特表2015-534177(P2015-534177A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534177(P2015-534177A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】折りたたみ可能なマルチタッチ面
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20151030BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20151030BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
   G06F3/041 640
   G06F1/16 312M
   G06F1/16 312Q
   G06F3/041
   G06F3/041 660
   G06F3/044 126
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-532037(P2015-532037)
(86)(22)【出願日】2013年9月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年5月13日
(86)【国際出願番号】US2013059422
(87)【国際公開番号】WO2014043325
(87)【国際公開日】20140320
(31)【優先権主張番号】61/701,327
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】507385800
【氏名又は名称】ユニピクセル ディスプレイズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトカヴィッチ,ロバート,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】キリオン,リード,ジェイ
(57)【要約】
タッチセンサー組立品のひとつの実施例は、丸めることができるタッチセンサーと、さらに、表面を使用者が触るとその位置を感知できるように構成された動作領域を含む。丸めることができるタッチセンサーは、導電性を失うことなく丸めたり変形させたりすることができるように作られている。タッチセンサー組立品は、さらに、丸められるタッチセンサーに連結する支持部品と、電子機器を入れて保持できるように作られた収容部を持つ支持部品を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサー組立品であって、
丸めることができるタッチセンサーとこのタッチセンサーに連結された支持部品とを含んでおり、
タッチセンサーが、表面を使用者が触るとその位置を感知できるように設定されたタッチセンサー動作領域を含んでおり、
タッチセンサーが導電性を失うことなく丸めたり変形させたりすることができるように作られており、
支持部品が電子機器を入れて保持できるよう作られた収容部を含むもの。
【請求項2】
請求項1のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが電気的な接続を失うことなく最小で1ミリメートルの曲率半径を維持できるよう作られているもの。
【請求項3】
請求項2のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが静電容量式タッチセンサーと抵抗膜方式タッチセンサーのうちのいずれかであるもの。
【請求項4】
請求項1のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが回転可能な状態で支持部品に連結されているもの。
【請求項5】
請求項4のタッチセンサー組立品であって、丸めたり曲げたりすることのできる保護カバーがヒンジで支持部品に連結されており、タッチセンサーがこの保護カバーに取り付けられているもの。
【請求項6】
請求項5のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが取り外し可能な状態で保護カバーに取り付けられているもの。
【請求項7】
請求項6のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが面ファスナーを用いた接続部材で取り外し可能な状態で保護カバーに取り付けられているもの。
【請求項8】
請求項1のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが、タッチセンサー動作領域から電気信号を受信して処理しタッチセンサー動作領域上の使用者が触れた位置を決めることができるように設定されたプログラム可能な制御モジュールをさらに含むもの。
【請求項9】
請求項8のタッチセンサー組立品であって、さらに電子機器にタッチセンサーを電気的に接続できるよう作られた接続ケーブルを含むもの。
【請求項10】
請求項8のタッチセンサー組立品であって、さらに電子機器にタッチセンサーを電気的に接続する接続ピンが収容部内に配置されているもの。
【請求項11】
請求項9のタッチセンサー組立品であって、さらに電子機器にタッチセンサーを無線接続できるよう構成された無線接続モジュールを含むもの。
【請求項12】
請求項1のタッチセンサー組立品であって、電子機器がスマートフォン、タブレットコンピューター、携帯情報端末(PDA)のうち一つであるもの。
【請求項13】
電子機器とともに使用するためのタッチセンサー組立品であって、
電子機器に電気的に接続できるよう構成され曲げたり丸めたりすることができるタッチセンサーを備え、このタッチセンサーに使用者が触れることが電子機器への入力情報として作用するようになっており、
タッチセンサーが内部の導電性を維持したまま丸めたり曲げたり折りたたむことができるように作られており、
タッチセンサーに連結され、電子機器を支えて保持できるよう作られた硬い支持部品を備えているもの。
【請求項14】
請求項13のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーがさらにタッチセンサーに電力を供給できるよう構成された再充電可能な電池を含むもの。
【請求項15】
請求項14のタッチセンサー組立品であって、再充電可能な電池が折り曲げることができ丸められる電池であるもの。
【請求項16】
請求項13のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが
曲げたり丸めたりすることのできる誘電体基板と
誘電体基板に結合した第一の複数の導電線と
第二の複数の導電線とを含むもの。
【請求項17】
請求項16のタッチセンサー組立品であって、誘電体基板がポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート、紙、ポリマーのうち少なくとも一つでできているもの。
【請求項18】
請求項16のタッチセンサー組立品であって、曲げたり丸めたりすることができ第一の複数の導電線と第二の複数の導電線の少なくともどちらかを覆う保護カバーとなる基板をさらに含むもの。
【請求項19】
請求項18のタッチセンサー組立品であって、さらに保護カバーとなる基板に傷防止コーティングが施されているもの。
【請求項20】
請求項13のタッチセンサー組立品であって、タッチセンサーが静電容量式タッチセンサーと抵抗膜方式タッチセンサーのうちのいずれかであるもの。
【請求項21】
電子機器とともに使用するためのタッチセンサー組立品であって、
電子機器に電気的に接続できるよう構成され曲げたり丸めたりすることができるタッチセンサーを備え、表面を使用者が触るとその位置を感知できるように設定されたタッチセンサー動作領域を含み、使用者が触れることが電子機器への入力情報として作用するよううになっており、
そのタッチセンサーは、内部の導電性を維持したまま、最小で1ミリメートルの曲率半径を維持するよう作られており、
回転可能な状態でタッチセンサーに連結され、電子機器を入れて保持できるよう作られた収容部を持つ支持部品を含んでおり、
タッチセンサーが、タッチセンサー動作領域から電気信号を受信して処理しタッチセンサー動作領域上の使用者が触れた位置を決めることができるように設定されたプログラム可能な制御モジュールをさらに含むもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「折りたたみ可能なマルチタッチ面」との名称で2012年9月14日に出願した米国特許出願第61/701,327号に基づく優先権を主張するとともに、参照することにより本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
