(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532452(P2015-532452A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】腹腔鏡下手技用の外科用訓練モデル
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20151013BHJP
【FI】
G09B23/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-534661(P2015-534661)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月25日
(86)【国際出願番号】US2013061949
(87)【国際公開番号】WO2014052612
(87)【国際公開日】20140403
(31)【優先権主張番号】61/706,602
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ブレスリン トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】パレルモ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホーク アダム
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
2C032CA06
(57)【要約】
外科用訓練器具が提供される。この訓練器具は、基部を備えた練習用モデルを有し、基部の外面には複数個のアイレットが連結されている。複数個のアイレットは、少なくとも1つの所定の経路を定め、少なくとも1つの所定の経路は、少なくとも1つの経路を定めるアイレット中への少なくとも1本の針及び縫合糸の挿通を訓練するための経路である。種々のアイレットが記載され、かかるアイレットとしては、角度のついた(斜めの)アイレット、可撓性のアイレット、撓曲可能なアイレット、交換可能なアイレット、引っ込み可能なアイレット、回転可能なアイレット並びに種々の形状及び寸法の孔を備えたアイレットが挙げられる。所定の経路は、基部の外面上に施された印で印付けられ又は着色アイレットで印付けられている。縫合糸経路は、解剖学的経路並びに様々な技能レベルを定める。練習用モデルこのモデルは、腹腔鏡下手技で必要な技能のうちで手渡し及び奥行き覚を練習するためのプラットホームを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用訓練器具であって、
基部を有し、
前記基部から間隔を置いて設けられていて、前記基部との間に内部キャビティを構成するトップカバーを有し、
前記内部キャビティにアクセスするための少なくとも1つの孔又は穿通可能な領域を有し、
前記内部キャビティ内に設けられた腹腔鏡カメラを有し、前記腹腔鏡カメラは、前記腹腔鏡カメラに連結されると共に前記内部キャビティの外部に配置されたビデオモニタ上にビデオ画像を表示するよう構成されており、
前記内部キャビティ内に取り外し可能に設けられたモデルを有し、前記モデルは、ユーザから実質的に隠されているが、前記腹腔鏡カメラが前記ビデオモニタ上の前記モデルのビデオ画像を表示することにより観察可能であり、前記モデルは、外面を備えた基部及び前記基部に連結された複数個のアイレットを有し、前記複数個のアイレットは、経路を形成するよう前記外面に沿って構成され、前記経路は、前記経路を形成する前記複数個のアイレットのうちの1つ又は2つ以上の中への少なくとも1本の針及び縫合糸の挿通を訓練するための経路である、外科用訓練器具。
【請求項2】
前記アイレットは、前記基部の前記外面の上方に間隔を置いて設けられている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項3】
前記複数個のアイレットのうちの少なくとも1つのアイレットは、前記外面に対して引っ込み可能である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項4】
前記アイレットは、ネック部分及びヘッド部分を有し、前記ヘッド部分は、針及び縫合糸の挿通を可能にするよう寸法決めされると共に形作られた孔を備え、前記ネック部分は、前記基部に連結されるよう構成されている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項5】
前記ネック部分は、前記ヘッド部分に対して角度をなしている、請求項3記載の外科用訓練器具。
【請求項6】
前記アイレットのうちの少なくとも1つは、交換可能である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項7】
前記アイレットのうちの少なくとも1つは、前記基部に対して角度をなしている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項8】
前記アイレットのうちの少なくとも1つは、前記基部に対して回転可能である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項9】
前記経路は、同一の色を有するアイレットによって定められた所定の経路である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項10】
前記経路は、前記基部の前記外面上に設けられた印によって定められた所定の経路である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項11】
