特表2015-528770(P2015-528770A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-528770(P2015-528770A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】航空機の水システム用スケール防止
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/04 20060101AFI20150904BHJP
   C02F 5/00 20060101ALI20150904BHJP
【FI】
   B64D11/04
   C02F5/00 610D
   C02F5/00 620B
   C02F5/00 610Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-523174(P2015-523174)
(86)(22)【出願日】2013年7月16日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】US2013050639
(87)【国際公開番号】WO2014014884
(87)【国際公開日】20140123
(31)【優先権主張番号】61/671,911
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511158649
【氏名又は名称】エムエージー エアロスペイス インダストリーズ, エルエルシィ
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ブーダギィャン, ラズミク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホァン, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッシェル, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】オルトラン, クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】チョーハン, ヴィクラム
(57)【要約】
本発明の実施形態は一般的に航空機の水システムにおいてミネラルスケールの堆積を防止するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、コーヒーメーカー及びその他の調理室設備等のような装置及び水輸送システム、並びに配水管そのものにおいて、ミネラルスケールの堆積を防止するためのシステム及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客輸送機関に搭載して使用するために構成されたスケール防止装置であって、
(a)水入口、水出口、及び水処理媒体を有する水処理用媒体空間を含むカートリッジと、
(b)前記カートリッジを通過する水を均一に流動化させるシステムとを含むスケール防止装置。
【請求項2】
均一な流動化のための前記システムが傘状構造を有する請求項1に記載のスケール防止装置。
【請求項3】
均一な流動化のための前記システムが回転ノズルを備える請求項1又は2に記載のスケール防止装置。
【請求項4】
均一な流動化のための前記システムがスクリーンシステム及び/又はスロットシステムを備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のスケール防止装置。
【請求項5】
均一な流動化のための前記システムが前記スクリーンシステムを備え、スクリーンは前記媒体を所定位置に保持するが、処理される水は前記スクリーンを強制的に通過させられる請求項4に記載のスケール防止装置。
【請求項6】
前記カートリッジを収容するためのハウジングを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のスケール防止装置。
【請求項7】
バイパスシステムをさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のスケール防止装置。
【請求項8】
前記水入口が前記カートリッジの底部に配置され、前記水出口が前記カートリッジの頂部に配置される請求項1〜7のいずれか一項に記載のスケール防止装置。
【請求項9】
前記水入口が前記カートリッジの頂部に配置されるとともに、水が前記媒体を通って上方に流れることができるように、水流を前記カートリッジの底部に向かって方向付け、水を方向転換させる管が設けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載のスケール防止装置。
【請求項10】
