特表2015-532454(P2015-532454A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2015532454-腹腔鏡下手技用の外科用訓練モデル 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532454(P2015-532454A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】腹腔鏡下手技用の外科用訓練モデル
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20151013BHJP
【FI】
   G09B23/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-534762(P2015-534762)
(86)(22)【出願日】2013年9月27日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月27日
(86)【国際出願番号】US2013062363
(87)【国際公開番号】WO2014052868
(87)【国際公開日】20140403
(31)【優先権主張番号】61/707,658
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ガルセス エイミー
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA01
2C032CA06
(57)【要約】
腹腔鏡下外科的技能を練習するためのモデルが提供される。モデルは、上面のところに複数個の練習ステーションを有する。練習ステーションは、カバーを有し、このカバーは、キャビティがカバーの下に隠される第1の閉じ位置及びキャビティを露出させるようカバーが動かされる第2の開き位置を有する。カバーは、腹腔鏡下外科的技能を細かく調整する際に有用な種々の触覚応答を提供するよう多くの仕方で表面に連結される。カバーは、バイアス、柔軟性フラップ、滑りカバー、蓋、及び穿通可能なシート付きで又はなしでヒンジ留めされたドアとして構成される。取り出し可能な物体は、腹腔鏡環境内における器械の手渡し、両手の使用、器械の取り替え、組織平面の決定及び組織平面の可視化を練習するためにカバーの下でキャビティ内に隠される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用訓練器具であって、
腹腔鏡訓練装置を有し、前記腹腔鏡訓練装置は、
訓練装置基部と、
前記訓練装置基部に連結されると共に該訓練装置基部から間隔を置いて設けられていて、前記訓練装置基部との間に訓練装置内部キャビティを構成する訓練装置頂部と、
前記訓練装置内部キャビティにアクセスするための少なくとも1つの孔又は穿通可能な組織シミュレーション領域と、
前記キャビティのライブビデオを捕捉するよう構成されたスコープと、
前記スコープに連結されると共に前記キャビティの前記ライブビデオを表示するよう構成されたビデオモニタとを有し、
前記訓練装置内部キャビティ内に取り外し可能に設けられた練習モデルを有し、前記練習モデルは、前記スコープ及び前記ビデオモニタを介して観察可能であるが、少なくとも前記訓練装置頂部によって直接可視化から隠されており、前記練習モデルは、
前記腹腔鏡訓練装置の内部に設けられたときに前記訓練装置トップカバーに向かって実質的に上方に向いている上面を備えた基部を有し、前記基部は、基部の上面上に配置された2つ以上の練習ステーションを有し、各練習ステーションは、
前記上面への開口部を備えたキャビティを有し、前記キャビティは、前記上面から前記基部中に延び、
前記キャビティの配置場所で前記基部に連結されると共に前記基部に対して動くことができるカバーを有し、前記カバーは、前記基部内で前記キャビティに対する前記開口部を覆う第1の位置と、前記基部内で前記キャビティに対する前記開口部を露出させる第2の位置との間で動くことができ、
前記キャビティ内に設けられた取り外し可能な標的物体を有し、前記物体は、前記第1の位置にあるときに前記カバーの下に位置していて視界から隠され、前記物体は、前記カバーが第2の位置にあるとき、前記キャビティから取り外し可能である、外科用訓練器具。
【請求項2】
前記基部は、前記基部の前記上面に連結されると共に前記上面から上方に延びる複数個の互いに間隔を置いて設けられているペグを備えた別の練習ステーションを有し、各ペグは、特定の幾何学的形状と関連しており、前記取り外し可能な標的物体は、少なくとも1つのペグ上を通されるよう構成された開口部を有し、前記取り外し可能な標的物体は、少なくとも1つのペグの前記幾何学的形状のうちの1つと関連している、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項3】
前記基部は、結び目を作る練習を行うよう構成された別の練習ステーションを有し、該練習ステーションは、近位端が前記基部の前記上面に取り付けられた第1のストリング及び近位端が前記第1のストリングに隣接していて前記基部の上面に取り付けられた第2のストリングを有し、前記第1及び前記第2のストリングの各々は、自由遠位端を有する、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項4】
孔を備えた標的物体が前記第1及び前記第2のストリングのうちの一方上に取り外し可能に配置されている、請求項3記載の外科用訓練器具。
【請求項5】
1つの練習ステーションの前記カバーは、前記基部の前記上面にヒンジ留めされている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項6】