前記基部の前記外面は、凹状又は凸状である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項12】
前記基部の前記外面は、湾曲している、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項13】
前記アイレットは、縫合針との接触によって撓曲可能である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項14】
前記基部は、アイレットに及ぼされた力が前記基部の前記外面を撓ませるよう柔軟性がある、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項15】
前記経路は、実際の手術で遭遇する縫合糸経路形状を定めるようあらかじめ定められている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項16】
前記経路は、人間の器官と関連した縫合糸経路形状を定めるようあらかじめ定められている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項17】
前記経路は、縫合糸を腹腔鏡下で通すための所定の技能レベルを定めるようあらかじめ定められている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項18】
外科用訓練器具であって、
外面を備えた基部を有し、
前記基部に連結された複数個のアイレットを有し、各アイレットは、遠位端のところに位置していて、ネック部分に連結されたヘッド部分を有し、前記ネック部分は、前記アイレットの遠位端のところで前記基部に連結され、前記ヘッド部分は、第1の側部及び第2の側部を備えた孔平面を定める孔を有し、
前記複数個のアイレットは、前記基部に対し、少なくとも1つの孔平面が前記複数個のアイレットの少なくとも1つの他の孔平面に対して角度をなすよう構成され、少なくとも、前記複数個のアイレットのサブセットは、縫合糸及び縫合針を挿通させるよう寸法決めされている孔を備えた経路を定めている、外科用訓練器具。
【請求項19】
前記経路は、前記基部の前記外面上に引かれた線によって印付けられた所定の経路である、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項20】
前記経路は、同一の色を有するアイレットのサブセットから成る所定の経路である、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項21】
前記少なくとも1つの孔平面は、前記複数個のアイレットの少なくとも1つの他の孔平面に対して回転する、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項22】
前記複数個のアイレットの少なくとも1つの孔は、シリコーンで覆われている、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項23】
前記経路は、腹腔鏡下手術で遭遇する縫合糸経路と近似した所定の経路である、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項24】
少なくとも1つのアイレットは、前記外面に対して引っ込み可能であり、前記引っ込み可能なアイレットは、前記孔が前記外面に対して第1の距離を置いたところに位置する第1の位置及び前記孔が前記外面に対して第2の距離を置いたところに位置する第2の位置を有し、前記第2の距離は、前記外面の上方に前記第1の距離よりも長い、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項25】
前記少なくとも1つの引っ込み可能なアイレットは、前記第1の位置の方へ付勢されている、請求項24記載の外科用訓練器具。
【請求項26】
前記第1の位置は、前記引っ込み可能なアイレットの前記孔が少なくとも部分的に前記外面の下に位置していることを特徴としている、請求項24記載の外科用訓練器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科用訓練ツールに関し、特に、腹腔鏡下手術、内視鏡下手術及び低侵襲手術に関連した(しかしながら、これらには限定されない)種々の外科的技術及び手技を教示すると共に練習させる模擬(シュミレートした)組織構造体及びモデルに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2012年9月27日に出願された米国特許仮出願第61/706,602号(発明の名称:Surgical training model for laparoscopic procedures )の優先権及び権益を主張する出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
新たな外科的技術(術式)を学習する医学生並びに熟練医は、自分達が患者としての人間に対して手術を行う資格を得る前に大がかりな訓練を受けなければならない。この訓練は、種々の形式の組織を切断し、穿通し、クランプし、把持し、ステープル留めし、焼灼し、縫合するための種々の医療器具を用いる適正な技術を教示しなければならない。訓練を受ける人(訓練生)が遭遇する場合のある場面の範囲は、広い。例えば、種々の器官並びに患者の解剖学的構造及び疾患が提示される。種々の組織層の厚さ及びコンシステンシーも又、身体の一部分と隣りの部分とでは様々であり、しかも患者ごとに様々な場合があろう。互いに異なる手技には互いに異なる技能が要求される。さらに、訓練生は、例えば患者の体格や病態、標的組織の隣接の解剖学的景観及び景観や標的組織が容易にアクセス可能であるか比較的アクセス不能であるかという要因によって影響を受ける種々の解剖学的環境中において技術を練習しなければならない。
