(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534642(P2015-534642A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】電磁波を検出するための少なくとも2つのウェハを有する装置、および、当該装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20151106BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20151106BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20151106BHJP
G01J 1/42 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
G01J1/02 C
B81B1/00
B81C3/00
G01J1/42 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-532345(P2015-532345)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月18日
(86)【国際出願番号】EP2013066635
(87)【国際公開番号】WO2014044463
(87)【国際公開日】20140327
(31)【優先権主張番号】102012216618.1
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】インゴ ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】カール−フランツ ラインハート
(72)【発明者】
【氏名】タャルフ ピアク
【テーマコード(参考)】
2G065
3C081
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB03
2G065BA02
2G065BA12
2G065BA34
2G065BC01
3C081AA18
3C081BA04
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA32
3C081BA33
3C081BA72
3C081CA03
3C081CA05
3C081CA13
3C081CA32
3C081DA22
3C081DA27
3C081DA41
3C081EA01
3C081EA04
(57)【要約】
本発明は、電磁波を、特に遠赤外線(FIR)を検知するための、少なくとも2つのウェハ(120,110;120,130)の構成体に関し、第1のウェハ(120)は、センサアレイとして構成されたマイクロシステム(115)を有し、当該マイクロシステム(115)は、電磁波を、特に遠赤外線(FIR)を検出して、対応するセンサ信号を生成するように構成されており、第2のウェハ(110;130)は、前記センサアレイに結合された評価回路として構成された集積回路(105)を有し、当該集積回路(105)は、生成された前記センサ信号に基づいて、当該生成されたセンサ信号を評価することにより、前記電磁波を、特に遠赤外線(FIR)を検知するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を、特に遠赤外線を検知するための、少なくとも2つのウェハ(120,110;120,130)の構成体であって、
・第1のウェハ(120)は、センサアレイとして構成されたマイクロシステム(115)を有し、当該マイクロシステム(115)は、電磁波を、特に遠赤外線を検出して、対応するセンサ信号を生成するように構成されており、
・第2のウェハ(110;130)は、前記センサアレイに結合された評価回路として構成された集積回路(105)を有し、当該集積回路(105)は、生成された前記センサ信号に基づいて、前記電磁波を、特に遠赤外線を検知するように構成されている
ことを特徴とする構成体。
【請求項2】
前記評価回路は回路アレイとして構成されている、
請求項1記載の構成体(100)。
【請求項3】
前記センサアレイは、少なくとも1つのダイオードエレメント(116)のアレイとして構成されている、
請求項1または2記載の構成体(100)。
【請求項4】
前記回路アレイと前記センサアレイとは、同様の形状に形成されている、
請求項3記載の構成体(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのダイオードエレメント(116)は、前記評価回路の少なくとも1つの処理ユニットに結合されている、
請求項3または4記載の構成体(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのダイオードエレメント(116)は、直列接続された複数のダイオードから構成されている、
請求項3から5までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項7】
前記集積回路(105)は特定用途集積回路として構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項8】
前記構成体(100)はさらに、前記センサアレイに対するキャップウェハとして構成された第3のウェハ(140)も有する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項9】
