特表2015-533905(P2015-533905A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-533905ビニルエステルウレタン樹脂をベースとする樹脂混合物、およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-533905(P2015-533905A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】ビニルエステルウレタン樹脂をベースとする樹脂混合物、およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/67 20060101AFI20151030BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20151030BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
   C08G18/67
   C08F290/06
   C08G18/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-538401(P2015-538401)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(85)【翻訳文提出日】2015年5月26日
(86)【国際出願番号】EP2013072018
(87)【国際公開番号】WO2014064072
(87)【国際公開日】20140501
(31)【優先権主張番号】102012219476.2
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】リートナー, ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
4J034BA06
4J034CA03
4J034CA04
4J034CB01
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC09
4J034CC23
4J034CC29
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4J034CC44
4J034CC54
4J034CC61
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4J127BD451
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4J127BF141
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4J127BG191
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4J127BG271
4J127BG27Y
4J127BG281
4J127BG28X
4J127CB152
4J127CB281
4J127CC182
4J127FA08
4J127FA49
(57)【要約】
ベース樹脂としてビニルエステルウレタン樹脂を含む樹脂混合物であって、ビニルエステルウレタン樹脂が、(i)ジアンヒドロヘキシトール化合物とジイソシアネートとを反応させ、それに続いて(ii)得られた生成物とヒドロキシ置換(メタ)アクリレートとを反応させることによって得ることができる、樹脂混合物が記載されている。ベース樹脂の利点は、が再生可能な資源をベースとする出発化合物から全体的に得ることができることである。前記樹脂混合物は、とりわけ、反応性樹脂組成物のための結合剤として適しており、これによって、化学的固着系を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース樹脂としてビニルエステルウレタン樹脂を含む樹脂混合物であって、前記ビニルエステルウレタン樹脂が、(i)ジアンヒドロヘキシトール化合物とジイソシアネートとを反応させ、次いで、(ii)得られた生成物とヒドロキシ置換(メタ)アクリレートとを反応させることによって得ることができる、樹脂混合物。
【請求項2】
前記ジアンヒドロヘキシトール化合物1モル当たり少なくとも2モルのジイソシアネートを使用する、請求項1に記載の樹脂混合物。
【請求項3】
(i)の反応からの前記生成物1モル当たり少なくとも2モルのヒドロキシ置換(メタ)アクリレートを使用する、請求項1または2に記載の樹脂混合物。
【請求項4】
前記ジアンヒドロヘキシトール化合物が、イソソルビドである、請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂混合物。
【請求項5】
前記ジイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネートである、請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂混合物。
【請求項6】
前記脂肪族ジイソシアネートが、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはデカメチレンジイソシアネートである、請求項5に記載の樹脂混合物。
【請求項7】
前記ヒドロキシ置換(メタ)アクリレートが、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである、請求項1から6のいずれか1項に記載の樹脂混合物。
【請求項8】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである、請求項7に記載の樹脂混合物。
【請求項9】
前記ベース樹脂を調製するための出発化合物が、再生可能な資源から得ることができる、請求項1から8のいずれか1項に記載の樹脂混合物。
【請求項10】
炭素の80%までが、再生可能な資源に由来する、請求項1から9のいずれか1項に記載の樹脂混合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の樹脂混合物、ならびに無機および/または有機凝集物を含有する、反応性樹脂モルタル。
【請求項12】
前記凝集物が、充填剤および添加物から選択される、請求項11に記載の反応性樹脂モルタル。
【請求項13】
前記樹脂混合物が、10〜60重量%の量で得られる、請求項11または12に記載の反応性樹脂モルタル。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載の反応性樹脂モルタル、およびハードナーを含む、2成分反応性樹脂モルタル系。
【請求項15】
前記ハードナーが、硬化剤としてラジカル開始剤、ならびに任意選択で無機および/または有機凝集物を含有する、請求項14に記載の2成分反応性樹脂モルタル系。
【請求項16】
