(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528554(P2015-528554A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】インターロッキング軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 17/10 20060101AFI20150901BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20150901BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20150901BHJP
F16C 17/26 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
F16C17/10 Z
F16C17/02 Z
F16C33/20 Z
F16C17/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-531106(P2015-531106)
(86)(22)【出願日】2013年8月22日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2013056245
(87)【国際公開番号】WO2014039277
(87)【国際公開日】20140313
(31)【優先権主張番号】12006306.0
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】513129313
【氏名又は名称】ジージービー,インク.
【氏名又は名称原語表記】GGB,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】アストナー,バーンド
(72)【発明者】
【氏名】ケイルバッハ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ソテール,ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】ハードグレイブ,エイドリアン,ジョン
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA06
3J011BA20
3J011CA10
3J011DA01
3J011DA02
3J011KA02
3J011KA03
3J011KA04
3J011LA08
3J011MA12
3J011PA03
3J011QA17
3J011SC01
(57)【要約】
モジュラー滑り軸受が提供される。モジュラー滑り軸受は、複数の第1のフィンガーを備える終端縁を有する第1の端部と、複数の第2のフィンガーを備える終端縁を有する第2の端部とを含む。複数のフィンガーが協働して係合して、複数の部分間のスナップ式接続を提供する。より長い滑り軸受に関し、軸受エクステンダーが提供される。軸受エクステンダーは、複数の第1のコネクターフィンガーを有する少なくとも第1のコネクターを含む。軸受エクステンダーは、第1のコネクターに対向する、複数の第2のコネクターフィンガーを有するいずれかの第2のコネクターを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸(602)及び横軸を有する第1の端部(102)であって、前記第1の端部(102)は、外面(106)及び内面(108)を備える半径方向に延在するフランジ(104)、及び前記内面から第1の端部縁(118)まで延在する軸受壁(112)を含み、前記第1の端部(102)は、前記第1の端部縁に隣接した複数の第1のフィンガー(128)を有する、第1の端部と;
前記第1の端部(102)に解放式に結合された第2の端部(102)であって、前記第2の端部(102)は縦軸(602)及び横軸を有し、前記第2の端部(102)は、前記内面から第2の端部(118)縁まで延在する軸受壁(112)を含み、前記第2の端部(102)は、前記第2の端部縁に隣接した複数の第2のフィンガー(128)を有する、第2の端部と
を含むフランジ付モジュラー滑り軸受であって、
前記複数の第1及び第2のフィンガー(128)がスナップ式に協働して係合する、フランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項2】
前記第2の端部(102)が、半径方向に延在するフランジ(104)を更に含む、請求項1に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項3】
