特表2015-534600(P2015-534600A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534600(P2015-534600A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】金属様の外観を有する液晶組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20151106BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20151106BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20151106BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20151106BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20151106BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20151106BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20151106BHJP
   C08L 77/10 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   C08L67/00
   C08K5/524
   C08K3/08
   C08K7/00
   C08L91/06
   C08L23/06
   C08J3/22CFD
   C08L77/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-535676(P2015-535676)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2013060559
(87)【国際公開番号】WO2014055251
(87)【国際公開日】20140410
(31)【優先権主張番号】61/710,160
(32)【優先日】2012年10月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,マーク・アレン
(72)【発明者】
【氏名】マルホランド,ブルース・マイケル
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA48
4F070AC06
4F070AC07
4F070AC75
4F070AC94
4F070AD01
4F070AE01
4F070AE04
4F070FB03
4F070FC05
4F070FC06
4J002AE032
4J002BB013
4J002BB032
4J002BB042
4J002BB052
4J002BB152
4J002CF003
4J002CF161
4J002CF181
4J002CL063
4J002DA018
4J002DA076
4J002DA086
4J002DA096
4J002DA106
4J002DA116
4J002DC006
4J002DE288
4J002DJ008
4J002DJ038
4J002DJ048
4J002DL008
4J002DM008
4J002EW067
4J002FA016
4J002FA043
4J002FA048
4J002FD013
4J002FD018
4J002FD077
4J002FD096
4J002GC00
(57)【要約】
液晶ポリマー、並びに金属粒子及びキャリア樹脂から生成される金属顔料を含むポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物はまた、高温における臭気化合物の生成の減少を促進することができる有機リン酸化防止剤も含む。金属顔料を生成するのに用いるキャリア樹脂も、臭気化合物の生成を最小にするように選択的に制御することができる。例えば、キャリア樹脂は比較的低い酸価を有する非極性ワックス(例えばポリオレフィンワックス)であってよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリマー、金属顔料、及び有機リン酸化防止剤を含み、金属顔料は複数の金属粒子及びキャリア樹脂を含む、金属様の外観を有する液晶ポリマー組成物。
【請求項2】
液晶ポリマーが、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミド、芳香族アミン、又はこれらの組み合わせから誘導される繰り返し単位を含む、請求項1に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項3】
液晶ポリマーが全芳香族(wholly aromatic)である、請求項1又は2に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項4】
金属粒子がフレーク形状である、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項5】
フレーク形状の金属粒子が約4:1以上のアスペクト比を有する、請求項4に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項6】
金属粒子がアルミニウム粒子である、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項7】
キャリア樹脂がワックスである、請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項8】
ワックスが、チーグラー・ナッタ触媒ポリエチレンワックスのようなポリオレフィンワックスである、請求項7に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項9】
ワックスが、ASTM−D3954にしたがって測定して約80℃〜約165℃の滴点、及び/又はISO−2114:2000にしたがって測定して約12mg−KOH/g以下の酸価を有する、請求項7又は8に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項10】
ワックスが非極性である、請求項7〜9のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項11】
有機リン酸化防止剤がアリールホスホナイトを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項12】
アリールホスホナイトが次の一般式(I):
【化1】
(式中、
mは0又は1、好ましくは1であり;
nは0又は1であり;
10及びR11は、独立して、1〜24個の炭素原子の脂肪族、脂環式、又は芳香族基であり、場合によっては更に置換されており、或いは基R10及び/又はR11の両方は単一のリン原子と環式基を形成し;そして
Yは、−O−、−S−、−CH(R15)−、又は−C−であり、ここでR15は、水素、C1〜6アルキル、又はCOORであり、RはC1〜18アルキルである)
を有する、請求項11に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項13】
有機リン酸化防止剤が、次の一般式(x):
【化2】
(式中、R10及びR11は、独立して、線状、分岐、又は環式のC1〜24脂肪族基又は芳香族基であり、場合によっては1〜4個のC1〜12アルキル又はアラルキル基によって置換されており、好ましくはR10及び/又はR11は2,4−ジ−tert−ブチルフェニルである)を有するジホスホナイト化合物を含む、請求項12に記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項14】
無機充填剤を更に含む、請求項1〜13のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項15】