化学的固着のための、請求項11から13のいずれか1項に記載の反応性樹脂モルタルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能な資源をベースとするビニルエステルウレタン樹脂、特に、ベース樹脂としてジアンヒドロヘキシトールをベースとするビニルエステルウレタン樹脂を含む樹脂混合物、この樹脂混合物を含有する反応性樹脂モルタル、および化学的固着のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
結合剤としてラジカル硬化性化合物をベースとする反応性樹脂モルタルの使用は、長い間知られてきた。固着技術の分野において、化学的固着技術のための有機結合剤としての、例えば、プラグ形成化合物としての樹脂混合物の使用は、成功していることが証明されてきた。この場合、これは多成分系として配合される複合材料が関与し、この場合、1つの成分は、樹脂混合物を含有し、他の成分は、硬化剤を含有する。他の通常の構成要素、例えば、反応性溶媒(反応性希釈剤)を含めた溶媒は、1つの成分および/または他の成分中に存在し得る。次いで、2成分が混合されるとき、ハードニング反応、すなわち、重合が、ラジカルの形成によって開始し、樹脂はハードニングしてデュロマーを形成する。特に、化学的固着技術のために使用されることが多いラジカル硬化性化合物は、ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂を含む。
【0003】
モノマーまたはポリマーの芳香族ジイソシアネートおよびヒドロキシ置換メタクリレート、例えば、ヒドロキシアルキルメタクリレートによって得ることができるビニルエステル樹脂、特に、ビニルエステルウレタン樹脂は、これらの有利な特性によってベース樹脂として使用されている。例えば、ベース樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステルウレタン樹脂を含むビニルエステル樹脂を有するプラグ形成化合物が記載されている(例えば、特許文献1参照)。このような系の化合物は、古典的な石油化学をベースとしており、ここでは原料は、化石燃料源、例えば、原油から得られる。
【0004】
化石燃料源、例えば、原油は無尽蔵でなく、最終的に枯渇することは周知である。化石燃料源の入手可能性が減少する場合において、化学的固着系に課される高い必要条件を満足させるのに必須である化合物がもはや得ることができないという危険性が存在する。
【0005】
したがって、将来において高度に特定化された化学的固着系を提供し続けることが可能であるために、再生可能な資源由来の高含量の炭素を有する再生可能な資源をベースとする代替系に対する需要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0713015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現時点において、本発明の目的は、化学的固着技術のための反応性樹脂モルタルであって、前記反応性樹脂モルタルの樹脂成分が、ベース樹脂、および任意選択でさらなる構成物、例えば、再生可能な資源由来の非常に高含量の炭素を有する反応性希釈剤を含む、反応性樹脂モルタルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この工学的な目的は、ベース樹脂としてジアンヒドロヘキシトール化合物をベースとするビニルエステルウレタン樹脂を使用することによって達成される。このアプローチは、ベース樹脂を合成するために、再生可能な資源から十分な量および質で得ることができる出発化合物を使用することが可能であるという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明をよりよく理解するために、本明細書において使用される用語法の下記の説明は、有用であると考えられる。本発明によると、以下の通りである。
−「ベース樹脂」とは、それ自体の重合によって、または試薬、例えば、ハードナー、促進剤など(ベース樹脂中に含まれない)でハードニングする、純粋な化合物、硬化化合物または硬化性化合物と定義される。硬化性化合物は、モノマー、ダイマー、オリゴマー、およびプレポリマーでよい。
−「樹脂マスターバッチ」とは、合成(ベース樹脂の単離を伴わない)後のベース樹脂の調製の生成物と定義され、この場合、ベース樹脂は、反応性希釈剤、安定剤および触媒(合成溶液を含む)を含有し得る。
−「樹脂混合物」とは、樹脂マスターバッチおよび促進剤、ならびに安定剤および任意選択で他の反応性希釈剤の混合物と定義される。この用語は、「有機結合剤」という用語と互換的に使用される。
−「反応性樹脂モルタル」とは、樹脂混合物および無機凝集物からなる混合物と定義される。「A成分」という用語は、「反応性樹脂モルタル」という用語と互換的に使用される。
−「硬化剤」は、ベース樹脂の重合(硬化)をもたらす物質と定義される。
−「ハードナー」とは、硬化剤ならびに有機および/または無機凝集物からなる混合物と定義される。この用語は、「B成分」という用語と互換的に使用される。
−「促進剤」とは、重合反応(硬化)を加速することができ、かつラジカル開始剤の形成を促進するために使用される化合物と定義される。
−「重合阻害剤」とは、重合反応(硬化)を阻害することができ、かつ他方で、重合反応、およびその際に、貯蔵の間のラジカル重合性化合物の望ましくない未成熟重合を防止するために使用される化合物と定義され、この場合、これらの化合物は通常、ゲル化時間が影響を受けないような少量で使用される。他方、前記重合阻害剤を使用して、硬化剤の添加の直後に重合反応を遅延させ、この場合、これらの化合物は通常、ゲル化時間が影響を受けるような量で使用される。
−「反応性希釈剤」は、他のベース樹脂、樹脂マスターバッチまたは樹脂混合物を希釈し、その結果、これらの適用のための必要とされる粘性を実現し、ベース樹脂と反応することができる官能基を含有し、重合(硬化)の間に大部分は硬化された組成物の構成物(モルタル)となる、液体または低粘度のベース樹脂と定義される。
−通常、ペルオキシドで硬化される不飽和ポリエステル樹脂またはビニル樹脂についての「ゲル化時間」:樹脂の硬化相の時間がゲル化時間に相当し、樹脂の温度は、+25℃から+35℃に増加する。この時間は、樹脂の流動性または粘性が、まだ反応樹脂またはさらに具体的には反応性樹脂組成物が容易に加工または仕上げることができるような範囲にある期間に概ね相当する。
−「ゲル化時間のドリフト」(任意の特定の選択した期間、例えば、30日または60日について)とは、硬化の参照標準時間とは異なる時間における硬化、例えば、反応性樹脂またはさらに具体的には反応性樹脂組成物の調製の24時間後に、観察されるゲル化時間が参照の時間におけるゲル化時間から外れる現象を指す。
−「モルタル組成物」とは、反応性樹脂組成物に加えて、さらなる有機および/または無機充填剤を含有し、かつ化学的固着のために直接それ自体として使用することができる配合物を指す。
−「2成分モルタル系」は、A成分である反応性樹脂モルタル、およびB成分であるハードナーを含む系であり、この場合、2成分は別々に貯蔵して反応を阻害し、その結果、反応性樹脂モルタルは、これが混合されるまでは硬化しない。
−「(メタ)アクリル.../...(メタ)アクリル...」とは、「メタクリル.../...メタクリル...」化合物、および「アクリル.../...アクリル」化合物の両方が含まれることが想像されることを意味する。
