特表2015-534006(P2015-534006A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-534006航空機のための廃棄物輸送用複合材料要素及び水輸送用複合材料要素、並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534006(P2015-534006A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】航空機のための廃棄物輸送用複合材料要素及び水輸送用複合材料要素、並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 9/128 20060101AFI20151030BHJP
   B64D 11/02 20060101ALI20151030BHJP
   B64D 11/04 20060101ALI20151030BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20151030BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20151030BHJP
   B29D 23/00 20060101ALI20151030BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20151030BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20151030BHJP
   B29L 23/00 20060101ALN20151030BHJP
【FI】
   F16L9/128
   B64D11/02
   B64D11/04
   B29C67/14 Z
   B32B1/08 A
   B32B1/08 Z
   B29D23/00
   B33Y10/00
   B33Y80/00
   B29L23:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-523272(P2015-523272)
(86)(22)【出願日】2013年7月19日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】US2013051181
(87)【国際公開番号】WO2014028169
(87)【国際公開日】20140220
(31)【優先権主張番号】61/673,863
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】511158649
【氏名又は名称】エムエージー エアロスペイス インダストリーズ, エルエルシィ
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ハマー, ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ミットゥル, モハン
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
4F205
4F213
【Fターム(参考)】
3H111AA01
3H111BA15
3H111BA25
3H111BA26
3H111BA27
3H111BA28
3H111CB02
3H111CB14
3H111CC03
3H111DB05
3H111DB27
3H111EA02
4F100AB12B
4F100AB33B
4F100AD11A
4F100AK01A
4F100AK09A
4F100AK44A
4F100AK45B
4F100AK53A
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4F100AK55B
4F100AK57A
4F100BA02
4F100DA11
4F100DB12
4F100DG01A
4F100DG12A
4F100DG13A
4F100GB31
4F100JB13A
4F100JB16A
4F100JK10B
4F205AA04
4F205AA16
4F205AA32
4F205AA34
4F205AA39
4F205AD16
4F205AG08
4F205AG12
4F205AG21
4F205AH31
4F205HA17
4F205HA29
4F205HA33
4F205HA34
4F205HA36
4F205HA37
4F205HB01
4F205HC05
4F205HC07
4F205HC14
4F205HC16
4F205HC17
4F205HK21
4F213AD16
4F213AG03
4F213AG12