この発明は、概して、曲げることができかつ印刷を利用した電子部品(flexible and printed electronics、「FPE」)に関するものである。とりわけ本発明は、折りたたみができ、丸めることができ、マルチタッチセンサー面を電子機器と相互接続できるようにするのに適しているマルチタッチ式入力面に関するものである。
【0003】
タッチスクリーン技術は、タブレットコンピューターや携帯電話などといった、多くの現代の電子機器の重要な部品となってきている。通常、タッチスクリーン技術は、抵抗膜方式や静電容量式センサー層を表示部の一部として利用している。
【0004】
静電容量式や抵抗膜方式のタッチスクリーンは、現代のタッチスクリーン機器の主要なインターフェイスを成す、通常は硬い(例えばガラス製の)画面である。使用者は自分の指を導体として使って電子機器とのやりとりをするが、これは硬い画面の小さい動作範囲に限られている。さらに、画面が硬いために電子機器の保管や持ち運びが制限される上、硬い画面に強い衝撃が加わったとき(例えば地面に機器を落としたとき)に機器が損傷する危険が増加する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、タッチセンサー組立品に関連するものである。一つの実施例として、タッチセンサー組立品であって、丸めることができるタッチセンサーを含んでおり、タッチセンサーが、表面を使用者が触ると、その位置を感知できるように設定したタッチセンサー動作領域を含み、タッチセンサーが導電性を失うことなく丸めたり変形させたりすることができるように作られているものとする。さらに、そのタッチセンサー組立品は、丸められるタッチセンサーに連結された支持部品を含んでおり、支持部品が電子機器を入れて保持できるよう作られた収容部を含むものとする。
【0006】
実施例によっては、電子機器とともに使用するためのタッチセンサー組立品を対象にしている。一つの実施例として、タッチセンサー組立品は、電子機器に電気的に接続できるよう構成され曲げたり丸めたりすることができるタッチセンサーを備え、このタッチセンサーに使用者が触れることが電子機器への入力情報として作用するようになっており、そのタッチセンサーが、内部の導電性を維持したまま丸めたり曲げたり折りたたむことができるよう作られている。さらに、タッチセンサー部品は、タッチセンサーに連結され、電子機器を支えて保持できるように作られた硬い支持部品を備えている。
【0007】
他の実施例もまた、電子機器とともに使用するためのタッチセンサー組立品を対象にしている。一つの実施例として、タッチセンサー組立品は、電子機器に電気的に接続できるよう構成され曲げたり丸めたりすることができるタッチセンサーを備え、表面を使用者が触るとその位置を感知できるように設定されたタッチセンサー動作領域を含み、使用者が触れることが電子機器への入力情報として作用するようになっており、そのタッチセンサーは、内部の導電性を維持したまま、最小で1ミリメートルの曲率半径を維持するよう作られているものとする。さらに、タッチセンサー組立品は、回転可能な状態でタッチセンサーに連結され、電子機器を入れて保持できるよう作られた収容部を持つ支持部品を含んでいる。タッチセンサーは、タッチセンサー動作領域から電気信号を受信して処理しタッチセンサー動作領域上の使用者が触れた位置を決めることができるように設定されたプログラム可能な制御モジュールをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
発明の典型的な実施例を詳細に説明するために、ここで添付した図を参照する。
図1図1は、本願で開示する原理に従った、曲げたり丸めたりすることのできる静電容量式タッチセンサーフィルムの概略図である。
図2図2は、図1の曲げることのできる静電容量式タッチセンサーフィルムの斜視図である。
図3図3は、本願で開示する原理に従った、抵抗膜方式タッチセンサーフィルムを構成する一組の基板の概略図である。
図4図4は、図3で示した一組の基板を含む柔らかくて丸められる抵抗膜方式タッチセンサーフィルムの斜視図である。
図5図5は、図4の柔らかい抵抗膜方式タッチセンサーフィルムの断面図である。
図6図6は、本願で開示する原理に従った、図1の柔らかい静電容量式タッチセンサーフィルムを組み立てる装置の実施例の概略図である。
図7A-7B】図7A図7Bは、図6の装置内で用いる高精度測定装置の実施例の概略図である。
図8図8は、本願で開示する原理に従った、図4の柔らかい抵抗膜方式タッチセンサーフィルムを製造する装置の実施例の概略図である。
図9A-9B】図9A図9Bは、図8の装置内で用いる高精度測定装置の実施例の概略図である。
図10図10は、本願で開示する原理に従った、柔らかくて折りたたみができるマルチタッチセンサー構造の実施例の概略的な斜視図である。
図11図11は、図10のA−A断面を見た側面図である。
図12図12は、本願で開示する原理に従った、タッチセンサー組立品の実施例の斜視図である。
図13図13は、図12のタッチセンサー組立品の側面図である。
図14図14は、本願で開示する原理に従った、タッチセンサー組立品の他の実施例の斜視図である。
図15図15は、図14のタッチセンサー組立品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の考察は、さまざまな典型的な実施例を対象にしたものである。しかしながら、当業者は、ここで公開した例は広範囲に適用できること、また、どんな実施例の考察も実施例の典型という意味にすぎず、請求項を含めた発明の範囲を、実施例に制限すべきとの意図がないことは理解できるであろう。
【0010】
特定の特徴や構成要素を示すために、ある用語は以下の説明や特許請求の範囲を通して用いている。当業者であれば十分に理解しているであろうが、人が違えば同じ特徴や構成要素を指すのに異なる名前を用いることもある。この文書は、名前が違っても機能では違わない構成要素や特徴を区別することを意図するものではない。図面の各図は必ずしも一定の縮尺となっていない。ここでのある特徴や構成要素は、縮尺を誇張したりいくらか図表の形式にしたりして示していることもある。さらに、従来の要素の細かい点は、明瞭で簡潔にするために示していないこともある。
【0011】
以下の考察と請求の範囲において、「含む」と「構成される」という言葉は、制限しない形式で使っているため、これらの言葉は、「…を含むがこれに限定しない」を意味すると解釈するべきである。また、「連結する」は、間接的な結合と直接的な結合のいずれをも意味する狙いがある。従って、第一の装置が第二の装置に連結する場合、その結合は直接的な結合とすることも、他の装置や部品や結合部材を用いた間接的な結合とすることもできる。また、ここで使っている「軸方向の」と「軸方向に」という用語は概して中心軸(例えば本体や接続部の主要となる軸)に沿っているか平行であることを意味しており、この場合「径方向の」と「径方向に」という用語は概して中心軸に垂直であることを意味している。例えば、軸方向の距離は中心軸に沿って又は中心軸と平行に測った距離を指し、径方向の距離は中心軸に対して垂直に測った距離を意味する。
【0012】
ここで用いる「およそ」という言葉は、「プラスマイナス10%」を意味する。ここで用いる「電子装置」という表現は、例えば、携帯端末装置、スマートフォン、ラップトップ型コンピューター、タブレット型コンピューター、デスクトップ型コンピューター、オールインワン・コンピューター、携帯情報端末(PDA)、テレビ、音楽プレーヤー(例えばmp3プレーヤー)、ゲーム機、遠隔制御装置やこれらの何らかの複合機など、電子信号を受信、送信、処理する能力を持つ任意の適当な装置を指す。
【0013】
図1を参照すると、ここで公開した原理に従った折り曲げ可能な静電容量式タッチセンサーフィルム100の上面の概略図を示している。フィルム100は概して、薄くて柔らかく丸めることができる透明な誘電体基板110、横軸103、縦軸101、透明で導電性のある静電容量式のグリッド102、透明で導電性のある端末部104を含む。基板110は、何度も丸めたり曲げたり変形させたりしても割れたり裂けたりすることのない、適切で柔軟性のある任意の材料で作ることができる。例えば、実施例によっては、基板110は、ポリエチレンテレフタラート(PET)のフィルム、ポリカーボネート、紙、ポリマーか、これらの何らかの組み合わせで作ることができる。特定の例として、基板110をデュポン/テイジンのメリネックス454とデュポン/テイジンのメリネックスST505の一方あるいは両方で作る。このうち後者は、熱処理が含まれている工程向けに特別に設計された熱安定性フィルムである。
