(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534879(P2015-534879A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】骨固定器具のための係止部材
(51)【国際特許分類】
A61B 17/68 20060101AFI20151110BHJP
【FI】
A61B17/58 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-542720(P2015-542720)
(86)(22)【出願日】2013年11月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年7月3日
(86)【国際出願番号】US2013069559
(87)【国際公開番号】WO2014078265
(87)【国際公開日】20140522
(31)【優先権主張番号】61/726,797
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513164565
【氏名又は名称】シンセス・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Synthes GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メンモロ・マルチェッロ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー・カーティス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL22
4C160LL33
4C160LL59
(57)【要約】
骨固定器具のための係止部材は、外側表面、反対側の骨接触表面、及び骨接触表面から外側表面に延在するスロットを画定する係止本体を含み得る。係止部材は、スロット内に延在する少なくとも1つの係止歯、及びスロット内に延在し、かつ少なくとも1つの係止歯に面する当接表面を画定する付勢部材を更に含み得る。スロットは、挿入方向に沿って歯付部材を受容するように構成され得、付勢部材は、歯付部材が挿入方向と反対の方向に沿ってスロットを通って並進するのを防止するために、歯付部材の少なくとも1つの歯が係止部材の少なくとも1つの係止歯に係合するように、歯付部材を少なくとも1つの係止歯に向かって付勢するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定器具であって、
第1の方向に沿って細長く、第1の端部及び前記第1の方向に沿って前記第1の端部から離間した第2の端部を含むステムであって、少なくとも1つの第1の歯を更に含む、ステムと、
前記第1の方向に沿った前記ステムに対する並進に対して、前記ステムの前記第1の端部に固定される第1の固定部材と、
内側表面及び前記内側表面と反対の外側表面を画定する本体を含む第2の固定部材であって、前記第2の固定部材は、前記内側表面から前記外側表面まで前記本体を通って延在するスロットを少なくとも部分的に画定する内部表面を含み、前記スロットは、前記第2の固定部材が前記第1の方向に沿った前記ステムに沿って摺動可能であるように、前記ステムを受容するようにサイズ決定され、前記第2の固定部材は、前記内部表面から延在する少なくとも1つの第2の歯を更に含む、第2の固定部材と、
前記内部表面の可撓性よりも大きい可撓性を有する付勢部材であって、前記付勢部材は、i)前記第2の固定部材が前記第1の固定部材に向かって前記ステムに沿って並進するとき、前記少なくとも1つの第2の歯が前記少なくとも1つの第1の歯に沿って摺動することを可能にするため、及びii)前記第2の固定部材が前記第1の固定部材から離れて前記ステムに沿って並進することを防止するために、前記少なくとも1つの第2の歯を前記少なくとも1つの第1の歯と相互係止させるため、前記少なくとも1つの第1の歯が前記少なくとも1つの第2の歯に係合するように、前記ステムが前記スロットを通って延在するとき、前記ステムを前記少なくとも1つの歯に向かって付勢するように構成される、付勢部材と、
を備える、骨固定器具。
【請求項2】
前記付勢部材が、前記本体から前記スロット内に延在し、かつ前記少なくとも1つの歯に面する、請求項1に記載の骨固定器具。
【請求項3】
前記付勢部材が、前記第2の固定部材の前記少なくとも1つの歯に面する湾曲した当接表面を画定する、請求項2に記載の骨固定器具。
【請求項4】
前記付勢部材が、前記当接表面を画定する当接部材によって接合される第1及び第2の湾曲した脚部を含み、前記第1及び第2の脚部が、前記スロットを少なくとも部分的に画定する対向する表面から延在する、請求項3に記載の骨固定器具。
【請求項5】
前記当接部材が、前記第1及び第2の脚部の厚さよりも大きい、前記第1の方向に垂直の方向に沿って測定される厚さを有する、請求項4に記載の骨固定器具。
【請求項6】
前記ステムが、前記第1の方向に垂直の第2の方向に沿って対向する第1及び第2の表面を有し、前記ステムが、前記第1の表面からのみ延在する複数の歯を含み、前記付勢部材が、前記ステムが前記第1の方向に沿って前記スロットを通して挿入されるとき、前記第2の表面に対して力を印加するように構成される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項7】
前記ステムが、前記第1の端部における第1の連結部材、及び前記第1の連結部材から離間した場所において前記第1及び第2の表面からそれぞれ延在する一対の第2の連結部材を更に含み、第1及び第2の間隙が前記第1の連結部材と前記第2の連結部材との間でそれぞれ画定され、前記第1及び第2の間隙が、前記第1の固定部材の一部を受容して、それによって前記第1の固定部材を前記ステムに連結する、請求項6に記載の骨固定器具。
【請求項8】
前記第1の固定部材が、前記第1の外側表面内に延在する凹部を画定し、前記凹部が、前記第1の固定部材が前記ステムに連結されるとき、ディスクを受容するように構成されている、請求項7に記載の骨固定器具。
【請求項9】
前記第2の固定部材が、前記第2の固定部材が前記ステムに沿って前記第1の固定部材に向かって移動され、かつ前記第2の固定部材がそれぞれの解剖学的構造の外側表面に当接するときに屈曲するように構成される、複数の可撓性延長部を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項10】
前記第2の固定部材が、前記本体から前記スロット内に延在する2つの歯を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項11】
前記第2の固定部材が、約1mm〜約2mmである、前記第1の方向に沿って測定される最大高さを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項12】
前記付勢部材が、前記ステムに約10N〜約30Nである力を印加するように構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項13】
前記ステムが、前記第1の方向に垂直の第2の方向に沿って対向する第1及び第2の表面を有し、前記ステムが、前記第1の表面からのみ延在する複数の歯を含み、前記付勢部材が、前記第2の表面から外へ延在する、請求項1に記載の骨固定器具。
【請求項14】
前記付勢部材が、前記第2の表面から外へ延在する一対の可撓性指部を含み、前記指部が、互いから離間し、かつ互いに向かって延在する、請求項13に記載の骨固定器具。
【請求項15】
各指部が、前記第2の表面に面する内側表面を画定する、請求項14に記載の骨固定器具。
【請求項16】
前記ステムが、前記第1の方向に沿って互いから離間した複数の歯を含み、前記歯を含む前記ステムの部分が、係止領域を画定し、前記付勢部材が、前記係止領域全体に沿って延在する、請求項14〜15のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項17】
