(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532877(P2015-532877A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】口腔ケア器具
(51)【国際特許分類】
A46B 9/04 20060101AFI20151020BHJP
【FI】
A46B9/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-539624(P2015-539624)
(86)(22)【出願日】2013年10月7日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月17日
(86)【国際出願番号】US2013063678
(87)【国際公開番号】WO2014066021
(87)【国際公開日】20140501
(31)【優先権主張番号】61/719,016
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジー・ワーシントン
(72)【発明者】
【氏名】シャロン・ケネディ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・ジェイ・ヒメネス
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202FA04
3B202FB01
(57)【要約】
口腔ケア器具は内部タンクを有する。ある実施形態では、発明は、口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、取っ手に連結された頭部と、頭部に位置する塗布器と、内部タンク内に配置され内部タンクを収容室とオーバーフロー室に分離する仕切り部材と、収容室からオーバーフロー室まで仕切り部材を貫通し、仕切り部材の第1面の第1開口部と仕切り部材の第2面の第2開口部で終端する通路と、塗布器と流体連結された第1端部と仕切り部材の第2面に隣接する端面で終端し第1軸方向における芯部材の軸方向移動を防止する第2端部を備えた芯部材と、を備えた歯ブラシであってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸に沿って延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、
取っ手に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、
頭部に位置する塗布器と、
内部タンク内に配置され内部タンクを収容室とオーバーフロー室に分離し、収容室に面する第1面とオーバーフロー室に面する第2面を備えた仕切り部材と、
収容室からオーバーフロー室まで仕切り部材を貫通し、仕切り部材の第1面の第1開口部と仕切り部材の第2面の第2開口部で終端する通路と、
塗布器と流体連結された第1端部と、仕切り部材の第2面に隣接する端面で終端し第1軸方向における芯部材の軸方向移動を防止する第2端部を備えた芯部材と、
を備えた歯ブラシ。
【請求項2】
歯磨き要素は頭部の前面から延在し、塗布器は頭部の後面に位置する、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
オーバーフロー室から頭部の後面の開口部まで延在する液路をさらに備え、芯部材の一部は液路内に位置し、塗布器は頭部の後面の開口部を介して露出する、請求項2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
仕切り部材の第2面は横方向の面である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
仕切り部材の第2面は上面と凹面を備え、芯部材の第2端部の端面は仕切り部材の第2面の凹面と隣接する、請求項4に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
芯部材の第2端部の端面は円錐である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
芯部材の第2端部の端面は直径Dwを持ち、通路の第2開口部は直径Do2を持ち、芯部材の第2端部の端面の直径Dwは通路の第2開口部の直径Do2より大きい、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
通路の第1開口部は直径Do1を持ち、通路の第1開口部の直径Do1は通路の第2開口部の直径Do2より大きい、請求項7に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
芯部材の第2端部の端面は第2開口部を囲繞する外周を持つ、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
仕切り部材は内部タンク内の軸方向固定位置に位置する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
第1軸方向は収容室に向かう方向である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項12】
仕切り部材を形成する材料は、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、及び、熱可塑性加硫物からなるグループから選択される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項13】
内部タンク内の口腔ケア液は芯部材を介して毛細管作用でのみ塗布器に供給される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項14】
芯部材は第1毛管現象を持つ第1部分と第2毛管現象を持つ第2部分を備え、第1及び第2毛管現象は異なる、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項15】
芯部材は塗布器と一体的に形成される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項16】
縦軸に沿って延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、
取っ手に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、
