(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-533023(P2015-533023A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】フォトミキサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 1/02 20060101AFI20151020BHJP
【FI】
H01S1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-532961(P2015-532961)
(86)(22)【出願日】2013年9月17日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月20日
(86)【国際出願番号】KR2013008415
(87)【国際公開番号】WO2014046465
(87)【国際公開日】20140327
(31)【優先権主張番号】10-2012-0105354
(32)【優先日】2012年9月21日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0032972
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】596180076
【氏名又は名称】韓國電子通信研究院
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】パク、 キュン−ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ナム−ジェ
(72)【発明者】
【氏名】コ、 ヒュン−ソン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ドン−フン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、 サン−ピル
(72)【発明者】
【氏名】リュー、 ハン−チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジョン−ウ
(72)【発明者】
【氏名】ムン、 キ−ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 デ−ヨン
(57)【要約】
従来の広帯域テラヘルツ分光システムの核心部品であるPCAおよびフォトミキサの現存する制限的な要素を根本的に解決したフォトミキサおよびその製造方法を提示する。提示されたフォトミキサは、基板の上面に形成されるが、光が入射する領域に形成された活性層と、基板の上面に形成されるが、光が入射する領域を除いた残りの領域に形成された熱伝導層とを含む。活性層は、メサ型断面を有するように形成され、熱伝導層は、光が入射する領域を除いた領域にMOCVD法で再成長して平坦化された表面を有するようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に形成されるが、光が入射する領域に形成された活性層と、
前記基板の上面に形成されるが、前記光が入射する領域を除いた残りの領域に形成された熱伝導層とを含むことを特徴とする、フォトミキサ。
【請求項2】
前記活性層は、メサ型断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のフォトミキサ。
【請求項3】
前記活性層は、GaAs、InGaAs、InGaAsP、InGaAs/InAlAsの多層薄膜構造のうちのいずれか1つで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のフォトミキサ。
【請求項4】
前記熱伝導層は、InP、GaAs、Ge、Si、AlAs、AlGaAsのうちのいずれか1つで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のフォトミキサ。
【請求項5】
前記活性層と前記熱伝導層は、互いに密着していることを特徴とする、請求項1に記載のフォトミキサ。
【請求項6】
前記活性層の一面に接続され、前記熱伝導層とは離隔した電極パターンを追加的に含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトミキサ。
【請求項7】
前記光が入射する領域に無反射膜が追加的に形成されるが、前記無反射膜は、前記活性層の上部で形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のフォトミキサ。
【請求項8】
基板の上面に活性層を形成するが、光が入射する領域に前記活性層を形成するステップと、
前記基板の上面に熱伝導層を形成するが、前記光が入射する領域を除いた残りの領域に前記熱伝導層を形成するステップとを含むことを特徴とする、フォトミキサの製造方法。
【請求項9】
前記活性層を形成するステップは、
前記基板の上面にバッファ層を垂直および水平に成長させるステップと、
