(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528515(P2015-528515A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】胃食道疾患を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/00 20060101AFI20150901BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20150901BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20150901BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20150901BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20150901BHJP
A61K 47/34 20060101ALI20150901BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20150901BHJP
A61K 33/08 20060101ALI20150901BHJP
A61K 33/10 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P1/04
A61K9/08
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/10
A61K33/08
A61K33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-532164(P2015-532164)
(86)(22)【出願日】2013年9月18日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月22日
(86)【国際出願番号】US2013060322
(87)【国際公開番号】WO2014047127
(87)【国際公開日】20140327
(31)【優先権主張番号】61/702,611
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/027,937
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】515070996
【氏名又は名称】ピーエッチ サイエンス ホールディングス,インコーポレーティド
【氏名又は名称原語表記】PH SCIENCE HOLDINGS,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】イズメール グロール
(72)【発明者】
【氏名】ロバート バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ロイド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA94
4C076AA95
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4C086MA05
4C086MA52
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZA66
(57)【要約】
比較的大きな表面張力、高い粘度および高い横方向付着性を有する水性ビヒクルに混合される、少なくとも9.0〜12.0のpHを有するアルカリ剤を少なくとも1種含む経口投与される組成物。混合されると、食道下部およびLESを均一にコーティングして部分的に付着し、比較的長く作用する保護バリヤーを形成し、かつ胃酸を部分的に中和する低水溶性エマルションが形成される。一実施形態において、アルカリ剤は水酸化カリウムであり、水性ビヒクルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコールと、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウムおよび微結晶セルロース等の高pH環境に耐えられる追加の増粘剤とから作製される。アラビアゴムおよびポリエチレングリコール等の追加の感覚刺激剤、塩化ナトリウム、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウムおよびハッカ等の矯味剤、ならびにコロイダルシリカ等の安定剤を添加してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的大きな表面張力、高い粘度および高い横方向の付着性を有する水性ビヒクルに混合される、少なくとも9.0〜12.0のpHを有するアルカリ剤を含む口腔用組成物を必要とする患者に前記口腔用組成物を投与することを含む、身体的外傷または胃酸によって引き起こされる食道および下部食道括約筋の損傷を低減させる方法。
【請求項2】
