【実施例】
【0044】
B10細胞をin vivoで調節するシグナルを同定するために、B細胞機能に影響することが知られているサイトカインとともに精製B細胞を培養した。IL-21による刺激は2.7から3.2倍高いB10細胞頻度及び4.4から5.3倍高いIL-10分泌(p<0.01)を48及び72時間でそれぞれ誘発したが、IL-4、6、10、12、23又は27は誘発しなかった。一方、インターフェロン-γ(IFN-γ)又は形質転換成長因子-β(TGF-β)はIL-10
+B細胞頻度を56%低下させた(p<0.05;
図1A)。実際、IL-21は、in vitro刺激を必要としないでB10細胞のIL-10産生を誘発し(
図5A)、さらにB細胞のIL-10分泌をリポ多糖類(LPS)刺激と類似するレベルで誘発した(
図1A)。IL-21はまた、脾臓CD1d
hiCD5
+B細胞サブセット内のIL-10
+B 細胞の3倍増加(B10pro及びB10細胞が濃縮されている)を誘発したが、CD1d
loCD5
-サブセットでは有意な数のIL-10
+B 細胞の誘発をもたらさなかった。細胞をサイトカインだけで培養したときは、48又は72時間アッセイでB細胞分裂は存在するとしてもほとんど検出できなかった。B細胞増殖の誘発のためにマイトジェン(例えば抗IgM抗体又はLPS)を添加したときでさえ、48時間ではなお増殖はほとんど認められなかったが、ただしB10細胞は72時間でもっとも増殖性の高い細胞である。IL-21はB10細胞生存を促進しなかったが、その代わりに非B10細胞のアポトーシスを加速し、一方でB10細胞はもっぱら傷つけられずに残った。最終的な結果は、B10細胞数は、他のサイトカインと比較してIL-21によって優先的に増加するということであった。これと一致して、IL-21は状況依存態様でB細胞アポトーシス又は分化を誘発し、in vitro分化及びより完全に活性化したB細胞の増加を駆動する。以下を参照されたい:Spolski, R. & Leonard, W. J. Interleukin-21: basic biology and implications for cancer and autoimmunity. Annu Rev Immunol 26, 57-79, 2008;及びOzaki, K. et al. Regulation of B cell differentiation and plasma cell generation by IL-21, a novel inducer of Blimp-1 and Bcl-6. J. Immunol. 173, 5361-5371, 2004。IL-21はまたT細胞IL-10産生の強力な誘発因子であることが知られており、T細胞由来IL-21はB細胞エフェクター機能で多数の重要な役割を果たす。B10及び非B10細胞の両方が細胞表面IL-21受容体(IL-21R)を同様なレベルで発現した(
図1C)。これにもかかわらず、ex vivoにおけるB10及びB10+B10pro細胞及びCD1d
hiCD5
+B細胞数は、IL-21R欠損(IL-21R
-/-)、野生型、MHC-II
-/-及びCD40
-/-マウスで類似していた(
図5B−D)。しかしながら、IL-21R発現は、EAE誘発のためのミエリン稀突起神経膠細胞糖タンパク質ペプチド(MOG
35-55)免疫に続くB10細胞増加に必要であった(
図1D)。したがって、IL-21Rが発生させたシグナルはin vivo及びin vitroでのB細胞IL-10分泌を誘発し、in vivoでのB10細胞増加に必要であった。
【0045】
B10細胞がそれらの調節性機能のin vivo誘発のためにIL-21を必要とするか否かを、MOG
35-55免疫によるEAE誘発の前にCD19
-/-マウスへIL-21R
-/-B細胞を養子移入することによって決定した。CD19
-/-マウスはB10細胞欠損であるので(
図1D)、それらのEAE疾患の重症度は悪化する(
図2A)。野生型CD1d
hiCD5
+B細胞の養子移入はCD19
-/-マウスにおけるEAE重症度を標準化させた。対照的に、IL-10
-/-若しくはIL-21R
-/-マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞又は野生型CD1d
loCD5
-非B10細胞の移入は疾患を改変させなかった。CD4
+T細胞はIL-21の主要な供給源であるので、我々は、同族B10-T細胞相互作用がまたEAEのB10細胞媒介抑制を制御するか否かを決定した。MOG免疫前におけるMHC-II
-/-又はCD40
-/-マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞のCD19
-/-マウスへの移入はEAE疾患重症度を軽減しなかった(
図2A下段右の2つのパネル)。IL-21R
-/-、CD40
-/-又はMHC-II
-/-マウス由来のCD1d
loCD5
-B細胞もまた影響を示さなかった。EAEはまた、CD20mAbによって成熟B細胞を枯渇させた野生型マウスで悪化した。しかしながら、CD20
-/-マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞の移入はこのモデルにおける疾患重症度を標準化したが、ただしMHC-II
-/-CD20
-/-マウス由来のものは標準化をもたらさず、CD20
-/-又はMHC-II
-/-CD20
-/-マウス由来のCD1d
loCD5
-B細胞は影響を示さなかった(
図2B)。同様に、野生型マウス由来のin vitro活性化CD1d
hiCD5
+B細胞の養子移入は、野生型マウスでEAE重症度を顕著に軽減させ、一方、活性化MHC-II
-/-CD1d
hiCD5
+又は野生型CD1d
loCD5
-B細胞は影響を示さない(
図2C)。したがって、調節性B10細胞機能はIL-10発現、IL-21RシグナリングをCD40及びMHC-II相互作用と同様に必要とし、それによって抗原特異的B10細胞のエフェクター機能が潜在的に説明される。
