特表2015-531700(P2015-531700A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-531700(P2015-531700A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】多層透明軽量安全グレージング
(51)【国際特許分類】
   B32B 17/10 20060101AFI20151009BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20151009BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20151009BHJP
   F41H 5/04 20060101ALI20151009BHJP
【FI】
   B32B17/10
   C03C27/12 R
   C03C27/12 Q
   B60J1/00 H
   F41H5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-525596(P2015-525596)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月25日
(86)【国際出願番号】US2013053219
(87)【国際公開番号】WO2014022663
(87)【国際公開日】20140206
(31)【優先権主張番号】61/679,330
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】シェレクジアン,サルコ
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン,チャールズ ミッチェル ジュニア
【テーマコード(参考)】
2C014
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
2C014KK04
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AG00E
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK23B
4F100AK23D
4F100AK45B
4F100AK45D
4F100AK51B
4F100AK51D
4F100AK68B
4F100AK68D
4F100AK70B
4F100AK70D
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100DH00A
4F100DH00C
4F100DH00E
4F100EJ42A
4F100EJ42C
4F100EJ42E
4F100GB07
4F100GB31
4F100JA20A
4F100JA20C
4F100JA20E
4F100JB16B
4F100JB16D
4F100JH01B
4F100JH01D
4F100JN01
4F100YY00A
4F100YY00E
4G061AA04
4G061AA27
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD19
4G061CD20
(57)【要約】
n層のアニール処理ガラスもしくは化学強化ガラスと、n−1層のポリマー中間層とを有し、nが3以上の正の整数である、多層ガラス構造体を提供する。別の実施形態において、複数のアニール処理ガラスシートもしくは化学強化ガラスシートと、隣接するアニール処理ガラスシートもしくは化学強化ガラスシートの間に位置された1つまたは複数のポリマー性中間層と、第一面上における薄いアニール処理ガラスシートもしくは化学強化ガラスシートとを有するガラス積層構造を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)化学強化ガラスもしくはアニール処理ガラスのn層と;
(b)ポリマー中間層のn−1層と
を含み、
nが2より大きい正の整数である、
多層ガラス構造体。
【請求項2】
nが、5、10、15、20からなる群より選択される、請求項1に記載の多層ガラス構造体。
【請求項3】
さらに、第一面にポリカーボネート層を備え、第二面に薄い化学強化ガラス層を備え、該第二面が該第一面に対向している、請求項1に記載の多層ガラス構造体。
【請求項4】
前記ポリマー中間層が、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート、防音性PVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー、熱可塑性材料、およびそれらの組合せからなる群より選択される材料を含む、請求項1に記載の多層ガラス構造体。
【請求項5】
前記化学強化ガラスもしくはアニール処理ガラスのn層のそれぞれが、1.5mmを超えない厚さ、1.0mmを超えない厚さ、0.7mmを超えない厚さ、0.5mmを超えない厚さ、約0.5mm〜約1.0mmの範囲内の厚さ、約0.5mm〜約0.7mmの厚さからなる群より選択される厚さを有する、請求項1に記載の多層ガラス構造体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2012年8月3日に出願された米国仮特許出願第61/679,330号の、名称「Multi−layer Transparent Light−weight Safety Glazings」と同時係属中でありかつ当該仮出願の優先権の恩典を主張するものであり、なお、当該仮出願全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、多層透明軽量安全グレージングに関する。
