(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-531550(P2015-531550A)
(43)【公表日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/072 20120101AFI20151006BHJP
【FI】
H01L31/06 400
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-535954(P2015-535954)
(86)(22)【出願日】2012年10月26日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月10日
(86)【国際出願番号】CN2012083615
(87)【国際公開番号】WO2014056268
(87)【国際公開日】20140417
(31)【優先権主張番号】201210381952.3
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】501358079
【氏名又は名称】友達光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ペン▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 碩▲ウェイ▼
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151DA03
5F151DA07
5F151DA10
5F151GA04
(57)【要約】
【課題】光電変換効率を高める太陽電池及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明に係る太陽電池は、半導体基体の第1表面に設けられるドーピング層と、半導体基体の第2表面の第1領域に設けられるドープトポリシリコン層と、半導体基体の第2表面の第2領域に設けられるドーピング領域と、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域の表面を覆う絶縁層とを含む。絶縁層により、ドープトポリシリコン層の一部及びドーピング領域の一部が露出される。これにより、ドープトポリシリコン層とドーピング領域とは、絶縁層の開口を介して第1電極と第2電極とにそれぞれ接続される。半導体基体及びドーピング層は、第1ドーピングタイプを有する。ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は第1ドーピングタイプを有し、且つ、第2ドーピングタイプは第1ドーピングタイプと逆である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
半導体基体と、ドーピング層と、ドープトポリシリコン層と、ドーピング領域と、絶縁層と、少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第2電極とを含み、
前記半導体基体は、第1表面及び第2表面を含み、第1ドーピングタイプを有し、
前記第2表面は、第1領域及び第2領域を含み、
前記ドーピング層は、前記半導体基体の前記第1表面に位置し、前記第1ドーピングタイプを有し、
前記ドープトポリシリコン層は、前記半導体基体の前記第2表面の前記第1領域に設置されるとともに、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域を露出させ、
前記ドーピング領域は、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内に設置され、
前記ドープトポリシリコン層または前記ドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、前記第2ドーピングタイプと前記第1ドーピングタイプとは逆であり、
前記絶縁層は、前記ドープトポリシリコン層及び前記ドーピング領域の表面を覆うとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含み、
前記第1電極は、前記絶縁層の表面に設置され、前記第1開口を介して前記ドープトポリシリコン層に接続され、
前記第2電極は、前記絶縁層の表面に設置され、前記第2開口を介して前記ドーピング領域に接続されることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記絶縁層は、
前記ドープトポリシリコン層の表面に設置されるとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第1サブ開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための第2サブ開口とを有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層及び前記ドーピング領域を覆うとともに、前記第1サブ開口に対応し前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第3サブ開口と、前記第2サブ開口に対応し前記ドーピング領域の一部を露出させるための第4サブ開口とを有する第2絶縁層と、を含み、
前記第1絶縁層に含まれる材料は、前記第2絶縁層に含まれる材料と異なり、
前記第1サブ開口と前記第2サブ開口とにより、前記第1開口が構成され、
前記第3サブ開口と前記第4サブ開口とにより、前記第2開口が構成されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性と、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性とは逆であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記ドーピング領域が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドープトポリシリコン層が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記ドープトポリシリコン層が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドーピング領域が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間、前記ドープトポリシリコン層の側辺と前記第2絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間に設置されるアモルファスシリコン層をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内には、少なくとも1つの凹溝が設けられ、
前記ドーピング領域は、前記凹溝内に設置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記ドープトポリシリコン層と前記絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間に設置されるアモルファスシリコン層をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域と前記ドープトポリシリコン層との間に設置される酸化層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記ドーピング層の表面に設けられる反射防止層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
太陽電池の製造方法であって、
第1表面と、第1領域及び第2領域を有する第2表面とを含み、第1ドーピングタイプを有する半導体基体を供給する工程と、
前記半導体基体の前記第2表面の前記第1領域に、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域を露出させるドープトポリシリコン層を形成する工程と、
露出された前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内に少なくとも1つのドーピング領域を形成し、前記ドープトポリシリコン層または前記ドーピング領域の一方が第2ドーピングタイプを有し、その他方が前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、前記第2ドーピングタイプと前記第1ドーピングタイプとを逆にする工程と、
前記ドープトポリシリコン層及び前記ドーピング領域の表面を覆うとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む絶縁層を形成する工程と、
前記第1開口を介して前記ドープトポリシリコン層に接触する少なくとも1つの第1電極と、前記第2開口を介して前記ドーピング領域に接触する少なくとも1つの第2電極とを含む金属層を、パターン形成された前記絶縁層の表面に形成する工程と、
前記第1表面を覆うように、第1ドーピングタイプを有するドーピング層を前記半導体基体の前記第1表面に形成する工程と、を備えることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記ドープトポリシリコン層を形成する前に、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域と前記ドープトポリシリコン層との間に酸化層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記ドープトポリシリコン層及び前記ドーピング領域の表面を覆うとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む絶縁層を形成する工程は、
前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第1サブ開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための第2サブ開口とを有する第1絶縁層を、前記ドープトポリシリコン層の表面に形成する工程と、
前記第1絶縁層及び前記ドーピング領域を覆うとともに、前記第1サブ開口に対応して前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第3サブ開口と、前記第2サブ開口に対応して前記ドーピング領域の一部を露出させるための第4サブ開口とを有する第2絶縁層を形成する工程と、を備え、
前記第1絶縁層に含まれる材料は、前記第2絶縁層に含まれる材料と異なり、
前記第1サブ開口と前記第2サブ開口とにより、前記第1開口が構成され、
前記第3サブ開口と前記第4サブ開口とにより、前記第2開口が構成されることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性と、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性とは逆であることを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記ドーピング領域が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドープトポリシリコン層が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記ドープトポリシリコン層が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドーピング領域が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記ドーピング領域を形成する前に、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間、前記ドープトポリシリコン層の側辺と前記第2絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間にアモルファスシリコン層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内に少なくとも1つの凹溝を形成する工程をさらに備え、
