特表2015-532697(P2015-532697A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2015532697-ウインドパーク 図000003
  • 特表2015532697-ウインドパーク 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532697(P2015-532697A)
(43)【公表日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】ウインドパーク
(51)【国際特許分類】
   F03D 11/00 20060101AFI20151016BHJP
   F03D 7/00 20060101ALI20151016BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20151016BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20151016BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20151016BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20151016BHJP
【FI】
   F03D11/00 Z
   F03D7/00
   H02P9/00 F
   H02M7/06 E
   H02M3/00 H
   H02M7/48 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-528976(P2015-528976)
(86)(22)【出願日】2013年8月23日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月21日
(86)【国際出願番号】EP2013067590
(87)【国際公開番号】WO2014033073
(87)【国際公開日】20140306
(31)【優先権主張番号】102012215422.1
(32)【優先日】2012年8月30日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ベークマン、アルフレート
【テーマコード(参考)】
3H178
5H006
5H590
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178AA51
3H178BB21
3H178BB31
3H178DD12Z
3H178DD54X
3H178EE08
3H178EE18
5H006CA07
5H006CC05
5H590AA02
5H590CA14
5H590CC01
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE01
5H730AA14
5H730AS04
5H730BB86
5H730CC02
5H770AA01
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA04
5H770CA10
5H770DA11
(57)【要約】
【課題】ウインドパークにおける電力損失を低減し、それによってウインドパークの効率を向上すること。
【解決手段】風から電気エネルギを生成するウインドパークは、電気エネルギを生成する少なくとも2つの風力発電装置(2)、及び生成された電気エネルギ、又はその一部、を電気供給ネット(14)に給電するための共通の給電装置(8)を含み、前記少なくとも2つの風力発電装置(2)は、各風力発電装置(2)によって生成された電気エネルギを電気的直流によって前記共通の給電装置(8)に導くために、電気的直流電圧ネット(4)を介して前記給電装置(8)に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風から電気エネルギを生成するウインドパーク(1)であって、
・電気エネルギを生成する少なくとも2つの風力発電装置(2)、及び
・生成された電気エネルギ、又はその一部、を電気供給ネット(14)に給電するための共通の給電装置(8)
を含み、
前記少なくとも2つの風力発電装置(2)は、各風力発電装置(2)によって生成された電気エネルギを電気的直流によって前記共通の給電装置(8)に導くために、電気的直流電圧ネット(4)を介して前記給電装置(8)に接続される
ウインドパーク(1)。
【請求項2】
前記直流電圧ネット(4)は、1〜50kV、とりわけ5〜10kV、の範囲の直流電圧を有すること
を特徴とする請求項1に記載のウインドパーク(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの風力発電装置(2)は夫々以下:
・電気的交流を生成する発電機(2)、
・該生成された電気的交流を、第1直流電圧を伴う第1直流に整流する整流器(20)、及び
