(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532410(P2015-532410A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/12 20060101AFI20151013BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-539646(P2015-539646)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月12日
(86)【国際出願番号】US2013064638
(87)【国際公開番号】WO2014066070
(87)【国際公開日】20140501
(31)【優先権主張番号】13/659,422
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ベルネール,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ハエンベウカース,キャスパー
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴィー,ジョン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】レイシー,フレイザー
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BB05
3J049BB15
3J049BB25
(57)【要約】
ベースと、ベースに連結されるシャフトと、シャフトに同軸的に係合される偏心アジャスタと、シャフトに回動自在に係合されるアームと、アームに軸支されるプーリと、アームとベースの間に係合されるトーションスプリングとを備え、アームは、第1収容部と、第1収容部に対して軸方向反対側に配置される第2収容部とを有し、更に、アームとベースの間に配置される第1ダンピング部材を備え、第1ダンピング部材はベースと摩擦係合されるとともに第1収容部に係合され、更に、アームと偏心アジャスタの間に配置され第2収容部に係合される部材を有する第2ダンピング部材と、第1ダンピング部材とアームの間に配置され、第1ダンピング部材と第2ダンピング部材に垂直力を与える付勢部材とを備えるテンショナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(1)と、
前記ベースに連結されるシャフト(2)と、
前記シャフトに同軸的に係合される偏心アジャスタ(8)と、
前記シャフトに回動自在に係合されるアーム(6)と、
前記アームに軸支されるプーリ(7)と、
前記アームと前記ベースの間に係合されるトーションスプリング(3)とを備え、
前記アームは、第1収容部(61)と、第1収容部に対して軸方向反対側に配置される第2収容部(62)とを有し、
更に、前記アームと前記ベースの間に配置される第1ダンピング部材(13)を備え、前記第1ダンピング部材は前記ベースと摩擦係合されるとともに前記第1収容部(61)に係合され、
更に、前記アームと前記偏心アジャスタの間に配置され第2収容部に係合される部材(91)を有する第2ダンピング部材(9)と、
前記第1ダンピング部材と前記アームの間に配置され、前記第1ダンピング部材と前記第2ダンピング部材に垂直力を与える付勢部材(5)と
を備えることを特徴とするテンショナ。
【請求項2】
前記付勢部材がウエーブスプリングであることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記第1ダンピング部材が円環体であることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記第2ダンピング部材が円盤であることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記第1ダンピング部材と前記第2ダンピング部材がアームの軸方向反対側の両端に配置されることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項6】
ベースと、
前記ベースに連結されるシャフトと、
前記シャフトに係合される偏心アジャスタと、
前記シャフトに回動自在に係合されるアームと、
前記アームに軸支されるプーリと、
前記アームと前記ベースの間に軽合意されるトーションスプリングと、
それらの間における相対的な軸方向運動を可能にするように相互に協働的に連結される第1ダンピング部材と第2ダンピング部材と、
前記第1ダンピング部材と前記第2ダンピング部材の間に配置され、両者が離間するように押し遣る圧縮部材とを備え、
前記第1ダンピング部材と前記第2ダンピング部材が、前記ベースと前記アームの間に配置される