前記センサアレイは、電磁波を、特に遠赤外線を検出するためのマイクロボロメータアレイとして構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項10】
前記集積回路(105)は熱シールド(108)を有する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項11】
前記マイクロシステム(115)はゲッタ装置(118)を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項12】
前記第1のウェハ(120)はスルーコンタクト(124)を有する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項13】
前記第2のウェハ(110;130)はスルーコンタクトを有する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の、少なくとも2つのウェハの構成体の製造方法であって、
・マイクロシステム(115)を有する第1のウェハ(120)と、集積回路(105)を有する第2のウェハ(110;130)とを準備するステップ(S1)と、
・前記第1のウェハ(12)と前記第2のウェハ(110;130)とにボンディング材料(180)を設けるステップ(S2)と、
・前記構成体を製造するために、前記ボンディング材料(180)が設けられた状態の前記第1のウェハ(120)と、前記ボンディング材料(180)が設けられた状態の前記第2のウェハ(110;130)とをボンディング接合するステップ(S3)と
を有することを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を検出するための少なくとも2つのウェハの構成体、および、当該構成体の製造方法に関する。
【0002】
従来技術
独国特許出願公開 DE 10 2008 043 735 A1 に、少なくとも2つのウェハ間のボンディング接合部の作製方法が記載されている。同刊行物に記載されている方法は、第1のボンディング材料を第1のウェハ上に設けるステップを含み、当該第1のボンディング材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が選択される。
【0003】
前記方法はさらに、第2のボンディング材料を第2のウェハ上に設けるステップを含み、当該第2のボンディング材料としては、金が選択される。上記刊行物に記載された方法では、次に、前記第1のボンディング材料と第2のボンディング材料とを結合することにより、第1のウェハと第2のウェハとのウェハ・トゥ・ウェハボンディング接合部を形成する、ボンディング工程を実施する。
【0004】
また、欧州特許 EP 1071126 B1 に記載された、2つのウェハのボンディング接合では、両ウェハのボンディングパッドに適していると記載されたボンディング材料は異なっており、金から成るボンディングパッドが用いられる。さらに同刊行物では、ボンディング材料としてシリコン、インジウム、アルミニウム、銅、銀、これらの元素から成る合金が記載されている。
【0005】
図4に、2つのウェハ10,20の構成体1の一例を示す。第1のウェハ10は、構成体のキャップウェハとして用いられる。第2のウェハはMEMS領域15とASIC領域5とを有する。第2のウェハのコンタクトを行うために、金属のボンディングパッド21,22,23が設けられている。MEMS領域15は、カンチレバー構造体18を有するMEMS構造を有し、当該カンチレバー構造体18は歪みゲージ16を有する。
【0006】
発明の開示
本発明は、請求項1に記載の構成を有する、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための少なくとも2つのウェハの構成体と、請求項14に記載の当該構成体の製造方法とを実現したものである。
【0007】
発明の利点
本発明の思想は、1つのウェハに、評価回路が水平方向に集積され、かつ、ASIC構造とMEMS構造とが垂直方向に組み合わされるのを回避することである。というのも、これら両構造を非常に多くのマスクレベルにわたって一緒に処理すると、ウェハ全体の欠陥の確率が上昇するからである。
【0008】
本発明の基本は、ASIC構造とMEMS構造とを分離して、ASIC構造とMEMS構造とをそれぞれ、2つのウェハのうち一方に集積し、次のステップにおいて、両ウェハ上に形成された金属のウェハコンタクトを介して両ウェハを接合することである。
【0009】
このことによって有利には、ASIC構造に最適である特定の処理と、MEMS構造に最適である特定の処理とを、それぞれ各個別のウェハに用いることが可能になる。さらに本発明は、それぞれに最適化されたウェハ構造体において使用面積が最小限になるので、コスト上の利点も奏する。さらに、本発明により、MEMS構造のセンサ画素とASIC構造の評価回路との間の小さい所要距離を遵守することもできる。
【0010】
