(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532528(P2015-532528A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】冷却用組立体
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20151013BHJP
【FI】
H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-534447(P2015-534447)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(85)【翻訳文提出日】2015年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012057739
(87)【国際公開番号】WO2014051604
(87)【国際公開日】20140403
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,デイヴィッド・アレン
(72)【発明者】
【氏名】フランツ,ジョン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】カーダー,タヒル
(72)【発明者】
【氏名】サボッタ,マイケル・ローレンス
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA05
5E322AA10
(57)【要約】
冷却システムと併用可能な組立体を提供する。この組立体は、支持部材、流路、及び流体制御機構を備える。支持部材は、熱部材を受け入れるように形成される受入要素を有する。流路は、支持部材に形成され、かつ流体を運ぶように構成される。流体制御機構は、流路に沿って流体の流れを制御するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システムと併用可能な組立体において、
熱部材を支持する支持部材であって、熱部材を受け入れるように形成される受入要素を有する支持部材と、
該支持部材に形成され、かつ流体を運ぶように構成される流路であって、前記流体を受け入れて、熱部材の全体に前記流体を分配して、さらに、熱部材から前記流体を除去するように構成される流路と、
前記流路に沿って前記流体の流れを制御するように構成される流体制御機構と
を備えている組立体。
【請求項2】
前記流路が、
前記流体を受け入れて熱部材の全体に分配するように構成される流入路部と、
熱部材に接続可能とすると共に熱部材から前記流体を除去するように構成される流出路部と、
前記流入路部及び前記流出路部間で延び、かつ熱部材の全体に前記流体を運ぶように構成される冷却路部と
をさらに有している、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記支持部材が基部と該基部に接続可能なカバー部とを有している、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記受入要素に接続される熱部材であって、一方側の冷却ピン配列要素及び反対側の噛合要素を有する熱部材をさらに備え、
前記冷却ピン配列要素が、前記熱部材から前記受入要素に向かって延び、かつその全体に渡って前記流体を受け入れるように構成され、
前記噛合要素が、伝熱ブロックに隣接する位置であって、前記伝熱ブロックが前記噛合要素を介して電子装置から前記熱部材に熱を伝達し、さらに、前記流体が前記冷却ピン配列要素と接触して当該熱を除去する、位置に配置されている、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記支持部材に接続される熱作動弁であって、前記支持部材から流出する前記流体の温度を制御するように構成される熱作動弁をさらに備えている請求項4に記載の組立体。
【請求項6】
前記熱作動弁が、弁取付具、該弁取付具を受け入れるワックス部材を有する弁体、及び伸縮により前記弁体の移動を制御する弾性部材を含み、
前記ワックス部材が前記熱部材中の前記流体の温度上昇に伴って膨張し、かつ前記ワックス部材の膨張によって前記弁体が前記熱部材に進入可能となることによって、前記熱部材の全体を流れる前記流体の量が増加するように構成され、
前記ワックス部材が前記熱部材中の前記流体の温度低下に伴って収縮し、かつ前記ワックス部材の収縮によって前記弁体が退避可能となることによって、前記支持部材の全体を流れる前記流体の量が減少するように構成されている請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記流体制御機構が、前記熱部材の全体に前記流体を均等に分配するように前記流路内で延びる突起を有している、請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
複数の熱部材を支持する支持部材であって、支持部材に複数の受入要素が形成され、該複数の受入要素のそれぞれが前記複数の熱部材のうち1つの熱部材を受け入れるように構成されており、前記複数の熱部材のそれぞれが冷却ピン配列要素を有し、該冷却ピン配列要素が、前記複数の熱部材のそれぞれから対応する前記受入要素に向かって延び、かつその全体に渡って流体を受け入れて熱を除去するように構成される、支持部材と、
前記支持部材に形成され、かつ前記流体を運ぶように構成される流路であって、前記流体を受け入れて前記複数の熱部材の全体に分配するように構成される流入路部、及び前記複数の熱部材のそれぞれに接続可能とすると共に前記複数の熱部材から前記流体を除去するように構成される流出路部を有する流路と、
該流路内に位置し、かつ前記複数の熱部材の全体に渡って前記流体の流れを制御するように構成される流体制御機構と
を備えている冷却システム。
【請求項9】
前記複数の熱部材のそれぞれが噛合要素をさらに有し、
前記冷却ピン配列要素が前記複数の熱部材のそれぞれにおける一方側に配置され、
前記噛合要素が前記複数の熱部材のそれぞれにおける反対側に配置され、
前記1つの熱部材が、伝熱ブロックに隣接する位置であって、前記伝熱ブロックが前記噛合要素を介して電子装置から前記1つの熱部材に熱を伝達し、かつ前記流体が前記冷却ピン配列要素と接触して前記複数の熱部材のそれぞれから前記流体に当該熱を伝達する、位置に配置されている、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記流体を受け入れるように構成される流入部材と、
前記流体を除去するように構成される流出部材と