【0004】
外科用訓練の1つ又は2つ以上の観点について多くの教示補助具、訓練器具、模擬訓練装置(シミュレータ)及びモデル器官が利用可能である。しかしながら、遭遇する可能性があり且つ内視鏡下の手技、腹腔鏡下の手技、低侵襲手術手技(外科的処置)を練習するために使用できるモデル又は模擬組織要素が要望されている。腹腔鏡下手術では、トロカール又はカニューレを挿入して体内腔にアクセスしたりカメラ、例えば腹腔鏡の挿入のためのチャネルを作ったりする。カメラは、ライブビデオフィードキャプチャリング画像を提供し、次にこれら画像を1つ又は2つ以上のモニタで外科医に表示する。少なくとも1つの追加の小さな切開創が作られ、かかる切開創を通って別のトロカール/カニューレを挿入してモニタ上で観察される手技を実施するために外科用器具を挿通させることができる経路を作る。標的組織場所、例えば腹部は、典型的には、二酸化炭素ガスを送り出して体内腔に通気し又は注入して外科医により用いられるスコープ及び器具を受け入れるのに足るほど広い作業空間を作ることによって拡張される。組織腔内のガス注入圧力は、専用トロカールを用いることによって維持される。腹腔鏡下手術は、開放手技と比較した場合、多くの利点を提供する。これら利点としては、切開創が小さいということに起因して、疼痛が軽いこと、出血が少ないこと、回復期間が短いことが挙げられる。
【0005】
腹腔鏡下又は内視鏡下低侵襲手術では、開放手術と比較して技能レベルの高いことが要求される。というのは、標的組織は、医師によって直接観察されることがないからである。標的組織は、小さな開口部を通ってアクセスされる手術部位の一部分を表示するモニタにより観察される。したがって、医師は、組織平面を視覚的に見定め、二次元観察スクリーン上における三次元奥行き覚、器具の手渡し、縫合、高精度切断並びに組織及び器具の操作を練習する必要がある。典型的には、特定の解剖学的構造又は手技を模倣するモデルが模擬骨盤又は腰部訓練器具内に配置され、この訓練器具では、解剖学的モデルは、医師による直接可視化(直視化)から隠されている。訓練器具に設けられたポートは、器具を通して直視化から隠された解剖学的モデルに対して行われる技術を練習するために用いられる。模擬骨盤訓練器具は、腹腔鏡下手術で用いられる基本的な技能及び典型的な技術、例えば把持、操作、切断、結び目を作ること、縫合、ステープル留め、焼灼並びにこれら基本的な技能を利用した特定の外科的処置をどのように実施するかについて外科医及び研修医を訓練する機能的且つ安価であり、しかも実用的な手段となる。模擬骨盤訓練器具は又、これら腹腔鏡下手技を実施するのに必要な医療器具を実演するための効果的な販売用ツールでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内視鏡下又は腹腔鏡下低侵襲手術における練習を必要とする上述の技術のうちの1つは、臨床医が標的組織及び器械を二次元ビデオモニタ上で観察しながら技能、例えば三次元奥行き覚並びに針及び縫合糸の手渡しを磨くことが必要であるようにする縫合糸の挿通及び縫合である。したがって、縫合を練習するのに適したモデルを提供することが望ましく、特に、訓練を受ける人(訓練生)にとって手順の特定のステップ、例えば臨床医が模擬(シミュレートされた)腹腔鏡下環境で練習するための縫合糸の挿通だけを切り離して行うモデルが要望されている。腹腔鏡訓練モデルは、模擬腹腔鏡下環境、例えばこのモデルが直接可視化(直視化)から少なくとも部分的に隠された腹腔鏡訓練装置内に取り外し可能に配置される。カメラ及びモニタがその医師に可視化を提供する。技術を練習した後、かかるモデルがかかるモデルは、容易に、スピーディーに且つコストを節約した状態で繰り返し可能な訓練を可能にすることが更に望ましい。上述のことを考慮して、本発明の目的は、解剖学的構造を現実的に模倣して繰り返し可能な訓練も又可能にする手技の特定のステージ又はステップだけを切り離して行う外科用訓練器具を提供することにある。模擬訓練装置の使用により、新米の腹腔鏡下術者の技能レベルが大幅に向上すると共にかかる模擬訓練装置が将来の外科医を非手術設定環境で訓練するための優れたツールであることが実証された。かかる改良されると共に真に迫った且つ効果的な外科用訓練モデルが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、外科用訓練器具が提供される。本発明の別の観点によれば、外科用訓練器具が提供される。この器具は、基部から間隔を置いて設けられていて、基部との間に内部キャビティを構成するトップカバーを有する。内部キャビティにアクセスするための少なくとも1つの孔又は穿通可能な領域が設けられ、腹腔鏡カメラが内部キャビティ内に設けられ、腹腔鏡カメラは、腹腔鏡カメラに連結されると共に内部キャビティの外部に配置されたビデオモニタ上にビデオ画像を表示するよう構成されている。モデルが内部キャビティ内に取り外し可能に設けられ、このモデルは、ユーザから実質的に隠されているが、腹腔鏡カメラがビデオモニタ上のモデルのビデオ画像を表示することにより観察可能である。モデルは、外面を備えた基部及び基部に連結された複数個のアイレットを有する。複数個のアイレットは、経路を形成するよう外面に沿って構成され、経路は、経路を形成する複数個のアイレットのうちの1つ又は2つ以上の中への少なくとも1本の針及び縫合糸の挿通を訓練するための経路である。
【0008】