4F213AH31
4F213WA16
4F213WA25
4F213WA62
4F213WA87
4F213WB01
(57)【要約】
本発明の実施形態は、様々な独特の形状を有して設計可能な、廃棄物輸送用の複合材料要素及び水輸送用の複合材料要素、並びにこれらの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客輸送機関に搭載される廃棄物システム又は給水システムに使用される複合材料管であって、
熱可塑性材料又は熱硬化性材料を含む管本体と、
前記管本体に組み入れられた単数又は複数の繊維材料とを備え、
前記管は金属管を曲げることによっては製造されないであろう少なくとも一つの屈曲部を有する複合材料管。
【請求項2】
前記管は3Dプリント技術を用いて製造される請求項1に記載の管。
【請求項3】
前記管は非円形の断面形状を有する請求項1又は2に記載の管。
【請求項4】
前記断面形状は長円、D形、C形、曲面と平坦面を有する形状、平坦な辺を有する形状、らせん形、又はこれらの任意の組合せを含む請求項3に記載の管。
【請求項5】
前記管は、ポリエチレンイミン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組合せを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の管。
【請求項6】
前記管は、エポキシ、ビニルエステル、又はこれらの任意の組合せを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の管。
【請求項7】
前記繊維材料は炭素繊維、ガラス繊維、ケブラー、ノーメックス、又はこれらの任意の組合せを含む請求項1に記載の管。
【請求項8】
前記繊維材料は、長繊維、短繊維、単方向繊維、織物、編み物、又はこれらの任意の組合せである請求項1〜7のいずれか一項に記載の管。
【請求項9】
前記管の湾曲部又は屈曲部に配置された衝撃パッドを更に備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の管。
【請求項10】
前記衝撃パッドは、ポリアリルスルホン、ポリカーボネート、チタン、CRES、又はこれらの任意の組合せを含む請求項9に記載の管。
【請求項11】
航空機又は航空機以外の旅客輸送機関の機上で使用される廃棄物管又は水管を製造する方法であって、
前記管の所望の内側形状の、酸で溶解可能な材料で形成された3Dモデルであって、金属管を曲げることによっては製造できない少なくとも1つの特徴を有する3Dモデルを準備することと、
前記3Dモデルに複合材料を適用することと、
前記複合材料を硬化することと、
複合材料管だけが残るように前記3Dモデルを溶解するために、前記複合材料と前記3Dモデルとを酸性溶液に浸けることとを含む方法。
【請求項12】
前記特徴は曲率半径が変化する屈曲を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記管の内面に沿った位置に衝撃パッドを加えることをさらに含む請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照:本願は、2012年7月20日に出願され、「航空機及び航空機以外の旅客輸送機関のための廃棄物輸送用の複合材料管(輸送要素)及び水輸送用の複合材料管(輸送要素)」と題された米国仮出願第61/673,863号の優先権を主張し、当該出願の開示全体を参照により援用して本願の記載の一部とする。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、様々な独特の形状を有して設計可能な、廃棄物輸送用の複合材料要素及び水輸送用の複合材料要素並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機又はその他の航空宇宙輸送機関の機内では、一般的に2種類の液体給配管が使用されている。すなわち、真空廃棄物管と、飲料水タンクからの飲料水を手洗いステーション、シンク、又はその他の水を使用する装置に運ぶために使用される管である。これら2種類の管はいずれも、一般的に、耐食鋼(CRES:corrosion resistant steel)の薄壁管により形成されている。例えば現在使用されている真空廃棄物管は、一般的に、直径が1インチ〜4インチ(約25.4ミリ〜約101.6ミリ)の、チタン薄壁(0.020インチ〜0.028インチ(約0.51ミリ〜約0.71ミリ)の管である。場合によっては、壁の厚さが約0.020インチ〜約0.035インチ(約0.51ミリ〜約0.89ミリ)である耐食鋼(CRES)の薄壁管が使用される。これらの管が使用されるのは、航空宇宙機用の輸送要素に関する要求(温度、化学的曝露、構造、衝撃、及びその他の要求)のすべてをこれらの金属が満たすためである。真空廃棄物系に使用される管は主として直管であるが、屈曲管及びY字管(マニホールド、引き出し管、T字等々)も組み入れられている。図1は、Y字(引き出し管)及び様々な屈曲を有する廃棄物管を示す。一般的には、直線壁のチタン管が必要に応じて屈曲されて、Y字部が溶接されて、フィッティング(付属品:AS1650型式)が管端部にスエージ加工されるか又は溶接される。場合によっては、AS5131に従うビード管端が、溶接されたフィッティングの代わりに使用される。