・該第1直流電圧を伴う第1直流を、該第1直流電圧より大きい第2直流電圧を伴う第2直流にブーストするブーストコンバータ(30)
を有すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のウインドパーク(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの風力発電装置(2)の少なくとも1つ、有利にはウインドパークのすべての風力発電装置(2)、は、夫々、電気的交流を生成するために、同期発電機(18)を有すること
を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のウインドパーク(1)。
【請求項5】
前記給電装置(8)は、前記直流電圧ネット(4)に接続され前記電気供給ネット(14)に給電するために電気的交流を生成するインバータ(8)を有すること
を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のウインドパーク(1)。
【請求項6】
前記給電装置(8)と前記電気供給ネット(14)の間に、前記給電装置(8)によって生成される交流電圧を昇圧する変圧器(12)が配設されること
を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のウインドパーク(1)。
【請求項7】
複数の風力発電装置(2)を有するウインドパーク(1)において生成される電気エネルギを電気供給ネット(14)に給電する方法であって、以下の工程:
(a)風力発電装置(2)の発電機(18)による電気的交流の生成、
(b)該電気的交流の、第1直流電圧を伴う第1直流への整流、
(c)該第1直流電圧を伴う第1直流の、第2直流電圧を伴う第2直流へのブースト、
(d)該電気供給ネット(14)に給電するためにパークインバータ(8)に供給するための、該第2直流の、直流電圧パークネット(4)への導入、及び
(e)該直流電圧パークネット(4)に供給された電気エネルギの、該電気供給ネット(14)への、該パークインバータ(8)を介した給電
を含む方法。
【請求項8】
前記工程a〜dは、前記ウインドパーク(1)の複数の風力発電装置(2)によって実行されること
を特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風から電気エネルギを生成し、生成された電気エネルギを電気供給ネットに給電するウインドパークに関する。更に、本発明は、複数の風力発電装置を有するウインドパークにおいて生成される電気エネルギを給電する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置によって風から電気エネルギを生成することは一般的に知られている。ここで、生成するとは、風のエネルギが電気エネルギに変換されるという意味で用いられる。しばしば、複数の風力発電装置がひとまとまりにされて、ウインドパーク(ないしウインドファーム)が構成される。そのようなウインドパークは、当該ウインドパーク(ないし複数の風力発電装置)が接続される電気供給ネットに電気エネルギを給電するための共通の給電点を有する。そして、ウインドパークのすべての風力発電装置は、この共通の給電点を介して、電気エネルギを電気供給ネットに給電する。
【0003】
給電は、この場合、例えば各風力発電装置が夫々の電気的出力(電力)を、電気供給ネットに適合された周波数、電圧振幅(レベル)及び位相を有する電気的交流として供給するよう、実行される。複数の風力発電装置のそのように供給される電流は、共通の給電点において又はその少々手前で重ね合わされ、そして、一緒に電気供給ネットに給電されることができる。
【0004】
かくして、各風力発電装置が夫々の電流の寄与分を相応の予設定値に従って調整するため、原理的には、任意の数の風力発電装置が1つのウインドパークにおいて一緒に運転されることができる。この場合、場合によっては、全体として供給される出力の調整が依然として必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 101 45 346 A1
【特許文献2】DE 196 20 906 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、不利なことに、この場合、最終的にウインドパークの全体効率に悪影響を及ぼし得る損失(Verluste)が、個々の風力発電装置及び当該風力発電装置の共通のネット接続点への接続を形成する内部パークネットに生じ得る。
【0007】
なお、ドイツ特許商標庁は、本願の優先権の基礎出願において、以下の先行技術文献をサーチした:DE 101 45 346 A1及びDE 196 20 906 A1。
【0008】
