(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534532(P2015-534532A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】多孔質物品を処理する方法
(51)【国際特許分類】
C04B 38/06 20060101AFI20151106BHJP
C01B 31/04 20060101ALI20151106BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20151106BHJP
B28B 3/02 20060101ALI20151106BHJP
C04B 41/85 20060101ALI20151106BHJP
C04B 35/52 20060101ALI20151106BHJP
H01M 8/02 20060101ALN20151106BHJP
【FI】
C04B38/06 F
C01B31/04 101A
C04B38/00 304Z
B28B3/02 T
C04B41/85 F
C04B35/52 A
H01M8/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-531050(P2015-531050)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月28日
(86)【国際出願番号】US2012053827
(87)【国際公開番号】WO2014039038
(87)【国際公開日】20140313
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】504229022
【氏名又は名称】バラード パワー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】アレン,グレン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グロンダ,スティーヴン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,ダニエル トーマス
【テーマコード(参考)】
4G019
4G054
4G132
4G146
5H026
【Fターム(参考)】
4G019GA04
4G054AA09
4G054AA11
4G054AB01
4G054BA02
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4G132GA07
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4G146AB05
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4G146BA18
4G146BA43
4G146BA45
4G146BA46
4G146BB04
4G146BB05
4G146BB06
4G146BC03
4G146BC23
4G146BC33B
4G146CB22
4G146CB34
5H026BB00
5H026BB02
5H026BB08
5H026CX01
5H026EE06
5H026EE18
5H026HH01
5H026HH05
5H026HH08
5H026HH09
(57)【要約】
多孔質物品を処理する方法は、緩い導電性粒子および緩い樹脂粒子を含む混合粉末材料を型内に配置することを含む。混合粉末材料を型内で成形圧力および成形温度のもとで圧密物品へと圧密化させる。多孔質物品の物理的性質を制御するように混合粉末材料の緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質物品を処理する方法であって、
(a)緩い導電性粒子および緩い樹脂粒子を含む混合粉末材料を型内に配置し、
(b)混合粉末材料を型内で成形圧力および成形温度のもとで圧密物品へと圧密化させ、
(c)多孔質物品の物理的性質を制御するようにステップ(a)における緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択する、
ことを含むことを特徴とする、多孔質物品を処理する方法。
【請求項2】
予め画定された粒径分布は、平均直径で22μm未満である緩い樹脂粒子を体積で95%含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
物理的性質は、強度であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
物理的性質は、曲げ強さであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
多孔質物品の与えられた予め画定された最小の強度要求、および多孔質物品の強度に影響を及ぼすステップ(b)の圧密化の与えられたプロセスパラメータウィンドウについて、ステップ(a)における緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することで、予め画定された最小の強度要求を依然として維持しながら、プロセスパラメータウィンドウを拡大することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
プロセスパラメータウィンドウは、成形温度であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