前記ヒンジは、前記カバーを前記上面に向かって、閉鎖された第1の位置に付勢するよう構成されている、請求項5記載の外科用訓練器具。
【請求項7】
1つの練習ステーションの前記カバーは、前記基部に締結具により前記上面のところで連結され、前記カバーは、前記基部の前記上面に沿って前記第1の位置と前記第2の位置との間で摺動するよう構成されている、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項8】
1つの練習ステーションの前記カバーは、前記基部の前記キャビティに対する前記開口部を覆ったり露出させたりするよう前記基部に対して動くことができるフラップを形成するよう前記基部の前記上面に少なくとも部分的に連結されたポリマー材料の柔軟性シートである、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項9】
前記カバーは、前記基部の前記キャビティに対する前記開口部を露出させるよう動くことができる少なくとも1つの自由縁を形成する2つの場所で前記基部に連結されている、請求項8記載の外科用訓練器具。
【請求項10】
1つの練習ステーションの前記カバーは、前記キャビティに対する前記開口部の周囲に沿って前記基部の前記上面に連結されたシリコーンのシートであり、前記キャビティは、前記シートを切断することによってアクセス可能である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項11】
1つの練習ステーションの前記カバーは、取り外し可能な蓋である、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項12】
前記カバーは、上面と、前記上面に連結されると共に該上面から突き出ていて、前記カバーを前記基部に対して動かす取っ手又はストリングとを有する、請求項1記載の外科用訓練器具。
【請求項13】
外科用訓練器具であって、
頂面及び底面を備えた基部と、
前記基部に形成されると共に前記頂面に向いた複数個の練習ステーションとを有し、各練習ステーションは、
前記基部に形成されていて、前記上面のところに位置する開口部を備えると共に前記基部中に延びるキャビティを有し、
前記基部に連結されたカバーを有し、前記カバーは、前記基部に対する前記開口部を覆う第1の位置と前記キャビティに対する前記開口部を露出させる第2の位置との間で前記基部に対して動くことができ、
前記キャビティの内部に設けられた取り外し可能な標的物体を有し、前記物体は、第1の位置にあるときに前記カバーの下に隠され、前記第2の位置にあるとき、前記キャビティから取り外し可能である、外科用訓練器具。
【請求項14】
1つの練習ステーションの前記カバーは、ドアのように構成されると共にヒンジに一端のところで連結されている、請求項13記載の外科用訓練器具。
【請求項15】
前記ヒンジは、前記カバーを前記上面に向かって、閉鎖された第1の位置に付勢するよう構成されている、請求項14記載の外科用訓練器具。
【請求項16】
1つの練習ステーションの前記カバーは、前記基部に締結具により前記上面のところで連結され、前記カバーは、前記基部の前記上面に沿って前記第1の位置と前記第2の位置との間で摺動するよう構成されている、請求項13記載の外科用訓練器具。
【請求項17】
1つの練習ステーションの前記カバーは、前記基部の前記キャビティに対する前記開口部を覆ったり露出させたりするよう前記基部に対して動くことができるフラップを形成するよう前記基部の前記上面に少なくとも部分的に連結されたポリマー材料の柔軟性シートである、請求項13記載の外科用訓練器具。
【請求項18】
前記カバーは、前記基部の前記キャビティに対する前記開口部を露出させるよう動くことができる少なくとも1つの自由縁を形成する2つの場所で前記基部に連結されている、請求項17記載の外科用訓練器具。
【請求項19】
前記基部は、前記基部の前記上面に連結されると共に前記上面から上方に延びる複数個の互いに間隔を置いて設けられているペグを備えた別の練習ステーションを有し、各ペグは、特定の幾何学的形状と関連しており、前記取り外し可能な標的物体は、少なくとも1つのペグ上を通されるよう構成された開口部を有し、前記取り外し可能な標的物体は、少なくとも1つのペグの前記幾何学的形状のうちの1つと関連している、請求項13記載の外科用訓練器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科用訓練ツールに関し、特に、腹腔鏡下手術、内視鏡下手術及び低侵襲手術に関連した(しかしながら、これらには限定されない)種々の外科的技術及び手技を教示すると共に練習させる模擬(シュミレートした)組織構造体及びモデルに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2012年9月28日に出願された米国特許仮出願第61/707,658号(発明の名称:Surgical training model for laparoscopic procedures )の優先権及び権益を主張する出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
新たな外科的技術(術式)を学習する医学生並びに熟練医は、自分達が患者としての人間に対して手術を行う資格を得る前に大がかりな訓練を受けなければならない。この訓練は、種々の形式の組織を切断し、穿通し、クランプし、把持し、ステープル留めし、焼灼し、縫合するための種々の医療器具を用いる適正な技術を教示しなければならない。訓練を受ける人(訓練生)が遭遇する場合のある場面の範囲は、広い。例えば、種々の器官並びに患者の解剖学的構造及び疾患が提示される。種々の組織層の厚さ及びコンシステンシーも又、身体の一部分と隣りの部分とでは違いがあり、しかも患者ごとに様々な場合があろう。互いに異なる手技には互いに異なる技能が要求される。さらに、訓練生は、例えば患者の体格や病態、標的組織の隣接の解剖学的景観及び景観や標的組織が容易にアクセス可能であるか比較的アクセス不能であるかという要因によって影響を受ける種々の解剖学的環境中において技術を練習しなければならない。