それゆえ、本発明の課題は、上述の不利を可及的に小さくすることである。とりわけ、ウインドパークにおける電力損失(Verlustleistung)が減少されること、及び、それによってウインドパークの効率が向上されることが望まれる。少なくとも、代替的方策が提案されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に応じて、請求項1に記載のウインドパークが提案される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
そのようなウインドパークは、風から電気エネルギを生成するよう構成され、かつ、電気エネルギを生成する少なくとも2つの風力発電装置と、生成された電気エネルギを接続された電気供給ネットに給電するための共通の給電装置を含む。更に、例えば電気供給ネットの保護(支援)の理由から及び/又は電気供給ネットの運用者の予設定値(基準)に基づいて要求される場合、生成されたないし生成可能な電気エネルギの一部のみが電気供給ネットに給電されることも、とりわけ一時的に、可能である。それ以外では、本発明を原理的に説明するために、場合によって生じ得る電力損失は無視される。従って、基本的理解を説明するために、生成電気的出力(電力)が平均で(即ち、風速の変動による生成電力の変動分がDCリンクのコンデンサ等により除去されたないし平滑化された状態で:im Mittel)電気供給ネットにも給電可能であることを出発点とする。電力損失が問題となる限りにおいて、これは具体的に説明される。
【0011】
提案される方策では、風力発電装置(複数)は、直流電圧パークネットとも称することが可能な直流電圧ネットを介して、給電装置に接続される。従って、風力発電装置(複数)は、夫々の電気エネルギ、又は瞬時状態が考慮される場合は夫々の電気的出力、を電気的直流として直流電圧ネットに導入し、この直流は、又は関連するすべての風力発電装置のこれらの直流が一緒に、給電装置に導かれる。給電装置は、ウインドパークの全体の電気的出力を受け取り、この電気的出力を電気供給ネットに給電することができる。
【0012】
ここで、直流電圧パークネットへの電気的直流の給電(Einspeisen)と表現することも可能であるが、この場合、給電装置は直流電圧パークネットから電気的出力を得る。従って、電気供給ネットとの混同を回避するために、ここでは、直流電圧ネットへの導入(Einleiten)という概念が選択される。
【0013】
かくして、直流電圧パークネットを設けること、及び、接続される風力発電装置(複数)が相応の電圧を伴う直流のみをこの直流電圧パークネットに導入することが提案される。この場合、給電は、ウインドパークについて、従って複数の風力発電装置について、ただ1つの給電装置によって行うことができる。この給電装置だけが、周波数、電圧振幅及び位相に関して電気供給ネットに適合された交流(電流)を生成することを要するのみである。また、この給電装置だけが、電気供給ネットの突然変化される要求を含む場合によってあり得る要求に対応することを要するのみである。ネット状態の検出も、この1つの給電装置だけが実行することを要するのみであり、ないしは、この給電装置だけが、相応に検出された値を自動的に考慮することを要するのみである。この場合、給電装置が給電点において直接的にないしその近くに、従って電気供給ネットの近くに配設可能であることも考慮すべきである。かくして、例えば給電装置と電気供給ネットとの間には電圧損失(Spannungsverluste)が全く又は僅かしか生じないので、そのような検出された測定値のより直接的な変換が可能である。
【0014】
かくして、個々の風力発電装置から給電点への電圧損失も、給電の際には最早考慮する必要はない。給電装置だけが、当該給電装置が生成する交流信号の電圧を電気供給ネットの電圧に適合させることを要するのみである。この給電装置と電気供給ネットとの間の距離は、電気供給ネットに対するウインドパーク内の各風力発電装置(の距離)と比べてより短いため、電圧振幅も、場合によっては電気供給ネットの要求(需要)により良好に適合されることができる。
【0015】
最後に、風力発電装置内において従来必要とされていた周波数変換装置(インバータ)も不要とすることができる。今や必要であるのは1つの給電装置だけである。この1つの給電装置は、ウインドパークの全出力を変換しなければならず、従って、相応により大容量に構成されなければならないが、それが故に、より大きな効率で、即ちより小さい相対的電力損失で運転されることができる。
【0016】
直流電圧ネットの直流電圧は、1〜50kV、とりわけ5〜10kV、であることが、一実施形態に応じて提案される。これは、二極性トロポジ(bipolar Topologie)の場合の2つのライン(送電線)間の電圧に関するものである。
【0017】