ことを特徴とするテンショナ。
【請求項7】
前記圧縮部材がOリングであることを特徴とする請求項6に記載のテンショナ。
【請求項8】
前記第1ダンピング部材と前記第2ダンピング部材が、前記ベースまたは前記アームに回転しないように固定されることを特徴とする請求項6に記載のテンショナ。
【請求項9】
前記偏心アジャスタに取り付けられたリテーナを更に備え、前記リテーナが前記シャフト内の溝に係止された状態で係合していることを特徴とする請求項6に記載のテンショナ。
【請求項10】
前記リテーナが弾性タブであることを特徴とする請求項9に記載のテンショナ。
【請求項11】
前記偏心アジャスタが前記弾性タブを収容する収容部を備えることを特徴とする請求項10に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンショナに関し、より具体的には、相互の間において相対的な軸方向運動を可能にするため協働的に連結される第1ダンピング部材と第2ダンピング部材と、それらの間に配置され、第1ダンピング部材と第2ダンピング部材を離間するように押し遣る圧縮部材とを備えるテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
クランクシャフトによりカムシャフトやバランスシャフトなどの回転部材を同期駆動する最も一般的な2つの方法は、タイミングチェーンとタイミングベルトである。タイミングチェーンは、作動するためにエンジンオイルを必要とする。比較して、殆どのタイミングベルトのアプリケーションは、オイルの存在がベルトを毀損する可能性があり、その意図された目的が妨げられ得ることから、ベルト伝動装置内にオイルが存在しないことを要求する。ベルトにおける最近の進歩は、エンジンオイルが存在する環境からベルトが分離していることをもう必要としない。
【0003】
しかし、油中で作動するためのベルトの最近の改良は、解決されるべき他の問題を提起する。1つの具体的な問題は、クランクシャフトへのカムシャフトの同期を維持するためベルト駆動装置に適切な張力を与えることである。カムシャフトあるいは他の同期された従動クランクシャフトコンポーネントがクランクシャフトとの同期を失えば、エンジンの破滅的な損傷が起こり得る。
【0004】
ベルトを通して動力を回転するクランクシャフトから伝達するには、ベルトの一方はクランクシャフトの周りに引っ張られ、これは当業者において一般にベルト緊張側と呼ばれる。反対に、もう一方の側は、ベルトがクランクシャフトから「押し」やられることから、ベルト緩み側と呼ばれる。ベルトが過度に緩んでクランクシャフトとクランクシャフトにより回転されるコンポーネントとの間の同期は失われることを防ぐために緩み側に張力を与えることは重要である。この同期の消失は、当業者において一般的に「歯飛び」あるいは「ラチェッテイング」と呼ばれる。
【0005】
歯飛びあるいはラチェッテイングを防止するためにベルトの緩みを無くす問題を悪化させるのは、エンジンの回転振動によって引き起こされるテンショナアームの過度の運動、あるいは振動である。アームの過度の運動は、歯飛びやラチェッテイングを発生させる条件をもたらすだけではなく、テンショナとベルトの使用寿命を短くし得る。アーム振動量を最小化するために、摩擦ダンピングが一般に用いられ、これはテンショナがベルトから離れるのを防止するためのものである。
【0006】
油の存在は、摩擦ダンピングの実現を困難なものとする。擦り合わされる2つの面への潤滑油の適用は、この2つの面の間の相対運動をより容易にする。
【0007】
この技術の代表は、米国特許第7,951,030号明細書であり、これにはベースと、ベースに枢軸的に係合されるアームと、アームに軸支されるプーリと、アームとベースの間に係合されるトーションスプリングとを備え、ベースが片持ちリーフスプリング、片持ちリーフスプリングとアームの間に作動可能に介装される第1摩擦ディスクとを有し、片持ちリーフスプリングが第1摩擦ディスクをアームと摩擦接触するように付勢し、第1摩擦ディスクがベースに対して回転自在に固定され、第2摩擦ディスクがベースに対して回転自在に工程され、第1摩擦ディスクおよび第2摩擦ディスクの間に分離部材が配置され、第1摩擦ディスクと第2摩擦ディスクの各々が約0.12の濡れ摩擦係数(wet coefficient of friction)を有し、分離部材はアームに対して回転自在に固定されることを開示する。
【0008】
