(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-533029(P2015-533029A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】高アスペクト比酸化物エッチング用のフルオロカーボン分子
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20151020BHJP
【FI】
H01L21/302 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-539935(P2015-539935)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月12日
(86)【国際出願番号】US2013067415
(87)【国際公開番号】WO2014070838
(87)【国際公開日】20140508
(31)【優先権主張番号】61/720,139
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】カーティス アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ラーフル グプタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント エム オマールジー
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン スタフォード
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン デュサラ
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA02
5F004BA09
5F004BA20
5F004CA02
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DA26
5F004DA28
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA22
(57)【要約】
基板上のSi含有層において、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等をプラズマエッチングするエッチングガス、及び該エッチングガスを使用するプラズマエッチング方法を開示する。エッチングガスは、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、ヘキサフルオロイソブテン、trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、又はcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンである。エッチングガスは、パターン高アスペクト比構造において、Si含有層とマスク材料との間の選択性の改良、チャンネル領域に対する損傷の軽減、直線状の垂直プロファイル、及び湾曲の低減を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素含有薄膜をエッチングする方法であって、
基板上にケイ素含有薄膜を有するプラズマ反応チャンバ内に、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、ヘキサフルオロイソブテン、trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、及びcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンよりなる群から選択されるエッチングガスを導入することと、
前記プラズマ反応チャンバ内に不活性ガスを導入することと、
前記基板から前記ケイ素含有薄膜を選択的にエッチングすることができる活性化エッチングガスを発生させる、プラズマを活性化させることと、
を含む、ケイ素含有薄膜をエッチングする方法。
【請求項2】
前記活性化エッチングガスが前記ケイ素含有薄膜と選択的に反応して形成される揮発性副産物を前記チャンバから除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不活性ガスが、He、Ar、Xe、Kr及びNeよりなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ガスが、前記プラズマ反応チャンバ内に導入されるエッチングガスと不活性ガスとの全体積のおよそ50%v/v〜およそ95%v/vを構成する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマ反応チャンバ内に酸化剤を導入することを更に含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤が、O2、CO、CO2、NO、N2O及びNO2よりなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化剤が、前記プラズマ反応チャンバ内に導入されるエッチングガスと酸化剤との全体積のおよそ5%v/v〜およそ100%v/vを構成する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ケイ素含有薄膜が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、またはそれらの組合せの層を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記ケイ素含有薄膜が、酸素原子、窒素原子、炭素原子、又はそれらの組合せを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ケイ素含有薄膜がアモルファスカーボン層から選択的にエッチングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ケイ素含有薄膜がフォトレジスト層から選択的にエッチングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素含有薄膜がポリシリコン層から選択的にエッチングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ケイ素含有薄膜が金属コンタクト層から選択的にエッチングされる、請求項8に記
載の方法。
【請求項14】
前記ケイ素含有薄膜におよそ10:1〜およそ100:1のアスペクト比を有する開口部を作製する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマ反応チャンバ内に、cC4F8、C4F6、CF4、CHF3、CF3H、CH2F2、COS、CS2、CF3I、C2F3I、C2F5I及びSO2よりなる群から選択される第2のガスを導入することによって選択性を改良することを更に含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項16】
trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、ヘキサフルオロイソブテン、trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、及びcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンよりなる群から選択される、プラズマエッチング化合物であって、少なくとも99.9体積%の純度、及び0.1体積%未満の微量のガス不純物を有し、該微量のガス状不純物中に含まれる窒素含有ガスと酸素含有ガスとの総含有率が150体積ppm未満である、プラズマエッチング化合物。
【請求項17】
前記酸素含有ガスが水であり、前記プラズマエッチング化合物が20重量ppm未満の含水量を有する、請求項16に記載のプラズマエッチング化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基板上のSi含有層において高アスペクト比のチャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト(staircase contacts)、コンデンサホール(capacitor holes)、コンタクトホール等をプラズマエッチングするエッチングガス(Etching gases)を開示する。該エッチングガスを使用するプラズマエッチング方法も開示する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は2012年10月30日付けで出願された米国特許出願公開第61/720,139号(その内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
