(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528530(P2015-528530A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】コポリエステルエラストマーとアルファ−オレフィン酢酸ビニルコポリマーとのブレンドから製造したポリマー物品
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20150901BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20150901BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20150901BHJP
C08K 5/34 20060101ALI20150901BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20150901BHJP
C08K 5/3467 20060101ALI20150901BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20150901BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L23/08
C08K5/13
C08K5/34
C08K5/07
C08K5/3467
C08L63/00 A
C08J5/00CES
C08J5/00CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-532174(P2015-532174)
(86)(22)【出願日】2013年9月18日
(85)【翻訳文提出日】2015年1月6日
(86)【国際出願番号】US2013060395
(87)【国際公開番号】WO2014047173
(87)【国際公開日】20140327
(31)【優先権主張番号】61/702,399
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/849,821
(32)【優先日】2013年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100173635
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 樹里
(72)【発明者】
【氏名】カウシク,ムクル
(72)【発明者】
【氏名】ジーラー,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】プライス,ケネス・レオン
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA15X
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4J002GB00
4J002GB01
4J002GC00
(57)【要約】
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとを組み合わせた熱可塑性エラストマーを含むポリマー組成物を開示する。一態様において、本組成物は、エチレンと酢酸ビニルのコポリマーと組み合わせた熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む。この二つのポリマーを一緒に組み合わせることによって、様々な相乗効果を実現することができる。特に、熱可塑性エラストマーの特性の多くをもち、且つ制御された溶融流れ特性をもつポリマー混合物を生産することができる。さらに、本ポリマー組成物は、改善され、且つ制御可能な機械的及び熱的特性並びに色彩安定性を有することができる。本ポリマー組成物は、射出成形、ブロー成形、または押出を用いて加工することができ、二次加工することができる。本開示に従って、本ポリマー組成物及び成形部品は、軽量、改善された熱的及び化学的安定性、比強度、弾性回復、低温衝撃強さ、並びに耐疲労性及び耐キンク性などの特定の利点を示すことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステルエラストマー;及び
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー、ここで、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含み、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は、約20:80〜約80:20である;
を含むポリマー組成物。
【請求項2】
前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとの重量比が、約20:80〜約45:55である、請求項1または2のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとの重量比が、約80:20〜約55:45である、請求項1または2のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約15g/10分を超えるメルトフローレートである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約20g/10分を超えるメルトフローレートである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約25g/10分〜約40g/10分のメルトフローレートである、請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記ポリマー組成物が190℃及び2.16kgにおいて、約0.1g/10分〜約8g/10分のメルトフローレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が190℃及び角周波数0.1rad/秒において、約5000Pa.sを超える複素粘度である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー組成物から製造した成形品。
【請求項11】
前記成形品がブロー成形により製造される、請求項10に記載の成形品。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー組成物から製造されるコーティングを含むケーブルまたはワイヤ。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー組成物から製造した携帯電話カバー。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー組成物から製造した医療用チューブ。
【請求項15】
前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含み、前記コポリマーは酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含み、前記組成物は220℃及び2.16kgにおいて、約15g/10分を超えるメルトフローレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含む、請求項1〜9または15のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が23℃において約10〜約400MPaの曲げ弾性率を有する、請求項1〜9または15〜16のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが軟質セグメントと硬質セグメントとを含む、請求項1〜9または15〜17のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーがマルチブロックコポリエステルエラストマーを含む、請求項1〜9または15〜18のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
前記硬質セグメントはエステルユニットを含み、前記軟質セグメントは脂肪族ポリエステルまたはポリエステルグリコールを含む、請求項18に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが以下の式:−[4GT]x[BT]yをもち、式中、4Gは1,4-ブタンジオールであり、Bはポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)であり、Tはテレフタレートであり、式中、xは約0.6〜約0.99であり、yは約0.01〜約0.40である、請求項1〜9または15〜20のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、または2-メチル-1,3-プロパンジオールで変性される、請求項1〜9または15〜21のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
前記組成物がさらに、エポキシ官能基を含む架橋剤を含む、請求項1〜9または15〜22のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
前記組成物がさらに、立体障害型フェノールを含む酸化防止剤を含む、請求項1〜9または15〜23のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
前記組成物がさらに、立体障害型アミンを含む光安定剤を含む、請求項1〜9または15〜24のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項26】
前記組成物がさらに、ベンゾフェノンまたはベンゾトリアゾールを含むUV吸収剤を含む、請求項1〜9または15〜25のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
熱可塑性ポリエステルエラストマー;及び
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー、ここで、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、約3重量%〜約50重量%の量で酢酸ビニルを含み、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は約20:80〜約80:20である;
を含むポリマー組成物から製造した成形部材を含むポリマー物品。
【請求項28】
前記ポリマー物品が医療器具を含む、請求項27に記載の成形ポリマー物品。
【請求項29】
前記医療器具が医療用チューブである、請求項28に記載の成形ポリマー物品。
【請求項30】
前記ポリマー物品がガラスのオーバーモールディングを含む、請求項27に記載の成形ポリマー物品。
【請求項31】
前記ポリマー物品がブロー成形で製造される、請求項27に記載の成形ポリマー物品。
【請求項32】
前記ポリマー物品が携帯電話カバーを含む、請求項27に記載の成形ポリマー物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本出願は、2012年9月18日出願の米国仮特許出願シリアル番号第61/702,399号及び2013年3月7日出願の同第61/849,821号に出願の利益を請求する。これらは本明細書中、その全体が参照として含まれる。
