(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534018(P2015-534018A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】自動車内装部品を調節する装置
(51)【国際特許分類】
F16D 63/00 20060101AFI20151030BHJP
B60N 2/44 20060101ALI20151030BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20151030BHJP
F16D 121/14 20120101ALN20151030BHJP
F16D 127/06 20120101ALN20151030BHJP
【FI】
F16D63/00 H
B60N2/44
F16D65/16
F16D121:14
F16D127:06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-536151(P2015-536151)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2013071283
(87)【国際公開番号】WO2014057091
(87)【国際公開日】20140417
(31)【優先権主張番号】102012020023.4
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ステマー、 ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト、 ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】サモイロワ、 タチアナ
【テーマコード(参考)】
3B087
3J058
【Fターム(参考)】
3B087DE09
3J058AB21
3J058BA12
3J058CC07
3J058CC76
3J058FA01
(57)【要約】
本発明は、自動車内装部品用の調節装置(1)に関するものであり、前記調節装置は、例えば車両シート及び/又は前記車両シートの構成要素の1つを調節するために使用され、且つハウジング(3)を含み、ハウジング内に回転要素(2)が回転軸(100)を中心に回転可能に設けられる。第1ロック要素(21)が回転要素(2)に対して回転方向に固定され、第2ロック要素(22)がハウジング(3)に設けられ、前記ロック要素は、ロック要素(21,22)が形状嵌合及び/又は摩擦係合で相互作用するロック状態から、形状嵌合及び/又は摩擦係合が解除される調節状態へと互いに対して可逆的に移動可能である。調節装置はアダプタープレート(23)を有し、アダプタープレートは回転要素(2)とハウジング(3)に対して回転可能に設けられ、且つ少なくとも一時的にロック要素(21,22)を駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内装部品用の調節装置(1)であって、ハウジング(3)を備え、前記ハウジング内に回転要素(2)が回転軸(100)を中心に回転可能に設けられ、第1ロック要素(21)が前記回転要素(2)に対して回転方向に固定され、第2ロック要素(22)が前記ハウジング(3)に設けられ、前記ロック要素は、前記ロック要素(21、22)が形状嵌合及び/又は摩擦係合で相互に作用するロック状態から、前記形状嵌合及び/又は摩擦係合が解除される調節状態へと、互いに対して可逆的に移動させることができ、前記調節装置はアダプタープレート(23)を有し、前記アダプタープレートは、前記回転要素(2)及び前記ハウジング(3)に対して回転可能に設けられ且つ少なくとも一時的に前記ロック要素(21,22)を駆動することを特徴とする、調節装置(1)。
【請求項2】
前記第2ロック要素(22)は、金属部品、特に板金部品として設けられることを特徴とする、請求項1に記載の調節装置(1)。
【請求項3】
前記ばね要素は、好ましくは前記アダプタープレート(23)の方向にプレテンションされることを特徴とする、請求項2に記載の調節装置(1)。
【請求項4】
前記第2ロック要素(22)は締結手段(34)を有し、前記ロック要素は前記締結手段(34)によって前記ハウジングに固定されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の調節装置(1)。
【請求項5】
前記締結手段(34)はスナップファスナーであることを特徴とする、請求項4に記載の調節装置(1)。
【請求項6】
