特表2015-531232(P2015-531232A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-531232(P2015-531232A)
(43)【公表日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】喫煙品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   A24D1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-535103(P2015-535103)
(86)(22)【出願日】2013年9月30日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月28日
(86)【国際出願番号】GB2013052534
(87)【国際公開番号】WO2014053812
(87)【国際公開日】20140410
(31)【優先権主張番号】1217893.5
(32)【優先日】2012年10月5日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】カルジュラ、カール
(72)【発明者】
【氏名】フォーカス、フィリップ ラッセル
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA11
4B045AA41
4B045AB11
4B045AB13
(57)【要約】
喫煙品、喫煙品組立体、喫煙品形成用ブランク、および喫煙品製造方法。1つ以上のロッド状部品、ロッド状部品の周りに延びている内層、および内層の周りに延びている外層を備える喫煙品。内層および外層は一体に形成されている。外層は、その内側にある内層の部分の外側を移動して喫煙品の特性を選択するように構成されている選択部を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のロッド状部品と、
前記ロッド状部品の周りに延びている内層と、
前記内層の周りに延びている外層とを備え、
前記内層および前記外層は一体に形成されており、さらに
前記外層は、その内側にある前記内層の部分に対し相対的に移動して喫煙品の特性を選択するように構成された選択部を備える喫煙品。
【請求項2】
前記外層の前記選択部は、初期位置から前記内層の方向へ移動することができるように構成され、前記内層に隣接する切り抜き領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の喫煙品。
【請求項3】
前記選択部の動きを制限するように構成された制限装置を備え、
前記制限装置は前記選択部を前記内側にある内層の部分に連結していることを特徴とする請求項1または2に記載の喫煙品。
【請求項4】
前記外層および前記内層の一方はスロットを画定し、前記外層および前記内層の他方は制限装置部材に取り付けられており、前記制限装置部材は前記スロット内を移動して前記選択部の動きを制限することができることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項5】
前記外層の前記選択部は前記外層の別の部分と破断容易に接続されており、および/または前記内側にある内層の部分は前記内層の別の部分に破断容易に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項6】
前記内層は第1の換気領域を備え、前記外層は前記第1の換気領域に対し相対移動が可能な第2の換気領域を備え、
前記第1の換気領域および前記第2の換気領域の重なり領域によって前記喫煙品の換気が決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項7】
前記制限装置の前記スロットは前記第1の換気領域または前記第2の換気領域の1つを画定することを特徴とする請求項4および6に記載の喫煙品。
【請求項8】
前記外層および必要なら前記内層は、前方部および前記前方部の長手方向後方の後方部を備え、前記選択部は前記前方部と前記後方部の境界にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項9】
前記前方部は前記後方部と破断容易に接続されており、力が加えられると前記後方部から分離するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の喫煙品。
【請求項10】
前記外層と前記ロッド状部品の間の動きを割り送りするように構成されている割り送り機構を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の喫煙品。
【請求項11】
2つの喫煙品を形成するための喫煙品組立体であって、
前記喫煙品を形成するための複数のロッド状部品と、
前記ロッド状部品の周りに延びている内層と、
前記内層の周りに延びている外層とを備え、
前記内層および前記外層は一体に形成されており、
前記外層は各喫煙品用の選択部を備え、前記選択部は前記内側にある内層の部分の外側を移動して前記喫煙品の特性を選択するように構成されており、
前記喫煙品組立体は切断されて2つの別々の喫煙品になるように構成されている喫煙品組立体。
【請求項12】
前記内層および前記外層は、前記2つの喫煙品のそれぞれの前記選択部が前記2つの別々の喫煙品の外側を同様に回転することができるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の喫煙品組立体。
【請求項13】
前記外層の前記選択部は、少なくとも1つの前記喫煙品の前記内層に隣接した切り抜き領域を備え、前記切り抜きは、前記喫煙品の前記選択部が初期位置から前記内層の方向へ移動することができるように構成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の喫煙品組立体。
【請求項14】
各喫煙品に前記選択部の動きを制限するように構成されている制限装置を備え、
前記制限装置は各喫煙品の前記選択部を前記内側にある内層の部分に連結し、前記制限装置は、前記2つの喫煙品のそれぞれの前記選択部が前記2つの別々の喫煙品の外側を同様に回転することができるように構成されていることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の喫煙品組立体。
【請求項15】
前記制限装置は