前記ドーピング領域は、前記凹溝内に形成されることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記ドーピング領域を形成する前に、
前記ドープトポリシリコン層と前記絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間にアモルファスシリコン層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
前記ドーピング領域は、ドープトアモルファスシリコン層であることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項21】
前記ドーピング層を覆うように、前記半導体基体の前記第2表面に反射防止層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及びその製造方法に関し、特に、高光電変換効率を有する太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人類の使うエネルギー源には、主に石油がある。しかし、地球の石油資源は有限であるため、近年、代替エネルギー源に対するニーズが日々高まっている。様々な代替エネルギー源の中に、太陽光エネルギーは、グリーンエネルギーとして最も発展に期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、太陽電池には、製造コストが高く、製造工程が複雑で、光電変換効率が低下する等の問題があるため、太陽電池に関する更なる開発が必要とされている。光電変換効率の低下の原因としては、太陽電池の表面側に設けられる金属電極によって一部の入射光が遮断されることや、ドープ素子の少数キャリアが再結合(recombination)しやすいことなどが挙げられる。したがって、従来の高汚染、ハイリスクのエネルギー源の代わりに、高光電変換効率を有する太陽電池の製造は、現在のエネルギー産業において最も重要な開発課題の一つである。
【0004】
そこで、本発明は、各ドープ素子と絶縁層との相対的な位置を設計することにより、光電変換効率を向上させることが可能な太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る太陽電池は、半導体基体と、ドーピング層と、ドープトポリシリコン層と、ドーピング領域と、絶縁層と、少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第2電極とを含む。半導体基体は、第1表面及び第2表面を含む。第2表面は、第1領域及び第2領域を含む。半導体基体は、第1ドーピングタイプを有する。ドーピング層は、半導体基体の第1表面に位置し、第1ドーピングタイプを有する。ドープトポリシリコン層は、半導体基体の第2表面の第1領域内に設置されるとともに、半導体基体の第2表面の第2領域を露出させる。ドーピング領域は、半導体基体の第2表面の第2領域内に設置される。ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、第2ドーピングタイプと第1ドーピングタイプとは逆である。絶縁層は、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域の表面を覆うとともに、ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む。第1電極は、絶縁層の表面に設置され、第1開口を介してドープトポリシリコン層に接続される。第2電極は、絶縁層の表面に設置され、第2開口を介してドーピング領域に接続される。
【0006】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、以下のような工程を含む。まず、半導体基体を供給する。半導体基体は、第1表面及び第2表面を含むとともに第1ドーピングタイプを有する。第2表面は、第1領域及び第2領域を含む。次に、半導体基体の第2表面の第1領域に、半導体基体の第2表面の第2領域を露出させるドープトポリシリコン層を形成する。次に、露出された半導体基体の第2表面の第2領域内に少なくとも1つのドーピング領域を形成する。ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、第2ドーピングタイプと第1ドーピングタイプとを逆にする。次に、絶縁層を形成する。絶縁層は、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域の表面を覆うとともに、ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む。次に、絶縁層の表面に金属層を形成する。金属層は、絶縁層の第1開口を介してドープトポリシリコン層に接触する少なくとも1つの第1電極と、絶縁層の第2開口を介してドーピング領域に接触する少なくとも1つの第2電極とを含む。最後、第1表面を覆うとともに前記第1ドーピングタイプを有するドーピング層を半導体基体の第1表面に形成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の太陽電池では、ドープトポリシリコン層をエミッタまたは裏面電界とするため、ドープトポリシリコン層におけるポリシリコンと半導体基体との間に形成される接合面により、少数キャリアの再結合を減少させて、光電変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、当業者が本発明をより理解するために、本発明の好適な実施形態を挙げるとともに、添付した図面を参照することによって、本発明の詳細な説明及び技術内容はより明確になる。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。本実施形態において、本発明に係る太陽電池10は、バックコンタクト型(interdigitated back contact;IBC)の太陽電池であって、半導体基体12、ドーピング層14、ドープトポリシリコン層16、ドーピング領域32、絶縁層20、少なくとも1つの第1電極22及び少なくとも1つの第2電極24を含んでいる。半導体基体12は、第1表面12a及び第2表面12bを有している。第1表面12aは受光面(light−receiving side)であって、太陽電池10の表面側(front side)とされている。第2表面12bは、第1表面12aに対向して半導体基体12の他方側に設けられ、太陽電池10の裏面側(rear side)とされている。すなわち、上記の両方側は、半導体基体12の異なる側且つ反対する両側である。第2表面12bには、第1領域26及び第2領域28が定義されている。
図1に示すように、第1領域26のパターンと第2領域28のパターンとは、一例として、ほぼ左から右へ互い違いに配置されているが、これに限定されない。他の実施形態において、第1領域26と第2領域28とは、半導体基体の第2表面12bの左右半分をそれぞれ占めて配置されてもよいし、他の適切な配置形態で配置されてもよい。ドーピング層14は、半導体基体12の第1表面12aに位置し、半導体基体12と同じ極性の第1ドーピングタイプを有している。ドーピング層14は半導体基体12よりも高いドーピング濃度を有することが好ましく、例えば、半導体基体12は低ドーピング濃度を有し、ドーピング層14は高ドーピング濃度を有してもよいが、これに限定されない。ドープトポリシリコン層16は、半導体基体12の第2表面12b上の第1領域26内に設けられ、半導体基体12の第2表面12bの第2領域28を露出させる。ドーピング領域32は、半導体基体12の第2表面12bの第2領域28内に設けられる。
図1に示すように、ドープトポリシリコン層16は、第2表面12b上に位置し、ドーピング領域32は、ほぼ半導体基体12の第2表面12bの下方に位置し、例えば、ドーピング領域32は、第2表面12bの下方の半導体基体12内に設けられる。ドープトポリシリコン層16とドーピング領域32とは、一例として、左から右へ互い違いに配置されている。ドープトポリシリコン層16またはドーピング領域32の一方は、第1ドーピングタイプを有し、ドープトポリシリコン層16またはドーピング領域32の他方は、第2ドーピングタイプを有し、且つ、第2ドーピングタイプと第1ドーピングタイプとは極性が逆である。ドープトポリシリコン層16及びドーピング領域32は、いずれも高ドーピング濃度を有することが好ましい。絶縁層20は、半導体基体12の第2表面12bに設けられ、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口34(説明のため、図には第1開口34を3つ示す)と、ドーピング領域32の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口36(説明のため、図には第2開口36を2つ示す)とを有している。第1電極22は、絶縁層20の表面に設けられ、第1開口34によりドープトポリシリコン層16に接触する。第2電極24は、絶縁層20の表面に設けられ、第2開口36によりドーピング領域32に接触する。また、第1電極22と第2電極24とは、互いに接続されていない。第1電極22または第2電極24の一方は、太陽電池10の正極として機能し、第1電極22または第2電極24の他方は、太陽電池10の負極として機能している。そのため、太陽電池10の正極及び負極のいずれも電池の裏面側、すなわち、受光側である第1表面12aとは反対側の第2表面12bに位置している。
【0011】
好適な実施形態において、絶縁層20は複合絶縁層であって、少なくとも1つの第1絶縁層38及び少なくとも1つの第2絶縁層40を含んでいる。第1絶縁層38は、ドープトポリシリコン層16の表面を覆い、且つ、少なくとも1つの第1サブ開口42及び少なくとも1つの第2サブ開口44を有している。第1サブ開口42は、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させ、第2サブ開口44は、ドーピング領域32を露出させる。第2絶縁層40は、第1絶縁層38及び一部のドーピング領域32を覆い、且つ、少なくとも1つの第3サブ開口46及び少なくとも1つの第4サブ開口48を有している。第3サブ開口46は、第1サブ開口42に対応するため、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させる。第4サブ開口48は、第2サブ開口48に対応するため、ドーピング領域32の一部を露出させる。
