特表2015-531335(P2015-531335A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-531335ディスペンサー用のシート材容器及びシート材容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-531335(P2015-531335A)
(43)【公表日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】ディスペンサー用のシート材容器及びシート材容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   B65D83/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-536106(P2015-536106)
(86)(22)【出願日】2013年10月9日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月29日
(86)【国際出願番号】EP2013070989
(87)【国際公開番号】WO2014056952
(87)【国際公開日】20140417
(31)【優先権主張番号】102012218551.8
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】サッシャ ディアカー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ポッゲンドルフ
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014KA02
(57)【要約】
少なくとも1つの組成物用の出口チャネル36、38を有する頭部16を、当該組成物で充填されたシート材バッグ10、12の第1端部14に当接させる工程と、シート材バッグ10、12を開放させる工程と、出口チャネル36、38を閉鎖させる工程とを備えるディスペンサー用のシート材容器の製造方法。シート材バッグ10、12の開放と出口チャネル36、38の閉鎖は、ディスペンサー用のシート材容器を最初に使用する前に行われる。ディスペンサー用のシート材容器は、組成物で充填された少なくとも1つのシート材バッグ10、12と、シート材バッグ10、12の第1端部14を収納する頭部16とを備える。頭部16は少なくとも1つの組成物用の出口チャネル36、38を有する。シート材バッグ10、12は第1端部14で開放され、頭部16の出口チャネル36、38は、ユーザーが開放または取り外すことができる閉鎖部22で閉鎖される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの組成物用の出口チャネル(36、38)を有する頭部(16)を、前記組成物で充填されたシート材バッグ(10、12)の第1端部(14)に当接させる工程と、
前記シート材バッグ(10、12)を開放させる工程と、
前記出口チャネル(36、38)を閉鎖させる工程と
を備える方法であって、
前記シート材バッグ(10、12)の開放及び前記出口チャネル(36、38)の閉鎖は、前記ディスペンサー内のシート材容器を最初に使用する前に行われる
ことを特徴とするディスペンサー用のシート材容器の製造方法。
【請求項2】
前記頭部(16)が当接される際に、前記頭部(16)に備えられた穿孔部(28)によって、自動的に前記シート材バッグ(10、12)が開放される、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記出口チャネル(36、38)が充填剤で充填されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記出口チャネル(36、38)を閉鎖する閉鎖部(22)に前記充填剤が付着している、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記シート材バッグ(10、12)開放後に、充填剤として用いられる前記組成物の一部が、前記シート材バッグ(10、12)から前記出口チャネル(36、38)へと送出される、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記シート材バッグ(10、12)が分割され、よって生じる前記シート材バッグ(10、12)の開放第2端部(18)が閉鎖され、前記分割及び/又は閉鎖により前記組成物に圧力が加わることで前記組成物の一部が前記シート材バッグ(10、12)から前記出口チャネル(36、38)へと送出される、ことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記シート材バッグ(10、12)の前記第2端部(18)がクリップ(20)により閉鎖され、前記出口チャネル(36、38)の体積に少なくとも相当する量の前記組成物が前記シート材バッグ(10、12)から前記出口チャネル(36、38)に送出されるように前記クリップ(20)の幅が選択される、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
