(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-533113(P2015-533113A)
(43)【公表日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】自動車のガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20151023BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20151023BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
C03C27/12 R
B60J1/00 H
C03C21/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-527837(P2015-527837)
(86)(22)【出願日】2013年8月5日
(85)【翻訳文提出日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2013066389
(87)【国際公開番号】WO2014029605
(87)【国際公開日】20140227
(31)【優先権主張番号】2012/0554
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】BE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ルグラン, ドゥニ
【テーマコード(参考)】
4G059
4G061
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC16
4G059HB02
4G059HB14
4G061AA02
4G061AA14
4G061BA02
4G061CB05
4G061CD19
(57)【要約】
本発明は、凸状の外側強化ガラス板と、同様に強化された薄い内側ガラス板とを含む、自動車の合わせガラスに関し、前記ガラス板は、熱可塑性プラスチックの中間材料のシートを使用して一緒に組み立てられる。前記ガラスは、機械的な取り付けおよび/または可動化手段を収容し、かつ前記ガラスの外側ガラス板の一部分は、薄い内側ガラス板によって覆われておらず、ガラスの取り付けは、薄いシートによって覆われていない領域において行われる。
【選択図】
図1a−1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲しかつ強化された外側ガラス板と、同様に強化された薄い内側シートとを含み、これらのガラス板とシートは、熱可塑性プラスチック製の中間層シートによって接合されている自動車の合わせガラスユニットであって、前記ガラスユニットは、機械的な移動および/または締結手段を収容することを意図しており、前記ガラスユニットでは、前記外側シートの一部分が前記薄い内側シートによって覆われておらず、前記ガラスユニットは、前記薄いシートによって覆われていないゾーンにおいて締結されている、ガラスユニット。
【請求項2】
前記外側シート対前記薄いシートのそれぞれの厚さの比が少なくとも3/1、好ましくは少なくとも4/1である、請求項1に記載のガラスユニット。
【請求項3】
前記外側シートの厚さが5mm以下である、請求項1または2に記載のガラスユニット。
【請求項4】
前記薄いシートの厚さが0.8mm以下であり、好ましくは0.6mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項5】
前記薄いガラス板の厚さが0.2mm以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項6】
前記薄いガラス板が、前記湾曲した外側ガラス板に接合される前は、著しい曲率を有しない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項7】
前記薄いガラス板が化学的に強化されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項8】
前記薄いガラス板が、前記中間層の方に向いたその面上で、熱を持たない特性をもたらす1組の機能層によって被覆されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項9】
前記シートが重ならない部分が、前記外側シートの領域の20%以下、好ましくはこの領域の10%以下に相当する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項10】