DRAM及び2D NAND等の、半導体産業におけるメモリ用途では、プラズマエッチングによってSiO層又はSiN層等のケイ素含有層が半導体基板から除去される。3D NAND(Hwang他に対する特許文献1)等の新規なメモリ用途では、複数のSiO/SiN又はSiO/ポリSi層のスタックの高アスペクト比エッチングが重要である。好ましくは、エッチング液が、マスクとエッチングされる層との間で高い選択性を有する。さらに、エッチング液によって好ましくは、垂直プロファイルが湾曲(bowing:ボーイング)することなく直線となるように構造がエッチングされる。3D NANDスタックは、他のケイ素含有層を含む場合がある。
【0004】
従来、プラズマエッチングは、ガス源(水素含有ガス、酸素含有ガス又はフッ素含有ガス等)から活性種を発生させるプラズマ源を用いて行われる。その後、活性種をSi含有層と反応させると、フルオロカーボンブロッキング被覆層(fluorocarbon blocking overlayer)及び揮発性種が形成される。リアクタ内を低圧にすることによって揮発性種を除去し、この低圧を真空ポンプによって維持する。マスク材料が活性種によってエッチングされないことが好ましい。マスク材料は、フォトレジスト、アモルファスカーボン、ポリシリコン、金属、又はエッチングしない他のハードマスクのうちの1つを含むものであってもよい。
【0005】
従来のエッチングガス(etch gases)としては、cC
4F
8(オクタフルオロシクロブタン)、C
4F
6(ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン)、CF
4、CH
2F
2、CH
3F及び/又はCHF
3が挙げられる。これらのエッチングガスはまた、エッチング中にポリマーを形成することができる。ポリマーは、パターンエッチング構造の側壁上で保護層として作用する。このポリマー保護層によって、非垂直構造、湾曲及び寸法変化を引き起こすおそれのある、イオン及びラジカルによる側壁のエッチングが妨げられる。F:C比、SiO:SiN選択性、及びポリマー堆積速度の間には関連性が確立されている(例えば、非特許文献1、及びF/C比の値が小さい程、窒化物に対する包括的な選択性の上昇が示される、Hung他に対する特許文献2の
図5を参照されたい)。
【0006】
化学エッチング等の従来の乾式エッチング法では、化学エッチング中に要求される高圧条件が、形成される開口部に有害な影響を有するおそれがあることから、必要な高アスペクト比(20:1を超える)をもたらすことができない。C
4F
8及びC
4F
6等の従来の化学物質も、エッチングメーカーが、従来の化学物質を機能させるのに使用される利用可能なパラメータ、例えば、RF電力、RF周波数、パルス化スキーム及び調整スキームを急速に使い尽くしていることから、要求される高アスペクト比をもたらすのに不十分であると思われる。従来の化学物質はもはや、プラズマエッチングプロセス中に高アスペク
ト比の側壁上に十分なポリマー堆積をもたらすものではない。加えて、側壁上のC
xF
y(式中、x及びyはそれぞれ独立して1〜4の範囲をとる)ポリマーは、エッチングを起こしやすい。結果として、エッチングされたパターンは垂直とすることができず、構造は湾曲、寸法変化及び/又はパターン崩壊を示すおそれがある。
【0007】
パターンのエッチングに関する1つの重要な問題は湾曲である。湾曲は、マスク層の側壁のエッチングに起因することが多いが、このマスク層は多くの場合アモルファスカーボン材料である。アモルファスカーボン材料は、マスクの開口を広げて弓状のエッチング構造をもたらす、プラズマ中の酸素ラジカルによってエッチングされることがある。
【0008】
Trappに対する特許文献3は、酸化ケイ素層を通じた高アスペクト比のコンタクト開口を形成するプラズマエッチングプロセスを開示している。Trappは、フルオロカーボン(C
xF
y)及びフッ化炭化水素(C
xF
yH
z)エッチング化学物質への、窒素を含むガス、例えばNH
3の混入による、レジスト選択性の改良及びストリエーションの低減を開示している。35のフルオロカーボン及びフッ化炭化水素化学物質のリストが開示されているが、構造式、CAS番号又は異性体情報は提示されていない。
【0009】
Solvay Fluor GmbHに対する特許文献4は、半導体エッチング又はチャンバクリーニング用のエッチングガスとして含む、多種多様なプロセス用の或る特定のヒドロフルオロアルケンの使用を開示している。ヒドロフルオロアルケンは、下記の群a)及びb)のそれぞれから選択される少なくとも1つの化合物の混合物を含み得る:
a)(Z)−1,1,1,3−テトラフルオロブタ−2−エン、(E)−1,1,1,3−テトラフルオロブタ−2−エン又は2,4,4,4−テトラフルオロブタ−1−エン、並びに、
b)1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン、1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン及び1,1,1,2,4,4−ヘキサフルオロブタ−2−エン。
【0010】
現行の技術水準の垂直3D NAND構造は、材料が交互するスタックを通じて極めて高いアスペクト比を要求している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0180941号明細書
【特許文献2】米国特許第6387287号明細書
【特許文献3】米国特許第6569774号明細書
【特許文献4】国際公開第2010/100254号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Lieberman and Lichtenberg, Principles of Plasma Discharges and Materials Processing, Second Edition, Wiley-Interscience, A John Wiley & Sons Publication, 2005, pp. 595-596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
高アスペクト比の開口部を形成するプラズマの利用における使用のための新たなエッチングガス組成物に対する必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
<表記法及び学術用語>
下記明細書及び特許請求の範囲全体を通じて或る特定の略語、記号及び用語を使用する。
【0015】
本明細書中で使用する場合、「エッチング」("etch" or "etching")という用語は、イオン衝撃によって化学反応を垂直方向に促進させることで、マスクされたフィーチャ(features)の縁に沿って基板に対して直角に垂直側壁を形成する、プラズマエッチングプロセス(すなわち、乾式エッチングプロセス)を指す(Manos and Flamm, Plasma Etching An Introduction, Academic Press, Inc. 1989 pp.12-13)。エッチングプロセスは、基板に、ビア、トレンチ、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等の開口部を作製する。
【0016】
「パターンエッチング」又は「パターン化されたエッチング」という用語は、ケイ素含有層のスタック上のパターン化されたマスク層等の非平面構造をエッチングすることを指す。「マスク」という用語は、エッチングに耐性を示す層を指す。マスク層は、エッチングする層の上又は下に配置されていてもよい。
【0017】
「選択性」という用語は、或る材料のエッチング速度と、別の材料のエッチング速度との比率を意味する。「選択性エッチング」又は「選択的にエッチングする」という用語は、別の材料よりも或る材料を一層エッチングすること、すなわち言い換えると、2つの材料間に1:1よりも大きいか又は小さいエッチング選択性を有することを意味する。
【0018】
本明細書中で使用する場合、不定冠詞「a」又は「an」は1つ又は複数を意味する。
【0019】
元素の周期表による元素の標準的な略語を本明細書中では使用している。元素が、これらの略語(例えば、Sは硫黄を指し、Siはケイ素を指し、Hは水素を指す等)によって表され得ることを理解されたい。
【0020】