液晶ポリマーがポリマー組成物の約50重量%〜約98重量%を構成し、金属粒子が組成物中の液晶ポリマーの重量を基準として約0.5重量%〜約20重量%の量で存在しており、キャリア樹脂が組成物中の液晶ポリマーの重量を基準として約0.2重量%〜約15重量%の量で存在しており、及び/又は有機リン酸化防止剤が組成物中の液晶ポリマーの重量を基準として約0.05重量%〜約5重量%の量で存在している、請求項1〜14のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項16】
組成物が、250℃の温度に5時間加熱した際に、有機リン酸化防止剤を含まないが他は同一であるポリマー組成物よりも少ない量のアルデヒド及び/又はケトンを生成する、請求項1〜15のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物を含む、金属様の外観を有する表面を画定する成形部品。
【請求項18】
請求項17に記載の成形部品を含む、調理器具、飲料容器、食品トレー、食品容器、ケーキ焼型、パイ焼皿、調理トレー、バン焼皿、フライパン、マフィン焼型、又は食パン焼型のような調理器具物品。
【請求項19】
複数の金属粒子をキャリア樹脂内に封入することによって金属顔料マスターバッチを生成し;そして
金属顔料マスターバッチを液晶ポリマー及び有機リン酸化防止剤とブレンドする;
ことを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の液晶ポリマー組成物を生成する方法。
【請求項20】
金属粒子がマスターバッチの約50重量%〜約95重量%を構成し、キャリア樹脂がマスターバッチの約5重量%〜約50重量%を構成する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、米国仮出願61/710,160(2012年10月5日出願)(その全部を参照として本明細書中に包含する)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]全芳香族(wholly aromatic)サーモトロピック液晶ポリマーは、それらの優れた溶融流動性、非常に優れた熱機械特性、及び良好な耐化学薬品性に関して知られている。これらは多くの有用な特性を有しているが、かかるポリマーから金属色の部品を形成することを試みる際にはしばしば問題が生じる。例えば、多くの従来の金属顔料は、液晶ポリマーに特に良く適しているより高い温度において望ましくない臭気を生成する傾向がある。したがって、金属様の外観を有するが、より高い温度において感知できる臭気を生成しない液晶ポリマー組成物に関する必要性が現在存在している。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一態様によれば、金属様の外観を有する液晶ポリマー組成物が開示される。ポリマー組成物は、液晶ポリマー、金属顔料、及び有機リン酸化防止剤を含む。金属顔料は、複数の金属粒子及びキャリア樹脂を含む。
【0004】
[0004]本発明の他の態様によれば、金属様の外観を有する液晶ポリマー組成物を生成する方法が開示される。この方法は、複数の金属粒子をキャリア樹脂内に封入することによって金属顔料マスターバッチを生成し、そして金属顔料マスターバッチを液晶ポリマー及び有機リン酸化防止剤とブレンドすることを含む。
【0005】
[0005]本発明の他の特徴及び形態を下記においてより詳細に示す。
【0006】
[0006]当業者に対するそのベストモードを含む本発明の完全且つ実施化可能な程度の開示を、添付の図面の参照を含む明細書の残りの部分においてより詳しく示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]図1は、その全部又は一部を本発明のポリマー組成物から形成することができるソースパンの形態の食品用物品の一態様の斜視図である。
図2】[0008]図2は、その全部又は一部を本発明のポリマー組成物から形成することができる調理容器の形態の食品用物品の一態様の斜視図である。
図3】[0009]図3は、その全部又は一部を本発明のポリマー組成物から形成することができるマグの形態の食品用物品の一態様の斜視図である。
図4】[0010]図4は、実施例2の試料11、12、及び16に関するガスのピーク(分)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0011]本開示は代表的な態様のみの記載であり、本発明のより広い形態を限定することは意図しないことが当業者に理解される。
【0009】
[0012]一般的に言えば、本発明は、液晶ポリマー、並びに金属粒子及びキャリア樹脂から生成される金属顔料を含むポリマー組成物に関する。これらの成分のタイプ及び相対濃度を選択的に制御することによって、金属メッキした部品に似た金属様の外観を有する成形部品を達成することができる。この組成物はまた、高温に加熱した際にあったとしても最小量の臭気化合物(例えばアルデヒド及び/又はケトン)しか放出しないように調整される。この点に関し、本発明者らは、有機リン酸化防止剤を用いることによって臭気化合物の存在を減少させることを促進することができることを発見した。理論によって限定されることは意図しないが、かかる化合物は、金属顔料のキャリア樹脂から不安定な水素が解離することによって生成される可能性があるペルオキシドの分解によって生成するアルコキシ及び/又はヒドロキシルラジカルの生成を阻止することができると考えられる。言い換えれば、酸化防止剤は、ペルオキシド及びヒドロペルオキシドを安定な非ラジカル生成物に分解するのを促進することができる。而して、例えば250℃の温度に5時間以下加熱した場合に、本ポリマー組成物は、有機リン酸化防止剤を含まないが他は同一であるポリマー組成物よりも少ない量のアルデヒド及び/又はケトン(例えば、2−ブタノン、2−ペンタノン、4−ヘプタノン等)を生成することができる。
【0010】
[0013]勿論、ポリマー組成物の他の特性も、金属様の外観と、高温における臭気化合物の減少した生成との望ましい組み合わせを達成することを促進するように選択的に制御することができる。例えば、金属顔料を生成するのに用いるキャリア樹脂は、臭気化合物の生成を最小にするように選択的に制御することができる。例えば、キャリア樹脂は比較的低い酸価を有する非極性ワックス(例えばポリオレフィンワックス)であってよい。本発明者らは、例えば、かかるキャリア樹脂は、有機リン酸化防止剤と相乗的に機能して臭気の所望の減少を達成することができることを発見した。
【0011】
[0014]ここで本発明の種々の態様を更に詳細に記載する。
【0012】
I.ポリマー組成物:
A.液晶ポリマー:
[0015]液晶ポリマーは、一般に、それが棒状の構造を有することができ、その溶融状態において結晶挙動(例えばサーモトロピックネマチック状態)を示すことができる限りにおいて「サーモトロピック」として分類される。かかるポリマーは、当該技術において公知の1以上のタイプの繰り返し単位から生成することができる。液晶ポリマーには、例えば、1種類以上の芳香族エステル繰り返し単位を、通常はポリマーの約60モル%〜約99.9モル%、幾つかの態様においては約70モル%〜約99.5モル%、幾つかの態様においては約80モル%〜約99モル%の量で含ませることができる。芳香族エステル繰り返し単位は、一般に次式(I):
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、
環Bは、置換又は非置換の6員アリール基(例えば、1,4−フェニレン又は1,3−フェニレン)、置換又は非置換の5又は6員アリール基に縮合している置換又は非置換の6員アリール基(例えば2,6−ナフタレン)、或いは置換又は非置換の5又は6員アリール基に結合している置換又は非置換の6員アリール基(例えば4,4−ビフェニレン)であり;
及びYは、独立して、O、C(O)、NH、C(O)HN、又はNHC(O)であり、ここでY及びYの少なくとも1つはC(O)である)
によって表すことができる。
【0015】
