(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
【解決手段】本発明は、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の新たな誘導体、および光感作剤としてのそれらの使用に関する。具体的には、一般式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、そのような化合物を調製するための方法、ならびに例えば、光線力学的療法および診断の方法におけるそれらの医学的および美容的用途に関し、式中、R
X基が、直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはアラルキレン基であり、これらの各々が、1つ以上の非親水性置換基、好ましくは、ハロ、ニトロ、およびアリールから選択される非親水性置換基によって任意に置換されてもよく、前記アリールが、1つ以上のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、またはニトロ基によって任意に置換される、請求項3または請求項4に記載の化合物。
前記X基が、1つ以上のヘテロ原子、好ましくは、1つ以上の酸素原子によって中断されるか、または1つ以上の親水性置換基、好ましくは、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、カルバモイル、エステル、またはアミン基を担持するかのいずれかのアルキレン基である、請求項8に記載の化合物。
少なくとも1つの薬学的に許容されるか、または美容的に許容される担体または賦形剤と共に、請求項1〜12のいずれか一項に記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
光線力学的治療または診断の方法に使用するため、好ましくは、光線力学的治療または診断に応答する身体の外部表面または内部表面の障害または異常の治療または診断のための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物、または請求項13に記載の組成物。
前記方法が、癌(例えば、膀胱癌、結腸癌、もしくは胃癌);ウイルス感染等の癌に関連した感染(例えば、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎、もしくはエプスタインバーウイルス);ウイルス、細菌、もしくは真菌感染(例えば、ヘリコバクターピロリ感染もしくは座瘡);または炎症等の非癌性状態(例えば、炎症性座瘡、大腸炎、もしくは感染性皮膚炎)の治療または診断のためである、請求項14に記載の使用のための化合物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式Iの化合物において、−X−CO
2R
1部分は、本質的に親水性であることが好ましい。用語「親水性」は、分子の−X−CO
2R
1部分が水もしくは他の極性溶媒および/または物質と相互作用するか、あるいはそれによって溶解される傾向があることを意味する。分子のこの部分の親水性の性質は、X基の性質および/または−CO
2R
1基の性質に起因し得る。したがって、Xが親水性であるか、または−CO
2R
1基が親水性であるか、あるいはXおよび−CO
2R
1基の両方が親水性であるかのいずれかであってもよい。
【0010】
第1の実施形態では、一般式Iの化合物の−X−CO
2R
1部分の連結基Xのみが、親水性である。
【0011】
親水性基Xの典型的な例は、基に親水性を付与する1つ以上の置換基(すなわちペンダント基)を坦持するもの、すなわち、親水性置換基である。用語「親水性置換基」は、水素結合が可能な置換基を表す。典型的かつ好ましい親水性置換基は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、カルバモイル、エステル、およびアミン、より好ましくは、ヒドロキシル、アミン、およびチオールである。あるいは、親水性基Xは、基に親水性を付与する1つ以上のヘテロ原子、すなわち、水素結合が可能なヘテロ原子を含有し得る。好ましいヘテロ原子は、酸素または硫黄である。
【0012】
親水性基Xの特定の例としては、1つ以上のヘテロ原子、好ましくは、1つ以上の酸素原子によって中断されるアルキレン基が挙げられる。そのような基は、ポリエチレングリコール基、好ましくは、1〜4のエチレンオキシド単位を含有するポリエチレングリコール基を含む。親水性基Xの他の例は、1つ以上のヒドロキシル、チオール、またはアミン置換基を含む、アルキレン基、好ましくは、C
1−4アルキレン基である。
【0013】
Xのみが親水性である場合、R
1基は、任意に置換されたアルキル基、すなわち、直鎖状もしくは分枝状アルキル基またはシクロアルキル基であってもよい。R
1が置換される場合、これは、1つ以上の非親水性置換基によって置換される。用語「非親水性置換基」は、本質的に水素結合が不可能である置換基を意味する。非親水性置換基は、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、カルバモイル、エステル、およびアミン等、親水性基の例として本明細書に記載される基のいずれかを含まない。好ましい非親水性置換基は、ハロ、好ましくは、FまたはCl、ニトロ、およびアリールである。非親水性置換基がアリール基である場合、前記アリール基は、1つ以上のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ(例えば、C
1−3アルコキシ)、またはニトロ基によって置換され得る。
【0014】
一実施形態では、R
1は、非置換の直鎖状もしくは分枝状アルキル基、または非置換のシクロアルキル基、好ましくは、4〜20個の炭素原子(好ましくは、4〜10個の炭素、例えば、4〜8個の炭素)を含有する非置換の直鎖状アルキル基、4〜20個の炭素原子(好ましくは、4〜10個の炭素、例えば、4〜8個の炭素)を含有する非置換の分枝状アルキル基、または3〜7個の炭素原子(好ましくは、3〜6個の炭素原子)を含有する非置換のシクロアルキル基である。
【0015】
R
1が非置換のアルキル基である場合、直鎖状アルキル基であるR
1基が好ましい。C
4−10直鎖状アルキル基がより好ましく、C
4−8直鎖状アルキル基が最も好ましい。そのような基の代表的な例は、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル(nonly)、およびn−デシルである。n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルが特に好ましい。
【0016】
R
1が非置換の分枝状アルキル基である場合、そのような分枝状アルキル基は、好ましくは、4〜20個の炭素原子、より好ましくは、4〜10個の炭素原子、最も好ましくは、4〜8個の炭素原子を含有する。そのような分枝状アルキル基の代表的な例としては、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、および1−エチルブチルが挙げられる。好ましい基は、sec−ブチルおよびtert−ブチルを含む。
【0017】
R
1が、非置換のシクロアルキル基である場合、そのようなシクロアルキル基は、好ましくは、3〜6個の炭素原子、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルからなる。
【0018】
R
1が置換されたアルキル基である場合、これは、1つ以上の非親水性置換基、好ましくは、1つまたは2つの非親水性置換基を坦持する直鎖状もしくは分枝状アルキルまたはシクロアルキル基であってもよい。2つ以上の非親水性置換基が存在する場合、これらは、同一であるか、または異なってもよい。好ましい非親水性置換基は、ハロ、好ましくは、FまたはCl、ニトロ、およびアリールである。非親水性置換基がアリール基である場合、前述のアリール基は、1つ以上のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ(例えば、C
1−3アルコキシ)、またはニトロ基によって置換され得る。好ましいそのようなR
1基は、1つ以上のアリール基、好ましくは、1つまたは2つのアリール基によって置換されるC
1−2アルキルであり、アリール基自体は、アルキル(例えば、C
1−4アルキル)、ハロ、ニトロ、ハロアルキル、またはアルコキシ(例えば、C
1−3アルコキシ)によって任意に置換される。そのようなR
1基の例としては、ベンジル、4−イソプロピルベンジル、4−メチルベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−[t−ブチル]ベンジル、4−[トリフルオロメチル]ベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジル、4−クロロベンジル、4−フルオロベンジル、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル、3−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、2−フェニルエチル、4−フェニルブチル、および4−ジフェニル−メチルが挙げられる。より好ましいそのようなR
1基は、ベンジル、4−イソプロピルベンジル、4−メチルベンジル、4−ニトロベンジル、および4−クロロベンジルである。最も好ましくは、ベンジルである。
【0019】
第2の実施形態では、一般式Iの化合物の−X−CO
2R
1部分に存在する−CO
2R
1基のみが、親水基である。そのような基の典型的かつ好ましい例は、−CO
2Hである、すなわち、R
1が水素原子を表す場合である。代替の好ましい例は、−CO
2R
1基であり、式中、R
1は、短い直鎖状または分枝状アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピル等の1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基である。
【0020】
本明細書に記載される第2の実施形態では、連結基Xは、好ましくは、1つ以上の非親水性置換基によって任意に置換される直鎖状もしくは分枝状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはアラルキレン基である。
【0021】
Xが直鎖状アルキレン基である場合、これは、好ましくは、1〜16個の炭素原子、すなわち、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、またはヘキサデシレン、より好ましくは、1〜6個の炭素原子、すなわち、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、またはヘキシレン、さらにより好ましくは、1〜4個の炭素原子、すなわち、メチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレンからなる。
【0022】
Xが分枝状アルキレン基である場合、これは、好ましくは、2〜10個の炭素原子、より好ましくは、2〜6個の炭素原子からなる。好ましい例は、メチル−メチレン、ジメチル−メチレン、1−メチル−エチレン、2−メチル−エチレン、1,2−ジメチルエチレン、エチル−メチレン、イソプロピル−メチレン、1−エチル−エチレン、および2−エチル−エチレンである。最も好ましい例は、メチル−メチレン、エチル−メチレン、およびイソプロピル−メチレンである。
【0023】
Xがシクロアルキレン基である場合、これは、好ましくは、3〜8個の炭素原子、より好ましくは、5または6個の炭素原子からなる。好ましい例は、シクロペンチレンおよびシクロヘキシレンである。
【0024】
Xがアリーレン基である場合、これは、好ましくは、6〜12個の炭素原子からなる。好ましい基は、フェニレン、すなわち、好ましくは、炭素原子1および4に遊離原子価を有する−C
6H
4−である。
【0025】
Xがアラルキレン基である場合、これは、好ましくは、7〜15個の炭素原子からなる。好ましい基は、ベンジレン、すなわち、好ましくは、芳香環の炭素原子4に遊離原子価を有する−CH
2−C
6H
4−である。
【0026】
上述のX基、すなわち、直鎖状もしくは分枝状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはアラルキレン基のいずれかは、1つ以上の非親水性置換基、例えば、本明細書に記載されるそのような基のいずれかによって任意に置換され得る。
【0027】
本発明の第3の実施形態では、一般式Iの化合物のXおよび−X−CO
2R
1部分の−CO
2R
1基の両方が親水性である。そのような親水性基Xおよび−CO
2R
1の典型的かつ好ましい例は、上記の前の段落に提供される。
【0028】
R
2は、水素原子または任意に置換されたアルキル基(好ましくは、C
1−6アルキル、例えば、C
1−3アルキル基)を表し、これらの各々が同一であるか、または異なってもよい。R
2が任意に置換されたアルキル基である場合、置換基は、本明細書に定義されるように、親水性置換基または非親水性置換基であってもよい。
【0029】
本発明に従う好ましい化合物は、少なくとも1つのR
2が水素原子を表すものである。好ましい実施形態では、各R
2は、水素原子を表す。
【0030】
好ましい実施形態では、本発明は、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R
1は、水素原子、または短い直鎖状もしくは分枝状アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、またはイソプロピル等の1〜3個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を表す。
R
2は、水素原子または任意に置換されたアルキル基、好ましくは、水素を表し、これらの各々は同一であるか、または異なってもよく、
連結基Xは、
(a)任意に置換されたC
1−6アルキレン基、または
(b)任意に置換されたシクロアルキレン、アリーレン、もしくはアラルキレン基である。
【0031】
より好ましい実施形態では、本発明は、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R
1およびR
2は各々、水素原子を表し、
連結基Xは、
(a)任意に置換されたC
1−6アルキレン基、または
(b)任意に置換されたシクロアルキレン、アリーレン、もしくはアラルキレン基である。
【0032】
より好ましい実施形態では、本発明は、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R
1は、水素原子、または短い直鎖状もしくは分枝状アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、またはイソプロピル等の1〜3個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を表す。
R
2は、水素原子または任意に置換されたアルキル基、好ましくは、水素を表し、これらの各々は同一であるか、または異なってもよく、
連結基Xは、
(a)任意に置換された直鎖状C
1−4アルキレン基、もしくは任意に置換された分枝状C
2−6アルキレン基、または
(b)任意に置換されたC
5−6シクロアルキレン基、任意に置換されたC
6−12アリーレン基、もしくは任意に置換されたC
7−15アラルキレン基である。
【0033】
より好ましい実施形態では、本発明は、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R
1およびR
2は各々、水素原子を表し、
連結基Xは、
(a)任意に置換された直鎖状C
1−4アルキレン基、もしくは任意に置換された分枝状C
2−6アルキレン基、または
(b)任意に置換されたC
5−6シクロアルキレン基、任意に置換されたC
6−12アリーレン基、もしくは任意に置換されたC
7−15アラルキレン基である。
【0034】
一実施形態では、そのようなX基は、非置換されてもよい。あるいは、そのような基は、前述の1つ以上の非親水性置換基によって置換され得る。連結基Xが置換される場合、1つ以上の非親水性置換基で置換され得る。2つ以上の置換基が存在する場合、それらは、同一であるか、または異なってもよく、アルキレン鎖、シクロアルキレン環、アリーレン環、またはアラルキレン基の鎖もしくは環の同一のまたは異なる炭素原子に結合され得る。
【0035】
一実施形態では、連結基Xは、非置換の直鎖状C
1−6アルキレン基である。そのような基の例は、非置換の直鎖状C
1アルキレン基、すなわち、メチレン基、非置換の直鎖状C
2アルキレン基、すなわち、エチレン基、非置換の直鎖状C
3アルキレン基、すなわち、プロピレン基、非置換の直鎖状C
4アルキレン基、すなわち、ブチレン基、非置換の直鎖状C
5アルキレン基、すなわち、ペンチレン基、および非置換の直鎖状C
6アルキレン基、すなわち、ヘキシレン基である。好ましい連結基Xは、非置換の直鎖状C
1−4アルキレン基、すなわち、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンである。
【0036】
別の実施形態では、連結基Xは、置換された直鎖状C
1−6アルキレン基、好ましくは、置換された直鎖状C
1−4アルキレン基、より好ましくは、置換されたC
1−2アルキレン基である。好ましい置換基は、ハロ、好ましくは、FおよびClならびにアリールである。任意の置換基がアリール基である場合、アリールは、1つ以上のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ(例えば、C
1−3アルコキシ)、もしくはニトロ基によって非置換または置換され得る。好ましい実施形態では、前述のアリール基は非置換される。そのような置換基のうちの1つ以上(例えば1つまたは2つ)は、アルキレン鎖に結合され得る。2つ以上のそのような置換基が存在する場合、それらは、連結基Xに存在する同一の炭素原子、または異なる炭素原子に連結され得る。一実施形態では、2つのハロ置換基が同一の炭素原子に連結され得る。モノ−またはジ−フッ素化される直鎖状C
1−6アルキレン基、より好ましくは、直鎖状C
1−4アルキレン基、さらにより好ましくは、直鎖状C
1−2アルキレン基が、本発明の好ましい態様を形成する。アリール置換基、好ましくは、フェニルによって置換される直鎖状C
1−6アルキレン基、より好ましくは、直鎖状C
1−4アルキレン基、さらにより好ましくは、直鎖状C
1−2アルキレン基が、本発明の別の好ましい態様を形成する。
【0037】
さらに別の実施形態では、連結基Xは、非置換の分枝状C
2−6アルキレン基である。そのようなX基の好ましい例は、メチル−メチレン、すなわち、−CH(CH
3)−、エチル−メチレン、すなわち、−CH(CH
2CH
3)−、およびイソプロピル−メチレン、すなわち、CH(CH−(CH
3)
2)−である。
【0038】
さらに別の実施形態では、連結基Xは、置換された分枝状C
2−6アルキレン基である。好ましい置換基は、ハロ、好ましくは、FおよびClならびにアリールである。任意の置換基がいずれのアリール基である場合、前述のアリールは、1つ以上のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ(例えば、C
1−3アルコキシ)、もしくはニトロ基によって非置換または置換され得る。好ましい実施形態では、前述のアリールは非置換される。ハロは、好ましい置換基であり、そのような置換基のうちの1つ以上は、分枝状アルキレン鎖に結合され得る。2つ以上のそのような置換基が存在する場合、それらは、分枝状アルキレン鎖に存在する同一の炭素原子または異なる炭素原子に連結され得る。そのようなX基の好ましい例は、トリフルオロメチル−メチレンである。
【0039】
さらに別の実施形態では、連結基Xは、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、またはシクロオクチレン等の非置換のシクロアルキレン基である。好ましくは、連結基Xは、5または6個の炭素原子からなる非置換のシクロアルキレン基、すなわち、シクロペンチレンまたはシクロヘキシレンである。
【0040】
さらに別の実施形態では、連結基Xは、6または12個の炭素原子からなる非置換のアリーレン基である。この実施形態の好ましい連結基Xは、フェニレン、すなわち、好ましくは、炭素原子1および4に遊離原子価を有する−C
6H
4−である。
【0041】
さらに別の実施形態では、連結基Xは、置換されたアリーレン基であり、この場合、アリーレン基は、6または12個の炭素原子、好ましくは、6個の炭素原子からなる。好ましい環置換基は、アルキル、ハロ、およびニトロである。そのような置換基のうちの1つ以上(例えば1つまたは2つ)は、アリーレン環に結合され得る。