本発明の別の観点によれば、外科用訓練器具が提供される。この器具は、外面を備えた基部及び基部に連結された複数個のアイレットを有する。各アイレットは、ネック部分に連結されたヘッド部分を有する。ネック部分は、アイレットの遠位端のところで基部に連結されている。ヘッド部分は、第1の側部及び第2の側部を備えた孔平面を定める孔を有する。複数個のアイレットは、基部に対し、少なくとも1つの孔平面が複数個のアイレットの少なくとも1つの他の孔平面に対して角度をなすよう構成されている。少なくとも、複数個のアイレットのサブセットは、縫合糸及び縫合針を挿通させるよう寸法決めされている孔を備えた経路を定めている。
【0009】
本発明の別の観点によれば、腹腔鏡下縫合糸挿通を練習する方法が提供される。この方法は、外面を備えた基部及びこの基部に連結された複数個のアイレットを有する器具を用意するステップを含む。各アイレットは、ネック部分に連結されたヘッド部分を有する。ネック部分は、基部に連結されている。複数個のアイレットは、少なくとも1つの引っ込み可能なアイレットを含む。引っ込み可能なアイレットは、外面に対して引っ込み可能であり、引っ込み可能なアイレットは、孔が外面に対して第1の距離を置いたところに位置する第1の位置及び孔が外面に対して第2の距離を置いたところに位置する第2の位置を有し、第2の距離は、外面の上方に第1の距離よりも長い。この方法は、引っ込み可能なアイレットを把持するステップ及びこの引っ込み可能なアイレットを第1の位置から第2の位置に引くステップを含む。アイレットは、縫合糸及び針を孔中に通している間、第2の位置に保持される。この方法は、引っ込み可能なアイレットを解除するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の外科用訓練器具の上から見た斜視図である。
【
図4】本発明の種々のアイレットを示す図(4A,4B,4C,4D)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られた外科用訓練器具10が
図1に示されている。外科用訓練器具10は、ユーザから実質的に隠されていて、本明細書に記載する模倣され若しくは生きている組織又はモデル器官若しくは訓練モデル等を受け入れる本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12にはユーザが器具を用いて本体キャビティ12内に見えるように設けられた組織又は練習用モデルに対して手術法を実施することにより穿通される組織模擬領域14を介してアクセスされる。本体キャビティ12は、組織模擬領域を通ってアクセス可能であるものとして示されているが、変形例として、手を使ったアクセス器具又は単一部位ポート器具を用いて本体キャビティ12にアクセスしても良い。例示の外科用訓練器具が2011年9月29日に出願された米国特許出願第13/248,449号明細書(発明の名称:Portable Laparoscopic Trainer)に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。外科用訓練器具10は、腹腔鏡下又は他の低侵襲手術手技を練習するのに特に好適である。
【0012】
依然として
図1を参照すると、外科用訓練器具10は、少なくとも1つの脚部20によって基部18に連結されると共にこの基部から間隔を置いて設けられたトップカバー16を有している。外科用訓練器具10は、患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られている。トップカバー16は、患者の前方表面を表しており、トップカバー16と基部18との間の空間12は、器官が存在する患者の内部又は体内腔を表している。外科用訓練装置10は、患者が手術手技を受ける場合の模擬(シミュレーション)において種々の手術手技及びこれらと関連した器械を教示し、練習し、そして実証するための有用なツールである。外科用器械は、組織模擬領域14を通ると共にトップカバー16にあらかじめ設けられた孔22を通ってキャビティ12中に挿入される。種々のツール及び技術を用いてトップカバー16を穿通し、それによりトップカバー16と基部18との間に配置された模擬器官又は練習用モデルに対して模擬手技を実施することができる。基部18は、模擬組織モデル又は生きている組織をステージングし又は保持するためのモデル受け入れ領域24又はトレーを有する。基部18のモデル受け入れ領域24は、モデル(図示せず)を定位置に保持するフレーム状要素を有している。模擬組織モデル又は生きている器官を基部18上に保持するのを助けるため、引っ込み可能なワイヤに取り付けられたクリップが場所26のところに設けられている。引っ込み可能なワイヤは、伸長され、次にクリップ留めされて組織モデルを組織模擬領域14の実質的に下の定位置に保持する。組織モデルを保持する他の手段としては、モデル受け入れ領域24内で基部18に取り付けられたフック・アンド・ループ式(所謂マジックテープ(登録商標)式)締結材料のパッチ(VELCRO(登録商標))が挙げられ、このフック・アンド・ループ式締結材料のパッチは、モデルに取り付けられたフック・アンド・ループ式締結材料の補足し合う小片(VELCRO(登録商標))に取り外し可能に連結可能である。
【0013】
トップカバー16にヒンジ留めされたビデオディスプレイモニタ28が
