(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534173(P2015-534173A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】車両の運転者に指導メッセージを与える方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20151030BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20151030BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/0962
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-531885(P2015-531885)
(86)(22)【出願日】2013年1月15日
(85)【翻訳文提出日】2015年5月15日
(86)【国際出願番号】SE2013000004
(87)【国際公開番号】WO2014042571
(87)【国際公開日】20140320
(31)【優先権主張番号】1251038-4
(32)【優先日】2012年9月17日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル,トレント
(72)【発明者】
【氏名】クロンベリ,ペータ
【テーマコード(参考)】
3D020
5H181
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
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3D020BE03
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5H181FF13
5H181LL20
(57)【要約】
本発明は、多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与える方法に関し、前記方法は、少なくとも一つの指導作業を含む改善領域を前記指導システムに割り当てること、指導作業を実行すべき運転状況を識別すること、前記指導作業及び前記運転状況に基づいて、所望の運転挙動を促す指導メッセージを選択すること、及び前記選択された指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを使用して前記ドライバに与えること、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与える方法であって、
− 少なくとも一つの指導作業を含む改善領域を前記指導システムに割り当てること、
− 指導作業を実行すべき運転状況を識別すること、
− 前記指導作業及び前記運転状況に基づいて、所望の運転挙動を促す指導メッセージを選択すること、
及び
− 前記選択された指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを使用して前記ドライバに与えること、
を含む方法。
【請求項2】
− 前記与えられた指導メッセージに対する運転者の応答を記録すること、
及び
− 前記所望の運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を判定すること、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所望の運転挙動と前記運転者の応答との間の関係に基づいて目標達成を決定すること、を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の決定された目標達成を加算することにより累積された目標達成を決定すること、を更に含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
目標達成あるいは累積された目標達成に基づいて、前記指導システムに割り当てる改善領域を選択すること、を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
改善領域を割り当てることは、改善領域を運転者が手動操作で割り当てること、改善領域を第三者が遠隔操作で割り当てること、あるいは改善領域を指導システムが自動的に割り当てること、を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
改善領域を運転者が手動で割り当てることの許容度が、前記運転者について累積された目標達成に基づいて決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記改善領域がバックオフィスユニットによって割り当てられる、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記運転状況及び前記対応する指導作業が記録されて前記運転者がオフライン状態で再検討できるようにし、それによって前記運転者が更なる指導メッセージを受けられるようにする、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記指導メッセージが、予め定められた複数の指導メッセージから選択される、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記指導メッセージが、累積された目標達成に基づいて選択される、請求項4乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記複数の指導メッセージが、各指導作業についての詳細の度合いが異なる複数の指導メッセージから成る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記記録された運転者の応答が、望ましい運転挙動についての今後の基準として使用される、請求項2乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
運転者に指導メッセージを与える車両内指導システムであって、
− 多モードユーザーインターフェース、
− 運転状況を決定するように構成された複数のセンサ、
− 前記複数のセンサにより識別された運転状況及び割り当てられた改善領域に基づいて、所望の挙動を促すべく与えられる指導メッセージを決定するように構成された処理装置、
を備え、
前記処理装置は、前記指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを介して前記運転者に与えるように更に構成されている、指導システム。
【請求項15】
前記処理装置は、指導作業に対する運転者の応答に関連してその指導作業に対する望ましい挙動を評価するとともに、その評価結果をメモリー記憶装置に記憶するように更に構成されている、請求項13に記載の指導システム。
【請求項16】