骨固定器具のための係止部材であって、
外側表面、前記外側表面と反対の内側骨接触表面、前記内側骨接触表面と前記外側表面との間に延在する内部表面、及び前記内部表面から延在する少なくとも1つの係止歯を画定する、係止本体と、
前記係止本体によって支持される付勢部材であって、前記内部表面に面する付勢表面を画定する、付勢部材と、
を備え、
前記係止本体が歯付部材を受容するように構成され、i)前記歯付部材が、前記内側表面から前記外側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを可能にするため、及びii)前記歯付部材が、前記外側表面から前記内側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを防止するため、前記付勢表面が前記歯付部材に当接して、それによって前記歯付部材を前記少なくとも1つの係止歯に向かって付勢する、係止部材。
【請求項18】
前記内部表面が、前記内側骨接触表面から前記外側表面に延在するスロットを少なくとも部分的に画定する、請求項17に記載の係止部材。
【請求項19】
前記スロットが、第1及び第2の対向する表面を有するステムを受容するように構成されるステム受容スロットであり、前記ステムが、前記第1の表面からのみ延在する複数の歯を含み、前記付勢部材が、前記ステムが前記スロットを通して挿入されるときに、前記第2の表面に対して力を印加するように構成される、請求項18に記載の係止部材。
【請求項20】
前記付勢表面が、湾曲した当接表面である、請求項17〜19のいずれか一項に記載の係止部材。
【請求項21】
前記付勢部材が、前記当接表面を画定する当接部材によって接合される第1及び第2の湾曲した脚部を含み、前記第1及び第2の脚部が、前記スロットを少なくとも部分的に画定する対向する表面から延在する、請求項20に記載の係止部材。
【請求項22】
前記当接部材が、前記歯付部材に約10N〜約30Nである力を印加するように構成される、請求項17〜21のいずれか一項に記載の係止部材。
【請求項23】
前記係止本体が、屈曲するように構成される複数の可撓性延長部を含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載の係止部材。
【請求項24】
2つの係止歯が、前記内部表面から前記スロット内に延在する、請求項18に記載の係止部材。
【請求項25】
前記係止本体が、約1mm〜約2mmである、前記外側表面から前記内側表面の方向に沿って測定される最大厚さを有する、請求項17〜24のいずれか一項に記載の係止部材。
【請求項26】
前記係止本体が、断面において台形形状を有するスロットを画定し、前記スロットが、前記歯付部材を受容するように構成される、請求項17〜25のいずれか一項に記載の係止部材。
【請求項27】
骨固定器具であって、
第1の端部、及び第1の方向に沿って前記第1の端部から離間した第2の端部を含むステムであって、前記ステムが、ステム本体、及び前記ステム本体から外へ延在し、かつ前記第1の方向に沿って互いから離間した複数の歯を更に含み、前記ステムが、前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿った、前記ステム本体の外部表面から前記複数の歯のうちの少なくとも1つの最も外側の表面までの最大幅を画定する、ステムと、
前記第1の端部に近接する、前記ステムに連結される第1の部材と、
部材本体を含む第2の部材であって、前記第2の部材が、
前記第1の方向に沿って前記部材本体を通って延在するスロットであって、前記部材本体の少なくとも1つの内部表面によって画定される、スロットと、
前記第1の内部表面から前記スロット内に延在する少なくとも1つの歯と、
前記部材本体から前記スロット内に延在する付勢部材であって、前記第2の部材が、前記第2の方向に沿った、前記付勢部材と前記内部表面との間の部材距離を画定し、前記付勢部材が、第1の位置と第2の位置との間で可撓性であり、前記第1の位置にあるとき、前記部材距離が前記最大幅よりも小さくなる、付勢部材と、を備える、第2の部材と、
を備え、
前記ステムが前記付勢部材を前記第1の位置から前記第2の位置に屈曲させて、それによって前記部材距離が前記最大幅と実質的に等しくなるように、前記スロットが、前記ステムを受容するように構成され、前記複数の歯のうちの少なくとも1つを前記少なくとも1つの歯と相互係止するために、前記付勢部材が前記ステムを前記内部表面に向かって付勢する、骨固定器具。
【請求項28】
i)前記第2の部材が前記第1の部材に向かって前記ステムに沿って並進することを可能にするため、及びii)前記第2の部材が前記第1の部材から離れて前記ステムに沿って並進することを防止するため、前記付勢部材が前記ステムを前記内部表面に向かって付勢する、請求項27に記載の骨固定器具。
【請求項29】
前記付勢部材が、前記第1の位置に向かって弾性的に付勢される、請求項28に記載の骨固定器具。
【請求項30】
前記部材本体が、約1mm〜約2mmである、前記第1の方向に沿って測定される最大厚を有する、請求項29に記載の骨固定器具。
【請求項31】
前記付勢部材が、前記ステムに、約10N〜約30Nである力を印加するように構成される、請求項27〜30のいずれか一項に記載の骨固定器具。
【請求項32】
骨固定器具のための係止部材であって、前記係止部材は、
外側表面、前記外側表面と反対の内側骨接触表面、前記内側骨接触表面と前記外側表面との間に延在する内部表面を画定する、係止本体と、
前記係止本体に移動可能に連結される歯付本体であって、前記内部表面に面する係合側、及び前記係合側と反対にある付勢側を有する、歯付本体と、
前記係止本体によって支持される付勢部材であって、前記付勢側に面する付勢表面を画定する、付勢部材と、
を備え、
前記係止本体が歯付部材を受容するように構成され、i)前記歯付部材が、前記内側表面から前記外側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを可能にするため、及びii)前記歯付部材が、前記外側表面から前記内側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを防止するため、前記付勢表面が前記付勢側に当接して、それによって前記歯付本体を前記歯付部材に向かって移動させる、係止部材。
【請求項33】
前記歯付本体が、枢軸で前記係止本体に回転可能に連結され、前記係止本体が前記歯付部材を受容するとき、前記付勢表面が前記付勢側に当接して、それによって前記歯付本体を前記枢軸周囲で回転させる、請求項32に記載の係止部材。
【請求項34】
前記枢軸が前記内側骨接触表面に近接して配設され、前記付勢表面が前記外側表面に近接して前記付勢側と当接する、請求項33に記載の係止部材。
【請求項35】
前記歯付本体が、前記内部表面に向かって前記係合側から延在する少なくとも1つの歯を含む、請求項33に記載の係止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年11月15日に出願された米国仮特許出願第61/726,797号に対する優先権を主張するものであり、その内容は参照によって、その全体が明記されているかのように本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
骨弁又は骨インプラントを患者の頭蓋へ固定するなど、治癒をもたらすために、軟組織を骨に、又は骨と骨とを固定することを必要とする様々な外科手術が存在する。例えば、開頭は、腫瘍及び動脈瘤を含む様々な脳損傷を治療するために行われる外科手術である。開頭手術の一部として、外科医は、頭蓋に開口部を作る。1つの技術は、開口部の周辺を画定するためにいくつかの隣接する穴をあけ、次いで、用具を使用して穴と穴との間を切断することである。外科医は、頭蓋の一部分全体を取り除くことも、脳又は頭部領域にアクセスできるように頭蓋を曲げるのに十分な量を切断することもできる。カットアウト部分は、一般に、骨弁と呼ばれる。他の場合において、欠損している頭蓋の部分に取って代わるインプラントが必要な場合がある。双方の場合において、骨弁又はインプラントは、外科手術の完了後に周辺頭蓋に固着又は固定されなければならない。
