特表2015-532875(P2015-532875A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コルゲート・パーモリブ・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特表2015532875-口腔ケア器具 図000003
  • 特表2015532875-口腔ケア器具 図000004
  • 特表2015532875-口腔ケア器具 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532875(P2015-532875A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】口腔ケア器具
(51)【国際特許分類】
   A46B 5/00 20060101AFI20151020BHJP
   A46B 11/00 20060101ALI20151020BHJP
【FI】
   A46B5/00 B
   A46B11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-539566(P2015-539566)
(86)(22)【出願日】2012年10月26日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月7日
(86)【国際出願番号】US2012062127
(87)【国際公開番号】WO2014065817
(87)【国際公開日】20140501
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジー・ワーシントン
(72)【発明者】
【氏名】シャロン・ケネディ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・ヒメネス
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB04
3B202AB12
3B202CA07
3B202FA08
3B202FB10
(57)【要約】
口腔ケア器具は内部タンクと改良された漏れ防止策を有する。ある実施形態では、発明は、内部タンク(140)を備えた取っ手(110)と、取っ手に連結された頭部と、取っ手から延び内部タンクに至る通路(182)が形成された内面(181)を有する環状首部(180)と、キャップソケット(161)が形成され環状壁(162)と端部(163)を有するキャップ本体(160)を備えた端末キャップ(150)と、中央室(173)が形成され端部からキャップソケット内に突出して環状プラグ壁の外面(172)と環状壁の内面(166)との間に環状室(165)を形成する環状プラグ壁(170)と、環状プラグ壁の外面から突出する第1環状シール部材(190)と、を備えた歯ブラシであってもよく、端末キャップは取っ手に連結されて通路を流体密封状にシールする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手軸に沿って基端から先端まで延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、
取っ手の先端に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、
取っ手の基端より延在し取っ手の内部タンクに至る通路が形成された内面を有する環状首部と、
端末キャップと、を備え、
端末キャップは、キャップソケットが形成され環状壁と端部を有するキャップ本体と、中央室が形成された内面を有する環状プラグ壁を備え、環状プラグ壁は、端部よりキャップソケット内に突出して環状プラグ壁の外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に環状室を形成し、端末キャップはさらに、環状プラグ壁の外面より突出する第1環状シール部材を備え、
環状首部は環状室内に延在し、環状プラグ壁は通路内に延在し、第1環状シール部材は付勢されて環状首部の内面の環状部に接触するように、端末キャップは取っ手に連結されて通路を流体密封状にシールするようにした、歯ブラシ。
【請求項2】
第1環状シール部材は環状プラグ壁と一体的に形成された、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
端末キャップが取っ手に連結される前、第1環状シール部材は環状首部の内面の環状部の内径より大きい外径を有する、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
第1環状シール部材と環状首部の内面の環状部との間に第1環状密封シールが形成された、請求項1及び2のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
環状首部は取っ手と一体的に形成された、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
端末キャップは取っ手に締り嵌めで連結された、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
環状首部の外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に第2環状シール部材をさらに備えた、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
第1及び第2環状シール部材はキャップ軸に沿ってある長さだけ互いにずれている、請求項7に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
第2環状シール部材は環状首部の外面とキャップ本体の環状壁の内面の一つに一体的に形成され、環状首部の外面とキャップ本体の環状壁の内面の他の一つは第1環状溝を備え、第2環状シール部材が第1環状溝に嵌入するようにした、請求項7及び8のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
第2環状シール部材は環状首部の外面と一体的に形成され、第1環状シール部材が環状首部の内面の環状部に付勢されることで、第2環状シール部材がキャップ本体の環状壁の内面の環状部に接触するように付勢されるようにした、請求項7及び8のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
第2環状シール部材とキャップ本体の環状壁の内面の環状部との間に第2環状密封シールが形成された、請求項10に記載の歯ブラシ。
【請求項12】
環状プラグ壁とキャップ本体の環状壁が同心状である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項13】