−「ビニルエステルウレタン」は、重付加プロセスにおいてポリイソシアネートと反応した第二級ヒドロキシル基を有するビニルエステルと定義され、この結果として、ウレタン架橋が得られる。
−「再生可能な資源」とは、工業のための原料として完全にまたは部分的に使用され、かつ生物学的に再生可能である原料、特に、植物または動物起源の有機物と定義され、化石燃料資源とは異なり、すなわち、これらは妥当な期間内でこれら自体が再生し、工業的または商業的加工作業において使用することができる非鉱物資源または非化石燃料資源を含有する。
−「低温硬化」とは、樹脂混合物および反応性樹脂モルタルが、室温で完全に硬化することができることを意味する。
【0010】
反応性樹脂モルタルは一般に、必要に応じて、触媒および溶媒、特に、反応性希釈剤と一緒に反応器中で、ベース樹脂の調製のために必要とされる出発化合物を加えることによって、および互いに反応させることによって調製される。反応が完了すると、および必要に応じて、早ければ反応の出発において、保存安定性のための重合阻害剤を反応混合物に加え、この結果として、いわゆる樹脂マスターバッチを得る。樹脂マスターバッチに加えるのは、ベース樹脂を硬化するための促進剤、保存安定性のための重合阻害剤と同じまたは異なってもよい、ゲル化時間を調節するための任意選択でさらなる重合阻害剤、および任意選択でさらなる溶媒、特に、反応性希釈剤である場合が多く、その結果、最終結果で樹脂混合物が得られる。ベース樹脂の様々な特性、例えば、レオロジーおよび濃度を調節するために、この樹脂混合物を、無機および/または有機凝集物で処置し、この結果として反応性樹脂モルタルを得る。
【0011】
前述に基づいて、好ましい樹脂混合物は、少なくとも1種のベース樹脂、少なくとも1種の反応性希釈剤、少なくとも1種の促進剤、少なくとも1種の重合阻害剤を含有する。反応性樹脂モルタルは、上記の樹脂混合物に加えて、無機および/または有機凝集物を含有し、この場合、無機凝集物がさらにより好ましく、これを下記でより詳細に記載する。
【0012】
本発明は、バイオマス、結果的に、再生可能な資源由来の出発化合物から調製することができるベース樹脂を含有する樹脂混合物を提供するという考えに基づいていた。対応して、出発化合物は、再生可能な資源から得ることができるというこれらの潜在性によって選択した。
【0013】
本発明の第1の主題は、ベース樹脂としてビニルエステルウレタン樹脂を含む樹脂混合物であって、ビニルエステルウレタン樹脂が、(i)ジアンヒドロヘキシトール化合物とジイソシアネートとを反応させ、次いで、(ii)得られた生成物とヒドロキシ置換(メタ)アクリレートとを反応させることによって得ることができる、樹脂混合物に関する。
【0014】
驚いたことに、ベース樹脂としてジアンヒドロヘキシトールをベースとするビニルエステルウレタン樹脂に基づいて、許容される結合強度を有し、したがって、例えば、化学的固着技術のための有機結合剤として適している反応性樹脂モルタルを提供することは可能であった。
【0015】
ビニルエステルウレタン樹脂の合成のための出発化合物として典型的に使用されるジイソシアネートは、本発明によれば、ジヒドロキシ化合物とジイソシアネートとを反応させることによって得られ、その結果、生成物は、分子の末端においてイソシアネート基、および分子の主鎖において2個のウレタン基を必然的に有する。いずれの場合にも、ジイソシアネートの1個のイソシアネート基が、ジヒドロキシ化合物のヒドロキシ基と反応し、ウレタン基を形成するように、ジヒドロキシ化合物1モル当たり少なくとも2モルのジイソシアネートを使用することは好都合である。しかし好ましくは、オリゴマー化をできる限り防止するために、ジイソシアネートを、僅かに過剰に加える。イソシアネート末端基のそれぞれは、ヒドロキシ置換(メタ)アクリレートと反応する。
【0016】
再生可能な資源から出発化合物を得ることができるために、ジヒドロキシ化合物は、本発明によれば、ジアンヒドロヘキシトール化合物である。ジアンヒドロヘキシトール化合物、またはさらに具体的には、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールは、デンプン工業の副生成物である。これらは、例えば、D−ヘキシトールの脱水によって得ることができ、D−ヘキシトールは、ヘキソース糖の単純な還元によって得ることができる。その結果、ジアンヒドロヘキシトール化合物は、バイオマスから得ることができるキラル生成物である。2個のヒドロキシル基の立体配置によって、3種の異なる異性体であるイソソルビド(構造A)、イソマンニトール(構造B)およびイソイジド(構造C)の間に区別が生じ、3種の異性体の全ては、D−グルコース、D−マンノースまたはL−フルクトースの水素化およびそれに続く二重の脱水によって得ることができる。
【0017】
【化1】
【0018】
このように、出発材料として使用されるジアンヒドロヘキシトール化合物の場合、これは、イソソルビド、イソマンニトールもしくはイソイジド、またはこれらのジアンヒドロヘキシトール化合物の混合物でよい。したがって、下記において、ジアンヒドロヘキシトール化合物という用語は、それぞれの別個の化合物、および様々な個々の化合物の任意の混合物を意味すると解釈し得る。イソソルビドは最も一般であるため、好ましくは、ジイソシアネートとの反応のための出発化合物として使用される。
【0019】
ジアンヒドロヘキシトール化合物およびこれらの調製方法は、周知であり、対応する生成物は、市場で入手可能である。
【0020】
したがって、再生可能な資源からまたジイソシアネートを得ることができるために、ジイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはデカメチレンジイソシアネートであることが好都合である。
【0021】
テトラメチレンジイソシアネートの使用は、植物起源の基本的構造ブロックC4、すなわち、コハク酸から得ることができるという利点を有する(Chemical Engineering & Technology Special Issue、原料の変化(Change of raw materials), Volume 31, Issue 5, pages 647 (2008)、論文「コハク酸、再生可能な資源由来の生物をベースとするポリマーのための新規なプラットフォーム化学(Succinic Acid: A New Platform Chemical for Bio-based Polymers from Renewable Resources)」、アイ・ベックソールド(I. Bechthold)、ケー・ブレッツ(K. Bretz)、エス・カバシ(S. Kabasci)、アール・コピツキ(R. Kopitzky)およびエー・スプリンガー(A. Springer))。著者らは、コハク酸が再生可能な資源から得ることができる未来の基本的化学物質の1つであるという前提から出発する。
【0022】
さらに、その一方では、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDMI)は、再生可能な資源から利用可能とされてきた。米国特許第8,421,879号明細書によると、対応する前駆体アジピン酸は、バイオマスから利用可能であるからである。
