(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528575(P2015-528575A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉測定方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01B 9/02 20060101AFI20150901BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
G01B9/02
G01B11/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-531420(P2015-531420)
(86)(22)【出願日】2012年11月8日
(85)【翻訳文提出日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】CN2012084266
(87)【国際公開番号】WO2014043984
(87)【国際公開日】20140327
(31)【優先権主張番号】201210347063.5
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】514316204
【氏名又は名称】ハルビン インスティテュート オブ テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】HARBIN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】タン ジュビン
(72)【発明者】
【氏名】フ ペンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ディアオ ジャオフェイ
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
【Fターム(参考)】
2F064AA01
2F064EE01
2F064FF06
2F064GG12
2F064GG15
2F064GG23
2F064GG38
2F064HH01
2F064HH06
2F065AA02
2F065FF52
2F065GG04
2F065GG23
2F065JJ01
2F065JJ18
2F065JJ23
2F065LL12
2F065LL16
2F065LL36
2F065LL37
(57)【要約】
高速高解像度のヘテロダイン干渉方法およびシステムが提供される。空間的に分離され周波数が僅かに異なる2つのビームが用いられ、反対のドップラーシフトを有する2つの測定信号が生成される。スイッチング回路は、対象の移動方向と速度に応じて変位測定のための2つの測定信号の一方を選択する。高速高解像度のヘテロダイン干渉システムは、周波数安定化レーザー1と、偏光ビームスプリッタ(2)と、直角プリズム(6)と、参照リフレクタ(7)と、1/4波長板(4)と、平面ミラー(5)と、測定リフレクタ(3)と、第1のフォトダイオード(8)と、第2のフォトダイオード(9)と、第1の位相計(10)と、第2の位相計(11)と、スイッチング回路(12)と、測定回路(13)とを含む。本発明では、測定は、熱変動に鈍感であり、周期的な非線形性は、空間的に分離された2つのビームを用いて実質的に除去され、干渉計の測定可能な目標速度は、もはやレーザー光源のビート周波数によって制限されない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉測定方法であって、
(a)偏光方向が水平方向に対して45°の角度をなす直線偏光であって、異なる周波数f1、f2を有する2本の互いに平行なレーザービームを出力するステップと、
(b)前記2本のレーザービームの一部をフォトダイオードで検出し、検出結果が、周波数がfb(fb=f1−f2)である参照信号に変換されるステップと、
(c)前記2本のレーザービームの他の一部を、偏光ビームスプリッタによって参照ビームと測定ビームとに分割するステップと、
(d)異なる周波数f1、f2を有する前記2本の参照ビームを、それぞれ参照プリズムリフレクタを介して参照リフレクタに向かわせ、前記参照リフレクタ及び前記参照プリズムリフレクタにより前記偏光ビームスプリッタに向けて反射させるステップと、
(e)異なる周波数f1、f2を有する前記2本の測定ビームを、それぞれ1/4波長板を介して平面ミラーに向かわせ、前記平面ミラーで反射させて前記1/4波長板を介して前記偏光ビームスプリッタに向かわせ、前記偏光ビームスプリッタで反射させて測定リフレクタに向かわせ、前記測定リフレクタで反射させて再び前記偏光ビームスプリッタに向かわせ、前記偏光ビームスプリッタで反射させて前記1/4波長板を通過させ、前記平面ミラーで反射させて更に前記1/4波長板を通過させ、前記偏光ビームスプリッタを通過させるステップと、
