特表2015-531045(P2015-531045A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2015531045-拡張栓 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-531045(P2015-531045A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】拡張栓
(51)【国際特許分類】
   F16B 13/12 20060101AFI20151002BHJP
   F16B 13/14 20060101ALI20151002BHJP
   E04B 1/41 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   F16B13/12
   F16B13/14 E
   E04B1/41 503F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-525772(P2015-525772)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2013002309
(87)【国際公開番号】WO2014023409
(87)【国際公開日】20140213
(31)【優先権主張番号】102012107235.3
(32)【優先日】2012年8月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012111220.7
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】514271866
【氏名又は名称】フィッシャーヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】fischerwerke GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アーロン デイリー
【テーマコード(参考)】
2E125
3J025
【Fターム(参考)】
2E125AF01
2E125AG13
2E125BA18
2E125BB08
2E125BD03
2E125BE07
2E125CA78
2E125EA12
3J025AA07
3J025BA12
3J025BA33
3J025CA02
3J025CA06
3J025DA01
3J025EA05
(57)【要約】
本発明は、互いに対向して位置し、かつ長手方向に延びている2つのウェブ(5)と、該ウェブ(5)から反対の周方向に突出し、かつ拡張栓(1)の側面図で見てフック状の拡開エレメント(6)とを有する拡張栓に関する。本発明は、円錐台形シェル状の保持面(7)を有するウェブ(5)を形成することを提案する。該円錐台形シェル状の保持面(7)は、後方から前方へ向かって、拡張栓長手方向に対して鋭角の角度で延びている。保持面(7)は、後方から前方へ向かって徐々に長くなるように形成され、かつ拡張栓長手方向に対して徐々に鋭角の角度を成すように延びている。保持面(7)によって、柔らかい、または多孔質のアンカ止め基礎、たとえば気泡コンクリート内での拡張栓(1)のアンカ止め力が著しく改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじまたは釘を用いた拡開のための拡張栓において、
拡張栓(1)の外側に設けられた複数の保持面(7)が、拡張栓長手方向で後方から前方に向かって外側に拡径して延びていることを特徴とする拡張栓。
【請求項2】
前記保持面(7)が、拡張栓長手方向に対して45°より小さい鋭角の角度、特に30°より小さい鋭角の角度で延びている、請求項1記載の拡張栓。
【請求項3】
保持面(7)が、前方に向けて拡張栓長手方向で徐々に長くなるように形成されているか、もしくは保持面(7)が、後方に向けて拡張栓長手方向で徐々に短くなるように形成されている、請求項1または2記載の拡張栓。
【請求項4】
保持面(7)が、前方に向けて拡張栓長手方向に対して徐々に鋭角になる角度を成すように延びているか、もしくは保持面(7)が、後方に向けて拡張栓長手方向に対して徐々に大きくなる角度を成すように延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載の拡張栓。
【請求項5】
前記保持面(7)が、該保持面(7)の前方の端部において、前記拡張栓(1)に対して半径方向で見て同一の包絡面で終わっている、請求項1から4までのいずれか1項記載の拡張栓。
【請求項6】
後方の保持面(7)の後方の端部が、半径方向で前記拡張栓(1)のさらに内側に位置しているか、もしくは前方の保持面(7)の後方の端部が、半径方向で前記拡張栓(1)のさらに外側に位置している、請求項1から5までのいずれか1項記載の拡張栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の特徴を有する拡張栓に関する。
【0002】
特にプラスチックから成る、ねじまた釘を用いた拡開のための拡張栓が知られている。独国特許第3208347号明細書には、クリスマスツリー形プロファイリング部(もみの木形成形部)を有する拡張栓が開示されている。このクリスマスツリー形プロファイリング部は、軸方向に連続する円錐台形体によって形成されており、この円錐台形体の大小異なる直径の端部のうち大径の端部には、短い円筒状の区分が続いており、この区分から、拡張栓は環状段部により次の円錐台形体の小径の端部にまで減径している。公知の拡張栓は、側面図で見て鋸歯形プロファイルを有しており、この鋸歯形プロファイルの歯は、鉤と同様に後方に向けられていて、すなわち拡張栓の引出しに抗して作用するように向けられている。