【0023】
デカメチレンジイソシアネートの使用はまた、植物起源の基本的構造ブロックC10、すなわち、セバシン酸から得ることができるという利点を有する。生物をベースとするヒマシ油から得ることができる基本的構造ブロックC10は、文献(European Journal of Lipid Science and Technology, Special Issue、化学工業のための再生可能な資源としての油脂(Oil and fats as renewable resources for the chemical industry), Volume 112, Issue 1, Pages 10 (2010)、論文「化学工業のための再生可能な資源としてのヒマシ油(Castor oil as a renewable resource for the chemical industry)」、ハティス・マトル(Hatice Mutlu)およびマイケル・エー・アール・メイアー(Michael A. R. Meier))において詳細に記載されている。この論文において、著者らはまた、ヒマシ油が化学工業のための再生可能な原料の非常に貴重な源であるという前提から出発する。
【0024】
しかし、さらに、脂肪酸のジイソシアネートなどの、または国際公開第2011/098272A2号パンフレットにおいて記載されているような他の源由来の、再生可能な資源から得ることができる他のジイソシアネートを、本発明によって使用することができる。
【0025】
ヒドロキシ置換(メタ)アクリレートはまた、再生可能な資源から得ることができる。特に、これらのヒドロキシ置換(メタ)アクリレートは、脂肪族ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが関与し、これらの内、メタクリレート化合物がさらにより高度に好ましい。
【0026】
メタクリル酸ヒドロキシプロピルの合成のために必要とされるプロピレングリコールは、グリセロールから得ることができる(CEPmagazine.org、www.aiche.org/cep(2007年8月)、論文「プロピレングリコールへの再生可能な経路(A Renewable Route to Propylene Glycol)」、スザンヌ・シェリー(Suzanne Shelley))。グリセロールは、バイオディーゼルの生成において必須の副生成物である。このようにこれは、プロピレングリコールの調製のための石油に由来する通常の原料に対する安価で持続可能であり環境に優しい代替物である。
【0027】
メタクリル酸ヒドロキシエチルの合成のために必要とされるエチレングリコールはまた、原料、例えば、エチレンオキシドおよびその誘導体、例えば、バイオマス、例えば、糖蜜またはサトウキビから得ることができるグリコールから得ることができる。
【0028】
2−およびC3−ヒドロキシアルキルメタクリレートは、市場で入手可能である。
【0029】
しかしさらに、再生可能な資源から得ることができる他のヒドロキシ置換(メタ)アクリレートが、本発明によって使用される。
【0030】
特に好ましいベース樹脂は、下記式
【0031】
【化2】
【0032】
[式中、nは、4、6または10であり、Rは、水素またはメチル基を表す]
を有する。
【0033】
出発化合物の全てが再生可能な資源、例えば、バイオマスから得られる場合、および樹脂混合物を調製する目的のために、65重量%溶液が、メタクリル酸ヒドロキシプロピルまたはメタクリル酸ヒドロキシエチル中でビニルエステルウレタン樹脂から調製される場合、樹脂混合物の炭素含量の80%までは、再生可能な資源に由来し得る。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、樹脂混合物は、必要に応じて、例えば、その調製においてビニルエステルウレタン樹脂または前駆体の粘性を調節するための、反応性希釈剤として、さらなる低粘度のラジカル重合性化合物、好ましくは再生可能な資源から得ることができるものを含有する。反応性希釈剤は、樹脂混合物をベースとして90〜10重量%、好ましくは70〜30重量%の量で加え得る。この文脈において、これらの開示がこの特許出願においてその内容全体が参照することにより援用されている国際公開第09/156648A1号パンフレット、国際公開第10/061097A1号パンフレット、国際公開第10/079293A1号パンフレットおよび国際公開第10/099201A1号パンフレットを参照されたい。
【0035】
代替として、樹脂混合物は、任意の適切な反応性希釈剤を含有し得る。樹脂混合物が、反応性希釈剤として脂肪族または芳香族C5〜C15−(メタ)アクリル酸エステルを含有することは好都合であり、この場合、(メタ)アクリル酸エステルは特に好ましくは、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルトリグリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートおよび/またはトリシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(メタ)アクリレート、ノボラックエポキシジ(メタ)アクリレート、ジ−[(メタ)アクリロイル−マレオイル]−トリシクロ−5.2.1.0.26−デカン、ジシクロペンテニルオキシエチルクロトネート、3−(メタ)アクリロイル−オキシメチル−トリシクロ−5.2.1.0.26−デカン、3−(メタ)シクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびデカリル−2−(メタ)アクリレート、PEG−ジ(メタ)アクリレート、例えば、PEG200−ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ソルケタール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレートおよびノルボルニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。原理的に、他の通常のラジカル重合性化合物をまた、単独で、または(メタ)アクリル酸エステル、例えば、スチレン、アルファメチルスチレン、アルキル化スチレン、例えば、tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、およびアリル化合物と混合して使用してもよく、この場合、再生可能な資源をベースとする基本的化学物質から得ることができるこの代表的なものが好ましい。
【0036】
未成熟重合に対して安定化させ(保存安定性)、ゲル化時間および反応性を調節するために、樹脂混合物は、重合阻害剤を含有し得る。貯蔵の安全性を確実にするために、重合阻害剤は好ましくは、樹脂混合物をベースとして0.0005〜2重量%、さらにより高度に好ましくは0.01〜1重量%の量で含有される。ゲル化時間および反応性を調節するために、樹脂混合物は、0.005〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%の重合阻害剤をさらに含有し得る。