(f)周波数がf1である前記測定ビームと周波数がf2である前記参照ビームが干渉することで周波数がfb+Δfである第1の測定信号Im1が生成され、周波数がf2である前記測定ビームと周波数がf1である前記参照ビームが干渉することで周波数がfb−Δfである第2の測定信号Im2が生成されるように、前記参照リフレクタと前記測定リフレクタとを調節するステップと、
(g)前記2つの測定信号を2つのフォトダイオードで検出し、検出結果を、前記第1の測定信号Im1を処理する第1の位相計と、前記第2の測定信号Im2を処理する第2の位相計へ送るステップと、
(h)前記平面ミラーの移動方向及び移動速度に基づいて、スイッチング回路により前記第1の位相計と第2の位相計との間で選択するステップと、
(i)選択された位相計の出力に基づいて、測定対象物の変位を算出するステップとを含む、ヘテロダイン干渉測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記平面ミラーが第1のプリセット速度V1を超える速度で前記偏光ビームスプリッタに近づく場合に前記第1の位相計が選択され、前記平面ミラーが第2のプリセット速度V2を超える速度で前記偏光ビームスプリッタから遠ざかる場合に前記第2の位相計が選択される、ヘテロダイン干渉測定方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記2本のレーザービームは、1つのレーザー光源から出力される、ヘテロダイン干渉測定方法。
【請求項4】
高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉測定システムであって、
前記ヘテロダイン干渉測定システムの光源として設けられる周波数安定化レーザー(1)と、
前記周波数安定化レーザー(1)からのレーザービームを分割する偏光ビームスプリッタ(2)と、
前記偏光ビームスプリッタ(2)により反射された前記レーザービームを反射する直角プリズム(6)と、
前記直角プリズム(6)からの前記レーザービームを反射する参照リフレクタ(7)と
、
前記偏光ビームスプリッタ(2)により伝搬された前記レーザービームの偏光状態を変化させる1/4波長板(4)と、
前記1/4波長板(4)からの前記レーザービームを反射する平面ミラー(5)と、
前記直角プリズム(6)に対して前記偏光ビームスプリッタ(2)の反対方向に配置され、前記偏光ビームスプリッタ(2)によって反射された前記レーザービームを反射する測定リフレクタ(3)と、
前記ヘテロダイン干渉測定システムの測定ビームの1つを検出する第1のフォトダイオード(8)と、
前記ヘテロダイン干渉測定システムの測定ビームの他の1つを検出する第2のフォトダイオード(9)と、
前記第1のフォトダイオード(8)からの測定信号と前記周波数安定化レーザー(1)からの参照信号とを測定する第1の位相計(10)と、
前記第2のフォトダイオード(9)からの測定信号と前記周波数安定化レーザー(1)からの参照信号とを測定する第2の位相計(11)と、
前記第1の位相計(10)又は前記第2の位相計(11)からの信号を選択的に出力するスイッチング回路(12)と、
前記スイッチング回路(12)からの信号を処理する測定回路(13)とを含む、ヘテロダイン干渉測定システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記参照リフレクタ(7)はレトロリフレクタであり、前記測定リフレクタ(3)は直角プリズムである、ヘテロダイン干渉測定システム。
【請求項6】
請求項4において、
前記参照リフレクタ(7)は直角プリズムであり、前記測定リフレクタ(3)はレトロリフレクタである、ヘテロダイン干渉測定システム。
【請求項7】
請求項4において、
前記参照リフレクタ(7)は2つのレトロリフレクタから構成され、前記測定リフレクタ(3)は1つのレトロリフレクタである、ヘテロダイン干渉測定システム。
【請求項8】
請求項4において、
前記参照リフレクタ(7)は1つのレトロリフレクタであり、前記測定リフレクタ(3)は2つのレトロリフレクタから構成される、ヘテロダイン干渉測定システム。
【請求項9】
請求項4において、
