特表2015-534385(P2015-534385A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノキア テクノロジーズ オーユーの特許一覧

特表2015-534385パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー
<>
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000003
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000004
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000005
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000006
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000007
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000008
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000009
  • 特表2015534385-パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534385(P2015-534385A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】パワー・プリファレンス・インジケーター・タイマー
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20151030BHJP
   H04W 80/08 20090101ALI20151030BHJP
【FI】
   H04W52/02
   H04W80/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-533647(P2015-533647)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月21日
(86)【国際出願番号】FI2013050850
(87)【国際公開番号】WO2014049198
(87)【国際公開日】20140403
(31)【優先権主張番号】61/706,844
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ケスキタロ イルッカ
(72)【発明者】
【氏名】コスキネン ユッシ−ペッカ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067DD24
5K067DD27
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
本発明の例示実施形態によれば、少なくとも、通信ネットワークのデバイスにより、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動することを含む操作を実行する方法及び装置が提供される。但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークのデバイスにより、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動することを含むが、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない、方法。
【請求項2】
前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイマーが、無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表示が、無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タイマーの終了に基づいて、ネットワークに対してPPIメッセージを送信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記タイマーを起動することが、T340タイマーを再起動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記タイマーの持続時間が、前記T340タイマーの持続時間に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスが、モバイル端末として構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムコードをコード化した不揮発性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムコードは、プロセッサによって以下を含む動作を実行可能である、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体:
通信ネットワークのデバイスにより、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動すること、但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない。
【請求項14】
前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する、請求項13に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記タイマーが、前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する、請求項14に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記表示が、無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む、請求項15に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する、請求項14に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される、請求項13に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記タイマーの終了に基づいて、ネットワークに対してPPIメッセージを送信することを更に含む、請求項13に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む、請求項19に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す、請求項20に記載の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
少なくとも1つのプロセッサ;及び
コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリ
を含む、装置であって、
前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、少なくとも前記装置に無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動させるように構成されている、但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間はデバイスによってPPIメッセージが送信されない、