各喫煙品の前記外層および前記内層の一方に設けられたスロットと、
前記外層および前記内層の他方に取り付けられ各喫煙品の前記スロット内に可動に配置されて前記選択部の動きを制限する制限装置部材とを備え、
前記制限装置部材は、初期は各スロットの端部にあり、前記2つの喫煙品が前記2つの別々の喫煙品の外側を同様に回転することができるように配置されていることを特徴とする請求項14に記載の喫煙品組立体。
【請求項16】
1つ以上のロッド状部品の周りに巻かれて喫煙品を形成するブランクであって、前記ブランクは
前記ロッド状部品の周りに延びている内層を形成するための第1の領域と、
前記内層の周りに延びている外層を形成するための第2の領域とを備え、
前記第1の領域および前記第2の領域は一体に形成されており、
前記第2の領域は、前記内側にある内層の部分の外側を移動して前記喫煙品の特性を選択するように構成されている選択部を画定するブランク。
【請求項17】
前記第2の領域の前記選択部は、前記ロッド状部品の周りに巻かれると初期位置から前記内層の方向へ移動することができるように構成され、前記第1の領域に隣接する切り抜き領域を備えることを特徴とする請求項16に記載のブランク。
【請求項18】
前記ブランクは前記ロッド状部品の周りに巻かれ2つの喫煙品を形成するように構成されており、
前記第1の領域は、前記内層の内側部分の外側を移動して前記喫煙品の特性を選択するように構成されている選択部を各喫煙品に備え、
前記ブランクは切断されて2つの別々の喫煙品になるように構成されていることを特徴とする請求項16または17に記載のブランク。
【請求項19】
各喫煙品の前記選択部の動きを制限するように構成されている制限装置を備え、
前記制限装置は各喫煙品の前記選択部を前記内層の内側部分に連結し、
前記制限装置は、前記2つの喫煙品のそれぞれの前記選択部が前記2つの別々の喫煙品の外側を同様に回転することができるように構成されていることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載のブランク。
【請求項20】
前記制限装置は
各喫煙品の前記外側層および前記内層の一方に設けられたスロットと
前記外側層および前記内層の他方に取り付けられ各喫煙品の前記スロット内に可動に配置されて前記選択部の動きを制限する制限装置部材とを備え、
前記制限装置部材は、初期は各スロットの端部にあり、前記2つの喫煙品が前記2つの別々の喫煙品の外側を同様に回転できるように配置されていることを特徴とする請求項19に記載のブランク。
【請求項21】
喫煙品を製造する方法であって、
1つ以上のロッド状部品を提供することと、
前記ロッド状部品の周りにブランクを巻くことを含み
前記ブランクは巻かれて前記ロッド状部品の周りに延びる内層を形成し、前記ブランクはさらに巻かれて前記内層の周りに延びる外層を形成し、それにより前記内層および前記外層は一体に形成され、
前記外層は、その内側にある前記内層の部分の外側を移動して前記喫煙品の特性を選択するように構成されている選択部を備える方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
1つ以上のロッド状部品を提供することは2つの喫煙品を作るための複数のロッド状部品を提供することを含み、
前記ブランクは各喫煙品の選択部を画定し、さらに
前記巻かれたブランクを切断して2つの別々の喫煙品を形成することをさらに含む方法。
【請求項23】
1つ以上のロッド状部品と、
前記ロッド状部品の周りに延びている内層と、
前記内層の周りに延びている外層とを備え、
前記喫煙品は前記内層と前記外層の間の動きを制限する制限装置を備え、
前記制限装置は、前記内層および前記外層の一方で画定されたスロットと、前記スロット内を移動して動きを制限することができる制限装置部材とを備え、
本喫煙品はさらに、前記内層および前記外層のうち前記スロットを画定している層の他方の層で画定される換気領域を備え、
前記換気領域は、前記スロットと前記換気領域の重なり領域によって前記喫煙品の換気を制御するように前記スロットに対し相対移動することができる喫煙品。
【請求項24】
前記外層の一部は前記外層の別の部分に破断容易に接続されており、および/またはその内側にある前記内層の部分は前記内層の別の部分に破断容易に接続されていることを特徴とする請求項23に記載の喫煙品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、喫煙品、喫煙品組立体、喫煙品形成用ブランク、および喫煙品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、一部を回転させることによって換気を変更することができる喫煙品が記述されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一実施形態は、第1の側面では喫煙品を提供する。本喫煙品は1つ以上のロッド状部品、ロッド状部品の周りに延びている内層、内層の周りに延びている外層を備え、内層および外層は一体に形成されており、外層は選択部を備え、選択部はその内側にある内層の部分に対し相対的に移動して喫煙品の特性を選択するように構成されている。
【0004】
本発明の一実施形態は、第2の側面では2つの喫煙品を形成するための喫煙品組立体を提供する。本喫煙品組立体は複数の喫煙品を形成するためのロッド状部品、ロッド状部品の周りに延びている内層、内層の周りに延びている外層を備え、内層および外層は一体に形成されており、外層は各喫煙品用の選択部を備え、選択部はその内側にある内層の部分の外側を移動して喫煙品の特性を選択するように構成されており、この喫煙品組立体は切断されて2つの別々の喫煙品になるように構成されている。
【0005】
本発明の一実施形態は、第3の側面では1つ以上のロッド状部品の周りに巻いて喫煙品を形成するためのブランクを提供し、本ブランクはロッド状部品の周りに延びる内層を形成するための第1の領域と、内層の周りに延びる外層を形成するための第2の領域とを備え、第1および第2の領域は一体に形成されており、第2の領域は選択部を画定し、選択部はその内側にある内層の部分の外側を移動して喫煙品の特性を選択するように構成されている。
【0006】
本発明の一実施形態は、第4の側面では喫煙品を製造する方法を提供する。本方法は、1つ以上のロッド状部品を提供することと、ロッド状部品の周りにブランクを巻くことを含み、ブランクは巻かれてロッド状部品の周りに延びる内層を形成し、ブランクはさらに巻かれて内層の周りに延びる外層を形成し、それによって内層および外層は一体に形成され、外層は選択部を備え、選択部はその内側にある内層の部分の外側を移動して喫煙品の特性を選択するように構成されている。
