特表2015-529557(P2015-529557A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-529557(P2015-529557A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(54)【発明の名称】マイクロ流体混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 11/00 20060101AFI20150911BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20150911BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20150911BHJP
   B81B 7/02 20060101ALI20150911BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20150911BHJP
【FI】
   B01F11/00 Z
   B01F3/08 Z
   B01J19/00 321
   B81B7/02
   B01F5/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-526511(P2015-526511)
(86)(22)【出願日】2012年9月24日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月4日
(86)【国際出願番号】US2012056915
(87)【国際公開番号】WO2014046687
(87)【国際公開日】20140327
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】コフヤディノフ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】トーニアイネン,エリック,ディー
(72)【発明者】
【氏名】マーケル,デイヴィッド,ピー
(72)【発明者】
【氏名】コーニロヴィッチ,パヴェル
【テーマコード(参考)】
3C081
4G035
4G036
4G075
【Fターム(参考)】
3C081AA11
3C081AA13
3C081BA24
3C081BA25
3C081BA33
3C081BA45
3C081BA52
3C081BA54
3C081BA55
3C081BA57
3C081CA14
3C081CA15
3C081CA17
3C081CA18
3C081CA30
3C081CA31
3C081CA36
3C081CA38
3C081EA27
3C081EA29
3C081EA31
4G035AB36
4G035AE02
4G035AE19
4G036AB30
4G075AA13
4G075AA39
4G075AA56
4G075AA61
4G075BB05
4G075DA02
4G075EB50
4G075EC25
4G075ED15
(57)【要約】
1実施形態では、マイクロ流体混合装置は、混合チャネルと、該混合チャネルに流体を通すための流体導入室と、流体が該チャネルを通って流れるときにそれらの流体を混合する流体変位を生じさせるために該チャネル内に組み込まれた軸非対称混合アクチュエーターと、混合された流体を受けるための排出室とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合チャネルと、
前記混合チャネルに流体を通すための流体導入室と、
前記流体が前記チャネルを通って流れるときに該流体を混合する流体変位を生じさせるために、前記チャネル内に組み込まれた軸非対称混合アクチュエーターと、
混合された前記流体を受けるための排出室
を備える、マイクロ流体混合装置。
【請求項2】
前記チャネルの入口の近くに、かつ、前記チャネルの中心軸上に対称に配置されたポンプアクチュエーターをさらに備え、
前記ポンプアクチュエーターは、前記チャネルを通る一方向の流体流れを生じさせ、
前記流体導入室の幅が、前記チャネルへの入口の幅よりも大きい、請求項1の装置。
【請求項3】
前記軸非対称混合アクチュエーターは、前記チャネルの第1の側において、前記チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーターを備えることからなる、請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1の側とは反対側の前記チャネルの側において、前記チャネルの長さ方向に沿って、前記チャネルの前記第1の側にあるアクチュエーターに並んで配置された軸非対称混合アクチュエーターをさらに備える、請求項3の装置。
【請求項5】
前記第1の側とは反対側の前記チャネルの側において、前記チャネルの前記第1の側に配置された前記2つの軸非対称混合アクチュエーターに対して、前記チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された軸非対称混合アクチュエーターをさらに備える、請求項3の装置。
【請求項6】
前記軸非対称混合アクチュエーターは、前記チャネルの互いに異なる側において、前記チャネルの長さ方向に沿って並んで配置された2つの軸非対称混合アクチュエーターを含む、請求項1の装置。
【請求項7】
前記軸非対称混合アクチュエーターは、前記チャネルの互いに異なる側において、前記チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーターを含む、請求項1の装置。