図1に閉じられた向きで示されている。ビデオモニタ62は、画像をモニタに送る種々の視覚的システムに接続可能である。例えば、あらかじめ設けられた孔22又はキャビティ内に設けられたウェブカム(ウェブカメラ)のうちの一方を通って挿入され、そして模擬手技を観察するために用いられる腹腔鏡をビデオモニタ28及び/又はモバイルコンピューティング装置に接続して画像をユーザに提供するのが良い。また、音声記録又は送り出し手段も又提供されて訓練装置10と一体化され、それにより音声及び視覚的機能を提供するのが良い。携帯式記憶装置、例えばフラッシュドライブ、スマートフォン、ディジタルオーディオ若しくはビデオプレーヤ又は他のディジタルモバイル装置も又実証目的で訓練手技を記録すると共に/或いはあらかじめ記録された映像をモニタ上にプレイバックするために設けられる。当然のことながら、音声視覚的出力をモニタよりも大きなスクリーンに提供する接続手段が設けられる。別の変形例では、トップカバー16は、ビデオディスプレイを備えておらず、ラップトップ型コンピュータ、モバイルディジタル装置又はタブレット、例えばIPAD(登録商標)と接続し、これをワイヤ又はワイヤレスで訓練装置に接続する手段を含む。
【0014】
組立て時、トップカバー16は、脚部20が実質的に周囲に沿って配置されると共にトップカバー16と基部18との間に相互に連結された状態で基部18の真上に位置決めされる。トップカバー16と基部18は、実質的に同一の形状及び寸法のものであり且つ実質的に同一の周囲外形を有している。内部キャビティは、視界から部分的に又は完全に隠されている。
図1に示されている変形例では、脚部は、周囲光が内部キャビティをできるだけ多く照明することができ、しかも有利には、携帯性に都合がいいようにできるだけ軽量化をもたらすために開口部を有している。トップカバー16は、脚部20から取り外し可能であり、脚部20は、基部18に対して取り外し可能であり又は基部18に対してヒンジ等により折り畳み可能である。したがって、非組立て状態の訓練装置10は、携帯を容易にする減少高さを有している。本質的には、外科用訓練装置10は、ユーザからは隠されている模擬本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12は、少なくとも1つの組織模擬領域14及び/又はトップカバー16に設けられた孔22を介してアクセス可能である少なくとも1つの手術モデルを受け入れるよう構成されており、ユーザは、孔22を通ってモデルにアクセスして腹腔鏡下又は内視鏡下低侵襲手術法を練習することができる。
【0015】
本発明に従って腹腔鏡下手技の際に縫合糸を通す練習のためのモデル30が
図2に示されている。モデル30は、上述の外科用訓練器具10又は他の類似の外科用訓練装置の内部に配置されるよう構成されている。モデル30は、基部32及び基部32の表面に連結された複数個のアイレット34を有している。
【0016】
モデル30の基部32は、モデル30の残部の底部支持体としての役目を果たすプラットホームであり、この基部は、モデル30が倒れることがないよう寸法決めされると共に形作られている。プラットホームは、任意の材料、例えば金属又はプラスチックで作られる。基部32は、ユーザによって操作されている間直立位置においてモデル30の安定性を維持するのに十分な重さのものである。モデル30は、モデル受け入れ領域24の場所で外科用訓練装置10の本体キャビティ12内に配置されるよう寸法決めされると共に形作られている。基部32の下側は、モデル30を外科用訓練装置10の内部に取り付けるための手段を備えている。モデル30を訓練装置10の内部に取り付けるためのかかる手段としては、接着剤、吸引カップ、磁石、スナップ嵌め、及びフック・アンド・ループ式締結材料(面ファスナ)が挙げられるがこれらには限定されず、フック・アンド・ループ式締結材料は、基部32の底面に取り付けられ、外科用訓練装置10の基部18に取り付けられた補足し合うフック・アンド・ループ式締結材料又は接着剤と結合するよう構成されている。
【0017】
モデル30の基部32は、平坦であっても良く或いは種々の仕方で輪郭付けられても良い外面36を有する。例えば、外面は、
図2に示されているように凸状であるのが良い。外面36は、凹状であっても良く、湾曲していても良く、勾配があっても良く、起伏があっても良く、或いは上向きのヒル、下向きのヒル、大きな特徴部と補足し合う小さな表面追加部、例えば隆起部又は窪みを含む谷部及び山部を含む任意の形態又は地形学的特徴を有しても良い。外面36の地形学的特徴は、ユーザが腹腔鏡下手術において奥行き覚を練習することができるようにする漸変表面又は多くの表面を生じさせる。一変形例では、基部32は、剛性且つ中実ではなく、柔軟性であり、弾性であり且つ可撓性であり、しかも腹腔鏡下手術で用いられる外科用器械で操作されたときに撓曲可能である。したがって、基部32は、柔軟性のある弾性材料、例えばゴム又はシリコーンで作られる。基部32の外面36の地形学的特徴の別の例が
図3に示されている。
図2及び
図3のモデル30は、作用外面36が上方に向いた状態で位置決めされたものとして示されている。しかしながら、モデル30は、腹腔鏡下手技を練習するための内部本体構造体の別の変形例及び表示を提供するよう側部が訓練装置10内に位置決めされても良い。この別の向きでは、モデル30の側面がアイレット34を備える。
【0018】
モデル30は、基部32に連結された複数個のアイレット又は孔34を有し、アイレット34は、
図2及び
図3に示されているようにモデル30の外面36又は側面の上方に位置するよう構成されている。例示のアイレット34が
図4Aに示されている。一般的に言って、アイレット34は、医師が針及び縫合糸を通す訓練を行うことができるようにする開口部を提供するよう構成されている。アイレット34は、ネック部分38及びヘッド部分40を有している。ヘッド部分40は、少なくとも1つの孔42を有し、少なくとも1つの孔42は、これが位置する孔平面を定めている。孔42は、円形の形状を有するものとして示されているが、本発明は、これには限定されず、孔42は、任意の形状、例えば円、多角形又は閉じられた曲線のものであって良い。
図4Aは、閉じられた孔42を示しているが、