【0014】
図1と2を参照するが、グリッド102は、誘電体基板110の片面で横軸103と平行な方向に延びる第一の複数の導電線108と、誘電体基板110の反対側の面で縦軸101に平行な方向に延びる第二の複数の導電線112とで構成する。(注:図1では第二の複数の導電線112を仮想線を用いて示している。)第一の複数の導電線108と第二の複数の導電線112は、誘電体基板110を用いて絶縁し、使用者のフィルム100への接触の認識を可能にするグリッド102を形成する。導電性をもつ静電容量式のグリッド102の一例として、導電線の並びを9本×16本かそれ以上とし、表面積を約2.5×2.5mmから2.1×2.1mの範囲とすることができる。実施例によっては、導線108、112の両方の抵抗率は約0.005マイクロオーム/平方から約500オーム/平方の範囲とし、このときグリッド102の応答時間はナノ秒からピコ秒の間でさまざまとすることができる。
【0015】
図2が最もよくわかるが、第一の複数の導電線108と第二の複数の導電線112はそれぞれ幅をW100、高さをH100とする。また、第一の複数の導電線108と第二の複数の導電線112のそれぞれは、間隔D100をあけて隔てられている。さらに、誘電体基板110は、基板110の両面間を測った厚さをT100とする。実施例によっては、導電線の幅W100を150から300ミクロンの範囲で変えることが可能で、その許容差範囲は+/−10%以内とする。また、配線間にある間隔D100は約1mmから5mmの範囲で変えることが可能で、さらに高さH100は約150ナノメートルから約6ミクロンの範囲で変えることが可能である。その上、誘電体基板110は、好ましい厚さが100から200ミクロンの間であり、好ましい表面エネルギーが約20D/cmから約90D/cmであるとともに、厚さT100が5から500ミクロンの間となるようにすることができる。
【0016】
再び図1を参照するが、端末部104は、リード線115と、誘電体基板110の片面に配置している電気的接続部116と、リード線114と、誘電体基板110の反対側の面に配置している電気的接続部117とを含んでいる。(注:図1では導線115は仮想線を使って示している。)リード線115と接続部116はそれぞれ、第一の複数の導電線108に電気的につながっており、リード線114と接続部117はそれぞれ、第二の複数の導電線112と電気的につながっている。作動時は、導線108と112からそれぞれリード線115と114と接続部116と117を通して電気信号をやり取りすることで、フィルム100と他の何らかの電子機器との間の通信を確立する。
【0017】
実施例によっては、フィルム100の導線108と112、リード線115と114、接続部116と117のそれぞれは、任意の適切な導電性材料で作ったものとしながらも同時にここで開示している原理にも従っているものとすることもできる。例えば、実施例によっては、導線108と112、リード線115と114、接続部116と117のそれぞれは、銅、銀、金、ニッケル、スズ、パラジウム、導電性ポリマーのいずれか、あるいはこれらの組み合わせで作ることもできる。さらに、実施例によっては、導線108と112は、単に導電性の材料でめっきしただけとしつつ同時にここで開示する原理にも従ったものとすることもできる。
【0018】
再び図1を参照するが、作動時には、グリッド102は、第一の複数の導電線108それぞれと第二の複数の導電線112それぞれが交差する各部分でコンデンサを形成することで相互キャパシタンスの原理に従って作動することができる。例えば、9本×16本並べると、144個(つまり9×16=144)の独立したコンデンサができることになる。フィルム100の表面に指や導電性のペンを近づけると局所的に電場が変化して相互キャパシタンスが減るように、第一の複数の導電線108と第二の複数の導電線112に電圧をかけることができる。横軸103と縦軸101の両方における電圧を測ることで、グリッド102上すべての個々の点での静電容量変化の測定ができ、接触位置を正確に決められる。結果として、このような相互キャパシタンスの働きによって、複数(multiple)の指、手のひら、又はペンが動いた跡をフィルム100のいたる所で同時に精確にたどれるような、マルチタッチ機能が可能になる。
【0019】
前に述べたようにフィルム100の基板110に柔軟性があるということを原因の少なくとも一部として、フィルム100は曲げたり折りたたんだり丸めたりすることもできる。特に、少なくともいくつかの実施例では、フィルム100を変形するか操作するかが可能なため、電気的な接続性を失わずにフィルム100を最小1ミリメートルの曲率半径に維持できる。
【0020】
図3を参照すると、曲げたり折りたたんだり丸めたりすることができる抵抗型タッチセンサーフィルム200を成す二つの基板209、210の上面の概略図が示されている。フィルム200は一般的に、第一の薄くて柔らかい透明な誘電体基板209と、第二の薄くて柔らかい透明な誘電体基板210を含む。上で既にフィルム100の基板110について述べたように、第一の基板209と第二の基板210のそれぞれには、何度も丸めたり曲げたり変形させたりしても、割れたり裂けたりすることのない適切で柔軟性のある任意の材料を用いることができる。それゆえ、少なくともいくつかの実施例においては、基板209と210は、基板110について既に挙げたのと同じ材料のうちいかなるものを用いてもなおここで開示している原理にも従ったものとすることもできる。
【0021】
引き続き図3を参照すると、第一の基板209と第二の基板210にはそれぞれ縦軸201と横軸203がある。加えて、第一の基板209は、縦軸201と平行に基板209の片面に配置された第一の複数の導電線208も含む。同様に第二の基板210は、水平軸203に平行に基板210の片面に印刷された第二の複数の導電線212を含む。導線208、212が同じ基板(例えば基板110)の反対側の面に配置されるのではなく二枚の別の基板(例えば基板209、210)に配置されているということを除けば、導線208、212はそれぞれすでに述べたフィルム100の導線108と112に実質的に同様のものである。第一の基板209と第二の基板210の両方は、さらに端末部204と205をそれぞれ含んでいる。端末部204はリード線214と電気的接続部216で構成される。リード線214は、第一の基板209にある電気的接続部216へ第一の複数の導電線208を電気的につないでいる。端末部205は、リード線215と電気的接続部217で構成される。リード線215は、第二の基板210にある電気的接続部217へ第二の複数の導電線212を電気的につないでいる。接続部216、217とリード線214、215がそれぞれ別の基板209、210に配置されているということ以外は、接続部216、217とリード線214、215は前に述べた接続部114、115とリード線116、117と実質的に同じである。それゆえ、前に接続部114、115とリード線116、117について述べたように、作動時に接続部216、217とリード線214、215のそれぞれによって各々導線208と212と電気信号をやりとりすることにより、フィルム200と、それとは別の、前に述べた任意の例を含む電子機器のうち何らかとの間の通信を確立できる。
【0022】
図4図5を参照すると、フィルム200の斜視図と垂直断面図がそれぞれ示されている。フィルム200の組み立ての際は、第一と第二の基板209、210を第一の複数の導電線208が第二の複数の導電線212と向かい合わせになるような向きに配置する。この実施例では、第一の基板209に微細構造を成す絶縁性の突起206を複数設ける。しかしながら、他の実施例として、スペーサーとなる小さい点状の突起206を第二の基板210上に配置することもできるということは当然認識できるであろう。微細構造を成す絶縁性の突起206は、点状のスペーサー、スペーサーとなる微細構造、スペーサー(間隔保持体)と呼ぶこともでき、第一の基板209に結合している。この実施例では、フィルム200もまた、第一の基板209を第二の基板210に接着または結合させる、接着促進剤207を含む。実施例によっては、接着促進剤は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン、シラン、極性のあるアクリル分子、ポリマー、又はこれらのいくつかを組み合わせた、基板209、210間の接着を促す任意の適切な材料を含む。それゆえ、図5が一番よく分かるが、フィルム200の組み立ての際、点状のスペーサー206と接着促進剤207は、導線208と導線212の間の間隔をしっかりと保持している。