前記シートが重ならない前記部分が、前記外側シートの領域の少なくとも0.5%、好ましくはこの領域の少なくとも1%に相当する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項11】
前記外側ガラス板が、非積層部分において、前記ガラスユニットを締結する/移動させるための手段を収容することを意図した1つ以上の孔を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項12】
可動サイドウィンドウを形成する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【請求項13】
前記ガラスユニットが機械加工されていることを必要とする、追加的な要素のための担体としての機能を果たす、請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の積層ガラスユニットすなわち合わせガラスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のガラスユニットは、継続的に、より要求が厳しく、かつ妥協が困難であることが多い条件にさらされる。これは、特に、車両に嵌め込まれる箇所ゆえに、特定の機械的応力に曝され得るガラスユニットの場合である。例として、例えばある種のカブリオレでは、周囲のフレームに係合されていない、サイドドアのウィンドウは、損傷されることなく、例えばドアが勢いよく閉められるときに経験するような、かなりの応力に耐えることができる必要がある。
【0003】
サイドウィンドウは、従来、比較的厚いモノリシックガラス板すなわちモノリシックガラスシートからなる。しかしながら、最先端のモデルに関しては、製造者は、得られる最良の特性を有するガラスユニットを提供したい。これらは、特に、侵入防止(anti−intrusion)品質、音響減衰品質、および熱を持たない特性などを有するガラスユニットである。実際、そのようなガラスユニットを得るために、積層品を使用する必要がある。
【0004】
さらに、本発明に従って想定された場合に必要とされる機械的強度は、これらの合わせガラスユニットが、強化ガラスと同様の強度を有する必要があることを意味する。
【0005】
サイドドアのウィンドウが可動であることは非常に一般的なことであり、かつ、それらウィンドウは、ドアに隠されているそれらウィンドウの底部に締結された機械的部分によって動かされる必要がある。
【0006】
モノリシックシートは、ガラスユニットの下縁をまたいでいるU型ブラケットを接着接合することによって、締結され得る。これらのU型ブラケットは、任意選択的に接着接合されるが、ほとんどの場合、装置によって締結され、このためには、ガラス板すなわちガラスシートに機械加工する、特にドリルで孔あけを行うことを必要とし、それら孔は、ナット、リベットなどを通過させることができ、それにより、特に強固な組み立てを保証する。合わせガラスユニットの場合には、これら締結モードは、ガラスユニットに最初に加えられる圧力が中間層シートの材料を変形させてしまい、このことが、時間が経つにつれてこの締結を最終的に緩めてしまう限りにおいて、望ましくない。
【0007】
サイドウィンドウは別として、ガラスユニットに追加的な要素、例えばリヤウィンドウのワイパーシステムを締結することは、同様の性質の問題を引き起こす。システムは、固定して取り付けられる必要があり、かつ通過位置、例えばシステムの軸において、高い圧力がガラスユニットに加えられる。
【0008】
非強化(untempered)ガラス板は、破壊リスクを全く伴わずに、そのような取り付けを可能にするために必要な機械加工を受け得る;それらは、特に、ドリルで孔をあけられ得る。対照的に、強化ガラス板を機械加工することは可能ではない。ガラスユニットがモノリシックであるとき、これらの取り付けを目的とした機械加工は、強化前に、実施される。この強化は、いずれかの曲げ作業の直後に実施される。曲げられる/強化される前に機械加工された2枚の強化ガラス板を関連付けることは、機械加工した部分が完全には重ならないため、問題を引き起こす。ガラス板それぞれの孔の軸は、完璧に位置合わせされる必要があり、これは現実的には、既に曲げられたガラス板では不可能である。軸は、必然的にわずかにずれて、ガラス板を困難にさらし、アセンブリを弱め得る。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、請求項1の主題を形成する方法で、これらの困難への対応を提案する。
【0010】
それらの構成によって、本発明によるガラスユニットは、合わせガラスユニットの利点をもたらす一方で、特に、強化されたモノリシックガラスユニットの必要な機械的強度を保証し得る。
【0011】