プロセスパラメータウィンドウは、成形圧力であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
プロセスパラメータウィンドウは、多孔質物品の密度であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
混合粉末材料は、65〜95%の重量の緩い導電性粒子と、残部の緩い樹脂粒子とから成る組成を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
緩い導電性粒子は、黒鉛粒子であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
緩い樹脂粒子は、熱硬化性樹脂粒子であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
緩い樹脂粒子は、フェノール粒子であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
多孔質物品を多孔質カーボン物品に変えるように圧密物品の樹脂を炭化させることを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
炭化は、樹脂を熱分解することを含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
孔隙に亘って親水性被覆を施すように多孔質物品を処理することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
多孔質物品を処理する方法であって、
(a)緩い導電性粒子および緩い樹脂粒子を含む混合粉末材料を型内に配置し、
(b)混合粉末材料を型内で成形圧力および成形温度のもとで圧密物品へと圧密化させ、
(c)多孔質カーボン物品を形成するように圧密物品の樹脂を炭化させ、
(d)多孔質カーボン物品の与えられた予め画定された最小の強度要求、および多孔質カーボン物品の強度に影響を及ぼすステップ(b)の圧密化の与えられたプロセスパラメータウィンドウについて、ステップ(a)における緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することで、予め画定された最小の強度要求を依然として満たしながら、プロセスパラメータウィンドウを拡大する、
ことを含むことを特徴とする、多孔質物品を処理する方法。
【請求項17】
予め画定された粒径分布は、平均直径で22μm未満である緩い樹脂粒子を体積で95%含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
多孔質カーボン物品の物理的性質を制御するようにステップ(a)における緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池用の多孔質水輸送プレートなどの多孔質物品を形成する技術に関する。
【0002】
(連邦政府支援による研究または開発に関する陳述)
本発明は米国運輸管理局と結ばれた契約第CA−04−7003−00号による政府支援のもとでなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
水輸送プレートなどの多孔質物品は一般に、粉末状または粒状材料から成形される。成形プロセスは一般に、粉末状または粒状材料を型内に配置し、この材料を熱および圧力下で圧密化させる。物品は、さらなるステップで炭化させてもよいし、または炭化なしで本質的にそのまま使用してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の例示的な態様に従って多孔質物品を処理する方法は、緩い(loose)導電性粒子および緩い樹脂粒子を含む混合粉末材料を型内に配置し、混合粉末材料を型内で成形圧力および成形温度のもとで圧密物品へと圧密化させ、多孔質物品の物理的性質を制御するように配置ステップにおける緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択する、ことを含む。
【0005】
本開示の例示的な態様に従って多孔質物品を処理するさらなる方法は、緩い導電性粒子および緩い樹脂粒子を含む混合粉末材料を型内に配置し、混合粉末材料を型内で成形圧力および成形温度のもとで多孔質圧密物品へと圧密化させ、最終の多孔質カーボン物品を形成するように多孔質圧密物品の樹脂を炭化させ、多孔質カーボン物品の与えられた予め画定された最小の強度要求、および多孔質カーボン物品の強度に影響を及ぼす圧密化ステップの与えられたプロセスパラメータウィンドウについて、配置ステップにおける緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することで、予め画定された最小の強度要求を依然として満たしながら、プロセスパラメータウィンドウを拡大する、ことを含む。
【0006】
開示された実施例のさまざまな特徴および利点は、当業者には以下の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面は、以下のように簡単に説明可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】多孔質物品を処理する実施例の方法を示す図。
【
図2】多孔質物品を処理する別の実施例の方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、多孔質物品を処理する実施例の方法20の選択されたステップを示す。方法20が、初期の粉末状樹脂材料から成形される任意の所望の種類の多孔質物品を形成するように、使用され得ることは理解されたい。一実施例では、多孔質物品は、燃料電池に使用するための多孔質水輸送プレートであり、片面または両面に反応物ガスチャネルを備える。