【背景技術】
【0002】
[002]熱可塑性エラストマーは、特徴的な組み合わせの特性をもつ有用な材料の一種である。たとえばこの材料は、弾性特性を保持しつつ、柔軟且つ靱性であるように配合することができる。特に好都合なのは、この材料は、その熱可塑性という性質により溶融加工することができる点である。さらに架橋ゴムの対応成分(counterpart)と異なり、熱可塑性エラストマーはリサイクル且つ再生(reprocess)することができる。
【0003】
[003]熱可塑性エラストマーは多くの用途で使用される。たとえばこの材料は、特定の部品若しくは製品を成形するために成形することができるか、または製品中で部品を構成することができる。さらに、これらの材料はオーバーモールド(overmold)することもできるので、最初に成形した部品の上に追加の層を成形することができる。この柔軟性及び弾性の性質により、熱可塑性エラストマーは、材料が絶えず変形をうけるか、他の可動部品と接触する用途で通常使用される。
【0004】
[004]熱可塑性エラストマーは多くの用途で使用されるが、エラストマーを加工する際には従来問題が生じていた。たとえば、熱可塑性エラストマーの中には、成形プロセスで問題を起こすかもしれない比較的高い粘度と低い溶融強度を有するものがある。さらに、熱可塑性エラストマーの中には、製造が高くつくばかりでなく、時がたつにつれて暗色化または黄変するものもよくある。さらに、風化作用は、時間がたつにつれて熱可塑性エラストマーの機械的及び熱的特性に影響を及ぼすこともある。
【0005】
[005]上記のことを考慮して、現在、制御された流動特性をもつ熱可塑性エラストマーを含む組成物に対する必要性が存在する。特に、ポリマーの他の物理的特性に悪影響を与えることなく、熱可塑性エラストマーの流動特性を改善且つ制御する方法に対する必要性が存在する。熱可塑性エラストマーの色、並びに熱可塑性エラストマーの耐候性を改善する方法に対する必要性も存在する。熱可塑性エラストマーの特性をもつが、低価格で製造できる組成物に対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【0006】
[006]一般に、本発明の開示は、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーをブレンド及び/またはコンパウンディングした熱可塑性エラストマーを含むポリマー組成物に関する。本開示に従って、二種類のポリマーを一緒にブレンドする。一態様において、二種類のポリマーは反応することなく一緒にブレンドされる。別の態様では、二種類のポリマーは、ポリマー組成物の成分と反応することができる架橋剤と一緒にブレンドされる。たとえば、架橋剤は少なくとも一つのポリマーと反応することができる。
【0007】
[007]一態様において、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、約3重量%〜約50重量%、たとえば約3重量%〜約30重量%、たとえば約3重量%〜約20重量%の量で酢酸ビニルユニットを含む。熱可塑性ポリエステルエラストマーとα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は、約10:90〜約90:10、たとえば約20:80〜約80:20でありえる。一態様において、この二種のポリマーの重量比は約25:75〜約49:51または約75:25〜約51:49でありえる。
【0008】
[008]一態様において、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む。得られるポリマー組成物は、220℃及び2.16kgにおいて、約15g/10分を超える、たとえば約20g/10分を超える、たとえばさらに約25g/10分超えるメルトフローレートをもつことができる。得られるポリマー組成物は、190℃及び2.16kgにおいて約0.1g/10分を超える、たとえば約1g/10分を超える、たとえば約2g/10分を超えるが、約12g/10分未満、たとえば約10g/10分未満、たとえば約8g/10分未満、たとえば約6g/10分未満のメルトフローレートでありえる。
【0009】
[009]熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマー、たとえばマルチブロックコポリエステルエラストマーを含むことができる。熱可塑性ポリエステルエラストマーは、軟質セグメントと硬質セグメントを含むことができる。硬質セグメントはエステルユニットを含むことができ、軟質セグメントは脂肪族ポリエステルまたはポリエステルグリコールを含むことができる。一態様において、熱可塑性ポリエステルエラストマーは以下の式:−[4GT]x[BT]yをもつことができ、式中、4Gは1,4-ブタンジオールであり、Bはポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)であり、Tはテレフタレートであり、xは約0.6〜約0.99であり、yは約0.01〜約0.40である。
【0010】
[0010]ポリマー組成物は酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、立体障害型フェノールを含むことができる。ポリマー組成物は光安定剤も含むことができる。光安定剤は立体障害型アミンを含むことができる。ポリマー組成物は、UV吸収剤も含むことができる。UV吸収剤はベンゾトリアゾールまたはベンゾフェノンを含むことができる。
【0011】
[0011]本発明に従って、ポリマー組成物は、射出成形、ブロー成形または押出により加工することができる。ポリマー組成物またはこれから得られる成形部品は、接着(gluing)、封止(sealing)、ラミネート化または溶接(welding)を用いて二次加工することができる。
【0012】
[0012]本開示のポリマー組成物は、多くの物品を製造するのに使用することができる。一態様において、ポリマー組成物は、ワイヤ上のコーティングを構成することができるか、または医療機器を製造するために使用することができる。一態様において、ポリマー組成物は、自動車のウインドウまたはフロントガラス(windshield)用のガラスオーバーモールディングを構成することができる。
【0013】
[0013]本開示の他の特徴及び側面を以下詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014]当業者にとってその最適形態を含む本発明の完全且つ実施可能な開示は、付記図面を参照して、特に明細書の残りの部分で述べる。
【
図1】[0015]
図1は、本開示に従って製造したワイヤまたはケーブルの一態様の斜視図である。
【
図2】[0016]
図2は、本開示に従って製造した医療用具の斜視図である。
【
図3A】[0017]
図3Aは、本開示に従って製造したチューブの斜視図である。
【
図3B】[0018]
図3Bは、本開示に従って製造したチューブの別の斜視図である。
【
図4】[0019]
図4は、本開示に従って製造した波形管の斜視図である。
【
図5】[0020]
図5は、本開示に従って製造した携帯電話のカバーの斜視図である。
【0015】
[0021]本明細書及び図面で参照番号を繰り返し使用するのは、本発明の同一または類似の特徴または部材を示すことを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0022]当業者は、本考察は態様の単なる例示であり、本開示のより広い側面を限定するものではないと理解すべきである。
【0017】
[0023]一般に、本開示は、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと組み合わせた(併用:combine)熱可塑性エラストマーを含むポリマー組成物に関する。本開示に従って製造したポリマー組成物は、一般に柔軟性であり、且つ弾性特性をもつことができる。特に、本開示のポリマー組成物は、改善且つ制御された流動性をもちつつ、熱可塑性エラストマーの物理的特性をもつように配合することができる。態様によっては、熱可塑性エラストマーにα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーを添加すると、熱可塑性エラストマーの色を改善する。
【0018】
[0024]一般に、上記のように本開示のポリマー組成物は、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーを組み合わせた熱可塑性エラストマーを含む。本開示に従って一緒に組み合わせると、様々な相乗効果がおきる。たとえば両方のポリマーを一緒に組み合わせると、それぞれ単独のポリマーがもつ不利益の幾つかを克服する。
【0019】
[0025]たとえば、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが存在すると、熱可塑性エラストマーの流動性を大きく改善することができる。特に好都合には、一態様において、熱可塑性エラストマーの物理的特性に実質的且つ悪影響を与えることなく、流動性が改善される。さらに、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが存在すると、熱可塑性エラストマーの溶融強度も改善することができる。溶融強度は、粘度低下の結果として改善することができる。さらに、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが存在すると、熱可塑性エラストマーのメルトフロー特性を制御する能力も可能とすることもできる。
【0020】
[0026]他方、熱可塑性エラストマーが存在すると、一般にα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの様々な物品への成形能力を大きく改善する。たとえば、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、比較的高い常温流れであるので、成形品及び押出の形態では殆ど使用されない。そのかわり、そのようなポリマーは、エマルション塗料、接着剤、及び様々なテキスタイルの仕上げ組成物で添加剤として通常使用される。さらに、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、比較的弱い機械的特性により、構造用途では一部のみに限定されていた。さらに、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、単独で使用される場合、一般に低い耐薬品性と熱安定性を示す。
【0021】
[0027]しかしながら、本開示に従って熱可塑性エラストマーと組み合わせると、組成物が実質的な量のα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーを含んでいたとしても、上記の不都合な点を克服することができる。たとえば組成物は改善され、且つ制御可能な流動性及び溶融強度を示すことができる。さらに組み合わせることによって、ポリマー組成物は低い密度及び改善された粘度をもつことができる。ポリマー組成物は、プラスチック、金属及び/またはガラスなどの特定の基板上で改善された接着特性も示すことができる。
【0022】
