特表2015-531038(P2015-531038A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2015-531038炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置
<>
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000003
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000004
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000005
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000006
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000007
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000008
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000009
  • 特表2015531038-炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-531038(P2015-531038A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】炭素繊維強化プラスチック用抵抗ブレード加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 11/00 20060101AFI20151002BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20151002BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20151002BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20151002BHJP
   H05F 3/04 20060101ALI20151002BHJP
   H01T 4/10 20060101ALI20151002BHJP
   B64D 15/12 20060101ALN20151002BHJP
【FI】
   F03D11/00 A
   F03D1/06 A
   H05B3/14 G
   H05B3/00 320Z
   H05F3/04 F
   H01T4/10 B
   B64D15/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-525865(P2015-525865)
(86)(22)【出願日】2013年8月6日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2013066487
(87)【国際公開番号】WO2014023734
(87)【国際公開日】20140213
(31)【優先権主張番号】102012015540.9
(32)【優先日】2012年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013210205.4
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス、クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3H178
3K058
3K092
5G067
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB37
3H178BB43
3H178BB44
3H178BB75
3H178BB77
3H178BB79
3H178CC02
3H178CC04
3H178DD12Z
3H178DD51X
3K058AA30
3K058BA16
3K058CE03
3K058CE16
3K058CE30
3K092PP15
3K092QA05
3K092QB16
3K092QB26
3K092QB50
3K092VV21
5G067AA11
5G067DA33
(57)【要約】
【課題】ロータブレードに沿った各々のポジションに適合されている加熱力を、できるだけ目標を定めて提供する。
【解決手段】本発明は、ロータブレード(1)において該ロータブレード(1)を加熱するためにそのロータブレード表面の領域に配設された加熱装置(33)を含む、風力発電装置(100)のロータブレード(1)に関し、この際、加熱装置(33)は、導電性の複数の加熱コード(2)を有し、加熱コード(2)は、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、この際、振幅及び/又は波長は、加熱コード(2)に沿って、部分ごとに加熱装置(33)の固有の面加熱力を変化させるために変化している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置(100)のロータブレード(1)であって、
− ロータブレード(100)において該ロータブレード(1)を加熱するためにそのロータブレード表面の領域に配設された加熱装置(33)を含み、
− 前記加熱装置(33)は、導電性の複数の加熱コード(2)(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、
− 前記加熱コード(2)は、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、
− サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、
− 周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、
− 前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コード(2)に沿って、部分ごとに前記加熱装置(33)の固有の面加熱力を変化させるために変化していること
を特徴とするロータブレード(1)。
【請求項2】
前記振幅及び前記波長は、各々前記ロータブレード表面と平行に配向されていること
を特徴とする、請求項1に記載のロータブレード(1)。
【請求項3】
前記加熱コード(2)は、該ロータブレード(1)の縦方向に延在すること
を特徴とする、請求項1又は2に記載のロータブレード(1)。
【請求項4】
前記加熱コード(2)は、炭素繊維(2)及び/又は炭素繊維ロービングとして該ロータブレード(1)へ組み込まれていること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータブレード(1)。
【請求項5】
− 前記加熱コード(2)は、並列に接続された複数の加熱コード(2)から成る加熱グループ(35)に分割されており、
− 2つ以上の加熱グループ(35)が、互いに電気的に直列に接続されていること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロータブレード(1)。
【請求項6】
前記加熱コード(2)は、加熱グループ(35)ごとに、異なる振幅、及び/又は異なる波長、及び/又は隣接した前記加熱コードの間の異なる間隔を有すること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロータブレード(1)。
【請求項7】
− 該ロータブレード(1)は、雷を逃がすための電気的な避雷システム(6)を有し、
− 前記加熱装置(35)は、過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器(9)を介して前記避雷システム(6)と次のように結合されている、即ち
− 雷が該ロータブレード(1)へ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして
− 該ロータブレード(1)への落雷により前記加熱装置(35)に電圧が誘導される場合には、電流が各々の過電圧阻止器ないし各々の火花間隙避雷器(9)を通過ないし飛び越えるように結合されていること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロータブレード(1)。
【請求項8】
前記加熱装置(35)の開始部と終了部及び各加熱グループの間には、前記避雷システム(6)へ前記加熱装置(35)をつなぐために各々の過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)が配設されていること
を特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のロータブレード(1)。
【請求項9】
該ロータブレード(1)は、ブレード付根部(3)とブレード先端部(4)を有し、
前記加熱装置(35)は、
− 第1部分をもって前記ブレード付根部(3)から前記ブレード先端部(4)まで延在し、
− 第2部分をもって前記ブレード先端部(4)から前記ブレード付根部(3)まで戻るように延在しており、
− これらの両方の部分は、電気的に直列に接続されており、前記ブレード付根部(3)の領域において、前記加熱装置(35)を加熱するための電流を供給する電力供給部へ接続されていること
を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のロータブレード(1)。
【請求項10】
風力発電装置(100)であって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のロータブレード(1)を少なくとも1つ、特に3つ備えたロータを含むこと
を特徴とする風力発電装置(100)。
【請求項11】
過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器(9)であって、
− ロータブレード(1)の電気的な避雷システム(6)と、前記ロータブレード(1)を加熱する加熱装置(35)との間の結合を確立するためのものであり、
− 該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)は、前記結合を、雷が前記ロータブレード(1)へ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして前記ロータブレード(1)への落雷により前記加熱装置(35)に電圧が誘導される場合には、電流が該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)を通過ないし飛び越えるように確立するために設けられていること
を特徴とする過電圧阻止器。
【請求項12】
該過電圧阻止器(9)は、特にモジュールとして、カプセル化されて構成されており、従って落雷の場合、そしてその結果として該過電圧阻止器内に電圧火花放電がある場合には、該過電圧阻止器を取り囲む要素に対する火災又は爆発の危険性が回避され、また外部から該過電圧阻止器を前記ロータブレード(1)から取り外し及び/又は前記ロータブレード(1)へ取り付けることが可能であること
を特徴とする、請求項11に記載の過電圧阻止器(9)。
【請求項13】
該過電圧阻止器は、火花間隙避雷器(9)として構成されており、
− 前記避雷システム(6)と電気的に接続する受雷器(12)と、
− 前記加熱装置(35)と電気的に接続する火花ピン(30)とを含み、
− 前記受雷器(12)と前記火花ピン(30)との間の火花間隔は、前記受雷器と前記火花ピン(30)との間に火花が飛ぶことになる火花放電電圧を固定的に設定し、
− オプションとして前記火花間隔は、間隔調節可能であること
を特徴とする、請求項11又は12に記載の過電圧阻止器。
【請求項14】
加熱装置を設計する方法であって、
− 加熱装置(33)は、導電性の複数の加熱コード(2)(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、及び、
− 前記加熱コード(2)は、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、
− サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、
− 周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、
− 前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コード(2)に沿って、部分ごとに前記加熱装置(33)の固有の面加熱力を変化させるために変化し、
− 前記加熱装置は、複数の加熱部分に分割されており、部分ごとに、振幅と、波長と、前記加熱コードの間の間隔が、予め設定された加熱電流のもと、該当の加熱部分のために決められている固有の面加熱力が達成されるように選択されること
を特徴とする方法。
【請求項15】
風力発電装置(100)のロータブレード(1)を加熱する加熱装置(35)であって、
該加熱装置は、請求項14に記載の方法を用いて設計され、特に請求項1〜9のいずれか一項に記載された特徴を有すること
を特徴とする加熱装置。
【請求項16】
特に請求項1〜9のいずれか一項に記載のロータブレード(1)を加熱する方法であって、
ロータブレード(35)の加熱装置(35)、特に請求項15に記載の加熱装置(35)には、前記ロータブレード(1)に着氷が想定されるか又は予期される場合に、加熱装置自体、従って前記ロータブレード(1)の少なくとも一部分を加熱するために電流が加えられ、前記ロータブレード(1)の避雷システム(6)への落雷の場合には、前記加熱装置(35)内にこの落雷により誘導された電圧が、少なくとも1つの過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器(9)を介し、前記避雷システム(6)に向かって及び/又は所定のアースライン(6)に向かって逃がされること
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置(風力エネルギー設備)の加熱可能なロータブレードに関する。更に本発明は、風力発電装置のロータブレードを加熱する方法に関し、また本発明は、風力発電装置に関する。更に本発明は、ロータブレードに構成すべき過電圧阻止器に関し、また本発明は、ロータブレードを加熱する加熱装置に関する。更に本発明は、加熱装置を設計する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置のロータブレードには、0℃未満の温度か又は0℃をかろうじて上回る温度の場合に着氷が起こることがある。従来技術においてこの問題は、ロータブレードの加熱により対処されている。風力発電装置のロータブレードを除氷する方法は、下記特許文献1から公知である。この方法は、構造に関してできるだけ簡単であり、従って低コストであるが、同時に効果的な、ロータブレードの着氷から生じる欠点を回避する方法を見つけるという課題が基礎とされている。この課題は、前記文献によると、加熱された熱伝達媒体(空気)が、ブレード壁部の領域に適宜熱放出を行いながらブレードノーズ側の中空空間を通って流れた後、ブレード後方エッジ側の中空空間内へ案内され、そこから排出されることにより解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 0 842 360 B1 (WO 97/06367 A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1による解決策では、ブレード付根部に熱空気を導入した後、この熱空気は、ブレード縦軸線(ブレード半径)に沿って冷めていくことになる。このことは、着氷の最も激しい箇所、即ちブレード先端部における除氷効果が既に強く減少されているという欠点を有する。
【0005】
従って本発明の課題は、上記の問題点の少なくとも1つを解消することである。とりわけ、ロータブレードに沿った各々のポジションに適合されている加熱力を、できるだけ目標を定めて提供することのできる解決策が提案されるべきである。また少なくとも代替的な解決策が提案されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、請求項1に記載のロータブレードが提案される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0008】