多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与えるコンピュータプログラム製品を実現するコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータプログラム製品は、プロセッサにより実行されるときに、
− 少なくとも一つの指導作業を含む改善領域を前記指導システムに割り当て、
− 指導作業を実行すべき運転状況を識別し、
− 前記指導作業及び前記運転状況に基づいて、望ましい運転挙動を促す指導メッセージを選択し、
及び
− 前記選択された指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを使用して前記ドライバに与える、
ように構成されたコードを含んでいるコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の望ましい運転挙動を促すために車両の運転者に指導メッセージを与える方法に関する。本発明はまた、対応する指導システム及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転は、かなり多数の異なる作業を必要としており、それらには、例えば距離及び車線の維持、(例えば直線道路上を運転しあるいはロータリーに入るときの)一般的な認識、及びより複雑な交通状況、並びに具体的には車両の安全かつ経済的な運転に関連する問題が含まれている。
【0003】
現代の車両には、これらの作業を簡単にする異なるシステムが一般的に設けられていて、例えばギヤシフトを最適化する電子システムや、車間距離の維持を考慮するアダプティブクルーズコントロールシステム等を用いている。
【0004】
加えて、車両の安全でない運転挙動を指摘するフィードバックを車両の運転者にもたらす、車両内の教育的なシステムの実施についての大きな進歩がなされてきた。そのようなシステムは、例えば、運転者が眠くなりつつあることをシステムが識別した場合に運転者に休むように指示する可能性を考慮し、あるいは車両の運転に関する規則の遵守に運転者が失敗した場合にフィードバックをもたらすことができる。例えば、彼/彼女が携帯多機能電話によって気が散っている(例えば長時間にわたって道路から目を離しているように見える)場合に、即時のフィードバックを運転者に与えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
法律の遵守を怠っているときにあるいは安全かつ経済的な運転でないときに運転者を正す改善がなされてきたが、望ましい運転挙動に従って車両を運転するように運転者を促すためには、更なる改善をもたらすことが望ましい。特に、特定の運転状況において、運転者にかける期待に運転者を最適な方法で従わせるべく、運転者へのフィードバックを適合させる可能性を考慮することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によると、上記の課題は、多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与える方法により、少なくとも部分的に満たされる。そして、この方法は、少なくとも一つの指導作業を含む改善領域を有する指導システムを割り当てること、指導作業及び運転状況に基づいて指導作業を実行すべき運転状況を識別すること、望ましい運転挙動を促す指導メッセージを選択すること、選択された指導メッセージを、多モードユーザーインターフェースを使用して運転者に与えること、を含んでいる。
【0007】
割り当てられる改善領域は一般的なものとすることができ、例えば「効率的な運転」あるいは「安全運転」といった領域の全体を記述する。他の状況あるいは実施形態においては改善領域がより具体的であり、例えば「経済運転/燃費」、「損耗」、「不注意」及び「危険な挙動」といった、言及した領域の下位部分であり得るより下位レベルのカテゴリーを記述する。カテゴリー自体は、例えば急坂において、燃料効率がよい方法でギヤシフトする方法、困難な横断において、車両を扱う方法、あるいは安全な前方距離の維持といった運転者の日々の運転作業とし得る、特定の指導作業あるいは状況を含むことができる。いくつかの状況あるいは実施形態においては、改善領域として1つの指導作業あるいは複数の作業を割り当てることができる。
【0008】
本発明は、運転の様々な態様に関して運転者挙動を改良する効率的かつ教育学的な方法は、様々な運転イベントに対する応答において、車両の運転者に望ましい挙動を促すことである、という理解に基づいている。改善領域が指導システムに割り当てられると、指導システムは、指導が必要とされる運転状況が確認されたときに運転者に指導メッセージを提示する。それによって、指導メッセージは、特定の作業ばかりでなく、例えば外部、車両あるいは運転者に関連する状態といった、作業を遂行する状況に基づくものとすることができる。
【0009】
運転状況には、車両の運転状況及び運転者の状況を含めることができる。次いで車両の運転状況には、例えば雨、降雪、暗闇といった環境条件を含めることができる。運転状況には、車速、交通混雑、車線変更、前方の列、及び類似の車両及び交通に関連する状態を含めることができる。運転者の状況は、他方では運転者の状態に関連し、例えば運転者の眠そうな状態、作業負荷、注意散漫レベル、意思、機能障害等のパラメータを指すことができる。
【0010】
運転者には、車両統合運転者指導システムが与えられ、そのシステムは、(例えば機関システム、空調システム、タコグラフ等の)基本的な車両システム、アクティブセーフティシステム、危険な運転イベント(例えばでき事、ほとんど衝突、衝突)を取り込むシステム、(例えば、特定の道路区分上で特定の車両トレーラの組合せを最適に扱う方法といった)目標とする指導イベントを取り込むシステム、情報(例えば、CANデータ、アクティブセーフティシステムデータ、例えばスマートフォン加速度計あるいはGPSデータといった追加のセンサデータ)及び映像(例えば、車両と一体化されたカメラ、多機能電話、あるいは追加のカメラで取得した映像)を、テレマティックス(例えば車両内テレマティックスシステム、スマートフォン)を用いて、車両から離れた分析センター(例えばオンラインチャットサービス、記録されたメッセージ、手動あるいは自動の分析を与えるトレーニングセンター)に/から伝達できるシステムからの情報を用いる。
【0011】
指導メッセージは、好ましくは、指導システムの多モードユーザーインターフェースからのオーディオ、音声、映像あるいは触覚型の出力、あるいはそれらの組み合わせの形態で与えることができる。多モードインタフェースは、オーディオ、音声、映像あるいは触覚型の出力のうちの少なくとも2つによって、運転者に出力を与えることができるインタフェイスと理解されるべきである。指導メッセージの供給形態は、例えばイベントのタイプ、周囲の状況及び運転者の状態といったパラメータの範囲によって、自然に決まる。例えば、交差点の左側に目を向けるように運転者を促す指導メッセージは、音声指示と視覚的指示とを組み合わせることができる。更に視覚的指示は、望ましい挙動、例えばフロントガラスの左側部分の視覚的指示に基づくものとすることもできる。それに代えて、あるいはそれに組合せて、視覚的指示は運転者の確認された挙動に基づくものとすることができる。例えば、運転者が右側に目を向けている場合、運転者が左側に目を向けるべきことを示す表示をフロントガラスの右側に与えることができる。