[0028]本開示に従って製造した組成物を調整して、曲げ弾性率などの所望の物理的特性を達成することもまた好都合な点である。熱可塑性エラストマー対α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの比は、たとえば許容限度が狭い物理的特性をもつ物品を製造するために変えることができる。得られるポリマー組成物は、特にニトリルゴムなどの様々な他の材料と比較して、広い温度範囲にわたって所望の物理的特性をもつように、配合することもできる。ポリマー組成物は、広い温度範囲にわたって一定の性能も示すことができる。
【0023】
[0029]本開示に従って製造したポリマー組成物は、多様な装置で使用することができる。たとえばポリマー組成物は、冷蔵庫、ガレージドア、ウインドウパネル、天井グリッドなどの表面上にコーティングとして使用することができる。あるいは、様々な物品及び製品が本ポリマー組成物から製造することができる。たとえば、本ポリマー組成物は熱可塑性であるので、ポリマー組成物は、射出成形、ブロー成形または押出などを使用して任意の好適な形状に成形することができる。ポリマー組成物は、オーバーモールティングまたはソフトタッチ2-ショットオーバーモールディングプロセスを使用して成形することができる。さらにポリマー組成物及びこれらから製造した物品は、継手及びヒートシール用に増強された溶接性をもつことができる。自立構造物品(freestanding article)は本ポリマー組成物過r製造することができるか、本ポリマー組成物は、製品上または製品中のコーティングまたは成分を形成することができる。
【0024】
[0030]一態様において、たとえばポリマー組成物は、ワイヤ用コーティングを製造するのに使用することができる。本明細書中で使用するように、ワイヤは、線形構造をもつ任意の多層物品を指す。ワイヤなる用語はたとえば、コーティングによって覆われたコアを含む、ケーブル及び全てのフレキシブルスレッド若しくはロッドが挙げられる。
【0025】
[0031]
図1を参照して、たとえば本開示に従ったワイヤ10の一態様が示されている。示されているように、ワイヤ10は、一つ以上の金属部材から製造することができるコア12を含む。例示された態様において、たとえばコア12は、多くのスレッドまたはフィラメントから製造される。コア12は、本開示に従って製造したコーティングまたはシース14により取り囲まれる。特にα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと組み合わせて熱可塑性エラストマーを含むポリマー組成物は、ワイヤ10の成形において、シースを製造するために使用することができる。
【0026】
[0032]別の態様では、本開示のポリマー組成物は、医療用具を製造するために使用することができる。特に好都合な点は、ポリマー組成物は、血液を含む体液に対して反応しないという点である。従って本組成物は、様々なタイプの医療用具を製造するのに非常に適している。一態様において、
図2に示されているように、本ポリマー組成物は、医療廃棄物用の容器など、医療用容器を製造するのに使用することができる。
図2に示されているように、底部24に付けられた頂部22を含む容器22が示されている。頂部22は、医療廃棄物を受け取るための開口部26を含む。
【0027】
[0033]別の態様では、本開示のポリマー組成物は、医療用具用の他の部品を製造するために使用することができる。
図3A、3B及び4に示されているように、ポリマー組成物は、医療用チューブなどのチューブを製造するのにも使用することができる。たとえば
図3A及び3Bは、チューブ30を例示する。
図3A及び3Bに示されているように、チューブは非構造化チューブ(non-structured tubing)である。しかしながら、本開示の組成物は、構造化チューブを製造するのにも使用することができる。図に示されているように、チューブは、様々な寸法及び壁厚を有することができる。これらのチューブは、栄養バッグ(nutrition bag)、血液バッグ、透析、尿道カテーテル、心血管カテーテル、静脈カテーテル、他の特製カテーテルなどの用途で使用することができる。
図4は、波形管(corrugated tube)32を例示する。これらのチューブは、麻酔、換気、呼吸療法、煙の排出、持続的気道陽圧法、結腸洗浄療法、呼吸回路などで使用することができる。上記列記の用途の多くは医療用途に関するものであるが、チューブは他の用途にも同様に使用できると理解すべきである。
【0028】
[0034]別の態様では、本開示のポリマー組成物を使用して、電子機器用の保護カバー及びデバイスハンドルを製造することができる。たとえば
図5は、携帯電話用の保護カバー40を説明する。
【0029】
[0035]しかしながら、本開示のポリマー組成物を使用して様々な種類の物品を製造することができる。ポリマー組成物は、フィルム、成形品、繊維などを製造するのに使用することができる。特に少なくともポリマーの生体適合性により、ポリマー組成物は、食品及び医療産業用のチューブなど、パッケージ用フィルム及び/または物品を製造するのに使用することができる。医療用チューブは、麻酔、生命兆候、睡眠時無呼吸、カテーテル、たとえば中心静脈カテーテル及び尿道カテーテル、血液移動(blood transportation)及び輸血、透析、蠕動、回収及びドレナージ(drainage)用のチューブを含むことができる。中心静脈カテーテルの例としては、トンネル化(tunneled)及び非トンネル化カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル、埋め込み可能ポートカテーテル(port catheter)などが挙げられる。医療用チューブは、血液、薬品、流体及び他の治療及び/または材料を、一時的または半永久または永久的に体へ及び体から運搬することができる。本組成物は、患者のモニタリング及び診療装置用などの他の装置用のチューブ及び部品を製造するために使用することができる。
【0030】
[0036]本組成物は、吸気器または補綴具などの医療業界用の他の部品を製造するのに使用することもできる。本組成物は、医療用フィルム及び縫合糸を製造するのに使用することもできる。本ポリマー組成物は、通気性及び/または耐水性ラミネート/フィルム及び/または繊維を製造するのに使用することができる。これらのフィルム/繊維は、生物学的障壁(biological barrier)、絆創膏固定法、弾性包帯中の繊維、やけどまたは潰瘍処置用の多孔質膜、組織スキャホールド(tissue scaffold)、ヒドロゲルなどとして使用することができる。
【0031】
[0037]ポリマー組成物は、衝撃吸収システム用及び椅子の詰め物(seating)など輸送において使用することができる。特に、ポリマー組成物は、自動車用ウインドウまたはフロントガラス用などのガラスオーバーモールディングを製造するのに使用することができる。ポリマー組成物は、食品及び材料取扱い用のギア及びコンベヤベルトなどの移動部品として工業用用途を有することもできる。
【0032】
[0038]本開示のポリマー組成物は、他の用途も同様に有することができる。たとえば、ポリマー組成物は、バッグ、伸縮性フーダーフィルム(stretch-hooder film)、スペシャリティタイ層(tie-layer)、チューブなどを製造するのに使用することができる。ポリマー組成物は、ダンパー及びクッション、ストッパー、キャップ及びプラグ、シール、はとめ、ガスケット、ワッシャー、ギア、プーリー及びプーリー部品、バルブ、隔壁(diaphragm)、等速ジョイントブーツ(constant velocity joint boots)などを製造するのに使用することができる。ポリマー組成物は、おもちゃ及びおもちゃ部品、人間工学的ソフトグリップ、デバイスハンドル、たとえば携帯電話及びタブレットなどの電子機器用の保護カバー、コンパクトなどの化粧品用カバー、並びにスポーツ用品及び装置を製造するのに使用することができる。ポリマー組成物は、上記のような包装用材料並びにバリヤフィルム、容器、家具富品などの家財用品などを製造するのに使用することができる。ポリマー組成物は、適度な性能の生活必需品などに組み入れることもできる。
【0033】
[0039]さらに、ポリマー組成物及びそれから製造した成形部品または物品の特性は、二つの成形部品をつなぐことなどによって二次加工が可能になる。二次加工としては、ヒートシール、ヒートラミネーション、振動溶接(vibrating welding)、超音波溶接、接着剤溶接(adhesive welding)または接着剤接着(adhesive gluing)または高周波溶接を含むことができる。たとえば、二つの射出成形した部品は、ヒートシールまたは高周波溶接などの二次加工によって一緒に溶接することができる。高周波溶接は、約0.55を超える損失係数値(loss factor)により、室温で実施することができる。通常、高周波溶接に関しては、損失係数値0.3以上の材料はうまくいく。通常、約0.2〜約0.3の損失係数をもつ材料は高周波溶接に関して優れた性能を示すが、約0.2〜約0.1の損失係数は、並み(fair)から悪い(poor)高周波溶接を示す。さらに損失係数が高いと、材料は交流高周波場(alternating radio frequency field)でより容易に熱くなる傾向がある。従って、通常、特定の物質の損失係数が高いほど、交流高周波場でより効率的に熱くなることができる。
【0034】
[0040]さらに、二つの半球物品などの二つの射出成形部品を溶接して球状物を製造することができる。そのような球状物は、運動靴、オートバイブーツ、スキーブーツなどでクッション効果を提供するベロー(bellow)でもありうる。ベローは、等速ジョイントブーツまたはテレマークスキーブーツなどの運動中に柔軟性を提供するために使用することもできる。上記のように、本出願のポリマー組成物は、様々な用途をもつことができる。
【0035】
[0041]本開示のポリマー組成物は一般に、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどのα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと組み合わせた熱可塑性エラストマーを含む。通常、熱可塑性エラストマーと、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとの重量比は、約10:90〜約90:10、たとえば約20:80〜約80:20、たとえば約25:75〜約75:25、たとえば約35:65〜約65:35を変動することができる。一態様において、熱可塑性エラストマーは、ポリマー組成物中に、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの量と比較して約5重量%多い量、または約5重量%少ない量で存在する。たとえばポリマー組成物の安定性は、二種のポリマーがたとえば約45:55〜約55:45の重量比などの約50対50の重量比で存在しないときに最適化することができる。通常、エラストマー及びポリマーと一緒にエチレン酢酸ビニルコポリマーを含有する配合物は、Lambらの米国特許第4,085,082号、Fischerらの同第4,243,576号及び、Coughlinの同第4,403,007号に開示されており、これらは本明細書中、参照として含まれる。
【0036】
[0042]一態様において、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含むことができる。たとえばポリマー組成物は、セグメント化熱可塑性コポリエステルなどのコポリエステルエラストマーを含むことができる。熱可塑性ポリエステルエラストマーは、たとえばマルチブロックコポリマーを含むことができる。有用なセグメント化熱可塑性コポリエステルエラストマーは、エステル結合により頭−尾で結合した多くの繰り返しの長鎖エステルユニットと短鎖エステルユニットを含む。長鎖ユニットは、以下の式:
【0038】
により表すことができ、短鎖ユニットは以下の式:
【0040】
により表すことができ、式中、Gは、数平均分子量約600〜6,000、及び約55℃未満の融点をもつ、長鎖高分子グリコールから末端ヒドロキシル基を除去した後に残っている二価の基であり、Rは、分子量約300未満をもつ、ジカルボン酸からカルボキシル基を除去した後に残っている炭化水素基であり、及びDは、分子量約250未満をもつ、低分子量ジオールからヒドロキシル基を除去した後に残っている二価の基である。
【0041】
[0043]コポリエーテルエステル中の短鎖エステルユニットは、コポリエーテルエステルの重量の約20〜95%を提供し、コポリエーテルエステル中の短鎖エステルユニットの約50〜100%は同一である。
【0042】
[0044]「長鎖エステルユニット」なる用語は、長鎖グリコールとジカルボン酸との反応生成物をさす。長鎖グリコールは、末端(またはできるだけ末端近くに)ヒドロキシル基をもつ高分子グリコールであり、分子量は約600を超え、たとえば約600〜6000であり、融点は約55℃未満であり、炭素対酸素の比は約2.0以上である。長鎖グリコールは通常、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールまたはポリ(アルキレンオキシド)ジカルボン酸のグリコールエステルである。場合により(単数または複数種類の)グリコールまたは(単数または複数種類の)ジカルボン酸の重合を干渉しない任意の置換基が存在することができる。反応してコポリエステルを形成する長鎖グリコールのヒドロキシ官能基は、可能な限り末端基(terminal group)でありえる。末端ヒドロキシ基は、鎖と異なるエンドキャッピンググリコールユニット上に配置することができる。すなわち、ポリ(プロピレンオキシドグリコール)上のエチレンオキシド末端基でありえる。
【0043】
[0045]「短鎖エステルユニット」なる用語は、約550未満の分子量をもつ低分子量化合物またはポリマー鎖ユニットをさす。これらは低分子量ジオール(約250未満)とジカルボン酸とを反応させて製造する。
【0044】
[0046]ジカルボン酸は、ジカルボン酸の重縮合等価物、すなわちそのエステル若しくはエステル形成性誘導体、たとえば酸クロリド及び無水物、またはグリコールとの重合反応で実質的にジカルボン酸のように挙動する他の誘導体を含むことができる。
【0045】
[0047]エラストマーのジカルボン酸モノマーは、約300未満の分子量をもつ。これらは芳香族、脂肪族または脂環式でありえる。ジカルボン酸は、重合反応を干渉しない任意の置換基またはその組み合わせを含むことができる。代表的なジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸、ビ安息香酸(bibenzoic acid)、ベンゼン核をもつ置換ジカルボキシ化合物、たとえばビス(p-カルボキシフェニル)メタン、p-オキシ-(p-カルボキシフェニル)安息香酸、エチレン-ビス(p-オキシ安息香酸)、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、フェナントラレンジカルボン酸(phenanthralenedicarboxylic acid)、アントラレンジカルボン酸(anthralenedicarboxylic acid)、4,4'-スルホニルジ安息香酸など、並びにC
1-C
10アルキル及びその他の環置換誘導体、たとえばハロ、アルコキシまたはアリール誘導体が挙げられる。芳香族ジカルボン酸も存在するならば、ヒドロキシ酸、たとえばp(β-ヒドロキシエトキシ)安息香酸も使用することができる。
【0046】
[0048]代表的な脂肪族及び脂環式酸は、セバシン酸、1,3-または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、炭酸、シュウ酸、イタコン酸、アゼライン酸、ジエチルマロン酸、フマル酸、シトラコン酸、アリルマロン酸(allylmalonate acid)、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸(dicarboxylate acid)、ピメリン酸、スベリン酸、2,5-ジエチレルアジピン酸、2-エチルスベリン酸、2,2,3,3-テトラメチルコハク酸、シクロペンタンジカルボン酸、デカヒドロ-1,5-(若しくは2,6-)ナフチレンジカルボン酸、4,4'-ビシクロヘキシルジカルボン酸、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルカルボン酸)、3,4-フランジカルボキシレート及び1,1-シクロブタンジカルボキシレートである。
【0047】
[0049]ジカルボン酸は、約300未満の分子量でありえる。一態様において、フェニレンジカルボン酸、たとえばテレフタル酸及びイソフタル酸を使用する。
【0048】
[0050]反応してコポリエステルの短鎖エステルユニットを形成する低分子量(約250未満)ジオールの中には、非環式、脂環式及び芳香族ジヒドロキシ化合物が含まれる。2〜15個の炭素原子をもつジオール類、たとえばエチレン、プロピレン、イソブチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、2,2-ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン及びデカメチレングリコール類、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,5-ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。また2〜8個の炭素原子を含む脂肪族ジオールも含まれる。使用し得るビスフェノールの中には、ビス(p-ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン及びビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパンが含まれる。ジオール類の等価エステル形成性誘導体も有用である(たとえば、エチレンオキシドまたはエチレンカーボネートは、エチレングリコールの代わりに使用することができる)。また低分子量ジオールとしては、そのような等価エステル形成性誘導体を含む。
【0049】
[0051]ポリマーの製造の際に使用し得る長鎖グリコール類としては、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール類、たとえばポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ペンタメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘプタメチレンオキシド)グリコール、ポリ(オクタメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ノナメチレンオキシド)グリコール、及びポリ(1,2-ブチレンオキシド)グリコール;ホルムアルデヒドとグリコール類、たとえばペンタメチレングリコールまたはグリコール類の混合物、たとえばテトラメチレングリコールとペンタメチレングリコールとの混合物とを反応させることにより製造したポリホルマールとエチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドとのランダム及びブロックコポリマー類が挙げられる。
【0050】
[0052]さらに、ポリ(アルキレンオキシド)のジカルボキシメチル酸、たとえば、ポリテトラメチレンオキシドから誘導されるもの:HOOCCH
2(OCH
2CH
2CH
2CH
2)
xOCH
2COOH(IV)を使用して、現場で長鎖グリコールを形成することができる。ポリチオエーテルグリコール、及びポリエステルグリコール類も有用な生成物を提供する。ポリエステルグリコールを使用する際、溶融重合の間に交換反応が起きる傾向を制御するために、通常注意するが、特定の立体障害型ポリエステル類、たとえばポリ(2,2-ジメチル-1,3-プロピレンアジペート)、ポリ(2,2-ジメチル-1,3-プロピレン/2-メチル-2-エチル-1,3-プロピレン2,5-ジメチルテレフタレート)、ポリ(2,2-ジメチル-1,3-プロピレン/2,2-ジエチル-1,3-プロピレン、1,4シクロヘキサンジカルボキシレート)及びポリ(1,2-シクロヘキシレンジメチレン/2,2-ジメチル-1,3-プロピレン1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート)を通常の反応条件で使用することができ、短い滞留時間を使用する場合には他のより反応性のポリエステルグリコールを使用することができる。ポリブタジエンまたはポリイソプレングリコール、これらのコポリマー及びこれらの材料の飽和水素化生成物はいずれも、満足のゆく長鎖高分子量グリコールでもある。さらに、ポリイソブチレンジエンコポリマーの酸化により形成したジカルボン酸のグリコールエステルは有用な原材料である。
【0051】
[0053]上記長鎖ジカルボン酸(IV)は酸として重合反応混合物に添加することができるが、これらは常に過剰量で存在する(単数または複数種類の)低分子量ジオールと反応して、対応するポリ(アルキレンオキシド)エステルグリコールを形成し、次いで重合してポリマー鎖にGユニットを形成する。これらの特定のGユニットは、たった一つの低分子量ジオール(Dに対応)を使用するときには、以下の構造:
【0053】
をもつ。二つ以上のジオールを使用するとき、ポリマー鎖ユニットのそれぞれの端部には異なるジオールキャップがありうる。そのようなジカルボン酸は、長鎖グリコールが存在する場合には、長鎖グリコールと反応することもでき、その場合には、Dが長鎖グリコールの高分子残渣と置き換わる以外には、上記Vと同一の式をもつ材料が得られる。低分子量ジオールがかなりのモル過剰で存在するので、この反応がどの程度起きるかというのは非常に低い。
【0054】
[0054]単一の低分子量ジオールの代わりに、そのようなジオールの混合物を使用することができる。単一の長鎖グリコールまたは等価物の代わりに、そのような化合物の混合物を使用することができ、単一の低分子量ジカルボン酸またはその等価物の代わりに、二種以上の混合物を、本発明の組成物で使用し得る熱可塑性コポリエステルエラストマーの製造において使用することができる。従って上記式IIにおいて文字「G」は、単一の長鎖グリコールの残渣または幾つかの異なるグリコールの残渣を表すことができ、式IIIの文字「D」は、一つまたは幾つかの低分子量ジオールの残渣を表すことができ、式II及びIIIの文字「R」は、一つまたは幾つかのジカルボン酸の残渣を表すことができる。シクロヘキサンジカルボン酸のシス-トランス異性体などの幾何異性体の混合物を含む脂肪酸を使用するとき、異なる異性体は、コポリエステル中に同一ジオールをもつ別の短鎖エステルユニットを形成する異なる化合物としてみなすべきである。コポリエステルエラストマーは、慣用のエステル交換反応により製造することができる。
【0055】