装置。
【請求項23】
前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記タイマーが、前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記表示が、無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
前記コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置にタイマーの終了に基づいてネットワークに対してPPIメッセージを送信させるように構成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項29】
前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記タイマーを起動することが、T340タイマーを再起動することを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項32】
前記タイマーの持続時間が、前記T340タイマーの持続時間に基づく、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
モバイル端末として構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項34】
無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動する手段を備え、少なくとも前記タイマーの持続時間の間はデバイスによってPPIメッセージが送信されない、装置。
【請求項35】
前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記タイマーが、前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記表示が、前記デバイスによって受信される無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する、請求項35に記載の装置。
【請求項39】
前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される、請求項34に記載の装置。
【請求項40】
前記タイマーの終了に基づいて、ネットワークに対してPPIメッセージを送信する手段を更に含む、請求項34に記載の装置。
【請求項41】
前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記タイマーを起動することが、T340タイマーを再起動することを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項44】
前記タイマーの持続時間が、前記T340タイマーの持続時間に基づく、請求項34に記載の装置。
【請求項45】
モバイル端末として構成される、請求項34に記載の装置。
【請求項46】
前記起動する手段が、タイマーと、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体とを含み、前記コンピュータプログラムコードは少なくとも1つのプロセッサによって実行されるものである、請求項34に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「本発明の例示実施形態による教示は、拡張型多様データアプリケーション(enhanced diverse data applications; eDDA)と、該データアプリケーションによるスパース及び/又は間欠のデータ伝送を伴うUE・RRC接続モードのための省電力化との組合せに関する。本発明の例示実施形態は、少なくとも、DRX、モビリティ、シグナリング負荷、及びネットワーク接続の解除タイマーを提供する。
【背景】
【0002】
本セクションでは、特許請求の範囲に記載される発明に対して背景又は状況を提供することを目的とする。本セクションの記載は、権利付与が求められているものの、必ずしも従前に着想され、又は権利付与が求められたものでもない概念を含み得る。従って、特段の指示のない限り、本セクションに記載される事項は、本願の明細書及び特許請求の範囲に対して先行技術とはならず、本セクションに含まれることによって先行技術であると認めるものではない。
【0003】
明細書及び/又は図面において見出される特定の略語は、以下の通り定義されるものである。
【0004】
ARQ(automatic repeat-request)自動反復要求
CQI(channel quality indication)チャンネル品質表示
C‐RNTI(cell radio network temporary identifier)セル無線ネットワーク一時識別子
DRB(data radio bearer)データ無線ベアラ
DRX(discontinuous reception) 間欠受信
DL(downlink)下り回線
eDDA(enhancements for diverse data application)多様データアプリケーション拡張
eNB(base station)基地局
HARQ(hybrid automatic repeat-request)ハイブリッド自動反復要求
HFN(hyper frame number)ハイパーフレーム番号
IDC(in-device co-existence)デバイス内共存
IE(information element)情報要素
NAS(non-access stratum)非アクセス層
ノードB(Node B)UTRAN内の基地局(base station in UTRAN)
MAC(medium access control layer)媒体アクセス制御層
PDCP(packet data convergence protocol layer)パケットデータコンバージェンスプロトコル層
PHY(physical layer)物理層
PPI(power preference indication)パワープリファレンス表示(電力選択表示)
QoS(quality of service)サービス品質
RACH(random access channel)ランダムアクセスチャンネル
RAN(radio access network)無線アクセスネットワーク
RLC(radio link control)無線リンク制御
RN(relay node)中継ノード
RPLMN(registered public land mobile network)登録公衆地上移動体ネットワーク
RRC(radio resource control)無線リソース制御
RS(reference signal)基準信号
SDU(service data unit)サービスデータ単位
SFN(system frame number)システムフレーム番号
SMC(security mode command)セキュリティモードコマンド
SN(serving network)使用中ネットワーク
UE(user equipment)ユーザ機器
【0005】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって開始されたロング・ターム・エボリューション(LTE)システムは、システムの容量及びカバレッジの向上と共に高データレート、低遅延及びパケット最適化を提供する無線インターフェース及びネットワークアーキテクチャである。LTEシステムにおいては、