【0012】
本発明の一実施形態では、この方法は、与えられた指導メッセージに対する運転者の応答を記録すること、及び望ましい運転挙動と運転者応答との間の相関を決定することを更に含むことができる。
【0013】
車両統合運転者指導システムは、指導作業を実行できる運転状況の決定ばかりでなく、指導メッセージを与えた後の運転者応答の記録も可能にすることができる。指導システムは、例えば難しい交差を通るナビゲーションの間におけるタイミング、速度、位置及びブレーキペダル圧力を記録できる。記録し得る他の可能性のあるパラメータは、例えば運転者の反応時間、視覚的な注意方向、必要に応じて方向指示器の使用等である。記録された情報は、評価され、望ましい運転挙動と比較される。望ましい運転挙動と記録された運転者応答との間の相関は、実行された指導作業についての目標達成あるいは運転者のスキルレベルの決定若しくは定量化に用いられる。
【0014】
本発明の一実施形態によると、この方法は、望ましい運転挙動と運転者応答との間の相関に基づいて目標達成を決定することを更に含むことができる。目標達成の追跡は、運転者の進歩あるいはスキルレベルの追跡に用いるツールとすることができ、次には証明を与えあるいは運転レッスンを評価するために用いることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、この方法は、複数の目標達成の決定を加算することにより累積された目標達成の決定を更に含むことができる。
【0016】
発明者らは、目標達成の定量化及び蓄積が、運転者の教育学的な発達ばかりでなく、例えば手動のあるいは自動の分析及び指導システムの方法における異なるステップの適合といった、更なる使用にとっても有用であり得ることを理解した。本発明の状況において、累積された目標達成の定量化は、運転者の進歩あるいは熟練に対応するスキルレベルの測定を可能にするとともに、より低いレベルがより初心者である運転者に対応し、より高いレベルがより熟練した運転者に対応するという、少なくとも2つの予め定められたスキルレベルに定量化できる。好ましくは、より細かい定量化は、追加的に中級、及びおそらくはトップの実行者あるいはエリートレベルを含めることになる。他の実施形態においては、限定するものではないが、1〜100の数値的な尺度といった、更に細かい尺度を有することがより好ましい。
【0017】
スキルレベルは、運転者の全般的な運転の熟練、あるいは例証される領域、カテゴリーまたは特定の指導作業のいずれか一つにおけるスキルレベルを示すことができる。有利には、この方法は、複数の指導作業における別個のスキルレベルの同時追跡を可能にするとともに、これらのスキルレベルに基づいた複数のカテゴリーにおけるスキルレベルの相関の決定、翻って複数の領域におけるスキルレベルの決定、及び運転者の全般的な技術力の決定を可能にする。スキルレベルのこの連鎖におけるいくつかの相関は強いが他の相関は弱いあるいは存在しない場合があり得るし、指導的作業が複数のカテゴリーあるいは領域に相関する場合があり得る。例えば、前方距離を保つ作業のスキルレベルは、安全な運転及び効率的な運転の両方に、及びおそらくは各領域のいくつかのカテゴリーに相関し得る。
【0018】
本発明の様々な実施形態による方法は、商業的な車両群の運転者をモニターして訓練するために有利に用いることもでき、車両群のマネージャは個々の運転者の特定の領域における改善を確認できる。この方法はまた、新しい車両あるいは難しい交通状況の取り扱いを運転者に教育する効率的な方法をもたらし、個人的な指導の必要を減少させる。加えて、目標達成の追跡は、運転者のあるいは車両群の運転者グループの「ゲーム」あるいは「競争」として用いることができ、それによって、運転者が予め定められた目標に到達するための追加のインセンティブを与える。
【0019】
更に、商業車両の車両群の管理者は、安全性の挙動及び燃費の両方に関連して車両を最適に運転するべく運転者を訓練する必要がある。改善された運転者挙動は、衝突関連の経費、損耗関連の経費及び燃料費の形態におけるコストの削減に強く関連する。
【0020】
運転者の経験は、運転者に訓練のヒント及びコーチングをもたらすために、車両のインテリジェント車両システムと分析センターのオンライン接続の両方が用いられるもののひとつである。
【0021】
加えて、この方法は、目標達成あるいは累積された目標達成に基づいて指導システムに割り当てる改善領域を選択することを含むことができる。
【0022】
割り当てられた改善領域において、指導メッセージにより示唆される望ましい挙動との関係で運転者がどれだけ良好に実行するかを決定することにより、改善領域の今後の割当てを制御できる。例えば、望ましい挙動と検出された挙動との間の相関が特定の作業について低い場合、指導システムは、運転者が少なくとももう1回、その作業を教育とともに実行するべきであると決定できる。他方、望ましい挙動と検出された挙動との間の相関が高い場合、運転者は更なる教育を必要とすることなくその作業を扱うことができると決定できる。更に、記録された運転者の挙動をデータベースにもたらして、オフラインモードでの指導あるいは特定の運転者の様々な改善領域に関する熟練の追跡に使用するべく、更に評価できる。記録された運転者挙動は、実行される作業の予定を定めあるいは更新するために用いることもできる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、改善領域を割り当てることは、改善領域を運転者が手動操作で割り当てること、改善領域を第三者が遠隔操作で割り当てること、あるいは改善領域を指導システムが自動的に割り当てることを含む。特定タイプの運転イベントにとって教育が望ましいことを運転者が理解している場合、あるいは例えば「燃料効率モード」といった特定モードの運転が必要とされる場合、改善領域の割当ては、例えば運転者により実行できる。上述したように、改善領域は、車両群のマネージャにより、運転インストラクタにより、あるいは特定の運転作業の熟練レベルの維持を狙いとして予定される指導統治の一部として、前もってあるいは遠隔操作で設定することもできる。
【0024】
更に、本発明の一実施形態において、改善領域を運転者が手動で割り当てることの許容度は、運転者について累積された目標達成に基づいて決定される。運転者が手動で改善領域を割り当てる可能性を制御できることは、有利であり得る。例えばより高いスキルレベルの運転者、例えばトップの実行者については、改善領域あるいは達成すべき目標の割り当てが運転者に許可されており、かつそれについての責任の度合いを変更可能である場合、効率的であり得るとともに運転者許容度のより高い程度に結びつく。より低いスキルレベルの運転者、例えば初心者については、改善領域あるいは達成する目標の手動による割当てを許容することは不適当であり、あるいは逆効果であり得る。累積された目標達成、例えばスキルレベルに基づいて、改善領域を割り当てる度合いを変化させることは有利であり得る。この実施例において、運転者は、個人のスキルレベルが高まるにつれて個人の改善領域を手動で割り当てるように指導システムが運転者を次第に促すことを経験し、その結果として自動的に割り当てられた改善領域、好ましくは第三者、例えば車両群のマネージャあるいは第三者のサービスプロバイダであり得るバックオフィスユニットにより割り当てられる改善領域の数が減少する。