本明細書中で使用する場合、「NAND」という略語は、「ANDの逆(Negated AND)」又は「ANDの否定(Not AND)」ゲートを指し、「2D」という用語は平面基板上の2次元ゲート構造を指し、「3D」という略語は、ゲート構造が垂直方向にスタックされている3次元ゲート構造又は垂直ゲート構造を指し、「DRAM」という略語はダイナミックランダムアクセスメモリを指す。
【0021】
明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、それらの適切な化学量論比を考慮することなく、SiN及びSiO等のSi含有薄膜が挙げられることに留意されたい。ケイ素含有層としては、結晶Si、ポリシリコン(ポリSi又は多結晶Si)、又はアモルファスシリコン等の純シリコン(Si)層;窒化ケイ素(Si
kN
l)層;若しくは酸化ケイ素(Si
nO
m)層;又はそれらの混合物を挙げることができ、式中、k、l、m及びnは包含的に1〜6の範囲をとる。好ましくは、窒化ケイ素がSi
kN
l(式中、k及びlはそれぞれ0.5〜1.5の範囲をとる)である。より好ましくは、窒化ケイ素がSi
1N
1である。好ましくは、酸化ケイ素がSi
nO
m(式中、nは0.5〜1.5の範囲をとり、mは1.5〜3.5の範囲をとる)である。より好ましくは、酸化ケイ素がSiO
2又はSiO
3である。ケイ素含有層はまた、酸化ケイ素ベースの誘電体材料、例えば、Applied Materials, Inc.によるBlack Diamond II材料又はBlack Diamond III材料等の有機物ベース又は酸化ケイ素ベースのlow−k誘電体材料とすることができる。ケイ素含有層はまた、B、C、P、As及び/又はGe等のドーパントを含んでいてもよい。
【0022】
<概要>
ケイ素含有薄膜をエッチングする方法を開示する。エッチングガスを、基板上にケイ素
含有薄膜を有するプラズマ反応チャンバ内に導入する。エッチングガスは、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;ヘキサフルオロイソブテン;trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン;又はcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンである。不活性ガスをプラズマ反応チャンバ内に導入する。プラズマが活性化して、基板からケイ素含有薄膜を選択的にエッチングすることができる活性化エッチングガスを発生させる。本開示の方法は、以下の態様の1つ又は複数を含み得る。
・エッチングガスがtrans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンである、
・エッチングガスがcis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンである、
・エッチングガスがヘキサフルオロイソブテンである、
・エッチングガスがtrans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンである、
・エッチングガスが1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタンである、
・エッチングガスが1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタンである、
・エッチングガスがcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンである、
・活性化エッチングガスがケイ素含有薄膜と選択的に反応して揮発性副産物を形成させる、
・プラズマ反応チャンバから揮発性副産物を除去すること、
・不活性ガスがHe、Ar、Xe、Kr及びNeよりなる群から選択される、
・不活性ガスがArである、
・プラズマ反応チャンバに導入する前にエッチングガスと不活性ガスとを混合して、混合物を生成すること、
・不活性ガスとは別にプラズマ反応チャンバ内にエッチングガスを導入すること、
・プラズマ反応チャンバ内に連続的に不活性ガスを導入すること、及びプラズマ反応チャンバ内に断続的に(in pulses)エッチングガスを導入すること、
・不活性ガスが、プラズマ反応チャンバ内に導入されるエッチングガスと不活性ガスとの全体積のおよそ50%v/v〜およそ95%v/vを構成する、
・プラズマ反応チャンバ内に酸化剤を導入すること、
・プラズマ反応チャンバ内に酸化剤を導入しないこと、
・酸化剤が、O
2、CO、CO
2、NO、N
2O及びNO
2よりなる群から選択される、・酸化剤がO
2である、
・プラズマ反応チャンバ内への導入前に、エッチングガスと酸化剤とを混合すること、
・酸化剤とは別にプラズマ反応チャンバ内にエッチングガスを導入すること、
・プラズマ反応チャンバ内に連続的に酸化剤を導入すること、及びプラズマ反応チャンバ内に断続的にエッチングガスを導入すること、
・酸化剤が、プラズマ反応チャンバ内に導入されるエッチングガスと酸化剤との全体積のおよそ5%v/v〜およそ100%v/vを構成する、
・ケイ素含有薄膜が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組合せの層を含む、
・ケイ素含有薄膜が、酸素原子、窒素原子、炭素原子、又はそれらの組合せを含む、
・ケイ素含有薄膜が炭化ケイ素を含まない、
・ケイ素含有薄膜がアモルファスカーボン層から選択的にエッチングされる、
・ケイ素含有薄膜がフォトレジスト層から選択的にエッチングされる、
・ケイ素含有薄膜がポリシリコン層から選択的にエッチングされる、
・ケイ素含有薄膜が金属コンタクト層から選択的にエッチングされる、
・ケイ素含有薄膜が酸化ケイ素層である、
・酸化ケイ素層が多孔質SiCOH薄膜である、
・アモルファスカーボン層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・フォトレジスト層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・ポリシリコン層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・金属コンタクト層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・SiN層からから酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・ケイ素含有薄膜が窒化ケイ素層である、
・アモルファスカーボン層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・パターン化されたフォトレジスト層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、・ポリシリコン層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・金属コンタクト層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・SiO層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
・シリコン層から酸化ケイ素及び窒化ケイ素の両方を選択的にエッチングすること、
・ケイ素含有薄膜に、およそ10:1〜およそ100:1のアスペクト比を有する開口部を作製すること、
・ゲートトレンチを作製すること、
・ステアケースコンタクトを作製すること、
・チャンネルホールを作製すること、
・およそ60:1〜およそ100:1のアスペクト比を有するチャンネルホールを作製すること、
・およそ40nm〜およそ50nmの範囲をとる直径を有するチャンネルホールを作製すること、
・プラズマ反応チャンバ内に第2のガスを導入することによって選択性を改良すること、・第2のガスが、cC
4F
8、C
4F
6、CF
4、CHF
3、CF
3H、CH
2F
2、COS、CS
2、CF
3I、C
2F
3I、C
2F
5I及びSO
2よりなる群から選択される、
・第2のガスがcC
5F
8である、
・第2のガスがcC
4F
8である、
・第2のガスがC
4F
6である、
・プラズマ反応チャンバへの導入前に、エッチングガスと第2のガスとを混合すること、・第2のガスとは別にプラズマ反応チャンバ内にエッチングガスを導入すること、
・チャンバ内に、およそ1%v/v〜およそ99.9%v/vの第2のガスを導入すること、
・およそ25W〜およそ10000Wの範囲をとるRF電力によってプラズマを活性化させること、
・プラズマ反応チャンバが、およそ1mTorr〜およそ10Torrの範囲をとる圧力を有する、
・およそ5sccm〜およそ1slmの範囲をとる流量で、プラズマ反応チャンバにエッチングガスを導入すること、