図4Bに示されているような開いたフック状孔44は、本発明の範囲に含まれる。開いた又はフック状の孔44は、開いていると共にヘッド部分40の周囲材料によって部分的にしか包囲されていない孔であり、後には、孔40への開口部又は入口が寸法において孔周長の約1/8から1/4までのどこかの場所に位置した状態で残されている。一変形例では、アイレット34の孔42は、シリコーン又はメッシュ若しくは織物補強材を含むのが良い他の穿通可能な材料の層で覆われ、その結果、針及び縫合糸を孔42中に通すには、縫合糸付きの針で孔42の覆いを穿通する必要がある。覆いは、本物の組織を模倣しており、かくして、訓練の迫真性の一因となる。
【0019】
一変形例では、アイレット34は、剛性である。別の変形例では、アイレット34のネック部分38は、可撓性であり、ヘッド部分40は、剛性であり、別の変形例では、ネック部分38とヘッド部分40の両方は、可撓性であり又は撓曲可能である。撓曲可能又は可撓性アイレット34は、縫合糸を通す際の難しさを増大させる。別の変形例では、アイレット34は、あらかじめ曲げられており又は角度が付けられている。孔によって定められた平面は、
図4C及び
図4Dに示されているようにネック部分38の長手方向軸線と交差する。一般的に言って、アイレット34は、外科医が手術針及び縫合糸を通す訓練をするための孔42となる。アイレット34のネック38は、孔42を基部32の外面36から隔てるよう構成されている。孔42を基部32の外面36から隔てる他の手段は、本発明の範囲に含まれる。また、ネック38は、基部32に結合するよう構成され、従って、ネック38は、基部に結合するためのねじ山、接着剤又は他の手段を有するのが良い。また、アイレット34は、アイレット34全体が基部32に対して回転し又は回転可能であるように基部32に取り付けられるのが良く、別の変形例では、アイレット34は、アイレット34のヘッド40がネック部分38に対して自由回転アイレット形態で回転するよう構成される。このように結果として基部32に対して孔42が回転できることにより、縫合糸を通す場合の難しさが増す。
【0020】
複数個のアイレット34が
図2及び
図3に示されているように基部32の外面36に連結されている。別の変形例では、1つ又は2つ以上のアイレット34は、外面36に対して引っ込み可能であり、その結果、引っ込み可能なアイレット34は、アイレット34の孔42が外面36に対して第1の距離のところに位置する第1の位置及び孔42が外面36に対して第2の距離のところに位置する第2の位置を有し、第2の距離は、外面36の上方において第1の距離よりも大きい。一変形例では、アイレット34は、アイレット34が第1の位置の方へスプリングバックする傾向を有するよう第1の位置の方へ付勢されている。さらに、少なくとも1つのアイレット34は、アイレット34の少なくとも一部分、例えばアイレット36の孔42の少なくとも一部分が上面36の下に位置するよう基部32に連結されており、その結果、アイレット34は、ユーザに見えるが、縫合糸をアイレット34に通すため、上面の下に部分的に位置するアイレット34がユーザによって引き上げられ又は引き出され、そして1つの器械が引き出し位置にある状態で保持され、その結果、縫合針及び縫合糸を別の器械が逆の手で保持された状態でアイレット34の孔42中に挿通させることができるようになっている。引っ込み可能なアイレット34は、上面36とは異なる弾性基部内に埋め込まれ又は上面36に対してばね押しされている。また、引っ込み可能なアイレット34は、アイレットを表面の上方に引いてこれを縫合糸挿通のために上面36の上方の定位置に保持するのに力が必要であるように引っ込み位置で付勢される。アイレット34が解除されると、表面の下に向かって引き戻される。別の変形例では、引っ込み可能なアイレット34は、内方には付勢されず、第1の位置と表面の上方の第2の位置との間で出入りし、第1の位置は、表面の下に少なくとも部分的に位置するのが良い。アイレット34は、スロット内で上面36に対して軸方向に動くようスロットが設けられる。各アイレット34は、同一であっても良く、或いは、複数個のアイレット34は、上述の種々の特徴を備えたアイレット34の混ざったものであっても良く、例えば、互いに異なる寸法及び形状の孔42を備えたアイレット、可撓性アイレット、回転可能なアイレット、被覆状態のアイレット、開いたアイレット、撓曲可能なアイレット、撓曲時に撓曲状態のままの塑性変形可能なアイレット及び撓曲後に先の位置を再び取る撓曲可能なアイレットであっても良い。複数個のアイレット34は、カメラ観察モニタ上でアイレット孔42を可視化する際の難しさを増大させるために基部32の外面36の背景又は色に対して溶け合った色を含む互いに異なる色のアイレットを含むのが良い。また、基部32に取り付けられたアイレット34のうちの少なくとも1つは又、このアイレット34が視覚的に目立ち又は腹腔鏡を用いて基部の背景又は外面36を観察したときにコントラストをなすよう着色されていても良い。さらに、複数個のアイレット34は、同色のものであり、かくして、縫合糸を通さなければいけない所定の経路がアイレット34の色によって定められるよう色分けされた1つ又は2つ以上のアイレット群を含んでも良い。例えば、1組の緑色に着色されたアイレット34は、外科的処置に特有の所定の経路を定めるか、或いは、例えば比較的大径の孔42を備えたアイレット34によって定められる比較的容易な技能レベルを定めても良い。変形例として、所定の経路は、アイレット34の着色によってではなく、
図2に示されているように基部32の外面36上に施された印46で印付けされても良い。外面36上のかかる印46は、解剖学的ランドマークを含むのが良く、ユーザは、かかる解剖学的ランドマークから縫合糸を通すために辿るべき正確な経路を導き出すことができる。変形例として、印46は、所定の経路を定めるために印を相互に連結したアイレット34相互間の外面上に引かれた線である。線46は、