【0046】
活性化CD1d
hiCD5
+B細胞によって産生されるIL-10はin vitroにおける抗原特異的CD4
+T細胞のIFN-γ及びTNF-α発現を阻害する。同族B10-T細胞相互作用がin vivoにおける抗原特異的T細胞増殖を調節するか否かを決定するために、B10細胞機能をMOG
35-55免疫CD19
-/-マウスで評価した(前記D19
-/-マウスは、MOG
35-55ペプチドに特異的な抗原受容体(TCR
MOG)を発現するトランスジェニックマウスに由来する染料標識CD4
+T細胞の養子移入が実施されていた)。以下を参照されたい:Bettelli, E. et al. Myelin oligodendrocyte glycoprotein-specific T cell receptor transgenic mice develop spontaneous autoimmune optic neuritis. J. Exp. Med. 197, 1073-1081, 2003。ナイーブ野生型マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞は、in vivo染料稀釈によって測定したとき、TCR
MOGCD4
+T細胞の増殖を有意に低下させた(
図3A)。EAEを示すマウスから得られたCD1d
hiCD5
+B細胞は一層強力なT細胞増殖阻害因子であったが、一方、野生型マウス由来CD1d
loCD5
-B細胞又はIL-10
-/-、IL-21R
-/-、CD40
-/-若しくはMHC-II
-/-マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞は作用を示さなかった。ナイーブ又は抗原経験歴を有する野生型マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞は、MOG
35-55免疫CD19
-/-マウスでTCR
MOGCD4
+T細胞のIFN-γ及びIL-17産生を有意に低下させたが、一方、IL-10
-/-、IL-21R
-/-、CD40
-/-若しくはMHC-II
-/-マウス由来のCD1d
hiCD5
+B細胞は低下させなかった(
図3B)。T細胞のIL-17産生を阻害するB10細胞の能力は特に重要である。なぜならば、病理原性T
H17T細胞はEAEを誘発し、IL-21を産生することができるからである。MOG
35-55誘発EAEを有するマウスから単離されたT濾胞性ヘルパー細胞の大半はIL-21を発現し、CD19
-/-マウスはT濾胞性ヘルパー細胞を有する(
図6)。したがって、B10及びT細胞は、抗原特異的疾患の最適な調節のためにレシプロカルなIL-10及びIL-21産生中に緊密な相互作用を要求するかもしれない(
図3C)。
【0047】
T濾胞性ヘルパー細胞はおそらくIL-21の供給源であるけれども、これまでのところB10細胞が胚中心構成成分であることを指し示すものは存在せず、ほとんどのデータはこの考えに反対を唱えている。第一に、B10細胞BCRは主として生殖細胞系列であり、適度な頻度のIgV
H及びIgV
L変異を含む(Maseda, D. et al. Regulatory B10 cells differentiate into antibody-secreting cells after transient IL-10 production in vivo. J. Immunol. 188, 1036-1048, 2012)。第二に、B10細胞数は、EAE誘発中の初期に胚中心発生前に増加する(Matsushita, T., Horikawa, M., Iwata, Y. & Tedder, T. F. Regulatory B cells (B10 cells) and regulatory T cells have independent roles in controlling EAE initiation and late-phase immunopathogenesis. J. Immunol. 185, 2240-2252, 2010)。第三に、B10細胞GL-7発現は脾臓の濾胞性B細胞に類似し、GL-7
high胚中心B細胞には類似しない(Matsushita, 2010)。さらにまた、B10pro+B10細胞数の劇的な増加を示すトランスジェニックマウスの特徴は、胚中心が存在せず免疫後ですらB細胞アイソタイプスイッチングもほとんど存在しないということである(Poe, J. C. et al. Amplified B lymphocyte CD40 signaling drives regulatory B10 cell expansion in mice. PLoS ONE 6, e22464, 2011)。これらのマウスのB10細胞はまた脾臓の辺縁帯及び濾胞領域の両方にわたって配置される。
【0048】
T細胞由来IL-21及びCD40シグナルがB10細胞増加及びIL-10産生を駆動することを立証するために、マウスのB10細胞in vivo増加及びB細胞in vitro増加を促進する条件を用いてB細胞を培養した。以下を参照されたい:Poe, 2011 and Nojima, T. et al. In-vitro derived germinal centre B cells differentially generate memory B or plasma cells in vivo. Nature Comm. 2, 465, 2011。CD40(CD154)及びBLySのためのT細胞リガンドを発現するNIH-3T3細胞単層上でB細胞をIL-4の存在下で4日間培養し、IL-10コンピテントB10細胞へとB10pro細胞の成熟を誘発した。続いてこのB細胞を新鮮なNIH-3T3-CD154/BLyS細胞上で外因性IL-21とともに5日間培養した(前記成分はすべて最適なB10細胞増加及びIL-10産生誘発に必須であった)(
図4A)。9日間の培養後、B細胞及びB10細胞数は25000倍及び4,000,000倍にそれぞれ増加し、B細胞の38%が活発にIL-10を産生した(