本発明により、ロータブレードを加熱するためにロータブレード表面の領域に配設されている加熱装置が設けられている。ロータフレード表面の領域における配設とは、特にこの加熱装置がロータブレードの外側シェルに配設されていることを意味する。この際、加熱装置をこの外側シェル内へ組み込むことが可能であり、特に外側シェルが繊維強化プラスチックから成る場合、加熱装置をこの材料内へ層状に取り込むことが可能である。それに加え、加熱装置は、例えば面状の貼り付け(接着)のように外側シェルの内側に直接的に固定することも可能である。
【0009】
加熱装置は、複数の加熱コード(Heizstraenge 以下「複数の加熱コード」を単に「加熱コード」とも言う)を有し、これらの加熱コード(線材、帯材、束、撚糸、ワイヤないしケーブルを含む)は、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に形成されている。加熱コードの形状は、表現上、サイン形状の延在経過に基づいて良好に説明され、このことは、以下、部分的に適用される。しかしその際に説明され且つ利用される効果は、厳密に数学的な意味におけるサイン形状(正弦形状)に制限されるわけではない。つまり加熱コードは、直接的に真直ぐな状態ないし延びた状態で延在するのではなく、加熱コードのサイン形状、波形状、又はジグザグ形状の形態により、そのような線形状、特に直線形状の形態とは異なっているということが重要である。またこの形態により各加熱コードは、単に1つの線に沿う代わりに、1つの帯内、従って1つの面内にあるようにも形成される。この際、この帯ないしこの面は、各々の領域においてロータブレード表面と平行に配設されている。サイン形状に関しては、このサイン形状がブレード表面と平行な方向(平行な面内)で振動する(即ちあたかも振動するように曲線を描く)ことを意味する。
【0010】
(サイン形状の)サイン関数は、振幅と周期長を有する。これらの値は、ここではあまり重要でない位相位置の他、サイン形状の延在経過を特徴付ける。それに類似し、振幅は、波形状の延在経過の場合の波の高さを特徴付け、また振幅は、ジグザグ形状の延在経過の場合の突出部の高さ(底部から)を特徴付ける。周期長は、1つのピーク値からその次のピーク値までの間隔を記述するか、又は曲線の1つの零交差からその次の次の零交差までの間隔を記述する。この意味において波長は、波形状の形態の場合には2つの波高点の間隔を記述し、ないしジグザグ形状の形態の場合には2つの隣り合った突出部の間隔も記述する。この際、サイン形状の延在経過、波形状の延在経過、またジグザグ形状の延在経過の場合についても、まとめて統一して本明細書では「波長」との表現を使うものとする。
【0011】
上記の内容を踏まえ、部分ごとに加熱装置の固有の面加熱力(ないし比面加熱力、即ち単位面積あたりの加熱力 spezifische Flaechenheizleistung)を変化させるために、振幅及び/又は波長を加熱コードに沿って変化させることが提案される。
【0012】
特にこの際には、各々の加熱コードの開始点と終了点との間の間隔が変わらない状態で振幅及び/又は波長を変化させることより、それでも加熱のために有効な加熱コードの長さが増加され、従って前記の開始点と終了点との間のこの区間の加熱力が増加されるという思想が基礎とされている。
【0013】
加熱コードは、導電性であり、加熱のために、対応する加熱電流が加えられる。この加熱電流は、キルヒホッフの節点法則(電流則)に従い、各加熱コードに沿って同じ大きさであり、それにより加熱コードにおける同じ長さの各々のコード部分には同じ加熱力がもたらされる。波長を減少することにより、同じ面(同じ面積の面)には更に多くの同じ長さの加熱コードの部分を格納することが可能であり、従ってこの面の加熱力が増加する。つまりそれにより固有の面加熱力が増加する。そのような増加は、基本的に振幅の増加によっても達成可能であり、その際には、個々の加熱コードを考察すると、先ずは当該加熱コードが延在する比較的幅広の領域がもたらされるであろう。平行に延在し且つ基本的に位相を合わせて振動する加熱コードを多数使用する場合には、振幅の増加は、これらの加熱コードが配設されている加熱帯の幅の広がりが小さい場合に限って達成することが可能である。
【0014】
好ましくは、振幅及び波長は、各々ロータブレード表面と平行に延在する。従って加熱コードは、面状の配設構成部を形成し、この面状の配設構成部は、ロータブレード表面と平行であり且つその近傍に配設されており、そこで目標を定めてロータブレード表面を加熱することが可能である。またこの加熱が、着氷を防止する又は着氷を溶かすという目的のために用いられることが顧慮されなくてはならない。それ故、ロータブレード表面において加熱力が必要とされる。
【0015】
好ましくは、加熱コードは、ロータブレードの縦方向(長手方向)に延在する。それにより先ず加熱コードをブレード付根部からロータブレード先端部の方向に敷設し、それに対応し、ロータブレードの長い領域に張り渡すことが可能である。この際、ロータブレード縦軸線の方向の配向により、特に波長の変化に基づき、ロータブレードの縦方向における固有の面加熱力の変化を達成することが可能である。従ってロータブレード縦方向における固有の面加熱力の提案された変化により、着氷が特にロータブレード先端部の領域において強く予期されるという状況を考慮することが可能である。つまりこのことについて固有の加熱力を、場所的に即ちロータブレードに沿ったポジションに関し、簡単に適合させることが可能である。
【0016】
好ましくは、加熱コードは(ロータブレード付根部から)ロータブレード先端部に向かい、一定の波長及び/又は小さくなっていく振幅を有することも提案される。
【0017】
固有の面加熱力(単位面積あたりの加熱力)は、好ましくは、隣接する加熱コードの各々の間隔の選択と、加熱コードの波長の選択と、加熱コードの振幅の選択とを介して設定される。
【0018】
また減少された振幅が波長の減少により補償可能であることも有利である。例えば提供されるスペースが比較的少ないことにより振幅の減少が要求される場合には、このことは固有の面加熱力の減少をもたらすであろうが、この固有の面加熱力を、補償の達成のために波長の減少により増加させることが可能であろう。
【0019】
本発明の一実施形態により、加熱コードが炭素繊維及び/又は炭素繊維ロービング(撚りをかけた炭素繊維の束)としてロータブレードへ組み込まれていることが提案される。そのような構成は、特にロータブレードが少なくともその外側シェルの領域において繊維強化プラスチックから、特に炭素繊維強化プラスチックから製造されている場合に提案される。この場合、炭素繊維又は炭素繊維ロービングは、そのような製造材料内での使用ないしそのような構造体内での使用に適合されている。従って外側シェルの構造は、それらの既知の材料に制限することが可能である。
【0020】
しかし加熱コードは、直線的には敷設されていないので、実際にはロータブレードの安定化のためには寄与できないことを考慮しなくてはならない。つまりロータブレードの安定性、従ってロータブレードの安定性の設計は、これらの加熱コードに依存することはない。このことは、設計を容易にしてくれる。
【0021】
従って炭素繊維又は炭素繊維ロービングから成る加熱コードは、簡単に設けることができ、電気的な加熱抵抗として良好に適した材料を構成し、その理由はこれらの加熱コードが、簡単に表現すると、導電性を有し、しかし該導電性は、とにかく通常の金属導体に比べると比較的低いためである。
【0022】
本発明の一実施形態により、加熱コードは、並列に接続された複数の加熱コードから成る加熱グループに分割されており、複数の加熱グループは、互いに直列に接続されている。従って複数の加熱コードは、多くの場合極めて多数の加熱コードであるが、1つの加熱グループ内で互いに平行に延在し、またこれらの加熱コードが共通の開始節点と共通の終了節点において電気的に相互接続されていることにより電気的にも並列に接続されている。1つの加熱グループの加熱コードは、好ましくはそれらのサイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に関しても互いに平行に、特にほぼ位相を合わせて延在する。
【0023】