【0025】
本発明の一実施形態において、指導メッセージは、予め定められた複数の指導メッセージから選択できる。指導メッセージあるいは与えられるメッセージの一部は、様々なイベントについて定義された、複数の予め定められたメッセージから選択できる。しかしながら、識別された運転状況及び運転者状況に応じてメッセージが適合されるので、メッセージの生成を動的なものとすることもできる。
【0026】
更に、累積された目標達成に基づいて指導メッセージを選択できる。そのため、例えばスキルレベルを参照すると、1つの運転状況についての指導メッセージは極めて記述的であるとともに初心の運転者のための指導を含むが、一方では中間運転者のための指導メッセージはサポートとなるヒントを含み、トップ実行者のための指導メッセージは自己評価のための移動後レビューだけを含むことができる。
【0027】
本発明の一実施例による方法は、望ましい運転挙動のための今後の基準として、運転者の記録された応答の使用を可能にする。例えば、燃費あるいは損耗の観点において、運転者が望ましい運転挙動よりも良い結果を達成した場合、このことは、今後の望ましい運転挙動としてこの記録された挙動を指導システムが用いることのきっかけとなり得る。
【0028】
本発明の別の態様によると、運転者に指導メッセージを与える車両内指導システムであって、多モードユーザーインターフェース、運転状況を判定するように構成された複数のセンサ、前記複数のセンサにより識別された運転状況及び割り当てられた改善領域に基づいて、所望の挙動を促すべく与えられる指導メッセージを決定するように構成された処理装置、を備え、前記処理装置が、前記指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを介して前記運転者に与えるように更に構成されているシステムが提供される。多モードユーザーインターフェースは、オーディオ、音声、視覚的若しくは触覚的な出力、あるいはそれらの組み合わせをユーザにもたらすように構成できる。視覚的な出力は、例えば車両のフロントガラスに、あるいは車両の運転者に視覚的なメッセージを動的に与えるための類似の設備に配置された、ヘッドアップディスプレー(HUD)を含むことができる。更に、彼/彼女の注意を右側に向けるように運転者に促す警報が車両の右側から来たように思えるように、オーディオあるいは音声出力を指向的なものとすることができる。
【0029】
本発明の一実施形態では、処理装置は、その指導作業に対する運転者の応答との関係において、その指導作業についての望ましい挙動を評価するように、かつその評価結果をメモリー記憶装置に記憶するように、更に構成できる。メモリー記憶装置は、車両内に配置して実施できるし、あるいは指導システムが通信するリモート記憶域とすることができる。更に、作業が完了した直後に評価を実行し、あるいは外部システムによる後からの評価のために作業及び応答を記憶することもできる。
【0030】
本発明のこの態様の更なる作用及び特徴は、本発明の以前の態様との関係において、上に記載したものに類似している。
【0031】
本発明の別の態様によると、多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与えるためのコンピュータプログラム製品を実現するコンピュータ可読媒体が提供され、そのコンピュータプログラム製品は、プロセッサにより実行されるときに、指導作業を指導システムに割り当て、指導作業と運転状況に基づいて指導作業を実行すべき運転状況を識別し、望ましい運転挙動を促す指導メッセージを選択し、選択したメッセージを、多モードユーザーインターフェースを使用して運転者に与えるように構成されたコードを含む。
【0032】
処理装置は、好ましくは車両の制御装置、コンピュータ、サーバあるいは同様のものに設けることができる。また、コンピュータ可読媒体は、脱着自在の不揮発性ランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、CD―ROM、DVD―ROM、USBメモリー、SDメモリーカード、あるいは(現時点で及び将来的に)公知の類似のコンピュータ可読媒体のうちの一つとすることができる。本発明は、ソフトウェア及びハードウェア要素の組合せを用いて実施できる。
【0033】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の請求の範囲及び以下の説明を考慮するときに明らかになる。本発明の範囲から逸脱しない範囲で、以下に説明するもの以外の実施形態を作り出すために本発明の異なる特徴を組み合わせ得ることは、当業者が理解するところである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の種々の態様は、その特定の特徴及び利点を含めて、以下の詳細な説明及び添付の図面から容易に理解されうる。
【
図1】その前端部に外部センサ及び座標系を有する車両の斜視図である。
【
図2】内部センサを備えている車両の内部の斜視図である。
【
図3】車両運転者の顔面及び頭部の座標系を図示している。
【
図4】内部センサ及び多モードフィードバック手段を備える車両の内部の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで本発明について、添付の図面を参照しつつ、以下により完全に説明するが、そこにおいては本発明の目下のところ好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で実現できるとともに、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきでなく、むしろこれらの実施形態は完璧性及び完全性のために与えられており、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるものである。類似の参照文字は、全体にわたって類似の要素を指す。
【0036】
以下において、本発明は、車両の運転者に指導メッセージを与えるためのシステム及び方法に関して記載される。この車両は、好ましくは、車両の運転者の情報を取り出すための内部センサと、車両の運転並びに車両の周囲環境の情報を取り出すための外部センサとを備えている。より良い理解のためのために、内部及び外部のセンサは
図1〜
図3に関連して記載される。
【0037】