【請求項8】
流体混合チャネルを含むマイクロ流体混合装置と、
前記チャネルを通して前記流体を送り出すための流体ポンプと、
流体が前記チャネルを通って流れるときに該流体を混合するために、前記チャネル内に組み込まれた軸非対称混合アクチュエーター
を備える、マイクロ流体混合システム。
【請求項9】
前記流体ポンプは、
外部の流体ポンプと、前記チャネル内に組み込まれたポンプアクチュエーターとからなるグループから選択され、
前記ポンプアクチュエーターは、前記チャネルの一方の端部の近くで、かつ、該チャネルの中心軸上にある、請求項8のシステム。
【請求項10】
前記混合アクチュエーターの作動シーケンス及び作動タイミングを制御するためのコントローラをさらに備える、請求項8のシステム。
【請求項11】
命令を格納している非一時的なプロセッサ可読媒体であって、
前記命令は、プロセッサによって実行されると、該プロセッサに、
少なくとも2つの異なる流体をマイクロ流体混合チャネルに送り出すためにポンプを作動させるステップと、
前記少なくとも2つの異なる流体が前記マイクロ流体混合チャネルを通るときにそれらの流体を混合する流体変位を生じさせるために、少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させるステップ
を実施させることからなる、プロセッサ可読媒体。
【請求項12】
少なくとも1つの混合アクチュエーターを交互に作動させる前記ステップが、
第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させることと、
前記第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させた直後に、第2の軸非対称混合アクチュエーターを作動させること
を含むことからなる、請求項11のプロセッサ可読媒体。
【請求項13】
少なくとも1つの混合アクチュエーターを交互に作動させる前記ステップが、
第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させることと、
前記第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させた後にある時間遅れを設けることと、
前記時間遅れが経過した後に、第2の軸非対称混合アクチュエーターを作動させること
を含むことからなる、請求項11のプロセッサ可読媒体。
【請求項14】
少なくとも1つの混合アクチュエーターを交互に作動させる前記ステップが、
前記チャネルの第1の側にある第1の混合アクチュエーターを作動させることと、
前記第1の混合アクチュエーターを作動させた直後に、前記チャネルの第2の側にある第2の混合アクチュエーターを作動させること
を含むことからなる、請求項11のプロセッサ可読媒体。
【請求項15】
ポンプを作動させる前記ステップが、前記マイクロ流体混合チャネル内に組み込まれた慣性ポンプを作動させることを含む、請求項11のプロセッサ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マイクロスケールで流体を混合する能力は、食品産業、生物産業、製薬産業、及び化学産業などの種々の産業ないし工業にとって有益である。マイクロスケール流体混合の開発分野の1つは、マイクロ流体混合装置(マイクロ流体ミキシング装置ともいう)に関するものである。上記産業において、マイクロ流体混合装置は、生物医学的診断や薬剤開発やDNA複製などの目的で使用されている。マイクロ流体混合装置は、ごく少量のサンプルの混合を容易にする小型化された環境を提供する。微細加工技術は、チップ上に小型のマイクロ流体混合装置を作製することを可能にする。そのようなマイクロ流体混合装置の効率を高めることは、ラボオンチップ(lab-on-a-chip)システムなどの種々のマイクロ流体システムのスループットを高め、かつ該システムのコストを低減するために有益である。したがって、マイクロ流体混合装置の混合性能を改善し、及び、該装置のサイズを小さくするための努力が継続して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】(不明)
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下、添付の図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明する。
図1】1実施形態にしたがう、マイクロ流体混合装置、及び、コントローラによって実施される混合方法を実施するのに適したマイクロ流体混合システムを示す。
図2】1実施形態にしたがう、マイクロ流体混合システムにおいて使用するのに適したマイクロ流体混合装置の1例を示す。