【背景技術】
【0003】
安全グレージングおよび防弾グレージング(BRG)は、発射体(例えば、これらに限定されるわけではないが、風で吹き飛ばされた物体、弾丸など)による貫通から、建築物や移動車両などの内部の人を保護するために設計された光学的に透明な窓製品のクラスである。例示的窓製品において、窓ガラスの外側表面(すなわち、飛来する発射体を受ける面)は、一般的に、「ストライク面(strike face)」と呼ばれ、建築物や車両などの内部の人に最も近い当該窓ガラスの最内面は、「ウィットネス側(witness side)」と呼ばれる。
【0004】
BRG製品は、典型的には、数層のガラスおよび/またはプラスチックもしくはポリマーで構成される。防弾積層体に使用される従来のガラス材料としては、ソーダ石灰ガラスおよびホウケイ酸ガラスが挙げられ、これらは、典型的にはフロート法を用いて製造される。防弾積層体に使用される他の従来のガラス材料としては、結晶性材料(例えば、酸窒化アルミニウム(ALON)、スピネル、サファイア、およびガラスセラミック材料(GC)が挙げられる。複数のガラスおよび/またはプラスチック層は、典型的には、BRG窓ガラスを形成するために、ポリマー性もしくは接着性中間層材料を使用した積層化プロセスにおいて一緒に接合される。従来のBRG窓ガラスは、非常に厚くて重く、ならびに厚さ全体、ガラス、プラスチック、および/または中間層シートの数、ならびに構造物の比重(例えば、単位面積あたりの質量)は、様々な脅威レベルに耐えるように変えることができる。これらの脅威レベルは、一般的に、発射体のタイプ、発射体の質量およびその構成、ならびにそれぞれのカートリッジの装薬から得られる速度、ならびに所定の面積内(例えば、4.5インチ(約11.4センチメートル)の三角形)での1つまたは複数の発射体(典型的には、3つの発射体)による衝撃の関数である。
【0005】
脅威レベルは、様々な組織(例えば、米国国立司法研究所など)によって定義される標準的弾道試験によって特徴付けられる。米国において広く受けいれられている弾道試験要件としては、損害保険者研究所(UL)752、国立司法研究所規格0108.01、および米国規格試験方法(ASTM) F1233が挙げられる。これらの要件および関連試験は、単独の発射および連続する複数発射での、様々な兵器からの弾道衝撃を評価する。いくつかの試験規格は、破片の許容される量、発射体の貫通にかかわらないウィットネス側からのガラスの放出、を考慮するが、その一方で、他の試験規格は考慮していない。それぞれの地理的地域に存在する弾道脅威の共通するタイプを反映するために、国際的な防弾規格も存在する。例示的な国際的防弾規格としては、欧州規格(EN) 1063:1999 Security Glazing Ballistic Standardが挙げられる。
【0006】
一般的に、従来のBRG構造物において、フロート法によって製造されるソーダ石灰ガラスが使われている。従来のBRG窓構造物は、例えば、全ガラス(例えば、アニール処理ガラス)、全ポリマー(例えば、全アクリル、全ポリカーボネート、またはそれらの組合せ)、またはガラスとポリマー層との組合せなど、材料および構成においてさまざまである。商業的に製造された従来のBRGの構成のまとめを、UL 782脅威レベル1〜3に対するそれらの相対厚さおよび重量と共に、下記の表1に一覧する。
【0007】
【表1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それぞれの従来のBRG構造物は、それぞれの構成層に応じた利点および欠点を有する。例えば、全ガラス構造物は、一般的に耐久性があり(引っ掻きまたはUV照射に影響されにくい)、視覚的歪みが少なくてクリアであるが、しかしながら、全ガラス構造物は、重く、一般的に最も厚い構造物である。アクリル構造物は、比較的軽いが耐久性がなく、または歪みなく光学的にクリアであり、ならびに、典型的には、UL 752脅威レベル1および2に対してのみ利用可能である。さらに、アクリル層は、弾道衝撃に対して脆い。ガラス被覆ポリカーボネート構造体は、一般的に、全ガラスより軽いが、光学的な視覚の歪みがあり、ならびにポリカーボネート層は容易に引っかき傷が付く。したがって、ポリカーボネート層は、それぞれの積層構造の表面上に露出する場合、通常、耐スクラッチ性の表面コーティングで処理される。さらに、長期間紫外線に晒されることにより生じる、ポリカーボネート材料における有害な黄変を防ぐために、追加的にUVコーティングが適用される。そのようなコーティングは、一般的に、ポリカーボネートベースのBRG構造物の費用を増加させる。従来のアクリル層およびポリカーボネート層は、例えば、メタノール、トルエン、アセトン、塩化メチレン、およびガソリンなどの化学物質による劣化に影響を受けやすいことも留意されるべきである。そのような化学物質による劣化によって生じる欠陥は、クラッキングから粘着性の表面および/または完全な破壊にまで及び、そのような欠陥それぞれは、それぞれの窓ガラスの光透過性および脅威保護性能に悪影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態は、概して、多層積層化された透明な安全ガラスを対象とする。本開示のいくつかの実施形態は、およそ1mm以上の厚さを有する複数(例えば5〜20層またはそれ以上)の薄い化学強化ガラス層を有する、積層化された透明な安全ガラス構造体を提供する。