図1に示すように、第1絶縁層38の第1サブ開口42と第2絶縁層40の第3サブ開口46とにより、絶縁層20の第1開口34が構成され、第1絶縁層38の第2サブ開口44と第2絶縁層40の第4サブ開口48とにより、絶縁層20の第2開口36が構成される。例えば、本実施形態において、第1絶縁層38と第2絶縁層40とは異なる材料を含んでいる。第1絶縁層38に含まれる固定酸化電荷(固定酸化層電荷または酸化層固定電荷とも呼ばれ、fixed oxide charge)の極性は、第2絶縁層40に含まれる固定酸化電荷の極性と逆であることが好ましい。また、第1絶縁層38の固定酸化電荷の極性は、ドープトポリシリコン層16のドーピング極性と逆であり、第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性は、ドーピング領域32のドーピング極性と逆であることが好ましい。これにより、第1絶縁層38及び第2絶縁層40によって、ドープトポリシリコン層16及びドーピング領域32における少数キャリアは電界効果パッシベーション(field effect passivation)効果を有することになり、少数キャリアの再結合を回避することができるが、これに限定されない。本実施形態において、第1絶縁層38及び第2絶縁層40の材料を選択することで第1絶縁層38及び第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性を決定してもよい。例えば、第1絶縁層38または第2絶縁層40の一方に正の固定酸化電荷(positive fixed oxide charge)を持たせようとする場合、酸化シリコン(SiO
x)、窒化シリコン(SiN
x)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化イットリウム(YO
x)、他の適切な材料、または上記の少なくとも2種類の材料の組合せを用いて第1絶縁層38または第2絶縁層40の一方を製造し、また、第1絶縁層38または第2絶縁層40の他方に負の固定酸化電荷(negative fixed oxide charge)を持たせようとする場合、アルミナ(AlO
x)、窒化アルミニウム(AlN
x)、酸窒化アルミニウム(aluminum oxynitride,AlON)、フッ化アルミニウム(aluminum fluoride,AlF
x)、酸化ハフニウム(hafnium oxide,HfO
x)、窒素ドープ酸化ハフニウム(nitrogen−doped HfO
x)、他の適切な材料、または上記の少なくとも2種類の材料の組合せを用いて第1絶縁層38または第2絶縁層40の他方を製造してもよいが、これに限定されない。
【0012】
以下、一例として、本実施形態の半導体基体12、ドーピング層14、ドープトポリシリコン層16及びドーピング領域32のそれぞれのドーピングタイプの極性と、第1絶縁層38及び第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性とを説明する。例えば、本発明の好適な実施形態においては、半導体基体12がN型ドープ、ドーピング層14がN
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープ、ドーピング領域32がN
+型ドープである(後述する本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法では、
図1に示す構造を例として説明する)。第1絶縁層38及び第2絶縁層40による電界効果パッシベーション効果が得られるために、第1絶縁層38は、ドープトポリシリコン層16のドーピングタイプに合わせて負の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40は、ドーピング領域32のドーピングタイプに合わせて正の固定酸化電荷を含むようになる。好適な実施形態において、太陽電池10は酸化層18をさらに選択的に含むことが可能である。酸化層18は、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26内に設置され、半導体基体12の第2領域28及びドープトポリシリコン層16と半導体基体12との間に位置し、トンネル酸化層(tunnel oxide layer)として用いられる。一般的に、酸化層18の厚さを非常に薄くすることにより、電子が酸化層18を直接に通過する確率が高くなって、光電変換効率を向上させることができる。酸化層18の厚さは、約5〜20オングストローム(Angstroms,A)であってもよい。一部の実施形態において、酸化層18の厚さは、約10オングストロームである。酸化層18の厚さは、約15オングストロームであることが好ましい。P
+型ドープのドープトポリシリコン層16、トンネル酸化層18及びN型ドープの半導体基体12によってヘテロ接合(heterojunction)に類似する構造が構成されて、飽和電流を大幅に低下させるため、光電変換効率を効果的に向上させることができる。また、ドーピング層14及びドーピング領域32のドーピングタイプの極性が半導体基体12の極性と同じであるため、ドーピング層14を表面電界(front side field,FSF)素子とし、ドーピング領域32を裏面電界(back side field,BSF)素子とし、P
+型ドープのドープトポリシリコン層16を太陽電池10のエミッタ(emitter)とすることができる。
【0013】
本発明の他の好適な実施形態においては、半導体基体12がP型ドープ、ドーピング層14がP
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープ、ドーピング領域32がP
+型ドープであり、さらに、第1絶縁層38が正の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40が負の固定酸化電荷を含んでいる。この場合、ドープトポリシリコン層16を太陽電池10のエミッタ(emitter)とし、且つ、半導体基体12とドープトポリシリコン層16との間にはPN接合面を有するため、上記の実施形態と同様に、太陽電池10は優れた光電変換効率を得られる。また、他の実施形態においては、半導体基体12がN型ドープ、ドーピング層14がN
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープ、ドーピング領域32がP
+型ドープであり、さらに、第1絶縁層38が正の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40が負の固定酸化電荷を含むように設計されてもよい。この場合、ドープトポリシリコン層16を裏面電界(BSF)とし、ドーピング領域32をエミッタ(emitter)とし、ドーピング層14を表面電界(FSF)とすることになる。また、別の実施形態においては、半導体基体12がP型ドープ、ドーピング層14がP
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープ、ドーピング領域32がN
+型ドープであり、さらに、第1絶縁層38が負の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40が正の固定酸化電荷を含むように設計されてもよい。この場合、ドープトポリシリコン層16を裏面電界(BSF)とし、ドーピング領域32をエミッタ(emitter)とし、ドーピング層14を表面電界(FSF)とすることになる。しかし、本発明の各ドープ素子のドーピングタイプと、第1絶縁層38及び第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性との対応関係は、上述した実施形態に限定されない。
【0014】
なお、本実施形態に係る太陽電池10は、ドーピング層14の表面上に設けられる反射防止層(antireflection coating,ARC)30をさらに含むことが好ましいが、これに限定されない。また、反射防止層は、単層構造または多層構造であってもよく、その材料として、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化ビスマス(bismuth oxide)、酸化スズ(stannic oxide)、酸化ジルコニウム(zirconium oxide)、酸化ハフニウム(hafnium oxide)、酸化アンチモン(antimony oxide)、酸化ガドリニウム(gadolinium oxide)、他の適切な材料、または上記の少なくとも2種類の材料の組合せを用いる。さらに、光量を増やすために、半導体基体12とドーピング層14との接合面に選択的に粗面化(textured)処理を行い、例えば、光電変換効率をより一層向上させるように、第1表面12aを粗面化構造12cにすることが好ましいが、これに限定されない。
【0015】
以下、本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。ここでは説明を簡潔化するために、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0016】
図2乃至
図7は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。まず、
図2に示すように、半導体基体12を供給する。この半導体基体12は、結晶性(crystalline)の半導体基体、または多結晶性(polycrystalline)の半導体基体であってもよい。半導体基体12の厚さは、例えば、約50〜300μmである。半導体基体12は、第1ドーピングタイプを有する基体であることが好ましい。本実施形態において、半導体基体12は、例えば、N型ドープの基体である。半導体基体12を選択的に洗浄するとともに、切断によって生じたダメージ層を除去する。
【0017】
次に、半導体基体12の第2表面12bに、トンネル酸化層としての薄い酸化層18を選択的に形成する。酸化層18の厚さは、約5〜20オングストロームの範囲内であり、好ましくは、約15オングストロームである。酸化層18は、例えば、酸化シリコンを含み、オゾン酸化工程または高温酸化工程で形成されてもよいが、これに限定されない。
【0018】
次に、酸化層18の表面にドープトポリシリコン層16を形成する。ドープトポリシリコン層16の厚さは約50〜500nmであるが、これに限定されない。ドープトポリシリコン層16は、第1ドーピングタイプまたは第2ドーピングタイプを有してもよく、半導体基体12の第1ドーピングタイプの極性と逆の極性の第2ドーピングタイプを有することが好ましい。例えば、ドープトポリシリコン層16はP
+型ドープである。ドープトポリシリコン層16のドーピング濃度の範囲は、約10
19〜10
21atoms/cm
2であることが好ましいが、これに限定されない。例えば、ドープトポリシリコン層16の製造方法としては、化学気相堆積法(chemical vapor deposition,CVD)により酸化層18の表面に多結晶シリコン層を形成し、その後、イオン注入工程を行ってドープトポリシリコン層16を形成する方法が挙げられる。本実施形態のドープトポリシリコン層16は、P
+型ドープであるため、P型のドーパント、例えば、ホウ素またはホウ素化合物を含んでもよいが、これに限定されない。ドープトポリシリコン層16の他の形成方法としては、例えば、減圧化学気相堆積(low pressure chemical vapor deposition,LPCVD)法により、P
+型ドープのドープトポリシリコン層16を直接に形成する方法、または、アモルファスシリコン層を形成してから、レーザアニール等の方法でアモルファスシリコン層を再結晶させて多結晶シリコン層を形成し、その後、イオン注入工程を行ってドープトポリシリコン層16を形成する方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
次に、ドープトポリシリコン層16の表面に第1絶縁層38を選択的に形成する。第1絶縁層38によりドープトポリシリコン層16における少数キャリアが電界効果パッシベーション効果を得るため、一例として、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープである場合、本実施形態の第1絶縁層38は、負の固定酸化電荷を含むことが好ましい。第1絶縁層38は、上述した材料を用いてもよい。本実施形態において、一例として、第1絶縁層38の材料は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナとも呼ばれる)であってもよいが、これに限定されない。また、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープである場合、本実施形態の第1絶縁層38は、正の固定酸化電荷を含むことが好ましい。第1絶縁層38は、上述した材料を用いてもよい。本実施形態において、一例として、第1絶縁層38の材料は酸化シリコン、例えば、SiO2であってもよいが、これに限定されない。第1絶縁層38の厚さ範囲は、約20〜400nmであってもよいが、これに限定されない。本発明の他の実施形態において、第1絶縁層38を形成しなくてもよい。