図2に示されているように基部32に対してコントラストをなす色で着色され、特定の所定の経路を示すよう色分けされているのが良い。また、基部32に取り付けられた複数個のアイレット34のうちで、アイレット34の群は、印46、例えば、或る特定の群内のアイレット34を互いに連結する基部32上に引かれた線で相互に連結されても良い。或る特定のアイレット群は、特定の経路に沿って位置する特定の群のアイレット34の全てに通したことを確認するユーザの技能を試験するために辿るべき所定の経路を定めることができる。それ故、基部に取り付けた複数個のアイレットのうちでアイレット34のサブセットに属するアイレット34の配置及び選択を利用すると、針及び縫合糸を孔中に通す技能を向上させることができ、従って、経路及び各経路中で選択されるアイレットは、比較的容易なアイレット、例えば、大きな孔を有するアイレット、直立したアイレット、剛性であり且つ外面の比較的平坦な領域に位置すると共に背景に対して全くのコントラストをなすアイレットから、より難しいアイレット、例えば、小さな孔を有するアイレット、可撓性アイレット、撓曲可能なアイレット及び背景に対して溶け込むよう着色されたアイレットまで困難さが様々であるのが良い。基部32は、上述の複数個の互いに異なる形式のアイレット34を含むキットの一部として市販可能であり、ユーザは、複数個の互いに異なるアイレットから選択し、次にかかるアイレットを所望に応じて基部32内に配置して練習のために特別に作られた経路を形成することによってアイレットを組み立てる。アイレット34及び基部32は、アイレット34を基部32の外面36を通って引き込んでアイレット34をしっかりと取り付けることができるよう構成されている。キットは、特定の練習に適した解剖学的構造を形成するよう基部にも連結可能な器官又は他の解剖学的特徴部を更に含むのが良い。
【0021】
縫合糸を通す所定の経路は、練習すべき外科的処置に基づいてあらかじめ定められているのが良い。例えば、膣円蓋を閉じる練習では、小さな孔を有するアイレットと特定の角度をなす全体として円形の経路が必要な場合がある。したがって、かかる経路は、外科医が辿るべき同色のアイレット又は基部上の印によって定められると共に印付けされるのが良い。別の外科的処置、例えば腸の吻合では、密に間隔を置いて設けられた対をアイレット対の全体として円形の大径経路が必要な場合がある。それ故、練習すべき外科的処置は、用いられるアイレットの形式並びにユーザに特定の経路を指示するこれらの配置及び印を定めるのが良い。
【0022】
アイレット34は、種々のパターンをなして且つパターン及び経路を作る形態をなして基部内に埋め込まれている。幾つかの経路の狙いは、臨床医がアイレットの全てを可視化し又は縫合糸を通すのが難しいアイレットを見落とすことなく1つの組の全てに首尾良く通すのを確認することにある。当然のことながら、アイレットは、様々な高さ及び様々な角度で配置され、その目的は、外科医が実際の縫合針又は模擬縫合針を各アイレット中に且つ特定の順序で通して各経路を修了することにある。同一プラットホーム内での技能を向上させることができる種々の技能レベル向きの互いに異なる寸法のアイレットを備えた多数の経路が存在する。練習モデル30は、腹腔鏡訓練装置10の内部に配置され、腹腔鏡がモデル30を観察するためにキャビティ12中に挿入される。縫合針及び縫合糸が孔22のうちの1つ又は組織シミュレーション領域14を通ってキャビティ12中に入れられ、縫合糸をアイレット34中に挿通させる手順は、ビデオディスプレイモニタ28上で観察され、このビデオディスプレイモニタは、腹腔鏡訓練装置10の内側に配置されると共に直接可視化から隠された三次元モデル30の二次元ビデオ表示を医師に提供する。モデル30と訓練装置10の組み合わせにより、有利には、ユーザは、縫合糸のための所望の手術経路を識別し、針を動かし、縫合糸を腹腔鏡下で多数のアイレット34に通す練習を行うことができる。
【0023】
モデル30は、交換可能なアイレット34を含むのが良く、ユーザは、自分で或る特定のアイレットを選択することができ又は或る特定の技能、難しさのレベル又は手技を練習するための外科手技の経路に対応した所定の組をなすアイレットを選択することができる。モデル30は、有利には、全ての技能レベルにとって取り組み甲斐があり且つ調節可能であり、ユーザが両手を同等に用いて経路を修了しなければならないという点で効果的である。縫合針は又、縫合針を孔中に首尾良く通すために各挿通に適切な方向に向くよう操作されなければならない。それ故、モデルは、腹腔鏡下における縫合糸挿通、組織平面の決定及び可視化という練習、アイレットの奥行き覚及び可視化という練習、器械及び針の手渡し、縫合及び組織操作に特に有用である。このモデルにより、臨床医は、自分の技能を優秀な状態に維持することができ又は実際の手術の際に首尾良い結果を得るために前もって「ウォーミングアップ」することができる。
【0024】
或る特定の実施形態を具体的に図示すると共にその例示の実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部について種々の変更を行うことができることは、当業者によって理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2015年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用訓練器具であって、
モデルを有し、前記モデルは、
外面を備えた基部と、