かくして、風力発電装置(複数)は夫々の出力を既に相応に大きな電圧で、即ち中圧(Mittelspannung)で、ウインドパークの直流電圧ネットに導入する。ウインドパークの直流電圧ネットにおけるそのような相応に大きい電圧によって、伝送損失を低減することができる。更に、共通の給電装置では、既にある程度の振幅を有する電圧が利用可能であり、従って、場合によっては、ウインドパークの電流ネットにおける電圧を昇圧するための変圧器を不要とすることができる。かくして、給電装置において中圧インバータが作動されることが可能であり、あるいは、共通の給電装置はより大きな電圧のためにより少ない材料使用しか必要とせず、場合によっては中圧変圧器を不必要とすることが可能な中圧インバータであり得る。
【0018】
有利には、複数の(少なくとも2つの)風力発電装置の少なくとも1つ、とりわけウインドパークのすべての風力発電装置は、発電機、整流器及びブーストコンバータを有する。発電機は、風力発電装置の空気力学的ロータと結合し、かくして、風から電気的出力(電力)を生成することができるが、この電気的出力は電気的交流(ないし交流電流)として供給される。電気的交流は、整流器によって、第1直流電圧を伴う第1直流(電流)に整流される。第1直流電圧を伴うこの第1直流(電流)は、ブーストコンバータによって、第2直流電圧を伴う第2直流(電流)にブースト(昇圧)され、第2直流電圧は、従って、第1直流電圧より大きい。第2直流電圧は、有利には、ウインドパークの直流電圧ネットに導入される。かくして、ブーストコンバータは、一方では、第1直流電圧を上昇する、即ち直流電圧ネットの電圧振幅(レベル)に上昇するために使用される。同時に、ブーストコンバータは、可及的に一定の第2直流電圧を供給する機能を満たすことができる。これを要する理由は、第1直流電圧は、風の変動に依存して場合によっては変動し得るからである。例えば、第1直流電圧の値は、風が弱い場合、風がより強い場合よりも、とりわけ定格(公称)風速の場合よりも、より小さくなる。
【0019】
有利には、整流器は、発電機の近くに、とりわけ風力発電装置のナセル(ゴンドラ)の中に、配設され、この場合、生成された第1直流(電流)は、風力発電装置のタワーないし類似の部分を介して、下方の風力発電装置のタワー基部ないし類似の部分に導かれるが、そこには、ブーストコンバータが配設されている。かくして、電気的出力をナセルからタワー基部ないし類似の部分に導くために、直流電圧の伝送(直流導電)を使用することができるようになる。同時に、少なくともウインドパークの直流電圧ネットに存在する高さの高い中圧を回避することができる。
【0020】
複数の(少なくとも2つの)風力発電装置の少なくとも1つ、有利にはウインドパークのすべての風力発電装置、が、夫々、電気的交流(ないし交流電流)を生成するために、同期発電機を有することが、更なる一形態に応じて提案される。そのような同期発電機は、信頼性を以て、電気的交流を生成し、整流器に供給することができる。有利には、同期発電機は、リングジェネレータ(Ringgenerator)として構成され、従って、外側の3分の1の部分ないしその更に外側の部分においてのみその電磁的な活性(能動)要素(aktiv Element)を有する。有利には、そのような同期発電機は、例えば48、72、96又は144の磁極(ポール)のような、多数の磁極(ポール)を備えることができる。これは、発電機の回転子が空気力学的ロータによって直接的に、即ちそれらの間に介在するギア機構なしで駆動され、整流器に供給される交流が直接的に生成される、ギアレス型構造を可能にする。有利には、6相の、即ち2重の3相の同期発電機を使用することができる。そのような6相交流は、より少ない高調波でより容易に整流可能であり、即ち、より小さいフィルタの使用で十分である。有利には、風力発電装置は可変速的に構成され、かくして、空気力学的ロータの回転数はその都度支配的な(優勢な:vorherrschend)風速に連続的に適合されることができる。
【0021】
一実施形態によれば、給電装置は直流電圧ネットに接続されるインバータ(DC/AC変換器:Wechselrichter)を有し、あるいは、給電装置がインバータである。このインバータは、電気供給ネットに給電するために電気的交流(ないし交流電流)を生成する。有利には、この場合、中圧インバータが使用される。
【0022】
給電装置と電気供給ネットの間に、給電装置によって生成される交流電圧を昇圧する変圧器が配設されると好都合である。この場合、中圧インバータを使用すれば、中圧変圧器は不要とすることができる。この場合、接続される電気供給ネット及びそれらの間のトポロジに応じては、高圧変圧器の使用が考慮される。高圧変圧器は、とりわけ、中圧変圧器が中圧を、とりわけ5〜10kVの電圧を有する交流を既に生成している場合及び/又は50kVまでの可及的に大きな中圧を生成する中圧変圧器が使用される場合に考慮される。
【0023】
更に、本発明に応じ、請求項7に記載された電気エネルギを電気供給ネットに給電する方法が提案される。これに応じ、電気的交流(ないし交流電流)は、風力発電装置の発電機によって生成され、整流器によって、第1直流電圧を伴う第1直流(電流)に整流される。この第1直流電圧は、振幅が変動し得る。そして、第1直流電圧を伴うこの第1直流(電流)は、ブーストコンバータによって、第2直流電圧を伴う第2直流(電流)にブースト(昇圧)される。この第2直流電圧は、とりわけ振幅が第1直流電圧よりも大きいが、直流電圧パークネット、即ちウインドパークの共通の直流電圧ネットの電圧に適合される。