前記直角プリズム(6)の辺長は、前記偏光ビームスプリッタ(2)の辺長と等しい、ヘテロダイン干渉測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低ビート周波数のレーザー光源を用いて高速対象物の測定に用いることが可能な、高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉測定方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘテロダイン干渉計は、測定範囲が大きく、SN比が高く、測定精度が高いことから、多くの精密機械及び校正サービスにおいて広く使用されている。最近は様々な用途において、競争力のある製造スループットを持つ小型装置を製造するため、高解像度、高速、高精度の測定が必要とされている。その結果、産業の要求を満たすために、ヘテロダイン干渉計の性能が向上している。
【0003】
光学エイリアシング(周波数と偏波の混合効果)に起因する周期的な非直線性は、ヘテロダイン干渉計の精度と分解能を制限する。多くの研究が周期的な誤差を減らすために行われているものの、従来のヘテロダイン干渉計では光学エイリアシングを排除することはできず、高解像度かつ高精度の変位測定の実現を困難にしている。
【0004】
T. L. SchmitzとJ. F. Beckwithは、音響光学変調器をビームスプリッタとするヘテロダイン干渉計を提案した(非特許文献1)。測定ビームと参照ビームは空間的に分離され、これにより光学エイリアシングを減少することができる。従って、周期的な非線形性が低減され、精度と解像度も向上する。しかし、その構成は特別かつ複雑であり、変位の測定に広く応用できない。
【0005】
K i-Nam Joo、Jonathan D. Ellisらは、測定ビームと参照ビームを空間的に分離した単純なヘテロダイン干渉計を提案した(非特許文献2)。この干渉計は、光学エイリアシングを排除することができる。周期的な非線形性も排除され精度が向上する。その構成は単純であり、精密生産工学に応用することができる。しかし、その測定速度は、光源のビート周波数によって制限される。
【0006】
結論として、上記の既存の方法および装置は、高解像度、高速、高精度測定には適していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Acousto-optic displacement-measuring interferometer: a new heterodyne interferometer with angstrom level periodic error. Journal of Modern Optics 49, pages 2105-2114
【非特許文献2】Simple heterodyne laser interferometer with subnanometer periodic errors. Optics Letters, Vol.34, No.3, February 1, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、高解像度、高速、高精度測定に適した、高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、
(a)偏光方向が水平方向に対して45°の角度をなす直線偏光であって、異なる周波
数f
1、f
2を有する2本の互いに平行なレーザービームを出力するステップと、
(b)前記2本のレーザービームの一部をフォトダイオードで検出し、検出結果が、周波数がf
b(f
b=f
1−f
2)である参照信号に変換されるステップと、
(c)前記2本のレーザービームの他の一部を、偏光ビームスプリッタによって参照ビームと測定ビームとに分割するステップと、
(d)異なる周波数f
1、f
2を有する前記2本の参照ビームを、それぞれ参照プリズムリフレクタを介して参照リフレクタに向かわせ、前記参照リフレクタ及び前記参照プリズムリフレクタにより前記偏光ビームスプリッタに向けて反射させるステップと、
(e)異なる周波数f
1、f
2を有する前記2本の測定ビームを、それぞれ1/4波長板を介して平面ミラーに向かわせ、前記平面ミラーで反射させて前記1/4波長板を介して前記偏光ビームスプリッタに向かわせ、前記偏光ビームスプリッタで反射させて測定リフレクタに向かわせ、前記測定リフレクタで反射させて再び前記偏光ビームスプリッタに向かわせ、前記偏光ビームスプリッタで反射させて前記1/4波長板を通過させ、前記平面ミラーで反射させて更に前記1/4波長板を通過させ、前記偏光ビームスプリッタを通過させるステップと、
(f)周波数がf
1である前記測定ビームと周波数がf
2である前記参照ビームが干渉することで周波数がf
b+Δfである第1の測定信号I
m1が生成され、周波数がf
2である前記測定ビームと周波数がf
1である前記参照ビームが干渉することで周波数がf