従属請求項と、図面を参照した説明とから、有利な実施形態および発展形態が明らかである。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記評価回路は回路アレイとして構成されている。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記センサアレイは少なくとも1つのダイオードエレメントのアレイとして構成されている。これにより、センサアレイを簡単に製造することができる。さらにこの実施形態により、センサアレイの確実な動作を実現することができる。その際に有利なのは、ダイオードエレメントにおける電圧が変化することにより、電磁波に起因する、センサアレイの温度変化を推定できることを利用することである。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、前記回路アレイと前記センサアレイとを同様の形状で形成する。このことにより、センサアレイのダイオードエレメントと評価回路との間の距離を最小限にすることができる。
【0014】
本発明の1つの実施形態では、前記少なくとも1つのダイオードエレメントは評価回路の少なくとも1つの処理ユニットに結合されている。このような実施形態により、外部から構成体に及ぼされる外乱の影響を減少させることができる。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、前記少なくとも1つのダイオードエレメントは、直列接続された複数のダイオードから構成される。このような実施形態により、ダイオードエレメントにおける電圧降下の変化が放射を誘導する作用を、有利には拡大することができる。
【0016】
本発明の1つの実施形態では、前記集積回路は特定用途集積回路として構成されている。この構成により、センサアレイの効率的な実装を実現することができる。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、前記構成体はさらに、センサアレイのキャップウェハとして構成された第3のウェハを有する。この実施形態により、センサアレイに必要とされる負圧を動作中に維持することができる。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、センサアレイは電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するためのマイクロボロメータアレイとして構成されている。このような実施形態により、電磁波がセンサアレイにおいて吸収されて当該センサアレイ内部にて温度変化が生じることによって、電気抵抗の変化を検出できるという利点が奏される。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、前記集積回路は熱シールドを有する。このような実施形態により、前記構成体の集積回路は、電磁波特に遠赤外線に起因する過熱を防止することができる。
【0020】
本発明の1つの実施形態では、前記マイクロシステムはゲッタ装置を有する。このような実施形態により、前記構成体の動作中、センサアレイに必要とされる負圧を持続的に維持できるという利点が奏される。
【0021】
本発明の1つの実施形態では、前記第1のウェハはスルーコンタクトを有する。このような構成により、第1のウェハの簡単かつ確実なコンタクトを実現することができる。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、前記第2のウェハはスルーコンタクトを有する。このような構成により、第2のウェハの簡単かつ確実なコンタクトを実現することができる。
【0023】
上記の実施形態および発展形態は、任意に組み合わせることができる。
【0024】
本発明の他の可能な実施形態、発展形態および実施形式には、上記または下記にて実施例を参酌して説明する本発明の各構成の、明示的に記載されていない組み合わせも含まれる。
【0025】
添付の図面を参酌すれば、本発明の実施形態をさらに具体的に理解することができる。図面には複数の実施形態を示しており、図面と明細書とを併せて参酌すれば、本発明の原理および思想が明らかである。
【0026】
図面を参酌すれば、他の実施形態と、上記利点の数多くとが明らかである。図面に示された構成要素の相互の比率は、必ずしも実寸通りでない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態の、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための2つのウェハの構成体を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の他の実施形態の、電磁波を検出するための、とりわけ遠赤外線を検出するための3つのウェハの構成体を概略的に示す図である。
【
図3】本発明のさらに他の実施形態の、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための、少なくとも2つのウェハの構成体の製造方法のフローチャートを示す概略図である。
【
図4】2つのウェハの構成体の一例を示す図である。
【0028】
図面の各図において、別に特記しない限り、同一の符号は同一または同機能の要素、部品、構成要素またはステップを示す。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態の、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための2つのウェハの構成体を概略的に示す図である。
【0030】
ここではウェハとは、円形または正方形である約1mmの厚さのスライスである。ウェハは単結晶または多結晶の半導体材料を含むことができ、通常は、電子装置の基板として用いられる。前記半導体材料としては、シリコン、ゲルマニウム、砒化ガリウム、炭化シリコンまたはリン化インジウムを用いることができる。
【0031】