・およそ−196℃〜およそ500℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
・およそ−120℃〜およそ300℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
・およそ−10℃〜およそ40℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
・四重極型質量分析計、発光分光分析装置、FTIR、又は他のラジカル/イオン測定器によって活性化エッチングガスを測定すること、
・RF電力を印加することによってプラズマを発生させること。
【0023】
trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、ヘキサフルオロイソブテン、trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3−ペン
タフルオロシクロブタン、1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、又はcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンから選択されるプラズマエッチング化合物も開示する。プラズマエッチング化合物は、少なくとも99.9体積%の純度、及び0.1体積%未満の微量のガス不純物を有する。該微量のガス状不純物中に含まれる窒素含有ガスと酸素含有ガスとの総含有率は、150体積ppm未満である。本開示のプラズマエッチング化合物は、以下の態様の1つ又は複数を含み得る:
・エッチング化合物がtrans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンである、
・エッチング化合物がcis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンである、
・エッチング化合物がヘキサフルオロイソブテンである、
・エッチング化合物がtrans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンである、
・エッチング化合物が1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタンである、
・エッチング化合物が1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタンである、
・エッチング化合物がcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンである、
・酸素含有ガスが水である、
・酸素含有ガスがCO
2である、
・窒素含有ガスがN
2である、及び、
・プラズマエッチング化合物の含水量が20重量ppm未満である。
【0024】
本発明の性質及び課題の更なる理解のために、添付の図面と併せて以下の詳細な説明について参照されたい。ここで、同様の要素には同じ又は類似の参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの構造式を示す図である。
【
図2】cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの構造式を示す図である。
【
図3】trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンの構造式を示す図である。
【
図4】cis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンの構造式を示す図である。
【
図5】ヘキサフルオロイソブテンの構造式を示す図である。
【
図6】1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンの構造式を示す図である。
【
図7】1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタンの構造式を示す図である。
【
図8】1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタンの構造式を示す図である。
【
図9】3D NANDスタックにおける例示的な層を示す図である。
【
図10】DRAMスタックにおける例示的な層を示す図である。
【
図11】エネルギー(eV単位)に対して、C
4F
6H
2により生成される化学種の画分の体積をプロットする質量分析(MS)グラフである。
【
図12】エネルギーに対して、C
4F
8により生成される化学種の画分の体積をプロットするMSグラフである。
【
図13】エネルギーに対して、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンにより生成される化学種の画分の体積をプロットするMSグラフである。
【
図14】エネルギーに対して、ヘキサフルオロイソブテンにより生成される化学種の画分の体積をプロットするMSグラフである。
【
図15】trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンに関する、酸素流(sccm単位)に対するSiO
2エッチング速度のグラフである。
【
図16】cC
4F
5H
3に関する、酸素流に対するSiO
2エッチング速度のグラフである。
【
図17】trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンに関する、酸素流に対する選択性のグラフである。
【
図18】cC
4F
5H
3に関する、酸素流に対する選択性のグラフである。
【
図19】15sccmのcC
4F
8を使用するとともに酸素を使用しなかった10分のエッチングの結果の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【
図20】15sccmのcC
4F
6H
2及び12sccmの酸素を使用した10分のエッチングの結果のSEMである。
【
図21】15sccmのcC
4F
5H
3及び22sccmの酸素を使用した10分のエッチングの結果のSEMである。
【
図22】H置換、二重結合、及びC
4F
8分子へのOの付加の効果を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ケイ素含有層に、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等をプラズマエッチングするエッチングガスを開示する。本開示のエッチングガスは、高アスペクト比構造において、マスク層に対するより高い選択性を提供することができるとともに、プロファイルの歪みをもたらすことがない。
【0027】
プラズマエッチングガスは、パターン高アスペクト比構造において、Si含有層とマスク材料との間の選択性の改良、チャンネル領域に対する損傷の軽減、及び湾曲の低減を提供することができる。プラズマエッチングガスはまた、ポリSi、SiO及び/又はSiNの交互層を通じてエッチングして、垂直なエッチングプロファイルをもたらすことができる。
【0028】
以下の化合物が本開示のプラズマエッチングガスを形成する:trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;ヘキサフルオロイソブテン;trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン;又はcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン。これらの化合物は市販されている。
【0029】
本開示のプラズマエッチングガスは、99.9%v/vより高い純度で、好ましくは99.99%v/vより高い純度で、より好ましくは99.999%v/vより高い純度で準備される。本開示のエッチングガスは、0.1体積%未満の微量のガス不純物を含有し、該微量のガス状不純物中に含まれる窒素含有ガス及び酸素含有ガス、例えば、N
2及び/又はH
2O及び/又はCO
2は150体積ppm未満とする。好ましくは、プラズマエッチングガス中の含水量は20重量ppm未満である。精製物は、蒸留によって、及び/又は、気体又は液体を4A分子篩等の好適な吸着材に通すことによって生成することができる。
【0030】
一実施形態において、本開示のプラズマエッチングガスは、5%v/v未満、好ましくは1%v/v未満、より好ましくは0.1%v/v未満、更に好ましくは0.01%v/v未満のその異性体の任意のものを含有する。この実施形態は、より良好なプロセス反復性を提供することができる。この実施形態は、気体又は液体の蒸留によって生成することができる。代替的な実施形態では、本開示のプラズマエッチングガスが、とりわけ、異性