図4B)。培養中のIL-10
+B細胞の極めて大多数がCD5を発現し(
図4C)、それらの精製を容易にし、in vitroのB10細胞数におけるIL-21の劇的な作用を強めた。
in vitro増加CD5
+B10細胞はそれらの調節機能を維持した。CD5
+B10細胞の移入は、野生型マウスでEAE疾患の重症度を、疾患の諸症候の出現後に投与したときでさえ劇的に軽減させ、一方、CD5
-B細胞は作用を示さなかった(
図4D)。B10細胞のin vitro増加はIL-21及びCD40シグナルの両方を必要としたが、MHC-II発現は要求されなかった(
図4E)。しかしながらin vitro増加MHC-II
-/-CD5
+B10細胞及びIL-10
-/-CD5
+B細胞はEAEの疾患重症度を調節せず(
図4F)、さらにまたT細胞媒介疾患の調節におけるIL-10及び同族相互作用の必要性を立証付けた。B10細胞は、CD19
-/-マウス又はMD4トランスジェニックマウス(卵のリゾチームに特異的な固定BCRを有する)由来のB細胞のin vitro培養中に増加せず、さらにまたB10細胞発生におけるBCR特異性及びシグナリングの重要性を強調した。そうでなければ、in vitro増加B10エフェクター細胞は、疾患の開始及び進行の両方における強力な調節因子であった。
【0049】
この実験は、CD40シグナルは、IL-21駆動B10細胞増加及びエフェクター細胞発生に関してB10pro細胞のIL-10コンピテンスの獲得を誘発することを示す。B10細胞の発達で極めて重要なこれらのチェックポイントは局在化IL-10産生に至り、前記局在化IL-10産生は、同族相互作用の間に不利な免疫抑制をもたらすことなく抗原特異的T細胞応答を鈍らせることができる(
図3C)。B10細胞によるin vivoでの一過性IL-10産生はさらにまたIL-10分泌の作用を制限することができる。B10エフェクター細胞はまた、いったんMOG
35-55免疫により炎症及び組織破壊が開始すれば、MOGに加えて自己抗原に対するT細胞応答を調節することができる。ヒト及びマウスB10細胞はまたマクロファージ及び樹状突起細胞機能の強力な調節因子であるので、B10エフェクター細胞のT細胞誘発もまた、単球及び樹状突起細胞活性を抑制することによってEAE緩解に寄与することができる。これらの集積結果は、なぜEAEがIL-21シグナリングの非存在下で悪化するかについて部分的な説明になり得る。対照的に、TGF-β及びIFN-γは、これまでのin vitroの発見を基にすればB10細胞のin vivo増加をつりあわせることができる(
図1A)。調節性T細胞はEAEの最中にそれぞれ別個の調節層を提供する。なぜならば、中枢神経系におけるそれらの発現、蓄積、及び抑制的活性はB10細胞が存在しないとき正常だからである。これらの集積シグナルのin vitro反復は数百万倍のB10細胞の増加及びそれら細胞の強力なB10エフェクター細胞への成熟を誘発し、前記は確立された自己免疫疾患を元に戻す(
図4)。BCR特異性に加えて、MHC-II発現は、最初に調節性II型単球について述べたように、EAE時におけるB10エフェクター細胞調節機能にとって重要なチェックポイントのままであった。自己免疫疾患は多起源性であり、自己抗原は患者及び疾患で多様であるので、ヒト血液B10pro及びB10エフェクター細胞の希少プールのin vitro増加は、重篤な自己免疫疾患の個体に将来の強力な免疫療法を提供し得る。
【0050】
ヒトB10細胞のin vitro増加:IL-21及びCD40シグナルがヒトB細胞のin vitro増加を駆動するか否かを決定するために、精製血液B細胞(1x10
6/mL)を、CD40のマウスT細胞リガンド(mCD154)及びヒトBLyS(hBLyS)を発現するマイトマイシンC処理NIH-3T3細胞のコンフルエントな単層上でIL-4(2ng/mL)の存在下に7日間培養し、IL-10コンピテントB10細胞へのB10pro細胞の成熟を誘発した。続いて該B細胞を新しいNIH-3T3-mCD154/hBLyS細胞単層上で外因性のヒトIL-21(10ng/mL)とともに5日間培養した。マウスCD154はヒトCD40と結合し(Bossen et al. 2006 J. Biol. Chem. 281:13964-13971)、さらにマウスCD154はマウス及びヒトCD40の両方を介してシグナルを誘発するので(Armitage et al. 1992 Nature 357:80-82;及びYasui et al. 2002 Intl. Immunol. 14:319-329)、マウスCD154を発現するNIH-3T3細胞をマウス及びヒトの両実験に用いた。対照的に、ヒトCD154はマウスCD40と結合しない(Bossen et al. 2006)。同様にヒトBLySはヒト及びマウス受容体(BCMA、TACI及びBAFF-R)の両方と結合するようであるので(Bossen et al. 2006)、ヒトBLySがマウス及びヒトB細胞増加に用いられた。12日の培養期間の後で、B細胞数は130倍(+/-17)増加したが、B10細胞数は5−6000倍増加し、該B細胞の13−16%がホルボールエステル、イオノマイシン及びブレフェルジン-Aによる5時間の刺激後にIL-10を発現した(
図7)。これらの結果は、マウスB細胞及びB10エフェクター細胞のin vitro増加に関する初期の結果と一致し、さらにこの培養系はヒトに転用できることを示している。
【0051】