【0003】
骨弁又はインプラントを周辺頭蓋に固着させるための既存器具がいくつか存在する。これらの器具のいくつかは、ステムによって接続される外側及び内側のディスクを含み、それによって骨弁(又はインプラント)及び周辺頭蓋が外側ディスクと内側ディスクとの間に挟まれる。典型的には、使用中、外側のディスクは、ステムに沿って内側のディスクに向かって摺動可能であり、かつ、例えば、リベット、摩擦適合、又は更にはラチェット部材などの係止機構により定位置に係止される。これまでラチェット部材はより望ましい係止機構であったが、その使用の結果として、外側のディスクは、周辺組織に炎症を起こさせる傾向、及び/又は、望ましくない外見を患者に及ぼす傾向のある外形を周辺頭蓋に対して有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
隣接する解剖学的構造を互いに対して取り付けるように構成される骨固定器具は、ステム、内側部材、及び外側部材を含み得る。ステムは、第1の方向に沿って細長く、第1の端部及び第1の方向に沿って第1の端部から離間した第2の端部を含み得る。ステムは、複数の歯を更に含み得る。内側部材は、ステムの第1の端部と連結され、第1の外側表面及び第1の内側表面を画定する。第1の内側表面は、隣接する解剖学的構造のそれぞれの内側表面と当接するように構成される。外側部材は、ステムに沿って第2の端部から内側部材に向かって摺動可能である。外側部材は、第2の外側表面及び第2の内側表面を画定し得る。第2の内側表面は、隣接する解剖学的構造のそれぞれの外側表面に当接するように構成される。外側部材は、第2の内側表面から第2の外側表面に延在するステム受容スロットを含み得、ステム受容スロットは、少なくとも1つの歯を含む表面によって、少なくとも部分的に画定され、外側部材は、ステム受容スロット内に延在する付勢部材を更に含み、かつ表面に向かってステムを付勢するように構成され、ステムが挿入方向と反対の方向に沿ってステム受容スロットを通って並進するのを防止するために、ステムが挿入方向に沿ってステム受容スロットを通して挿入されるとき、ステムの歯のうちの少なくとも1つは、外側部材の少なくとも1つの歯に係合する。
【0005】
別の実施形態において、骨固定器具のための係止部材は、外側表面、対向する内側骨接触表面、及び内側骨接触表面から外側表面に延在するスロットを画定する、係止本体を含み得る。係止部材は、スロット内に延在する少なくとも1つの係止歯と、スロット内に延在し、かつ少なくとも1つの係止歯に面する当接表面を画定する付勢部材と、を更に含み得る。スロットは、挿入方向に沿って歯付部材を受容するように構成され得、付勢部材は、少なくとも1つの係止歯に向かって歯付部材を付勢するように構成されることができ、歯付部材が挿入方向と反対の方向に沿ってスロットを通って並進するのを防止するために、歯付部材の少なくとも1つの歯は、係止部材の少なくとも1つの係止歯に係合する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
前述の概要、並びに以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読まれるとより良く理解されるであろう。本開示を例証する目的のため、例示的な実施形態が図面に示される。しかしながら、本願は、開示される特定の実施形態及び方法に限定されず、その目的のためには、特許請求の範囲が参照されることを理解すべきである。図面は以下の通りである。
【
図1A】骨弁を周辺頭蓋部分に取り付ける複数の骨固定器具の透視図である。
【
図1B】骨弁を周辺頭蓋部分に取り付ける
図1Aの骨固定器具のうちの1つの断面図である。
【
図2A】ある実施形態による骨固定器具の斜視図であり、骨固定器具は、歯付ステムと、歯付ステムの遠位端に連結された第1のクランプ部材と、遠位端の反対にある歯付ステムの近位端から第1のクランプ部材に向かって歯付ステムに沿って並進するように構成された第2のクランプ部材と、を有する。
【
図3A】
図2Aに示される歯付ステムの正面図であり、歯付ステムは、ディスク及びディスクから近位に延在するステム本体を有する。
【
図3C】
図3Aに示される歯付ステムの線3C−3Cを貫通する断面図である。
【
図3D】
図3Bに示される歯付ステムの遠位端の拡大側面図である。
【
図4A】
図2Aに示される第1のクランプ部材の斜視図であり、第1のクランプ部材は、第1のクランプ部材が歯付ステムの遠位端に連結され得るように、歯付ステムを受容するように構成された第1のステム受容スロットを画定する。
【
図4B】
図4Aに示される第1のクランプ部材の頂面図である。
【
図4C】
図4Bに示される第1のクランプ部材の線4C−4Cを貫通する断面図である。
【
図5A】
図2Aに示される第2のクランプ部材の底面斜視図であり、第2のクランプ部材は、第2のステム受容スロットを画定し、第2のステム受容スロットを画定する表面から延在する少なくとも1つの歯を含み、また第2のステム受容スロット内に延在し、かつ少なくとも1つの歯に面する当接表面を画定し、歯付部材が第2のステム受容スロットに受容されると、付勢部材が歯付ステムをその少なくとも1つの歯に向かって付勢する、付勢部材を更に含む。
【
図5B】
図5Aに示される第2のクランプ部材の頂面図である。
【
図5C】
図5Bに示される第2のクランプ部材の線5C−5Cを貫通する断面図である。
【
図5D】第1即ち初期の位置における、
図5Bに示される第2のクランプ部材の付勢部材の拡大上面図である。
【
図5E】スロットが歯付ステムを受容した後の第2即ち屈曲された位置における、
図5Dに示される第2のクランプ部材の付勢部材の拡大上面図である。
【
図6A】歯付ステムの一部が第1及び第2の解剖学的組織から突出し、かつその外側にあるように、第1のクランプ部材の内側表面が、第1及び第2の解剖学的組織それぞれの内側表面と、第1及び第2の解剖学的組織の間で画定される間隙を通って延在する歯付ステムと、に近接するように位置付けられる第1のクランプ部材の側面図である。
【
図6B】第1及び第2の解剖学的組織の外側にある歯付ステムの部分上に位置付けられる第2のクランプ部材の側面図である。
【
図6C】第2のクランプ部材の内側表面が第1及び第2の解剖学的組織それぞれの外側表面に近接するように、歯付ステムに沿って位置付けられる第2のクランプ部材の側面図である。
【
図6D】内側及び外側のディスクと、第2のクランプ部材の外側表面に近接する場所で切り取られる歯付ステムと、の間に捕捉される第1及び第2の解剖学的組織の側面図である。
【
図7A】別の実施形態による歯付ステムの前面図である。
【
図7B】
図7Aに示される歯付ステムの線7B−7Bを貫通する断面図であり、歯付ステムは付勢部材を含む。
【
図8A】歯付部材に沿って並進されている、別の実施形態による係止部材の透視断面図であり、係止部材は、歯付本体と、歯付本体を枢軸周囲に付勢するように構成される付勢部材と、を含む。
【
図8B】歯付本体、及び
図8Aに示される係止本体の付勢部材の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明において、特定の専門用語は便宜上のためにのみ使用され、限定的ではない。単語「右」、「左」、「下側」及び「上側」は、参照される図面内での方向を示す。用語「近位に」及び「遠位に」は、それぞれ、外科器具を使用する外科医に向かう、またその外科医から離れる方向を指す。用語「前部」、「後部」、「上位」、「下位」、並びに関連する語及び/又は文節は、参照がなされる人体における好ましい位置及び配向を指定し、限定的であることを意味するものではない。専門用語には、前述で列挙した語、その派生語、及び同様の意味を有する語が含まれる。
【0008】
