は、少なくとも1のハロゲン原子で置換されているアルキル基を指す。該ハロアルキル基は、全ての水素原子がハロゲンに置換されているアルキル基であってよい。ハロアルキルの代用的な例としては、トリフルオロメチル (CF3−)、1-クロロエチル (ClCH2CH2−)および2,2,2-トリフルオロエチル (CF3CH2−)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で用いる用語「ヘテロアリール」は、1以上、好ましく1〜3の窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子を含む芳香族環を少なくとも1つ含む、単環または二環式の化合物より、芳香族環の水素原子を除くことにより得られる基を指す。当業者には公知のことであるが、ヘテロアリール環は、全てが炭素である対応物よりも、芳香族性が低い。本発明の目的のためには、ヘテロアリール基は、ある程度の芳香族性を有していればよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリルおよびベンゾチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書中で用いる用語「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1以上、好ましくは1〜3のヘテロ原子を含む非芳香族環を少なくとも1つ含む、単環または二環式の化合物から、該非芳香族環の水素原子を除くことにより得られる基を指す。本発明のヘテロシクリル基は、該基の中の炭素原子もしくは窒素原子を介して親分子に結合し得る。ヘテロシクリル基の例としては、モルホリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオモルホリニルおよびインドリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書中で用いる用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHを指す。
【0079】
本明細書中で用いる用語「ニトロ」は、−NO2を指す。
【0080】
本明細書中で用いる用語「オキソ」は、「=O」を指す。
【0081】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩または溶媒和物として存在し得る。本明細書中で用いる用語「薬学的に許容される塩」は、レシピエントへの投与時に、本発明の化合物またはそのプロドラッグを提供することのできる任意の非毒性の塩を指す。該塩は、該化合物の最終的な単離および精製の間に製造しても、または適当な窒素原子を適当な酸と反応させることによって別々に作製してもよい。薬学的に許容される塩の形成に一般的に用いる酸としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硫化水素酸(hydrogen bisulfide)ならびに有機酸、例えばパラ-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、酒石酸水素酸(bitartaric acid)、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸および関連する無機酸および有機酸が挙げられる。
【0082】
塩基性付加塩は、該化合物の最終的な単離および精製の間に、カルボキシ基を、適当な塩基、例えば金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩またはアンモニアまたは有機第一級、第二級または第三級アミンと反応させることにより製造し得る。薬学的に許容される塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム、ならびに非毒性第四級アミンカチオン、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジンおよびN-メチルモルホリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書中で使用する用語「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1以上、好ましくは1〜3の溶媒分子との物理学的な会合を意味し、溶媒分子は、有機物であっても無機物であってもよい。この物理学的な会合は、水素結合を含む。特定の例において、溶媒和物は、例えば、1以上の、好ましくは1〜3の溶媒和物が、結晶性固体の結晶格子に取り込まれている場合に、単離が可能である。溶媒和物の例としては、例えば、水和物、エタノレート、メタノレートおよびイソプロパノレートが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒和の方法は、当該分野で一般的に知られている。
【0084】
本明細書中で用いる用語、「治療上有効量」は、患者に有意に益をもたらす、例えば、ウイルス量の持続的な減少をもたらすのに十分な、各有効化合物の総量を指す。単独で投与する個々の有効物質に適用する場合、該用語は、該化合物のみの量を指す。組合せ剤に適用する場合は、組合せ剤として投与する場合、連続的に投与する場合、または同時に投与する場合のいずれにおいても、該用語は、治療上の効果をもたらす有効成分の組み合わせた量を指す。
【0085】
本明細書中で用いる用語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内において、患者の組織に接触させて用いるのに適しており、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは他の合併症をもたらすことがなく、合理的な益/危険の比を示し、その意図する使用に有効である、化合物、物質、組成物および/または剤形を指す。
【0086】
「患者」という語は、ヒトおよび他の哺乳類の両方を含む。
【0087】
「処置すること」という語は: (i) 疾患、障害または症状が、該疾患、障害および/または症状に罹患しやすい可能性のある患者において発症するのを予防すること; (ii) 該疾患、障害または症状を阻害すること;すなわちその進行を停止させること;および(iii) 該疾患、障害または症状を軽減すること、すなわち、該疾患、障害および/または症状の退行を引き起こすこと、を指す。
【0088】
合成方法
本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者には公知の多数の方法により製造し得る。本発明の化合物は、以下に記載する方法を用いて、有機合成の分野で公知の合成方法と合わせて、または当業者に理解できるようにそれらを変更して、合成し得る。分子上に存在する官能基が、提示される変換と一致していなければならないことは、有機合成の分野の当業者には理解されることである。これには、所望の本発明の化合物を得るために、合成段階の順番を変更するか、または、特定の過程のスキームを、他のスキームと比べて選択する判断が必要な場合もある。
【0089】
以下の合成スキームまたは方法で用いる略語または用語は、当業者が通常理解する意味と同じ意味である。
【0090】
合成スキーム
スルホンアミドを有するアリールブロマイド体を、相当するアニリンと塩化スルホニルより合成した。該アニリンは、公知の文献にしたがって、市販の物質より作製した。
【化8】
【0091】
類似体Aを合成するのに用いる化学反応を、スキーム1に示す。ブロモ置換ベンジルニトリルを還元してそのベンジルアミンを得、これをアセトイミデートと縮合させて、アセトイミドアミド中間体を得た。続く閉環反応は、濃硫酸中で行い、イソキノリン体を得、宮浦反応を介してこれを対応するボロン酸エステルに変換した。該ボロン酸エステルをアリールブロマイドとカップリングさせてビアリール中間体を得、次いで還元的アミノ化を行って類似体Aを得た。
【化9】
【0092】
類似体Bを合成するのに用いる化学反応をスキーム2に示す。4-ブロモ-ベンジルニトリルを、酸の存在下にて、パラホルムアルデヒドと縮合させてラクタム中間体を得、これを、ビルスマイヤー・ハック反応によって、イソキノリン体に変換した後、過マンガン酸カリウムを用いて酸化した。オルト−クロロアリールアルデヒドを1.5当量のヒドラジンと縮合させてそのヒドラゾン中間体を得、溶媒としてのヒドラジン中にて加熱し、7-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリンを得た。該ブロモ誘導体をそのボロン酸エステルに変換し、ピラゾール環のNHをアシル基を用いて保護し、さらにブロモ体とマイクロ波条件下で鈴木反応によってカップリングさせて、ビアリール中間体を得た (一般的な温度条件ではうまくいかない)。ピラゾール環上の選択的臭化および2回目の鈴木反応により類似体Bを得た。