我々のマウス実験で発生したように、培養系及びプロトコルの更なる洗練がヒト血液B細胞及びB10エフェクター細胞の最大増加のために必要となろう。ヒトB10細胞のex vivo増加のための同種細胞培養系の開発で顕著な進展があった。ヒト初代線維芽細胞及びBSL1-レベル間質細胞株の増殖及び形態学的特性を評価した後、我々は盛んなヒト血液B細胞のクラスター形成及び増殖を支援する2つの細胞株を同定した。ヒトCD154及びヒトBLyS発現の安定的トランスフェクションとその後の数回のクローン選別の後で、我々は、B細胞増加を支援する能力が3T3に匹敵する、A549ヒト上皮細胞株及びHS-5ヒト骨髄間質細胞株のサブクローンを同定した。マウスB10細胞培養系の場合のように、全てのフィーダー細胞株又はそれらのサブクローンが、安定的で等価のCD154/BLys発現にもかかわらずB細胞/B10細胞発現を支援する能力を有するわけではない。数回のサブクローニングが適切なクローンの単離に必要である(適切なクローンは遺伝的に安定であり、未同定の可溶性及び/又は膜結合性因子を介してB細胞のex vivo増加を支援する)。例えば、同じ親の単一細胞サブクローンに由来するA549-CD154/BLyS細胞の2つの娘クローンが、in vitroでB細胞生存及び増加を支援するそれらの能力に劇的な相違を有する(
図8)。安定なCD154/BLyS発現及び多数回の選別にもかかわらず、ヒトEA.hy926内皮細胞株は適切なB細胞増加を支援することができない。種々の組織起源をもつ他のBSL1-レベルヒト細胞株もまた潜在的な間質細胞として開発されつつある(前記にはSK-LMS-1ヒト線維芽細胞株が含まれる)。
【0052】
B細胞ex vivo増加で必要とされるフィーダー細胞補充因子:マウス及びヒトB細胞並びにB10エフェクター細胞のin vitro増加中における我々の発見は、この培養系はヒトに転用できるが、ただ単に外因性IL-4及びIL-21の添加又はCD154及びBLySのフィーダー細胞発現に依存しているわけではないことを示している。これらの因子の各々を最大のB細胞及びB10細胞発現のために最適化させ、さらに種々のB細胞亜集団を種々の等級レベルのCD40-CD154相互作用に弁別的に応答させねばならない(Neron et al. 2005, Immunology 116:454-463)。さらにまた、追加の因子を培養に添加するか又はフィーダー細胞で発現させて、B細胞及びB10細胞増加をさらに最適化させることができる。
【0053】
もっとも重要なことは、マウスNIH-3T3(Swiss)線維芽細胞、マウス3T3-Balb/c線維芽細胞又はヒトEA Hy.926内皮細胞(Li et al. 1998, J Exp Med. 188:1385-1390;及びEdgell et al. 1983, Proc Natl Acad Sci, USA 80:3734-3737)が全て等価というわけではないことである。例えば、CD154
+BLyS
+NIH-3T3及び3T3-Balb/c線維芽細胞は劇的なB細胞活性化及び増殖を誘発し、活性化B細胞の大半は間質細胞に接着し大きなブドウ状クラスターを形成することができた。対照的に、EA Hy.926内皮細胞は劇的なB細胞活性化を誘発できるだけで、該活性化B細胞は間質細胞に接着することはできなかった。しかしながら、引き続いて我々は、EA Hy.926細胞は血管細胞接着分子1(VCAM-1)を発現しないが、両線維芽細胞株は構成的にVCAM-1することを決定した(下記表1)。重要なことには、我々は、間質細胞へのB細胞接着は該培養系におけるそれらの最初の活性化及び増加のために必要であることを決定した。VCAM-1は、Bリンパ球血液産生に至る間質細胞とB細胞前駆細胞との間の分子相互作用に絶対的に重要である(Kinicade et al. 1989, Annu Rev Immunol. 7:111-143;及びKinicade, 1992, Semin Immunol. 3:379-390)。同様に、CD44のヒアルロン酸及び潜在的な他の分子との結合は、B細胞の骨髄間質細胞との接着及びその後に続く長期骨髄培養におけるリンパ血液産生に必要である(Lesley et al. 1992, J Exp Med. 175:257-266)。NIH-3T3及び3T3-Balb/c線維芽細胞は両方とも構成的にCD44を発現する(表1)。したがって、有効な間質細胞は適切な細胞表面分子を発現し、及び/又はB細胞付着のための適切な基質を提供しなければならない。したがって、最適なB細胞及びB10細胞増加のための間質細胞は、最小限CD154、BLyS、VCAM-1及びCD44又は機能的に等価の他の分子を発現し、外因性IL-4及びIL-21は添加されるか、又はこれらのサイトカインは最適なレベルで間質細胞によって産生されよう。
【0054】
最適なCD154及びBLyS発現について機能的に選別されたトランスフェクト実施間質細胞培養はB細胞増加を支援することができたが、同様なCD154及びBLyS発現にもかかわらず、種々のトランスフェクタントのバッチ、個々のクローン、及びそれらのサブクローン間で絶大な不均質性が存在した。B細胞増加を支援する種々のトランスフェクタントの能力におけるこの絶大な不均質性は、各CD154
+BLyS
+間質細胞集団内で多大な細胞的及び機能的不均質性が存在するという我々の発見によって最終的に説明された。予想に反することではあったが、間質細胞はシグナリング分子を発現しサイトカインを分泌することができ、それらシグナリング分子及びサイトカインそのもののいくつかに応答することができ、培養に添加された外因性サイトカインに応答することができ、さらにそれらはそれらの培養条件に応じて分化潜在能力を維持できることがよく認識される。
我々のトランスフェクト実施間質細胞集団で、我々は、該細胞のわずかなサブセットだけが激しいB細胞接着及びクローン増加を支援できるということを決定した。頻度は、細胞の全てがCD154発現しBLySを分泌するにもかかわらず一般的には間質細胞の1%未満であった。これらの間質細胞培養は一般的には20倍を超えるB細胞増加を誘発できた。しかしながら、機械的単離によって、我々は、上記に記載したように25,000倍までの広い範囲に及ぶB細胞増加を均質的に支援する最適な細胞を単離できた(