をさらに備えている請求項8に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記流入路部及び前記流出路部間で延びる複数の冷却路部をさらに備え、
前記複数の冷却路部のそれぞれが、前記複数の受入要素のうち1つの受入要素及び前記複数の熱部材のうち1つの熱部材間に形成されることによって、前記流体が前記複数の熱部材の全体に分配されるように構成されている請求項8に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記流出路部からの前記流体を再循環させると共に前記流入路部に前記流体を提供するため、前記流出路部及び前記流入路部間に熱交換器をさらに設けることによって、前記流体が前記流出路部から前記熱交換器に運ばれ、前記熱交換器が前記流出路部からの前記流体の温度を低下させ、さらに、温度低下した前記流体が前記流入路部に運ばれるように構成されている請求項8に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記1つの熱部材における前記冷却ピン配列要素を流れる流体の温度に基づいて前記流体の温度を制御するため、前記複数の熱部材のそれぞれに対して少なくとも1つの熱作動弁をさらに設けることによって、前記流体の温度が調節されるように構成され、
前記熱作動弁が、弁取付具、該弁取付具を受け入れるように構成されるワックス部材を有する弁体、及び伸縮により前記弁体の移動を制御するように構成される弾性部材を含み、
前記ワックス部材が前記1つの熱部材における前記流体の温度上昇に伴って膨張し、かつ前記ワックス部材の膨張によって前記弁体が前記1つの熱部材に進入可能となることによって、前記1つの熱部材の全体を流れる前記流体の量が増加するように構成され、
前記ワックス部材が前記1つの熱部材における前記流体の温度低下に伴って収縮し、かつ前記ワックス部材の収縮によって前記弁体が退避可能となることによって、前記支持部材全体を流れる前記流体の量が減少するように構成されている請求項8に記載の冷却システム。
【請求項14】
電子装置を冷却する方法であって、
前記電子装置からの熱を冷却システムにより受けるステップであって、前記冷却システムが、熱部材を支持する支持部材と、該支持部材に形成され、かつ流体を運ぶように構成される流路であって、前記流体を受け入れ、前記熱部材の全体に前記流体を分配し、さらに、前記熱部材から前記流体を除去するように構成される流路と、該流路に沿って前記流体の流れを制御するように構成される流体制御機構と、前記電子装置からの熱を受ける伝熱ブロックに隣接して配置される熱部材であって、冷却ピン配列要素を一方側に設け、かつ該冷却ピン配列要素を前記受入要素に向かって延びるように形成した熱部材とを備える、ステップと、
前記流路を介して前記流体を前記熱部材の全体に分配するステップであって、前記流体が前記冷却ピン配列要素を覆うように分配され、かつ前記流体及び前記冷却ピン配列要素の接触に伴って前記熱が前記熱部材から前記流体に伝達される、ステップと、
前記流路を介して前記熱を帯びた前記流体を前記熱部材から除去するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記熱部材から熱交換器に前記流体を運び、前記熱交換器を用いて前記流体の温度を低下させ、かつ前記熱交換器からの前記流体を前記熱部材の全体に戻すことによって、前記流体を再循環させるステップをさらに含む請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子装置には、温度に関する必要条件が存在する。電子装置の使用に起因する熱は、冷却システムを用いて制御される。冷却システムの例としては、空気冷却式のもの、液体冷却式のもの等が挙げられる。
【発明の概要】
【0002】
本開示における非限定的な実施形態は、以下の説明のように記載されていて、添付図面を参照しながら読み取ることができるが、これらは特許請求の範囲を限定するものではない。図面において2つ以上の図面に現わした同一及び類似の構造、要素、又は部品については、典型的には、それぞれを現わした図面において同じ又は類似の符号を付している。図面に示す構成要素及び特徴の寸法は、主として表示の便宜を図るため及び明確化を図るために定められていて、必ずしも正確な縮尺とはなっていない。ここで、添付図面について次に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】一実施形態において冷却システムと併用可能な組立体のブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る組立体における流体の流れの模式図である。
【
図4A】一実施形態に係る組立体の一部の分解図である。
【
図4B】一実施形態に係る組立体の一部の断面図である。
【
図4C】一実施形態における
図4Bの熱作動弁の拡大図である。
【
図5】一実施形態における冷却システムのブロック図である。
【
図6A】一実施形態における
図5の冷却システムの模式図である。
【
図6B】一実施形態における
図6Aの冷却システムの拡大図である。
【
図7】一実施形態における
図5の冷却システムの斜視図である。
【
図8】一実施形態における電子装置を冷却する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な説明においては、本明細書の一部を構成すると共に、本開示を実施可能な特定の実施形態を一例として示した添付図面を参照されたい。しかしながら、他の実施形態を利用してもよく、本開示の範囲から逸脱することなく構造的又は論理的な変更を行ってもよいものと理解すべきである。
【0005】
電子システムの設計においては、電力密度、空間レイアウト、温度条件、音響ノイズ等の要素間の対立を調整する必要がある。空気冷却システムは、通常、ヒートシンク及びファンを用いて「廃棄」熱をシステムから除去するようになっている。ヒートシンク及びファンを用いると、電子システムの電子装置を動作させるために必要な電力が増大することと共に、音響ノイズが大きくなり過ぎること、及びシステム密度が低くなることが起こる場合がある。液体冷却は、空気冷却よりも高効率となる可能性がある。しかしながら、液体冷却では、通常、電子装置に配管接続体が含まれる。液体が配管接続体を流れると、電子装置における液体漏れの危険性が生じる。
【0006】