体混合物がプロセスパラメータの改良をもたらすか、又は標的異性体の単離が困難か若しくは費用がかかる場合に、5%v/v〜50%v/vのその異性体の1つ又は複数を含有していてもよい。例えば、異性体の混合物は、プラズマリアクタへの2つ以上のガスラインの必要性を軽減することができる。
【0031】
図1はtrans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの構造式である。trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンのCAS番号は66711−86−2である。trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの沸点は8.5℃である。
【0032】
図2はcis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの構造式である。cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンのCAS番号は692−49−9である。cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの沸点は33℃である。
【0033】
図3はtrans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンの構造式である。trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンのCAS番号は23012−94−4である。trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンの沸点は27℃である。
【0034】
図4はcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンの構造式である。cis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンのCAS番号は22819−47−2である。cis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンの沸点は63℃である。
【0035】
図5はヘキサフルオロイソブテンの構造式である。ヘキサフルオロイソブテンのCAS番号は382−10−5である。ヘキサフルオロイソブテンの沸点は14.5℃である。
【0036】
図6は1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンの構造式である。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンのCAS番号は760−42−9である。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンの沸点は8℃である。
【0037】
図7は1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタンの構造式である。1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタンのCAS番号は2253−02−3である。1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタンの沸点は53℃である。
【0038】
図8は1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタンの構造式である。1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタンのCAS番号は374−12−9である。1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタンの沸点は50℃である。
【0039】
これらの化合物の幾つかは、室温及び大気圧においてガス状である。非ガス状(すなわち、液体)化合物では、直接気化等の従来の気化工程を通じて化合物を気化させることによって、又は泡立たせることによって気体状態を生成することができる。化合物は、リアクタ内に導入する前に気化させる気化装置に液体状態で供給してもよい。代替的に、化合物を入れた容器にキャリアガスを通すことによって、又はキャリアガスを化合物中に泡立たせることによって、化合物を気化してもよい。キャリアガスとしては、Ar、He、N
2、及びそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。また、キャリアガスで泡立たせることによって、エッチングガス中に存在するあらゆる溶存酸素を除去することができる。キャリアガス及び化合物をその後リアクタ内に蒸気として導入する。
【0040】
必要であれば、エッチングツール内への送達のために、化合物を入れた容器を、化合物が十分な蒸気圧を有することを可能にする温度に加熱してもよい。容器は、例えば、およそ25℃〜およそ100℃、好ましくはおよそ25℃〜およそ50℃の範囲の温度に維持してもよい。より好ましくは、エッチングツールへのラインを加熱することを避けるために、容器を室温(約25℃)に維持する。当業者は、容器の温度を既知の方法で調節して、気化される化合物の量を制御し得ることを認識している。
【0041】
本開示のエッチングガスは、1つ又は複数のSi含有層に、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等をプラズマエッチングするのに適しており、また、本開示のエッチングガスが、高アスペクト比構造の良好なプロファイルに加えてマスク上での損傷をほとんど又は全く誘導しないことから、現在及び次世代のマスク材料に適合性がある。それらの特性を実現するために、本開示のエッチングガスは、エッチング中にエッチング耐性ポリマー層を堆積させて、エッチングプロセス中に酸素ラジカル及びフッ素ラジカルの直接的な衝突の低減を助けることができる。本開示の化合物はまた、エッチング中にポリSiチャンネル構造に対する損傷を軽減させることができる(Hwang他に対する特許文献1を参照されたい)。エッチングガスは、リアクタ/チャンバ内への送達のために、適切に揮発性であるとともに、エッチングプロセス中に安定であることが好ましい。
【0042】
本開示のエッチングガスは、基板上のケイ素含有層をプラズマエッチングするのに使用することができる。本開示のプラズマエッチング方法は、NANDゲート若しくは3D NANDゲート、又はフラッシュメモリ若しくはDRAMメモリ等の半導体素子の製造において有用とすることができる。本開示のエッチングガスは、他の利用分野、例えば、ラインのフロントエンド(FEOL)及びラインのバックエンド(BEOL)の種々のエッチング用途に使用することができる。加えて、本開示のエッチングガスは、ロジック基板上にメモリ基板を相互接続するような3D TSV(シリコン貫通ビア)エッチング用途において、Siをエッチングするのにも使用することができる。
【0043】
プラズマエッチング方法は、基板を内部に設けたプラズマ反応チャンバを準備することを含む。プラズマ反応チャンバは、エッチング方法を行う、素子内のいずれの封入容器又はチャンバ、例えば、限定するものではないが、反応性イオンエッチング(RIE)、単一又は複数の周波数RF源によるデュアル容量結合プラズマ(Dual Capacitively Coupled Plasma)(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、若しくはマイクロ波プラズマリアクタ、又はSi含有層の一部分を選択的に除去するか、若しくは活性種を発生させることができる他のタイプのエッチングシステムであってもよい。当業者であれば、種々のプラズマ反応チャンバ設計によって種々の電子温度制御が提供されることを認識するであろう。好適な市販されているプラズマ反応チャンバとしては、商標eMAX(商標)として販売されている、Applied Materialsの磁気強化反応性イオンエッチング装置、又は商標2300(R)Flex(商標)として販売されている、Lam ResearchのデュアルCCP反応性イオンエッチング装置の誘電体エッチング製品ファミリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
プラズマ反応チャンバは1つ又は2つ以上の基板を含有していてもよい。例えば、プラズマ反応チャンバは、25.4mm〜450mmの直径を有する1〜200のシリコンウエハを含有していてもよい。1つ又は複数の基板は、半導体素子、光起電素子、フラットパネル素子又はLCD−TFT素子の製造に使用される好適ないずれの基板であってもよい。基板は、その上に、1つ又は複数のケイ素含有薄膜又はケイ素含有層を含む複数の薄膜又は層を有すると考えられる。基板はパターン化されていてもされていなくてもよい。好適な層の例としては、限定するものではないが、シリコン(アモルファスシリコン、ポ