図3】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図4】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図5】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図6】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図7】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図8】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図9】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図10】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図11】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図12】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図13】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図14】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図15】1実施形態にしたがう、軸非対称混合アクチュエーター及びポンプアクチュエーターの構成を備えるマイクロ流体混合チャネルの実施例を示す。
図16】1実施形態にしたがう、マイクロ流体混合方法の1例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
概要
上述したように、マイクロ流体混合装置は、食品産業、生物産業、製薬産業、及び化学産業などの種々の産業ないし工業において重要な役割を果たしている。したがって、混合性能を改善し、かつ、混合結果を得るために使用される空間を小さくすることを共通の目標として、これまでに多くのマイクロ流体混合装置が開発されてきた。しかしながら、マイクロ流体混合装置は層流方式で動作するために、ほとんどの装置は、拡散性の混合(拡散混合)に依存している。拡散混合は、ゆっくりした混合であって、混合成分の非ゼロの拡散率(ないし拡散係数)に依存し、一般に、大きな流路及び容積と共に長い混合時間を必要とする。
【0005】
たとえば、受動型混合装置(受動混合器)では、典型的には、混合される成分同士の接触面積が大きくかつ接触時間が長い。ほとんどの受動混合器(受動ミキサー)は、複雑な3次元形状を有しており、マイクロ流体システムのうちの大きな場所を占有し、製造が難しく、かつ、混合要素とマイクロ流体システムとの間に関連する大きな圧力損失が生じる。そのような混合器はまた、一般的に大きな体積の混合流体を使用するが、これは、マイクロ流体システム内にかなりのデッドボリューム/寄生体積(parasitic volume)を生じることになる。
【0006】
能動型混合装置(能動型混合器)は、混合される成分間の拡散処理を速くする力を提供することによって混合性能を改善する。能動型混合装置は、通常、混合を改善するために流体成分をかき混ぜる機械式変換器(メカニカルトランスデューサ)を用いる。能動型混合器で使用される変換器のいくつかの例には、音響変換器、超音波変換器、誘電泳動変換器(dielectrophoretictransducer)、界面動電時間パルス変換器(electrokinetic time-pulse transducer)、圧力摂動型変換器(pressureperturbation transducer)、及び磁気変換器などがある。一般に、そのような変換器を実装する能動型混合装置は、高価で製造するのが難しい。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態は、拡散による従来のマイクロ流体混合よりも混合効率を大幅に高めることを可能にするマイクロ流体混合システム用の能動型マイクロ流体混合装置及びコントローラによって実施される混合方法を提供する。流体チャネルの中心軸に関して非対称に配置された(すなわち、流体チャネル内に軸方向に非対称に配置された)1以上の慣性ポンプ(inertia pump)を作動させて、流体が(1以上の)ポンプを通過するときに該流体の進路を(通常の進路から)そらすことができる。1つの慣性ポンプを作動させて、または、複数の慣性ポンプを交互に作動させて、流体がチャネル中を流れるときに、チャネル内の通常の流路を妨害して、流体の混合(混合率や混合の速さなど)を大幅に高める揺れ動く経路(揺動経路)を流体が流れるようにする。マイクロ流体混合装置は、1以上の流体入力部を有する流体混合チャネルと、妨害されて揺れ動く流体流れを生じるために、チャネル内に軸方向に非対称に配置された少なくとも1つの慣性ポンプアクチュエーター(たとえば、熱抵抗器)とを備える。マイクロ流体混合装置は、チャネル入力部から一定の距離に配置された、または、チャネル入力部から互い違いに離れて配置(たとえば千鳥配置)された一対の軸非対称アクチュエーターを備えることができる。マイクロ流体混合装置は、チャネル入力部から一定の距離に配置された及び/またはチャネル入力部から互い違いに離れて配置された奇数個の軸非対称アクチュエーターを備えることができる。マイクロ流体混合装置は、1以上の軸非対称アクチュエーターの中に、流体チャネルを通して流体を送り出すために、該流体チャネルの中心軸に関して対称に配置されたポンプアクチュエーターを備えることができる。コントローラは、効率的な流体混合及び/または流体ポンピングを達成するために、マイクロ流体混合装置内の全てのアクチュエーターの動作ないし作動のシーケンス(手順など)及びタイミングを制御する。
【0008】
1実施例では、マイクロ流体混合装置は、混合チャネルと、該混合チャネル内に流体を通すための流体導入室(流体導入チャンバーまたは流体インレットチャンバーともいう)と、流体が該チャネルを通って流れるときに該流体を混合させる流体移動ないし流体変位(すなわち流体の移動ないし流体の変位)を生じさせるために該チャネル内に組み込まれた(または該チャネルに一体化された)軸非対称混合アクチュエーターと、混合された流体を受けるための排出室(排出チャンバーともいう)を備える。