本実施形態においては、冷却システムと併用可能な組立体が提供される。この組立体は、電子装置に接続されるようになっている。電子装置からの熱は、ドライディスコネクト(dry disconnect)を介して組立体に伝達される。この組立体は、支持部材、流路、及び流体制御機構を備えている。支持部材は、熱部材を支持するように構成されている。また、支持部材は、熱部材を受け入れるように形成された受入要素を有する。流路は、支持部材に形成され、かつ流体を運ぶように構成されている。流体制御機構は、流路に沿って、流体の流れを制御するように構成されている。電子装置から熱部材に熱が伝達され、熱部材と接触した流体が熱部材から熱を除去し、その流体が流路を介して組立体から除去されることとなる。この組立体は、電子装置の外部に配置されて、電子装置から離れて液体冷却を行うことができるので、電子装置における流体漏れの危険性を低減することができる。
【0007】
図1は、一実施形態において、冷却システムと併用可能な組立体100のブロック図である。組立体100は、支持部材120、受入要素130、流路140、及び流体制御機構160を備えている。支持部材120は、電子装置に近接又は隣接して配置された構造部材となっている。支持部材120は、熱部材を支持するように構成されている。また、支持部材120は受入要素130を有している。受入要素130は、熱部材を受け入れるように形成されている。熱部材は、別の熱伝導材料と接触して設けられた場合にそこからの熱を受ける熱伝導材料を含むように形成された構造体となっている。例えば、熱部材は、電子装置からの熱を受けるようになっている。
【0008】
流路140は、支持部材120内に形成され、かつ流体を運ぶように構成されており、かかる流路140は、流体を受け入れ、熱部材全体に流体を提供及び/又は分配し、さらに、熱部材及び/又は支持部材120から流体を除去するように構成されている。また、流路140は、支持部材120の構成に応じて、1つ又は複数の閉鎖流路部又は閉鎖部を有していてもよい。流体制御機構160は、流路140に沿って形成されるか、又は流路140内に形成されていて、流体の流れを制御するようになっている。例えば、流体制御機構160は、熱部材間において流体を均等に分配するようになっている。
【0009】
図2〜
図4Cは、本実施形態に係る
図1の組立体100をさらに示した図である。
図2は、一実施形態に係る組立体100の分解図である。かかる組立体100は、支持部材120、受入要素130、流路140、及び流体制御機構160を備えている。
【0010】
図2を参照すると、支持部材120が、基部222、及び該基部222に接続可能なカバー部224を有している。基部222及びカバー部224は、例えば、当該基部222及びカバー部224を併せて保持するように構成されるクリップ、接着性ガスケット、及び/又はネジ等の締結具220を用いて、相互に接続されていてもよい。図中には、支持部材120の縁部及び/又は内側部に沿って位置する複数の締結具220が示されている。締結具220の配置は、支持部材120、基部222、及びカバー部224の構成に応じて変更されてもよい。また、ガスケット等の密封用部材226を用いると、流体密封が得られることとなる。
【0011】
組立体100は、熱部材230をさらに備えている。支持部材120は、熱部材230を受け入れるように形成された受入要素130を介して、熱部材230を受け入れるように構成されている。
図2においては、熱部材230の下側に受入要素130が示されており、受入要素130は、熱部材230を受け入れるか又は熱部材230と噛み合うように構成されている。熱部材230は、例えば、当該熱部材230及び受入要素130の少なくとも一方並びに/又はネジ等の締結具220の表面に分配した接着剤によって、所定の位置に保持されている。
【0012】
図2は、流体密封をもたらす基部222及びカバー部224間における密封用部材226を示している。密封用部材226は、ガスケット等の別のシールであってもよいし、支持部材120の構造に組み込まれてもよい。
図4Aには、流体密封をもたらす基部222及び熱部材230間における密封用部材226の別の例が示されている。
【0013】
熱部材230においては、一方側に冷却ピン配列要素232が設けられ、反対側に噛合要素234が設けられている。冷却ピン配列要素232は、熱部材230から熱を除去するようになっている。また、冷却ピン配列要素232は、行列状に配列された複数の中実突起を有してもよい。中実突起は、熱部材230の平面部から受入要素130側に延びている。噛合要素234は、電子装置からの熱を受けるようになっている。支持部材120においては、すべての熱部材230が導入又は接続され、かつ密封用部材226が基部222及びカバー部224間並びに基部222及び熱部材230間に設けられた場合に、流体密封用筐体が形成される。
【0014】
流路140は、支持部材120内において、基部222及びカバー部224間に形成され、かつ流体を運ぶようになっている。流体は、所定の温度にて組立体100に流入し、熱部材230からの熱を吸収して、その温度が上昇する。流体は、通常、高温で組立体100から流出することとなる。
【0015】
図3は、一実施形態に係る組立体100における流体310の流れの模式図である。流路140は、流体310を受け入れると共に熱部材230に提供して、熱部材230から流体310を除去するようになっている。組立体100においては、この流体の交換が唯一必要とされる。組立体100は、電子装置の外表面に運ばれた熱を除去することによって、電子装置における漏洩の危険性なく電子装置を冷却する効率的な液体冷却方法を提供する。例えば、サーバにおいては、中央処理演算ユニット等の電子的構成要素を設けたサーバ単位ではなくラック単位で液体冷却が行われるようになっている。
【0016】
図2〜
図3を参照すると、図示の流路140は、流入路部242、冷却路部244、及び流出路部246を有している。流入路部242は、流体310を受け入れて熱部材230A〜230E等の熱部材230全体に分配するようになっている。流出路部246は、熱部材230から受け入れた流体310を除去するようになっている。流出路部246及び流入路部242は、熱部材230に接続可能となっている。
【0017】
熱部材230は、冷却路部244が熱部材230及び受入要素130間に形成されるように、流入路部242及び流出路部246に直接接続されていてもよい。例えば、冷却路部244は、流体310が冷却ピン配列要素232全体を流れるように、基部222及び熱部材230間に形成される流路又は空洞であって、流体310が流れる、流路又は空洞であってもよい。
図2〜
図3に示すように、流入路部242は、当該流入路部242に接続された流入部材352を介して流体310を受け入れ、さらに、流出路部246に接続された流出部材354を介して組立体100から流体310を除去するように構成されてもよい。あるいは、熱部材230は、流入路部242及び流出路部246から延びて熱部材230に繋がる補助流路に接続されていてもよい。補助流路は、流体310が冷却ピン配列要素232全体を流れるように、流体310を熱部材230に提供及び/又は分配すると共に、熱部材230から流体310を受け入れるようになっている。