【0023】
図5を参照すると、第一の複数の導電線208それぞれと第二の複数の導電線212それぞれは幅がW200、高さがH200であり、それぞれ間隔D200をあけて隔てられている。また、第一と第二の基板209、210はそれぞれ厚さがT200であり、接着促進剤207は厚さがt200である。実施例によっては、厚さt200はまた、点状のスペーサー206の高さであるとも定義できる。実施例によっては、幅W200は5から10ミクロンの間で変えることができ、許容差は±10%である。さらに、間隔D200は、約18ミクロンから5mmの間で変えることが可能である。少なくともいくつかの実施例として、間隔D200と幅W200は、フィルム200の望む大きさと解像度によって決まることも、留意することである。その上、実施例によっては、高さH200は、約150ナノメートルから約6ミクロンの範囲で変えることができる。さらにまた、接着促進剤207の厚さt200すなわち点状のスペーサー206の高さは、第一と第二の複数の導電線208と212の高さH200に応じて、500ナノメートルから5mmで変えることが可能である。最後に、第一の基板209と第二の基板210の厚さT200は1ミクロンから1ミリメートルまでの間で変えることができ、望ましい表面エネルギーは20ダイン/cmから90ダイン/cmとする。この実施例での基板209、210は同じ厚さT200を持つが、別の実施例として、基板209、210は異なる厚さとしつつ同時にここで開示している原理にも従っているものとすることができることは理解できるであろう。
【0024】
再び図4図5を参照するが、一旦フィルム200を既に述べたとおりに組み立てると、第一と第二の複数の導電線208、212によって、使用者がフィルム200に触れた点を認識できるようにするX−Yグリッドが形成される。グリッドは、導電線の本数を16本×9本かそれ以上とし、その升目の寸法を5mm×5mm四方の均一な間隔を持つものとすることができる。しかしながら、升目の寸法と導電線の本数を大幅に変えながらも同時にここで開示している原理にも従ったものとすることが可能である。図5が最もよく分かるが、基板209か基板210に力がかかると、力を加えた位置に近接した点状のスペーサー406が圧迫される。その結果、その位置において導線208、212間の電気的な接続が可能になる。導線208、212間が接続すると、フィルム200に(例えば、接続部216、217を通して)接続されている電子機器で技術的に知られている任意の適切な方法を用いて接触が起きたことを検知できるようになる。接触が起きたことの検知とは、触った跡をフィルム200の表面のいたる所でたどることである。圧縮力を加えていない状態では、点状のスペーサー406には第一と第二の複数の導電線208、212間の接続が起こらない程度の高さがある(この高さは通常厚さt200によって決まる)。それゆえ、少なくともいくつかの実施例では、圧縮可能な点状のスペーサー406の直径は、高さH200次第で18ミクロンから100ミクロンの範囲で変えることができる。
【0025】
フィルム200を構成する基板209、210は、前に述べたように柔軟性があるということを少なくとも一部の原因として、フィルム200もまた柔らかく折りたたみができて丸めることがきる。特に、少なくともいくつかの実施例では、フィルム200を変形するか操作するかが可能なため、電気的な接続性を失うことなくフィルム200を最小1ミリメートルの曲率半径に維持することができる。
【0026】
ここで開示している原理に従って、関連する基板の表面に導電線(例えば、導電線108、112、208、212)を印刷する任意の適切なロール・ツー・ロール工程で、静電容量式タッチセンサー(例えばフィルム100)、抵抗膜方式タッチセンサー(例えばフィルム200)、双方の組み立てを仕上げることができる。ここでタッチセンサーフィルム100、200を組み立てるための方法の例を以下により詳しく述べる。
【0027】
図6を参照すると、柔らかく折りたたみができて丸められる、図1と2で示した静電容量式タッチセンサーフィルム100を作製する装置500の実施例を、図示している。その過程に続いて、巻き出しロール504上に基板110を配置する。好ましくは、タッチセンサーフィルム100を曲げる際の過度の応力を避けられるよう、基板110の厚さ(例えば厚さT100)を十分に小さくするべきである。また、実施例によっては、光の透過率を改善できるように基板110を十分に薄くするべきである。しかしながら、誘電体基板があまりにも薄いと、製造過程の間に、この層の連続性や自身の材料特性の持続性を危険にさらす可能性がある。実施例によっては、1ミクロンから1ミリメートルの間の厚さで十分である。任意の既に知られたロール・ツー・ロール移送法を用いて、巻き出しロール504から最初の清掃設備506(例えばウェブクリーナー)へ、薄い誘電体基板110を移動させることができる。ロール・ツー・ロール法は柔らかい基板(例えば基板110)を扱うため、基板110とフレキソ印刷のマスター版512(以下に述べる)との間の向きを合わせることはいくらか困難になる可能性がある。印刷過程の間中、正確な向きを維持できれば導電線(例えば導線108、112)の印刷はより簡単に行うことができる。一つの実施例として、これら二つの特徴部位を正しい向きに維持するために位置決めケーブル508を用いることもできるが、他の実施例として、他の方法をこの目的のために用いることもできる。実施例によっては、最初の清掃設備506は、高電界オゾン発生器とする。発生したオゾンはその後誘電体基板110からオイルやグリースなどの不純物を取り除くために使うことが可能である。
【0028】
それから、誘電体基板110は第二の清掃設備510を通過させることもできる。実施例によっては、第二の清掃設備510はウェブクリーナーとする。第一と第二の清掃設備は、装置が同じでも違う種類でもよい。これらの洗浄段階のあと、誘電体基板110は、第一の複数の導電線108を基板110の片面に印刷する第一の印刷過程を通過する。基板110上の導線108の印刷を実現するために、UV硬化性インクを用いて第一のマスター版512によって、微細ななパターンを印刷する。UV硬化性インクは、例えば、200から2000cpsの間の粘性とすることができるが、この範囲の粘性に限らない。以下により詳しく述べるように、実施例によっては、第一のマスター版512から誘電体基板502に移すインクの量は、高精度測定装置で制御され、過程の速さ、インクの組成、導電線108のパターン、形、寸法によって決まる。ある実施例においては、機械の速さは、毎分20フィート(fpm)未満から750fpmの範囲で変えることが可能で、実施例によっては、50fpmから200fpmで変えることができる。また、ある実施例では、インクはめっき触媒を含む。さらに、ある実施例では、第一の印刷設備に硬化設備515を続けることができる。例えば、目的の光の強さを約0.5mW/cm2から50mW/cm2までとし、波長を約280nmから約480nmまでとする紫外光硬化モジュール514を、硬化設備515は含むことができる。他の実施例として、硬化設備515は、約20℃から約125℃の温度範囲の熱を当てる炉熱モジュール516を含むことができる。実施例によっては、他の硬化設備やモジュールの両方または一方も、モジュール514と516に追加的に利用可能であったり、モジュール514と516に代わるものとして利用可能なことは認識するべきである。硬化設備515で行う硬化過程の結果として、第一の複数の導電線108を誘電体基板110の片面上に形成する。
【0029】
引き続き図6を参照するが、実施例によっては、基板110の片面上に第一の複数の導電線108を印刷した後、基板110の反対側の面を第二の印刷設備に経由させ、そこでその反対側の面に第二の複数の導電線112を印刷することもできる。基板110上の導線112の印刷を実行するために、既に述べた導線108の印刷に用いるインクと似たUV硬化性インクを用いて、第二のマスター版518によって、微細なパターンを刷り込むことができる。以下により詳しく述べるように、第二のマスター版518から基板100へ移すインクの量は上で第一のマスター版512について述べたのと実質同様に高精度測定装置で制御することができる。第二の印刷設備の次には硬化設備521を続けることができる。例えば、目的の光の強さを約0.5mW/cm2から50mW/cm2までとし、波長を約280nmから約580nmまでとする紫外光硬化モジュール520を、硬化設備521は含むことができる。これに加えて、あるいはこれに代えて、硬化設備521には、約20℃から約125℃の温度範囲で熱を加える炉熱モジュール522を設けることもできる。さらに、少なくともいくつかの実施例として、他の適切な硬化設備ないし硬化モジュールをモジュール520と522に追加して利用したり、モジュール520と522に代わるものとして利用したりすることもできることは当然認識できるであろう。硬化設備521で行う硬化過程の結果として、第二の導電線112を誘電体基板110の片面に形成される。