[0055]上記のように、熱可塑性エラストマーの硬度(hardness)は、硬質セグメントと軟質セグメントの量を変えることによって変動することができる。たとえば、熱可塑性エラストマーは、通常、約10ショアー(Shore)Dを超える、たとえば約15ショアーDを超える、たとえば約20ショアーDを超える硬度をもつことができる。硬度は通常、約70ショアーD未満、たとえば約60ショアーD未満、たとえば約55ショアーD未満、たとえば約45ショアーD未満である。一態様において、約20〜約45のショアーD硬度をもつ熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用する。別の態様では、約22〜約35のショアーD硬度をもつ熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用する。別の態様では、約35〜約47のショアーD硬度をもつ熱可塑性エラストマーを使用することができる。そして別の態様では、約50〜約70のショアーD硬度をもつ熱可塑性エラストマーを使用することができる。
【0056】
[0056]長鎖または短鎖オキシアルキレングリコールの交互、ランダム-長さ配列をもつコポリエーテルエステルは、結晶化が可能である繰り返しの高融点ブロックと、比較的低いガラス転移温度をもつ実質的にアモルファスブロックとを含むことができる。一態様において、硬質セグメントはテトラメチレンテレフタレートユニットから構成されえ、軟質セグメントは脂肪族ポリエーテルとポリエステルグリコールから誘導することができる。特に好都合なことに、上記材料は、硬質セグメントの部分的な結晶化により形成した微結晶のネットワークが存在するため、表面温度での変形に耐える。硬質セグメント対軟質セグメントの比は、材料の特徴を決定する。従って、熱可塑性ポリエステルエラストマーの別の好都合な点は、軟質エラストマーと硬質弾性プラスチック(elastoplastic)が、硬質セグメントと軟質セグメントの比を変えることによって製造できるという点である。
【0057】
[0057]特別な一態様において、ポリエステル熱可塑性エラストマーは以下の式:-[4GT]
x[BT]
yをもち、式中、4Gはブチレングリコール、たとえば1,4-ブタンジオールであり、Bはポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)であり、Tはテレフタレートであり、式中、xは約0.60〜約0.99であり、yは約0.01〜約0.40である。
【0058】
[0058]通常、熱可塑性エラストマーは、ポリマー組成物中に少なくとも約20重量%の量、たとえば少なくとも約35重量%、たとえば少なくとも45重量%、たとえば少なくとも60重量%であるが、約90重量%未満、たとえば約80重量%未満、たとえば約65重量%未満、たとえば約55重量%未満の量で存在する。一態様において、熱可塑性エラストマーは、ポリマー組成物中に約25重量%〜約45重量%の量で存在する。別の態様では、熱可塑性エラストマーはポリマー組成物中に約55重量%〜約80重量%の量で存在する。従って、熱可塑性エラストマーは、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと比較して、組成物中の主要成分または少量成分を構成することができる。
【0059】
[0059]熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ポリアルキレンテレフタレートコポリマーなどのポリエステルポリマーを含むことができる。ポリアルキレンテレフタレートコポリマーは、シクロヘキサンジメタノールを含むポリエチレンテレフタレートグリコール-変性コポリマー(PET-G)、ネオペンチルグリコールを含むポリエチレンテレフタレートグリコール-変性コポリマー、または2-メチル-1,3-プロパンジオールを含むポリエチレンテレフタレートグリコール-変性コポリマーを含むことができる。一態様において、たとえばポリマー組成物中で使用されるポリエステルは、グリコールがシクロヘキサンジメタノールと、またはネオペンチルグリコールと置き換わっているグリコール-変性ポリエチレンテレフタレートを含む。たとえば、一態様において、少なくとも約5モルパーセント、たとえば少なくとも約7モルパーセント、たとえば少なくとも約10モルパーセント、たとえば少なくとも約15モルパーセントのエチレングリコールを変性することができる。通常、エチレングリコールは、約30モルパーセント未満、たとえば約25モルパーセント未満、たとえば約20モルパーセント未満、たとえば約15モルパーセント未満だけ変性することができる。特定の態様では、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、または2-メチル-1,3-プロパンジオールで変性したポリエステルを使用すると好都合でありえる。というのも、これらは耐破壊応力性(stress fracture resistance)を改善し得るからである。
【0060】
[0060]ポリエステルポリマーは、ポリアルキレンテレフタレートコポリマー、たとえばイソフタル酸を含むポリエチレンテレフタレート酸-変性コポリマー(PET-A)またはシクロヘキサンジカルボン酸を含むポリエチレンテレフタレート酸-変性コポリマーを含むことができる。ポリエステルポリマーは、ポリアルキレンテレフタレートコポリマー、たとえばシクロヘキサンジメタノール及びイソフタル酸、または他の組み合わせを含むポリテレフタレートグリコール-及び酸-変性コポリマーを含むことができる。
【0061】
[0061]熱可塑性エラストマーは通常、ビニルエステルコポリマー、特に酢酸コポリマーのビニルエステルと組み合わされる。コポリマーは他のモノマーユニットと組み合わせてビニルエステルモノマーユニット、たとえば酢酸ビニルを含む。たとえば、他のモノマーユニットはオレフィン、たとえばα-オレフィンを含むことができる。一態様において、たとえばα-オレフィンはエチレンを含む。
【0062】
[0062]エチレン酢酸ビニルコポリマーの製造は、様々なプロセス及び方法を使用して実施することができる。一態様において、酢酸ビニルは、酢酸とアセトンなどの様々な生成物を生じるブタンの酸化を含む、軽質石油ガス(light petroleum gas)から製造する。これらの生成物の二つの誘導体は無水酢酸とアセトアルデヒドである。これらの二つの誘導体は、一緒に反応してエチリデンジアセテートを与えることができる。希釈剤として過剰の無水酢酸の存在下でエチリデンジアセテートを芳香族スルホン酸に暴露すると、かなりの量の酢酸ビニルを生成する。たとえば酢酸ビニルの収量は30%をはるかに上回り、たとえば約40%である。
【0063】
[0063]近年、酢酸ビニルは、エチレンの酸化により大量に製造されてきた。たとえば、エチレンが、酢酸などを含む溶液中、及び酢酸ナトリウムの存在下で塩化パラジウムなどの触媒を含む溶液中を通過すると、多量の酢酸ビニルを生成することができる。エチレン酸化プロセスは、液相または気相中で実施することができる。しかしながら気相は、腐食や溶媒を使用するという問題を避けることができるため、様々に好都合な点を提供することができる。
【0064】
[0064]エチレンから酢酸ビニルを直接、一段階で製造する方法も提案されてきた。このプロセスでは、酢酸ビニルを生成するためにパラジウム触媒と一緒に、塩化第二と酢酸銅または酢酸ナトリウムを含む酢酸の実質的に無水懸濁液または溶液にエチレンを通す。
【0065】
[0065]次いで酢酸ビニルは、バルクで、溶液中で、エマルション中で、または懸濁液中で重合することができる。ポリマー転移(polymer transfer)とモノマー転移の両方の場合には、三級炭素またはアセテート基のいずれかで起きる二つのメカニズムが可能である。次いで三級炭素原子またはアセテート基のいずれかで形成したラジカルは重合を開始することができ、分岐構造を形成することができる。一態様において、ポリ(酢酸ビニル)は、エマルション重合プロセスの間にエマルションフォームで生成する。
【0066】
[0066]一態様において、ほぼ等量の酢酸ビニルと水を、好適なコロイド-乳化剤系、たとえばポリ(ビニルアルコール)とラウリル硫酸ナトリウムなど、及び水溶性開始剤、たとえば過硫酸カリウムの存在下で一緒に攪拌する。重合は、一定の時間、たとえば約4時間にわたって、比較的低温、たとえば約100℃未満の温度で実施することができる。反応は発熱性であるので、系によってはプロセスの間に冷却を実施することができる。プロセスをより制御し易くするために、且つ小さな粒径の粒子を得るために、開始剤を一定の時間にわたって絶えず添加しながら、モノマーの最初の部分を最初に重合することができる。態様によっては、酢酸ビニルの加水分解を最小化するために、反応は酢酸ナトリウムなどの緩衝剤の存在下で生じる。
【0067】
[0067]α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーを製造するとき、重合は、エチレン源などの別のモノマーと組み合わせてポリ酢酸ビニルで生じる。得られるコポリマー中に存在する酢酸ビニル量を制御するために、プロセス条件を制御することができる。
【0068】
[0068]この点において、本開示で使用されるα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは通常、酢酸ビニルに対してより多量のα-オレフィンを含む。たとえば酢酸ビニルは通常、コポリマー中に、約50重量%未満、たとえば約40重量%未満、たとえば約30重量%未満、たとえば約28重量%未満、たとえば約20重量%未満、たとえば約18重量%未満、たとえば約15重量%未満の量で存在する。酢酸ビニルはコポリマー中に、通常、約5重量%を超える、たとえば約7重量%を超える量で存在する。得られるコポリマー中の酢酸ビニルがより多量であると、態様によっては様々な不都合な点を引き起こす。たとえば、熱可塑性ポリマーと組み合わせるとき、得られるポリマー組成物は好ましくない程度の粘着性をもつ可能性があり、加工問題も存在するかもしれない。他方、より多量の酢酸ビニルは、環境応力亀裂に対して高い耐性並びに高い透明性を提供することができる。
【0069】
[0069]本開示に従って、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーを熱可塑性エラストマーと組み合わせる。通常、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー含有量が増加するにつれて、ポリマー組成物は粘度及び溶融強度において改善を示すことができる。通常、溶融強度の改善及び粘度の増加は、非常に分岐したα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーを使用することによって得ることができる。他方、一般に分岐が少ないα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、ポリマー組成物の粘度を下げることができる。
【0070】
[0070]上記のように、本開示に従ったα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと熱可塑性エラストマーの組み合わせは、優れた流動特性をもつポリマー組成物を生成する。たとえば、本開示に従って配合した組成物は、220℃及び2.16kgで測定したときに、約15g/10分を超える、たとえば約20g/10分を超える、たとえば約25g/10分を超える、たとえば約30g/10分を超えるメルトフローレートをもつことができる。上記条件におけるメルトフローレートは一般に、約60g/10分未満、たとえば約50g/10分未満(ISO試験1133に従う)である。ポリマー組成物は190℃及び2.16kgにおいて、約0.1g/10分を超える、たとえば約1g/10分を超える、たとえば約2g/10分を超えるが、約12g/10分未満、たとえば約10g/10分未満、たとえば約8g/10分未満、たとえば約6g/10分未満のメルトフローレートをもつことができる。