リシリコン、結晶シリコン、B、C、P、As及び/又はGeで更にp型又はn型にドープされ得るいずれかのもの等)、シリカ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、タングステン、窒化チタン、窒化タンタル、マスク材料、例えば、アモルファスカーボン、反射防止コーティング、フォトレジスト材料、又はそれらの組合せが挙げられる。酸化ケイ素層は、有機物ベース又は酸化ケイ素ベースのlow−k誘電体材料(例えば、多孔質SiCOH薄膜)等の誘電体材料を形成することができる。例示的なlow−k誘電体材料は、Applied Materialsによって、商品名Black Diamond II又はBlack Diamond IIIとして販売されている。加えて、タングステン又は貴金属(例えば、白金、パラジウム、ロジウム又は金)を含む層を使用してもよい。
【0045】
基板は、
図9及び
図10に示されるもののように、その上に複数のケイ素含有層のスタックを備えていてもよい。
図9には、7つのSiO/SiN層のスタックがシリコンウエハ基板の上部に配置されている(すなわち、ONON技術又はTCAT技術)。当業者であれば、技術によっては、SiN層をポリSi層と置き換えること(すなわち、P−BICS技術におけるSiO/ポリSi層)を認識するであろう。当業者であれば更に、3D
NANDスタックにおけるSiO/SiN又はSiO/ポリSi層の数が様々な値をとり得る(すなわち、図示されるSiO/SiN層が7つより多い又はより少ないことがある)ことを認識するであろう。アモルファスカーボンマスク層が7つのSiO/SiN層の上部に配置される。反射防止コーティング層がアモルファスカーボンマスクの上部に配置される。パターンフォトレジスト層が反射防止コーティングの上部に配置される。
図9における層のスタックは、3D NANDゲートに使用されるものと同様の層を反映するものである。
図10では、厚いSiO層がシリコンウエハ基板の上部に配置される。アモルファスカーボンマスク層が厚いSiO層の上部に配置される。反射防止コーティング層がアモルファスカーボンマスクの上部に配置される。パターンフォトレジスト層が反射防止コーティングの上部に配置される。
図10における層のスタックは、DRAMゲートに使用されるものと同様の層を反映するものである。本開示のエッチングガスは、アモルファスカーボンマスク、反射防止コーティング又はフォトレジスト層よりも、ケイ素含有層(すなわち、SiO、SiN、ポリSi)を選択的にエッチングする。それらの層は、同じ又は異なる反応チャンバ内で他のエッチングガスによって除去することができる。当業者であれば、例示的な目的でのみ、
図9及び
図10における層のスタックが提示されることを認識するであろう。
【0046】
本開示のエッチングガスを、基板及びケイ素含有層を入れたプラズマ反応チャンバ内に導入する。およそ0.1sccm〜およそ1slmの範囲をとる流量でガスをチャンバに導入することができる。例えば、200mmのウエハサイズでは、およそ5sccm〜およそ50sccmの範囲をとる流量でガスをチャンバに導入することができる。代替的に、450mmのウエハサイズでは、およそ25sccm〜およそ250sccmの範囲をとる流量でガスをチャンバに導入することができる。当業者であれば、ツールによって流量が異なることを認識するであろう。
【0047】
プラズマを維持するために、不活性ガスもプラズマ反応チャンバに導入する。不活性ガスは、He、Ar、Xe、Kr、Ne又はそれらの組合せとすることができる。エッチングガス及び不活性ガスは、チャンバに導入する前に混合してもよく、不活性ガスは得られる混合物のおよそ50%v/v〜およそ95%v/vを構成する。代替的には、エッチングガスを断続的にチャンバに導入する一方、不活性ガスをチャンバに連続的に導入してもよい。
【0048】
本開示のエッチングガス及び不活性ガスはプラズマによって活性化されて、活性化エッチングガスを発生させる。プラズマがエッチングガスをラジカル形態(すなわち、活性化エッチングガス)へと分解する。プラズマは、RF電力又はDC電力を印加することによ
って発生し得る。プラズマは約25W〜約10000Wの範囲をとるRF電力で発生し得る。プラズマはリアクタ自体の内部で発生するか又は存在し得る。プラズマは、RFを両電極に印加してデュアルCCP又はICPモードで発生し得る。プラズマのRF周波数は200KHz〜1GHzの範囲をとることができる。異なる周波数の種々のRF源を、同じ電極で連結して利用することができる。また、プラズマRFパルス化を使用して、基板における分子フラグメンテーション及び反応を制御することができる。当業者であれば、かかるプラズマ処理に適する方法及び装置を認識するであろう。
【0049】
四重極型質量分析計(QMS)、発光分光分析装置、FTIR、又は他のラジカル/イオン測定器によって活性化エッチングガスを測定して、生成される化学種のタイプ及び数を求めることができる。必要であれば、エッチングガス及び/又は不活性ガスの流量を調節して、生成されるラジカル種の数を増大又は減少させることができる。
【0050】
本開示のエッチングガスは、プラズマ反応チャンバ内への導入前に、又はプラズマ反応チャンバ内部で他のガスと混合してもよい。好ましくは、ガスは、投入するガスの均一な濃度を提供するためにチャンバへの導入前に混合することができる。2つ以上のガスが反応する場合等の別の代替形態では、他のガスとは独立してエッチングガスをチャンバ内に導入することができる。別の代替形態では、エッチングガス及び不活性ガスが、エッチングプロセス中に使用される唯2つのガスである。
【0051】
例示的な他のガスとしては、限定するものではないが、O
2、O
3、CO、CO
2、NO、N
2O、NO
2及びそれらの組合せ等の酸化剤が挙げられる。本開示のエッチングガス及び酸化剤は、プラズマ反応チャンバ内への導入前に互いに混合することができる。代替的に、酸化剤はチャンバ内に連続的に導入することができ、エッチングガスはチャンバ内に断続的に導入することができる。酸化剤は、チャンバ内に導入される混合物のおよそ5%v/v〜およそ100%v/vを構成することができる(100%v/vは、連続的な導入の代替に対する純粋な酸化剤の導入を表す)。
【0052】
エッチングガスを混合させ得る他の例示的なガスとしては、cC
4F
8、C
4F
6、CF
4、CHF
3、CF
3H、CH
2F
2、COS、CS
2、CF
3I、C
2F
3I、C
2F
5I及びSO
2等の付加的なエッチングガスが挙げられる。エッチングガス及び付加的なガスの蒸気を、プラズマ反応チャンバへの導入前に混合してもよい。付加的なエッチングガスは、チャンバ内に導入される混合物のおよそ1%v/v〜およそ99.9%v/vを構成することができる。
【0053】
Si含有層及び活性化エッチングガスは反応して、プラズマ反応チャンバから除去される揮発性副産物を形成する。アモルファスカーボンマスク、反射防止コーティング及びフォトレジスト層は活性化エッチングガスとあまり反応しない。
【0054】
プラズマ反応チャンバ内部の温度及び圧力は、ケイ素含有層が活性化エッチングガスと反応するのに適切な条件で保持される。例えば、チャンバ内の圧力は、エッチングパラメータの要求に応じて、およそ0.1mTorr〜およそ1000Torr、好ましくはおよそ1mTorr〜およそ10Torr、より好ましくはおよそ10mTorr〜およそ1Torr、より好ましくはおよそ10mTorr〜およそ100mTorrに保持することができる。同様に、チャンバ内の基板温度はおよそ−196℃〜およそ500℃、好ましくは−120℃〜およそ300℃、より好ましくは−10℃〜およそ40℃の範囲をとることができる。チャンバ壁温度は、プロセス要件に応じておよそ−196℃〜およそ300℃の範囲をとることができる。
【0055】
Si含有層と活性化エッチングガスとの間の反応は、基板からのSi含有層の異方性除
去をもたらす。また、窒素、酸素及び/又は炭素の原子がSi含有層中に存在していてもよい。除去は、プラズマイオンによる(プラズマによって促進される)Si含有層の物理スパッタリングに起因するか、及び/又はプラズマ種の化学反応によりSiをSiF
x(式中、xは1〜4の範囲をとる)等の揮発性種へと変換させることによるものである。
【0056】