前記アルカリ剤はアルカリ金属水酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属水酸化物は水酸化カリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウムであり、かつ0.25重量%〜6.0重量%である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物は、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム、または微結晶セルロースの群からの増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムからなる群から選択される1種以上の追加のアルカリ剤をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、8重量%〜22重量%の炭酸カルシウムと、0.1重量%〜3.0重量%の水酸化マグネシウムとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記水性ビヒクルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコールの群のうち1種以上の感覚刺激剤から作製される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は顆粒に配合される、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記水性ビヒクルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコールの群のうち1種以上の感覚刺激剤から作製される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物は繰り返し経口投与されて損傷を低減させるかまたは疼痛を改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される追加のアルカリ剤をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物は、8重量%〜22重量%の炭酸カルシウムと、0.1重量%〜3.0重量%の水酸化マグネシウムとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコールの群からの感覚刺激剤をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物は、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウムまたは微結晶セルロースの群からの増粘剤をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムからなる群から選択される追加のアルカリ剤をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
炎症もしくは胃酸によって引き起こされる下部もしくは上部食道括約筋または食道の組織損傷を予防する口腔用組成物であって、
a.水性ビヒクルに混合される、少なくとも9.0〜12.0のpHを有する、0.25重量%〜6.0重量%のアルカリ剤と、
b.キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウムまたは微結晶セルロースからなる群からのpH9.0以上で安定している増粘剤と、
c.9.0〜11.5のpH値、1.05〜1.15gm/mlの比重;6000〜29,000cPの粘度、および10−2〜10−6ニュートンの値の横方向付着性を有する組成物を作製するために十分な体積の液体ビヒクルと
を含む、口腔用組成物。
【請求項19】
前記アルカリ剤はアルカリ金属水酸化物である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムからなる群から選択される追加のアルカリ剤をさらに含む、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食道炎、胃食道逆流症(「GERD」)、喉頭咽頭逆流(「LPR」)、食道潰瘍、同期性横隔膜粗動(「SDF」)、不適切な下部食道括約筋(「LES」)の機能を含むさまざまな胃食道疾患を治療し、癌治療の副作用による食道感染および嚥下困難を低減する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
胃食道逆流症(以下、「GERD」と呼ぶ)は下部食道括約筋を通って食道内へと上がってくる胃酸によって引き起こされる慢性症状である。喉頭咽頭逆流(以下「LPR」と呼ぶ)は、食道および上部食道括約筋胃酸を通って喉頭および鼻腔内に上がってくる胃酸によって引き起こされる慢性症状である。食道炎、食道潰瘍およびGERDの根本的な原因は通常、下部食道括約筋(以下LESとして知られる)の不適切な閉塞であり、さらに食道の内視鏡検査および胃食道挿管等の医療処置によって引き起こされるかまたは悪化し得る。LRPの根本的な原因は通常、LESおよび上部食道括約筋(以下、UESとして知られる)の不適切な閉塞である。
【0003】
GERDおよびLPRは時々、(1)逆流性食道炎(胃と食道またはLESとの接合部近傍で潰瘍を引き起こす食道上皮の壊死);(2)食道狭窄症(炎症によって引き起こされる食道の持続性狭窄);および(3)バレット食道(食道における上皮細胞の扁平上皮から腸内にあるような円柱上皮への変化);(4)食道潰瘍;さらには(5)食道腺癌(癌)、および(6)同期性横隔膜粗動(「SDF」)を含み得る食道損傷を引き起こす。食道の内視鏡検査および胃食道挿管は、特に前から食道損傷が存在する場合、こうした損傷を引き起こし、悪化させ得る。
【0004】
GERDおよびLPRの一治療として胃酸産生を減少させるプロトンポンプ阻害薬(「PPI」)の使用がある。PPIは広く使用されており、多くの患者がPPIに頼っている。2010年および2011年に米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)(以下、「FDA」と呼ぶ)はPPIの長期使用に関する警告書を発行したため、患者の多くはPPIが中止されると彼らのGERDおよびLRPの症状が再発することを心配している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、食道炎、食道狭窄症、バレット食道、同期性横隔膜粗動、食道潰瘍、炎症、ならびに関連する食道内での細菌生長、LESの機能不全または医療処置による損傷に起因するGERDおよびLRPを治療し、癌治療の副作用によって低下した食道機能を改善する組成物および代替的方法を提供することである。本方法は、一時的に食道粘膜組織をコーティングし、炎症を起こした食道組織を治癒させ、食道の炎症および損傷と関連する食道の疼痛を低減し、疾患を引き起こす細菌を減少させ、さらに食道内およびLES周りの自然の胃液を中和するように作用する、粘着性の高粘度エマルションから作製されるアルカリ性組成物の使用を含む。アルカリ性組成物は、疼痛を低減し、炎症を低減し、食道上皮組織および粘膜の機能を改善し、下部食道括約筋(「LES」)の機能を改善するのに十分な時間、食道内およびLES周りをコーティングしそこに留まるように配合される。典型的な用量は、食道損傷の重症度に応じて毎日1〜3回のアルカリ性組成物5ml〜15mlである。