【0037】
適切な重合阻害剤は、本発明によれば、ラジカル重合性化合物のために一般に使用され、当業者に周知の重合阻害剤である。
【0038】
未成熟重合に対して安定化させるために、樹脂混合物および反応性樹脂モルタルは典型的には、例えば、欧州特許出願公開第1935860A1号明細書または欧州特許出願公開第0965619A1号明細書に記載されているような、重合阻害剤、例えば、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、例えば、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、ベンゾキノンまたはtert−ブチルピロカテコール、例えば、独国特許出願公開第19531649A1号明細書に記載されているような、N−オキシルラジカルとまた称される安定的なニトロキシルラジカル、例えば、ピペリジニル−N−オキシルまたはテトラヒドロピロール−N−オキシルを含む。特に、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(以下、Tempolと称する)は好ましくは、ゲル化時間が調節されることをまた可能とする利点を有する処置である安定化のために使用される。
【0039】
好ましくは、重合阻害剤は、フェノール化合物および非フェノール化合物、例えば、安定的なラジカルおよび/またはフェノチアジンから選択される。
【0040】
市販のラジカル硬化反応性樹脂の構成物であることが多い適切なフェノール重合阻害剤は、フェノール、例えば、2−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレン−ジ−p−クレゾール、ピロカテコールおよびブチルピロカテコール、例えば、4−tert−ブチルピロカテコール、4,6−ジ−tert−ブチルピロカテコール、ヒドロキノン、例えば、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、メチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、ナフトキノン、またはこれらの2つ以上の混合物を含み得る。
【0041】
好ましくは、フェノチアジン、例えば、フェノチアジンおよび/またはこれらの誘導体もしくは組合せ、あるいは安定的な有機フリーラジカル、例えば、ガルビノキシルラジカルおよびN−オキシルラジカルは、非フェノール重合阻害剤であると考えてもよい。
【0042】
適切な安定的なN−オキシルラジカル(ニトロキシルラジカル)は、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(TEMPOLともまた称される)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(TEMPONともまた称される)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシル−ピペリジン(4−カルボキシ−TEMPOともまた称される)、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチル−3−カルボキシルピロリジン(3−カルボキシ−PROXYLともまた称される)、アルミニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンから選択してもよく、これらの全ては、独国特許第19956509号明細書に記載されている。さらに、適切なN−オキシル化合物は、オキシム、例えば、アセトアルドキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトキシム、サリチルオキシム、ベンズオキシム、グリオキシム、ジメチルグリオキシム、アセトン−O−(ベンジルオキシカルボニル)オキシムなどである。さらに、ヒドロキシル基に対してパラ位において、先行文献ではない独国特許出願公告第102011077248号明細書に記載されている置換ピリミジノール化合物またはピリジノール化合物を、安定剤として使用することができる。
【0043】
所望の特性および樹脂混合物の使用によって、単独で、またはこれらの2つ以上の組合せとして、重合阻害剤を使用することができる。この場合、フェノールおよび非フェノール阻害剤の組合せは、反応性樹脂配合物のゲル化時間の、程度の差はあるがドリフトがない固化の調節によってまた示される相乗効果を可能とする。
【0044】
好ましくは、樹脂構成物の硬化は、ラジカル開始剤、例えば、ペルオキシドによって開始する。ラジカル開始剤に加えて、促進剤をまた使用し得る。その結果、速硬性反応性樹脂モルタルが得られ、前記モルタルは低温硬化、すなわち、室温で硬化する。樹脂混合物に通常加えられる適切な促進剤は、当業者に周知である。前記促進剤は、例えば、アミン、好ましくは、第三級アミンおよび/または金属塩である。
【0045】
適切なアミンは、例えば、米国特許出願公開第2011071234A1号明細書に記載されている下記の化合物、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノヘキサノール、エトキシアミノエタン、ジメチル−(2−クロロエチル)アミン、2−エチルヘキシルアミン、ビス−(2−クロロエチル)アミン、2−エチルヘキシルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルステアリルアミン、ジアルキルアミネス、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ペルメチルジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、1,2−ジアミノプロパン、ジ−プロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、4−アミノ−1−ジエチルアミノペンタン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エタノール、ビス−(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、トリス−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル]アミン、3−アミノ−1−プロパノール、メチル−(3−アミノプロピル)エーテル、エチル−(3−アミノプロピル)エーテル、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピルエーテル)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、メチレン−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、4−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパンジオール、5−ジエチルアミノ−2−ペンタノン、3−メチルアミノプロピオン酸ニトリル、6−アミノヘキサン酸、11−アミノウンデカン酸、6−アミノヘキサン酸エチルエステル、11−アミノヘキサン酸イソプロピルエステル、シクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−シクロヘキシルアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−シクロヘキシルアミン、N−(3−アミノプロピル)−シクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロトルイジン、ヘキサヒドロベンジルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−プロピルアニリン、イソ−ブチルアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ヒドロキシエチルアニリン、ビス−(ヒドロキシエチル)アニリン、クロロアニリン、アミノフェノール、アミノ安息香酸およびそのエステル、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、メチルジベンジルアミン、a−フェニルエチルアミン、キシリジン、ジイソプロピルアニリン、ドデシルアニリン、アミノナフタレン、N−メチルアミノナフタリン、N,N−ジメチルアミノナフタレン、N,N−ジベンジルナフタリン、ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ジアミノジメチル−ジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノビフェニル、ナフタレンジアミネス、トルイジネス、ベンジジネス、2,2−ビス−(アミノフェニル)プロパン、アミノアニソレス、アミノ−チオフェノルス、アミノジフェニルエーテル、アミノクレゾルス、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン、N−メチルピロリジン、ピロリジン、ピペリジン、ヒドロキシエチルピペリジン、ピロレス、ピリジネス、キノリネス、インドレス、インドレニネス、カルバゾレス、ピラゾレス、イミダゾレス、チアゾレス、ピリミジネス、キノキサリネス、アミノモルホリン、ジモルホリンタン、[2,2,2]−ジアザビシクロオクタンおよびN,N−ジメチル−p−トルイジンから選択される。
【0046】
好ましいアミンは、アニリン誘導体およびN,N−ビスアルキルアリールアミン、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アリールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)トルイジン、N,N−ビス(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ジブトキシヒドロキシプロピル−p−トルイジンおよび4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルメタンである。
【0047】
ポリマーのアミン、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アニリンとジカルボン酸との重縮合によって、またはこれらのアミンへのエチレンオキシドの重付加によって得られるものはまた、促進剤としてよく適している。
【0048】
適切な金属塩は、例えば、オクタン酸コバルトまたはナフテン酸コバルト、およびカルボン酸バナジウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸銅、カルボン酸銅マンガンまたはカルボン酸銅ジルコニウムである。
【0049】
促進剤が使用される場合、これは樹脂混合物をベースとして0.01〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%の量で使用される。
【0050】
本発明のさらなる主題は、(上記の樹脂混合物、有機結合剤に加えて)無機および/もしくは有機凝集物、例えば、充填剤、ならびに/またはさらなる添加物を含有する反応性樹脂モルタルである。
【0051】
反応性樹脂モルタル中の樹脂混合物の含量は、反応性樹脂モルタルをベースとして好ましくは10〜60重量%、さらにより高度に好ましくは20〜30重量%である。その結果、凝集物含量は、反応性樹脂モルタルをベースとして好ましくは90〜40重量%、さらにより高度に好ましくは80〜70重量%である。
【0052】
使用し得る充填剤は、通常の充填剤、好ましくは、鉱物充填剤または鉱物様充填剤、例えば、石英、ガラス、砂、珪砂、石英粉末、磁器、コランダム、セラミクス、タルク、ケイ酸(例えば、発熱性ケイ酸)、シリケート、粘土、二酸化チタン、チョーク、重晶石、長石、玄武岩、水酸化アルミニウム、花崗岩または砂岩、ポリマーの充填剤、例えば、熱硬化性プラスチック樹脂、水硬性充填剤、例えば、セッコウ、生石灰またはセメント(例えば、アルミナセメントまたはポルトランドセメント)、金属、例えば、アルミニウム、カーボンブラック、さらに、木材、鉱物繊維または有機繊維など、またはこれらの2つ以上の混合物を含み、粉末として、顆粒形態で、または形状化体の形態で加え得る。充填剤は、任意の形態で、例えば、粉末もしくは細粉で、または形状化体として、例えば、円柱、リング、ボール、プレート、ロッド、サドルもしくは結晶の形態で、またはさらに、繊維形態(原繊維充填剤)で存在し得る。対応するベース粒子は好ましくは、10mmの最大直径を有する。充填剤は、それぞれの成分中に、好ましくは90重量%まで、特に、3〜85重量%、とりわけ、5〜70重量%の量で存在する。しかし、球状の不活性な物質(球状形状)が、これらの有意により高い強化効果によって好ましい。
【0053】
さらに、他の考えうる添加物は、チキソトロープ剤、例えば、任意選択で有機的に後処理した発熱性ケイ酸、ベントナイト、アルキルセルロースおよびメチルセルロース、ヒマシ油誘導体などであり、可塑剤、例えば、フタル酸エステルまたはセバシン酸エステル、安定剤、帯電防止剤、増粘剤、柔軟剤、硬化触媒、流体力学的媒体、湿潤剤、着色添加物、例えば、着色剤、または特に、例えば、混合のより良好なモニタリングのための成分の様々な染色のための顔料など、またはこれらの2つ以上の混合物が可能である。低級アルキルケトン、例えば、アセトン、ジ−低級アルキル低級アルカノイルアミド、例えば、ジメチルアセトアミド、低級アルキルベンゼン、例えば、キシレンまたはトルエン、フタル酸エステルまたはパラフィン、または水など、非反応性希釈剤(溶媒)はまた、それぞれの成分(反応性樹脂モルタル、ハードナー)に基づいて、好ましくは30重量%まで、例えば、1〜20重量%の量で存在し得る。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の反応性樹脂モルタルは、2成分系または多成分系、特に、2成分系として配合され、この場合、樹脂構成物およびハードナー構成物は別々に収容され、反応を阻害する。対応して、第1の成分は、A成分である反応性樹脂モルタルを含有し、第2の成分は、B成分であるハードナーを含有する。この処置は、硬化性化合物および硬化剤が、使用の直前まで一緒に混合され、硬化反応を開始しないことを確実にする。