【0024】
第2直流電圧を伴うこの第2直流(電流)は、相応に直流電圧パークネットに導入される。この直流電圧パークネットを介して、この導入されたエネルギは、共通のインバータ(パークインバータとも称され得る)に供給され、該インバータは、直流として供給されたこのエネルギを交流に変換し、交流として電気供給ネットに給電する。
【0025】
有利には、電気的交流(ないし)交流電流の生成、該交流(電流)の第1直流(電流)への整流、第1直流(電流)の第2直流(電流)へのブースト(昇圧)、及び、最終的に、第2直流(電流)の直流電圧パークネットへの導入は、複数の風力発電装置によって夫々実行される。第1直流(電流)、第1直流電圧及び第2直流(電流)の概念は、この場合、体系的(包括的)な概念として理解されるべきであり、実際、第1直流(電流)、第1直流電圧及び第2直流(電流)は、それらの振幅が風力発電装置毎に異なり得る。同じ風力発電装置を使用する場合であっても、例えば支配的(優勢)風速及び/又はウインドパークにおける関連する風力発電装置の位置に依存して、それらの値は異なり得る。尤も、第2直流電圧は、すべての風力発電装置について、少なくとも第1(一次)近似において同じであること、及び、直流電圧パークネットの直流電圧に対応することが望ましい。
【0026】
以下に、本発明の実施例を例示的に添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ウインドパークに配設されるべき風力発電装置の一例の模式的斜視図。
図2】ウインドパークの一例の模式図。
【実施例】
【0028】
図1は、タワー102とナセル(ゴンドラ)104とを有する風力発電装置100の一例を示す。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110とを有する空気力学的ロータ106が配されている。ロータ106は、運転時、風によって回転運動され、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0029】
図2は、例として2つの風力発電装置2を有するウインドパーク(ウインドファーム)1の一例を示し、該2つの風力発電装置2の一方については更なる詳細が示されているのに対し、他方については簡略化のため図示しなかったが、場合によっては異なるように構成することも可能である。2つの風力発電装置2は、夫々、直流電圧ライン4と直流電圧バス6とを介して、共通のインバータ8に接続されている。共通のインバータ8は、バス6の直流電圧ないし直流(電流)から、その出力端10において、交流電圧を伴う交流(電流)を生成し、これを、この例では中圧変圧器として構成されている変圧器12を介して電気供給ネット14に給電する。
【0030】
原理的機能態様及び少なくとも1実施例において不可欠の構成要素については、詳細に図示した風力発電装置2を出発点として説明する。風力発電装置2は空気力学的ロータ16を有し、該ロータ16は、風によって回転され、その際、同期発電機18の回転子を回転し、かくして、同期発電機18は交流(電流)を生成し、整流器20に供給する。整流器20は、風力発電装置2のナセル22内に配設されており、そこで、第1直流電圧を伴う第1直流(電流)を生成する。第1直流電圧を伴う第1直流(電流)は、直流接続ライン24によって、ナセル22からタワー26を介してタワー基部28に導かれる。直流接続ライン24は、従って、直流タワーラインとも称され得る。
【0031】
タワー基部28では、直流接続ライン24はブーストコンバータ(昇圧器)30に接続されている。ブーストコンバータ30は、第1直流電圧を伴う第1直流(電流)を第2直流電圧を伴う第2直流(電流)に変換する。第2直流電圧を伴うこの第2直流(電流)は、ブーストコンバータ30の出力端32において出力され、(1つの)直流電圧ライン4を介してバス6に導かれる。
【0032】
直流接続ライン24ないし直流タワーライン24に従って整流器20の出力端に生成する第1直流の第1直流電圧は、凡そ5kVである。直流電圧ライン4ないしバス6への直流電圧接続(ライン)4に存在する直流電圧は、有利には、5〜10kVの値を有する。これに応じて、この値は、バス6に、従って共通のインバータ8の入力端にも存在する。これに応じて、図示の例では、共通のインバータ8は、5〜10kVの直流電圧の変換(変圧)が可能なように構成されている。かくして実質的に給電装置を構成する共通のインバータ8は、従って、中圧インバータとして構成されている。
【0033】