図1A及び1Bを参照すると、骨固定アセンブリ10は、骨折又は切断などの骨間隙18によって分離される、周辺頭蓋16bなどの第2の解剖学的構造に対するインプラント又は骨弁16aなどの第1の解剖学的構造を取り付ける又は固着するように構成される複数の骨固定器具などの少なくとも1つの骨固定器具14を含む。図示した実施形態において、5つの骨固定器具14は、骨弁16を周辺頭蓋16bに取り付けるために使用される。しかしながら、所望により任意の数の骨固定器具14が使用され得ることが理解されよう。
【0009】
図1B及び2A〜2Cに示されるように、骨固定器具14は、クランプとして実質的に構成され得、長手方向L及び横方向Aに沿って水平に、並びに横断方向Tに沿って垂直に延在する。骨固定器具14は、横断方向Tに沿って細長く、かつ第1即ち遠位のステム端部Dと、横断方向Tに沿って遠位のステム端部Dから離間した第2即ち近位のステム端部Pと、を画定する歯付ステム22として図示される歯付部材20を含む。骨固定器具14は、遠位のステム端部Dから延在するか又はそれに連結される内側即ち第1のクランプ部材26と、歯付ステム22に沿って近位のステム端部Pから第1のクランプ部材26に向かって摺動可能な外側即ち第2のクランプ部材30と、を更に含み得る。第1及び第2のクランプ部材26及び30は、第1及び第2の固定部材と言うことができることが理解されよう。
【0010】
長手方向及び横方向は、水平に延在していると説明されているが、横断方向は、垂直に延在していると説明され、使用中、その方向が延在する平面は変化し得ることが理解されよう。例えば、使用中、横方向は垂直に延在する場合があり、長手方向及び横断方向は水平に延在する場合がある。したがって、方向を表すそれらの用語は、あくまで説明を目的とするものであって、限定することを意味するものではない。更に、横断方向T、長手方向L、及び横方向Aは、第1、第2、及び第3の方向と呼ばれ得る。
【0011】
図1Bに示されるように、各骨固定器具14は、第1のクランプ部材26が骨弁16a及び周辺頭蓋16bそれぞれの内側表面40a及び40bに近接するように、配置され得る。位置付けの際、歯付ステム22は、骨間隙18を通って延在し、骨間隙18から突出し、その結果、歯付ステム22の一部は周辺頭蓋16bの外側にある。第2のクランプ部材30は、次いで、歯付ステム22の近位のステム端部Pの上に位置付けられ、歯付ステム22に沿って第1のクランプ部材26に向かって並進され得る。第2のクランプ部材30は、第2のクランプ部材30が骨弁16a及び周辺頭蓋16bそれぞれの外側表面44a及び44bに当接するまで並進されることになり、その結果、骨弁16a及び周辺頭蓋16bは、第1及び第2のクランプ部材26及び30の間に挟まれる。しかしながら、骨固定器具14は、骨弁16を周辺頭蓋16bに対して取り付けるように図示されているが、骨固定器具14は、例えば、胸骨など、所望により任意の解剖学的構造を貼り付ける、又は固着させることができることが理解されよう。
【0012】
歯付ステム22、第1のクランプ部材26、及び第2のクランプ部材30を含む骨固定器具14は、PEEK又はPEKKなどの生体適合性材料から作製され得る。骨固定器具14は、図示されるように、3つの別個の構成部品として成形され得る。そのような場合、歯付ステム22及び第1のクランプ部材26は、メーカーによって、あるいは医師又は医師の助手によって、使用前にともに連結され得る。しかしながら、骨固定器具14は2つの構成部品として成形され得、それによって歯付ステム22及び第1のクランプ部材26は、後に第2のクランプ部材30に連結される単一のモノリシック構成部品として成形されることが理解されよう。更に、骨固定器具14、又は歯付ステム22、第1のクランプ部材26、及び第2のクランプ部材30のうちの少なくとも1つは、例えば金属などの、PEEK又はPEKK以外の材料から作製され得ることが理解されよう。
【0013】
ここで
図3A〜3Dを参照すると、歯付ステム22は、歯付ステム22の長さの一部(例えば、ステム22の長さのおよそ2分の1)に沿って近位のステム端部Pから遠位のステム端部Dに向かって延在する少なくとも第1の開始領域54と、第1の開始領域54と遠位のステム端部Dとの間に延在する第2の係止領域58と、に分かれるステム本体50を含み得る。図示した実施形態によると、第2の係止領域58は、第1の開始領域54から、遠位のステムDから離間した場所に延在する。ステム本体50は、横方向Aに沿って互いから離間した、対向する第1及び第2の表面50a及び50bを画定する。示されているように、第1及び第2の表面50a及び50bは、一対の側面51a及び51bによってともに結合される。示されているように、第1及び第2の表面50a及び50bは、側面51a及び51bよりも広い。しかしながら、第1及び第2の表面50a及び50bは、所望により、側面51a及び51bよりも狭くてもよいことが理解されよう。
【0014】
図3A及び3Bに示されるように、歯付ステム22の第1の開始領域54は、ステム本体50の第1の表面50aから外へ延在し、かつ隣接する突出部60間に配設される引っ込み領域64と交互にある複数の小さな突出部60を含み得る。第1の開始領域54は、突出部60に近位であるテーパ状端部68を更に含み得る。テーパ状端部68には、突出部60が実質的になくてもよく、テーパ状端部にある対向する側面51a及び51bは、近位のステム端部Pに向かって近位に延在するにつれて、互いに向かって収束し得る。しかしながら、第1の開始領域54は、所望により、突出部60が完全になくてもよく、また所望により、テーパ状端部68がなくてもよいことが理解されよう。
【0015】
図3Aに示されるように、歯付ステム22の第2の係止領域58は、突出部60の距離よりも長い距離でステム本体50aの第1の表面50aから外へ延在し、かつ隣接する係止歯76の間に配設される引っ込み領域78によって分離される、複数の係止歯76を含み得る。係止領域58は、図示した実施形態において、ステム本体の遠位部分に沿って延在するが、係止領域58は、所望により、最大でステム本体50全体までの任意の部分に沿って延在できることが理解されよう。
【0016】
図3A〜3Dに示されるように、係止歯76は、ステム本体50から第1の表面50aのみに沿って延在し、かつ横断方向Tに沿って互いから離間している。各係止歯76は、長手方向に沿って細長く、かつ横断方向Tに沿って隣接する歯から離間している。各歯76は、面取りされた前縁即ち近位縁80、及び後縁即ち遠位縁84を画定する。前縁80は、前縁80が第2のクランプ部材30の相補的な係止歯の相補的な面取りされた前縁の上でカム作用するように構成されるように、第1の表面50aから斜めに延在する。後縁84は、後縁84が第2のクランプ部材30の係止歯の相補的な後縁に係合するように構成されるように、横方向に沿って第1の表面50aから延在し、第1の表面50aに実質的に垂直である。しかしながら、係止歯76は、所望により他の構成を有し得ることが理解されよう。例えば、後縁84は、後縁84が第2のクランプ部材30の係止歯の相補的な後縁と係合することができる限りは、第1の表面50aから斜めに延在してもよい。更には、突出部60及び係止歯76は、第1及び第2の表面50a及び50bの両方から、あるいは側面51a及び51bのうちの少なくとも1つから、延在できることが理解されよう。
【0017】
図3Cに示されるように、ステム本体50は、断面において台形形状を有し得る。例えば、図示した実施形態において、第1の表面50aは、第2の表面50bの長手寸法d
2よりも小さい長手寸法d
1を有し得る。この台形形状が、骨固定器具14の組み立て中に使用者を補助する。即ち、第2のクランプ部材30は、ステム本体50の台形形状に対応するステム受容スロットを含む。したがって、第2のクランプ部材30のステム受容スロットは、ステム本体が正しい向きにあるときのみ、ステム本体50を受容することができる。そのような構成は、第2のクランプ部材30が歯付ステム22と適切に組み立てられることを確実にする。しかしながら、ステム本体50は、所望により、任意の構成を有し得ることが理解されよう。例えば、ステム本体は、断面において矩形形状を有し得る。