【0004】
固い物体(例えば、電池、携帯電話、又は真空排水ラインを通り抜けることが意図されていないその他の水洗可能な物体)が真空廃棄物系内へと水洗された場合には、これらの物体は衝突物となり、屈曲部又はY字部に衝突して管を破損し、真空廃棄物系の故障に繋がるかもしれない。チタン廃棄物管は軽量であり、衝撃に関する要求及び真空廃棄物系の真空圧サイクル(典型的には0〜11PSID)に対処できるため、チタン廃棄物管が一般に使用されている。CRES管もまた、この要求を満たす。CRES管はチタン管より安価であるが、CRESの重量はチタンよりも大きく、(約0.29ポンド/立方インチの密度を有する)CRESは、(約0.163ポンド/立方インチの密度を有する)チタンよりも約60パーセント重い。
【0005】
航空機の機内におけるその他の種類の水管、飲料水管(例えば航空機全体に飲料水を搬送する管)は、一般的には、直径が約0.5インチ〜約5インチ(約12.7ミリ〜約127ミリ)のCRES薄壁管(壁厚0.020インチ〜0.035インチ(約0.51ミリ〜約0.89ミリ))である。システムが軽量であることが要求され、より高いコストであっても許容される場合にはチタンを使用してもよい。複雑な経路(屈曲)が要求される領域には、可撓ホース(例えばAS4468、AS5420、又はこれらに類似するホース)が使用される。水管については内部衝撃に関する要求は存在しないが、水管は飲水可能性に関する要求(NSF/ANSI規格61又は同等の規格)を満たす必要があるとともに、耐圧保証125PSID、破裂圧188PSIDの圧力要求が存在する。
【0006】
使用されている飲料水管は主に直管、Y字管(引き出し管、マニホールド、T字)及び屈曲管である。図2は、引き出し管を有する直管である一般的な水管を示す。一般的に、直管を曲げる必要がある場合には、Y字が溶接され、フィッティング(AS1650型式)が管端部にロウ接又は溶接される。管直径が比較的小さいため、コスト削減のためにチタンに代えてCRESが使用されている。チタンによって重量は軽減される一方で、コストは増大するであろう。
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、軽量であり、強度及び衝撃に関する要求を満たし、所望の形状に製造可能な、チタン及びCRES以外の材料からなる廃棄物管及び水管を提供することが望ましい。いくつかの事例においては、直径が変化する管、長さが変化する管、形状が変化する管、及び曲率が変化する管を製造することが望ましい。例えば、航空機又はその他の旅客輸送機関においては曲がりくねった廃棄物路又は水路を要求されることがあるため、管は、容易に形成できる屈曲部又は折り返し部を備えるように設計されるべきである。管の製造が管製造のための複雑且つ高価な工具を必要としないようにして、管のコストを削減することも望ましい。
【0008】
よって、本文に記載される発明の実施形態は、特に航空機又はその他の旅客輸送機関に搭載して使用されるように設計された廃棄物管及び水管を提供する。これらの管は、現在使用されている材料に対する代替材料で製造されており、費用削減という利点を提供すること、システムの重量を軽減すること、及び現在使用されている廃棄物管及び水管の材料では一般的には得ることのできない、様々な曲率半径及びその他の形状を有する管を与えるためのより簡単な方法を提供することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、従来の廃棄物管の側面斜視図である。
図2図2は、従来の水管の側面斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に従う複合材料管の製造工程を示す。
図4図4は、本発明の一実施形態に従う複合材料管の製造工程を示す。
図5図5は、本発明の一実施形態に従う複合材料管の製造工程を示す。
図6図6は、本発明の一実施形態に従う複合材料管の製造工程を示す。
図7図7は、本発明の一実施形態に従う複合材料管の製造工程を示す。
図8図8は、本発明の一実施形態に従う複合材料管の製造工程を示す。