【0042】
さらに別の実施形態では、連結基Xは、7〜11個の炭素原子からなる非置換のアラルキレン基である。この実施形態の好ましい連結基Xは、ベンジレン、すなわち、好ましくは、芳香環の炭素原子4に遊離原子価を有する−CH
2−C
6H
4−である。
【0043】
X基の好ましい例は、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)−、−CF
2−、シクロヘキシレン、−CH
2−C
6H
4−、−フェニレン−、および−CH(Ph)−(式中、Ph=フェニル)を含む。
【0044】
本発明の好ましい化合物は、Xが上述の基を表し、R
1が水素原子、またはメチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピル等の1〜3個の炭素原子を含有する短い直鎖状もしくは分枝状アルキル基、好ましくは、アルキル基を表し、各R
2が同一であり、水素を表すものを含む。
【0045】
本発明に従う好ましい化合物を表す以下のものについて特に言及することができる:
カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0047】
2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0049】
3−カルボキシプロピル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0051】
カルボキシジフルオロメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0053】
1−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0055】
1−(イソプロピルカルボキシ)エチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0057】
(4−カルボキシフェニル)メチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0059】
カルボキシフェニルメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0061】
4−カルボキシブチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0063】
5−カルボキシペンチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0065】
7−カルボキシヘプチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0067】
8−カルボキシオクチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0069】
9−カルボキシノニル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0071】
10−カルボキシデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0073】
11−カルボキシウンデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0075】
および
15−カルボキシペンタデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート
【0077】
ならびにそれらの薬学的に許容される塩。
【0078】
本明細書で使用される、用語「アルキル」は、特に記載しない限り、飽和炭化水素基を指し、いずれの長鎖または短鎖、直鎖状および分枝状アルキル基を包含するよう意図される。
【0079】
本明細書で使用される、用語「アルキレン」は、遊離原子価が分子の残部と一重結合を形成するアルカンに由来する二価ラジカルを指す。本用語は、直鎖状および分枝状アルキレン基を含む。
【0080】
本明細書で使用される、用語「シクロアルキレン」は、遊離原子価が分子の残部と一重結合を形成するシクロアルカンに由来する二価ラジカルを指す。
【0081】
本明細書に記載される、用語「アリール」は、芳香環系を包含するよう意図される。そのような環系は、単環式または多環式(例えば、二環式)であってよく、少なくとも1つの不飽和芳香環を含有する。それらが多環式環を含有する場合、それらは縮合され得る。
【0082】
本明細書で使用される、用語「アリーレン」は、遊離原子価が分子の残部と一重結合を形成する芳香族炭化水素に由来する二価ラジカルを指す。
【0083】
本明細書で使用される、「アラルキレン」は、遊離原子価が分子の残部と一重結合を形成する分子のアリールおよびアルキル部分の両方において単一の遊離原子価でアリール置換されたアルキルまたはアルキル置換されたアリールに由来する二価ラジカルを指す。
【0084】
特に記載されない限り、用語「ハロ」または「ハロゲン原子」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0085】
本発明の化合物は、遊離アミンの形態で、例えば、−NH
2、−NHR
2、もしくは−NR
2R
2、または好ましくは、薬学的に許容される塩の形態で提供され得る。そのような塩は、好ましくは、薬学的に許容される有機酸または無機酸を有する酸添加塩である。
【0086】
好適な酸は、例えば、塩酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アスコルビン酸、オレイン酸、ならびにステアリン酸を含む。よって、適切な塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、ナプシル酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、およびステアリン酸塩を含む。好ましい酸は、塩酸(HCl)および臭化水素酸(HBr)である。さらに好ましい酸は、全内容が参照により本明細書に組み込まれるPhotocure ASAの国際公開第WO2005/092838号に記載される硝酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体(例えば、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、またはトルエンスルホン酸)である。
【0087】
用語「薬学的に許容される塩」は、医薬製品における使用に適しており、例えば、安全性、生物学的利用能性、および忍容性に関する必要条件を満たす塩を意味する(例えば、P.H.Stahl et al.(eds.)Handbook of Pharmaceutical Salts,Publisher Helvetica Chimica Acta,Zurich,2002を参照)。
【0088】
本発明の化合物は、多官能化合物の誘導体化、例えば、カルボン酸の誘導体化の分野において周知の標準的なプロセスおよび手順を用いて調製され得る。当該技術分野において既知であるように、そのような反応は、必要とされる基のみが活性を維持し、選択された反応条件下で反応に加わるように、適切な基の保護および脱保護を伴い得る。よって、例えば、本発明に従う化合物を調製するために使用される反応物のいずれか上に存在する置換基は、保護され得る。同様に、−NR
22基は、反応中保護され、その後脱保護され得る。そのような保護/脱保護手順は、当該技術分野において周知であり、例えば、McOmie in "Protective Groups in Organic Chemistry",Plenum,1973 and T.W.Greene in "Protective Groups in Organic Chemistry",Wiley−Interscience,1981.を参照されたい。
【0089】
さらなる態様では、本発明は、よって、5−アミノレブリン酸またはその保護された誘導体のカルボン酸基を誘導体化するステップを含む本発明の化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【0090】
よって、本発明は、本発明の化合物を調製するためのプロセスを提供すると見なすことができ、前述のプロセスは、以下のステップ:
(a)式II:
【0092】
の化合物(式中、同一であるか、または異なってもよい各R
2'は、本明細書に定義されるR
2基、またはその保護された誘導体である)を、
式III:
【0094】
の化合物(式中、Xは、本明細書に定義される通りであり、
Lは、脱離基、例えば、ハロゲン原子を表し、
R
1'は、本明細書に定義されるR
1基、またはその保護された誘導体である)と反応させるステップ、
(b)式Iの化合物の保護された誘導体を脱保護するステップ、および
(c)式Iの化合物を、その薬学的に許容される塩に変換するステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0095】
ステップ(a)の反応は、好都合に、水、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒または溶媒の混合物中で、混合物の沸点までの温度、好ましくは、周囲温度で行うことができる。反応の厳密な条件は、使用される反応物に依存し、条件は、最終生成物の最大収率が得られるように選択され得る。
【0096】
ステップ(a)の反応は、好都合に、触媒、例えば、無機酸、もしくは有機酸、または塩基等の酸結合剤の存在下で行うことができる。
【0097】
出発材料として使用される化合物は、文献から既知であり、多くの場合、市販されているか、またはそれ自体が既知の方法を用いて得ることができる。例えば、5−ALAは、Sigma−AldrichまたはBiosynth AG,Switzerlandから入手可能である。
【0098】
本発明の化合物は、好ましくは、薬学的に許容され、かつ/または皮膚適合性の塩の形態を取る。そのような塩は、好ましくは、前述される生理学的に許容される有機酸または無機酸を含む酸添加塩である。
【0099】
本発明の化合物は、光増感剤の前駆体である、すなわち、それらは、細胞に取り込まれ、光増感剤であるプロトポルフィリンに変換される。よって、本発明の化合物は、有益な薬理学的特性、つまり、光線力学的治療および光線力学的診断の方法、ならびに光線力学的な美容的な方法において有用であるそれらを付与する光増感剤の前駆体としての特性を有する。
【0100】
したがって、本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの薬学的に許容されるか、もしくは美容的に許容される担体または賦形剤と共に、本明細書に記載される式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、本明細書に記載される式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を提供する。
【0102】
別の好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも1つの美容的に許容される担体または賦形剤と共に、本明細書に記載される式Iの化合物、またはその薬学的に許容される美容組成物を提供する。
【0103】
さらなる態様では、本発明は、例えば、光線力学的治療または光線力学的診断の方法において薬剤として使用するための、具体的には、光線力学的治療もしくは診断に応答する身体の外部または内部表面の障害もしくは異常の治療または診断のための、本明細書に記載される化合物または薬学的組成物を提供する。
【0104】
またさらなる態様では、本発明は、光線力学的治療の方法において使用するための薬学的組成物の調製に使用するための、または光線力学的診断の方法において使用するための、具体的には、光線力学的治療もしくは診断に応答する身体の外部または内部表面の障害もしくは異常の治療または診断のための薬学的組成物の調製に使用するための、本明細書に記載される式Iの化合物、または薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0105】
癌、ウイルス感染(例えば、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎、またはエプスタインバーウイルス)、もしくは細菌感染(例えば、ヘリコバクターピロリ感染)等の癌に関連した感染の光線力学的治療、または診断、あるいは非癌性状態の治療または診断において、本明細書に記載される化合物および薬学的組成物の使用は、本発明の好ましい態様を形成する。
【0106】
本明細書で使用される、用語「癌」および「癌性」は、悪性細胞が存在する状態に関連して使用される。よって、前悪性状態は、これらの用語に包含されない。
【0107】
用語「非癌性」は、良性および前悪性状態を含む。
【0108】
本明細書で使用される、用語「治療」または「療法」は、治癒的ならびに予防的治療または療法を包含する。
【0109】
本発明により治療または診断され得る異常および障害は、光線力学的治療または診断に応答するいずれの悪性、前悪性、および良性異常を含む。
【0110】
一般的に、代謝的に活性である細胞は、本発明の化合物を用いた光線力学的治療または診断に応答する。代謝的に活性な細胞の例は、異常な成長パターンを受ける細胞である。そのような異常な成長パターンは、細胞数の増加/細胞増殖の増加(過形成)、細胞の異常な成熟および分化(形成異常)、ならびに細胞の異常増殖(新形成)を含む。過形成成長の細胞は、依然として正常な調節制御機構を受けている。新形成成長の細胞は、正常な刺激に応答しない非生理学的様式で増殖する遺伝的に異常な細胞である。代謝的に活性な細胞の他の例は、炎症性細胞である。
【0111】
本発明に従う化合物および薬学的組成物は、内部身体表面および外部身体表面(例えば皮膚)上の新生物ならびに腫瘍(良性、前悪性、および悪性)の光線力学的治療および診断に使用するのに特に適している。外部身体表面上のそのような新生物ならびに腫瘍の例は、日光角化症およびボーエン病である。内部身体表面上の新生物および腫瘍の例は、膀胱癌および結腸癌である。
【0112】
さらに、本発明に従う化合物および薬学的組成物は、座瘡(プロピオニバクテリウムアクネス細菌に関連する)、腟または頚上皮内新形成(ヒトパピローマウイルスに関連する)、胃癌(ヘリコバクターピロリ細菌に関連する)、および偽膜性腸炎(クロストリジウム−ディフィシレ細菌)等のウイルス、細菌、および真菌感染に関連する疾患および障害の光線力学的治療ならびに診断に使用するのに特に適している。
【0113】
さらに、本発明に従う化合物および薬学的組成物は、グラム陽性菌を有する皮膚または創傷の感染の光線力学的治療に使用するのに特に適している。そのような感染は、スタヒロコッカス・アウレウス(S.アウレウス)によって引き起こされることが多く、一般的に、抗生物質、例えば、ペニシリンで治療される。多くのスタヒロコッカス・アウレウス株が抗生物質耐性を発達させたため、代替の治療を探すという医学的必要性が満たされていない。細菌創傷感染に関与する他のグラム陽性菌は、例えば、表皮ブドウ球菌、バチルスズブチルス、エンテロコッカスフィカリス、およびミクロコッカス・ルテウスである。
【0114】
加えて、本発明に従う化合物および薬学的組成物は、炎症性細胞の光線力学的治療および診断に使用するのに特に適している。細胞の炎症は、通常、有害刺激を取り除き、治癒プロセスを開始する生物による保護の試みであり、よって、感染に関連することが多い。例としては、炎症性座瘡、大腸炎(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、およびクローン病)、および感染性皮膚炎、すなわち、細菌、ウイルス、または真菌感染によって引き起こされる皮膚の炎症である。
【0115】
本発明により治療され得る内部および外部身体表面は、例えば、粘膜、臓器の内層、例えば、呼吸、胃腸、および泌尿生殖器、ならびにそのような表面上に移す導管を伴う腺(例えば、肝臓、皮脂腺を伴う毛嚢、乳腺、唾液腺、および精嚢)を含む皮膚ならびに全ての他の上皮および漿膜表面を含む。皮膚に加えて、そのような表面は、例えば、膣の内層、子宮内膜、および尿路上皮を含む。そのような表面は、病変または癌性組織の切除後に身体に形成された空洞、例えば、神経膠腫等の腫瘍の切除後の脳空洞も含み得る。
【0116】
よって、例示的な表面は、(i)皮膚および結膜、(ii)口腔、咽頭、食道、胃、腸、および腸付属器、直腸、ならびに肛門管の内層、(iii)鼻孔、鼻洞、上咽頭、気管、気管支、および細気管支の内層、(iv)尿管、膀胱、および尿道の内層、(v)陰門、膣、子宮頸部、および子宮の内層、(vi)壁側および臓側胸膜、(vii)腹膜および骨盤腔の内層、ならびにこれらの腔内に含まれる臓器の表面、ならびに(viii)硬膜および髄膜を含む。
【0117】
本発明に従う薬学的組成物を得るために、 式Iによる化合物は、当該技術分野において周知の技法に従い、1つ以上の生理学的に許容される担体または賦形剤を用いて、いずれの従来の様式で製剤化され得る。適切である場合、本発明に従う化合物または組成物は、減菌製剤を提供するために、存在する場合、担体または賦形剤の添加前または添加後に、例えば、γ照射、オートクレーブ、または熱減菌により減菌される。
【0118】
薬学的組成物は、全身的(例えば、経口的もしくは非経口的)または罹患部位に、もしくはその付近に局所的(例えば、注射もしくは局所的)に施され得る。局所薬学的組成物が好ましく、ゲル、クリーム、軟膏、スプレー、ローション、膏薬、スティック、粉末、腟坐薬、坐剤、エアロゾル、滴剤、溶液、および当該技術分野における他の従来の医薬形態のいずれかを含む。アクセスできない部位への局所投与は、当該技術分野において既知の技法により、例えば、カテーテルまたは他の適切な薬物送達系を用いることにより達成され得る。
【0119】
軟膏、ゲル、およびクリームは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加することにより、水性または油性基剤を用いて製剤化され得る。使用されるいずれの増粘剤またはゲル化剤は、非毒性、非刺激性、および浸出不純物に欠けているべきである。それらは、活性成分に対して不活性であるべきである、すなわち、その分解を促進するべきではない。創傷治療、例えば、細菌感染創傷の治療用の製剤は、ゲル製剤、例えばヒドロゲルに基づき得る。本発明の化合物は、そのようなヒドロゲル製剤に組み込むことができる。あるいは、化合物は、ヒドロゲルに組み込まれるリポソームに組み込むことができる(例えば、J.Hurler et al.,J.Pharm.Sci.101,No.10,2012,3906−3915を参照)。ローションは、水性または油性基剤を用いて製剤化され、一般的に、1つ以上の乳化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含有する。粉末は、いずれの好適な粉末基剤を用いて形成され得る。滴剤、スプレー、および溶液は、1つ以上の分散剤、可溶化剤、または懸濁化剤も含む水性または非水性基剤を用いて製剤化され得る。エアロゾルスプレーは、好適な推進剤を使用することにより、好都合に加圧パックから送達される。
【0120】
あるいは、薬学的組成物は、例えば、皮内、皮下、腹腔内、または静脈内注射による、経口または非経口投与に適している形態で提供され得る。よって、代替の医薬形態は、担体または賦形剤として、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、または硬い脂肪等の脂肪性物質、あるいはこれらの好適な混合物を含有するコーティングしていない、またはコーティングされた錠剤、カプセル、懸濁液、および溶液を含む。本発明に従う薬学的組成物が、1つ以上の薬学的に許容される溶剤を任意に含む場合、そのような溶剤は、遊離脂肪酸、遊離脂肪族アルコール、水溶液、例えば、緩衝液、または水であってもよい。
【0121】
薬学的組成物は、潤滑剤、増粘剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、充填剤、結合剤、保存剤、吸着増強剤、例えば、以下に記載する表面浸透剤等の通常の薬学的賦形剤を追加で含み得る。可溶化剤および/または安定化剤、例えば、シクロデキストリン(CD)α、β、γ、およびHP−βシクロデキストリンも、使用され得る。当業者は、それらの目的に基づき、好適な賦形剤を選択することができるだろう。本明細書に記載される医薬製品に使用され得る通常の賦形剤は、 様々な手引書(例えば、D.E.Bugay and W.P.Findlay(Eds)Pharmaceutical excipients(Marcel Dekker,New York,1999),E−M Hoepfner,A.Reng and P.C.Schmidt (Eds) Fiedler Encyclopedia of Excipients for Pharmaceuticals,Cosmetics and Related Areas (Edition Cantor,Munich,2002)、およびH.P.Fielder(Ed)Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete(Edition Cantor Aulendorf,1989))に列挙されている。