頭部に位置する塗布器と、
内部タンク内に配置され内部タンクを収容室とオーバーフロー室に分離する仕切り部材と、
仕切り部材に形成され入口部と吐出部を有する通路と、
を備え、
入口部は収容室から吐出部まで延在し、吐出部は入口部からオーバーフロー室まで延在し、入口部は吐出部の最大横断面積より大きい最大横断面積を持ち、
塗布器と流体連結された第1端部と、吐出部と流体連結された第2端部を有する芯部材をさらに備えた、歯ブラシ。
【請求項17】
仕切り部材は、上部と上部から収容室に向かう方向に延在する環状側壁をさらに備え、環状側壁は入口部を形成する内面を備え、上部は吐出部を形成する内面を備えた、請求項16に記載の歯ブラシ。
【請求項18】
環状側壁の内面は凹面であり、通路の入口部の横断面積は収容室から軸方向に離れるにつれて減少する、請求項17に記載の歯ブラシ。
【請求項19】
通路の入口部は収容室に面する仕切り部材の第1面の第1開口部で終端し、通路の吐出部はオーバーフロー室に面する仕切り部材の第2面の第2開口部で終端し、仕切り部材の第2面は横方向の面である、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項20】
仕切り部材の第2面は上面と凹面を備え、芯部材の第2端部は仕切り部材の第2面の凹面と隣接する端面で終端する、請求項19に記載の歯ブラシ。
【請求項21】
芯部材の第2端部は第2開口部を囲繞する外周部を持つ端面で終端する、請求項19に記載の歯ブラシ。
【請求項22】
芯部材の第2端部の端面は仕切り部材の第2面と隣接し、第1軸方向における芯部材の軸方向移動を防止する、請求項19乃至21のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項23】
仕切り部材は内部タンク内の軸方向固定位置に位置する、請求項16乃至22のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項24】
芯部材の第2端部は、通路の吐出部の最大横断面積より大きい横断面積を持つ端面で終端する、請求項16乃至23のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項25】
縦軸に沿って延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、
取っ手に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、
頭部に位置する塗布器と、
内部タンク内に配置され内部タンクを第1室と第2室に分離し、第1室に面する第1面と第2室に面する第2面を備えた仕切り部材と、
第1室から第2室まで仕切り部材を貫通し、仕切り部材の第1面の第1開口部と仕切り部材の第2面の第2開口部で終端する通路と、
塗布器と流体連結された第1端部と第2開口部を囲繞する外周を持つ端面で終端する第2端部を備えた芯部材と、
を備えた歯ブラシ。
【請求項26】
仕切り部材の第2面の第2開口部は第1断面積を持ち、芯部材の第2端部の端面は第2断面積を持ち、第2断面積は第1断面積より大きい、請求項25に記載の歯ブラシ。
【請求項27】
第1室に向かう第1軸方向における芯部材の軸方向移動が防止された、請求項25及び26のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項28】
仕切り部材は内部タンク内の軸方向固定位置に位置する、請求項25乃至27のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【請求項29】
内部タンク内の口腔ケア液は芯部材を介して毛細管作用でのみ塗布器に供給される、請求項25乃至28のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に口腔ケア器具に関し、特に口腔ケア剤を収容したタンクを有する口腔ケア器具に関する。
【0002】
関連特許出願の相互参照
本願は、2012年10月26日に出願された米国仮特許出願第61/719,016号の利益を求めるものであり、この仮特許出願は全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
【背景技術】
【0003】
口腔ケア器具、特に歯ブラシは、通常は歯、舌及び/又は歯肉等の口腔のブラシすべき領域に当てられるブラシ部に歯磨き粉を付けて使用される。幾つかの口腔ケア器具は、内蔵型液タンクと、歯磨き剤と他の口腔ケア剤を口腔ケア器具のブラシ部に送るシステムを備えている。しかしながら、器具から歯磨き剤と他の口腔ケア剤を送る改良型口腔ケア器具の継続的必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、内部タンクと端末キャップを備えた口腔ケア器具を対象にしている。一形態において、口腔ケア器具は、口腔ケア液を収容した内部タンクを有する取っ手と、取っ手に連結された頭部を備えている。端末キャップは、タンクからの口腔ケア液の漏れを防止するように取っ手に連結されている。
【0005】
ある実施形態では、発明は、縦軸に沿って延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、取っ手に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、頭部に位置する塗布器と、内部タンク内に配置され内部タンクを収容室とオーバーフロー室に分離し、収容室に面する第1面とオーバーフロー室に面する第2面を備えた仕切り部材と、収容室からオーバーフロー室まで仕切り部材を貫通し、仕切り部材の第1面の第1開口部と仕切り部材の第2面の第2開口部で終端する通路と、塗布器と流体連結された第1端部と仕切り部材の第2面に隣接する端面で終端し第1軸方向における芯部材の軸方向移動を防止する第2端部を備えた芯部材と、を備えた歯ブラシであってもよい。
【0006】
別の実施形態では、発明は、縦軸に沿って延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、取っ手に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、頭部に位置する塗布器と、内部タンク内に配置され内部タンクを収容室とオーバーフロー室に分離する仕切り部材と、仕切り部材に形成され入口部と吐出部を有する通路と、を備え、入口部は収容室から吐出部まで延在し、吐出部は入口部からオーバーフロー室まで延在し、入口部は吐出部の最大横断面積より大きい最大横断面積を持ち、塗布器と流体連結された第1端部と吐出部と流体連結された第2端部を有する芯部材をさらに備えた歯ブラシであってもよい。