【0010】
本開示の追加の実施形態において、透明なPVB中間層を有する、化学強化(CS)の有無における比較的薄いガラスの多数の層から作製された多層積層BRG窓ガラスにより、結果として、同等の脅威保護レベルにおいてソーダ石灰ガラスおよび/またはガラスとプラスチック層から形成された従来のBRG窓構造と比べて、より高い透明度、より軽い重量、およびより薄い形状を有する窓が得られることが見出された。さらに、本開示の例示的実施形態は、本明細書において説明されるような新しい窓構造物に対して、あるいは、例示的実施形態によって提供され得る脅威レベル向上および重量減少から恩恵を受けることを望む既存のBRG構造物に対して、ストライク面として利用することができる。さらに、化学強化ガラス層は、最初の第一の発射体衝撃の後に光学的に不透明となるような(すなわち、向けられた発射体から乗員を隠す)BRG複合構造体を作製するためのメカニズムを提供する。アニール処理ガラスもしくは熱強化ガラスは、保護におけるこの追加的なレベルを提供しない。
【0011】
本開示のさらなる実施形態において、CSガラスとポリマー性中間層材料とによる複数の層は、新規の窓構造物のストライク面要素として採用することができ、または既存のBRG構造物に提供することもできる。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、多層CSガラス積層物は、単一ガラス構成の層によって、または様々なガラス(例えば、CORNING EagleXGまたはGorilla(登録商標)Glassなど)の異なる組合せを含む層によって、作製することができる。本開示の他の実施形態において、例示的窓構造体は、それぞれの積層体における異なる層において異なるガラス構成を有するCSガラスを含んでいてもよく、ならびに/あるいはBRG構造物において典型的に使用されるものより薄い追加のガラス層を積層体中に含んでいてもよく、ならびに/あるいは異なる厚さのCSガラスを積層体中に含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体のいくつかの層もしくは全ての層において異なるレベルの化学強化を含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体における異なる層において異なる軟質および/または硬質の中間層を含んでいてもよい。
【0013】
したがって、本開示の実施形態は、BRG積層体の脅威レベルの向上、重量および厚さの減少、クリアな中間層(例えば、DuPont SentryGlas(登録商標) N−UV)を利用した非常にクリアな多層積層物、および/またはソーダ石灰ガラスの層の間に中間層(Solutia RA41またはDuPont「SentryGlas」)を採用する従来のBRG積層体に存在する緑色/黄色の減少を提供し得る。
【0014】
本開示の実施形態は、例えば、これらに限定されるわけではないが、地上車両および航空機のための装甲システム、個人用保護デバイスなど、様々な装甲システムへの透明なCSガラスの積層物の使用により、有用性を見出し得る。そのような装甲システムのための光学特性は、視覚的に透明であり得、ならびに近IRに対しても透明であり得、ならびに、より高い防弾限界と併せて、中程度の密度を達成し得る。本開示の追加の実施形態は、結合材料、中間層材料、接着材料、および/または最適な光学性能を確保するためにCSガラスの屈折率に対して実質的に一致するようなポリマー材料も提供し得る。いくつかの実施形態において、当該接着材料およびポリマー性材料は、赤外線放射に対して透明であり得る。
【0015】
一実施形態において、複数のガラス層と、隣接する当該ガラス層の中間に位置する少なくとも1つのポリマー中間層とを有する積層構造体が提供され、この場合、当該複数のガラス層のそれぞれは、薄い、アニール処理ガラス(例えば、Corning EagleXG)もしくは化学強化ガラス(例えば、「Gorilla」glassのCorningシリーズ)を含む。別の実施形態において、複数のアニール処理ガラスシートもしくは化学強化ガラスシートと、隣接する当該化学強化ガラスシートの間に位置される1つまたは複数のポリマー性中間層とを有するガラス積層構造体が提供される。追加の実施形態において、n層のアニール処理ガラスもしくは化学強化ガラスとn−1層のポリマー中間層とを有する多層ガラス構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態の断面図。
図2】本開示の別の実施形態の断面図。
図3A】本開示のいくつかの実施形態の概略図。
図3B】本開示のいくつかの実施形態の概略図。
図3C】本開示のいくつかの実施形態の概略図。
図3D】本開示のいくつかの実施形態の概略図。
図4】ソーダ石灰ガラスに対してCorning「Gorilla」Glassの透明度を比較するグラフ。
図5】標準的なPVB中間層で積層されたCorning「Gorilla」Glassに対して、透明なPVB中間層で積層されたCorning「Gorilla」Glassの透明度を比較するグラフ。
図6】本開示の実施形態の弾道衝撃抵抗性を比較するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の理解を容易にするために、図面を参照しながら多層透明軽量安全グレージングのための様々な実施形態について説明するが、この場合、当該図面では同じ要素に対しては同じ数字の名称が与えられている。