【0003】
本発明の課題は、柔らかい建築材料、たとえば気泡コンクリート内での、高められたアンカ止め力を有する拡張栓を提供することである。
【0004】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴部に記載の特徴によって解決される。請求項1の特徴部に記載の特徴を有する本発明による拡張栓は複数の保持面を有しており、該保持面は、公知の拡張栓の鋸歯形プロファイリング部とは逆向きに方向付けられている。すなわち、本発明による拡張栓の保持面は、後方から前方に向かって外側に拡径して延びている。この場合、後方では拡張栓の端部が、アンカ止め基礎内に挿入された拡張栓において作業者にとって手が届く位置にあり、この後方の端部を通じて、拡開ピン、たとえば釘またはねじが、拡張栓内に挿入可能である。前方の端部は、拡張栓の挿入方向で、アンカ止め基礎に設けられた孔内前方に位置している。「外側」とは、拡張栓の半径方向を意味している。拡張栓の周方向では、保持面が、程度の差こそあれ大きな周面区分にわたって延びている。すなわち保持面は、有利には1つのまたは複数の周方向位置で中断されており、これによって、拡張栓をより簡単に拡開させることができる。保持面は周方向で平坦であってよいが、好ましくは、保持面は周方向で湾曲させられている。拡張栓長手方向では、保持面はまっすぐに形成されているか、凸面状または凹面状に形成されていてもよい。多数の保持面が、拡張栓長手方向で相前後して配置されていると有利である。保持面はその際、拡張栓の長手方向プロファイルにおいて、拡開範囲の大部分を占めており、有利には長さの半分よりも大きい部分、特に長さの70%よりも大きい部分を占めている。プロファイリング部の向きを逆にすることが、たとえば気泡コンクリートにおける拡張栓のアンカ止め力を高めることが判った。アンカ止め力の上昇は、拡張栓が引出し方向に負荷される際に保持面がくさびと同じように作用すること、すなわち保持面が、拡張栓が拡開されかつアンカ固定されている孔の壁に対して、外側に向けられた押圧力を付与することに起因すると思われる。この押圧力付与により、気泡コンクリートの強度が高められ、気泡コンクリートの気泡の壁の破損を阻止する。このことによって、拡張栓の保持力が高められている。
【0005】
特に、本発明による拡張栓の保持面は、拡張栓長手方向に対して45°よりも小さい鋭角の角度、特に30°よりも小さい鋭角の角度で延びている。このことは、拡張栓に引出し方向の力が付与された際に保持面において、拡張栓長手方向もしくは保持面に対して平行な方向の力に比べて大きな、外側に向けられた力を生ぜしめる。拡張栓が引出し方向に負荷される際、保持面は鋭角の角度に基づいて周囲の壁に対して高い押圧力を加え、この押圧力は、たとえば気泡コンクリートにおいて、破損を阻止する。
【0006】
本発明の別の実施態様では、保持面が、拡張栓前方にいくにつれて、拡張栓長手方向で徐々に長くなるように、かつ/または拡張栓長手方向に対して徐々に小さくなる角度で延びているか、もしくは、拡張栓の後方にいくにつれて、拡張栓長手方向で徐々に短くなるように、もしくは拡張栓長手方向に対して徐々に大きくなる角度で、ただし必ず鋭角の角度で延びている。本発明のこの構成は、たとえば気泡コンクリート内における拡張栓の高いアンカ止め力のために有利であることが判明した。恐らく、徐々に長くなるように形成されていて、かつ/または拡張栓長手方向に対して徐々に鋭角を成す角度で延びている前方の保持面は、徐々に短くなるように形成されていて、かつ/または拡張栓長手方向に対して徐々に大きくなる角度で延びている後方の保持面に比べて、拡張栓のアンカ止め力により大きく寄与する。前方の保持面は、アンカ止め基礎に設けられた孔の深部に位置しており、この孔深部では、孔壁におけるアンカ止め基礎の材料の、拡張栓の引出し方向における破損の危険が、後方の保持面によってすでに減じられている。
【0007】
本発明のさらに別の有利な実施態様では、保持面の前方の端部が、それぞれ同一の包絡面、すなわち同一半径の円周面で終わっている。保持面はすべて、半径方向外側に向かって同じ高さを有している。これによって、すべての保持面が円筒状の孔の壁に接触することが達成される。
【0008】
本発明のさらに別の実施態様では、後方の保持面の後端部が、前方の保持面の後端部よりもさらに内側にまで達している。すなわち、後方の保持面の後方の端部では、拡張栓が前方の保持面の後方の端部よりも大きく減径されている。本発明のこのような実施態様も、たとえば気泡コンクリートにおける拡張栓の高いアンカ止め力のために有利であることが判った。
【0009】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による拡張栓を側方で斜め前方から見た斜視図である。
【0011】