【0007】
さらに別の実施形態では、発明は、縦軸に沿って延在し口腔ケア液を収容する内部タンクを備えた取っ手と、取っ手に連結され複数の歯磨き要素を備えた頭部と、頭部に位置する塗布器と、内部タンク内に配置され内部タンクを第1室と第2室に分離し、第1室に面する第1面と第2室に面する第2面を備えた仕切り部材と、第1室から第2室まで仕切り部材を貫通し、仕切り部材の第1面の第1開口部と仕切り部材の第2面の第2開口部で終端する通路と、塗布器と流体連結された第1端部と第2開口部を囲繞する外周を持つ端面で終端する第2端部を備えた芯部材と、を備えた歯ブラシであってもよい。
【0008】
本発明のさらに別の適用領域は以下に説明する詳細な説明より明らかになる。詳細な説明及び特定例は、本発明の好ましい実施形態を示してはいるが、単に説明をわかりやすくするためのものであって、発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は詳細な説明と添付図面からより十分に理解できるようになる。
【0010】
【
図1】
図1は本発明の1実施形態にかかる口腔ケア器具の断面図である。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
[発明の詳細な説明]
好ましい実施形態の以下の説明は本来単なる例示的なもので、本発明やその適用例や用途を限定するものでは決してない。
【0015】
本発明の本質に基づく具体例の説明は、全体の説明の一部と考えるべき添付図面を参照して読まれるためのものである。ここに開示された発明の実施形態の説明において、方向あるいは方位の記載は、単に説明を容易にするためのもので、本発明の範囲を決して限定するものではない。「下部」「上部」「水平な」「縦の」「上方」「下方」「上」「下」「頂部」「底部」のような相対的用語は、その派生語(例えば、「水平に」「下方に」「上方に」等)と同様、記載時の方向あるいは説明されている図面に示される方向と解釈すべきである。これらの相対的用語は、説明を容易にするためのもので、明確に指示されていなければ、装置が特定の方向で組み立てられたり操作されたりするものではない。「取付」「装着」「連結」「結合」「相互連結」等の用語は、構造体が介在構造体を介して直接的あるいは間接的に互いに固定されたり取り付けられたりする関係のことであり、これとは異なるように明確に記載されていない限り、互いに移動しうるあるいは固定された取付や関係も同様である。さらに、本発明の特徴や利点は、例示された実施形態を参照して図示されている。したがって、本発明は、単独で存在しうる特徴の非限定的組み合わせや他の組み合わせを図示したそのような例示的実施形態に明らかに限定されるべきものではなく、本発明の範囲はここに添付した請求の範囲によって規定される。
【0016】
図1をまず参照して、口腔ケア器具100を本発明の実施形態に従って記載する。例示された実施形態では、口腔ケア器具100は手動歯ブラシの形態を呈している。しかしながら、他の実施形態では、口腔ケア器具100は、電動歯ブラシ、舌スクレーパ、歯肉/軟組織洗浄器、ウォーターピック、歯間器、歯磨き器、取っ手があり歯と係合する要素を持つ特別に設計された器具、口腔ケアに通常使用される他の器具等の形態である。したがって、ここで説明する本発明の概念は、請求の範囲で特定の口腔ケア器具が規定されない限り、あらゆる種類の口腔ケア器具に適用できることがわかる。
【0017】
口腔ケア器具は通常、縦軸A−Aに沿って基端111から先端112に向かって延びる取っ手110と、取っ手110の先端112に連結された頭部120を備えている。さらに、端末キャップ150が取っ手110の基端111に連結されている。取っ手110は、ユーザが使用時に口腔ケア器具100を把持して操作する機構を提供する細長い構造体である。取っ手110は様々な輪郭を持つ一般的形状を持ち、いずれも本発明を特別に限定するものではない。さらに、取っ手110は、口腔ケア液141を収容する内部タンク140を形成する内面129と、口腔ケア器具100の使用時ユーザが把持する外面119を有する。端末キャップ150は取っ手に連結され、口腔ケア液141の内部タンク140からの漏れを防止する。
【0018】
ある実施形態では、内部タンク140に収容された口腔ケア液141がなくなると補充できるように、端末キャップ150は取っ手110に着脱自在に連結されている。そのような実施形態では、端末キャップ150が取っ手110から取り除かれた状態で、ユーザは、以下に記載する異なる種類の口腔ケア液を含む所望の口腔ケア液141を内部タンク140に補充することができる。しかしながら、別の実施形態では、端末キャップ150を取り外せないように取っ手110に取り付けてもよい。そのような実施形態では、口腔ケア液141がなくなると、口腔ケア器具100は口腔ケア液141の効果が得られない通常の口腔ケア器具100として使用されるか廃棄される。
【0019】
例示した実施形態では、内部タンク140は、口腔ケア器具100の取っ手110の軸の長さ方向に沿って延在している。したがって、内部タンク140は、多重使用に十分な量の口腔ケア液141を収容することができる。勿論、他の実施形態では、内部タンク140はもっと小さくてもよく、取っ手110の軸方向に沿って部分的にのみ延在してもよい。そのような実施形態では、タンク140は、口腔ケア器具100の1回の使用に足りる口腔ケア液141を収容しさえすればよい。そのような実施形態では、口腔ケア器具100は、1回使用した後廃棄される使い捨て口腔ケア器具であったり、要望に応じて使用するごとに内部タンク140を補充することもできる。
【0020】
仕切り部材160が内部タンク140の内部に配置されている。仕切り部材160は、内部タンク140を収容室142とオーバーフロー室143に分離している。収容室142は使用前に口腔ケア液141を収容する内部タンク140の部分であり、オーバーフロー室143は過剰口腔ケア液141を収容している。通常の状態では、口腔ケア液141のすべては収容室142内に収容されており、オーバーフロー室143には口腔ケア液141はない。高度あるいは温度変化等により収容室142内が膨張すると、収容室142の口腔ケア液141の一部がオーバーフロー室143に流れ込む。具体的には、温度変化及び高度変化は収容室142内の空気の体積変化を惹起し、口腔ケア液141は収容室142からオーバーフロー室143内に流れ込む。さらに、オーバーフロー室143は、芯部材132(後述)から滴る口腔ケア液141のすべてを回収する。仕切り部材160と内部タンク140の詳細は