活性化エッチングガスは好ましくは、マスクに対して高い選択性を示し、SiOとSiNとの交互層を通じてエッチングする結果、湾曲のない垂直エッチングプロファイルをもたらす。これは3D NAND用途に重要なものである。DRAM及び2D NAND等の他の用途では、例えば、プラズマ活性化エッチングガスが、SiNからSiOを選択的にエッチングすることができる。プラズマ活性化エッチングガスは好ましくは、アモルファスカーボン、フォトレジスト、ポリシリコン若しくは炭化ケイ素等のマスク層から、又はCu等の金属コンタクト層から、又はSiGeからなるチャンネル領域若しくはポリシリコン領域から、SiO及び/又はSiNを選択的にエッチングする。
【0057】
本開示のエッチングガスを使用する本開示のエッチングプロセスは、Si含有層に、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等を作製する。得られる開口部は、およそ10:1〜およそ100:1の範囲をとるアスペクト比、及びおよそ40nm〜およそ50nmの範囲をとる直径を有することができる。例えば、当業者であれば、チャンネルホールエッチングが、Si含有層に、60:1より大きいアスペクト比を有する開口部を作製することを認識するであろう。
【0058】
1つの非限定的で例示的なプラズマエッチングプロセスでは、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを、ガス流制御装置(controlled gas flow device)を用いた200mmのデュアルCCPプラズマエッチングツールに導入する。ガス流制御装置はマスフローコントローラとすることができる。高沸点分子の場合、Brooks
Automation(番号GF120XSD)、MKS Instruments等からの特別な低圧損型マスフローコントローラを使用することができる。プラズマ反応チャンバの圧力はおよそ30mTorrに設定する。この化合物の蒸気圧が25℃でおよそ1340Torrであるため、ガス源の加熱は必要ない。2つのCCP電極間の距離は1.35cmで維持され、上部電極RF電力は750Wに固定される。下部電極RF電力は、分子の性能を分析するために変更される。プラズマ反応チャンバは、
図9に示されるものと同様の、24対のSiO及びSiN層を上に有する基板を含有する。このプロセス前に、フルオロカーボン及び酸素含有ガスによってARC層を除去し、酸素含有ガスによってAPF層を除去する。アルゴンは独立して、250sccmの流量でチャンバ内に導入される。trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンは独立して、15sccmでチャンバ内に導入される。O
2は独立して、最適なエッチング条件を求めるように0sccm〜20sccmでチャンバ内に導入される。30:1以上のアスペクト比を有する開口部が作製され、これは垂直NANDにおけるチャンネルホールとして使用することができる。
【0059】
別の非限定的で例示的なプラズマエッチングプロセスでは、ヘキサフルオロイソブテンを、ガス流制御装置を用いた200mmのデュアルCCPプラズマエッチングツール内に導入する。ガス流制御装置はマスフローコントローラとすることができる。高沸点分子の場合、Brooks Automation(番号GF120XSD)、MKS Instruments等からの特別な低圧損型マスフローコントローラを使用することができる。プラズマ反応チャンバの圧力はおよそ30mTorrに設定する。この化合物の蒸気圧が20℃でおよそ900Torrであるため、ガス源の加熱は必要ない。2つのCCP電極間の距離は1.35cmで維持され、上部電極RF電力は750Wに固定される。下部電極RF電力は、分子の性能を分析するために変更される。プラズマ反応チャンバは、
図10に示される層と同様の、厚いSiO層を上に有する基板を含有する。このプロセス前に、フルオロカーボン及び酸素含有ガスによってARC層を除去し、酸素含有ガスによってAPF層を除去する。アルゴン
は独立して、250sccmの流量でチャンバ内に導入される。ヘキサフルオロイソブテンは独立して15sccmでチャンバ内に導入される。O
2は独立して、最適なエッチング条件を求めるように0sccm〜20sccmでチャンバ内に導入される。10:1以上のアスペクト比を有する開口部が作製され、これはDRAMにおけるコンタクトホールとして使用することができる。
【実施例】
【0060】
本発明の実施形態を更に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。しかしながら、実施例は、包括的なものであると意図されるものではなく、本明細書中に記載される本発明の範囲を限定するように意図されるものでもない。
【0061】
以下の試験は、SAMCO10−NR反応性イオンエッチング装置(RIE)又はLam4520XLE(商標)新型誘電体エッチングシステム(200mmの2周波容量結合プラズマ(CCP)イオンエッチング)を用いて実施した。
【0062】
<実施例1>
C
4F
6及び環状C
4F
8を四重極型質量分析計(QMS)内に直接注入し、10eV〜100eVでデータを回収した。結果を
図11及び
図12に示す。C
4F
6に由来のフラグメントは、C
4F
8に由来のフラグメントよりも低いF:C比を有し、これによって、より速いポリマー堆積速度がもたらされ、選択性を改良することができる。
【0063】
ポリマーは、RIEプラズマ反応チャンバ内に、1sccmのアルゴンとともに30sccmで導入することによって堆積した。チャンバ内の圧力は5Paに設定した。プラズマは300Wに設定した。cC
4F
8によるポリマーは100nm/分で堆積し、0.90のF:C比を示した。C
4F
6によるポリマーは280nm/分で堆積し、0.76のF:C比を示した。C
4F
6はより速い堆積速度を示し、得られる薄膜はポリマーにおいてより小さいF:C比を示すため、架橋の増大を示すことができる。
【0064】
<実施例2>
ポリマーは、環状C
4F
6H
2及び環状C
4F
5H
3により、実施例1と同じ条件(すなわち、30sccmのエッチングガス、1sccmのAr、5Pa及び300W)で堆積した。環状C
4F
6H
2及び環状C
4F
5H
3は環状C
4F
8に類似するが、2個又は3個のF原子をHと置き換わっている。環状C
4F
6H
2によるポリマーは150nm/分で堆積し、0.59のF:C比を示した。環状C
4F
5H
3によるポリマーは200nm/分で堆積し、0.50のF:C比を示した。環状ブタン分子上の水素含有率を増大させると、ポリマー堆積速度の増大、及び得られるポリマーにおけるF:C比の減少がもたらされた。
【0065】
<実施例3>
同じ化学量論組成(すなわち、C
4F
6H
2)を有する2つの分子を、四重極型質量分析計(QMS)に直接注入し、10eV〜100eVでデータを回収した。trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(CAS番号66711−86−2)に関する結果を
図13に示す。ヘキサフルオロイソブテン(CAS番号382−10−5)に関する結果を
図14に示す。エネルギーが高いほど、trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンよりもヘキサフルオロイソブテンから生成されるCF
3フラグメントが増大し、かつC
3F
3H
2フラグメントが減少した。C
4F
6に由来のフラグメントは、C
4F
8のフラグメントよりも小さいF:C比を有し、これによって、より速いポリマー堆積速度がもたらされ、選択性を改良することができる。
【0066】
ポリマーは、C
4F
6H
2化合物の両方により、実施例1と同じ条件(すなわち、30
sccmのエッチングガス、1sccmのAr、5Pa及び300W)で堆積した。trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンによるポリマーは250nm/分で堆積し、0.53のF:C比を示した。環状ヘキサフルオロイソブテンによるポリマーは220nm/分で堆積し、0.53のF:C比を示した。
【0067】
<実施例4>
以下の表は複数のエッチングガスについての試験結果をまとめたものである。
【0068】
【表1】
【0069】
これらの結果に基づき、最低ポリマー堆積速度から、得られるポリマー(cC
4F
8及びC
4F
8)における最高F:C比が示された。二重結合を有する4つの分子(すなわち、2行〜5行)間のポリマー堆積速度(nm/分単位)の大きな差異は、二重結合の包含が重合を排他的に制御しないことを示している。代わりに、堆積速度はより密接にフラグメンテーションに従うものであった。言い換えれば、フラグメントを生成する分子が高いF:C比を有するほど、ポリマー堆積速度は低減した。
【0070】
<実施例5>
SiO