[0016]本発明において用いるのに好適な芳香族エステル繰り返し単位の例としては、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IにおけるY及びYがC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式IにおいてYがOであり、YがC(O)である)、並びにこれらの種々の組み合わせを挙げることができる。
【0016】
[0017]例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3−カルボキシフェニル)エタン等、並びにこれらのアルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲン置換体、並びにこれらの組み合わせのような芳香族ジカルボン酸から誘導される芳香族ジカルボン酸繰り返し単位を用いることができる。特に好適な芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(TA)、イソフタル酸(IA)、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)を挙げることができる。用いる場合には、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、及び/又はNDA)から誘導される繰り返し単位は、通常はポリマーの約5モル%〜約60モル%、幾つかの態様においては約10モル%〜約55モル%、幾つかの態様においては約15モル%〜約50%を構成する。
【0017】
[0018]また、4−ヒドロキシ安息香酸;4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸;2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸;2−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸;3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸;4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸;3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸;4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸等、並びにこれらのアルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲン置換体、並びにこれらの組み合わせのような芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位を用いることもできる。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(HNA)である。用いる場合には、ヒドロキシカルボン酸(例えばHBA及び/又はHNA)から誘導される繰り返し単位は、通常はポリマーの約10モル%〜約85モル%、幾つかの態様においては約20モル%〜約80モル%、幾つかの態様においては約25モル%〜約75%を構成する。
【0018】
[0019]また、ポリマー中において他の繰り返し単位を用いることもできる。例えば幾つかの態様においては、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(又は4,4’−ビフェノール)、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等、並びにこれらのアルキル、アルコキシ、アリール、及びハロゲン置換体、並びにこれらの組み合わせのような芳香族ジオールから誘導される繰り返し単位を用いることができる。特に好適な芳香族ジオールとしては、例えばヒドロキノン(HQ)及び4,4’−ビフェノール(BP)を挙げることができる。用いる場合には、芳香族ジオール(例えばHQ及び/又はBP)から誘導される繰り返し単位は、通常はポリマーの約1モル%〜約30モル%、幾つかの態様においては約2モル%〜約25モル%、幾つかの態様においては約5モル%〜約20%を構成する。また、芳香族アミド(例えばアセトアミノフェン(APAP))、及び/又は芳香族アミン(例えば4−アミノフェノール(AP)、3−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン等)から誘導されるもののような繰り返し単位を用いることもできる。用いる場合には、芳香族アミド(例えばAPAP)及び/又は芳香族アミン(例えばAP)から誘導される繰り返し単位は、通常はポリマーの約0.1モル%〜約20モル%、幾つかの態様においては約0.5モル%〜約15モル%、幾つかの態様においては約1モル%〜約10%を構成する。また、種々の他のモノマー繰り返し単位をポリマー中に導入することができることも理解すべきである。例えば幾つかの態様においては、脂肪族又は脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミン等のような非芳香族モノマーから誘導される1以上の繰り返し単位をポリマーに含ませることができる。勿論、他の態様においては、ポリマーは、非芳香族(例えば脂肪族又は脂環式)モノマーから誘導される繰り返し単位を含まないという点で「全芳香族」であってよい。
【0019】
[0020]1つの特定の態様においては、液晶ポリマーは、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)、並びにテレフタル酸(TA)及び/又はイソフタル酸(IA)、並びに種々の他の随意的な成分から誘導される繰り返し単位から生成することができる。4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)から誘導される繰り返し単位は、ポリマーの約5モル%〜約70モル%、幾つかの態様においては約10モル%〜約65モル%、幾つかの態様においては約15モル%〜約50%を構成することができる。更に、テレフタル酸(TA)及び/又はイソフタル酸(IA)から誘導される繰り返し単位は、ポリマーの約5モル%〜約40モル%、幾つかの態様においては約10モル%〜約35モル%、幾つかの態様においては約15モル%〜約35%を構成することができる。他の可能な繰り返し単位としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(HNA)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)、4,4’−ビフェノール(BP)、ヒドロキノン(HQ)、及び/又はアセトアミノフェン(APAP)から誘導されるものを挙げることができる。例えば幾つかの態様においては、HNA、NDA、BP、HQ、及び/又はAPAPから誘導される繰り返し単位は、用いる場合には、それぞれ約1モル%〜約35モル%、幾つかの態様においては約2モル%〜約30モル%、幾つかの態様においては約3モル%〜約25モル%を構成することができる。
【0020】
[0021]他の態様においては、液晶ポリマーは、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)、4’−ビフェノール(BP)及び/又はヒドロキノン(HQ)、並びに種々の他の随意的な成分から誘導される繰り返し単位から生成することができる。4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)から誘導される繰り返し単位は、ポリマーの約40モル%〜約85モル%、幾つかの態様においては約50モル%〜約80モル%、幾つかの態様においては約60モル%〜約75%を構成することができる。更に、4’−ビフェノール(BP)及び/又はヒドロキノン(HQ)から誘導される繰り返し単位は、ポリマーの約5モル%〜約40モル%、幾つかの態様においては約10モル%〜35モル%、幾つかの態様においては約15モル%〜約35%を構成することができる。他の可能な繰り返し単位としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(HNA)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)、テレフタル酸(TA)、イソフタル酸(IA)、及び/又はアセトアミノフェン(APAP)から誘導されるものを挙げることができる。例えば幾つかの態様においては、HNA、NDA、IA、TA、及び/又はAPAPから誘導される繰り返し単位は、存在する場合には、それぞれ約1モル%〜約35モル%、幾つかの態様においては約2モル%〜約30モル%、幾つかの態様においては約3モル%〜約25モル%を構成することができる。