【0122】
上述の薬学的に許容される賦形剤は全て、当該技術分野において周知であり、様々な製造業者から市販されている。
【0123】
本発明の薬学的組成物は、当該技術分野において周知の手順を採用することにより、患者に投与した後、活性成分の急速放出、持続放出、または遅延放出を提供するように製剤化され得る。
【0124】
薬学的組成物中の本明細書に記載される化合物の濃度は、化合物の性質、組成、投与様式、治療もしくは診断される状態、およびそれが投与される対象に依存し、選択により変動または調節され得る。しかしながら、一般的に、0.05〜20重量%、または1〜10重量%、例えば1〜5重量%等、0.01〜50重量%の濃度範囲が好適である。PDTは、診断方法に使用されるより高濃度の本発明の化合物を必要とし得ることを理解する。
【0125】
別の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上の生体接着剤、例えば、Photocure ASAの国際公開第WO02/09690号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される粘膜付着剤をさらに含み得る。
【0126】
本発明の化合物は、光線力学的作用を強化するように機能する他の活性成分、例えば、表面浸透補助剤(または浸透増強剤)および/またはキレート剤と共に製剤化および/または投与され得る。好適な表面浸透補助剤およびキレート剤ならびにそのような薬剤の好適な濃度は、Photocure ASAの国際公開第WO2009/074811号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。組成物の性質により、化合物は、そのような他の任意の薬剤と共に、例えば単一の組成物において同時投与されるか、あるいはそれらは、別個に(例えば、連続して)投与され得る。いくつかの場合では、活性成分を投与する前に、別個のステップにおいて、治療される身体の外部または内部表面を、表面浸透補助剤で前処置することが有益であり得る。表面浸透補助剤が前処置のステップにおいて使用される場合、これは、より高濃度、例えば最大100重量%で使用され得る。そのような前処置ステップが使用される場合、本発明に従う薬学的組成物は、前処置の数時間後まで、例えば、前処置後5〜60分の間隔で、後続投与することができる。
【0127】
身体の外部もしくは内部表面の異常を光線力学的治療または診断する方法における同時、別個、または連続使用のための混合調製として、本明細書に記載される薬学的組成物、ならびに任意に表面浸透補助剤および/またはキレート剤を含む製品およびキットは、本発明のさらなる態様を形成する。
【0128】
代替えとして見ると、本発明のこの態様は、身体の外部もしくは内部表面の疾患、障害、または異常を光線力学的治療あるいは診断する方法において使用するためのキットを提供し、前述のキットは、
(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を含有する第1の容器と、
(b) 少なくとも1つの表面浸透補助剤を含有する第2の容器と、任意に、
(c) 前述の第1の容器または任意の第3の容器のいずれかの中に含有される1つ以上のキレート剤とを含む。
【0129】
本発明のさらなる態様は、身体の外部もしくは内部表面の疾患、障害、または異常を光線力学的治療あるいは診断する方法を提供し、前述の方法は、本明細書に記載される薬学的組成物を罹患した表面に施すことと、前述の表面を光に曝露することとを含む。
【0130】
薬学的組成物を、身体の外部もしくは内部表面に投与した後、治療または検査(診断の場合)する所望の領域は、所望の光活性化を達成するために、光に曝露(照射)される。投与と光への曝露との間の時間期間の長さ、すなわち、インキュベーション時間は、化合物の性質、組成物の性質、治療または診断される状態、および投与様式に依存する。一般的に、薬学的組成物中の本発明の化合物は、光活性化の前に、治療または診断される組織の細胞によって取り込まれるように十分に放出され、光増感剤に変換され、意図される治療/診断部位で有効な組織濃度を達成することが必要である。典型的には、インキュベーション時間は、最大10時間、例えば、約10分〜10時間、例えば、30分〜7時間、または1時間〜5時間である。直接局所投与により、インキュベーション時間がより短くなる、例えば、インキュベーション時間が全くない(すなわち、投与後、光への中間曝露)、約1分〜3時間、例えば、5分〜約2時間、もしくは15分〜1.5時間、または30分〜1時間となり得る。経口投与後に全身取り込みが必要とされる場合、インキュベーション時間は、より長い、例えば、約30分〜6時間、例えば、2〜5時間、または3〜4時間であってもよい。標的部位で光増感剤の濃度を最大にする最適なインキュベーション時間は、例えば、経時的な蛍光測定により、容易に決定することができる。
【0131】
照射は、一般的に、高光強度で、すなわち、高フルエンス率で短い時間の間、または低光強度で、すなわち、低フルエンス率で適用される。後者は、特に患者が麻酔されない場合、PDT手順において好ましくてもよい。低光強度のPDT手順により、治療の有効性を少しも低減することなく、患者への不快さが低減される。しかしながら、PDTまたはPDD手順が、患者を麻酔および/もしくは固定することが要求される場合、ならびに/または手術室で行われる必要がある場合、高光強度で、すなわち、高フルエンス率で短時間の間適用される照射が好ましくてもよい。フルエンス率は、照射の手段、すなわち、使用される特定のランプまたはレーザに依存する。フルエンス率は、ランプ/レーザの使用者によって選択することができない内在的パラメータであり得る。しかしながら、フルエンス率が選択できる場合、発光ダイオードを含むランプに関しては、一般的に、0.5〜100mW/cm
2のフルエンス率が選択され得る。低フルエンス率手順に関しては、50mW/cm
2を下回るフルエンス率が好ましい。1〜30mW/cm
2の範囲のフルエンス率がより好ましく、2〜10mW/cm
2の範囲が最も好ましい。高フルエンス率手順に関しては、50mW/cm
2を超えるフルエンス率が好ましく、より好ましくは、50〜70mW/cm
2の範囲である。
【0132】
照射に使用される光波長は、所望の光線力学的作用を達成するように選択され得る。300〜800nm、例えば、400〜700nmおよび500〜700nmの範囲の光波長での照射は、特に有効であることが分かった。PDTに関して、630および690nmの波長を含むことが特に重要であり得る。赤色光(600〜670nm)は、この波長の光が組織に良好に貫通することが知られているため、特に好ましい。PDDに関しては、目的とする領域は、白色光を用いて最初に検査され得る。実際の光線力学的診断に関しては、典型的には、360〜450nmの範囲の波長を有する青色光が一般的に使用され、好適な分光計によって視覚的に検出または測定され得る赤色領域(例えば、550〜750nm)に蛍光を生じさせる。
【0133】
PDTの照射は、一般的に、10〜200J/cm
2、好ましくは、20〜100J/cm
2、最も好ましくは、25〜60J/cm
2の光線量で適用される。PDDに関して、照射は、好ましくは、全診断手順の間、またはその一部分の間、例えば、白色光検出と組み合わされる場合、実施される。PDTおよびPDDの両方に関して、単一照射が使用されるか、あるいは光線量がいくつかの画分、例えば、照射の間に数分〜数時間はさんで送達される光分割線量が使用され得る。複数の照射も適用され得る。
【0134】
PDTの照射持続時間(すなわち、照射時間)は、照射デバイスおよび所望の光線量のフルエンス率に依存する。本質的に、光線量は、照射時間およびフルエンス率の産物である。
【0135】
様々な照射手段、例えば、レーザおよびランプが当該技術分野において既知である。後者は、電球、例えば、短アークキセノン球または蛍光灯を備えるランプであってもよい。あるいは、ランプは、発光ダイオードまたは有機発光ダイオード(LEDおよびOLED)を備えることができる。身体の内部表面、例えば、膀胱または結腸の内層の照射に関して、内視鏡が使用され得る。通常、内視鏡は、光を外部光源から目的とする領域に伝達するための導波管として機能する光ファイバに連結される外部光源(例えば、レーザまたはランプ)を備える。
【0136】
さらなる態様では、よって、本発明は、身体の内部または外部表面の標的部位のインビボ撮像の方法を提供し、前述の方法は、以下のステップ:
(a)対象、例えば、ヒトまたはヒト以外の動物に、本明細書に記載される化合物、その薬学的に許容される塩、または前述の化合物もしくは前述の塩を含む薬学的組成物を投与するステップと、
(b)必要であれば、化合物またはその薬学的に許容される塩が前述の標的部位の細胞に取り込まれ、光増感剤に変換され、標的部位で有効濃度を達成するのに必要な時間期間待つステップと、
(c)標的部位を光に曝露し、それによって、光増感剤を光活性化するステップと、
(d)標的部位の異常を示す蛍光を検出するステップと、
(e)任意に、検出した蛍光を目的とする領域の画像に変換するステップとを含む。
【0137】
本発明のこの態様の好ましい実施形態では、撮像方法は、前述の化合物、その薬学的に許容される塩、または前述の化合物もしくは前述の塩を含む薬学的組成物で前投与された対象に実施することができる。
【0138】
本明細書に記載されるPDD手順は、本発明の化合物または前述の化合物を含む薬学的組成物が患者に投与され、その後、手術が青色光下で実施される手術中にも実施することができる。異常が青色光下で蛍光を発するという事実は、外科医が「手術境界線」を画定するのに役立ち、それによって、所望の領域(例えば、腫瘍)のより選択的な切除が可能になる。手術方法における本明細書に記載される化合物および薬学的組成物の使用は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0139】
本明細書に記載される治療および診断方法は、併用治療の形態でも使用され得る。例えば、本明細書に記載される化合物または組成物を使用して、身体の内部もしくは外部表面の異常、障害、または疾患に関して実施される一連のPDTの後にPDD法が続いてもよい(例えば、PDTが有効であった程度を決定するため、および/または状態のいずれの再発を検出するため)。
【0140】
さらなる態様では、本発明は、よって、(i)患者の身体の内部もしくは外部表面の異常、障害、または疾患の光線力学的治療を行うステップと、(ii)前述の患者に光線力学的診断を行うステップとを含む方法において使用するための、本明細書に記載される化合物または組成物を提供する。ステップ(i)および(ii)のうちの少なくとも1つは、前述の患者に、本発明に従う化合物または薬学的組成物を投与した後に実施される。好ましくは、ステップ(i)および(ii)の両方が、そのような化合物または組成物の投与後に行われる。
【0141】
本明細書に記載される方法のいずれかを使用して、身体の内部もしくは外部表面の異常、障害、または疾患を特定した後、これは、次いで、別の治療法により、例えば、手術または化学治療により治療され得る。現在の治療の例としては、外科治療、内視鏡切除療法、化学的切除、熱切除、または機械的切除が挙げられる。本発明の一実施形態では、PDTをもたらすために、目的とする部位への化合物または薬学的組成物のさらなる適用が行われ得る。
【0142】
本発明の化合物は、インビトロ診断法、例えば、体液に含有される細胞の検査にも使用され得る。代謝的に活性な細胞に関係する高蛍光は、好都合に、異常または障害を表し得る。この方法は、感度が高く、それぞれ、尿または痰試料における上皮細胞の検査により、異常または障害、例えば、膀胱癌または肺癌の早期検出に使用することができる。尿および痰に加えて診断に使用することができる他の有用な体液は、血液、精液、涙、脊髄液等を含む。組織試料または調製物、例えば、生検組織または骨髄試料も、評価することができる。よって、本発明は、光線力学的診断、ならびに前述の診断を実施するための製品およびキットのための本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用に及ぶ。
【0143】
本発明のさらなる態様は、患者の身体の内部もしくは外部表面の異常、障害、または疾患を、前述の患者の体液または組織の試料をアッセイすることによりインビトロで診断する方法に関し、前述の方法は、少なくとも以下のステップ:
i)体液または組織の前述の試料を、前述の化合物、その薬学的に許容される塩、または前述の化合物もしくは前述の塩を含む薬学的組成物と混合するステップと、
ii)前述の混合物を光に曝露するステップと、
iii)蛍光レベルを確認するステップと、
iv)任意に、蛍光レベルを対照レベルと比較するステップとを含む。
【0144】
本発明に従う化合物は、病原菌、または条件付き病原菌、すなわち、普通のヒトの細菌叢の一部であるが、ある特定の条件下で病原性であり得る細菌を含む細菌によって引き起こされる、ないしは別の方法で関連する身体の内部もしくは外部表面の異常、障害、または疾患の光線力学的治療にも使用され得る。
【0145】
多剤耐性は、感染疾患の分野において問題が増加している。従来の抗生物質に耐性となった病原菌の多くの種の中では、皮膚感染の原因ならびに創傷および火傷の感染に関与するスタヒロコッカス・アウレウス(S.アウレウス)がそうである。毒性株のS.アウレウスは、そのような感染の結果として血流に入り得、これは、同時に、重度の合併症およびさらには毒血症(毒素性ショック症候群)、心内膜炎、および肺炎等の生命に関わる状態につながる場合がある。S.アウレウスの耐性株は、メチシリン耐性S.アウレウス(MRSA)を含む。
【0146】
本明細書に記載される化合物は、PDTにおいて使用される場合、細菌細胞、特に、グラム陽性菌、具体的には、スタヒロコッカス・アウレウスを死滅させる、または少なくともその増殖の可能性を減少させるのに有効であることが分かった。
【0147】
さらなる態様から見ると、よって、本発明は、細菌感染の治療および/または予防の方法に使用するための、例えば、薬剤耐性細菌によって引き起こされる、もしくはそれに関連する状態の治療または予防の方法に使用するための、本明細書に記載される化合物、または薬学的組成物を提供する。有効量の化合物または組成物がそれを必要とする患者に投与されるそのような状態の医療上の治療方法は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0148】
乳児において、S.アウレウス感染は、重度の疾患であるブドウ球菌熱傷様皮膚症候群(SSSS)を引き起こす可能性がある。疾患は、薄肉で容易に破裂する、液体で満たされた水泡の広範な形成を示す。さらに、S.アウレウスは、他の人々より耐性が低いアトピー性皮膚炎の患者に大流行する。合併症を引き起こすことが多く、この疾患は、大半が、腋窩、毛髪、および頭皮を含む繁殖可能な活発な場所で見られる。
【0149】
前述のように、本発明に従う化合物は、特に光線力学的な美容的な方法にも役立つ。したがって、さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの皮膚適合性担体または賦形剤と共に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む美容組成物を提供する。
【0150】
いずれの組成物、製品、キット、方法、または使用に関して、本明細書で使用される、用語「美容」は、美容目的、すなわち、それを投与された個人の全身の皮膚の外観を向上、改善、または維持するために使用されるか、またはそのための使用を意図する製品または治療方法を定義するよう意図される。
【0151】
用語「皮膚適合性」は、美容用皮膚組成物、例えば、哺乳類、具体的には、ヒトの皮膚に使用するための組成物に使用するのに適した物質を指す。「皮膚適合性」担体または賦形剤は、通常、非刺激性であり、忍容性に優れている。
【0152】
本発明に従う美容組成物を得るために、 式Iの化合物は、当該技術分野において周知の技法に従い、1つ以上の皮膚適合性担体または賦形剤を用いて、いずれの従来の様式で製剤化され得る。適切な場合、組成物の化合物は、薬学的組成物に関して前述される方法を用いて減菌され得る。
【0153】
美容組成物は、典型的には、皮膚に施される。好適な美容組成物は、ゲル、クリーム、軟膏、スプレー、ローション、膏薬、スティック、粉末、溶液、および当該技術分野の他の従来の美容製剤のうちのいずれかを含む。
【0154】
美容軟膏、ゲル、ローション、膏薬、およびクリームは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤に加えて、水性または油性基剤(軟膏および膏薬に好ましい)を用いて製剤化され得る。使用されるいずれの増粘剤またはゲル化剤は、非毒性、非刺激性、および浸出不純物に欠けているべきである。これらは、本発明の化合物に対して不活性なはずである、すなわち、それらの分解を促進しないはずである。ローションおよびクリームは、水性または油性基剤を用いて製剤化され、一般的に、1つ以上の乳化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含有する。粉末は、いずれの好適な粉末基剤を用いて形成され得る。スプレーおよび溶液は、1つ以上の分散剤、可溶化剤、または懸濁化剤も含む水性または非水性基剤を用いて製剤化され得る。
【0155】
美容組成物は、加えて、潤滑剤、増粘剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、香料、充填剤、結合剤、および保存剤等の通常の美容賦形剤を含み得る。それらは、以下に記載される表面浸透剤等をさらに含み得る。当業者は、それらの目的に基づき、好適な賦形剤を選択することができるだろう。本明細書に記載される美容製品に使用され得る通常の賦形剤は、 様々な手引書(例えば、E−M Hoepfner,A.Reng and P.C. Schmidt (Eds) Fiedler Encyclopedia of Excipients for Pharmaceuticals,Cosmetics and Related Areas(Edition Cantor,Munich,2002)、およびH.P.Fielder(Ed)Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete(Edition Cantor Aulendorf,1989))に列挙されている。さらに、本発明に従う美容組成物に使用するための皮膚適合性賦形剤および担体ならびにその好適な量は、Photocure ASAの国際公開第WO2011/107478号に開示されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
上述の美容賦形剤は全て、当該技術分野において周知であり、様々な製造業者から市販されている。
【0157】
美容組成物における本発明の化合物の所望量は、製剤の特定の性質、光源が美容治療に使用されるか否か、使用される場合、光源の種類、および選択される波長、美容治療の持続時間、ならびに全体的治療の数を含むいくつかの因子に依存する。これらの様々な因子を考慮すれば、量は、当業者によって容易に決定され得る。本発明に従う美容組成物は、一般的に、5重量%以下の本発明の化合物、好ましくは、0.02〜3重量%、より好ましくは、0.05〜1.5重量%、例えば、0.5〜1.25重量%、最も好ましくは、0.1〜1.0重量%を含み、0.25〜0.75重量%の範囲が最も好ましい。これらの範囲内の所望量の決定において、当業者の知識および専門技術内の以下の基準も考慮され得る:
・ 例えば、組成物の性質、選択された本発明の化合物の性質による、またはより深部への浸透を促進する薬剤、例えば、皮膚浸透増進剤の存在によって皮膚のより深部に透過することができる美容組成物は、典型的には、主に皮膚の表面に留まる傾向がある組成物より低濃度の本発明の化合物を含有する、
・ 長い皮膚治療持続時間を対象とした美容組成物(すなわち、皮膚へのより長い組成物のインキュベーションおよび/またはより長い照明)は、通常、短い治療持続時間を対象とした組成物より少ない本発明の化合物を含有する、