【0018】
流体制御機構160は、流入路部242に沿って形成されるか、又は流入路部242に形成されて、熱部材230に対して流体310を均等に分配するように構成されている。また、流体制御機構160は、熱部材230全体及び流出路部246に沿った流体310の流れ等、流入路部242及び/又は流出路部246内の様々な位置における流体310の流れを制御するように構成されている。
図3を参照すると、流体制御機構160においては、例えば、熱部材230A〜230Eのそれぞれに対して流体310が均等に分配されるように、流体310の流れに抗する突起が流入路部242中に設けられている。言い換えると、最初の熱部材230A及び最後の熱部材230Eに対して、略同じ速度及び圧力の流体310が分配される。同様に、流体制御機構160は、流出路部246中の流体310の流れを制御することによって、支持部材120中の流体の圧力を安定させることができる。
【0019】
例えば、
図3の流体制御機構160には、流入路部242に沿って流入部材352に近接する突起配列要素262が設けられ、流入路部242に沿って第1組の複数の細長突起264が設けられ、流出路部246に沿って第2組の複数の細長突起266が設けられている。流入路部242全体に延びる突起配列要素262は、最初に、流入路部242に流入する流体310の流れの速度を低減するか、又は流体310の流れに抗するようになっている。第1組の複数の細長突起264は、熱部材230のそれぞれの前段に配置され、かつ流体310の流れに抗する半円筒状の突起として図示されている。第1組の複数の細長突起264によって、僅かな流れ抵抗が流入路部242に生じることとなる。例えば、第1組の複数の細長突起264は、流入開口282を介して、熱部材230に対して流体310を均等に分配すると共に、熱部材230のそれぞれに対して、略同じ速度及び圧力の流体310を提供する。
【0020】
第2組の複数の細長突起266は、流体が組立体100の外部に移動すると、熱部材230及び流出路部246間で流体310の流れに抗するようになっている。第2組の複数の細長突起266は、熱部材230のそれぞれの後段に配置され、かつ流出路部246に沿って移動する流体310の流れを制御する半円筒状の突起として図示されている。第2組の複数の細長突起266によって、僅かな流れ抵抗が流出路部246に生じることとなる。
図3に示すように、第1及び第2組の複数の細長突起264、266については、細長突起264、266の数が同じであり、それらがそれぞれ流入路部242及び流出路部246に配置されている。このような対称性によって、流体310の流れが両方向で同様に制御可能となる。
【0021】
組立体100は、
図3に示す受入要素130のそれぞれにて、熱部材230をさらに備えている。受入要素130は、流入路部242及び流出路部246間で延びるように図示されている。冷却路部244は、流体310が熱部材230全体を流れるように、受入要素130及び熱部材間に形成されている。冷却路部244によって、流体310は、流入路部242から熱部材230を通って流出路部246に流れることとなる。
【0022】
受入要素130及び流入路部242間においては、流入開口282が、形成されて、熱部材230に流体310を提供及び/又は分配するようになっている。流体310は、流出開口284(2つの流出開口284,286として図示)を介して熱部材230から流出する。流出開口284,286は、受入要素130及び流出路部246間に形成され、冷却路部244は、流入路部242及び流出路部246間に配置されている。
【0023】
流体制御機構160は、受入要素130及び熱部材230間に形成された冷却路部244に対して流入及び流出する流体310の流れを制御するように構成されている。例えば、流体の制御が行われない場合、すなわち、流体制御機構160が設けられていない場合、流入路部242に流入する流体310は、流入開口282を通過し、最初の熱部材230、すなわち、
図3の230Aに向かって流れることがある。流体310は、少なくとも1つの熱部材230を通過して流れると、不均等に分配されて、冷却もまた不均等となる。同様に、流出路部246に示す流体制御機構160は、流体310が組立体100から流出すると、流出開口284,286及び流出部材354間において、流体310の流れを制御するか、又は速度を低減することとなる。
【0024】
図3は、一実施形態に係る組立体100における流体310の流れの模式図である。流体310は、組立体100の右下隅部分353に示される流入部材352を通って、組立体100に流入する。流体310は、流入路部242の全長に沿って流れる。流体310は、流入路部242に流入すると、先ずは突起配列要素262に衝突して、速度が低減される。その後、流体310は、各熱部材230に先立って、第1組における各細長突起264に衝突する。第1組の複数の細長突起264は、液圧又は流体抵抗等の抵抗Rのために流体310の流れを制御することによって、熱部材230のそれぞれの全体に対して流体310を均等に分配するようになっている。抵抗Rによって、流体310は、流入開口282のいずれも通過して流れることがなくなり、圧力の均衡が変化することとなる。
【0025】
冷却路部244は5つの平行な流路として図示されている。冷却路部244及び熱部材230は5つずつ図示されているが、例えば、10個以上の冷却路部244及び熱部材230が存在していてもよい。冷却路部244によって、流体310は、熱部材230のそれぞれにおける冷却ピン配列要素232全体を流れることができる。例えば、冷却路部244は、熱部材230の長さを延ばすようになっている。熱部材230のそれぞれの全体に渡る流体310の流れは、電子装置から熱部材230にて受けた熱の一様な冷却を可能にする。流体310が冷却路部244に沿って熱部材230全体を移動すると、冷却路部244は、流体310を熱部材230全体に案内することとなる。
【0026】
流体310は、流出開口(2つの流出開口284,286として図示)を介して流出路部246から流出する。流出開口284,286は流出路部246に沿っており、流体310は、流出路部246側にて熱部材230全体を流れる。そして、流体310は、流出部材354側にて流出路部246に沿って流れる。流体310は、第2組の複数の細長突起266のうち少なくとも1つに衝突する。第2組の複数の細長突起266は、左上隅部分355に示される流出部材354側に移動する流体310の流れの速度を低減する。流体310は、流出部材354に到達すると、組立体100から流出する。