【0009】
別の実施例では、マイクロ流体混合システムは、流体混合チャネルを有するマイクロ流体混合装置を備える。該システムは、該チャネルを通して流体を送り出す(またはくみ上げる)ための流体ポンプを備える。他の実施例では、該流体ポンプは、外部のポンプ(外部ポンプ)であり、及び/または、流体混合チャネル内に組み込まれた(または該チャネルに一体化された)慣性ポンプである。このシステムはまた、流体が該チャネルを通って流れるときに該流体を混合するために該チャネル内に組み込まれた(または該チャネルに一体化された)軸非対称混合アクチュエーターを備える。
【0010】
別の実施例では、非一時的なプロセッサ可読媒体(たとえば、プロセッサによってそれに記憶されている情報を読み出すことが可能な不揮発性または揮発性の媒体もしくは記憶媒体)は、プロセッサによって実行されると、該プロセッサに、少なくとも2つの異なる流体をマイクロ流体混合チャネルを通して送り出すために(そのように動作する)ポンプを作動させるようにする命令を格納している。それらの命令はさらに、それらの少なくとも2つの異なる流体がマイクロ流体混合チャネルを通るときにそれらの流体を混合する流体移動ないし流体変位を生じさせるために、該プロセッサに、マイクロ流体混合チャネル内の少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させるようにする。
【0011】
例示的な実施形態
図1は、本開示の1実施形態にしたがう、(本明細書において全体的に開示されている)マイクロ流体混合装置及びコントローラによって実施される混合方法を実施するのに適したマイクロ流体混合システム100を示している。例示的なマイクロ流体混合システム100は、マイクロ流体混合装置102、及び、流体の成分/サンプル及び/または溶液を混合するために該混合装置102に供給するための外部の流体槽(流体容器)104を備えている(以下、外部の流体槽を外部流体槽という)。いくつかの実施例では、マイクロ流体混合システム100は、外部のポンプ(外部ポンプ)105を、外部流体槽104の一部として、もしくは独立型のポンプ105として備えることができる。マイクロ流体混合装置102を、マイクロ流体混合チャネル106を備えるチップベースの混合装置として実施することができ、この場合、チャネル106は、2つ以上の流体がチャネル106を通って流れるときにそれらの流体を混合するためのものであり、及び/または、単一のホスト流体(host fluid)がチャネル106を通って流れるときに、該ホスト流体内の顔料(ないし色素)もしくは粒子を混合するためのものである。一般に、チップベースのマイクロ流体混合装置102の構造及び構成要素を、電鋳法、レーザーアブレーション、異方性エッチング、スパッタリング、ドライエッチング、ウェットエッチング、写真平板(フォトリソグラフィー)、キャスティング、成形(モールディング)、スタンピング、機械加工、スピンコーティング、積層法などの従来の集積回路微細加工技術を用いて作製することができる。
【0012】
マイクロ流体混合システム100はまた、マイクロ流体混合装置102、(1以上の)外部流体槽104、及び外部ポンプ105などの、システム100の種々の構成要素及び機能を制御する電子コントローラ(電子制御装置)108を備えている。1例では、コントローラ108は、混合装置102内で流体を混合し、及び、混合装置102を通して流体を移動させるために、混合装置102内のアクチュエーターの作動のシーケンス及びタイミングを含む、マイクロ流体混合装置102の種々の機能を制御する。コントローラ108は典型的には、プロセッサ(CPU)110と、揮発性及び不揮発性のメモリー要素を含む1以上のメモリー要素112と、プロセッサ110による読み出し及び実行が可能な命令を含む、メモリー112に格納されているファームウェア要素及び/またはソフトウェア要素と、並びに、マイクロ流体混合装置102の構成要素及び機能部、(1以上の)外部流体槽104、外部ポンプ105、及びマイクロ流体混合システム100のその他の構成要素と通信して、それらを制御するための他の電子機器ないし電子部品を備えている。したがって、電子コントローラ108は、(たとえば、メモリー(記憶装置)112などの非一時的なプロセッサ/コンピュータ可読媒体に)1以上のソフトウェアモジュールの形態で格納されており、かつ、マイクロ流体混合装置102における混合及びポンピング((流体の)送り出しないしくみ上げ)処理を制御するためにプロセッサ110で実行可能な機械可読命令を含むプログラム可能な装置(ないしプログラマブルデバイス)を備えている。かかるモジュールは、たとえば、図1の例示的な実施例に示されているアクチュエーターシーケンス及びタイミング命令モジュール114を備えることができる。
【0013】