【化10】
【0093】
類似体Cを合成するのに用いる化学反応をスキーム3に示す。ブロモ置換安息香酸を還元して対応するベンジルアルコールを得、次いで臭素化およびシアノ化によって、ベンジルニトリル中間体を得た。塩基で処理を行った後、メチルギ酸エステルまたはアシルクロライドと縮合させて容易に官能性ニトリルを得、これをベンジルピラゾール中間体に変換した。続いて、イソキノリン環の閉環を、ピクテ・スペングラー反応を介して行った。得られたブロモ中間体をそのボロン酸エステルに変換し、これをさらにブロモ体とカップリングさせて、鈴木反応を介してビアリール中間体を得た。最後に、パラジウム触媒下の加
水素化分解によって脱ベンジル化を行い、類似体Cを得た。
【化11】
【0094】
類似体Dを合成するのに用いる化学反応をスキーム4に示す。ブロモ置換イソキノリンから出発し、NISを用いてこれをそのヨウ素化中間体に変換した。薗頭反応を介してTMSアセチレンとカップリングさせ、単純なアシル化によるアミノ保護の後、塩基としてTBAFを用いて容易にアザインドール中間体に変換した。続くパラジウム触媒反応により類似体Dを得た。
【化12】
【0095】
類似体Eを合成するのに用いる化学反応をスキーム5に示す。ブロモ置換イソキノリン から出発し、これをニトロ化および還元によってジアミン中間体に変換した。ギ酸中でオルトギ酸トリエチルと縮合させた後、イミダゾール中間体に容易に変換し、スキーム2に示すのと同様の手順を行って類似体Eを得た。
【化13】
【0096】
生物学的アッセイ
BRAFV600E酵素活性アッセイ: BRAFV600E酵素アッセイは、Life Technologies (Grand Island, NY)より購入したLanthaScreen kinase assay kitを用いて行った。該アッセイは、該アッセイキットにより示されている手順にしたがって行った。端的には、該酵素反応は、BRAFV600E (20ng/mL)、ATP (2μM)、Fluorescein-MAP2K1不活性基質 (0.4μM)、HEPES (50mM、pH7.5)、0.01% BRIJ-35、MgCl2 (10mM)およびEGTA (1mM)を含むキナーゼ反応緩衝液中で、種々の濃度の試験物質の存在下、または非存在下で、384ウェルプレート中、室温にて(22±1℃) 60分間行った。各反応についての最終反応体積は、10μlであった。キナーゼクエンチ緩衝液 (最終濃度10mM EDTA)およびTb-抗pMAP2K1 (最終濃度2nM)を追加したTR-FRET希釈緩衝液10μlを添加することによって該反応を停止した。該プレートを、室温にてさらに60分間インキュベーションし、蛍光シグナルを、Victor 5 (Perkin Elmer) にて、340nMにおける励起と495および520nMでの放出を用いて測定した。該アッセイシグナルの、520nMにおける励起フィルターにて測定したFRET特異的なシグナルを、495nMにおけるTb特異的な放出フィルターにて測定したシグナルに対する比として決定した。IC50値を、適当なプログラムを用いて、GraphPad Prismにて、濃度の対数を%阻害に対してプロットすることにより算出した。実施例化合物についての該IC50値は表1に示す。
【0097】
細胞増殖アッセイ: A375、Colo-205、Calu-6およびSW-480細胞は、American Type Culture Collection (USA)より購入した。全ての細胞を、推奨の培地および血清濃度にて培養した。細胞を、5% CO2を含む加湿雰囲気下、37℃にて維持した。細胞増殖アッセイ用に、細胞を1ウェルあたり1,000〜5,000個の密度で播種し、5〜10% FBSを補充した培地中で、37℃にて一晩培養した。次の日、種々の濃度の試験物質またはビヒクル対照(1% DMSO) を、細胞培養物に添加した。3日間処理した後、細胞の増殖を、CellTiter-Glo(登録商標) Luminestceaent Cell Viability Assay (Promega)により評価した。IC50値は、GraphPad Prismを用いて、ビヒクル対照と比較して、濃度の対数を細胞増殖の%阻害に対してブロッティングすることにより算出した。実施例化合物のIC50値を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【実施例】
【0098】
本発明の特定の好ましい態様を以下に例示するが、これらの実施例は非限定的なものである。
【0099】
実施例1
N-(3-(3-アミノイソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化14】
ナトリウム メトキシド (65mg)の無水メタノール (6mL)溶液に、2,2-ジエトキシアセトニトリル (1.29g)を0℃にて添加した。該反応混合物を室温にて2時間撹拌した。3-ブロモベンジルアミン (1.49g)を添加した。該反応混合物を70℃にて2時間加熱した後、減圧下で濃縮して粗アセトイミドアミドを得た。
【0100】
上述の粗製中間体を、濃硫酸(8mL)に溶解し、室温で36時間撹拌した。該反応混合物を氷水に注ぎ入れ、PH 9〜10に塩基性化した。酢酸エチルで抽出し (3x100mL)、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮してシリカゲルカラム上にて精製し、7-ブロモイソキノリン-3-アミン 1.3gを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.79 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.55 (d, J = 8.8Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.8Hz, 1H), 6.70 (s, 1H); LC-MS: 223(M+1).
【0101】
7-ブロモイソキノリン-3-アミン (150mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン (203mg)、酢酸カリウム (218mg)およびPd(dppf)Cl2 (25mg) を混合してマイクロ波チューブに入れた。ジオキサン (4ml)を添加した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした。該反応は、マイクロ波条件下で、120℃にて1.5時間行った。該反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、該反応混合物を濃縮し、粗ボロン酸エステルを得た。LC-MS: 271(M+1).
【0102】
上述の粗製ボロン酸エステル中間体を、DME (4mL)および水(0.5mL)の溶液中のN-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (211mg)、炭酸ナトリウム (235mg)およびPd(dppf)Cl2 (25mg)と混合した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした。該反応は、マイクロ波条件下、120℃にて1.5時間行った。該反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮してシリカゲルカラム上にて精製し、所望の生成物40mgを収率22%にて得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.83(s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.64 (d, J = 8.8Hz, 1H), 7.53- 7.57 (m, 2H), 7.11-7.14 (m, 1H), 6.84 (s, 1H), 3.10-3.14 (m, 2H), 1.85-1.91 (m, 2H), 1.06 (t, J = 7.5Hz, 3H). LC-MS: 378(M+1).