アセンブリの2枚のガラス板は、それらの構造が非常に異なる。湾曲した外側シートは十分に厚いため、薄い内側シートに接合されたとき、内側シートに外側シートの形状を押し付ける。外側シートは、必要な強度をもたらすために、強化または半強化されている。強化ガラスは、標準的な条件下で、約60MPaの瞬間的な曲げ強度を有する;半強化ガラスの瞬間的な曲げ強度は約40MPaにすぎない。
【0012】
湾曲したガラス板を、著しく湾曲していないすなわちその曲率が著しくないガラス板に接合することには、特にそれらそれぞれの特性、初めにそれらの厚さに依存する条件が与えられる。「軽量」の合わせガラスユニットの場合、これらの条件は、特に、2012年6月18日出願の特許出願PCT/EP2012/061557号明細書(本書に参照として援用される)に詳述されている。ガラスユニットが軽量のガラスユニットであるか否かに関わらず、これらの条件をさらに下記で詳述する。
【0013】
接合されたシートの曲率が著しい場合、湾曲したシートの厚さ対湾曲していないシートの厚さの比は、好ましくは少なくとも3/1、有利には少なくとも4/1である必要がある。この比に上限はないが、それにもかかわらず、ガラスユニットの全体的な厚さ、およびシートのそれぞれの厚さに関する実際条件は、実際には12/1以下の比を生じる。
【0014】
厚さの比は、有利には、組み立て前は本質的に平坦である薄いシートに課される曲率半径が減少するにつれて、増加する。これは、例えば、曲率半径が3m未満である場合であり、とりわけ、1.5m未満である場合である。
【0015】
上述のPCT特許出願は、特に、厚みのあるシートに接合されるときに薄いシートに引き起こされた表面応力が、概して、約50MPa以下である必要があることを述べている。耐えられた応力は曲率に依存し、かつ曲率半径が減少するにつれて、増加する。問題の適用例は、例として、この曲率半径に依存して、異なる厚さに引き起こされる応力を与える。
【0016】
製造者がガラスユニットの重量を削減することを求めていないモデルに関しては、本発明による厚みのあるシートの厚さは、5mmと同程度、またはそれを超えるとし得る。対照的に、重量に制限があることが望ましいガラスユニットに関しては、強化シートの厚さは、好ましくは、2.4mm以下、有利には2.1mm以下である。
【0017】
薄いシートに関しては、その厚さの選択は、厚みのあるシートの曲率に適合するその能力によって、条件づけられる。その厚さが薄いほど、それに対しこの変形を課すことが容易になる。このシートの厚さは、有利には、最大で0.8mm、好ましくは最大で0.6mmである。0.1mmと同程度の薄さのシートを作製することが可能であり、それにもかかわらず、実装を容易にするために、シートが、少なくとも0.2mmの厚さを有することが好ましい。
【0018】
厚さが非常に薄いガラス板を付形することは繊細なプロセスであり、および再現性に関連する問題を引き起こす。合わせガラスユニットの最終的な曲率が、厚みのあるシートによって課されるものである限りにおいて、薄いシートがその組み立て前に曲率を有することは、必要でも有利でもない。
【0019】
少なくとも薄いシートに関し、耐えることができる応力を超えるというリスクを冒さずに、特に、組み立てプロセスによって必要とされる曲げに耐えることができるようにする機械的強度をシートに与えるために、これらの応力の閾値は、有利には、これらのシートを強化することによって、上昇される。
【0020】
ガラス板は、ほとんどの場合、特にコスト上の理由から熱的に強化され、生産プロセスにおいて達する温度を利用する。熱的な強化は、シートの面を急速に冷却することによって、室温の空気をシートの面に吹き込むことによって、得られる。シートの表面は最初に冷えるが、その大部分はよりゆっくりと冷える。この作業は、この作業の実施条件に依存して、厚みのあるシートに強化または半強化状態をもたらす。
【0021】
非常に薄いシートに関し、強制冷却中の表面と中心部との間の温度勾配は、求められている応力レベルを達成するために十分な急勾配ではないことが多い。上記した理由のために、薄いシートは、好ましくは化学的に強化されている。このタイプの強化は、厚さの薄いシートでも、求められている応力を得ることができるようにする。化学的な強化は、このタイプの処理に対する従来の条件下で、特にシートの表面上でナトリウムイオンをカリウムイオンと交換することによって、実施される。
【0022】
本発明による配置構成により、厚みのあるシートのみが締結されかつ任意選択的に機械加工され、かつこの配置構成は、積層および薄いシートの存在に起因する困難を防止する。ガラスユニットは、その非積層部分においてモノリシックガラスユニットのように動き、および他の箇所は、合わせガラスユニットによって得られ得る全ての機能性を保持する。
【0023】