前記バッファ層の上面に前記活性層を垂直および水平に成長させるステップと、
前記成長した活性層において前記光が入射する領域を除いた残りの領域をエッチングするステップとを含むことを特徴とする、請求項8に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項10】
前記活性層を垂直および水平に成長させるステップは、MBE法で前記活性層を低温成長させることを特徴とする、請求項9に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項11】
前記活性層を垂直および水平に成長させるステップは、MOCVD法で前記活性層を成長させ、その上にイオンインプランテーションを実施することを特徴とする、請求項9に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項12】
前記活性層は、メサ型断面を有するように形成されることを特徴とする、請求項8に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項13】
前記熱伝導層を形成するステップは、前記光が入射する領域を除いた領域に、前記熱伝導層をMOCVD法で再成長させて平坦化された表面を有するようにすることを特徴とする、請求項8に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項14】
前記熱伝導層は、InP、GaAs、Ge、Si、AlAs、AlGaAsのうちのいずれか1つで構成されることを特徴とする、請求項8に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項15】
前記活性層の一面に接続され、前記熱伝導層とは離隔した電極パターンを形成するステップを追加的に含むことを特徴とする、請求項8に記載のフォトミキサの製造方法。
【請求項16】
前記光が入射する領域に無反射膜を形成するステップを追加的に含むことを特徴とする、請求項8に記載のフォトミキサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトミキサおよびその製造方法に関するものであって、より詳細には、連続周波数可変型テラヘルツ波発生の核心である広帯域フォトミキサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁波のスペクトル帯域で0.1〜10THz(1THz:10
12Hz)領域をテラヘルツ波と定義している。特に、0.1〜3THz領域は、非常に多様な分子の回転共振周波数が存在する領域であって、これらの分子のテラヘルツ波帯域特性を活用して、分子検出などを非破壊、未開封、非接触法で取得することができる。このようなテラヘルツ波技術分野は、医療、医学、農業食品、環境計測、バイオ、通信、非破壊照射、先端材料評価などにおいて、これまでなかった新概念の未来核心技術の提供が可能で、関連する核心技術の開発に非常に激しい競争が行われている分野である。
【0003】
テラヘルツ波技術は、テラヘルツ波帯域の光子のエネルギーが数meVレベルと非常に低いので、人体に影響がほとんどなく、人間中心のユビキタス(ubiquitous)社会を実現する核心技術として認識され、需要が急激に増加することが予想される。しかし、リアルタイム、ポータブル、低価格、広帯域などを同時に満足する技術がまだ開発されていない。しかし、持続的な技術力の向上でテラヘルツ分光および映像分野の活用に関する多様な提示がなされている。高出力の波源および高感度アレイ型検出器の採用が必須であるテラヘルツ映像分野とは異なり、テラヘルツ分光では広帯域のテラヘルツ波源がシステムの核心技術として位置付けられている。
【0004】
最近まで最も広範囲に使用されている広帯域テラヘルツシステムは、
図1に示されるように、フェムト秒級の超短パルスレーザを、超高速応答速度を有する半導体に照射させてテラヘルツ波を発生させるTHz−TDS(Time Domain Spectroscopy)である。フェムト秒級の高出力パルスレーザおよびPCA(Photonconductive antenna)で構成される広帯域テラヘルツ分光システムは、高い信号対雑音比(Signal to Noise Ratio;SNR)、広帯域特性の提供が比較的容易に実現可能で最も早く商用化されたシステムである。
図1のTHz−TDSシステムは、ミラーM1によって反射した1台のフェムト秒レーザ(Femtosecond laser)22からのフェムト秒光パルス10を、ビーム分割器(Beam Splitter;BS)で2つのフェムト秒光パルスに分ける。2つのフェムト秒光パルスのうち、1つのフェムト秒光パルスは、ミラーM2によって反射してTHzエミッタ12を励起させ、残りの1つのフェムト秒光パルスは、光遅延器DLとミラーM3、M4を順次に経て、THz検出器18に入力される。THzエミッタ12の後段の2つの非軸パラボリック(off−axis parabolic)ミラー14は、THzエミッタ12からのTHzビームを試料(sample)16に集束させ、2つの非軸パラボリック(off−axis parabolic)ミラー20は、試料16から透過したTHzビームを集めてTHz検出器18に集束させる。左右レーザビームの経路が正確に一致する地点でテラヘルツ信号の最大値を測定することができるが、テラヘルツ信号を測定する方法は、光遅延器DLを用いて右側レーザビームの光路を少しずつ変化させることにより、光路差を利用したサンプリング方式で測定する。