【0007】
本発明の一実施形態は、第5の側面では喫煙品を提供する。本喫煙品は1つ以上のロッド状部品、ロッド状部品の周りに延びている内層、内層の周りに延びている外層を備え、本喫煙品は内層と外層の間の移動を制限する制限装置を備え、制限装置は内層および外層の一方で画定されたスロットを備え、スロット内を制限装置部材が移動して上記の移動を制限することができ、喫煙品は内層および外層のうちスロットを画定している層の他方の層で画定された換気領域をさらに備え、換気領域はスロットに対し相対的に移動することができ、それによってスロットと換気領域の重なりの領域によって喫煙品の換気が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面を参照して、本発明の種々の実施形態を例示的に説明する。
図1】本発明による喫煙品の長手方向の部分断面図である。
図2】ブランクの第1の実施形態によるブランクの平面図である。
図3】ブランクの第2の実施形態によるブランクの平面図である。
図4】ブランクの第3の実施形態によるブランクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、「喫煙品」には、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代用品、および非燃焼加熱製品(すなわち、喫煙材料を燃焼させず加熱して喫煙材料から風味を発生させる製品)を基にしたまたは基にしない紙巻きタバコ、葉巻、およびシガリロのような喫煙製品が含まれる。
【0010】
本器具または方法の一実施形態で形成された喫煙品は細長い喫煙材料源を備える。具体的には喫煙材料はタバコであり、円筒形のタバコロッド状に構成されている。タバコロッドには1つ以上のフィルターまたはフィルター部が取り付けられている。フィルターまたはフィルター部は、タバコロッドの長軸と共通の長軸を規定する。本明細書では、「喫煙品の構成部材」には、タバコロッド、フィルター、フィルターセクション、またはこれらの組合せのような喫煙品の任意の構成部材が含まれる。喫煙品の1つ以上の構成部材はラッパーで囲まれている。ラッパーは、2つの構成部材を接続する機能、1つ以上の構成部材を構造的に支持する機能、喫煙品を他に対し相対的に動けるようにして喫煙品の特性(例えば、換気)を制御する機能、あるいは他の任意の機能のうち、1つ以上の機能を有することができる。
【0011】
図1には、本器具または方法の一実施形態によって製造することができる例示的な喫煙品100が示されている。この喫煙品は単に一例であり、本器具および方法を、第1のラッパー層と、第1のラッパー層を囲む第2のラッパー層とを有する異なる複数種類の喫煙品の製造に用いてもよい。
【0012】
喫煙品100は喫煙材料源111を含む第1の部分を備える。この実施例では、喫煙材料はタバコでありタバコロッドの形状をしている。喫煙品100は、喫煙材料源111に取り付けられた1つ以上のフィルターセクションをさらに備える。本例示的喫煙品は、喫煙品の特性例えば換気の程度を選択する可動部を備える。この実施例ではその動きは回転である。一部の実施例では、喫煙品は必要ならその動きを所定の範囲に制限するように構成された制限装置(制限機構)を備える。
【0013】
喫煙品は第1のフィルターセクション112および第2のフィルターセクション114を備える。第1のフィルターセクション112は喫煙材料源に取り付けられて1つの構成単位を形成している。第1のフィルターセクション112をタバコロッドに貼り付けるために、タバコロッドと第1のフィルターセクション112を例えばチッピング紙のような既知のシート状材料で形成されたカバー層で接続してもよい。タバコロッドおよび第1のフィルター部を、喫煙品の第1の部分またはタバコユニットと呼ぶ。長尺のタバコロッドと第1のフィルター部は喫煙品の長軸を規定する。下流(または後)方向は喫煙品の吸い口端の方向に定義される。上流(または前)方向は喫煙品の着火端すなわちタバコロッドの方向に定義される。
【0014】
喫煙品の第2の部分は第2のフィルターセクション114を備える。第2のフィルターセクション114は第1のフィルターセクション112と同軸であり、かつ第1のフィルターセクション112の後方に配置されている。タバコロッド、第1のフィルターセクション112、および第2のフィルターセクション114はロッド状部品110すなわち喫煙品の「主要部」の例と考えることができ、その周りに内側ラッパーおよび外側ラッパーが巻かれている。喫煙品は1つ以上のロッド状部品で形成されてもよい。
【0015】
第1のフィルターセクション112および/または第2のフィルターセクション114は従来のフィルター材料、例えば酢酸セルローストウ製でもよい。第1のフィルターセクション112および/または第2のフィルターセクション114は、シート状材料、例えば紙、例えばプラグラッパーをさらに備え、これがフィルター材料の周りに巻かれている。フィルター材料および周囲に巻かれたシート状材料はロッド状部品の一例を形成する。上記の内側ラッパーおよび外側ラッパーは、フィルター材料またはタバコ材料の周りに直接巻かれフィルターロッドまたはタバコロッドを形成しているシート状材料とは別の追加的なものである。第1のフィルターセクション112は第2のフィルターセクション114とは分かれており、境界128で分離されている。
【0016】
喫煙品100は筒状の内側ラッパー113を備える。内側ラッパー113は円筒形の管であり、タバコロッド111、第1のフィルターセクション112、および/または第2のフィルターセクション114の外周を延びている。内側ラッパー113はシート状材料の第1のブランクで形成されている。内側ラッパー113は喫煙品の第2の部分の一部を形成している。タバコロッドおよび第1のフィルター部は、内側ラッパー113内で1つのユニットとして長軸周りに回転するように寸法が決められている。内側ラッパーは内層とも呼ぶ。
【0017】
必要であれば、実質的に全周に延びる分離線136が内側ラッパーに形成される。分離線136は破断容易な接続をなしており、例えばミシン目線状である。内側ラッパーの材料は分離線136に沿って容易に破断して後方部113aと前方部113bに分かれて、喫煙品の第1の部分と第2の部分が相対回転できるように構成されていている。分離線136が破断すると、後方部113aと前方部113bの間に第1の境界120が形成される。