図2を参照してさらに詳しく後述する。ある実施形態では、オーバーフロー室143の過剰口腔ケア液141は、収容室142内の圧力あるいは膨張が低下すると収容室142に戻る。
【0021】
さらに、本発明は内部タンク140を収容室142とオーバーフロー室143に分離する仕切り部材160について後述(及び前述)する一方、オーバーフローに関係しない本発明のある実施形態では、仕切り部材160は内部タンク140を単に第1室と第2室に分離するものでもよい。そのような実施形態では、仕切り部材140は芯部材の軸方向の正しい位置決めを確実に行う機能を果たす。
【0022】
タンク140に収容された口腔ケア液141は、ユーザの口腔に接触してユーザに口腔衛生をもたらす物質である。一実施形態では、口腔ケア液141は流体物質である。例えば、ある実施形態では、口腔ケア液141は口腔面に接触して口腔面をきれいにし、ユーザの吐息をきれいにする効果を提供する洗口溶液である。他の実施形態では、口腔ケア液141は、歯磨き剤のような歯洗浄溶液である。勿論、口腔ケア液141は、本発明を決して限定するものではなく、歯や軟組織や歯間の浄化時に消費者に治療的、表面的、経験的及び/又は感覚的利益を与える活性あるいは不活性剤を有する流体を含んでもよい。特に、口腔ケア物質は、抗過敏性剤、フッ化物、歯石防止剤、抗菌剤、酸化あるいは白色剤、エナメル強化あるいは修復剤、歯の酸蝕症防止剤、歯の過敏症成分、歯肉衛生剤、栄養成分、歯石抑制あるいは汚れ防止成分、酵素、知覚成分、風味成分、吐息浄化成分、口腔悪臭抑制剤、抗付着剤あるいはシーラント、診断用溶液、咬合剤、口渇防止成分、あるいは、これらの物質や、着色剤あるいは審美的成分、重炭酸アルギニン、クロロヘキシジン、トリクロサン、CPC、酸化亜鉛、あるいはこれらの組み合わせのいずれかの活動を高める触媒である。ある実施形態では、口腔ケア液141に歯磨き剤がなくてもよい。なぜなら、口腔ケア液141は、従来の歯磨きに代わるものではなく、それを補足するためのものだからである(したがって、以下に述べるように、ある実施形態では、口腔ケア液はブラシの反対側の頭部後面に供給される)。
【0023】
口腔ケア器具100の頭部120は、前面121と、対向する後面122を備えている。複数の歯磨き要素123が頭部120の前面121から延在している。例示した実施形態では、歯磨き要素123は略一つのブロックで描かれている。歯磨き要素123の実際の構造、様式、配向、材料は、請求の範囲で規定されない限り、本発明を限定するものではない。したがって、ここで使用されているように、用語「歯磨き要素」は、表面接触により歯や軟部口腔組織(例えば、舌、頬、歯肉等)をきれいにしたり磨いたり拭いたりするために使用されるあらゆる構造体を意味するものとして通常使用される。「歯磨き要素」の一般例には、剛毛房、繊維状剛毛、ファイバー剛毛、ナイロン剛毛、らせん状剛毛、ゴム剛毛、エラストマー突起物、可撓性ポリマー突起物、それらの組み合わせ、及び/又は、そのような材料や組み合わせを含む構造体が含まれるが、これらに限定されない。適切なエラストマー材料には、口腔衛生装置の使用に適した生体適合性のあるあらゆる弾性材料が含まれる。浄化と同様、最高の快適さを提供するため、歯あるいは軟組織と係合する要素のエラストマー材料は、ショア硬度でA8〜A25の範囲の硬度特性を持つ。適切なエラストマー材料の一つは、GLSコーポレーションにより製造されるスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)である。しかしながら、他の製造会社のSEBS材料や前述した硬度範囲内あるいはこの範囲外の他の材料も使用することができる。
【0024】
本発明の歯磨き要素123は、当該分野で公知の方法で頭部120に連結することができる。例えば、ホッチキス止め/アンカリング、インモールドタフティング(IMT)あるいは無アンカタフティング(AFT)が、洗浄要素/歯係合要素を取り付けるために使用される。AFTでは、板あるいは薄膜が、例えば超音波溶接によりブラシ頭部に固定される。剛毛は板あるいは薄膜を介して延在する。板あるいは薄膜の片側にある剛毛の自由端は洗浄作用を行う。板あるいは薄膜の反対側にある剛毛の端部は、熱でまとめて溶かされ、所定の位置に固定される。様々な適切な形態の洗浄要素を本発明の広範囲の実施に使用してもよい。あるいは、剛毛の基部が房ブロック内あるいはその下方に取り付けられるように、剛毛を房ブロックの適切な開口部を介して延在させることにより剛毛を房ブロックあるいは房部に取り付けることもできる。
【0025】
例示した実施形態では、軟組織洗浄部124が、頭部120の後面122に位置し連結されている。軟組織洗浄部124は、パッド部126と、パッド部126から突出する複数の突出部125を備えている。例示した実施形態では、複数の突出部125の各々は、こぶの形態を呈している。ここで使用した「こぶ」は、一般に基部表面から立ち上がる柱状の突出物のことである(突出物の断面形状については限定せず)。一般に、好ましい構造の突出部125は、突出部125の基部の幅より高さが大きい(もっとも高い方向に測定した場合)。しかしながら、突出部あるいはこぶには、幅及び高さが略同じか、高さが基部の幅より多少小さい突出部も含まれる。さらに、状況次第で(例えば、突出部が先端に向かってテーパー状になっていたり、突出部がより小さい突起に向かって狭くなっている基部を含む場合)、基部の幅は高さより実質的に大きい。
【0026】
軟組織洗浄部124の好ましい一形態では、複数の突出部125は円錐状に形成されるのがよい。ここで使用した「円錐状に形成」あるいは「円錐状」は、真円錐、円錐台状に形成された要素、及び、小さくなった端部に向かってテーパー状に形成され、テーパーが均一で連続的であったり、あるいは、円形断面を有するかどうかに関係なく、円錐に類似する他の形状を含むことを意味している。例示した実施形態では、パッド126と突出部125を含む軟組織洗浄部124は、射出成型された熱可塑性エラストマーのような弾性材料から形成される。本発明とともに使用され頭部120の後面122に位置する適切なエラストマーの軟組織洗浄部の一例は、本願の譲受人に譲渡された2006年2月5日発行の米国特許第7,143,462号に開示されているが、これに限定されるものではない。なお、前記米国特許は、ここに参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。他の実施形態では、軟組織洗浄部124の突出部125は、細長い突起やこぶあるいはこれらの組み合わせの形態を取ることもできる。さらに、本発明は、頭部120の後面22に軟組織洗浄部124が組み込まれた実施形態に限定されるわけではなく、他の実施形態では、軟組織洗浄部124を省略してもよい。