組成物で充填された少なくとも1つのシート材バッグ(10、12)と、
少なくとも1つの前記組成物用の出口チャネル(36、38)を有し、前記シート材バッグ(10、12)の第1端部(14)を収納する頭部(16)と
を備え、
前記シート材バッグ(10、12)が前記第1端部(14)で開放され、ユーザーによる開放又は取り外しが可能な閉鎖部(22)によって前記頭部(16)の前記出口チャネル(36、38)が閉鎖される
ことを特徴とするディスペンサー用のシート材容器。
【請求項9】
前記頭部(16)の前記出口チャネル(36、38)が充填剤で充填されている、ことを特徴とする請求項8に記載のシート材容器。
【請求項10】
前記充填剤が前記シート材バッグ(10、12)の前記組成物と同じ材料である、ことを特徴とする請求項9に記載のシート材容器。
【請求項11】
前記充填剤が熱可塑性またはエラストマーである、ことを特徴とする請求項9に記載のシート材容器。
【請求項12】
前記充填剤が前記閉鎖部(22)に付着している、ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1に記載のシート材容器。
【請求項13】
前記シート材バッグ(10、12)の第2端部がクリップ(20)により閉鎖されるか、または溶接若しくは接着されることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1に記載のシート材容器。
【請求項14】
前記閉鎖部(22)は、取り付け可能若しくはネジ式のキャップ、フラップ弁、または特に溶接フィルムの形態の封を有することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1に記載のシート材容器。
【請求項15】
前記頭部(16)または前記閉鎖部(22)は穿孔部(28)を有し、前記穿孔部(28)の設計により、前記シート材バッグ(10、12)の前記第1端部(14)を取り付ける際に前記シート材バッグ(10、12)が前記頭部(16)のレセプタクル(24、26)に穿孔されるか、及び/又は前記閉鎖部(22)を前記出口チャネル(36、38)に当接する際に前記シート材バッグ(10、12)が穿孔される、ことを特徴とする請求項8乃至14のいずれか1に記載のシート材容器。
【請求項16】
前記穿孔部(28)は、前記組成物用の前記出口チャネル(36、38)の一部を形成し、傾斜形状と鋭い端部を有する開放管(32、34)を有する、ことを特徴とする請求項15に記載のシート材容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサー(分配器、吐出器)用のシート材容器及びディスペンサー用のシート材容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーはモルタル組成物、フォーム組成物、及び封止用組成物等の多成分組成物を、カートリッジ及びシート材容器に入れた多成分組成物として入手することができる。シート材容器は通常複数のシート材バッグからなり、そのシート材バッグは多成分組成物の各成分で充填され、硬質な頭部に接着される。このようなシート材容器が上述の組成物の収納に有効であることは証明済みであり、特にカートリッジと比べて、組成物の使用後に廃棄しなければならない材料の量が少ないことを特徴とする。さらに、シート材容器は、簡単かつ安値で製造が可能である。シート材容器はディスペンサーに挿入され、組成物の成分は吐出メカニズムにより頭部の出口チャネルへと送り込まれる。組成物の各成分は混合器で混合されて所望の組成物となり、適用箇所にて吐出される。
【0003】
シート材容器のシート材バッグは、最初に使用する前に開封する必要がある。その際ユーザーは、吐出作業の最初のストロークでシート材バッグを破断させる。このような「受動的な」開封は、シート材バッグのある箇所に所定の方法で形成した脆弱な箇所または適切な箇所に配置された穿孔具によって支援される。
【0004】
特許文献1は、上述の支援手段の一例を示す。シート材バッグの端面は、ディスペンサーが加える圧力によって釘に押し付けられ、ブレードがシート材バッグの折目を横切るように配置されている。
【0005】
特許文献2には、より複雑な構造が提案されている。その構造では別々の穿孔管がシート材バッグの端部に取り付けたキャップの出口接続部に挿入される。穿孔管は、混合器を取り付けることによって、シート材バッグと接触することがない保管時の位置から起動位置へと移動することができ、この位置で穿孔管は、シート材バッグのフィルムを貫通または少なくとも概ね接触する状態となる。