前記第2の端部(102)が終端壁(216)を更に含む、請求項1に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項4】
1つ以上の軸受エクステンダー(200)を更に含み、各軸受エクステンダー(200)が、第1のコネクター部分(208)と、前記第1のコネクター部分に対向する第2のコネクター部分(210)とを含み、前記第1及び第2のコネクター部分が、前記第1及び第2の端部(102)の前記複数の第1及び第2のフィンガー(128)にスナップ式に協働して係合する複数の第1及び第2のコネクターフィンガー(128)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項5】
前記第1の端部(102)及び前記第2の端部(102)が同一である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項6】
前記第1の端部(102)及び前記第2の端部(102)が非同一である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項7】
前記第1の端部(102)がボア(110)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項8】
前記軸受エクステンダー(200)がシリンダー形状を形成する、請求項4〜7のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項9】
前記軸受エクステンダー(200)がテーパ又はステップを有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項10】
前記複数の第1のフィンガー(128)及び前記複数の第2のフィンガー(128)が、前記軸受壁(112)の周りにわたって等間隔で設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項11】
前記複数の第1のフィンガー(128)及び前記複数の第2のフィンガー(128)が、前記軸受壁(112)の周りにわたって不規則な間隔で設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項12】
前記第1の端部(102)及び前記第2の端部(102)がポリマーから形成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項13】
前記第1の端部(102)及び前記第2の端部(102)が射出成形によって形成されている、請求項12に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項14】
前記第1の端部(102)、前記第2の端部(102)、及び前記軸受エクステンダー(200)が、ポリマーを射出成形することによって形成されている、請求項4に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【請求項15】
前記第1の端部(102)、第2の端部(102)、及び軸受エクステンダー(200)の少なくとも1つが、他とは異なる第1の材料で形成されている、請求項4に記載のフランジ付モジュラー滑り軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年9月6日出願の欧州特許出願第12006306.0号明細書の利益を主張し、その全体を参照により本願明細書に援用する。
【0002】
本出願の技術は、概してポリマー軸受に関し、より具体的には、組み立て及び生産を容易にする為にインターロッキング本体アセンブリを有する、ダブルフランジ型、シングルフランジ型、又は非フランジ型の滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0003】
耐摩耗性を改善する及び/又は摩擦特性を低下させる為に充填材によって適合された様々な材料を使用して作製された滑り軸受が、この産業界においては周知である。これらの軸受は、単純なシリンダー形状をとってもよいし、又はハウジングでの配置設定を支援する及び/又はスラスト座金面を提供する為に、一端部にフランジを有してもよい。幾つかの適用例では、軸受がシリンダー状ハウジング内にしっかりと配置されるように、及び/又はハウジングの各側にスラスト座金面を提供する為に、ダブルフランジ型軸受を必要とする。
【0004】
シリンダー状軸受の片側又は両側にフランジを追加することは、軸受の製造及び軸受の設置の双方の複雑さを増し得ることが理解され得る。
【0005】