【0027】
例示した実施形態では、取っ手110と頭部120は、成形、フライス加工、機械加工あるいは他の適切な加工を用いて単一構造体として一体的に形成される。しかしながら、本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、取っ手110と頭部120は、熱あるいは超音波溶接、締り嵌め、連結スリーブ、ねじ締め、接着あるいはファスナーを含む当該分野で公知の適切な技術による−これらの技術に限定されない−製造過程の後半で操作自在に連結される別々に形成された部品であってもよい。
【0028】
ある実施形態では、取っ手110と頭部120の各々は、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ビニル化合物、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルの重合体や共重合体等の剛体材料で形成されるが、これらに限定されない。勿論、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、取っ手110及び/又は頭部120を他の材料で形成してもよい。さらに、例示した実施形態では、端末キャップ150も上述した材料例の一つのような剛体材料で形成される。しかしながら、本発明はこのように限定されるものではなく、弾性材料や、木材、金属等の非塑性剛体材料を含む他の材料で端末キャップ150を形成することもできる。
【0029】
例示した実施形態では、取っ手110は、取っ手110の親指で把持する領域116に把持部材115を有する。把持部材115は、熱可塑性エラストマーのような弾性材料で形成され、射出成型等の当該分野で公知の技術で取っ手110に連結されている。ユーザが口腔ケア器具100を把持すると、把持部材115はユーザの快適性を向上させ、湿った歯磨き環境における口腔ケア器具100の使用中、ユーザの手が取っ手110上で滑る可能性を最小限に抑えるかあるいは減少させる。例示した実施形態では、把持部材115は取っ手110の前面にのみ配置されている。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、把持部材115を取っ手110の後面にあるいは側面に沿って配置してもよい。
【0030】
把持部材115は、本体部117と、本体部117から外方に延びる複数の突出部118を備えている。ある実施形態では、突出部118は、軟組織洗浄部124について上述したこぶのように、把持部材115の本体部117から延びる突起である。勿論、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、突出部118は、把持部材115の本体部117の幅方向に沿って延びる柱状の突起、細長い突起等の形状及び形態を取ることもできる。突出部118は、口腔ケア器具100の使用中の滑りを防止したり快適性を向上させるための別の面を提供している。
【0031】
把持部材115に加えて、取っ手110を部分的あるいは全体的にカバーする別の弾性材料とともに取っ手110を形成して使用中の取っ手110の把持性をさらに向上させてもよい。例えば、使用時にユーザの手のひらで通常把持される取っ手110の部分を熱可塑性エラストマーや他の弾性材料で外側被覆してユーザの快適性をさらに向上させてもよい。取っ手110をカバーする実際の形状、輪郭及び弾性材料は、特に請求の範囲で規定されない限り本発明を限定するものではない。
【0032】
口腔ケア器具100の頭部120は、頭部120の後面122に位置する塗布器130をさらに備えている。特に、塗布器130は、歯磨き要素123の反対側の頭部120の面に位置している。勿論、本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、塗布器130の位置は頭部120の後面122に限定されない。特に、他の実施形態では、塗布器130は、頭部120の前面121にある複数の歯磨き要素123の領域内や、口腔ケア器具100の頭部120の他の所望の領域に位置してもよい。さらに別の実施形態では、塗布器130は、取っ手110や口腔ケア器具100のどこかに位置してもよい。
【0033】
例示した実施形態では、塗布器130を軟組織洗浄部124で囲繞したり軟組織洗浄部124内に埋め込んでもよい。さらに、例示した実施形態では、塗布器130は、露出して口腔ケア器具100の使用時にユーザの歯や歯肉と接触する突起131を有する。突起131は塗布器130と一体的に形成され、軟組織洗浄部124の突出部125の輪郭と連続してユーザの歯や歯肉の洗浄をさらに向上させる。
【0034】
口腔ケア器具100の頭部120は、塗布器130と流体連結された第1端部133と、内部タンク140内に収容された口腔ケア液141と流体連結された第2端部134を有する芯部材132をさらに備えている。芯部材132の少なくとも一部は、口腔ケア器具100の頭部120において内部タンク140のオーバーフロー室143の先端144から塗布器130にかけて形成された液路135内に位置している。より具体的には、例示した実施形態では、塗布器130は、頭部120の後面122にある開口部139を介して露出している。したがって、液路135はオーバーフロー室143の先端144から頭部120の後面122の開口部139まで延在している。口腔ケア器具100の使用中、塗布器130が露出してユーザの歯や歯肉に接触すると、液路135は内部タンク140から頭部120の後面122に至る口腔ケア器具100の通路を提供する。芯部材132の正確な位置決め及び場所は
図2乃至
図4を参照してより詳しく後述する。
【0035】