第1環状シール部材は環状プラグ壁の先端に位置している、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項14】
第1環状シール部材は、環状プラグ壁の先端の外周面回りにテーパー状に形成されるか丸みを帯びた先端縁を有する、請求項13に記載の歯ブラシ。
【請求項15】
環状首部は、テーパー状に形成されるか丸みを帯びた内周面を有する先端縁で終端するようにした、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項16】
キャップ本体の環状壁は、テーパー状に形成されるか丸みを帯びた内周面を有する先端縁で終端するようにした、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項17】
キャップ本体の環状壁は取っ手の基端で横肩部と隣接する先端縁で終端し、キャップ本体の環状壁は取っ手の外面と実質的に面一の外面を有する、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項18】
キャップ本体の端部は、キャップ本体の環状壁の外面と実質的に面一のドーム状外面を有する、請求項17に記載の歯ブラシ。
【請求項19】
複数の歯磨き要素の反対側の頭部に位置する塗布器と、内部タンク内の口腔ケア液と流体連結された第1端部と塗布器と流体連結された第2端部を有する芯部材をさらに備え、内部タンク内の口腔ケア液は芯部材を介して毛細管作用でのみ塗布器に供給される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項20】
取っ手軸に沿って基端から先端まで延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、
取っ手の先端に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、
取っ手の基端より延在し取っ手の内部タンクに至る通路が形成された内面を有する環状首部と、
端末キャップと、を備え、
端末キャップは、キャップソケットが形成され環状壁と端部を有するキャップ本体と、端部からキャップソケット内に突出してプラグの外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に中央室を形成するプラグと、プラグの外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に設けられた第1環状シール部材を備え、
環状首部は環状室内に延在し、プラグは通路内に延在し、第1環状シール部材は環状首部の内面の環状部に圧力を加えるように、端末キャップは取っ手に連結されて通路を流体密封状にシールするようにした、歯ブラシ。
【請求項21】
環状首部の外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に第2環状シール部材をさらに備えた、請求項20に記載の歯ブラシ。
【請求項22】
第1及び第2環状シール部材はキャップ軸に沿ってある長さだけ互いにずれている、請求項21に記載の歯ブラシ。
【請求項23】
第2環状シール部材は環状首部と一体的に形成され、第1環状シール部材により環状首部の内面の環状部に対し加えられた圧力により第2環状シール部材がキャップ本体の環状壁の内面の環状部に対し圧力を加えるようにした、請求項21及び22のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項24】
第1環状シール部材はプラグと一体的に形成され、端末キャップが取っ手に連結される前、第1環状シール部材は、環状首部の内面の環状部の内径より大きい外径を有する、請求項20乃至23のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項25】
プラグはテーパー状か丸みを帯びた先端外周面を有し、環状首部はテーパー状か丸みを帯びた内周面を有する先端縁で終端するようにした、請求項20乃至24のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項26】
キャップ本体の環状壁は取っ手の基端において横肩部と隣接する先端縁で終端し、キャップ本体の環状壁は取っ手の外面と実質的に面一の外面を有し、キャップ本体の端部はキャップ本体の環状壁の外面と実質的に面一のドーム状外面を有する、請求項20乃至25のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項27】
複数の歯磨き要素の反対側の頭部に位置する塗布器と、内部タンク内の口腔ケア液と流体連結された第1端部と塗布器と流体連結された第2端部を有する芯部材をさらに備え、内部タンク内の口腔ケア液は芯部材を介して毛細管作用でのみ塗布器に供給される、請求項20乃至26のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項28】
歯ブラシの取っ手内に位置し口腔ケア液を収容した内部タンクに至る通路をシールする方法であって、
(a)端末キャップを歯ブラシの取っ手の先端から延在する環状首部に整列させ、端末キャップは共同してキャップソケットを形成する環状壁と端部を有するキャップ本体を備え、環状首部は通路を形成する内面を有し、
(b)(1)端末キャップのプラグが通路内に延在し、(2)環状首部がプラグの外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に形成された環状室内に延在し、(3)プラグの外面から突出する第1環状シール部材が環状首部の内面の環状部に圧力を加えることにより第1環状密封シールを形成するまで、環状首部をキャップソケットに平行移動するようにした、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に口腔ケア器具に関し、特に端末キャップを有する口腔ケア器具に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔ケア器具、特に歯ブラシは、通常は歯、舌及び/又は歯肉等の口腔のブラシすべき領域に当てられるブラシ部に歯磨き粉を付けて使用される。幾つかの口腔ケア器具は、内蔵型液タンクと、歯磨き剤と他の口腔ケア剤を口腔ケア器具のブラシ部に送るシステムを備えている。しかしながら、器具から歯磨き剤と他の口腔ケア剤を送る改良型口腔ケア器具の継続的必要性がある。さらに、口腔ケア器具の端末キャップと取っ手間のシールを改善し、液タンクからの歯磨き剤と他の口腔ケア剤の漏れを減少させたりなくしたいという継続的必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、内部タンクと端末キャップを備えた口腔ケア器具を対象にしている。一形態において、口腔ケア器具は、口腔ケア液を収容した内部タンクを有する取っ手と、取っ手に連結された頭部を備えている。端末キャップは、タンクからの口腔ケア液の漏れを防止するように取っ手に連結されている。
