(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-532883(P2015-532883A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】眼に対する薬物徐放用眼科システム
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20151020BHJP
【FI】
A61F9/007 170
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-539845(P2015-539845)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】US2013066834
(87)【国際公開番号】WO2014066775
(87)【国際公開日】20140501
(31)【優先権主張番号】61/719,144
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511295368
【氏名又は名称】フォーサイト・ビジョン5・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FORSIGHT VISION5,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】アン・ブロディ・ルービン
(72)【発明者】
【氏名】ヤイル・アルスター
(72)【発明者】
【氏名】キャリー・ジェイ・ライク
(57)【要約】
眼の表面上に眼用デバイスを位置決めする前に、前記眼用デバイスに第1の形状を与える第1の材料で形成された第1の構造(135)と、管状構造と、前記第1の構造が内部に延在する管腔(113)とを有する、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2の構造(112)と、前記第2の構造の前記第2の材料内に分散した少なくとも1つの治療剤とを含む眼用デバイスを開示する。前記眼用デバイスの前記第1の形状は、眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従する。眼から取り外す際に、前記眼用デバイスは、前記第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化し、前記第3の形状は、前記第1の形状および前記第2の形状の何れとも異なる。関連する装置、システムおよび方法を記載する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長時間に亘り少なくとも1つの治療剤を眼に送達するために、少なくとも部分的には上眼瞼および下眼瞼の少なくとも一方の下、および眼の角膜の外側において、眼の表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスであって、
眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めする前に、前記眼用デバイスに第1の形状を与える第1の材料で形成された第1の構造と、
管状構造と、前記第1の構造が内部に延在する管腔とを有する、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2の構造と、
前記第2の構造の前記第2の材料内に分散した少なくとも1つの治療剤と、を備え、
前記眼用デバイスの前記第1の形状は、眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従し、眼から取り外す際に、前記眼用デバイスは、前記第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化し、前記第3の形状は、前記第1の形状および前記第2の形状の何れとも異なる、眼用デバイス。
【請求項2】
前記管状構造は、円形、両凸レンズ形、8字形、馬蹄形、長円形、楕円形、角丸長方形、星形、または歯車形から成る群から選択された断面形状を有する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項3】
前記第1の構造は、前記第2の構造の前記管腔に挿通した後、リング状に熱融着させる、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項4】
第2の材料で形成された前記第2の構造は、2本以上の管状構造に成形され、前記2本以上の管状構造のそれぞれは、前記第1の構造が内部に延在する管腔を有する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項5】
前記2本以上の管状構造の第1のものは、前記少なくとも1つの治療剤を放出するように処方され、前記2本以上の管状構造の第2のものは、前記少なくとも1つの治療剤または第2の異なる治療剤を放出するように処方される、請求項4記載の眼用デバイス。
【請求項6】
前記第1の構造は、前記第1の形状、前記第2の形状、および前記第3の形状を決定する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項7】
前記第2の形状は、眼の結膜の少なくとも一部の形状である、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項8】
前記第2の形状は、眼の骨性眼窩の少なくとも一部の形状である、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項9】
前記第2の形状は、眼の骨性眼窩の少なくとも一部の形状である、請求項7記載の眼用デバイス。
【請求項10】
前記眼用デバイスは、眼から取り外す際に、前記第2の形状から離れる撓みに抵抗する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項11】
前記第1の形状は、実質的に第1の平面内に位置決めされた環形状であり、前記第2および第3の形状は、少なくとも部分的に前記第1の平面の外側に位置決めされる、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項12】
前記第2の形状は、鞍部の表面に対応する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項13】
前記第2の形状は、鞍部の外輪郭に対応する外輪郭を有する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項14】
前記眼用デバイスは、前記第1の形状から前記第2の形状へ、約20分〜約24時間の期間に亘り変化する、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項15】
前記第1の材料は、熱、液体、または圧力に晒された際に繰り返し可塑性を有するように構成された材料を含む、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項16】
前記第1の材料は、熱可塑性材料を含む、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項17】
前記第1の材料は、ポリプロピレンを含む、請求項16記載の眼用デバイス。
【請求項18】
前記第2の材料は、シリコーン材料を含む、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項19】
前記第2の材料のみが、前記少なくとも1つの治療剤を含む、請求項18記載の眼用デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの治療剤は、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト、タフルプロスト、NSAID、ステロイド、抗ヒスタミン剤、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)、ドルゾラミド、シクロスポリン、抗生物質、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、脂肪酸、長鎖脂肪酸、脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、非浸透型ステロイド、ステロイドの遊離酸、脂質、ケトロラック、シリコーン油、オロパタジン、プロスタグランジン、プロスタグランジン類似体、プロスタミド、小分子インテグリンアンタゴニスト、リフィテグラスト、ロテプレドノール、およびフルオロメトロン、またはこれらの組み合わせから成る群から選択された作用剤を含む、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの治療剤は、プロスタグランジン類似体を含む、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項22】
前記プロスタグランジン類似体は、ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、およびタフルプロストのうち、少なくとも1つを含む、請求項21記載の眼用デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つの治療剤は、眼の眼圧を下げるためのものである、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの治療剤は、ドライアイを治療するためのもの、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つの治療剤は、シクロスポリン、ステロイド、ロテプレドノール、フルオロメトロン、非浸透型ステロイド、ステロイドの遊離酸、非ステロイド性抗炎症剤、ケトロラック、小分子インテグリンアンタゴニスト、リフィテグラスト、ドキシサイクリン、アジスロマイシン、脂質、脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、脂肪酸、長鎖脂肪酸、油、またはシリコーン油のうち、少なくとも1つを含む、請求項24記載の眼用デバイス。
【請求項26】
前記少なくとも1つの治療剤は、ステロイドを含む、請求項1記載の眼用デバイス。
【請求項27】
前記ステロイドは、ロテプレドノールまたはフルオロメトロンのうち、少なくとも1つを含む、請求項26記載の眼用デバイス。
【請求項28】
長時間に亘り眼に少なくとも1つの治療剤を送達するために、少なくとも部分的には上眼瞼および下眼瞼の少なくとも一方の下、および眼の角膜の外側において、眼の表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスであって、
眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めする前に、前記眼用デバイスに第1の形状を与える第1の材料で形成された第1の構造と、
前記第1の構造が内部に延在する管腔を備えた管状構造を有する、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2の構造と、
前記第1の構造の前記第1の材料内に分散した少なくとも1つの治療剤と、を備え
前記眼用デバイスの前記第1の形状は、眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従し、眼から取り外す際に、前記眼用デバイスは、前記第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化し、前記第3の形状は、前記第1の形状および前記第2の形状の何れとも異なる、眼用デバイス。
【請求項29】