例示した実施形態では、芯部材132は円筒状の断面形状を有する。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、芯部材132は別の断面形状を有してもよい。例示した実施形態では、芯部材132は、繊維材料やセラミックや多孔性プラスチックあるいはそれらの組み合わせ−これらに限定されない−を含む毛細管材料で塗布器130と一体的に形成されている。したがって、例示した実施形態では、内部タンク140内の口腔ケア液141は、芯部材132を介して単に毛細管作用によって塗布器130に供給される。他の実施形態では、塗布器130と芯部材132は、異なる種類の上述した毛細管材料で別々に形成される。そのような実施形態では、口腔ケア液141は、各部材の材料や細孔のサイズ分布に応じて芯部材132と塗布器130の各々を異なる流速で流れる。
【0036】
例えば、口腔ケア液141は、口腔ケア器具100の使用時、芯部材132から塗布器130に向かってよりも内部タンク140から芯部材132に向かってより早い流速で流れ、口腔ケア液141のユーザの歯や歯肉への過剰供給を防止している。このようにすることで、ユーザの歯や歯肉に付ける口腔ケア液141の用量を、塗布器130を飽和状態にする口腔ケア液141の量にしている。換言すれば、口腔ケア器具100の使用時、塗布器130の口腔ケア液141は使い果たされることになる。塗布器130が口腔ケア液141で再び飽和状態となるには、ある程度の時間、例えば10分、30分、1時間、2時間あるいはそれ以上かかる。したがって、一旦塗布器130の口腔ケア液141の用量がなくなると、所定の時間がつきるまでユーザは口腔ケア液141をそれ以上歯や歯肉に付けることができず、塗布器130には口腔ケア液141が再び補充されることになる。
【0037】
ある実施形態では、芯部材132は第1毛管現象を持つ第1部分と第2毛管現象を持つ第2部分を備えてもよく、第1及び第2毛管現象は異なる。ある実施形態では、芯部材132の第1及び第2部位は芯部材132の軸方向の部分であってもよい。他の実施形態では、芯部材132の第2部分は芯部材132の第1部分を円周方向に囲繞するスリーブであってもよい。芯部材132の第1及び第2部分の毛管現象が異なることで、芯部材132の第1及び第2部分の各々はそれらの部分を異なる流速で流体を送ることになる(すなわち、芯部材132の第1及び第2部分は異なる通過速度を持つ)。芯部材132の第1及び第2部分の異なる毛管現象は、異なる細孔サイズ分布や異なる細孔密度や異なる細孔サイズと細孔密度の組み合わせを利用したり、芯部材132の第1及び第2部分に異なる材料を使用することにより達成することができる。
【0038】
上述したように、塗布器130と芯部材132を形成する材料は、ジョージア州アトランタにあるポレックス・テクノロジー社(Porex Technologies)から入手可能な繊維材料やセラミックや多孔性プラスチックを含む。繊維材料の一例は、日本の東京にあるテイボー販売株式会社(Teibow Hanbai Co., Ltd.)から入手可能な型番C10010として特定されるアクリル樹脂材料である。より大きい毛細管とより小さい毛細管が分布する多孔性及び/又は繊維材料の混合物を使用してもよい。塗布器130と芯部材132を、互いに連結された多数の小さい毛細管で形成したり、より大きい単一の毛細管として形成することもできる。さらに、内部タンク140から塗布器130への口腔ケア液141の供給は単に毛細管作用で達成されるとここでは記載したが、他の実施形態では、機械的作用、機械式ポンプ、電動式ポンプあるいはそれらの組み合わせを介して供給したり、これらに毛細管作用を加えて供給してもよい。
【0039】
次に
図2を参照すると、
図1の領域IIの拡大図が図示されている。
図2は内部タンク140内の仕切り部材160の拡大図を示している。上述したように、仕切り部材160は、内部タンク140内に位置し内部タンク140を収容室142とオーバーフロー室143に分離する構造部材である。仕切り部材160は、内部タンク140内の軸方向の固定位置に配置されており、このことで、口腔ケア器具100の組み立て時、口腔ケア器具100のすべての部品が常に同じ位置に確実に配置されるようになる。特に、仕切り部材160を内部タンク140内の軸方向の固定位置に配置し、芯部材132と塗布器130の長さを固定することにより、口腔ケア器具100の組み立て時すべての部品を常に同じ位置に確実に配置することができる。
【0040】
ある実施形態では、仕切り部材160は締り嵌めで内部タンク140内に配置されており、内部タンク140を形成する取っ手110の内面に仕切り部材160の外面161がぴったりとフィットするまで仕切り部材160は内部タンク140に押圧される。このように、仕切り部材160は内部タンク140内で固定され移動できない。例示した実施形態では、仕切り部材160の外面161は第1環状凸部107と第2環状凸部108を有する。第1及び第2環状凸部107,108は互いに離間しており、これにより仕切り部材160の外面161には凹部領域109が形成される。したがって、仕切り部材160の外面161は段のある面である。仕切り部材160の外面161の第1及び第2環状凸部107,108は取っ手110の内面129と隣接する一方、仕切り部材160の外面161の凹部領域109は取っ手110の内面129から隙間105だけ離間している。勿論、本発明はあらゆる実施形態でこの構造配置により限定されるものではなく、他の実施形態では、仕切り部材160の外面161は段のない面であってもよい。
【0041】
さらに、本発明はあらゆる実施形態で仕切り部材160と取っ手110の内面129間の締り嵌めにより限定されるものではなく、他の実施形態では、仕切り部材160は、接着、ファスナー、ねじ締め、締り嵌め、超音波あるいは熱溶接、連結スリーブ等の他の技術で内部タンク140内に固定配置されてもよい。仕切り部材160は、ポリプロピレン、低密度及び高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物を含む−これらに限定されない−種々の異なる種類の材料で形成することができる。勿論、本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、ここに記載した材料以外の材料を使用して仕切り部材160を形成することができる。
【0042】
仕切り部材160は、収容室142に面する第1面162とオーバーフロー室163に面する第2面163を有する。例示した実施形態では、仕切り部材160の第1及び第2面162,163の各々は横方向の面である。特に、仕切り部材160の第1及び第2面162,163の各々は取っ手110の縦軸A−Aを横断しこの軸に対し直交する角度に向いている。