図3は、流入部材352及び流出部材354の一例として、流体310が下方隅部分353で組立体100に流入し、組立体100の上方隅部分355から流出することによって、流体の流れと混合した任意の封入ガスが流出部材354を通って排出可能となるように構成されたものを示している。
【0027】
図4Aは、一実施形態に係る組立体の一部の分解図である。この分解図は、
図2の熱部材230及び支持部材120の一部を含む。熱部材230は、支持部材120の基部222に接続可能なものとして図示されている。熱部材230には、一方側に冷却ピン配列要素232が設けられ、反対側に噛合要素234が設けられている。冷却ピン配列要素232は、支持部材120に形成された受入要素130側にて延びている。例えば、受入要素130は、冷却ピン配列要素232を受け入れて係合する受容部236の配列要素を有している。また、受容部236及び冷却ピン配列要素232は、係合することによって、流体310が流れ込んだ場合に冷却ピン配列要素232との接触を増加するようになっていてもよい。例えば、冷却ピン配列要素232及び受容部236間の係合によって、流体310が流れ込んだ場合に冷却ピン配列要素を迂回する機会が少なくなることがある。
【0028】
熱部材230は、電子装置に隣接して位置決めされることによって、電子装置からの熱を受けることとなる。電子装置の一例としては、サーバが挙げられる。電子装置は、噛合要素234と噛み合って熱を伝達する集熱板又は伝熱ブロック(ヒートブロック)を有してもよい。噛合要素234と伝熱ブロックとの接触により両者間で熱が伝達され、熱部材230及び電子装置の間にドライディスコネクトがもたらされる。冷却ピン配列要素232は、熱部材230からの熱の除去に役立つこととなる。冷却ピン配列要素232は、流入路部242から流体310を受け入れ、かつ当該冷却ピン配列要素232を覆うように流体310を分配するようになっている。流体310が冷却ピン配列要素232全体を移動すると、熱が熱部材230から流体310に伝達されるので、熱部材230を介して伝熱ブロックから熱が除去されることとなる。
【0029】
図4Bは、一実施形態に係る組立体100の一部の断面図である。
図4Bを参照すると、組立体100は、支持部材120、受入要素130、熱部材230、冷却ピン配列要素232、噛合要素234、及び熱作動弁270を有している。支持部材120は、熱部材230を接続した受入要素130を有している。熱作動弁270は、支持部材120及び熱部材230の間で延びている。例えば、支持部材120に、流出路部246に沿って流出開口284,286が設けられるように図示されている。
【0030】
熱作動弁270は、流出開口284,286のそれぞれを通ってその内部で延びている。また、熱作動弁270は、熱部材230に隣接及び/又は接続されて、両者間の流体310の流れを制御するようになっている。例えば、熱作動弁270は、流体310の温度の関数として有効開口を制御するようになっている。言い換えると、所定温度の流体310によって、熱作動弁270は、開口284,286を拡張かつ拡大するようになっている。その一方で、低温において、熱作動弁270が十分に退避することによって、開口284,286が縮小されてもよい。
【0031】
また、熱作動弁270は、所定の温度に達するまで、流出開口284,286を閉鎖することによって流体310の除去を制御するように構成されてもよい。例えば、熱作動弁270は、流体310が所定の温度未満である場合、熱の除去を遅らせるようになっている。熱作動弁270を用いて流体310の流れを調節すると、流路を流れる水の量が少なくなる場合がある。また、熱作動弁270は、サーバラックからの「廃棄」熱を用いた建物の暖め等、「エネルギー再利用」に関する用途の性能を向上させるように構成されてもよい。
【0032】
図4Cは、一実施形態における
図4Bの熱作動弁270の拡大図である。熱作動弁270は、弁取付具272、弾性部材274、及び弁体276を有している。弁取付具272は、例えば、その内部にネジ導入式取付部を有している。弁取付具272は、支持部材120に固定されることによって確実に取り付けられて、動かないようになっている。
図4Bを再び参照すると、弁取付具272においては、ネジ導入式取付部及び支持部材120の間にてOリングシール472が取り付けられ、両者間の表面における封止によって漏れを防止している。
【0033】
弁体276は、ワックス部材277を含む中空の「ベル」チャンバ(「鐘型」チャンバ)278として図示されている。ワックス部材277は、弁体276と接触した流体310の温度上昇に伴って膨張する。ワックス部材277が膨張すると、中空の「ベル」チャンバ278内のダイヤフラム(隔膜)(図示せず)によって、弁取付具272から弁体276の中心に延びるロッド279が押圧される。弁取付具272及びロッド279は、弁取付具272の支持部材120への固定によって動かなくなっている。ただし、ロッド279に加えられる圧力によって、弁体276は、熱部材230及び受入要素130の間に形成された冷却路部244内へと延び、熱作動弁270の延びに伴って流体310が流出開口284,286を流れることとなる。
【0034】
弁取付具272は、弁体276内のワックス部材277の熱膨張及び収縮に基づいて、弾性部材274により進退可能となっている。弾性部材274は伸縮バネとして図示されている。例えば、弾性部材274は、ワックスの温度低下によってワックス部材277が収縮した場合に、当該弾性部材274を退避させる伸縮力を与えるようになっている。弾性部材274が退避することによって、ロッド279もまた退避し、閉じた状態の熱作動弁270を通過する流体310の流れを制限することとなる。
【0035】
図4Cを参照すると、熱作動弁270は、位置V1,V2間で移動するように図示されている。熱作動弁270は、位置V1においては退避しており、位置V2においては延出している。熱作動弁270による判定として、熱部材230における流体310の温度が低下すると、ワックス部材277は収縮する。すなわち、位置V1となる。弁体276が収縮すると、弾性部材274は退避し、弾性部材274の伸縮力によって弁体276が移動することによって、組立体100から流出する流体310の量が減少する。例えば、流出開口284,286から流出する流体310の量が減少することで、組立体100からの全流量も減少することとなる。
【0036】