【0071】
[0071]上記のように、ポリマー組成物の硬度は、熱可塑性エラストマーと、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの量を変えることによって変動させることができる。たとえば、硬度及び他の特性は、熱可塑性エラストマーの硬度、熱可塑性エラストマー対α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの比、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの硬度、加工条件、並びに可塑剤及び添加剤の存在に依存しうる。たとえば、ポリマー組成物は通常、約10ショアーDを超える、たとえば約15ショアーDを超える、たとえば約20ショアーDを超える硬度をもつことができる。硬度は通常、約70ショアーD未満、たとえば約60ショアーD未満、たとえば約55ショアーD未満、たとえば約50ショアーD未満、たとえば約48ショアーD未満である。一態様において、ポリマー組成物は、約20〜約35のショアーD硬度をもつ。別の態様では、ポリマー組成物は、約35〜約47のショアーD硬度をもつ。
【0072】
[0072]通常、曲げ弾性率は、選択したエラストマーに依存して広範囲を変動しえる。通常、23℃で試験したときに、曲げ弾性率は約10MPa〜約1,300MPa、たとえば約10MPa〜約400MPaでありえる。
【0073】
[0073]上記成分に加えて、ポリマー組成物は、様々な他の成分を含むことができる。たとえばα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは熱可塑性エラストマーの色を改善することができるので、着色剤及び/または染料の有効活用(efficient use)が可能である。使用することができる着色剤としては、任意の所望の無機顔料、たとえば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、並びに他の有機顔料及び染料、たとえばフタロシアニン、アントラキノンなどが挙げられる。他の着色剤としてはカーボンブラックまたは様々な他のポリマー溶解性染料が挙げられる。着色剤は通常、最高約2重量パーセントの量で組成物中に存在することができる。
【0074】
[0074]一態様において、ポリマー組成物は、酸掃去剤(acid scavenger)も含むことができる。酸掃去剤は、加工の間またはポリマー組成物を使用する間に生じるかもしれない任意の酸、たとえば酢酸と結びつけるために使用することができる。存在するとき、酸掃去剤は、ポリマーから酸の放出によるポリマーの劣化を防ぐことができる。酸掃去剤の例としては、以下の酸化防止剤が挙げられる。
【0075】
[0075]組成物中に存在しえる酸化防止剤としては、立体障害型フェノール化合物が挙げられる。酸化防止剤は、成形及び/または任意の二次加工の間及びそのあとに熱安定性を提供することができる。市販で入手可能なそのような化合物の例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010、BASF)、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート](Irganox 245、BASF)、3,3'-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオノヒドラジド](Irganox MD 1024、BASF)、ヘキサメチレングリコールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 259、BASF)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(Lowinox BHT、Chemtura)及びn-オクタデシル-β-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル-フェニル)プロピオネートがある。一態様において、たとえば酸化防止剤は、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンを含む。酸化防止剤は、約2重量%未満の量、たとえば約0.1〜約1.5重量%の量で組成物中に存在することができる。
【0076】
[0076]組成物中に存在しえる光安定剤としては、立体障害型アミン類が挙げられる。そのような化合物としては、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル化合物、たとえばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(Tinuvin 770、BASF)またはジメチルスクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンのポリマー(Tinuvin 622、BASF)が挙げられる。組成物中に存在しえるUV吸収剤としては、ベンゾフェノン類またはベンゾトリアゾール類が挙げられる。任意の好適なベンゾフェノンまたはベンゾトリアゾールは、本開示に従って使用することができる。光安定剤及びUV吸収剤は、耐候性を改善することができ、且つ約0.1重量%〜約3重量%、たとえば約0.5重量%〜約1.5重量%の量で存在することができる。
【0077】
[0077]一態様において、ポリマー組成物は、光安定剤とUV吸収剤のブレンドを含むことができる。ブレンドにより紫外線抵抗性及び、退色を防ぐ着色安定性も提供することができる。さらに、ブレンドは蛍光スキーブーツなどの明るいか、蛍光色の製品の製造が可能である。一態様において、ポリマー組成物は、ベンゾトリアゾールまたはベンゾフェノンUV吸収剤とヒンダードアミン光安定剤、たとえばオリゴマー性ヒンダードアミンとの組み合わせを含むことができる。
【0078】
[0078]組成物中に配合し得る充填剤としては、ガラスビーズ、珪灰石、ローム(loam)、二硫化モリブデン若しくはグラファイト、無機若しくは有機繊維、たとえばガラス繊維、炭素繊維若しくはアラミド繊維が挙げられる。ガラス繊維はたとえば、約3mmを超える長さ、たとえば5〜約50mmの長さをもつことができる。
【0079】
[0079]他の様々な安定剤も組成物中に存在することができる。たとえば一態様において、組成物はホスファイト(phosphite)、たとえばジホスファイト(diphosphite)を含むことができる。たとえば、一態様において、ホスファイト化合物は、ペンタエリスリトールホスファイト、ペンタエリスリトールジホスファイト、またはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトを含むことができる。ホスファイト化合物は、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトも含むことができる。ホスファイト化合物は、O,O'-ジオクタデシルペンタエリスリトールビス(ホスファイト)も含むことができる。上記有機ホスファイト(organophosphite)加工安定剤(processing stabilizer)は、ポリマー組成物中に、約2重量%未満の量、たとえば約0.1重量%〜約1.5重量%の量で存在することができる。
【0080】
[0080]一態様において、ポリマー組成物は架橋剤を含むことができる。架橋剤は、耐衝撃性改良剤として及び/または反応性相溶化剤(reactive compatibilizer)として機能することもできる。架橋剤は、組成物中で一種以上の成分と反応することができる。たとえば、架橋剤は、熱可塑性エラストマーなどの少なくとも一つのポリマーと反応することができる。たとえば、通常、熱可塑性エラストマーを架橋することは、組成物の溶融強度及びメルトフローレート特性を改善して、ポリマー組成物をブロー成形または押出などの加工により適したものにすることができる。
【0081】
[0081]一態様において、架橋剤は、エポキシ官能基化(epoxy functionalization)を含むことができる。たとえば架橋を形成することができる任意の好適なエポキシ樹脂をポリマー組成物中で使用することができる。一態様において、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAから誘導することができ、たとえばポリ(ビスフェノールA-コ-エピクロロヒドリン)グリシジル末端キャップ化樹脂である。一態様において、エポキシ樹脂は、クレゾールホルムアルデヒドノボラックとエピクロロヒドリンから誘導したクレゾールノボラックエポキシ樹脂でありうる。通常、エポキシ樹脂は、約3重量%未満、たとえば約1.5重量%未満、たとえば約1重量%未満であるが、約0.1重量%を超える量でポリマー組成物中に存在することができる。
【0082】
[0082]一態様において、架橋剤はエポキシ官能性メタクリルモノマーユニットを含むことができる。本明細書中で使用するように、「メタクリル(methacrylic)」なる用語は通常、アクリルモノマーとメタクリルモノマー、並びにその塩及びエステルの両方、たとえばアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを含むことができる。架橋剤として使用しえるエポキシ官能性メタクリルモノマーとしては、1,2-エポキシ基を含むもの、たとえばグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なエポキシ官能性モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリレート、及びグリシジルイタコネートが挙げられる。通常、エポキシ官能性メタクリルモノマーユニットは、ポリマー組成物中に、約7.5重量%未満、たとえば約6重量%未満であるが、約0.1重量%を超える、たとえば約1重量%を超える、たとえば約2.5重量%を超える、たとえば約5重量%を超える量で存在することができる。
【0083】
[0083]本開示に従った成形品を製造するために、ポリマー組成物の様々な成分は、ドラムタンブラーまたは強力ミキサーで一緒にドライブレンドすることができる。次いで前もって混合したブレンドを溶融ブレンドし、ペレットとして押し出す。次いでペレットを射出成形プロセス、ブロー成形プロセス、または押出プロセスで使用することができる。組成物は加工して、キャストフィルムまたはインフレーションフィルムとしてフィルムを形成することもできる。
【0084】
[0084]一態様において、射出成形に関しては、ポリマー組成物は、エチレン酢酸ビニルランダムコポリマーと熱可塑性ポリエステルエラストマーを含むことができる。一態様において、ブロー成形または押出に関しては、ポリマー組成物は、エチレン酢酸ビニルコポリマーと、熱可塑性ポリエステルエラストマー、たとえばマルチブロックコポリエステルエラストマーを含むことができる。
【0085】