図4)。最大のB細胞及びB10細胞増殖のために最適化された間質細胞は、表現型的、形態学的及び増殖における特徴を基準にして機械的に単離することができる。例えば、B細胞接着及びロゼット形成を支援する個々の間質細胞を単離することによってB細胞増加を支援するより高い能力を有する間質細胞を濃縮することが可能であった。B細胞増加のために最適な間質細胞を単離するためのまた別の機械的手段には、単一細胞クローニング技術、細胞表面分子の発現又はそれらの喪失を基準にした細胞のフローサイトメトリー単離、及び/又は当業者に公知の他の技術が含まれ、当該技術に続いて最適なB細胞増加を支援する間質細胞の機能的な同定が実施される。
【0055】
骨髄微小環境及び間質細胞は、与えられるB細胞前駆細胞又はB細胞が増殖するか、分化するか又はアポトーシスするかについて正の影響又は負の影響を与えることができる。例えば、リンパ球の成長を支援するいくつかの間質細胞は、前B細胞の偶発的アポトーシスを90%抑制し、一方、他の間質細胞クローンはリンパ球のアポトーシスを誘発し得るか又は外観的に不活性であり得る(Borghesi et al. 1997 J Immunol 159:4171-4179)。我々の研究でB細胞増加に用いられた間質細胞についても同様な観察が得られた。例示として、マウスCD154及びヒトBLySを発現する3つの代表的なクローンが示される。1つは3T3-Balb/c親細胞由来トランスフェクトクローンであり、2つは親NIH-3T3細胞に由来するトランスフェクトクローン(1及び2)である(表1)。これらの実験実施時に、クローン#1 3T3-Balb/c細胞は、NIH-3T3細胞起源のクローン1及び2(前記は相対的に有効性はより低かった)と比較して最適なB細胞増加を支援した。それらの親3T3細胞と比較したこれら3クローンのマイクロアレイ分析は、同一条件下で培養した細胞間で顕著な分子不均質性を示した。いくつかの分子の発現はアップレギュレートされ又はダウンレギュレートされ、前記は最適なB細胞増加と相関していた。しかしながら、サブクローン間の分子不均質性のレベルはもっとも予想に反する発見であった。おそらく機能を有すると思われる分子的相違の例は下記に示す。
【0056】
顕著にB細胞を増加させる潜在能力を有する3T3細胞でアップレギュレートされた分子にはCD24(マウスの熱安定性抗原としてもまた知られている)が含まれていた。CD24は、30から70kDaの範囲の不均質な分子量を有するグリコシルホスファチジル固着膜タンパク質である。成熟タンパク質は長さがわずかに27から30アミノ酸であり、該タンパク質の分子量の大半は大きなN-及びO-結合グリコシル化から成る。CD24は、B細胞及びそれらの前駆細胞並びに好中球によって、神経組織で及びある種の上皮細胞で発現される。CD24はムチン様接着分子として機能し、細胞対細胞相互作用を促進及び調節することができる。クローン#1 3T3-Balb/c細胞による間質細胞IL-7発現増加は、B10及びB細胞増加に極めて重要であり得る。IL-7は通常極めて低レベルで間質細胞によって生成されるが、前記は初期B細胞前駆細胞の複製及び他の重大な発生的機能のために必須の刺激である。クローン#1 3T3-Balb/c細胞はまたマクロファージ刺激1(Mst1)(Ste20様キナーゼ又はSTK4(セリンスレオニンキナーゼ4)としてもまた知られ、ドロソフィラ・ヒッポ(Drosophila Hippo)のヒトオルトローグである)を発現した。STK4は、細胞増殖及びアポトーシスを制御する高度に保存された経路の中心的カスパーゼ3活性化構成員である。重要なことには、STK4欠損マウス由来のリンパ球及び好中球はミトコンドリア膜の潜在能力の甚大な低下及びアポトーシスに対する感受性増加を示す。Mst1はまた、in vivoでのリンパ球トラフィキング中のリンパ球の内皮細胞との接着で決定的な役割を有し、Mst1
-/-マウスは低栄養末梢類リンパ組織及び脾臓の辺縁帯B細胞減少を示す。胸線間質リンホポイエチン(Tslp)タンパク質は主としてある種の間質細胞及び線維芽細胞によって産生され、骨髄系列細胞に作用して、T細胞系列の発達及びT細胞サブセット(調節性T細胞を含む)に影響を及ぼす因子を産生する。TSLPはまた胎児の造血始原細胞のB細胞への分化を支援することができる。TSLPは、TSLP受容体及びIL-7Rα鎖で構成されるヘテロダイマー受容体複合体を介してシグナルを発すると提唱され、TSLP及びIL-7は共通のいくつかのシグナリング経路に影響し得ると示唆されている。
【0057】
多数の間質細胞分子はおそらく、B細胞の増殖、分化及び間質細胞との相互作用に負の影響を与えるか、又はB細胞のアポトーシスを誘発する。CD99は、大半の白血球(B細胞を含む)と同様に内皮細胞によって発現される。CD99は接着分子として機能し、さらに細胞内分子シクロフィリンAとも相互作用する(シクロフィリンAは炎症性シグナリング経路に複雑に巻き込まれる)。ホモタイプCD99-CD99相互作用は、血管外遊出時の単球と内皮細胞間で示された。CD99シグナリングはB細胞増加に有害であり得る。なぜならば、抗CD99モノクローナル抗体を用いた初期B細胞へのCD99の連結はアポトーシスを誘発するからである。同様に、CD99シグナリングは胸線内の発達中のT細胞のアポトーシスを誘発する。CD99のマウスホモローグ(D4と称される)とそのリガンド(白血球によって広範囲に発現される2つずつ組を形成した免疫グロブリン様2型受容体)との間の相互作用は胸線細胞のアポトーシスを誘発する主要メカニズムである。
【0058】
第二の例として、形質転換増殖因子ベータ-誘発(Tgfbi)発現が、クローン#1 3T3-Balb/c細胞及びクローン#1 NIH-3T3細胞の両方でそれらの親細胞と比較してダウンレギュレートされる。形質転換増殖因子ベータ-誘発(TGFBI)タンパク質は、I型、II型及びIV型コラーゲンと結合する形質転換増殖因子ベータ-によって誘発される分泌RGD-含有タンパク質であり、したがって細胞接着を阻害し得る。RGDモチーフは、細胞接着を調整する多くの細胞外マトリックスタンパク質で見出され、該モチーフは、細胞-コラーゲン相互作用時にいくつかのインテグリンのためにリガンド認識配列として機能する。TGFBIはメラノーマ細胞の侵襲性増殖を調節する接着性相互作用を阻害することができる。TGFBI発現の低下は、細胞増殖、腫瘍進行及び血管形成に関係している。