そのような加熱グループの複数は、電気的に直列に接続されており、特にロータブレード縦方向に沿って一列にも配設されている。この直列接続により同じ電流が各加熱グループを通って流れる。また各加熱グループが各々同数の加熱コードを有し、これらの加熱コードが1つの加熱グループ内で同じ電気的な値を有する場合には、各加熱コードにも同じ電流が流れる。異なる加熱グループに対し、加熱コードの波長を変化させることにより、ないし加熱コードの波長を異なって選択することにより、これらの加熱グループの各々について異なる固有の面加熱力を設定することができる。しかしそれでも、そのような変化により1つの加熱グループ内の固有の面加熱力を変化させることも可能であり、又は選択的にそのようにすることも可能である。
【0024】
ロータブレード縦軸線に沿った振幅及び/又は波長のこの変化は、各々所望の固有の面加熱力の連続的な設定ないし無段階の設定を特に可能にする。従ってこのことは、加熱グループ内の所定の相互配線又はその他の方式に依存せず行うことが可能であり、波長及び/又は振幅の変化によってのみ可能とされる。
【0025】
好ましくは、加熱装置は、全体的にないしグループごとに、周方向においてロータブレードの周り、即ちロータブレード軸線の周りを取り囲むように配設されている。つまりこの実施形態により加熱装置及び/又は加熱グループの周方向における分割が回避される。この配設構成においても、加熱装置がブレードシェル内へ組み込まれている、特に層状に取り込まれていることは有利である。
【0026】
しかし本発明の一実施形態により、例えば構造化を簡単にするために、異なる加熱グループのために統一して異なる振幅及び/又は異なる波長を設けることが可能である。所定の加熱グループに所定の波長と所定の振幅が割り当てられると、それによりこの加熱グループには、予め定められた加熱電流のもと、対応する固有の面加熱力を割り当てることが可能である。
【0027】
本発明の更なる一実施形態は、ロータブレードが、雷を逃がすための電気的な避雷システムを有することを提案する。更にこの際、加熱装置が火花間隙避雷器(スパークギャップ避雷器)か又は他の過電圧保護装置ないし過電圧阻止器を介して避雷システムと次のように結合されている、即ち雷がロータブレードへ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そしてロータブレードへの落雷により加熱装置に電圧が誘導される場合には、電流が過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器を通過ないし飛び越えるように結合されていることが考慮される。従って加熱装置は、避雷システムと結合されているが、通常運転時には電気的に分離されている。従って避雷システムへのこの接続が加熱装置の通常運転に影響を及ぼすことはない。
【0028】
そのような過電圧阻止器は、例えば、対応してサイズ決定されたダイオードとしてか又はバリスタ(可変抵抗)として構成することが可能であり、ないしそのような素子を含むことが可能である。そのような素子は、部分的に電流方向に依存し、所定の電圧以上で初めて導電性となり、それまでは極めて高い電気抵抗を有し、このことは、ここでは電気的に非導電性であるとも称される。過電圧阻止器は、過電圧を逃がすものであり、それ故、過電圧保護との用語及び過電圧保護との概念は、本願においては過電圧阻止器と同義として使用されている。過電圧阻止器の可能な一実施形態は、火花間隙避雷器であり、従って該火花間隙避雷器は、例示されていない様々な過電圧阻止器を代表するものとして記載される。
【0029】
しかし雷がロータブレードへ落ちた場合には、この火花間隙避雷器を介して等電位化(Potentialausgleich)を場合により実行することが可能である。そのような等電位化は、特に雷がロータブレードへ落ちて高電流が避雷システム内にもたらされ、それにより加熱装置内、特に加熱コード内に電圧が誘導される場合に必要とされる。この電圧は、特に加熱装置の保護のために排除ないし相殺されるべきであり、そのために火花間隙避雷器ないし他の過電圧保護装置が設けられている。
【0030】
本発明の一実施形態により、加熱装置の開始部と終了部及び各加熱グループの間には、避雷システムへ加熱装置をつなぐために各々の過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器が配設されていることが提案される。それにより落雷の場合に誘導されるであろう加熱装置の全区間にわたる高電圧が回避されることになり、その理由は既に等電位化が中間領域において、即ち加熱グループの間において火花間隙避雷器により達成されるためである。この際の最大印加電圧は、各加熱グループに対し、電圧が火花間隙避雷器において火花放電(スパーク)をもたらす前に、正に当該加熱グループにおいても誘導されるであろう電圧へ制限されている。
【0031】
好ましくは、ロータブレードは、ブレード付根部とブレード先端部を有し、また加熱装置は、直列に接続された2つの部分(第1部分と第2部分)に分割されている。従って(電気的に)第1部分は、ブレード付根部からブレード先端部まで延在し、第2部分は、ブレード先端部からブレード付根部まで戻るように延在している。これらの両方の部分は、簡単にブレード付根部の領域において電力供給部へ接続することが可能であり、そこで加熱電流が供給される。従って加熱電流は、簡単に表現すると、第1部分を通ってブレード先端部に向かって流れ、第2部分を通ってブレード先端部から戻ってくる。加熱装置が説明した2つの部分又は類似の2つの部分に分割されていない場合には、選択的に供給ラインをブレード付根部からブレード先端部に至るまで案内することも可能である。
【0032】
更に本発明により、少なくとも1つのロータブレードを備えたロータを有する風力発電装置(風力エネルギー設備)が提案される。しかし通常は3つのロータブレードが設けられている。この風力発電装置は、そのロータブレードが加熱装置を有し、そして特に少なくとも1つの実施形態に従って上述されたように構成されていることにより特徴付けられている。従って当該風力発電装置は、着氷が発生しうる状況のためにも特に良好に使用可能とすることができる。
【0033】
更に本発明により、ロータブレードの電気的な避雷システムと、ロータブレードを加熱する加熱装置との間の結合を確立するために準備されている、過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器(スパークギャップ避雷器)が提案される。過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器は、前記結合を、雷がロータブレードへ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そしてロータブレードへの落雷により、即ち特に避雷システムへの落雷により加熱装置に電圧が誘導される場合には、電流が過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器を通過ないし飛び越え、即ち電気的な火花放電(スパーク)が達成されるように確立するために準備されている。つまり火花間隙避雷器は、通常運転時には電気的な接続を防止する。落雷の場合のために過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器は、その際に発生する電圧が火花放電をもたらすことができるようにサイズ決定されている。つまり過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器は、加熱のための電流が加熱装置に加えられる通常運転時には、火花間隙避雷器において火花放電がもたらされないようにサイズ決定されている。また同時に火花間隙避雷器又は他の過電圧阻止器は、落雷により電圧が誘導される場合にはそのような電圧が加熱装置に危険を及ぼす電圧高さに達する前に火花放電が起こりうるように、サイズ決定される必要があり、特にそれに対応するような小さい間隔を有する必要がある。
【0034】