前記基部に連結された複数個のアイレットとを有し、前記複数個のアイレットは、経路を形成するよう前記外面に沿って構成され、前記経路は、前記経路を形成する前記複数個のアイレットのうちの1つ又は2つ以上の中への少なくとも1本の針及び縫合糸の挿通を訓練するための経路である、外科用訓練器具。
【請求項2】
各アイレットは、遠位端のところに位置していて、ネック部分に連結されたヘッド部分を有し、前記ネック部分は、前記アイレットの遠位端のところで前記基部に連結され、前記ヘッド部分は、第1の側部及び第2の側部を備えた孔平面を定める孔を有し、
前記複数個のアイレットは、前記基部に対し、少なくとも1つの孔平面が前記複数個のアイレットの少なくとも1つの他の孔平面に対して角度をなすよう構成され、少なくとも、前記複数個のアイレットのサブセットは、縫合糸及び縫合針を挿通させるよう寸法決めされている孔を備えた経路を定めている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項3】
訓練装置を更に有し、前記訓練装置は、
基部を有し、
前記基部から間隔を置いて設けられていて、前記基部との間に内部キャビティを構成するトップカバーを有し、
前記内部キャビティにアクセスするための少なくとも1つの孔又は穿通可能な領域を有し、
前記内部キャビティ内に設けられた腹腔鏡カメラを有し、前記腹腔鏡カメラは、前記腹腔鏡カメラに連結されると共に前記内部キャビティの外部に配置されたビデオモニタ上にビデオ画像を表示するよう構成されており、
前記モデルは、前記内部キャビティ内に取り外し可能に設けられ、前記モデルは、ユーザから実質的に隠されているが、前記腹腔鏡カメラが前記ビデオモニタ上の前記モデルのビデオ画像を表示することにより観察可能であり、従って、前記ユーザは、腹腔鏡下で縫合糸を前記モデルの前記アイレット中に通す練習を行うことができるようになっている、請求項1又は2記載の外科用訓練器具。
【請求項4】
前記アイレットは、前記基部の前記外面の上方に間隔を置いて設けられている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項5】
前記アイレットは、ネック部分及びヘッド部分を有し、前記ヘッド部分は、針及び縫合糸の挿通を可能にするよう寸法決めされると共に形作られた孔を備え、前記ネック部分は、前記基部に連結されるよう構成されている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項6】
少なくとも1つのアイレットは、前記外面に対して引っ込み可能であり、前記引っ込み可能なアイレットは、前記孔が前記外面に対して第1の距離を置いたところに位置する第1の位置及び前記孔が前記外面に対して第2の距離を置いたところに位置する第2の位置を有し、前記第2の距離は、前記外面の上方に前記第1の距離よりも長い、請求項5記載の外科用訓練器具。
【請求項7】
前記アイレットのうちの少なくとも1つの前記ネック部分又はヘッド部分は、傾けられている、請求項5記載の外科用訓練器具。
【請求項8】
前記アイレットのうちの少なくとも1つは、前記基部に対して回転可能である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項9】
前記経路は、同一の色を有するアイレットによって定められた所定の経路である、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項10】
前記経路は、前記基部の前記外面上に設けられた印によって定められた所定の経路である、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項11】
前記基部の前記外面は、凹状又は凸状である、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項12】
前記基部の前記外面は、湾曲している、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項13】
前記アイレットは、縫合針との接触によって撓曲可能である、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項14】
前記基部は、アイレットに及ぼされた力が前記基部の前記外面を撓ませるよう柔軟性がある、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の外科用訓練器具。
【請求項15】
前記第1の位置は、前記引っ込み可能なアイレットの前記孔が少なくとも部分的に前記外面の下に位置していることを特徴としている、請求項6記載の外科用訓練器具。
【請求項16】
前記複数個のアイレットの少なくとも1つの孔は、シリコーンで覆われている、請求項5記載の外科用訓練器具。
【請求項17】
前記少なくとも1つの引っ込み可能なアイレットは、前記第1の位置の方へ付勢されている、請求項5記載の外科用訓練器具。
【請求項18】
外科用訓練器具であって、
モデルを有し、前記モデルは、
外面を備えた基部と、
複数個のアイレットとを有し、各アイレットは、針及び縫合糸の挿通を可能にするように寸法決めされると共に形作られた孔を備え、前記アイレットは、前記孔が前記外面の上方でアクセス可能であるように前記基部に連結され、前記複数個のアイレットのうちのアイレットのサブセットは、所定の経路を形成し、前記所定の経路は、前記所定の経路を形成する前記アイレットの前記サブセットの前記孔の中への少なくとも1本の針及び縫合糸の挿通を訓練するための経路である、外科用訓練器具。
【請求項19】
前記所定の経路は、色又は印によって印付けされている、請求項18記載の外科用訓練器具。
【請求項20】
前記所定の経路は、縫合糸を腹腔鏡下で通すための所定の技能レベルに対応している、請求項18記載の外科用訓練器具。
【国際調査報告】