第三の例では、間質細胞のCXCR7転写物が、クローン#1 3T3-Balb/c細胞及びクローン#1 NIH-3T3細胞の両方でダウンレギュレートされる。CXCR7(以前にはRDC1)は、CXCL12(以前にはSDF-1)ケモカインのための受容体として機能する(前記ケモカインはB細胞と結合し、一連の正常プロセス及び病的プロセスを調節できる)。CXCR7はCXCL12のスカベンジャー受容体として機能し、CXCL12はまた両親株の3T3細胞株によって通常的に産生される。したがって、CXCR7発現の間質細胞における低下は、該培養系でCXCL12のB細胞結合を促進し得る。
【0059】
細胞表面分化調節タンパク質もまた最適なB細胞増加に対して逆効果を招き得る。デルタ様1及びジャグド1発現及びそれらの共有受容体Notch1は、クローン#1 3T3-Balb/c細胞で非トランスフェクト親細胞と比較してダウンレギュレートされる。Notch、デルタ様及びジャグドタンパク質はB細胞の発達及び活性化で枢要的役割を果たす。例えば、間質細胞で発現されるデルタ様1によるB細胞におけるNotch-1嵌合は抗体分泌細胞へのB細胞分化を促進し、一方、Notch-1とジャグド1との相互作用はこのプロセスで抑制性である。さらにまた、Notchとデルタ様1との相互作用はB細胞抗原受容体及びCD40シグナリングと協力的に作用して、B細胞増殖及びアイソタイプスイッチングを強化する。
さらにまた、辺縁帯B細胞発達には、デルタ様1とB細胞発現Notch-2との相互作用が絶対的に要求される。B細胞発達の他の局面は、Notch/デルタ様/ジャグド相互作用によって負の方向に調節される。例えば、デルタ様1を発現する3T3線維芽細胞は脂肪細胞分化のために間質細胞として作用するが、デルタ様発現が抑制されるか又はインターロイキン-7(IL-7)がまた培養に提供される場合には、初期B細胞分化のみを支援する。したがって、B細胞の発達及び機能におけるNotch/デルタ様/ジャグド連合の役割は複雑であるが、これらのタンパク質はB細胞及びB10細胞増加の決定的な調節因子であり得る。
【0060】
したがって、B細胞及びB10細胞を最大に増加させる間質細胞は、培養に添加される外因性IL-4及びIL-21と一体になって、最適密度のCD154、BLyS、VCAM-1及びCD44、又は他の機能的に等価の分子を、表1に概略した分子のいくつか又は全ての最適な発現とともに最適に発現させることができる。B細胞及びB10細胞増加に影響を及ぼす分子の各々がより明確に規定されるとき、間質細胞によって内因的に発現される他の因子及び培養に添加される外因的刺激と一体となった各分子の機能を評価することは極めて重要である。これら正の又は負の調節因子の累積効果はまた、これらシグナルがB細胞及びB10細胞増加中に存在するタイミングに左右されるであろう。
【0061】
表1:B細胞及びB10細胞増加のために最適化された間質細胞によって発現される転写物
【0062】
【表1-1】
【0063】
【表1-2】
【0064】
全RNAを親3T3細胞及びそれらのcDNAトランスフェクトサブクローンからTRIzol(Invitrogen-Molecular Probes)を用いて抽出し、相対的な転写物レベルはGeneChip分析(Affymetrix Mouse Genome 430 2.0 GeneChips; Affymetrix, Santa Clara, CA)によって並行して定量した。アレイの全品質パラメーターが製造業者の推奨する範囲内であることが確認された。直線的な相対的発現レベルが各ラインについて示されている。各遺伝子チップにおける反復プローブの結果が示されている。
【0065】
方法
マウス:C57BL/6、IL-10
-/-(B6.129P2-Il10tmlCgn/J)(Kuhn, et al., Interleukin-10-deficient mice develop chronic enterocolitis. Cell 75, 263-274, 1993)、CD40
-/-(B6.129P2-
CD40tm1Kik/J)及びMD4(C57BL/
6-Tg(TghelMD4)4Ccg/J)マウスはジャクソンラボラトリー(Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME)から得た。MHC-II
-/-(B6.129-
H2-Ab1tm1JaeB2mtmGruN17)マウス(Taconic Farms, Inc., Hudson, NY)は記載のとおりであった(Grusby, M. J. et al. Mice lacking major histocompatibility complex class I and class II molecules. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 90, 3913-3917, 1993)。CD19
-/-マウスはC57BL/6のバックグラウンドで14世代にわたって戻し交配した。以下を参照されたい:Sato, S., Ono, N., Steeber, D. A., Pisetsky, D. S. & Tedder, T. F. CD19 regulates B lymphocyte signaling thresholds critical for the development of B-1 lineage cells and autoimmunity. J. Immunol. 157, 4371-4378, 1996;及びSato, S., Steeber, D. A., Jansen, P. J. & Tedder, T. F. CD19 expression levels regulate B lymphocyte development: human CD19 restores normal function in mice lacking endogenous CD19. J. Immunol. 158, 4662-4669, 1997。IL-21R