【0018】
可能な教示および現時点で分かっているその最良の実施形態として、本開示の以下の説明を提供する。当業者は、本開示の有益な結果を依然として得つつ、本明細書において説明される実施形態に対して多くの変更を為すことができることを認めるであろう。本開示の所望の利点のいくつかは、本開示の特徴のいくつかを選択して他の特徴を利用しないことによって得ることができるということも明かであろう。したがって、当業者は、本開示に対する多くの変更および調節が可能であり、ある特定の状況においてはそれは望ましくさえあり得、ならびにそれも本開示の一部であるということを認めるであろう。したがって、本開示の原理の例証として以下の説明を提供するが、これは本開示の限定ではない。
【0019】
当業者は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において説明される例示的実施形態に対する多くの変更が可能であることを理解するであろう。したがって、当該説明は、与えられた例に限定されることを意図するものではなく、ならびに限定されると解釈されるべきではないが、添付の請求項およびその同等物によって与えられる全範囲の保護が認められるべきである。さらに、本開示の特徴のいくつかを使用して、それに対応する他の特徴を使用しないことも可能である。したがって、例示的または例証的実施形態についての上記の説明は、本開示の原理を例証することを目的として提供されるのであって、それらを限定するものではなく、ならびにそれらに対する変更およびそれらの並び替えを含み得る。
【0020】
材料の硬度および破壊靭性がその防弾性能に寄与することは一般的に認められているが、静的な材料特性と防弾性能との間の正確な相関関係は、依然として研究中である。1つの仮説によると、理想的な防弾装甲材料は、発射体を破壊するくらい十分な硬度を有するべきであるということである。しかしながら、ある特定の閾硬度値を超えると、硬度は、もはや性能を決定づけるものではない。したがって、硬度が閾値を超えても、他の機械的特性(例えば、破壊靭性など)の最適化が達成される場合、防弾装甲性能は、本明細書において説明される実施形態のように最適化することができる。
【0021】
薄いアニール処理ガラスもしくは化学強化(CS)ガラスは、薄くて硬い破壊抵抗性の透明材料である。米国特許第7,666,511号明細書、同第4,483,700号明細書、および同第5,674,790号明細書に記載されているように、Corning「Gorilla」Glassは、フュージョンドロー法によって製造されたガラスシートを、次いで化学強化することによって作製されたCSガラスであり、なお、上記の各米国特許の開示はその全体が本明細書に組み込まれる。Corning「Gorilla」Glassは、比較的深い圧縮応力層深さ(DOL)を有し、比較的高い曲げ強度、高い耐スクラッチ性、および高い耐衝撃性を有する表面を提供する。
【0022】
図1は、本開示の一実施形態の断面図である。図1を参照すると、隣接するCSガラスシートの間の標準的な透明ポリビニルブチラール(PVB)中間層14と一緒に複数の薄いCSガラスシート12が積層されている全CSガラスのBRG構造10もしくはさらに多く積層される積層構造が例示されている。非限定的実施形態において、積層化は、真空リングまたは真空バッグによる脱気およびタック積層化プロセスによって実施することができる。代替の実施形態では、耐スポーリング層を提供するために、当該積層構造のウィットネス側にポリカーボネート層が備えられ得る。別の実施形態において、当該積層構造のストライク面は、薄いCSガラスで形成され得る。例示的中間層は、これらに限定されるわけではないが、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート、防音性PVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー(例えば、DuPontからの「SentryGlas」など)、または他の好適なポリマーもしくは熱可塑性材料、ならびにそれらの組合せで構成され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のガラス層が、化学強化、焼き戻し処理、または熱強化され得て、ストライク面に位置され得る。本開示の他の実施形態において、ガラスシート12は、単一ガラス構成の層によって、または様々なガラス(例えば、CORNING Eagle XGまたはCORNING「Gorilla」Glassなど)の異なる組合せを含む層によって作製され得る。本開示の他の実施形態において、例示的窓構造体は、それぞれの積層体における異なる層において異なるガラス構成を有するCSガラスを含んでいてもよく、ならびに/あるいはBRG構造物において典型的に使用されるものより薄い追加のガラス層を積層体中に含んでいてもよく、ならびに/あるいは異なる厚さのCSガラスを積層体中に含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体のいくつかの層もしくは全ての層において異なるレベルの化学強化を含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体における異なる層において異なる軟質および/または硬質の中間層を含んでいてもよい。
【0023】