いくつかの実施例では、電子コントローラ108は、コンピュータなどのホストシステムからデータ116を受け取って、該データ116をメモリー112に一時的に格納することができる。典型的には、データ116は、電子式伝送経路、赤外線伝送経路、光学式伝送経路、または、他の情報伝送経路に沿ってマイクロ流体混合システム100に送られる。データ116は、たとえば、マイクロ流体混合装置102内の流体流れ、流体混合、及びその他の流体混合関連機能を制御するために、電子コントローラ108のメモリー112に格納されているソフトウェア/ファームウェアモジュールにおいて、単独で、または、他の実行可能命令と共に使用される実行可能命令及び/またはパラメータを表している。たとえば、コントローラ108のプロセッサ110で実行可能な種々のソフトウェア及びデータ116は、マイクロ流体混合装置102内の超小型慣性アクチュエーターによって生成される流体移動(ないし流体変位)のシーケンス、タイミング、頻度、及び持続時間を正確に制御するために、それらのアクチュエーターの選択的な作動及び該アクチュエーターの作動の制御を可能にする。プロセッサ110で実行可能なデータ116及び/またはアクチュエーターシーケンス/タイミング命令114によるそのようなアクチュエーターの制御が容易に変更可能(すなわち、プログラム可能)であることによって、任意の数の異なる混合処理プロトコルを、マイクロ流体混合システム100内のマイクロ流体混合装置102のそれぞれに異なる実施例に対して実行することが可能である。所与のマイクロ流体混合装置102用に、混合プロトコルをオンザフライで(すなわち動作中に)容易に調整することができる。
【0014】
マイクロ流体混合システム100はまた、典型的には、マイクロ流体混合装置102に電力を供給するための1以上の電源118と、電子コントローラ(電子制御装置)108と、外部流体槽104と、外部ポンプ105と、システム100の一部とすることができる他の電気的構成要素(電気コンポーネント)とを備えている。
【0015】
図2は、1実施形態による、マイクロ流体混合システム100内で使用するのに適したマイクロ流体混合装置102の1例を示している。上記したように、マイクロ流体混合装置102は、マイクロ流体混合チャネル106を備えており、流体がチャネル106を通って流れるときに該流体(たとえば、2つ以上の流体、または、単一のホスト流体内の顔料及び/もしくは粒子)を混合するようになっている。本開示全体を通じてマイクロ流体混合チャネル106の形状は直線状として示されているが、これは、チャネル106の形状を限定することを意図していない。したがって、チャネル106の形状を、曲線ないし曲面形状や蛇のような形状、90°に曲がった角を有する形状、または、それらの形状の組み合わせなどの他の形状とすることができる。チャネル106に入る流体は、典型的には、1以上の外部流体槽104によって供給されて、流体導入室120からチャネル106内に進む。混合のために流体導入室120を通ってチャネル106に入る異なる流体の数は典型的には2である(すなわち互いに異なる2つの流体がある)が、他の実施例では、混合のためにチャネル106に入る(導入室120内の)異なる流体の数を3つ以上(すなわち互いに異なる3つ以上の流体がある)とすることができる。他の実施例では、流体を、顔料及び/または粒子を含んでいる単一のホスト流体とすることができる。
【0016】
図1及び図2を参照すると、流体導入室120を外部流体槽104に流体結合して、流体がマイクロ流体混合チャネル106内に流れ込む前に流体を受けるようにすることができる。しかしながら、いくつかの実施例では、流体を流体導入室120に供給する他の方法が考慮されている。たとえば、流体導入室120に結合された1以上の他の流体チャネルなどの他の手段によって、流体を流体導入室120に導入することができる。
【0017】
図2中の流体導入室120の例は、流体導入室120の幅と体積が、マイクロ流体混合チャネル106への入口部(または該チャネルの入口部)の幅と体積よりもそれぞれ大きいことを示すことが意図されている。この幅と体積の違いによって、チャネル106の一方の端部の近くに配置されたポンプアクチュエーター124などの慣性ポンプアクチュエーターによるポンピング効果を得ることが可能になる。いくつかの実施例では、外部ポンプ105の代わりに、または、外部ポンプ105と共に、1以上の流体ポンプアクチュエーター124を用いて、流体を、チャネル106を通して流体排出室(流体排出チャンバーともいう)126へと送り出す。マイクロ流体混合チャネル106の一方の端部の近くに配置された流体ポンプアクチュエーター124は、チャネル106を通ってチャネル106の反対側の端部(他方の端部)に向かって流れる一方向の流体流れを生成することができる。流体排出室126を、槽(容器)、または、別の流体チャネル、または、1以上の結合された流体チャネルを有する槽(容器)などの種々のやり方で実施することができる。
【0018】
図1及び図2を参照すると、マイクロ流体混合装置102のマイクロ流体混合チャネル106はまた、1以上の軸非対称混合アクチュエーター122を備えている。図2に示すように、軸非対称混合アクチュエーター122は、混合チャネル106の長さ方向に伸びる中心線すなわち中心軸の一方の側または他方の側のある位置において、混合チャネル106内に組み込まれた流体慣性ポンプアクチュエーターである。したがって、軸非対称混合アクチュエーター122を、混合チャネル106の長さ方向に沿った任意の位置に配置することができるが、該チャネルの中心軸に関して非対称に配置される。混合チャネル106の入口(すなわち、流体成分が最初にチャネル106に入る場所)の近くに軸非対称混合アクチュエーター122を配置することによって、より大きな混合効果を達成することができるが、軸非対称混合アクチュエーター122が配置される箇所は、混合チャネル106の入口の近くには限定されない。
【0019】
混合アクチュエーター122及びポンプアクチュエーター124を、種々の流体慣性ポンプタイプのアクチュエーターのうちの任意のアクチュエーターとして実施することができる。たとえば、アクチュエーター122及び124を、混合チャネル106内に流体移動ないし流体変位を生じさせるための蒸気泡(蒸気の泡)を生成する熱抵抗器として実施することができる。アクチュエーター122及び124を圧電素子(PZT)として実施することもでき、該圧電素子の電気的に誘起された変形(ゆがみなど)によって、混合チャネル106内に流体移動ないし流体変位が生じる。電気力、磁(気)力、機械力、及びその他の力によって作動する他の変形可能な膜要素を、アクチュエーター122及び124を実施するのに使用することもできる。