-/-マウスは記載のとおりであった。以下を参照されたい:Ozaki, K. et al. A critical role for IL-21 in regulating immunoglobulin production. Science 298, 1630-1634, 2002。TCR
MOGトランスジェニックマウスThy1.2
+(Bettelli, E. et al. Myelin oligodendrocyte glycoprotein-specific T cell receptor transgenic mice develop spontaneous autoimmune optic neuritis. J. Exp. Med. 197, 1073-1081, 2003)(Dr. V. K. Kuchroo(Harvard Medical School, Boston, MA)により提供)はC57BL/6.Thy1.1マウスと交配され、Thy1.1発現T細胞を生じた。全てのマウスを特定病原体フリーバリヤー施設で繁殖させ、6−12週齢で用いた。デューク大学動物飼育使用委員会(Duke University Animal Care and Use Committee)が全実験を承認した。
【0066】
細胞の調製:穏やかに細切することによって脾臓及び末梢リンパ節(両腋窩及び鼡径リンパ節)由来の単一細胞懸濁物を作製し、該細胞を70mmの細胞ろ過器(BD Biosciences, San Diego, CA)に通し、続いてパーコール勾配(70/37%)遠心分離を実施した。リンパ球を37:70%界面から収集し、洗浄した。MACS(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)を用い、製造業者の指示にしたがいリンパ球集団を精製した。CD19 mAb被覆マイクロビーズ及びCD4
+T細胞単離キット(Miltenyi Biotech)を用いて、B細胞及びCD4
+T細胞をそれぞれ精製した。必要な時には、二度目に新しいMACSカラムを用いて細胞を濃縮し95%を超える細胞純度を得た。
【0067】
免疫蛍光分析:FITC-、PE-、PE-Cy5-、PE-Cy7-、又はAPC-結合CD1d(1B1)、CD4(H129.19)、CD5(53-7.3)、CD19(1D3)、B220(RA3-6B2)及びThy1.1(OX-7)mAbはBDバイオサイエンシーズ(BD Biosciences)から得た。PE-結合IL-21R(4A9)mAbはバイオリージェンド(BioLegend, San Diego, CA)から得た。細胞内染色は、IL-10(JES5-16E3)、IL-17(17B7)及びIFN-γ(XMG1.2)と反応するmAb(いずれもeBioscienceより)及びCytofix/Cytopermキット(BD Biosciences)を用いた。バックグラウンド染色は、非反応性、アイソタイプ一致コントロールmAb(Caltag Laboratories, San Francisco, CA)を用いて評価した。2色から6色免疫蛍光分析のために、単一細胞懸濁物(10
6細胞)を予め決定した最適なmAb濃度で4℃にて20分間、記載にしたがって染色した。以下を参照されたい:
Yanaba et al. 2008, Immunity 28, 639-650;Matsushita et al. 2008, J. Clin. Invest. 118, 3420-3430;Matsushita et al. 2010, J. Immunol. 185, 2240-2252;Matsushita and Tedder 2011, Methods Mol. Biol. 677, 99-111;及びZhou et al. 1994, Mol. Cell. Biol. 14, 3884-3894。血中赤血球は、染色後にFACS
TM溶解溶液(FACS
TM Lysing Solution, Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて溶解させた。
B細胞の細胞内IL-10発現は免疫蛍光染色で可視化し、記載にしたがってフローサイトメトリーによって分析した。以下を参照されたい:Yanaba et al. 2008, Immunity 28, 639-650;及びMatsushita and Tedder 2011, Methods Mol. Biol. 677, 99-111。簡単に記せば、単離白血球又は精製細胞を、完全培地(10% FCS、200μg/mLペニシリン、200 U/mLストレプトマイシン、4 mM L-グルタミン及び5x10
-5M 2-メルカプトエタノール(いずれもGibco(Carlsbad, CA)より)を含むRPMI 1640培養液)に、LPS(10μg/mL、大腸菌血清型0111: B4, Sigma)、PMA(50ng/mL;Sigma)、イオノマイシン(500ng/mL;Sigma)及びモネンシン(2μM;eBioscience)とともに、48ウェルの平底プレートで5時間再懸濁させた。いくつかの実験では、細胞を48時間、アゴニスト作用をもつ抗マウスCD40 mAb(1μg/mL;HM40-3 mAb;BD Pharmingen)とともに記載にしたがってインキュベートした(Yanaba et al. 2009, J. Immunol. 182, 7459-7472)。IL-10の検出のためには、Fc受容体をマウスFc受容体mAb(2.4G2;BD PharMingen)で封鎖し、細胞表面染色の前にLIVE/DEAD(商標)フィクサブルヴァイオレット死細胞染色キット(LIVE/DEAD(商標)Fixable Violet Dead Cell Stain Kit)(Invitrogen-Molecular Probes)を用いて死細胞を検出した。染色細胞を固定し、さらにCytofix/Cytoperm kit (BD PharMingen)を製造業者の指示にしたがって用いて透過性にし、PE-結合マウス抗IL-10 mAbで染色した。IL-10