【0030】
引き続き図6を参照すると、この実施例では、両側の面に導電線108、112が印刷された状態で誘電体基板110を無電解めっき装置524に通すことができる。この段階で、導電性の材料が導線108、112上に付着する。これは、第一の複数の導電線108と第二の複数の導電線112を、無電解めっき装置524でめっき槽に沈めることによって行われる。めっき槽には、温度が20℃から90℃の範囲(例えば40℃)の液体状態の銅などの導電性材料の化合物を入れることができる。一つの例として、導電性材料の成膜速度は毎分10ナノメートルとすることが可能であり、ウェブの速さに応じて、そして使用目的の要件に応じて、約0.001から100ミクロンの厚さで成膜することができる。上で述べた無電解めっき法は電流を流す必要がなく、硬化過程(例えば、硬化設備515、521での硬化過程)の間にUV光と熱放射の両方又はいずれかを当てることによって前もって活性化されためっき触媒を含むパターンのある範囲(例えば、導線108、112)のみをめっきする。他の実施例として、めっき金属としてニッケルを用いる。銅のめっき浴の中には、めっき開始の元となる強力な還元剤、例えば、ホルムアルデヒド、ホウ水素化物、次亜リン酸塩のうちのひとつまたは複数を入れることができる。電界がないため、電気めっきに比較してめっきの厚さが均一になる傾向がある。無電解めっきは、一般的に電解めっきよりも多くの時間を消費するが、無電解めっきは、複雑な形態の部品や細かい特徴部を多く含む部品によく適している。めっき段階が終わると、静電容量式タッチセンサーフィルム100の製造は実質的に完了する。
【0031】
実施例によっては、無電解めっき524の後に洗浄設備526が続く。めっき設備524の後、静電容量式タッチセンサーフィルム110を室温の水を含む洗浄槽に沈めて洗い、場合によっては室温の空気を当てて乾燥させる。他の実施例として、乾燥段階の後にパターン状に噴霧する不動態化の過程を加えることも可能であり、これによって導電性材料と水との間に起こる危険で望ましくない化学反応を防ぐことができる。
【0032】
図7Aと7Bを参照すると、本願で開示する原理に従った装置500内で使用する高精度測定装置600aと600bがそれぞれ図示されている。図6に示した装置500の作動時には、マスター版512、518のそれぞれを用いて基板110に移される正確な量のインクを高精度インク測定装置600a、bによって制御することも可能である。図7Aは、基板110に第一の複数の導電線108を印刷するときに用いる測定装置600aを図示ししており、図7Bは、基板110に第二の複数の導電線112を印刷するときに用いる測定装置600bを図示している。実施例によっては、600a、600bの二つの装置を統合して用いることもできる。この実施例では、600a、600bの両装置は、インクパン606、転写ロール608、アニロックスロール610、ドクターブレード612を含む。インクパン606に入っているインクの一部をアニロックスロール610へ移すことができる。アニロックスロール610は鋼鉄かアルミニウムの芯を工業用セラミックスで覆って構成することができ、表面にはセルとして知られている何百万個もの極めて微細な窪みがある。印刷過程の設計によって、アニロックスロール610はインクパン606に半分沈めたり、転写ロール608に接触する状態にしたりすることができる。ドクターブレード612を使うことによって表面から余分なインクをこすって落とし、ちょうどに測られた量のインクをセルに残すようにすることもできる。それから、アニロックスロール610は回転してフレキソ印刷版あるいはマスター版と接触し、そのマスター版はセルからインクを受け取って基板110へ転写する。装置600aのアニロックスロール610はマスター版512と接触し、装置600bのアニロックスロール610はマスター版518と接触する。マスター版512、518の回転速度は、好ましくはウェブの速度に一致させるべきであり、20fpmと750fpmの範囲で変えることが可能である。装置600aと600bの違いは、基板110がどの位置から送り込まれるのか、マスター版512、518とアニロックスロール610がどのように構成されているか、という点であり、これらは留意すべきことである。図7Aで示した装置600aでは、装置600aの上部を通して基板110を供給し、基板110の下側でかつアニロックスロール610の上側にマスター版512を配置している。これは図7Bに示した装置600bとは大きく違っており、図7Bでは基板100を装置600bの下部を通して供給し、基板100の上側でかつアニロックスロール610の下側にマスター版518を配置している。
【0033】
図8を参照すると、図3〜5で示した曲げたり折りたたんだり丸めたりすることができるタッチセンサーフィルム200を組み立てる装置800の実施例を図示している。過程を追っていくと、まず巻き出しロール802に第一の基板209を置く。第一の基板209の厚さは、タッチセンサーが曲がったときに過剰な応力がかかるのを避けられ、かつ、実施例によっては光の透過率を改善できるような厚さを選ぶ。しかしながら、第一の基板209の厚さは、製造過程中にこの層の連続性や材料の特性を脅かさない程度に十分厚いものを選ぶこともできる。一つの実施例として、1ミクロンから1ミリメートルの間の厚さが適切なこともある。任意の公知のロール・ツー・ロール移送方法を用いて、巻き出しロール802から最初の洗浄設備804へ第一の基板209を移送する。ロール・ツー・ロール工程は柔らかい基板(例えば基板209)を扱うため、基板209とフレキソ印刷のマスター版810(以下に述べる)との間で向きを合わせるのは幾分難易度が高くなる可能性がある。印刷過程の間中、正しい向きを維持できれば、導電線(例えば導線208、212)の印刷をより素早く行うことができる。一つの実施例として、これら二つの特徴部どうしの向きを維持するのに位置決めケーブル806を用いることができるが、他の実施例として、この目的のために他の方法を用いることも可能である。実施例によっては、最初の洗浄設備804は高電界オゾン発生器とすることもできる。発生したオゾンはその後第一の基板209からオイルやグリースなどの不純物を取り除くために使うことができる。
【0034】
次に、第一の基板209は第二の洗浄設備808に通すことができる。実施例によっては、第二の洗浄設備808はウェブクリーナーとすることもできる。洗浄段階804と804の後、第一の基板209は第一の印刷過程を経ることができ、ここでは第一の基板209の片側に第一の複数の導電線208を印刷する。基板110上の導線208の印刷を完成させるには、例えば、200から2000cpsの間かそれ以上の粘性を持つUV硬化性インクなどを用いてマスター版810によって微細なパターンを印刷する。より詳しくは以下に述べるように、実施例によっては、第一のマスター版810から誘電体基板209へ移すインクの量は、高精度測定装置812で制御され、過程の速さ、インクの組成、導電線208のパターン、形、寸法によって決まる。一つの実施例として、装置の速さは毎分20フィート(fpm)から750fpmの間で変えることができる。代わりの実施例として、装置の速さは50fpmから200fpmで変えることも可能である。一つの実施例として、インクはめっき触媒を含むものとすることができる。第一の印刷過程の後には硬化の段階を続けることができる。硬化の段階は、例えば、目的の強さを約0.5mW/cm2から約50mW/cm2までとし、波長を約240nmから約580nmまでとした紫外線光の硬化モジュール814を用いることができる。加えて、硬化の段階は、816モジュールでの約20℃から約125℃までの温度幅におさまる熱源を用いたオーブン加熱を用いることもできる。実施例によっては、他の硬化設備やモジュールを、モジュール814や816に追加的に利用可能であったり、モジュール814や816に代わるものとして利用可能なことは認識するべきである。硬化モジュール814、816を経ると、第一の基板209の上に第一の複数の導線208が形成される。
【0035】