【0009】
従来は知られていない理由から、多孔質物品の1つまたは複数の物理的性質は、特定の要求の外側で変化し得る。カーボン水輸送プレートに基づく実施例として、プレートの強度が変化することが見出された。同様の現象が他の多孔質物品について予測され得るであろう。さらに詳細に検討するように、多孔質物品を成形するために使用される初期の粉末状樹脂の粒径分布が、多孔質物品の1つまたは複数の物理的性質に影響を及ぼすことが発見された。従って、粒径分布は、多孔質物品の物理的性質を制御するように予め画定される。
【0010】
図示の実施例では、方法20は、配置ステップ22、圧密化ステップ24、任意選択の炭化ステップ26、および選択ステップ28を含み、各ステップについては以下により詳細に説明する。
【0011】
一実施例では、配置ステップ22は、緩い導電性粒子および緩い樹脂粒子を含む混合粉末材料を型内に配置することを含む。圧密化ステップ24は、混合粉末材料を型内で成形圧力および成形温度のもとで圧密物品へと圧密化させることを含む。任意選択の炭化ステップ26は、多孔質カーボン物品を形成するように圧密物品の樹脂を炭化させることを含む。一般に、炭化は、気孔率を増大させ、導電性を向上させ、樹脂材料中に存在し得る汚染物/有機物を除去する。
【0012】
さらなる実施例では、導電性粒子は、黒鉛粒子であり、あるいは黒鉛粒子を含み、樹脂粒子は、熱硬化性樹脂であり、あるいは熱硬化性樹脂を含む。さらなる実施例では、熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂である。さらなる実施例では、混合粉末材料は、材料中の任意の不純物と共に、緩い導電性粒子および緩い樹脂粒子のみを含む。一実施例では、混合粉末材料は、65〜95%の重量の緩い導電性粒子と、残部の緩い樹脂粒子とから成る組成を有する。さらなる実施例では、混合粉末材料は、80〜85%の重量の緩い導電性粒子と、残部の緩い樹脂粒子とから成る組成を有する。
【0013】
混合粉末材料中で使用される緩い樹脂粒子の粒径分布は、多孔質カーボン物品の1つまたは複数の物理的性質に影響を及ぼす。実施例として、緩い樹脂粒子の粒径分布は、多孔質カーボン物品の強度に影響を及ぼす。さらなる実施例では、強度は、多孔質カーボン物品の曲げ強さである。これについては、選択ステップ28は、多孔質カーボン物品の1つまたは複数の物理的性質を制御するように配置ステップ22における緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することを含む。
【0014】
さらなる実施例では、選択された予め画定された粒径分布は、平均直径で22μm以下である緩い樹脂粒子を体積で95%含む。さらなる実施例では、粒径分布は、平均直径で10μm以下である緩い樹脂粒子を体積で95%含む。一実施例では、粒径分布は、6.5μmの平均直径を有する緩い樹脂粒子を体積で95%含む。さらなる実施例では、粒径分布の標準偏差は、比較的狭い。予め画定された粒径分布が、平均直径で22μm以下である緩い樹脂粒子を体積で95%含む場合である一実施例では、標準偏差は、6μm以下である。予め画定された粒径分布が、平均直径で6.5μmなどの平均直径で10μm以下である緩い樹脂粒子を体積で95%含む場合である別の実施例では、標準偏差は、4μm以下である。粒径分布の一般的な傾向は、平均粒径分布が小さくなると、多孔質物品の強度が増加することである。
【0015】
方法20の配置ステップ22のさらなる実施例では、混合粉末材料は、多孔質圧密物品を形成するように使用される型内に配置する。理解できるように、型は、何らかの特定の形状に限定されるものではない、所望の最終の多孔質物品の形状に輪郭を形成されている空洞を有し得る。片面または両面にチャネルを有する水輸送プレートの実施例では、型は、チャネルを形成するように輪郭を形成されている。代替として、チャネルは、多孔質圧密物品または炭化後の物品内に機械加工する。
【0016】
混合粉末材料を型内に配置した後に、型は、適切なカバーまたは嵌合型ツールで閉じ、圧密物品を形成するように成形圧力および成形温度のもとに置く。一実施例では、成形圧力は、約0.5〜1000ポンド毎平方インチ(約3.5〜6895キロパスカル)である。成形圧力は、型の加熱中に亘って維持することもでき、代替として、圧力は、型を加熱する間、圧力プロファイルに亘って調節することができる。さらなる実施例では、初期の成形圧力は、40ポンド毎平方インチ(約276キロパスカル)であり、圧力は、560ポンド毎平方インチ(約3861キロパスカル)に増加させる。
【0017】
型の温度が増加するにつれ、混合粉末材料の緩い樹脂粒子は、軟化し、融解する。融解樹脂は、成形圧力のもとで流れて、導電性粒子の間に樹脂材料を均一に配置する。熱硬化性樹脂を利用する一実施例では、さらに加熱すると、硬化温度に到達し、その時点で樹脂は、架橋する。圧密物品は、硬化プロセスを完了するように所定の長さの時間、硬化温度に保持することができる。フェノール熱硬化性樹脂では、硬化温度は、130〜200℃とすることができる。次いで、圧力を解放して、圧密物品を型から取り外し、あるいは圧密物品の取り外しの前に型を冷却することができる。
【0018】