長時間に亘り眼に少なくとも1つの治療剤を送達するために、少なくとも部分的には上眼瞼および下眼瞼の少なくとも一方の下、および眼の角膜の外側において、眼の表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスを製造する方法であって、
第1の端部領域および第2の端部領域を有する、ある長さの第1の材料から、支持構造を第1の形状に形成し、前記支持構造の前記第1の形状は、眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めする前の前記眼用デバイスに全体的な形状を与えることと、
少なくとも1つの治療剤を、第1の材料とは異なる第2の材料内に分散させ、薬物マトリクスを形成することと、
前記薬物マトリクスを成形し、管腔を有する管状構造にすることと、
前記支持構造が前記管状構造の前記管腔内に延在するように、前記支持構造の長さに亘り前記管状構造に挿通することと、を含み、
前記第1の形状は、眼の表面上に前記眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従し、眼から取り外す際に、前記眼用デバイスは、前記第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化し、前記第3の形状は、前記第1の形状および第2の形状の何れとも異なる、方法。
【請求項30】
さらに、前記支持構造を前記管状構造の前記管腔に挿通した後、前記長さの前記第1の端部領域を、前記長さの前記第2の端部領域に融着することを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記融着することは、前記第1および第2の端部領域を互いに熱溶着することを含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
さらに、直径を有する心棒に前記長さを巻き付けることにより、前記長さを前記第1の形状に熱成形することを含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記直径は、少なくとも約24mm、少なくとも約26mm、または少なくとも約29mmである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記支持構造は、前記眼用デバイスの前記第1の形状、前記第2の形状、および前記第3の形状を決定する、請求項29記載の方法。
【請求項35】
前記第1の形状は、実質的に第1の平面内に位置決めされた環形状であり、前記第2および第3の形状は、少なくとも部分的に前記第1の平面の外側に位置決めされる、請求項29記載の方法。
【請求項36】
前記眼用デバイスは、前記第1の形状から前記第2の形状へ、約20分〜約24時間の期間に亘り変化する、請求項29記載の方法。
【請求項37】
前記第1の材料は、熱、液体、または圧力に晒された際に繰り返し可塑性を有するように構成された材料を含む、請求項29記載の方法。
【請求項38】
前記第1の材料は、熱可塑性材料を含む、請求項29記載の方法。
【請求項39】
前記第1の材料は、ポリプロピレンを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記第2の材料は、シリコーン材料を含む、請求項29記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの治療剤は、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト、タフルプロスト、NSAID、ステロイド、抗ヒスタミン剤、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)、ドルゾラミド、シクロスポリン、抗生物質、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、脂肪酸、長鎖脂肪酸、脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、非浸透型ステロイド、ステロイドの遊離酸、脂質、ケトロラック、シリコーン油、オロパタジン、プロスタグランジン、プロスタグランジン類似体、プロスタミド、小分子インテグリンアンタゴニスト、リフィテグラスト、ロテプレドノール、およびフルオロメトロン、またはこれらの組み合わせから成る群から選択された作用剤を含む、請求項29記載の方法。
【請求項42】
前記管状構造は、円形、両凸レンズ形、8字形、馬蹄形、長円形、楕円形、角丸長方形、星形、または歯車形から成る群から選択された断面形状を有する、請求項29記載の方法。
【請求項43】
前記管状構造は、略1mmの断面直径を有する、請求項29記載の方法。
【請求項44】
さらに、前記少なくとも1つの治療剤を前記薬物マトリクスから眼内に放出することを含む、請求項29記載の方法。
【請求項45】
さらに、少なくとも第2の治療剤を、第2の量の前記第2の材料内に分散させて第2の量の薬物マトリクスを形成すること、および前記第2の量の薬物マトリクスを成形して、第2の管腔を有する少なくとも第2の管状構造にすることを含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
さらに、前記支持構造が前記少なくとも第2の管状構造の前記第2の管腔内に延在するように、前記支持構造の長さに亘り前記少なくとも第2の管状構造に挿通することを含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
さらに、前記第2の量の薬物マトリクスから、前記少なくとも第2の治療剤を放出することを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも第2の治療剤は、前記少なくとも1つの治療剤と同じである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも第2の治療剤は、前記少なくとも1つの治療剤とは異なる、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記薬物マトリクスは、前記少なくとも1つの治療剤を第1の溶出速度で眼内へ放出し、前記第2の量の薬物マトリクスは、少なくとも第2の治療剤を第2の溶出速度で眼内へ放出する、請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記第1の溶出速度と前記第2の溶出速度とは、同じである、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記第1の溶出速度と前記第2の溶出速度とは、異なる、請求項50記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権書類の参照]
本願は、2012年10月26日出願の同時係属米国仮特許出願第61/719,144号「眼に対する薬物の徐放用眼科システム」に基づく優先権を主張する。これにより出願日の優先権を主張すると共に、出典を明記することにより前記仮特許出願の開示内容全体を本願明細書の一部とする。
【0002】
[関連出願]
本願は、共に出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする(1)2011年6月1日出願の米国特許公開第2012/0136322号「前眼部薬物送達」および(2)2012年9月14日出願の米国特許公開第2013/0144128号「眼用挿入装置および方法」に関する。
【0003】
本明細書では、眼の治療に使用し得る眼における眼用デバイスの配置の構造、システム、および方法について説明する。薬物送達に用いる眼用デバイスの様々な実施形態を、眼の前面上またはその近傍に位置決めした眼用デバイスを用いる方法と共に説明する。デバイスは、光学帯の外側で眼の前面に沿って装着し得ると共に、治療的に有効な量の1つ以上の治療剤を送達することができる。
【背景技術】
【0004】
様々な眼科的および非眼科的条件により、眼に対する様々な薬物の投与が必要となる。点眼剤およびゲルは、有効な薬物送達担体となり得るが、同時に大きな欠点を有する。具体的には、点眼剤は涙膜内の流体と混じり合うが、涙膜内での滞留時間は、僅か2〜5分間となり得る。薬物の5%程度しか局所的に吸収されず、残りの一部または全部が涙嚢から涙管に運ばれ、潜在的に望ましくない影響を与える恐れがある。結果として、薬物の大部分が無駄になり、標的組織へ送達される量は、理想量未満となり得る。さらに、血流中に薬物が存在すると、有害な副作用が生じる恐れがある。ゲルは、より有効に眼に付着し得るが、同時に患者の視界を不明瞭にする。点眼剤およびゲルは、一部の治療では共に頻繁な再投与を要する場合があり、患者は、少なくとも一部の事例では、点眼剤またはゲルを指示通りの頻度で投与せず、送達薬物量が理想を下回ることがある。例えば、少なくとも一部の事例では、相当数の患者が、一年後には処方薬の補充を行わない場合があり、相当数の患者は、一部の事例において最大50パーセントに達する可能性がある。点眼剤およびゲルの代替としては、薬物を含有するあるいは染み込ませた挿入構造を、眼瞼下、涙点内、または角膜上に、薬物含浸コンタクトレンズ等により配置する治療が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者による投与頻度が少なく且つ眼に送達される薬物の量の規則性の向上をもたらす改良された薬物送達の必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、長時間に亘り少なくとも1つの治療剤を眼に送達するために、少なくとも部分的には上眼瞼および下眼瞼の少なくとも一方の下、および眼の角膜の外側において、眼の表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスを開示する。デバイスは、眼の表面上に眼用デバイスを位置決めする前に、眼用デバイスに第1の形状を与える第1の材料で形成された第1の構造を含む。デバイスは、管状構造と、第1の構造が内部に延在する管腔とを有する第2の材料で形成された第2の構造を含む。第2の材料は、第1の材料とは異なる。デバイスは、第2の構造の第2の材料内に分散した少なくとも1つの治療剤を含む。眼用デバイスの第1の形状は、眼の表面上に眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従する。眼から取り外す際に、眼用デバイスは、第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化する。第3の形状は、第1の形状および第2の形状の何れとも異なる。
【0007】
管状構造は、断面形状を円形、両凸レンズ形、8字形、馬蹄形、長円形、楕円形、角丸長方形、星形、または歯車形にすることができる。第1の構造は、第2の構造の管腔に挿通した後、リング状に熱融着させることができる。第2の構造は、2本以上の管状構造に成形した第2の材料で形成することができる。2本以上の管状構造のそれぞれは、第1の構造が内部に延在する管腔を有することができる。2本以上の管状構造の第1のものは、少なくとも1つの治療剤を放出するように処方することが可能であり、2本以上の管状構造の第2のものは、少なくとも1つの治療剤または第2の異なる治療剤を放出するように処方することができる。第1の構造は、第1の形状、第2の形状、および第3の形状を決定することができる。第2の形状は、眼の結膜の少なくとも一部、眼の骨性眼窩の少なくとも一部、または眼の骨性眼窩の少なくとも一部の形状にすることができる。
【0008】
眼用デバイスは、眼から取り外す際に、第2の形状から離れる撓みに抵抗することができる。第1の形状は、実質的に第1の平面内に位置決めされた環形状にすることが可能であり、第2および第3の形状は、少なくとも部分的に第1の平面の外側に位置決めされる。第2の形状は、鞍部の表面に対応させることができる。第2の形状は、鞍部の外輪郭に対応する外輪郭を有することができる。眼用デバイスは、第1の形状から第2の形状へ、約20分〜約24時間の期間に亘り変化することができる。第1の材料は、熱、液体、または圧力に晒された際に繰り返し可塑性を有するように構成された材料を含むことができる。第1の材料は、熱可塑性材料を含むことができる。第1の材料は、ポリプロピレンを含むことができる。第2の材料は、シリコーン材料を含むことができる。一部の実施形態では、第2の材料のみが、少なくとも1つの治療剤を含む。