好ましくは、過電圧阻止器は、特にモジュールとして、カプセル化(ケース化)されて実施されており、従って落雷の場合、そしてその結果として過電圧阻止器内に電圧火花放電がある場合には、過電圧阻止器を取り囲む要素に対する火災又は爆発の危険性が回避され、また外部から過電圧阻止器をロータブレードから取り外し及び/又はロータブレードへ取り付けることが可能である。落雷の場合には、過電圧阻止器に短時間の間、高電圧及び/又は高電流が発生することがあり、周囲の要素、特にロータブレードシェル又はロータブレードの他の要素に対するそれらの影響は破壊的であり得るが、提案されたカプセル化により回避され、或いは少なくとも制限される。従って例えば、そのような電圧火花放電によりそうでなければ発生する可能性のあるロータブレード内の爆発を回避することが可能である。
【0035】
本発明の一実施形態により、過電圧阻止器は、受雷器(雷レセプタ)と火花ピンを有する火花間隙避雷器として構成されている。受雷器は、避雷システムと接続されており、そのために電気接続部を確立している。それ故、受雷器へ雷が落ちてもよく、雷は、それからこの電気接続部を通って避雷システムに達する。火花ピンは、加熱装置と接続されており、受雷器に対しては基本的に絶縁されている。受雷器と火花ピンとの間の火花間隔は固定され、該火花間隔は、火花放電電圧を固定的に設定し、即ち火花ピンと受雷器との間に火花が飛ぶことになる電圧を固定的に設定するように選択される。従ってこの火花放電電圧は、火花ピンと受雷器との間の間隔、即ち火花間隔(スパークディスタンス)により固定することが可能である。好ましくは、火花間隔は、間隔調節可能である。それにより一方では、取付時に調節を行うことが可能であり、他方では、火花間隔が例えば付着物などにより変化した場合にマッチングを行うことも可能である。火花ピンと受雷器との間のそのような間隔は、他のやり方で固定することも可能であり、その際にはピンが使用される必要もなく、他の形状、例えば球表面を選択することも可能である。
【0036】
好ましくは、受雷器及び火花ピン又は少なくとも1つの絶縁体は、互いに固定結合されている。従って受雷器と火花ピンは、絶縁体及び場合により別の要素と共に1つの固定ユニットを構成する。これらの構成部材は、好ましくはモジュールとして構成されており、これらの構成部材、即ちこのモジュールは、外部から、ロータブレードから取り外し又はロータブレードに取り付けることが可能である。特に落雷の場合、そして落雷に基づき火花ピンと受雷器との間に火花放電がある場合、受雷器は、火花放電電圧に影響をもつことになる。場合により受雷器と火花ピンとの間の間隔を調節し、洗浄を行い、及び/又はこの火花間隙避雷器について必要な修理をしなくてはならない。この目的のためにそのようなモジュールは、該モジュールを修理するか又は交換用モジュールを取り付けるために取り外し可能である。
【0037】
本発明により、加熱装置を設計する方法も提案され、該方法において、
− 加熱装置は、導電性の複数の加熱コードを有し、及び、
− 加熱コードは、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、
− サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、
− 周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、この際、
− 振幅及び/又は波長は、加熱コードに沿って、部分ごとに加熱装置の固有の面加熱力を変化させるために変化し、この際、
− 加熱装置は、複数の加熱部分に分割されており、部分ごとに、振幅と、波長と、加熱コードの間の間隔が、予め設定された加熱電流のもと、該当の加熱部分のために決められている固有の面加熱力が達成されるように選択される。
【0038】
従ってロータブレードのための加熱装置の設計は、振幅と波長、並びに隣接した加熱コードの間の間隔が、所望のないし必須として固定された固有の面加熱力を設定するために目標を定めて利用されるように行われる。従ってこれらの3つのパラメータにより、例えば、より密に位置する加熱コード、即ち短い間隔により既に考慮することのできる各々現存の構造サイズのような更なる影響量を考慮することが可能である。
【0039】
更に本発明により、加熱装置であって、風力発電装置のロータブレードの加熱のために設けられており、ロータブレードの少なくとも1つの実施形態の説明との関連で上述したように構成されている加熱装置が提案される。
【0040】
更に本発明により、ロータブレードを加熱する方法が提案される。この方法は、好ましくは、そのような加熱装置を使用し、上述の実施形態の少なくとも1つによるロータブレードに適用される。この際、加熱装置には電流が加えられ、それにより加熱装置が加熱され、従って加熱装置が配設されている領域のロータブレードの少なくとも一部分が加熱される。この電流付加は、ロータブレードに着氷が想定されるか又は予期される場合に行われる。特に着氷は、対応する気象状況、即ち氷点付近の温度、対応する空気湿度、また所定の風速範囲においても予期される。それに加え又はその代わりに現存の着氷を、単に例として述べるが、例えば光学的ないし視覚的に又は風力発電装置の挙動に基づいて検知することも可能である。
【0041】
更に落雷の場合には、誘導された電圧を逃がすことが行われる。ロータブレードの避雷システムへの落雷の場合には、この落雷により加熱装置内に電圧が誘導され、該電圧は、少なくとも1つの火花間隙避雷器を介し、避雷システムに向かって及び/又は直接的にアースラインに向かって逃がされる。また提案された方法は、ロータブレードの少なくとも1つの実施形態の関連で上述したように行われる。
【0042】
以下、本発明を添付の図面に関連した実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施例によるロータブレードを示す図である。
図2】火花間隙避雷器の一実施例を示す図である。
図3a】本発明の一実施例によるロータブレードの一部分を斜視図として示す図である。
図3b】本発明の一実施例によるロータブレードを概略断面図として示す図である。
図4a】本発明の一実施例による加熱装置、従って炭素繊維加熱システムを示す図である。
図4b】第1部分と第2部分に分割されている加熱装置を示す図である。
図4c図4bによる加熱装置を概略図として示す図であり、ここでは、個々の加熱グループが具体的な説明のために別個の要素として図示されている。
図5】一風力発電装置を概略斜視図として示す図である。
【実施例】
【0044】
図1は、本発明によるロータブレード1の一実施例を模式的に示しており、該ロータブレード1には、その縦軸線に沿って炭素繊維束(炭素繊維撚糸部材)2が分散されて設けられている。これらの炭素繊維束2は、ブレード表面と平行な方向で振動するサイン関数の形状で取り入れられている。サイン関数の振幅は、ブレード付根部3からブレード先端部4に向かって減少する。ブレード周部の大きさは、ブレード先端部に向かって減少するので、炭素繊維束2は、ブレード付根部よりもブレード先端部においてより密に並んでいる。従ってブレード表面に対する相対的なエネルギー入力が増加する。このことは、ブレード先端部が運転中にはブレード付根部よりも高い軌道速度で運動し、それにより一層着氷しやすくなるため、有利である。電気回路は、ここでは単に模式的に示唆されたライン5を介して閉じている。
【0045】
従ってこの際、固有の面加熱力(単位面積あたりの加熱力 spezifische Flaechenheizleistung)が、加熱コード、即ち炭素繊維束2のより密な配設により必然的に増加される。しかし(サイン関数の)波長を適切に選択することにより、所望の固有の面加熱力を設定することが可能である。
【0046】
またロータブレードの運動方向において、即ちロータブレード1の縦方向(長手方向)に対する横方向(左右方向)において、固有の面加熱力は、加熱コード2の間隔が変化されることにより影響可能であることも認識することができる。従って固有の面加熱力は、ロータブレード縦方向においては(サイン関数の)波長と振幅の選択により変化可能であり、またロータブレード縦軸線に対する横方向、即ち運動方向においては、加熱コード、特に炭素繊維束2の間隔を適宜選択することにより変化可能である。
【0047】
図1は、更に加熱装置33が、複数の加熱グループ35へ、即ち図示の例では6つの加熱グループ35に分割されている様子を示している。各加熱グループ35は、複数の加熱コード2、即ち炭素繊維束2を有し、これらの炭素繊維束2は、各加熱グループ35内において各々互いに並列に接続されている。それに対し、これらの加熱グループ35は、互いに直列に接続されている。ブレード付根部3とブレード先端部4は、各々電気的な節点(ノード)を有し、該節点において複数の加熱コード2が各々電気的に接続されている。従ってこれらのブレード付根部3とブレード先端部4は、加熱装置33の両側の端部ないし開始部と終了部を構成する。