【0103】
実施例2
(S)-メチル-1-(7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)イソキノリン-3-イルアミノ)プロパン-2-イルカルバメート
【化15】
N-(3-(3-アミノイソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (22mg)および(S)-メチル 1-オキソプロパン-2-イルカルバメート (12mg) を、メタノール (5mL)および酢酸 (0.4mL)の溶液に溶解した。該混合物を20分間撹拌した後、NaBH3CNを1回で添加した。該反応混合物を一晩N2下で撹拌した後、飽和NaHCO3でクエンチした。酢酸エチルで抽出した後、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した濃縮し、シリカゲルカラム上にて精製して所望の生成物12mgを収率42%にて得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.89(s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.58-7.66 (m, 3H), 7.04- 7.09 (m, 1H), 6.65 (s, 1H), 3.72-3.74 (m, 2H), 3.67(s, 3H), 3.37-3.41 (m, 2H), 3.07-3.11 (m, 2H), 1.89-1.92 (m, 2H), 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.06 (t, J = 7.5Hz, 3H). LC-MS: 493(M+1).
【0104】
実施例3
N-(3-(3-アミノ-6-メトキシイソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化16】
ナトリウム メトキシド (25mg)の無水メタノール (8mL)溶液に、2,2-ジエトキシアセトニトリル (0.5g) を0℃にて添加した。該反応混合物を室温にて2時間撹拌した。(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)メタンアミン (0.24g)を添加した。該反応混合物を70℃にて2時間加熱した後、減圧下で濃縮して粗アセトイミドアミドを得、さらなる精製は行わなかった。
【0105】
上述の粗製中間体を濃硫酸(4mL)に溶解し、室温で14時間撹拌した。該反応混合物を氷水に注ぎ入れ、PH9〜10になるように塩基性化した。酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮してシリカゲルカラム上にて精製し、7-ブロモ-6-メトキシイソキノリン-3-アミン 50mgを収率18%にて得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.65(s, 1H), 7.96(s, 1H), 6.80(s, 1H), 6.61(s, 1H),3.98(s, 3H); LC-MS: m/z 253.1 (M+H).
【0106】
7-ブロモ-6-メトキシイソキノリン-3-アミン (50mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン (61mg)、酢酸カリウム (65mg)およびPd(dppf)Cl2 (14.6mg) をマイクロ波チューブに入れて混合した。ジオキサン (3ml) を添加した。該混合物を脱気して窒素で3回フラッシュした。該反応は、マイクロ波条件下、120℃にて1時間行った。該反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル20mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して粗製ボロン酸エステルを得た。LC-MS: 301.2 (M+H).
【0107】
上述の粗製ボロン酸エステル中間体 (30mg) を、DMF (3mL) および水 (0.3mL)の溶液中の、N-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (37mg)、Cs2CO3 (97mg)およびPd(dppf)Cl2 (7.3mg) と混合した。該混合物を脱気し、水素で3回フラッシュした。該反応は、マイクロ波条件下、120℃にて1時間行った。該反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル50mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮してシリカゲルカラム上にて精製し、所望の生成物19mgを収率47%にて得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.69(s, 1H), 7.63(s, 1H), 7.57-7.60(m, 1H), 6.97-6.99(m, 1H), 6.87(s, 1H), 6.66(s, 1H), 4.75(s, br, 2H), 3.87(s, 3H), 3.04-3.09(m, 2H), 1.86-1.92(m, 2H), 1.02(t, J = 7.5 Hz, 3H); LC-MS: 408.1 (M+H).
【0108】
実施例4
N-((S)-1-(7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-6-メトキシイソキノリン-3-イルアミノ)プロパン-2-イル)アセトアミド
【化17】
N-(3-(3-アミノ-6-メトキシイソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (12mg)および(S)-メチル 1-オキソプロパン-2-イルカルバメート(5.8mg)のCH3OH (2ml)の溶液に、酢酸 (50mg)を添加した。該混合物を室温で0.5時間撹拌した後、NaBH3CN(3.78mg) を添加した。上述の混合物をさらに10時間撹拌した。飽和NaHCO3 (10mL)、次いで酢酸エチル(20mL)を添加した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮してシリカゲルカラム上にて精製し、所望の生成物3.0mgを収率20%にて得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.67(s, 1H), 7.60(s, 1H), 7.57-7.60 (m, 1H), 6.97-6.99(m,1H), 6.92(s, 1H), 6.57(s, 1H), 3.88(s, 3H), 3.55(s, 3H) 3.49-3.51(m, 2H), 3.07-3.09(m, 2H), 1.87-1.93(m, 2H), 1.29-1.31(m, 3H),1.06(t, J=7.50, 3H) ; LC-MS: 523.2 (M+H).
【0109】
実施例5
N-((R)-1-(7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-6-メトキシイソキノリン-3-イルアミノ)プロパン-2-イル)アセトアミド
【化18】
(R)-メチル 1-オキソプロパン-2-イルカルバメートを出発物質として、上述の類似体Aと同等の手順にしたがって、該生成物を得た。LC-MS: 523.2 (M+H).
【0110】
実施例6
N-((S)-1-(7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-6-(2-フルオロエトキシ)イソキノリン-3-イルアミノ)プロパン-2-イル)アセトアミド
【化19】
上述の類似体Aと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.67(s, 1H), 7.66(s, 1H), 7.59-7.62(m, 1H), 6.88-6.92(m, 1H), 6.78(s, 1H), 6.50(s, 1H), 4.86-4.88(m, 1H), 4.72-4.76(m, 1H), 4.33-4.35(m, 1H), 4.26-4.28(m, 1H),3.72(s, 3H) 3.49-3.51(m, 2H), 3.07-3.09(m, 2H), 1.89-1.92(m, 2H), 1.28-1.30(m, 3H),1.04(t, J=7.52, 3H); LC-MS: 555.2 (M+H).
【0111】
実施例7
N-((S)-1-(7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-6-エチルイソキノリン-3-イルアミノ)プロパン-2-イル)アセトアミド
【化20】
上述の類似体Aと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。LC-MS: 521.2.1 (M+H).