【0005】
しかし、上述したTHz−TDSシステムは、フェムト秒レーザ22、光遅延器DLなどを含む、精巧で複雑な光学系で構成され、非常に高価であり、システムのサイズが大きい。特に、
図1のTHz−TDSシステムは、時間領域信号の測定時、光遅延の所要時間と測定された時間領域信号のFFT(Fast Fourier Transform)信号処理時間に応じたリアルタイムな計測に困難がある。これらの問題は、産業的活用の極大化のために解決すべき要素として認識されている。
【0006】
最近、パルス型の広帯域テラヘルツ波発生法であるTHz−TDSシステムのほか、
図2のような連続波発生のTHz−FDS(frequency domain spectroscopy)システムの開発に多くの努力が行われている。連続波方式による高い周波数分解能の提供が可能で、2台の独立した高出力半導体レーザを活用することにより、低価格、広帯域、超小型システムの開発が可能で、現場適用型としてテラヘルツ分光システムの開発が可能で、関連技術の開発を多くの機関で競争的に進めている。しかし、連続波方式の非常に劣悪な光電変換効率で、具体的で実質的なシステムの適用事例を示していない。
【0007】
図1に提示されたパルス型広帯域テラヘルツ波発生システムのTHz−TDSシステムは、フェムト秒級の超短パルスレーザのチタンサファイア(Ti:Sapphire)レーザが一般的に活用され、フェムト秒光励起によるテラヘルツ波発生器のPCA、すなわち、超高周波光電変換器(optical−to−electrical converter)で構成される。商用化されたチタンサファイア(Ti:Sapphire)レーザの中心発振波長が800nmを吸収し、非常に短いキャリア寿命時間を有する低温成長GaAsをPCA活性物質として活用する。テラヘルツ分光システムの構成において、励起光源を効率的に吸収するか、広帯域特性に必須のフェムト秒水準のキャリア寿命時間を有する物質の採用は必須である。同じ方式であるが、
図1のようなパルス型TDSシステムとは異なり、
図2のような連続波発振方式のFDSシステムが開発されて、TDSシステムと競争中にある。
【0008】
図1と比較して、
図2の違いは、励起光源が、フェムト秒レーザでない、非常に安定的な高出力の分布帰還型レーザ(Distributed Feedback Laser;DFB1、DFB2)24、26の2つの波長(λ
1、λ
2)が作るビーティング(beating)を活用するということである。光源以外のテラヘルツ波を発生させるための方式は、
図1のTHz−TDSシステムと類似している。THz−TDS用超高周波光電変換器のPCAの場合、超短パルスレーザの高いピーク値によって数マイクロメートルサイズの四角形の光励起領域と非常に簡単なダイポールアンテナで容易に広帯域テラヘルツ波の発生が可能である。反面、
図2のTHz−FDS用は、2つの波長の差に相当する周波数を有するテラヘルツ波が発生するとして、PCAの代わりに、一般的にフォトミキサと呼ばれる。パルス型でない、連続波発生のためのフォトミキサ30の開発には、非常に高いピーク値を有するフェムト秒レーザとは異なり、連続的に発進する数十mW水準の光源の活用として、
図4のような指形状のIDT(interdigitated)パターンが活用される。IDTパターンの活用で容易に飽和し、入射光の偏光に依存的であるが、比較的低い入力光出力でも広帯域テラヘルツ波の発生が可能で、多く活用されている。
【0009】
図3は、一般的なフォトミキサの概要図である。広帯域テラヘルツ波を発生させる装置のフォトミキサ30は、反応速度がピコ(10
−12)秒水準の非常に速い物質で構成され、光が照射された時、電流が流れる光伝度スイッチ(photoconductive switch;PCS)32と、発生したテラヘルツ波の片方向への利得を確保するためのアンテナ34とから構成される。一方、
図4をみると、フォトミキサ30の光伝度スイッチ32を中央において両側にアンテナ34が形成されたことが分かる。
【0010】
大韓民国公開特許2011−0069453号(フォトミキサモジュールおよびそのテラヘルツ波の発生方法)には、テラヘルツ波を発生するための励起光の強度を増加させ、フォトミキサの安定性を高めるための技術が開示された。
【0011】
大韓民国公開特許2011−0069453号に開示されたフォトミキサモジュールは、入射するレーザ光を増幅させる半導体光増幅器と、増幅されたレーザ光に励起して連続テラヘルツ波を生成するフォトミキサとを含むが、半導体光増幅器とフォトミキサは、単一のモジュールとして形成される。