形状嵌合及び/又は摩擦係合手段(32)が、前記締結手段(34)から離れて前記第2ロック要素(22)に設けられ、ロック状態で前記第1ロック要素(21)と形状嵌合及び/又は摩擦係合で相互作用することを特徴とする、請求項4又は5に記載の調節装置(1)。
【請求項7】
前記形状嵌合及び/又は摩擦係合手段は、変形、一次成形又は切断によって前記第2ロック要素(22)の材料に組み込まれることを特徴とする、請求項6に記載の調節装置(1)。
【請求項8】
前記アダプタープレート(23)に設けられた作動手段(36)と相互作用するロック解除要素(35)が、前記第2ロック要素に、特に前記締結手段(34)から離れて設けられることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の調節装置(1)。
【請求項9】
前記ロック解除要素は、前記第2ロック要素の材料に隆起及び/又はくぼみとして設けられることを特徴とする、請求項8に記載の調節装置(1)。
【請求項10】
前記第2ロック手段(22)は、ロック状態から調節状態へ変位方向(101)に沿って少なくとも一部が移動することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の調節装置(1)。
【請求項11】
前記隆起(35)は変位方向に対して斜めの面(35.1)を有することを特徴とする、請求項11に記載の調節装置(1)。
【請求項12】
前記調節装置は車両シートの一部であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の調節装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両シート及び/又はその構成要素の1つを調節するために使用される、特に自動車内装部品用の調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような調節装置は従来技術から知られており、いずれの場合も、調節装置がブレーキリングとブレーキ要素との間の摩擦係合に基づいてロックされることを確実にするロック装置を有する。ロックは、ユーザによって調節動作が開始されるときのみ解除される。しかしながら、振動が発生した場合に、摩擦係合接続が損なわれ、それによって自動車内装部品の意図しない調節が行われるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、特に振動による意図しない調節のおそれが少なくとも低減され、同時に、本来の特性を変えることなく、特にアイドリング行程を増大させることなく、簡単な取り扱い及びモジュール式の、従って特にコスト効率の良い生産が可能になる、調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、特に自動車内装部品用の調節装置であって、ハウジングを備え、ハウジング内に回転要素が回転軸を中心に回転可能に設けられ、第1ロック要素が回転要素に対して回転方向に固定され、第2ロック要素がハウジングに対して回転方向に固定され、前記ロック要素は、ロック要素が形状嵌合及び/又は摩擦係合で相互に作用するロック状態から、形状嵌合及び/又は摩擦係合が解除される調節状態へと、互いに対して可逆的に移動させることができ、調節装置はアダプタープレートを有し、アダプタープレートは回転要素及びハウジングに対して回転可能に設けられ且つ少なくとも一時的にロック要素を駆動する調節装置によって達成される。
【0005】
本発明は、特に自動車内装部品用の調節装置に関する。後者はハウジングを有し、ハウジング内に回転要素が回転軸を中心に回転可能に設けられる。例えば、ハウジングは第1部分に設けられ、回転要素は第1部分に対して回転可能な第2部分に設けられる。また、調節装置は少なくとも第1及び第2ロック要素で構成されるロック装置を有し、第1ロック要素は回転要素に対して回転方向に固定され、且つ第2ロック要素はハウジングに対して回転方向に固定される。2つのロック要素は形状嵌合及び/又は摩擦係合手段を有し、形状嵌合及び/又は摩擦係合手段は、ロック状態では、形状嵌合及び/又は摩擦係合で作用し、それによって少なくとも回転要素とハウジングとの間の意図しない相対運動を極めて実質的に防止する。この形状嵌合及び/又は摩擦係合は、調節状態では可逆的に解除される。
【0006】