【0048】
炭素繊維束2は導電性であるので、これらは、潜在的な落雷箇所を構成する。それ故、炭素繊維束2をブレードの避雷システム6へ接続することが有意義であり、該避雷システム6は、ここでは同様に模式的にのみ図示されている。避雷システム6は、通常、ブレードの内部において、金属性のブレード先端部取付部材7からブレード付根部3まで案内される。ブレード縦軸線に沿って規則的な間隔をおいて炭素繊維束2は、ライン8を介して避雷システム6と接続されている。加熱運転時に電気回路を短絡させないためにライン8内には、火花間隙避雷器(スパークギャップ避雷器)9が設けられている。
【0049】
しかし落雷の場合には、雷が実際に炭素繊維束2へ落ちることを回避すべきであり、その理由はこのことが恐らく炭素繊維束2の破壊をもたらしてしまうからである。しかしそれにもかかわらず落雷は、避雷システム6内に高電流をもたらし、それにより炭素繊維束2内、従ってとりわけ個々の加熱グループ35内に電圧が誘導される。従って各加熱グループ35は、2つの火花間隙避雷器9を介して避雷システム6へ接続されている。従って落雷により誘導されたそのような電圧は、各加熱グループ35のために、該当の火花間隙避雷器9を介して逃がされる。
【0050】
図2は、火花間隙避雷器9の可能な一実施例を示している。並列に接続された複数の炭素繊維束2をここでは代表する図2の炭素繊維束2は、ライン8.1を介し、火花ピン(スパークピン)30を有するピン要素10と電気的に接続されており、火花ピン30は、受雷器(雷レセプタ)12の対向面32に対して所定の間隔をおいて配設されており、ないしこの間隔を実質的に固定することが可能である。そのために調節ネジ40と調節ナット42が設けられている。従って火花ピン30は、所望の間隔のためにピン要素10のベース部材44にねじ込み可能であり、このポジションが調節ナット42により位置固定可能である。
【0051】
ピン要素10は、電気的な絶縁器11を介して受雷器12に対して離間される。金属性の受雷器12は、ロータブレード1の表面の穴を通り抜け、雷を引き寄せて適切に吸収するために用いられる。受雷器12は、接地された避雷システム6と接続されている。
【0052】
避雷システム6へ雷が落ちて、その際に複数の炭素繊維束2ないし少なくとも1つの加熱グループ35に電圧が発生すると、ピン要素10と受雷器12との間の電圧は、これらの要素の間において火花放電(スパーク)の状態になるまで上昇する。それに対して通常の加熱運転時には、火花放電の状態とはならない。従って加熱のために加熱装置に加えられる電流が加熱運転時に逃がされることはない。
【0053】
図3aは、ブレード表面における受雷器12を示している。これらの受雷器12は、図3bの4つの受雷器12のうち2つの受雷器12がそうであるように、火花間隙避雷器9へ取り付けなくても使用することが可能である。
【0054】
図4a,4b,4cは、炭素繊維加熱システム13とも称することのできる加熱装置33の実施例を具体的に示している。この加熱装置33ないし炭素繊維加熱システム13をロータブレードの繊維強化されたプラスチック構造体内へ組み込むことが考慮され、この際、図4a,4b,4cは、加熱装置33ないし炭素繊維加熱システム13をロータブレードから離した状態で示している。
【0055】
好ましくは、ロータブレードの製造のため、従って炭素繊維加熱システム13ないしその一部の製造のためにも、図4bでハーフシェル14として示唆されている2つのハーフシェルが作られる。これらのハーフシェル14についても加熱装置の要素だけが示されている。これらのハーフシェル14は、対応する炭素繊維束2を有する。これらの炭素繊維束2は、ハーフシェル内へ組み込まれた状態とするために、ブレード製造時において、対応するブレードハーフシェル内へないしブレードハーフシェルを製造するための対応する型枠内へ入れられ、そして特に同じ樹脂を用いて含浸される。ハーフシェル14の各々は、縦方向(長手方向)において、各々の加熱グループを構成する複数の要素15へ分解される。それにより特に製造を簡素化できる。またそれにより図1でライン8.1及び8.2と火花間隙避雷器9により示されているように相互接続を実現できる。
【0056】
その後、図4aが示唆しているように、それらのハーフシェル14を1つにまとめ、そして(電気的に)相互接続することが可能であるか、又は、例えばブレード先端部4のところに配設すべき領域において接続部が作られ且つブレード付根部3に配設するために設けられている領域において供給電圧部への接続部(ターミナル部)が製造されることにより、それらのハーフシェル14を電気的に別個にないし直列接続することも可能である。
【0057】
図5は、タワー102とナセル104を備えた風力発電装置(風力エネルギー設備)100を示している。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110を備えたロータ106が配設されている。ロータ106は、運転時には風力により回転運動され、それによりナセル104内の発電機を駆動する。
【符号の説明】
【0058】
1 ロータブレード
2 炭素繊維束(加熱コード)
3 ブレード付根部
4 ブレード先端部
5 ライン
6 避雷システム(アースライン)
7 ブレード先端部取付部材
8 ライン
8.1 ライン
8.2 ライン
9 火花間隙避雷器(スパークギャップ避雷器)
10 ピン要素
11 電気的な絶縁器
12 受雷器(雷レセプタ)
13 炭素繊維加熱システム
14 ハーフシェル
15 ハーフシェルの複数の要素
30 火花ピン(スパークピン)
32 受雷器の対向面
33 加熱装置
35 加熱グループ
40 調節ネジ
42 調節ナット
44 ベース部材
100 風力発電装置
102 タワー
104 ナセル
106 ロータ
108 ロータブレード
110 スピナ
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5
【手続補正書】
【提出日】2015年3月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置ロータブレードあって、
− ロータブレード()において該ロータブレード(1)を加熱するためにそのロータブレード表面の領域に配設された加熱装置(33)を含み、
− 前記加熱装置(33)は、導電性の複数の加熱コード(2)(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、
− 前記加熱コード(2)は、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、
− サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、
− 周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、
− 前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コード(2)に沿って、部分ごとに前記加熱装置(33)の固有の面加熱力を変化させるために変化していること
を特徴とするロータブレード
【請求項2】
前記振幅及び前記波長は、各々前記ロータブレード表面と平行に配向されていること
を特徴とする、請求項1に記載のロータブレード
【請求項3】
前記加熱コード(2)は、該ロータブレード(1)の縦方向に延在すること
を特徴とする、請求項1又は2に記載のロータブレード
【請求項4】
前記加熱コード(2)は、炭素繊維(2)及び/又は炭素繊維ロービングとして該ロータブレード(1)へ組み込まれていること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータブレード
【請求項5】
− 前記加熱コード(2)は、並列に接続された複数の加熱コード(2)から成る加熱グループ(35)に分割されており、
− 2つ以上の加熱グループ(35)が、互いに電気的に直列に接続されていること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロータブレード
【請求項6】
前記加熱コード(2)は、加熱グループ(35)ごとに、異なる振幅、及び/又は異なる波長、及び/又は隣接した前記加熱コード(2)の間の異なる間隔を有すること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロータブレード
【請求項7】
− 該ロータブレード(1)は、雷を逃がすための電気的な避雷システム(6)を有し、
− 前記加熱装置(33)は、過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)を介して前記避雷システム(6)と次のように結合されている、即ち
− 雷が該ロータブレード(1)へ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして
− 該ロータブレード(1)への落雷により前記加熱装置(33)に電圧が誘導される場合には、電流が各々の過電圧阻止器ないし各々の火花間隙避雷器(9)を通過ないし飛び越えるように結合されていること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロータブレード
【請求項8】
前記加熱装置(33)の開始部と終了部及び各加熱グループ(35)の間には、前記避雷システム(6)へ前記加熱装置(33)をつなぐために各々の過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)が配設されていること
を特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のロータブレード
【請求項9】
該ロータブレード(1)は、ブレード付根部(3)とブレード先端部(4)を有し、
前記加熱装置(33)は、
− 第1部分をもって前記ブレード付根部(3)から前記ブレード先端部(4)まで延在し、
− 第2部分をもって前記ブレード先端部(4)から前記ブレード付根部(3)まで戻るように延在しており、
− これらの両方の部分は、電気的に直列に接続されており、前記ブレード付根部(3)の領域において、前記加熱装置(33)を加熱するための電流を供給する電力供給部へ接続されていること
を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のロータブレード
【請求項10】
風力発電装置あって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のロータブレード(1)を少なくとも1つ、又は3つ備えたロータを含むこと
を特徴とする風力発電装置
【請求項11】
過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器あって、
− ロータブレード(1)の電気的な避雷システム(6)と、前記ロータブレード(1)を加熱する加熱装置(33)との間の結合を確立するためのものであり、
− 該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)は、前記結合を、雷が前記ロータブレード(1)へ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして前記ロータブレード(1)への落雷により前記加熱装置(33)に電圧が誘導される場合には、電流が該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)を通過ないし飛び越えるように確立するために設けられていること
を特徴とする過電圧阻止器。
【請求項12】
該過電圧阻止器(9)は、プセル化されて又はモジュールとして構成されており、従って落雷の場合、そしてその結果として該過電圧阻止器内に電圧火花放電がある場合には、該過電圧阻止器を取り囲む要素に対する火災又は爆発の危険性が回避され、また外部から該過電圧阻止器を前記ロータブレード(1)から取り外し及び/又は前記ロータブレード(1)へ取り付けることが可能であること
を特徴とする、請求項11に記載の過電圧阻止器
【請求項13】
該過電圧阻止器は、火花間隙避雷器(9)として構成されており、
− 前記避雷システム(6)と電気的に接続する受雷器(12)と、
− 前記加熱装置(33)と電気的に接続する火花ピン(30)とを含み、
− 前記受雷器(12)と前記火花ピン(30)との間の火花間隔は、前記受雷器(12)と前記火花ピン(30)との間に火花が飛ぶことになる火花放電電圧を固定的に設定し、
記火花間隔は、固定であるか又は間隔調節可能であること
を特徴とする、請求項11又は12に記載の過電圧阻止器。
【請求項14】
加熱装置を設計する方法であって、
− 加熱装置(33)は、導電性の複数の加熱コード(2)(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、及び、
− 前記加熱コード(2)は、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、
− サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、
− 周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、
− 前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コード(2)に沿って、部分ごとに前記加熱装置(33)の固有の面加熱力を変化させるために変化し、
− 前記加熱装置(33)は、複数の加熱部分に分割されており、部分ごとに、振幅と、波長と、前記加熱コード(2)の間の間隔が、予め設定された加熱電流のもと、該当の加熱部分のために決められている固有の面加熱力が達成されるように選択されること
を特徴とする方法。
【請求項15】
風力発電装置ロータブレード加熱する加熱装置あって、
該加熱装置は、請求項14に記載の方法を用いて設計されこと
を特徴とする加熱装置。
【請求項16】
求項1〜9のいずれか一項に記載のロータブレード(1)を加熱する方法であって、
ロータブレード()の加熱装置(33は、前記ロータブレード(1)に着氷が想定されるか又は予期される場合に、加熱装置自体、従って前記ロータブレード(1)の少なくとも一部分を加熱するために電流が加えられ、前記ロータブレード(1)の避雷システム(6)への落雷の場合には、前記加熱装置(33)内にこの落雷により誘導された電圧が、少なくとも1つの過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器(9)を介し、前記避雷システム(6)に向かって及び/又は所定のアースライン(6)に向かって逃がされること
を特徴とする方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明により、請求項1に記載のロータブレードが提案される。
即ち、本発明の第1の視点により、風力発電装置のロータブレードであって、ロータブレードにおいて該ロータブレードを加熱するためにそのロータブレード表面の領域に配設された加熱装置を含み、前記加熱装置は、導電性の複数の加熱コード(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、前記加熱コードは、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コードに沿って、部分ごとに前記加熱装置の固有の面加熱力を変化させるために変化していることを特徴とするロータブレードが提供される。
更に、本発明の第2の視点により、風力発電装置であって、前記ロータブレードを少なくとも1つ、又は3つ備えたロータを含むことを特徴とする風力発電装置が提供される。
更に、本発明の第3の視点により、過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器であって、ロータブレードの電気的な避雷システムと、前記ロータブレードを加熱する加熱装置との間の結合を確立するためのものであり、該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器は、前記結合を、雷が前記ロータブレードへ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして前記ロータブレードへの落雷により前記加熱装置に電圧が誘導される場合には、電流が該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器を通過ないし飛び越えるように確立するために設けられていることを特徴とする過電圧阻止器が提案される。