【0018】
喫煙品100は外側ラッパー125をさらに備える。外側ラッパー125は内側ラッパー113の外周を延びている。外側ラッパー125は円筒管の形状をしている。外側ラッパー125はシート状材料の第2のブランクで形成されている。外側ラッパー125は喫煙品の第1の部分の一部を形成している。外側ラッパーは外層とも呼ぶ。
【0019】
一部の実施形態では、外側ラッパー125を形成している材料には、実質的に周方向に延びる分離線138がある。外側ラッパー125の材料は破断容易な接続部を備え、この接続部は、分離線138に沿って容易に破断して前方部125aと後方部125bに分かれるように構成されている。前方部125aは喫煙品の第1の部分に貼り付けられており、喫煙品の第1の部分の一構成部材であり、外側ラッパー125について先に述べたように第2の部分に対し相対的に回転することができてもよい。分離線138が破断すると、後方部125bと前方部125aの間に第2の境界14が形成される。
【0020】
後方部113aは、第2のフィルター114に第1の接続領域150で貼り付けてもよい。前方部113bは、第1のフィルター112および/またはタバコロッド11に第2の接続領域152で貼り付けてもよい。
【0021】
前方部125aは、喫煙品の第1の部分に第3の接続領域154で貼り付けてもよい。具体的には、外側ラッパー125の前方部125aを第3の接続領域154で内側ラッパー113の前方部113bに接続してもよい。外側ラッパーの後方部125bは、第4の接続領域156で内側ラッパー113に貼り付けてもよい。
【0022】
第1の接続領域150、第2の接続領域152、第3の接続領域154、および第4の接続領域156は隣接層同士を接着する接着剤を含む。一部の側面では、内側および外側ラッパーは、内側ラッパーと外側ラッパーならびに/または内側ラッパーとロッド状部品を接続するために、接着剤の領域を1つ以上さらに備える。
【0023】
喫煙品は換気を調節できるように構成された換気装置(図示せず)を備えてもよい。換気装置は1つ以上の換気領域を備えてもよく、換気口および/または空気透過性材料を第1の部分および第2の部分の片方またはそれぞれに備える。例えば、第1および/または第2のフィルター部周りのシート状材料の内層および/または外層の換気領域が整列すると、すなわち重なると、第1および/または第2のフィルター部の本体に空気を入れることができる。この換気は、第2の部分の第1の部分に対する相対位置を選択して換気領域の重なり量を決定することによって選択される。
【0024】
上記の実施形態は単に喫煙品の一実施例であり、1つ以上のロッド状部品の周りに内層および外層を有する。分離線または接着剤領域が少ないあるいは多い別の内層および/または外層を構成してもよい。外側ラッパーは内側ラッパーの周囲に少なくとも部分的に配置されているため、内側ラッパーの少なくとも一部は外側ラッパーの半径方向内側にある。内側ラッパーおよび外側ラッパーは全体に筒状であり、具体的には円筒形である。
【0025】
図2には喫煙品を形成するためのブランク200が示されている。ブランク200は喫煙品100の内層113および外層125を形成する。ブランク200はロッド状部品の周りに2回巻かれ、以下の説明のように内層および外層が一体に形成されるようになっている。
【0026】
ブランク200は、喫煙品の内層を形成するように配置された内層領域213すなわち第1の領域を備える。ブランクの端部236は、1つ以上のロッド状部品に取り付けられロッド状部品を巻いて取り囲むように配置される。図示のように、右側の垂直の端部236はロッド状部品の長軸と位置合わせされ、ロッド状部品に取り付けられる。内層領域213はロッド状部品の全周に延びる長さを有する。内層領域の長さは、端部236から線242まで水平に延びている長さで示される。線242は単に説明用であり、この線242に沿ってこのブランクは破断せず、あるいはミシン目も無い。
【0027】
ブランク200は、喫煙品の外層を形成するように配置された外層領域225すなわち第2の領域をさらに備える。外層は内層の周りに延びているため、ロッド状部品の周りにも延びている。外層領域はブランクの線242から端部239(ブランクの端部236の反対側)まで延びている。外層領域225はロッド状部品および内層の全周に延びる長さを有する。
【0028】
内層領域213および外層領域225はブランクに一体的に形成されている。すなわち、内層および外層は一体に形成されている。ブランクはロッド状部品の周りに2回巻かれて内側ラッパーおよび外側ラッパーを形成するように構成されている。
【0029】
外層領域225(および必要なら内層領域213)は前方部230および後方部232を画定するように構成されている。具体的には、内層領域および外層領域は共に前方部230および後方部232を規定する。ブランク200は、内層領域と外層領域の両方を喫煙品内で互いに相対回転可能な前方部と後方部に分けるように構成されている。
【0030】
ブランク200は部分240を備える。部分240は外層の前方部の一部であり、すなわち外層の前方部と一体に形成されている。便宜上、部分240を選択部240と呼ぶ。選択部240は内層の外側を回転するように構成されている。選択部240は外層225の前方部と後方部の間に外側境界238を画定する。選択部240の他の境界を以下に明らかにする。
【0031】
ブランク200は、内層213の前方部230と後方部232の間の内側境界237をさらに画定する。ブランク200がロッド状部品の周りに巻かれると、内側境界237および外側境界238はそれぞれがほぼ円周方向に延びる。内側境界237は外側境界238から長手方向に離れており、具体的には外側境界238の前方にある。選択部240の内側にある内側ラッパー領域213は後方部232の一部であり、すなわち後方部232と一体に形成されている。
【0032】
内側境界237および外側境界238は選択部境界260で接続されている。選択部境界260は(巻かれたときに)内側境界と外側境界の間に実質的に長手方向に延びる。選択部境界260は実質的に内層と外層の間の破断部を形成し、それにより内層と外層は選択部境界260の長手方向の全範囲で分離可能である。したがって、外層の選択部240はその内側にある内層の領域262の直接外側を回転することができる。内層および外層の選択部の前方および/または後方は一体に形成されたままである。選択部240は、選択部境界260の長手方向範囲に延びている。選択部240の長手方向の前端は、端部239と選択部境界260の間に図示した円周線264である。選択部260は線264の前方でブランク200と一体であり、線264は説明用であってブランク200の特徴ではない。