「薄い」なる用語は、本開示および添付の特許請求の範囲においてガラスシートに関連して使用される場合、1.5mmを超えない、1.0mmを超えない、0.7mmを超えない、0.5mmを超えない厚さ、あるいは約0.5mm〜約1.0mmの範囲内、約0.5mm〜約2mmの範囲内、または約0.5mm〜約0.7mmの範囲内の厚さを有するガラスシートを意味する。
【0024】
例示的CSガラスシートは、イオン交換プロセスを用いて化学強化された薄いガラスシート(例えば、Corning IncorporatedからのCorning「Gorilla」Glassなど)で形成され得る。このタイプのプロセスにおいて、ガラスシートは、典型的には、所定の時間、溶融塩浴に浸漬される。ガラスシートの表面または表面付近のガラスシート内のイオンは、例えば当該塩浴由来のより大きな金属イオンと交換される。非限定的な一実施形態において、溶融塩浴の温度は約430℃であり、浸漬時間は約8時間である。一般的に、より大きなイオンがガラス中に組み入れられることにより、当該ガラスの表面付近の領域に圧縮応力が生じ、それにより、当該シートが強化される。当該圧縮応力とのバランスを保つために、対応する引張応力も当該ガラスシートの中央領域内に誘起され得る。
【0025】
例示的真空リング積層化プロセスは、複数の薄いガラスシートと複数のポリマー中間層とをスタックへと組み立てる工程を含み得る。次いで、組み立てられたスタックの周囲端部に、真空を適用するための封止を形成するために、当該組み立てられたスタックの周囲端部分の周りに真空リングが締め付け固定され得る。締め付け固定された当該組み立てられたスタックは、次いで、オートクレーブもしくはオーブン内に入れられ、真空リングの真空管によって真空に引かれ得る。次いで、当該オートクレーブの温度が、ポリマー中間層の軟化温度(浸透温度)かもしくはそれよりいくぶん高い温度まで上げられ得る。真空および浸透温度を維持することにより、当該中間層が軟化され得る。さらに、その結果として、隣接するガラスシートの間のすべての空間が脱気され得て、軟化された中間層がCSガラスシートの間で結合もしくは接着され得て、それにより当該組み立てられたスタックが一緒に積層されて、例示的積層構造を形成する。この積層化プロセスの完了時に、当該積層されたアセンブリもしくは構造体がオートクレーブから出され、真空リングが当該スタックから分離され得る。結果として得られる例示的積層体は、概して、クリアであるかもしくは実質的にクリアであるが、ただし、必要であれば、当該積層体を完成させるためおよび/または明瞭にするために、当該積層体を高温高圧においてオートクレーブ処理してもよい。代替の実施形態において、先に説明した真空リングによるプロセスではなく、真空バッグによる積層化プロセスに対しても、同様の時間/温度手順を使用することができる。いくつかの実施形態はオートクレーブにおいて積層化され得るが、そのような開示は、特に薄いCSガラスシートの薄さおよび柔軟な性質に起因して当該組み立てられた構造体が積層化されるチャンバーを加圧する必要がない場合など、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。そのような場合、真空リングもしくは真空バッグにおいて真空を引くために、オートクレーブの代わりに、真空孔を備えるより経済的なオーブンを用いてもよい。
【0026】
図2は、本開示の別の実施形態の断面図である。図2を参照すると、多層構造20は、ガラス22のn層(例えば、5、10、15、20層など)と、例示的ポリマー中間層24のn−1層とを含み得る。いくつかの実施形態において、当該ポリマー中間層は、PVBであり得る。他の例示的中間層は、これらに限定されるわけではないが、PVB、ポリカーボネート、防音性PVB、EVA、TPU、イオノマー(例えば、DuPontからの「SentryGlas」など)、または他の好適なポリマーもしくは熱可塑性材料、ならびにそれらの組合せであり得る。例示的ガラス層22は、これらに限定されるわけではないが、「Gorilla」GlassのCSガラスを含み得る。別の実施形態において、当該多層構造20のストライク面は、薄いCSガラスで形成され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のガラス層が、化学強化、焼き戻し処理、または熱強化され得、および/またはストライク面に位置され得る。本開示の他の実施形態において、ガラス層22は、単一ガラス構成の層によって、または様々なガラス(例えば、CORNING Eagle XGまたはCORNING「Gorilla」Glassなど)の異なる組合せを含む層によって作製され得る。本開示の追加の実施形態において、例示的多層構造体は、それぞれの積層体の異なる層において異なるガラス構成を有するCSガラスを含んでいてもよく、ならびに/あるいはBRG構造物において典型的に使用されるものより薄い追加のガラス層を積層体中に含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体中に異なる厚さのCSガラスを含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体のいくつかの層もしくは全ての層において異なるレベルの化学強化を含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体における異なる層において異なる軟質および/または硬質中間層を含んでいてもよい。以下に提供される表2は、本開示の実施形態による例示的で非限定的な「Gorilla」GlassのCSガラス多層構造物の特性を一覧したものである。