【0043】
さらに、通路170が収容室142からオーバーフロー室143まで仕切り部材160を貫通している。この通路170は、仕切り部材160の第1面162の第1開口部171と仕切り部材160の第2面163の第2開口部172で終端している。したがって、内部タンク140の口腔ケア液141は、収容室142から仕切り部材160の第1面162の第1開口部171と通路170を介して流れ、次に仕切り部材160の第2面163の第2開口部172を介して流れ、ここで芯部材132と接触する。例示した実施形態では、第1開口部171は直径Do1を持ち、第2開口部172は直径Do2を持ち、第1開口部171の直径Do1は第2開口部172の直径Do2より大きい。
【0044】
通路170は入口部173と吐出部174で構成されている。通路170の入口部173と通路170の吐出部174は互いに流体連結されており、吐出部174と入口部173は協同して全体の通路170を形成している。入口部173は第1開口部171を持ち、収容室142から吐出部174まで延在して第1開口部171で終端している。吐出部174は第2開口部172を持ち、入口部173からオーバーフロー室143まで延在して第2開口部172で終端している。例示した実施形態では、入口部173は、吐出部174の最大横断面積より大きい最大横断面積を持つ。したがって、吐出部174は入口部173より狭く、過剰の口腔ケア液141が吐出部174を介して流れ芯部材132に接触するのを防止する。通路170の狭窄部により、吐出部174は、収容室142から出ることができる口腔ケア液141の量をできるだけ少なくし、芯部材132が口腔ケア液141を過剰摂取する可能性を低減する。
【0045】
概念的には、仕切り部材160は、上部165と、上部165から収容室142に向かう方向に延在する環状側壁166を備えている。仕切り部材160の環状側壁166は通路170の入口部173を形成する内面167を備えている。例示した実施形態では、仕切り部材160の環状側壁166の内面167は収容室142に面する凹面である。したがって、通路170の入口部173の断面積は収容室142から離れるにつれて減少する。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、通路の入口部173の断面積は一定でもよい。
【0046】
さらに、仕切り部材160の上部165は通路170の吐出部174を形成する内面168を備えている。例示した実施形態では、通路170の吐出部174の断面積は一定である。しかしながら、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、通路170の吐出部174の断面積は通路170の入口部173から離れるにつれて増大したり減少してもよい。特に、ある実施形態では、芯部材132に接触することができる口腔ケア液141の量をさらに限定するために、通路170の吐出部174の断面積は通路170の入口部173から離れるにつれて減少してもよい。
【0047】
芯部材132は塗布器130から液路135を介してオーバーフロー室143まで延在する。さらに具体的には、芯部材132の第2端部134は、仕切り部材160の第2面163と隣接する端面136で終端している。芯部材132の第2端部134の端面136が仕切り部材160の第2面163と隣接することで、芯部材132が収容室142に向かって第1軸方向に移動するのが防止される。
【0048】
例示した実施形態では、芯部材132の第2端部134の端面136は、芯部材132の第2端部134の端面136が仕切り部材160の第2面163にある第2開口部172を覆う位置で仕切り部材160の第2面163と当接する。その結果、口腔ケア液141が通路170と第2開口部172を流れるにつれて、口腔ケア液141は芯部材132に直接接触するようになる。上述したような芯部材132を形成する材料のため、口腔ケア液141は芯部材132によって吸い込まれ、毛細管作用により芯部材132に沿って塗布器130に向かって流れ、口腔ケア器具100の使用時には、口腔ケア液141はユーザの舌、歯肉、歯及び他の口腔面に送られる。例示した実施形態では、芯部材132の第2端部の端面136は横方向の面である。しかしながら、
図4を参照してより詳しく後述するように、本発明はあらゆる実施形態でそのように限定されるものではない。
【0049】
例示した実施形態は、芯部材132の第2端部134の端面136が第2開口部172を覆うように図示しているが、別の実施形態では、芯部材132の第2端部134の端面136は第2開口部172を覆わなくてもよい。特に、他の実施形態では、芯部材132の第2端部134の端面136は第2開口部172の近傍に位置して仕切り部材160の第2面163と隣接してもよい。そのような実施形態では、口腔ケア液141は第2開口部172を流れてオーバーフロー室143に入り、そこで芯部材132と接触する。
【0050】
芯部材132の第2端部134の端面136は直径Dwの外周を持つ。例示した実施形態では、芯部材132の第2端部134の端面136の外径Dwは第2開口部172の直径Do2より大きい。したがって、本実施形態では、芯部材132の第2端部134の端面136は仕切り部材160の第2面163に当接するので、芯部材132の第2端部134の端面136が第2開口部172を貫通して通路170の吐出部174に入るのが防止される。芯部材132の第2端部134の端面136の外周137の直径Dwは第2開口部172の直径Do2より大きく、第2開口部172に対する芯部材132の相対的位置により、例示した実施形態では、芯部材132の第2端部134の端面136の外周137は第2開口部172を囲繞している。
【0051】
例示した実施形態では、仕切り部材160の第1面162の第1開口部171の直径Do1は芯部材132の第2端部134の端面136の外周137の直径Dwより大きい。しかしながら、本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、仕切り部材160の第1面162の第1開口部171の直径Do1は芯部材132の第2端部134の端面136の外周137の直径Dwと同じか小さくてもよい。さらに、例示した実施形態では、芯部材132は一定の直径Dwを持っている。しかしながら、本発明はそのように限定されるものではなく、他の実施形態では、芯部材132の直径Dwは芯部材の第2端部134から芯部材132の第1端部133に向かって増加したり減少してもよい。