進化型ユニバーサルテレストリアル無線アクセスネットワーク(evolved universal terrestrial radio access network;EUTRAN)は、複数の進化型ノードB(eNB)を含み、複数の移動局〔ユーザ機器(UE)とも称される〕と通信する。E-UTRANの無線プロトコルスタックは、無線リソース制御層(RRC)、パケットデータコンバージェンスプロトコル層(PDCP)、無線リンク制御層(RLC)、媒体アクセス制御層(MAC)、及び物理層(PHY)を含む。
【0006】
無線リソース制御(RRC)シグナリングは、例えばRRC接続を確立/改変/解除したり、ハンドオーバを実行したり、測定をセットアップ/改変/解除したり、無線ベアラを確立/改変/解除したりする等、RRC接続を改変するためにeNB及びUEによって用いられるRRC接続再設定のシグナリングを含み得る。RRC状態は、ユーザ機器が無線アクセスネットワークとアクティブに通信していないRRCアイドル(RRC Idle)状態と、無線がアクティブであり、eNBに接続しているRRC接続(RRC Connected)状態とを含む。eNBは、UEがスケジューリング及びページングの情報を受信する時刻を決定するダウンリンクシグナリング設定を有する。省電力目的のために、eNBは、UEがダウンリンク制御信号をモニタする時間周期を設定し得る。他の時には、UEは、省電力モードになることが許容され、このような省電力モードの間、eNBは、UEがダウンリンク信号を待つであろうことを想定し得ない。これは、間欠受信(DRX)周期に関するものであり、間欠受信(DRX)周期とは、節電する時間周期の間、UEにその無線を停止させるものである。
【0007】
データネットワークのカバレッジが、例えばWiFiネットワークを含めて増加するにつれ、多様なスマートフォンのアプリケーションの需要も増加している。大量のモバイルアプリケーションにより、それらアプリケーションのユビキタス性の観点でデバイスの接続性及び省電力動作に対して課題が提示されている。そのような課題の一つとして、UEにおいてバックグランドで動作するそれらモバイルアプリケーションであって、ネットワークとの常時接続を必要とする傾向にあるモバイルアプリケーションに関するものがある。
【摘要】
【0008】
本発明の一の例示態様においては、通信ネットワークのデバイスにより、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動することを含む方法が提供される。但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない。
【0009】
本発明の別の例示態様においては、少なくとも1つのプロセッサ;及びコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリを含む、装置であって、前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、少なくとも前記装置に無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動させるように構成される、装置が提供される。但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間はデバイスによってPPIメッセージが送信されない、
【0010】
本発明の更なる別の例示態様においては、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動する手段を含む装置が提供される。但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間はデバイスによってPPIメッセージが送信されない。
【0011】
前記段落に記載の本発明の例示態様によれば、前記起動する手段が、タイマーと、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体とを含み、前記コンピュータプログラムコードは少なくとも1つのプロセッサによって実行されるものである。
【0012】
本発明の実施形態の前述した態様及びその他態様は、以下の詳細な説明において、添付の図面と共に読まれた時、より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】RRC接続確立の成功を示す従来のシグナリング図である。
図1B】RRC接続確立手順のネットワーク拒否を示す従来のシグナリング図である。
図2A】E‐UTRANネットワークとUEとの間におけるUEアシスト情報シグナリングの通信を示す。
図2B】本発明の例示実施形態による方法に関連したRRC接続再設定シグナリングを示す。
図3A】長期RRC接続(Long RRC接続)を伴うPPI操作を示す。
図3B】本発明の例示実施形態による、タイマーを用いた接続モード操作を示す。
図4】本願に提示される例示実施形態の実践用途に好適な各種電子デバイスの簡略ブロック図を示す。
図5】本発明の例示実施形態による方法の簡略ブロック図を示す。
【詳細説明】
【0014】
本発明の例示実施形態によれば、少なくとも、拡張型多様データアプリケーション(enhanced diverse data applications; eDDA)並びに該データアプリケーションによるスパース及び/又は間欠のデータ伝送を伴うUE・RRC接続モードのための省電力化を提供する方法が提供される。本発明の例示実施形態によれば、少なくとも、DRX,モビリティ、シグナリング負荷、及び/又はネットワーク接続の解除タイマーに関する方法が提供される。
【0015】
UE省電力化を最適化することを目的として、本発明の実施形態によれば、UEがどのパワーモードにあろうと、UEとネットワークとを同期させた状態に維持し、少なくともバックグラウンドでの良好なアプリケーションデータトラフィックを可能にする手法が提供される。それら手法は、以下に詳述される通り、UEが、eNB等のネットワークデバイスにRRC手順におけるPPIを提供し、さらにUEからのPPIの適時選択(タイミング)に用いるための新規タイマーを提供する機能を含む。
【0016】
対象とする仕様の1つとしては、3GPP TS 36.331 V11.0.0(2012-06)第3世代パートナーシップ・プロジェクト;技術仕様化グループ無線アクセスネットワーク(Technical Specification Group Radio Access Network);進化型ユニバーサルテレストリアル無線アクセス(Evolved Universal Terrestrial Radio Access;E‐UTRA);無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC);プロトコル仕様(Protocol specification)(リリース10)であり、これらは本願において全体が参照により援用される。
【0017】