【0004】
ある実施形態では、発明は、取っ手軸に沿って基端から先端まで延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを有する取っ手と、取っ手の先端に連結され複数の歯磨き要素を有する頭部と、取っ手の基端から延び取っ手の内部タンクに至る通路が形成された内面を有する環状首部と、キャップソケットが形成され環状壁と端部を有するキャップ本体を備えた端末キャップと、中央室が形成された内面を有し端部からキャップソケット内に突出して環状プラグ壁の外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に環状室を形成した環状プラグ壁と、環状プラグ壁の外面から突出する第1環状シール部材と、を備えた歯ブラシであってもよく、環状首部は環状室内に延在し、環状プラグ壁は通路内に延在し、第1環状シール部材は付勢されて環状首部の内面の環状部に接触するように、端端末キャップは取っ手に連結されて、通路を流体密封状にシールしている。
【0005】
別の実施形態では、発明は、取っ手軸に沿って基端から先端まで延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、取っ手の先端に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、取っ手の基端より延在し取っ手の内部タンクに至る通路が形成された内面を有する環状首部と、端末キャップと、を備え、端末キャップは、キャップソケットが形成され環状壁と端部を有するキャップ本体と、端部からキャップソケット内に突出してプラグの外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に中央室を形成するプラグと、プラグの外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に設けられた第1環状シール部材を備え、環状首部は環状室内に延在し、プラグは通路内に延在し、第1環状シール部材は環状首部の内面の環状部に圧力を加えるように、端末キャップは取っ手に連結されて通路を流体密封状にシールするようにした歯ブラシであってもよい。
【0006】
さらに別の実施形態では、発明は、歯ブラシの取っ手内に位置し口腔ケア液を収容した内部タンクに至る通路をシールする方法であってもよい。この方法は、(a)端末キャップを歯ブラシの取っ手の先端から延在する環状首部に配列し、端末キャップはキャップソケットを形成する環状壁と端部を有するキャップ本体を備え、環状首部は通路を形成する内面を有し、(b)(1)端末キャップのプラグが通路内に延在し、(2)環状首部がプラグの外面とキャップ本体の環状壁の内面との間に形成された環状室内に延在し、(3)プラグの外面から突出する第1環状シール部材が環状首部の内面の環状部に圧力を加えることにより第1環状密封シールを形成するまで、環状首部をキャップソケットに平行移動するようにしている。
【0007】
本発明のさらに別の適用領域は以下に説明する詳細な説明より明らかになる。詳細な説明及び特定例は、本発明の好ましい実施形態を示してはいるが、単に説明をわかりやすくするためのものであって、発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は詳細な説明と添付図面からより十分に理解できるようになる。
【0009】
図1図1は本発明の1実施形態にかかる口腔ケア器具の断面図であり、口腔ケア器具は、内部タンクを有する取っ手と、取っ手に連結された端末キャップを備えている。
【0010】
図2図2図1の領域IIの詳細図である。
【0011】
図3図3図2の口腔ケア器具の分解図であり、端末キャップは取っ手から分離されている。
【0012】
(発明の詳細な説明)
好ましい実施形態の以下の説明は本来単なる例示的なもので、本発明やその適用例や用途を限定するものでは決してない。
【0013】
本発明の本質に基づく具体例の説明は、全体の説明の一部と考えるべき添付図面を参照して読まれるためのものである。ここに開示された発明の実施形態の説明において、方向あるいは方位の記載は、単に説明を容易にするためのもので、本発明の範囲を決して限定するものではない。「下部」「上部」「水平な」「縦の」「上方」「下方」「上」「下」「頂部」「底部」のような相対的用語は、その派生語(例えば、「水平に」「下方に」「上方に」等)と同様、記載時の方向あるいは説明されている図面に示される方向と解釈すべきである。これらの相対的用語は、説明を容易にするためのもので、明確に指示されていなければ、装置が特定の方向で組み立てられたり操作されたりするものではない。「取付」「装着」「連結」「結合」「相互連結」等の用語は、構造体が介在構造体を介して直接的あるいは間接的に互いに固定されたり取り付けられたりする関係のことであり、これとは異なるように明確に記載されていない限り、互いに移動しうるあるいは固定された取付や関係も同様である。さらに、本発明の特徴や利点は、例示された実施形態を参照して図示されている。したがって、本発明は、単独で存在しうる特徴の非限定的組み合わせや他の組み合わせを図示したそのような例示的実施形態に明らかに限定されるべきものではなく、本発明の範囲はここに添付した請求の範囲によって規定される。
【0014】
図1をまず参照して、口腔ケア器具100を本発明の実施形態に従って記載する。例示された実施形態では、口腔ケア器具100は手動歯ブラシの形態を呈している。しかしながら、他の実施形態では、口腔ケア器具100は、電動歯ブラシ、舌スクレーパ、歯肉/軟組織洗浄器、ウォーターピック、歯間器、歯磨き器、取っ手があり歯と係合する要素を持つ特別に設計された器具、口腔ケアに通常使用される他の器具等の形態である。したがって、ここで説明する本発明の概念は、請求の範囲で特定の口腔ケア器具が規定されない限り、あらゆる種類の口腔ケア器具に適用できることがわかる。
【0015】
口腔ケア器具は通常、取っ手軸A−Aに沿って基端111から先端112に向かって延びる取っ手110と、取っ手110の先端112に連結された頭部120を備えている。さらに、以下に詳細に記載するように、端末キャップ150が取っ手110の基端111に連結されている。端末キャップ150は、キャップ軸Acに沿って延在している(図2及び図3に図示)。取っ手110は、ユーザが使用時に口腔ケア器具100を把持して操作する機構を提供する細長い構造体である。取っ手110は様々な輪郭を持つ一般的形状を持ち、いずれも本発明を特別に限定するものではない。さらに、取っ手110は、口腔ケア液141を収容する内部タンク140を形成する内面129と、口腔ケア器具100の使用時ユーザが把持する外面119を有する。端末キャップ150は取っ手に連結され、口腔ケア液141の内部タンク140からの漏れを防止する。