【0020】
次に、
図3に示すように、酸化層18、ドープトポリシリコン層16及び第1絶縁層38をパターン形成する。このようなパターン形成工程では、まず、スクリーン印刷マスク(screen printing mask)50またはレジストマスクで、第1絶縁層38の表面に、残そうとする第1絶縁層38部分、すなわち、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26を区画して、第2表面12bの第2領域28における第1絶縁層38を露出させる。なお、レジストマスクの形成方法としては、露光現像法またはインクジェット塗布法がある。
【0021】
次に、
図4に示すように、スクリーン印刷マスク50またはレジストマスクによって露出される、一部の第1絶縁層38、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18を除去する。この除去方法としては、ウェットエッチング工程またはドライエッチング工程が挙げられるが、ウェットエッチング工程が好ましく、例えば、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO
3)との混合液で除去する。また、この除去工程は、1回で完成されてもよいし、複数回に分けて完成されてもよく、例えば、異なるエッチング工程において、一部の第1絶縁層38、一部のドープトポリシリコン層16及び一部の酸化層18を順次に除去してもよいが、これに限定されない。第1絶縁層38、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18をパターン形成する工程は、レーザで完成されてもよいが、これに限定されない。そのため、残りの第1絶縁層38、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18は、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26内に位置して、半導体基体12の第2表面12bの第2領域28を露出させる。なお、第2表面12bの第2領域28は、複数のドット状(dot)のパターン、ストリップ状(strip)のパターン、または他の適切なパターンを有してもよい。
図4によれば、このパターン形成工程の後、残りの酸化層18は、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26とドープトポリシリコン層16との間に位置することがわかる。特に、露出された酸化層18を除去した後、第2表面12bの第2領域28の表面に露出される一部の半導体基体12を続けて除去して、第2領域28における半導体基体12内に凹溝を形成させてもよい。凹溝の深さ範囲は、約0〜10μmであるが、これに限定されない。本実施例においては、深さが0μmの凹溝を一例として説明し、すなわち、半導体基体12内に凹溝を格別に形成することなく、第2領域28における酸化層18を除去するとパターン形成工程を停止させる。
【0022】
次に、
図5に示すように、スクリーン印刷マスク50を除去した後、露出された半導体基体12の第2表面12bの第2領域28内にドーピング領域12を形成する。本実施形態のドーピング領域12は、第1ドーピングタイプ、例えば、N
+型ドープであって、その極性がドープトポリシリコン層16のドープ極性と逆である。ドーピング領域32の形成方法としては、例えば、第1絶縁層38が第2サブ開口44を有して第2表面12bの第2領域28を露出させるため、第1絶縁層38をイオン注入マスクとして、まず、半導体基体12の第2表面12bにイオンを注入し、次に、焼き戻し法や熱拡散法を利用してドーピング領域32を形成したり、または、熱拡散法を直接に利用してドーパントを第2領域28における半導体基体12内に拡散させたり、イオンシャワードーピング法(ion shower doping)を直接に利用してドーパントを第2領域28における半導体基体12内に進入させたりしてもよいが、これらに限定されない。なお、N
+型ドーパントは、例えば、リン、ヒ素、アンチモンまたはこれらの化合物であってもよいが、これらに限定されない。例えば、ドーピング領域12の深さは、約0.5〜1μmであり、ドーピング濃度は、10
19〜10
21atom/cm
2であるが、これらに限定されない。
【0023】
次に、
図6に示すように、半導体基体12の第2表面12bの一方側には、第1絶縁層38及びドーピング領域32を覆う第2絶縁層40を全面的に形成する。第2絶縁層40により、ドーピング領域32における少数キャリアが電界効果パッシベーション効果を得るために、本実施形態の第2絶縁層40に用いられる固定酸化電荷の極性は、ドープトポリシリコン層16の極性及びドーピング領域32の極性に合わせる必要がある。例えば、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープ、ドーピング領域32がN
+型ドープであって、且つ、第1絶縁層38が負の固定酸化電荷の材料を用いることを一例とする場合、第2絶縁層40は、正の固定酸化電荷を含むことが好ましく、第2絶縁層40の材料は、上述した材料、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いてもよいが、これらに限定されない。ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープ、ドーピング領域32がP
+型ドープであって、且つ、第1絶縁層38が正の固定酸化電荷の材料を用いることを一例とする場合、第2絶縁層40は、負の固定酸化電荷を含むことが好ましく、第2絶縁層40の材料は、上述した材料、例えば、アルミナを用いてもよいが、これに限定されない。第2絶縁層40の厚さ範囲は、約20〜400nmであってもよいが、これに限定されない。次に、第2絶縁層40及び第1絶縁層38をパターン形成し、第2絶縁層40の一部及び第1絶縁層38の一部を除去することにより、第1絶縁層38が第1サブ開口42を有し、第2絶縁層40が第3サブ開口46及び第4サブ開口48を有して、ドープトポリシリコン層16の一部及びドーピング領域32の一部を露出させる。このパターン形成工程としては、まず、スクリーン印刷マスクを用いて第2絶縁層40において第3サブ開口46及び第4サブ開口48の位置を区画し、次に、エッチング法で第2絶縁層40の一部及び第1絶縁層38を複数回に分けて除去するか、または順次に除去する方法が挙げられる。他の実施形態においては、フォトリソグラフィエッチング技術(レジストマスクとも呼ばれる)を用いてパターン形成を行ってもよいが、これに限定されない。
図6に示すように、第3サブ開口46が第1サブ開口42に対応して、両者によって絶縁層20の第1開口34が構成され、これにより、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させる。一方、第4サブ開口48が第2サブ開口44に対応して、両者によって絶縁層20の第2開口36が構成され、これにより、ドーピング領域32の一部を露出させる。他の実施形態においては、第1絶縁層38内に第1サブ開口38を形成してから第2絶縁層40を形成し、それから、第2絶縁層40をパターン形成することで第2絶縁層40内に第3サブ開口46及び第4サブ開口48を形成してもよい。
【0024】
図7に示すように、半導体基体12の第2表面12bの一方側には、金属層52を全面的に形成する。金属層52の材料としては、導電性に優れた金属、例えば、アルミ、銀、白金、金、銅またはこれらの合金を用いてもよいし、他の適切な材料を用いてもよいが、これらに限定されない。次に、金属層52をパターン形成し、金属層52の一部を除去することで、少なくとも1つの第1電極22及び少なくとも1つの第2電極24を形成する。第1電極22は、絶縁層20の第1開口34を介してドープトポリシリコン層16に接触し、第2電極24は、絶縁層20の第2開口36を介してドーピング領域32に接続されている。また、第1電極22及び第2電極24の形成方法としては、導電性ペーストを塗布する方法を用いてもよい。導電性ペーストの導電性材料としては、アルミ、銀、ニッケル、銅またはこれらの合金を用いてもよいし、他の適切な材料を用いてもよいが、これらに限定されない。導電性ペーストを塗布する方法としては、スクリーン法、インクジェット法または他の適切な方法を含む。第1電極22及び第2電極24の厚さ、面積及びパターンは、必要に応じて調整されてもよいが、
図7に示すものに限定されない。
【0025】
図1に戻して説明を続ける。半導体基体12の第1表面12aに対して粗面化処理を選択的に行い、その後、第1表面12aにドーピング層14を形成する。このドーピング層14は、第1ドーピングタイプを有し、その極性が半導体基体12のドーピングタイプの極性と同様であり、例えば、ドーピング層14は、高濃度のN
+型ドープである。ドーピング層14の形成方法としては、例えば、上記のドーピング領域32と同様に、外部イオンの拡散法を用いてドーパントを半導体基体12の第1表面12a内に拡散させる方法が挙げられるが、これに限定されない。また、ドーピング層14の形成に用いられるドーパントとしては、ドーピング領域32に類似するドーパントを用いてもよい。ここでは、その同じ部分についての説明は省略する。他の実施形態において、ドーピング層14は、半導体基体12の第1表面12aに別格に形成されたドーピング層、例えば、ドープトアモルファスシリコン層、ドープ結晶層またはドープトポリシリコン層であってもよいが、これらに限定されない。最後、ドーピング層14の全面には、反射防止層30を選択的に形成して、半導体基体12の第1表面12aを覆う。なお、反射防止層30は、単層構造または多層構造であってもよく、その材料としては、
図1に示す反射防止層30の材料を用いてもよい。こうすることで、本発明に係る太陽電池10の主な構成の製造を完成することができる。
【0026】
特に、本発明に係る太陽電池における各ドープ素子のドーピングタイプ、及び第1、第2絶縁層の固定酸化電荷の極性は、
図1に示すものに限定されない。異なるドーピングタイプに対して、異なるドーパントを用い、異なる極性の固定酸化電荷に対しても、異なる酸化材料を用いて絶縁層を製造する。ここでは、上述した例との重複部分の説明は省略する。また、上述した実施形態において、太陽電池の裏面側の素子を製造した後に太陽電池の表面側の素子を製造するが、他の実施形態において、太陽電池の表面側の素子、例えば、ドーピング層及び反射防止層を先に製造し、それから、太陽電池の裏面側の素子、例えば、酸化層、ドープトポリシリコン層、ドーピング領域、絶縁層、第1電極及び第2電極などを製造してもよい。また、別の実施形態において、太陽電池の表面側または裏面側の一方側の素子を先に製造してから他方側の素子を製造することに限定されず、半導体基体の第1表面及び第2表面上の各素子を交替して製造してもよく、しかも、製造順番を限定することがない。
【0027】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、上記の実施形態に限定されない。以下、本発明に係る太陽電池及びその製造方法の他の実施形態について説明する。ここでは各実施形態の異なる部分を比較するとともに説明を簡潔化するために、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、異なる部分について説明するが、重複する説明を省略する。