図1Aは、3GPP TS 36.331の図5.3.5.1-1を複製したものであり、RRC接続確立手順の全体を示している。図1Aに示される通り、UEは無線リソース制御(RRC)接続を起動する。UEは、例えばeNB等の進化型ユニバーサルテレストリアル無線アクセスネットワーク(EUTRAN)デバイス(単数又は複数)に、RRC接続セットアップを要求するRRCConnectionRequestメッセージ100(RRC接続要求メッセージ100)を送信する。EUTRANデバイス(単数又は複数)は、無線リンクをセットアップし、UEに、物理チャンネル情報を含むRRCConnectionSetupメッセージ110(RRC接続セットアップメッセージ110)を送信する。UEは、自身をEUTRANと同期させた後、確認RRCConnectionSetupCompleteメッセージ120(確認RRC接続セットアップ完了メッセージ120)を伝送し、UEは、次いで呼設定メッセージ等の上位層メッセージを発信してもよい。
【0018】
図1Bは、3GPP TS 36.331の図5.3.5.1-2を複製したものであり、RRCネットワーク拒否手順の全体を示す。図1Bは、RRC接続障害の例を示す。EUTRANデバイス(単数又は複数)は、無線リンクセットアップの試みに失敗することがあり得る。そのような失敗は、ハードウェア・ブロックに起因するものであったり、或はアドミッション制御がセットアップの試みを拒否し得る。このような状況においては、RRCConnectionRequestメッセージ140に応答して、EUTRANデバイスは、RRCConnectionRejectメッセージ150(RRC接続拒否メッセージ)を伝送する。
【0019】
図2Aは、RRC接続再設定手順に対する応答においてE‐UTRANネットワークとUEとの間におけるUEアシスト情報の通信を示す。図2Aに示される通り、回線200において、UEとEUTRANとがRRC接続再設定シグナリングを交換する。次いで、回線250において、UEは、EUTRANにUEアシスト情報を送信する。この手順の目的は、 EUTRANに、UE省電力化選択(プリファレンス)を含み得るアシスト情報を通知することにある。さもなければ、E‐UTRANは、UEを設定してPPIを可能にする時、UEが最初に省電力化のためのデフォルト設定を選択すると想定し得る。本願において説明する新規操作は、このようなRRC及び省電力化の選択(プリファレンス)のシグナリングに関連したシグナリングを低減するように機能する。
【0020】
図2Bは、3GPP TS 36.331 V11.0.0に記載されるRRC接続再設定の操作を示す。本願に記載される本発明の例示実施形態は、3GPP TS 36.331 V11.0.0、より詳細には3GPP TS 36.331のセクション5.3.5に関連する、図2A及び図2Bに示されるシグナリング等のRRC接続の改変を含む。このRRC再設定手順は、RBを確立/改変/解除し、ハンドオーバを実行し、測定をセットアップ/改変/解除、Sセル(Scell;セカンダリセル)を加え/改変し/解除することにある。手順の一部として、NAS専用情報をE‐UTRANからUEへ転送してもよい。図2Bに示す通り、回線200において、UEとEUTRANとが、RRC接続再設定のシグナリングを交換する。次いで、回線260に示す通り、UEが、EUTRANにRRCConnectionCompleteメッセージ(RRC接続完了メッセージ)をシグナリングする。3GPP TS 36.331のセクション5.3.5には、RRC接続再設定が完了する前に実行されるシグナリングについて更なる記載が含まれている。本発明の実施形態は、PPI(PH)シグナリング、並びに例えば図2A及び図2Bに示されるようなRRC関連シグナリングに伴われる通信に少なくとも用いるためのタイマーに関する。本願に記載される新規操作は、本発明の実施形態によるパワープリファレンス表示(PPI)タイマーを用いてシグナリングを低減することにより少なくともUEとネットワークオペレータとに利益をもたらすシグナリング及びタイマーを用いる。
【0021】
ここで対処される課題は、powerPrefindication(PPI)のシグナリング最適化、並びに各時刻においてUEがどのモードにあろうと、UEとネットワークとを同期させた状態に維持する方法に関するものである。PPIは、1ビットの表示であり、UEにおいて電力消費の低減を達成しようとする特定の理由がない時には「デフォルト」設定が存在するという想定が為される。このような状況においては、接続設定及び状態制御は、例えばQoS要求に基づいたものであり得る。この「デフォルト」設定は、接続がセットアップされた後にネットワークによって送信される。
【0022】
PPI表示は、接続セットアップの後初めて送信された時にのみlowpowerconsumption値(低電力消費値)に制限される。UEがアイドル状態にあった後に新規データ転送が起動した時に、ネットワークは、UEが通常モード又は「デフォルト」モードにあると想定する。これは、以下の記述と共に(3GPP TS 36.331 5.3.15.1における)最新の変更要求CRにおいて捕捉される:
「E‐UTRANは、UEを設定してPPIを可能にする時に最初にUEが省電力化のためのデフォルト設定を選択すると想定し得る。」
【0023】
UEのユーザによって能動的に用いられるアプリケーション(例えば、スマートフォンアプリケーション)によってトラフィックが生成される場合、デフォルト設定は標的とするQoSを伴うデータを運搬するのに適当なものでなければならない。他方、例えば、トラフィックが、電子メールのモニタリング、インスタントメッセージサービス及び/又はソーシャルネットワーキングに関するステータス・アップデート等、バックグラウンドで動作しているアプリケーションに由来する場合、PPIシグナリングがネットワークによって可能とされているという条件で、UEは、lowpowerconsumptionの値を表示するPPIを送信し得る。このlowpowerconsumption表示は、UEが低電力消費のための接続再設定を始動させることを可能にすると同時に、UEのバックグラウンドで動作しているアプリケーション由来のデータトラフィックも依然として可能にする。
【0024】
最初のPPI表示をlowpowerconsumptionのみに制限する原理に従うことにより、必要UEアシストシグナリングの低減がもたらされる。これは、少なくとも、電力消費が接続設定のための最重要事項ではない場合全てにおいて、PPIシグナリングが回避され得るという理由のためである。これにより、アシスト情報に関連したその他値のみが送信される必要があることから、シグナリング負荷が低減され得る。
【0025】
さらに、本発明によれば、PPIに関する3GPP TS 36.331のRAN#57承認変更要求は、以下の通りである:
5.3.15.2 イニシエーション
以下の場合にのみ、RRC_CONNECTED(RRC接続)においてPPIを提供することが可能なUEが手順を開始し得る。
・受信したpowerPreflndicationConfig(PPI設定)が、powerPrefindication-Enabled(PPI可能)を含む;並びに
・UEが、現Pセル上でRRC_CONNECTEDに最後に入って以来、如何なる省電力化選択(プリファレンス)をも表示していないか、又は現UE選択(プリファレンス)が、現PセルにUEAssistanceInformationメッセージ(UEアシスト情報メッセージ)を最後に伝送した際に表示されたものと異なる;及び
・タイマーT340が作動していない。
手順を開始する際、UEは:
・UEが省電力化のデフォルト設定を選択する場合:
・powerPrefIndication-Timer(PPI‐タイマー)に設定されたタイマー値でタイマーT340を起動する;及び
・3GPP TS 36.331の5.3.15.3に従い、UEAssistancelnformationメッセージの伝送を開始する;
【0026】