必要とされているのは、第1ダンピング部材と、相対軸運動を可能にするように協働的に連結された第2ダンピング部材と、第1ダンピング部材と第2ダンピング部材とが離れるように押しやり両者の間に配置される圧縮部材とを備えるテンショナである。本発明はこの要求に合致する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、協働的に連結され相対的な運動を可能にする第1ダンピング部材と第2ダンピング部材と、それらの間に配置され、第1ダンピング部材と第2ダンピング部材を押し離す圧縮部材とを備えるテンショナと提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、本発明の以下の詳細な説明と添付図面により指摘され明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ベースと、ベースに連結されるシャフトと、シャフトに同軸的に係合される偏心アジャスタと、シャフトに回動自在に係合されるアームと、アームに軸支されるプーリと、アームとベースの間に係合されるトーションスプリングとを備え、アームは、第1収容部と、第1収容部に対して軸方向反対側に配置される第2収容部とを有し、更に、アームとベースの間に配置される第1ダンピング部材を備え、第1ダンピング部材はベースと摩擦係合されるとともに第1収容部に係合され、更に、アームと偏心アジャスタの間に配置され第2収容部に係合される部材を有する第2ダンピング部材と、第1ダンピング部材とアームの間に配置され、第1ダンピング部材と第2ダンピング部材に垂直力を与える付勢部材とを備えるテンショナを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するためのものであり、同一参照番号は同一構成要素を示す。
【
図5】
図4に示される別の実施形態の分解図である。
【
図6】バネ高さの関数としてバネ定数(k)を示すチャートである。
【
図8】アジャスタに設けられたリテーナの詳細図である。
【
図9】組立てられたシャフトとアジャスタの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、テンショナの側断面図である。テンショナ100は、ベルト(図示せず)に係合し、ベルト張力あるいは付加を与えるプーリ7を備える。プーリ7は、ベアリング11によりアーム6に軸支される。プーリ7は、ベアリングの外側レースに係合される。ベアリング11は、図示されるようにボールベアリングであるが、ニードルベアリングや周知の他の適切なベアリングであってもよい。
【0014】
アーム6は、トーションスプリング3により付勢され、これによりプール7がベルトに係合するように押しやり、ベルトに引張荷重を与える。トーションスプリング3は、ベース1とアーム6の間に作動可能に配置される。
【0015】
アーム6は、シャフト2の周りに回動する。アーム6の回動運動は、テンショナが経時的なベルトの伸びによるベルト長さのあらゆる変化、熱膨張によるベルト長さの変化を補償できるようにする。アーム6は、シャフト2の周りの低摩擦ブッシュ10の周りに回動する。シャフト2は、ベース1に押し嵌められ、ベース1から垂直に延出する。
【0016】
偏心アジャスタ8も、ベース1とは反対側のシャフト2の端部に押し嵌められる。偏心アジャスタ8は、取り付けの際に、テンショナをベルトとの適正な係合状態になるまで回転するのに用いられる。偏心は、プーリ7やアーム6の回転中心とは同軸ではない穴21の中心に対して用いられる。偏心アジャスタ8は、全てのコンポーネントとシステムの許容誤差を補償することで、ベルトに所定張力で適正な荷重を掛けるのに使用される。工具(不図示)は、工具受け部82において、このアジャスタに係合する。偏心アジャスタ8は、ベルト取り付けの際にのみ使用される。穴21、81を通してファスナを取付面へと挿入し完全に係合させることでベルトが一旦取り付けられると、それは決まった位置にロックされる。
【0017】
作動中のアームの振動、あるいは運動を最小化するために摩擦ダンピングが使用される。エンジンの振動により引き起こされる過度のアームの運動は、ベルトが歯飛びすること、すなわち「ラチェット」を引き起こし得る。ベルトの歯飛びあるいはラチェッテイングは、ベルトの従動および原動シャフトの間の同期を喪失させる。
【0018】
ウエーブスプリング5は、ダンピング部材13とアーム6の間に配置される。ウエーブスプリング5は、ダンピング部材13に垂直力を与える。ダンピング部材13は、摩擦を発生するようにベース1を押圧し、それによりアーム6の振動を減衰する。ダンピング部材13は、形状において通常はトロイドであるが、円盤形状であってもよい。トーションスプリング3は、アーム6とパッド12の間で圧縮される。パッド12は、ベース1と機械的に係合され、タング120はタブ41の各側辺に係合する。これにより係合したパット12は、ベース1に対する回転運動に関し規制される。
【0019】
図2は、テンショナの分解図である。ダンピング部材13は、アーム6とベース1の間に摩擦ダンピングを発生させる。ダンピングディスク9もアーム6と偏心アジャスタ8との間の摩擦ダンピングを生成するのに用いられる。摩擦面92は、偏心アジャスタ8と係合する。ダンピング部材13とダンピングディスク9は、アーム6の軸方向反対側の端部に配置される。