2エッチング速度に対するHの増大の効果を分析した。trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンに関する、酸素流(sccm単位)に対するSiO
2エッチング速度のグラフを
図15に示す。cC
4F
5H
3に関する、酸素流に対するSiO
2エッチング速度グラフを
図16に示す。1つのFをHで置き換えると、より速い酸素流量及びより狭いプロセスウィンドウが得られた。
【0071】
アモルファスカーボン(a−C)、フォトレジスト(PR)及び窒化物に対する、酸化物選択性に対するHの増大の効果も分析した。trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンに関する、酸素流に対する選択性のグラフを
図17に示す。cC
4F
5H
3に関する、酸素流に対する選択性のグラフを
図18に示す。
図17及び
図18中の分子流量は、
図15及び
図16のものと同じである(すなわち、左側の四角形のデータは5sccmのエッチングガス流量であり、左から2番目のダイアモンド型のデータは10sccmであり、右から2番目の三角形のデータは15sccmであり、右側の円形のデータは20sccmである)。
図17及び
図18では、中実符号(solids symbols)が酸化ケイ素/フォトレジスト選択性を表し、中空符号(hollow symbols)が酸化ケイ素/窒化ケイ素選択性を表し、影のついた符号が酸化ケイ素/アモルファスカーボン選択性を表している。
【0072】
<実施例6>
以下の表は複数のエッチングガスについての試験結果をまとめたものである。
【0073】
【表2】
【0074】
同様のSiO
2エッチング速度条件(ER 40nm/分〜50nm/分)で分子を比較した。エッチングガス及び酸素流量は、エッチング速度範囲内において最良の選択性について選択した。他のプラズマ条件は固定した(すなわち、Ar=150sccm、300W、5Pa)。PR、a−C及びNの列は、SiO
2と、フォトレジスト(PR)、アモルファスカーボン(a−C)及び窒化ケイ素(N)との間の選択性を示している。これらの結果、とりわけcC
4F
8、23102−94−4(trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン)及び2253−02−3(1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン)についての結果に基づき、Hが増大すると、マスク選択性も増大した。加えて、66711−86−2(trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン)及び382−10−5(ヘキサフルオロイソブテン)は同じ化学量論組成(すなわちC
4F
6H
2)を有するにもかかわらず、異なる構造によって著しく異なる結果が得られた。
【0075】
<実施例7>
DRAMパターンスタックの一部をエッチングする場合のH含有率の増大の効果を分析した。DRAMパターン化スタックの一部は、反射防止コーティング層(ARC29a−0.8kÅ)上、酸窒化ケイ素層(1.0kÅ)上、アモルファスカーボン層(3.5kÅ)上、4ミクロンSiO
2基板(Silox)上に、P6100パターン(2.9kÅ)からなるものとした。アルゴンは150sccmで導入した。チャンバは5Paで維持した。SAMCO RIEは300Wに設定した。15sccmのcC
4F
8を使用するとともに酸素を使用しなかった10分のエッチングの結果の走査型電子顕微鏡写真を
図19に提示する。15sccmのcC
4F
6H
2及び12sccmの酸素を使用した10分のエッチングの結果の走査型電子顕微鏡写真を
図20に提示する。15sccmのcC
4F
5H
3及び22sccmの酸素を使用した10分のエッチングの結果の走査型電子顕微鏡写真を
図21に提示する。図面に見られるように、Hを増大させると、テーパープロファイルが促され、エッチング速度の損失(590nm?380nm?270nm)がもたらされる。H含有率を増大させると、狭いトレンチが維持される。
図21中の110nmのトレンチがエッチング前に存在したのに対し、トレンチは、cC
4F
6H
2により270nmに、及びcC
4F
8により260nmに広がった。
【0076】
<実施例8>
図22は、H置換、二重結合、及びC
4F
8分子へのOの付加の効果を示すフローチャ
ートである。C
4F
8を
図22の左上の角に示す。SiOとマスクとの間の選択性の上昇、及びポリマー堆積速度の増大は、2個又は3個のF原子を水素原子と置き換える(上段に沿って左から右へ移行する)場合に見られる。しかしながら、H分子が増大すると、O
2の希釈化も高める必要がある。ポリマー堆積速度が上がっても、2個のF原子を二重結合で置き換える(すなわち、分子を飽和状態から不飽和状態に変化させる)(一段目の中央から二段目の右側へと移行する)場合には、同様の選択性及びO
2希釈化要件が見られる。酸素の付加によって、選択性は芳しくなく、ポリマーも堆積しなくなる(頁の左側の列を下方へと移行する)。選択性及びポリマー堆積速度の上昇は、狭いプロセスウィンドウではあるが、酸素含有分子上でフッ素原子を水素原子で置き換える場合(頁の左側最下段)に見られる。
【0077】
<実施例9>
堆積速度及びエッチング速度を、環状C
4F
8(オクタフルオロシクロブタン)、C
4F
6(ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン)、及び線形C
4F
6H
2(CAS66711−86−2)について測定した。
【0078】
Lamエッチングシステムの電源すなわちRF電力は750Wに設定し、バイアス電源を1500Wに設定した。圧力は30mTorrに設定した。プレート間の距離は1.35cmに設定した。酸素は15sccmの流量で導入した。アルゴンは250sccmの流量で導入した。各エッチングガスは15sccmで導入した。結果を以下の表に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
66711−86−2(trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン)は、同様の酸化ケイ素エッチング速度とともに、従来のcC
4F
8よりも、酸化ケイ素とアモルファスカーボンとの間のより良好な選択性を有する。66711−86−2はまたcC
4F
8よりも速い堆積速度を有する。
【0081】
<実施例10>
1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンを使用した、SiO
2、SiN、p−Si(ポリシリコン)及びa−C(アモルファスカーボン)のエッチング速度を測定した。
【0082】
Lamエッチングシステムの電源すなわちRF電力は750Wに設定し、バイアス電源は1500Wに設定した。圧力は30mTorrに設定した。プレート間の距離は1.35cmに設定した。酸素は15sccmの流量で導入した。アルゴンは250sccmの流量で導入した。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンは15sccmの流量で導入した。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンは550nm/minの速度でSiO
2層をエッチングした。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンは150nm/minの速度でSiN層をエッチングした。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンは50nm/minの速度で
p−Si層をエッチングした。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンは75nm/minの速度でa−c層をエッチングした。1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテンはSiO
2とp−Siとa−cとの間で良好な選択性を示す。
【0083】
本発明の実施形態を示し、記載しているが、それらの修正は、本発明の精神又は教示から逸脱することなく当業者が行うことができる。本明細書中に記載される実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではない。組成物及び方法の多くの変形及び修正が可能であり、本発明の範囲内である。それ故、保護範囲は本明細書中に記載される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、その範囲は、特許請求の範囲の主題のあらゆる均等物を含むものとする。
【国際調査報告】