【0028】
図8は、本発明の第2実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。本実施形態は、太陽電池10が絶縁層20を一層のみ有することで第1実施形態と異なっている。この絶縁層20は、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させるためのる第1開口34と、ドーピング領域32の一部を露出させるための第2開口36とを含んでいる。これにより、第1電極22は、第1開口34を介してドープトポリシリコン層16に接触し、第2電極24は、第2開口36を介してドーピング領域32に接触することができる。絶縁層20がパッシベーション層の機能を有するために、必要に応じて異なる材料で絶縁層20を製造してもよい。例えば、P
+型ドープトポリシリコン層16の飽和電流を改善しようとし、且つN
+型ドーピング領域32を例とする場合には、絶縁層20が負の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよい。また、N
+型ドーピング領域32の飽和電流を改善しようとし、且つP
+型ドープトポリシリコン層16を例とする場合には、絶縁層20が正の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよい。さらに、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープであって、それに合わせてドーピング領域32がP
+型ドープであることを例とする場合には、ドープトポリシリコン層16が持つN
+型ドープの飽和電流を改善しようとすると、絶縁層20が正の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよく、一方、ドーピング領域32が持つP
+型ドープの飽和電流を改善しようとすると、絶縁層20が負の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよい。用いられる正の固定酸化電荷の材料または負の固定酸化電荷の材料について、
図1に関する説明を参照するため、ここではその詳細の説明を省略する。本実施形態の太陽電池10の製造方法は、第1絶縁層の製造工程を省略すること以外に、上記の実施形態と類似している。具体的に、本実施形態において、ドープトポリシリコン層16を形成した後、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18をパターン形成することで、第2領域28における半導体基体12を露出させるとともに、ドーピング領域32を形成した後、絶縁層20を形成し、さらに絶縁層20をパターン形成することで第1開口34及び第2開口36を形成する。なお、絶縁層20の厚さは、例えば、約20〜500nmであってもよい。各素子の製造方法について、その詳細の説明を省略する。
【0029】
図9乃至
図13は、本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
図13は、本発明に係る太陽電池の第3実施形態の構造を示す断面概略図である。
図9に示すように、本実施形態において、半導体基体12の第1表面12aに粗面化処理を行い、これにより、第1表面12aが粗面化構造12cを有することになり、その後、第2表面12b上の素子を製造する。
図2及び
図3に示す第1実施形態の工程に類似するように、半導体基体12の第2表面12bには、酸化層18、ドープトポリシリコン層16及び第1絶縁層38を順次に形成する。次に、酸化層18、ドープトポリシリコン層16及び第1絶縁層38をパターン形成し、例えば、スクリーン印刷マスク50をエッチングマスクとし、露出された酸化層18、ドープトポリシリコン層16、第1絶縁層38及び半導体基体12の第2表面12の第2領域28をエッチングする。
図10に示すように、このエッチング工程では、酸化層18を除去した後、引き続けて半導体基体12の第2表面12bをエッチングすることで、第2表面12bの第2領域28内に凹溝54を形成する。凹溝54の深さは、例えば、0μmよりも大きいが約10μm以下である。その後、熱焼き戻しを行う。
【0030】
次に、
図11に示すように、半導体基体12の第2表面12bには、アモルファスシリコン層56を選択的に形成する。このアモルファスシリコン層56は、真性アモルファスシリコン層であることが好ましい。次に、真性アモルファスシリコン層56には、ドープトアモルファスシリコン層58を形成する。アモルファスシリコン層56及びドープトアモルファスシリコン層58は、半導体基体12の第2表面12bを覆うとともに、凹溝54内に充填される。真性アモルファスシリコン層56及びドープトアモルファスシリコン層58の形成方法としては、例えば、CVD法でアモルファスシリコン層を沈着した後、イオン注入法や熱拡散法、イオンシャワートーピング法等の方法でドープトアモルファスシリコン層58を形成することが挙げられるが、これに限定されない。ドープトアモルファスシリコン層58のドーピングタイプの極性は、必ずドープトポリシリコン層16のドーピングタイプの極性と逆である。しかも、ドープトアモルファスシリコン層58またはドープトポリシリコン層16の一方のドーピングタイプの極性は、半導体基体12のドーピングタイプの極性と同じである。アモルファスシリコン層56の厚さは、約10nm以下であってもよいが、好ましくは、約5nmである。ドープトアモルファスシリコン層58の厚さは、約2〜20nmであってもよいが、好ましくは、約10nmである。一例として、ドープトアモルファスシリコン層58の厚さは、アモルファスシリコン層56の厚さの2倍以上であることが好ましいが、これに限定されない。
【0031】
次に、
図12に示すように、ドープトアモルファスシリコン層58の一部、例えば、凹溝54以外のドープトアモルファスシリコン層58を除去して、残りのドープトアモルファスシリコン層58をドーピング領域32に形成する。ドープトアモルファスシリコン層58の一部を除去する方法としては、例えば、レーザーアブレーション(ablation)法、やスクリーン印刷マスクまたはフォトリソグラフィ処理をドライエッチングに合わせる方法等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な実施形態において、ドーピング領域32のドーピングタイプの極性は、半導体基体12のドーピングタイプの極性と同じであるが、ドープトポリシリコン層16の極性と逆である。例えば、半導体基体12がN型ドープ、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープであって、且つドーピング領域32の極性がドープトポリシリコン層16の極性と逆であって半導体基体12の極性と同じである場合、ドーピング領域32はN
+型ドープである。半導体基体12がP型ドープ、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープであって、且つドーピング領域32の極性がドープトポリシリコン層16の極性と逆であって半導体基体12の極性と同じである場合、ドーピング領域32はP
+型ドープである。ドーピング領域32を太陽電池10のBSF素子とする場合、ドーピング領域32は、真性アモルファスシリコン層56によって優れたBSF効果を得ることができる。そのため、本実施形態に係る太陽電池10は、第1絶縁層38と第2絶縁層40との間、ドープトポリシリコン層16の側辺と第2絶縁層40との間、及びドーピング領域32と半導体基体12との間に設置されるアモルファスシリコン層56をさらに含むことで第1実施形態と異なっている。
【0032】
図13に示すように、上記の第1実施形態と同様に、半導体基体12の第2表面12bには、パターン形成された第2絶縁層40、第1電極22及び第2電極24を順次に形成するとともに、半導体基体12の第1表面12aにドーピング層14及び反射防止層30を形成する。なお、ドーピング層14は、FSF素子として、半導体基体12と同じドーピングタイプの極性を持つことが好ましい。こうすることで、本発明に係る太陽電池10の主な素子の製造を完成することができる。本実施形態の各主な素子の製造方法、材料及び膜層厚さは、第1実施形態と類似するため、ここでその詳細の説明を省略する。
【0033】
図14は、本発明の第4実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。本実施形態は、太陽電池10が絶縁層20を一層のみ有することで第3実施形態と異なっている。この絶縁層20は、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させるための第1開口34と、ドーピング領域32の一部を露出させるための第2開口36とを含んでいる。そのため、第1電極22は、第1開口34を介してドープトポリシリコン層16に接触し、第2電極24は、第2開口36を介してドーピング領域32に接触することができる。上記と同様に、絶縁層20がパッシベーション層の機能を有するために、必要に応じて異なる材料で絶縁層20を製造してもよい。例えば、P
+型ドープトポリシリコン層16の飽和電流を改善しようとし、且つN
+型ドーピング領域32を例とする場合には、絶縁層20が負の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよい。また、N
+型ドーピング領域32の飽和電流を改善しようとし、且つP
+型ドープトポリシリコン層16を例とする場合には、絶縁層20が正の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよい。さらに、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープであって、それに合わせてドーピング領域32がP
+型ドープであることを例とする場合には、ドープトポリシリコン層16が持つN
+型ドープの飽和電流を改善しようとすると、絶縁層20が正の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよく、一方、ドーピング領域32が持つP
+型ドープの飽和電流を改善しようとすると、絶縁層20が負の固定酸化電荷を有するような材料を用いてもよい。用いられる正の固定酸化電荷の材料または負の固定酸化電荷の材料について、
図1に関する説明を参照するため、ここではその説明を省略する。本実施形態の太陽電池10の製造方法は、第1絶縁層の製造工程を省略すること以外に、第3実施形態と類似している。具体的に、本実施形態において、ドープトポリシリコン層16を形成した後、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18をパターン形成して、第2領域28における半導体基体12を露出させ、さらに、アモルファスシリコン層56及びドープトアモルファスシリコン層58を順次に製造し、ドープトアモルファスシリコン層58をパターン形成することでドーピング領域32を形成する。その後、絶縁層20を形成してから、絶縁層20をパターン形成することで、第1開口34及び第2開口36を形成する。なお、絶縁層20の厚さは、例えば、約20〜500nmであってもよい。各素子の製造方法については、詳細の説明を省略する。
【0034】