【0004】
外科用訓練の1つ又は2つ以上の観点について多くの教示補助具、訓練器具、模擬訓練装置(シミュレータ)及びモデル器官が利用可能である。しかしながら、遭遇する可能性があり且つ腹腔鏡下の手技、低侵襲手術手技(外科的処置)を練習する際に使用できるモデル器官又は模擬組織要素が要望されている。腹腔鏡下手術では、トロカール又はカニューレを挿入して体内腔にアクセスしたりカメラ、例えば腹腔鏡の挿入のためのチャネルを作ったりする。カメラは、ライブビデオフィードキャプチャリング画像を提供し、次にこれら画像を1つ又は2つ以上のモニタで外科医に表示する。別のトロカール/カニューレを挿入して外科用器具を挿通させる経路を作る。外科医は、ビデオディスプレイ上で標的解剖学的構造を観察しながらキーホール(鍵穴)を通って配置された器械を操作する手技を実施する。標的組織場所、例えば腹部は、典型的には、二酸化炭素ガスを送り出して体内腔に通気し又は注入して外科医により用いられるスコープ及び器具を受け入れるのに足るほど広い作業空間を作ることによって拡張される。組織腔内のガス注入圧力は、専用トロカールを用いることによって維持される。腹腔鏡下手術は、開放手技と比較した場合、多くの利点を提供する。これら利点としては、疼痛が軽いこと、出血が少ないこと、回復期間が短いことが挙げられる。
【0005】
腹腔鏡下又は内視鏡下低侵襲手術では、開放手術と比較して技能レベルの高いことが要求される。というのは、標的組織は、医師によって直接観察されることがないからである。標的組織は、小さな開口部を通ってアクセスされる手術部位の一部分を表示するモニタにより観察される。したがって、医師は、組織平面を視覚的に見定め、二次元観察スクリーン上における三次元奥行き覚、器具の手渡し、縫合、高精度切断並びに組織及び器具の操作を練習する必要がある。典型的には、特定の解剖学的構造又は手技を模倣するモデルが模擬骨盤又は腰部訓練器具内に配置され、この訓練器具では、解剖学的モデルは、医師による直接可視化(直視化)から隠されている。訓練器具に設けられたポートは、器具を通して直視化から隠された解剖学的モデルに対して行われる技術を練習するために用いられる。模擬骨盤訓練器具は、腹腔鏡下手術で用いられる基本的な技能及び典型的な技術、例えば把持、操作、切断、結び目を作ること、縫合、ステープル留め、焼灼並びにこれら基本的な技能を利用した特定の外科的処置をどのように実施するかについて外科医及び研修医を訓練する機能的且つ安価であり、しかも実用的な手段となる。模擬骨盤訓練器具は又、これら腹腔鏡下手技を実施するのに必要な医療器具を実演するための効果的な販売用ツールでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の或る特定の外科的技術を練習するのに適したモデルを提供することが望ましい。特に、模擬腹腔鏡下環境内で例えば結び目を作ること、組織を把持すること、組織を操作すること及び組織を動かすことのような手技の特定のステップ又は技術だけを分離して行うモデルが要望されている。腹腔鏡訓練モデルは、模擬腹腔鏡下環境、例えば腹腔鏡訓練装置の内側に取り外し可能に配置され、この腹腔鏡訓練装置内では、腹腔鏡訓練モデルは、直視化から少なくとも部分的に隠される。カメラ及びモニタは、その医師に対して標的モデルの可視化を提供する。技術の練習後、かかるモデルは、容易に、スピーディーに且つコストを節約した状態で繰り返し可能な訓練を可能にすることが更に望ましい。上述のことを考慮して、本発明の目的は、繰り返し可能な練習をも可能にする外科的技術を練習するためのプラットホームとなることもできる外科用訓練器具を提供することにある。模擬訓練装置の使用により、新米の腹腔鏡下術者の技能レベルが大幅に向上すると共にかかる模擬訓練装置が将来の外科医を非手術設定環境で訓練するための優れたツールであることが実証された。かかる改良されると共に真に迫った且つ効果的な外科用訓練モデルが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
腹腔鏡下手技を訓練すると共に練習するための外科用訓練器具が提供される。この外科用訓練器具は、腹腔鏡訓練装置を有する。腹腔鏡訓練装置は、訓練装置基部と、訓練装置基部に連結されると共に該訓練装置基部から間隔を置いて設けられていて、訓練装置基部との間に訓練装置内部キャビティを構成する訓練装置頂部とを有する。訓練装置内部キャビティにアクセスするための少なくとも1つの孔又は穿通可能な組織シミュレーション領域が設けられる。キャビティのライブビデオを捕捉するよう構成されたスコープが設けられ、ビデオモニタがスコープに連結されると共にキャビティのライブビデオを表示するよう構成されている。練習モデルが訓練装置内部キャビティ内に取り外し可能に設けられ、練習モデルは、スコープ及びビデオモニタを介して観察可能であるが、少なくとも訓練装置頂部によって直接可視化から隠されている。練習モデルは、腹腔鏡訓練装置の内部に設けられたときに訓練装置トップカバーに向かって実質的に上方に向いている上面を備えた基部を有する。基部は、基部の上面上に配置された2つ以上の練習ステーションを有する。各練習ステーションは、上面への開口部を備えたキャビティを有する。キャビティは、上面から基部中に延びている。カバーがキャビティの配置場所で基部に連結されると共に基部に対して動くことができる。カバーは、基部内でキャビティに対する開口部を覆う第1の位置と、基部内でキャビティに対する開口部を露出させる第2の位置との間で動くことができる。取り外し可能な標的物体がキャビティ内に設けられている。標的物体は、第1の位置にあるときにカバーの下に位置していて視界から隠され、標識物体は、カバーが第2の位置にあるとき、キャビティから取り外し可能である。