好ましい実施形態によれば、第1ロック要素は、2次元の設計、詳細にはディスクの形状及び/又はバーの形状のものである。形状嵌合及び/又は摩擦係合手段は、特に好ましくは構造体、詳細には歯状構造体、詳細には1つ以上の歯である。ロック要素は、特に極めて好ましくは、外周に歯部を有する円形ディスク、詳細にはピニオンであり、前記ディスクは、例えばその中央にある穴によって、好ましくは一体的に結合される係合、詳細には溶接部によって、回転要素に対して回転方向に固定されるように結合される。それによって、有利な方法で従来の標準的な要素を使用できるようにすることが可能となり、このことは、調節装置の高度なモジュール化、及び従って直接的且つ/又は間接的なコスト削減を意味する。また、このようにして有利に第2ロック要素との良好な形状嵌合及び/又は摩擦係合を達成することができる。
【0007】
第2ロック要素は、好ましくは、特に概ね縦方向の延びを有する実質的に2次元の広がりを有し、且つ、特にウェブの形で形成される。第2ロック要素は、好ましくは、曲げ及び/又はパンチング板金部品である。前記ロック要素は、特に好ましくは、ばね鋼から作られる。第2ロック要素は、特に極めて好ましくは、ハウジング全体の断面にわたって、実質的に少なくとも1つの方向に延びを有する。更に好ましくは、第2ロック要素は、特に一端に、少なくとも1箇所に、ハウジングへの固定接続のための締結手段を有する。第2ロック要素とハウジングとの結合は、好ましくは、スナップ結合である。有利な実施形態によれば、固定手段は、当業者に既知の方法でハウジングに固定される、突起部を備えたウェブを有する。第2ロック要素は、好ましくは、調節装置のハウジング全てにわたり中央に延びる。前記ロック要素は、好ましくは、少なくともその中心部に、回転要素が取り付けられる凹部及び/又は形成物を有し、その結果、第1ロック手段及び/又は回転要素は回転可能に取り付けられ、一方、第2ロック要素は固定位置のままである。
【0008】
更に有利な実施形態によれば、第2ロック要素の形状嵌合及び/又は摩擦係合手段は、第1ロック要素の形状嵌合及び/又は摩擦係合手段に対応する構造体として形成される構造体、詳細には歯形構造体を有する。ロック状態では、第2ロック要素の歯形構造体は、好ましくは、第1ロック要素の歯状構造体に係合し、一方、調節状態では、歯形構造体は、歯付き構造体から係合解除される。
【0009】
好ましい実施形態によれば、第2ロック要素の少なくとも一部、詳細には第2ロック要素の一端が、軸方向の変位方向に沿って移動可能に取り付けられることが定められる。詳細には、ロック装置をロック状態から調節状態に変えるために、第2ロック要素は、第1ロック要素の歯が第2ロック要素の歯状構造体から係合解除されるように、少なくとも部分的に変位方向に沿って変位させられる。第2ロック要素は、好ましくは、回転要素の回転軸に平行な方向成分で移動する。しかしながら、回転要素の回転軸に対する第2ロック要素の半径方向の変位方向も考えられる。
【0010】
第2ロック要素は、好ましくは、第1ロック要素の方向又は異なる方向にプレテンションされる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、第2ロック要素はロック解除要素を有し、ロック解除要素は、好ましくは、作動手段と反対方向に面した側にある材料隆起の形態であることが定められている。しかしながら、前記ロック解除要素は、くぼみであることもできる。作動手段は、好ましくは、回転要素及び/又は第2ロック要素に対して移動可能に、詳細には回転可能に設けられたアダプタープレート上に設けられる。作動手段は、特に好ましくは、アダプタープレートから形成される。しかしながら、作動要素は、一次成形によって又は切断法によって、第2ロック要素に設けることができる。アダプタープレートの作動手段は、特に好ましくは、材料隆起に対応する形状を有し、ロック状態では、作動手段は、第2ロック要素のロック解除要素に形状嵌合及び/又は摩擦係合で係合する。前記作動手段は、それによって第2ロック要素に作用する力及び/又はトルクを吸収することができる。しかしながら、第2ロック要素が平面を有し、第2ロック手段が変位方向に沿って変位させられるように作動手段が平面と相互作用するように設けられることも考えられる。
【0012】
特に極めて好ましい実施形態によれば、アダプタープレートは実質的に平坦な広がり、詳細には実質的にディスク状の広がりを有し、アダプタープレートは作動手段を有し、アダプタープレートの作動手段は第2ロック要素との相互作用のために設けられる。ロック状態から調節状態への移動中、第2ロック要素、特にロック解除要素は、第2ロック要素を変位方向に沿って移動させるため、詳細には変位させるために、アダプタープレートの作動手段によって力を受ける。詳細には、ロック状態から調節状態への移動は、ロック解除要素の作動によって、従ってアダプタープレートの作動によっても行われる。
【0013】
特に好ましい実施形態によれば、調節装置は、更に、ロック状態と調節状態との間で移動可能な更なるロック装置を有し、ロック装置は、その結果、回転要素のブレーキリングに対する回転をロックするためのロック位置と、回転要素のブレーキリングに対する回転を解放するためのロック解除位置との間での移動のために設けられる。