合意された仕様テキストによれば、UEがlowpowerconsumptionの値を伴う次のその表示を送信することを防止する禁止タイマーT340を用いることによってシグナリング負荷が低減され得る。PPIが(電力最適化モードに入った後に)値として「デフォルト」モードで送信される時、禁止タイマーT340が起動される。禁止時間機構は図3Aに示されており、そこには、長期データ伝送又は長期接続解除タイマー(例えばRRC接続解除を制御するネットワークパラメータ)に起因してUEがRRC接続状態で維持されるという仮定が存在する。
【0027】
PPIについての時間制限に関し考慮しなければならない2つの基礎となるシナリオがある。即ち、a)UEが(例えば長期接続解除タイマーと)連続して接続した状態が維持されるか、又はb)データバースト伝送の直後に接続が解除される。
【0028】
図3Aは、時点315におけるPPI/省電力操作、又は低電力選択(低電力プリファレンス)を描いている。これは、禁止タイマーT340を用いた長期RRC接続(long RRC接続)を伴う。図3Aに示される通り、禁止タイマー340は、PPI/デフォルト設定(つまり、低電力最適化設定ではない)を示す最後のPPI伝送320においてのみ起動する。この場合、現に特定されている禁止タイマー(T340)が正常に機能し、デフォルトモードと省電力モードとの間の高頻度な変更による過剰なPPIシグナリング手順を回避することによってシグナリング負荷を低減することができる。T340は、値が0(ゼロ)〜600sの範囲となる設定可能なタイマーである。ゼロの値は、PPI表示のフィルタリングがないことを意味する。T340タイマーは、UEがデフォルト設定を選択するPPIを送信する場合にのみ起動される。単一の禁止タイマー(T340)の使用は、PPI伝送による過剰なシグナリング及びユーザエクスペリエンスへの影響を排除可能でなければならない。他の時期に禁止タイマーが起動しない問題は、連続したPPIによって引き起こされる過剰シグナリングにより生じる、想定されるオーバーヘッドであるが、このようなアプローチの利益としては、UEがQOS標的に合致する設定を必要とする時、それらを迅速に要求することができ、サービスが劣化しないことである。
【0029】
本発明の例示実施形態によれば、RRC手順に関連するものであり、かつRRC接続がセットアップされた時に起動する別のタイマーを用いた改良禁止機構が存在する。接続セットアップの後、任意の時期にPPIを機能させると、UEの電力消費に何ら影響も与えることなく、或は悪影響さえ与えつつ、非常に大きなシグナリング負荷を生じ得る。新規タイマー(T3xx)を用いると、過剰シグナリングが回避され、「バックグラウンド」モードでのスマートフォン動作が最適化され得る。
【0030】
例示実施形態によれば、RRCメッセージ送信禁止機構が強化され、その結果、新規禁止タイマー(T3xx)が機能(例えば、PPI,IDC等)の設定においても起動されるであろう。例えば、この新規機能の設定は、(例えば、LTEのケースで、)(モビリティ制御情報の有無に関わらない)RRC接続再設定、RRC接続セットアップ、及びRRC接続再確立等によって生じるものであってもよい。新規タイマー値は、シグナリングされ、静的に特定され、又は他のタイマー値(例えばPPIの場合のT340)との関係である値で加算/減算/除算/乗算され得る。
【0031】
この場合、例えば作動中のアプリケーションがバックグラウンドトラフィック(これはスマートフォンで生成される通常のトラフィックであり得る)のみを生成している時に、接続が始動され単に少量のパケットが送信されてもよい。ほんの短い接続の間に、接続が間もなく解除される場合、PPIシグナリング手順を開始することは意味がない。図3Bは、そのようなシナリオを示す。
【0032】
このような問題を回避するために、接続セットアップの開始時、接続セットアップ手順において、若しくは接続セットアップ手順の間に、及び接続セットアップシグナリング手順に続く接続再設定シグナリングにおいて、若しくは同接続再設定シグナリングの間に起動する、値lowpowerconsumptionを伴うPPI(この表示はバックグラウンドトラフィックで生じる可能性が高い)の伝送のための新規タイマーが提案される。新規タイマーは、また、原則として、RRC仕様で特定される固定値でもあり得る。加えて、新規タイマーは、シグナリング条件に依存する等、可変であり得る。
【0033】
不要なPPI表示を回避する、タイマーの使用に代わるもう一つの選択肢としては、バッファにおけるデータ量を用いて表示を送信するか否かを判定することであろう。バッファに少量のデータしかない場合には、PPIシグナリングは遅延し得る。PPIシグナリングを起動するか否かを判定するためにバッファにおけるデータ量には特定の閾値が設定され得る。T3xxxと同様に、閾値はネットワークによって設定可能であるか、或は、閾値は仕様において固定されたものであり得る。バッファステータスは、ユーザ機器生成データに対しては機能するが、ネットワークに由来するデータ転送に対しては適用可能ではない。
【0034】
タイマーT3xxが設定可能であることにより、異なる動作シナリオへの適合が可能になる。新規T3xxタイマーのための設定可能値は、ネットワークが希望する場合、即時のPPI表示を許容する「0」から開始し得る。新規タイマーは、設定可能な時/場合、設定メッセージに別の情報要素(information element;IE)を有することができるし、又はT340設定に関連し得る。後者の場合は、新規タイマーの値は、T340の値と同一であることができ、その結果、T3xxとT340の両方のタイマーに適用される、唯一の設定値が存在するであろう。或は、T3xxに用いられる値は、設定されたT340の値に由来するものであることができ、例えば、その分数又は倍数である値、T340値を定数で減算又は加算した値等であり得る。T3xxに関する別のIEがある場合には、その別のIEも同様に適用される。ネットワークは、T3xxの時間周期を設定し、特定の接続のために適用される接続解除タイマーの長さに協調してもよく、その結果、禁止時間(T3xxの値)が、接続解除の前に終了しないようにするために、解除タイマーより若干長くなるであろう。次いで、(初期データパケットの後)新規データが無い場合、接続は、接続解除タイマーの終了において、さらにT3xxが終了しない時に、解除される。これにより、データパケット/バースト伝送についてのRRC接続がある時間周期全体の間、PPIシグナリングが防止される。或は、解除タイマー値が、T3xxの値を設定するための基礎として用いられ得るブロードキャスト又は専用のシグナリングの何れかで、その他メッセージにおいてシグナリングされ得る。用いられたT3xx値は、解除タイマー終了前にT3xxが終了することを防止するために、解除時間に幾らかの時間幅を足したものでなければならないことは明らかである。また、この時間幅は、固定値であるか、又は設定可能なものであり得る。
【0035】