【0012】
本発明は、パルス型PCAとは異なり、連続波テラヘルツ波発生装置の広帯域フォトミキサにおいて、高出力の励起光源の注入による入力光の飽和および励起光の注入によるフォトミキサの活性層の急激な温度増加による特性の低下を根本的に克服可能な高効率フォトミキサの開発を実現することである。特に、すでによく開発されている光通信用部品の活用が容易で、長波長帯域での非常に低い広帯域テラヘルツ波発生効率の急激な向上が可能で、同時に、高効率、高信頼性の特性を有する広帯域フォトミキサ技術の開発を背景とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】大韓民国公開特許2011−0069453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであって、従来の広帯域テラヘルツ分光システムの核心部品であるPCAおよびフォトミキサの現存する制限的な要素を根本的に解決したフォトミキサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
それぞれの分光システムは、光源の発振波長に合った低温成長GaAs、InGaAsなどの多様な物質を活用しているが、半導体特有の特性によって産業化するにはまだその結果が弱い状態である。産業化が可能な水準のテラヘルツ波発生用光電変換器である広帯域フォトミキサの開発のための難題を、これまで提示できなかったMOCVD(metal−organic chemical vapor deposition;有機金属化学蒸着)再成長法による埋込型構図のフォトミキサの開発によって解消することが、本発明の具体的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の好ましい実施態様に係るフォトミキサは、基板の上面に形成されるが、光が入射する領域に形成された活性層と、前記基板の上面に形成されるが、前記光が入射する領域を除いた残りの領域に形成された熱伝導層とを含む。
【0017】
好ましくは、前記活性層は、メサ型断面を有するのが良い。
【0018】
前記活性層は、GaAs、InGaAs、InGaAsP、InGaAs/InAlAsの多層薄膜構造のうちのいずれか1つで形成されてもよい。
【0019】
前記熱伝導層は、InP、GaAs、Ge、Si、AlAs、AlGaAsのうちのいずれか1つで構成されてもよい。
【0020】
前記活性層と前記熱伝導層は、互いに密着するのが良い。
【0021】
前記活性層の一面に接続され、前記熱伝導層とは離隔した電極パターンを追加的に含んでもよい。
【0022】
前記光が入射する領域に無反射膜が追加的に形成されるが、前記無反射膜は、前記活性層および前記熱伝導層の上部で形成されてもよい。
【0023】
一方、本発明の好ましい実施態様に係るフォトミキサの製造方法は、基板の上面に活性層を形成するが、光が入射する領域に前記活性層を形成するステップと、前記基板の上面に熱伝導層を形成するが、前記光が入射する領域を除いた残りの領域に前記熱伝導層を形成するステップとを含む。
【0024】
好ましくは、前記活性層を形成するステップは、前記基板の上面にバッファ層を垂直および水平に成長させるステップと、前記バッファ層の上面に前記活性層を垂直および水平に成長させるステップと、前記成長した活性層において前記光が入射する領域を除いた残りの領域をエッチングするステップとを含むことができる。
【0025】
前記活性層を垂直および水平に成長させるステップは、MBE法で前記活性層を低温成長させることができる。
【0026】
前記活性層は、メサ型断面を有するように形成されてもよい。
【0027】
前記熱伝導層を形成するステップは、前記光が入射する領域を除いた領域に、前記熱伝導層をMOCVD法で再成長させて平坦化された表面を有するようにすることができる。
【0028】
前記活性層の一面に接続され、前記熱伝導層とは離隔した電極パターンを形成するステップを追加的に含んでもよい。
【0029】
前記光が入射する領域に無反射膜を形成するステップを追加的に含んでもよい。
【発明の効果】
【0030】
このような構成の本発明によれば、熱処理過程を半導体結晶成長装備のMOCVD装備を活用することにより、低温成長半導体物質の熱処理過程と高品位の半導体結晶成長が同時に行われ、高い熱伝導特性および平坦型構造の開発が可能で、高い信頼性および高効率の広帯域フォトミキサの開発が可能である。
【0031】
低温成長基板を活用したフォトミキサ素子の信頼性を確保すると同時に、高効率の放熱構造特性を有する高効率のフォトミキサの開発によって、実質的なテラヘルツ応用システムの開発が可能で、未来技術開発の波及効果が非常に大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一般的なTHz−TDS(Time domain spectroscopy)システムの概要を説明するための図である。
【
図2】一般的なTHz−FDS(Frequency domain spectroscopy)システムの概要を説明するための図である。