【0112】
類似体Bの合成
実施例8
N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化21】
POCl3 (35g、0.228mol) およびDMF (16g、0.228mol)のTHF (100mL)の混合物に、7-ブロモ-1,2-ジヒドロイソキノリン-3(4H)-オン (20g、0.088mol) を0℃にて、数回に分けて40分間で添加した。該混合物を0℃で3時間撹拌した後、氷に注いだ。PH = 7になるまで2N NaOHで中和し、DCMで抽出した。有機層を合わせてNa2SO4を用いて乾燥し、濃縮して粗製 (7-ブロモ-3-クロロイソキノリン-4(1H)-イリデン)-N,N-ジメチルメタンアミン 26gを赤色油状物として得た。
【0113】
トルエン(150mL)中の上述の粗製中間体に、激しく撹拌しながら2N H2SO4 (150mL) を添加した後、KMnO4 (12g) を数回に分けて室温にて添加した。該混合物を、さらに6時間撹拌、濾過し、有機層を分離し、乾燥し、蒸発した。該残渣を酢酸エチルから結晶化し、7-ブロモ-3-クロロイソキノリン-4-カルバルデヒド4gを、全体的な収率17%にて、黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ 10.65 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 8.84 (d, J = 9.5Hz, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.14 (d, J = 9.1Hz, 1H); LC-MS: 270 (M+1).
【0114】
ヒドラジン (20mL) を5分間かけて7-ブロモ-3-クロロイソキノリン-4-カルバルデヒド (4g、0.015mol) のDME (20mL)溶液に添加した。該反応混合物を一晩還流し、真空濃縮した。水を該混合物に添加した。生じた沈殿物を濾去した。該固体をヒドラジン (20mL)中に添加し、該混合物を100℃にて一晩加熱した。水を該混合物に添加した。生じた沈殿物を濾去し、7-ブロモ-3H-ピラゾロ [3,4-c] イソキノリン 2gを収率54% で、黄色固体として得た。 1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.15 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.33 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 9.1 Hz, 1H); LC-MS: 250 (M+1).
【0115】
7-ブロモ-3H-ピラゾロ [3,4-c] イソキノリン (2g、8.06mmol) をジオキサン (20mL)に溶解した後、酢酸カリウム (2.37g、24.19mmol)、Pd(dppf)Cl2 (295 mg、0.40mmol)および4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(2.66g、10.48mmol) を添加した。該反応混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュして、100℃にて撹拌した。冷却、濾過して酢酸エチルで洗浄した後、該濾液をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン 1.5gを65%の収率で、黄色固体として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 11.56 (br, 1H), 9.14 (s, 1H), 8.62 (s, 1 H), 8.48 (s, 1H), 8.19-8.24 (m, 2H), 1.42 (s, 9 H); LC-MS: 295 (M+1).
【0116】
7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン (1.5g、5.085mmol) のDCM (20mL)の溶液に、トリエチルアミン (0.77g、7.627mmol)および無水酢酸 (0.78g、7.627mmol)を添加した。該反応混合物を室温にて一晩撹拌した。DCMで希釈してブラインで洗浄した後、有機層をNa2SO4を用いて乾燥し、濃縮して1-(7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-イル)エタノン 1.6gを収率93%にて黄色固体として得た。LC-MS: 338 (M+1). 1-(7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-イル)エタノン (50mg、0.148mmol)のDMF(2.5mL) 溶液に、N-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (46mg、0.148mmol)、2M Na2CO3 (0.3mmol、0.3mL)およびPd(dppf)Cl2 (8mg)を添加した。該反応混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュし、マイクロ波下、150℃にて1.5時間撹拌した。該混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド 11mgを収率18%にて、白色固体として得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6):δ 14.02 (s, 1H), 9.73 (s, 1H), 9.24 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.50 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 3.2 Hz, 1H) , 7.30 (t, J = 9.1 Hz, 1H), 3.11-3.15 (m, 2H), 1.74-1.79 (m, 2H), 0.85 (t, J = 7.5 Hz, 3H); LC-MS: 402 (M+1).
【0117】
実施例9
N-(3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化22】
N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド (100mg、0.25mmol)、NBS (46mg、0.26mmol) のCH3CN (15mL) 中の混合物を、室温で3時間撹拌した。真空下で溶媒を除去した後、残渣を水で希釈し、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、N-(3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 80mgを収率66%にて黄色固体として得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 14.46 (s, 1H), 9.74 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.84 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.45 (s, 1 H), 8.08 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.52 (t, J = 3.1 Hz, 1H), 7.31 (t, J = 9.1 Hz, 1H), 3.11-3.15 (m, 2H) 1.75-1.77 (m, 2H), 0.98 (t, J = 7.2 Hz, 3H); LC-MS: 481(M+1).
【0118】
実施例10
N-(3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化23】
N-(3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (80mg、0.166mmol)のDCM (20mL)溶液を、トリエチルアミン (25mg、0.249mmol)、DMAP (5mg) および二炭酸ジ-tert-ブチル(54mg、0.249mmol)で処理した。該混合物を室温で5時間撹拌した。DCMで希釈し、ブラインで洗浄した後、有機層をNa2SO4を用いて乾燥し、濃縮し、残渣をPTLCにより精製し、tert-ブチル 1-ブロモ-7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート 30mgを31%の収率で得た。LC-MS: 581(M+1).
【0119】
反応容器に、tert-ブチル 1-ブロモ-7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート (30mg、0.051mmol)、シクロプロピルボロン酸 (9mg、0.103mmol)およびリン酸カリウム (33mg、0.155mmol)を添加した。トルエン (3mL) および水 (0.3mL) を添加した。該混合物を窒素で10分間パージした後、酢酸パラジウム(II) (2mg)およびトリシクロヘキシル ホスフィン (2mg) を添加した。該反応容器を窒素でパージし、密封した。該反応混合物をマイクロ波下、150℃にて1.5時間撹拌した。室温に冷却して水で希釈し、EAで抽出した後、有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。該残渣をPTLCで精製してtert-ブチル 1-シクロプロピル-7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート 15mgを収率53%で得た。LC-MS: 543(M+1).
【0120】
tert-ブチル 1-シクロプロピル-7-(2,6-ジフルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート (15mg、0.027mmol) のDCM (2mL)溶液に、TFA (2mL)を添加した。該混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空除去した後、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムで分配し、ブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、N-(3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 4mgを収率33%にて、白色固体として得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 13.59 (s, 1H), 9.74 (s, 1H), 9.20 (s, 1H), 8.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.5 Hz, 1H) 7.47-7.53 (m, 1 H), 7.29 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.11-3.15 (m, 2H), 1.98-2.02 (m, 1H), 1.75-1.77 (m, 2H), 1.11-1.20 (m, 2H), 0.97-1.00 (m, 5H); LC-MS: 443(M+1).