【0027】
【表2】
【0028】
下記に提供される表3は、UL 752脅威レベル1〜3での標準的な従来の全ガラスおよびガラス被覆ポリカーボネートによるBRG構造物の特性を一覧したものである。
【0029】
【表3】
【0030】
表2および表3に示された値を比較すると、n層のガラスとn−1層のポリマー中間層とを有する本開示の実施形態における様々な全CSガラス多層構造物の特性は、厚さおよび重量の両方の減少という、従来の全ガラスおよびガラス被覆ポリカーボネート構造物に勝る利点を提供する。
【0031】
下記の表4は、本開示の例示的実施形態の場合の寸法および重量の減少を一覧したものである。
【0032】
【表4】
【0033】
上記の表4を参照すると、10層の「Gorilla」GlassのCSガラスの積層物では、標準的な全ガラスおよびガラス被覆ポリカーボネート構造物の両方において、レベル1から3において重量増進を示している。15層の「Gorilla」GlassのCSガラス積層物を有する実施形態は、標準的な全ガラス構造物では脅威レベル1から3において重量の優位性を示しているが、ガラス被覆ポリカーボネート構造物の場合は脅威レベル2から3においてのみ示している。
【0034】
図3A〜3Dは、本開示の追加の実施形態の断面図である。図3A〜3Dを参照すると、第一の複数の「Gorilla」GlassのCSガラス層32と1つもしくは複数のPVB中間層34とを有する例示的CSガラス被覆ポリカーボネート構造物の構造30が示されている。図示されているように、耐スポーリング層を提供するために、当該構造30のウィットネス側にポリカーボネート層36が含まれ得る。他の実施形態において、図3Dに示されるように、1つまたは複数のPVB中間層34が、ポリカーボネート中間層38で置き換えてもよい。さらなる実施形態において、PVB中間層は、各隣接するCSガラスシートとポリカーボネートシート/中間層との間に位置され得る。さらなる実施形態において、当該積層構造のストライク面は、薄いCSガラスで形成され得る。別の実施形態において、当該積層構造のストライク面は、薄いCSガラスで形成され得る。例示的中間層は、これらに限定されるわけではないが、PVB、ポリカーボネート、防音性PVB、EVA、TPU、イオノマー(例えば、DuPontからの「SentryGlas」など)、または他の好適なポリマーもしくは熱可塑性材料、ならびにそれらの組合せで構成され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のガラス層が、化学強化、焼き戻し処理、または熱強化され得、ならびにストライク面に位置され得る。本開示の他の実施形態において、ガラス層32は、単一ガラス構成の層によって、または様々なガラス(例えば、CORNING「Gorilla」Glassなど)の異なる組合せを含む層によって作製することができる。本開示の他の実施形態において、例示的構造32は、それぞれの積層体における異なる層において異なるガラス構成を有するCSガラスを含んでいてもよく、ならびに/あるいはBRG構造物において典型的に使用されるものより薄い追加のガラス層を積層体中に含んでいてもよく、ならびに/あるいは図3A〜3Dに示されているように、積層体中に異なる厚さのCSガラスを含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体中のいくつかの層もしくは全ての層において異なるレベルの化学強化を含んでいてもよく、ならびに/あるいは積層体おける異なる層において異なる軟質および/または硬質中間層を含んでいてもよい。
【0035】
薄いCSガラスを有する本開示の実施形態は、同じ厚さの全ガラスのBRG構造物よりも軽量であり、より良好な光透過性を示す。本開示の実施形態によるガラス積層体におけるそのような厚さおよび重量の減少は、フレームおよび構造体の取り付けにおけるより低い要件、光透過性および美観の向上、低い設置コスト、ならびに車両に採用された場合の重量比に対するパワーの増加へと反映される。さらに、薄い多層CSガラスの実施形態は、現行のBRG構造物において利用可能であるものよりさらに多くのガラス界面を提供し、その結果として、発射体に対して提示される「インターフェースデフィート(interface defeat)」の増加による保護の増強を提供する。インターフェースデフィートは、一般的に、発射体の経路での硬質材料および軟質材料の交互の層との遭遇による発射体の運動エネルギーの消散を意味する。エネルギーは、反跳するガラス破片、伸張、およびポリマー中間層への粘弾性効果へと変換されることによって、ならびに熱と窓および周囲の枠全体の振動を介して消散する。
【0036】
密度を高めるのではなく、むしろ密度を高めない(すなわち、材料密度を増加させず、ならびに衝撃において圧縮する)「Gorilla」GlassまたはCSガラス構成の使用は、提供される保護レベルを高めるということも見出された。ある実験において、2つの異なる積層複合体に対して弾丸衝撃を加えたところ、第一の所定の「Gorilla」Glass複合体(19枚の0.76mmのRA41 PVBのシートと共に積層された20枚の1mmのガラスシート)を有する例示的一実施形態は、結果として2つの層が破断し、第二の所定の「Gorilla」Glass複合体(これも19枚の0.76mmのRA41 PVBのシートと共に積層された20枚の1mmのガラスシートを有する)は、結果として、同じ衝撃レーティングに対して5つの層が破断することが観察された。別の実験において、15層の「Gorilla」Glass複合構造物に対して弾丸衝撃を実施したところ、最初の弾丸衝撃において、例えば、「Gorilla」Glassの層1、2、6、および15は破壊したが、その一方で、層3〜5および7〜14は無傷のままであるというような破断が観察された。これらの破断は、衝撃発射体が音速を超えた時に生じた破壊波の結果と考えられた。