【
図4】
図3に示された光伝度スイッチとアンテナとの設置形態を示す図である。
【
図5】本発明の説明に採用されるテラヘルツ波発生用フォトミキサの等価回路を示す図である。
【
図6】本発明の説明に採用されるテラヘルツ波発生用平板型フォトミキサの構造図である。
【
図7】本発明の説明に採用されるアンテナが集積されたテラヘルツ波発生用フォトミキサを示す図である。
【
図9】本発明の好ましい実施形態に係るフォトミキサの構造図である。
【
図10】本発明の好ましい実施形態に係るフォトミキサを製造する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係るフォトミキサおよびその製造方法について説明する。本発明の詳細な説明に先立ち、以下に説明される本明細書および請求の範囲に使用された用語や単語は、通常または辞書的な意味に限定して解釈されない。したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替可能な多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0034】
パルス型広帯域テラヘルツ波発生システムや連続周波数可変型テラヘルツ波発生システムの主要特性は、励起光源の特性と、先に言及した光電変換器のPCAおよびフォトミキサの効率で特性が決定される。パルス型とは異なり、連続波発生用フォトミキサの設計時、非常に高い入力光パワーによるフォトミキサの内部の熱上昇効果を必須として考慮しなければならない。主熱源としては、光の注入による物質の吸収とフォトミキサのバイアス印加による電流によるジュール(Joule)ヒーティングなどがある。フォトミキサの内部温度の増加による入射光の早期飽和および内部温度の増加による光電効率特性の低下が急激に進行するため、円滑な熱放出は高効率の確保に必須である。特に、連続波方式では何よりも重要な核心的なものである。様々な光電変換器のうち、最も劣悪な特性を示す長波長用フォトミキサの場合について考えてみよう。
【0035】
連続周波数可変テラヘルツ波発生周波数(f)は、励起光の2つの発振周波数(f
1=c/λ
1、f
2=c/λ
2)の間の差であるビーティング周波数(f=f
1−f
2)である。λ=λ
1、Δλ=λ
1−λ
2≪λの場合、f=f
1−f
2=c/λ
1−c/λ
2=cΔλ/λ
2として示すことができる。
【0036】
この時発生した周波数可変型テラヘルツ波源の特性は、励起光源の特性に直接的な影響を受ける。励起光源の安定度、線幅、偏光、位相のいずれもが発生するテラヘルツ波に影響を与えることにより、安定的な励起光源の開発に多くの努力を傾ける。
【0037】
フォトミキサによって発生したテラヘルツ波出力の解析のために、
図5のような等価回路法が多く活用される。
図5において、フォトミキサの特性に影響を及ぼす主変数としては、印加電圧V
B、アンテナのインピーダンスR
L、フォトミキサのキャパシタンス(Capacitance)C、フォトミキサのフォトコンダクタンス(photoconductance)G
0などがある。光が入射する領域Ap、光透過度T、内部量子効率η
i、プランク(planck)定数h、電荷移動度μ、周波数ν、キャリア消滅時間τを考慮し、光が入射する領域に何ら金属パターンのない簡単なスクエア型フォトミキサを仮定した時、フォトコンダクタンスG
0は、下記式(1)のように与えられる。下記式(1)において、eはキャリアの電荷量、P
0はフォトミキサに入射した光出力である。
【数1】
フォトコンダクタンスG
0を有する、フォトミキサから出力されるテラヘルツ波の特性は、下記式(2)の通りである。R
Aはアンテナの放射抵抗、Cおよびτはフォトミキサの静電容量およびキャリア消滅時間を示す。
【数2】
式(2)において、ωはビーティング周波数fの角周波数である。ω=2πf=2π(f
1−f
2)=2π(c/λ
1−c/λ
2)である。
【0038】
高効率のテラヘルツ波発生のためには、高出力の光源とともに、フォトミキサの光電変換効率に直接的な影響を及ぼす変数を調整しなければならない。式(2)に示されるように、フォトミキサの高い応答速度、アンテナ抵抗、および入力光の強度などに影響を受ける。パルス型テラヘルツ波発生器のPCAでは、励起光による特性の低下は、連続波に比べて比較的少ない影響を受ける。しかし、連続波発生用フォトミキサの場合、連続的な入力光の注入および吸収による活性層の温度増加およびバイアスの印加によるジュール(joule)ヒーティングなどによる空気と半導体の界面で形成されるジャンクション温度T
j(Junction temperature)は、入射光の最大値を決定することで、高効率フォトミキサの開発には必須として解決すべき要素である。
【0039】
上記式(1)、式(2)に示されるように、広帯域フォトミキサの特性は、非常に短いキャリア消滅時間、フォトミキサの静電容量特性に多くの影響を受ける。このうち、テラヘルツ分光器において広帯域特性に直接的な影響を及ぼすキャリア消滅時間の確保は必須である。キャリア消滅時間の確保のために、半導体単結晶特性を保持したまま、非常に短いキャリア消滅時間を有する半導体物質を成長させるために、一般的にMBE(molecular beam epitaxy)装備を用いる。一般的な半導体のキャリア消滅時間は数ns(10