【0033】
選択部境界260は外層に配置され、内層から離れて内層に隣接している。内側にある領域262はロッド状部品の全周に延びている。また、この内側にある領域262は、線242と選択部境界260の間を短い距離だけ外側ラッパーとして延びている。内側にある領域のこの外側ラッパーは重なり合う内側の層に(例えば、接着剤で)貼り付けられる。この重なりによって、内側にある領域262は確実にロッド状部品周囲の円筒になる。内側にある領域262は内側ラッパーとの一体部分として画定されており、この部分は選択部240の内側になり(すなわち選択部240と整列し)、選択部境界260と同じ長手方向に延びている。
【0034】
選択部240を含む外側ラッパー225は内側ラッパーの全周に延びる。また、外側ラッパー225および選択部240はさらに円周方向に延びて重なりを形成し、重なった選択部に貼り付けられて外側ラッパー225と選択部は確実に円筒になる。
【0035】
内側境界237、外側境界238、および選択部境界260は、一枚のシート状材料に形成されてブランク200を形成するように構成されている。ブランク200は、最初は前方部230と後方部232が繋がって構成されている。内側境界237、外側境界238、および選択部境界260は、最初はブランク200の破断部で分離していない。ブランク200は力を加えると分離するように構成されており、例えば内側境界、外側境界、および選択部境界260に沿って優先的に分離する。具体的には、内側境界237、外側境界238、および選択部境界260は、シート状材料に破断容易な接続で形成されている。例えば、この破断容易な接続部はブランク200のシート状材料のミシン目線である。ブランク200の複数部分は一体的に形成されており、最初に外力を加えて選択部を回転させると、破断容易な複数の接続部に沿って分離して、前方部および後方部が別々に形成されるように構成されている。
【0036】
任意の実施形態のブランクはシート状材料で構成されている。シート状材料は紙(例えば、チッピング紙)、またはプラスチック、または重合体材料で形成することができる。具体的には、シート状材料は再生セルロースまたは再生酢酸セルロースでもよい。再生酢酸セルロースは再生酢酸セルロース成形品でもよい。一部の実施例では、シート状材料は任意の二種の(またはそれ以上の)材料の積層品である。例えば、シート状材料は、紙(例えば、チッピング紙)、プラスチック材料、重合体材料、再生セルロース、再生酢酸セルロース、または再生セルロース成形薄膜の任意の積層品である。具体的には、シート状材料は紙および再生セルロースの積層品である。喫煙品の任意のシート状材料は上記シート状材料の任意の種類で構成することができる。
【0037】
喫煙品は必要なら制限装置(制限機構)を備えてもよい。制限装置は、組み立てられると喫煙品の第1の部分と第2の部分の間の動きを制限するように、すなわち選択部240の回転移動を制限するように構成されている。制限機構はこの回転を所定の範囲に制限するように構成されている。一部の実施形態では、回転の所定の範囲は約90〜180度の角度でもよく、例えば約120度にすることができる。制限機構はこの回転を、第1および第2の換気領域が重ならない位置と、完全に重なる別の位置の間に制限することができる。
【0038】
制限機構は、内側ラッパー213および外側ラッパー225に、これら2つを係合する係合部品を備える。つまり制限機構は、喫煙品の第1の部分と第2の部分の間の移動を所定の範囲に制限するように構成されており、これは、一部の実施例では内側ラッパー213と外側ラッパー225の間の移動を制限することによって行われる。
【0039】
制限機構は第1の接触面270aおよび第2の接触面270bを備える。第1の接触面270aおよび第2の接触面270bは停止部272と係合して、それぞれ第1および第2の方向の移動の範囲を制限するように構成されている。第1の接触面270aおよび第2の接触面270bは、窓すなわちスロット271の両端にある。スロット271は、ブランク200からの切り抜きとして内層領域213に成形されている。スロット271は内層の材料にある開口部である。
【0040】
停止部272は、ブランク200をロッド状部品に巻くときに外側ラッパー領域225またはロッド状部品110の一方もしくはその両方に取り付けられる。停止部272はスロット271内を移動して喫煙品の第1の部分と第2の部分(ブランク200の前方部230と後方部232)の間の移動を制限することができる。第1の接触面270aおよび第2の接触面270bは、回転を制限するために円周方向に離れており、すなわちスロット271は円周方向に延びている。一部の実施例では、停止部272ならびに第1の接触面270aおよび第2の接触面270bは係合端を有し、これらは相補関係にあり、すなわち幅全体が同時に嵌合して係合している。例えば、第1の接触面270aおよび第2の接触面270b、ならびに停止部272の係合端は、スロット271の軸に垂直すなわち喫煙品の軸に平行に延びている。停止部272は実質的に正方形または長方形の領域を有してもよい。
【0041】
図示の実施例では、スロット271は開口状であり、ブランク200の内層領域213のシート状材料に円周方向に延びていて、巻き付けられると第1のフィルターセクション112に重なる。
【0042】
選択部240は内側にある領域262に対し相対的に移動して喫煙品の特性を制御するように構成されている。一部の側面では、選択部240は内側にある部分に対し相対的にロッド状部品の長軸周りに回転することができる。制御される特性は喫煙品の換気である。例えば、選択部の回転位置によって1つ以上の換気領域すなわち開口部280の領域が制御され、別の換気領域すなわち開口部と位置合わせされて気流を入れることができる。具体的には、開口部280は、停止部が中を移動可能な内層領域のスロット271に選択的に整列することができる。換気口280は内側にある内層の領域262で可変的に覆われて遮断され、空気の侵入が防止される。開口部280とスロット271は互いに相対的に移動することができ、異なる層にある開口部280とスロット271の重なりの量によって換気量が決まる。開口部271には、第1の接触面270aおよび第2の接触面270bを制限機構の一部として提供する機能と、第2の換気領域280との位置合わせに応じて内層へ空気を通すことによって換気の量を制御する機能の2つの機能がある。