例えば、従来のダブルフランジ型軸受について言及すると、ダブルフランジ型軸受は、単純なシリンダー軸受、又は単一フランジの軸受形態を備えるシリンダーよりも、作製が困難であることが理解され得る。ポリマー軸受は、例えば、単一パートのダブルフランジ型軸受を生産する為に、又は第2のフランジが形成される前にハウジングを通過するように圧縮又は操作され得る単一パートの軸受を生産する為に、射出成形機に、複雑且つ高価な複数パートの工具を必要とし得る。他の公知の生産方法は、ダブルフランジ型軸受の周りに組み立てることができるハウジング、又はダブルフランジ型軸受を作製する為に複数パートにおいてハウジングへの組み立てを可能にする軸受の設計を含む。
【0006】
igus GmbHが所有する(特許文献1)では、複数のカラー要素を、カラー要素がシリンダー状軸受と同一平面上にある平らな位置から、カラー要素がシリンダー状軸受の平面に対して垂直であるフランジ位置まで曲げることによって、第2のフランジが形成される、独特なダブルフランジ型軸受が提供されている。しかしながら、カラー要素の曲げは、幾つもの欠陥を有する。例示的な1つの欠陥は、曲げ位置が、軸受における応力集中又は潜在的な破断点をもたらし得ることである。2つの例示的な欠陥を挙げれば、別の例示的な欠陥は、カラー要素を曲げることが困難であることである。
【0007】
更に、フランジレス、シングルフランジ、又はダブルフランジであるかに関わらず、長いシリンダー状ポリマー軸受は、通常、作製することが困難である。一般的に当技術分野で公知のように、長いポリマーモールドは、軸受の長さに適合する著しく大きな工具を必要とする。加えて、モールドは、モールド用の工具に沿って幾つかの射出ゲートを必要とし、長いシリンダー状の滑り軸受の製造を複雑にし得る。複数のゲート及び長い工具はまた、モールドの充填に関連する問題を引き起こし得る。複数の射出による長いモールドは、冷間圧接と呼ばれることがある、ポリマーの冷却を生じて、接合又は溶接点に沿った材料の適切なニッティングを阻止し、軸受材料にある程度の弱さを生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1 869 334号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のことを考慮に入れて、この産業界では、従来の射出成形技術を使用して形成され得るが、上記で概説した数例のような欠陥を有しない、ダブルフランジ型、シングルフランジ型、又はフランジ無し/非フランジ型のポリマー滑り軸受が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願は、モジュラー軸受を提供することによって、上述の要求に対処する。本発明は、少なくとも第1及び第2の端部を含むモジュラー軸受を提供する。第1及び第2の端部は、それらの縁部に複数のフィンガーを備える。複数のフィンガーは、スナップ式接続で協働して係合するような形状にされる。
【0011】
幾つかの実施形態では、複数のフィンガーは面取りされて、複数のフィンガーが協働して係合するときのそれらの相対運動を容易にする。
【0012】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の端部の少なくとも一方が、半径方向に延在するフランジを含み、このフランジは、外面及び内面を有する。それらの面は、スラスト軸受面又は座金の役目を果たし得る。この技術の幾つかの態様では、第1及び第2の端部の少なくとも一方は、フランジではなく、終端壁を含み得る。これにより、ダブルフランジ型軸受、シングルフランジ型軸受、又はゼロランジ型軸受を形成する選択肢を提供する。
【0013】
本出願の実施形態では、軸受エクステンダーが提供される。軸受エクステンダーは、第1のコネクター部分と、第1のコネクター部分に対向する第2のコネクター部分とを含む。第1及び第2のコネクター部分は複数のフィンガーを備える。複数のフィンガーは、第1及び第2の端部の複数のフィンガーと協働して係合して、長い滑り軸受を、複数の部分でモジュラー式に形成できるようにする。
【0014】
別の実施形態では、端部及び軸受エクステンダーは、ポリマー又は複合材料で形成される。端部は射出成形によって形成され得る。他の態様では、端部及び軸受エクステンダーは、非ポリマー材料、例えば金属又は金属合金で形成される。幾つかの実施形態では、端部及び軸受エクステンダーは、異なる材料で形成されてもよく、これら材料は、例えば、耐摩耗性及び/又は潤滑性の表面等の所望の特性の為に選択される。
【0015】
更なる実施形態では、複数のフィンガーは、縁部の周りに対称的に設けられる。本出願の技術の他の実施形態では、複数のフィンガーは非対称的に設けられる。
【0016】