[0085]成形品は、様々な成分をブレンドし、ブロー成形装置を使用することによって製造することができる。通常、本開示のポリマー組成物は、良好なブロー成形性を示す。たとえば、ポリマー組成物は通常、滑面を形成する能力を備えたダイヘッドから良好な離型を示すことができる。さらに、成形品は、実質的に均一な壁厚分布も示すことができる。さらに成形品は、良好なウエルドラインを示すことができ、ノッチ形成(notching)はほとんどまたは全くない。
【0086】
[0086]本開示に従って、ポリマー組成物は、ブロー成形のために改善され、制御された溶融強度を示す。通常、ポリマー組成物は、動的レオロジー周波数掃引(ASTM D4440-08)の間に190℃及び0.1rad/秒で少なくとも4000Pa.s、たとえば少なくとも5000Pa.s、たとえば少なくとも5500Pa.s、たとえば少なくとも6000Pa.s、たとえば少なくとも7000Pa.sの複素粘度を示す。通常、上記条件における複素粘度は、約20000Pa.s未満、たとえば約15000Pa.s未満、たとえば約10000Pa.s未満である。通常、熱可塑性ポリエステルエラストマーとα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比が減少するにつれて、複素粘度は上昇するだろう。通常、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー中の酢酸ビニルユニットの重量%が増加するにつれて、複素粘度は減少するだろう。
【0087】
[0087]本開示のポリマー組成物は、押出しまたはブロー成形して、単層または多層フィルムを成形することもできる。通常、本開示の組成物は、良好な品質のフィルムを製造することができる。さらにフィルムは、追加のアンチブロッキング剤の必要性がないかもしれない。そのような添加剤なしで、フィルムは、真空アシスト樹脂トランスファー成形のオートクレーブ処理の間に、食品グレード包装、医療用包装として、または犠牲層(sacrificial layer)として使用することができる。
【0088】
[0088]本開示に従って製造した物品、コーティング、製品などは、物理的特性の優れた組み合わせをもつことができる。実際、熱可塑性エラストマーをα-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと組み合わせると、相乗効果を示すことができる。得られるポリマー組成物は、たとえば、組成物を製造するのに使用される成分よりも優れた機械的特性と熱的特性との組み合わせをもつことができる。一態様において、FTIRスペクトルに基づいて、この二つのポリマーの間には全く化学反応はないようである。従って、得られる利益は、材料の機械的なブレンド由来である。一態様において、ポリマー組成物の成分と反応することができる架橋剤を組成物中で使用することができる。従って、架橋剤とポリマー組成物の成分の一つ以上との間の反応から利益を得ることができる。
【0089】
[0089]通常、得られるポリマー組成物の機械的特性は、熱可塑性エラストマーによって支配されるが、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、組成物の流動特性を改善し、制御し易くするように機能して、加工性を改善する。さらに、態様によっては、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、熱可塑性エラストマーの外観を改善し、熱可塑性エラストマー単独と比較して、色がより鮮明で且つより薄く(light)、幾らか半透明である組成物を製造する傾向がある。さらに、本開示のポリマー組成物は、耐疲労性、耐キンク性、耐薬品性、改善された屈曲破損寿命、高温及び低温における改善された安定性、改善された溶融強度及び粘度、改善された摩擦抵抗、並びに改善された長期安定性を有することができる。
【0090】
[0090]本開示は、以下の実施例を参照してより理解することができる。
【実施例】
【0091】
[0091]以下のポリマー組成物は、ドラムタンブラー中で配合し、一緒にドライブレンドした。
【0092】
【表1】
【0093】
[0092]予備混合した成分は、以下の温度設定でのSC-201スクリューデザインをもつWLE-25押出機中で溶融ブレンドし、ペレットとして押し出した:
【0094】
【表2】
【0095】
[0093]スクリュー速度は、たとえば250RPMで、50%トルクで設定した。典型的なダイ真空は15mmHgで、押出量は40lbs/時間であった。
【0096】
[0094]配合物はそれぞれ、0.02%の水分量を得るために80℃で4時間、ペレットを乾燥した後に慣用法で射出成形した。射出成形は、4オンスのDemag 661成形機を使用して実施した。温度設定は以下の通りであった。
【0097】
【表3】
【0098】
[0095]以下の結果が得られた。
【0099】
【表4】
【0100】
実施例2
[0096]以下のポリマー組成物は、ドラムタンブラー中で配合し、一緒にドライブレンドした。
【0101】
【表5】
【0102】
[0097]予備混合した成分は、以下の温度設定でのSC-202スクリューデザインをもつWLE-25押出機中で溶融ブレンドし、ペレットとして押し出した:
【0103】
【表6】
【0104】
[0098]スクリュー速度は、たとえば250RPMで、50%トルクで設定した。典型的なダイ真空は15mmHgで、押出量は50lbs/時間であった。
【0105】
[0099]配合物はそれぞれ、0.02%の水分量を得るために80℃で4時間、ペレットを乾燥した後に慣用法で射出成形した。射出成形は、4オンスのDemag 661成形機を使用して実施した。温度設定は以下の通りであった:
【0106】
【表7】
【0107】
[00100]以下の結果が得られた。
【0108】
【表8】
【0109】
実施例3
[00101]以下のポリマーは、ドラムタンブラー中で配合し、一緒にドライブレンドした。
【0110】
【表9】
【0111】
[00102]配合物はそれぞれ、9lbヘッド、3.5インチ直径24-1L/D押出機と、2.1:1圧縮比の一段階計量スクリュー(single stage metering screw)のついた、混合セクションのない、Sterlingアキュムレーターヘッド・ブロー成形機を使用して慣用法によりブロー成形した。下部ダイの据え付け(lower die tooling)は直径4インチにすると、9.5インチ平置き(layflat)になった。温度設定は以下のようであった:
【0112】
【表10】
【0113】
[00103]以下の結果が得られた。
【0114】
【表11】
【0115】
実施例4
[00104]動的レオロジースキャンは、複素粘度を測定するために上記配合物で実施した。動的レオロジー試験は、25mmのSS平行板を備えたARESG2(TA Instruments)で実施した。ギャップ距離は1.0mmに設定した。周波数掃引は、190℃または220℃のいずれかで実施した。
【0116】
[00105]以下の結果が得られた。
【0117】
【表12】
【0118】
【表13】
【0119】
[00106]上記のように、粘度及び溶融強度は、配合物中の成分並びにそれぞれの成分量を変動させることによって調整した。
【0120】
実施例5
[00107]以下の組成物は、ドラムタンブラー中で配合し、ドライブレンドした。
【0121】
【表14】
【0122】
[00108]予備混合した成分は、以下の温度設定でのSC-202スクリューデザインをもつWLE-25押出機中で溶融ブレンドし、ペレットとして押し出した:
【0123】
【表15】
【0124】
[00109]スクリュー速度は、たとえば250RPMで、50%トルクで設定した。典型的なダイ真空は15mmHgで、押出量は50lbs/時間であった。
【0125】
[00110]配合物はそれぞれ、0.02%の水分量を得るために80℃で4時間、ペレットを乾燥した後に慣用法で射出成形した。射出成形は、4オンスのDemag 661成形機を使用して実施した。温度設定は以下の通りであった:
【0126】
【表16】
【0127】
[00111]以下の結果が得られた。
【0128】
【表17】
【0129】
[00112]上記表において、メルトフローレートは、ISO試験1133に従って測定した。曲げ弾性率は、ISO試験178に従って測定したが、引張り試験はISO試験527に従って測定した。ISO試験179は、ノッチ付きシャルピー結果を測定するために使用した。ISO試験34を使用して引き裂き強さを測定した。ISO試験306を使用してビカー軟化温度を測定した。ASTM D4440-08を使用して動的レオロジー特性を測定した。
【0130】
[00113]上記のように、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーと熱可塑性エラストマーとを組み合わせることにより、優れたメルトフローレートをもつが、所望の結果に依存して様々な特性ももつポリマー組成物を製造することができる。従って、上記のように、本開示に従って製造したポリマー組成物は多くの用途で使用することができる。
【0131】
[00114]本発明に対するこれら並びに他の変形及び変更は、付記請求の範囲に説明される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者により実施することができる。さらに、様々な態様の側面は、全体またはその一部のいずれにおいても交換可能であると理解すべきである。さらに当業者は、上記記載は単なる例示であって、請求の範囲に記載された発明を限定するものではないと十分に理解するだろう。
【手続補正書】
【提出日】2015年3月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステルエラストマー;及び
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー、ここで、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含み、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は、約20:80〜約80:20である;
を含むポリマー組成物。
【請求項2】
前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとの重量比が、約20:80〜約45:55であるか、または約80:20〜約55:45である、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約15g/10分を超える、たとえば約20g/10分を超えるメルトフローレートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が190℃及び2.16kgにおいて、約0.1g/10分〜約8g/10分のメルトフローレートであり、190℃及び角周波数0.1rad/秒において、約5000Pa.sを超える複素粘度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれ1項かに記載のポリマー組成物から製造した成形品。
【請求項7】
前記成形品がブロー成形により製造される、請求項6に記載の成形品。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー組成物から製造されるコーティングを含むケーブル若しくはワイヤ、携帯電話カバー、または医療用チューブ。
【請求項9】