・ 2回以上の皮膚治療、例えば、一定期間にわたって数回の治療または反復治療等の数回または複数回の治療を対象とした美容組成物は、通常、1回の使用を対象とした、または各治療間の間隔が空くことが多い限られた回数の使用を対象とした組成物より少ない本発明の化合物を含有する、
・ わずかな(光による)老化の兆候しか有しない皮膚の治療を対象とした美容組成物は、重度の(光による)老化皮膚の治療を対象とした組成物より少ない本発明の化合物を含有し得る。
【0158】
本発明に従う美容組成物は、美容治療の方法において使用することができる。そのような美容治療は、哺乳類対象、好ましくは、ヒト対象の皮膚の外観を向上および/または改善するために行われ得る。特に、(光による)老化の兆候は、改善され得、例えば、目尻のしわ、クマ、小じわ、しわの外観を減少させ、孔径を減少させ、皮膚の張りおよび弾性を改善し得る。
【0159】
そのような美容治療の好適な光源ならびに好適なフルエンス率、照射時間、光線量、および波長は、Photocure ASAの国際公開第WO2011/107478号に詳細に開示されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
本発明は、以下の非限定的な例により、および添付の図面を参照して図示される。
【0161】
[
図1]カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩のクリーム製剤の適用後のミニブタの皮膚からの蛍光を示す。
[
図2]光線力学的作用による、カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩および2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩と共にインキュベートしたS.アウレウス細菌の成長の遅延を示す。
【0162】
以下の略語は、実施例において使用される。
Boc−tert−ブトキシカルボニル
Cbz−カルボキシベンジル
dec−分解
実施例1−カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエートヒドロハライド(塩酸塩および臭化水素酸塩)の調製
1a−t−ブトキシカルボニルメチル5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
【0164】
周囲温度のアルゴン下で、トリエチルアミン(2.22g;22.0mmol)を、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸(4.62g;20.0mmol)および酢酸エチル(60mL)中のt−ブチルブロモ酢酸(4.30g;22.0mmol)の攪拌溶液に滴下して添加した。混合物(スラリー)を17時間還流させ、次いで、周囲温度に冷却し、0.5MのHCl(100mL)に注ぎ、十分に振盪した。水性部分を、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機溶液を、飽和NaHCO
3溶液(1×20mL)および飽和NaCl溶液(1×20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させた。蒸発により、琥珀色の油状物を得て、これは、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(600mL)で溶出した40×55−mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製され、5×100mLの画分が収集された。画分1および2の蒸発により、6.15g(89%)の生成物を得た(黄色の油状物)。
【0165】
1H NMR:(200MHz;CDCl
3):δ 1.44(9H、s)、1.47(9H、s)、2.77(4H、s)、4.06(2H、d、J=4.8Hz)、4.49(2H、s)、5.25(1H、br s)。
13C NMR:(50MHz;CDCl
3):δ 27.5、28.0、28.3、34.2、50.3、61.3、79.8、82.5、155.5、166.5、171.7、203.9。
【0166】
1b−カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0168】
ジオキサン中の塩化水素の4M溶液(35mL;0.14mol)を、1aの生成物(3.3g;9.5mmol)に添加し、ガスを発生させながら、油状物が溶解されるまで攪拌した。1時間放置した後、溶媒を蒸発させ、ジエチルエーテル(4×20mL)で残渣を粉砕し、油状物を黄褐色の粉末に固化した。残渣を濾過し、50℃および13mm Hgの乾燥ピストル中で一晩乾燥させた。2.05g(96%)の生成物を得た(黄褐色の粉末)。
【0169】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 2.65(2H、t、J=6.2Hz)、2.82(2H、t、J=5.9Hz)、3.96(2H、br s)、4.57(2H、s)、8.40(3H、br s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 26.7、34.1、46.5、60.7、168.8、171.5、202.3。
【0170】
1c−カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
【0172】
酢酸中の臭化水素の30%溶液(12mL)を、氷浴により冷却した1aの生成物(3.3g;9.5mmol)に添加し、ガスを発生させながら、油状物が溶解するまで攪拌した。15分間攪拌した後、混合物をヘキサン(4×20mL)およびジエチルエーテル(4×20mL)で粉砕し、油状物を黄褐色の粉末に固化した。残渣を濾過し、約50℃および12mm Hgの乾燥ピストル中で一晩乾燥させた。4.44g(92%)の生成物を得た(黄褐色の粉末、mp110〜114℃(dec.))。
【0173】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 2.66(2H、t、J=6.6Hz)、2.85(2H、t、J=6.6Hz)、4.02(2H、d、J=4.8Hz)、4.57(2H、s)、8.14(3H、br s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 26.7、34.1、46.6、60.6、168.8、171.5、202.3。
【0174】
実施例2−1−(イソプロピルカルボキシ)エチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0176】
2a−ベンジル2−ブロモプロパノエートの調製
2−ブロモプロパン酸(15.3g;100mmol)、ベンジルアルコール(13.0g;120mmol)、およびシクロヘキサン(200mL)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(50mg)の混合物を、19時間、Dean−Stark装置において還流させた。反応混合物を周囲温度に冷却し、飽和NaHCO
3溶液(1×30mL)、水(1×30mL)、および飽和NaCl溶液(1×30mL)で洗浄した。乾燥させ、(MgSO
4)、濾過し、蒸発させた後、残渣を減圧蒸留した。25.4g(87%)生成物を得た(無色の液体、bp 111〜113℃/1.1mm Hg)。
【0177】
1H NMR:(200MHz;CDCl
3):δ 1.83(3H、d、J=7.0Hz)、4.40(1H、q、J=7.0Hz)、5.20(2H、s)、7.36(5H、s)。
13C NMR:(50MHz;CDCl
3):δ 21.6、39.9、67.5、128.0、128.4、128.5、135.0、169.9。
【0178】
2b−1−(ベンジルオキシカルボニル)エチル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
トリエチルアミンを、5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸(4.00g;15.0mmol)および酢酸エチル(50mL)中の2aの生成物(3.65g;15.0mmol)の攪拌した溶液に滴下して添加した。攪拌混合物を2日間アルゴン下で還流させた。周囲温度に冷却した後、0.5MのHCl溶液(50mL)を添加し、混合物を十分に振盪した。水層を、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた酢酸エチルを、飽和NaHCO
3溶液(2×15mL)および飽和NaCl溶液(1×15mL)で洗浄し、次いで、乾燥させた(MgSO
4)。濾過し、蒸発させた後、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した60×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製され、8×100mLの画分が収集された琥珀色の油状物を得た。画分3〜5の蒸発により、4.92g(77%)の生成物を得た(油状物)。
【0179】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 1.41(3H、d、J=7.0Hz)、2.56(2H、t、J=6.3Hz)、2.68(2H、t、J=6.3Hz)、4.03(2H、d、J=7.1Hz)、5.04(2H、s)、5.06(1H、q、J=6.2Hz)、5.16(2H、s)、7.36(10H、m)、7.54(1H、br s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 16.6、26.9、33.5、49.6、65.4、66.1、68.4、127.6、127.8、128.3、128.4、135.6、137.0、156.3、170.1、171.6、205.2。
【0180】
2c−1−(イソプロピルカルボキシ)エチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
2bの生成物(4.92g;11.5mmol)、10%のパラジウム坦持活性炭(100mg)、水素ガス、および2−プロパノール(15mL)およびジオキサン(15mL)中のジエチルエーテル(10mL;20mmol)中2.0Mの塩化水素の攪拌した混合物を、周囲温度で2日間、約6バールで水素添加した。混合物を、Celite(登録商標)545パッドを通して濾過し、2−プロパノール(2×5mL)で残渣を洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、得られた油状物をジエチルエーテル(4×10mL)で粉砕し、次いで、冷凍庫で保管した。油状物は固化しなかった。一晩、減圧乾燥(0.005mm Hgで)させた後、1.97g(71%)の生成物を得た(黄褐色、粘稠な油状物)。
【0181】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 1.17(6H、dd、J=5.7Hz)、1.37(3H、d、J=7.0Hz)、2.60(2H、t、J=6.2Hz)、2.80(2H、t、J=6.4Hz)、3.93(2H、br s)、4.88(2H、m)、8.38(3H、br s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 16.6、21.3、26.8、34.1、46.5、68.5、68.7、169.7、171.5、202.3。
【0182】
実施例3−カルボキシジフルオロメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0184】
3a−ベンジル ブロモジフルオロ酢酸塩の調製
この化合物は、実施例2aに従い、ブロモジフルオロ酢酸(9.82g;68.7mmol)、ベンジルアルコール(7.0g;65mmol)、およびシクロヘキサン(120mL)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(50mg)から調製された。蒸発させた後に得た粗生成物は、3bでさらに処理することなくそのまま使用された。
【0185】
1H NMR:(300MHz;CDCl
3):δ 5.35(2H、s)、7.39(5H、s)。
13C NMR:(75MHz;CDCl
3):δ 69.8、108.8(t、J
C−F=312Hz)、128.6、128.9、129.2、140.8、159.5(t、J
C−F=31Hz)。
【0186】
3b−(ベンジルオキシカルボニル)ジフルオロメチル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
シリンジを用いて、トリエチルアミン(3.5mL;2.5g;25mmol)を、3aの粗生成物(8.6g;20mmol)および乾燥アセトニトリル(100mL)中の5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸(6.63g;25mmol)の攪拌した混合物に添加した。混合物を、18時間還流させ、次いで、溶媒を蒸発させ、暗赤色の残渣を、ジエチルエーテル(100mL)および0.5MのHCl(100mL)に溶解した。十分に混合した後、エーテル層を、水(2×15mL)、飽和NaHCO
3(2×15mL)、および飽和NaCl溶液(1×15mL)で洗浄し、次いで、乾燥させた(MgSO
4)。濾過し、蒸発させた後、残渣をジクロロメタン−ジエチルエーテル(9:1)(1000mL)で溶出した60×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、10×75mLの画分を収集した。画分2〜5の蒸発および減圧乾燥(0.02mm Hg)後、6.7g(74%)の生成物を得た(赤オレンジ色の固体mp48〜50℃)。
【0187】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 2.56(2H、t、J=6.4Hz)、2.73(2H、t、J=6.2Hz)、3.90(2H、d、J=5.9Hz)、5.05(2H、s)、5.08(2H、s)、7.36(10H、s)、7.54(1H、t、J=5.7Hz)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 27.2、33.7、49.6、65.42、65.44、101.1、127.6、127.7、127.8、127.9、128.27、128.33、136.1、137.0、156.3、172.0、174.8、205.5。
【0188】
3c−カルボキシジフルオロメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、実施例2cに記載されるように、3bの生成物(4.0g;8.9mmol)、10%のパラジウム坦持炭素(0.20g)、水素ガス、および2−プロパノール(75mL)およびテトラヒドロフラン(25mL)中のジエチルエーテル(10mL;20mmol)中2MのHClから生成された。Celite(登録商標)を通して濾過した後、ひだ付き濾紙を通して溶液を再濾過した。蒸発後、淡琥珀色の油状物を得て、これは、ジエチルエーテル(4×10mL)で粉砕され、1.6g(80%)の生成物が得られた(淡黄褐色のゴム状固体)。得られた生成物は、主にカルボキシジフルオロメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩、多少のイソプロピル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩、ならびに多少の1−(イソプロピルカルボキシ)ジフルオロメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩を含有した混合物であった。カルボキシジフルオロメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩は、標準的な方法、例えば、分取HPLCにより、混合物から単離され得る。
【0189】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 2.63(2H、t、J=6.3Hz)、2.83(2H、t、J=6.5Hz)、3.96(2H、br s)、8.37(3H、br、s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 27.3、34.2、46.5、171.4、171.8、202.5。
【0190】
実施例4−2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
【0192】
4a−2−(t−ブトキシカルボニル)エチル5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
シリンジを用いて、アルゴン下で、周囲温度のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,3.34g;16.2mmol)の溶液を、ジクロロメタン(40mL)中の5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸(3.70g;16.0mmol)、t−ブチル3−ヒドロキシプロパノエート(2.31g;15.8mmol)、および乾燥ジクロロメタン(20mL)中の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,50mg)の攪拌した混合物に添加した。適度の発熱反応は、氷水浴で抑えられた。周囲温度で2日間攪拌した後、混合物をガラス−焼結フィルタで吸引濾過した。残渣をジクロロメタン(3×20mL)で洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、残渣を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(500mL)で溶出した45×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、7×50mlの画分を収集した。画分2〜4を蒸発させた後、5.45g(96%)の生成物を得た(淡黄色の油状物)。
【0193】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 1.38(9H、s)、1.41(9H、s)、2.49(2H、t、J=6.6Hz)、2.53(2H、t、J=6.2Hz)、2.66(2H、t、J=6.4Hz)、3.76(2H、d、J=5.9Hz)、4.16(2H、t、J=6.2Hz)、7.06(1H、t、J=5.8Hz)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 27.1、27.6、28.1、33.5、34.3、49.4、59.9、78.0、80.1、155.7、169.6、171.9、205.8。
【0194】
4b−2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
この化合物は、4aの生成物(5.43g;15.1mmol)および実施例1cによる酢酸(15mL)中30%のHBrから調製された。3.38g(79%)の生成物を得た(固化しなかった琥珀色のゴム)。
【0195】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 2.55(4H、t、J=6.4Hz)、2.80(2H、t、J=6.3Hz)、4.00(2H、d、J=3.5Hz)、4.19(2H、t、J=6.3Hz)、8.10(3H、br s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 26.9、33.2、34.1、46.6、60.1、171.8(2C)、202.6。
【0196】
実施例5−3−カルボキシプロピル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0198】
5a−3−(ベンジルオキシカルボニル)プロピル5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、実施例1aに記載される、ベンジル4−ブロモブタノエート(7.2g;28.0mmol)、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエート(6.7g;29.0mmol)、トリエチルアミン(2.95mmol)、および酢酸エチル(100mL)から調製された。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:2)(750mL)で溶出した60×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、6×100mLの画分を収集した。画分3および4を蒸発させた後、5.43g(46%)の生成物を得た(黄色の油状物)。