特に、本発明の第3実施形態乃至第5実施形態に係る太陽電池における各ドープ素子のドーピングタイプと、第1絶縁層及び第2絶縁層の固定酸化電荷との対応関係は、一種類に限定されず、第1実施形態の太陽電池に関する説明を参照すれば、複数の対応関係を含むことがわかる。半導体基体とドーピング層とは同じドーピングタイプを有し、ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方のドーピングタイプの極性は半導体基体のドーピングタイプの極性と同じであり、その他方は逆のドーピングタイプの極性を有することが好ましい。また、ドープトポリシリコン層のドーピングタイプの極性は、半導体基体のドーピングタイプの極性と逆であり、且つ、第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、ドープトポリシリコン層のドーピングタイプの極性と逆であり、第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、ドーピング領域のドーピングタイプの極性と逆であり、さらに、このような極性の対応関係に応じて異なる材料で第1絶縁層及び第2絶縁層を製造することが好ましいが、これに限定されない。絶縁層が一層しかない場合、必要に応じて、絶縁層が持つ固定酸化電荷の極性を、電界効果パッシベーション効果を供給しようとするドープ素子の極性と逆にするように設計してもよいが、これに限定されない。ドーピングタイプに用いるドーパント、絶縁層の材料、及び太陽電池の表面側、裏面側の素子の製造順番については、第1実施形態の関連説明を参照する。
【0035】
本発明に係る太陽電池の正極及び負極は、いずれも半導体基体の第2表面、すなわち、受光面とは反対側の裏面側に設置されるため、入射光量を増やすことができる。好適な実施形態において、太陽電池の表面側にFSF素子が設けられ、太陽電池の裏面側にBSF素子が設けられ、且つ、ドープトポリシリコン層をエミッタとすることにより、光変換効率を大幅に向上させることができる。また、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域の表面には、複数層の絶縁層を設置し、例えば、極性が逆の固定酸化電荷を有する二層の絶縁層を設置することにより、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域に電界効果パッシベーション効果をそれぞれ供給することができて、複合電流の発生を減少させる。そのため、本発明に係る太陽電池の構造及びその製造方法によれば、太陽電池全体の光電変換効率を大幅に向上させることができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、これは本発明の実施例に過ぎない。本発明の精神及び範囲を含む各種の変動や潤色は、本発明の保護を求める範囲内に属するものである。
【符号の説明】
【0037】
10 太陽電池
12 半導体基体
12a 第1表面
12b 第2表面
12c 粗面化構造
14 ドーピング層
16 ドープトポリシリコン層
18 酸化層
20 絶縁層
22 第1電極
24 第2電極
26 第1領域
28 第2領域
30 反射防止層
32 ドーピング領域
34 第1開口
36 第2開口
38 第1絶縁層
40 第2絶縁層
42 第1サブ開口
44 第2サブ開口
46 第3サブ開口
48 第4サブ開口
50 スクリーン印刷マスク
52 金属層
54 凹溝
56 アモルファスシリコン層
58 ドープトアモルファスシリコン層
【手続補正書】
【提出日】2015年7月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
半導体基体と、ドーピング層と、ドープトポリシリコン層と、ドーピング領域と、絶縁層と、少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第2電極とを含み、
前記半導体基体は、第1表面及び第2表面を含み、第1ドーピングタイプを有し、
前記第2表面は、第1領域及び第2領域を含み、
前記ドーピング層は、前記半導体基体の前記第1表面に位置し、前記第1ドーピングタイプを有し、
前記ドープトポリシリコン層は、前記半導体基体の前記第2表面の前記第1領域に設置されるとともに、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域を露出させ、
前記ドーピング領域は、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内に設置され、
前記ドープトポリシリコン層または前記ドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、前記第2ドーピングタイプと前記第1ドーピングタイプとは極性が逆であり、
前記絶縁層は、前記ドープトポリシリコン層及び前記ドーピング領域の表面を覆うとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含み、
前記第1電極は、前記絶縁層の表面に設置され、前記第1開口を介して前記ドープトポリシリコン層に接続され、
前記第2電極は、前記絶縁層の表面に設置され、前記第2開口を介して前記ドーピング領域に接続されることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記絶縁層は、
前記ドープトポリシリコン層の表面に設置されるとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第1サブ開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための第2サブ開口とを有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層及び前記ドーピング領域を覆うとともに、前記第1サブ開口に対応し前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第3サブ開口と、前記第2サブ開口に対応し前記ドーピング領域の一部を露出させるための第4サブ開口とを有する第2絶縁層と、を含み、
前記第1絶縁層に含まれる材料は、前記第2絶縁層に含まれる材料と異なり、
前記第1サブ開口と前記第3サブ開口とにより、前記第1開口が構成され、
前記第2サブ開口と前記第4サブ開口とにより、前記第2開口が構成されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性と、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性とは逆であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記ドーピング領域が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドープトポリシリコン層が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記ドープトポリシリコン層が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドーピング領域が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間、前記ドープトポリシリコン層の側辺と前記第2絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間に設置されるアモルファスシリコン層をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内には、少なくとも1つの凹溝が設けられ、
前記ドーピング領域は、前記凹溝内に設置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記ドープトポリシリコン層と前記絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間に設置されるアモルファスシリコン層をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域と前記ドープトポリシリコン層との間に設置される酸化層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記ドーピング層の表面に設けられる反射防止層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
太陽電池の製造方法であって、
第1表面と、第1領域及び第2領域を有する第2表面とを含み、第1ドーピングタイプを有する半導体基体を供給する工程と、
前記半導体基体の前記第2表面の前記第1領域に、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域を露出させるドープトポリシリコン層を形成する工程と、
露出された前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内に少なくとも1つのドーピング領域を形成し、前記ドープトポリシリコン層または前記ドーピング領域の一方が第2ドーピングタイプを有し、その他方が前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、前記第2ドーピングタイプの極性と前記第1ドーピングタイプの極性とを逆にする工程と、
前記ドープトポリシリコン層及び前記ドーピング領域の表面を覆うとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む絶縁層を形成する工程と、
前記第1開口を介して前記ドープトポリシリコン層に接触する少なくとも1つの第1電極と、前記第2開口を介して前記ドーピング領域に接触する少なくとも1つの第2電極とを含む金属層を、パターン形成された前記絶縁層の表面に形成する工程と、
前記第1表面を覆うように、第1ドーピングタイプを有するドーピング層を前記半導体基体の前記第1表面に形成する工程と、を備えることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記ドープトポリシリコン層を形成する前に、前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域と前記ドープトポリシリコン層との間に酸化層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記ドープトポリシリコン層及び前記ドーピング領域の表面を覆うとともに、前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む絶縁層を形成する工程は、
前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第1サブ開口と、前記ドーピング領域の一部を露出させるための第2サブ開口とを有する第1絶縁層を、前記ドープトポリシリコン層の表面に形成する工程と、
前記第1絶縁層及び前記ドーピング領域を覆うとともに、前記第1サブ開口に対応して前記ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための第3サブ開口と、前記第2サブ開口に対応して前記ドーピング領域の一部を露出させるための第4サブ開口とを有する第2絶縁層を形成する工程と、を備え、
前記第1絶縁層に含まれる材料は、前記第2絶縁層に含まれる材料と異なり、
前記第1サブ開口と前記第3サブ開口とにより、前記第1開口が構成され、