他の実施形態では、端部及び軸受エクステンダーは、一定の形状を形成する。幾つかの実施形態では、一定の形状はシリンダー形状とし得る。他の実施形態では、端部及び軸受エクステンダーは、テーパ、ステップ、湾曲、又は隆起を含み得る。
【0017】
本出願の技術を、添付の非限定的及び非包括的な図面と併せて、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本出願の技術と一致するシリンダー状のフランジ付滑り軸受の第1の部分の第1の斜視図である。
【
図1B】
図1Aのシリンダー状のフランジ付滑り軸受の第1の部分の第2の斜視図である。
【
図2】本出願の技術と一致するシリンダー状のフランジ付滑り軸受の第2の部分の斜視図である。
【
図3】
図1Aのシリンダー状のフランジ付滑り軸受の第1の部分のフィンガー端部からの平面図である。
【
図4】
図3のシリンダー状のフランジ付滑り軸受の第1の部分の断面図である。
【
図5A】本出願の技術と一致するシリンダー状のダブルフランジ型滑り軸受の分解斜視図である。
【
図5B】
図5Aに分解図で示すシリンダー状のダブルフランジ型滑り軸受の斜視的な非分解図である。
【
図6A】本出願の技術と一致するシリンダー状のダブルフランジ型滑り軸受の分解斜視図である。
【
図6B】
図6Aに分解図で示すシリンダー状のダブルフランジ型滑り軸受の斜視的な非分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本特許出願の技術を、以下、様々な図面、表等を参照して説明する。本出願の技術をシリンダー状のダブルフランジ型滑り軸受に関して説明するが、当業者は、ここで、この技術が、フランジ型及び非フランジ型の軸受を含む、他のタイプの射出成形された長いポリマー軸受に適用可能であることを認識するであろう。更に、本特許出願の技術を、本明細書の幾つかの例示的な実施形態に関して説明する。本明細書では、語「例示的な」は、「例、事例、又は実例としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的な」と本明細書で説明する任意の実施形態は、他の実施形態よりもそのような実施形態が好ましい又は有利であると具体的に示されない場合、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい又は有利であるとは見なされない。更に、場合によっては、単一の「例示的な」実施形態のみが提供される。単一の例は、必ずしも、唯一の実施形態であるとは見なされない。詳細な説明は、本特許出願の技術を十分に理解する為の具体的な詳細を含む。しかしながら、本開示を読むと、当業者には、これらの具体的な詳細があっても又は無くても、本特許出願の技術を実施し得ることが明白になる。本明細書の一部の説明では、一般的に理解された構造及び装置を、本明細書の技術を不明瞭にすることなく、本特許出願の技術の理解を支援する為に、ブロック図で示し得る。
【0020】
本出願の技術を、以下、図面を参照して説明する。図面に示すように、この技術は、シリンダー状のダブルフランジ型滑り軸受を提供するが、他の射出成形された軸受等に使用し得る。この技術は、概して、単純なキャビティ射出成形工具において生産できる複数のモジュラー部片として設計されたポリマー滑り軸受に関する。部片のモジュラー性によって、インターロッキング特徴及び組み立てシステムを使用して、複数の部分からポリマー軸受をハウジングに組み立て、所望の幾何学的形状のポリマー滑り軸受を生産することを可能にする。モジュラーポリマー軸受500及び600の例示的な実施形態を、
図5A及び
図6Aに分解図として、及び
図5B及び
図6Bに組み立て図として示す。モジュラーポリマー軸受500及び600は、それぞれ、縦軸502、602及び横軸504、604を有する。下記で更に説明するように、モジュラーポリマー軸受500、600は、モジュラーポリマー軸受の対向する側に第1及び第2の半径方向に延在するフランジ506、606、508、608を含む。例えば、より長いバレル、シングル又は非フランジ型軸受等を含む、他の構成が可能である。
【0021】
滑り軸受500及び600は、充填材等によって適合された様々な材料を使用して作製され、耐摩耗性を高め及び又は摩擦特性を低下させ得る。換言すると、滑り軸受は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び金属並びにこれらの組み合わせ等の硬質及び潤滑性複合材から形成され得る。複合材は、単純なシリンダーと、シリンダーと協働してスラスト軸受又は座金面を形成する1つ以上のフランジ面とを有し得る軸受に形成される。幾つかの実施形態では、