【0016】
ある実施形態では、内部タンク140に収容された口腔ケア液141がなくなると補充できるように、端末キャップ150は取っ手110に着脱自在に連結されている。そのような実施形態では、端末キャップ150が取っ手110から取り除かれた状態で、ユーザは、以下に記載する異なる種類の口腔ケア液を含む所望の口腔ケア液141を内部タンク140に補充することができる。しかしながら、別の実施形態では、端末キャップ150を取り外せないように取っ手110に取り付けてもよい。そのような実施形態では、口腔ケア液141がなくなると、口腔ケア器具100は口腔ケア液141の効果が得られない通常の口腔ケア器具100として使用されるか廃棄される。
【0017】
例示した実施形態では、内部タンク140は、口腔ケア器具の取っ手110の軸の長さ方向全体に沿って延在している。したがって、内部タンク140は、多重使用に十分な量の口腔ケア液141を収容することができる。勿論、他の実施形態では、内部タンク140はもっと小さくてもよく、取っ手110の軸方向に沿って部分的にのみ延在してもよい。そのような実施形態では、タンク140は、口腔ケア器具100の1回の使用に足りる口腔ケア液141を収容しさえすればよい。そのような実施形態では、口腔ケア器具100は、1回使用した後廃棄される使い捨て口腔ケア器具であったり、要望に応じて使用するごとに内部タンク140を補充することもできる。
【0018】
タンク140に収容された口腔ケア液141は、ユーザの口腔に接触してユーザに口腔衛生をもたらす物質である。一実施形態では、口腔ケア液141は流体物質である。例えば、ある実施形態では、口腔ケア液141は口腔面に接触して口腔面をきれいにし、ユーザの吐息をきれいにする効果を提供する洗口溶液である。他の実施形態では、口腔ケア液141は、歯磨き剤のような歯洗浄溶液である。勿論、口腔ケア液141は、本発明を決して限定するものではなく、歯や軟組織や歯間の浄化時に消費者に治療的、表面的、経験的及び/又は感覚的利益を与える活性あるいは不活性剤を有する流体を含んでもよい。特に、口腔ケア物質は、抗過敏性剤、フッ化物、歯石防止剤、抗菌剤、酸化あるいは白色剤、エナメル強化あるいは修復剤、歯の酸蝕症防止剤、歯の過敏症成分、歯肉衛生剤、栄養成分、歯石抑制あるいは汚れ防止成分、酵素、知覚成分、風味成分、吐息浄化成分、口腔悪臭抑制剤、抗付着剤あるいはシーラント、診断用溶液、咬合剤、口渇防止成分、あるいは、これらの物質や、着色剤あるいは審美的成分、重炭酸アルギニン、クロロヘキシジン、トリクロサン、CPC、酸化亜鉛、あるいはこれらの組み合わせのいずれかの活動を高める触媒である。ある実施形態では、口腔ケア液141に歯磨き剤がなくてもよい。なぜなら、口腔ケア液141は、従来の歯磨きに代わるものではなく、それを補足するためのものだからである(したがって、以下に述べるように、口腔ケア液はブラシの反対側の頭部後面に供給される)。
【0019】
口腔ケア器具100の頭部120は、前面121と、対向する後面122を備えている。複数の歯磨き要素123が頭部120の前面121から延在している。例示した実施形態では、歯磨き要素123は略一つのブロックで描かれている。歯磨き要素123の実際の構造、様式、配向、材料は、請求の範囲で規定されない限り、本発明を限定するものではない。したがって、ここで使用されているように、用語「歯磨き要素」は、表面接触により歯や軟部口腔組織(例えば、舌、頬、歯肉等)をきれいにしたり磨いたり拭いたりするために使用されるあらゆる構造体を意味するものとして通常使用される。「歯磨き要素」の一般例には、剛毛房、繊維状剛毛、ファイバー剛毛、ナイロン剛毛、らせん状剛毛、ゴム剛毛、エラストマー突起物、可撓性ポリマー突起物、それらの組み合わせ、及び/又は、そのような材料や組み合わせを含む構造体が含まれるが、これらに限定されない。適切なエラストマー材料には、口腔衛生装置の使用に適した生体適合性のあるあらゆる弾性材料が含まれる。浄化と同様、最高の快適さを提供するため、歯あるいは軟組織と係合する要素のエラストマー材料は、ショア硬度でA8〜A25の範囲の硬度特性を持つ。適切なエラストマー材料の一つは、GLSコーポレーションにより製造されるスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)である。しかしながら、他の製造会社のSEBS材料や前述した硬度範囲内あるいはこの範囲外の他の材料も使用することができる。
【0020】
本発明の歯磨き要素123は、当該分野で公知の方法で頭部120に連結することができる。例えば、ホッチキス止め/アンカリング、インモールドタフティング(IMT)あるいは無アンカタフティング(AFT)が、洗浄要素/歯係合要素を取り付けるために使用される。AFTでは、板あるいは薄膜が、例えば超音波溶接によりブラシ頭部に固定される。剛毛は板あるいは薄膜を介して延在する。板あるいは薄膜の片側にある剛毛の自由端は洗浄作用を行う。板あるいは薄膜の反対側にある剛毛の端部は、熱でまとめて溶かされ、所定の位置に固定される。様々な適切な形態の洗浄要素を本発明の広範囲の実施に使用してもよい。あるいは、剛毛の基部が房ブロック内あるいはその下方に取り付けられるように、剛毛を房ブロックの適切な開口部を介して延在させることにより剛毛を房ブロックあるいは房部に取り付けることもできる。
【0021】
例示した実施形態では、軟組織洗浄部124が、頭部120の後面122に位置し連結されている。軟組織洗浄部124は、パッド部126と、パッド部126から突出する複数の突出部125を備えている。例示した実施形態では、複数の突出部125の各々は、こぶの形態を呈している。ここで使用した「こぶ」は、一般に基部表面から立ち上がる柱状の突出物のことである(突出物の断面形状については限定せず)。一般に、好ましい構造の突出部125は、突出部125の基部の幅より高さが大きい(もっとも高い方向に測定した場合)。しかしながら、突出部あるいはこぶには、幅及び高さが略同じか、高さが基部の幅より多少小さい突出部も含まれる。さらに、状況次第で(例えば、突出部が先端に向かってテーパー状になっていたり、突出部がより小さい突起に向かって狭くなっている基部を含む場合)、基部の幅は高さより実質的に大きい。
【0022】