【0009】
少なくとも1つの治療剤は、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト、タフルプロスト、NSAID、ステロイド、抗ヒスタミン剤、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)、ドルゾラミド、シクロスポリン、抗生物質、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、脂肪酸、長鎖脂肪酸、脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、非浸透型ステロイド、ステロイドの遊離酸、脂質、ケトロラック、シリコーン油、オロパタジン、プロスタグランジン、プロスタグランジン類似体、プロスタミド、小分子インテグリンアンタゴニスト、リフィテグラスト、ロテプレドノール、およびフルオロメトロン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。少なくとも1つの治療剤は、プロスタグランジン類似体を含むことができる。プロスタグランジン類似体は、ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、およびタフルプロストのうち、少なくとも1つを含むことができる。少なくとも1つの治療剤は、眼の眼圧を下げるためのものにすることができる。少なくとも1つの治療剤は、ドライアイを治療するためのものにすることができる。少なくとも1つの治療剤は、シクロスポリン、ステロイド、ロテプレドノール、フルオロメトロン、非浸透型ステロイド、ステロイドの遊離酸、非ステロイド性抗炎症剤、ケトロラック、小分子インテグリンアンタゴニスト、リフィテグラスト、ドキシサイクリン、アジスロマイシン、脂質、脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、脂肪酸、長鎖脂肪酸、油、またはシリコーン油のうち、少なくとも1つを含むことができる。少なくとも1つの治療剤は、ステロイドを含むことができる。ステロイドは、ロテプレドノールまたはフルオロメトロンのうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0010】
相互に関連する態様において、長時間に亘り眼に少なくとも1つの治療剤を送達するために、少なくとも部分的には上眼瞼および下眼瞼の少なくとも一方の下、および眼の角膜の外側において、眼の表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスを開示する。デバイスは、眼の表面上に眼用デバイスを位置決めする前に、眼用デバイスに第1の形状を与える第1の材料で形成された第1の構造を含む。デバイスは、第1の構造が内部に延在する管腔を備えた管状構造を有する第2の材料で形成された第2の構造を含む。第2の材料は、第1の材料とは異なる。デバイスは、第1の構造の第1の材料内に分散した少なくとも1つの治療剤を含む。眼用デバイスの第1の形状は、眼の表面上に眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従する。眼から取り外す際に、眼用デバイスは、第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化する。第3の形状は、第1の形状および第2の形状の何れとも異なる。
【0011】
相互に関連する態様において、長時間に亘り眼に少なくとも1つの治療剤を送達するために、少なくとも部分的には上眼瞼および下眼瞼の少なくとも一方の下、および眼の角膜の外側において、眼の表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスを製造する方法を開示する。方法は、第1の端部領域および第2の端部領域を有する、ある長さの第1の材料から、支持構造を第1の形状に形成することを含む。支持構造の第1の形状は、眼の表面上に眼用デバイスを位置決めする前の眼用デバイスに全体的な形状を与える。方法は、少なくとも1つの治療剤を第2の材料内に分散させ、薬物マトリクスを形成することを含む。第2の材料は、第1の材料とは異なる。方法は、薬物マトリクスを成形し、管腔を有する管状構造にすることを含む。方法は、支持構造が管状構造の管腔内に延在するように、支持構造の長さに亘り管状構造に挿通することを含む。第1の形状は、眼の表面上に眼用デバイスを位置決めした後、第2の異なる形状に追従する。眼から取り外す際に、眼用デバイスは、第2の形状を保持するか、あるいは第3の形状へ変化する。第3の形状は、第1の形状および第2の形状の何れとも異なる。
【0012】
方法は、さらに、支持構造を管状構造の管腔に挿通した後、長さの第1の端部領域を、長さの第2の端部領域に融着することを含む。融着することは、第1および第2の端部領域を互いに熱溶着することを含む。方法は、さらに、直径を有する心棒に長さを巻き付けることにより、長さを第1の形状に熱成形することを含む。直径は、少なくとも約24mm、少なくとも約26mm、または少なくとも約29mmにすることができる。支持構造は、眼用デバイスの第1の形状、第2の形状、および第3の形状を決定することができる。第1の形状は、実質的に第1の平面内に位置決めされた環形状にすることが可能であり、第2および第3の形状は、少なくとも部分的に第1の平面の外側に位置決めされる。眼用デバイスは、第1の形状から第2の形状へ、約20分〜約24時間の期間に亘り変化することができる。第1の材料は、熱、液体、または圧力に晒された際に繰り返し可塑性となるように構成された材料を含むことができる。第1の材料は、熱可塑性材料を含むことができる。第1の材料は、ポリプロピレンを含むことができる。第2の材料は、シリコーン材料を含むことができる。
【0013】
少なくとも1つの治療剤は、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト、タフルプロスト、NSAID、ステロイド、抗ヒスタミン剤、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)、ドルゾラミド、シクロスポリン、抗生物質、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、脂肪酸、長鎖脂肪酸、脂肪アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、非浸透型ステロイド、ステロイドの遊離酸、脂質、ケトロラック、シリコーン油、オロパタジン、プロスタグランジン、プロスタグランジン類似体、プロスタミド、小分子インテグリンアンタゴニスト、リフィテグラスト、ロテプレドノール、およびフルオロメトロン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。管状構造は、断面形状を円形、両凸レンズ形、8字形、馬蹄形、長円形、楕円形、角丸長方形、星形、または歯車形を含む形状にすることができる。管状構造は、略1mmの断面直径を有することができる。
【0014】
方法は、さらに、少なくとも1つの治療剤を薬物マトリクスから眼内に放出することを含むことができる。方法は、さらに、少なくとも第2の治療剤を、第2の量の第2の材料内に分散させて第2の量の薬物マトリクスを形成し、第2の量の薬物マトリクスを成形して、第2の管腔を有する少なくとも第2の管状構造にすることを含むことができる。方法は、さらに、支持構造が少なくとも第2の管状構造の第2の管腔内に延在するように、支持構造の長さに亘り少なくとも第2の管状構造に挿通することを含む。方法は、さらに、第2の量の薬物マトリクスから、少なくとも第2の治療剤を放出することを含むことができる。少なくとも第2の治療剤は、少なくとも1つの治療剤と同じものにすることができる。少なくとも第2の治療剤は、少なくとも1つの治療剤と異なるものにすることができる。薬物マトリクスは、少なくとも1つの治療剤を第1の溶出速度で眼内へ放出することが可能であり、第2の量の薬物マトリクスは、少なくとも第2の治療剤を第2の溶出速度で眼内へ放出することができる。第1の溶出速度と第2の溶出速度とは、同じにすることまたは異なるものにすることができる。
【0015】
他の特徴および利点は、一例として、本発明の原理を例示する以下の様々な実施形態の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、上記および他の態様を、次の図面を参照して詳細に説明する。一般的に、各図において、縮尺は、絶対的または相対的に正確ではなく、例示的なものにしている。さらに、特徴部または要素の相対的配置は、例示を明瞭にする目的で変更している場合がある。
【0017】
【
図1A】
図1Aは、眼用デバイスの実施形態を示す分解図である。
【0018】
【0019】
【0020】
【
図1D】
図1Dは、眼用デバイスの他の実施形態を示す詳細図である。
【0021】
【0022】
【
図1F】
図1Fは、本明細書に記載の眼用デバイスの断面形状の例を示す図である。
【0023】
【
図2A】
図2Aは、眼用デバイスの他の実施形態を示す透視図である。
【0024】
【0025】
【0026】
【
図4】
図4は、眼用デバイスの付加的な実施形態を示す正面図である。
【0027】
【0028】
【0029】
【
図7】
図7は、眼用デバイスの他の実施形態を示す正面図である。
【0030】
【
図8】
図8は、
図7の眼用デバイスの一部を示す拡大正面図である。
【0031】
【
図9】
図9は、眼用デバイスの他の実施形態を示す透視図である。
【0032】
【0033】
【0034】
【
図12】
図12は、眼用デバイスの組み込みに適した眼の断面概略図である。
【0035】
【0036】
【
図14】
図14は、上眼瞼および下眼瞼の結膜を含む眼の側断面概略図である。
【0037】
【
図15】
図15は、眼の上眼瞼および結膜の襞の側断面概略図である。
【0038】
【
図16】
図16は、眼に位置決めされたデバイスの実施形態を示す図である。
【0039】
【
図17】
図17は、デバイスおよびパッケージングの実施形態を示す分解図である。
【0040】
本明細書の図面は例示のみを目的としており、正確な縮尺を意図していないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書では、眼に対して治療物質を送達するために眼の外表面または前表面上に位置決めされるように構成された眼用デバイスの様々な実施形態を開示する。本明細書に記載の眼用デバイスは、治療物質に結合される。これに関連して、眼用デバイスは、以下に詳述するように、治療物質で形成されるか、治療物質により被覆されるか、治療物質を含有するか、あるいは他の形で治療物質と結合される。眼用デバイスは、角膜に接触または干渉しないような形で、眼用デバイスの少なくとも一部が一方または両方の眼瞼下に位置決めされた状態で、眼の外表面上に位置決めされる構成となる大きさおよび形状とする。
【0042】
本明細書に記載の眼用デバイスは、眼用デバイス自体を眼の全体的に固定された位置に維持し、眼に位置決めした後、望ましくない移動が回避されるような大きさおよび形状とする。眼用デバイスは、様々な形で構成可能であり、患者の快適性を向上させるために、眼に位置決めされた時に所定位置に固着する構成、および/または僅かに移動する構成にすることができる。眼用デバイスの固着および/または相対移動は、眼球に対するもの、あるいは結膜円蓋等の眼に隣接する解剖学的構造(群)に対するものにすることができる。
【0043】