【0014】
好ましい実施形態によれば、更なるロック装置は、ロック状態では、ブレーキリングとブレーキ要素との間に形状嵌合及び/又は摩擦係合、詳細には摩擦係合が生じるように設計され、一方、第1ロック装置は、ロック位置では、実質的に形状嵌合係合のみが生じるように設計される。純粋な形状嵌合係合の結合が、有利なことに、振動による回転要素の意図しない調節に対する非常に良好な固定を可能にする。
【0015】
更に別の好ましい実施形態によれば、更なるロック装置は、ブレーキリングと回転要素との間に配置された少なくとも1つのブレーキ要素を有し、ロック装置は、その結果、回転要素のブレーキリングに対する回転をロックするロック位置と、回転要素のブレーキリングに対する回転を解放するロック解除位置との間で移動可能である。
【0016】
ロック解除要素は、好ましくは、ロック装置をロック位置からロック解除位置へ移動させるために設けられる。自動車部品を調節するために、ロック解除要素は、その結果、単に、ロック装置と更なるロック装置の両方のロックを解除するように作動すればよい。ダブルロックにもかかわらず、乗員の快適性を損なうことはない。
【0017】
本発明による調節装置は、好ましくは、シートの高さ調節機構、シートの傾き調節機構、背もたれの傾き調節機構、脊柱前湾サポート調節機構、ヘッドレスト調節機構などの一部である。
【0018】
しかしながら、調節装置は、一部品の他部品に対するいかなる調節にも適している。
【0019】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、図面と、図面を参照した以下の好ましい実施形態の説明から明らかになる。図面は、ここでは単に、本発明の例示的な実施形態を示すものであり、本発明の本質的な概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に係る調節装置の概略図を示す。
【
図3】
図1に記載の調節装置のロック装置の第1ロック要素の概略図を示す。
【
図4】本発明の例示的な実施形態に係る調節装置のロック装置の第2ロック要素の概略図を示す。
【
図5】
図1に記載の調節装置のロック装置の第2ロック要素の概略詳細図を示す。
【
図6】
図1に記載の調節装置のロック状態にあるロック装置の第1ロック要素及び第2ロック要素の概略詳細図を示す。
【
図7】
図1に記載の調節装置のロック状態にあるロック装置の概略詳細図を示す。
【
図8】
図1に記載の調節装置の調節状態にあるロック装置の概略詳細図を示す。
【
図9】
図1に記載の調節装置のロック状態にあるロック装置の概略断面図を示す。
【
図10】
図1に記載の調節装置のロック状態から調節状態へ移行中のロック装置の概略断面図を示す。
【
図11】
図1に記載の調節装置の調節状態にあるロック装置の概略断面図を示す。
【
図12】
図1に記載の調節装置のロック状態にあるロック装置の概略断面図を示す。
【
図13】
図1に記載の調節装置の調節状態にあるロック装置の概略断面図を示す。
【
図14】
図1に記載の調節装置の可能な最大調節経路と共にロック状態にあるロック装置の第1ロック要素及び第2ロック要素の概略詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な図において、同一部分は、常に同一符号が付されているので、一般にいずれの場合も一度だけ名称を挙げ又は言及する。
【0022】
図1は、自動車構成要素(図示せず)用の、本発明の一実施形態に係る調節装置1の概略図を示す。調節装置1は、ロック状態と調節状態との間で調節可能なロック装置20を有する。ロック状態では、好ましくは車両に取り付けたハウジング3に対する回転軸100を中心とする回転要素2の回転が、ロック装置20によって阻止される。ロック装置20は、第1ロック要素21と第2ロック要素22とを有する。第1ロック要素21は、回転要素2に対して回転方向に固定されるように結合される。第1ロック要素21は、形状嵌合及び/又は摩擦係合要素30を有する。第1ロック要素21は、好ましくは、歯車として形成され、従って、その周縁部に歯状構造体30を有する。第2ロック要素22は、好ましくは、ロックばねとして形成され、好ましくは、ハウジング3に固定的に結合される。第2ロック要素22は、好ましくは、線AAに沿って縦方向の全体的な長さと、好ましくは凹部33(