軟組織洗浄部124の好ましい一形態では、複数の突出部125は円錐状に形成されるのがよい。ここで使用した「円錐状に形成」あるいは「円錐状」は、真円錐、円錐台状に形成された要素、及び、小さくなった端部に向かってテーパー状に形成され、テーパーが均一で連続的であったり、あるいは、円形断面を有するかどうかに関係なく、円錐に類似する他の形状を含むことを意味している。例示した実施形態では、パッド126と突出部125を含む軟組織洗浄部124は、射出成型された熱可塑性エラストマーのような弾性材料から形成される。本発明とともに使用され頭部120の後面122に位置する適切なエラストマーの軟組織洗浄部の一例は、本願の譲受人に譲渡された2006年2月5日発行の米国特許第7,143,462号に開示されているが、これに限定されるものではない。なお、前記米国特許は、ここに参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。他の実施形態では、軟組織洗浄部124の突出部125は、細長い突起やこぶあるいはこれらの組み合わせの形態を取ることもできる。さらに、本発明は、頭部120の後面22に軟組織洗浄部124が組み込まれた実施形態に限定されるわけではなく、他の実施形態では、軟組織洗浄部124を省略してもよい。
【0023】
例示した実施形態では、取っ手110と頭部120は、熱あるいは超音波溶接、締り嵌め、連結スリーブ、ねじ締め、接着あるいはファスナーを含む当該分野で公知の適切な技術による−これらの技術に限定されない−製造過程の後半で操作自在に連結される別々に形成された部品である。例示した実施形態では、取っ手110の先端領域113は、取っ手110の滑らかな輪郭を変え、頭部120の相補的形状に連結点を提供する複数の突起114を備えている。このような突起は、特に熱溶融あるいは超音波溶接を介して連結される時、取っ手110と頭部120の連結を向上させる。例示した実施形態では、取っ手110と頭部120は別々に形成された部品ではあるが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態では、成形、フライス加工、機械加工あるいは他の適切な加工を使用して、頭部120を取っ手110との単一構造体として取っ手110と一体的に形成することもできる。
【0024】
ある実施形態では、取っ手110と頭部120の各々は、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ビニル化合物、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルの重合体や共重合体等の剛体材料で形成されるが、これらに限定されない。勿論、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、取っ手110及び/又は頭部120を他の材料で形成してもよい。さらに、例示した実施形態では、端末キャップ150も上述した材料例の一つのような剛体材料で形成される。しかしながら、本発明はこのように限定されるものではなく、弾性材料や、木材、金属等の非塑性剛体材料を含む他の材料で端末キャップ150を形成することもできる。
【0025】
例示した実施形態では、取っ手110は、取っ手110の親指で把持する領域116に把持部材115を有する。把持部材115は、熱可塑性エラストマーのような弾性材料で形成され、射出成型等の当該分野で公知の技術で取っ手110に連結されている。ユーザが口腔ケア器具100を把持すると、把持部材115はユーザの快適性を向上させ、湿った歯磨き環境における口腔ケア器具100の使用中、ユーザの手が取っ手110上で滑る可能性を最小限に抑えるかあるいは減少させる。例示した実施形態では、把持部材115は取っ手110の前面にのみ配置されている。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、把持部材115を取っ手110の後面にあるいは側面に沿って配置してもよい。
【0026】
把持部材115は、本体部117と、本体部117から外方に延びる複数の突出部118を備えている。ある実施形態では、突出部118は、軟組織洗浄部124について上述したこぶのように、把持部材115の本体部117から延びる突起である。勿論、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、突出部118は、把持部材115の本体部117の幅方向に沿って延びる柱状の突起、細長い突起等の形状及び形態を取ることもできる。突出部118は、口腔ケア器具100の使用中の滑りを防止したり快適性を向上させるための別の面を提供している。
【0027】
把持部材115に加えて、取っ手110を部分的あるいは全体的にカバーする別の弾性材料とともに取っ手110を形成して使用中の取っ手110の把持性をさらに向上させてもよい。例えば、使用時にユーザの手のひらで通常把持される取っ手110の部分を熱可塑性エラストマーや他の弾性材料で外側被覆してユーザの快適性をさらに向上させてもよい。取っ手110をカバーする実際の形状、輪郭及び弾性材料は、特に請求の範囲で規定されない限り本発明を限定するものではない。
【0028】
口腔ケア器具100の頭部120は、頭部120の後面122に位置する塗布器130をさらに備えている。特に、塗布器130は、歯磨き要素123の反対側の頭部120の面に位置している。ある実施形態では、塗布器130を軟組織洗浄部124で囲繞したり軟組織洗浄部124内に埋め込んでもよい。さらに、例示した実施形態では、塗布器130は、露出して口腔ケア器具100の使用時にユーザの歯や歯肉と接触する突起131を有する。突起131は塗布器130と一体的に形成され、軟組織洗浄部124の突出部125の輪郭と連続してユーザの歯や歯肉の洗浄をさらに向上させる。
【0029】
口腔ケア器具100の頭部120は、内部タンク140内に収容された口腔ケア液141と流体連結された第1端部133と、塗布器130と流体連結された第2端部134を有する芯部材132をさらに備えている。芯部材132は、口腔ケア器具100の頭部120の内部タンク140から塗布器130にかけて形成された液路135内に位置している。したがって、口腔ケア器具100の使用中、塗布器130が露出してユーザの歯や歯肉に接触すると、液路135は内部タンク140から頭部120の後面122に至る口腔ケア器具100の通路を提供する。
【0030】
例示した実施形態では、芯部材132は、繊維材料やセラミックや多孔性プラスチックあるいはそれらの組み合わせ−これらに限定されない−を含む毛細管材料で塗布器130と一体的に形成されている。したがって、例示した実施形態では、内部タンク140内の口腔ケア液141は、芯部材132を介して単に毛細管作用によって塗布器130に供給される。他の実施形態では、塗布器130と芯部材132は、異なる種類の上述した毛細管材料で別々に形成される。そのような実施形態では、口腔ケア液141は、各部材の材料や毛細管に応じて芯部材132と塗布器130の各々を異なる流速で流れる。
【0031】