さらに詳細に後述するように、本明細書に記載の眼用デバイスは、その場形成可能にすることができる。これに関連して、眼用デバイスの実施形態は、眼に位置決めされる前の第1の形状を有する。即ち、独立した状態にある眼用デバイスは、第1の形状を有する。その後、眼用デバイスは、第1の形状とは異なる第2の形状を取るように、眼において位置決めすることができる。第2の形状に関して、眼用デバイスは、第2の形状と同形になること、および/または第2の形状を可塑的に取ることができる。眼用デバイスは、例えば、眼用デバイスを少なくとも部分的に製造可能な材料の形状記憶能力を用いて、第2の形状を取るように活性化することもできる。眼から取り外す際に、眼用デバイスは、第2の形状を保持することができる。即ち、眼用デバイスは、眼から取り外した後も、第2の形状を維持することができる。あるいは、眼から取り外す際に、眼用デバイスは、第1の形状および/または第2の形状とは異なる第3の形状に変化することができる。形状の変化は、2次元または3次元で発生してよく、眼用デバイスに対してx軸、y軸、z軸上の何れにおいて生じてもよい。
【0044】
第2の形状への遷移に関して、眼用デバイスは、眼自体の解剖学的構造および/または眼の周囲の解剖学的構造の形状に従うか、あるいはこれを補う形状に遷移するように構成される。例えば、眼用デバイスは、眼の前面の輪郭および寸法に対応する第2の形状に追従することができる。他の実施形態において、眼用デバイスは、眼の周囲または近隣の解剖学的構造の形状に対応する第2の形状に追従することができる。こうした解剖学的構造には、例えば、眼瞼(群)、結膜の襞、内眼角、外眼角、上斜筋、滑車、涙腺等を含めることができる。
【0045】
第1の形状(眼の外部)から第2の形状(眼に位置決め済み)への遷移は、一定の期間に亘り生じ得る。例えば、遷移は、眼用デバイスを最初に眼に配置した時点から数分、数日、または数ヶ月以内に最初に開始可能となる。第2の形状への遷移は、眼用デバイスを最初に眼に配置した時点から1分未満、1分以上、数日、数ヶ月の期間で完了することが可能であり、1つ以上の要件に合わせて選択することができる。
【0046】
眼に位置決めするべき眼用デバイスは、こうした複数の眼用デバイスから選択することが可能であり、選択は、少なくとも部分的には、眼の直径等、眼用デバイスを配置すべき眼全体のサイズに対する眼用デバイス全体のサイズに基づく。一実施形態において、眼用デバイスは、第1の形状にある時、眼用デバイスを配置すべき眼の最大直径よりも大きな最大直径を有する。
【0047】
眼用デバイスは、移植後、眼の解剖学的構造の形状に従うか、あるいはこれを補うことが可能であるため、患者の目の特定の知識を必要としない。本明細書に記載の眼用デバイスは、デバイスを患者の目に配置した後、その場で患者の目の解剖学的構造に合わせて調整された状態になることができる。本明細書に記載の眼用デバイスは、患者の快適性を低下させ、所定位置にあるデバイスを患者に感じさせる恐れがある移植前の第1の形状への復帰等、実質的な力を眼の解剖学的構造に対して加えることなく容易に馴染む。しかしながら、本明細書に記載の眼用デバイスは、位置決めおよび除去中に医師が容易に取り扱いできないほどに柔弱ではない。
【実施例】
【0048】
眼用デバイス
【0049】
以下、眼用デバイスの幾つかの実施形態を説明する。
【0050】
図1Aは、眼用デバイス105の一実施形態の分解図、
図1Bは、組み立て図、
図1Eは、断面図を示す。眼用デバイス105は、眼の前面上に位置決めした時に角膜の直径外側に適合するような大きさおよび形状にすることが可能な開口部130を備えた、長円形、円形、またはトロイド等の環状の構成を有することができる。眼用デバイス105は、支持構造135の少なくとも一部を取り囲む、覆う、またはこれに結合されるように構成された1つ以上の本体構造112を含むことができる。一部の実施形態では、支持構造135の全長が、1つ以上の本体構造112により取り囲まれるか、あるいは覆われる。一部の実施形態において、支持構造135は、1つ以上の本体構造112の内部流路または管腔113内に延在する内部支持構造となる(
図1Eおよび
図1F参照)。管腔113は、支持構造135を管腔113に挿通可能となるような、支持構造135を受領または収容するように構成された内径を有することができる。1つ以上の本体構造112内に延びる管腔113は、中心に(
図1Eに示したもの等)、または中心を外れて(
図1Fに示した角丸長方形および8字形のもの等)配置することができる。さらに、1つ以上の本体構造112は、内腔113に挿通される代わりに、またはこれに加えて、支持構造135が1つ以上の本体構造112の溝116と結合すること、あるいはその内部に延在することが可能となるように、外表面に1本以上の溝116を含むことができる。支持構造135が1つ以上の本体構造112の内腔113または外溝116内に配置されても、1つ以上の本体構造112の少なくとも一部は、眼用デバイス105を眼において位置決めした時に、眼の前部外表面に接触するように構成することができる。
【0051】
支持構造135は、様々な材料、形状、および厚さの何れかを有することができる。支持構造135は、デバイス105全体の形状を決定することが可能な耐食性材料にすることができる。支持構造135は、ワイヤのような剛性を有すると共にリング状または他の形態といったデバイス全体の形状に形成可能な、薄く細長い構造を形成することができる。支持構造135は、限定では無いが、細い金属線または金属線群、モノフィラメントまたは一連のモノフィラメント、ナイロン、PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、および/または他のポリマ等の硬質プラスチック、ポリプロピレン、またはデバイス105に構造的支持を提供可能な他の合成縫合糸材料を含む、様々な材料の何れかにより形成することができる。一実施形態において、支持構造135は、ワイヤである。他の実施形態において、支持構造135は、ポリプロピレンモノフィラメント、またはリング構造を成すように終端で互いに融着した一連のフィラメントである。支持構造135は、リング形状または他の形状にヒートセットすることができる。支持構造135は、眼用デバイス105を眼に挿入した後で活性化し、眼用デバイス105をその場で馴染ませることができる。例えば、支持構造の材料は、例えば、眼または眼瞼を介して挿入物に加わる熱により、熱的に活性化することができる。本明細書に記載の1つ以上の支持構造135に対して、付加的な材料が考えられる。支持構造135は、コーティングが治療剤を含むように、被覆プラスチックまたは金属材料を含むことができる。支持構造135には、プラズマエッチング等の表面処理を施し、例えば、さらに詳細に後述する1つ以上の本体構造112等、支持構造135に対する適切な取り付けを可能にすることができる。
【0052】
再び
図1A〜1Eに関して、上述したように、1つ以上の本体構造112は、支持構造135を管腔113に挿通させた後に支持構造135の端部を互いに融着することが可能となるような、内腔113を有する材料の管状部分にすることができる。一部の実施形態において、本体構造112は、円形または他の断面を有する管形状等の特定の形状に成形および硬化させることができる。
図1Cは、2つの本体構造112a、112bを有するデバイス105の実施形態の
図1Bの円C部分を示している。第1の本体構造112aの終端111aは、第2の本体構造112bの終端111bに接触させることができる。
図1Dは、2つの本体構造112a、112bを有するデバイス105の他の実施形態を示している。この実施形態において、終端111a、111bは、互いから距離を空けて離間しており、支持構造135の領域が露出したままとなっている。単一の本体構造112または3つ以上の本体構造112を眼用デバイス105に組み込むことが可能であると理解されたい。
【0053】
眼用デバイス105は、様々な断面形状の何れかを有することができる。一部の実施形態において、デバイス105および/または1つ以上の本体構造112は、
図1Eに示した実施形態のように断面を円形にすることができる。デバイス105および/または1つ以上の本体構造112は、非円形の断面を有することもできる。例えば、眼(眼の前面等)と接触する1つ以上の本体構造112の一部を、幾分平坦にすることができる。
図1Fは、円形、両凸レンズ形、8字形、馬蹄形、長円形、楕円形、角丸長方形、星形、または歯車形等を含む他の様々な断面形状を示している。一般に、眼用デバイスの断面における縁部は、全体に丸みを付けることができる。断面形状は、眼用デバイス105の異なる位置に沿って変化させることができることを理解されたい。一部の実施形態において、デバイス105は、約0.5mm〜約1mmの断面厚さを有する。加えて、断面形状は、さらに詳細に後述するように、眼用デバイス105の表面積の量を最大化または他の形で増加させるように選択することができる。一部の実施形態において、支持構造135は、約0.05mm〜約0.35mmの断面直径を有し、各本体構造112の内径を約0.06mm〜約0.36mmとして、支持構造を内部に収容することができる。一部の実施形態において、支持構造135は、直径約0.05mm、0.07mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.3mm、または0.35mmにすることができる。一部の実施形態において、支持構造135は、約USP0、2−0、3−0、4−0、5−0、または6−0サイズの縫合糸材料の大きさを有するモノフィラメント縫合糸にすることができる。デバイスの一部の実施形態の全体の断面直径は、略0.5mm〜略1.5mmにすることができる。
【0054】
上述したように、眼用デバイス105は、眼の表面上での位置決め後、その場で眼の特定の解剖学的形状または眼の周囲の解剖学的構造の形状に追従または成形するように構成することができる。これにより、特定の患者の眼の形状について最低限の事前情報で、眼または眼の周囲の解剖学的構造に対する刺激を最小化または除去する快適な装着感を眼用デバイス105にもたらすデバイス形状へ即座に調整することが可能となる。眼用デバイス105は、眼に位置決めする前に、初期の挿入前構成または形状を有することができる。支持構造135の材料特性は、単独で、あるいは1つ以上の本体構造112の材料特性との組み合わせにおいて、眼用デバイス105の挿入前形状を決定することができる。眼用デバイス105は、初期の挿入前形状から、第2の挿入後構成または形状に再構成することができる。挿入前形状は、平坦または実質的に平坦なリングまたはトロイド形の全体形状にすることができる。眼の表面に付与した後、挿入前形状は、眼用デバイス105の1つ以上の構成要素の塑性変形または熱活性化等を介して、第2の挿入後形状に向けて変化を開始することができる。挿入後形状は、患者の眼の前部表面と、眼の結膜の少なくとも一部および骨性眼窩の少なくとも一部を含む、眼の周囲の解剖学的構造の1つ以上の構成要素とに全体的に追従するまたは成形される全体形状を含むことができる。そのため、挿入前構成は、挿入後構成の形状とは異なる形状を有する。デバイス105は、デバイス105を眼から取り外した後も、第2の挿入後構成を維持することができる。あるいは、デバイス105は、挿入前構成の形状と挿入後構成の形状との一方または両方と異なる形状である第3の取り外し後構成を有することができる。
【0055】
眼から取り外す際に、デバイス105は、挿入後および/または取り外し後構成の形状から離れる撓みに抵抗することができる。挿入前形状は、実質的に平面内に位置決めされた環形状にすることが可能であり、挿入後および/または取り外し後形状は、少なくとも部分的にその平面の外側に位置決めすることができる。一部の実施形態において、支持構造135は、約0.01N/mm〜約1N/mmの範囲内の撓みに対する自己負荷抵抗性を有することができる。付加的な実施形態において、支持構造135は、約1度〜約60度の撓みに対する第1の自己負荷抵抗性を有することができる。支持構造135の撓みに対する自己負荷抵抗性は、支持構造135の第1の部分と支持構造135の第2の部分との間において、第1の部分を支えて保持し、第2の部分の重量により支持構造135を曲げる時の撓み角度を含むことができる。1つ以上の本体構造112も、撓みに対する自己負荷抵抗性を有するように形成することができる。1つ以上の本体構造112の撓みに対する自己負荷抵抗性は、支持構造135の撓みに対する自己負荷抵抗性より小さくすることができる。