図4参照)とを有し、凹部3には、好ましくは、回転要素2の回転軸が取り付けられる。前記凹部33は、好ましくは、切削又は変形によって作られる。また、第2ロック要素22は、形状嵌合及び/又は摩擦係合手段、例えば、歯形構造体32を有し、形状嵌合及び/又は摩擦係合手段32は、ロック状態で、第1ロック要素21の形状嵌合及び/又は摩擦係合手段30に形状嵌合及び/又は摩擦係合で結合され、それによってハウジング3に対する回転要素2の移動を阻止する。また、第2ロック要素22は、好ましくは、ロック解除要素35を有し、ロック解除要素35によって、前記ロック要素は、ロック状態で、特にアダプタープレート23に設けられた作動手段36に形状嵌合及び/又は摩擦係合で結合される。第2ロック要素のロック状態から調節状態への移行の間、第2ロック要素22は、特に第2ロック要素を弾性変形させることによって、好ましくは回転軸100に平行に、変位方向101に沿って少なくとも一部が作動手段36によって変位させられ、且つ第1及び第2ロック要素間の形状嵌合及び/又は摩擦係合を一時的に解除する。アダプタープレート23は、少なくとも1つの作動手段36と駆動部(ここでは図示せず)とを有し、駆動部によって、ロックを解除するために、詳細には回転するように、アダプタープレートを駆動することができる。駆動部は、当業者に既知の任意の形態をとることができ、当業者に既知の任意の結合によってアダプタープレート23に結合することができる。駆動部は、好ましくは、アダプタープレート23の縁部に結合、詳細には溶接されたレバーである。
【0023】
図2は、
図1に記載の調節装置1の交差線AAに沿った概略断面図を示す。回転要素2は、回転軸100を中心に回転可能に取り付けられる。アダプタープレート23は、ハウジング3と回転要素2の両方に対して移動可能、詳細には回転可能であるように設けられる。アダプタープレートは、アダプタープレート23の回転によって、ロック解除要素35が作動手段36により力を受け、その結果、第2ロック要素22が変位方向101に変位させられ且つロックが解除されるように設計される。このために、作動手段とロック手段の両方が、好ましくは、いずれも少なくとも1つの斜面状の面を有し、その結果として、アダプタープレート23が平面内で移動すると、第2ロック要素22が前記平面に対してある角度で、詳細には直角に変位方向101に沿って移動する。アダプタープレート23は、好ましくは、制限手段受け入れ手段25を有し、アダプタープレート23の可能な調節経路は、ハウジング3の対応する制限手段24によって、作動手段36が第2ロック手段22と接触しなくならないように制限される。これにより、調節装置1の望ましくないロックが有利に阻止される。ハウジング手段は、特に極めて好ましくは、アダプタープレート23をその元の位置に戻すために設けられた、ばね手段37を有する。アダプタープレート23のその元の位置への移動、詳細には回転の間に、第2ロック要素22は、変位方向101に対して反対方向にそのロック位置へと跳ね返る。
【0024】
図3は、調節装置1のロック装置20の第1ロック要素21の概略図である。第1ロック要素21は、ここでは凹部31によって、回転要素2に対して回転方向に固定されるように結合され、且つ、ロック状態では、ここでは歯状構造体30によって、第2ロック要素22と形状嵌合係合で結合する。
【0025】
図4は、調節装置1のロック装置20の第2ロック要素22の概略図を示す。第2ロック要素22は、好ましくは、曲げ板金部品として、詳細にはばね鋼から作られる。前記ロック要素は、好ましくは、ウェブ形状のロックばねとして設計され、凹部33と締結手段34とを有する。第2ロック要素22は、締結手段34及び/又は任意で凹部33によってハウジング3に位置が固定されるように接続され、好ましくは、一端のみ、詳細にはロック解除要素35及び/又は形状嵌合及び/又は摩擦係合手段32の反対側にある端部がハウジングに接続され、その結果、ロック解除要素35及び/又は形状嵌合及び/又は摩擦係合手段32が設けられている他端は、変位方向101に沿って移動することができる。第2ロック要素22は、好ましくは、調節装置1と反対方向に面した側にある材料隆起として設計されたロック解除要素35を有する。前記形成物は、好ましくは、傾斜面35.1を有し、傾斜面35.1は、第2ロック手段の変位方向101の動きを生じるために、作動手段にある対応する面、詳細には斜めの面と相互作用する。ロック解除要素35は、特に好ましくは、角錐台として設計される。ロック状態では、第2ロック要素22は、ロック解除要素35によってアダプタープレートの作動手段36に形状嵌合及び/又は摩擦係合で結合される。回転軸100を中心とするアダプタープレート23の回転によってもたらされるロック状態から調節状態への移行中に、ロック解除要素35は作動手段36により力を受け、それによって変位方向101に沿って移動させられる。この過程で、第2ロック要素22は、好ましくは弾性変形する。また、第2ロック要素22は、形状嵌合及び/又は摩擦係合手段32、ここでは歯形構造体32を有し、形状嵌合及び/又は摩擦係合手段32によって、前記ロック要素は、ロック状態で、第1ロック要素21の形状嵌合及び/又は摩擦係合手段30、ここでは歯状構造体30に形状嵌合及び/又は摩擦係合で結合される。形状嵌合及び/又は摩擦係合手段は、好ましくは、パンチング及び/又は変形によってロック要素22に組み込まれる。