例えば、口腔ケア液141は、口腔ケア器具100の使用時、芯部材132から塗布器130に向かってよりも内部タンク140から芯部材132に向かってより早い流速で流れ、口腔ケア液141のユーザの歯や歯肉への過剰供給を防止している。このようにすることで、ユーザの歯や歯肉に付ける口腔ケア液141の用量を塗布器130を飽和状態にする口腔ケア液141の量にしている。換言すれば、口腔ケア器具100の使用時、塗布器130の口腔ケア液141は使い果たされることになる。塗布器130が口腔ケア液141で再び飽和状態となるには、ある程度の時間、例えば10分、30分、1時間、2時間あるいはそれ以上かかる。したがって、一旦塗布器130の口腔ケア液141の用量がなくなると、所定の時間がつきるまでユーザは口腔ケア液141をそれ以上歯や歯肉に付けることができず、塗布器130には口腔ケア液141が再び補充されることになる。
【0032】
上述したように、塗布器130と芯部材132を形成する材料は、ジョージア州アトランタにあるポレックス・テクノロジー社(Porex Technologies)から入手可能な繊維材料やセラミックや多孔性プラスチックを含む。繊維材料の一例は、日本の東京にあるテイボー販売株式会社(Teibow Hanbai Co., Ltd.)から入手可能な型番C10010として特定されるアクリル樹脂材料である。より大きい毛細管とより小さい毛細管が分布する多孔性及び/又は繊維材料の混合物を使用してもよい。塗布器130と芯部材132を、互いに連結された多数の小さい毛細管で形成したり、より大きい単一の毛細管として形成することもできる。さらに、内部タンク140から塗布器130への口腔ケア液141の供給は単に毛細管作用で達成されるとここでは記載したが、他の実施形態では、機械的作用、機械式ポンプ、電動式ポンプあるいはそれらの組み合わせを介して供給したり、これらに毛細管作用を加えて供給してもよい。
【0033】
図2及び図3を同時に参照して、口腔ケア器具100、より具体的には、口腔ケア器具100の取っ手110と端末キャップ150の詳細と両者の連結についてさらに説明する。口腔ケア器具100は、取っ手110の基端111から延びる環状首部180を備えている。例示した実施形態では、環状首部180は、射出成型技術あるいは上述した他の技術のいずれかにより単一一体部品として取っ手110と一体的に形成されている。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、環状首部180を取っ手110の基端111とは別々に形成して後で連結することもできる。
【0034】
環状首部80は、取っ手110の内部タンク140への通路182が形成された内面181と外面183を備えている。さらに、環状首部180は先端縁186で終端している。環状首部180の先端縁186は、取っ手軸Aに直交する横断部188と内周面187からなる。先端縁186の内周面187は、環状首部180の内面181と先端縁186の横断部188との間に延在している。例示した実施形態では、先端縁186の内周面187は、先端縁186の横断部188から環状首部180の内面181に向かって延びるにつれて内側にテーパー状に形成されている。しかしながら、本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、先端縁186の内周面187はテーパー状ではなく丸くしてもよい。先端縁186の内周面187をテーパー状あるいは丸くすることで、端末キャップ150の環状首部180への連結を容易にすることができ、この点についてはより詳しく後述する。
【0035】
例示した実施形態では、第2環状シール部材184と第3環状シール部材185が環状首部180の外面183と一体的に形成されている。第2及び第3環状シール部材84,185は、環状首部180の外面183から外側に延びる環状突起である。例示した実施形態では、第2及び第3環状シール部材184,185の各々は、円形あるいはドーム状の外面を有する。第2及び第3環状シール部材184,185の外面に丸みを持たせることで、より詳しく後述するように、端末キャップ150の環状首部180に容易に固定することができる。しかしながら、本発明はすべての実施形態において第2及び第3環状シール部材184,185の外面に丸みを持たせることに限定されない。第2及び第3環状シール部材184,185は、環状首部180と端末キャップ150との連結を容易にし、口腔ケア液141の内部タンク140からの漏れを防止するのに役立つ。さらに詳述すると、第2及び第3環状シール部材184,185は環状首部80と端末キャップ150との間に締り嵌め連結を作り出している。
【0036】
詳しく後述する実施形態では、第2及び第3環状シール部材184,185は、環状首部180と一体的に形成するよりむしろ端末キャップ150と一体的に形成することができる。さらに別の実施形態では、第2及び第3環状シール部材184,185は、ゴムや他のエラストマー材料で形成される端末キャップ150あるいは環状首部180とは一体的ではない環状ガスケットでもよい。他の実施形態では、第2及び第3環状シール部材184,185の一つあるいは両方をなくし、端末キャップ150の環状首部80への連結を代替的機械式手段を介して行うことができる。
【0037】
端末キャップ150は、キャップソケット161が形成されたキャップ本体160と、キャップソケット161内に突出する環状プラグ壁170を通常備えている。さらに、キャップ本体160は、環状壁162と端部163を備え、環状壁162は外面164と内面166を有する。例示した実施形態では、キャップ本体160の端部163は、環状壁162の外面164と実質的に面一のドーム状外面169を備えている。
【0038】
例示した実施形態では、環状プラグ壁170はキャップ本体160の環状壁162と同心状である。したがって、キャップ本体160の環状壁162はキャップ軸Ac回りの円周状に環状プラグ壁170を囲繞している。キャップ本体160の環状壁162は、キャップ軸Acに直交する横断部218と内周面219を有する先端縁217で終端している。例示した実施形態では、キャップ本体160の環状壁162の先端縁217の内周面219はテーパー状に形成されている。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、キャップ本体160の環状壁162の先端縁217の内周面219に丸みを持たせることもできる。環状壁162の先端縁217の内周面219をテーパー状にしたり丸くすることで、端末キャップ150の環状首部180への連結に際し、環状首部180の外面183が乗り上げる傾斜面が提供され、連結が容易になる。
【0039】