【0018】
図3Dに示されるように、歯付ステム22は、第1の方向と実質的に垂直である第2の方向に沿って、ステム本体50の外部表面、例えば第2の表面50bから複数の歯76のうちの少なくとも1つの最も外側の表面までの最大距離d
Mを画定し得る。最大距離d
Mは、第2のクランプ部材30によって画定されるスロットによって受容されるように構成される歯76において測定されるべきであることが理解されよう。更に、最大距離d
Mは、所望により任意の距離であり得ることが理解されよう。
【0019】
引き続き
図3A〜3Dを参照すると、歯付ステム22は、ディスクとして図示され、かつ遠位のステム端部Dから延在する、第1の連結部材90と、ステム本体50から延在する少なくとも1つの第2の連結部材94と、を、遠位のステム端部Dから近位に離間した場所に更に含み得る。図示した実施形態において、歯付ステム22は、それぞれがステム本体50の第1及び第2の表面50a及び50bのそれぞれから延在する2つの第2の連結部材94を含む。第1及び第2の連結部材90及び94は、第1のクランプ部材26の一部と嵌合することによって、第1のクランプ部材26を歯付ステム22の遠位のステム端部Dに連結するように構成される。
図3Dに示されるように、第1の連結部材90は、第1の捕捉表面98を画定し、第2の連結部材94はそれぞれ、第1の捕捉表面98に面する対応する第2の捕捉表面102を画定する。第1及び第2の捕捉表面98及び102は、ぞれぞれの間隙106が各第2の捕捉表面102と第1の捕捉表面98との間で画定されるように、横断方向Tに沿って互いから離間している。間隙106は、第1のクランプ部材26の一部を受容し、それによって第1のクランプ部材26を捕捉する又はそれを歯付ステム22に連結するように構成される。しかしながら、第1の連結部材90はディスクとして図示されているが、第1の連結部材90は、任意の所望の構成を有し得ることが理解されよう。例えば、第1の連結部材90は、ブロック形状であり得る。更に、第2の連結部材94は、所望により側面51a及び51bから延在し得ることが理解されよう。
【0020】
ここで
図4A〜4Cを参照すると、第1のクランプ部材26は、歯付ステム22の遠位のステム端部Dに堅く連結されるように構成される。第1のクランプ部材26は、上から見たときに形状が実質的に円筒の第1のクランプ又は係止本体110を含み、内側即ち骨接触表面114と、横断方向Tに沿って内側表面114と反対の外側表面118と、を画定する。
図4Cに示されるように、内側表面114が第1及び第2の解剖学的構造16a及び16bの内側表面40a及び40bに接触すると第1の本体110が屈曲するように、内側表面114は凹面であり、外側表面118は凸面である。しかしながら、第1の本体110は、所望により、任意の構成を有し得ることが理解されよう。例えば、所望により、第1の本体110は、矩形形状であり得、並びに/又は内側及び外側表面114及び118は、実質的に平坦であり得る。
図2Aに戻って参照すると、第1のクランプ部材26は、歯付ステム22の遠位のステム端部Dに連結されるように構成される。使用時に、第1のクランプ部材26は、内側表面114が第1及び第2の解剖学的構造16a及び16bの内側表面40a及び40bに近接するように位置付けられるように構成される。第1のクランプ部材26がクランプ位置に移動されると、内側表面114は、解剖学的構造16a及び16bの内側表面40a及び40bに接触又は当接し、第1の本体110は、外向きに屈曲する。
【0021】
図4B及び4Cに示されるように、第1のクランプ部材26は、横断方向Tに沿って内側表面114から外側表面118まで第1の本体110を通って延在する第1のステム受容スロット122を更に画定する。第1のステム受容スロット122は、挿入方向Iに沿ってステム本体50を受容するように形作られ、内側表面114は近位のステム端部Pに面する。図示した実施形態において、第1のステム受容スロット122は、断面において矩形形状であるが、ステム受容スロット122は、所望により、任意の構成を有し得ることが理解されよう。例えば、第1のステム受容スロット122は、所望により、断面において台形形状であってよい。
【0022】
図4Cに示されるように、第1の本体110は、外側表面118内に内側表面114に向かって延在する凹部130を更に画定する。凹部130は、一対のスナップ部材134が画定されるように、第1の本体110内に延在するが、貫通はしない。示されているように、スナップ部材134は、ステム受容スロット122がスナップ部材134によって少なくとも部分的に画定されるように、横方向Aに沿って互いから離間している。したがって、ステム受容スロット122は、第1の本体110を通って内側表面114から凹部130内に延在する。
【0023】
凹部130は、歯付ステム22の第1の連結部材90を受容するようにサイズ決定及び成形され、そのため、第1の連結部材90が凹部130によって受容されると、第1の連結部材90は外側表面118と実質的に同一平面になる。図示した実施形態において、凹部は、第1の連結部材90のディスク形状に対応するように形状が円筒である。しかしながら、凹部130は、所望により任意の形状を有し得、第1の連結部材90は、所望により外側表面118の上に突出又は外側表面118に対して引っ込んでいてもよいことが理解されよう。
【0024】
引き続き
図4Cを参照すると、スナップ部材134は、第1のクランプ部材26が歯付ステム22に連結されると、歯付ステム22の間隙106によって受容されるように構成される。
図4Cに示されるように、スナップ部材134はそれぞれ、歯付ステム22の間隙106の横の高さH
2と実質的に等しい横の高さH
1を有する。したがって、スナップ部材134が間隙106によって受容されると、第1のクランプ部材26は、歯付ステム22の遠位のステム端部Dに堅く連結される。
【0025】
第1のクランプ部材26を歯付ステム22に連結するために、歯付ステム22の近位のステム端部Pは、外側表面118から内側表面114に向かう方向に沿って第1のステム受容スロット122に挿入されることができ、その結果、第1のクランプ部材26は、ステム本体50に沿って第1の連結部材90に向かって摺動する。第1のクランプ部材26は、第1の連結部材90が凹部130によって受容され、かつスナップ部材134が間隙106との係合にスナップするまで、第1の連結部材90に向かって移動される。スナップ部材134が間隙106に係合し、第1の連結部材90及び第2の連結部材94の第1及び第2の捕捉表面98及び102の間にそれぞれ捕捉されると、第1のクランプ部材26は、歯付ステム22の遠位のステム端部Dに堅く連結される。第1のクランプ部材26及び歯付ステム22は、第1の係止部材をともに画定することができる。第1のクランプ部材26及び歯付ステム22は、所望により任意の方法又は構造を使用して、ともに堅く連結され得ることが理解されよう。例えば、第1のクランプ部材26及び歯付ステムは、例えば超音波溶接を使用して、ともに溶接されてもよい。
【0026】
ここで
図5A〜5Eを参照すると、第2のクランプ部材30は、ステム本体50に沿って近位のステム端部Pから第1のクランプ部材26に向かって摺動可能であるように構成される。第2のクランプ部材30は、上から見たときに形状が実質的に円筒の第2のクランプ又は係止本体210を含み、内側即ち骨接触表面214と、横断方向Tに沿って内側表面214と反対の外側表面218と、を画定する。
図5A及び5Bに示されるように、第2の本体210は、中枢核220及びその核220から外へ径方向に延在する複数の可撓性延長部222を含む。各可撓性延長部222は、径方向のスロット224によって、隣接する可撓性延長部222から分離される。
図5Cに示されるように、核220及び可撓性延長部222の外側表面を含む外側表面218は、実質的に凸状であり得る。
【0027】