引き続き図8を参照すると、実施例によっては、第一の複数の導電線208を基板209に印刷した後は、第一の基板209に無電解めっきを施すことが可能である。導電性材料820の層を、第一の複数の導線208上に付着ないし配置させることができる。一つの実施例として、これはめっき槽821に第一の基板209上の第一の複数の導電線208を沈めることで行うことができる。一つの実施例として、めっき槽821には20℃から90℃の温度範囲(例えば40℃)の溶解状態の銅などの導電性材料の化合物を入れることができる。一つの実施例として、導電性材料820の成膜速度は毎分10ナノメートルとすることができ、約0.001ミクロンから約100ミクロンの厚さとすることができる。成膜速度は、目的に合わせ、ウェブの速度によって決めることができる。この無電解めっき過程によれば電流を流す必要をなくすことができ、硬化過程814の際に紫外線への暴露によって前もって活性化されためっき触媒を含むパターン領域のみをめっきすることができる。一つの実施例として、めっき金属としてニッケルを使うことができる。他の実施例として、銅のめっき浴の中には、ホウ水素化物か次亜リン酸塩などのめっき開始の元となる強力な還元剤を含ませることができる。一つの実施例として、電界がないため、電気めっきに比較してめっきの厚さが均一にすることができる。無電解めっきは、一般的に電解めっきよりも多くの時間を消費するが、無電解めっきは、複雑な形態の部品や細かい特徴部を多く含む部品によく適している。
【0036】
実施例によっては、無電解めっきの後に洗浄過程822を続けて行う。具体的には、第一の基板209を室温の水を含む洗浄槽に沈めて洗浄することが可能である。さらにそれから、その基板209を、室温の空気を当てることで乾燥させる乾燥段階824を経由させることが好ましい。他の実施例として、乾燥段階の後にパターン状に噴霧するなどの不動態化の過程を加えることも可能であり、これによって導電性の材料と水との間に起こる危険で望ましくない化学反応を防ぐことができる。
【0037】
図8を引き続き参照すると、洗浄過程822の後で、最初の基板209上に、点状のスペーサー(例えば、図4と5に示した点状のスペーサー206)を印刷することができる。とりわけ、微細構造の点状のスペーサー(特に図8には示していないが)のパターンは、第一の基板209上の、第一の複数の導電線208と同じ側に印刷される。このパターンは、200から2000cpsかそれ以上の粘性を持つことができるUV硬化性インクを用いて、第二のマスター版826によって印刷することができる。実施例によっては、第二のマスター版826から基板209へ移すインクの量を、高精度測定装置830によって制御し、過程の速さ、インク組成、パターンや形、点状のスペーサー(例えば、点状のスペーサー206)の寸法によって決める。
【0038】
一つの実施例として、点状のスペーサー(例えば、点状のスペーサー206)は、架橋剤としてのメチルオルトケイ酸テトラエチルかグリシドプロピルトリメトキシシランを塩酸を使って加水分解して用いた有機・無機ナノ複合材料で構成することができる。シリカゾル、シリカ粉末、エチルセルロースとヒドロキシプロピルを、粘性を調整する添加剤として使うこともできる。インクにはまた、紫外光による硬化で利用可能なシラキュア(Cyracure)、フレキソキュア(Flexocure)、ダブルキュア(Doublecure)などの市販の光開始剤も含めることができる。実施例によっては、二酸化チタン(TiO2)、二酸化チタンバリウム(BaTiO)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)などの金属酸化物のナノ粒子や色素によって、点状のスペーサーを光学的に強化することも可能である。点状のスペーサーの屈折率は、好ましくは、第一の導電線805の組の屈折率に光学的に合わせるようにするものとする。インクの粘性を調整するために、ナノ粒子を使うことも可能である。その上、インクにナノ粒子を配合することで、硬化中の収縮を減らすことができる。
【0039】
基板209上の点状のスペーサー(例えば、点状のスペーサー206)に続いて、第一の基板209は第二の硬化段階を経ることが可能である。この第二の硬化段階は、約0.5mW/cm2から20mW/cm2までの強度の紫外線硬化832とおよそ20℃から150℃までの温度でのオーブン乾燥834の一方か両方とする。一つの実施例として、点状のスペーサーは、半径を80ミクロンから40ミクロンの間、高さを500ナノメートルから15ミクロンとすることができる。一つの実施例として、基板209に複数の点状のスペーサーを印刷した後、第一の基板209は第二の洗浄過程836に通すことができる。第二の洗浄過程836は、既知の従来の洗浄技術などを用いて行うことが可能である。第二の洗浄過程836の後、第二の乾燥段階838として第一の基板209を室温の空気で乾燥させることができる。
【0040】
フィルム200の第二の基板210に対してシステム800について図示し説明したのと同様の並行処理(示していないが)を行うことができることは理解できるであろう。この並行処理の結果、第二の導電線の組(例えば図3と4に示した導電線212)が第二の基板210に印刷される。フィルムの基板210の作製を行うため、異なるマスター版(例えば図8のマスター版810と異なる)を用いて第二の複数の導電線212を印刷する。
【0041】
図9A図9Bは高精度測定装置812と高精度測定装置830の実施例をそれぞれ図示している。マスター版810によって第一の基板209へ移す正確な量のインクは装置812が制御する一方で、第二のマスター版826によって基板209へ移す正確な量のインクは装置830が制御する。また、既に述べたように、装置812は基板209にある第一の複数の導電線208を印刷できるよう作られており、一方で装置830は基板209にある点状のスペーサー(例えば図4図5に示した点状のスペーサー206)を印刷できるよう作られている。これら両方の装置は、インクパン906、転写ロール908、アニロックスロール910、ドクターブレード912、マスター版810、826を含んでいる。一つの実施例として、インクパン906に含まれるインクの一部をアニロックスロール910に移す。アニロックスロールは鋼鉄かアルミニウムの芯を工業用セラミックスで覆って構成することができ、表面にはセルとして知られている何百万もの極めて微細な窪みがある。印刷過程の設計によって、アニロックスロール910はインクパン906に半分沈めたり、転写ロール910に接触する状態にすることができる。ドクターブレード912を使うことによって表面から余分なインクをこすって落とし、ちょうどに測られた量のインクをセルに残すようにすることもできる。それから、アニロックスロール910は回転して、マスター版810、826と接触し、そのマスター版は、セルからインクを受け取って第一の基板209へ転写する。実施例によっては、マスター版810、826の回転速度は、好ましくはウェブの速度に一致させるべきであり、20fpmと750fpmの範囲で変えることが可能である。
【0042】
図10図11を参照すると、ここで開示している原理に従った、柔らかく丸められて折りたたむことのできるマルチタッチセンサー構造300の一つの実施例が示されている。折りたたむことのできるマルチタッチセンサー構造300は、概して柔らかいセンサーフィルム部品302と硬い(例えばプラスチック製の)筐体304からなる。フィルム部品302は、静電容量式タッチセンサーフィルム(例えば図1〜2で示したフィルム100)や抵抗膜方式タッチセンサーフィルム(例えば図3〜5で示したフィルム200)などの任意の適当なタッチセンサーフィルムを含むものとしつつ同時に本願で開示する原理に従ったものとすることが可能である。図11が最もよく分かるが、この実施例では、既に述べたようにフィルム部品302は静電容量式フィルム100を含む。また、部品302はさらに、一組の保護カバーとなる基板層402、柔らかい電池406、均一な厚さの絶縁被膜404も含むものとする。
【0043】
保護用の基板層402のそれぞれは、第一の複数の導電線108または第二の複数の導電線112の一つを覆い、それぞれ既に述べたように、使用中に起こる可能性のある潜在的な損傷から導線108、112を保護するのに役立つ。基板層402はそれぞれ、布、紙、エラストマーなどの、何度も丸めたり曲げたりしても割れたり裂けたりすることのない柔軟性のある任意の適切な材料を用いることができる。また、実施例によっては、保護カバーとなる基板層402のそれぞれの厚さを100から200ミクロンの範囲とすることができる。さらに、実施例によっては基板層402はそれぞれ透明なものとするが、別の実施例としてタッチセンサー構造300を使用する人の目に見える印刷の材料を表面に配置することも可能である。例えば、こういった適切で印刷可能な材料は、キーボード配置、グラフィックス、様々な色彩のうちのひとつまたは複数を含むものとすることができる。
【0044】