【0056】
本明細書に記載のデバイスは、眼における位置決めの際に、平坦または実質的に平坦なリングから本明細書に記載の鞍形等、全体的形状の変化を起こすことができる。デバイスは、より局所的な形状変化を起こすこともできる。例えば、本明細書に記載のデバイスの1つ以上の構成要素は、移植後に、特定の眼の解剖学的構造との接触により、断面形状を変化させ得る形状変化を起こすことができる。例えば、1つ以上の本体構造112は、円形の断面を有するように成形された、全体的に柔軟で成形可能な材料により形成することができる。眼の構造、例えば眼の円蓋と接触した後の期間に亘り、本体構造112の断面は、材料が接触している眼の構造の表面形状を、より密接に反映するまたはこれに追従するような形状になることができる。例えば、眼の前面または眼球結膜344に対向する本体構造112の表面等、本体構造112の外表面の第1の部分は、その眼の解剖学的構造と接触している期間の後、局所的な形状変化を起こすことができる。同様に、眼瞼の眼瞼結膜342に対向する本体構造112の表面等、本体構造112の外表面の第2の部分も、その眼の解剖学的構造と接触している期間の後、局所的な形状変化を起こすことができる。一部の実施形態において、外表面部分の局所的形状変化は、凸状の球形から凹状の球形とすることができる。1つ以上の本体構造112の断面形状は、円形から両凸レンズ形に変化することができる。他の実施形態において、1つ以上の本体構造112の断面形状は、円形から8字形に変化することができる。他の実施形態において、1つ以上の本体構造112の断面形状は、円形から馬蹄形に変化することができる。本体構造112の外表面は、本体構造112の外表面が接触する眼の構造の形状に応じて、様々な局所形状の何れかを取ることまたはこれに追従することが可能であると理解されたい。したがって、本明細書に記載のデバイスは、支持構造135の材料特性により主に決定される全体的形状変化をその場で起こすことができる。本明細書に記載のデバイスは、さらに、1つ以上の本体構造112の材料特性により主に決定される局所的形状変化をその場で起こすことができる。本明細書に記載のデバイスの形状が、ラージスケールおよびローカルスケールの両方で、眼の解剖学的構造に対して追従することは、患者が経験する眼の内部でのデバイスの快適性および保持に寄与する。
【0057】
上述したように、本明細書に記載の眼用デバイスは、1つ以上の治療剤を組み込み、あるいはこれに結合して、安全且つ治療的に有効な量の薬物(群)を移植時に一定期間に亘り眼に放出することができる。一部の実施形態において、薬物は、シリコーン−薬物マトリクスから薬物溶出を介して徐放の形で拡散する。デバイスからの薬物の放出は、様々な形の何れかで発生させることが可能であり、眼に対する薬物の放出および投与のための特定の化学機構または処方に限定されるべきではない。例えば、本明細書に記載の眼用デバイスは、薬物溶出、薬物拡散、生分解、制御放出、徐放等により薬物を眼内に放出することができる。これに関連して、眼用デバイス105は、所望の薬物放出プロフィールを達成するように、表面積の量を多くまたは少なくするような形状にすることができる。例えば、1つ以上の本体構造112の表面積の増加により、眼用デバイス105の薬物放出のレベルを高くすることができる。これに関連して、眼用デバイス105の1つ以上の特定の位置における表面積を選択して、眼用デバイス105の特定の面積(群)からの薬物放出速度を眼用デバイス105の他の面積に対して増加、減少、または他の形で調整することができる。これにより、眼用デバイス105において、眼用デバイス105のある位置における放出速度を、眼用デバイス105の他の位置における放出速度と異なるものにすることが可能となる。
【0058】
本明細書に記載のデバイスは、異なる薬物放出目標を達成するように処方することができる。例えば、本明細書に記載のデバイスは、特定の放出速度で放出され眼内で第1の薬物投与量を達成する薬物を(例えば、本体構造112内部等に)組み込むことができる。本明細書に記載のデバイスは、さらに、第1の処方による第1の薬物を、例えば第1の本体構造112等に、第2の処方による第1の薬物を、例えば第2の本体構造112等に含むことができる。例えば、薬物の第1の処方は、第1の期間に亘り、より高い薬物投与量を可能とし、薬物の第2の処方は、第2のより長い期間に亘り、より低い薬物投与量を可能にすることができる。さらに、本明細書に記載のデバイスは、第1の処方による第1の薬物と、第2の処方による第2の薬物とを含み、単一のデバイスにより2種類(または3種類以上の薬物)を同時に送達することができる。例えば、デバイス105は、第1の薬物を組み込んだ第1の本体構造112、第2の薬物を組み込んだ第2の本体構造112、第3の薬物を組み込んだ第3の本体構造112等を含むことができる。本明細書に記載のデバイスは、単一の本体構造112(またはデバイスの他の構成要素)により、2種類以上の薬物を送達するように処方することが可能であると理解されたい。さらに、1つ以上の本体構造112以外のデバイスの構成要素に薬物を組み込むことが可能であると理解されたい。例えば、支持構造135は、眼内へ放出する薬物を組み込むように構成することができる。様々な形で、対象となる薬物送達放出プロフィ−ルを達成するように本明細書に記載のデバイスを設計することができる。特に、1つ以上の本体構造112により、対象となる投与量、放出速度、および治療法の様々な組み合わせの何れかに合わせた治療の調整が可能となる。
【0059】
治療剤は、送達マトリクスに載置、埋め込み、封入、または他の形で組み込むことができる。送達マトリクスは、支持構造135と1つ以上の本体構造112との何れかまたは両方の内部または表面上に含めることができる。次に送達マトリクスは、生分解性または非生分解性材料を含むことができる。送達マトリクスは、限定では無いが、ポリマを含むことができる。生分解性ポリマの例には、タンパク質、ヒドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコライド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ無水物、ポリホスホエステル、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、およびこれらの組み合わせが含まれる。非生分解ポリマには、シリコーン、NuSil Med4810、MED−4830シリコーン、シリコーン材料、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えば、デラウェア州ウィルミントンのE.I.Du Pont de Nemours and CompanyのDACRON(登録商標))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、押出コラーゲン、ポリマ発泡体、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金(例えば、イリノイ州エルジンのElgin Specialty MetalsのELGILOY(登録商標)、ペンシルベニア州ワイオミッシングのCarpenter Metals Corp.のCONICHROMER(登録商標))を含めることができる。一部の実施形態において、送達マトリクスは、時間と共に分解して内部の薬物を放出するヒドロゲル技術を取り入れた、Ocular Therapeutix(マサチューセッツ州ベッドフォード)の持続性薬物送達マトリクス材料である。一実施形態において、1つ以上の本体構造112は、成形および硬化前に1つ以上の治療剤をマトリクス内に分散または混合することが可能な、シリコーン等の送達マトリクスにより形成することができる。一実施形態において、成形したシリコーンは、約10ショアA〜約80ショアAの範囲のデュロメータを有する。一部の実施形態において、デュロメータは、30ショアAシリコーン〜50ショアAシリコーンである。
【0060】
説明および各図に図示した眼用デバイスの実施形態は、例であることを理解されたい。眼用デバイスは、形状、材料、および構成を、図示したものから変更することができる。例えば、本明細書に記載の眼用デバイスは、環状である必要はなく、代わりにリングの一部を形成することができる。例えば、眼用デバイスは、実質的にU字形またはC字形にすることができる。本明細書に記載の眼用デバイスは、集合的に眼用デバイス105を形成する2つ以上の分離構造を含むことができると理解されたい。しかしながら、本明細書に記載の眼用デバイスは、単一の材料または材料の組み合わせで製造され且つ機能的薬物送達および形状追従能力を依然として提供するモノリシック構造にすることもできる。
【0061】
次に、
図2Aおよび2Bは、眼用デバイス105の他の実施形態を示す。上述した実施形態と同様に、眼用デバイス105は、眼において位置決めした時に角膜の直径外側に適合するような大きさおよび形状にすることが可能な開口部130を備えた、長円形、円形、トロイド形等の環状の構成を有することができる。開口部130は、眼用デバイスを眼に位置決めした時に角膜との接触および/または干渉が最小限となる大きさにすることができるが、眼用デバイス105は、患者が横目で見る時等に角膜に接触する場合もあることを理解されたい。デバイス105は、支持構造135(点線で表す)を含むことが可能であり、支持構造135は、その一部または全体に沿って位置決めされた本体構造に結合されている。眼用デバイス105は、外表面110と、眼用デバイス105を眼において位置決めした時に眼の前部外表面に直接接触する内表面115とを含むことができる。加えて、眼用デバイス105は、眼用デバイス105の開口部130を境するまたは取り囲む前縁120を含むことができる。後縁125は、眼用デバイス105の最外輪郭を定めることができる。後縁125および前縁120は、それぞれ同様の形状、例えば、円形状を定めることができる。あるいは、後縁125および前縁120は、異なる形状を有することが可能であり、例えば、前縁120を円形とし、後縁125を長円形または他の何らかの形状にすることができる。眼用デバイス105の開口部130は、デバイス105と同心にすること、またはその中心からずらすことができる。しかしながら、一般に、開口部130は、デバイスが眼の光学帯の外側に留まるようにデバイスの前縁120を定める。
【0062】
さらに
図2Aおよび2Bに関して、眼用デバイス105は、一般に、鼻側領域NR、側頭側領域TR、上側領域SR、および下側領域IRの4つの領域を含むことできる。鼻側領域NRは、一般に、眼の鼻側領域上に位置決めされるように構成され、側頭側領域TRは、眼の側頭側領域上に位置決めされるように構成される。同様に、上側領域SRは、眼の上側領域に位置決めされるように構成され、下側領域IRは、眼の下側領域に位置決めされるように構成される。眼用デバイスの領域NR、SR、TR、およびIRは、特に、眼の対応する領域と相互作用し、眼に対する刺激が最小限の状態または無い状態で、眼における固定を達成するように大きさおよび形状を定めることができる。これに関連して、眼用デバイス105の外輪郭を定める後縁125は、さらに詳しく後述するように、領域のそれぞれが眼の外表面に沿って後方に所望の距離だけ延びるように大きさおよび形状を定めることができる。加えて、眼用デバイスの各領域は、幾可学的形状、大きさ、厚さ等を互いに変えることができる。領域の何れかは、窪み等の表面の不規則性を含むことができる。
【0063】