各可撓性延長部222は、それぞれのヒンジ226によって核220に連結される。内側表面214を第1及び第2の解剖学的構造16a及び16bの外側表面44a及び44bに接触させると、可撓性延長部222は、それぞれのヒンジ226周囲で外向きに屈曲する。図示した実施形態において、各可撓性延長部222は、形状が台形であるが、可撓性延長部222は、所望により任意の形状を有することができることが理解されよう。更に、第2の本体210は、所望により任意の構成を有してもよいことが理解されよう。例えば、第2の本体210は、矩形形状であり得、並びに/又は内側及び外側表面214及び218は、実質的に平坦であってよい。
【0028】
図5A〜5Dに示されるように、第2のクランプ部材30は、横断方向Tに沿って内側表面214から外側表面218まで第2の本体210を通って延在する第2のステム受容スロット232を更に画定する。第2のステム受容スロット232は、挿入方向Iに沿ってステム本体50を受容するように形作られ、その結果、第2のクランプ部材30がステム本体50に沿って近位のステム端部Pから第1のクランプ部材26に向かって摺動されているとき、内側表面214は遠位のステム端部P又は第1のクランプ部材26に面する。第2のステム受容スロット232は、歯付ステム22の近位のステム端部Pを受容するように構成され、そのため、ステム本体50は、一方方向に挿入方向Iに沿って第2のステム受容スロット232を通って並進するように構成される。したがって、ステム本体50は、第2のステム受容スロット232を通って挿入方向Iに沿って並進し得るが、挿入方向と反対の方向に沿っては並進することができない。
【0029】
断面において、第2のステム受容スロット232は、形状が台形であり、ステム本体50の台形形状に対応する。したがって、第2のステム受容スロット232は、ステム本体50が正しい向きにあるときのみ、ステム本体50を受容することができる。しかしながら、第2のステム受容スロット232は、所望により任意の構成を有し得ることが理解されよう。例えば、第2のステム受容スロット232は、第1のクランプ部材26の第1のステム受容スロット122の断面と同様に、断面において矩形形状であり得る。
【0030】
図5C及び5Dに示されるように、第2のステム受容スロット232は、内側表面214から外側表面218に延在する内部又はスロット表面240によって部分的に画定され、第2のクランプ部材30は、内部表面240から第2のステム受容スロット232内に延在する2つの係止歯244などの、少なくとも1つの係止歯244を含む。したがって、少なくとも1つの係止歯244は、第2のステム受容スロット232を少なくとも部分的に画定すると言える。各係止歯244は、ステム本体50が挿入方向Iに沿って第2のステム受容スロット232を通って並進するとき、係止歯76の相補的な面取りされた前縁80の上でカム作用するように構成される面取りされた前縁250を画定する。各係止歯244は、面取りされた前縁250よりも小さく勾配した後縁254を更に画定し、後縁254が係止歯76の後縁84に係合して、ステム本体50が挿入方向Iと反対の方向に第2のステム受容スロット232を通って並進するのを防止する。
【0031】
図5Cを参照すると、固定器具14は、歯付係止ステム22を係止歯76に向かって付勢する付勢部材260を含み得る。図示した実施形態において、第2のクランプ部材30は付勢部材260を含み、付勢部材260は、第2のステム受容スロット232内に延在し、かつスロット表面240に面する。特に、付勢部材260は、第2のクランプ部材30の少なくとも1つの係止歯244に対向し、かつそれに面する湾曲した付勢又は当接表面264を画定する。
図5Cに示されるように、付勢部材260は、当接部材272によって接合される第1及び第2の脚部268を含む。第1及び第2の脚部268は、第2のステム受容スロット232を少なくとも部分的に画定する対向するスロット表面276から延在する。スロット表面276は、スロット表面240の反対端から延在し、かつ長手方向Lにおいて互いに向き合う。各脚部268は、スロット表面240と実質的に平行である直線区分280、及びスロット表面240に向かって湾曲する湾曲区分284を含む。湾曲区分284は当接部材272において接合され、当接部材272は当接表面264を画定する。
図5Cに示されるように、当接表面264は、少なくとも1つの係止歯244に対向し、かつそれに面する。しかしながら、付勢部材260は、所望により任意の構成を有してよいことが理解されよう。
【0032】
図5D及び5Eに示されるように、付勢部材260は、第1即ち初期の位置と第2即ち屈曲された位置との間で可撓性である。付勢部材260は、内部表面240の可撓性よりも大きい可撓性を有する。第1の位置において、第2のクランプ部材30は、歯付ステム22の最大距離d
Mよりも小さい、横方向Aに沿って付勢部材260と内部表面240との間で測定される部材距離d
bを画定する。スロット232が歯付ステム22を受容すると、付勢部材260は第2の位置に屈曲し、それによって部材距離d
bは、最大距離d
Mと実質的に等しくなる。その結果、付勢部材260は、複数の歯76のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの歯244と相互係止するために、歯付ステム22を内部表面240に向かって付勢する。
【0033】
引き続き
図5D及び5Eを参照すると、付勢部材260が第1の位置にあるとき、当接表面264から、横方向Aに沿って測定されるスロット表面240まで測定される部材距離d
bは、横方向Aに沿って測定されるステム本体50の最大距離d
Mより小さいとも言える。したがって、ステム本体50が第2のステム受容スロット232を通して挿入されると、付勢部材260は、第2の位置に屈曲し、それによって部材距離d
bが広がり、ステム本体50は第2のステム受容スロット232を通ることができる。その結果、付勢部材260は、ステム本体50の第2の表面50bを付勢する、又はそれに対して力Fを印加し、それによってステム本体50をスロット表面240に向かって押し進める。付勢部材260は、約05N〜約100N、特に約10N〜約30Nである付勢力Fを印加するように構成され得る。図示した実施形態において、付勢部材260は、約30Nの付勢力Fを印加する。しかしながら、付勢部材260は、所望により任意の付勢力Fを印加するように構成され得ることが理解されよう。
【0034】
図5Cに示されるように、第2のクランプ部材30は、2つの係止歯244のみを有するように構成され、したがって、3つ以上の係止歯を有する係止部材と比較してより薄い外形を有し得る。特に、第2のクランプ部材30は、約1.0mm〜約2.0mmである、横断方向Tに沿って測定される高さH
3を有するように構成される。例えば、図示した実施形態において、第2のクランプ部材30は、約1.25mmである高さH
3を有する。しかしながら、第2のクランプ部材30は、所望により任意の高さH
3を有し得ることが理解されよう。
【0035】
第2のクランプ部材30は、近位のステム端部Pの上に位置付けられるように構成され、近位のステム端部Pは挿入方向Iに沿って内側表面214から外側表面218に第2のステム受容スロット232を通して挿入される。第2のクランプ部材30は、次いで、ステム本体50に沿って第1のクランプ部材26に向かって摺動され得る。第2のクランプ部材30は、第2のクランプ部材30が第1及び第2の解剖学的構造16a及び16bの外側表面44a及び44bに当接するか又は接触するまで、ステム本体に沿って摺動され得る。第2のクランプ部材30がステム本体50に沿って摺動すると、歯付ステム22の係止歯76は、第2のクランプ部材30の係止歯244に係合する。係止歯244と係止歯76との係合は、第2のクランプ部材30が第1のクランプ部材から離れてステム本体50に沿って移動するのを防止する。このように、第2のクランプ部材30は、第2の係止部材とも呼ぶことができる。
【0036】