【0006】
これらの手法は、最初に使用する前に頭部の出口チャネルが組成物の成分で充填されていないという欠点がある。これは、組成物の成分が混合器に送出される前に、ユーザーが頭部の開いた部分に充填しなければならないということを意味している。多成分系で組成物の成分のスループットの同期を図るには、ユーザーは実際の吐出前に一定数のストロークを行うが、それにより運ばれた量は廃棄する必要がある。
【0007】
多成分系において所望の混合比からずれが発生した場合を除き、頭部の充填されていない部分の空気は吐出に悪影響を及ぼすこともあれば、空気の圧縮により、不要な圧力及び流動様式が発生し、多成分組成物の硬化を妨げることがある。穿孔部を用いる既知の手法のもう1つの欠点としては、開放工程の制御が不十分なことが挙げられる。穿孔部は、ユーザーが適切に操作しても、十分な大きさの断面積を有する開封空間が必ずしも得られるものではない。これは、吐出される組成物の質に悪影響を及ぼす。多成分系の場合は特に、開口部が小さすぎると混合比が使用不可能な値になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第4335970号
【特許文献2】独国特許出願公開第102007018143号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ディスペンサーで使用する際に、組成物の成分を迅速かつ十分に吐出することができるシート材容器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の工程を備えた方法及び請求項8に記載の機能を有するシート材容器によって達成される。本発明の方法及びシート材容器の有利かつ効果的な態様は、各従属項に規定されている。
【0011】
ディスペンサー用のシート材容器を製造するための本発明の方法は、
−組成物で充填されたシート材バッグの第1端部に、少なくとも1つの当該組成物用の出口チャネルを有する頭部を当接する工程と、
−当該シート材バッグを開放する工程と、
−当該出口チャネルを閉鎖する工程と
を備え、
ディスペンサー内のシート材容器が使用される前に、あらかじめ当該シート材バッグの開放及び当該出口チャネルの閉鎖が行われることを特徴とする。
【0012】
本発明は、当初から頭部の出口チャネルが組成物の成分でできるだけ完全な形で充填されていれば、背景技術に記載された問題は完全に克服できるという発見に基づいている。その一方、シート材容器のシート材バッグは、使用する前にあらかじめ閉鎖されている必要は必ずしもないことも判明している。本発明では、シート材容器の製造方法の実施中にシート材バッグは意図的に開放状態になっている。これにより製造者は、十分な大きさの開口部を確実にすることができる。フィルムの選択において開口部の状態を考慮する必要がなくなるため、収容形態の選択における自由度が増大する。
【0013】
シート材バッグの開放が早すぎる場合、材料の成分が空気に触れるかもしれないという問題がある。シート材容器の保管および配送の際に、頭部からの組成物の不要な漏出が発生する可能性がある。本発明では、これらの課題を、シート材容器の製造中に出口チャネルを閉鎖、換言すると、ディスペンサー内のシート材容器の最初の使用までに閉鎖することで解決している。
【0014】
本発明によりユーザーは、シート材バッグの不慮の破裂及び染みの発生の危険性から完全に解放される。例えば、ユーザーは、キャップを回すだけで閉塞部の取り外し及び/又は開放ができ、シート材容器をすぐに使用することができる。
【0015】
このように本発明は、硬質のカートリッジの使用との比較において、実験及び実証済みのシート材バッグの充填技術の優位性を保持するとともに、技術的観点からも製造工程がはるかに複雑な硬質なカートリッジにしかない特定の優位性をもシート材バッグに取り込んでいる。
【0016】
本発明は、多成分組成物の1つの成分でそれぞれが充填された複数のシート材バッグを有するシート材容器、言わば多要素システムを主に対象としたものである。しかし、基本的に本発明は、シート材バッグが1つしかないシステムにも適用が可能である。
【0017】
本発明の製造方法の好ましい実施例では、シート材バッグが頭部に当接されると自動的に開放されるが、これは頭部に備えられた穿孔部により行われることが好ましい。シート材バッグの開放工程が頭部への当接と同時に行われるため、シート材容器の製造がこの開放工程により遅れることがない。
【0018】
出口チャネルの空気を取り除くべく、シート材容器の製造時に出口チャネルを充填剤で充填することができる。充填剤により頭部の出口チャネルにシート材バッグの組成物の成分が入り込めないため、開放後のシート材バッグが元の安定した形状を大きく失わないことが保証される。
【0019】