【0021】
[0022]ポリマーの特定の構成成分及び性質とは関係なく、液晶ポリマーは、まずエステル繰り返し単位(例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等)及び/又は他の繰り返し単位(例えば、芳香族ジオール、芳香族アミド、芳香族アミン等)を生成するのに用いる1種類又は複数の芳香族モノマーを反応容器中に導入して重縮合反応を開始させることによって製造することができる。かかる反応において用いる特定の条件及び工程は周知であり、Calundannの米国特許4,161,470;Linstid, IIIらの米国特許5,616,680;Linstid, IIIらの米国特許6,114,492;Shepherdらの米国特許6,514,611;及びWaggonerのWO−2004/058851;においてより詳細に記載されている。この反応のために用いる容器は特に限定されないが、高粘度流体の反応において通常的に用いられているものを用いることが通常は望ましい。かかる反応容器の例としては、アンカータイプ、多段式タイプ、螺旋リボンタイプ、スクリューシャフトタイプ等、或いはこれらの変形形状のような種々の形状の撹拌ブレードを有する撹拌装置を有する撹拌タンクタイプの装置を挙げることができる。かかる反応容器の更なる例としては、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー等のような、樹脂の混練において通常用いられている混合装置を挙げることができる。
【0022】
[0023]所望の場合には、反応は、当該技術において公知のモノマーのアセチル化によって進行させることができる。これは、モノマーにアセチル化剤(例えば無水酢酸)を加えることによって行うことができる。アセチル化は、一般に約90℃の温度において開始する。アセチル化の初期段階中においては、還流を用いて、蒸気相温度を、酢酸副生成物及び無水物が蒸留しはじめる点より低く維持することができる。アセチル化中の温度は、通常は90℃〜150℃、幾つかの態様においては約110℃〜約150℃の範囲である。還流を用いる場合には、蒸気相温度は、通常は酢酸の沸点よりも高いが、残留無水酢酸を保持するのに十分に低く維持する。例えば、無水酢酸は約140℃の温度において気化する。而して、反応器に約110℃〜約130℃の温度で蒸気相還流を供給することが特に望ましい。反応を実質的に完了させるのを確保するために、過剰量の無水酢酸を用いることができる。過剰の無水物の量は、還流の存在又は不存在などの用いる特定のアセチル化条件によって変動する。存在する反応物質のヒドロキシル基の合計モル数を基準として約1〜約10モル%の過剰の無水酢酸を用いることはまれではない。
【0023】
[0024]アセチル化は別の反応容器内で行うことができ、或いは重合反応容器内でin situで行うことができる。別の反応容器を用いる場合には、モノマーの1以上をアセチル化反応器に導入し、続いて重合反応器に移すことができる。更に、1以上のモノマーを予めアセチル化にかけないで反応容器に直接導入することもできる。
【0024】
[0025]モノマー及び随意的なアセチル化剤に加えて、重合の促進を助けるために他の成分を反応混合物内に含ませることもできる。例えば、場合によっては、金属塩触媒(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸スズ(I)、チタン酸テトラブチル、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、及び有機化合物触媒(例えばN−メチルイミダゾール)のような触媒を用いることができる。かかる触媒は、通常は、繰り返し単位前駆体の全重量を基準として約50〜約500ppmの量で用いる。別の反応器を用いる場合には、重合反応器ではなくアセチル化反応器に触媒を加えることが通常は望ましいが、これは決して必須要件ではない。
【0025】
[0026]反応混合物は、一般に重合反応容器内で昇温温度に加熱して、反応物質の溶融重縮合を開始させる。重縮合は、例えば約225℃〜約400℃、幾つかの態様においては約250℃〜約395℃、幾つかの態様においては約280℃〜約380℃の温度範囲内で行うことができる。例えば、液晶ポリマーを生成するための1つの好適な方法には、前駆体モノマー及び無水酢酸を反応器中に充填し、混合物を約90℃〜約150℃の温度に加熱してモノマーのヒドロキシル基をアセチル化し(例えばアセトキシを生成し)、次に温度を約225℃〜約400℃に上昇させて溶融重縮合を行うことを含ませることができる。最終重合温度に近付いたら、反応の揮発性副生成物(例えば酢酸)を除去して、所望の分子量を容易に達成することができるようにすることもできる。反応混合物は、一般に重合中に撹拌にかけて、良好な熱及び物質の移動、並びにその結果として良好な材料の均一性を確保する。撹拌器の回転速度は反応の過程中に変動させることができるが、通常は約10〜約100の毎分回転数(rpm)、幾つかの態様においては約20〜約80rpmの範囲である。溶融体における分子量を構築するために、重合反応はまた真空下で行うこともでき、これを加えると重縮合の最終段階中に生成される揮発性化合物の除去が促進される。真空は、約5〜約30ポンド/平方インチ(psi)、幾つかの態様においては約10〜約20psiの範囲内のような吸引圧を加えることによって生起させることができる。
【0026】
[0027]溶融重合の後、溶融したポリマーは、通常は所望の形状のダイを取り付けた押出しオリフィスを通して反応器から排出し、冷却し、回収することができる。通常は、溶融体は、有孔ダイを通して排出してストランドを生成し、これを水浴内で巻き取り、ペレット化し、乾燥する。幾つかの態様においては、溶融重合したポリマーはまた、引き続き固体重合法にかけてその分子量を更に増加させることもできる。固体重合は、ガス(例えば空気、不活性ガス等)の存在下で行うことができる。好適な不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。固体重合反応容器は、ポリマーを所望の固体重合温度に所望の滞留時間保持することを可能にする実質的に任意のデザインのものであってよい。かかる容器の例は、固定床、静止床、移動床、流動床等を有するものであってよい。固体重合を行う温度は変動する可能性があるが、通常は約250℃〜約350℃の範囲内である。重合時間は、勿論、温度及び目標の分子量に基づいて変動する。しかしながら殆どの場合において、固体重合時間は約2〜約12時間、幾つかの態様においては約4〜約10時間である。
【0027】
[0028]得られる液晶ポリマーは比較的高い融点を有することができる。例えば、ポリマーの融点は、約225℃〜約400℃、幾つかの態様においては約250℃〜約395℃、幾つかの態様においては約280℃〜約380℃にすることができる。比較的高い融点を有しながら、ポリマーは比較的低い溶融粘度を維持することができる。液晶ポリマーの溶融粘度は、例えば、1000秒−1の剪断速度において測定して約250Pa・秒以下、幾つかの態様においては約150Pa・秒以下、幾つかの態様においては約20〜約125Pa・秒にすることができる。溶融粘度は、ASTM試験No.1238−70にしたがって、溶融温度(例えば350℃又は370℃)に応じて320℃〜370℃の範囲の温度において測定することができる。得られる液晶ポリマーはまた、約2,000グラム/モル以上、幾つかの態様においては約4,000グラム/モル以上、幾つかの態様においては約5,000〜約50,000グラム/モルの高い数平均分子量(M)も有することができる。一般に分子量に比例するポリマーの固有粘度も、比較的高くすることができる。例えば、固有粘度は、約4デシリットル/グラム(dL/g)以上、幾つかの態様においては約5dL/g以上、幾つかの態様においては約6〜約20dL/g、幾つかの態様においては約7〜約15dL/gにすることができる。固有粘度は、下記においてより詳細に記載するように、ISO−1628−5にしたがって、ペンタフルオロフェノールとヘキサフルオロイソプロパノールの50/50(v/v)混合物を用いて測定することができる。