実施例によっては、保護カバーとなる基板層402それぞれの外側の表面にはまた、傷防止コーティング408を設ける。傷防止コーティング408は、耐久性があって洗うことができ、耐摩耗性、耐薬品性で、指紋がつきにくいものとすることができる。傷防止コーティング408には、単官能基または多官能基のアクリル単量体とアクリルオリゴマーを用いることが可能である。また、傷防止コーティング408は保護カバーとなる基板層402にスロットダイコーティング、グラビアコーティング、吹き付け塗装、マイヤーロッドコーティング、浸漬塗装やこれらを併用するなど、当技術分野で公知である任意の適切な方法、道具、コーティング技術を利用して塗布したり付着させたりすることが可能である。実施例によっては、傷防止コーティング408には、耐摩耗性のポリウレタン膜やナイロン織物などの適切な耐摩耗性の材料を用いる。
【0045】
引き続き図11を参照すると、折り曲げ可能な電池406は軽量で非常に薄く、充電可能であり、曲げやすいため、機械的な完全性と性能を失わずに丸めたりねじったり折りたたんだり、複数の形に切断したりすることが可能である。電池406は任意の市販の紙電池や折り曲げ可能な電池を用いてもなおここで開示している原理にも従ったものとすることができる。具体的には、電池406は、ニューヨーク州トロイにあるペーパーバッテリー社(Paper Battery Company)が製造・販売しているPowerWrapperTM技術を用いた電池を用いることができる。さらに、電池406として中国の深センにあるアポロエナジー社(Apollo Energy Co. Ltd.)と中国の深センにあるシェンチェンチンカディヴェロップメント社(Shenzhen Jinke Development Co. Ltd.)が製造している同様の市販の折り曲げ可能な電池を用いてもなおここで開示している原理に従ったものとすることができる。
【0046】
図に示した実施例では、折りたためるマルチタッチセンサー構造300に電池406が重なっていることで、第二の複数の導電線112と保護カバーとなる基板層402の一方との間に電池406を配置することができるようになっている。結果的に、電池406と第二の複数の導電線112との間に均一な厚さの絶縁被膜404を配置することになり、使用中に二つの部品を互いから隔離することができる。しかしながら、部品302の様々な層の間に電池406を配置してもなおここで開示している原理にも従ったものとすることができるということには留意すべきである。実施例によっては、複数の折り曲げ可能な電池(例えば電池406)を互いに積み重ねるようにして部品302に組み込むことも可能である。複数の電池を互いに積み重ねることで、全体の出力電圧を増やすことが可能になる。
【0047】
作動時は、電池406で部品302と構造300に電力を供給し、また電気ケーブル(以下に述べる)など、他の電子機器に接続できる何らかの適切な装置を用いて電池406を充電することが可能である。実施例によって、電池406はおよそ1ボルトから9ボルトの範囲の電圧を出力するようにすることができる。折りたたみ可能なタッチセンサー構造300の他の実施例は、柔らかい電池406と均一な厚さの絶縁被膜404の両方か片方を含まないようにしつつ同時にこれはここで開示している原理に従っているものとすることができる。このような実施例では、標準的な再充電可能な電池、再充電不可能な電池、使い捨ての電池のいずれも又はどれか(例えば、以下に詳しく述べる電池314)を筐体304内に入れることが可能である。
【0048】
戻って図10を参照すると、筐体304がセンサーの動作領域306の一辺に沿って配置された状態を図示している。しかしながら、センサー領域306あるいは構造300の別の辺や複数の辺に沿って筐体304を配置してもここで開示している原理に従っているものとすることができるということは理解できるであろう。この実施例では、筐体304は、概して電気ケーブル312と電池314と無線接続モジュール308とプログラム可能なマイクロコントローラーモジュール310を含み、これらはすべて、フィルム100上の電気的接続部116、117と電気通信をするものとする。
【0049】
ケーブル312は接続部313を含むものであるが、当技術分野で周知である任意の適切な電気ケーブルを用いることができる。実施例によって、ケーブル312は全体の長さを1フィートから6フィートとすることができるが、他の長さも可能である。作動時には、例えばコンピューター、ラップトップ型コンピューター、スマートフォン、タブレットなどの他の電子機器に、接続部313を通してセンサー構造300を電気的につなぐためにケーブル312を利用することができる。さらに、少なくとも一部の実施例では、電力を構造300に供給して構造300を稼動させたり、電池314と折り曲げ可能な電池406の一方か両方を充電したりするためにケーブル312を使うこともできる。この実施例では接続部313をUSBコネクタとして図示し、説明しているが、他の実施例として他の適切な接続部を利用してもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができるということは理解できるであろう。例えば、他の実施例として、ケーブル312は壁の電源コンセントや外部電池などに用いるような先が分かれた標準的な電源コネクタを備えたものとすることも可能である。また、他の実施例として、構造300にケーブル312を含めなくてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができるということもまた理解できるであろう。
【0050】
電池314は、電子機器向けの任意の適切な電源を用いても本願で開示している原理に従っているものとすることができる。例えば、実施例によっては、電池314は、ラップトップ型コンピューターやタブレットなどの他の電子機器用に使う電池のような標準的な再充電可能な電池を用いることができる。さらに、実施例によっては、ケーブル312などの任意の適切な装置によって与えられる電気的な接続を介して電池314を再充電する。さらに他の実施例として、電池314は任意の適切な再充電不可能な電池か電源としてもなおここで開示している原理に従っているものとすることができる。また、構造300の実施例によっては電池314を用いなくてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができる。例えば、少なくともこれらの実施例のいくつかでは、既に述べた折り曲げ可能な電池406によって構造へ電力を供給する。
【0051】
引き続き図10を参照すると、無線接続モジュール308は、電子機器(図示していない)との容易な接続のために、折りたたみができるマルチタッチセンサー構造300の無線接続を可能にする。適切な電子機器は、以上で既に述べた任意の電子機器とすることができる。無線接続モジュール308は、例えば、WI−FI(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)、電波通信、超音波などの、当技術分野で公知の任意の適切な無線技術を利用することが可能である。さらに、少なくともいくつかの実施例で、無線接続モジュール308は構造300の筐体304内に入れなくてもなおここで開示している原理に従っているものとすることができる。
【0052】
この実施例では、プログラム可能なマイクロコントローラーモジュール310は、プロセッサ・コア、メモリー、プログラム可能な入出力周辺機器のひとつまたは複数を含む、自動制御の製品や機器(例えば構造300)で組み込みシステムとして利用するのにふさわしい集積回路とする。この実施例では、プログラム可能なマイクロコントローラーモジュール310は、センサーの動作領域306からの情報を伝える電気信号を受信する。この電気信号は、次にモジュール310で処理され、電子機器(図示していない)に(例えば、無線接続モジュール308から、またはケーブル312を通して放出された無線信号を介して)送信される。例えば、そのような適切な電子機器としてラップトップ型コンピューター、スマートフォンかこれらに似た機器を用いてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができる。この実施例のプログラム可能なマイクロコントローラーモジュール310は、カリフォルニア州サンタクララにあるシナプティック社(Synaptic)、カリフォルニア州サンノゼにあるマキシムインテグレーテッド社(Maxim Integrated)、他の同様の半導体製造会社のいずれもかまたはどれかによって製造される、制御装置に似たものとすることができる。
【0053】