図示のトポロジ(空間的位置関係)によって、複数の風力発電装置2の夫々に1つのインバータを設けることを不要とすることができる。使用される共通のインバータ8は、とりわけ図2の例でも提案されているような中圧インバータを使用する場合、より低い電圧を有する多数の個別インバータによって達成され得る効率よりも、より大きな効率で運転することができる。図2は全部で2つの風力発電装置2を示しているが、これは単に、ウインドパーク1には複数の風力発電装置2が含まれていることを示唆しているに過ぎない。有利には、そのようなウインドパークは、3以上の風力発電装置2を有し、とりわけ50以上の風力発電装置を有するが、これらの風力発電装置はすべて直流電圧ライン4を介してバス6に接続される。従って、直流電圧ライン4は全体で、直流電圧パークネット4又は単純に(ウインド)パーク内の直流電圧ネット4としても称することができる。直流電圧パークネット4は、従って、個々の風力発電装置間での直接的な接続を形成する必要はないが、例えば図2に示したようなバス6を介するような間接的な接続を形成することは可能である。
【0034】
ウインドパーク1及び/又は電気供給ネット14の構成に応じて、中圧変圧器12は不要とすることができる。複数の風力発電装置2によって生成されるすべての電気的出力(電力)は、直流電圧ネット4において、可及的に大きな電圧で供給され、そして、共通のインバータ8によって可及的に大きい効率で電気供給ネット14に給電される。
【0035】
かくして、ウインドパーク1の効率の向上が全体として可能にされるが、これはとりわけ損失の低減によって可能にされる。更に、将来のネットの要求(条件)に対応することも可能にされる。そのようなネットの要求としては、例えば、ウインドパークが電気供給ネットにおける所定の状況に対して非常に決定的に応答しなければならないこと、又は、ウインドパークが電気供給ネットの運用者の要求に対し非常に決定的にかつ明確に予め決定された態様で応答しなければならないことが該当し得る。そのような要求は、全く突然に相応の信号によって(予め)与えられることも可能である。共通のインバータ8の使用によって、ウインドパーク1は、電気供給ネットによって大型電流源としてのみ認識されるウインドパーク発電所という意味で動作することができる。ウインドパーク1の複数の風力発電装置2の場合によってあり得る相違は、全く或いは実質的に電気供給ネット14に影響を及ぼさないか、ないしは、電気供給ネット14によって認識されることはできない。これに関連するものとしては、とりわけ、電気供給ネットにおける状況の変化及び/又は電気供給ネット14による要求の変化に応答する際の時間的挙動の相違が該当し得る。
【0036】
かくして、直流電圧技術及びとりわけ凡そ5〜10kVの中圧電圧領域における電圧領域によってウインドパーク全体を配線することが、とりわけ提案される。風力発電装置は(それぞれ個別の)インバータなしで構成される。図2にバス6を伴うインバータ8として記載されているネット供給ステーションへのエネルギ伝送は、直流電圧によって実行される。従って、ネット供給ステーションには、交流電圧ネット、即ち電気供給ネット14への給電のための中圧インバータが使用される。この中圧インバータは、全てのネット要求、即ち電気供給ネットによる要求を満たし、更に、場合によってあり得る無効電力要求、即ち給電されるべき無効電流成分に関する要求も満たす。
【0037】
かくして、風力発電装置を可及的にコスト的に有利にかつ可及的に大きな効率で建設可能にするという目的にも適う方策が提案される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2015年4月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風から電気エネルギを生成するウインドパーク(1)であって、
・電気エネルギを生成する少なくとも2つの風力発電装置(2)、及び
・生成された電気エネルギ、又はその一部、を電気供給ネット(14)に給電するための共通の給電装置(8)
を含み、
前記少なくとも2つの風力発電装置(2)は、各風力発電装置(2)によって生成された電気エネルギを電気的直流によって前記共通の給電装置(8)に導くために、電気的直流電圧ネット(4)を介して前記給電装置(8)に接続される
ウインドパーク(1)。
【請求項2】
前記直流電圧ネット(4)は、1〜50kVの範囲の直流電圧を有すること
を特徴とする請求項1に記載のウインドパーク(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの風力発電装置(2)は夫々以下:
・電気的交流を生成する発電機(2)、
・該生成された電気的交流を、第1直流電圧を伴う第1直流に整流する整流器(20)、及び
・該第1直流電圧を伴う第1直流を、該第1直流電圧より大きい第2直流電圧を伴う第2直流にブーストするブーストコンバータ(30)
を有すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のウインドパーク(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの風力発電装置(2)の少なくとも1つは、夫々、電気的交流を生成するために、同期発電機(18)を有すること