【0037】
材料を高密度化しないことで、高密度特性を有する材料と比べて、損傷許容レベルを高めることが可能となる。さらに、異なる化学強化レベルを使用することによっても、同じもしくは異なる層の組合せにおいて構造体の表面圧縮を400MPaから1200MPaへと増加もしくは変更するによって得られる表面強度の増加に起因して、脅威レベル向上を増加させることができる。
【0038】
非イオン交換ガラスまたは複合体(例えば、EagleXGなど)の使用では、複数の弾丸発射の後でさえ、結果として比較的クリアな複合体を生じる、BRG能力も示された。いくつかの実施形態において、化学強化された積層物を使用することで、最初の発射の後に不透明になる特性を示すことが示された。これは、弾道攻撃の後にBRG窓のウィットネス側の視認性を減じる必要のある警備車両または警備区域にとって利点である。ある実験において、標準的なBRGは、最初の弾道衝撃の後でもクリアなままであるが、例示的な20層の「Gorilla」Glassの積層体は、最初の9mm弾の弾道衝撃の後に、2つの層のみが破断して光学的に不透明となることが観察された。この第一発射での瞬時の不透明特性は、複合体中に1つまたは複数の「Gorilla」ガラス層を加えることによって、標準的なBRG構造物に組み入れることができる。これらの層は、前面に配置されている場合、破断した際にあるレベルの不透明さを提供する。当該不透明性のレベルは、「Gorilla」ガラス層の数を変えるか、または「Gorilla」ガラスの厚さを減じるか、またはその両方によって変えることができる。
【0039】
他の実施形態において、積層体における異なる層においてCSガラスの表面圧縮を変えることによっても、発射体の阻止およびエネルギー拡散を最大化するようにガラス層複合体の柔軟性を調節することが可能であり得る。BRG構造物に採用されている現行のガラスとは異なり、例えば、低鉄ガラスもしくはソーダ石灰ガラスであるCSガラスは、曲がることができ、かつ脆くない。そのような特性は、弾丸衝撃において、曲がって跳ね返ることによって緩衝を提供する。0.3mm〜5mmの様々な厚さの硬質および軟質中間層も、特に構造のストライク面において、薄いCSガラス層を隔離する役に立ち得る。いくつかの実施形態において、強化されていない薄いCSガラスは、薄い耐スポーリング層として用いることができる。圧縮応力およびその内部張力を変更することで、ウィットネス側での危険レベルが減じられるように、破片を生じないかまたは非常に小さな破片を生じるようにすることができる。
【0040】
全「Gorilla」Glass構造を有するBRG複合体のバルクの剛性は、弾道衝撃に対する性能を調べる時の主要な因子であることが見出された。例示の全層がおよそ20ガラス層に達する場合(すなわち、1mmの「Gorilla」ガラスの20層および0.76mmのPVBの19層)、性能の向上が観察された。
【0041】
図6は、本開示の実施形態の弾道衝撃抵抗性を比較するグラフである。図6を参照すると、いくつかの実施形態において総ガラス層数が20に近づく場合に弾道衝撃抵抗が生じることを示すグラフが示されている。例示的な20層構造が、9mm弾の衝撃ならびに0.44口径マグナム弾によってもたらされるエネルギーを容易に退けるほどの増加した硬性およびバルク剛性を有することが見出された。5層の1mmの「Gorilla」Glass構造は、9mm弾の衝撃に対して適切な保護を提供しそうにないが、その一方で、例示的な20層構造は、2つの層が破断するだけで、容易に保護する。
【0042】
本開示の実施形態は、クリアな中間層(例えば、「SentryGlas」N−UVまたはSolutia PVB AGシリーズの中間層)および/またはCSガラス層の使用に応じて、積層物の明瞭さの向上(すなわち、黄変/緑変の減少)を提供することができる。図1〜3に表された実施形態の場合の例示的なCSガラスの厚さは、0.4mm〜3mm厚であり得、好ましい厚さは、0.5〜1.1mmであり得る。ソーダ石灰ガラスを使用する最も薄い現行のBRGガラス層構造物は、それぞれ3mmを超えるガラス層厚を有しており、当該構造物は、1mmの完全に強化されたCSガラス層ほどには、丈夫ではなくまたは衝撃抵抗を有していないことに注目されたい。CSガラスによって提供される追加の強度により、結果として、全CSガラスの積層構成を有する本開示の実施形態、または既存のBRG構成のストライク面としてより薄いCSガラス積層物を有する実施形態を得ることができ、これらは、結果として発射体をさらに構造内へと進ませてさらなる垂直入射の格子貫通を生じるのではなく、発射体の変形を増加させ、その結果として、構造側部格子においてさらなるエネルギー吸収を生じる。さらに、ポリカーボネートBRGを有する既存のBRG構造物のストライク面においてより薄いCSガラス積層物を使用することにより、結果として、より薄くより軽い製品を得ることができ、ならびに/あるいは製品の緑変/黄変を減じるかもしくは排除することができ、ならびに/あるいは視覚的歪みを減少させることができ、ならびに/あるいは強化された製品の脅威レベルでの能力を増加させることができる。