【0121】
実施例11
N-(2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化24】
3-ブロモ-2-クロロ-4-フルオロベンゼンアミン (200mg、0.89mmol)、トリエチルアミン (361mg、3.57mmol) のDCM (10mL)溶液を、n-プロパン塩化スルホニル (318mg、2.23mmol)で処理した。該混合物を一晩室温で撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、該混合物をDCMで抽出した。組み合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をアセトニトリル (10mL) に溶解し、炭酸ナトリウム水溶液 (375mg、3.57mmol) を添加した。該反応混合物を2時間還流し、室温に冷却した後、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N-(3-ブロモ-2-クロロ-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 180mgを収率61%にて白色固体として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.66-7.70 (m, 1H), 7.10-7.14 (m, 1H), 6.37 (br_s, 1H), 3.03-3.07 (m, 2H), 1.84-2.05 (m, 2 H), 1.05 (t, J = 7.5 Hz, 3H); LC-MS: 330 (M+1).
【0122】
1-(7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-イル)エタノン (50mg、0.148mmol)のDMF(2.5mL)溶液に、N-(3-ブロモ-2-クロロ-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (49mg、0.148mmol)、2M Na2CO3 (0.3mmol、0.3mL)およびPd(dppf)Cl2 (8mg)を添加した。該反応混合物をマイクロ波下、150℃にて、1.5時間撹拌した。該混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、N-(2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド 6mgを収率9%にて白色固体として得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 14.01 (s, 1H), 9.62 (s, 1H), 9.21 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.48 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 8.27 (s, 1 H), 7.86 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 7.59 (t, J = 3.1 Hz, 1 H), 7.45 (t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.13-3.16 (m, 2 H), 1.75-1.79 (m, 2 H), 0.98 (t, J = 7.2 Hz, 3 H); LC-MS: 419 (M+1).
【0123】
実施例12
N-(3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2-クロロ-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化25】
N-(2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド (100mg、0.248mmol)、NBS (46mg、0.261mmol) のCH3CN (15mL) 中の混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空除去した。残渣を水で希釈し、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N-(3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2-クロロ-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 60mgを収率50%にて、黄色固体として得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ14.46 (s, 1H), 9.74 (s, 1H), 9.32 (s, 1H) 8.84(d, J = 8.5 Hz, 1 H), 8.45 (s, 1 H), 8.08(d, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.52 (t, J = 3.1 Hz, 1 H), 7.31 (t, J = 9.1 Hz, 1 H), 3.11-3.15 (m, 2 H), 1.75-1.77 (m, 2 H), 0.98 (t, J = 7.2 Hz, 3 H); LC-MS: 497 (M+1).
【0124】
実施例13
N-(2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化26】
N-(3-(1-ブロモ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2-クロロ-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (60mg、0.120mmol)のDCM (20mL)溶液を、トリエチルアミン (18mg、0.181mmol)、DMAP (5mg) および二炭酸ジ-tert-ブチル(39mg、0.181mmol)で処理した。該混合物を室温で5時間撹拌した後、DCMで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、tert-ブチル 1-ブロモ-7-(2-クロロ-6-フルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート 25mgを収率35%にて得た。LCMS: 598 (M+1).
【0125】
反応容器に、tert-ブチル 1-ブロモ-7-(2-クロロ-6-フルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート (20mg、0.033mmol)、シクロプロピルボロン酸 (6mg、0.066mmol) およびリン酸カリウム (21mg、0.099mmol)を添加した。トルエン (3mL) および水 (0.3mL) を添加した。該混合物を10分間窒素パージした。酢酸パラジウム(II) (2mg)およびトリシクロヘキシル ホスフィン (2mg) を添加した。該反応容器をアルゴンでパージし、密封した。該混合物をマイクロ波下、150℃にて1.5時間撹拌した。該混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄した後、Na2SO4上で乾燥し、濃縮し、残渣をPTLCにより精製し、tert-ブチル7-(2-クロロ-6-フルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート 10mgを収率53%にて、無色の油状物として得た。LCMS: 560 (M+1).
【0126】
tert-ブチル 7-(2-クロロ-6-フルオロ-3-(プロピルスルホンアミド)フェニル)-1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-3-カルボキシレート (10mg、0.017mmol) のDCM (2mL) 溶液に、TFA (2mL)を添加した。該混合物を室温で3時間撹拌した。該溶媒を真空除去し、残渣を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウムの間で分配し、ブラインで洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、N-(2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 2mgを収率24%にて、白色固体として得た。LC-MS: 459 (M+1).
【0127】
実施例14
N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)-3-フルオロプロパン-1-スルホンアミド
【化27】
類似体Bと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。LC-MS: 421(M+1).
【0128】
実施例15
N-(2-クロロ-4-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)-3-フルオロプロパン-1-スルホンアミド
【化28】
類似体Bと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。LC-MS: 437(M+1).
【0129】
実施例16
N-(2,4-ジクロロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化29】
類似体Bと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.18(s, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.35 (d, J = 8.3Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.72-7.77 (m, 2H), 7.50 (d, J = 8.3Hz, 1H), 7.01 (br, 1H), 3.08-3.11 (m, 2H), 1.90-1.95 (m, 2H), 1.09 (t, J = 7.2Hz, 3H). LC-MS: 435(M+1).
【0130】
実施例17
N-(4-クロロ-2-フルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化30】
類似体Bと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。 1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 14.01 (s, 1H), 9.88 (s, 1H), 9.23 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.50 (d, J = 8.3Hz, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.89(d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.50-7.53 (m, 2H), 3.15-3.19 (m, 2H), 1.74-1.77 (m, 2H), 0.98 (t, J = 7.6Hz, 3H). LC-MS: 419 (M+1).
【0131】
実施例18
N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)-1,3-プロパンスルタム
【化31】
類似体Bと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。LC-MS: 401(M+1).