図1は例示的な車両を示しており、本発明によるシステムを組み込むことができる車両100として図示されている。車両100には、外部センサ104が設けられており、例えば追い越し、車速、車両のヨーレイト等といった車両の動作、対象物、領域、車両の周囲環境、例えば車線マーキング、道路標識、道路の曲線、周囲の車両等を検出するように配置されている。外部センサ104は、例えばカメラあるいはレーダセンサとすることができる。好ましくは、カメラとレーダセンサの組合せを用いることができる。対象物の高さと幅を決定するときにカメラが高い精度をもたらし、一方、対象物までの距離を決定するときにレーダセンサが高い精度をもたらすからである。これにより、周囲の対象物のサイズ、位置、速度、加速度、その他を決定できる。
図2は、車両の運転者202を含む車両100の内部を図示している。車両100には内部センサが設けられており、ここではカメラシステム204として図示されている。カメラシステム204は、車両を運転する間における車両の運転者202の挙動を測定しかつ検出するように配置されて、車両の運転者の目、顔面、頭部及び胴体の運動の少なくとも一つに関する情報を含む生理学的データを表す、運転者の運動の入力信号を生成するように構成できる。
【0038】
更に、カメラシステム204は、運転者の顔面、頭部あるいは上部胴体の予め定められた数の位置に焦点を集めるように配置できる。これらの位置は、例えば、目、まぶた、眉、鼻、口、頬、首、肩、腕等とすることができる。カメラシステム204は、車両を通常運転する特定の運転者202のために予め較正し、あるいは運転者202が車両100の運転席に入る毎に較正できる。カメラシステム204が運転者の顔面あるいは頭部の異なる位置を検出しているので、カメラシステム204にとって顔の挙動の推定が可能である。したがって、カメラシステム204は、例えば頭部及び目の方向と動き、その派生物、頭部の姿勢、眼球の左右の動き、頭部と眼球の左右の動きの組み合わせ、目を閉じること、目を閉じる速さを検出できる。
【0039】
カメラシステム204はまた、運転者の頭部あるいは目の右回転あるいは左回転(ヨー)305、上方あるいは下方への回転(ピッチ)306、または頭部が移動する場合において、右肩あるいは左肩に向かう傾き(ロール)307を検出することもできる。この情報は、道路から目を離す方向への(及び/または特定の車両内の装備への)一瞥の周波数分析及び持続時間に基づいた、注意散漫の最近及び現在のレベルを決定するために用いることができる。道路から目を離す方向の長い一瞥は、一般的に安全性にとって有害である。同じことは、運転者が前方の道路と(道路を見るバックミラーではない)第2の対象物との間で繰り返して前後を見る、長時間の視覚的なタイムシェアリングにも当てはまる。
【0040】
更に、内部センサもまた、カメラシステム204に代えてあるいはそれに加えて、他のタイプの運転者検出手段を含むことができる。これは、例えば、操舵挙動を検出するための操舵輪センサ、車両100の一貫しない加速及び/または制動を検出するためのアクセルペダル及び/またはブレーキペダルのセンサ、及び運転者202が情報エンターテイメントシステム等の様々な機能のいずれかを調整しているかどうかを検出する車両100の様々なボタンのセンサ、を含むことができる。内部センサの更なる実施例には、運転者の認識状態を監視するための呼吸分析センサあるいは瞳孔サイズセンサを含めることができる。更に他の実施例は、車線変更挙動を判定するための方向指示器の使用とすることができる。
【0041】
図4を更に参照すると、車両100には、運転者202に対し高品位のフィードバックをもたらす多モードインタフェースが追加的に設けられている。図示の実施例において、この多モードインタフェースは、典型的に車両100のフロントガラスに一体化されたヘッドアップディスプレイ(HUD)402を含んでいる。加えて、
図4の多モードインタフェースは、車両コンパートメント内の右側に配置されたスピーカ404と、車両コンパートメント内の左側に配置された対応するスピーカ406を有している。加えて、指導システムの創意に富んだ概念に従って、例えば特定の指導の作業あるいは特定の指導の統治をユーザが制御しあるいは割り当てることができるようにする、指導システムの制御インタフェイス408(例えばタッチスクリーン)を設けることができる。
【0042】
更に、本発明を大まかに参照すると、ヘッドアップディスプレイは、例えば右方向を指す「矢印」410を作り出すことにより運転者が特定のやり方でふるまうように促す、異なるタイプのグラフィック指示が運転者202に見えるように構成できる。やがて現れる交通状況(すなわち車両の運転状況)により、中央車線414から右側車線416への車線変更を運転者に促すフィードバックを与えるために、そのようなグラフィック指示は、右側のスピーカ404から与えられる音声指示と組合せてヘッドアップディスプレイ402に現れるように調整できる。
【0043】
本発明の更なる理解をもたらすために、以下に与える説明において、指導的メッセージを与える方法の概念がより詳細に例証される。
【0044】
この実施例において、指導システムに割り当てられる一般的な改善領域は「安全運転」である。運転状況は、車両が中央車線414に位置しており、やがて現れる交差点が右側車線416への車線変更を運転者に求めるというものである。指導システムがこの状況を確認すると、ヘッドアップディスプレイ402の右上の角部に矢印410を示すとともに「右側への車線変更」と言う音声メッセージを右側スピーカ404から与えることにより、運転者は車線変更を実行すべきことが通知される。更にまた、指導システムは、車線変更が安全である、すなわち右側車線に車両が存在しないことを保証するために、他の車両安全システムからの情報を考慮することができ、それによって、その望ましい作業を遂行することが最も安全であるときにメッセージが与えられるようにメッセージのタイミングを調整できるようにする。詳しくは、車線維持挙動の指導は、車線内の位置の変化、(車線マーキングまでの横方向の距離及び横方向の速度によって決まる)車線を横断するための推定時間の測定を含む。距離維持挙動の指導は、自車の速度、先行車両の速度、衝突までの推定時間、並びに縦速度の変動の測定を含み、縦速度の大きな変動は燃費にとって有害である。更に、燃費を考慮するときには、ギヤ及び速度の選択が重要である。
【0045】
指導システム他の例示的な実施形態において、指導メッセージは、自動的にあるいは改善のキー領域を決定する人(例えば車両群のマネージャあるいは第三者のサービスプロバイダ)によって、運転者の行為の分析が実行されるプロセスにより、更にサポートされる。これらの改善領域は、運転者が車両に戻るときに起動する指導のためのベースとなる。したがって、運転者は、これらの改善領域における指導及びフィードバック(及び彼/彼女の行為の記録)を受ける。例えば、運転者の行為は、距離の維持(典型的に先行車に対し短すぎる距離を維持する)及び燃費に関して不十分であり得る。したがって、運転者は、距離を保つ挙動及び燃料の使用についての指導を受ける。この指導は、目標レベルと、この目標レベルを満たす能力を含む。
【0046】