【0043】
例示的積層物の明瞭さは、材料もしくは材料の組合せにおける、波長あたりの総光透過を調べることによって示すことができる。図4は、ソーダ石灰ガラスに対してCorning「Gorilla」Glassの透明度を比較するグラフである。図4を参照すると、従来のソーダ石灰ガラスを透過した光のパーセンテージ(T))に対するCorning「Gorilla」Glassを透過した光のパーセンテージ(T)が示されている。Corning「Gorilla」Glassによる0.7mmの層42と1.1mmの層44の両方が、従来のソーダ石灰ガラス46と比較して、著しく高い明瞭さを示している。
【0044】
図5は、標準的なPVB中間層で積層されたCorning「Gorilla」Glassに対して、透明なPVB中間層で積層されたCorning「Gorilla」Glassの透明度を比較するグラフである。図5を参照すると、優れた明瞭性を提供するためにCSガラスの層の間に透明もしくはクリアなポリマー性中間層材料を使用した例が、標準的な中間層材料を使用した例と比較して示されている。例えば、クリアな中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体52は、標準的な中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体54、56と比較して、最も光学的にクリアな積層物を提供する。標準的な中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体54、56は、380nm付近まで遮っていることが示されており、その結果として、これらは、ほぼ光学的クリアな積層物を提供する。クリアな中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体52は、900nmまで平坦な線状の透過レベルを提供しており、これは、短い波長(>400nm)からより長い波長までの光によって無色となっていることを示しており、その一方で、標準的な中間層54、56は、より短い波長(>400nm)においての透過のわずかな減少に起因して非常に薄い黄色味を生じる。このわずかな黄色味は、明るい白色光の背景の下でさえ、目視により検知することが困難である。しかしながら、標準的な中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体54、56の明瞭さは、フロートソーダ石灰ガラスに対してはるかに優れた透明度を示すことに留意されたい。
【0045】
本説明は多くの詳細を含み得るが、その一方で、これらは、それらの範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施形態に特異的であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実施形態との関連においてこれまで説明してきたある特定の特徴も、単一の実施形態における組合せにおいて実践することができる。これとは逆に、単一の実施形態との関連において説明した様々な特徴も、複数の実施形態においてまたは任意の好適な部分的組合せにおいて実践してもよい。さらに、特徴は、ある特定の組合せにおいて機能するように上記において説明され得るし、そのようなものとして最初に権利請求され得るが、場合によって、権利請求された組合せのうちの1つまたは複数の特徴を当該組合せから削除してもよく、ならびに権利請求された組合せは、部分的組合せまたは部分的組合せの変形を対象とする場合もある。
【0046】
同様に、作業は、特定の順序において図面に表されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような作業が、図示された特定の順序または連続する順序において実施されること、または示された全ての作業が実施されることが必要であると理解されるべきではない。ある特定の状況において、マルチタスク処理および並列処理が有利な場合がある。
【0047】
図1〜5に示された様々な構成および実施形態によって示されるように、多層透明軽量安全グレージングのための様々な実施形態について説明してきた。
【0048】
本開示の好ましい実施形態について説明してきたが、説明した実施形態は単なる例示であって、本発明の範囲は、等価物の全範囲が一致する場合に添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきであることは理解されたく、本明細書を熟読することにより、当業者には多くの変形および変更が自然と思い浮かぶであろう。
【符号の説明】
【0049】
10 BRG構造
12 CSガラスシート
14 ポリビニルブチラール(PVB)中間層
20 多層構造
22 ガラス層
24 ポリマー中間層
32 ガラス層
34 PVB中間層
36 ポリカーボネート層
38 ポリカーボネート中間層
42 0.7mm層
44 1.1mm層
46 ソーダ石灰ガラス
52 クリアな中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体
54 標準的な中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体
56 標準的な中間層を用いたCorning「Gorilla」Glassを有する積層体
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
【国際調査報告】