これに対して、熱部材230における流体310の温度が上昇すると、ワックス部材277は膨張する。すなわち、位置V2となる。弁体276におけるワックス部材277の膨張によって弁体276が熱部材230内へとさらに移動すると、流体310はより自由に流れる。弁体276の膨張によって、弾性部材274が延出して弁体276を移動させることによって、組立体100から流出する流体310の量が増加する。例えば、流出開口284,286から流出する流体310の量が増加することで、組立体100からの全流量も増加することとなる。
【0037】
流体310は、熱作動弁270の閉鎖状態においても、冷却路部244から流出路部246への流れ及び流出部材354を通る組立体100からの流れを僅かな量としながら継続する。この少量の流体310は、例えば、流体放出部材470を介して継続的に放出される。
図4Bでは、流出開口284,286から延びる小さな開口として流体放出部材470が示されている。流体放出部材470は、流体310が最初に熱部材230全体を流れる際に、熱部材230からの空気の排出を可能とする。その後は、流体放出部材470によって、流体310が組立体100を連続的に僅かに流れることができる。流体放出部材470は任意選択されるものであり、これを用いることによって、熱部材230中の流体310の温度を、熱作動弁270と接触した流体により表すようにしてもよい。
【0038】
また、熱作動弁270を介して暖まった流体310を放出することによって、低温の流体310が連続して供給され、冷却ピン配列要素232全体を流れる流体310の温度が調節されると共に、熱部材230からの熱の除去を連続して行うことが可能となる。なお、熱作動弁270は、流体310の流れを変更するためのものであることに留意すべきである。例えば、熱作動弁270は、流体310の流れを制限することによって、所定の温度に達した場合における流体310の流出のみを許可するようにしてもよい。流体310が熱部材230及び組立体100から流出する場合における温度を調節することによって、電子装置を、収容する建物の暖め等のような他の目的において、流体310の熱を一貫して再利用するようにしてもよい。
【0039】
図5は、一実施形態における冷却システム500のブロック図である。冷却システム500は、支持部材120、受入要素130、流路140、流体制御機構160、及び熱部材230を有している。支持部材120は、複数の熱部材230を支持するようになっている。また、支持部材120には、複数の受入要素130が形成されている。受入要素のそれぞれは、複数の熱部材230のうち1つを受け入れるように構成されている。
【0040】
支持部材120は、電子装置に近接又は隣接して位置決めされた構造部材となっている。支持部材120は、熱部材を支持するようになっている。また、支持部材120は、受入要素130を有している。受入要素130は、電子装置からの熱を受ける熱部材230を受け入れるように形成されている。
【0041】
図2を再び参照すると、支持部材120は、基部222、及び当該基部222に接続可能なカバー部224を有している。基部222及びカバー部224は、例えば、当該基部222及びカバー部224を併せて保持するクリップ、ネジ、及び/又は接着剤等の締結具220を用いて、相互に接続されていてもよい。例えば、ガスケット等の密封用部材226を用いることによって、基部222及びカバー部224の間並びに/又は基部222及び熱部材230の間に流体密封がもたらされることとなる。
【0042】
流路140は、支持部材120内に形成され、かつ流体310を運ぶようになっている。例えば、流路140は、支持部材120内において、基部222及びカバー部224の間に形成され、かつ流体310を運ぶようになっている。流路140は、流体310を受け入れて、熱部材に流体310を提供及び/又は分配して、熱部材及び/又は支持部材120から流体310を除去するようになっている。また、流路140には、支持部材120の構成に応じて、1つ又は複数の流路又は部分が設けられてもよい。
【0043】
図2〜
図3に示すように、流路140は、流入路部242、冷却路部244、及び流出路部246を有している。流入路部242は、流体310を受け入れて熱部材230全体に分配するようになっている。流出路部246は、熱部材230から受け入れた流体310を除去するようになっている。流出路部246及び流入路部242は、熱部材230に接続可能になっている。
【0044】
熱部材230は、冷却路部244を熱部材230及び受入要素130の間に形成するように、流入路部242及び流出路部246に直接接続されていてもよい。例えば、冷却路部244は、流体が冷却ピン配列要素232全体を流れるように、基部222及び熱部材230の間に形成された流路又は空洞であって、流体310が流れる、流路又は空洞となっている。
図2〜
図3に示すように、流入路部242は、当該流入路部242に接続された流入部材352を介して流体310を受け入れて、流出路部246に接続された流出部材354を介して組立体100から流体310を除去するように構成されてもよい。あるいは、熱部材230は、流入路部242及び流出路部246から延びて熱部材230に繋がる補助流路に接続されてもよい。補助流路は、流体310が冷却ピン配列要素232全体を流れるように、流体310を熱部材230に提供及び/又は分配すると共に、熱部材230から流体310を受け入れるように構成されている。
【0045】
流体制御機構160は、流路140に沿って形成されるか、又は流路140に形成され、その内部及び熱部材230全体の流体310の流れを制御するように構成されている。例えば、流体制御機構160は、複数の熱部材230間で流体310を均等に分配するように構成されている。流体制御機構160は、流路140、すなわち、流入路部242及び流出路部246を通る流体310の流れを制御するように構成されている。また、流体制御機構160は、流体310が支持部材120から流出する際の熱部材230全体及び流出路部246に沿った流体310の流れ等、流路140内の様々な位置における流体310の流れを制御するように構成されている。
【0046】
図3に示すように、流体制御機構160においては、熱部材230A〜230Eのそれぞれの全体に対して流体が均等に分配されるように、流体310の流れに抗する突起が、流入路部242及び流出路部246に設けられている。言い換えると、最初の熱部材230A及び最後の熱部材230E全体に対して、略同じ速度及び圧力の流体310が分配されるようになっている。
【0047】