【0043】
停止部272は外層に貼り付けられており、停止部272で換気量は決まらない。必要なら、内側にあるロッド状部品が別の換気口または多孔質の外側ラッパーを備える。または、あるいはそれに加えて、選択部が喫煙品の異なる特性、例えば風味剤の放出を制御する。
【0044】
一部の実施例では、停止部272は、巻き付けのときに外側ラッパー領域225に対応した外側ラッパー125の内側に貼り付けられる。具体的には、停止部は選択部240に貼り付けられる。停止部272は突起を形成し、半径方向に延びてスロット271に入る。
【0045】
一部の実施例では、停止部272は最初に内側ラッパー領域213、外側ラッパー領域225、またはロッド状部品の1つの一部として形成される。具体的には、停止部272は最初に内側ラッパー領域213の一部として、すなわち内側ラッパー領域213と一体に形成される。ブランク200のシート状材料の停止部272を形成する領域は、ブランク200の残りの部分から分離線275に沿って分離され、例えばブランク200の材料に形成されたミシン目によって分離することができる。スロット271は、停止部272を形成するシート状材料の領域に隣接して形成され、停止部272が形成されているのと同じ内層または外層のいずれかに形成される。停止部を形成するシート状材料の内側ラッパーの領域は1つ以上の隣接層に貼り付けられてもよく、具体的には外層またはタバコユニットの一方もしくは両方に貼り付けられてもよい。例えば、停止部272は上記の隣接する層に接着剤で貼り付けられてもよい。停止部272は、スロットならびに第1および第2の接触面と同じ材料の層、すなわち内側ラッパー領域213、外側ラッパー領域225、またはロッド状部品の1つと同じ材料の層で形成される。喫煙品の内側ラッパーと外側ラッパーの間の移動に応じて、シート状材料の停止部272を形成している領域はスロット271の方へ強く押され、内側ラッパーの残りの部分から分離され、可動式の停止部272が別個に形成される。
【0046】
第1の接触面270aは最初にスロット271の端部として形成されている。第2の接触面270bは分離線275で規定されている。停止部272は複数の端部で形成されており、これらの端部は第1の接触面270aおよび第2の接触面270bと相補的であり、例えば図示のような丸い端部を有する。
【0047】
あるいは、スロット271は外層領域225に形成される。停止部272も外層領域225に形成され、ブランクがロッド状部品の周りに巻かれるときに内層領域に貼り付けられる。一般に、スロット271は内層または外層のどちらに形成しても内層の外層に対する相対移動を制限することができる。これはどの実施形態の制限装置にも当てはまる。
【0048】
喫煙品は割り送り部(割り送り機構)をさらに備える。この割り送り部は、選択部240の内側領域262に対する相対移動を割り送りするように構成されている。製造中に1つ以上の爪(図示せず)が内層領域の内側面に貼り付けられ、具体的には選択部に対し相対移動が可能な内層領域の一部、例えば前方部332bに貼り付けられる。爪は1つ以上の立ち上がった突起であり、複数の不連続な形状に解除自在に係合するように構成されて割り送り部を形成している。爪はロッド状部品の外側にある複数の形状(例えば、稜)と係合するように構成されていて、内側ラッパーと少なくとも1つのロッド状部品(具体的には第1のフィルターセクション112)の間の回転を割り送りする。
【0049】
図3は本発明の第2の実施形態によるブランク300の平面図である。ブランク300は、複数の喫煙品(具体的には2つの喫煙品)の内層および外層を形成するように構成されている。ブランク300は、切断線350に沿って切断されて第1の部分301および第2の部分302に分かれるように構成されており、1つの部分が喫煙品1つ分である。部分301、302はそれぞれが上記の機能を有する。
【0050】
ブランク300は喫煙品100の内層113および外層125を形成する。ブランク300はロッド状部品の周りに2回巻かれるため、上記のように内層および外層が一体的に形成される。
【0051】
ブランク300は、2つの喫煙品の内層を形成するように構成された内層領域313すなわち第1の領域を備える。ブランクの端部236は、上記のように1つ以上のロッドに取り付けられるように構成されている。内層領域313の長さは、上記のように端部236から線242まで水平に延びる長さ(周長に比例)として示されている。
【0052】
ブランク300は、複数の喫煙品の外層を形成するように構成された外層領域325、すなわち第2の領域をさらに備える。外層領域325は、上記のようにブランクの線242から端部239まで延びている。内層領域313および外層領域325は、上記のようにブランク300に一体に形成されている。
【0053】
外層(および必要なら内層)は、第1の部分および第2の部分それぞれに前方部330a、330bおよび後方部332a、332bを画定するように構成されている。具体的には、内層および外層は共に、第1の部分301および第2の部分302それぞれに前方部および後方部を画定する。ブランク300は、内層領域および外層領域の両方を前方部330a、330bおよび後方部332a、332bに分けるように構成されている。
【0054】
ブランクの第1の部分301および第2の部分302の後方部332a、332bは隣接している。そのようにして複数の喫煙品の後方端すなわち吸い口端が一緒に形成される。具体的には、ブランクに巻かれ喫煙品の後方端にあるロッド状部品はフィルターロッドである。一部の実施例では、1個のフィルターロッドが喫煙品の第1の部分301および第2の部分302の両方で巻かれる。
【0055】
ブランク300は、第1の部分301に第1の選択部340aを備え、第2の部分302に第2の選択部340bを備える。ブランク300は、少なくとも外層の第1の選択部340aおよび第2の選択部340b(それぞれ第1および第2の部分にある)が内層の外側を回転するように構成されている。選択部340a、340bは外層の前方部と一体に形成されている。選択部340a、340bは、ブランクの部分301、302それぞれの外層の前方部と後方部の間に外側境界338a、338bを半径方向に画定する。選択部340a、340bは内側にある内層313の部分362a、362bの外側を移動して喫煙品の特性を選択するように構成されている。外側境界338a、338bは上記の第2の境界140に対応する。
【0056】