充填剤は、その選択が適切であれば、最初に使用する前に簡単に取り除くことができる。この点においては、出口チャネルを閉鎖する閉鎖部(例えば、キャップ)に充填剤を付着させる態様は特に優位性がある。ユーザーが閉鎖部を取り外すと、同時に充填剤が出口チャネルから取り除かれる。
【0020】
本発明の製造方法の代替の態様では、シート材バッグの開放後に、組成物の一部が充填剤としてシート材バッグから出口チャネルへと送り込まれる。これが意味するのは、シート材容器の製造時に、すでに頭部の空洞の全体が組成物の成分で充填できるようになっていて、言わば当初から利用の準備ができた状態にある。この作業は利用の当初にのみ発生する面倒な作業であるが、ユーザーはこのような作業にかかわる必要はなくなる。
【0021】
上述の態様の変形としては、シート材容器製造時にシート材バッグが分割され、分割時に形成されるシート材バッグの第2の開放端部が閉鎖される。その際、分割作用または閉鎖作用によりシート材バッグの組成物に圧力が加えられ、組成物の一部がシート材バッグから出口チャネルへと送出される。この好都合な変形によれば、最初に両端が閉鎖された組成物の各成分用の伸長シート材バッグを製造することから始めることにより、2つのシート材容器を同時に製造することが可能になる。頭部がシート材バッグの両端に取り付けられ、シート材バッグが両端で開放される。次に上述の通りシート材バッグが中央で分割され、2つの新しく形成された頭部が閉鎖される。その際、2つのシート材容器を製造するときに出口チャネルは自動的に組成物の成分で充填され、さらなる完了工程を必要としない。
【0022】
上記の原理に従い、例えばクリップを用いた標準的な方法でシート材バッグの第2の端部を封止することによって、出口チャネルを完全に充填することができる。クリップの幅は、少なくとも出口チャネルの体積に相当する量の組成物がシート材バッグから出口チャネルへと送出されるように選択する。
【0023】
本発明により製造されるディスペンサー用のシート材容器は、組成物で充填された少なくとも1つのシート材バッグとシート材バッグの一端に取り付けられた頭部とを有する。この頭部は、少なくとも1つの組成物用の出口チャネルを有する。本発明では、シート材バッグは第1端部で開放され、出口チャネルはユーザーによる開放または取り外しが可能な閉鎖部で閉鎖される。
【0024】
本発明のシート材容器は、シート材バッグが最初に使用される前に開放されており、組成物が空気に接触しないことを特徴とする。シート材容器の保管および配送の際、組成物の不要な漏出は閉鎖部によって防がれる。本発明のシート材容器の従来技術に対する優位性については、本発明の製造方法に関するこれまでの記載に基づいて説明する。
【0025】
すでに説明したとおり、本発明では、頭部の出口チャネルを充填剤で充填することが可能である。充填剤はシート材バッグの組成物と同じでも、熱可塑性またはエラストマー材料等のシート材バッグの組成物と異なる材料でもよい。後者の場合、充填剤を閉鎖部に付着させ、閉鎖部を取り外す際に出口チャネルから自動的に排出されるようにしてもよい。
【0026】
閉鎖部としては、取り付け可能若しくはネジ式のキャップ、フラップ弁、または溶接フィルム等の形態の封が特に適している。
【0027】
本発明によるシート材容器の時間の節約できる組み立てについては、頭部または閉鎖部が穿孔部を有するので、それがシート材バッグの端部に係止されると自動的に開封し、閉鎖部が出口チャネルに当接するようになる。
【0028】
この特徴の優位性を生かすために、穿孔部は組成物用の出口チャネルの一部を形成する開放管を有するが、これは傾斜形状及び/又は鋭い端部を有することが好ましい。開放管は、十分な大きさの開口部をシート材バッグに確実に形成する。
【0029】
さらなる本発明の機能と優位性は、以下の記載及び添付の図面を参照しながら以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面では、
本発明の製造方法の第1工程と、
本発明の製造方法の第2工程と、
本発明の製造方法の第3工程と、
本発明の第1実施例の2つのシート材バッグ及びシート材容器の頭部の断面と、
本発明の第2実施例のシート材容器の頭部の閉鎖部の断面、
を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、長手方向に平行に配置される2つの概管状のシート材バッグ10,12を示す。シート材バッグ10,12はそれぞれ、多成分組成物の1つの成分で充填されている。シート材バッグ10,12の長さは同じだが、直径は組成物の成分の所望の混合率によって変わる。
【0032】
頭部16は、シート材バッグ10,12の両端部14にそれぞれ、接着等により取り付けられている。頭部16はシート材バッグ10,12のための穿孔部を有するうえ、組成物の各成分を吐出することができる出口チャネル(図1図3では図示せず)も有する。
【0033】