第2の係止部材又は第2の係止部材の特徴のうちの少なくともいくつかは、他の骨固定器具に組み込まれ得ることが理解されよう。例えば、第2の係止部材は、第1及び第2の骨の構造体の周辺でループに形成されるように構成される可撓性ストラップを有する胸骨タイなどの骨固定部材に組み込むことができる。そのような実施形態において、第2の係止部材のスロットは、可撓性ストラップを受容するように構成され得、可撓性ストラップの係止歯を第2の係止部材の係止歯に係合させるために、付勢部材は可撓性ストラップに対して力を印加する。例えば、第2の係止ヘッドは、その開示が参照によって本明細書内に組み込まれる2012年3月28に出願された米国仮特許出願第61/616,555号に開示される係止部材のうちのいずれか1つに組み込むことができる。
【0037】
図6A〜6Dを参照すると、稼動時に、第1の係止部材は、第1のクランプ部材26が第1及び第2の解剖学的構造16a及び16bの内側表面40a及び40bに近接し、かつ歯付ステム22が骨間隙18を通って延在して、歯付ステム22の一部が解剖学的構造16a及び16bの外側にあるように、位置付けされ得る。第1の係止部材が所定の場所に置かれると、第2の係止部材(即ち、第2のクランプ部材30)は、ステム本体50が挿入方向Iに沿って第2のステム受容スロット232を通して挿入されて、付勢部材260がステム本体50を係止歯244に向かって付勢するように、位置付けされ得る。第2のクランプ部材30は、次いで、ステム本体50に沿って第1のクランプ部材26に向かって摺動、又は並進され得、歯付ステム22の少なくとも1つの歯は第2のクランプ部材30のうちの少なくとも1つ244に係合し、それによって第2のクランプ部材が第1のクランプ部材26から離れて歯付ステム22に沿って並進するのを防ぐ。
図6Cに示されるように、第2のクランプ部材30は、第1及び第2のクランプ部材26及び30が第1及び第2の解剖学的構造16a及び16bの内側表面40a及び40b並びに外側表面44a及び44bにそれぞれ当接するまでステム本体50に沿って摺動することができ、第1及び第2の解剖学的構造は、第1及び第2のクランプ部材26及び30の間に挟まれるか、又は捕捉される。このプロセスは、所望により何回でも繰り返され得る。したがって、第1の解剖学的構造16aは、1つの骨固定器具14又は所望により任意の数の骨固定器具14を使用して、第2の解剖学的構造16bに対して取り付けられ得る。
【0038】
別の実施形態では、
図7A及び7Bを参照すると、固定器具14は、付勢部材が歯付ステム322から延在するように構成され得る。そのような実施形態において、付勢部材は、スロット表面240と反対の第2のスロット表面に押しつけ、それによって歯付ステムの係止歯を係止歯244に向かって付勢する。
図7Aを参照すると、歯付ステム322は、歯付ステム322の長さの一部(例えば、ステム22の長さのおよそ2分の1)に沿って近位のステム端部Pから遠位のステム端部Dに向かって延在する少なくとも第1の開始領域354と、第1の開始領域354と遠位のステム端部Dとの間に延在する第2の係止領域358と、に分かれるステム本体350を含み得る。図示する実施形態によると、第2の係止領域358は、第1の開始領域354から、遠位のステムDから離間した場所に延在する。ステム本体350は、横方向Aに沿って互いから離間した、対向する第1及び第2の表面350a及び350bを画定する。示されているように、第1及び第2の表面350a及び351bは、一対の側面351a及び350bによって互いに結合されている。示されているように、第1及び第2の表面350a及び350bは、側面351a及び351bよりも広い。しかしながら、第1及び第2の表面350a及び350bは、所望により、側面351a及び351bよりも狭くてもよいことが理解されよう。
【0039】
図7A及び7Bに示されるように、歯付ステム322の係止領域358は、突出部378よりも長い距離でステム本体350の表面350aから外へ延在し、かつ隣接する係止歯376の間に配設される引っ込み領域378によって分離される、複数の係止歯376を含み得る。係止領域358は、所望により、最大でステム本体350全体まで任意の部分に沿って延在し得ることが理解されよう。
【0040】
係止歯376は、第1の表面350aのみに沿ってステム本体350から延在し、かつ横断方向Tに沿って互いから離間している。各係止歯376は、長手方向に沿って細長く、かつ横断方向Tに沿って隣接する歯から離間している。各歯376は、係止歯76と類似しており、面取りされた前縁即ち近位の縁及び後縁即ち遠位の縁を画定する。前縁は、前縁が第2のクランプ部材30の相補的な係止歯の相補的な面取りされた前縁の上でカム作用するように構成されるように、第1の表面350aから斜めに延在する。後縁は、後縁が第2のクランプ部材30の係止歯の相補的な後縁に係合するように構成されるように、横方向に沿って第1の表面350aから延在し、第1の表面350aと実質的に垂直である。しかしながら、係止歯376は、所望により他の構成を有し得ることが理解されよう。
【0041】
図7Bに示されるように、骨固定器具は、第2の表面350bから延在する付勢部材380を含み得る。付勢部材380は、第2の表面350bから外へ延在する一対の可撓性指部384など、少なくとも1つを含み、指部384は長手方向に沿って互いに離間している。各指部384は、他方に向かって少なくとも部分的に延在し、各指部384の内側表面392は第2の表面350bに面し、かつそれから離間している。指部384は、ステム本体350の第2の係止領域358全体など、少なくとも一部に沿って延在する。したがって、ステム本体350が挿入方向Iに沿って第2のステム受容スロット232を通って並進しているとき、付勢部材380は、ステム本体350を係止歯244に向かって付勢する。
【0042】
ここで
図8A及び8Bを参照すると、クランプ部材は、係止本体414と、係止本体414に回動可能に連結される歯付本体420として構成される2つの歯418などの少なくとも1つの歯と、係止本体414から延在し、かつ歯付本体420を付勢するように構成される付勢部材422と、を含むように構成される係止部材410であり得る。付勢部材260と同様に、付勢部材422は、歯付本体420と別個であり、したがって係止歯がない。付勢部材422は、歯付本体420に付勢力を印加するように構成され、歯付本体420を歯付部材に向かって回転、若しくは旋回させる。
【0043】
図8Aに示されるように、係止部材410は、第2のクランプ部材30に類似しており、特に明記しない限り類似の構造を含む。例えば、係止部材410は、ステム本体50に沿って近位のステム端部Pから第1のクランプ部材などの遠位端Dに向かって摺動可能であるように構成される。係止本体414は、上から見たときに実質的に円筒形であり、内側即ち骨接触表面428と、横断方向Tに沿って内側表面428と反対の外側表面432と、を画定する。
【0044】
図8A及び8Bに示されるように、係止部材410は、横断方向Tに沿って内側表面428から外側表面432に係止本体414を通って延在する第2のステム受容スロット440を更に画定する。第2のステム受容スロット440は、挿入方向Iに沿ってステム本体50を受容するように成形され、係止部材410がステム本体50に沿って近位のステム端部Pから第1のクランプ部材に向かって摺動されると、内側表面428は遠位のステム端部P又は第1のクランプ部材に面する。第2のステム受容スロット440は、歯付ステム22の近位のステム端部Pを受容するように構成され、ステム本体50は、挿入方向Iに沿って一方向に第2のステム受容スロット440を通って並進するように構成される。したがって、ステム本体50は、第2のステム受容スロット440を通って挿入方向Iに沿って並進することができるが、挿入方向と反対の方向に沿っては並進できない。
【0045】
図8Bに示されるように、第2のステム受容スロット440は、内側表面428から外側表面432に延在する第1のスロット又は内部表面444と、第1の内部表面444に対向する第2の内部表面448と、互いに対向し、かつ第1の内部表面444から第2の内部表面448に延在する一対の側面452と、によって部分的に画定される。係止本体414は、側面452のうちの少なくとも1つ及び第2の内部表面448から第1の内部表面444に向かって延在するプラットホーム454を更に含む。