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bに示すように、滑り軸受は、滑り軸受の両側にフランジ面を有するダブルフランジ型軸受を含み得る。ダブルフランジ型軸受は、シリンダー状軸受面の適切な配置設定を容易にし及び/又は軸受の各側にスラスト面を提供し得る。更に下記で説明するように、モジュラー部片のインターロックの機械的な性質によって、異なる部片を異なる材料から形成できるようにする。
【0022】
従来、特にバレルが長くなるにつれて、加工できるシリンダー状のダブルフランジ型軸受を作製することが困難であることが理解され得る。本出願の技術のモジュラー設計は、液状樹脂を使用するラピッドプロトタイピング構造、液体ポリマー注入材のキャスティング、オーバーモールディング、及び更にはポリマーブッシングの機械加工によって形成され得るポリマー軸受を提供し、本出願の技術に関連するモジュラー軸受設計のインターロッキング特徴を作製する。
【0023】
ここで
図1Aを参照すると、滑り軸受500及び600と一緒に使用され得るような滑り軸受の第1の部分又は端部102が提供される。第1の部分又は端部102は、縦軸602から半径方向外側に延在する、半径方向に延在するフランジ104を含む。フランジ面104は、外面106及び内面108を有する。いずれの面も、面の位置及び適用に依存して、スラスト座金面の役目を果たし得る。半径方向に延在するフランジ104は、外部から内面へ延在するボア110を提供する(
図3)。
図1Bに最もよく示すように、縦軸602に平行に軸受壁112が延在し、この軸受壁は、軸受面と呼ばれ得る内側面116と、内側面116に対向する外側面114とを有する。軸受壁は、内面108に動作可能に結合され且つ全体的にボア110を囲む。軸受壁112は端部縁118で終端し、端部縁は、更に下記で説明するように、面取りされ得る。軸受壁112は、端部縁118から内面108の方へ延在する幾つものボイド120を含む。
図4に最もよく示すように、ボイド120は、一般的に、首部分122、スロート部分124、及び終端部126を有する。ボイド120は、首部分122からスロート部分124を通って終端部126までの湾曲によって形成される。軸受壁112にボイド120を設けることによって、フランジ104に対して可動/可撓性である複数のフィンガー128等を形成する。
【0024】
図5Bに示すように、各ボイド120が対応するフィンガー128と位置合わせされるように第1の部分を互いに対して回転させることによって、2つの第1の部分又は端部102がモジュラー式に連結され得ることが理解され得る。第1の部分又は端部102を押し込んで一体にすることによって、フィンガー128をインターロックさせる。第1の部分又は端部102は同一である為、端部102を作製する為の射出成形プロセスにおいて、単一のモールド又はキャビティが使用可能である。しかしながら、異なる形状又は長さの軸受を作ってもよいように、第1の部分又は端部102は同一である必要は無いことに留意すべきである。述べたように、第1の部分の縁118は面取りされて、スナップ式係合でインターロックする為の隣同士のフィンガー128の曲げ及び動きを容易にし得る。引き抜き強度を増す為に、ボイド120(又は、反対に、フィンガー128)は、細くされた首部分112、及びフレア状又は広げられたスロート部分124を備えて形成され得る。
【0025】
図2に軸受エクステンダー200が示されている。例示的な本実施形態において、軸受エクステンダー200はバレル又はシリンダーと呼ばれ得る。軸受エクステンダー200は軸受壁202を有し、この軸受壁は、縦軸204に平行に延在し、且つ第1の部分102の軸受壁112と実質的に同一平面となるように形成される。軸受壁202はシリンダー状であり、且つ第1の部分102のボア110と整列するボア206を形成する。図示の通り、軸受エクステンダー200は、軸受壁202の一方の端部に第1のコネクター部分208、及び軸受壁202の対向端部に第2のコネクター部分210を有する。第1及び第2のコネクター部分208、210は、第1の部分102のボイド120及びフィンガー128と協働して係合するように、複数のフィンガー212及びボイド214を備えて形成される。1つ以上の軸受エクステンダー200が一対の第1の部分102の間に取り付けられ、長いシリンダー滑り軸受を形成し得る。また、シングルフランジ型軸受に関しては、軸受エクステンダー200は、図示のような第2のコネクター部分210ではなく、仮想線で示すような終端壁216で終端し得る。非フランジ型又はフランジ無しの軸受は、終端壁216を備える2つの軸受エクステンダー200を一緒にスナップ式に嵌合することによって形成され得る。
【0026】
再度
図5A、
図5B、
図6A、及び