【0132】
類似体Cの合成
実施例19
N-(2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化32】
無水エーテル (8mL)中の(4-ブロモ-3-メトキシフェニル) メタノール (586mg) に、トリブロモ-ホスフィン (366mg)を℃にて添加した。該反応混合物をゆっくりと室温に加温しながら2〜3時間撹拌した。氷水に注ぎ、PH 7になるまで塩基性化した。エーテルで抽出し(3x50mL)、Na2SO4上で乾燥した後、30℃より下の温度で濃縮して粗製1-ブロモ-4-(ブロモメチル)-2-メトキシベンゼンを得、さらなる精製は行わなかった。
【0133】
上述の粗製1-ブロモ-4-(ブロモメチル)-2-メトキシベンゼンをDMSO (8mL)に溶解した。触媒性18-クラウン-6およびシアン化カリウム粉末 (263mg) を℃にて添加した。該反応混合物を室温にて2時間撹拌した。水 (20mL) を添加した。エーテルで抽出し (3x50mL)、ブラインで3回洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して生成物2-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)アセトニトリル 533mgを91%の収率にて得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.53 (d, J = 8.3Hz, 1H), 6.86 (d, J = 1.5Hz, 1H), 6.79-6.81 (m, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.73 (s, 2H). LC-MS: 224(M-1).
【0134】
NaH (142mg、60% 鉱油中) を無水THF (10mL) 中で0℃にて撹拌した後、2-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)アセトニトリル (533mg)およびメチルギ酸エステル (213mg)の無水THF (2mL)溶液を添加した。該反応混合物を0℃にて0.5時間撹拌した後、50℃にて0.5〜1時間加熱した。一定量の赤色固体が見られた。室温に冷却し、氷水に注いで、PH 4〜5になるまで酸性化した。エーテルで抽出し(3x50mL)、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して粗製2-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-3-オキソプロパンニトリル 541mgを黄色固体として得、さらなる精製は行わなかった。LC-MS: 252 (M-1).
【0135】
上述の粗製ニトリル (541mg) およびベンジルヒドラジン(hydzine)塩酸塩 (373mg)を、iPrOH (5mL) および酢酸 (0.29mL)に溶解した。該反応混合物を2〜4時間還流した。室温に冷却し、氷水に注いで炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。酢酸エチルで抽出して(3x50mL)Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して粗製1-ベンジル-4-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-5-アミン 746mgを黄色固体として得、さらなる精製は行わなかった。LC-MS: 360 (M+2).
【0136】
1-ベンジル-4-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-5-アミン (161mg)およびパラホルムアルデヒド (14.8mg)をTFA (5mL)に溶解した。該混合物を5〜6時間還流した。室温に冷却して、氷水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中和した。酢酸エチルで抽出し (3x50mL) 、Na2SO4上で乾燥して濃縮した後、シリカゲルカラム上で精製し、3-ベンジル-7-ブロモ-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン 70mgを収率43%で得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.87 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.35-7.38 (m, 2H), 7.29-7.31 (m, 3H), 5.80 (s, 2H), 4.11 (s, 3H); LC-MS: 369(M+1).
【0137】
3-ベンジル-7-ブロモ-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン (63mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン(52mg)、酢酸カリウム (50mg)およびPd(dppf)Cl2 (6.3mg)をジオキサン (5ml)に溶解した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした後、100℃にて一晩加熱した。室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して粗製ボロン酸エステルを得た。LC-MS: 416(M+1).
【0138】
上述の粗製ボロン酸エステルをN-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (53mg)、リン酸三カリウム(75mg)およびビス[ジ-tert-ブチル-(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(2.0mg)を、ジオキサン (5mL)および水 (0.4mL)の溶液中にて混合した。該反応混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした後、110℃で5時間加熱した。室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄した後、Na2SO4上で乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上で精製し、N-(3-(3-ベンジル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 44mgを、全体的な収率50%にて得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.97 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.98(s, 1H), 7.62-7.63 (m, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.28-7.36 (m, 5H), 7.04-7.07 (m, 1H), 6.59 (brs, 1H), 5.83 (s, 2H), 4.01 (s, 3H), 3.09-3.13 (m, 2H), 1.87-1.92 (m, 2H), 1.07 (t, J = 7.5 Hz, 3H); LC-MS: 523(M+1).
【0139】
N-(3-(3-ベンジル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (80mg) のギ酸 (8mL)溶液に、ギ酸アンモニウム (38mg)およびPd(OH)2 (150mg、20% 炭素上)を添加した。該反応混合物を100℃にて一晩加熱した。室温に冷却し、セライトパッドに通して濾過し、エチルエステルで洗浄した。濾液を濃縮してギ酸を除去した。該残渣を酢酸エチル(100mL) に再溶解し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。該残渣をシリカゲルカラムで精製し、N-(2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド 27mg を収率41%にて得た。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ 9.00 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.54-7.60 (m, 1H), 7.08-7.12 (m, 1H), 4.09 (s, 3H), 3.02-3.12 (m, 2H), 1.85-1.88 (m, 2H), 1.06 (t, J = 7.2Hz, 3H); LC-MS: 433(M+1).
【0140】
実施例20
N-(2-クロロ-4-フルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化33】
類似体Cと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 13.85 (s, 1H), 9.56 (s, 1H), 9.04 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.54-7.58 (m, 1H), 7.36-7.40 (m, 1H), 4.02 (s, 3H), 3.07-3.13 (m, 2H), 1.75-1.80 (m, 2H), 0.99 (t, J = 7.2Hz, 3H); LC-MS: 449(M+1).
【0141】
実施例21
N-(2,4-ジフルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)-3-フルオロプロパン-1-スルホンアミド
【化34】
類似体Cと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。1HNMR (400MHz, CDCl3): δ 8.99 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.01(s, 1H), 7.66-7.67(m, 1H), 7.61(s, 1H), 7.07-7.09 (m, 1H), 4.61-4.64 (m, 1H), 4.49-4.52 (m, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.28-3.32(m, 2H), 2.23-2.27(m, 2H); LC-MS: 451 (M+H).
【0142】
実施例22
N-(2-クロロ-4-フルオロ-3-(8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)-3-フルオロプロパン-1-スルホンアミド
【化35】
類似体Cと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。1HNMR (400MHz, CDCl3):δ 8.99 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.72-7.77 (m, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.17-7.22 (m, 1H), 6.77 (brs, 1H), 4.62-4.65 (m, 1H), 4.51-4.53 (m, 1H), 4.01(s, 3H), 3.28-3.32 (m, 2H), 2.23-2.28 (m, 2H); LC-MS: 467 (M+H).