b−Δfである第2の測定信号I
m2が生成されるように、前記参照リフレクタと前記測定リフレクタとを調節するステップと、
(g)前記2つの測定信号を2つのフォトダイオードで検出し、検出結果を、前記第1の測定信号I
m1を処理する第1の位相計と、前記第2の測定信号I
m2を処理する第2の位相計へ送るステップと、
(h)前記平面ミラーの移動方向及び移動速度に基づいて、スイッチング回路により前記第1の位相計と第2の位相計との間で選択するステップと、
(i)選択された位相計の出力に基づいて、測定対象物の変位を算出するステップとを含む、高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉方法が提供される。
【0010】
本発明に係るヘテロダイン干渉方法では、前記平面ミラーが第1のプリセット速度V
1を超える速度で前記偏光ビームスプリッタに近づく場合に前記第1の位相計が選択され、前記平面ミラーが第2のプリセット速度V
2を超える速度で前記偏光ビームスプリッタから遠ざかる場合に前記第2の位相計が選択されてもよい。
【0011】
本発明に係るヘテロダイン干渉方法では、前記2本のレーザービームは、1つのレーザー光源から出力されてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、前記ヘテロダイン干渉測定システムの光源として設けられる周波数安定化レーザーと、周波数安定化レーザーからのレーザービームを分割する偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタにより反射された前記レーザービームを反射する直角プリズムと、前記直角プリズムからの前記レーザービームを反射する参照リフレクタと、前記偏光ビームスプリッタにより伝搬された前記レーザービームの偏光状態を変化させる1/4波長板と、前記1/4波長板からの前記レーザービームを反射する平面ミラーと、前記直角プリズムに対して前記偏光ビームスプリッタの反対方向に配置され、前記偏光ビームスプリッタによって反射された前記レーザービームを反射する測定リフレクタと、前記ヘテロダイン干渉測定システムの測定ビームの1つを検出する第1のフォトダイオードと、前記ヘテロダイン干渉測定システムの測定ビームの他の1つを検出する第2のフォトダイオードと、前記第1のフォトダイオードからの測定信号と前記周波数安定化レーザーからの参照信号とを測定する第1の位相計と、前記第2のフォトダイオードからの測定信号と前記周波数安定化レーザーからの参照信号とを測定する第2の位相計と、前記第1の位相計又は前記第2の位相計からの信号を選択的に出力するスイッチング
回路と、前記スイッチング回路からの信号を処理する測定回路とを含む、高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉システムが提供される。
【0013】
本発明に係るヘテロダイン干渉システムでは、前記参照リフレクタはレトロリフレクタであり、前記測定リフレクタは直角プリズムであってもよい。
【0014】
本発明に係るヘテロダイン干渉システムでは、前記参照リフレクタは直角プリズムであり、前記測定リフレクタはレトロリフレクタであってもよい。
【0015】
本発明に係るヘテロダイン干渉システムでは、前記参照リフレクタは2つのレトロリフレクタから構成され、前記測定リフレクタは1つのレトロリフレクタであってもよい。
【0016】
本発明に係るヘテロダイン干渉システムでは、前記参照リフレクタは1つのレトロリフレクタであり、前記測定リフレクタは2つのレトロリフレクタから構成されてもよい。
【0017】
本発明に係るヘテロダイン干渉システムでは、前記直角プリズムの辺長は、前記偏光ビームスプリッタの辺長と等しくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
(1)本発明のヘテロダイン干渉方法及びシステムでは、測定ビームと参照ビームが空間的に分離しているため、光学エイリアシングを排除することができ、その結果、周期的な非線形性を排除することができる。
【0019】
(2)本発明のヘテロダイン干渉方法及びシステムでは、2つの測定信号は、同一の対象の移動に対して、反対のドップラーシフトを有している。対象の移動方向に基づいて2つの測定信号のうちの1つが選択的に使用されるため、ドップラーシフトは選択された信号のビート周波数を常に増加させる。その結果、干渉計は、ビート周波数の低いレーザー光源を用いて高速の対象を測定することができる。
【0020】