【0020】
ダンピング部材13とダンピングディスク9は、ベース1と偏心アジャスタ8がエンジン(不図示)などの取り付け面に固定されているのに対して、各々アーム6とともに回転する。プーリ面71は、適切なベルトに合わせて例えば平坦、マルチリブ、あるいは歯付とされる。
【0021】
スプリング3の一端31はタブ41に係合し、タブ41はベース1における反作用点として働く。スプリング3の他端32は、アーム6に係合する。
【0022】
アーム6の回転は、タブ41と接触する係止部63によって規制される。
【0023】
図2bは、ウエーブスプリングの側面図である。ウエーブスプリングは、多重螺旋51を備える。各コイルは、約120°離れた限られた数の位置においてコイル各々が隣接するコイルと接触するうねりを備える。この説明は、スプリングのコイルデザインを限定することを意図したものではない。各スプリングは、設計要求に応じてコイル毎により多くのあるいは少ないうねりを備えていてもよい。また1以上のコイルを備えていてもよい。別の実施形態では、波状スプリングは両端が接合された1つのコイルのみを備える。
【0024】
図3は、テンショナの分解図である。アーム6からのトルクは、キー溝61を通してタブ130へ伝達され、これによりダンピング部材13はアーム6にロックされ同調して動かされる。キー溝61はアーム6の軸方向端部に配置される。ベース1は、実質的に軸方向へ延出するタブ41(3つが示される)を備える。
【0025】
アーム6からのトルクは、キー溝62を通して伝達される。キー溝62は、アーム6の軸方向端部、キー溝61とは反対側に配置される。ダンピングディスク9は、軸方向に延出するタブ91を備える。タブ91は、キー溝62に係合する。アーム6の回転は、キー溝62とタブ91の干渉によりダンピングディスク9のロックされた回転を引き起こす。
【0026】
ダンピング部材13とダンピングディスク9は、波状スプリング5の圧縮により垂直荷重を受け、これにより垂直力摩擦を発生する。この配置は、摩耗と組立公差を補償する。波状スプリング5は、ダンピング部材13とアーム6の間にあって、収容部63に取り込まれる。スプリング5は、アーム6とともに回転し、相対的な運動がダンピング部材13とベース1の間だけで、同様にダンピングディスク9と偏心アジャスタ8の間だけで発生することを保証する。
【0027】
スプリング5は、そのバネ定数の特性および面接触の面積から好ましい波状スプリングとして示される。
図2bは、波状スプリングの側面図である。この実施形態では、スプリング5は、各々が波状形状を呈する多数の螺旋、あるいは渦巻を備える。これは、テンショナ組立時の公差に関連する軸方向(あるいは垂直方向)の力の適切な制御を可能にする。トーションスプリング3の圧縮と共同し、更に接合部の摩擦係数と協働する波状スプリングの力は、テンショナ組立体のダンピングレベルを決定する。別の実施形態では、スプリング5は単一の波状コイルスプリングを備える。
【0028】
様々な接合部の摩擦係数は以下の通りである。
部材 摩擦係数
ベース1に対するダンピング部材13 ≦0.4
アジャスタ8に対するダンピングディスク9 ≦0.4
ベース11に対するダンピングディスク18 ≦0.4
アーム20に対するダンピングディスク19 ≦0.4
【0029】
ダンピング部材13とダンピングディスク9は、テンショナダンピングのアプリケーションにおいて使用される周知のどのような摩擦素材を備えてもよく、これには耐油性金属やポリマーも含まれる。別の実施形態は、波状スプリングを利用しない圧縮においてトーションスプリング3を用いて十分な軸力を発生させるかもしれない。
図6は、バネ高さの関数としてバネ定数(k)を図示するチャートである。総圧縮量が各スプリングタイプに対して、すなわちワッシャスプリング、波状スプリングそして圧縮あるいはトーションスプリングに対して示される。
【0030】
図4は、別の実施形態の側断面図である。
図5は、
図4の別の実施形態の分解図である。
図4および
図5は、スプリングが一緒に回転するように固定された2つのダンピングディスク18、19に荷重を掛け、これにより減衰されるためにアーム20にこれらのダンピングディスクを固定する必要をなくした実施形態を示す。ダンピングディスク18は、固定構成部であるベース11に摩擦接触し、そしてダンピングディスク19は、可動部材であるアーム20に摩擦接触してアーム20の運動を減衰する。
【0031】