【0143】
実施例23
N-(3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化36】
2-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)アセトニトリル (1g、4.43mmol) のTHF (10mL) の溶液に、撹拌しながらリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド溶液 (1M THF中、11mL、11.06mmol)を−78℃、窒素下にて滴加した。生じた溶液を-78℃にて15分間、次いで、室温にて1時間撹拌した。該反応混合物を-78℃に冷却し、シクロプロパンカルボニル クロライド (0.69g、6.637mmol) を滴加した。該混合物を1時間にわたって0℃に加温し、0℃にて1.5時間撹拌した。飽和NH4Clを添加し、有機層を分離した。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-3-シクロプロピル-3-オキソプロパンニトリル 750mgを収率58%にて、黄色油状物として得た。LC-MS: 295 (M+1).
【0144】
2-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-3-シクロプロピル-3-オキソプロパンニトリル (750mg、2.54mmol) のイソプロパノール (15mL)溶液に、ベンジルヒドラジン一塩酸塩 (445mg、2.81mmol)、酢酸 (0.5mL)を添加した。該混合物を一晩灌流し、溶媒を真空除去し、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムで分配し、ブラインで洗浄し、有機層Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗製1-ベンジル-4-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-5-アミン 1gを黄色固体として得た。LCMS: 399 (M+1).
【0145】
1-ベンジル-4-(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-5-アミン (1g、2.51mmol) とパラホルムアルデヒド (82mg、2.78mmol) のTFA (10mL)中の混合物を、一晩還流した。TFAのほとんどを真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムで分配し、ブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4を用いて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3-ベンジル-7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン 0.9gを、収率91%で、黄色固体として得た。
1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.04 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.19-7.29 (m, 5H) 5.65 (s, 2 H), 4.11 (s, 3H), 2.52-2.61 (m, 1H), 1.17-1.23 (m, 2H), 1.09-1.11 (m, 2H); LC-MS: 409 (M+1)。
【0146】
3-ベンジル-7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン (1g、2.45mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.747g、2.94mmol)、酢酸カリウム (0.72g、7.35mmol)およびPd(dppf)Cl2 (179mg) をジオキサン (30ml)に溶解した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした後、100℃にて一晩加熱した。冷却後、濾過して酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、3-ベンジル-1-シクロプロピル-8-メトキシ-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン 700mgを収率63%で、黄色固体として得た。LC-MS: 456 (M+1).
【0147】
3-ベンジル-1-シクロプロピル-8-メトキシ-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン (50mg、0.109mmol)、N-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (34mg、0.109mol) のDME (3mL) 中の溶液に、K3PO4・3H2O (46mg、0.219mmol)およびジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II) (8mg)を添加した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュし、110℃、窒素下にて5時間撹拌した。室温に冷却した後、水で希釈して酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥して濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、N-(3-(3-ベンジル-1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 30mgを収率49%にて、黄色固体として得た。LC-MS:563(M+1).
【0148】
N-(3-(3-ベンジル-1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (30mg、0.053mmol)、Pd(OH)2 (60mg、20%炭素上)、ギ酸アンモニウム(8mg)のギ酸 (3mL)中の混合物を、100℃にて7時間撹拌した。冷却し、濾過して酢酸エチルで洗浄した後、溶媒を真空除去した。残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムで分配した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4 を用いて乾燥し、濃縮した。残渣をPTLCにより精製し、N-(3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド 6mgを収率24%にて、白色固体として得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.95 (s, 1 H), 8.06 (s, 1 H), 8.00 (s, 1 H), 7.65-7.67 (m, 1 H), 7.08-7.09 (m, 2 H), 4.04 (s, 3 H), 3.10-3.14 (m, 2 H), 2.21-2.43 (m, 2H), 1.91-2.03(m, 1H), 1.13-1.21 (m, 2 H), 1.06 (t, J = 7.5 Hz, 3 H), 0.87-0.90 (m, 2 H); LC-MS: 473 (M+1).
【0149】
実施例24
N-(2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化37】
類似体Cと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。 1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.95 (s, 1 H), 8.06 (s, 1H), 7.93 (s, 1H) 7.65-7.67 (m, 1H), 7.16-7.21 (m, 2H), 6.76 (s, 1H), 4.01 (s, 3H) 3.11-3.15 (m, 2H), 2.21-2.43 (m, 2H), 1.91-2.03(m, 1H), 1.13-1.21 (m, 2 H), 1.06 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.87-0.90 (m, 2H); LC-MS: 490 (M+1).
【0150】
実施例25
N-(2-クロロ-3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-4-フルオロフェニル)-3-フルオロプロパン-1-スルホンアミド
【化38】
類似体Cと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。 1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.97 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.65-7.69 (m, 1H), 7.23-7.27 (m, 1H), 4.61 (t, J = 5.8Hz, 1H), 4.49 (t, J = 5.8Hz, 1H), 4.09 (s, 3H), 3.26-3.28 (m, 2H), 2.51- 2.54 (m, 1H), 2.01- 2.24 (m, 2H), 1.18-1.20 (m, 2H),1.06- 1.07 (m, 2H); LC-MS: 507 (M+1).
【0151】
実施例26
N-(3-(1-シクロプロピル-8-メトキシ-3H-ピラゾロ[3,4-c]イソキノリン-7-イル)-2,4-ジフルオロフェニル)-3-フルオロプロパン-1-スルホンアミド
【化39】
類似体Cと同様の手順にしたがって、該生成物を得た。LC-MS: 491 (M+1).
【0152】
類似体Dの合成
実施例27
N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピロロ[2,3-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド
【化40】
DMF (4mL)中の7-ブロモイソキノリン-3-アミン (256mg) に、NIS (258mg) を℃にて、数回に分けて添加した。該反応混合物を0.5時間撹拌した。水(20mL) を添加して反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4 上で乾燥して濃縮した。該残基をシリカゲルカラム上で精製し、7-ブロモ-4-ヨードイソキノリン-3-アミン 190mgを47%の収率で得た。LC-MS: 349(M+1).
【0153】
7-ブロモ-4-ヨードイソキノリン-3-アミン (190mg)、CuI (5.2mg)および(Ph3P)2PdCl2 (19mg) をトリエチルアミン (20mL)に溶解した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした後、トリメチルアセチレン (80mg)のトリエチルアミン (1mL)溶液を添加した。該反応混合物を室温にて18時間撹拌した。水(20mL) を添加して反応をクエンチした後、酢酸エチルで抽出し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥して濃縮した。該残渣をシリカゲルカラム上で精製し、7-ブロモ-4-((トリメチルシリル)エチニル)イソキノリン-3-アミン 176mgを収率99%で得た。LC-MS: 321(M+1).