図12と13を参照すると、既に述べた折りたたみ可能なマルチタッチセンサー構造300にマルチタッチスクリーン保護カバー構造700を取り付けて構成したタッチセンサー組立品900の斜視図と側面図をそれぞれ示す。マルチタッチスクリーン保護カバー700は、概して、折り曲げ可能な上側の部品702と、支持部品ないし硬い下側部材704を含むものとする。この実施例では、折り曲げ可能な上側の部品702は、既に説明した構造300の両面に一組の柔らかい保護カバー706を配置して構成したものとする。さらに、図13が一番よく分かるが、この実施例ではマルチタッチセンサー構造300から保護カバーとなる基板層402を除いている。しかしながら、他の実施例として(例えば図14図15に示した実施例)、保護カバー構造700に連結する際にマルチタッチセンサー構造300上に、さらに保護カバーとなる基板層402を配置してもなおここで開示している原理に従っているものとすることができる。引き続き図12図13を参照すると、折り曲げ可能な保護カバー706は、必要な回数だけ丸めたり折りたたんだりしたとしても割れたり裂けたりすることのないような、耐久性があって丸められて丈夫な任意の材料を含むことが可能である。例えば、折り曲げ可能な保護カバー706に布地かプラスチックを用いてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができる。少なくともいくつかの実施例では、カバー706は透明又は実質的に透明なものとすることが可能である。
【0054】
保護カバー構造700の硬い下側部材704は任意の適切な硬い材料で構成することが可能であり、本願で開示している原理に従っているものとすることができる。例えば、プラスチック、金属、複合材料かこれらの何らかの組み合わせで下側部材704を構成することができる。さらに、この実施例では、下側部材704は、取り外し可能な状態で電子機器(示していないが)をはめ込んで収納できるように、大きさを合わせて形成した収容部705を含む。下側部材704の収容部705内に入れることのできる適切な電子機器は、例として、上で既に述べた任意の電子機器とすることができる。マルチタッチセンサー構造300は、ケーブル312と接続部313を経由させたり、内部接続ピン710などのような他の何らかの電気接続部を通したりして電子機器(図示していない)と電気的に接続することが可能である。実施例によっては、内部接続ピン710は、任意の適切な装置や方法を用いて、筐体304内に配置した一つ以上の部品と電気的に接続する。例えば、実施例によっては、内部接続ピン7120は、柔らかい上側の部品702と硬い下側部材704のそれぞれと一体になっている内部配線と電気的に接続することが可能である。さらに、実施例によっては、前に述べたように無線接続モジュール308を経由した無線接続を用いてマルチタッチセンサー構造300と電子機器(図示していない)を電気的に接続することも可能である。引き続き図12図13を参照すると、下側部材704はまたヒンジ機構708を含む。ヒンジ機構708は、柔らかい上側の部品702を硬い下側部材704に取り外し可能な状態で連結し、作動中に下側部材704に対して機構708を中心に上側の部品702を回転させることができるように設置される。実施例によっては、ヒンジ機構708は、柔らかい保護カバー706の少なくとも片方に連結するヒンジとする。他の実施例として、保護カバー706を含めずにセンサー構造300自体をヒンジ機構708に取り付けてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができるということもまた理解できるであろう。また、ヒンジ機構708には、ポリマーや金属などの任意の適切な材料を用いることが可能である。また、少なくともいくつかの実施例では、ヒンジ機構708は面ファスナーによる接続部とする。さらに、他の実施例として、ヒンジ機構708を含めずに、センサー構造300(保護カバー706を含める場合はこのセンサー構造と少なくとも片方の保護カバー706の一方または両方)が、下側部材704に直接取り付けてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができる。
【0055】
実施例によっては、柔らかい上側の部品702の外のり寸法は、硬い下側部材704の対応する外のり寸法に合わせるようにする。しかしながら、他の実施例として、柔らかい上側の部品702と下側部材704の外のり寸法を合わせないようにすることもできる。
【0056】
図14図15を参照すると、既に述べたマルチタッチセンサー構造300とマルチタッチスクリーン保護カバー構造700’とを含むタッチセンサー組立品900’の別の実施例の斜視図と側面図を示している。マルチタッチスクリーン保護カバー構造700’は既に述べた構造700と実質的に同じである。しかしながら、既に説明した保護カバー構造402をマルチタッチセンサー構造300に設け、このマルチタッチセンサー構造300を一枚の柔らかい保護カバー706に取り外し可能な状態で取り付けている。図示している実施例では、上側の部品702の端まで横方向に延びた等間隔な帯902を成す複数の面ファスナー902を用いて取り外し可能な状態でカバー706に構造300を取り付けている。しかしながら、面ファスナー902の数、形、並び方を変更してもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができることは理解できるであろう。また、他の実施例として、取り外し可能な状態でカバー706に構造300を連結するのに、接着剤、テープ、スナップ、バックルやこれらを併用するなど、他の任意の適切で取り外し可能な結合部品を用いることも可能である。また、この実施例では保護カバー基板706を一枚だけ用いているが、別の実施例として(図12図13の実施例で示しているように)一組の保護カバー基板706を用いてもなお本願で開示している原理に従っているものとすることができる。
【0057】
概して図12図15を参照すると、作動時には、使用者(図示していない)が、下側部材704の収容部705内に電子機器(既に述べた電子機器のうちの一つなど)を取り付け、ピン710(図12に示す)、ケーブル312、無線接続モジュール308と既に述べた他の任意の適切な方法のいずれかあるいは複数を用いて、マルチタッチセンサー構造300を電気的に接続する。その後、使用者は、マルチタッチセンサー構造300という付加機能を使って電子機器を操作することができるようになる。特に、使用者は、その電子機器で利用できる使用者とのやりとりのための手段や方法に加えて、あるいはそういった手段や方法の代わりに、構造300の中に配置されたタッチセンサーフィルム100を操作したりやりとりすることによって電子機器とやりとりすることができる。
【0058】
ここに開示した実施例を用いて説明したようにすれば、小さくて硬い従来型のタッチセンサーパッドの代わりに、安価で大きくて柔らかく、携帯可能であり、表面がより大きな動作範囲を持つように設計したマルチタッチセンサーを用いることが可能である。また、構造300とフィルム100、200の折り曲げることができる性質のおかげで、そういったマルチタッチセンサーの保管と搬送を大いに改良することができる。本明細書で説明した多くの実施例は、静電容量式タッチセンサー(例えばフィルム100)を利用するものであったが、ここで開示したすべての実施例は抵抗膜方式タッチセンサー(例えばフィルム200)の利用を採用してもなお本願で開示している原理に十分に従っているものとすることができることは理解できるであろう。
【0059】
好ましい実施例を既に図示し説明してきたが、当業者は本願の範囲と教えから逸脱することなく改良を行うことができる。本明細書で説明した実施例は例示にすぎず、これらに限定するものではない。本明細書で説明したシステム、装置、方法は本発明の範囲内で多くの変形と改良を行うことが可能である。例えば、各部分の相対的な大きさ、各部分を作る材料などのパラメータは変更することも可能である。したがって、保護の範囲は本明細書で説明した実施例によって限定するのではなく、以下に続く請求項によってのみ限定する。その範囲は、請求の対象と均等なものすべてを含むものとする。方法の請求項における工程は、明示的に別の内容を述べていない限り、任意の順序で行うことが可能である。方法の請求項で、各工程の前に(a)、(b)、(c)又は(1)、(2)、(3)などの記号を付けているのは、工程を特定の手順で行うことを指示する意図はなく、またそのように指示することはない。むしろ、後でその工程を簡単に参照できるようにするために用いている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】