【0006】
より具体的には、アルカリ性組成物は、比較的大きな表面張力、高い粘度および高い横方向付着性(lateral adhesion property)を有する水性ビヒクルに混合される、少なくとも9.0〜12.0のpHを有するアルカリ剤を少なくとも1種含む。混合されると、食道下部およびLESを均一に覆い部分的に付着し、比較的長く作用する保護バリヤーを形成し、かつ胃酸を部分的に中和する低水溶性エマルションが形成される。一実施形態では、アルカリ剤は水酸化カリウムであり、水性ビヒクルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコールと、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウムおよび微結晶セルロース等の高pH環境に耐えられる追加の増粘剤とから作製される。アラビアゴムおよびポリエチレングリコール等の追加の感覚刺激剤、塩化ナトリウム、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウムおよびハッカ等の矯味剤、ならびにコロイダルシリカ等の安定剤を添加してもよい。
【0007】
周囲の組織への付着性を向上させるために、アルカリ性組成物はさらに、キサンタンガムおよび微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム等の増粘剤、またはアラビアゴムおよびポリエチレングリコール誘導体等の感覚刺激剤として作用する、化学的に高pH環境に適合する他の成分を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、患者の食道、胃、UESおよびLESの図である。
【
図2】
図2は、調査1による抗炎症および治癒結果を示す表である。
【
図3】
図3は、調査2による抗炎症および治癒結果を示す表である。
【
図4】
図4は、調査1により行われた細菌数の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、食道の疼痛、炎症、細菌定着および刺激、ならびに胃食道逆流症(「GERD」)、喉頭咽頭逆流(「LPR」)に関連するより重篤な症状、ならびに成人および乳児における下部食道括約筋(「LES」)の機能不全、ならびにGERD、LPRおよびLESに関連する症状、ならびに癌治療に伴う食道における特定の有害な副作用を防止し、改善するために使用される方法およびアルカリ性組成物を提供する。
【0010】
アルカリ性組成物は経口投与され、比較的大きな表面張力、高い粘度および比較的高い横方向付着性を有する水性ビヒクルに混合される、少なくとも9.0〜12.0のpHを有するアルカリ剤を少なくとも1種含む。混合されると、アルカリ性組成物は、経口投与されると食道下部およびLESを均一にコーティングし部分的に付着するエマルションを形成する。アルカリ性組成物は、比較的長く作用する保護バリヤーを形成する。保護バリヤーはさらに、胃酸を部分的に中和する。
【0011】
一実施形態では、アルカリ剤は水酸化カリウムであり、水性ビヒクルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールまたはエチレングリコールと、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウムおよび微結晶セルロース等の高pH環境に耐えられる追加の増粘剤とから作製される。アラビアゴムおよびポリエチレングリコール等の追加の感覚刺激剤、塩化ナトリウム、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウムおよびハッカ等の矯味剤、ならびにコロイダルシリカ等の安定剤を添加してもよい。
【0012】
好ましくは、アルカリ性組成物は強力なアルカリ剤として水酸化カリウムを使用し、これは組成物にとって望ましいpHを得ることができ、食道への導入時に高pHを保持する。重要なことには、初期pHが9.5〜11.5のアルカリ性組成物は、食道内で希釈された後、食道内の組織に対するいかなる悪い反応も伴わずに食道内で少なくとも9.0のpHが得られる。水酸化カリウムの量は0.5重量%〜6.0重量%であり、好ましくは1.0重量%〜5.0重量%である。水酸化カリウムに加えて、アルカリ性組成物は、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び水酸化マグネシウム等の追加のアルカリ剤を含んでもよい。
【0013】
長く続く活性を有するアルカリ性物質としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、炭酸カルシウム、ならびに水酸化マグネシウム等のアルカリ金属水酸化物ならびにアルカリ土類金属水酸化物が挙げられ、本発明での使用に好適である。アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物等の強力なアルカリ性物質の迅速な「制酸作用」(物質の酸を中和しかつ/または緩衝する能力を意味する)もまた本発明で利用される。本発明での使用に好適なアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、または水酸化アルミニウム等の遷移金属水酸化物が挙げられ、水酸化カリウムが本発明に好ましい。本発明の好ましい実施形態は、迅速な制酸作用のために水酸化カリウムと、残留酸低減のために水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムのうち1つ以上、好ましくはすべてとを含む。