【0199】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 1.38(9H、s)、1.85(2H、m)、2.41−2.50(4H、m)、2.67(2H、t、J=6.7Hz)、3.77(2H、d、J=5.8Hz)、4.02(2H、t、J=6.4Hz)、5.10(2H、s)、7.07(1H、t、J=5.7Hz)、7.37(5H、s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 23.6、27.2、28.1、30.0、33.6、49.4、63.0、65.4、78.0、127.87、127.93、128.4、136.1、155.7、172.1、172.2、206.0。
【0200】
5b−3−カルボキシプロピル5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、5aからの生成物(5.40g;13.2mmol)、実施例2cに記載される、10%のパラジウム坦持活性炭(250mg)、水素ガス、および96%のエタノール(100mL)から調製された。4.30gの生成物を得(帯黄色の油状物)、これは、さらに処理することなく5cで使用された。
【0201】
5c−3−カルボキシプロピル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、5bの生成物(4.20g;13.2mmol)、実施例1bに記載される、ジエチルエーテル(7.5mL;15mmol)中2MのHCl、およびジエチルエーテル(50mL)から調製された。溶媒を蒸発させた後、油状の残渣を、ジエチルエーテル(4×10mL)で粉砕し、淡黄褐色の固体に固化するまで冷凍庫で一晩維持した。12mm Hgおよび周囲温度で乾燥させた後、1.90g(57%)の生成物を得た。
【0202】
1H NMR:(300MHz;DMSO−d
6):δ 1.80(2H、m)、2.30(2H、t、J=7.4Hz)、2.55(2H、t、J=6.7Hz)、2.82(2H、t、J=6.4Hz)、3.95(2H、d、J=5.1Hz)、4.03(2H、t、J=6.5Hz)、8.42(3H、br s)、12.1(1H、br s)。
13C NMR:(75MHz;DMSO−d
6):δ 23.6、27.0、30.1、34.2、46.4、63.3、171.9、173.8、202.6。
【0203】
実施例6−カルボキシフェニルメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
【0205】
6a−t−ブチルα−ブロモフェニルアセテートの調製
濃縮した硫酸(0.55mL;10mmol)を、周囲温度の乾燥ジクロロメタン(40mL)中の無水MgSO
4(4.8g;40mmol)の攪拌懸濁液に添加した。15分間攪拌した後、α−ブロモフェニル酢酸(2.15g;10.0mmol)、続いてt−ブチルアルコール(4.8mL;50mmol)を添加した。栓で反応フラスコを閉じ、混合物を周囲温度で7日間攪拌した。飽和NaHCO
3溶液(75mL)および水(75mL)を反応混合物に添加した。分離した後、水層をジクロロメタン(2×15mL)で抽出した。混合有機層を水で洗浄し、乾燥させた(MgSO
4)。濾過および蒸発後、2.39g(88%)の生成物を得た(無色の油状物)。
【0206】
1H NMR:(200MHz;CDCl
3):δ 1.46(9H、s)、5.25(1H、s)、7.30−7.38(3H、m)、7.48−7.56(2H、m)。
13C NMR:(50MHz;CDCl
3):δ 27.7、48.3、83.0、128.5、128.6、128.9、136.2、167.0。
【0207】
6b−t−ブチルα−[5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノイルオキシ]−フェニルアセテートの調製
この化合物は、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸(1.97g;8.5mmol)、6aの生成物(2.35g;8.7mmol)、および実施例1aに記載される、酢酸エチル(30mL)中のトリエチルアミン(0.88g;8.7mmol)から調製された。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:2)(1100mL)で溶出した65×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、18×50mLの画分を収集した。画分3〜8を蒸発させた後、2.79g(78%)の生成物を得た(琥珀色の油状物)。
【0208】
1H NMR:(200MHz;CDCl
3):δ 1.39(9H、s)、1.44(9H、s)、2.75−2.85(4H、m)、4.05(2H、d、J=4.8Hz)、5.22(1H、br s)、5.77(1H、s)、7.35−7.46(5H、m)。
13C NMR:(50MHz;CDCl
3):δ 27.7、27.8、28.3、34.2、50.3、75.2、79.8、82.5、127.4、128.8、128.9、134.0、155.7、167.5、171.6、203.7。
【0209】
6c−カルボキシフェニルメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
この化合物は、6bの生成物(2.75g;6.5mmol)および実施例1cに記載される酢酸(5mL)中33%のHBrから調製された。粗生成物を、アセトニトリル中10%のメタノール(400mL)で溶出した40×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、20×10mlの画分を収集した。画分4〜15を、40℃および0.01mm Hgで48時間蒸発させ、減圧乾燥した後、1.60g(71%)の生成物を得た(オレンジ色の発泡体,mp77〜80℃)。
【0210】
1H NMR:(200MHz;DMSO−d
6):δ 2.73(2H、m)、2.85(2H、m)、4.02(2H、s)、5.82(1H、s)、7.3−7.5(5H、m)、8.13(3H、br s)。
13C NMR:(50MHz;DMSO−d
6):δ 26.8、34.1、46.5、74.1、127.4、127.9、128.5、134.0、169.4、171.2、202.1。
【0211】
実施例7−(4−カルボキシフェニル)メチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
【0213】
7a−t−ブチル4−(ブロモメチル)安息香酸塩の調製
この化合物は、4−(ブロモメチル)安息香酸(2.15g;10.0mmol)、t−ブチルアルコール(4.8mL;50mmol)、無水MgSO
4(4.8g;40mmol)、および実施例6aに記載されるジクロロメタン中の濃縮した硫酸(40mL)から調製された。14日後、実施例6aに記載されるように混合物を処理した。1.07g(39%)の生成物を得た(白色固体)。さらに精製することなく生成物を7bに使用した。
【0214】
1H NMR:(200MHz;CDCl
3):δ 1.59(9H、s)、4.49(2H、s)、7.42(2H、d、J=8.4Hz)、7.96(2H、d、J=8.4Hz)。
13C NMR:(50MHz;CDCl
3):δ 28.1、32.3、81.2、128.7、129.8、130.6、141.9、165.0。
【0215】
7b−t−ブチル[4−[5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノイルオキシ]メチル]−安息香酸塩の調製
この化合物は、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸(0.81g;3.50mmol)、7aの粗生成物(1.00g;3.7mmol)、および実施例1aに記載される酢酸エチル(15mL)中のトリエチルアミン(0.40g;4.0mmol)から調製された。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:2)(1200mL)で溶出した65×55mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、16×50mLの画分を収集した。画分6〜10を蒸発させた後、0.59g(40%)の生成物を得た(無色の油状物)。
【0216】
1H NMR:(200MHz;CDCl
3):δ 1.44(9H、s)、1.59(9H、s)、2.73(4H、s)、4.05(2H、d、J=5.0Hz)、4.1(1H、br s)、5.15(2H、s)、7.37(2H、d、J=8.4Hz)、7.98(2H、d、J=8.2Hz)。
13C NMR:(50MHz;CDCl
3):δ 27.7、28.2、28.3、34.3、50.3、81.1(2C)、127.4(2C)、129.6(2C)、131.8、140.0、165.2、172.0、203.9。
【0217】
7c−(4−カルボキシフェニル)メチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩の調製
この化合物は、7bの生成物(0.50g;1.2mmol)および実施例1cに記載される酢酸(2mL)中33%のHBrから調製された。HBrの添加は、白色固体の即時沈降をもたらした。沈降物を、実施例1cに記載されるヘキサンおよびジエチルエーテルで粉砕した。残渣を40℃および0.01mm Hgで48時間減圧乾燥させた。0.37g(88%)の生成物を得た(白色の粉末,mp198〜200°C(dec.))。
【0218】
1H NMR:(200MHz;DMSO−d
6):δ 2.68(2H、t、J=6.2Hz)、2.88(2H、t、J=6.2Hz)、4.03(2H、s)、5.19(2H、s)、7.49(2H、d、J=8.0Hz)、7.96(2H、d、J=8.4Hz)、8.13(3H、br s)。
13C NMR:(50MHz;DMSO−d
6):δ 27.0、34.2、46.6、64.8、127.3、129.2、130.1、140.8、166.8、171.6、202.4。
【0219】
実施例8〜15−直鎖状カルボキシアルキル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
実施例8〜15に記載される直鎖状カルボキシアルキル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の一般構造:
【0221】
n=4、5、7、8、9、10、11、15
実施例8〜15の化合物の調製に使用された一般手順:
手順A カルボジイミドを用いたベンジルエステルの調製
シリンジを介して、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または乾燥ジクロロメタン(10mL)中のN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドの溶液を、アルゴン下で、カルボン酸、ベンジルアルコール、または2,2,2−トリクロロエタノール、および乾燥ジクロロメタン(40mL)中の4−ピロリジニルピリジンの攪拌溶液に滴下して添加した。周囲温度で1日または2日間攪拌した後、混合物を減圧濾過し、残渣を少量のジクロロメタンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、クーゲルロール装置を用いて残渣を50℃(浴温)および0.014mm Hgで減圧乾燥させ、過剰なベンジルアルコールを除去した。
【0222】
手順B 共沸蒸留を用いたベンジルエステルの調製
カルボン酸、ベンジルアルコール、およびトルエン中のp−トルエンスルホン酸の混合物を、ディーンスタークトラップを通して一晩還流させた。周囲温度に冷却した後、混合物を、飽和NaHCO
3溶液(1×15mL)および飽和NaCl(1×15mL)で洗浄した。乾燥(MgSO
4)、濾過、および蒸発させた後、クーゲルロール装置を用いて、残渣を50℃(浴温)および0.014mm Hgで減圧乾燥させた。
【0223】
手順C エステルのN−保護5−ALA誘導体へのカップリング: ω−ブロモアルカノエートおよびセシウム5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエート
ベンジルω−ブロモアルカノエート、セシウム5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエート、および乾燥DMSO(25mL)中のNaI(10mg)を、アルゴン下で一晩、100℃(浴温)に加熱した。混合物を周囲温度に冷却し、水(150mL)で希釈し、ジエチルエーテル(5×25mL)で抽出した。合わせたエーテル溶液を水(2×10mL)、飽和NaCl溶液(1×10mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO
4)。濾過し、蒸発させた後、残渣を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)で溶出したシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を蒸発させて、保護5−ALAエステルを単離した。
【0224】
手順D エステルのN−保護5−ALA誘導体へのカップリング:ω−ヒドロキシアルカノエートおよび5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸
アルゴン下で、乾燥ジクロロメタン(10mL)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の溶液を、ω−ヒドロキシアルカノエート、5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸、および乾燥ジクロロメタン(25mL)中の4−ピロリジニルピリジン(50mg)の攪拌溶液に添加した。混合物を周囲温度で1〜3日間攪拌した後、減圧濾過した。濾液を蒸発させ、残渣を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)で溶出したシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を蒸発させて、保護5−ALAエステルを単離した。
【0225】
手順E エステルのN−保護5−ALA誘導体へのカップリング:トリクロロエチルω−ヒドロキシアルカノエートおよび5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸
アルゴン下で、乾燥ジクロロメタン(15mL)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,2.41g;14.1mmol)の溶液を、2,2,2−トリクロロエチルω−ヒドロキシアルカノエート、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸、および0℃(浴温)に冷却した乾燥ジクロロメタン中のピリジンの攪拌溶液に滴下して添加した。0℃で1時間攪拌した後、混合物を周囲温度で一晩攪拌した。反応混合物を減圧濾過し、酢酸(3mL)を濾液に添加した。30分間放置した後、混合物を再濾過し、濾液をジエチルエーテル(150mL)で希釈した。溶液を、1MのHCl(3×25mL)、水(3×25mL)、飽和NaHCO
3溶液(2×25mL)、および飽和NaCl溶液(1×25mL)で洗浄した。乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させた後、残渣を、酢酸エチル−ヘキサンで溶出するシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を蒸発させて、生成物を得た。
【0226】
実施例8−4−カルボキシブチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0228】
8a−ベンジル5−ブロモペンタノエートの調製
この化合物は、手順Bを用いて、5−ブロモペンタン酸(1.81g;10.0mmol)、ベンジルアルコール(1.62g;15.0mmol)、およびトルエン(100mL)中のp−トルエンスルホン酸(50mg)から調製した。2.60g(96%)の生成物を得た(透明の油状物)。さらに精製することなく生成物を8cに使用した。
【0229】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.8−1.9(4H、m、J=7.2Hz)、2.39(2H、t、J=7.2Hz);3.39(2H、t、J=6.4Hz);5.12(2H、s)、7.35(5H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 23.5、31.9、32.9、33.2、66.2、128.1、128.2、128.4、135.8、172.7 ppm。
【0230】
8b−セシウム5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノアートの調製
5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸(2.66g;10.0mmol)を、脱イオン水(40mL)中の炭酸セシウム(1.64g;5.0mmol)の核酸溶液に添加した。CO
2の発生が停止した後、混合物を液体窒素で凍結し、一晩凍結乾燥させた。4.2g(約100%)の生成物を得た(淡黄褐色の固体)。さらに精製することなく生成物を8cに使用した。
【0231】
8c−4−(ベンジルオキシカルボニル)ブチル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、手順Cにより、8aの生成物(0.73g;2.7mmol)および8bの生成物(1.0g;2.5mmol)から調製された。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した75×45mmシリカゲル60カラムにより精製し、13×50mLの画分を収集した。生成物(5〜8)を含有する画分を収集し、蒸発させた後、0.82g(72%)の生成物を得た(帯黄色の固体,mp53〜56℃)。
【0232】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.58(4H、br s)、2.3−2.5(4H、重複したt)、2.69(2H、t、J=6Hz)、3.89(2H、d、J=5.8Hz)、3.99(2H、br s);5.04(2H、s)、5.09(2H、s)、7.36(10H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 20.9、23.6、27.2、32.8、33.6、49.6、63.4、65.2、65.3、127.5、127.6、127.7、127.8、128.1、128.2、136.0、136.8、156.2、171.9、172.3、205.3 ppm。
【0233】
8d−4−カルボキシブチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
8cの生成物(0.70g;1.54mmol)、12MのHCl(0.13mL;1.54mmol)、10%のPd/C(Degussaタイプ101 NE/W)(100mg)、および2−プロパノール(25mL)の攪拌混合物を、周囲温度および4バールの圧力で一晩水素添加した。混合物を、Celite(登録商標)545パッドを通して濾過した。濾液を蒸発させ、残渣を乾燥ジエチルエーテル(3×5mL)で粉砕した。周囲温度および0.01mm Hgで残渣を乾燥させた後、0.38g(97%)の生成物を得た(白色の固体)。
【0234】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.4−1.7(4H、m)、2.25(2H、t、J=6.4Hz)、2.55(2H、t、J=6.4Hz)、2.82(2H、t、J=6.4Hz)、3.9−4.1(4H、m)、8.43(3H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 20.9、23.5、27.0、30.0、34.2、46.4、63.6、171.8、173.6、202.3 ppm。
【0235】
実施例9−5−カルボキシペンチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0237】