2枚のシートが厳密に同延ではない合わせガラスユニットについては、既に説明されている。これは、例えば、欧州特許第1171294号明細書の場合であり、これは、積層部分に組み込まれた一連の太陽電池を含むガラスルーフに関し、ルーフは、さらに、電池のないモノリシック部分を含む。この場合、積層部分が存在する目的は、これらの機能要素を、それらを保護する構造に組み込むことである。ガラスユニットの一部分のみを被覆するシートは、特定の厚さを有しない。さらに、この従来の実施形態では、その非積層部分における外側シートは、ガラスユニットを締結することを意図していない。このルーフのガラスユニットは、通例、積層されている部分、または積層されていない部分のいずれかを介して、接着接合によって車体に締結される。
【0024】
ガラス板のうちの一方の縁部が他方のシートの縁部からわずかに後退されている、積層されたアセンブリについても、従来技術から知られている。この配置構成は、例えば、非被覆端部を使用するシートを介してガラスユニットを接着接合することを想定するときに、用いられる。先の場合にあるように、説明した配置構成は、本発明の条件下で組み立てられたシートの使用を含まない。
【0025】
本発明によるガラスユニットの部分的に積層された構造は、ガラスユニットを締結できるようにする。これは、この締結が、例えば機械的手段と相互作用するための孔をユニットに機械加工することを必要とする場合にも当てはまる。この非積層部分のサイズは、ガラスユニットの全領域に対して比較的限定され得る。この部分が、厚みのあるシートを締結する手段を生じるために実際に必要なものよりもさらに延在することは、必要ではなく、または望ましくもない。実際、非積層部分は、好ましくは、厚みのあるシートの領域の20%以下に相当し、特に好ましくは、この領域の10%以下に相当する。
【0026】
それにもかかわらず、ガラスユニットの締結手段を好適に配置できるようにするために、非積層領域は、一定のサイズである。好ましくは、最大のシートの領域の少なくとも0.5%であり、および多くの場合、この領域の少なくとも1%である。
【0027】
いくつかの点では、シートをそれらの中間層に接合するために使用される熱処理以外は受けないシートが、本発明によるガラスユニットに存在することは、追加的な機能性をもたらす手段を挿入することを容易にする。これは、特に、高温に敏感な手段の場合である。組み立て作業は従来の方法で実施され、および達した温度は、中間層シートを接着接合できるようにするために必要な温度以下である。これらの温度は、通常、約120〜130℃であり、かつ通常、150℃以下である。
【0028】
これらの条件下では、薄いシートを、特に熱に敏感な薄層の担体として使用することが可能である。これは、例えば、IRを反射する金属層を含む低放射層の場合である。問題の層は、真空陰極スパッタリングによって堆積される。これらのプロセスの実施では、シートが、堆積中にそれ自体の平面性を保証できない程薄い場合、このシートを、より厚みのあるシートの上に配置してもよく、この厚みのあるシートの唯一の機能は、薄いシートを支持することである。
【0029】
曲げ/強化すなわち焼き入れ処理などの熱処理においては、約650〜700℃もの高さの温度に達する。これらの温度において、金属層、特に銀をベースとする層は、時に生産することが困難である特定のシステムによって、保護される必要がある。問題の層を、先に曲げたガラス板に適用することによって、特にそのようなコーティングの均一性に関する他の問題を引き起こし、一般的に、これらの層を平坦なシートに適用するために好ましく、それゆえ、これらの層に、ガラス板を付形するために適用される熱的条件を与える。しかしながら、そのような処理は、層の特性を実質的に変える可能性があり、およびそのような変化を防止するために、層の前記システムは、非常に特有の構造を有する必要がある。対照的に、これらの処理を受けない本発明によるシートに、比較的熱の影響を受けやすい層を適用することは、これらの層のいずれの変化も防止する。
【0030】
実際、このタイプの層を使用することが望ましい場合、どちらの解決法も可能である。層は、厚みのあるシート(またはより正確には、積層される、すなわち中間層と接触する後者の部分)上にあり、かつこの場合、曲げ/強化作業にさらされるか、あるいはこれらの層は、中間層と接触する薄いシートの面上にあるかのいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
【
図1a-1b】
図1aは、本発明によるガラスユニットの概略的な前面図である。
図1bは、
図1aのガラスユニットのA−Aに沿った断面の側面図である。
【