更に、本発明の第4の視点により、加熱装置を設計する方法であって、加熱装置は、導電性の複数の加熱コード(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、及び、前記加熱コードは、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コードに沿って、部分ごとに前記加熱装置の固有の面加熱力を変化させるために変化し、前記加熱装置は、複数の加熱部分に分割されており、部分ごとに、振幅と、波長と、前記加熱コードの間の間隔が、予め設定された加熱電流のもと、該当の加熱部分のために決められている固有の面加熱力が達成されるように選択されることを特徴とする方法が提供される。
更に、本発明の第5の視点により、風力発電装置のロータブレードを加熱する加熱装置であって、該加熱装置は、前記方法を用いて設計されることを特徴とする加熱装置が提供される。
更に、本発明の第6の視点により、前記ロータブレードを加熱する方法であって、ロータブレードの加熱装置には、前記ロータブレードに着氷が想定されるか又は予期される場合に、加熱装置自体、従って前記ロータブレードの少なくとも一部分を加熱するために電流が加えられ、前記ロータブレードの避雷システムへの落雷の場合には、前記加熱装置内にこの落雷により誘導された電圧が、少なくとも1つの過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器を介し、前記避雷システムに向かって及び/又は所定のアースラインに向かって逃がされることを特徴とする方法が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)風力発電装置のロータブレードであって、ロータブレードにおいて該ロータブレードを加熱するためにそのロータブレード表面の領域に配設された加熱装置を含み、前記加熱装置は、導電性の複数の加熱コード(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、前記加熱コードは、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コードに沿って、部分ごとに前記加熱装置の固有の面加熱力を変化させるために変化していること。
(形態2)前記ロータブレードにおいて、前記振幅及び前記波長は、各々前記ロータブレード表面と平行に配向されていることが好ましい。
(形態3)前記ロータブレードにおいて、前記加熱コードは、該ロータブレードの縦方向に延在することが好ましい。
(形態4)前記ロータブレードにおいて、前記加熱コードは、炭素繊維及び/又は炭素繊維ロービングとして該ロータブレードへ組み込まれていることが好ましい。
(形態5)前記ロータブレードにおいて、前記加熱コードは、並列に接続された複数の加熱コードから成る加熱グループに分割されており、2つ以上の加熱グループが、互いに電気的に直列に接続されていることが好ましい。
(形態6)前記ロータブレードにおいて、前記加熱コードは、加熱グループごとに、異なる振幅、及び/又は異なる波長、及び/又は隣接した前記加熱コードの間の異なる間隔を有することが好ましい。
(形態7)前記ロータブレードにおいて、該ロータブレードは、雷を逃がすための電気的な避雷システムを有し、前記加熱装置は、過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器を介して前記避雷システムと次のように結合されている、即ち雷が該ロータブレードへ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして該ロータブレードへの落雷により前記加熱装置に電圧が誘導される場合には、電流が各々の過電圧阻止器ないし各々の火花間隙避雷器を通過ないし飛び越えるように結合されていることが好ましい。
(形態8)前記ロータブレードにおいて、前記加熱装置の開始部と終了部及び各加熱グループの間には、前記避雷システムへ前記加熱装置をつなぐために各々の過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器が配設されていることが好ましい。
(形態9)前記ロータブレードにおいて、該ロータブレードは、ブレード付根部とブレード先端部を有し、前記加熱装置は、第1部分をもって前記ブレード付根部から前記ブレード先端部まで延在し、第2部分をもって前記ブレード先端部から前記ブレード付根部まで戻るように延在しており、これらの両方の部分は、電気的に直列に接続されており、前記ブレード付根部の領域において、前記加熱装置を加熱するための電流を供給する電力供給部へ接続されていることが好ましい。
(形態10)風力発電装置であって、前記ロータブレードを少なくとも1つ、特に3つ備えたロータを含むこと。
(形態11)過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器であって、ロータブレードの電気的な避雷システムと、前記ロータブレードを加熱する加熱装置との間の結合を確立するためのものであり、該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器は、前記結合を、雷が前記ロータブレードへ落ちない限りは、電気的な分離状態が存在し、そして前記ロータブレードへの落雷により前記加熱装置に電圧が誘導される場合には、電流が該過電圧阻止器ないし火花間隙避雷器を通過ないし飛び越えるように確立するために設けられていること。
(形態12)前記過電圧阻止器において、該過電圧阻止器は、特にモジュールとして、カプセル化されて構成されており、従って落雷の場合、そしてその結果として該過電圧阻止器内に電圧火花放電がある場合には、該過電圧阻止器を取り囲む要素に対する火災又は爆発の危険性が回避され、また外部から該過電圧阻止器を前記ロータブレードから取り外し及び/又は前記ロータブレードへ取り付けることが可能であることが好ましい。
(形態13)前記過電圧阻止器において、該過電圧阻止器は、火花間隙避雷器として構成されており、前記避雷システムと電気的に接続する受雷器と、前記加熱装置と電気的に接続する火花ピンとを含み、前記受雷器と前記火花ピンとの間の火花間隔は、前記受雷器と前記火花ピンとの間に火花が飛ぶことになる火花放電電圧を固定的に設定し、オプションとして前記火花間隔は、間隔調節可能であることが好ましい。
(形態14)加熱装置を設計する方法であって、加熱装置は、導電性の複数の加熱コード(以下「複数の加熱コード」を「加熱コード」と言う)を有し、及び、前記加熱コードは、サイン形状、波形状、及び/又はジグザグ形状に延在し、サイン振幅、波高、ないし突出部の高さを定義する振幅と、周期長、波長、ないし突出部の間隔を定義する波長とを有し、前記振幅及び/又は前記波長は、前記加熱コードに沿って、部分ごとに前記加熱装置の固有の面加熱力を変化させるために変化し、前記加熱装置は、複数の加熱部分に分割されており、部分ごとに、振幅と、波長と、前記加熱コードの間の間隔が、予め設定された加熱電流のもと、該当の加熱部分のために決められている固有の面加熱力が達成されるように選択されること。
(形態15)風力発電装置のロータブレードを加熱する加熱装置であって、該加熱装置は、形態14に記載の方法を用いて設計され、特に形態1〜9のいずれか1つに記載された特徴を有すること。
(形態16)特に形態1〜9のいずれか1つに記載のロータブレードを加熱する方法であって、ロータブレードの加熱装置、特に形態15に記載の加熱装置には、前記ロータブレードに着氷が想定されるか又は予期される場合に、加熱装置自体、従って前記ロータブレードの少なくとも一部分を加熱するために電流が加えられ、前記ロータブレードの避雷システムへの落雷の場合には、前記加熱装置内にこの落雷により誘導された電圧が、少なくとも1つの過電圧阻止器、特に火花間隙避雷器を介し、前記避雷システムに向かって及び/又は所定のアースラインに向かって逃がされること。

【国際調査報告】