更に、指導システムは、与えられた指導の結果としての運転者の応答を検出して記録するとともに、運転者の望ましい挙動と実際の挙動を関連付ける評価を実行する。この評価に基づいて「安全運転」の改善領域を再び定義できる。相関が高い場合は、やがて現れる同じタイプのイベントについて指導メッセージが与えられないように、特定の作業を改善の一般領域から取り除くことができる。代わりに、もしも相関が低い場合は、同じタイプのやがて現れるイベントについて少なくとも所定の回数の指導メッセージを与えるべく、「安全運転」の改善領域を再び定義できる。
【0047】
加えて、指導システムは、更に挙動の定量化を可能にするべくイベントをカテゴリー化することができる。「安全運転」の改善領域を参照する実施例において、イベントは、建設的なフィードバック及び学習のための「ネガティブ」イベントに、あるいは肯定的なフィードバック及び強化のための「ポジティブ」イベントにカテゴリー化することができる。加えて、この実施例においては、前述したカテゴリーの各々を「ネガティブ」イベントは「でき事」、「ニアミス」あるいは「事故」というサブカテゴリに分けることができる。「でき事」において、運転者は、予め定められた基準、例えば好ましい運転挙動に従って、安全に行動することに失敗している。「ニアミス」は、運転者が、行動する時間を有していたにもかかわらず、行動を失敗した後に衝突をかろうじて逃れたこと示している。最後に「事故」においては、運転者は衝突に巻き込まれている。同様に「ポジティブ」イベントは、「回避した」、「逃れた」、「軽減された」とすることができる。「回避した」イベントは、危険な状況に終わり得たイベントを、先を見越して回避したことを意味する。「逃れた」イベントにおいては、運転者は潜在的に危険なイベントを能動的にかつ首尾よく回避した。安全性が危険な状況の衝撃を運転者が能動的にかつ首尾よく低減させたイベントは、「軽減された」にカテゴリー化される。より詳細な実施例は、状況の観点から説明できる。注意散漫の警告を受けた運転者は「でき事」に遭った。道路から目を離したという警告の後、同時にアプローチ車線内にドリフトした運転者は「ニアミス」に遭った。「ニアミス」を経験した運転者が接近している車両に衝突した場合は「事故」に分類される。他の状況において、厳しい交通状況に先だって先を見越して車速を低下させた運転者は「回避した」と分類されるイベントに遭った。急ブレーキを掛けた先行車を回避するために運転者がブレーキを掛けてそれる状況は、「逃れた」イベントに分類される。そして、この状況の運転者が首尾よく速度を低下させたが衝突を回避できなかった場合は、「軽減した」イベントに分類される。例証したカテゴリー化は、例えば運転行為のスコアといった、1種類の目標の達成を可能にする。前述したカテゴリーは、1つの別個の状況において評価できるスコア、あるいは例えば技術レベルといった累積された目標達成を構築するために用いられるスコアに有利に対応し得る。「回避した」イベントは運転者に高いポジティブスコアを与え、「逃れた」イベントは中程度のポジティブスコアを与え、かつ「軽減した」イベントは小さいスコアである。それに応じて「でき事」は小さい罰則を下し、「ニアミス」は中間の罰則を意味し、かつ「事故」は高い罰則を与える。イベントの評価は、運転状況を考慮に入れることもできる。
【0048】
本発明の他の例示の実施形態において、車両にともに乗っている運転インストラクタによって与えられるのに似たフィードバックが運転者に与えられる。運転インストラクタを助手席に座らせる代わりに、車両は、予め録音してあるメッセージ、彼/彼女が誤ってしたこと及びそれに代えてすべきであったことを運転者に指示する視覚的、触覚型/触覚的及び音響的なフィードバックが使用可能になる。このシステムは、交通規則のさまざまな違反を検出するとともに、運転者に指摘しかつ説明することにより、車両内の運転教育者がそうするようにタイムリーにフィードバックすることができる。
【0049】
1つの実施例において、指導は、車両群のマネージャあるいは第三者のサービスプロバイダとすることができるバックオフィスユニットにより管理される。記録された運転データは、バックオフィスユニットにリアルタイムで流れる。このユニットは、運転者の行為を判定するために自動的な分析及び手動的な分析を利用し、次いで運転者の行為は指導の内容及び今後のステップを適合させるために用いられ、かつ運転者にフィードバックされる。
【0050】
指導モードは、車載運転支持システムの感度を高めることを更に含み、指導モードにおいて、それらがより容易に起動するようにする。これは、ドライバにとってより直接的なフィードバックを可能にする。反対に、非指導モードにおいてはシステムの感度は鋭敏ではない。
【0051】
指導システムは、自己評価及び更なる指導のために運転後のレビューとして運転者に示される教育学的な指導メッセージを作り出すために、以前に記録されたイベントの(ビデオを含む)データベースを利用できる。同様に、このデータベースは、車両群のマネージャ、同僚の運転者、または初心者あるいは10代の運転者の場合には運転インストラクタあるいは親がモニターし、かつフォローアップすることができる。
【0052】
1つの実施例において、運転者は、初心者、中間、熟練した、あるいはトップの実行者に分類できる。運転者の技術は作業に依存するので、1人の人物が、1つの作業においては熟練しているが、それと同時に他の作業においては初心者となり得る。したがって、この実施例において、技術力の推定が作業に依存することは極めて重要である。1人の人物は、ドッキングベイへの後退においては極めて熟練しているが、それと同時に、(気が散ることなしに)運転している間に注意を怠らないことには初心者であり得る。
【0053】
スキルレベルは、コーチングあるいは指導の構成がスキルレベルに基づいて適合されるフレームワークにおいて、更に用いることができる。運転者の所与の作業についての能力が初心者であると考えられるときに、指導メッセージは、如何にして作業を首尾良く遂行するかについての段階的な指導を特定する、事実上教育的なものになる。また、システムあるいは車両群のマネージャは、典型的に、初心者の運転者のために目標レベルを設定するとともに、運転者の行為をフォローアップする。同様に、中間の運転者は、よりコーチング的なやり方で教えられ、指導メッセージは、段階的な指導ではなくヒント及び心得によって定められる。システムあるいは車両群のマネージャは、行為についてのフィードバックを与える。更に運転者は、目標設定の一部である。熟練した運転者は、より多くのコーチング及びサポート情報を用いて教育される。システムは、運転者が正しい決定をしかつ良好に行動するようにサポートする。例えば、熟練した運転者について、フィードバックループは、バックオフィスによる監視及びフィードバックではなく自己学習ツールをその代わりに含むことができ、運転者が自分自身の目標設定に対して責任があるとともに行為をフォローアップする。トップの実行者であると考えられる運転者については、教えることは最低限に設定され、その代わりに運転者は目標を設定して行為をモニターすることを促される。運転者の行為は、他の運転者を測定する同僚基準の基礎として更に用いることができる。