一つより多い処理カートリッジを含んで複数チャンバーの装置を提供する請求項1〜9のいずれか一項に記載のスケール防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照情報:本願は、2013年7月16日に出願され「航空機の水システム用スケール防止」と題された米国仮特許出願第61/671,911号の優先権を主張し、その開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本発明の実施形態は概して航空機の水システムにおいてミネラルスケール(無機物の垢)の堆積を防止するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、コーヒーメーカー及びその他の調理室設備等のような装置及び水輸送システム、並びに配水管そのものにおいて、ミネラルスケールの堆積を防止するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機に積み込まれる飲用水は、カルシウム及びマグネシウムを含む様々なミネラルを含み、また、いくつかの地域は高ミネラル量の特に高硬度の水(硬水)を有する。これらのミネラルは水中で炭酸イオンと結合し、水と接する面において硬いスケール(水垢)を形成する可能性がある。スケール粒子の溶解度は温度が高くなるほど減少するため、スケール粒子は高温下で、特に加熱部品の上に沈殿する。コーヒーメーカー内で使用されるような頻繁に使用される加熱部品は、スケールから最大のダメージを受ける。スケールの層は熱伝導の抵抗を生じ、加熱部品に過度の負荷をかけ、エネルギー消費を増加させる。性能が激しく劣化又は故障することにより、装置寿命が短くなる。また、物理的ダメージを引き起こすことに加え、スケールはバクテリアの増殖にもつながり、健康被害を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コーヒーメーカー、温水器、スチームオーブン及びその他の装置は、民間航空会社のフライトにおいて頻繁に使用され、したがってスケールは急速に堆積するため、それらの装置の耐用寿命は限られる。修理及び交換にかかる財源及び時間は航空会社にとって費用負担が大きい。したがって、この問題を、いずれの装置又は配管表面へのスケールの堆積を防ぐことによって取り除くことは有益である。
【0005】
スケール防止装置は、住居用及び商用の用途のために、例えば、住宅、レストラン、及び硬水に関連するスケールの問題のあるその他のいかなる場所においても用いられる。本発明の実施形態は、この明細書の残りの部分にわたって、航空機に関連して使用するように記載されるが、その他の場所における使用及びその他の目的のための使用も同様に可能であることが理解されるべきである。記載されている実施形態は、旅客輸送車において要求されるように軽量、小型、高効率であるように特別に設計されているが、その他の環境における使用も可能であることが想定される。
【0006】
航空会社は、信頼性が高く、取得及びメンテナンスのコストが低く、重量及び大きさが最小限であり、機能性が証明された製品に対して大きなニーズがある。本文に記載されるスケール防止装置は、コンパクトな設計の中でこれらのニーズを全て満たし、また、コーヒーメーカー及びその他の加熱部品のような他の装置のこれらの性質をも改善することを意図している。単に現在利用できるスケール防止装置を再構成したり、航空機の配水管システムに直列につないだりすることは、航空機又はその他の輸送車においてスケールを防止するために実行可能な方法ではない。配水管の特質は、車両及び様々な空間、重量、並びにその他の航空機の要件と関連しているからである。システムは、コンパクトであり、配水管に直列につなげられるように入口と出口を有し、水はけが向上しており、様々な向きで動作し、補修のために取り外すことが容易であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本文に記載される発明の実施形態は、航空機の配管システムにおいて有用な粒状流動カートリッジを提供する。このシステムは、媒体層を通る流れ及び排水性が向上しており、独立型のカートリッジ並びに航空機及びその他の旅客輸送車上でその装置を用いることを可能にするその他の利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、スケール防止システムの一実施形態の側面斜視図を示す。
図2図2は、スケール防止システムの別の実施形態の側面斜視図を示す。
図3A図3Aは、スケール防止システムの代替的な実施形態の側面斜視図を示す。
図3B図3Bは、水を排出するための曲がった壁又は斜めの壁を示す。
図4図4は、可能性のあるハウジングの一例を示す。
図5図5は、航空機の調理室に装置が位置付けられる可能性のある場所の一例を示す。
図6図6は、所定位置にある図5の装置を示す。
図7図7は、取り換え可能なカートリッジ挿入具を備える常設のハウグの一実施形態を示す。
図8図8は、可能性のある水システムの概略図を示す。
図9図9は、回転ノズルの具体例を示す。
図10図10は、カートリッジの頂部に配置された水入口を示す。
図11図11は、いかにして複数のチャンバ(小室)が使用され得るかを示す。