図3Bは、本発明の例示実施形態による新規T3xxタイマー(385)を用いた方法を示す。図3Bは、高頻度RRC状態移行と、断続(少量のデータパケット ‐ 「バックグラウンド」で作動するアプリケーションを有するスマートフォンでは通常である)伝送とを有する状況を示す。例示実施形態によれば、RRC接続350がセットアップされた後、ネットワークは、UEをデフォルトパワーモードにあると想定するか、同モードに再設定する(360)。PPIシグナリングは、このシグナリング手順の間に作動させる。新規タイマーT3xx385なしで、UEが「バックグラウンド」モードにあり、かつ省電力化が選択され(これは、例えば夜中に数時間継続し得る)、さらにPPIシグナリングが作動された場合、UEは、lowpowerconsumptionを示す値を伴うPPI365を送信する。RANノードは、次いで、接続パラメータを変更して省電力化を最大化することを目的として、RRC接続再設定375シグナリング手順を起動してもよい。新規禁止タイマーT3xx385を用いた時、T3xxが作動している間、UEはPPIを送信することはなく、ネットワークによって開始される、結果として生じる接続再設定は存在しないことになる。新規PPI禁止タイマーT3xx385が、接続解除380を超えて作動してもよく、これによって、この(短い)接続時間の間においてPPI及び再設定のシグナリング手順が回避される。次のデータバースト伝送390の間、新規PPI禁止タイマー385を用いたシグナリングの低減が再び達成され得る。
【0036】
PPI「設定」は、接続が解除された時に削除され得るので、前述した同一の手順を以下の接続において繰り返してもよい。このシーケンスは、(バックグラウンド)データ転送が生じるトラフィックパターンにより生じる。間隔は、ほんの数秒と短いものであり、転送されるごく少量のトラフィックペイロードしか伴わないRRCシグナリングにおいて容認しがたい高負荷を生じることとなり得る。さらに、短い接続時間を用いると、電力最適化設定は、ほんの僅かな向上しか有することができず、これは過剰なシグナリング手順に起因して否定的なものとさえなり得る。
【0037】
タイマーT3xxに関する幾つかの実行機構が可能であるが、幾つかの例を簡単に説明する。禁止タイマーT3xxは:
・T340と同様に又は他の設定メッセージにおいて設定され得る完全に新規なタイマーである、
・仕様において定義される固定時間であり得る、
・ブロードキャストされるメッセージによって通知され得る、
・設定されたT340と同一であるか又は同T340と同一の値を有し得る、
・T340に由来し得る、例えば、T340の特定の分数、T340+1−適切な値等、
・バッファデータ量が、UEがPPI表示を送信することを許容される特定の閾値を超えた場合にのみ、データバッファ・ステータスに基づくものであり得る、
○データ量が与えられた閾値より低い場合、UEはPPI伝送に関する禁止タイマーを起動し得る、
○バッファにおけるデータ量が、それ自体、つまり、タイマーを用いることなく用いられ、PPIシグナリングを禁止し得る;データ量が与えられる閾値より低い場合、新規データの到着が無い(かつ与えられた閾値を超えている)限り、UEはPPIシグナリングを保留し、十分な量の新規データが到着し、かつ電力最適化が選択される場合には、UEはPPIを送信し得る、
○これは、UE開始データ転送に限定されてもよく、この場合、UEが転送バッファにおいてデータを認知している、
・PPI表示が作動されている場合にのみ起動されてもよい。
【0038】
本発明の例示実施形態は、少なくとも以下の利点を提供する:
・特にバックグラウンドモードで作動しているスマートフォンに関して、又は、一般的には断続データ転送のみが生じている時に、シグナリング負荷が最小化される;
・UE電力消費に対する悪影響が解消される;
・大した仕様の影響もない簡単な機構で実施され得る;
・本発明の実施形態は既に合意された禁止機構上で規定され得る。
【0039】
図4は、本発明の例示実施形態を実施する用途に適した各種電子デバイス及び装置の簡略ブロック図を示す。図4においては、無線ネットワーク(ネットワークアクセスノード22及び上位ネットワークノード24)が、モバイル端末又はUE20等の装置を用いて、無線リンク21上、及び場合によってはリンク23上の通信に適合されている。上位ネットワークノード24は、更なるネットワーク〔例えば、公衆交換電話ネットワーク(publicly switched telephone network;PSTN)又はデータ通信ネットワーク/インターネット〕との接続性を提供するモビリティ管理エンティティ(mobility management entity;MME)としてLTEシステムに実装されてもよい。加えて、無線リンク21は、UE20上のバックグラウンドで動作するアプリケーションによって用いられてもよい。これらのアプリケーションは、ネットワークノード22又は別のネットワークノードとインターネット40とを介してスパース/低頻度なデータ伝送を実行していてもよい。
【0040】
UE20は、少なくとも1つのデータプロセッサ(DP)20A等のプロセシング手段、少なくとも1つのコンピュータプログラム(PROG)20C又はより一般的にはコンピュータプログラムコードが記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(MEM)20B等の記憶手段、1以上のアンテナ20Fを介したノードB22を用いた双方向無線通信のためのトランスミッターTX20D及びレシーバRX20E等の通信手段を含む。さらに、少なくとも、ネットワークノードを用いてRRC確立を開始し、ネットワークノード22等のネットワークノードに接続情報を提供する手段、並びにRRC接続のセットアップ及び/又は再設定で起動される、lowpowerconsumptionの値を伴うPPI伝送のためにRRC/PPIタイマー200を実行する手段を含む本発明の例示実施形態に関連する情報が、少なくともRRC/PPIユニット20GのためのMEM20Bに記憶されている。
【0041】
ネットワークアクセスノード22は、また、少なくとも1つのデータプロセッサ(DP)22A等のプロセシング手段、少なくとも1つのコンピュータプログラム(PROG)22C又はより一般的にはコンピュータプログラムコードが記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(MEM)22B等の記憶手段、並びに1以上のアンテナ22Fを介した少なくともUE20を用いた双方向無線通信のためのトランスミッターTX22D及びレシーバRX22E等の通信手段を含む。さらに、UE20のモビリティ状態を含む情報を受信することを含む例示実施形態に関連した情報と、本発明の例示実施形態による、RRC接続のセットアップ及び/又は再設定におけるlowpowerconsumptionの値を伴うPPIの受信のためのRRC/PPIタイマー22Gを実装するために実行可能であるプログラミングコードとが、また、少なくともRRC/PPIユニット22GのためのMEM22Bに記憶されている。
【0042】
同様に、上位ネットワークノード24は、少なくとも1つのデータプロセッサ(DP)24A等のプロセシング手段、少なくとも1つのコンピュータプログラム(PROG)24C又はより一般的にはコンピュータプログラムコードが記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(MEM)24B等の記憶手段、並びにデータ/制御パス25を介した少なくともネットワークアクセスノード22を用いた双方向通信のための通信手段を含む。さらに、ネットワークアクセスノード22と同様に、上位ネットワークノード24がUEのモビリティ状態を含む情報を有する必要が生じた場合にこの情報を受信することを含む本発明の例示実施形態に関連した情報と、本発明の例示実施形態により、上位ネットワークノード24にUE20によって送信されたlowpowerconsumptionの値を伴うPPIを含む情報を受信させるように構成されたコンピュータプログラムコードとが、また、少なくともRRC/PPIユニット24GのためのMEM24Bに記憶されている。UE20又はネットワークノード22については詳細に説明されていないが、それらデバイスのそれぞれは、また、それらデバイス20及び22の中の高周波RFフロントエンドチップに内蔵され得る無線通信手段を一部として含むことが想定されるが、この場合、前記チップはTX20D/22DとRX20E/22Eとを保持するものである。