図2】ガラスユニットを締結する手段の位置決めを示す、本発明によるガラスユニットの部分の部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1aは、車体に配置されたレールでまたはレール上を摺動することを意図した可動サイドウィンドウ1を示す。その運動では、ガラスユニットは、下げられると、例えば車両のドア内に引っ込む。ガラスユニットは、必要な場合には、ドアに組み込まれたレールによってのみ案内され得る。特に、これらの「フレームレス」ガラスユニットに関し、このユニットの機械的強度を正しく確認する必要がある。完全に上昇した位置では、ガラスユニットの底部は、例えば点線b−bで表わすレベルまで、前記ドアによって覆われたままである。
【0034】
図1bに示すように、ガラスユニットは、強化または半強化ガラスで作製された外側シート3を含む。このシートは、ガラスユニットの他の構成部品に接合される前に、曲げられる。第2のガラス板すなわちガラスシート10は、熱可塑性プラスチック製の中間層シート6によってシート3に関連付けられる。熱可塑性プラスチックは、従来この目的のために使用される。熱可塑性プラスチックシートは、例えばポリビニルブチラール(PVB)のシートである。シートすなわちガラス板10は、シート3に接合されているため、湾曲している。シート10は、接合前、実質的に平面的である。組み立て作業によって生じた変形は、中間層シートを2枚のガラス板に強固に接着させることによって、およびシート10と比べて比較的厚みがあるシート3の強度によって、維持される。
【0035】
「軽量」のガラスユニットの場合には、シートのそれぞれの厚さは、シート3では例えば2.1mm、およびシート10では0.4mmである。中間層シートは、標準的な厚さ(例えば0.76mmまたは0.38mm)のPVB製とし得る。しかしながら、同様のまたはより薄い厚さの他の従来の中間層(特にEVA中間層)も、使用可能である。
【0036】
それゆえ、このガラスユニットのガラスの全体的な厚さは、2.5mmである。従来のモノリシックサイドウィンドウの厚さは、約4mmであり、または最も薄いもので約3.2mmである。それゆえ、本発明によるガラスユニットの積層部分は、従来のモノリシックガラスユニットよりも比較的軽量である。
【0037】
図面に示すように、積層は、ガラスユニット1を完全に覆ってはいない。薄いシート10およびそれに関連付けられる中間層シートは、シート3の部分4を被覆しないままにする。
【0038】
車体によって隠されておらず、かつ点線b−bの上方に配置されているガラスユニット1の部分は、全体的に積層されている。それゆえ、ガラスユニットが、車両の外部または内部に起因するものかどうかとは無関係に、衝突などの機械的な要因に曝されるこの部分に期待される、全ての特性を保つことを保証する。特に、ガラスユニットは、従来合わせガラスユニットに関連付けられる侵入防止特性または飛び出し防止(anti−ejection)特性を有する。また、ガラスユニットは、前記合わせガラスユニットの音響特性を有し、この特性は、特に、前記ガラスユニットを構成するガラス板の厚さの違いから恩恵を受け、かつ音響減衰を高めるために特定の中間層を使用することによってさらに改善され得る。これらの中間層は、例えば、3層のPVB層で構成されたシートであり、その中心の層は、ガラス板と接触する2層と比べて過剰に可塑化される。
【0039】
車体によって視界から隠されるガラスユニットの部分では、積層は完全ではない。部分4はシート3のみを含む。シート3が締結手段を収容するのはこの部分である。図面に示す図では、シート3は機械加工されている。シートは、シート3を貫通するシリンダー状の孔5を含む。この孔5は、シートが強化される前に形成される。
【0040】
図2は、ガラスユニット1を締結する1つの方法を説明するための図である。ガラスユニットを締結するために使用されるガラスユニットの部分4は、2つのプレート7の間に挟まれており、これらプレートは、締結手段9、図ではリベットによって、ガラス板3に対してクランプされて保持されている。しかしながら、任意の他の類似の手段で十分である。プレート7とガラス板との間のシート8および弾性材料のスリーブ11によって、ガラス3がプレート7の金属と接触しないようにする。
【0041】
選択図面は、単一の貫通孔5を示す。所与の性質の複数の締結点が、ガラスユニット3の部分4に配置され得る。
【0042】
使用される機械加工が単一の貫通孔である場合、任意の均等の手段、例えば盲孔で置き換えることも可能であり、そこに、対応する形状およびサイズのパッドまたはピンを挿入する。このパッドまたはピンは、シート3の底部の下側に配置された手段(図示せず)によってガラスにクランプされたプレートの一体部分によって支えられるかまたはそれを形成する。
【0043】
図2は、プレート7に結合された従来の手段を示しておらず、この手段は、ガラスユニットを動かすための装置に接続される。
【国際調査報告】