ドッキングベイにトレーラを後退させようとしている個別指導が起動している初心者の運転者は、例えば作業を完了させるために、トラックを後退させる前にどのように位置決めするか、後退に適した速度、視覚的な挙動及びミラーの使用といった、彼の行為に対する連続したフィードバックを受ける。より高度な実施形態において、初心者の運転者は、後退し始める前のトラックの最適位置並びにドッキングベイに対する最適な進入路を、地図ベースの図面によってサポートされる。最適な経路からのずれが検出された場合は、リアルタイムの警報が更にあり得る。幅が狭く曲がった道路上でトラックトレーラの組合せを運転している初心者の運転者は、その道路部分に入る前に如何にしてトラックの位置を定めるかについてのヒント(すなわち、接近する車両に衝突するリスクなしに、同時にトレーラを道路の側溝に脱落させるリスクなしに、カーブを切り抜ける正しい量)を与える、最適な経路についての個別指導を受けることができる。最適な運転の仕方を厳守する能力、速度の選択及び接近する車両の取り扱いについてのフィードバックを受ける。ロータリーあるいは他の幅の狭い道路部分に入りつつある運転者は、周囲の車両、並びにトラック及びトレーラが何かに衝突することなしに安全にハードルを通り抜けることができるようにすることの両方について考慮する必要がある。初心者の運転者には、カーブ走行を最後には終えるか、あるいは他の道路ユーザを邪魔するかという、車両を正しいやり方で位置決めすることの問題があり得る。
【0054】
指導モードに使用するHMI法の実施例には、以下が含まれる。
− 速度の最適な選択は、速度計(あるいはヘッドアップディスプレイ、あるいは別個のディスプレイ)に光あるいはシンボルで示すことができる。
− ギヤの選択は、クラスタディスプレイ、ヘッドアップディスプレイあるいは別個のディスプレイに表示できる。
− ギヤチェンジのタイミングは、タコメーター上の光あるいはシンボルで示すことができる。
− ブレーキングの適切な開始(及びブレーキシステム、例えば足踏みペダルあるいはリターダレバーの選択)を示すことができる。
− すべての指示は、運転者がその操作を準備できるように、オプションとしてカウントダウンタイマーとともに表示することができる。
− 流れるライト(間隔を開けて並ぶように配置されるとともに相次いで点灯して運転者の目を特定の位置から異なる位置に導くライト)を用いて、運転者が特定の領域をタイムリーに注目するように促すことができる。それに代えて、戦略的に配置したライトを点灯させて運転者が特定の方向を見るように促す(例えば、右側のミラーに埋め込んだライトを用いてそのミラーを見るように運転者を促す)ことができる。
− 段階的な指示をグラフィックディスプレイ上にリストアップして、次に取るアクションを強調できる。
− 力のフィードバックは、特定の動作を実行しないように運転者を導くために用いることができる。例えば、運転者が速度を低下させるべきである場合に、運転者がアクセルペダルを押し下げようとすると、アクセルペダルが「重い」感触あるいは振動すら感じさせるようにすることができる。あるいは、運転者が変速しようとするが最適なギヤに既に入っている場合、変速レバーは、運転者が変速レバーを切り換えようとするときに「重い」感じあるいは振動で応答できる。先行車両までの距離の改善に集中していると思われる運転者は、先行車に対する距離を狭めようとするときにアクセルペダルを介して力のフィードバックを受け、同様に先行車両が速度を低下させて結果的に自車と先行車両の間の距離が狭まるときに運転者は力のフィードバックを受けて、運転者はそれ相応に速度を低下させるように促される。
【0055】
更にまた、一実施例において、指導は、運転者が、スマートフォン、ウェブインターフェースあるいは類似のものを介してフィードバック並びに指示を受けるオフラインの部分を含むことができる。次に、オフラインの評価及び分析は、分類されたビデオデータを利用して、運転者の能力を改善する必要のある特定の領域に関連する良好なあるいは悪い挙動を示す実例が運転者に与えられるようにする。例えば、運転者が距離を保つ能力の改善を必要とする場合、この問題により運転者の(あるいは同僚運転者の)運転挙動が事故にあるいはほぼ事故に結びついたとき、及び良好な距離を保つ能力が潜在的に危険な状況の回避を助けたときの実例である。
【0056】
本発明の一実施形態において、指導モードはまた、改善領域が、運転が行われるとき(例えば夜間)、あるいは場所(都市部での運転、ハイウェイ等)、あるいは運転のタイプ(後退、巡航、山登り)、あるいは車両のタイプ(特に長いあるいは重い車両)、あるいはこれらの組合せをベースとするスキームに関与させることもできる。
【0057】
その特定の例証的な実施形態に関連させて本発明を説明してきたが、多くの異なる変更、修正等は当業者にとって明らかになる。開示された実施形態に対する変形は、図面、開示及び添付の請求の範囲の考慮から、クレームされた発明を実施する際に当業者が理解しかつ達成できる。例えば、本発明は、主にいくつかの実施形態に関連させて上に説明してきた。しかしながら、当業者が容易に理解するように、添付の請求の範囲により定められる本発明の範囲内において、上に開示したもの以外の別の実施形態もまた等しく可能である。例えば、本発明は、トラック、バス、ダンプトラック、ホイールローダ及び上記した車両以外の別のタイプの車両にも適用できる。
【0058】
更にまた、指導的な作業が、例えば燃費のよい運転、快適な運転、あるいは車両の損耗を最小化する運転に関連付けられる広範囲にわたる望ましい挙動に関連できることは、当業者が容易に理解するところである。
【0059】
請求項において、「含む」という語は他の要素あるいはステップを排除せず、かつ不定冠詞「a」あるいは「an」は複数を排除しない。単一のコンピュータあるいは他のユニットは、請求項に記載されているいくつかの品目の機能を成し遂げることができる。複数の特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないということを示すものではない。
【符号の説明】
【0060】
100 車両
104 外部センサ
202 運転者
204 カメラシステム
305 ヨー
306 ピッチ
307 ロール
402 ヘッドアップディスプレイ
404 スピーカ
406 スピーカ
410 矢印
414 中央車線
416 右側車線
【手続補正書】
【提出日】2014年7月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与える方法であって、
前記車両が前記運転車の運転状況を決定するように構成された複数のセンサを備え、
前記方法は、
− 少なくとも一つの指導作業を含む少なくとも一つの改善領域を前記指導システムに割り当てるとともに、複数の予め定められた異なるカテゴリーの改善のうちの一つに異なる改善領域を関連付ける段階、
− 車両に設けられている複数のセンサを用いて指導作業を実行すべき運転状況を識別する段階、
− 前記指導作業及び前記運転状況に基づいて、望ましい運転挙動を促す指導メッセージを選択する段階、