【0043】
UE20におけるPROG20Cの少なくとも1つは、プログラム命令を含むことが想定されており、同プログラムは、関連するDP20Aによって実行された時に、前記により十分に詳述した通り本発明の例示実施形態に従ってデバイスを作動させ得るものである。この点で、本発明の例示実施形態は、UE20のDP20Aによって実行可能であるMEM20B上に記憶されたコンピュータソフトウェアによって、又はハードウェアによって、又は実質的に記憶されたソフトウェア及びハードウェア(並びに実質的に記憶されたファームウェア)の組合せによって、少なくとも部分的に実施されてもよい。本発明のこれらの態様を実施する電子デバイスは、UE20全体である必要はないが、例示実施形態は、前述した実質的に記憶されたソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア及びDP等と同等のもの、又はチップ上のシステム(system on a chip;SOC)、特定用途向け集積回路(Application specific integrated circuit;ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)若しくは通称SIMカードと呼ばれる加入者識別モジュールのうちの1以上の構成要素によって実行されてもよい。
【0044】
一般に、UE20の各種実施形態としては、以下に限定されるものでもないが、携帯電話;データカード、USBドングル、ラップトップ/パームトップ/タブレット・コンピュータ、デジタルカメラ及び音楽デバイスを含む(但し、これらに限定されない)無線通信機能を有するパーソナル携帯デジタルデバイス、並びにインターネット機器が含まれる。
【0045】
例えばコンピュータ可読メモリMEM20B、MEM22B及びMEM24B等、図4におけるデバイスの各種実施形態としては、ローカル技術環境に適した任意のデータ記憶技術の種類が含まれ、そのようなデータ記憶技術の種類としては、以下に限定されるものではないが、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリのデバイス及びシステム、光学メモリのデバイス及びシステム、固定メモリ、リムーバブルメモリ、ディスクメモリ、フラッシュメモリ、DRAM、SRAM、EEPROM等が含まれる。DP20Aの各種実施形態としては、以下に限定されるものではないが、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、及びマルチコアプロセッサが含まれる。
【0046】
タイマーの操作を前記に説明したが、同タイマーを特定する「T340」という用語の使用は非限定的である。本発明の例示実施形態によれば、前述のT340タイマーは、異なる種類の標識及び/又は名称を用いて特定することができる。
【0047】
図5は、本発明の例示実施形態による方法の簡略ブロック図を示す。図5に関し、ブロック510には、通信ネットワークのデバイスにより、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動する、但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない、工程が存在する。
【0048】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する。
【0049】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記タイマーが、無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する。
【0050】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記表示が、無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む。
【0051】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する。
【0052】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される。
【0053】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記タイマーの終了に基づいて、ネットワークに対してPPIメッセージを送信する。
【0054】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む。
【0055】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す。
【0056】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記タイマーを起動することが、T340タイマーを再起動することを含む。
【0057】
前記段落に記載した本発明の例示実施形態によれば、前記タイマーの持続時間が、前記T340タイマーの持続時間に基づく。
【0058】
本発明の例示実施形態によれば、少なくとも、コンピュータプログラムコードを具体化するメモリ20B、22B及び/又は24B等のコンピュータ可読媒体が存在し、同コンピュータプログラムコードは、少なくとも前記段落に記載した操作を実行するようにデータプロセッサ20A、22A及び/又は24Aのうちの少なくとも1つにより実行可能である。
【0059】
本発明の例示実施形態によれば、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動する手段、但し、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない、を含む装置がある。
【0060】
前記段落の本発明の例示態様によれば、前記起動する手段は、タイマーと、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体とを含み、前記コンピュータプログラムコードは少なくとも1つのプロセッサによって実行されるものである。
【0061】
加えて、前述の本発明の例示実施形態に対する様々な変更及び適合は、前記の説明を考慮すると関連分野の当業者において明らかとなる。例示実施形態はEUTRANシステムを前提として前記に説明したが、本発明の例示実施形態は、その1つの特定種の無線通信システムのみと共に用いられることに限定されるものではなく、例えばGERAN,UTRAN等のその他無線通信システムにおいても用いられ、利益をもたらすものであり得ることを理解しなければならない。
【0062】
一般に、各種実施形態は、ハードウェア若しくは専用回路、ソフトウェア、ロジック又はそれらの組合せにおいて実装され得る。例えば、ある態様はハードウェアに実装されてもよいし、他の態様は、コントローラ、マイクロプロセッサ又はその他計算デバイスによって実行され得るファームウェア又はソフトウェアに実装されてもよい。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明の様々な態様は、ブロック図若しくはフローチャートとして、又はその他図的記述を用いて説明及び記述され得るが、本願に記載されるブロック、装置、システム、手法又は方法は、非限定的な例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路若しくは専用ロジック、汎用ハードウェア、汎用コントローラ若しくはその他汎用計算デバイス、又はそれらの組合せにおいて実装され得ることが十分に理解される。