図12図12は、スケール堆積物が内部に形成された配水管を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、例えば航空機等の旅客輸送機関(乗り物)に搭載して使用するためのスケール防止装置を提供する。スケール防止装置は、水の処理後に水システム内の表面に堆積するスケールの量が最小になるように水を処理する。また、実施形態は、すでに付着したスケール堆積物を徐々に除去するように設計され得る。スケール防止技術は一般的に、ポリマー系媒体を用いて、形成される炭酸カルシウム結晶の種類及び/又は大きさを制御することにより炭酸カルシウム結晶が加熱部品及び配管上に堆積しないようにする「塩フリー法」である。粒状媒体は、損傷を引き起こしたり水流を遅くしたりする可能性のあるミネラルの配水管内側への堆積を防止する。スケールにより閉塞した配水管の一例を図12に示す。このような粒状/フィルター媒体の可能性のある一例は、特にWatts Water Technologies及びWatch Water Technologyのような企業により製造販売されている。しかし、例えば住居用及び事業用の環境のような地上での使用のために設計された水のスケール防止システムは、航空宇宙規格を満たす必要がなく、重量の考慮及び排水の要件等のいずれかにより航空機上で使用することが実行不可能であるように設計されている。
【0010】
したがって、本願発明者らは、旅客輸送車上で使用するための水垢防止装置10を提供する方法を設計した。ある実施形態において、使用される媒体は、ハウジング14にちょうど収まる(嵌合する)カートリッジ12内に保持される。カートリッジ12は取り換え可能であってよく、ハウジング14は常設されるハウジングであってよい。可能性のあるハウジングの一例を図4に示す。取り換え可能なカートリッジ12を用いるハウジングの代替的な実施形態を図7に示す。従来の水媒体ハウジングを改良するために、適当に水路を接続したり耐空性のある材料を使用したりしてよく、中にカートリッジが取り付けられる空間的な覆い(外包)用の設計をしてもよい。
【0011】
図5及び図6に示すように、ハウジング14は一般的に水システムに直列に配置され、対象のエリア、例えばコーヒーメーカーのすぐ上流に取り付けられてよい。バイパス配管の選択肢を以下に述べる。最初の取付けには水を遮断する必要があるかもしれないが、定期的な交換には水を遮断する必要は大体なくなるということを注記する。その代わりに、ハウジング14を水システムの入り口地点に取り付けてもよい。
【0012】
このシステムは、経済的な使い捨てカートリッジ内で材料を使用することを可能にする、軽量で費用効率のよい設計を提供する。この方式は、水システムの消毒処理の必要がある場合又はより速い排水を促進する必要がある場合に備えて、フィルターが除去されたときであっても水が配管を通って流れ続けることができるようにする接続部を利用するだろう。
【0013】
一実施形態において、図8に示すように、ハウジングの水入口44に上流迂回バルブ42が配置され、ハウジングの水出口48に下流迂回バルブ46が配置されてもよい。二つのバルブ42、46は、バルブがカートリッジ12に対して一直線に方向付けられているときに水がカートリッジのみを通ってバイパス配管50を通らずに流れるような、手動で操作されるバルブであることができる。バルブがこの位置にあることにより、カートリッジ12は所定位置に固定され取り外すことができない。バルブ42、46が別の位置又は迂回位置に回転されると、水はバイパス配管50を通って流れ、カートリッジ12はロックが解除されて、取り換え可能となる。それに代えて、バルブ42、46は、カートリッジの位置によりバルブ42,46の向きを制御するような方法の自動式であってもよい。カートリッジ12が、所定位置から回転して入口44及び出口48の接続をロックすると、バルブ42、46が開いて、カートリッジ12内に水が流れるようになるだろう。カートリッジ12が回転してその位置へのロックを解除する場合、バルブ42、46は水がバイパス配管50のみを流れるようにするだろう。
【0014】
全ての実施形態において、作動のための動力も化学物質も必要ない。この装置は、媒体の寿命まで通常メンテナンス不要であるように設計されている。システムを取り付ける場所、並びに流入する水の硬度及び流速によって、媒体の量は決定される。それゆえ、使用するハウジングの大きさも、システムを取り付ける場所、並びに流入する水の硬度及び流速によって決定される。
【0015】
装置10は円柱状であってよく、又はその他のいかなる適当な断面形状であってよい。装置は、媒体及び外殻(shell)の構造体を一つの部品として完備した単独の取り換え可能な部分として取り付けられてよい。代替の設計は、常設のハウジング14又は外殻を含み、別体のカートリッジ12の中に媒体が入っているだろう。常設のハウジング内に挿入されるこのカートリッジ12は、この構成において取り換え部分であるだろう。水の出入口は、水がカートリッジ内に出入りできるようにする。例えば、入口44及び出口48がカートリッジに設けられる。カートリッジの頂部及び底部に出口48及び入口44が図示されているが、これらの出入口/入口/出口は、カートリッジに沿ったいかなる場所に配置されてもよく、例えばカートリッジの側面かその他の場所に沿った任意の場所に配置されてよい。
【0016】
また、排水システムも設けられる。排水システムは一般に様々な排水機構の組み合わせによりもたらされる。可能性のある排水システムの例は、傾斜した内部の輪郭及び水が通過して流れるようにするがフィルター媒体を保持するスクリーン/メッシュを含むがこれに限定されない。排水システムは一般に装置10から排水するために重力を用いる。排水機構は、スケール防止装置10を航空機に接続して用いるために特に重要である。なぜなら、水は全ての使用の終端においてスケール防止装置10から排出されるべきであるからである。航空機のいかなる配水管又は水システムに残存している水も凍結して配水管の破裂を引き起こすことがあり、また、澱んだ水はバクテリアの成長を助長し健康問題を引き起こすことがある。したがってシステムは代替的な排水の選択肢を提供する。