【0052】
次に
図3を参照して、口腔ケア器具100Aの一部の別の実施形態を本発明に従って説明する。
図3に例示された実施形態は、仕切り部材160Aの形状と、仕切り部材160Aと芯部材132Aとの相対位置を除き、
図2に例示した実施形態と類似している。したがって、上述した口腔ケア器具100の部品と類似するか同じ口腔ケア器具100Aの部品は、簡略化のため後述しない。さらに、口腔ケア器具100Aの部品は、添え字“A”の使用を除けば、口腔ケア器具100の同一部品と同様に番号付けされている。したがって、番号付されてはいるが以下に記載しない口腔ケア器具100Aの部品は、
図1及び
図2に示された上述の同様な部品と同様の機能や構造を持っていることを理解すべきである。
【0053】
仕切り部材160Aは第1面162Aと第2面163Aを有する。上述した実施形態と同様、仕切り部材160Aの第2面163Aは横方向の面である。しかしながら、
図3においては、横方向の第2面163Aは段のある面である。特に、横方向の第2面163Aは上面198Aと凹面199Aを有する。二つの対向する立ち上がり面196A、197Aは、凹面199Aの両端から上面198Aまで延在して環状肩部を形成している。ソケット195Aが、ソケット195Aの床面としての凹面199Aを持つ対向する立ち上がり面196A、197A間に形成されている。例示した実施形態では、凹面199Aの幅は芯部材132Aの直径Dwと実質的に等しい。しかしながら、他の実施形態では、凹面199Aの幅は芯部材132Aの直径Dwよりわずかに大きくてもよい。
【0054】
仕切り部材160Aは、仕切り部材160Aの第1面162Aに第1開口部171Aと、仕切り部材160Aの第2面163Aに第2開口部172Aを有する。芯部材132Aは、端面136Aで終端する第2端部134Aを有する。例示した実施形態では、芯部材132Aの第2端部134Aの端面136Aは仕切り部材160Aの第2面163Aの第2開口部172Aを介して突出し、仕切り部材160Aの第2面163Aの凹面199Aと隣接する。例示した実施形態では、芯部材132Aはソケット195A内にぴったりとフィットして芯部材132Aの第2端部134Aの外面194Aが立ち上がり面196A、197Aと接触する。しかしながら、凹面199Aが芯部材132Aの幅Dwより大きい幅を持つ実施形態では、芯部材132Aは立ち上がり面196A、197Aの両方に接触しなくてもよい。
【0055】
ソケット195Aは芯部材132Aの正しい位置決めをさらに容易にし、芯部材132Aの第2端部134Aの端面136Aを、仕切り部材160Aを貫通する通路170Aの吐出部174Aと確実に流体連結することができる。さらに、芯部材132Aの第2端部134Aの端面136Aは仕切り部材160Aの第2面163Aと隣接して、第1軸方向における芯部材132Aの軸方向の移動を防止する。この第1軸方向は、例示した実施形態では、内部タンク140Aの収容室142Aに向かう方向である。さらに、通路170Aの吐出部174Aに対する芯部材132Aの第2端部134Aの端面136Aの位置決めにより、入口部173Aから吐出部174Aに至る通路170Aを流れ、仕切り部材160Aの第2面163Aの第2開口部172Aに向かって流れる口腔ケア液141Aは芯部材132Aと接触することになる。
【0056】
次に
図4を参照して、口腔ケア器具100Bの一部の別の実施形態を本発明に従って説明する。
図4に例示された実施形態は、仕切り部材160Bの形状と、仕切り部材160Bと芯部材132Bとの相対位置を除き、
図2に例示した実施形態と類似している。したがって、上述した口腔ケア器具100の部品と類似するか同じ口腔ケア器具100Bの部品は、簡略化のため後述しない。さらに、口腔ケア器具100Bの部品は、添え字“B”の使用を除けば、口腔ケア器具100の同一部品と同様に番号付けされている。したがって、番号付されてはいるが以下に記載しない口腔ケア器具100Bの部品は、
図1及び
図2に示される上述した同様な部品と同様の機能や構造を持っていることを理解すべきである。
【0057】
図4に例示された実施形態では、仕切り部材160Bは
図1及び
図2に示された仕切り部材160と実質的に同様の構造を持つ。具体的には、仕切り部材160Bは第1面162Bと第2面163Bを有する。仕切り部材160Bには通路170Bが形成されている。仕切り部材160Bの第1面162Bには第1開口部171Bが形成され、仕切り部材160Bの第2面163Bには第2開口部172Bが形成されている。
【0058】
芯部材132Bは、仕切り部材160Bの第2面163Bと隣接する端面136Bで終端する第2端部134Bを有する。例示した実施形態では、芯部材132Bの第2端部134Bの端面136Bは円錐形である。したがって、芯部材132Bの第2端部134Bの端面136Bの一部は仕切り部材160Bの第2面163Bにある第2開口部172Bを貫通できるが、芯部材132Bの第2端部134Bの端面136Bの一部は仕切り部材160Bの第2面163Bにも当接する。このように、芯部材132Bの第2端部134Bの端面136Bが仕切り部材160Bの第2面163Bに当接することで、芯部材132Bは収容室142Bに向かう第1軸方向の軸方向移動が防止される。
【0059】
ここに記載された発明及び発明概念は、
図2、
図3及び
図4に図示された実施形態の種々の組み合わせを含むものであり、これは当業者には理解できるところである。例えば、
図4の円錐端面136Bを持つ芯部材132Bは
図2に図示された仕切り部材160とともに使用することができる。
【0060】
ここで使用されたように、範囲は、範囲内の各値あるいはすべての値を記載するための簡略形として使用されている。範囲内のどんな値も範囲の境界値として選択することができる。加えて、ここで引用した参照文献は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。本開示における定義と引用文献における定義が異なる場合には、本開示が優先する。
【0061】
本発明は、本発明を実施する現段階で好ましい形態を含む特定例を参照して記載されているが、この技術の熟練した人々は、上述したシステムや技術に多くの変形例や変更例があることを認識できる。本発明の範囲から逸脱しなければ他の実施形態を利用したり構造的機能的修正例を作り出すことができることも理解できる。したがって、本発明の精神及び範囲は、添付した請求の範囲に記載されているように広く解釈されるべきである。
【国際調査報告】