9a−ベンジル6−ブロモヘキサノエートの調製
この化合物は、手順Bを用いて、6−ブロモヘキサン酸(1.95g;10.0mmol)、ベンジルアルコール(1.62g;15.0mmol)、およびトルエン(100mL)中のp−トルエンスルホン酸(50mg)から調製された。2.80g(98%)の生成物を得た(透明な油状物)。さらに精製することなく生成物を9bに使用した。
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.4−1.5(2H、m、J=6.8Hz)、1.6−1.7(2H、m、J=7.2Hz)、1.8−1.9(2H、m、J=7.4Hz)、2.37(2H、t、J=7.4Hz);3.38(2H、t、J=6.6Hz);5.12(2H、s)、7.35(5H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.0、27.7、32.3、33.4、34.0、66.1、128.1、128.4、135.9、173.0 ppm。
【0238】
9b−5−(ベンジルオキシカルボニル)ペンチル 5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、手順Cにより、9aの生成物(0.77g;2.7mmol)および8bの生成物(1.0g;2.5mmol)から調製された。反応時間は2日であった。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した75×45mmシリカゲル60カラムにより精製し、14×50mLの画分を収集した。生成物(5〜7)を含有する画分を収集し、蒸発させた後、0.52g(44%)の生成物を得た(冷凍庫に放置することによりワックス状固体に固化した琥珀色の油状物)。
【0239】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.25−1.38(2H、m)、1.45−1.6(4H、m)、2.36(2H、t、J=7.2Hz)、2.47(2H、t、J=6.4Hz)、2.69(2H、t、J=6.2Hz)、3.85−4.1(4H、重複したdおよびt、J=6 and 6.4Hz)、5.04(2H、s)、5.09(2H、s)、7.36(10H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.0、24.7、27.2、27.6、33.2、33.6、49.6、63.6、65.2、65.3、127.5、127.6、127.7、127.8、128.1、128.2、136.1、136.8、156.2、171.9、172.4、205.3 ppm。
【0240】
9c−5−カルボキシペンチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、実施例8dの手順を用いて、9bの生成物(0.45g;0.96mmol)、12MのHCl(0.08mL;0.96mmol)、10%のPd/C(100mg)、水素ガス、および2−プロパノール(25mL)から調製された。0.20g(77%)の生成物を得た(白色固体)。
【0241】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.2−1.4(2H、m)、1.4−1.7(4H、m)、2.22(2H、t、J=7.2Hz)、2.55(2H、t、J=6.4Hz)、2.82(2H、t、J=6.2Hz)、3.9−4.1(4H、m)、8.41(3H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.0、24.8、27.0、27.7、33.4、34.2、46.4、63.8、171.8、174.1、202.3 ppm。
【0242】
実施例10−7−カルボキシヘプチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0244】
10a−ベンジル8−ブロモオクタノエートの調製
この化合物は、手順Aを用いて、8−ブロモオクタン酸(2.23g;10.0mmol)、ベンジルアルコール(1.19g;11.0mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,2.27g;11.0mmol)、および乾燥ジクロロメタン(50mL)中の4−ピロリジニルピリジン(50mg)から調製された。3.14g(100%)の生成物を得た(放置により最終的に固化した透明の油状物)。
【0245】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.33(6H、br s)、1.6−1.7(2H、m)、1.75−1.9(2H、m)、2.35(2H、t、J=7.8Hz);3.38(2H、t、J=6.8Hz);5.11(s、2H)、7.35(s、5H) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.8、27.9、28.3、28.9、32.6、33.8、34.2、66.0、128.1、128.4、136.0、173.3 ppm。
【0246】
10b−7−(ベンジルオキシカルボニル)ヘプチル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、手順Cにより、10aの生成物(0.79g;2.5mmol)および8bの生成物(1.0g;2.5mmol)から調製された。反応時間は2日であった。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した80×45mmシリカゲル60カラムにより精製し、13×50mLの画分を収集した。生成物(3〜6)を含有する画分を収集し、蒸発させた後、0.83g(67%)生成物を得た(冷凍庫に放置することによりワックス状固体に固化した琥珀色の油状物,mp52〜54℃)。
【0247】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.26(6H、br s)、1.53(4H、br s)、2.34(2H、t、J=7.2Hz)、2.48(2H、t、J=5.8Hz)、2.69(2H、t、J=6.4Hz)、3.38(1H、t、J=6.6Hz)、3.89(2H、d、J=6Hz)、3.98(2H、t、J=6.6Hz)、5.04(2H、s)、5.08(2H、s)、7.35(10H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.3、25.1、26.3、27.2、27.9、33.4、33.7、49.6、63.8、65.1、65.3、127.4、127.7、128.2、136.1、136.8、156.1、171.8、172.5、205.2 ppm。
【0248】
10c−7−カルボキシヘプチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、実施例8dの手順を用いて、10bの生成物(0.70g;1.4mmol)、12MのHCl(0.12mL;1.4mmol)、10%のPd/C(100mg)、水素ガス、および2−プロパノール(25mL)から調製された。0.30g(70%)の生成物を得た(白色固体)。
【0249】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.28(6H、s)、1.4−1.7(4H、m)、2.20(2H、t、J=7Hz)、2.55(2H、t、J=6.2Hz)、2.81(2H、t、J=6.2Hz)、3.9−4.1(4H、m)、8.42(3H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.3、25.1、27.0、27.9、28.2、28.3、33.6、34.2、46.4、63.9、171.8、174.2、202.3 ppm。
【0250】
実施例11−8−カルボキシオクチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0252】
11a−ベンジル水素ノナンジオエートの調製
二酸ノナン(18.8g;0.10mol)、ベンジルアルコール(10.8g;0.10mol)、およびトルエン(200mL)中のp−トルエンスルホン酸(0.2g)の攪拌混合物を、ディーンスタークトラップを通して一晩還流させた。混合物を周囲温度に冷却し、10%の水性N−メチル−D−グルカミン(4×25mL)で抽出した。最後の抽出物は、乳白色のエマルジョンであった。最初の3つの抽出物を合わせ、1MのHCl(50mL)で酸性化し、濾過し、回収したノナン二酸(3.8g)を得た。エマルジョンを1MのHClで酸性化し、一晩分離させた。有機層を蒸発させ、残渣をヘキサン(200mL)およびジエチルエーテル(50mL)に溶解した。溶液を10%のN−メチル−D−グルカミン(2×50mL)で抽出した(少量のエタノールを添加することにより破壊されたエマルジョン)。有機溶液を水(1×25mL)で洗浄し、混合水溶液を1MのHCl(150mL)で酸性化した。ジクロロメタン−テトラヒドロフラン(4:1)(5×10mL)で抽出した後、混合抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させた。13.0g(47%)の生成物を得た(放置により固化した油状物)。
【0253】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.31(6H、br s)、1.5−1.8(4H、m)、2.25−2.4(4H、m);5.11(s、2H)、7.34(5H、s)、10.4(1H、br s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.6、28.8、34.0、34.2、66.1、128.1、128.4、136.0、173.5、179.9 ppm。
【0254】
11b−ベンジル9−ヒドロキシノナノエートの調製
11aの生成物(12.9g;46.3mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン(25mL)中のホウ化水素ナトリウム(1.70g;45.0mmol)の攪拌混合物に少しずつ添加した。水素の発生が治まった後、乾燥テトラヒドロフラン(15mL)中の三フッ化ホウ素ジメチルエーテル化合物(4.6mL;5.7g;50mmol)の溶液を滴下して添加した。発熱反応は、冷水浴で抑えられた。周囲温度で4時間攪拌した後、反応混合物を冷水(20mL)で加水分解した。混合物を分離し、有機相を蒸発させた。残渣を水(20mL)およびジクロロメタン(70mL)と混合し、一晩放置することにより分離したエマルジョンを得た。洗浄がpH紙に対して中性になるまで、有機相を水(4×15mL)で洗浄した。乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させた後、11.95g(98%)の生成物を得た(油状物)。
【0255】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.30(8H、br s)、1.4−1.75(4H、m)、2.34(2H、t、J=7.6);3.62(2H、t、J=6.6Hz)、5.10(2H、s)、7.34(5H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.9、25.6、29.0、29.1、32.6、34.3、63.0、66.0、128.0、128.4、136.0、173.6 ppm。
【0256】
11c−8−(ベンジルオキシカルボニル)オクチル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、手順Dにより、11bの生成物(1.1g;4.2mmol)、5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸(1.0g;3.8mmol)、4−ピロリジニルピリジン(60mg)、およびジクロロメタン(35mL)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,0.87g;4.2mmol)から調製した。反応時間は3日であった。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した85×45mmシリカゲル60カラムにより精製し、14×50mLの画分を収集した。生成物(4〜7)を含有する画分を蒸発させ、1.5g(77%)の生成物を得た。
【0257】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.24(8H、br s)、1.54(4H、重複したt、J=6.2Hz)、2.34(2H、t、J=7.2Hz)、2.48(2H、t、J=6.2Hz)、2.69(2H、t、J=6.2Hz)、3.89(2H、d、J=6Hz)、3.97(2H、t、J=6.6Hz)、5.04(2H、s)、5.08(2H、s)、7.35(10H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 23.6、24.3、25.0、27.2、27.9、33.3、33.6、49.6、63.8、65.1、65.3、127.5、127.6、127.7、128.1、128.2、136.1、136.8、156.2、171.9、172.5、205.3 ppm。
【0258】
11d−8−カルボキシオクチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、実施例8dの手順を用いて、11cの生成物(1.4g;2.7mmol)、12MのHCl(0.25mL;3.0mmol)、10%のPd/C(100mg)、水素ガス、および2−プロパノール(25mL)から調製された。0.54g(62%)の生成物を得た(白色固体)。
【0259】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.1−1.7(12H、m)、2.20(2H、t、J=7.4Hz)、2.54(2H、t、J=6.4Hz)、2.81(2H、t、J=6.4Hz)、3.9−4.1(4H、m)、8.40(3H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.4、25.1、27.0、28.0、28.4、28.5、33.5、34.2、46.4、63.9、171.8、174.2、202.3 ppm。
【0260】
実施例12−9−カルボキシノニル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0262】
12a−2,2,2−トリクロロエチル10−ヒドロキシデカノエートの調製
アルゴン下で、乾燥ジクロロメタン(15mL)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,2.41g;14.1mmol)の溶液を、10−ヒドロキシデカン酸(1.88g;10.0mmol)、2,2,2−トリクロロエタノール(6.13g;41.0mmol)および0℃(浴温)に冷却された乾燥ジクロロメタン(35mL)中のピリジン(4.1mL)の溶液に滴下して添加した。0℃で1時間攪拌した後、混合物を周囲温度で一晩攪拌した。反応混合物を減圧濾過し、酢酸(3mL)を濾液に添加した。30分間放置した後、混合物を再濾過し、濾液をジエチルエーテル(150mL)で希釈した。溶液を、1MのHCl(3×25mL)、水(3×25mL)、飽和NaHCO
3溶液(2×25mL)、および飽和NaCl溶液(1×25mL)で洗浄した。乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、蒸発させた後、残渣を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)で溶出した170×25mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、12×25mLの画分を収集した。画分3〜5を蒸発させ、過剰な2,2,2−トリクロロエタノールを除去するために、クーゲルロール装置で、残渣を、50℃および0.05mm Hgで減圧乾燥させた。2.1g(66%)の生成物を得た(無色の油状物)。
【0263】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.32(10H、br s)、1.4−1.8(5H、m)、2.47(2H、t、J=7.2Hz);3.63(2H、t、J=6.4Hz)、4.74(2H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.7、25.6、29.0、29.1、29.28、29.32、32.6、33.9、63.0、73.8、95.0、172.1 ppm。
【0264】
12b−2,2,2−トリクロロエチル10−[5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノイルオキシ]デカノエートの調製
この化合物は、手順Eを用いて、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸(1.00g;4.3mmol)、12aからの生成物(1.37g;4.3mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,1.03g;5.0mmol)、およびジクロロメタン(40mL)中のピリジン(2.0mL)から調製した。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:2)で溶出した100×50mmシリカゲル60カラムで精製し、16×50mLの画分を収集した。画分4〜9の蒸発により、1.6g(71%)の生成物を得た(帯黄色の油状物)。
【0265】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.31(10H、br s)、1.44(9H、s)、1.5−1.8(4H、m)、2.46(2H、t、J=7.2Hz)、2.6−2.8(4H、m)、4.0−4.1(4H、m)、4.74(2H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.7、25.7、25.8、27.8、28.3、28.5、28.9、29.2、29.3、32.7、33.9、50.3、64.9、73.8、95.0、171.9、172.3、204 ppm。
【0266】
12c−9−カルボキシノニル 5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
1モルのリン酸二水素カリウム(KH
2PO
4)溶液(4.0mL;4.0mmol)、続いて、亜鉛粉末(2.0g;30mmol)を、テトラヒドロフラン(25mL)中の12bからの生成物(1.50g;2.8mmol)の攪拌溶液に添加した。周囲温度で18時間攪拌した後、新しく少量の1MのKH
2PO
4溶液(5mL)および亜鉛(2.0g;30mmol)を添加した。5時間後にさらに1MのKH
2PO
4溶液(25mL)を添加し、混合物を周囲温度で一晩攪拌した。混合物を減圧濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄した。濾液中の酢酸エチルを蒸発させ、水溶液をジクロロメタン(4×5mL)で抽出した。混合抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、蒸発させた。1.04g(93%)の生成物を得た(淡い黄色のワックス状固体)。
【0267】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.30(10H、br s)、1.44(9H、s)、1.5−1.7(4H、m)、2.34(2H、t、J=7.4Hz)、2.6−2.8(4H、m)、4.0−4.1(4H、m) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.7、25.7、25.8、27.8、28.3、28.5、29.0、29.1、29.2、29.3、32.6、34.0、50.3、65.0;172.4、179.1 ppm。
【0268】
12d−9−カルボキシノニル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