構成体100は、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための2つのウェハ120,110を含む。
【0032】
第1のウェハ120は、センサアレイとして構成されたマイクロシステム115を有し、当該マイクロシステム115は、電磁波を、特に遠赤外線を検出して、これに応じたセンサ信号を生成するように構成されている。
【0033】
第2のウェハ110は、センサアレイに結合された評価回路として構成された集積回路105を有し、当該集積回路105は、生成された前記センサ信号に基づいて、当該生成されたセンサ信号を評価することにより、電磁波を、特に遠赤外線を検知するように構成されている。
【0034】
たとえば評価回路は、電磁波を、特に遠赤外線を検出したセンサ素子115aを特定するように構成することができる。センサアレイは、それぞれ1つまたは複数のダイオードエレメント116を有する複数のセンサ素子115aのアレイとして構成することができる。評価回路はさらに、複数の処理ユニットのアレイとして構成された回路アレイとすることもできる。その際には、評価回路の各1つの処理ユニットにそれぞれ、前記センサアレイの1つまたは複数のダイオードエレメント116が結合される。
【0035】
その際には、測定用センサとして構成されたダイオードエレメント116の電気的なセンサ信号を、正規化された電気信号に変換する測定用変換器として、評価回路のいずれかの処理ユニットを構成することができる。
【0036】
ダイオードエレメント116は、直列接続された複数のダイオードから構成することができ、または、ダイオードの直列接続体と、たとえば抵抗器等の他の電気的素子とから構成することができる。その際には、ダイオードとして、p‐n型ドープされた半導体結晶であるシリコン、またはゲルマニウム、ゲルマニウムダイオード、砒化ガリウムを含むか、または、金属‐半導体接合を含む半導体ダイオードを用いることができる。
【0037】
また、ボンディング材料180を第1のウェハ120と第2のウェハ110;130とに蒸着することも可能である。その際にはボンディング材料として、金もしくはインジウムもしくはアルミニウムを用いるか、または、ウェハボンディングに適した他の金属を用いる。
【0038】
第1のウェハ120のコンタクトを行うために、ボンディングパッド121,122,123が設けられており、このボンディングパッド121,122,123もまた、金もしくはインジウムもしくはアルミニウムから形成されるか、または、コンタクトボンディングに適した他の材料から形成される。
【0039】
第1のウェハ120と第2のウェハ110とをコンタクトさせるため、第2のウェハ110上にコンタクト部125が設けられている。このコンタクト部125は、第2のウェハ110の、第1のウェハ120を向いた面に形成されたコンタクトパッドと、集積回路105とを接続するものであり、このコンタクトパッドは図中には示されていない。
【0040】
電極としては、ダイオードエレメント116の電気的コンタクトを実現するために金属が設けられており、また、ダイオードエレメント116を固定するために、酸化物または他の非導電性材料127から成るウェブが設けられている。その際にはダイオードエレメント116は、カンチレバー形の材料領域の内部または表面上に設けられる。第1のウェハ120はたとえばスルーコンタクト124を有する。
【0041】
さらにセンサ素子115aは、当該センサ素子115aの基板として用いられる第1のウェハ120から温度センサを熱絶縁するための空洞126有する。
【0042】
その際には、各センサ素子115aごとに個別の空洞126をその下方にて用いることができ、または、複数のセンサ素子115aを保持して画素クラスタを構成する複数の空洞126を形成することもできる。
【0043】
また、センサアレイ全体の下方に大きな空洞を形成することもできる。
【0044】
1つの空洞126あたり複数のセンサ素子115aが設けられている場合、とりわけセンサ素子115aの安定性およびパフォーマンスのために有利なのは、吸収した熱を基板の蓄熱部に可能な限り良好に排出するための支持部を設けることである。
【0045】
この支持部はたとえば、壁または柱として形成することができる。空洞を形成するためには、たとえば犠牲層をエッチングすること、または、基板を陽極エッチングすることができ、その際には、基板にたとえば多孔性シリコンを生成する。前記犠牲層のエッチングは、場合によっては、各空洞を支持部により規定通りに支えることにより支援することができる。さらに、同様の作用を実現するシリコンディープエッチング法を実施することも可能である。
【0046】
図2は、本発明の他の1つの実施形態の、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための3つのウェハの構成体を概略的に示す図である。
【0047】
図1に示された実施形態との相違点として、
図2に示した実施形態では、構成体100はさらに第3のウェハ140を有しており、この第3のウェハ140は、センサアレイのためのキャップウェハとして形成されている。
【0048】
さらに、
図2に示した実施形態では、集積回路105は熱シールド108を有し、マイクロシステム115はゲッタ装置118を有する。熱シールド108はたとえば、電磁波ないしは遠赤外線を反射する層として形成されている。
【0049】
ゲッタ装置118はたとえばゲッタとされる。すなわち、負圧を可能な限り長期間維持するのに用いられる化学反応性材料とされる。ゲッタ装置118の表面において、ガス分子がゲッタ材料の分子と直接化学結合するか、または、ガス分子が吸着により固定される。このようにしてガス分子が取り込まれて、空洞の内圧が低下する。