例示した実施形態では、環状壁162の内面166には、第1環状溝167と第2環状溝168が設けられている。したがって、端末キャップ150が環状首部180に連結される時、第2及び第3環状シール部材184,185は、端末キャップ150のキャップ本体160の環状壁162に形成された第1及び第2環状溝167,168に嵌入する。しかしながら、本発明は、すべての実施形態においてこのような特定の構造配列に限定されるものではない。したがって、他の実施形態で上述したように、環状首部180には環状溝を設け、端末キャップ150のキャップ本体160の環状壁162には第2及び第3環状シール部材を設けてもよい。さらに別の実施形態では、環状首部180と端末キャップ150のキャップ本体160の環状壁162の一つに単一の溝を設け、環状首部180と端末キャップ150のキャップ本体160の環状壁162の他の一つに単一の環状シール部材を設けてもよい。
【0040】
環状プラグ壁170は、キャップ本体160の端部163からキャップソケット161内に突出する環状壁である。さらに詳述すると、環状プラグ壁170は、キャップソケット161の床面179から突出してキャップソケット61を中央室173と環状室165に分離している。したがって、環状プラグ壁170は、内面171と外面172を有する。環状プラグ壁170の内面171は中央室173を形成している。さらに詳しく後述するように、端末キャップ150が環状首部180に連結されると、口腔ケア液141は内部タンク140と中央室173に充填される。環状プラグ壁170がキャップソケット161内に突出しているので、環状室165は、環状プラグ壁170の外面172とキャップ本体160の環状壁162の内面166との間に形成される。環状室165は、さらに詳しく後述するように、口腔ケア液141の漏れを防止する別の機構としての機能を果たす。
【0041】
第1環状シール部材190が、環状プラグ壁170の外面172から突出している。さらに詳述すると、第1環状シール部材190は、環状プラグ壁170の先端174で環状プラグ壁170の外面から突出している。さらに、例示した実施形態では、第1環状シール部材190は、環状プラグ壁170の先端174の外周面回りに丸みを帯びた先端縁191を有する。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、第1環状シール部材190の先端縁191を環状プラグ壁170の先端174の外周面回りにテーパー状に形成してもよい。第1環状シール部材190の先端縁191の丸みを帯びた形状は、環状首部180の先端縁186のテーパー状内周面187と相まって、相対的傾斜面を作り出し端末キャップ150の環状首部180への連結を容易にする。
【0042】
例示した実施形態では、第1環状シール部材190は、キャップ軸Acに沿って軸長dだけ第1環状溝167よりずれている。さらに、端末キャップ150の環状首部180への連結時、第2環状シール部材184が第1環状溝167に嵌入する構造であることから、端末キャップ150の環状首部180への連結時、第1環状シール部材190もまた、キャップ軸Acに沿って軸長dだけ第2環状溝184よりずれている。
【0043】
例示した実施形態では、第1環状シール部材190は、環状プラグ壁170と一体的に形成されている。さらに、環状プラグ壁170は、ポリプロピレンのような硬質プラスチック材料あるいは上述した他の硬質プラスチック材料で端末キャップ150の残りの部分と一体的に形成されている。勿論、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、第1環状シール部材190は、環状プラグ壁170に連結される別のガスケットのように環状プラグ壁170とは別部品であってもよい。
【0044】
上述したように、端末キャップ150は締り嵌めにより環状首部180に連結される。したがって、端末キャップ150を環状首部180に連結するために、環状首部180は、取っ手軸Aとキャップ軸Acの方向にキャップソケット161に挿入される。環状首部180は、第2及び第3環状シール部材184,185の第1及び第2環状溝167,168への嵌入により端末キャップ150が環状首部180の所定の位置にはめ込まれるまで連続して挿入される。端末キャップ150の環状首部180からの分離は、第2及び第3環状シール部材184,185が第1及び第2環状溝167,168から引き出されるまで端末キャップ150と取っ手110を軸方向の反対側に引っ張ることにより同じように達成される。
【0045】
端末キャップ150の取っ手110への連結時、環状首部180から取っ手110の内部タンク140内への通路182は、液体密封状態にシールされている。さらに、端末キャップ150の取っ手110への連結時、少なくとも環状首部180の一部が環状室165内に挿入されると、環状プラグ壁170は通路182内に挿入され、第1環状シール部材190は環状首部180の内面181の環状部201と当接するように付勢される。例示した実施形態では、環状首部180の先端縁186と環状室165の床面222との間にはスペースあるいは隙間221がある。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、環状首部180の先端縁186は環状室165の床面222と接触してもよい。さらに、端末キャップ150の環状首部180への連結時、環状首部180の外面183は環状壁162の内面166と対向し、第2及び第3環状シール部材184,185は第1及び第2環状溝167,168に嵌入する。
【0046】
第1環状シール部材190は外径Dsを有する。さらに、環状首部180の内面181の環状部201は内径Dを有する。端末キャップ150が取っ手110に連結される前は、第1環状シール部材190の外径Dsは環状首部180の内面181の環状部201の内径Dより大きい。しかしながら、端末キャップ150の環状首部180への連結時、環状首部180が環状室165内に収まるように環状プラグ壁170は中央室173に向かって内側に変形する。さらに詳述すると、環状首部180がキャップソケット161に挿入されるにつれて、環状首部180の先端縁186は第1環状シール部材190に当接する。環状首部180の先端縁186の内周面が傾斜あるいはテーパー状になっており、第1環状シール部材190が円形あるいはテーパー状に形成されているので、環状シール部材190が環状首部180の内面181に当接するまで第1環状シール部材190は内周面187に乗り上げる。したがって、環状首部180は環状プラグ壁170を押圧して中央室173に向かって内側に変形させる。
【0047】
第1環状シール部材190の外径Dsが環状首部180の内面181の環状部201の内径Dより大きいことから、環状首部180が環状室165内に位置すると、第1環状シール部材190は、環状首部180の内面181の環状部201に接触するように押圧される。さらに詳述すると、環状首部180が環状室165内に配置されると、環状プラグ壁170は中央室173に向かって内側に変形するが、環状プラグ壁170は、本来の姿勢(環状首部180に連結される前の姿勢)を維持する性質により環状首部180に向かって付勢される。したがって、端末キャップ150が取っ手110の環状首部180に連結されると、第1環状密封シールが、第1環状シール部材190と環状首部180の内面181の環状部201との間に形成される。第1環状シール部材190は、環状首部180の内面181の環状部201においてその本来の付勢力により環状首部180の内面181に一定圧力を付与する。