【0063】
本発明の実施形態は、集積回路モジュール等の各種構成要素において実施され得る。集積回路の設計は、概して、高度に自動化されたプロセスである。複雑かつ強力なソフトウェアツールが、理論レベルの設計を、すぐにでも半導体基板上にエッチングかつ形成できる半導体回路設計に変換するために利用可能である。
【0064】
前述の記載は、例示でありかつ非限定的な例として、本発明者らによって今回考慮された、本発明を実施するための最良の方法及び装置に関する詳細な説明を提供するものである。しかしながら、前述の記載を添付の図面及び特許請求の範囲と合わせて読んだ時、様々な変更及び適合があり得ることは、前述の記載に照らし関連分野の当業者に明らかになる。但し、本発明の教示のそのような変更及び類似の変更全ては、本発明の範囲に依然として含まれるものである。
【0065】
「接続(connected)」若しくは「連結(coupled)」なる語又はそれらの変形語は、2以上の要素間における、直接又は間接の接続又は連結を意味し、互いに「接続」又は「連結」される2つの要素間の1以上の中間要素の存在を包含し得る。要素間の連結又は接続は、物理的、理論的、又はそれらの組合せによるものであってよい。本願においては、2つの要素は、非限定的ないし非包括的な例として、1以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を用いることによって、さらに高周波領域、マイクロ波領域及び光学(可視及び不可視の両方)領域において波長を有する電磁エネルギー等、電磁エネルギーを用いることによって、互いに「接続」又は「連結」されるものと考慮され得る。
【0066】
さらに、本発明の好ましい実施形態の特徴の幾つかは、その他特徴を相応に用いることなしに用いられ、利益をもたらし得る。前述の記載は、それ自体、本発明の原理を単に説明するものであると考慮されなければならず、本発明を限定するものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2015年4月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークのデバイスにより、無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動することを含むが、少なくとも前記タイマーの持続時間の間は前記デバイスによってPPIメッセージが送信されない、方法。
【請求項2】
前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイマーが、無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表示が、無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タイマーの終了に基づいて、ネットワークに対してPPIメッセージを送信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記タイマーを起動することが、T340タイマーを再起動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記タイマーの持続時間が、前記T340タイマーの持続時間に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスが、モバイル端末として構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
装置の処理手段に実行されることにより、前記装置に、請求項1から12のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項14】
処理手段及び記憶手段を備える装置であって、前記記憶手段はプログラム命令を格納し、前記プログラム命令は、前記処理手段に実行されることにより、前記装置に、請求項1から12のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成される、装置。
【請求項15】
無線リソース制御メッセージに応答してタイマーを起動する手段を備え、少なくとも前記タイマーの持続時間の間はデバイスによってPPIメッセージが送信されない、装置。
【請求項16】
前記無線リソース制御メッセージが、前記デバイスに関連する無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうち1つに関する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記タイマーが、前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定のうちの1つが完了したという表示に基づいて起動する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記表示が、前記デバイスによって受信される無線リソース接続セットアップ完了メッセージ及び無線リソース接続再設定完了メッセージのうちの1つを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記無線リソース接続セットアップ手順及び無線リソース接続再設定手順のうちの1つが、ハンドオーバ操作に関する、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記タイマーの持続時間が、前記通信ネットワークから受信した情報に基づいて設定される、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記タイマーの終了に基づいて、ネットワークに対してPPIメッセージを送信する手段を更に含む、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記PPIメッセージが、powerprefindication値を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記powerprefindication値は、前記デバイスが低電力消費モード又は通常電力消費モードのうちの1つにあることを示す、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記タイマーを起動することが、T340タイマーを再起動することを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記タイマーの持続時間が、前記T340タイマーの持続時間に基づく、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
モバイル端末として構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記起動する手段が、タイマーと、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体とを含み、前記コンピュータプログラムコードは少なくとも1つのプロセッサによって実行されるものである、請求項15に記載の装置。
【国際調査報告】