【0020】
図3図15は、本開示の実施形態による、種々の構成の軸非対称混合アクチュエーター122及びポンプアクチュエーター124を含むマイクロ流体混合チャネル106のさまざまな実施例を示している。多くの構成を、図3図15に関して図示し説明するが、それらの構成は、可能な全ての構成を網羅しているわけではない。したがって、他の構成が可能であり、それらの他の構成も本開示によって考慮されていることは明らかである。さらに、図3図15において、アクチュエーターの大きさは均一なものとして一般的に図示されているが、大きさが均一ではない他の種々のアクチュエーターも考慮されている。図3図15において、混合チャネル106に入る流体300(たとえば、混合するための互いに異なる2以上の流体、または、混合するための顔料及び/もしくは粒子を含む単一のホスト流体)は、左側の互いに別様に陰影が施された2つの矢印によって示されており、混合チャネル106を出る(結果として生じた)混合流体(混合した流体)302は、右側の黒い単一の矢印によって示されている。
【0021】
一般に、混合チャネル106内の軸非対称混合アクチュエーター122は、1以上の混合アクチュエーター122の制御された作動によって能動的なマイクロ流体混合をもたらす。上記したように、コントローラ108は、慣性アクチュエーターの選択的作動及び制御された作動を可能にするための、プロセッサ110で実行可能な種々のソフトウェア及びデータ(116)命令を用いてかかる制御を行う。マイクロ流体混合装置102は、交互に作動するように1以上のアクチュエーター122を制御することによって混合チャネル106を通る流体の混合効果を達成する。より具体的には、流体が軸非対称混合アクチュエーター122を通過するときに、アクチュエーター122を交互に作動させることによって、揺れ動く流路を形成する流体移動ないし流体変位が生成される。この揺れ動く流路によって、従来の拡散による混合の混合効率を大きく上回る混合効率で流体が混合される。
【0022】
図3図15に示す多くの可能なアクチュエーター構成間には、適用することができる同じ数またはより多くの数の交互の作動シーケンスもしくは混合プロトコルが存在する。交互の作動シーケンスにおいて、連続する異なる作動間に時間遅れ(時間遅延)を含めても含めなくてもよい。たとえば、図3を参照すると、混合チャネル106は、単一の軸非対称混合アクチュエーター122を含んでいる。この実施例では、交互の作動シーケンスは、混合アクチュエーター122の作動を行い、次に、ある時間遅れ後に、アクチュエーター122の別の作動を行い、以下同様に作動を行うことを含むことができる。上記したように、アクチュエーター122の作動は、典型的には、コントローラ108によって調整できかつプログラム可能に制御できる所定の時間(の間)持続する。図4では、混合チャネル106は、該チャネルの同じ側に、該チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122を含んでいる。この実施例では、交互の作動シーケンスは、予め設定された時間だけ持続する第1のアクチュエーターの作動を行い、この直後に予め設定された時間だけ持続する第2のアクチュエーターの作動を行い、さらにこの直後に第1のアクチュエーターの別の作動を行い、以下同様に作動を行うことを含むことができる。2つのアクチュエーターの作動は、それら2つのアクチュエーターが同時に作動しないように交互に行われる。第1のアクチュエーターの作動時間中は、第2のアクチュエーターは作動していない(すなわち休止している)。第2のアクチュエーターは、第1のアクチュエーターの作動時間が終了した直後に作動し、この場合、第1のアクチュエーターの作動の終了時と、第2のアクチュエーターの作動開始時との間には時間遅れはない。したがって、このような交互の作動シーケンスにおいて、2つの混合アクチュエーター122の連続する(ないし順次的な)作動間には時間遅れはない。しかしながら、図4の実施例では、これとは異なる交互の作動シーケンスを有することもでき、該作動シーケンスは、予め設定された時間だけ第1のアクチュエーターの作動を行い、次に、ある時間遅れ後に、予め設定された時間だけ第2のアクチュエーターの作動を行い、次に、ある時間遅れ後に、第1のアクチュエーターの別の作動を行い、以下同様の作動を行うことを含むことができる。それら2つのアクチュエーターは、一方から他方へと、他方から一方へと(以下同様)順次作動し(すなわち同時には作動しない)、1つの作動の終了時と次の作動の開始時の間にはある時間遅れが挿入される。したがって、かかる別の交互の作動シーケンスでは、混合アクチュエーター122の連続する(または順次的な)作動間に時間遅れが存在する。
【0023】