【0008】
本発明の一観点によれば、外科用訓練器具が提供される。この外科用訓練器具は、頂面及び底面を備えた基部を有する。複数個の練習ステーションが頂面に向いた状態で基部に形成されている。各練習ステーションは、基部に形成されていて、上面のところに位置する開口部を備えると共に基部中に延びるキャビティを有する。カバーが基部に連結されている。カバーは、基部に対する開口部を覆う第1の位置とキャビティに対する開口部を露出させる第2の位置との間で基部に対して動くことができる。取り外し可能な標的物体がキャビティの内部に設けられている。この標的物体は、第1の位置にあるときにカバーの下に隠され、第2の位置にあるとき、キャビティから取り外し可能である。
【0009】
本発明の別の観点によれば、腹腔鏡下手技を練習する方法が提供される。この方法は、腹腔鏡訓練装置を用意するステップを含む。腹腔鏡訓練装置は、訓練装置基部と、訓練装置基部に連結されると共に該訓練装置基部から間隔を置いて設けられていて、訓練装置基部との間に訓練装置内部キャビティを構成する訓練装置頂部とを有する。訓練装置内部キャビティにアクセスするための少なくとも1つの孔又は穿通可能な組織シミュレーション領域が設けられる。キャビティのライブビデオを捕捉するよう構成されたスコープが設けられ、ビデオモニタがスコープに連結されると共にキャビティのライブビデオを表示するよう構成されている。練習モデルが訓練装置内部キャビティ内に取り外し可能に設けられ、練習モデルは、スコープ及びビデオモニタを介して観察可能であるが、少なくとも訓練装置頂部によって直接可視化から隠されている。練習モデルは、腹腔鏡訓練装置の内部に設けられたときに訓練装置トップカバーに向かって実質的に上方に向いている上面を備えた基部を有する。基部は、基部の上面上に配置された2つ以上の練習ステーションを有する。各練習ステーションは、上面への開口部を備えたキャビティを有する。キャビティは、上面から基部中に延びている。カバーがキャビティの配置場所で基部に連結されると共に基部に対して動くことができる。カバーは、基部内でキャビティに対する開口部を覆う第1の位置と、基部内でキャビティに対する開口部を露出させる第2の位置との間で動くことができる。取り外し可能な標的物体がキャビティ内に設けられている。標的物体は、第1の位置にあるときにカバーの下に位置していて視界から隠され、標識物体は、カバーが第2の位置にあるとき、キャビティから取り外し可能である。この方法は、少なくとも1つの孔又は穿通可能な組織シミュレーション領域を通って少なくとも1つの腹腔鏡下把持器を訓練装置キャビティ中に挿入するステップを含む。1つの練習ステーションのカバーを把持器によって把持し、カバーを第1の位置から第2の位置に動かす。カバーが第2の位置にある間に、取り外し可能な標的物体をキャビティから取り外す。腹腔鏡下把持器を用いてカバーを第1の位置に維持する一方で、別の腹腔鏡下把持器を少なくとも1つの孔又は穿通可能な組織シミュレーション領域に通して訓練装置キャビティ中に挿入すると共に第2の位置にあるカバーを備えた練習ステーションのキャビティ中に挿入する。第2の位置にある練習ステーションのキャビティ内に設けられた取り外し可能な標的物体を腹腔鏡下把持器を用いたユーザによって把持して練習ステーションのキャビティから取り出す。この方法は、基部の上面に連結されると共にこの上面から上方に延びる複数個の互いに間隔を置いて設けられたペグを備えた別の練習ステーションを用意するステップを更に含む。各ペグは、特定の幾何学的形状と関連している。取り外し可能な標的物体は、少なくとも1つのペグ上を通されるよう構成された開口部を有し、取り外し可能な標的物体は、少なくとも1つのペグの幾何学的形状のうちの1つと関連している。この方法は、取り外し可能な標的物体の幾何学的形状又は色を識別して腹腔鏡下把持器を用いて標的物体を練習ステーションのキャビティから動かし、標的物体を対応の幾何学的形状又は色を備えたペグ上を通すステップを含む。この方法は、基部に設けられていて、腹腔鏡下把持器を用いて結び目を作ったりほどいたりする練習を行うよう構成された別の練習ステーションを用意するステップを含む。この練習ステーションは、近位端が基部の上面に取り付けられた第1のストリング及び近位端が第1のストリングに隣接していて基部の上面に取り付けられた第2のストリングを有する。第1及び第2のストリングの各々は、自由遠位端を有する。取り外し可能な標的物体がストリングのうちの1本の上を通される。この方法は、結び目をほどき、標的物体をストリングから取り外し、標的物体をペグのうちの1本上に配置するステップを含む。この方法は、標的物体と関連した幾何学的形状又は色を識別し、標的物体をストリングから、標的物体の関連の幾何学的形状又は色に対応した関連の幾何学的形状又は色を備えたペグ上に動かすステップを含む。この方法は、可撓性又は柔軟性カバーを保持する一方で、標的物体を取り外すステップを含む。この方法は、外科用器械でカバーを穿通して基部ステーションのキャビティにアクセスし、それによりキャビティの内部に配置された標的物体を取り外すステップを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の外科用訓練装置の上から見た斜視図である。