【0055】
ハードナーは、樹脂構成物の重合(硬化)を開始させるために硬化剤を含有する。この硬化剤は、上記のように、ラジカル開始剤、好ましくはペルオキシドである。
【0056】
ビニルエステル樹脂を硬化させるために使用され、当業者が精通しているありとあらゆるペルオキシドを、本発明によれば、ジアンヒドロヘキシトールをベースとするビニルエステルウレタン樹脂を硬化させるために使用することができる。このようなペルオキシドは、液体または固体の有機および無機ペルオキシドを含み、この場合、過酸化水素をまた使用することができる。適切なペルオキシドのいくつかの例は、ペルオキシカーボネート(式−OC(O)OO−の)、ペルオキシ酸エステル(式−C(O)OO−の)、ジアシルペルオキシド(式−C(O)OOC(O)−の)、ジアルキルペルオキシド(式−OO−の)などである。これらのペルオキシドは、オリゴマーまたはポリマーとして存在し得る。適切なペルオキシドの例の網羅的一覧は、例えば、米国特許出願公開第2002/0091214A1号明細書のパラグラフ[0018]に記載されている。
【0057】
ペルオキシドは好ましくは、有機ペルオキシドの群から選択される。適切な有機ペルオキシドは、第三級アルキルヒドロペルオキシド、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、および他のヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酸エステルまたは過酸、例えば、tert−ブチルペルエステル、過酸化ベンゾイル、ペルアセテートおよびペルベンゾエート、(ジ)ペルオキシ酸エステルを含むラウリルペルオキシド、ペルエーテル、例えば、ペルオキシジエチルエーテル、ペルケトン、例えば、メチルエチルケトンペルオキシドである。ハードナーとして使用される有機ペルオキシドは、第三級ペルエステルまたは第三級ヒドロペルオキシド、すなわち、−O−O−アシル基または−OOH基と直接結合している第三級炭素原子を有するペルオキシド化合物であることが多い。しかし、本発明によれば、これらのペルオキシドと他のペルオキシドとの混合物を使用することがまた可能である。ペルオキシドはまた、混合ペルオキシド、すなわち、1つの分子中に2つの異なるペルオキシド担持単位を有するペルオキシドであり得る。過酸化ベンゾイル(BPO)が好ましくは、硬化のために使用される。
【0058】
さらに、2成分モルタル系のハードナーは好ましくは、無機凝集物を含み、この場合、凝集物は、反応性樹脂モルタルに加え得る凝集物と同じである。
【0059】
2成分モルタル系の特に好ましい実施形態において、A成分はまた、反応性樹脂モルタルに加えて、さらなる水中で固化または重縮合可能な無機化合物を含有し、B成分は、硬化剤に加えて、水をまた含有する。このようなモルタル組成物は、独国特許出願公開第4231161A1号明細書において詳細に記載されている。この場合、A成分は、好ましくは水中で固化または重縮合可能な無機化合物セメント、例えば、ポルトランドセメントまたはアルミナセメントを含有し、この場合、酸化鉄を含有せず、または低減した酸化鉄含量を有するセメントは、さらにより高度に好ましい。セッコウはまた、それ自体として、または水中で固化する無機化合物としてセメントと混合して使用することができる。シリカを含む重縮合可能な化合物、特に、可溶性、溶解したおよび/またはアモルファスの二酸化ケイ素含有物質をまた、重縮合可能な無機化合物として使用し得る。
【0060】
2成分モルタル系は、好ましくはA成分およびB成分を含み、異なる容器、例えば、多チャンバー装置、例えば、多チャンバーカプセルおよび/またはカートリッジにおいて別々に貯蔵し、反応を阻害する。機械的圧縮力が加えられ、またはガス圧力の作用に供されるとき、2成分が容器から押し出され、混合される。さらなるオプションは、穿孔中に挿入され、モルタル組成物の2成分の同時の混合による固定要素のインパクト回転設定によって破壊される、2成分カプセルとして2成分モルタル系を製作することからなる。カプセル系または注射系が好ましく、ここでは、2成分が別々の容器から絞り出され、スタティックミキサーを通過し、そこにおいてこれらは均質に混合され、次いで、ノズルを通って、好ましくは穿孔中に直接的に排出される。
【0061】
本発明の樹脂混合物、反応性樹脂モルタルおよび2成分モルタル系は、例えば、コンクリートを修理するために、ポリマーコンクリートとして、合成樹脂をベースとするコーティング組成物として、または低温硬化路面標識として、建設現場において主に使用される。特に、これらは、穿孔における、特に、種々の異なる基材、特に、鉱物基材、例えば、コンクリート、発泡コンクリート、レンガ、石灰質砂岩、砂岩、天然石などをベースとするものの穿孔における、アンカリング要素、例えば、アンカー、鉄筋、スクリューなどの化学的固着によく適している。
【0062】
下記の実施例は、本発明をより詳細に説明する役割を果たす。
【0063】
実施形態
A)樹脂マスターバッチ合成
A1)テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)の使用
実施例A1.1
500mlの三つ口フラスコを、260gの1,3−プロパンジオールジメタクリレート(Sarbio6200、Sartomer)および50gのTMDIで充填し、30mgのジオクチルスズジラウレート(Tegokat216、ゴールドシュミット インダストリアル ケミカル コーポレーション(Goldschmidt Industrial Chemical Corporation))、20mgのブチルヒドロキシトルエン(BHT)および40mgの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(Tempol)で処置する。溶液を、摂氏60度にて熱的にレギュレートする。次いで、20gのイソソルビドを、60分の期間に亘り撹拌した溶液に20の等しいポーションで加える。イソソルビドの添加の完了によって、混合物を摂氏70度に加熱し、この温度で5時間撹拌する。イソソルビドの反応を、薄層クロマトグラフィーによってモニターする。5時間後、イソソルビドの変換が完了した。次いで、50gのメタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)(VISIOMER(登録商標) HPMA 98、エボニク インダスストリーズ(Evonik Industries))を60分の期間に亘り滴下で添加し、得られた混合物を、DIN EN 1242によって測定してNCO含量が0.2%未満となるまで、摂氏80度にて撹拌する。
【0064】
実施例A1.2