図5は、2つの軸非対称混合アクチュエーター122がマイクロ流体混合チャネル106の互いに異なる側にある、該マイクロ流体混合チャネル106の実施例を示している。この実施例では、アクチュエーター122は、チャネル106の長さ方向に沿ってずらして配置されていないが、該チャネルの長さ方向に関して対称にもしくは並んで(たとえば整列して)配置されている。交互の作動シーケンスは、いくつかあるプロトコルの中でも特に、それら2つのアクチュエーター122を、各々の作動間に時間遅れを有してまたは時間遅れなく、交互に作動させることを含むことができる。図6に示すマイクロ流体混合チャネル106の実施例は、2つの軸非対称混合アクチュエーター122が、マイクロ流体混合チャネル106の同じ側にあり、かつ、該チャネルの長さ方向にずらして配置されており、さらにもう1つの軸非対称混合アクチュエーター122が、該チャネルの(それら2つのアクチュエーターとは)反対の側にあり、かつ、該チャネルの(他の2つのアクチュエーターがある)他方の側にある(該他の2つのアクチュエーターのうちの)1つのアクチュエーターに対して該チャネルの長さ方向に関して(もしくは該長さ方向に沿って)対称にもしくは並んで(たとえば整列して)配置されている。交互の作動シーケンスは、いくつかあるプロトコルの中でも特に、それら3つのアクチュエーター122を、各々の作動間に時間遅れを有してまたは時間遅れなく、交互に作動させることを含むことができる。
【0024】
図7は、マイクロ流体混合チャネル106の互いに異なる側に2つの軸非対称混合アクチュエーター122がある、該マイクロ流体混合チャネル106の実施例を示している。この実施例では、それら2つのアクチュエーター122は、チャネル106の長さ方向にずらして配置されていないが、該チャネルの長さ方向に関して対称にもしくは並んで(たとえば整列して)配置されている。交互の作動シーケンスは、いくつかあるプロトコルの中でも特に、それら2つのアクチュエーター122を、各々の作動間に時間遅れを有してまたは時間遅れなく、交互に作動させることを含むことができる。図7の実施例は、混合アクチュエーター122に加えて、チャネル106の中心軸上に(該中心軸に関して)対称に配置されたポンプアクチュエーター124を備えている。ポンプアクチュエーター124は、マイクロ流体混合チャネル106の一方の端部の近くに(他方の端部よりも近くに)配置されており、該ポンプアクチュエーターを作動させることによって、チャネル106を通る一方向の(すなわち左から右方向への)流体流れを生成する流体ポンピング効果をもたらすことができる。マイクロ流体混合チャネル106は、流体を該チャネル中を移動させるための流体ポンピング効果を得るために、外部ポンプ105の代わりに、または、外部ポンプ105に加えて、1以上のポンプアクチュエーター124を含むことができる。図8に示すマイクロ流体混合チャネル106の実施例は、チャネル106の中心軸上に(該中心軸に関して)対称に配置されたポンプアクチュエーター124に加えて、チャネル106の互いに異なる側に、該チャネルの長さ方向に関して並んで(たとえば整列して)配置されている2つの軸非対称混合アクチュエーター122が存在する点で、図7のマイクロ流体混合チャネル106に類似している。しかしながら、図8の実施例では、混合アクチュエーター122とポンプアクチュエーター124の位置が、該チャネルの長さ方向に沿った入力端に関して逆の関係になっている。
【0025】
図9は、2対の軸非対称混合アクチュエーター122があり、その各々の対が、マイクロ流体混合チャネル106の互いに反対の側に1つのアクチュエーターを有している、該マイクロ流体混合チャネル106の実施例を示している。アクチュエーターの各々の対は、チャネル106の互いに異なる側に1つのアクチュエーターを有している。この実施例では、アクチュエーター122のそれらの対は、チャネル106の長さ方向に沿ってずらして配置されている。交互の作動シーケンスは、いくつかあるプロトコルの中でも特に、それら4つのアクチュエーター122を、それぞれの作動間に時間遅れを有してまたは時間遅れなく、異なるシーケンス(順序)で交互に作動させることを含むことができる。図10は、マイクロ流体混合チャネル106の互いに異なる側に2つの軸非対称混合アクチュエーター122があり、それらのアクチュエーターが該チャネル106の長さ方向にずらして配置されている、該マイクロ流体混合チャネル106の実施例を示している。図11に示すマイクロ流体混合チャネル106の実施例では、該チャネルの同じ側に、該チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122に加えて、それらのアクチュエーターがある該チャネルの側とは反対の側にもう1つの軸非対称混合アクチュエーター122があり、該2つのアクチュエーター(または該2つのアクチュエーターのいずれか一方)と該もう1つのアクチュエーターとは、該チャネルの長さ方向に沿って対称ではない(すなわち該長さ方向のラインに関して整列していない)。
【0026】
図12に示すマイクロ流体混合チャネル106の実施例では、チャネル106の中心軸上に(該中心軸に関して)対称に配置されたポンプアクチュエーター124に加えて、チャネル106の互いに異なる側に、チャネル106の長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122がある。図13に示すマイクロ流体混合チャネル106の実施例では、図12と同様に、チャネル106の中心軸上に(該中心軸に関して)対称に配置されているポンプアクチュエーター124に加えて、チャネル106の互いに異なる側に、チャネル106の長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122がある。しかしながら、図13では、混合アクチュエーター122とポンプアクチュエーター124の位置が、該チャネルの長さ方向に沿った入力端に関して(図12とは)逆の関係になっている。