−9)秒水準であるが、1THzに相当する時間は1ピコ(10
−12)秒水準であるので、広帯域特性の確保のために、半導体結晶成長時、成長温度を急激に低下させると、物質内の3族元素の位置に5族元素の占有による不純物が生成され、フェムト秒級のキャリア消滅時間を確保することができる。
【0040】
先に言及したが、THz−TDSシステムの光源であるチタンサファイア(Ti:Sapphire)レーザの中心発振波長である800nmの光出力を吸収するために、GaAs物質を活用するか、連続波発振に活用されている長波長ビーティング光源の吸収のために、InGaAs物質が主に使用されている。一般的に活用されているフォトミキサ作製法と、本発明で新たに提案している方法について比較することにより、本発明の差別化を説明する。
【0041】
図3〜
図5に示されるように、フォトミキサは、励起光に高速に反応する物質の光伝度スイッチ32と、発生した波を任意の所望する方向に抽出するためのアンテナ34とを含む。ここで、アンテナ34は、用途に応じて、ボウタイ(bowtie)アンテナ、ダイポール(diopole)アンテナなどが採用可能である。テラヘルツ分光システムのためには、広帯域アンテナの使用が必須であり、テラヘルツ映像システムのためには、高効率の共振型アンテナが活用されている。
【0042】
キャリア消滅時間が確保された物質にバイアスの印加が可能な構造のアンテナだけが作製された最も簡単な形態のフォトミキサを、
図6に示した。
【0043】
図6のフォトミキサは、基板40と、バッファ層42と、活性層44と、絶縁体薄膜46と、電極パターン48と、無反射膜50とを含む。
【0044】
基板40は、テラヘルツ波が当該基板上に存在する電荷によって吸収される量を最小化するために、半絶縁(semi−insulating)のGaAsまたはInGaAsなどで構成されてもよい。MBE(molecular beam epitaxy;分子ビームエピタキシ)装備を活用して、基板40を所定の厚さに成長させることができる。
【0045】
バッファ層42は、基板40の上面に形成される。バッファ層42は、基板40に正常な半導体薄膜成長のためのものである。バッファ層42の成長のために、例えば、AlGaAs、InAlAs、GaAs、InPなどが活用可能である。MBE装備を活用して、バッファ層42を所定の厚さに成長させることができる。
【0046】
活性層44は、バッファ層42の上面に垂直および水平に形成される。活性層44は、キャリア寿命時間の確保のために、低温成長法で成長させる。活性層44は、フォトミキサ作製の核心といえ、光伝度層(photoconductive layer)と呼ぶこともある。活性層44は、フォトコンダクティブスイッチングからテラヘルツ波を発生させることができる。活性層44に活用される半導体薄膜としては、バルク型で800nm帯域のGaAsと、長波長領域用としてはバンドギャップが励起光源の波長と一致する物質であるInGaAs、InGaAsPなどがあり得る。バルク型活性層のほか、長波長励起光源によって発生した電子、正孔の円滑な捕獲のために、InGaAs/InAlAsなどのような多層薄膜構造を採用してもよい。
【0047】
式(2)に示されるように、印加電圧の二乗に比例してテラヘルツ波の出力が決定され、光伝度スイッチにバイアス印加のためのアンテナを含む電極の形成は必須である。それによって、絶縁体薄膜46および電極パターン48が一連のリソグラフィー(lithography)過程を経て、活性層44の上面に順次に形成される。ここで、電極パターン48は、アンテナに接続されるとみても構わない。このように、基板40上に、バッファ層42、活性層44、絶縁体薄膜46、および金属の電極パターン48を順次に形成させることにより、フォトミキサチップが完成すると考えられる。
【0048】
無反射膜50は、最終的に半導体による表面反射の低下を防止するためのものである。まず、電極パターン48の上面全体に無反射膜層を形成させた後、リソグラフィー過程を経て、光が入射する領域にのみ無反射膜50を形成させる。
【0049】
図7は、アンテナが集積されたテラヘルツ波発生用フォトミキサを示す図である。
図7では、広帯域アンテナのボウタイアンテナ34が2つ集積された。2つのボウタイアンテナ34のうちの1つはバイアス電圧が印加され、残りの1つは接地されてもよい。また、
図7には、ボウタイアンテナ34ごとに複数の電極パッド36がパッケージングのために接続される。電極パッド36は、バイアス用電極パッドと接地用電極パッドとを含むことができる。そして、フォトミキサの核心である光伝度スイッチ32が点線の中(すなわち、2つのボウタイアンテナ34の間)に形成される。
【0050】