図3の流体制御機構160には、流入路部242に沿って流入部材352に近接して突起配列要素262が設けられ、流入路部242に沿って第1組の複数の細長突起264が設けられ、流出路部246に沿って第2組の複数の細長突起266が設けられている。流入路部242全体に延びる突起配列要素262は、最初に、流入路部242に流入する流体310の流れに抗する。第1組の複数の細長突起264は、熱部材230のそれぞれの前段に配置され、かつ流体310の流れに抗する半円筒状の突起として図示されている。例えば、第1組の複数の細長突起264は、流入開口282を介して、冷却路部244に対して流体310を均等に分配すると共に、熱部材230のそれぞれに対して、略同じ速度及び圧力の流体310を提供する。流入路部242に流体制御機構160が設けられていない場合、流体310は、熱部材230のうち少なくとも1つを通過して流れ、流入開口282にてほとんど又は全く受け入れられなくなることがある。
【0048】
第2組の複数の細長突起266は、流体が支持部材120の外部に移動すると、熱部材230及び流出路部246の間で流体310の流れに抗するようになっている。例えば、流出路部246中の流体制御機構160は、流体310が支持部材120から流出すると、流出開口284,286及び流出部材354の間において、流体310の流れを制御するか、又は速度を低減するようになっている。第2組の複数の細長突起266は、熱部材230のそれぞれの後段に配置され、かつ流出路部246に沿って移動する流体310の流れを制御する半円筒状の突起として図示されている。
【0049】
図3に示すように、第1及び第2組の複数の細長突起264、266については、細長突起264,266の数が同じであり、それらがそれぞれ流入路部242及び流出路部246に配置されている。このような対称性によって、流体310の流れを両路部242、246で同様に制御可能となる。例えば、流体310は、流入し、流通する熱部材230A〜230Eとは無関係に、同じ数の突起264、266を流れ、流入路部242を通って流入すると共に流出路部246を通って流出する。このような対称性は、すべての熱部材230全体に渡って均等な流れ抵抗Rを確保するのに役立つこととなる。
【0050】
図2に示す受入要素130のそれぞれには、熱部材230が取り付けられている。
図2〜
図4Aを再び参照すると、熱部材230は、冷却ピン配列要素232及び噛合要素234を有する。冷却ピン配列要素232は一方側に位置し、噛合要素234は反対側に位置する。冷却ピン配列要素232は、支持部材120に形成された受入要素130側に延びている。例えば、受入要素130は、冷却ピン配列要素232を受け入れて係合する受容部236の配列要素を有している。冷却ピン配列要素232は、流入路部242から流体310を受け入れ、かつ当該冷却ピン配列要素232を覆うように流体310を分配するようになっている。
【0051】
熱部材230は、流入路部242及び流出路部246の間で延びている。熱部材230は、受入要素130及び流入路部242の間に形成された流入開口282を介して流体310を受け入れるようになっている。流体310は、流出開口284(2つの流出開口284,286として図示)を介して熱部材230から流出する。流出開口284,286は、受入要素130及び流出路部246の間に形成されている。冷却路部244は、流入路部242及び流出路部246の間に配置されている。また、冷却路部244は、冷却ピン配列要素232を流れる際に当該冷却ピン配列要素232と接触した熱部材230全体を流体310が流れるように、受入要素130及び熱部材230の間に形成されている。
【0052】
冷却システム500は、熱作動弁270をさらに備えていてもよい。熱作動弁270は、冷却路部244から流出する流体310の量を制御するように構成されている。この熱作動弁270については、上述の
図4B及び
図4Cに詳しく図示されている。流体制御機構160が流れを制御することによって流体310の均等な分配が可能になることに対して、熱作動弁270は、流体310の流れを変更するためのものとなっている。例えば、熱作動弁270は、流体310の流れを制限することによって、所定の温度に達した場合の流体310の流出のみを許可するように構成されてもよい。その際、熱作動弁270のすべてが開放されるのではなく、流体310の流れが均衡しなくなる。流体310の流れは、すべての熱作動弁270が開放されている場合に均衡となる。熱作動弁270によれば、各サーバで消失する電力とは無関係に、比較的一様な冷媒流出温度を維持可能であり、流れの均衡によって、不均等な電力レベルに応答可能となる。
【0053】
図6A及び
図6Bは、一実施形態における
図5の冷却システム500の模式図である。冷却システム500は、受入要素130を有する支持部材120、流路140、流体制御機構160、並びに冷却ピン配列要素232及び噛合要素234を有する熱部材230を具備した組立体100を備える。
図6Aに示すように、冷却システム500は、ヒートシンク610、ヒートパイプ630、及び熱交換器640をさらに備えている。
図6Bは、一実施形態における
図6Aの冷却システム500の拡大図である。
図6Bの冷却システム500は、サーバ筐体内のサーバ等の電子装置620を含んでいる。
【0054】
図6A及び
図6Bを参照すると、ヒートシンク610は、ヒートパイプ630に接続されている。ヒートパイプ630は、電子装置620からの熱を除去するようになっている。また、ヒートパイプ630は、当該ヒートパイプ630の熱を冷ます伝熱ブロック650又は集熱板に接続されている。伝熱ブロック650は、熱部材230の噛合要素234に繋がっている。伝熱ブロック650及び熱部材230の噛合要素234の間の接続は、ドライディスコネクト660となっている。
図6Bに示すドライディスコネクト660は、噛合要素234の表面と伝熱ブロック650の表面との接触により、両者間で熱を伝達する。伝熱ブロック650及び熱部材230の間で流体310が交換されないために、これをドライディスコネクトと称するものとする。熱は、流体交換ではなく、表面を介した伝導によって伝達されるようになっている。
【0055】
冷却システム500は、ヒートパイプ630における電子装置の損傷の危険性が非常に低い状態で、少量の流体を用いることによって、電子装置からの熱を除去することができる。
図2〜
図4Bに図示しながら上述した通り、電子装置からの熱は、その後、熱部材230に伝達されて液体冷却を施される。液体冷却は電子装置から離れて行われるために、効率的な冷却が可能であり、電子装置内における漏れの危険性を低減可能である。例えば、サーバにおいては、サーバ単位ではなくラック単位で液体冷却が行われる。このような熱が、サーバ内における流体310の漏れの危険性なく、中央処理演算ユニット等の電子装置からサーバの外表面に運ばれることとなる。そして、サーバレベルではなくラック単位、すなわち、個々の各サーバ内に設けられる構成要素において、液体冷却が行われる。ラック単位での液体冷却によって、液体冷却による漏れに起因する損傷からサーバを保護することができる。
【0056】