前記第2サブ開口と前記第4サブ開口とにより、前記第2開口が構成されることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性と、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性とは逆であることを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記ドーピング領域が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドープトポリシリコン層が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記ドープトポリシリコン層が前記第1ドーピングタイプを有するとともに前記ドーピング領域が前記第2ドーピングタイプを有する場合、前記第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第1ドーピングタイプの極性と逆であり、前記第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、前記第2ドーピングタイプの極性と逆であることを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記ドーピング領域を形成する前に、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間、前記ドープトポリシリコン層の側辺と前記第2絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間にアモルファスシリコン層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記半導体基体の前記第2表面の前記第2領域内に少なくとも1つの凹溝を形成する工程をさらに備え、
前記ドーピング領域は、前記凹溝内に形成されることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記ドーピング領域を形成する前に、
前記ドープトポリシリコン層と前記絶縁層との間、及び、前記ドーピング領域と前記半導体基体との間にアモルファスシリコン層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
前記ドーピング領域は、ドープトアモルファスシリコン層であることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項21】
前記ドーピング層を覆うように、前記半導体基体の前記第1表面に反射防止層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明に係る太陽電池は、半導体基体と、ドーピング層と、ドープトポリシリコン層と、ドーピング領域と、絶縁層と、少なくとも1つの第1電極と、少なくとも1つの第2電極とを含む。半導体基体は、第1表面及び第2表面を含む。第2表面は、第1領域及び第2領域を含む。半導体基体は、第1ドーピングタイプを有する。ドーピング層は、半導体基体の第1表面に位置し、第1ドーピングタイプを有する。ドープトポリシリコン層は、半導体基体の第2表面の第1領域内に設置されるとともに、半導体基体の第2表面の第2領域を露出させる。ドーピング領域は、半導体基体の第2表面の第2領域内に設置される。ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、第2ドーピングタイプと第1ドーピングタイプとは
極性が逆である。絶縁層は、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域の表面を覆うとともに、ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む。第1電極は、絶縁層の表面に設置され、第1開口を介してドープトポリシリコン層に接続される。第2電極は、絶縁層の表面に設置され、第2開口を介してドーピング領域に接続される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、以下のような工程を含む。まず、半導体基体を供給する。半導体基体は、第1表面及び第2表面を含むとともに第1ドーピングタイプを有する。第2表面は、第1領域及び第2領域を含む。次に、半導体基体の第2表面の第1領域に、半導体基体の第2表面の第2領域を露出させるドープトポリシリコン層を形成する。次に、露出された半導体基体の第2表面の第2領域内に少なくとも1つのドーピング領域を形成する。ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方は第2ドーピングタイプを有し、その他方は前記第1ドーピングタイプを有し、且つ、第2ドーピングタイプ
の極性と第1ドーピングタイプ
の極性とを逆にする。次に、絶縁層を形成する。絶縁層は、ドープトポリシリコン層及びドーピング領域の表面を覆うとともに、ドープトポリシリコン層の一部を露出させるための少なくとも1つの第1開口と、ドーピング領域の一部を露出させるための少なくとも1つの第2開口とを含む。次に、絶縁層の表面に金属層を形成する。金属層は、絶縁層の第1開口を介してドープトポリシリコン層に接触する少なくとも1つの第1電極と、絶縁層の第2開口を介してドーピング領域に接触する少なくとも1つの第2電極とを含む。最後、第1表面を覆うとともに前記第1ドーピングタイプを有するドーピング層を半導体基体の第1表面に形成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の
構造を示す断面
概略図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である 。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である 。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の製造方法の各段階を示す断面図である 。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る太陽電池の
構造を示す断面
概略図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係る太陽電池の構造を示す断面概略図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
好適な実施形態において、絶縁層20は複合絶縁層であって、少なくとも1つの第1絶縁層38及び少なくとも1つの第2絶縁層40を含んでいる。第1絶縁層38は、ドープトポリシリコン層16の表面を覆い、且つ、少なくとも1つの第1サブ開口42及び少なくとも1つの第2サブ開口44を有している。第1サブ開口42は、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させ、第2サブ開口44は、ドーピング領域32を露出させる。第2絶縁層40は、第1絶縁層38及び一部のドーピング領域32を覆い、且つ、少なくとも1つの第3サブ開口46及び少なくとも1つの第4サブ開口48を有している。第3サブ開口46は、第1サブ開口42に対応するため、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させる。第4サブ開口48は、第2サブ開口4
4に対応するため、ドーピング領域32の一部を露出させる。
図1に示すように、第1絶縁層38の第1サブ開口42と第2絶縁層40の第3サブ開口46とにより、絶縁層20の第1開口34が構成され、第1絶縁層38の第2サブ開口44と第2絶縁層40の第4サブ開口48とにより、絶縁層20の第2開口36が構成される。例えば、本実施形態において、第1絶縁層38と第2絶縁層40とは異なる材料を含んでいる。第1絶縁層38に含まれる固定酸化電荷(固定酸化層電荷または酸化層固定電荷とも呼ばれ、fixed oxide charge)の極性は、第2絶縁層40に含まれる固定酸化電荷の極性と逆であることが好ましい。また、第1絶縁層38の固定酸化電荷の極性は、ドープトポリシリコン層16のドーピング極性と逆であり、第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性は、ドーピング領域32のドーピング極性と逆であることが好ましい。これにより、第1絶縁層38及び第2絶縁層40によって、ドープトポリシリコン層16及びドーピング領域32における少数キャリアは電界効果パッシベーション(field effect passivation)効果を有することになり、少数キャリアの再結合を回避することができるが、これに限定されない。本実施形態において、第1絶縁層38及び第2絶縁層40の材料を選択することで第1絶縁層38及び第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性を決定してもよい。例えば、第1絶縁層38または第2絶縁層40の一方に正の固定酸化電荷(positive fixed oxide charge)を持たせようとする場合、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化イットリウム(YOx)、他の適切な材料、または上記の少なくとも2種類の材料の組合せを用いて第1絶縁層38または第2絶縁層40の一方を製造し、また、第1絶縁層38または第2絶縁層40の他方に負の固定酸化電荷(negative fixed oxide charge)を持たせようとする場合、アルミナ(AlOx)、窒化アルミニウム(AlNx)、酸窒化アルミニウム(aluminum oxynitride,AlON)、フッ化アルミニウム(aluminum fluoride,AlFx)、酸化ハフニウム(hafnium oxide,HfOx)、窒素ドープ酸化ハフニウム(nitrogen−doped HfOx)、他の適切な材料、または上記の少なくとも2種類の材料の組合せを用いて第1絶縁層38または第2絶縁層40の他方を製造してもよいが、これに限定されない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
以下、一例として、本実施形態の半導体基体12、ドーピング層14、ドープトポリシリコン層16及びドーピング領域32のそれぞれのドーピングタイプの極性と、第1絶縁層38及び第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性とを説明する。例えば、本発明の好適な実施形態においては、半導体基体12がN型ドープ、ドーピング層14がN
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープ、ドーピング領域32がN
+型ドープである(後述する本発明の第1実施形態に係る太陽電池10の製造方法では、
図1に示す構造を例として説明する)。第1絶縁層38及び第2絶縁層40による電界効果パッシベーション効果が得られるために、第1絶縁層38は、ドープトポリシリコン層16のドーピングタイプに合わせて負の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40は、ドーピング領域32のドーピングタイプに合わせて正の固定酸化電荷を含むようになる。好適な実施形態において、太陽電池10は酸化層18をさらに選択的に含むことが可能である。酸化層18は、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26内に設置され、半導体基体12の
第1領域26及びドープトポリシリコン層16と半導体基体12との間に位置し、トンネル酸化層(tunnel oxide layer)として用いられる。一般的に、酸化層18の厚さを非常に薄くすることにより、電子が酸化層18を直接に通過する確率が高くなって、光電変換効率を向上させることができる。酸化層18の厚さは、約5〜20オングストローム(Angstroms,A)であってもよい。一部の実施形態において、酸化層18の厚さは、約10オングストロームである。酸化層18の厚さは、約15オングストロームであることが好ましい。P