図7において、光伝度スイッチ32は、先に説明した活性層44における物質で構成されてもよいが、低温成長した物質のうち、バンドギャップが大きい物質のGaAsの場合とは異なり、InGaAs物質は、バックグラウンド(background)電荷によってn型半導体特性を有することが知られている。このようなn型電荷を相殺するために、低温成長したInGaAsにp型のベリリウム(Be)をドーピングする。ホール(Hall)測定の結果、熱処理温度が高いほど、ベリリウム(Be)が活性化され、n型不純物をよく相殺する。これは、熱処理温度を上昇させるほど、暗抵抗率(dark resistivity)の高い低温成長したInGaAsが得られることを意味する。
【0051】
図6の場合、光が注入される領域以外においても低温成長した半導体領域が相変らず残っていて、バックグラウンド(background)電荷濃度によって暗電流が発生する。一般的に、GaAs PCAの場合、これを無視することができて、高いバイアス電圧の活用が可能な理由でもある。しかし、長波長フォトミキサの場合、特性低下の主要因としてバックグラウンド(background)電荷濃度の低下が挙げられる。このような理由から、低温成長した半導体物質は、非常に低い移動度(mobility)特性を有する。テラヘルツ波の出力に決定的な影響を及ぼす移動度向上のために、成長後、熱処理過程が必須として行われる。例えば、成長したままの状態(As−grown)のInGaAsサンプルのホール(Hall)の移動度の値が、InGaAsの場合、600cm
2/Vsec水準から、熱処理過程を経た後の値が1,450cm
2/Vsec水準へと大きい値に増加し、熱処理温度の増加による定常状態の物質に復元する特性を示し、適切な熱処理温度は高効率フォトミキサの作製に必須である。
【0052】
それによって、フォトミキサの特性に直接的な影響を及ぼす暗電流を低下させるために、
図8のような構造を考えることができる。
図8において、フォトミキサの各層の役割は
図6と同一であり、光が入射する領域のみを残したまま、残りの領域をエッチングで除去した構造である。
図8では、活性層52がメサ(mesa)型断面を有する。このように活性層52がメサ型断面を有すると、光が注入される領域以外においては低温成長した半導体領域がないので、バックグラウンド(background)電荷濃度による暗電流の発生がなくなる。
図8において、説明していない符号54は絶縁体薄膜である。
【0053】
フォトミキサの特性向上のために、
図6における光励起部分の活性層44および
図8における光励起部分の活性層52の移動度確保のための熱処理過程は必須である。ここでの熱処理過程は、低温成長装備のMBE装備を活用して、成長が終わった直後、直ちにMBEチャンバ内で実施されるインサイチューアニーリング(In−situ annealing)、またはRTAチャンバ(rapid thermal annealing chamber)内で進行するエックスサイチューアニーリング(Ex−situ annealing)をする。このようなインサイチュー(In−situ)熱処理、またはエックスサイチュー熱処理過程を経た試料の表面は粗くて、フォトミキサ工程および特性に大きな問題を引き起こすことを実験的に確認した。
【0054】
一方、
図8のフォトミキサは、活性層52がメサ(mesa)状に形成されるため、活性層52上の電極パターン48もそれと類似の形状に形成される。それによって、
図8における電極パターン48は、
図6の電極パターンとは異なって平坦でない。そのため、
図8のフォトミキサは、活性層52の高さとアンテナ面の不一致をもたらす。このような不一致によって工程の難しさが存在し、基板を除いた大部分が空気に露出している構造で、光励起時に発生した熱の高い放出効率を期待しにくい。
【0055】
それによって、
図9のような構造のフォトミキサを提示する。先に言及したように、広帯域特性確保のための低温成長過程で、移動度確保のための後続の熱処理過程は、広帯域フォトミキサの開発に必須である。
【0056】
図9のフォトミキサは、基板60と、バッファ層62と、活性層64と、熱伝導層66と、絶縁体薄膜68と、電極パターン70と、無反射膜72とを含む。ここで、基板60とバッファ層62および活性層64は、
図8の基板40とバッファ層42および活性層52の役割と同一である。絶縁体薄膜68と電極パターン70および無反射膜72は、
図6の絶縁体薄膜46と電極パターン48および無反射膜50の役割と同一である。
【0057】
図9では、バッファ層62の上面に、活性層64と、熱伝導層66とを形成させるが、光が入射する領域には活性層64を形成させ、光が入射する領域以外の領域には熱伝導層66を形成させた点が特異である。熱伝導層66は、熱伝導(thermal conductivity)が非常に高い物質を使用する。熱放出のために、活性層64と熱伝導層66は、互いに密着することが好ましい。
【0058】