-/-マウスの脾臓細胞が陰性コントロールとして供され特異性を明示し、さらにバックグラウンドIL-10染色レベルを確立させた。T細胞の細胞内サイトカイン染色のためには、リンパ球を染色前に5時間ブレフェルジンA(BFA、1μL/mL;eBioscience)の存在下でPMA(50ng/mL;Sigma, St. Louis, MO)及びイオノマイシン(1μg/mL;Sigma)でin vitro刺激した。リンパ球のフォワード及びサイド光散乱特性を有する生存細胞を、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson)又はBD FACSCanto
TMII(BD Biosciences)を用いて分析した。
【0068】
in vitro B細胞培養:精製脾B細胞(1x10
6/mL)をRPMI 1640培養液で培養し、その後B10細胞数及び培養上清液のIL-10濃度を決定した。前記RPMI 1640培養液は以下を含んでいた:10% FBS、2 mM L-グルタミン、ペニシリン(100 I.U./mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)及び50μM 2-メルカプトエタノール、並びに以下のいずれか:組換え体IFN-γ(10ng/mL・・ IL-4(2ng/mL)、IL-6(10ng/mL)又はIL-21(100ng/mL)(e-Bioscience);TGF-β(10ng/mL)、IL-10(10ng/mL)、又はIL-12(10ng/mL)(R&D systems, Minneapolis, MN)、又はIL-23(20ng/mL)及びIL-27(100ng/mL)(Biolegend)、又はLPS(10μg/mL)。IL-10濃度はELISAで決定した。別個の実験で、精製脾細胞をCD154及びBLyS発現NIH-3T3細胞とともに記載にしたがって培養し、外因性組換えIL-4(2ng/mL)又はIL-21(10ng/mL)を培養に加えた(Nojima et al. 2011, Nature Comm. 2, 465 and Tedder et al. in Leukocyte Typing V: White Cell Differentiation Antigens. Vol. 1 (eds S. F. Schlossman et al.) 483-504, Oxford University Press, 1995)。養子移入実験のためには、培養CD5
+及びCD5
-B細胞を細胞仕分け(FACSVantage SE, Becton Dickinson)で精製し、95−98%の純度を得た。精製後、1x10
6の細胞を直ちに各レシピエントマウスにi.v.で移入した。いくつかの実験では、CD40 mAb(クローンHM40-3;ハムスター、アザイド/エンドトキシンフリーではない(BD Pharmingen, San Jose, CA))を表示のように培養に添加した。
【0069】
EAE誘発:EAEは6から8週齢の雌マウスで以下によって誘発した:加熱死菌マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)H37RA(Difco, Detroit, MI)の200μgを含むCFA中に乳化させた100μgのMOG
35-55ペプチド(MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK; NeoMPS, San Diego, CA)による0日目の皮下免疫(以下を参照されたい:Matsushita et al. 2008, J. Clin. Invest. 118, 3420-3430 and Matsushita et al. 2010, J. Immunol. 185, 2240-2252)。追加的に、マウスは、0.5mLのPBS中の200ngの百日咳毒素(List Biological Laboratories, Campbell, CA)を0及び2日目にi.p.に投与された。以下の0から6ポイントの採点系により、疾患の臨床徴候を毎日評価した:記載されたとおり、0は正常、1は尾の弛緩性、2は立直り反射及び/又は歩行の障害、3は部分的な後肢麻痺、4は全後肢麻痺、5は部分的前肢麻痺を伴う後肢麻痺、6は瀕死状態(Fillatreau et al. 2002, Nat. Immunol. 3, 944-950)。瀕死マウスには疾患重症度スコア6を与え安楽死させた。
【0070】
養子移入実験:ナイーブマウス又はEAEマウス(28日目)から得たB細胞を初めにCD19 mAb被覆マイクロビーズを用いて濃縮し、細胞表面CD19、CD1d及びCD5発現について染色し、記載のように純度95−98%のCD1d
hiCD5
+及びCD1d
loCD5
-B細胞を細胞仕分けで精製した(以下を参照されたい:Matsushita 2011, Methods Mol. Biol. 677, 99-111;及びYanaba et al. 2008, Immunity 28, 639-650)。精製後、CD1d
hiCD5
+又はCD1d
loCD5
-B細胞(1x10
6)を直ちにレシピエントマウスにi.v.で移入した(B10細胞は移入細胞の13−20%及び<0.1%を占めた)。いくつかの実験では、ドナーThy1.1 CD4
+ T細胞をTCR
MOGトランスジェニックマウスのプールした脾臓及びリンパ節から単離し、続いてCFSE Vybrant
TMCFDA SE蛍光染料(5μM;CFSE; Invitrogen)で標識し、Thy1.2コンジェニックレシピエントに静脈内移入した(5x10
6/マウス)。養子移入後5日して、TCR
MOGCD4
+T細胞をフローサイトメトリーで評価した。
【0071】
統計分析:全データが平均(+/-SEM)として示される。サンプル平均間の相違の有意さは、スチューデントt検定を用いて決定した。
本明細書に引用した全ての参考文献は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。