− 前記選択された指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを使用して前記ドライバに与える段階、
− 前記与えられた指導メッセージに対する運転者の応答を記録する段階、
− 前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を決定する段階、
− 前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関に基づいて目標達成を判定する段階、
及び
− 前記目標達成に基づいて、前記指導システムに割り当てる更なる改善領域を選択する段階、
を備え、
前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を決定する段階が、複数の予め定められたカテゴリーの改善のうちの少なくとも一つに運転者の応答を関連づけることを含み、かつ
前記指導システムに割り当てる更なる改善領域を選択する段階が、前記複数の予め定められたカテゴリーの改善に対する先の割り当てに更に基づいている、方法。
【請求項2】
複数の決定された目標達成を加算することにより累積された目標達成を決定する段階、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
累積された目標達成に基づいて、前記指導システムに割り当てる改善領域を選択することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
改善領域を割り当てることが、改善領域を運転者が手動操作で割り当てること、改善領域を第三者が遠隔操作で割り当てること、あるいは改善領域を指導システムが自動的に割り当てることを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
改善領域を運転者が手動で割り当てることの許容度が、前記運転者について累積された目標達成に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記改善領域がバックオフィスユニットによって割り当てられる、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記運転状況及び前記対応する指導作業が記録されて、前記運転者がオフライン状態で再検討できるようにし、それによって前記運転者が更なる指導メッセージを受けられるようにする、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記指導メッセージが予め定められた複数の指導メッセージから選択される、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記指導メッセージが、累積された目標達成に基づいて選択される、請求項2乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記複数の指導メッセージが各指導作業についての詳細の度合いが異なる複数の指導メッセージから成る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記記録された運転者の応答が、望ましい運転挙動についての今後の基準として使用される、請求項2乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
車両内の運転者に指導メッセージを与える車両内指導システムであって、
− 多モードユーザーインターフェース、
− 前記車両に設けられるとともに運転状況を判定するように構成された複数のセンサ、
− 処理装置であって、
− 少なくとも一つの指導作業を含む少なくとも一つの改善領域を前記指導システムに割り当てるとともに、異なる改善領域が、複数の予め定められた異なるカテゴリーの改善のうちの一つに関連づけられており、
− 車両に設けられている複数のセンサを用いて指導作業を実行すべき運転状況を識別し、
− 前記指導作業及び前記運転状況に基づいて、望ましい運転挙動を促す指導メッセージを選択し、
− 前記選択された指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを使用して前記ドライバに与え、
− 前記与えられた指導メッセージに対する運転者の応答を記録し、
− 前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を決定し、
− 前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関に基づいて目標達成を決定し、
及び
− 前記目標達成に基づいて、前記指導システムに割り当てる改善領域を選択し、
前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を決定することが、複数の予め定められたカテゴリーの改善のうちの少なくとも一つに運転者の応答を関連づけることを含み、かつ
前記指導システムに割り当てる更なる改善領域を選択する段階が、前記複数の予め定められたカテゴリーの改善に対する先の割り当てに更に基づいている、ように構成された処理装置、を備えるシステム。
【請求項13】
多モードユーザーインターフェースを含む車両内指導システムを用いて車両内の運転者に指導メッセージを与えるコンピュータプログラム製品を実現するコンピュータ可読媒体であって、
前記車両は前記運転車の運転状況を判定するように構成された複数のセンサを備えており、
前記コンピュータプログラム製品は、プロセッサにより実行されるときに、
− 少なくとも一つの指導作業を含む少なくとも一つの改善の領域を前記指導システムに割り当てるとともに、異なる改善領域が複数の予め定められた異なるカテゴリーの改善のうちの一つに関連付けられており、
− 車両に設けられている複数のセンサを用いて指導作業を実行すべき運転状況を識別し、
− 前記指導作業及び前記運転状況に基づいて、望ましい運転挙動を促す指導メッセージを選択し、
− 前記選択された指導メッセージを、前記多モードユーザーインターフェースを使用して前記ドライバに与え、
− 前記与えられた指導メッセージに対する運転者の応答を記録し、
− 前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を決定し、
− 前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関に基づいて目標達成を決定し、
及び
− 前記目標達成に基づいて前記指導システムに割り当てる更なる改善領域を選択し、
前記望ましい運転挙動と前記運転者の応答との間の相関を決定することが、複数の予め定められたカテゴリーの改善のうちの少なくとも一つに前記運転者応答を関連づけることを含み、かつ
前記指導システムに割り当てる更なる改善領域を選択する段階が、前記複数の予め定められたカテゴリーの改善に対する先の割り当てに更に基づいている、
ように構成されたコードを含んでいる、コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】