【0050】
図2に示した他の符号は、
図1に対応する図面の説明において既に記載したものであるから、詳細な説明は省略する。
【0051】
図3は、本発明のさらに他の実施形態の、電磁波を検出するための、特に遠赤外線を検出するための、少なくとも2つのウェハの構成体の製造方法のフローチャートを示す概略図である。
【0052】
第1のステップとして、マイクロシステム115を有する第1のウェハ120と、集積回路105を有する第2のウェハ110;130とを準備するS1。
【0053】
第2のステップとして、第1のウェハ120と第2のウェハ110;130とにボンディング材料180を設けるS2。
【0054】
第3のステップとして、ボンディング材料180が設けられた状態の第1のウェハ120と、ボンディング材料180が設けられた状態の第2のウェハ110;130とをボンディング接合することによりS3、前記構成体を形成する。
【0055】
上記では、有利な実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されることはなく、多様な形態に変更することが可能である。特に本発明の基本から逸脱することなく、本発明は多くの態様で変更または修正することができる。
【手続補正書】
【提出日】2015年4月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を検知するための、少なくとも2つのウェハ(120,110;120,130)の構成体であって、
・第1のウェハ(120)は、センサアレイとして構成されたマイクロシステム(115)を有し、当該マイクロシステム(115)は、電磁波を検出して、対応するセンサ信号を生成するように構成されており、
・第2のウェハ(110;130)は、前記センサアレイに結合された評価回路として構成された集積回路(105)を有し、当該集積回路(105)は、生成された前記センサ信号に基づいて、前記電磁波を検知するように構成されている
ことを特徴とする構成体。
【請求項2】
前記評価回路は回路アレイとして構成されている、
請求項1記載の構成体(100)。
【請求項3】
前記センサアレイは、少なくとも1つのダイオードエレメント(116)のアレイとして構成されている、
請求項1または2記載の構成体(100)。
【請求項4】
前記回路アレイと前記センサアレイとは、同様の形状に形成されている、
請求項3記載の構成体(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのダイオードエレメント(116)は、前記評価回路の少なくとも1つの処理ユニットに結合されている、
請求項3または4記載の構成体(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのダイオードエレメント(116)は、直列接続された複数のダイオードから構成されている、
請求項3から5までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項7】
前記集積回路(105)は特定用途集積回路として構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項8】
前記構成体(100)はさらに、前記センサアレイに対するキャップウェハとして構成された第3のウェハ(140)も有する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項9】
前記センサアレイは、電磁波を検出するためのマイクロボロメータアレイとして構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項10】
前記集積回路(105)は熱シールド(108)を有する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項11】
前記マイクロシステム(115)はゲッタ装置(118)を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項12】
前記第1のウェハ(120)はスルーコンタクト(124)を有する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項13】
前記第2のウェハ(110;130)はスルーコンタクトを有する、
請求項1から12までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項14】
前記電磁波は、遠赤外線である、
請求項1から13までのいずれか1項記載の構成体(100)。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の、少なくとも2つのウェハの構成体の製造方法であって、
・マイクロシステム(115)を有する第1のウェハ(120)と、集積回路(105)を有する第2のウェハ(110;130)とを準備するステップ(S1)と、
・前記第1のウェハ(12)と前記第2のウェハ(110;130)とにボンディング材料(180)を設けるステップ(S2)と、
・前記構成体を製造するために、前記ボンディング材料(180)が設けられた状態の前記第1のウェハ(120)と、前記ボンディング材料(180)が設けられた状態の前記第2のウェハ(110;130)とをボンディング接合するステップ(S3)と
を有することを特徴とする製造方法。
【国際調査報告】