上述したように、本明細書に記載のデバイスの形状は、変化させることができる。一部の実施形態において、眼用デバイス105の形状は、眼用デバイス105が位置決めされるのが右目か左目かに基づいて変化させることができる。領域NR、SR、TR、およびIRは、必ずしも互いに同様の形にする必要は無い。各領域は、異なる形状を有することが可能であり、眼用デバイス105が長期間に亘り眼に自然に保持される可能性を高めるように構成された1つ以上の突起を含むことができる。
【0064】
図2Aおよび2Bの実施形態において、前縁120の鼻側領域NRは、前縁120と後縁125との間の距離が眼用デバイス105の残りの部分と比較して全体に低減された形状になっている。換言すれば、眼用デバイス105は、
図2Aおよび2Bの実施形態の鼻側領域NRにおいて表面積が低減されている。加えて、眼用デバイス105の側頭側領域は、眼用デバイスの残りの部分よりもさらに後方に延ばすことができる。
【0065】
後縁125は、眼に配置すると相対的に固定された位置に眼用デバイス105を保持し、眼に対する眼用デバイス105の回転または他の何らかの移動の可能性を低減するように構成された形状を有することができる。一実施形態において、後縁は、規則的または不規則な鞍部または双曲放物面の表面により定められる。
図3は、双曲放物面705を示す。輪郭710は、表面705により定められ、その輪郭710は、
図2Aおよび2Bの実施形態等の眼用デバイスの実施形態の後縁125の輪郭に対応する。表面705および/または輪郭710は、x軸およびy軸を中心に対称にしても、しなくてもよい。例えば、形状および/または輪郭は、眼用デバイスを位置決めするのが左目か右目かにより変化させることができる。本明細書に記載の眼用デバイス105の実施形態の何れかは、
図3に示した輪郭710に一致または実質的に一致する輪郭を有することができると理解されたい。
【0066】
図1A〜1Eに示したデバイスについて上述したように、眼用デバイス105の実施形態の何れかは、眼に配置した時に、デバイス105の全体的形状が、眼または周囲の解剖学的構造の外表面の形状にその場で変化するように、変形可能、追従可能、および/または成形可能にすることができる。
図3を参照すると、眼用デバイス105は、眼において位置決めする前、または眼から取り外した後等、眼用デバイス105が眼において位置決めされていない時でも、後縁125が双曲放物面に一致するような十分な剛性を有することができる。したがって、独立した状態において、眼用デバイス105の後縁125は、双曲放物面の表面に一致させることができる。他の実施形態において、眼用デバイスは、眼において位置決めする前に、こうした形状に一致していない。こうした実施形態において、眼用デバイスは、眼において位置決めする前に、平坦または実質的に平坦にすることができる。眼用デバイスは、その後、眼において位置決めした後、一定の期間に亘り、異なる形状へ可塑的に変形すること、または変形するように活性化させることができる。本明細書に記載のデバイスの何れかは、初期の挿入前構成から第2の挿入後構成に、その場で再構成することができると理解されたい。さらに、その挿入後構成は、デバイスを眼から取り外した後も維持することができる。あるいは、デバイスは、眼からの取り外し時に更なる形状変化を起こし、挿入前構成と挿入後構成との何れかと同じまたは異なるものにすることが可能な取り外し後構成を取ることができる。
【0067】
図4、5、および6は、眼用デバイス105の他の実施形態を示している。
図4は、眼用デバイス105の正面図を示し、
図5および6は、側面図を示す。眼用デバイス105は、正面から見た時、長円の形等、全体的に丸い形状を有することができる。形状は、長軸Lおよび短軸Sにより定めることができる。上述したように、形状は変化可能であり、長円または丸形に対応する必要は無い。さらに、眼用デバイスは、長軸または短軸の何れかについて対称または非対称にすることができる。
【0068】
図5および6の側面図に示したように、眼用デバイス105は、眼の球形または実質的に球形の外表面上に位置決めされる構成となるような形状を有する。
図4を参照すると、眼用デバイス105は、表面積が増加したフラップ810を形成する一対の拡大または拡幅した領域を有することが可能であり、フラップ810は、全体として眼用デバイス105の長軸Lに沿って位置決めされているが、その位置は変更することができる。フラップ810は、全体として眼用デバイス105の短軸Sに沿って位置する狭小な領域815よりも大きな表面積を定めることができる。
図4〜6の実施形態において、フラップ810は、長軸Lの位置から短軸Sの位置へ向けて徐々に細くすることまたはサイズを低減することができる。フラップ810から相対的に小さな領域815へ向かうサイズの移行は、漸進的でなくてもよく、あるいは急激にしてもよいと理解されたい。さらに、フラップ810の特定の形状は、
図4の平面に直角な軸線に対するフラップの角度と共に、フラップの表面積、眼との一致、保持力等を調節するために変化させることができる。
【0069】
図7は、眼用デバイス105の他の実施形態を示している。正面から見ると、眼用デバイス105は、円形、楕円形、または他の環形状を成す全体として丸形の本体1105を含むことができる。フラップ1110等の少なくとも1つの拡大領域を、本体1105に位置決めすることができる。フラップ1110は、様々な形状の何れかを有することができる。一般に、フラップ1110は、フラップ1110が配置されている本体1105の局所領域と比較して、厚さまたは幅を大きくすることができる。
【0070】
一実施形態において、フラップ1110のそれぞれは、他のフラップ1110から約180度等の周方向の距離をおいて位置決めされるが、フラップの相対位置は変化させることができる。加えて、フラップ1110の数は、1枚、2枚、3枚、4枚、またはそれ以上のフラップ1110を含め、変化させることできる。フラップ1110は、それぞれ、本体1105に対して外側に延びる外側領域1205を任意に含む。各フラップは、さらに、本体1105の開口部130に向かって内側に延びる内側領域1210を任意に含む。フラップ1110は、眼の外球面上に位置決めされる大きさおよび形状にする。フラップ1110の大きさ、形状、および相対位置は、適合度、表面積、保持力等の所望のプロフィールが達成されるように選択することができる。上述したように、
図7の実施形態は、形状を変化させることができる。例えば、本体1105は、不規則な形状にすることが可能であり、
図3の輪郭710に一致させることができる。眼用デバイス105は、フラップ1110を備えずに本体1105のみを含むこともできる。
【0071】
図8は、一枚のフラップ1110の実施形態の拡大正面図である。上述したように、フラップ1110は、外側領域1205および内側領域1210を含むことができる。図示した実施形態において、領域1205および1210は、丸角の実質的に矩形の形状だが、形状は変更可能であると理解されたい。フラップ1110の表面は、フラップ1110の表面積を増加させるように構成された1つ以上の突起を含むことができる。あるいは、フラップ1110は、平坦な外表面を有することができる。さらに、フラップ1110の内側領域1210は、
図8に示したような球形の表面に一致する表面形状を有することができる。
【0072】
図9は、全体的にリング状の本体1305を有する眼用デバイス105の他の実施形態の透視図を示す。
図10および11は、
図9の眼用デバイス105の側面図を示す。本体1305は、全体的に円筒状の外表面を有する薄く丸いバンドで形成することができる。本体1305は、本体1305の円形により定められる平面に対して角度を成して延在可能な一対のフラップ1310を有することができる。
図10および11に示したように、フラップ1310は、本体1305の平面に対して90度の角度にすることができるが、フラップ1310の角度は変更可能である。フラップ1310は、本体1305の幅と比較して、幅に段階またはテーパを設けることができる。例えば、各フラップ1310の中央領域は、各フラップ1310の中央領域に接する側部のそれぞれより幅広にすることができる。テーパは、漸進的または急激なものにして、フラップ1310の形状に1つ以上の段階を形成することができる。
【0073】
本明細書に記載のデバイスの実施形態の何れかは、リング形構造から放射状に延びる1本以上のハプティクスをさらに含むことができる。ハプティクスは、少なくとも1つ以上の治療剤を含むこともできる。
【0074】
材料および治療剤
【0075】
本明細書に記載の眼用デバイスは、眼への挿入時および眼からの取り外し時に比較的容易に操作することが可能であると共に、眼への移植時にその場での追従および成形を可能にして、眼における快適性および保持を向上させる。
【0076】
様々な材料により、本明細書に記載の形状変化をもたらすことができる。本明細書に記載のデバイスの1つ以上の構成要素は、本明細書に記載のもの等、様々な材料で形成すること、またはこれを組み込むことができる。上述したように、支持構造135は、デバイスの形状変化をもたらすことができる。支持構造135は、デバイスを眼の表面上に位置決めする前に、眼用デバイスに全体的形状を与える材料により形成することができる。支持構造135は、デバイスが移植前に眼の外部にある時のデバイスの形状、デバイスがその場で追従する形状、および追従後のデバイスを眼から取り外した後のデバイスの形状を決定することができる。形状変化は、例えば、数分から数日または数ヶ月の期間まで、様々な期間に亘り生じることが可能であることを理解されたい。一部の実施形態において、眼に移植前の第1の形状から眼に移植後の第2の形状への形状の追従は、約20分〜約24時間の期間に亘り生じる。
【0077】
支持構造135は、金属線、フィラメントまたは一連のフィラメント、モノフィラメント、ナイロン、PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、および/または他のポリマ等の硬質プラスチック、ポリプロピレン、または他の合成縫合糸材料、または上述した1つ以上の組み合わせを含む様々な材料の1つ以上で形成することができる。ばね作用により伸長可能な材料の例も、白金合金、チタン合金、全てのステンレス鋼合金及テンパ、様々なクラッド材、および絶縁線を含め、デバイスの1つ以上の構成要素として考えられる。眼用デバイスは、少なくとも部分的には、形状記憶材料により作製することができる。非限定的な例では、ニチノールを用いることが可能であり、これにより熱、磁気、または電磁活性化を用いて、マルテンサイトからオーステナイト状態として、眼用デバイスを所望の形状へ変化させることが可能となる。使用可能な他の形状記憶材料の例には、例えば、形状記憶ポリウレタン、架橋トランスポリオクチレンゴム、ポリノルボルネンポリマ、ニチノール、ポリエチレン、PMMA、ポリウレタン、架橋ポリエチレン、架橋ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、ポリカプロラクトン、(オリゴ)カプロラクトンの共重合体、PLLA、PL/DLA共重合体、PLLA PGA共重合体、PEEK、架橋ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンオキシド(PEO)ブロック共重合体等の熱可塑性ポリマ、ポリスチレンおよびポリ(1,4−ブタジエン)を含有するブロック共重合体、および当業者に周知の他の形状記憶材料が含まれる。材料は、熱、液体、および/または圧力に晒された際に繰り返し可塑性となり、冷却、乾燥、および/または圧力の除去時に硬化するように構成された任意の材料にすることもできる。
【0078】