アルゴン下で、周囲温度のジエチルエーテル中のHClの1.0M溶液(7.0mL;7.0mmol)を、酢酸エチル(10mL)中の12cからの生成物(1.0g;2.5mmol)の攪拌溶液に添加した。7時間後、過剰の溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(4×5mL)で粉砕した。残渣を、40℃および15mm Hgで一晩乾燥させ、0.11gの白色固体を得た。合わせたエーテル抽出物を蒸発させ、96%のエタノール(25mL)およびジエチルエーテル(5mL)中の1MのHClに溶解した。周囲温度で10日間攪拌した後、混合物を濾過し、前と同じように残渣をジエチルエーテルで粉砕し、0.22gの第2の収穫物を得た。LC−MS分析は、生成物が約30%の5−アミノ−4−オキソペンタン酸を含有したことを示し、混合収穫物は、アセトニトリル(100mL)、アセトニトリル(500mL)中2.5%のメタノール、アセトニトリル(500mL)中5%のメタノール、次いで、アセトニトリル(1000mL)中7%のメタノールで連続的に溶出される165×25mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製され、47×50mLの画分を得た。生成物を含有する画分を蒸発させ、残渣を水(10mL)に溶解した。溶液を一晩凍結乾燥させ、0.17g(20%)の生成物を得た(白色固体,mp98〜102℃,軟化,鋭いmpなし)。
【0269】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.26(10H、br s)、1.4−1.6(4H、m)、2.19(2H、t、J=7.4Hz)、2.54(2H、t、J=6.4)、2.81(2H、t、J=6.6Hz)、3.9−4.1(4H、m)、8.5(3H、br s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.4、25.2、27.0、28.0、28.4、28.48、28.54、28.6、33.6、34.2、46.4、63.9、171.8、174.1、202.3 ppm。
【0270】
実施例13−10−カルボキシデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0272】
13a−ベンジル11−ブロモウンデカノエートの調製
この化合物は、手順Bを用いて、11−ブロモウンデカン酸(2.65g;10.0mmol)、ベンジルアルコール(1.62g;15.0mmol)、およびトルエン(100mL)中p−トルエンスルホン酸(50mg)から調製された。3.62gの生成物を得て、これは、さらに精製することなく、13bに使用された。
【0273】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.27(12H、br s)、1.6−1.7(2H、m)、1.8−1.9(2H、m)、2.35(2H、t、J=7.4Hz);3.39(2H、t、J=6.8Hz);5.11(2H、s)、7.34(5H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.9、28.1、28.7、28.8、29.0、29.1、29.3、32.8、33.9、34.3、66.0、128.0、128.4、136.0、173.4 ppm。
【0274】
13b−10−(ベンジルオキシカルボニル)デシル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、手順Cにより、3aの生成物(0.96g;2.7mmol)および8bの生成物(1.0g;2.5mmol)から調製された。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した70×45mmシリカゲル60カラムにより精製し、13×50mLの画分を収集した。生成物(3)を含有する画分を蒸発させ、0.69g(47%)の生成物を得た(帯ピンク色固体,mp70〜72℃)。
【0275】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.23(12H、br s)、1.54(4H、br s)、2.34(2H、t、J=7.2Hz)、2.48(2H、m)、2.69(2H、t、J=6.2Hz)、3.89(2H、d、J=6.6Hz)、3.98(2H、t、J=6.2Hz)、5.04(2H、s)、5.08(2H、s)、7.35(10H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 23.6、24.3、25.2、27.2、28.0、28.3、28.5、28.7、33.4、33.6、49.6、63.8、65.1、65.3、127.5、127.6、127.7、128.1、128.2、136.1、136.8、156.2、171.9、172.5、205.3 ppm。
【0276】
13c−10−カルボキシデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、実施例8dの手順を用いて、13bの生成物(0.60g;1.1mmol)、12M HCl(0.09mL;1.1mmol)、10%のPd/C(100mg)、水素ガス、および2−プロパノール(25mL)から調製された。0.20g(51%)の生成物を得た(白色固体)。
【0277】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.1−1.7(16H、m)、2.19(2H、t、J=7.4Hz)、2.54(2H、t、J=6.4Hz)、2.81(2H、t、J=6.4Hz)、3.9−4.1(4H、m)、8.41(3H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.4、25.2、27.0、28.0、28.4、28.55、28.62、28.74、33.6、34.2、46.4、64.0、170.6、171.8、202.3 ppm。
【0278】
実施例14−11−カルボキシウンデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0280】
14a−2,2,2−トリクロロエチル12−ヒドロキシドデカノエートの調製
この化合物は、実施例12aの手順を用いて、12−ヒドロキシドデカン酸(2.0g;9.2mmol)、2,2,2−トリクロロエタノール(6.0g;40mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,4.1g;20mmol)、および乾燥ジクロロメタン(50mL)中のピリジン(5.0mL)から調製された。3.63g(66%)の生成物を得た(無色の油状物)。
【0281】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.28(14H、br s)、1.5−1.75(4H、m)、2.46(2H、t、J=7.6Hz);3.63(2H、t、J=6.4Hz)、4.74(2H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.7、25.7、28.6、29.0、29.1、29.2、29.4、32.7、33.9、62.9、73.8、95.0、172.0 ppm。
【0282】
14b−2,2,2−トリクロロエチル12−[5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノイルオキシ]ドデカノエートの調製
この化合物は、手順Eを用いて、5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタン酸(2.0g;8.6mmol)、14aの生成物(3.0g;8.6mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,2.1g;10.0mmol)およびジクロロメタン(75mL)中のピリジン(4.0mL)から調製された。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:3)で溶出した90×50mmシリカゲルカラムで精製し、13×50mLの画分を収集した。画分6〜11を蒸発させた後、1.44g(30%)の生成物を得た(帯黄色の油状物)。
【0283】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.28(14H、br s)、1.45(9H、s)、1.5−1.8(4H、m)、2.46(2H、t、J=7.4Hz)、2.6−2.8(4H、m)、4.0−4.1(4H、m)、4.74(2H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.7、25.8、28.3、28.5、29.1、29.2、29.3、29.4、29.5、33.9、34.3、50.3、64.9、73.8、74.1、95.0、172.0、172.3、204.1 ppm。
【0284】
14c−11−カルボキシウンデシル5−(Boc−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、実施例12cの手順に従い、同量の1M KH
2PO
4溶液および亜鉛粉末を用いて、テトラヒドロフラン(25mL)中の14bの生成物(1.38g;2.5mmol)から調製された。処理後、1.0g(93%)の生成物を得た(淡黄色の油状物)。
【0285】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.28(14H、br s)、1.44(9H、s)、1.5−1.7(4H、m)、2.33(2H、t、J=7.4Hz)、2.6−2.8(4H、m)、4.0−4.1(4H、m) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.7、25.8、28.3、28.5、29.0、29.2、29.3、29.4、32.6、34.0、50.3、65.0、172.4、178.9、204.3 ppm。
【0286】
14d−11−カルボキシウンデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
アルゴン下で、周囲温度のジエチルエーテル中のHClの1.0M溶液(5.0mL;5.0mmol)を、酢酸エチル(10mL)中の14cからの生成物(0.95g;2.2mmol)の攪拌溶液に添加した。5日後、混合物を濾過し、残渣をジエチルエーテル(2×5mL)で粉砕した。残渣を、40℃および15mm Hgで一晩乾燥させ、0.11gの白色固体を得た。合わせたエーテル抽出物を蒸発させた。LC−MS分析は、生成物が約25%の5−アミノ−4−オキソペンタン酸を含有したことを示し、混合収穫物は、アセトニトリル(1000mL)中3%のメタノール、アセトニトリル(1000mL)中6%のメタノール、次いで、アセトニトリル(2000mL)中9%のメタノールで連続的に溶出させる150×25mmシリカゲル60カラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製され、56×50mLの画分を収集した。生成物を含有する画分を蒸発させ、残渣を水(10mL)に溶解した。溶液を一晩凍結乾燥させ、0.06g(7.5%)の生成物を得た(白色固体,mp110〜115℃(軟化、鋭いmpなし))。
【0287】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.25(14H、br s)、1.4−1.6(4H、m)、2.19(2H、t、J=7.4Hz)、2.55(2H、t、J=6.2Hz)、2.80(2H、t、J=6.4Hz)、3.9−4.1(4H、m)、9.1(3H、br s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.4、25.2、27.0、28.0、28.4、28.5、28.6、28.8、33.6、34.1、46.4、64.0、171.8、174.2、202.4 ppm。
【0288】
実施例15−15−カルボキシペンタデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
【0290】
15a−ベンジル16−ヒドロキシヘキサデカノエートの調製
この化合物は、手順Bを用いて、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(2.45g;9.0mmol)、ベンジルアルコール(4.9g;45mmol)、およびトルエン(100mL)中のp−トルエンスルホン酸(100mg)から調製された。2.82gの粗生成物を得て、これは、予測された生成物と16−ヒドロキシヘキサデカン酸の2つの分子間のエステルの1:1の混合物であった。ベンジルアルコール(10g)中のNaH(約100mg)の溶液(前に乾燥ヘキサンで3回洗浄された)を、粗生成物に添加し、アルゴン下で3時間、混合物を100℃(浴温)で攪拌した。周囲温度に冷却した後、混合物をジクロロメタン(75mL)で希釈し、10%の水性クエン酸溶液(1×10mL)で洗浄し、乾燥させた(Na
2SO
4)。濾過し、蒸発させた後、クーゲルロール装置を用いて、残渣を50℃(浴温)および0.014mm Hgで減圧乾燥させた。2.56g(76%)の生成物を得た(白色固体)。プロトンNMRは、約10%の二量体エステルが残存していたことを示した。
【0291】
1H NMR(200MHz;CDCl
3):δ 1.25(22H、br s)、1.55−1.65(4H、m、J=7.6Hz)、1.9(1H、br s)、2.35(2H、t、J=7.4Hz);3.63(2H、t、J=6.6Hz);5.11(2H、s)、7.34(5H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;CDCl
3):δ 24.9、25.7、28.9、29.1、29.2、29.4、29.6、32.8、34.3、63.0、66.0、128.0、128.2、128.4、136.0、173.6 ppm。
【0292】
15b−15−(ベンジルオキシカルボニル)ペンタデシル5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタノエートの調製
この化合物は、手順Dにより、15aの生成物(1.2g;3.2mmol)、5−(Cbz−アミノ)−4−オキソペンタン酸(0.84g;3.2mmol)、4−ピロリジニルピリジン(50mg)、およびジクロロメタン(35mL)中のN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(0.50g;4.0mmol)から調製された。反応時間は3日であった。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)(1000mL)で溶出した85×55mmシリカゲル60カラムにより精製し、13×50mLの画分を収集した。生成物(3〜6)を含有する画分を蒸発させ、0.57g(29%)の生成物を得た(白色固体,mp78〜81℃)。
【0293】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.24(22H、br s)、1.54(4H、br s)、2.33(2H、t、J=7.4Hz)、2.48(2H、br s)、2.68(2H、br s)、3.88(2H、br s)、3.98(2H、br s)、5.04(2H、s)、5.08(2H、s)、7.34(10H、s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.4、25.3、27.4、28.1、28.3、28.6、28.9、33.5、33.8、49.8、63.9、65.2、65.5、127.4、127.6、127.7、128.1、128.2、136.9、171.8、205.2 ppm。
【0294】
15c−15−カルボキシペンタデシル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩の調製
この化合物は、実施例8dの手順を用いて、15bの生成物(0.45g;0.74mmol)、12MのHCl(0.062mL;0.74mmol)、10%のPd/C(100mg)、水素ガス、および2−プロパノール(25mL)から調製された。0.06g(19%)の生成物を得た(白色固体)。
【0295】
1H NMR(200MHz;DMSO−d
6):δ 1.1−1.7(28H、m)、2.25(2H、m)、2.52(2H、m)、2.82(2H、m)、3.9−4.1(4H、m)、8.43(3H、s)、12.1(1H、br s) ppm。
13C NMR(50MHz;DMSO−d
6):δ 24.4、25.3、27.0、27.2、27.6、28.0、28.4、28.6、28.9、33.6、34.2、46.4、63.9、171.8、174.1、202.3 ppm。
【0296】
実施例16−健康なヌードマウスにおけるインビボ皮膚蛍光研究
皮膚用途のために光増感剤の前駆体としての本発明の化合物の可能性を評価するために、研究が行われた。そのため、本発明の化合物は、皮膚に浸透し、皮膚の細胞によって取り込まれ、光増感剤に変換される必要がある。このプロセスの結果は、光増感剤分子を励起する光に皮膚を曝露し、励起された光増感剤分子がエネルギー的により低い状態に緩和されるときに蛍光の形態で放出されるエネルギーの量を決定することによって可視化される。
【0297】
本発明の以下の化合物は、健康なヌードマウスの皮膚で試験された。
化合物2:1−(イソプロピルカルボキシ)エチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩(実施例2に従い調製)
化合物4:2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩(実施例4に従い調製)
化合物7:(4−カルボキシフェニル)メチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩(実施例7に従い調製)
上記の化合物2、4、および7は、Unguentum Merckにおいてクリームとして製剤化された。化合物は、等モル量で試験された。
16%(160mg/g)の化合物2
16%(160mg/g)の化合物4、および
19%(190mg/g)の化合物7。
【0298】
3つのマウス群(5匹のマウス/群、1群の各マウスは、同じクリーム製剤を施された)が実験に含まれた。約100μlのクリーム製剤が1匹のマウスの背部に適用された。光退色を避けるために、皮膚蛍光測定の前にマウスを6時間暗所に保持した。皮膚蛍光を評価するために、蛍光カメラ(Medeikonos PDD/PDT,Medeikonos AB,Gothenburg,Sweden)を使用し、各マウスの背部の画像を撮影した。365および405nmの波長および2秒の照明時間で、励起を行った。各画像は、蛍光標準(Uranyl Standard,J&M,Analytische Mess−und Regeltechnik GmbH,Hamburg,Germany)に較正され、背景蛍光に調節された。各画像の皮膚蛍光の平均量は、画像分析器−ソフトウェア(MatLab7.2.0.232,Math−Works,Natick,MA,USA)の手段によって計算され、各マウス群(5匹/化合物)の皮膚蛍光の平均量が計算された。
【0300】
試験した3つ全ての化合物は、化合物2の1−(イソプロピルカルボキシ)エチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩が最も高い蛍光レベルを示す皮膚蛍光をもたらした。
【0301】
実施例17−ミニブタにおけるインビボ皮膚蛍光研究
化合物1c(カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩、実施例1cに従い調製)は、Unguentum Merckにおいてクリームとして製剤化された(15%,150mg/g;0.56mmol)。
【0302】
クリームは、ミニブタの背部の皮膚に施された。クリームを適用する前に、周囲の皮膚は、必要な場合、滅菌水およびガーゼで洗浄された。均質なクリーム層をもたらすように0.5gのクリームを各試験部位(直径50mm)に適用し、その後、ドレッシング(Tegaderm(登録商標))で覆った。ドレッシングを定位置に保持するためにガーゼVet−Flex(登録商標)を使用した。
【0303】
630nmでの皮膚蛍光は、クリームを施す前、ならびに製造者の指示に従い、FluoDerm機器(DiaMedico ApS,Denmark)を用いて、クリームを施した1.5、5および12時間後に評価された。FluoDerm機器は、直径40mmの円形視野にわたって平均蛍光の客観的リアルタイムインビボ測定を行うための手持ち式のデバイスである。測定は、実際の周辺光に対して電子的に補正された。結果を
図1に示す。
【0304】
結果:
図1に見られるように、皮膚蛍光は時間と共に増加した。
【0305】
皮膚の生検:
クリームは上述のように施された。t=0(すなわち、クリームを施す前)、1.5、5、および12時間で、10mmの生検パンチ(AcuPunch 10mm,Acuderm,USA)を用いて生検試料を採取した。試料を採取し、最小限に照明された部屋で取り扱った。各試料はいかなる皮下脂肪組織も含まないように縁取りされ、その後半分に切断された。次いで、各試料を、アルミニウム箔の袋または類似物の中で、液体窒素で急速凍結し、−80℃の冷凍庫に移した。
【0306】
生検試料を、10μmに分け、同様に、周辺光を最小限にするための注意が払われた。脂腺および表皮が特定できる場合、一連の3つの連続した部分を各試料から準備した。通常の光学顕微鏡および蛍光顕微鏡の両方用に装備されたLeica DMRXE顕微鏡において、その部分を15分以内に検査した。従来の光学顕微鏡を用いて表皮および脂腺が局在化された。これは、5秒以内に行われ、次いで、光源は、フィルタセット;励起フィルタ390〜447nm、ビームスプリッタ455nmおよび発光フィルタ>600nmを備える水銀ランプ/蛍光に交換された。この部分は直ちに撮影された。検体を移動することなく、光源を、従来の光学顕微鏡に交換し戻し、この部分を、蛍光顕微鏡と全く同じ位置で撮影した。表皮および脂腺と同様に、真皮を分析し、蛍光が見つかった場合、同じく撮影した。分析した全ての構造の局在化をさらに検証するために、この部分をヘマトキシリン/エオシンで染色した。
【0307】
画像分析は、ImageJ(バージョンFiji−win32.exe)のソフトウェアプログラムを用いて実施された。このプログラムを用いて、保存した画像からピクセル当たりの平均蛍光強度を測定した。
【0308】
結果:
1.5時間後、蛍光は脂腺において既に見ることができ、5時間後、蛍光は表皮においても見られた。化合物1cは、よって、脂腺に対して選択性を示し、したがって、座瘡、毛孔性角化症、皮脂過形成、脂腺癌、または脂腺腫等の脂腺に影響を及ぼす疾患の光線力学的治療に有用であり得る。
【0309】
実施例18−健康なヌードマウスおよびUV損傷皮膚を有するヌードマウスにおけるインビボ 皮膚蛍光研究
UV損傷皮膚において選択的蓄積を示す化合物6の可能性を評価するために実験を行った。評価のために、化合物の適用後に皮膚蛍光が健康なマウスの皮膚およびUV損傷マウスの皮膚においてインビボで測定された。UV損傷皮膚(日射損傷)を有するヌードマウスモデルは、K.Togsverd−Bo et al.,Exp.Dermatol.2012,21,260−264に記載される通りに確立された。
【0310】
等モル量の化合物2(実施例2に従い調製された1−(イソプロピルカルボキシ)エチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩)および化合物5(実施例5に従い調製された3−カルボキシプロピル5アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩)は、Unguentum Merckにおいてクリームとして製剤化された:それぞれ、化合物2:16%,160mg/gおよび化合物5:14%,140mg/g。
【0311】
健康なヌードマウスの1群(10匹のマウス、対照群)およびUV損傷皮膚を有するヌードマウスの1群(10匹)が実験に含まれた。約125μlのクリーム製剤が各マウスの背部に適用された。クリームの適用前に、各マウスの背の皮膚は、化合物の浸透を向上させるために5回テープストリップされた。接着フィルム(スコッチテープ,3M)を適用領域の皮膚に押圧し、テープストリップを1回素早く動かし、新しいテープストリップが使用された。光退色を避けるために、皮膚蛍光測定の前にマウスを3時間暗所に保持された。実施例17に記載されるように皮膚蛍光を評価し、各マウス群の皮膚蛍光の平均量が計算された。
【0312】
結果:
UV損傷マウスの皮膚の皮膚蛍光[a.u]に対する健康なマウスの皮膚における皮膚蛍光[a.u.]の比率が決定された。
【0313】
化合物2の比率は1.14であるが、化合物5の比率は2.72であった。よって、化合物2は、UV損傷皮膚にある程度の選択性を示すが、化合物は、UV損傷皮膚に顕著な選択性を示す。
【0314】
実施例19−細菌におけるPDT有効性
光線力学的反応を介して細菌を死滅させるための、本発明に従う様々な化合物の有効性は、グラム陽性菌スタヒロコッカス・アウレウスにおいて検証された。
【0315】
本発明の以下の化合物が試験された。
化合物1c:カルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩(実施例1cに従い調製)
化合物4:2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩(実施例4に従い調製)
細菌株:S.アウレウス株DSM 20231(ATCC 12600)。実験を行う前に細菌株を、35〜37℃で、心臓浸出液寒天(Difco)上で24時間成長させ、McFarland 0.5標準液に対応する濃度(約1−5×10
8CFU/mL)の20mMのPIPES,pH7.2〜7.4に再懸濁した。生存細胞培養を確実にし、接種サイズおよび純度をチェックするために、細菌のストックは、実験の直前に作製され、CFU/mLは、標準コロニーアッセイにおいて決定された。
【0316】
暗所毒性:「暗所毒性」、すなわち、 光の不在下での化合物の毒性作用(したがって、PDT作用とは無関係)は、細菌細胞死を含み得、したがって、同様に細菌細胞死をもたらすPDT作用の正確な測定を妨げる可能性がある。暗所毒性は、同じ実験条件下であるが、光の不在下で各化合物の毒性を決定し、それによって、いずれのPDT作用を回避することにより測定され得る。低暗所毒性を生じさせる条件下で本発明の化合物を使用することは、暗所毒性作用が非標的細胞を害するまたは死滅させ、PDT治療自体に干渉することも含み得るため、有利である。これらの留意事項を考慮して、PDT媒介細菌細胞死滅に使用するための最適な薬剤は、低い暗所毒性と、標的細菌細胞を死滅させるために光線力学的作用を誘発する高い効力の両方を示すべきである。
暗所毒性は、プレートが照明されなかったことを除き、以下の「PDT治療」の段落に記載されるように決定される。続いて、マイクロプレートアッセイが以下に記載されるように行われた。
【0317】
化合物1cおよび4の暗所毒性は、0.001、0.1、1、および10mMの濃度で試験された。暗所毒性はこれらの濃度のうちのいずれにおいても観察されなかった。
【0318】
PDT治療:化合物1cおよび4のストック液は、100mMのDMSOにおいて作製された。実験前に、0.01mM、0.1mM、および1mMの濃度を得るために、0.02mLのDMSO(対照)または化合物2および3のストック液を、VisiPlates−24のウェルにピペットで入れた。各ウェルに2mLの細菌ストック培養液を添加し、自動ピペットを用いて混合した。全てのウェルは、最終濃度が1%のDMSOを含有した。4時間のインキュベーション後、プレートを32分間赤色光(Aktilite(登録商標)CL128ランプ)で照明した(光線量148J/cm
2)。全ウェルへの均一な照明を実現するために、プレートは、ランプが適用される領域内で小さな円運動をさせながら下から(平坦な底のウェル)照明された。
【0319】
マイクロプレートアッセイ:照明後、ウェルの内容物全てをエッペンドルフチューブに移し、0.1mLの内容物をマイクロプレートのウェルに再導入した。成長曲線を生成するために、再導入した接種材料に1.5mLの心臓浸出液ブロス(Difco)を添加した。全ての移行は、ピペティングにより内容物を十分に混合しながら進められた。
【0320】
Victor 1420 Multilabel Counter(Perkin Elmer,Turku,Finland)の温度機能を適用することにより、プレートを37±1℃でインキュベートした。成長曲線は、細菌細胞が対数成長期に入るまで規則的な間隔で、595nmで吸光度を測定することにより生成された。測定は、Multilabel Counterによって自動的に行われた。
【0321】
生データは、細菌細胞が対数成長期に入る接種後の時間(すなわち、遅延期の長さ)を決定するために、半対数軸上(時間に対するlog10吸光度(1単位=15分))にプロットされた。遅延期の長さは、生存細胞の数に依存し、光線力学的治療の有効性に比例して増加する。
【0322】
結果:
結果は
図2に示され、両化合物が、S.アウレウス菌を死滅させるのに有効であり、細菌細胞の再成長を効果的に遅延させることができることがこの図から見られる。
【0323】
実施例20−エームズ試験
エームズ試験(B.N.Ames et al,Methods for detecting carcinogens and mutagens with the Salmonella/mammalian−microsome mutagenicity test.Mutation Research 31,347−364,1975を参照)は、試験化学化合物がある特定の細菌株において変異を誘発する能力を検出するための、規制機関によって承認された標準的な試験法である。試験化学化合物がそのような変異を誘発する場合、ヒトにおいて使用するための医薬化合物に使用することができない。
【0324】
この研究の目的は、ラット肝臓代謝系(S−9)の不在下および存在下において、また可視光の不在下および存在下において、サルモネラ・ティフィムリウムTA98およびTA100の2つのヒスチジン要求性株を回復させるその能力を検査することにより、化合物1cのカルボキシメチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩(実施例1cに従い調製)の変異原性の可能性および光変異原性(photomutagenic)の可能性を評価するためであった。後者は、化合物1cが細菌細胞によって取り込まれ、前述の細胞の照明により変異原性生成物を誘発する可能性がある光増感剤に変換されたため、評価された。
【0325】
結果は、この研究に採用された条件下で試験されたときに、サルモネラ・ティフィムリウムのこれらの2つの株において、化合物1cが変異または光変異(photomutation)を誘発しなかったことを示す。
【0326】
実施例21−癌細胞におけるインビトロPpIX蛍光研究
光増感剤の前駆体としての本発明の化合物の可能性を評価するために、研究が行われた。そのため、本発明の化合物は、細胞によって取り込まれる必要があり、光増感剤、すなわち、PpIXに変換される必要がある。このプロセスの結果は、PpIX分子を励起する光に細胞を曝露し、励起されたPpIX分子がエネルギー的により低い状態に緩和されるときに蛍光の形態で放出されるエネルギーの量を決定することによって可視化される。
【0327】
本発明の以下の化合物が試験された。
化合物5(実施例5に従い調製された3−カルボキシプロピル5アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩)
化合物9(実施例9に従い調製された5−カルボキシペンチル5−アミノ4−オキソペンタノエート塩酸塩)
化合物10(実施例10に従い調製された7−カルボキシヘプチル5−アミノ4−オキソペンタノエート塩酸塩)
化合物12(実施例12に従い調製された9−カルボキシノニル5−アミノ4−オキソペンタノエート塩酸塩)
化合物14(実施例14に従い調製された11−カルボキシウンデシル5−アミノ4−オキソペンタノエート塩酸塩)
化合物15(実施例15に従い調製された15−カルボキシペンタデシル5−アミノ4−オキソペンタノエート塩酸塩)
以下の化合物は、参照化合物として使用された。
5−ALA塩酸塩(ALA)
5−ALAヘキシルエステル塩酸塩(HAL)
上記の化合物のストック液は、100mMの濃度にそれらをDMSOに溶解することにより調製された。実験に使用された濃度は、ストック液をPBSまたは細胞培養培地で希釈することにより得られた。
【0328】
細胞培養ならびに細胞の化合物および参照物による治療
直腸S状結腸の原発性腺癌に由来するWiDr細胞を、10%のウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、および1%のグルタミンを含有するRPMI 1640培地(Gibco)中で継代培養した。1週間に2回、細胞を1:100に分け、湿潤環境において、37℃および5%のCO
2で維持した。実験を行うために、上述の2mlの培地中の5×10
5WiDr細胞を、6−ウェルプラスチック製組織培養プレート(Nunc)の各ウェルに添加し、基質に適切に付着させるために、湿潤環境において、37℃および5%のCO
2で48時間放置した。次いで、細胞を、血清を含まないRPMI 1640培地で2回洗浄し、続いて、2つ組で、2mlの新しい培養培地中の上記の化合物および参照物を0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、および1mMの最終濃度に適切に希釈したウェルに添加した。2つのウェルには、2mlの新しい培養培地のみが添加された。これらの未処理の細胞は、対照として機能する。細胞を、37℃で4時間、暗所でインキュベートした。
【0329】
暗所毒性:
暗所毒性、すなわち、光の不在下での細胞毒性は、様々な濃度の化合物および参照物を用いた上記の4時間のインキュベーション直後に、MTSアッセイにより測定された。ALA塩酸塩および化合物5、9、10、12、および14に関して、細胞毒性は、試験をした濃度のいずれにおいても観察されなかった。ヘキシルエステル塩酸塩に関して、弱い細胞毒性が85%の最小細胞生存率で0.3〜1mMの範囲で観察された。化合物15は、0.1mMを超える濃度で毒性であった。
【0330】
PpIX形成:
上述の本発明の化合物および参照化合物で処理した後、細胞をPBSで2回洗浄し、Costar細胞スクレーパで基質を50%のメタノール中の1M HClO
4の溶液中にこすり落とした。細胞残屑を遠心分離により除去した。PpIXは、この手順で細胞から定量的に抽出された。各試料中のPpIX含量は、Perkin Elmer LS50B分光蛍光計を用いて蛍光定量的に決定された。PpIXは407nmで励起され、放出された蛍光は、ロングパスカットオフフィルタ(530nm)を用いて、放出側で、606nmで測定された。合計蛍光を50〜100%増加させる濃度で、既知の標準PpIX濃度が試料に添加された。各試料中のPpIX濃度は、ビシンコニン酸タンパク質アッセイにより測定される、対照細胞中のタンパク質含量に対して計算された。
【0332】
結果は、試験した全ての化合物が癌細胞において有用な光感作剤である、すなわち、癌の光線力学的治療に使用される可能性を有し、試験した全ての化合物が癌細胞においてPpIXに変換され、最大のPpIXが形成された濃度が細胞に毒性ではない、すなわち、そのような濃度で暗所毒性が観察されなかったことを示した。傾向としては、最大PpIX濃度が長鎖化合物の低濃度で生じる傾向がある。
【0333】
実施例22−ラット膀胱細胞におけるインビトロPpIX蛍光研究
5−ALAヘキシルエステル塩酸塩(HAL)は、Hexvix(登録商標)の活性成分であり、膀胱における癌の光線力学的検出のための市販の薬物である。調査研究は、膀胱癌の光線力学的治療のためのHexvix(登録商標)の使用も示す。HALは、膀胱癌細胞においてPpIXに変換され、その特有の蛍光によって検出され得る。Hexvix(登録商標)の開発における初期研究は、ヒト膀胱細胞および組織のモデルとして、ラットの膀胱細胞および組織において行われた。この研究は、膀胱において使用することができる光増感剤の前駆体としての本発明の化合物の可能性を評価する第1のステップとして行われた。そのような第1のステップでは、化合物の適切な濃度は、化合物のPpIX蛍光をHALのものと比較することにより、インビトロで確立された。その結果に基づき、さらなるインビボ研究の濃度が確立される。
【0334】
以下の化合物が試験された。
化合物4:2−カルボキシエチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート臭化水素酸塩(実施例4に従い調製)
化合物5:(実施例5に従い調製された3−カルボキシプロピル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩)
化合物8:実施例8に従い調製された2−カルボキシブチル5−アミノ−4−オキソペンタノエート塩酸塩)
5−ALAヘキシルエステル塩酸塩(HAL)は、参照化合物として使用された。
【0335】
膀胱細胞におけるPpIX測定:
ラットの膀胱細胞(AY−27)を、培養培地(9%のウシ胎児血清、1%のL−グルタミン(200mM)、および1%のペニシリン(10 000UI)、ストレプトマイシン(10000μg.mL
−1)で補足されたRPMI 1640)中で成長させた。指数関数的に成長する細胞(AY−27)を、新しく調製した0.8mMのHAL溶液(ヒト患者において膀胱癌の検出に使用される濃度の10分の1)および3〜15mMの濃度で(下の表を参照)新しく調製した化合物4、5、および8の溶液と共に2時間インキュベートした。対照細胞は、いずれの試験または参照化合物を含まない無血清培地を受けた。インキュベーション後、溶液または培地を廃棄し、細胞を氷冷PBSで2回すすいだ。エタノール/DMSO/酢酸(80/20/1,v/v/v)からなる氷冷溶解抽出混合物を使用して、PpIXを細胞から抽出した。細胞可溶化物を遠心分離し(400g、10分、2℃)、ペレットを粉砕し、遠心分離する前に懸濁液を15分間音波処理した。PpIXの蛍光シグナルは、Perkin−Elmer LS 55分光計(Perkin−Elmer,Beaconsfield,UK)で測定され、タンパク質含量の画分として表された。各試料における635nmでの蛍光強度は、上述の抽出混合物中に希釈されたPpIX(Sigma−Aldrich,France)を用いて確立された較正曲線について報告された。PpIX濃度は、タンパク質含量に対して表された。簡潔に、溶解緩衝混合物(1mMのEDTA、1%のTriton X−100、および10mMのTris−HCl;pH7.4)を、DMSO中500mMのPMSF(抗プロテアーゼ)溶液と共に凍結細胞皿に添加された。可溶化物を氷上に30分間維持し、4℃で20分間、15000gで遠心分離した。次いで、Lowryによって開発された方法に基づくBiorad DCタンパク質アッセイキットBio−Rad,France)により、BSA較正曲線に対してタンパク質含量を測定した。
【0336】
全ての実験は、抑えた光下で、4〜5つの複写物で実施された。≧1mMの化合物の濃度に関して、細胞毒性は、MTT試験により評価された。指数関数的に成長する細胞を、96ウェルプレート中で、2時間、上述の新しく調製した溶液または培地と共にインキュベートした。インキュベーション後、溶液または培地を廃棄し、細胞をPBSで2回洗浄した。次いで、50μlのMTT(2.5mg.ml
−1)を、ウェル当たり150μlのRPMI無血清培地に添加し、3時間インキュベートした。吸光度は、ホルマザン結晶を50μlのDMSOに溶解することにより測定された。吸光度は、対照細胞の吸光度に正規化された。
【0338】
参照として使用されたHALは、約304pmoleのPpIX/mgタンパク質を生成し、15%の許容される細胞毒性レベルであったことが表から見られる。
【0339】
化合物4は、ほぼ同じ濃度(1mM)のHALと比較して、大幅に低いPpIX濃度を誘導した。約6倍の濃度(すなわち、5mM)で、HALのほぼ半分のPpIX濃度が得られた。高濃度で、細胞毒性が誘発された。
【0340】
化合物5および8は、比較可能な濃度(すなわち、1mM)および5mMでHALと類似するPpIX濃度を誘導した。細胞毒性のレベルも、1mMで比較可能であり、許容された。よって、化合物5および8は、膀胱においてPDDおよびPDTの光増感剤の前駆体として使用するための有望な候補である。
【0341】
pH実験:
膀胱は低pHに感受性であり、一方、本発明の化合物(および一般的にALA−エステル)は、高pHでピラジンを形成する。よって、本発明の化合物の溶液は、膀胱が容認できないpHとなってはならない。培地のpHに対する試験化合物の作用は、1、5、および25mMの濃度で化合物をRPMI 1640培地に添加し、続いてpHを測定することにより試験された。1mMの化合物は、培地のpHを変えないが、5および25mMの化合物は、pHを、それぞれ、7.5から7.1および5.5に変えたことが分かった。データをプロットすることにより、15mMの化合物が補間によりpH6.0となるであろうことが分かった。pH6未満で、膀胱における有害作用(収縮など)が生じる可能性がある。15mMは、インビボ研究の10mMの予測された濃度より十分に高い(HALでの実験、およびインビトロ濃度の10倍がインビボで使用されるという過程に基づく)。