【0014】
本組成物を製造する方法が2つある。第1の方法では、水分20〜30%にてクロスカルメロースナトリウムおよび微結晶セルロースでコーティングした炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カリウムから作製される顆粒の製造を必要とする。次いで、顆粒は水分が3〜10%になるように乾燥される。上記のステップは、参照することによりここで組み込まれる、米国特許第6,066,342号明細書にて述べられている。追加の増粘剤、水および感覚刺激剤を添加してもよい。
【0015】
第2の方法を用いると、上記の造粒ステップはなくなり、成分は水溶液中で混合され、それからエマルションを作製するために使用される。
【0016】
アルカリ性組成物は部分的に水中に溶解し、組成物の粘度を増加させ、貯蔵寿命を増加させ、かつ高pH環境にて保護を提供する増粘剤が添加される。好適な増粘剤としては、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム(すなわち、セルロースガム)および微結晶セルロース(すなわち、セルロースゲル)が挙げられ、これらは実質的な変質を起こさずに最大12.0のpH環境に耐える。本発明の組成物は交互に液体懸濁液として配合されてもよいが、より粘度の高いゲルまたはエマルションが食道への適用およびコーティングには好ましい。コロイドシリカ等の安定化懸濁液剤を使用してもよい。
【0017】
アルカリ剤および増粘剤に加えて、組成物は、口腔および上部食道における触感のためにアラビアゴムおよびポリエチレングリコール等の感覚刺激剤、または塩化ナトリウム、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウムおよびハッカ等の矯味矯臭剤等の不活性賦形剤もまた含み得る。
【0018】
本明細書において提示される組成物の各実施形態では、組成物は以下の物理的性質を有する。
pH:9.0〜11.5
比重:1.05〜1.15gm/cc
粘度:6,000〜29,000cP(Brookfield社製DV2TRV粘度計にて少量サンプルアダプタおよびSC4−21/13Rスピンドルを使用)
横方向付着性/粘着性:10
−2〜10
−6ニュートン
【0019】
エマルションに配合される場合、アルカリ性組成物は、周囲条件で保管された場合、強アルカリ性環境にも関わらず、エマルションの粘度、横方向付着性または「粘着性」が顕著に低下することなく1年間を超える期間安定である。横方向付着性によりエマルションは、食道を流れ落ちるときに食道粘膜を均一にコーティングできる。組成物は懸濁液、ゲルまたはペースト状物質に改質してよいと理解すべきである。
【0020】
組成物の円柱上皮組織の治癒特性を実証するために以下の調査が行われた。
【0021】
調査1
本調査では、口腔上皮組織が重度に侵食され炎症を起こしている10人の患者を試験した。標準化試験を用いて口腔内の出血箇所のベースライン値を定めた。さらに上皮組織の写真を撮り、細菌サンプルを採取した。各患者は組成物の好ましい実施形態を90日間毎日適用した。その後患者は検査のために戻った。90日後、出血箇所の平均数は123から7に減少した。
【0022】
各患者の「前」および「後」の写真により、エマルションの適用後は上皮組織が正常で健康なピンクがかった白色に戻り、炎症は寛解したことが示される。選択された病原菌の細菌数はかなり減少した。組成物を適用するとすぐに組織の疼痛および刺激が減少したことをすべての被験者が報告した。調査は180日後に終了した。
【0023】
調査2
本調査では、口腔上皮組織が中等度に侵食されている10人の患者を試験した。再び、標準化試験により口腔内の出血箇所のベースライン値を定めた。14日間毎日適用される組成物の好ましい実施形態。その後患者は検査のために戻った。2週間後、出血箇所の平均数は44から20に減少した。
【0024】
調査3
本調査では、University Of Washington School Of Dentistryが参加し、二重盲検、プラセボ対照のsmall−n形式を行った。研究者は、口腔上皮組織が中等度に侵食された患者を募集した。毎日の組成物の適用により、2週間以内に上皮組織の健康状態の顕著な改善が見られた。
【0025】
毎日の本発明の好ましい実施形態の適用には、重層扁平上皮組織の機能のある程度の改善も付随した。
【0026】
本出願人のエマルションの唯一の禁忌は、両方が同時に服用された場合にテトラサイクリン系抗生物質の吸収を低減させるカルシウムの存在によるものである。テトラサイクリンはいくつかの新規の抗生物質に取って代わられた広域抗生物質である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は医療産業における応用を有する。より具体的には、食道ならびに上部および下部食道括約筋の疾患の治療において。
【0028】
法令に従って、本明細書に記載される発明は、構造的特徴に関して多かれ少なかれ具体的な言語で記述されたものである。しかし、示される手段および構成は本発明を実行するための好ましい実施形態のみからなるため、本発明は示される特定の特徴に限定されるものではないことを理解すべきである。したがって、本発明は、均等物の原則に従って適切に解釈される、補正請求項の合法かつ有効な範囲内の形態または変形のいずれかにおいて請求される。
【国際調査報告】