一実施形態において、本明細書に記載の1つ以上の眼用デバイスは、眼の中の涙液から流体を吸収して拡大することが可能であり、あるいは、ばね作用機構により伸長することができる。眼への挿入時に膨張可能な材料の例には、PVPE、PVA、ポリウレタンゲル、および他の種類のヒドロゲルが含まれる。支持構造および/または本体構造等の本明細書に記載のデバイスの1つ以上の構成要素は、シリコーン等の生分解性または非生分解性材料を含む1つ以上の様々な材料で形成することができる。治療剤は、送達マトリクスに載置、埋め込み、封入、または他の形で組み込むことができる。次に送達マトリクスは、生分解性または非生分解性材料を含むことができる。送達マトリクスは、限定では無いが、ポリマを含むことができる。生分解性ポリマの例には、タンパク質、ヒドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコライド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ無水物、ポリホスホエステル、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、およびこれらの組み合わせが含まれる。非生分解ポリマには、シリコーン、MED−4830シリコーン、シリコーン材料、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えば、デラウェア州ウィルミントンのE.I.Du Pont de Nemours and CompanyのDACRON(登録商標))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、押出コラーゲン、ポリマ発泡体、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム合金(例えば、イリノイ州エルジンのElgin Specialty MetalsのELGILOY(登録商標)、ペンシルベニア州ワイオミッシングのCarpenter Metals Corp.のCONICHROMER(登録商標))を含めることができる。一部の実施形態において、送達マトリクスは、時間と共に分解して内部の薬物を放出するヒドロゲル技術を取り入れた、Ocular Therapeutix(マサチューセッツ州ベッドフォード)の持続性薬物送達マトリクス材料である。本明細書に記載のデバイスは、さらに、溶出速度変更材料を含め、デバイスから眼への薬物放出速度を変更可能な材料を含むことができる。
【0079】
患者に起こり得る眼用デバイスに対するアレルギ反応を防止するために、眼用デバイスは、低アレルギ性材料を含むことができる。支持構造および/または本体構造等の本明細書に記載のデバイスの1つ以上の構成要素は、タンパク質の付着を防止することによりアレルギ反応の発生機会を最小限にするヒドロゲル、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリエチレンオキシド(PEO)等の材料を含むことができる。あるいは、眼用デバイスの薬物送達マトリクスは、眼用デバイスに対するアレルギ反応を防ぐために、抗アレルギおよび/または抗ヒスタミン化合物を含むことができる。特定の実施形態において、送達マトリクスは、さらに、当該技術分野で公知の他の材料を含むことができる。眼用デバイスは、さらに、粘液性を減らすように構成することができる。
【0080】
これらの材料は、例として記載したものであり、デバイスの形状変化能力および/または本明細書に記載のデバイスの薬物放出能力を提供するように構成された材料を限定あるいは包括するものではないことを理解されたい。
【0081】
表1は、本明細書に記載の眼用デバイスでの使用に適した治療剤の例を示す。治療剤は、多数の形で使用可能であり、送達される多数の治療剤の1つ以上を含むことができる。
【表1】
【0082】
表1の治療剤の代わりに、あるいはこれらと組み合わせて、治療剤は、以下の1つ以上を含むことができる:眼の眼圧を下げるための作用剤、抗緑内障薬(例えば、アドレナリン作用薬、アドレナリン拮抗薬(βブロッカ)、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI、全身性および局所性)、副交感神経刺激薬、プロスタグランジン類および降圧脂質、およびこれらの組み合わせ)、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤等)、コルチコステロイドまたは他の抗炎症剤(例えば、NSAID)、充血除去剤(例えば、血管収縮剤)、アレルギ反応を予防または改善する作用剤(例えば、抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤)、肥満細胞安定化剤、毛様筋調節剤等。治療剤(群)により治療可能な状態の例には、限定では無いが、緑内障、手術前および手術後の治療、ドライアイ、およびアレルギが含まれる。一部の実施形態において、治療剤は、潤滑剤または界面活性剤、例えば、ドライアイを治療するための潤滑剤を含むことができる。
【0083】
治療剤は、本明細書に記載したような緑内障の治療に適したプロスタグランジン類似体を含むことができる。プロスタグランジン類似体は、例えば、ラタノプロスト(XALATAN(登録商標))、ビマトプロスト(LUMIGAN(登録商標)またはLATISSE(登録商標))、カルボプロスト、ウノプロストン、プロスタミド、トラバタン、トラボプロスト、またはタフルプロストのうち1つ以上を含むことができる。治療剤は、さらに、ステロイド、抗生物質、非ステロイド剤または「NSAID」、ロテプレドノール、シクロスポリン、デキサメタゾン、ジピベフリン、オロパタジン、エメダスチン、抗ヒスタミン剤、モキシフロキサシン、ナタマイシン、抗真菌剤、ポリミキシン、ネオマイシン、ネパフェナク、トリアムシノロンアセトニド、トブラマイシン、プレドニゾロン、リメキソロン、フルオロメトロン、ロドキサミドトロメタミン、ジフルプレドナート、ブリンゾラミド、メチプラノロール、チモロール、アプラクロニジン、カルバコール、ピロカルピン、シクロペンタン、アトロピン、ベタキソロール、ブリモニジン、ネドクロミル、エピナスチン、アルカフタジン、ケトロラック、リフィテグラスト、プレドニゾロン、ガチフロキサシン、ベポタスチン、ベシフロキサシン、ブロムフェナク、フルオシノロン、ガンシクロビル、トブラマイシン、ヒドロキシプロピルセルロース、アジスロマイシン、ドルゾラミド、レボフロキサシン、オフロキサシン、ブナゾシン、ウノプロストン、レボカバスチン、ヒアルロン酸ナトリウム、ジクアホソル、フルオロメトロン、ピレノキシン、またはラタノプロステンブノドを含むことができる。
【0084】
治療剤は、以下の1つ以上、またはその等価物、誘導体、または類似体を含むことができる:トロンビン阻害剤と、抗血栓剤と、血栓溶解剤と、線維素溶解剤と、血管攣縮抑制剤と、血管拡張剤と、降圧剤と、抗微生物剤、例えば、抗生物質(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム等)、抗真菌剤(アンホテリシンBおよびミコナゾール等)、および抗ウイルス剤(イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン等)と、表面糖タンパク質受容体の阻害剤と、抗血小板剤と、抗有糸分裂剤と、微小管重合阻害剤と、抗分泌剤と、活性阻害剤と、リモデリング阻害剤と、アンチセンスヌクレオチドと、抗代謝剤と、抗増殖剤(抗血管新生剤を含む)と、抗癌化学療法剤と、抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21リン酸塩、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21リン酸塩、酢酸プレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメサゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド等)と、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムインドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、およびナブメトン等)と。本明細書に記載の実施形態の方法での使用が考えられる抗炎症ステロイドには、コルチコステロイド、例えば、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、フルメトロン、ロテプレドノール、およびそれらの誘導体と、抗アレルギ剤(クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミン等)と、抗増殖剤(1,3−cisレチノイン酸、5−フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、ミトマイシンC、およびシスプラチン等)と、充血除去剤(フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン等)と、縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ剤(ピロカルピン、サリチル酸塩、カルバコール、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エゼリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、ホスホリンヨウ素、臭化デメカリウム等)と、抗悪性腫瘍剤(カルマスティン、シスプラチン、フルオロウラシル3等)と、免疫薬(ワクチンおよび免疫刺激剤等)と、ホルモン剤(エストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド、およびバソプレシン視床下部放出因子)と、免疫抑制剤、成長ホルモンアンタゴニスト、成長因子(上皮細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換成長因子β、ソマトトロピン、フィブロネクチン等)と、血管新生阻害剤(アンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスボンジン、抗VEGF抗体等)と、ドーパミン作用剤と、放射線治療剤と、ペプチドと、タンパク質と、酵素と、細胞外マトリックスと、コンポーネントと、ACE阻害剤と、フリーラジカル消去剤と、キレート剤と、酸化防止剤と、抗ポリメラーゼと、光線力学治療剤と、遺伝子治療剤と、プロスタグランジン、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体(チモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロール等のβブロッカを含む抗緑内障薬を含む)、およびプロスタグランジン類似体(ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト、タフルプロスト等)といった他の治療剤と、アセタゾールアミド、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、メタゾラミド、ジクロフェナミド、ダイアモックス等の炭酸脱水酵素阻害剤と、ルベゾール、ニモジビン、および関連化合物等の神経保護剤と、ピロカルピン、カルバコール、フィゾスチグミン等の副交感神経作用薬等が含まれる。
【0085】
これらの治療剤は、例として記載したものであり、本明細書に記載のデバイスを用いて送達可能な治療剤を限定するあるいは包括するものではないことを理解されたい。さらに、出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする2011年6月1日出願の米国特許公開第2012/0136322号「前眼部薬物送達」および2012年9月14日出願の米国特許公開第2013/0144128号「眼用挿入装置および方法」に記載の薬物負荷および投与等、様々な治療剤の様々な薬物負荷および投与が考えられることを理解されたい。
【0086】