図9の構造に示されるように、熱伝導度が非常に高い物質を、MOCVD装備を活用して、光励起領域(すなわち、光が入射する領域が相当する)以外の領域に再成長して平坦化する熱処理過程および平坦化過程を同時に行う。これまで提示されなかった方法によって、熱処理による表面の問題、フォトミキサ特性低下の問題を同時に解決して、非常に改善された特性の向上を実験的に確認した。すなわち、本発明の実施形態では、半導体結晶成長装備のMOCVD装備を活用して、As雰囲気で熱処理を進行させた。実験の結果は、ある臨界温度まではキャリア寿命時間の急激な変化が発生しないことを確認した。そして、何よりも従来の半導体結晶成長装備のMOCVD装備によってAs雰囲気で熱処理を行った時、他の方法と比較すると、比較できないほどの優れた表面特性とキャリア寿命時間を確保できることを実験的に確認することができた。
【0059】
熱伝導層66に使用される再成長物質としては、多様な活性層との格子整合および再成長物質の熱伝導度などを考慮して、非常に多様な物質を考慮することができる。可能な物質名(熱伝導度)を次のように提示することができる。InP(0.68Wcm
−1K
−1)、GaAS(0.45Wcm
−1K
−1)、Ge(0.58Wcm
−1K
−1)、Si(1.3Wcm
−1K
−1)、AlAs(0.91Wcm
−1K
−1)は、熱伝導度が非常に高い物質であって、光励起領域以外の領域を埋込むことにより、熱的に非常に安定的なフォトミキサの開発を可能にする。実際にこのような構造を活用すると、その特性が急激に改善されることを実験的に確認した。
【0060】
図9において、活性層64は、低温成長GaAs、InGaAs、InGaAsP、InGaAS/InAlAsの多層薄膜など、光励起よるフォトミキサの活性層のすべてを対象とする。MOCVD装備を活用して再成長した熱伝導層66は、熱伝導度が非常に高いInP、AlAs、AlGaAsなどのバルク型半導体を再成長することを原則とする。しかし、素子の構造上、ドーピングが異なるp型またはn型半導体を再成長することができ、また、p型およびn型を交互に成長させたジャンクション構造を活用することができる。
図9のような埋込型フォトミキサを活用した時、非常に安定的で高効率特性の提供が可能な光電変換器の開発が可能で、これまで提示できなかったテラヘルツ応用システムの拡大が期待される。
【0061】
図9のフォトミキサの場合、アンテナに接続される電極パターン70に印加されるバイアス電圧によって、活性層64には電界(E)が形成される。このようなバイアス状態で励起光が入射すると、光吸収によって、活性層64ではキャリア(電子−正孔対)が生成される。キャリアは、活性層64に形成された電界(E)によって加速され、瞬間的に電極パターン70を通してアンテナに移動する。キャリアの寿命(約数百フェムト秒)の間に流れる光電流によって、アンテナではテラヘルツ波を発生させる。そして、光励起時に発生する熱は、熱伝導層66を通して迅速に外部に放出される。
【0062】
図10は、本発明の好ましい実施形態に係るフォトミキサを製造する方法を説明するフローチャートである。
【0063】
まず、MBE装備を活用して、所定の厚さに成長した基板60を用意する(S10)。
【0064】
基板60の上面にバッファ層62を形成する(S12)。ここで、バッファ層62は、MBE装備によって垂直および水平に所定の厚さに成長する。
【0065】
バッファ層62の上面に活性層64を形成する(S14)。活性層64を形成させるにあたって、まず、バッファ層62の上面に、活性層64をMBE装備による低温成長法で垂直および水平に成長させる。あるいは、バッファ層62の上面に、活性層64をMOCVD法を用いて垂直および水平に成長させた後、その上に、例えば、Fe
2+などのようなイオンを用いてイオンインプランテーション(ion−implantation)を行ってもよい。
【0066】
このように、MBE装備による低温成長法で垂直および水平に成長させるか、MOCVD法で垂直および水平に成長させ、イオンインプランテーションを行って形成した活性層64において光が入射する領域(すなわち、光励起領域)を除いた残りの領域をエッチングで除去する。それによって、活性層64は、メサ(mesa)型断面を有する。
【0067】
以後、光が入射する領域を除いた領域に、熱伝導層66をMOCVD法で再成長させて平坦化された表面を有するようにする(S16)。ここで、MDCVD法による熱処理過程および平坦化過程が行われると、実質的に、熱伝導層66だけでなく、活性層64の表面も平坦になる。
【0068】
リソグラフィー過程を経て、活性層64および熱伝導層66の上面に絶縁体薄膜68を形成する(S18)。
【0069】
そして、活性層64の一面に接続され、熱伝導層66とは離隔した電極パターン70を形成する(S20)。
【0070】
最終的に、電極パターン70の上面全体に無反射膜層を形成させた後、リソグラフィー過程を経て、光が入射する領域にのみ無反射膜72を形成させる(S22)。
【0071】
一方、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で修正および変形して実施することができ、そのような修正および変形が加えられた技術思想も以下の特許請求の範囲に属すると見なすべきである。
【国際調査報告】