穿孔部は、頭部16を当接させた際にシート材バッグ10,12に開口部を自動的に形成するように配置されている。図2が示す通り、シート材バッグ10,12が開放された後、バッグの組成物の成分の一部がそれぞれの出口チャネルに送出されるようになっている。しかし、組成物の成分の粘度にかかわらず、出口チャネルの大部分は空気で充填されている。
【0034】
シート材バッグ10,12は、バッグを挟む等により端部14の間の位置で分割されるが、分割位置は正確に中央であることが好ましい。シート材バッグ10,12の分割により形成される新しい端部18は、特にクリップ20または溶接若しくは接着により閉鎖される。以下、頭部16に収納されたシート材バッグ10,12の端部14を第1端部、新たに形成された端部18を第2端部とする。
【0035】
分割及び/又は閉鎖は同時に行ってもよいが、その際にシート材バッグ10,12の第2端部18の組成物の成分に圧力が加わる。この圧力により、シート材バッグ10,12の組成物の成分の一部が自動的に出口チャネルに送出される。可能であれば、全ての出口チャネルを組成物の成分で充填し、出口チャネルの空気をできるだけ完全に排出してしまうべきである。バッグをクリップ20で閉鎖する場合は、相応の最小幅を有するクリップを選択する。
【0036】
出口チャネルの充填後は、図3が示す通りに出口チャネルを閉鎖部22で密閉する。閉鎖部22として、取り付け可能若しくはネジ式のキャップ、フラップ弁、または溶接フィルム等の形態の封を用いてよい。閉鎖部22は、出口チャネルを通じて開放状態にあるシート材バッグ10,12に空気が達した場合に、質量成分が空気に触れるのを効果的に防ぐ。このようにしてシート材バッグの製造が終了し、シート材容器の保管および配送が可能な状態になる。
【0037】
シート材バッグをディスペンサーで使用するには、その前に閉鎖部22を取り外す及び/又は開放するだけでよい。次にシート材容器をディスペンサーに挿入するが、混合器は通常、ディスペンサーの使用中に出口チャネルを通じて質量成分が排出される頭部16に取り付けられる。シート材容器を最初に使用する前の時点で出口チャネルに空気が入っていないため、多成分組成物がすぐに適切な混合比で吐出され、使用始めの空ストロークが発生しないだけでなく、組成物を廃棄する必要もなくなる。
【0038】
シート材容器の製造の際、出口チャネルの空気は他の方法でも排出できる。例えば、シート材バッグ10,12から質量成分が排出されるか否かを問わず、出口チャネルを同じ材料又は別の材料で充填してもよい。別の材料で充填する場合は、あらかじめ使用する前にその充填剤を廃棄する。これは、閉鎖部22に充填剤が付着している場合には、その閉鎖部22は使用前に取り外すこととなるので、自動的に行われる。例えば、既成の熱可塑性又はエラストマー材用がこの目的に適している。
【0039】
図4は、頭部16の実施例の1つを詳細に示す。シート材バッグ10,12の第1の端部14が収納される2つのレセプタクル24,26に加えて、穿孔部28,30も各シート材バッグ10,12のために備えられている。ここで説明する実施例では、穿孔部はそれぞれ開放管32,34として構成される。この穿孔部はシート材バッグ10,12のためのレセプタクル24,26へ突出し、傾斜形状と鋭い端部を有する。シート材バッグ10,12をレセプタクル24,26に取り付ける際に、シート材バッグ10,12をレセプタクル24,26に押圧する力Fは、シート材バッグ10,12を確実に開放するに十分である。
【0040】
開放管32,34は同時に出口チャネル36,38の一部となる。頭部16の空間全体を、シート材バッグ10,12開放後に組成物の各成分が流入する出口チャネル36,38であると考えるべきである。
【0041】
図5は、穿孔部28,30の代替の実施例を示す。ここで穿孔部28,30は、頭部16ではなく、閉鎖部22に形成されている。穿孔部28,30の長さは、頭部16に完全に取り付けられるかネジ止めされたとき、レセプタクル24,26へと突出する程度の長さとする。そうすることによって、キャップを頭部に完全に取り付ける及び/又はネジ止めする際に生じる力Fがシート材バッグ10,12に作用し、開放が確実に行われる。
【0042】
穿孔部28,30が形成される位置にかかわらず、他の形状を採用することもできる。例えば、傾斜チャネル(鋭いブレード)、傾斜管(傾斜面が1つ、上面が傾斜)、傾斜ロッド、及び三角形,四角形、又は五角形のブレード端などを、柔軟性又は剛性を持たせて構成してよい。
【符号の説明】
【0043】
10 シート材バッグ
12 シート材バッグ
14 第1端部
16 頭部
18 第2端部
20 クリップ
22 閉鎖部
24 レセプタクル
26 レセプタクル
28 穿孔部
30 穿孔部
32 開放管
34 開放管
36 出口チャネル
38 出口チャネル

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】