【0048】
例示した実施形態では、端末キャップ150は、締り嵌めにより取っ手110の環状首部180に連結される。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、連結スリーブ、ねじ締め、接着、ファスナー等の他の機械的連結により端末キャップ150を取っ手110の環状首部180に連結することもできる。
【0049】
取っ手110の基端111には、取っ手110の基端111とキャップ本体160の先端縁217との係合面を提供する横肩部202が形成されている。端末キャップ150の取っ手110の環状首部180への連結時、キャップ本体160の先端縁217は、取っ手の基端111で横肩部202と当接する。さらに、端末キャップ150の取っ手110の環状首部180への連結時、キャップ本体160の環状壁162の外面164は、取っ手110の外面119と実質的に面一となる。したがって、端末キャップ150のキャップ本体160の環状壁162の外面164と取っ手110の外面は、口腔ケア器具100の連続した把持外面を形成している。
【0050】
上述したように、例示した実施形態では、端末キャップ150の取っ手110の環状首部180への連結時、環状首部180の第2環状シール部材184がキャップ本体160の環状壁162に形成された第1環状溝167内に嵌入し、環状首部180の第3環状シール部材185がキャップ本体160の環状壁162に形成された第2環状溝168内に嵌入する。本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、第2及び第3環状シール部材をキャップ本体160の環状壁162と一体的に形成し、第1及び第2環状溝を環状首部180に形成することもできる。
【0051】
とはいえ、例示した実施形態では、第2及び第3環状シール部材167,168は環状首部180の外面183と一体的に形成されている。環状首部180の内面181の環状部201に対する第1環状シール部材190の付勢により、さらに第2環状シール部材167がキャップ本体160の環状壁162の内面166の環状部203に接触するように付勢される。例示した実施形態では、キャップ本体160の環状壁162の内面166の環状部203は第1環状溝167内に位置している。したがって、第2環状密封シールが、第2環状シール部材184とキャップ本体160の環状壁162の内面166の環状部203との間に形成される。同様に、例示した実施形態では、環状首部180の内面181の環状部201に対する第1環状シール部材190の付勢により、さらに第3環状シール部材168がキャップ本体160の環状壁162の内面166の第2環状部204に接触するように付勢される。例示した実施形態では、キャップ本体160の環状壁162の内面166の第2環状部204は第2環状溝168内に位置している。したがって、第3環状密封シールが、第3環状シール部材168とキャップ本体160の環状壁162の内面166の第2環状部204との間に形成される。
【0052】
第2及び第3環状シール部材184,185が第1及び第2環状溝167,168に嵌入するとともに第1環状シール部材190が環状首部180の内面181に付勢される結果として、口腔ケア液141の内部タンク140からの漏れは、完全になくならないにしても実質的に減少する。詳しくは、端末キャップ150の環状首部180への連結時、口腔ケア液141が内部タンク140から漏れるには、口腔ケア液141は、環状首部180の内面181の環状部201における密封シールを通過して環状室165内にまず入る必要がある。これは、環状部201で第1環状シール部材190により環状首部180の内面181に一定圧力が加えられているので、可能性は低い。たとえ口腔ケア液141が環状室165内に流れ込むことができても、第2及び第3環状シール部材84,185の第1及び第2環状溝167,168への嵌入により生じるキャップ本体160の環状壁162の内面166の環状部203と第2環状部204を次に通過する必要がある。口腔ケア器具100の異なる数か所を密封シールとして利用することで、口腔ケア液141の内部タンク140からの漏れは減少したり防止される。
【0053】
ある実施形態では、本発明は、口腔ケア器具あるいは歯ブラシ100の取っ手110内に位置し口腔ケア液141を収容した内部タンク140に至る通路182をシールする方法を対象にしている。そのような実施形態では、方法は、歯ブラシ100の取っ手110の基端111から延びる環状首部180と端末キャップ150を整列することを含む。上述したように、端末キャップ150は、共同してキャップソケット161を形成する環状壁162と端部163を有するキャップ本体160を備えている。環状首部180は、通路182が形成されている内面181を有している。さらに、方法は、次の各々が達成されるまで環状首部180をキャップソケット161内に平行移動することを含む:(1)端末キャップ150の環状プラグ壁170が通路182内まで延在すること;(2)環状首部180が、環状プラグ壁170の外面172とキャップ本体160の環状壁162の内面166との間に形成された環状室165内まで延在すること;(3)環状プラグ壁170の外面172から突出する第1環状シール部材190が、環状首部180の内面181の環状部203に対し圧力を加え、これにより環状部203に第1環状密封シールを形成すること。
【0054】
ここで使用されたように、範囲は、範囲内の各値あるいはすべての値を記載するための簡略形として使用されている。範囲内のどんな値も範囲の境界値として選択することができる。加えて、ここで引用した参照文献は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。本開示における定義と引用文献における定義が異なる場合には、本開示が優先する。
【0055】
本発明は、本発明を実施する現段階で好ましい形態を含む特定例を参照して記載されているが、この技術の熟練した人々は、上述したシステムや技術に多くの変形例や変更例があることを認識できる。本発明の範囲から逸脱しなければ他の実施形態を利用したり構造的機能的修正例を作り出すことができることも理解できる。したがって、本発明の精神及び範囲は、添付した請求の範囲に記載されているように広く解釈されるべきである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】