伝熱ブロック650からの熱は、支持部材120、すなわち、受入要素130に接続された熱部材230を介して流体310に伝達される。上述の
図2〜
図4Bに示すように、流体310は、流入路部242に流入して冷却路部244を流れることによって、冷却ピン配列要素232を介して熱部材230からの熱を受ける。この熱は、熱部材230から流体310に伝達される。例えば、冷却ピン配列要素232は、流入部材352及び流入路部242を介して、流体310、すなわち、低温の流体を受け入れる。流体310は冷却ピン配列要素232を覆うように流れ、熱が流体310に伝達される。流体310、すなわち、高温の流体は、流出路部246及び流出部材354を介して、熱部材230から支持部材120の外部に除去されることとなる。
【0057】
組立体100は、流体310からの熱を除去する熱交換器640等の冷却機構に接続されてもよい。例えば、この冷却機構は、サーバラック及び/又は当該サーバラックとは別の冷却設備に配置又は取り付けられた熱交換器640であってもよい。冷却機構は、流出部材354及び流入部材352の間において、支持部材120、すなわち、受入要素130に接続され、流出路部246からの流体310を再循環させると共に流入路部242に低温の流体310を提供する。例えば、熱交換器640が、流出路部246からの流体310の温度を低下させ、この低温の流体310を流入路部242に送る。このように、流体310は再利用可能であり、液体冷却プロセスは、再循環された流体310を用いて継続するようになっていてもよい。
【0058】
図7は、一実施形態における
図5の冷却システム500の斜視図である。冷却システム500は、サーバ筐体内のサーバ等の電子装置620からの熱のヒートシンク610における集まり方を図示している。この熱は、ヒートパイプ630を介してヒートシンク610を離れ、ヒートパイ630から、電子装置620及び熱部材230の間にドライディスコネクト660を提供する伝熱ブロック650に伝達される。例えば、ドライディスコネクト660は、サーバと、上述の通り支持部材120、受入要素130、流路140、及び熱部材230を備えたサーバラック705との間に設けられている。
【0059】
図3、
図6A、及び
図6Bに示すように、熱は熱部材230に伝達される。この熱は、冷却ピン配列要素232によって、熱部材230から流体310に伝達され、例えば、高温の流体310と共に熱部材230から出ていくこととなる。高温の流体310は、例えば
図3の流出部材354を介して組立体100から除去される。
図7を再び参照すると、流体310は、組立体100から除去されると、熱交換器640等の冷却機構を用いて流体310から熱を除去する冷却設備に送られる(符号710)。熱除去後の流体310、例えば、低温の流体310は、プロセスの反復時に、例えば、
図3の流入部材352を介して流入路部242に戻され(符号720)、熱部材230を通過する。
【0060】
冷却システム500のモジュール式設計によって、製造、組み立て、及び保守が簡素化される。例えば、電子装置は、支持部材120及び熱部材230と並んだ伝熱ブロック650を備えている。ヒートパイプ630、ヒートシンク610等、電子装置のその他の態様は、変更されてもよく、相互に交換可能であってもよい。さらに、冷却システム500のモジュール特性によって、他のサーバに影響を及ぼすことなく1つのサーバを除去可能となる等、電子装置の保守がより簡単になる。
【0061】
図8は、一実施形態における電子装置を冷却する方法のフローチャート800である。この方法は、冷却システムと併用可能である。ブロック820において、冷却システムは電子装置からの熱を受ける。冷却システムは、支持部材、流路、流体制御機構、及び熱部材を備えている。支持部材は、熱部材を支持するようになっている。流路は、支持部材内に形成され、かつ流体を運ぶようになっている。流路は、流体を受け入れて、熱部材全体に流体を提供及び/又は分配して、熱部材から流体を除去するようになっている。流体制御機構は、流路に沿って流体の流れを制御するように構成されている。
【0062】
熱部材は、電子装置からの熱を受ける伝熱ブロックに隣接して位置決めされ、全体で流体を受け入れるようになっている。熱部材は、支持部材側に延びる冷却ピン配列要素を有している。また、熱部材は、伝熱ブロックからの熱を除去するようになっている。例えば、冷却ピン配列要素が熱部材の一方側に位置決めされ、噛合要素が反対側に位置決めされている。噛合要素は、伝熱ブロックからの熱を受けるように位置決めされている。冷却ピン配列要素は、流体が存在して当該冷却ピン配列要素と接触している場合に、熱を流体に伝達するようになっている。
【0063】
ブロック840においては、流体は冷却システムに分配される。流体は、熱部材から熱を除去するため、流路を介して熱部材を覆うように分配される。また、流体は、冷却ピン配列要素を覆うように分配される。流体が冷却ピン配列要素に接触すると、熱が熱部材から流体に伝達される。ブロック860において、熱を帯びた流体(すなわち、高温の流体)は、冷却システムから除去される。流体は、流路を介して熱部材から除去された後、流出部材を通って支持部材から除去されてもよい。
【0064】
この方法では、例えば、熱交換器を用いることによって、流体を再利用又は再循環するようになっていてもよい。流体は、流路及び流出部材を介して、熱部材から支持部材の外部に向かって、熱交換器まで運ばれる。熱交換器は、流体の温度を低下させる。そして、流体は、流路に戻され、流入部材を介して熱部材全体に分配されることとなる。
【0065】
以上、非限定的かつ詳細な実施形態の記載によって本開示を説明したが、これは、本開示の範囲を限定するものではない。一実施形態に関して記載した特徴及び/又は動作は、他の実施形態に用いられてもよく、本開示のすべての実施形態が、特定の図面に図示若しくは実施形態のうち1つに関して記載した特徴及び/又は動作のすべてを有することはないものと理解すべきである。当業者には、記載した実施形態の変形例が想到されるであろう。さらに、用語「備える(具備する)」、「含む」、「有する」、及びこれらの活用形は、本開示及び/又は特許請求の範囲での使用に際して、「〜を含むが、必ずしもそれに限定されない」を意味するものとする。
【0066】
上述の実施形態のいくつかは、本開示に必須とは考えられない構造、作用、又は構造及び作用の詳細を含む場合があり、一例として示したものであることに留意されたい。本明細書に記載の構造及び作用は、本技術分野で周知の構造又は作用と異なっていても、同じ機能を果たす均等物によって置き換え可能である。従って、本開示の範囲は、特許請求の範囲に用いられている要素及び制約によってのみ制限されるものである。
【国際調査報告】