【0028】
B.金属顔料:
[0029]ポリマー組成物の金属顔料は、一般に複数の金属粒子を含む。粒子は、顆粒状、フレーク状(鱗片状)等のような任意の所望の形状を有していてよい。所望の金属様の外観及び明度を達成することを促進するためには、粒子は望ましくはフレークの形状である。かかるフレーク形状の粒子は、約4:1以上、幾つかの態様においては約8:1以上、幾つかの態様においては約10:1〜約2000:1のような比較的高いアスペクト比(例えば、平均長さ又は直径を平均厚さで割った値)を有することができる。粒子の平均長さ又は直径は、例えば、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートル、幾つかの態様においては約5マイクロメートル〜約50マイクロメートル、幾つかの態様においては約10マイクロメートル〜約30マイクロメートルの範囲であってよい。更に平均厚さは、約5マイクロメートル以下、幾つかの態様においては約10ナノメートル〜約2マイクロメートル、幾つかの態様においては約50ナノメートル〜約1マイクロメートルであってよい。粒子において用いる金属は、アルミニウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、銅、ニッケル等のような卑金属、並びにこれらの合金であってよい。アルミニウム粒子が特に好適である。
【0029】
[0030]ポリマー組成物の金属顔料はまた、金属粒子を封入して、それによって種々の利益を与えることができるキャリア樹脂も含む。例えば、キャリア樹脂は、粒子が処理されて基ポリマー組成物中に導入される能力を向上させることができる。幾つかの態様においては、キャリア樹脂は、金属粒子と予めブレンドして顔料マスターバッチを生成することができ、これをその後に液晶ポリマーと混合することができる。用いる場合には、金属粒子は、通常はマスターバッチの約50重量%〜約95重量%、幾つかの態様においては約60重量%〜約90重量%、幾つかの態様においては約70重量%〜約85重量%を構成し、キャリア樹脂は、通常はマスターバッチの約5重量%〜約50重量%、幾つかの態様においては約10重量%〜約40重量%、幾つかの態様においては約15重量%〜約30重量%を構成する。勿論、有機リン酸化防止剤のような他の成分もマスターバッチ中に導入することができる。
【0030】
[0031]本発明において用いるのに好適なキャリア樹脂は、植物系ワックス(例えば、カルナバワックス、カンデリラワックス等)、動物系ワックス(例えば蜜ロウ)、変性天然ワックス(例えばパラフィンワックス)、モンタンエステルワックス、ポリオレフィンワックス、アミドワックス等のような低分子量ワックスであってよい。ワックスは、例えば、約1,000〜約30,000グラム/モル、幾つかの態様においては約1,500〜約20,000グラム/モル、幾つかの態様においては約2,000〜約15,000グラム/モルの重量平均分子量を有していてよい。更に、滴点又はリングボール軟化点は、ASTM−D3954にしたがって測定して約80℃〜約165℃、幾つかの態様においては約90℃〜約140℃、幾つかの態様においては約110℃〜約130℃であってよい。ポリオレフィンワックスが特に好適である。例えば1つの特定の態様においては、エチレンのホモポリマー、又はエチレンとプロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−オクタデセン、スチレン等のようなα−オレフィンコモノマーとのコポリマーであるポリエチレンワックスを用いることができる。かかるワックスは、当該技術において公知なように、チーグラー・ナッタ又はメタロセン触媒の存在下で製造することができる。
【0031】
[0032]高い温度における臭気化合物(例えばアルデヒド又はケトン)の生成を最小にすることを促進するためには、ワックス(例えばポリオレフィンワックス)は比較的少ない数のカルボン酸基を有することが一般に望ましい。かかる基の数は、樹脂1グラムを中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の質量(ミリグラム)を表し、ISO−2114:2000にしたがって測定することができる「酸価」として知られる指標によって定量することができる。例えば通常の手順においては、既知量の試料を有機溶媒(例えばイソプロパノール)中に溶解し、次に既知濃度の水酸化カリウム及び変色指示薬(例えばフェノールフタレイン)の溶液で滴定する。この点に関しては、ポリマー組成物において用いるワックスの酸価は、約12mg−KOH/g以下、幾つかの態様においては約8mg−KOH/g以下、幾つかの態様においては0〜約5mg−KOH/g、幾つかの態様においては0〜約3mg−KOH/g(例えば0mg−KOH/g)であってよい。1つの特に好適な低酸価のポリエチレンワックスは、Clariant GmbHからLicowax(登録商標)PE520の名称で入手できるチーグラー・ナッタ触媒ポリエチレン(酸価は0mg−KOH/gである)である。
【0032】
[0033]比較的低い酸価を有するワックスは通常は非極性である。しかしながら所望の場合には、ポリマー組成物において用いるワックスはまた、極性になるように化学的に変性することもできる。かかる極性ワックスは、当該技術において公知の技術を用いて、例えば非極性ワックスをガス(例えば空気)で酸化することによるか、或いは非極性ワックスに極性モノマー(例えばα,β−不飽和カルボン酸)をグラフトすることによって得ることができる。
【0033】
[0034]金属顔料及び液晶ポリマーの相対濃度は、本発明においては、ポリマー組成物の熱的及び機械的特性に悪影響を与えることなく所望の金属様の外観が達成されるように選択的に制御することができる。この点に関して、金属顔料は、通常は、組成物中において用いる液晶ポリマーの重量を基準として約1重量%〜約25重量%、幾つかの態様においては約3重量%〜約20重量%、幾つかの態様においては約5重量%〜約15重量%の量で用いる。例えば、金属粒子は、組成物中において用いる液晶ポリマーの重量を基準として約0.5重量%〜約20重量%、幾つかの態様においては約1重量%〜約15重量%、幾つかの態様においては約3重量%〜約10重量%の量で用いることができる。金属粒子はまた、全ポリマー組成物の約0.1重量%〜約15重量%、幾つかの態様においては約1重量%〜約10重量%、幾つかの態様においては約2重量%〜約8重量%を構成することができる。更に、キャリア樹脂は、組成物中において用いる液晶ポリマーの重量を基準として約0.2重量%〜約15重量%、幾つかの態様においては約0.3重量%〜約6重量%、幾つかの態様においては約0.5重量%〜約3重量%の量で用いることができる。キャリア樹脂はまた、全ポリマー組成物の約0.1重量%〜約10重量%、幾つかの態様においては約0.2重量%〜約5重量%、幾つかの態様においては約0.4重量%〜約2重量%を構成することができる。液晶ポリマーは、通常は、ポリマー組成物の約50重量%〜約98重量%、幾つかの態様においては約60重量%〜約95重量%、幾つかの態様においては約65重量%〜約85重量%を構成する。
【0034】
C.酸化防止剤:
[0035]上述の成分に加えて、本発明のポリマー組成物はまた、高い温度において放出される臭気化合物の量を減少させるのを促進させる有機リン酸化防止剤も含む。理論によって限定されることは意図しないが、本発明者らは、かかる酸化防止剤は、金属粒子のためのキャリア樹脂のポリマー骨格から不安定な水素が解離されると生成される可能性があるペルオキシドの分解によって生成するアルコキシ及び/又はヒドロキシルラジカルの生成を阻止することができると考える。三価の有機リン化合物(例えばホスファイト又はホスホナイト)が本発明において特に有用である。C〜C10アルキル置換基を含むアリールホスホナイト(モノ又はジ)が特に好適である。これらの置換基は、線状(ノニル置換基の場合など)、又は分岐(例えばイソプロピル又はtert−ブチル置換基など)であってよい。例えば一態様においては、アリールホスホナイトは、次の一般式(I):