図14に示すマイクロ流体混合チャネル106の別の実施例では、該チャネルの同じ側に、該チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122に加えて、それらのアクチュエーターがある該チャネルの側とは反対の側にもう1つの軸非対称混合アクチュエーター122があり、該2つのアクチュエーター(または該2つのアクチュエーターのいずれか一方)と該もう1つのアクチュエーターとは、該チャネルの長さ方向に沿って対称ではない(すなわち該長さ方向のラインに関して整列していない)。図15に示すマイクロ流体混合チャネル106の実施例では、該チャネルの同じ側に、該チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122に加えて、それらのアクチュエーターがある該チャネルの側とは反対の側に、該チャネルの長さ方向に沿ってずらして配置された2つの軸非対称混合アクチュエーター122がある。どのアクチュエーター122も、該チャネルの長さ方向に沿って互いに対称ではない(すなわち該長さ方向のラインに関して整列していない)。
【0027】
図16は、本開示の1実施形態にしたがうマイクロ流体混合方法1600の1例を示している。方法1600は、図1図15に関して述べた実施形態に関連しており、方法1600に示されているステップの詳細は、それらの実施形態の関連する説明部分において見出すことができる。方法1600の各ステップを、図1のコントローラ108にあるメモリー112などの非一時的なコンピュータ/プロセッサ可読媒体に格納されているプログラミング命令として具現化することができる。1実施形態では、方法1600の各ステップは、かかるプログラミング命令を、図1のプロセッサ110などのプロセッサによって読み出して実行することによって実施される。方法1600は2つ以上の実施例を含むことができ、方法1600の異なる実施例は、図示のフローチャートに示されている全てのステップを必ずしも用いるわけではない。したがって、方法1600の各ステップは、該フローチャート内に特定の順番で提示されているが、それらのステップの提示の順番は、それらのステップを実際に実施することができる順番に関して限定することを意図したものでも、それらの全てのステップを実施することができるかどうかに関して限定することを意図したものでもない。たとえば、方法1600の1実施例を、初めのいくつかのステップを(後続の1以上のステップを実行することなく)実行することによって実施することができ、方法1600の別の実施例を、すべてのステップを実行することによって実施することができる。
【0028】
図16を参照すると、方法1600は、少なくとも2つの異なる流体をマイクロ流体混合チャネルを通して送り出すためにポンプを作動させるステップを有するブロック1602から開始する。別の実施例では、ポンプを作動させるステップは、ブロック1604に示すように、マイクロ流体混合チャネル内に組み込まれている慣性ポンプ(たとえば、熱抵抗器バブルポンプ(熱抵抗器気泡ポンプともいう):thermal resistor bubble pump)を作動させること、または、ブロック1606に示すように、マイクロ流体混合チャネルの外部に配置されている外部ポンプを作動させることを含むことができる。
【0029】
方法1600は、ブロック1608に進んで、マイクロ流体混合チャネル内の少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させるステップを実行する。少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させると、流体がマイクロ流体混合チャネルを通るときにそれらの流体を混合する流体移動ないし流体変位が該チャネル内に生じる。1実施例では、少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させるステップは、ブロック1610に示すように、第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させ、次に、ブロック1612に示すように、該第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させた直後に第2の軸非対称混合アクチュエーターを作動させることを含む。別の実施例では、少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させるステップは、ブロック1614に示すように、第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させ、次に、ブロック1616に示すように、該第1の軸非対称混合アクチュエーターを作動させた後にある時間遅れを生じさせ、次に、ブロック1618に示すように、該時間遅れ後(すなわち、該時間遅れ分の時間が経過した後)に第2の軸非対称混合アクチュエーターを作動させることを含む。別の実施例では、少なくとも1つの軸非対称混合アクチュエーターを交互に作動させるステップは、ブロック1620に示すように、該チャネルの第1の側にある第1の混合アクチュエーターを作動させて、ブロック1622に示すように、該第1の混合アクチュエーターを作動させた直後に、該チャネルの第2の(すなわち他方の)側にある第2の混合アクチュエーターを作動させることを含む。他の実施例では、該混合チャネルの両側及び/または該混合チャネルの同じ側に配置された(複数の)アクチュエーターの作動間に時間遅れを設けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】