図2】本発明の訓練モデルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られた外科用訓練器具10が図1に示されている。外科用訓練器具10は、ユーザから実質的に隠されると共に本明細書に記載する模倣され若しくは生きている組織並びにモデル器官若しくは訓練モデル等を受け入れるよう構成された本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12にはユーザが器具及び器械を用いて本体キャビティ12内に見えるように設けられた組織又は器官モデルに対して手術法を実施することにより穿通される組織模擬領域14を介してアクセスされる。本体キャビティ12は、組織模擬領域を通ってアクセス可能であるものとして示されているが、変形例として、手を使ったアクセス器具又は単一部位ポート器具を用いて本体キャビティ12にアクセスしても良い。例示の外科用訓練器具が2011年9月29日に出願された米国特許出願第13/248,449号明細書(発明の名称:Portable Laparoscopic Trainer)に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。外科用訓練器具10は、腹腔鏡下又は他の低侵襲手術手技を練習するのに特に好適である。
【0012】
依然として図1を参照すると、外科用訓練器具10は、少なくとも1つの脚部20によって基部18に連結されると共にこの基部から間隔を置いて設けられたトップカバー16を有している。外科用訓練器具10は、患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られている。トップカバー16は、患者の前方表面を表しており、トップカバー16と基部18との間の空間は、器官が存在する患者の内部又は体内腔を表している。外科用訓練装置10は、患者が手術手技を受ける場合の模擬(シミュレーション)において種々の手術手技及びこれらと関連した器械を教示し、練習し、そして実証するための有用なツールである。外科用器械は、組織模擬領域14を通ると共にトップカバー16にあらかじめ設けられた孔22を通って又はトップカバー16と基部18との間で側部からキャビティ12中に挿入される。種々のツール及び技術を用いてトップカバー16を穿通し、それによりトップカバー16と基部18との間に配置された模擬器官又は訓練モデルに対して模擬手技を実施することができる。基部18は、訓練モデルをステージングし又は保持するためのモデル受け入れ領域24又はトレーを有する。基部18のモデル受け入れ領域24は、モデル(図示せず)が外科用器械によって操作されている間にモデルが滑ってあちこちに行かないようにするようモデルを定位置に保持するフレーム状要素を有している。訓練モデルを基部18上に保持するのを助けるため、引っ込み可能なワイヤに取り付けられたクリップが場所26のところに設けられている。引っ込み可能なワイヤは、伸長され、次にクリップ留めされてモデルを組織模擬領域14の実質的に下の定位置に保持する。モデルを保持する他の手段としては、モデル受け入れ領域24内で基部18に取り付けられたフック・アンド・ループ式(所謂マジックテープ(登録商標)式)締結材料のパッチ(VELCRO(登録商標))が挙げられ、このフック・アンド・ループ式締結材料のパッチは、モデルに取り付けられたフック・アンド・ループ式締結材料の補足し合う小片(VELCRO(登録商標))に取り外し可能に連結可能である。
【0013】
トップカバー16にヒンジ留めされたビデオディスプレイモニタ28が図1に閉じられた向きで示されている。ビデオモニタ62は、画像をモニタに送る種々の視覚的システムに接続可能である。例えば、あらかじめ設けられた孔22又はキャビティ12内に設けられたウェブカム(ウェブカメラ)のうちの一方を通って挿入され、そして模擬手技を観察するために用いられるスコープをビデオモニタ28及び/又はモバイルコンピューティング装置に接続して画像をユーザに提供するのが良い。また、音声記録又は送り出し手段も又提供されて訓練装置10と一体化され、それにより音声及び視覚的機能を提供するのが良い。携帯式記憶装置、例えばフラッシュドライブ、スマートフォン、ディジタルオーディオ若しくはビデオプレーヤ又は他のディジタルモバイル装置も又実証目的で訓練手技を記録すると共に/或いはあらかじめ記録された映像をモニタ上にプレイバックするために設けられる。当然のことながら、音声視覚的出力をモニタではなく大型スクリーンに提供する接続手段が設けられる。別の変形例では、トップカバー16は、ビデオディスプレイを備えておらず、ラップトップ型コンピュータ、モバイルディジタル装置又はタブレット、例えばIPAD(登録商標)を支持し、これをワイヤ又はワイヤレスで訓練装置に接続する手段を含む。
【0014】
組立て時、トップカバー16は、脚部20が実質的に周囲に沿って配置されると共にトップカバー16と基部18との間に相互に連結された状態で基部18の真上に位置決めされる。トップカバー16と基部18は、実質的に同一の形状及び寸法のものであり且つ実質的に同一の周囲外形を有している。訓練装置10は側壁を備えていないが、脚部20は、内部キャビティを別の片開き訓練装置10からの視界から部分的に隠している。図1に示されている変形例では、脚部20は、周囲光が内部キャビティをできるだけ多く照明することができ、しかも有利には、携帯性に都合がいいようにできるだけ軽量化をもたらすために開口部を有している。トップカバー16は、脚部20から取り外し可能であり、脚部20は、基部18に対して取り外し可能であり又は基部18に対してヒンジ等により折り畳み可能である。したがって、非組立て状態の訓練装置10は、携帯を容易にする減少高さを有している。本質的には、外科用訓練装置10は、ユーザからは隠されている模擬本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12は、少なくとも1つの組織模擬領域14及び/又はトップカバー16又は側部に設けられた孔22を介してアクセス可能である少なくとも1つの手術モデルを受け入れるよう構成されており、ユーザは、孔22を通ってモデルにアクセスして腹腔鏡下又は内視鏡下低侵襲手術法を練習することができる。