【0026】
図5は、調節装置1のロック装置20の第2ロック要素22の概略詳細図を示す。詳細には、ここには第2ロック要素22のアダプタープレート23及び/又はハウジング3に面する側面が示されている。材料隆起によってもたらされ、且つロック状態で、作動手段36に形状嵌合及び/又は摩擦係合で結合されるロック解除要素35のくぼみは、ロック要素22の歯形構造体32と同様に、明瞭に見ることができる。
【0027】
図6は、調節装置1のロック状態にあるロック装置20の第1ロック要素21及び第2ロック要素22の概略詳細図を示す。第2ロック要素22の歯形構造体32は、第1ロック要素21の歯状構造体30に形状嵌合係合で結合される。
【0028】
図7は、ロック装置のロック状態から調節状態への移行を示す。作動手段36は既にロック解除要素35に対して変位させられているが、まだ歯形構造体32が歯状構造体30から解放され且つ調節装置のロックが解除される程ではない。
【0029】
図8は、調節状態にあるロック装置20を示す。アダプタープレート23及びひいては駆動手段36は、歯状構造体32と歯付き構造体30との間の形状嵌合係合の結合が解除されるのに十分な程度に第2ロック要素22が変位方向101の方向へ移動するように、第2ロック要素22及び特にロック解除要素35に対して変位させられる。アダプタープレート23にある凹部25と協働している、ハウジングに取り付けた制限手段24が、第1及び第2ロック手段間の望ましくないロックをもたらすという結果を招く、アダプタープレートの、ここでは反時計回りの更なる回転を防止することが明瞭に分かる。
【0030】
図9は、調節装置1のロック状態にあるロック装置20の概略断面図を示す。第2ロック要素22は、アダプタープレート23に当接し、好ましくは、アダプタープレート23の方向にプレテンションされる。ロック解除要素35は、作動手段36を受け入れる。歯状構造体30と歯形構造体32は、形状嵌合係合で結合される。
【0031】
図10は、調節装置1のロック状態から調節状態へ移行中のロック装置20の概略断面図を示す。第2ロック要素22は、既に調節装置1のロックが解除される程度に変位方向101に変位させられているが、アダプタープレートは依然として最大の可能な調節経路をカバーしていない。例えば、アダプタープレート23の4°の回転が第2ロック要素22の1mmの調節経路に対応する。これは、この例では完全なロック解除に相当する。ロック要素21,22のロックが解除されているが、アダプタープレートが依然として利用できる調節経路を有することによって、比較的大きな製作公差を許容することができる。
【0032】
図11は、調節装置の調節状態にあるロック装置20の概略断面図を示す。調節装置1は完全にロック解除され、制限手段24は制限手段受け入れ手段25に対して移動させられている。例えば、アダプタープレート23は、ここでは30°回転させられている。
【0035】
図14は
図6と同じ状態を示し、歯状構造体32は、ここではロック要素21,22間に一定量の遊びが設けられるように歯状構造体30に対して配置及び/又は形成されるが、前記遊びは、例えば、最大で9.5°である。回転要素2は同様に、ロック状態でハウジングに対して同じ角度だけ移動することができる。
【0036】
ロック解除位置又は調節状態では、回転要素2は、好ましくは、回転軸100を中心に回転可能な駆動手段によって駆動される。回転要素2は、自動車内装部品、例えば、シートの高さ調節機構、シートの傾き調節機構、背もたれの傾き調節機構、脊柱前湾サポート調節機構、又はヘッドレスト調節機構を作動させるように働く。
【符号の説明】
【0037】
1 調節装置
2 回転要素
3 ハウジング
20 ロック装置
21 第1ロック要素
22 第2ロック要素
23 アダプタープレート
24 制限手段
25 制限手段受け入れ手段、凹部
30 形状嵌合及び/又は摩擦係合手段、歯状構造体
31 凹部
32 形状嵌合及び/又は摩擦係合手段、歯形構造体
33 凹部
34 締結手段
35 ロック解除要素、隆起
35.1 斜面
36 作動手段
37 ばね手段、渦巻ばね
100 回転軸
101 変位方向
AA 断面
【国際調査報告】