いったん硬化後、圧密物品は次いで、炭化ステップ26で炭化させる。炭化ステップ26に使用する温度および雰囲気の条件は、使用する樹脂の種類に依存して変わり得る。樹脂がフェノール樹脂である一実施例では、炭化温度は、約900℃などと800℃を超えており、処理雰囲気は、アルゴンなどの不活性の非酸化性雰囲気である。そのような条件下で、樹脂は、導電性粒子および炭素質材料(炭)が所望の形状の多孔質カーボン物品内で互いに結合するように、炭素質材料へと熱分解しまたは「炭」になる。
【0019】
任意選択的に、多孔質カーボン物品はさらに、与えられた物品に適した後処理プロセスに掛ける。一実施例では、多孔質カーボン物品が燃料電池に使用するための多孔質水輸送プレートである場合、物品はその後、プレートに亘る水分分布を促進するよう物品の孔隙に亘って親水性材料を施すように処理することができる。実施例として、親水性材料は、既知の湿式化学酸技術を用いて施される酸化スズを含む。
【0020】
多孔質カーボン物品の強度などの物理的性質を制御するように予め画定された粒径分布内になるようにする緩い樹脂粒子の選択は、物理的性質の向上、または、代替として、方法20における1つまたは複数のプロセスパラメータウィンドウの拡大を可能とする。
図2に移ると、修正された方法120を示しており、方法120は、配置ステップ22、圧密化ステップ24、および炭化ステップ26に関して
図1に示す方法20と同様である。この実施例では、方法120は、圧密化ステップ24における1つまたは複数のプロセスパラメータウィンドウを拡大する拡大ステップ130を含む。すなわち、混合粉末材料の緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することで、多孔質カーボン物品の1つまたは複数の性質を向上させる。しかしながら、最小の性質要求に関して、性質を向上させる代わりに、最小の要求を依然として満たしながら、1つまたは複数のプロセスパラメータウィンドウを拡大し、それによって、例えば、プロセスおよび費用削減の設計の許容範囲を大きくすることができる。
【0021】
多孔質カーボン物品の与えられた予め画定された最小の強度要求、および多孔質カーボン物品の強度に影響を及ぼす圧密化ステップ22の与えられたプロセスパラメータウィンドウについての実施例として、混合粉末材料の緩い樹脂粒子を予め画定された粒径分布内になるように選択することで、予め画定された最小の強度要求を依然として満たしながら、プロセスパラメータウィンドウを拡大する。
【0022】
さらなる実施例では、拡大されるプロセスパラメータウィンドウは、成形温度、成形圧力、および多孔質カーボン物品の密度のうちの1つまたは複数を含む。言い換えれば、プロセスパラメータウィンドウを拡大することは、通常は強度にとって不利になるであろう。しかしながら、予め画定された粒径分布を使用することで、拡大されていない1つまたは複数のプロセスパラメータウィンドウに対して同じ強度を少なくとも維持しながら、1つまたは複数のプロセスパラメータウィンドウを拡大することができる。プロセスパラメータウィンドウを記載するのに使用する「拡大された」という用語またはその変形例は、より広いプロセスの設定範囲の使用に当てはまる。例えば、与えられたプロセスの成形圧力が当初は、10〜15ポンド毎平方インチである場合、拡大されたウィンドウは、8〜17ポンド毎平方インチとなるであろう。さらなる実施例では、拡大されたプロセスパラメータウィンドウは、ウィンドウ範囲の少なくとも一端を10%以上、または代替として30%以上、広くする。このような拡大は通常、多孔質物品の強度を犠牲にせずに可能ではない。
【0023】
1つまたは複数のプロセスパラメータウィンドウの拡大は、
図3にさらに示すが、
図3は、多孔質物品の曲げ強さ対多孔質物品の密度のグラフを示す。
図3では、線240は、開示された予め画定された粒径分布の外側にある緩い樹脂粒子から形成される多孔質物品の強度傾向を示す。線250は、開示された予め画定された粒径分布内にある緩い樹脂粒子を使用して作成される多孔質物品の強度傾向を示す。図示のように、予め画定された粒径分布内にある粒子を使用することで、強度は上方へと移動する。さらに、与えられた強度では、より低密度の多孔質粒子に、その強度を実現することが要求される。同様に与えられた密度では、予め画定された粒径分布内にある粒子を使用して作成される多孔質物品が、開示された予め画定された粒径分布の外側にある粒子を使用して作成される多孔質物品より強度がある。例えば、本明細書で開示された予め画定された粒径分布内にある粒子を使用せずに作成される多孔質物品は、与えられた強度目標を満たすために1.57〜1.63グラム毎立方センチメートルの目標密度を満たす必要がある。しかしながら、本明細書で開示された予め画定された粒径分布内にある粒子を使用して作成される多孔質物品では、目標密度は、1.55〜1.63グラム毎立方センチメートルに拡大される。これは、33%の目標密度範囲の増加を示す。
【0024】
例示された実施例に特徴の組み合わせを示しているとはいえ、本開示のさまざまな実施例の利益を実現するためにこれらの全てを組み合わせる必要はない。すなわち、本開示の実施例に従って設計されるシステムは、図面のいずれかの1つに示す特徴の全てまたは図面に概略的に示す部分の全てを必ずしも含まないであろう。さらに、例示的な一実施例の選択される特徴は、他の例示的な実施例の選択される特徴と組み合わせ可能である。
【0025】
上記の説明は、本質的に限定ではなく例示である。本発明の本質から必ずしも逸脱しない開示の実施例に対する変更および修正が、当業者には明らかとなり得る。本開示に与えられる法的保護範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定され得る。
【国際調査報告】