を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のウインドパーク(1)。
【請求項5】
前記給電装置(8)は、前記直流電圧ネット(4)に接続され前記電気供給ネット(14)に給電するために電気的交流を生成するインバータ(8)を有すること
を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のウインドパーク(1)。
【請求項6】
前記給電装置(8)と前記電気供給ネット(14)の間に、前記給電装置(8)によって生成される交流電圧を昇圧する変圧器(12)が配設されること
を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のウインドパーク(1)。
【請求項7】
複数の風力発電装置(2)を有するウインドパーク(1)において生成される電気エネルギを電気供給ネット(14)に給電する方法であって、以下の工程:
(a)風力発電装置(2)の発電機(18)による電気的交流の生成、
(b)該電気的交流の、第1直流電圧を伴う第1直流への整流、
(c)該第1直流電圧を伴う第1直流の、第2直流電圧を伴う第2直流へのブースト、
(d)該電気供給ネット(14)に給電するためにパークインバータ(8)に供給するための、該第2直流の、直流電圧パークネット(4)への導入、及び
(e)該直流電圧パークネット(4)に供給された電気エネルギの、該電気供給ネット(14)への、該パークインバータ(8)を介した給電
を含む方法。
【請求項8】
前記工程a〜dは、前記ウインドパーク(1)の複数の風力発電装置(2)によって実行されること
を特徴とする請求項7に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に応じて、請求項1に記載のウインドパークが提案される。
(形態1)上記の課題を解決するために、本発明の第1の視点により、風から電気エネルギを生成するウインドパークが提供される。このウインドパークは、
・電気エネルギを生成する少なくとも2つの風力発電装置、及び
・生成された電気エネルギ、又はその一部、を電気供給ネットに給電するための共通の給電装置
を含み、
前記少なくとも2つの風力発電装置は、各風力発電装置によって生成された電気エネルギを電気的直流によって前記共通の給電装置に導くために、電気的直流電圧ネットを介して前記給電装置に接続される。
(形態2)上記のウインドパークにおいて、前記直流電圧ネットは、1〜50kV、とりわけ5〜10kV、の範囲の直流電圧を有することが好ましい。
(形態3)上記のウインドパークにおいて、前記少なくとも2つの風力発電装置は夫々以下:
・電気的交流を生成する発電機、
・該生成された電気的交流を、第1直流電圧を伴う第1直流に整流する整流器、及び
・該第1直流電圧を伴う第1直流を、該第1直流電圧より大きい第2直流電圧を伴う第2直流にブーストするブーストコンバータ
を有することが好ましい。
(形態4)上記のウインドパークにおいて、前記少なくとも2つの風力発電装置の少なくとも1つ、有利にはウインドパークのすべての風力発電装置、は、夫々、電気的交流を生成するために、同期発電機を有することが好ましい。
(形態5)上記のウインドパークにおいて、前記給電装置は、前記直流電圧ネットに接続され前記電気供給ネットに給電するために電気的交流を生成するインバータを有することが好ましい。
(形態6)上記のウインドパークにおいて、前記給電装置と前記電気供給ネットの間に、前記給電装置によって生成される交流電圧を昇圧する変圧器が配設されることが好ましい。
(形態7)上記課題を解決するために、本発明の第2の視点により、複数の風力発電装置を有するウインドパークにおいて生成される電気エネルギを電気供給ネットに給電する方法が提供される。この方法は、以下の工程:
(a)風力発電装置の発電機による電気的交流の生成、
(b)該電気的交流の、第1直流電圧を伴う第1直流への整流、
(c)該第1直流電圧を伴う第1直流の、第2直流電圧を伴う第2直流へのブースト、
(d)該電気供給ネットに給電するためにパークインバータに供給するための、該第2直流の、直流電圧パークネットへの導入、及び
(e)該直流電圧パークネットに供給された電気エネルギの、該電気供給ネットへの、該パークインバータを介した給電
を含む。
(形態8)上記の方法において、前記工程a〜dは、前記ウインドパークの複数の風力発電装置によって実行されることが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
以下に、本発明の実施例を例示的に添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、特許請求の範囲に付した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図しない。

【国際調査報告】