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが、酢酸ビニルを約3重量%〜約30重量%の量で含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記ポリマー組成物が23℃において約10〜約400MPaの曲げ弾性率を有する、請求項1〜5および9のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが、軟質セグメントと硬質セグメントとを含むマルチブロックコポリエステルエラストマーを含み、前記硬質セグメントはエステルユニットを含み、前記軟質セグメントは脂肪族ポリエステルまたはポリエステルグリコールを含む、請求項1〜5および9〜10のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが以下の式:−[4GT]x[BT]yをもち、式中、4Gは1,4-ブタンジオールであり、Bはポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)であり、Tはテレフタレートであり、式中、xは約0.6〜約0.99であり、yは約0.01〜約0.40である、請求項1〜5および9〜11のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、または2-メチル-1,3-プロパンジオールで変性される、請求項1〜5および9〜12のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記組成物がさらに、エポキシ官能基を含む架橋剤を含む、請求項1〜5および9〜13のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記組成物がさらに、立体障害型フェノールを含む酸化防止剤を含む、請求項1〜5および9〜14のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記組成物がさらに、立体障害型アミンを含む光安定剤を含む、請求項1〜5および9〜15のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記組成物がさらに、ベンゾフェノンまたはベンゾトリアゾールを含むUV吸収剤を含む、請求項1〜5および9〜16のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
熱可塑性ポリエステルエラストマー;及び
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー、ここで、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、約3重量%〜約50重量%の量で酢酸ビニルを含み、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は約20:80〜約80:20である;
を含むポリマー組成物から製造した成形部材を含むポリマー物品。
【請求項19】
前記ポリマー物品が医療器具、医療用チューブ、ガラスのオーバーモールディング、または携帯電話カバーを含む、請求項18に記載の成形ポリマー物品。
【請求項20】
前記ポリマー物品がブロー成形で製造される、請求項18に記載の成形ポリマー物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
これに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。[1]熱可塑性ポリエステルエラストマー;及び
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー、ここで、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含み、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は、約20:80〜約80:20である;
を含むポリマー組成物。
[2]前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、[1]に記載のポリマー組成物。
[3]前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとの重量比が、約20:80〜約45:55である、[1]または[2]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[4]前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーとの重量比が、約80:20〜約55:45である、[1]または[2]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[5]前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約15g/10分を超えるメルトフローレートである、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[6]前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約20g/10分を超えるメルトフローレートである、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[7]前記ポリマー組成物が220℃及び2.16kgにおいて、約25g/10分〜約40g/10分のメルトフローレートである、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[8]前記ポリマー組成物が190℃及び2.16kgにおいて、約0.1g/10分〜約8g/10分のメルトフローレートである、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[9]前記ポリマー組成物が190℃及び角周波数0.1rad/秒において、約5000Pa.sを超える複素粘度である、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載のポリマー組成物から製造した成形品。
[11]前記成形品がブロー成形により製造される、[10]に記載の成形品。
[12][1]〜[9]のいずれかに記載のポリマー組成物から製造されるコーティングを含むケーブルまたはワイヤ。
[13][1]〜[9]のいずれかに記載のポリマー組成物から製造した携帯電話カバー。
[14][1]〜[9]のいずれかに記載のポリマー組成物から製造した医療用チューブ。
[15]前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含み、前記コポリマーは酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含み、前記組成物は220℃及び2.16kgにおいて、約15g/10分を超えるメルトフローレートである、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[16]前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは酢酸ビニルを約3重量%〜約50重量%の量で含む、[1]〜[9]および[15]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[17]前記ポリマー組成物が23℃において約10〜約400MPaの曲げ弾性率を有する、[1]〜[9]および[15]〜[16]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[18]前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが軟質セグメントと硬質セグメントとを含む、[1]〜[9]および[15]〜[17]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[19]前記熱可塑性ポリエステルエラストマーがマルチブロックコポリエステルエラストマーを含む、[1]〜[9]および[15]〜[18]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[20]前記硬質セグメントはエステルユニットを含み、前記軟質セグメントは脂肪族ポリエステルまたはポリエステルグリコールを含む、[18]に記載のポリマー組成物。
[21]前記熱可塑性ポリエステルエラストマーが以下の式:−[4GT]x[BT]yをもち、式中、4Gは1,4-ブタンジオールであり、Bはポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)であり、Tはテレフタレートであり、式中、xは約0.6〜約0.99であり、yは約0.01〜約0.40である、[1]〜[9]および[15]〜[20]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[22]前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、または2-メチル-1,3-プロパンジオールで変性される、[1]〜[9]および[15]〜[21]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[23]前記組成物がさらに、エポキシ官能基を含む架橋剤を含む、[1]〜[9]および[15]〜[22]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[24]前記組成物がさらに、立体障害型フェノールを含む酸化防止剤を含む、[1]〜[9]および[15]〜[23]のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
[25]前記組成物がさらに、立体障害型アミンを含む光安定剤を含む、[1]〜[9]および[15]〜[24]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[26]前記組成物がさらに、ベンゾフェノンまたはベンゾトリアゾールを含むUV吸収剤を含む、[1]〜[9]および[15]〜[25]のいずれかに記載のポリマー組成物。
[27]熱可塑性ポリエステルエラストマー;及び
α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマー、ここで、前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーは、約3重量%〜約50重量%の量で酢酸ビニルを含み、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーと前記α-オレフィンと酢酸ビニルのコポリマーの重量比は約20:80〜約80:20である;
を含むポリマー組成物から製造した成形部材を含むポリマー物品。
[28]前記ポリマー物品が医療器具を含む、[27]に記載の成形ポリマー物品。
[29]前記医療器具が医療用チューブである、[28]に記載の成形ポリマー物品。
[30]前記ポリマー物品がガラスのオーバーモールディングを含む、[27]に記載の成形ポリマー物品。
[31]前記ポリマー物品がブロー成形で製造される、[27]に記載の成形ポリマー物品。
[32]前記ポリマー物品が携帯電話カバーを含む、[27]に記載の成形ポリマー物品。
[0013]本開示の他の特徴及び側面を以下詳細に記載する。
【国際調査報告】