【0035】
【化2】
【0036】
式中、
mは0又は1であり;
nは0又は1であり;
10及びR11は、独立して、1〜24個の炭素原子の脂肪族、脂環式、又は芳香族基であり、場合によっては(例えば線状又は分岐脂肪族基若しくはアルカリール置換基によって)更に置換されており、或いは基R10及び/又はR11の両方は単一のリン原子と環式基を形成し;
Yは、−O−、−S−、−CH(R15)−、又は−C−であり、ここでR15は、水素、C1〜6アルキル、又はCOORであり、RはC1〜18アルキルである)
を有する。
【0037】
[0036]所望の場合には、mは1であって化合物はジホスホナイト化合物であってよい。例えば、ジホスホナイト化合物は、次の一般式(x):
【0038】
【化3】
【0039】
[0037](式中、R10及びR11は上記に定義した通りである)
を有していてよい。例えば、R10及びR11は、独立して、線状、分岐、又は環式のC1〜24脂肪族基又は芳香族基(例えばフェニル)であってよく、場合によっては1〜4個のC1〜12アルキル又はアラルキル基によって置換されている。例えば、R10及び/又はR11は2,4−ジ−tert−ブチルフェニルであってよい。1つの特定の態様においては、ジホスホナイト化合物は、Clariant GmbHからHostanox(登録商標)P-EPQの名称で商業的に入手でき、次の一般式:
【0040】
【化4】
【0041】
を有するテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイトであってよい。
【0042】
[0038]有機リン酸化防止剤は、専ら上記に記載したようなジホスホナイト化合物から生成することができる。或いは、酸化防止剤に、ジホスホナイト化合物と、モノホスホナイト及び/又はホスファイトとの混合物を含ませることができる。かかる態様においては、ジホスホナイト化合物は、通常は有機リン酸化防止剤の約50重量%〜約99重量%、幾つかの態様においては約70重量%〜約95重量%、幾つかの態様においては約75重量%〜90重量%を構成する。更に、モノホスホナイト及び/又はホスファイトは、有機リン酸化防止剤の約1重量%〜約50重量%、幾つかの態様においては約5重量%〜約30重量%、幾つかの態様においては約10重量%〜約25重量%を構成することができる。
【0043】
[0039]有機リン酸化防止剤は、通常は、組成物中において用いる液晶ポリマーの重量を基準として約0.05重量%〜約5重量%、幾つかの態様においては約0.1重量%〜約3重量%、幾つかの態様においては約0.4重量%〜約1.5重量%を構成する。更に、有機リン化合物は、全ポリマー組成物の約0.01重量%〜約4重量%、幾つかの態様においては約0.1重量%〜約1.5重量%、幾つかの態様においては約0.2重量%〜約1重量%を構成することができる。
【0044】
[0040]所望の場合には、有機リン酸化防止剤と組み合わせて他の酸化防止剤を用いることもできる。例えば、キャリア樹脂と酸素との反応によって生成するペルオキシラジカルを封じ込めるのを促進するために、1種類又は複数の立体障害フェノール酸化防止剤を用いることができる。かかるフェノール酸化防止剤の例としては、例えば、カルシウムビス(エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート)(Irganox(登録商標)1425);テレフタル酸1,4−ジチオ−S,S−ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)エステル(Cyanox(登録商標)1729);トリエチレングリコールビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナメート);ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(Irganox(登録商標)259);1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジド(Irganox(登録商標)1024);4,4’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン(Naugalube(登録商標)438R);ホスホン酸(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ジオクタデシルエステル(Irganox(登録商標)1093);1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(Irganox(登録商標)1330);2,4−ビス(オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(Irganox(登録商標)565);イソオクチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標)1135);オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標)1076);3,7−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−10H−フェノチアジン(Irganox(登録商標)LO3);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)モノアクリレート(Irganox(登録商標)3052);2−tert−ブチル−6−[1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチル]−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer(登録商標)TM4039);2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer(登録商標)GS);1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール(Sumilizer(登録商標)MB);2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール(Irganox(登録商標)1520);N,N’−トリメチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド(Irganox(登録商標)1019);4−n−オクタデシルオキシ−2,6−ジフェニルフェノール(Irganox(登録商標)1063);2,2’−エチリデンビス[4,6−ジ−tert−ブチルフェノール](Irganox(登録商標)129);N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)(Irganox(登録商標)1098);ジエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート(Irganox(登録商標)1222);4,4’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン(Irganox(登録商標)5057);N−フェニル−1−ナフタレンアミン(Irganox(登録商標)L05);亜鉛ジノニルジチオカルバメート(Hostanox(登録商標)VP-ZNCS1);3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer(登録商標)AG80);テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタン(Irganox(登録商標)1010);及びエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート(Irganox(登録商標)245);などが挙げられる。用いる場合には、立体障害フェノール酸化防止剤は、ポリマー組成物の約0.1重量%〜約3重量%、幾つかの態様においては約0.2重量%〜約2重量%、幾つかの態様においては約0.5重量%〜約1.5重量%を構成することができる。