500mlの三つ口フラスコを、250gの1,4−ブタンジオールジメタクリレートおよび40gのTMDIで充填し、60mgのジオクチルスズジラウレート(Tegokat216)、40mgのBHTおよび90mgのTempolで処置する。溶液を、摂氏60度にて熱的にレギュレートする。次いで、20gのイソソルビドを、60分の期間に亘り撹拌した溶液に20の等しいポーションで加える。イソソルビドの添加の完了によって、混合物を摂氏70度に加熱し、この温度で5時間撹拌する。イソソルビドの反応は、薄層クロマトグラフィーの手段によってモニターする。5時間後、イソソルビドの変換が完了した。次いで、40gのHPMAを60分の期間に亘り滴下で添加し、得られた混合物を、DIN EN 1242によって測定してNCO含量が0.2%未満となるまで、摂氏80度にて撹拌する。
【0065】
A2)ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の使用
実施例A2.1
500mlの三つ口フラスコを、130gの1,3−プロパンジオールジメタクリレート(Sarbio6200)、130gの1,4−ブタンジオールジメタクリレートおよび50gのHMDIで充填し、30mgのジオクチルスズジラウレート(Tegokat216)、20mgのBHTおよび40mgのTempolで処置する。溶液を、摂氏60度にて熱的にレギュレートする。次いで、20gのイソソルビドを、60分の期間に亘り撹拌した溶液に20の等しいポーションで加える。イソソルビドの添加の完了によって、混合物を摂氏70度に加熱し、この温度で5時間撹拌する。イソソルビドの反応を、薄層クロマトグラフィーによってモニターする。5時間後、イソソルビドの変換が完了した。次いで、50gのHPMAを60分の期間に亘り滴下で添加し、得られた混合物を、DIN EN 1242によって測定してNCO含量が0.2%未満となるまで、摂氏80度にて撹拌する。
【0066】
実施例A2.2
500mlの三つ口フラスコを、250gの(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリレート(ソルケタールメタクリレート)および45gのHMDIで充填し、30mgのジオクチルスズジラウレート(Tegokat216)、30mgのBHTおよび40mgのTempolで処置する。溶液を、摂氏60度にて熱的にレギュレートする。次いで、20gのイソソルビドを、60分の期間に亘り撹拌した溶液に20の等しいポーションで加える。イソソルビドの添加の完了によって、混合物を摂氏70度に加熱し、この温度で5時間撹拌する。イソソルビドの反応を、薄層クロマトグラフィーによってモニターする。5時間後、イソソルビドの変換が完了した。次いで、45gのHPMAを60分の期間に亘り滴下で添加し、得られた混合物を、DIN EN 1242によって測定してNCO含量が0.2%未満となるまで、摂氏80度で撹拌する。
【0067】
A3)デカメチレンジイソシアネート(DMDI)の使用
実施例A3.1
500mlの三つ口フラスコを、230gの1,3−プロパンジオールジメタクリレート(Sarbio6200)および60gのDMDIで充填し、60mgのジオクチルスズジラウレート(Tegokat216)、40mgのBHTおよび90mgのTempolで処置する。溶液を、摂氏60度にて熱的にレギュレートする。次いで、20gのイソソルビドを、60分の期間に亘り撹拌した溶液に20の等しいポーションで加える。イソソルビドの添加の完了によって、混合物を摂氏70度に加熱し、この温度で5時間撹拌する。イソソルビドの反応を、薄層クロマトグラフィーによってモニターする。5時間後、イソソルビドの変換が完了した。混合物の粘性を低下させるために、混合物を、35gのメタクリル酸テトラヒドロフルフリル(Sarbio6100)で希釈する。次いで、40gのHPMAを60分の期間に亘り滴下で添加し、得られた混合物を、DIN EN 1242によって測定してNCO含量が0.2%未満となるまで、摂氏80度で撹拌する。
【0068】
B)樹脂混合物
B1)テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)の使用
実施例B1.1
実施例A1.1によって調製した380gの樹脂マスターバッチを、摂氏50度にて100gの1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDDMA)および2gのtert−ブチルピロカテコール(tBBK)で処置し、次いで、ゲル化時間を、芳香族アミンを添加して室温で6分に設定する。
【0069】
実施例B1.2
実施例A1.2によって調製した350gの樹脂マスターバッチを、摂氏50度にて90gのBDDMAおよび2gのtBBKで処置し、次いで、ゲル化時間を、芳香族アミンを添加して室温で6分に設定する。
【0070】
B2)ヘキサメチレンジイソシアネートの使用
実施例B2.1
実施例A2.1によって調製した380gの樹脂マスターバッチを、摂氏50度にて100gのBDDMAおよび2gのtBBKで処置し、次いで、ゲル化時間を、芳香族アミンを添加して室温で6分に設定する。
【0071】
実施例B2.2
実施例A2.2によって調製した360gの樹脂マスターバッチを、摂氏50度にて90gのBDDMAおよび2gのtBBKで処置し、次いで、ゲル化時間を、芳香族アミンを添加して室温で6分に設定する。
【0072】
B3)デカメチレンジイソシアネートの使用
実施例B3.1
実施例A3.1によって調製した300gの樹脂マスターバッチを、摂氏50度にて40gのBDDMAおよび2gのtBBKで処置し、次いで、ゲル化時間を、芳香族アミンを添加して室温で6分に設定する。
【0073】
C)反応性樹脂モルタルの調製
ハイブリッドモルタルを調製するために、B)由来の樹脂混合物を、溶解機において30〜45重量部の珪砂、15〜25重量部のセメントおよび1〜5重量部の発熱性ケイ酸と混合し、均質なモルタル組成物を形成する。
【0074】
D)ハードナー成分
ハードナー成分を調製するために、溶解機において40gの過酸化ジベンゾイル、250gの水、25gの発熱性ケイ酸、5gの層状ケイ酸塩および700gの適切な粒径分布の石英粉末を混合して、均質塊を形成する。
【0075】
それぞれの反応性樹脂モルタルおよび硬化成分を、5対1の容量比で混合し、これらの結合負荷能力を測定する。
【0076】
破壊結合応力の決定
硬化した組成物の破壊結合応力を決定するために、実施例の反応性樹脂モルタル組成物と共に、14mmの直径および72mmの孔深さを有するコンクリート中の孔へと接合された、ねじ込まれたアンカーロッドM12を使用する。この場合、孔をよく浄化し、穿孔をハンマードリルで穴を開けた。硬化は常に摂氏20度にて行った。平均破壊負荷は、ねじ込まれたアンカーロッドを同心円状の様式で抜き取ることによって決定する。
【0077】
いずれの場合にも、5つのねじ込まれたアンカーロッドを接合し、24時間のハードニングの後、これらの負荷値を決定する。この方法で決定した結合負荷能力σ(N/mm2)を、下記の表1において平均値として示す。
【0078】
【表1】
【0079】
非常に高い結合負荷能力を有する市販の生成物、例えば、Hilti社からのHIT HY200Aは、比較可能な条件下で約30N/mm2の値を達成する。その結果、試験したプロトタイプ、特に、TMDIをベースとするバリアントC1.2は、有望な負荷プロファイルを有することを示す。
【国際調査報告】