【0015】
本発明の腹腔鏡下又は開放手技及び開放技術の練習のためのモデル30が図2に示されている。モデル30は、上述した外科用訓練器具10又は他の同様な外科用訓練装置内に配置されるよう構成されている。モデル30は、基部32及び基部32の上面36に連結された複数個の練習ステーション34を有している。5つの練習ステーション34a,34b,34c,34d,34eが図2に示されており、各練習ステーションは、伝統的な腹腔鏡器械を採用した個々の外科的技術又は作業を練習するよう構成されている。
【0016】
基部32は、モデル30の残部の底部支持体としての役目を果たすプラットホームであり、この基部は、モデル30が倒れることがないよう寸法決めされると共に形作られている。プラットホームは、任意の材料、例えば金属又はプラスチックで作られる。基部32は、ユーザによって操作されている間、直立位置においてモデル30の安定性を維持するのに十分な重さのものである。モデル30は、モデル受け入れ領域24の場所で外科用訓練装置10の本体キャビティ12内に配置されるよう寸法決めされると共に形作られている。基部32の下側は、モデル30を外科用訓練装置10の内部に取り付けるための手段を備えている。モデル30を訓練装置10の内部に取り付けるためのかかる手段としては、接着剤、吸引カップ、スナップ嵌め、磁石、及びフック・アンド・ループ式締結材料(面ファスナ)が挙げられるがこれらには限定されず、フック・アンド・ループ式締結材料は、基部32の底面に取り付けられ、外科用訓練装置10の基部18に取り付けられた補足し合うフック・アンド・ループ式締結材料又は接着剤と結合するよう構成されている。
【0017】
第1の練習ステーション34aは、基部32に連結されると共に基部32の上面36から上方に延びる1つ又は2つ以上のペグ又はポスト38を有する。ペグ38は、形状が細長く且つ円筒形であるが、本発明は、これには限定されず、ペグは、任意形状及び寸法のものであって良い。練習ステーション34aは、ペグ38のうちの1つに嵌まるよう寸法決めされると共に構成された孔42を備えた物体40を有する。物体40を配置するには、物体40の孔42がペグ38の形状と整列するよう物体を差し向ける必要がある場合がある。一変形例では、種々の断面形状を有するペグ38がペグ38の形状に対応した孔42を有する物体と一緒に設けられる。複雑な多角形ペグ38及び対応の多角形の形をした孔42を備えた物体40では、例えば、ユーザは、物体40を操作してこの孔を対応の形をしたペグ38のうちの1つの上を通過させることができるようにする必要がある。この練習の際、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された外科用器械、例えば、腹腔鏡下把持器を用いて物体40を把持し、そしてこれを1つのペグ38から持ち上げ、そしてこれを別のペグ38上に且つこの上に配置し、物体40の孔42がペグ38と整列してペグ38に嵌まるようにする。一変形例では、複数個のペグ38に関し、各ペグ38は、異なる高さを有する。ペグ38の様々な高さにより、ユーザは、物体40を配置しながら奥行き覚を練習することができる。別の訓練手技では、ペグ38は、図2に示されているのと同一の断面形状を有するのが良く、基部32の上面36には種々の形状76が描かれている。他の練習ステーションのうちの任意のもの、例えばステーション34b,34c,34dから取り出された物体40,60,68を取り出された物体の形状に対応したペグ38の下の描かれた形状を有するペグ38上に配置されるのが良い。
【0018】
第2の練習ステーション34bは、カバー44を有する。カバー44は、ヒンジ46を介して基部32に連結されている剛性ドア44であり、ドア44は、ドア44の外面に連結されたノブ48を更に有するのが良い。ヒンジ46は、ドア44が閉鎖位置に付勢されるようばね押しされるのが良い。ドア44の下には、ドア44が閉じられたとき、視界から隠される物体(図示せず)を収容するのが良いキャビティ(図示せず)が設けられている。キャビティは、基部32内に形成され、かかるキャビティは、任意形状又は寸法及び深さのものであって良い。キャビティは、ドア44を動かしたときに、ドア44の下に位置するキャビティが露出されるよう上面36に向かって開口する。この練習の際、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された外科用器械、例えば、腹腔鏡下把持器を用いてノブ48又はドア44を把持してこれを揺動させて閉鎖位置から開く。キャビティがドア44の下に設けられている場合、ユーザは、ドア44を開き位置に維持しなければならず、その間、別の手で別の器械を用いてキャビティ内に配置された物体を把持してこれを取り出す。一変形例では、ストリング50がノブ48又はドア44に取り付けられており、それによりユーザは、ノブ48又はドア44ではなくストリング50を把持してドア44を揺動させてこれを開き状態に保持することができる。物体は、第1のステーション34aのところでペグ38上に配置されるのが良く、その結果、物体は、物体と関連した形状に一致した形状76を有するペグ38上に配置される。
【0019】