【0045】
D.他の添加剤:
[0041]上述の成分に加えて、ポリマー組成物は1種類以上の他の添加剤も用いることができる。かかる添加剤の例としては、例えば、UV安定剤、光安定剤、界面活性剤、流動促進剤、充填剤、抗菌剤、並びに特性及び加工性を向上させるために加える他の材料を挙げることができる。例えば、充填剤材料は強度を向上させるために用いることができる。充填剤組成物には、繊維状充填剤及び/又は無機充填剤のような充填剤材料を含ませることができる。無機充填剤は、例えば所望の機械的特性及び/又は外観を達成するのを促進するために組成物中において用いることができる。用いる場合には、無機充填剤は、通常は組成物の約5重量%〜約50重量%、幾つかの態様においては約10重量%〜約40重量%、幾つかの態様においては約15重量%〜約30重量%を構成する。例えば、タルク(MgSi10(OH))、ハロイサイト(AlSi(OH))、カオリナイト(AlSi(OH))、イライト((K,HO)(Al,Mg,Fe)(Si,Al)10[(OH),(HO)]、モンモリロナイト(Na,Ca)0.33(Al,Mg)Si10(OH)・nHO)、バーミキュライト((MgFe,Al)(Al,Si)10(OH)・4HO)、パリゴルスカイト((Mg,Al)Si10(OH)・4(HO))、パイロフィライト(AlSi10(OH))等、並びにこれらの組み合わせのようなクレイ鉱物を用いることができる。クレイ鉱物の代わりか又はこれに加えて、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、マイカ、珪藻土、珪灰石、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどのような他の無機充填剤を用いることもできる。例えば、マイカは特に好適である可能性がある。地質学的存在状態における相当な相違を有する幾つかの化学的に異なるマイカ種が存在するが、全て実質的に同じ結晶構造を有する。本明細書において用いる「マイカ」という用語は、モスコバイト(KAl(AlSi)O10(OH))、バイオタイト(K(Mg,Fe)(AlSi)O10(OH))、フロゴパイト(KMg(AlSi)O10(OH))、レピドライト(K(Li,Al)2〜3(AlSi)O10(OH))、グローコナイト(K,Na)(Al,Mg,Fe)(Si,Al)10(OH))等、並びにこれらの組み合わせのような任意のこれらの種を総称的に包含すると意図される。
【0046】
[0042]また、機械的特性を更に向上させる充填剤材料として繊維を用いることもできる。かかる繊維は、一般にそれらの質量に対して高い程度の引張り強さを有する。例えば、繊維の極限引張強さ(ASTM−D2101にしたがって測定)は、通常は、約1,000〜約15,000メガパスカル(MPa)、幾つかの態様においては約2,000MPa〜約10,000MPa、幾つかの態様においては約3,000MPa〜約6,000MPaである。好適な繊維としては、炭素、ガラス、セラミクス(例えば、アルミナ又はシリカ)、アラミド樹脂(例えば、E.I. DuPont de Nemours, Wilmington, Delawareによって販売されているKevlar(登録商標))、ポリオレフィン、ポリエステル等、並びにこれらの混合物から生成されるものを挙げることができる。E−ガラス、A−ガラス、C−ガラス、D−ガラス、AR−ガラス、R−ガラス、S1−ガラス、S2−ガラス等、及びこれらの混合物のようなガラス繊維が特に好適である。用いる場合には、繊維状充填剤は、通常は、組成物の約5重量%〜約50重量%、幾つかの態様においては約10重量%〜約40重量%、幾つかの態様においては約15重量%〜約30重量%を構成する。
【0047】
II.ブレンド:
[0043]液晶ポリマー、金属顔料(例えば、金属粒子及び/又はキャリア樹脂)、有機リン化合物、及び他の随意的な添加剤は、種々の方法で一緒にブレンドして所望のポリマー組成物を達成することができる。例えば幾つかの態様においては、最初に上記に記載したような金属粒子及びキャリア樹脂から金属顔料をマスターバッチとして生成し、その後に液晶ポリマーと混合することができる。かかる態様においては、有機リン酸化防止剤は、金属顔料マスターバッチ中に導入するか、或いは単純にマスターバッチ及び液晶ポリマーと一緒にブレンドすることができる。或いは、最初に金属粒子及びキャリア樹脂からマスターバッチを生成しないで、組成物の個々の成分を一緒にブレンドすることもできる。
【0048】
[0044]それらをどのようにして供給するかに関係なく、ポリマー組成物の成分は、一般に一緒にブレンドしてポリマー組成物を生成する。ブレンドは、約225℃〜約400℃、幾つかの態様においては約250℃〜約395℃、幾つかの態様においては約280℃〜約380℃の温度のような液晶ポリマーの融点又はその付近の温度で行うことができる。一般に、任意の種々の溶融ブレンド技術を本発明において用いることができる。例えば、成分は、バレル(例えば円筒形のバレル)内に回転可能に取り付けられて収容されている少なくとも1つのスクリューを含む押出機内で溶融ブレンドすることができる。押出機は、一軸又は二軸押出機であってよい。所望の場合には、押出機の混合及び/又は溶融セクション内において、1以上の分配及び/又は分散混合部材を用いることができる。一軸押出機のために好適な分配ミキサーとしては、例えば、Saxon、Dulmage、キャビティートランスファーミキサー等を挙げることができる。更に、好適な分散ミキサーとしては、ブリスターリング、Leroy/Maddock、CRDミキサー等を挙げることができる。当該技術において周知なように、混合は、Bussニーダー押出機、キャビティートランスファーミキサー、及びボルテックスインターメッシングピンミキサーにおいて用いられているもののような、ポリマー溶融体の折り畳み及び再配列を生起させるバレル内のピンを用いることによって更に向上させることができる。
【0049】
III.用途:
[0045]生成されたら、得られるポリマー組成物は、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、熱成形等のような当該技術において公知の技術を用いて任意の種々の異なる部品に成形することができる。例えば、乾燥して予備加熱したプラスチック顆粒を成形型中に射出する1成分射出成形プロセスを用いて部品を成形することができる。用いる成形技術に関係なく、得られる部品は金属様の外観を示すことができることが見出された。金属様の外観は、種々の異なる方法で特徴付けることができる。例えば、表面は、ASTM−D523−08にしたがって、光沢度計を用いて60°の角度で測定して約10グロスユニット以上、幾つかの態様においては約30グロスユニット以上、幾つかの態様においては約45グロスユニット以上、幾つかの態様においては50グロスユニット以上、幾つかの態様においては約55グロスユニット以上の鏡面光沢度を示すことができる。部品はまた、鋳鉄、アルミニウム、炭素鋼、ステンレススチール(即ち約10.5質量%〜11質量%のクロム含量を有する合金鋼)等から製造されるもののような、多くの金属に似ている灰色がかった金属様の色を有することもできる。この色の類似性は、F. CostによるPocket Guide to Digital Printing, Delmar Publishers, Albany, N.Y. ISBN 0-8273-7592-1の144及び145頁、並びに"Photoelectric color difference meter", Journal of Optical Society of America, 48巻, 985〜995頁, S. Hunter (1958)(両方ともそれらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている「CIELAB」として知られている標準試験法にしたがって、光学読み取り装置を用いて吸光度を測定することによって定量することができる。より具体的には、CIELAB試験法は、3つの「Hunter」スケール値であるL、a、及びb(これらは、色覚の反対色説に基づく知覚された色の3つの特徴に対応し、次:
=明度(又は光度);0〜100の範囲;0=暗、100=明;
=赤/緑軸;−100〜100の範囲;正の値は赤みがかっており、負の値は緑色がかっている;及び
=黄/青軸;−100〜100の範囲;正の値は黄色がかっており、負の値は青色がかっている;
のように規定される)を規定する。
【0050】
[0046]CIELAB色空間は多少視覚的に均一であるので、次の等式:
【0051】
【化5】
【0052】
(式中、ΔLは、第1の色の明度値を第2の色の明度値から減じた値であり;Δaは、第1の色の赤/緑軸値を第2の色の赤/緑軸値から減じた値であり;Δbは、第1の色の黄/青軸値を第2の色の黄/青軸値から減じた値である)
を用いて、人間によって知覚される2つの色の間の全絶対色差を表す単一の数値を算出することができる。CIELAB色空間においては、それぞれのΔE単位は、2つの色の間の「丁度可知」差異にほぼ等しく、したがって色の差を表す目的で用いることができる対物装置非依存性表色系に関する良好な指標である。例えば、上記の式における「第1の色」は金属部品(例えばステンレススチール)の色を表すことができ、「第2の色」はポリマー組成物及び/又はそれから形成される成形部品の色を表すことができる。本発明のポリマー組成物から形成される部品と金属から形成されるものとの間の比較的近接している色のために、得られるΔE値は通常は小さく、例えば約12以下、幾つかの態様においては約11以下、幾つかの態様においては約0.5〜約8、幾つかの態様においては約1〜約6である。
【0053】
[0047]種々の異なるタイプの物品を、本発明の成形部品及び/又はポリマー組成物から製造することができる。任意の好適な成形部品を形成することができるが、本発明のポリマー組成物は、上述したような食品用物品を製造するのに特に良く適している。例えば図3を参照すると、本発明にしたがって形成することができるマグ10の形状の食品用物品の1つの特定の態様が示されている。示されているように、マグ10は、底壁12、側壁18、及び取っ手40を有する。底壁12は内表面14及び外表面16を画定し、更に側壁18は外表面20及び内表面22、並びに上部開口端24及び底部閉止端26を画定している。側壁18は上部開口端24から底部閉止端26まで伸長し、そこで底壁12に接続されて、飲料を受容するための中空の内部28を画定している。一態様においては、側壁18及び底壁12を含むマグ10は、概して円筒形状である。一般に、底壁12、側壁18、及び/又は取っ手40のようなマグ10の任意の部分を本発明のポリマー組成物から形成することができる。幾つかの態様においては、マグ全体を本発明のポリマー組成物から形成して、金属様の外観を有するようにする。
【0054】
[0048]調理器具及び耐熱器具のような食品の調理のために用いる食品用物品もまた、本発明のポリマー組成物から形成される成形部品と共に使用するのに特に良く適している。本発明のポリマー組成物は、例えば調理用具(例えば、調理器具、飲料容器、蒸し鍋、煎り鍋、キャセロール鍋、ダッチオーブン、フライパン、スキレット、ワンダーポット、グリドル、ソースパン、ソテーパン、スープ鍋、中華鍋等)、及び/又は耐熱皿(例えば、ケーキ焼型、オーブン用天板、クッキーシート、ゼリーロール焼皿、マフィン焼型、パイ焼皿、バン焼皿、食パン焼型等)の全部又は一部を製造するのに用いることができる。本発明のポリマー組成物から形成すると、かかる物品は高い温度に耐えることができるようにすることができ、また耐化学薬品性で非常に不活性にすることができる。例えば幾つかの態様においては、本発明のポリマー組成物を用いて、調理器具又は耐熱器具の取っ手、カバー、又は蓋を形成することができる。或いは、ポリマー組成物を用いて調理器具又は耐熱器具の調理面を形成することができる。例えば図1を参照すると、調理容器15に接続されている取っ手12を含む調理器具10の一態様が示されている。所望の場合には、本発明のポリマー組成物を用いて、取っ手12及び/又は容器15の全部又は一部を形成することができる。図1に示されている態様においては調理器具はソースパンの形状であるが、広範囲の他の調理用物品を用いることもできることを理解すべきである。例えば図2を参照すると、基部210の上に配置するように構成されている蓋204を含む調理容器200が示されている。ここでも上述したように、本発明のポリマー組成物を用いて蓋204及び/又は基部210の全部又は一部を形成することができる。
【実施例】
【0055】
[0049]本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解することができる。
【0056】
実施例1:
[0050]液晶ポリマー試料を生成して、臭気に対する種々のワックス樹脂及び有機リン酸化防止剤の影響を求めた。ワックス樹脂として、Glycolube(登録商標)P(ペンタエリトリトールテトラステアレート);A-C(登録商標)629(酸化ポリエチレンホモポリマー);Licowax(登録商標)PP1302(メタロセンポリプロピレンワックス);Licomont(登録商標)NAV101(モンタン酸のナトリウム石鹸);及びLicowax(登録商標)PE520(ポリエチレンワックス);を用いた。有機リン酸化防止剤として、Hostanox(登録商標)P-EPQ(ジホスホナイト)を用いた。それぞれの試料の構成成分及び濃度を下表1に示す。また、臭気の評価を3人のパネルによって行い、臭気を0〜5のスケール(0は最も少ない臭気の量を表し、5は最も多い臭気の量を表す)で主観的に等級付けた。臭気試験の結果も下表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2:
[0051]Vectra(登録商標)E950iSX(液晶ポリマー)、マイカ、Hostanox(登録商標)P-EPQ(ジホスホナイト酸化防止剤)、及びアルミニウム顔料の種々の組み合わせから、金属様の液晶ポリマー試料を生成した。アルミニウム顔料として、MS MP15 20B(ポリオレフィンワックス中に封入されているアルミニウムフレーク;Eckart GmbH);Sparkle Silvet(登録商標)880-20-E(ポリエチレンワックス中に封入されているアルミニウムフレーク;Silberline Mfg. Co. Inc.);及びLicowax(登録商標)PE520中に封入されているアルミニウムフレーク;を用いた。それぞれの試料の構成成分及び濃度を下表2に示す。
【0059】
【表2-1】
【0060】
[0052]生成されたら、試料11、12、及び16を試験して、加熱中に生成するガスを測定した。結果を図4に示す。図4において、確認されたピーク(分)は次の化合物に対応する。
【0061】
【表2-2】
【0062】
[0053]また、試料をマグの形状に射出成形した。射出成形したマグをオーブン内に入れ、蓋でカバーし、250℃において5時間熱処理した。5時間の終了時において、マグをオーブンから取り出し、室温において24時間冷却した。蓋を上記に示すように臭気に関して試験するのに十分に長い時間、蓋を取り外した。結果を下表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
[0054]本発明のこれら及び他の修正及び変更は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって実施することができる。更に、種々の態様の幾つかの形態は、全体的又は部分的に交換することができることを理解すべきである。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみのものであり、特許請求の範囲において更に記載されている発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】