図9図9は、内部に配置された衝撃パッドを有するY字/引き出し管を示す。
図10図10は、内部に配置された衝撃パッドを有するY字/引き出し管を示す。
図11図11は、図9図10の衝撃パッドの側面斜視図である。
図12図12は、内部に配置された衝撃パッドを有する屈曲管部を示す。
図13図13は、内部に配置された衝撃パッドを有する屈曲管部を示す。
図14図14は、図12図13の衝撃パッドの側面斜視図である。
図15図15は、一般的な、曲率半径が一定の屈曲管の一例を示し、衝突する可能性のある物体の衝突角度を図解している。
図16図16は、本文に記載された方法に従う管の、曲率半径が変化する屈曲部を示し、衝突する可能性のある物体のより小さい衝突角度を図解している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、代替材料から製造され得る水管及び廃棄物管を提供する。これらの管は、チタン、CRES、及びホース同等物に対する要求と同様の要求を満たすよう設計されるのに加えて、重量化をさらに抑制し、より複雑な幾何学形状を可能とし、コスト削減にもつながり得るようにも設計されている。水管及び廃棄物管を製造する材料となり得る代替材料は、熱可塑性材料又は熱硬化性材料などの複合材料を含むがこれらに限定されず、またこれらの複合材料は強化繊維を備えても備えていなくてもよい。
【0011】
航空機で現在使用されている屈曲水管及び屈曲廃棄物管は、(製造能力に従い)標準半径(標準曲率半径)まで曲げられている。航空機内での管の経路は、これらの限定された曲率半径に合わせて設計されている。CRES管又はチタン管で複雑多岐な屈曲や変化する曲率半径を作り出すことは、費用が掛かるか又は可能ではない。本件発明者らは、水管及び/又は廃棄物管を複合材料から製造することが望ましいであろうと見出した。本件発明者らにより開発され本文に記載される複合材料管は、概して、従来の金属製の廃棄物管及び水管に使用されている標準屈曲半径に限定されない。むしろ該複合材料管により、変化する曲率半径の屈曲、スプライン、多軸屈曲、らせん状屈曲等々を使用したより効率的な管経路が可能となる。複雑な幾何学形状が利用可能となることで、いくつかのホースを複合材料管と交換することも可能となるであろう。
【0012】
<材料>
ある実施形態において、管体を形成するために単一の又は複数の熱可塑性材料を使用し得る。そのような熱可塑性材料はPVCタイプの配管を含んでも良いがこれには限定されず、ポチエチレンイミン(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はその他の任意の適切な熱可塑性材料、又はこれらの任意の組合せなどのような、工学設計(エンジニアード)熱可塑管材料を航空宇宙機型式の連結(AS1650又は同様の規格)と共に使用できるであろう。代替的な実施形態においては、エポキシ、ビニルエステル又はその他の適切な熱硬化性材料、又はこれらの任意の組合せなどの熱硬化性材料を使用し得る。使用し得るエポキシの、非限定的な一例として、エアロタフ275−34(Aerotuf275−34、商品名)が挙げられる。
【0013】
熱可塑性及び/又は熱硬化性材料を、炭素繊維、ガラス繊維、ケブラー(登録商標)、ノーメックス(登録商標)又はその他の適切な繊維、又はこれらの任意の組合せなどの繊維と共に使用してもよい。繊維は長繊維であっても短繊維であってもよく、単方向でも、織物でも、編み物でも、又はこれらの組み合わせであってもよい。選択される製法に基づいて、繊維をドライタイプとして部品を積層する時に樹脂(熱可塑性又は熱硬化性)を導入することも可能であろうし、又は予め樹脂を含浸した繊維(予備含浸繊維)を使用することも可能であろう。
【0014】
廃棄物管の層状(ライナー)/内側表面は、化学的要求を満たすために、(3M(登録商標)AF30(商品名)や同様のフィルムのような)接着フィルムであってもよい。水管は、飲料水に関する要求を満たすために、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFA)、又は同様の材料の層を有してもよい。
【0015】
<工具/製造工程>