第3の練習ステーション34cは、コネクタ54により基部32の頂面に連結されたカバー52を有し、カバー52は、カバー52の外面に連結されたノブ56を更に有するのが良い。コネクタ54は、締結具であり、かかる締結具によりカバー44は、基部32の上面36に沿ってこの締結具周りに摺動し、揺動し又は回動し、それにより物体60がオプションとしてキャビティ58の内部に配置された状態でカバー52の下のキャビティ58を露出させることができる。キャビティ58から取り出された物体60を次に物体60の形状に一致したペグ38上に配置するのが良い。キャビティ58は、基部32中に形成され、このキャビティは、任意形状又は寸法及び深さのものであって良い。深いキャビティは、物体60を取り出す困難さのレベルを増大させることができる。キャビティ58は、曲がりくねっていても良く又は壁によって視界から隠された一部分を有しても良く、その結果、ユーザは、物体60がキャビティ58内で壁の背後に隠れているかどうかを認識するための器械を用いて障害物周りに到達しなければならない。キャビティ58は、上面36に向かって開口し、その結果、カバー52がキャビティ58を覆っている第1の位置からキャビティ58を露出させる第2の位置に動かされると、キャビティ58に対する開口部並びにキャビティ58内に配置された物体60がユーザに現れるようになる。この練習の際、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された外科用器械、例えば、腹腔鏡下把持器を用いてノブ56又はカバー52を把持してこれを回し又はこれを摺動させて第1の閉じ位置から第2の開き位置に至らせる。キャビティ58がカバー52の下に設けられている場合、ユーザは、キャビティ58の内部に到達し、同じ把持器で又はユーザの逆の手に保持された別の把持器を用いて物体60を把持して物体60をキャビティ58から取りだし、そしてこれを片側に配置し又はこれを訓練装置10から取り出すのが良い。変形例として、物体60は、第1のステーション34aのところでペグ38上に配置されても良く、その結果、物体60は、物体60と関連した形状に一致した形状76を有するペグ38上に配置される。
【0020】
第4の練習ステーション34dは、基部32に連結されたカバー62を有する。カバー62は、軟質材料、例えばシリコーン又は織物のシートで作られている。カバー62は、組織をシミュレートするよう構成された材料、例えば、メッシュ又は織物補強材を含むのが良いシリコーン又は他のポリマーシートで作られても良い。カバー62は、フラップ62が形成されるよう基部32に連結されている。フラップは、カバー62の少なくとも一縁部又は一部分が上面36から持ち上げられ又は分離可能であるほど十分に自由であることに起因して得られる。ステーション34dのカバー62は、2つの締結具64を備えた基部32に連結された状態で示されており、後には、フラップ62の下に配置されたキャビティ66を露出させるよう把持可能であると共に上面36から遠ざけることができ又は引き伸ばすことができる材料の少なくとも1つの縁が残される。締結具64は、ねじ又はピンであり、任意の個数を用いて可動フラップを形成することができる。一変形例では、フラップ62の少なくとも一部分を基部32の上面36に連結するために接着剤が用いられる。フラップ62の少なくとも一部分が基部32に取り付けられ、その結果、フラップ62の少なくとも一部分を上方に動かすことができ又は持ち上げることができ、それによりフラップ62の下に位置するキャビティ66を露出させることができる。フラップ62は、弾性であるのが良く、これを持ち上げているときに引き伸ばし可能であり又は本物の組織を真似るよう作られるのが良い。キャビティ66は、基部32内に形成され、このキャビティは、任意形状又は寸法及び深さのものであって良い。物体68がキャビティ66の内部に設けられている。この練習の際、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された外科用器械、例えば、腹腔鏡下把持器を用いて基部32に取り付けられていないフラップ62の自由端を把持し、そして本体キャビティ12内の手技のライブ画像を示すビデオディスプレイ28上のモデル30を観察しながらフラップ62のこの自由端を引いてキャビティ66及びこのキャビティ66内の物体68を露出させる。キャビティ66がフラップ62の下に設けられている場合、ユーザは、フラップ62を片手で把持器を持ってキャビティ66を露出させる開き位置に維持し、他方、逆の手で第2の把持器を用いて物体68をキャビティ66から取り出す。図2は、ユーザが自分の指を用いてフラップ62を引いてこれを開き状態に保持し、それによりフラップ62の下のキャビティ66内の物体68を露出させている状態を示している。当然のことながら、物体68は、第1のステーション34aのところでペグ38上に配置されても良く、その結果、物体68は、物体68と関連した形状と一致する形状76を備えたペグ38上に配置される。練習ステーション34dの一変形例では、カバー62は、上面から持ち上げ可能なフラップ又は自由縁を備えておらず、その代わりに、可撓性又は柔軟性カバー62がキャビティ66を完全に覆うと共にこれを封止する。かかる変形例では、カバー62は、キャビティ66にアクセスするよう組織中に作られた外科的創をシミュレートするようフラップを作るために切断して開くことができる穿通可能な材料、例えばシリコーンのシートで作られる。
【0021】
第5の練習ステーション34eは、キャビティ72の上方に配置された蓋の形態をしているカバー70を有する。蓋70は、ノブ74を有するのが良い。カバー70は、下に位置するキャビティ72を完全に覆うと共にこれを隠すよう寸法決めされ、このカバーは、任意形状のものであって良く、このカバーは、蓋70をキャビティ72の上方の定位置に保つのを助けるために蓋70の下面に設けられた突出部を有するのが良い。この練習の際、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された外科用器械、例えば、腹腔鏡下把持器を用いて蓋70を把持する。ユーザは、蓋70又は蓋70に連結されたノブ74を把持するのが良い。ユーザは、蓋70を持ち上げてこれを第1の位置から、下に位置するキャビティ72及びキャビティ72内に配置された物体(図示せず)を露出させる第2の位置に至らせる。同じ把持器を用いて蓋72を脇に配置した後に物体を取り出すことができ、又は、変形例として、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側中に挿入されて逆の手で保持された別の把持器を用いてキャビティ72内に見受けられる物体を取り出してこれを引き出しても良い。当然のことながら、物体は、第1のステーション34aのところでペグ38上に配置されても良く、その結果、この物体は、物体68と関連した形状と一致する形状76を備えたペグ38上に配置される。