本明細書に記載のデバイスは、様々な方法により製造することができる。一実施形態において、薬物は、MED−4830シリコーンのような医療グレードのシリコーン等の薬物マトリクス中に混合および分散させ、薬物−薬物マトリクス材料の本体構造112を形成することができる。本体構造112の薬物−薬物マトリクス材料は、所望の形状に成形および硬化させることができる。例えば、本体構造112の材料は、当該技術分野において公知であるように成形および硬化させることができる。一部の実施形態において、本体構造112は、内部に管腔113が延びる細長い管状構造に成形することができる。管状構造は、限定では無いが、円形、両凸レンズ形、8字形、馬蹄形、長円形、楕円形、角丸長方形、星形、または歯車形等を含む本明細書に記載したような様々な断面形状を有することができる。一部の実施形態において、本体構造112の少なくとも一部は、略1mmの断面厚さにすることができる。本体構造112のそれぞれの内部に延びる管腔113は、支持構造135を収容するように構成された内径を有することできる。一部の実施形態において、管腔113は、直径約0.06mm、0.08mm、0.11mm、0.16mm、0.21mm、0.31mm、または0.36mmの内径を有することができる。本体構造112は、長さを変化させることが可能であり、例えば、少なくとも約1mm、2mm、4mm、6mm、8mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、あるいはそれ以上の長さで、本体構造112に挿通する支持構造135の長さまでにすることができる。本体構造112の長さは、支持構造135の弧長を形成することができる。例えば、1つの本体構造112は、約5度〜75度〜略360度の弧長を形成し、支持構造135が単一の本体構造112に完全に覆われるようにすることができる。眼用デバイス105は、略5度〜略75度〜略175度のそれぞれ、およびその間の任意の長さの弧長を有することができる。本体構造112は、支持構造135に対して、さらに、複数の本体構造112がデバイス105に組み込まれる場合は、それぞれに対して、様々な位置の1つにより本体構造112が支持構造135上に位置決めされるように、支持構造135を挿通した状態にできることを理解されたい。
【0087】
1つ以上の本体構造112には、支持構造135を挿通することができる。支持構造135は、オーブン内で応力緩和し、例えば、選択した直径を有する心棒に支持構造135を巻くことにより、リング形状または他の形状に熱形成することができる。成形した支持構造135は、所望の長さ、例えば、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、または29mmに切断することができる。支持構造135は、所望の長さに切り取る前にまたは切り取った後で、リングまたは他の形状にヒートセットすることができる。1つ以上の本体構造112には、支持構造135の端部を互いに熱溶着する前に支持構造135を挿通することができる。1つ以上の本体構造112に支持構造135を挿通させた後、支持構造135の遊離端を、熱溶着すること等により共に融着し、完全なリング形状を形成する。各デバイス105は、パッケージングトレイに配置し、最後にEビーム照射により殺菌する。
【0088】
眼の解剖学的構造および使用法
【0089】
本明細書に記載の眼用デバイスは、一般に、角膜に接触または干渉しないような形で、眼用デバイスの少なくとも一部が一方または両方の眼瞼下に位置決めされた状態で、眼の外表面上に位置決めされる大きさおよび形状とする。以下、眼の解剖学的構造を、移植および使用の方法の例と共に説明する。
【0090】
図12は、本明細書に記載の眼用デバイスの組み込みに適した眼300を示す。眼は、 透光性の角膜305と、人が見ることができるように感光性の網膜314上に像を形成する透光性のレンズ312とを有する。眼300は、レンズ312と網膜314との間に透光性の硝子体液316を含む。基準軸Aは、視軸、視線、光軸、または眼の他の軸といった眼の1つ以上の公知の軸線を含むことができる。角膜305は、眼の縁316へ延び、縁316は、眼の強膜318に接続する。眼は、光に反応して拡張収縮可能な虹彩320を有する。眼は、さらに、強膜318と網膜314との間に配置された脈絡膜322を含む。眼は、さらに、縁316に近い眼の強膜部分に位置する毛様体扁平部326を含む。
【0091】
図12〜15を参照すると、眼300は、眼を保護すると共に眼の移動を可能にする結合組織構造を含む。眼瞼は、開くことで眼が見ることを可能にし、閉じることで眼を保護するように構成される。上眼瞼338は、眼の上部全体に延び、下眼瞼336は、眼の下部全体に延びる。眼瞼は、上眼瞼338と下眼瞼336との間に延びる眼瞼裂を定める。結膜は、眼を保護すると共に骨性窩内での眼の動きを可能にする緩い組織である。結膜は、眼瞼結膜342を含む眼瞼部と、眼球結膜344を含む眼球部とを含む。眼瞼結膜342は、眼瞼を閉じた時に角膜305に接触する上下の眼瞼の内面を覆う。結膜は、各眼瞼の眼瞼結膜342から、眼球の強膜318上に位置する眼球結膜344へ延びる。眼球結膜344は、縁316の近くで眼球に接続する。結膜は、各眼瞼の眼瞼結膜342から延び、折り返して盲嚢510を含む嚢346および円蓋360を形成する。眼球結膜344は、強膜318上に位置し、半透明であり、白色の強膜が容易に確認できる。
【0092】
図13は、眼の正面図を示す。瞳孔364、虹彩320、および強膜318は、眼の正面図で容易に確認することができる。内眼角は、眼瞼裂の鼻側端部に位置し、外眼角は、眼瞼裂の外側端部に位置する。ヒトの眼は、さらに、内眼角の鼻側近傍に位置する涙丘366を含む。半月襞を含む眼球結膜344の襞は、涙丘366の近くに見ることができる。半月襞は眼球と共に移動可能であるため、半月襞は、患者が鼻側を見る時に涙丘の鼻側下に移動でき、患者が側頭側を見て半月襞を側頭側へ回転させることで、徐々に視認可能となる。眼は、骨性眼窩内で眼が自由に回転できるように、周方向に延びる眼球結膜および眼瞼結膜の追加的な襞を含むことができる。
【0093】
図14は、眼の上眼瞼338および下眼瞼336の結膜の側断面図を示す。結膜の眼球部分344は、複数の襞370Fを含み、結膜の眼瞼部分342は、複数の襞372Fを含む。結膜は、眼球結膜344と眼瞼結膜342との間で、円蓋360において折り返す複数の眼球側襞370Fおよび複数の眼瞼側襞372Fは、眼の少なくとも一部を中心に、それぞれ実質的に円周方向に延びることができる。嚢346は、盲嚢510を含み、盲嚢510は、円蓋360を含む。
【0094】
図15は、眼の上眼瞼および結膜の襞の側断面図を示す。上眼瞼338の眼球結膜344は、縁と円蓋360との間に延びる結膜に沿って多数の襞370Fを有する。上眼瞼の眼瞼結膜342は、円蓋と上眼瞼338の下縁との間に延びる多数の襞372Fを含む。下眼瞼336の眼球結膜344は、縁と円蓋360との間に延びる結膜に沿って多数の襞370Fを有し、下眼瞼336の眼瞼結膜342は、円蓋と下眼瞼336の上縁との間に延びる多数の襞372Fを含む。
【0095】
図16は、眼の前面に挿入され、上部および下部円蓋360内に位置決めされた眼用デバイス105の実施形態を示す。デバイス105は、麻酔剤を用いてまたは用いずに様々な手法を使用して眼に挿入することができる。一実施形態において、デバイス105は、局所麻酔剤の投与に続いて配置することができる。眼瞼を優しく広げ、端部の丸い器具または指を用いて、デバイスを上側および下側円蓋内に配置することができる。例えば、デバイス105は、最初に上側円蓋内に挿入し、デバイスを下側円蓋内に配置している間、デバイスが上側円蓋内に保持されるようにする。上側円蓋への挿入前に、デバイスを最初に下側円蓋内に配置する逆の手順も考慮するべきであることを理解されたい。挿入後、眼用デバイス105は、眼組織内へ、またはこれを介して延びる機械的な固定要素を全く用いることなく、一定の期間に亘り、眼の所定の位置に保持することができる。デバイスは、例えば、眼の通常の解剖学的構造との相互作用により、経時的に発生可能なデバイスの形状追従により補われた状態で、自然に保持することができる。所定の位置に置かれると、デバイスは、おそらくは涙丘近くの眼の鼻側領域において可視となり得るデバイスの小部分を除き、普通の注視状態において通常は見えない。デバイスを眼から取り外すには、任意に麻酔剤を滴下後、下部円蓋において(通常は端部の丸い器具を用いて)デバイスを掴み、眼からデバイスを穏やかに除去することができる。
【0096】
デバイスは、一定の期間に亘り眼を治療するために用いることができる。効果的な治療のために眼用デバイス105を配置可能な期間は、変更可能であり、限定では無いが、1日、5日、1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、またはさらに長い時間のうち少なくとも何れかが含まれる。
【0097】
図17は、パッケージング1701内の眼用デバイス105の実施形態の分解図を示す。各眼用デバイス105は、パッケージングトレイ1710内に配置し、最後にEビーム照射により殺菌することができる。パッケージングトレイ1710は、例えば、ホイルパウチ1720を破り開ける際に、眼用デバイス105をトレイ1710内に安全に保持するように構成された相補形状のウェル1715を含むことができる。眼用デバイス105は、非治療溶液、例えば、生理食塩水に浸かった状態のトレイ1710内に配置することができる。本明細書に記載の1つ以上の眼用デバイス105は、眼用デバイス105を保持するパッケージングトレイ1710を収容するキットの形態で提供することができる。一部の実施形態において、キットは、眼におけるデバイスの位置決めを補助するように構成された器具類、少量の麻酔剤、および使用説明書をさらに含むことができる。一部の実施形態において、キットは、複数の眼用デバイス105を含むことができる。例えば、1つのキットは、大きさの異なる眼に合わせて複数のサイズの眼用デバイスを含むことができる。本明細書に記載の眼用デバイスは、様々な眼のサイズに対応するために、全体の直径を略24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、または29mmにすることができる。各デバイスの薬物含有量はサイズに関係無く同じにすることができると理解されたい。あるいは、1つのキットは、1つのデバイスを使用して取り外した際に、追加のデバイスを挿入できるように、単一の患者の治療用に複数の眼用デバイスを含むことができる。
【0098】
本明細書は多数の詳細を含むが、これらは、特許を請求する発明の範囲または特許を請求可能な範囲に対する制限として解釈するべきではなく、特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈するべきである。別個の実施形態に関連して本明細書に記載した特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態に関連して記載した様々な特徴は、別個に、あるいは任意の適切な部分的組み合わせにおいて、多数の実施形態において実施することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせにおいて機能するものとして記載され、そのように特許請求の範囲に最初に記載されている場合もあるが、特許請求の範囲に記載された組み合わせの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除することが可能であり、特許請求の範囲に記載された組み合わせは、部分的組み合わせ、または部分的組み合わせの変形を対象とする場合がある。同様に、動作は、特定の順序で図面に図示されているが、これは、所望の結果を達成するために、このような動作を図示した特定の順序または連続的な順序で実行すること、あるいは図示した全ての動作を実行することが必要であると理解するべきではない。僅かな例および実施形態のみを開示している。記載の例および実施形態に対する変更、変形、および増強と、他の実施形態とは、特許請求の範囲に基づいて達成することができる。
【国際調査報告】