図1に示した本発明による拡張栓1は、たとえば射出成形によってプラスチックから製造されている。拡張栓1はスリーブ状であり、後方の範囲に周方向で閉じられた管状の中空シャンク2を有している。この中空シャンク2の端部は、拡張栓1の後端部に中空円錐状のフランジ3を有している。挿入方向前方では、中空シャンク2に拡開範囲4が続いている。「挿入方向E」とは、拡張栓1が、規定通りに穿設孔内に挿入される方向である。拡開範囲4にわたって2つのウェブ5が、挿入方向Eに対して平行な拡張栓長手方向に、拡張栓1の前端部まで延びている。両ウェブ5は、この前端部ならびに拡開範囲4の後方において、中空シャンク2への移行部で、互いに一体的に結合されている。ウェブ5は拡張栓1の周面に互いに対向して位置するように配置されている。
【0012】
ウェブ5の長辺側からは複数の拡開エレメント6が、拡張栓1の周方向で互いに逆向きに突出している。拡開エレメント6はそれぞれ、一方のウェブ5と他方のウェブ5とから交互に突出しているので、これらの拡開エレメント6は、歯列またはファスナの務歯に類似して、ただし互いに間隔を置いて互いの間に入り組んでいる。拡開エレメント6はフック状である。すなわち、拡開エレメント6はウェブ5から斜め後方に向かって突出していて、拡張栓1のウェブ5の間の真ん中で折り曲げられた後に、斜め前方に向いている。択一的には、拡開エレメント6が逆に、ウェブ5から斜め前方に突出して、折り曲げられた後に斜め後方に向けられていてもよい(図示しない)。拡張栓1が変形されていない場合、拡開エレメント6は互いに接触しておらず、前述のように相互間には間隔が存在している。拡開エレメント6のフック形状に基づき、互いに間隔を置いて互いの間に入り組んでいる拡開エレメント6は互いに背後から係合していて、ウェブ5を(拡開エレメント6の間の間隔により)遊びを持って形状接続により互いに結合している。
【0013】
ウェブ5が曲げられるか、捩られるかまたは互いに離れる方向に運動させられると、拡開エレメント6は互いに接近する方向に運動し、拡開エレメント6の間の間隔がゼロにまで減少したときに、互いに接触するか、もしくは形状接続的に互いに背後から係合する。次いで、拡開エレメント6は、ウェブ5の間で力を伝達して、ウェブ5が引き続き互いに向かって運動することを阻止する。拡張栓1はこれによって補剛され、その曲げ剛性、捩れ剛性および、ウェブ5の防折性が高められている。
【0014】
ウェブ5の外側は、拡張栓長手方向に対して鋭角の角度で斜めに延びている保持面7を有する。この保持面7は、後方から前方へ向かって斜めに外側に向かって延びており、すなわち、保持面7の後方の端部は、拡張栓1に関して前方の端部よりもさらに内側に位置している。「後方」とは、挿入方向Eで後方の、中空円錐形のフランジ3を有し、かつ拡開ピン(図示しない)の挿入のための開口を有している、拡張栓1の端部を意味する。拡張栓1の前方の端部は、挿入方向Eにおける前方であり、すなわち図面で見て左側である。本実施形態では、保持面7が円錐台形シェルの形状を有しており、この円錐台形シェルの形状は、周方向で周長の1/4よりも僅かに小さな長さにわたって延びている。この形状も、周方向における延在長さも、本発明にとって必須ではない。後方から前方に向かって保持面7は徐々に長くなるように形成されており、保持面7の延在方向が拡張栓長手方向に対して成す角度は、後方から前方へ向かって徐々に小さくなるように形成されている。すべての保持面7の前方の端部は同じ直径を有しており、後方の端部は拡張栓長手方向で後方から前方へ向かって徐々に増大する直径を有している。しかしこの直径は常に、保持面7の前方の端部における直径よりも小さく形成される。これによって拡張栓1は、保持面7の後方の端部に関しては、後方の保持面7の方が前方の保持面7よりも強力に減径されるように形成されている。保持面7は、拡開範囲4において長手方向プロファイルの長さの約75%を占める。周方向では、保持面7はそれぞれ約90°にわたって延びている。
【0015】
拡開のためには、拡開ピン(図示しない)、たとえば拡開ねじが、中空円錐状のフランジ3に位置する拡張栓1の開いた後方の端部と、中空シャンク2とを通じて拡開範囲4にねじ込まれて、さらに拡張栓1の前方の端部にまでねじ込まれる。拡開ピンの前端部は拡張栓1から進出し得る。拡開ピンは、保持エレメントもしくは拡開エレメント6とウェブ5とを互いに離れる方向に、外側に向かって押圧する。すなわち、拡開ピンは拡開範囲4において拡張栓1を拡開する。これによって、拡開ピンはアンカ止め基礎(図示しない)に設けられた孔内にアンカ固定される。柔らかい建築材料、たとえば気泡コンクリート内では、保持面7がくさび部材のように作用する。すなわち、拡張栓1がアンカ固定されている孔からの抜出し方向で拡張栓1が負荷されると、保持面7はその延在形状に基づいて、拡張栓長手方向に対して鋭角の角度で斜めに、孔壁を、外側に向けられた高い押圧力で負荷し、それに比べて引抜き方向では小さな力でしか負荷しない。これによって孔壁においてアンカ止め基礎は、主として押圧力で負荷され、剪断負荷が極めて小さくなる。これによって、たとえば気泡コンクリートのような柔らかい、または多孔質の建築材料内の孔壁における、アンカ止め基礎の破損の恐れが、著しく減じられている。これにより、このようなアンカ止め基礎では、拡張栓1のアンカ止め力が著しく高められている。
【0016】
拡開ねじ(図示しない)のねじ込み時に拡張栓1が一緒に回転してしまうことを防止するために、拡張栓1は2つの長手方向リブ8を有している。この長手方向リブ8は、ウェブ5の中央で、拡張栓1の軸方向平面に拡張栓1の中央約1/3の長さにわたって延びている。
【符号の説明】
【0017】
1 拡張栓
2 中空シャンク
3 フランジ
4 拡開範囲
5 ウェブ
6 拡開エレメント
7 保持面
8 長手方向リブ
E 挿入方向
図1
【国際調査報告】