第1の境界120について述べたように、ブランク300はそれぞれ第1および第2の部分にある内層の前方部と後方部の間に内側境界337a、337bを半径方向にさらに規定する。
【0057】
内側境界および外側境界は、それぞれ第1の部分にある第1の選択部境界360aおよび第2の部分にある第2の選択部境界360bで接続されており、実質的に選択部境界260について先に述べたようになっている。
【0058】
第1の選択部境界360aは実質的に幅がない線として延びており、例えば実質的に周方向の広がりが無く長手方向に延びている。第1の選択部境界360aはブランク内の極隣接した部分の間にある破断部である。第1の選択部境界360aは破断容易な接続部、例えばミシン目線にすることができる。第1の選択部境界360aによって第1の選択部が移動して、第1の選択部境界360aを広げることができる。第1の選択部境界360aは反対方向に移動することはできない。その理由は、隣接する外層(第1の選択部境界360aを画定してもいるもの)の一部に選択部がぶつかるためである。
【0059】
第2の選択部境界360bはブランク300の切り抜き領域である。この切り抜き領域はブランクがロッド状部品の周りに巻かれる前に形成される。切り抜き領域はブランク300の材料に開口部を画定し、これに後で力が加えられて別の境界が分離される。第2の選択部境界360bは、(巻かれた時に)周方向および長手方向に延びている領域である。具体的には、切り抜き領域は二次元に広がっている。ブランクの第2の選択部境界360bを形成する領域はブランク300から除去されている。切り抜き領域は図示のように四角形にすることができる。
【0060】
第2の選択部境界360bが周方向に広がっているため、選択部は第2の選択部境界360bの周方向の範囲が減る方向に移動することができる。すなわち、第2の選択部境界360bによって両方向に移動することができるようになる。具体的には、この切り抜きは、2つの喫煙品のそれぞれの選択部が2つの別々の喫煙品の外側を同様に回転できるように配置されている。すなわち2つの喫煙品の操作の方向は同じである。切り抜き領域は、外層の一部が第2の部分302の内層に対し相対的に、切り抜きの範囲を減らす方向に、喫煙品の特性を制御する範囲全体に回転できるように構成されている。例えば、切り抜きの範囲を減らす方向の第2の部分302の動きの機能的範囲は、第1の部分301の機能的範囲と同じである。
【0061】
ブランク300はそれぞれの部分に、各選択部の回転移動を制限するように構成されている制限装置(制限機構)をさらに備える。それぞれの部分301、302の制限装置は実質的に先に述べたようになっており、上記の任意の特徴を有することができる。
【0062】
第1の部分301は、端部370a、370bを有する第1のスロット371内を移動することができる第1の係合部材372を備える。停止部372を形成するブランク300のシート状材料の領域は破断容易に接続されており、すなわちこの領域は分離線375に沿ってブランク300の残りから分離することができる。例えば、この破断容易な接続はブランク300の材料に形成されたミシン目による。第1の係合部材372は、最初はスロット371の端部370bにあり、第1のスロットの右に図示されている。第1の係合部材372は、ロッド状部品の周りに巻かれると、初期位置から第1のスロットに沿って、喫煙品の吸い口端から見て反時計方向に回転することができる。この動きによって第1の選択部境界360aの範囲が広がる。
【0063】
第2の部分302は、端部390a、390bを有する第2のスロット391内を移動することができる第2の係合部材392を備える。スロット371、391は内層の材料の開口部である。停止部392を形成するブランク300のシート状材料の領域は分離線395に沿って、例えばブランク300の材料に形成されたミシン目によってブランク300の残りから分離することができる。第2の係合部材392は、最初は第2のスロット390bの端部にあり、これが第2のスロットの左に図示されている。第2の係合部材392は、ロッド状部品の周りに巻かれると、初期位置から第2のスロットに沿って、喫煙品の吸い口端から見て反時計方向に回転することができる。この動きによって第2の選択部境界360bの範囲が狭まる。
【0064】
第2の選択部境界390bが最初周方向に広がっていることによって、第2の係合部材392は(巻かれると)第2のスロット391に沿って移動することができる。この動きは第1の係合部材372の第1のスロット371に沿った回転と同様である。すなわち、ブランクの第1の部分301を用いて形成された喫煙品と、ブランクの第2の部分302を用いて形成された喫煙品は等しく機能する。第2の選択部境界390bが切り抜かれているのは1つのブランクで等しく機能する2つの喫煙品を製造するためである。
【0065】
係合部材が両方とも最初にスロットの同じ端部すなわち図示の右側に置かれている場合、両係合部材の動きによって選択部境界の円周方向の範囲は広がる。しかしその後2つの喫煙品が分離されると、第1および第2の係合部材の動きは異なる回転をすることになる。
【0066】
切断線350は、製造中にそれに沿って外部の切断装置(図示せず)が配置されて切断する位置を示し、ブランク300の機能を示すものではない。あるいは、切断線350は、それに沿ってブランクが優先的に分けられるというブランクの機能を示し、例えばミシン目線である。
【0067】
ブランク300を用いて製造された喫煙品は、上記のように選択部の移動を割り送りするように構成された割り送り部(割り送り機構)をさらに備える。
【0068】
制御される特性は喫煙品の換気である。例えば、選択部の回転位置によって1つ以上の換気領域すなわち開口部380の領域が制御され、別の換気領域すなわち開口部と整列して気流を入れることができる。具体的には、開口部380は、停止部がその中を移動可能な内層領域のスロット371、391と選択的に整列することができる。開口部380は内側にある内層の領域362a、362bによって可変的に覆われて遮断され、空気の侵入を防ぐ。開口部380およびスロット371、391は互いに相対移動することができ、異なる層の開口部380とスロット371、391の重なりの量によって換気の量が決まる。停止部372、392は外層に取り付けられており、停止部372、392では換気の量は決まらない。必要なら、内側にあるロッド状部品が別の換気口または多孔質の外側ラッパーを備える。あるいは、またはそれに加えて、選択部によって喫煙品の別の特性、例えば風味剤の放出が制御される。
【0069】