ある実施形態において、複合材料直管は、図3、4に示す通り、3M AF30(商品名)(熱硬化性接着フィルム)又は(廃棄物管用の)同様の材料、若しくはPETG又は(廃棄物管用の)同様の材料の層10を、金属製又は樹脂製の心金12上に配置することにより製造し得る。次いで、フィラメントワインディング又はロールラッピングにより、予備含浸繊維14を、層10を覆うように層10に適用する。ある具体的な実施形態では、繊維はfibeX(商品名)繊維システムであってもよい。心金12の一例は図3に示されており、適用された層10は図4に示されている。図5は、層10の周囲に巻かれた予備含浸繊維14を示している。当該構成は、次いで真空バッグが与えられ、又は収縮テープが貼られ、又は収縮チューブが与えられて、オーブン又はオートクレーブで硬化される。図6に示すように、次いで収縮チューブ16が管状のレイアップ(積層体)を覆って配置されてもよく、予備含浸繊維14のキュア温度(硬化温度)よりも低い温度で収縮されてもよい。一旦収縮すると、収縮チューブ16自体は、図7、8に示すように各端部において真空テープ17と真空バッグ18により密封される。よって収縮チューブ16が真空バッグになる。当該構成は、次いでオーブン又はオートクレーブ内で硬化される。真空引きは、収縮チューブ16を覆って心金12上に適用された真空バッグ18の一方から行うことができる。硬化後には、真空バッグ18又は収縮チューブ16、及びその他のプロセス用材料は部品から取り除かれ廃棄される。部品を心金12から抜き取ることができる。もし必要であれば、部品と心金12を冷凍庫の中に置いてもよい。温度のために心金12が収縮して、部品を取り除くことができる。部品を取り除いたあと、所望の長さへと管の端部が切り取られるであろう。(AS1653規格品又はその他の連結タイプの)端部フィッティングが管の両端部に取り付けられる。
【0016】
代替的な方法は、膨張可能なシリコン心金を使用して、シリコン心金にライナと複合材料を与え、型穴に挿入することである。シリコン心金を加圧して、複合材料を型穴の工具加工された表面に押しつけることができる。この工程は後述されるSMART工具加工に類似しているが、形状記憶材料を必要とはしないであろう。
【0017】
管を製造するその他の方法は、樹脂トランスファー成形(RTM)、真空アシスト樹脂トランスファー成形(VARTM)、構造反応射出成形(SRIM)、高速樹脂トランスファー成形(HSRTM)の少なくとも一つを含むであろう。これらは、(熱可塑性又は熱硬化性の)樹脂を有する浸潤性強化繊維のバリエーションである。管を積層する(貼り合わせる)ために、樹脂注入を使用する代わりに、(織物である、又は単方向である、又は編み物である、又はこれらの組合せである)予備含浸繊維を使用してもよい。
【0018】
しかしながら、屈曲管及び/又は引き出し路を有する管は、工具が閉じこめられてしまうであろうため、硬質の心金(内部に配置する工具)上に製造することはできない。管が湾曲しているために、工具を除去することは困難であるか又は不可能である。したがって、航空機の構造に起因して屈曲しなくてはならない水管及び廃棄物管の場合には大抵そうであるように、もしも所望の形状が直線以外のものであるならば、この所望の形状を提供するために更なる製造方法が必要とされる。屈曲管及びY字管を製造するための一つの解決策は、柔軟且つ高温に適合した内部配置金型を創出するために形状記憶材料を使用する、スピンテックベンチャーズ有限責任会社製のSMARTツーリング又はこれに類似した製法を使用することである。内袋(空気袋、ブラダー)が製造され、金型内に配置される。温度が上昇するにつれ、内袋は空気により加圧される。内袋が柔軟化したとき、内袋は金型に押しつけられ、次いで冷却される。内袋は一旦冷却されると金型の形状で硬直する。内袋上に複合材料を積層し、次いで最終部品金型内に配置することができる。熱及び空気加圧が付与され、内袋が柔軟化するにつれ、内袋は複合材料を外側の最終部品金型に押しつける。一旦部品が硬化されたら、内袋(依然として高温で柔軟である)を取り除くことができる。この工程は、直管を製造するために使用することもできる。しかしながら、SMARTツーリングは高額となり得る。
【0019】
したがって、屈曲管又はY字管を製造するための第2の解決策は、3Dプリント技術を使用することである。使用し得るシステムの一例として、ストラタシス社のフォータス3D製造システム又はこれに類似したシステムが挙げられる。実際にはこのシステムは、最初に可溶性材料を用いて所望の管形状の内側の3Dモデルをプリントするために使用される。この可溶性材料はアルカリ性である(すなわち、高いpHを有する)。使用が予定される具体的な水管又は廃棄物管の仕様書、及び航空機上でこれらの管の使用が意図されている場所に基づく任意の直径、形状、又は構成で、所望の形状をプリントすることができる。3Dプリントされた工具の表面平滑化を達成するために、材料の後処理が行われる。次いで3Dプリントされた工具の外側に複合材料を積層し(予備含浸繊維、編み物、真空注入、又は任意の他の選択肢)、オーブン又はオートクレーブで硬化することができる。複合材料が一旦硬化されたら、工具及び部品は、3Dプリントされた可溶性材料を溶解する酸性溶液(低pH)の中に浸される。槽から取り出した時には、複合材料管だけが残る。(この工程を、直管を製造するために使用することもできる)。この方法により得られる1つの主要な利益は、湾曲管又はY字管を形成するための高価な製造用工具を製作する必要がないということである。3D形状を予め設計し、3D形状をプリントし、次いで所望の材料を適用することで、任意の数の選択肢を設計及び/又は試験することができる。