【0017】
図3A及び3Bに示す様に、幾何学的に流れない(澱む)領域ができないように角度がついて傾斜した容器32を設けることができる。このような角度がついた又は傾斜した壁34は、所望の場合、図1図3Aのいずれの具体例に設けられてもよい。角度のついたカートリッジの壁34をカートリッジ領域に設けることにより、図3Aにおいて矢印で図示されるように、水が重力によってよりよく流れてフィルタリング領域36から離れることができる。図3Bに示すように、曲がった壁33は代替的な排水の選択肢である。また、スロット(溝)16又はスクリーン30のような1以上の媒体バリア(媒体遮断物)38を設けることができ、及び/又は、水がカートリッジ12を通って下へ通過できるようにするが、いかなるフィルター媒体も通過しないようにするその他の開口部を設けることもできる。例えば、メッシュスクリーン52をカートリッジ内部の最底部に設けて、水がシステムを通って流れ戻されるようにして、水がこれらの底部に溜まらないようにしてもよい。また、所望の場合、これらの選択肢の組み合わせを用いてもよい。
【0018】
このような媒体バリア38は、通常動作の間、流路を無視できるほどにしか阻害しない。また、上述のように使用後に水がカートリッジから排出されるのを促進するメッシュスクリーンは、カートリッジ内に媒体を保持する。これらのスクリーンの大きさはフィルター内で用いられる媒体の種類に基づいて設計される。
【0019】
改善された流れ及び性能に関して、流動床はカートリッジの内部を十分に広がってよく、それにより、媒体が均一に経時変化(エージング)する。媒体床の完全な流動化及びカートリッジの全体積の使用を促進することにより、装置の寿命を延ばすことを助長することができる。例えば、一実施形態において、図1及び図2に示すように、特にカートリッジの底部から流れが入ってくる場合に、ドーム状の傘状機構22が流体の流れの方向を変える。これは、水を媒体のごく一部を通過させるのではなく、水が媒体の全てを通過することを容易にする。
【0020】
発明の別の実施形態において、入ってくる水流は、図9に示すように媒体空間(media cavity)56に突き出した自由回転ノズル54を通って方向付けられる。静止状態において、ノズル54は膨張していない媒体層内で静止している。液体の流れは、入口44に導入されると、ノズル54を通って流れ、ニュートンの第3法則によって電機子(armature)を動かす。ノズル54は、カートリッジ12の垂直軸周りを時計回り又は反時計回りに回転する。媒体がその中へ膨張することができる液体マトリクス及び運動エネルギーを与えることにより、液体の運動量は即座に媒体層を媒体空間56内に膨張させる。カートリッジの内部形態は、流体の軸方向の運動量を重力に逆らって上方に方向付け、媒体層の膨張を支えるように設計される。ノズルの回転動作は、膨張した媒体層にさらに運動エネルギー及び乱れを与え、液体と媒体の接触時間を増加させる。水の処理のために媒体を上方に流して流動化させる前に、水(液体)の流れを横方向にそらすために、多孔質パネル又はメッシュスクリーン52を使用することも可能である。
【0021】
傘状機構又は回転ノズル機構は一般に、カートリッジを通って流れる水の均一流動化システムを提供するためのシステムを提供する。これらの機構は、入ってくる水流の方向を制御して流路がカートリッジの全断面をカバーする(全断面に行き渡る)ように設けられる。こうすることで、媒体層の全体が接触及び流動化され、十分に混合した反応室となる。カートリッジの設計のこれらの特徴的な機構により、確実に媒体層が完全に且つ均一に流動化される。水処理中に媒体の全量が水と接触するため、所望の接触時間を達成するための付加的な頭部空間は必要ない。この結果、よりコンパクトな設計のパッケージ、限られた空間に起因する重要な機構、及び航空機及びその他の旅客輸送車上の重量許可が得られる。
【0022】
図10に示すように、水入口44がカートリッジ12の頂部に設けられる場合、水が媒体を通って上方に流れることができるように、流れをカートリッジ12の底部へ方向付けて水を方向転換させる管28が設けられてもよい。それに加えて又はそれに代えて、水流を分散させるため、及び媒体をカートリッジ12内に保持するために、球面及び/若しくは平らなスクリーン、又は多孔質パネル30を用いてもよい。どの水流設計を使用するかは、一般にカートリッジ内の利用できる空間、圧力損失の制約、及び設計で対応するその他の水流についての考慮事項に基づいて選択される。
【0023】
また、図11に示すように、複数の種類の媒体(例えば粒状の活性炭及びスケール防止媒体)を収容するための、付加的なスクリーン又はパネルで隔てられた複数のチャンバー(小室)を用いることもできる。複数種の媒体用の複数のチャンバー58が設けられてよい。例えば、スクリーン30及び/又はスロット16が、中に媒体を保持している排出用ユニットの底部チャンバー60に設けられてよく、大きなスクリーン62が二つの異なるチャンバーを隔ててよい。
【0024】
上述され、図面中に示された構造及び方法に対する変更、改変、追加及び削除は、本発明の範囲又は精神及び以下の請求の範囲から逸脱しない範囲でなされ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】