+型ドープのドープトポリシリコン層16、トンネル酸化層18及びN型ドープの半導体基体12によってヘテロ接合(heterojunction)に類似する構造が構成されて、飽和電流を大幅に低下させるため、光電変換効率を効果的に向上させることができる。また、ドーピング層14及びドーピング領域32のドーピングタイプの極性が半導体基体12の極性と同じであるため、ドーピング層14を表面電界(front side field,FSF)素子とし、ドーピング領域32を裏面電界(back side field,BSF)素子とし、P
+型ドープのドープトポリシリコン層16を太陽電池10のエミッタ(emitter)とすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の他の好適な実施形態においては、半導体基体12がP型ドープ、ドーピング層14がP
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープ、ドーピング領域32がP
+型ドープであり、さらに、第1絶縁層38が正の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40が負の固定酸化電荷を含んでいる。この場合、ドープトポリシリコン層16を太陽電池10のエミッタ(emitter)とし、且つ、半導体基体12とドープトポリシリコン層16との間にはPN接合面を有するため、上記の実施形態と同様に、太陽電池10は優れた光電変換効率を得られる。また、他の実施形態においては、半導体基体12がN型ドープ、ドーピング層14がN
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープ、ドーピング領域32がP
+型ドープであり、さらに、第1絶縁層38が正の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40が負の固定酸化電荷を含むように設計されてもよい。この場合、ドープトポリシリコン層16を裏面電界(BSF)
素子とし、ドーピング領域32を
太陽電池10のエミッタ(emitter)とし、ドーピング層14を表面電界(FSF)とすることになる。また、別の実施形態においては、半導体基体12がP型ドープ、ドーピング層14がP
+型ドープ、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープ、ドーピング領域32がN
+型ドープであり、さらに、第1絶縁層38が負の固定酸化電荷を含み、第2絶縁層40が正の固定酸化電荷を含むように設計されてもよい。この場合、ドープトポリシリコン層16を裏面電界(BSF)
素子とし、ドーピング領域32を
太陽電池10のエミッタ(emitter)とし、ドーピング層14を表面電界(FSF)
素子とすることになる。しかし、本発明の各ドープ素子のドーピングタイプと、第1絶縁層38及び第2絶縁層40の固定酸化電荷の極性との対応関係は、上述した実施形態に限定されない。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
次に、
図4に示すように、スクリーン印刷マスク50またはレジストマスクによって露出される、一部の第1絶縁層38、
一部のドープトポリシリコン層16及び
一部の酸化層18を除去する。この除去方法としては、ウェットエッチング工程またはドライエッチング工程が挙げられるが、ウェットエッチング工程が好ましく、例えば、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液で除去する。また、この除去工程は、1回で完成されてもよいし、複数回に分けて完成されてもよく、例えば、異なるエッチング工程において、一部の第1絶縁層38、一部のドープトポリシリコン層16及び一部の酸化層18を順次に除去してもよいが、これに限定されない。第1絶縁層38、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18をパターン形成する工程は、レーザで完成されてもよいが、これに限定されない。そのため、残りの第1絶縁層38、ドープトポリシリコン層16及び酸化層18は、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26内に位置して、半導体基体12の第2表面12bの第2領域28を露出させる。なお、第2表面12bの第2領域28は、複数のドット状(dot)のパターン、ストリップ状(strip)のパターン、または他の適切なパターンを有してもよい。
図4によれば、このパターン形成工程の後、残りの酸化層18は、半導体基体12の第2表面12bの第1領域26とドープトポリシリコン層16との間に位置することがわかる。特に、露出された酸化層18を除去した後、第2表面12bの第2領域28の表面に露出される一部の半導体基体12を続けて除去して、第2領域28における半導体基体12内に凹溝を形成させてもよい。凹溝の深さ範囲は、約0〜10μmであるが、これに限定されない。本実施例においては、深さが0μmの凹溝を一例として説明し、すなわち、半導体基体12内に凹溝を格別に形成することなく、第2領域28における酸化層18を除去するとパターン形成工程を停止させる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
次に、
図5に示すように、スクリーン印刷マスク50を除去した後、露出された半導体基体12の第2表面12bの第2領域28内にドーピング領域
32を形成する。本実施形態のドーピング領域
32は、第1ドーピングタイプ、例えば、N
+型ドープであって、その極性がドープトポリシリコン層16のドープ極性と逆である。ドーピング領域32の形成方法としては、例えば、第1絶縁層38が第2サブ開口44を有して第2表面12bの第2領域28を露出させるため、第1絶縁層38をイオン注入マスクとして、まず、半導体基体12の第2表面12bにイオンを注入し、次に、焼き戻し法や熱拡散法を利用してドーピング領域32を形成したり、または、熱拡散法を直接に利用してドーパントを第2領域28における半導体基体12内に拡散させたり、イオンシャワードーピング法(ion shower doping)を直接に利用してドーパントを第2領域28における半導体基体12内に進入させたりしてもよいが、これらに限定されない。なお、N
+型ドーパントは、例えば、リン、ヒ素、アンチモンまたはこれらの化合物であってもよいが、これらに限定されない。例えば、ドーピング領域
32の深さは、約0.5〜1μmであり、ドーピング濃度は、10
19〜10
21atom/cm
2であるが、これらに限定されない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
次に、
図6に示すように、半導体基体12の第2表面12bの一方側には、第1絶縁層38及びドーピング領域32を覆う第2絶縁層40を全面的に形成する。第2絶縁層40により、ドーピング領域32における少数キャリアが電界効果パッシベーション効果を得るために、本実施形態の第2絶縁層40に用いられる固定酸化電荷の極性は、ドープトポリシリコン層16の極性及びドーピング領域32の極性に合わせる必要がある。例えば、ドープトポリシリコン層16がP
+型ドープ、ドーピング領域32がN
+型ドープであって、且つ、第1絶縁層38が負の固定酸化電荷の材料を用いることを一例とする場合、第2絶縁層40は、正の固定酸化電荷を含むことが好ましく、第2絶縁層40の材料は、上述した材料、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いてもよいが、これらに限定されない。ドープトポリシリコン層16がN
+型ドープ、ドーピング領域32がP
+型ドープであって、且つ、第1絶縁層38が正の固定酸化電荷の材料を用いることを一例とする場合、第2絶縁層40は、負の固定酸化電荷を含むことが好ましく、第2絶縁層40の材料は、上述した材料、例えば、アルミナを用いてもよいが、これに限定されない。第2絶縁層40の厚さ範囲は、約20〜400nmであってもよいが、これに限定されない。次に、第2絶縁層40及び第1絶縁層38をパターン形成し、第2絶縁層40の一部及び第1絶縁層38の一部を除去することにより、第1絶縁層38が第1サブ開口42を
さらに有し、第2絶縁層40が第3サブ開口46及び第4サブ開口48を有して、ドープトポリシリコン層16の一部及びドーピング領域32の一部を露出させる。このパターン形成工程としては、まず、スクリーン印刷マスクを用いて第2絶縁層40において第3サブ開口46及び第4サブ開口48の位置を区画し、次に、エッチング法で第2絶縁層40の一部及び第1絶縁層38
の一部を複数回に分けて除去するか、または順次に除去する方法が挙げられる。他の実施形態においては、フォトリソグラフィエッチング技術(レジストマスクとも呼ばれる)を用いてパターン形成を行ってもよいが、これに限定されない。
図6に示すように、第3サブ開口46が第1サブ開口42に対応して、両者によって絶縁層20の第1開口34が構成され、これにより、ドープトポリシリコン層16の一部を露出させる。一方、第4サブ開口48が第2サブ開口44に対応して、両者によって絶縁層20の第2開口36が構成され、これにより、ドーピング領域32の一部を露出させる。他の実施形態においては、第1絶縁層38内に第1サブ開口
42を形成してから第2絶縁層40を形成し、それから、第2絶縁層40をパターン形成することで第2絶縁層40内に第3サブ開口46及び第4サブ開口48を形成してもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
特に、本発明の第3実施形態乃至第
4実施形態に係る太陽電池における各ドープ素子のドーピングタイプと、第1絶縁層及び第2絶縁層の固定酸化電荷との対応関係は、一種類に限定されず、第1実施形態の太陽電池に関する説明を参照すれば、複数の対応関係を含むことがわかる。半導体基体とドーピング層とは同じドーピングタイプを有し、ドープトポリシリコン層またはドーピング領域の一方のドーピングタイプの極性は半導体基体のドーピングタイプの極性と同じであり、その他方は逆のドーピングタイプの極性を有することが好ましい。また、ドープトポリシリコン層のドーピングタイプの極性は、半導体基体のドーピングタイプの極性と逆であり、且つ、第1絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、ドープトポリシリコン層のドーピングタイプの極性と逆であり、第2絶縁層に含まれる固定酸化電荷の極性は、ドーピング領域のドーピングタイプの極性と逆であり、さらに、このような極性の対応関係に応じて異なる材料で第1絶縁層及び第2絶縁層を製造することが好ましいが、これに限定されない。絶縁層が一層しかない場合、必要に応じて、絶縁層が持つ固定酸化電荷の極性を、電界効果パッシベーション効果を供給しようとするドープ素子の極性と逆にするように設計してもよいが、これに限定されない。ドーピングタイプに用いるドーパント、絶縁層の材料、及び太陽電池の表面側、裏面側の素子の製造順番については、第1実施形態の関連説明を参照する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
10 太陽電池
12 半導体基体
12a 第1表面
12b 第2表面
12c 粗面化構造
14 ドーピング層
16 ドープトポリシリコン層
18 酸化層
(トンネル酸化層)
20 絶縁層
22 第1電極
24 第2電極
26 第1領域
28 第2領域
30 反射防止層
32 ドーピング領域
34 第1開口
36 第2開口
38 第1絶縁層
40 第2絶縁層
42 第1サブ開口
44 第2サブ開口
46 第3サブ開口
48 第4サブ開口
50 スクリーン印刷マスク
52 金属層
54 凹溝
56 アモルファスシリコン層
(真性アモルファスシリコン層)
58 ドープトアモルファスシリコン層
【国際調査報告】