図6Bを参照すると、ダブルフランジ型軸受500及びダブルフランジ型拡張軸受600を更に詳細に示す。ダブルフランジ型軸受500は、一緒にスナップ式に嵌合される第1の端部102及び第2の端部102を提供する。ダブルフランジ型拡張軸受は、軸受エクステンダー200の第1及び第2のコネクター208、210にスナップ式に嵌合する第1及び第2の端部102を有する。長い拡張軸受600は、第1の部分102間に複数の軸受エクステンダー200を提供することによって設けられ得ることに注意されたい。シングルフランジ軸受が望ましいとき、第2の端部102は、終端壁216を有する軸受エクステンダー200によって置き換えられ得る。この実施形態では、軸受エクステンダー200は、明瞭にする為に第2の端部等と呼ばれ得る。
【0027】
本明細書の図面及び説明は、相対運動及び曲げを可能にする為に特定の形状を有するフィンガー及びボイドを提供したが、当業者は、今や、本開示を読むことで、スナップ式配置構成においてインターロックできる端部及びエクステンダーを提供する代替的な形状が可能であることを認識する。また、縦軸に全体的に平行な表面を有する軸受壁112及び202を示すが、軸受壁112、202の1つ以上はテーパ付面を有して、壁に沿った寸法差を可能にしてもよい。テーパの代わりに、軸受壁112、202はステップ特徴を有して、ボア等の直径を増減してもよい。また、第1の部分102及びエクステンダー200は、シリンダー形状として示すが、例えば、その部分が要求し得るような、円錐台形(frustoconical)、卵形、楕円形、又は他の多角形を含む他の幾何学的形状を形成し得る。
【0028】
本出願の技術の態様は、設けられた滑り軸受500、600等が、収容されていないとき又は自由空間において、非常に簡単に押し込んで一体にされ、且つ引き離され得ることである。更に、複数の部分は、それら部分をハウジングに挿入し且つそれら部分を押し込んで一体にして比較的簡単にインターロックすることによって、ハウジングに組み立てられ得る。しかしながら、及び予想外に、ハウジングの内部に形成されると、軸受500及び600は、軸受アセンブリを破壊することなく引き離すのが不可能に近い。ダブルフランジ型軸受が使用される場合、軸受は、実際上、永久的に装着される。シングルフランジ型又は非フランジ型の軸受はまた、収容されているときには引き離すことができないが、軸受は、ハウジングを通して押し込むことができ、且つ収容されていないときには簡単に分解することができる。この設計特徴は、押し込んで一体にされるときにインターロッキング形状が互いに対して曲がる為、動作するが、引き離されるとき、軸受の外径の方向に動くことができる必要がある。軸受部分が挿入され且つインターロックされたら、ハウジングは、この方向の動きを抑制する。これは、後続の組み立て手順の最中に軸受が落ちないようにする為、有用な設計特徴であると見なされる。
【0029】
本出願の技術の別の態様は、フィンガー(又はボイド)の縁が、複数の部分の自己整列又は指向を提供することである。即ち、第1の部分102及び/又はエクステンダー200が配置され且つ縦軸の周りで自由に回転できるとき、それら部分は、インターロッキング形状が互いに接触してインターロッキング位置に摺動する為に、わずかに回転し得る。これは、それら部分が、組み立ての際に互いに対して特に向きを決定される必要無く、それらが正しい向きに自己整列できるという利点を有する。
【0030】
ここで、インターロックを実施する必要のある曲線の形状及びサイズは、必要な軸受の幅及び直径に依存して、容易に計算され得る。更に、インターロックは、完全に剛体である必要は無い。むしろ、インターロックは、収容時に、軸受の長さに沿って、複数の部分間で、ある程度の横への動きを提供し得る。この設計の修正は、設計がハウジングの長さに比較的幅広いバリエーションを求めるとき、使用できる。
【0031】
また、接続は、機械的な性質である為、第1の部分及びエクステンダーは、異なる材料で形成され得る。これにより、異なる摩耗及び摩擦特性の材料を提供できるようにする;例えば、適用例が、軸受に高い縁部の荷重を有する場合、端部分は、耐摩耗性に好適な材料から作製でき、及び拡張部分は、低摩擦性であるが耐摩耗性に乏しい材料から作製し得る。
【0032】
開示の実施形態の先の説明は、当業者が本発明を作製又は使用できるようにする為に提供される。これらの実施形態に対する様々な修正例が、当業者には容易に明白になり、及び本発明の趣旨又は範囲から逸脱せずに、本明細書で定義される一般的な原理が、他の実施形態に適用され得る。それ故、本発明は、本明細書に図示する実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示する原理及び新規の特徴と一致する、最も広い範囲が認められる。
【国際調査報告】