ブランク300から作られた2つの喫煙品の初期の換気は同じである。換気領域380、371:380、391は、部品の相対移動が無い喫煙品の初期の換気が同じになるようにブランク300に配置されている。換気領域380、371:380、391は、喫煙品の部品が相対移動するとブランク300から作られた2つの喫煙品の換気が同様に変化するように、ブランク300に配置されている。
【0070】
図4にはブランク400の第3の実施形態が示されている。ブランク400は図3と類似の構成であり、同じ参照番号は同じ特徴を示す。ブランク400は第1の部分401および第2の部分402を画定し、それぞれが図3に関して述べたように別々の喫煙品の一部を形成するように構成されている。制限装置は図3に関して述べたものと同じである。
【0071】
ブランク400は、巻かれたときに周方向に延びる第1の選択部境界460aおよび第2の選択部境界460bを備える。第1の選択部境界460aは周方向および長手方向の両方に延び、第2の選択部境界460bは周方向および長手方向の両方に延びる。第1の選択部境界460aおよび第2の選択部境界460bは実質的に同じ寸法を有する。第1の選択部境界460aおよび第2の選択部境界460bは上記と同様にブランク材料からの切り抜きである。
【0072】
図3に示した第2の実施形態と比べて、第1の選択部境界460aの寸法は喫煙品の機能に影響しない。一部の実施例では、等しい選択部境界460a、460bがあることによって、製造中にブランク材料に働く張力および力が比較的容易に均一になる。
【0073】
製造中、ブランク200はロッド状部品の周りに2回巻かれて1つの喫煙品が形成され、あるいはブランク300、400はロッド状部品の周りに2回巻かれて2つの喫煙品が形成される。この巻き付けは実質的に先に述べたように行われる。巻き付け後、ブランク300、400は切断線350に沿って切断されて各喫煙品部分に分離される。一部の実施例では、ロッド状部品は切断線350を通過して長手方向に延びている。ロッド状部品も2つの別部分に切断され、1つが喫煙品1つ分である。
【0074】
任意の実施形態の任意の特徴を、任意の他の実施形態の任意の他の特徴と組み合わせて用いることができる。別の実施形態でより完全に記述された特徴の細部を、任意の他の実施形態に組み込むことができる。
【0075】
上記の切り抜きは、シート状材料のある領域を任意の方法で除去して形成することができる。あるいは、シート状材料に最初から切り抜きを設けて形成することもできる。「切り抜き」はシート状材料の開口部を意味するものであり、特定の製造方法を暗示するものではない。
【0076】
本発明の実施形態では、任意の実施形態のスロット271、371、391は、回転を制限する機能、および隣接層の換気領域と重なったときに換気を提供する機能の2つの機能を有することが述べられている。喫煙品、ブランク、または喫煙品組立体は、スロット、制限装置、および/または換気装置の特徴を上記の一体的な内層と外層または切り抜きの特徴とは独立して備えることができる。具体的には、上記のスロット、制限装置、および/または換気装置を任意の内層および外層に設けることができる。内層および外層を別々のシート状材料で形成し、それらを単独でロッド状部品に取り付けることができる。上記の任意の更なる特徴を、一体的な内層および外層とは独立して、スロット、制限装置、および/または換気装置と組み合わせて用いることができる。
【0077】
選択部の内側にある層に対する相対的な動きは回転移動であると述べてきた。代わりに、この動きは長手方向の移動、すなわちロッド状部品(すなわち喫煙品)の長軸に沿った動きでもよい。あるいは、この動きは長手方向移動と回転移動の組合せでもよい。
【0078】
制限装置は内側ラッパーと一体に形成された停止部を備えると述べてきた。代わりに、停止部はスロット内を移動することができる任意の種類の立ち上がった突起を備えてもよい。例えば停止部は接着剤で形成され、立ち上がった突起を形成する。停止部はロッド状部品から半径方向外向きに延びて任意の実施形態のスロットに入る。一部の実施例では、停止部は外側ラッパーとロッド状部品の両方に接続されている。別の構成では、停止部は内層のスロットを貫通して延び、半径方向に隣接した2つの層すなわち第1の部分を形成している外層と喫煙品のロッド状部品の両方に取り付けられている。1つの構成単位を形成する外側ラッパーとロッド状部品の間を内側ラッパーが回転可能である。停止部は外側ラッパーとタバコ部を接続している。停止部は接着剤だけで形成され、外側ラッパーおよびタバコ部の両方に接着されてもよい。停止部が半径方向に隣接した2つの層に取り付けられているということは、スロットを画定している内側ラッパーが例えば半径方向に変形しても、停止部はスロットを外れて移動することがないことを意味する。あるいは、スロットは外側ラッパーに形成され、スロット内を移動可能な停止部は内側ラッパーに取り付けられる。
【0079】
ここまで喫煙品について選択部が下層部の外側を移動して喫煙品の特性を選択すると説明してきた。代わりに、選択部の内側を下層部が移動する、または下層部が選択部に対し相対移動するとみなすことができる。
【0080】
種々の事項に取り組み本技術を進歩させるため、本開示全体で種々の実施形態を例示的に示してきた。その中で、特許請求の範囲に記載の本発明が実践され、優れた喫煙品または喫煙品の製造方法を提供している。本開示の利点および特徴は実施形態の単に代表例であって包括的なものではなく、および/または排他的なものでもない。これらは特許請求された特徴の理解を助け、教示するためだけに提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は、本開示を特許請求の範囲で規定されたものまたは特許請求の範囲の均等物に制限するものではなく、本開示の範囲および/または思想から逸脱することなく他の実施形態を利用し改良を加えてもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された要素、成分、特徴、部品、工程、手段、その他の種々の組合せを適切に備えても、あるいはそれらのみで構成されても、あるいは実質的にそれらのみで構成されてもよい。また本開示には、現在出願されてはいないが将来出願される可能性がある他の発明も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】米国特許第4,699,158号
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】