偏心アジャスタ15は、取り付け時に、テンショナをベルトと適正な係合するように移動するのに用いられる偏心器である。偏心は、プーリ14あるいはアーム12の回転中心と同軸でない穴150の中心に対して言及される。偏心アジャスタ15は、ベルトに所定張力を与えるのに用いられる。偏心アジャスタ15は、ベルト取り付け作業の際にのみ用いられ、穴150を通してファスナ(不図示)が取り付け面に完全に係合されることでベルトが一旦取り付けられるとその位置は固定される。ファスナには、例えば、ボルトあるいはその他の当技術分野において知られている適当なファスナが含まれる。
【0032】
プーリ14は、ベルトに係合し、ベルト張力、あるいはベルト荷重を与える。プーリ14は、ベアリング141の周りにアーム20に軸支され、プーリ14はベアリング外側レースに係合される。ベアリング141は、図示されるようにボールベアリングであるが、ニードルベアリングや周知の他の適切なベアリングであってもよい。
【0033】
アーム20は、トーションスプリング13により付勢され、これによりプーリ14をベルト(不図示)に押し付ける。アーム20の回動運動は、ベルトの経時的な伸長によるベルト長さの任意の変化、熱膨張あるいはエンジン負荷による走行長さの変化、そしてそれによるベルト荷重の変化をテンショナが補償できるようにする。アーム20は、シャフト12に設けられた低摩擦ブッシュ16の周りに回動する。シャフト12はベース1に固定されている。
【0034】
アーム20の運動は、ダンピングディスク19との摩擦接触により減衰される。ダンピングディスク19は、Oリング17によりアーム20内へ押入される。Oリング17は、エラストマ素材からなり、ダンピングディスク19とダンピングディスク18に垂直力を与える圧縮可能な弾性部材として用いられる。Oリング17は、波状スプリング、圧縮スプリング、ベルビルスプリング、あるいはバネ特性を備えるその他の周知の圧縮可能な弾性部材により置き換えることができる。ダンピングディスク18は、Oリング17により押圧され、ベース11内へと押し込まれる。ベース11は、エンジン(不図示)などの取り付け面に固定される。摩擦面193は、アーム20に係合する。摩擦面183は、ベース11に係合する。減衰は、ダンピングディスク18とベース11、およびダンピングディスク19とアーム20の間の接触による摩擦力により発生する抵抗トルクにより生成される。
【0035】
ダンピングディスク18に設けられた各タブ181は、ダンピングディスク19に設けられた2つの協働するラグ191の間に嵌合する。この配置は、ダンピングディスク18とダンピングディスク19を固定し、そのため両者の間に相対回転はないが、これら2つの構成部の間における軸方向への運動は可能にする。軸方向への運動は、Oリング17が両ダンピングディスク18、19に予荷重を与え、製造上の公差と摩耗を補償することを可能にする。各タブ181に設けられたリップ182は、ダンピングディスク19に設けられた協働するリム192に係合し、ダンピングディスク18、19の軸方向への相対運動を、両者を1つに固定することで規制する。
【0036】
ダンピングディスク18とダンピングディスク19の組立体は、アーム20とベース11の間で「浮いた」状態となる。ダンピングディスク18、ダンピングディスク19の何れもベース11あるいはアーム20に回転方向に固定されることはない。
【0037】
リテーナ21は、この組立体を軸方向に一体的に保持する。リテーナ21は、偏心アジャスタ15に固定され、シャフト12に係合してこの組立体を軸方向に保持する。
【0038】
図7は、リテーナとアジャスタの詳細図である。リテーナ21は、テンショナがエンジンに取り付けられていないときに組立体を1つに保持する。リテーナ21は、支柱151と穴211と突起212の係合によりアジャスタ15に取り付けられる。2つの支柱151は、リテーナ21が回転することを防止し、突起212は、リテーナ21を支柱151に保持する。
図10は、
図7のリテーナの詳細図である。
【0039】
図8は、アジャスタに設けられたリテーナの詳細図である。リテーナ21とアジャスタ15の部分的組立体は、シャフト12内へと挿入される。タブ213は、組立の際、弾性的に内側に曲げられ、リテーナ21がシャフト12のボアを通り抜けることを可能にする。収容部152は、タブ213が曲げられて入れられるスペースを提供する。シャフト12内の円周溝121は、タブ213が弾性的に外側へ広がりシャフト12にロックされた状態で係合することを可能にする。
図9は、組立てられたシャフトとアジャスタの詳細図である。アジャスタ15とシャフト12の相対的な軸方向への運動は、溝121の壁面と径方向に広げられたタブ213の干渉により規制される。
図11は、シャフトの側断面図である。
【0040】
ここで本発明の構成が説明されたが、当業者であれば、ここで説明された発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その構成、パーツ間の関係、方法に様々な変更ができることは明らかである。
【国際調査報告】