【0022】
図2には示されていない第6の練習ステーションでは、2本のストリングが基部32に連結されている。ストリングは、上面36へのこれらの連結箇所が互いに間隔を置いて位置するよう基部32の上面36に取り付けられている。各ストリングは、自由遠位端を有すると共にその取り付け箇所からその自由遠位端まで測定して長さが約1〜3インチ(2.54〜7.62cm)のストリングの長さを有する。ストリングは、交換可能であるのが良く、これらストリングは、長さが3インチ(7.62cm)〜10インチ(25.40cm)の範囲にあり、困難さのレベルを変えるために種々の厚さを有する。この練習の際、ユーザは、孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された外科用器械、例えば、腹腔鏡下把持器を片手で用いて第1のストリングの自由長さ分を掴むと共に孔22、模擬組織穿通領域14又は訓練装置10の側部中に挿入された第2の外科用器械、例えば腹腔鏡下把持器を他方の手で用いて第2のストリングの自由長さ分を把持する。ストリングの両方の長さ分を保持して、ユーザは、2本のストリングを結び目、例えば縫合糸結び目を作る仕方で操作する。この練習の変形例では、孔を備えた物体40がストリング上に配置され、結び目が物体40の上方であらかじめ作られている。次に、ユーザは、結び目をほどいて物体40を取り外す練習を行う。物体40は、ペグ38のうちの1つの下に位置する形状に一致した形状を有するのが良い。次に、ユーザは、物体40を物体40と同一の形状を有するペグ38上に動かす。各ストリングは、両方のストリングが同一の色である場合よりも結び目を作り又はほどくことが容易である異なる色を有するのが良い。
【0023】
上述の練習ステーションでは、キャビティが各可動物体の下に形成されても良く、或いは形成されなくても良い。さらに、各キャビティは、寸法及び形状並びに深さに関して、上面36とは異なっていても良く、それによりユーザは、物体を取り出す際に奥行き覚を練習することができる。各キャビティは、1つ又は2つ以上の物体を収容することができ、物体のうちの1つは、取り出されるべき標的又は所望の物体である。キャビティ内部では、物体をキャビティから自由にするために実施される必要のある切断練習が行われるのが良く、このためには、ユーザは、例えば器械を取り替えて外科用小刀又は他の切断器械を用いる必要がある。物体は、ユーザが同一色の物体を全て取り出さなければならないよう色分けされているのが良い。また、一変形例では、標的物体は、各キャビティ内に配置されず、このために、ユーザは、キャビティ内の標的物体を見出す前に多数の可動物体を持ち上げることにより標的物体を探す必要がある。ユーザは、2個以上の標的物体の収集を始めることができる。また、任意の数の練習が1つの基部32内で行われるのが良く、これら練習は、困難さを増大させる特定のシーケンスで実施されるのが良い。例えば、必要に応じて第2のステーション34bで物体を取り出しながら第5のステーション34eの蓋70を持ち上げることは、フラップドアを開いた状態に保持するよりも実施するのが容易な場合がある。また、種々の物体を用いることができ、これら物体は、任意形状のものであって良い。例えば、物体は、円筒形、たが状であっても良く、多形性であって良く、これら物体は、操作に関するユーザの器用さを高めることができる表面構造部、例えば穴又は突起を有するのが良い。
【0024】
モデル30が腹腔鏡訓練装置10のキャビティ12の内部に配置された状態で、外科用器械の遠位端がポート22、孔14及び/又は訓練装置10の側部を通ってキャビティ12内に延びた状態で操作を実施する。器械の遠位端を訓練装置10の外部に位置するユーザの手で制御する。モデル30がユーザの直接観察から隠された状態で、ユーザは、キャビティ12中に挿入されたスコープを介してライブフィードを提供するビデオスクリーン上でモデル30に対する自分の操作を観察する。このセットアップは、実際の手術で遭遇する繰り返し可能なステップを実施する際の困難度を増大させて医師の腹腔鏡下外科的技能を高める。
【0025】
モデル30は、有利には、ユーザが両手を同等に且つ同時に又は並行して用いて練習ステーションの練習のうちの幾つかを修了する点で取り組み甲斐があると共に効果的である。ストップウォッチタイマをモデルに連結して速度を競争的に記録し又は進捗状況について評価することができるようにするのが良い。それ故、モデル30は、種々の腹腔鏡下技術の練習に有用であり、かかる技術は、組織平面の決定及び可視化、奥行き覚の練習、手と目の協調、器械の手渡し、両手の使用、器械の取り替え、結び目を作ること及び組織の操作を含む。このモデルにより、臨床医は、自分の技能を優秀な状態に維持することができ又は実際の手術の際に首尾良い結果を得るために前もって「ウォーミングアップ」することができる。
【0026】
或る特定の実施形態を具体的に図示すると共にその例示の実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部について種々の変更を行うことができることは、当業者によって理解されよう。
図1
図2
【国際調査報告】