【0020】
多くの長繊維複合材料は金属のような衝撃強さを有さないため、廃棄物管に要求される衝撃要求を満たすべく考慮が必要となる。図16に示される曲率半径が変化する屈曲部に加えて、衝撃領域(一般的には屈曲部、及びY字又は引き出し部が直線部に合流する部分)を管の他の部分に使用される材料と同一の材料からなる肉厚部として製造することができる。この向上された強度及び剛性は、衝突物による損傷を最小化する助けとなるであろう。代替的な実施形態において、耐衝撃性材料の板が(管の製造後に、又は管の製造中に)管内にはめ込まれて、この板の周囲の材料にダメージを与えることなく衝撃を吸収する。このような板の非限定的な材料の例は、ポリアリルスルホン(PPSU)、ポリカーボネート(PC)、チタン、CRES、又はその他の任意の適切な材料、又はこれらの組合せを含み得る。図9は、使用される可能性のある管22のY字/引き出し部20を示す。図10は、Y字/引き出し部を有する管22に配置された衝撃パッド24の透視図である。図11は、衝撃パッド24の採用される可能性のある形状及び大きさの一例を示す。図12図14は、衝撃パッド24とは異なる形状を有する衝撃パッド28が内部に配置された屈曲管部26に関する、図9図11と同様の図である。
【0021】
廃棄物管及び水管の製造のために複合材料を使用することの利益の一つは、複合材料により多様な屈曲や曲率半径が可能となり、現在利用可能な従来の管と比較してより高い設計上の柔軟性がもたらされる点にある。複合材料はまた製造がより容易でもあり、変化する曲率半径(不均一曲率半径)及びより大きな曲げという選択肢をもたらす。これらの種類の屈曲は、衝突角度を小さくする(エントリー半径を大きくする)ためにも使用することができ、ゆえに衝突エネルギーの減少となる。例えば、図15は、管に備えられた、一般的な曲率半径が一定の屈曲(屈曲部)を示す。入射線は、屈曲部へと移動してくる衝突物の経路を示す。このシナリオにおいては、衝突物の衝突角度は約30°である。図16は曲率半径が変化する屈曲を示す。このシナリオにおける衝突物の衝突角度は約18°に低減されている。この構成が有益である一つの理由は以下の通りである。すなわち、複合材料はチタン管やCRES管のような衝撃耐性を有さないが、衝突角度をより小さくすることができ、この小さい衝突角度が、複合材料管に与えられる衝撃をより少なくするであろう。廃棄物管又は水管の製造のために使用される典型的な方法は、一般的に、製造工程に多大なコストをかけることなしには、このような曲率半径が変化する屈曲を提供することはできない。
【0022】
さらに、本文中に記載された複合材料の熱伝導率はCRES又はチタンよりも小さく、そのためライン中の水の凍結が生じにくくなるであろう。これは特に航空機において使用する場合には重要な利点である。なぜならば、管内にたまった水が凍って管を破裂させることを防止するために、航空機の水管から適切に排水を行うことは特に重要な事項であるためである。さらに、加熱用フォイル(金属箔)又は加熱ワイヤを本文に記載の複合材料管に一体的に積層することができる。又はインラインヒーターを取り付けても良い。
【0023】
システムを通る空気及び廃棄物の流れを最適化するために、又は航空機内での取り付けに適応させるために、本文に記載の複合材料管を様々な断面形状(例えば円形又は非円形である。非円形は、限定はされないが、長円(楕円)、D形、C形、曲面と平坦面を有する形状、平坦な辺を有する形状、らせん状の内面又は外面を備える形状、又はこれらの任意の組合せを含む)で製造してもよい。例えば、採用される可能性のある断面形状は、長円、三角形、又は矩形であろう。管は、らせん又は他の選択肢のような、軸方向で変化する形状さえ有してよい。例えば、3Dプリントにより製造が容易なオプションとなった内部フィン又は内部突起は、水及び/又は廃棄物の流れを導くか又は補助するために、管の内側に備えられてもよい。実際、上述した3Dプリント技術を航空機の廃棄物管及び水管を形成するために用いるという新たな用途は、これらの様々な断面形状、屈曲、湾曲、及び非直線形の代替的形状を有する管を製造する場合に特に有益である。
【0024】
上述されそして図示された構造及び方法に対する変更、改変、追加及び削除は、本発明の範囲または精神及び以下の請求の範囲から逸脱しない範囲でなされ得る。
図1
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【国際調査報告】