(3)本発明のヘテロダイン干渉方法及びシステムでは、測定回路は一般のクロック信号を利用して高解像度測定を行うことができ、その結果、測定回路を簡素化して且つ低コストの部品で容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉測定システムは、ヘテロダイン干渉測定システムの光源として設けられる周波数安定化レーザー1と、周波数安定化レーザー1からのレーザービームを分割する偏光ビームスプリッタ2と、偏光ビームスプリッタ2により反射されたレーザービームを反射する直角プリズム6と、直角プリズム6からのレーザービームを反射する参照リフレクタ7(レトロリフレクタ)と、偏光ビームスプリッタ2により伝搬されたレーザービームの偏光状態を変化させる1/4波長板4と、1/4波長板4からの前記レーザービームを反射する平面ミラー5と、直角プリズム6に対して偏光ビームスプリッタ2の反対方向に配置され、偏光ビームスプリッタ2によって反射されたレーザービームを反射する測定リフレクタ3と、ヘテロダイン干渉測定システムの測定ビームの1つを検出する第1のフォトダイオード8と、ヘテロダイン干渉測定システムの測定ビームの他の1つを検出する第2のフォトダイオード9と、第1のフォトダイオード8からの測定信号と周波数安定化レーザー1からの参照信号とを測定する第1の
位相計10と、第2のフォトダイオード9からの測定信号と周波数安定化レーザー1からの参照信号とを測定する第2の位相計11と、第1の位相計10又は第2の位相計11からの信号を選択的に出力するスイッチング回路12と、スイッチング回路12からの信号を処理する測定回路13とを含む。
【0023】
高速且つ高解像度のヘテロダイン干渉測定方法は、
(a)偏光方向が水平方向に対して45°の角度をなす直線偏光であって、異なる周波数f
1、f
2を有する2本の互いに平行なレーザービームを出力するステップと、
(b)前記2本のレーザービームの一部をフォトダイオードで検出し、検出結果が、周波数がf
b(f
b=f
1−f
2)である参照信号に変換されるステップと、
(c)前記2本のレーザービームの他の一部を、偏光ビームスプリッタ2によって参照ビームと測定ビームとに分割するステップと、
(d)異なる周波数f
1、f
2を有する前記2本の参照ビームを、それぞれ参照プリズムリフレクタ(直角プリズム6)を介して参照リフレクタ7に向かわせ、参照リフレクタ7及び参照プリズムリフレクタにより偏光ビームスプリッタ2に向けて反射させるステップと、
(e)異なる周波数f
1、f
2を有する前記2本の測定ビームを、それぞれ1/4波長板4を介して平面ミラー5に向かわせ、平面ミラー5で反射させて1/4波長板4を介して偏光ビームスプリッタ2に向かわせ、偏光ビームスプリッタ2で反射させて測定リフレクタ3に向かわせ、測定リフレクタ3で反射させて再び偏光ビームスプリッタ2に向かわせ、偏光ビームスプリッタ2で反射させて1/4波長板4を通過させ、平面ミラー5で反射させて更に1/4波長板4を通過させ、偏光ビームスプリッタ2を通過させるステップと、
(f)周波数がf
1である前記測定ビームと周波数がf
2である前記参照ビームが干渉することで周波数がf
b+Δfである第1の測定信号I
m1が生成され、周波数がf
2である前記測定ビームと周波数がf
1である前記参照ビームが干渉することで周波数がf
b−Δfである第2の測定信号I
m2が生成されるように、参照リフレクタ7と測定リフレクタ3とを調節するステップと、
(g)前記2つの測定信号I
m1、I
m2を2つのフォトダイオード8、9で検出し、検出結果を、第1の測定信号I
m1を処理する第1の位相計10と、第2の測定信号I
m2を処理する第2の位相計11へ送るステップと、
(h)平面ミラー5の移動方向及び移動速度に基づいて、スイッチング回路12により第1の位相計10と第2の位相計11との間で選択する(スイッチング回路12は、平面ミラー5がプリセット値V
1を超える速度で偏光ビームスプリッタ2から遠ざかる場合に第2の位相計11を選択し、平面ミラー5がプリセット値V
2を超える速度で偏光ビームスプリッタに近づく場合に第1の位相計10を選択する。2つの位相計10、11の検出範囲は重複し、スイッチング回路12は、スイッチングチャタリング現象を防止するために、共通の検出範囲では動作しない。)ステップと、
(i)選択された位相計の出力に基づいて測定対象物の変位を算出するステップとを含む。
【符号の説明】
【0024】
1 周波数安定化レーザー、2 偏光ビームスプリッタ、3 測定リフレクタ、4 1/4波長板、5 平面ミラー、6 直角プリズム(参照プリズムリフレクタ)、7 参照リフレクタ、8 第1のフォトダイオード、9 第2のフォトダイオード、10 第1の位相計、11 第2の位相計、12 スイッチング回路、13 測定回路
【国際調査報告】