【0154】
7-ブロモ-4-((トリメチルシリル)エチニル)イソキノリン-3-アミン (176mg) のDCM (10mL) 溶液に、ピリジン (87mg) およびアシル クロライド(48mg) を℃にて添加した。該反応混合物を4時間撹拌した。酢酸エチルで抽出し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥して濃縮した。該残渣をシリカゲルカラム上で精製し、N-(7-ブロモ-4-((トリメチルシリル)エチニル)イソキノリン-3-イル) アセトアミド 110mgを55%の収率で得た。LC-MS: 361(M+1).
【0155】
N-(7-ブロモ-4-((トリメチルシリル)エチニル)イソキノリン-3-イル) アセトアミド (110mg) をTHF (5mL)に溶解した後、TBAF (0.6ml、1N、THF中)を添加した。該反応混合物を1時間還流した後、室温に冷却し、酢酸エチルで抽出し、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮して生成物7-ブロモ-3H-ピロロ[2,3-c]イソキノリン (83mg)を定量的収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.23(br, 1H), 8.83 (s, 1H), 8.20 (d, J = 2.0Hz, 1H), 8.09 (d, J = 8.8Hz, 1H), 7.81(dd, J = 8.8, 2.0Hz, 1H), 7.38-7.40 (m, 1H), 6.99-7.00 (m, 1H); LC-MS: 247(M+1).
【0156】
7-ブロモ-3H-ピロロ[2,3-c]イソキノリン (83mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン (102mg)、酢酸カリウム (99mg)およびPd(dppf)Cl2 (25mg) をジオキサン (4ml)に溶解した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした後、80℃にて一晩加熱した。室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して粗製ボロン酸エステルを得た。LC-MS: 295(M+1).
【0157】
上述の粗製ボロン酸エステルを、ジオキサン (5mL)および水 (0.3mL)の溶液中の、N-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (53mg)、リン酸三カリウム (71mg)およびビス[ジ-tert-ブチル-(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(2.4mg) と混合した。該反応混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした後、110℃にて5時間加熱した。室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄した後、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。該残渣をシリカゲルカラム上で精製し、N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-ピロロ[2,3-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド 20mgを全体的に30%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CD3SOCD3) δ 12.10 (br, 1H), 9.71 (s, 1H), 8.97(s, 1H), 8.39 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.79-7.81 (m, 1H), 7.40-7.52 (m, 2H), 7.26-7.29 (m, 1H), 7.08-7.10 (m, 1H), 3.11-3.15 (m, 2H), 1.76-1.79 (m, 2H), 0.99(t, J = 7.5Hz, 3H). LC-MS: 402(M+1).
【0158】
類似体Eの合成
実施例28
N-(2,4-ジフルオロ-3-(3H-イミダゾ[4,5-c]イソキノリン-7-イル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドおよびその互変異性体
【化41】
7-ブロモイソキノリン-3-アミン (200mg)を濃硫酸(1mL) に0℃にて溶解した。硝酸ナトリウム(84mg) を数回に分けて添加した。該反応混合物を室温で0.5時間撹拌した後、55℃にて1時間加熱した。氷水に注ぎ入れて、PH 9〜10に塩基性化した。酢酸エチルで抽出し (3x100mL)、Na2SO4上で乾燥した後、濃縮して7-ブロモ-4-ニトロイソキノリン-3-アミンを得、さらなる精製は行わなかった。
【0159】
DMF (6mL) および濃塩酸 (4mL) 中の、上述の7-ブロモ-4-ニトロイソキノリン-3-アミン (241mg)に、塩化すず水和物 (712mg)を添加した。該反応混合物を60℃にて一晩撹拌した後、氷水に注ぎ、PH 9〜10に塩基性化した。酢酸エチルで抽出し (3x100mL)、Na2SO4上で乾燥させた後、濃縮して粗製7-ブロモイソキノリン-3,4-ジアミンを得、これを過剰のオルトギ酸トリエチル(6mL)および酢酸 (0.5mL) とともに110℃にて2時間加熱した。減圧下で揮発性物質を除いた後、7-ブロモ-3H-イミダゾ[4,5-c]イソキノリンを黄色固体 150mgとして得た。LC-MS: 248(M+1).
【0160】
7-ブロモ-3H-イミダゾ[4,5-c]イソキノリン (100mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン (124mg)、酢酸カリウム (120mg) およびPd(dppf)Cl2 (15mg) をマイクロ波チューブに入れて混合した。ジオキサン (4ml)を添加した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした。該反応は、マイクロ波条件下、120℃にて1時間行った。該反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた後、濃縮して粗製ボロン酸エステルを得た。LC-MS: 294(M-1).
【0161】
無水DCM (20mL)中の上述の粗製ボロン酸エステル中間体に、無水酢酸 (62mg)およびトリエチルアミン (61mg)を添加した。該混合物を室温で一晩撹拌した。濃縮してアシル保護ボロン酸エステルを得、これをDMF (3mL) および水 (0.2mL)の溶液中のN-(3-ブロモ-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド (63mg)、炭酸カリウム (55mg)およびPd(dppf)Cl2 (7mg)と混合した。該混合物を脱気し、窒素で3回フラッシュした。該反応は、マイクロ波条件下、140℃にて1.5時間行った。該反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル100mLで希釈した。水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した後、 濃縮してシリカゲルカラム上にて精製し、所望の生成物13mgを、全体の収率13%にて得た。1H NMR (400 MHz, CD3SOCD3) δ 13.6(br, 1H), 9.73 (s, 0.7H), 9.16(s, 1H), 9.07 (s, 0.3H), 8.50 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.91-7.93 (m, 1H), 7.50-7.54 (m, 2H), 7.28-7.31 (m, 1H), 3.11-3.14 (m, 2H), 1.76-1.78 (m, 2H), 1.02(t, J = 7.5Hz, 3H). LC-MS: 403(M+1).
【0162】
上述の実施例および好ましい態様についての記述は、例示のためのものであり、特許請求の範囲により規定される本発明を限定するものではない。容易に理解されることであるが、特許請求の範囲に示す本発明から離れなければ、特徴の無数の変更および組合せを用いてよい。該変更は本発明の精神および筋書きから離れるものではなく、かかる全ての変更は、以下の特許請求の範囲に含まれることを意図している。本明細書中の引用文献は、引用によりその全体が本明細書中に包含される。
【国際調査報告】