【0046】
歯付本体420は、側面452のうちの少なくとも1つに可動式に連結される。図示した実施形態において、歯付本体420は、枢軸456で側面452のうちの少なくとも1つに回動可能に連結される。歯付本体420は、係合側460及び対向する付勢側464を画定する。係合側460は、係止歯418が第1の内部表面444に面するように、係止歯418を画定する。各係止歯418は、ステム本体50が挿入方向Iに沿って第2のステム受容スロット440を通って並進するとき、係止歯76の相補的な面取りされた前縁80の上でカム作用するように構成される面取りされた前縁470を画定する。各係止歯418は、後縁474が係止歯76の後縁84に係合して、ステム本体50が挿入方向Iと反対の方向に沿って第2のステム受容スロット440を通って並進するのを防止するように、面取りされた前縁470よりも小さく勾配した後縁474を更に画定する。
【0047】
付勢部材422は、付勢部材422が第2の内部表面448から離間しているように、プラットホーム454から上に延在する。付勢部材422は、歯付本体420の付勢側464に当接する付勢表面486を画定し、歯付本体420を第1の内部表面444に向かって付勢する。示されているように、付勢表面486は、挿入方向Iに沿って枢軸456から離間している。図示した実施形態において、枢軸456は、内側骨接触表面428に近接して配設され、付勢表面486は、外側表面432に近接する付勢側464に当接する。しかしながら、枢軸456及び付勢表面486は、挿入方向Iに沿ってスロット440内のいずれの場所にも配設され得ることが理解されよう。例えば、枢軸456は、外側表面432に近接して配設され得、付勢表面は、内側表面428に近接して配設され得る。ステム本体50がスロット440を通って並進するとき、ステム本体50は、付勢部材422によって内部表面444に対して付勢される。
【0048】
図8Bに示されるように、付勢部材422は、第1即ち初期の位置と第2即ち屈曲した位置との間で可撓性である。付勢部材422は、内部表面444の可撓性よりも大きい可撓性を有する。第1の位置にあるとき、係止部材410は、横方向Aに沿って付勢部材422と内部表面444との間で測定される部材距離d
b2を画定する。スロット440がステム本体50を受容するとき、付勢部材422は、第2の位置に屈曲し、それによって部材距離d
b2が増大する。その結果、付勢部材422は、歯付ステム22を内部表面444に向かって付勢し、複数の歯76のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの歯418と相互係止する。
【0049】
例えば、ステム本体50が第2のステム受容スロット440を通して挿入されると、付勢部材422は第2の位置に屈曲し、それによって部材距離d
bが広がり、ステム本体50が第2のステム受容スロット440を通ることができる。付勢部材422は、その結果、歯付本体420の付勢側464に対して、付勢するか、又は力Fを印加して、歯付本体420を枢軸456周囲で回転させ、ステム本体50をスロット表面444に向かって押し進める。少なくとも1つの歯418とステム本体50の歯76との係合は、ステム本体50が挿入方向Iと反対の方向に沿ってスロット440を通って並進するのを防止する。係止部材410は、いかなる歯付部材も受容するように構成されることができ、ステム本体50に限らないことが理解されよう。
【0050】
骨固定アセンブリ10は、任意の数の骨固定器具14を含み得る。更に、骨固定アセンブリ10は、骨固定器具14によって周辺頭蓋16bに取り付けられるインプラントを含み得る。したがって、骨固定アセンブリ10は、インプラント及び複数の骨固定器具14を含むキットであり得る。更に、骨固定器具14は、記載されるいずれの係止部材及び歯付部材も含み得る。
【0051】
前述した説明及び図面は、本発明の好ましい実施形態を表すが、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々な追加、修正、組み合わせ及び/又は置き換えを行うことができることが理解されよう。特に、本発明が、他の特定の形態、構造、配置、比率で、また他の要素、材料、及び構成要素を用いて、その趣旨又は本質的な特性から逸脱することなく具現化され得ることが、当業者には明らかとなるであろう。当業者は、本発明が、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境及び実施条件に特に適合される構造、配置、比率、材料、及び構成要素の多くの修正とともに使用され得ることを認識するであろう。加えて、本明細書において記述されている特徴は、単独で、又は他の特徴と組み合わせて使用することができる。例えば、一実施形態とのつながりにおいて説明した特徴は、別の実施形態において説明した特徴とともに使用する及び/又はそれと交換することが可能である。したがって、今般開示される実施形態は、あらゆる点において、限定的なものではなく、例示的なものであると見なされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されることはない。
【0052】
添付の特許請求の広義の範囲を逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更をなし得る点は、当業者により認識されるであろう。これらの幾つかが上述されており、他のものは当業者には明らかとなるであろう。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 骨固定器具であって、
第1の方向に沿って細長く、第1の端部及び前記第1の方向に沿って前記第1の端部から離間した第2の端部を含むステムであって、少なくとも1つの第1の歯を更に含む、ステムと、
前記第1の方向に沿った前記ステムに対する並進に対して、前記ステムの前記第1の端部に固定される第1の固定部材と、
内側表面及び前記内側表面と反対の外側表面を画定する本体を含む第2の固定部材であって、前記第2の固定部材は、前記内側表面から前記外側表面まで前記本体を通って延在するスロットを少なくとも部分的に画定する内部表面を含み、前記スロットは、前記第2の固定部材が前記第1の方向に沿った前記ステムに沿って摺動可能であるように、前記ステムを受容するようにサイズ決定され、前記第2の固定部材は、前記内部表面から延在する少なくとも1つの第2の歯を更に含む、第2の固定部材と、
前記内部表面の可撓性よりも大きい可撓性を有する付勢部材であって、前記付勢部材は、i)前記第2の固定部材が前記第1の固定部材に向かって前記ステムに沿って並進するとき、前記少なくとも1つの第2の歯が前記少なくとも1つの第1の歯に沿って摺動することを可能にするため、及びii)前記第2の固定部材が前記第1の固定部材から離れて前記ステムに沿って並進することを防止するために、前記少なくとも1つの第2の歯を前記少なくとも1つの第1の歯と相互係止させるため、前記少なくとも1つの第1の歯が前記少なくとも1つの第2の歯に係合するように、前記ステムが前記スロットを通って延在するとき、前記ステムを前記少なくとも1つの歯に向かって付勢するように構成される、付勢部材と、
を備える、骨固定器具。
(2) 前記付勢部材が、前記本体から前記スロット内に延在し、かつ前記少なくとも1つの歯に面する、実施態様1に記載の骨固定器具。
(3) 前記付勢部材が、前記第2の固定部材の前記少なくとも1つの歯に面する湾曲した当接表面を画定する、実施態様2に記載の骨固定器具。
(4) 前記付勢部材が、前記当接表面を画定する当接部材によって接合される第1及び第2の湾曲した脚部を含み、前記第1及び第2の脚部が、前記スロットを少なくとも部分的に画定する対向する表面から延在する、実施態様3に記載の骨固定器具。
(5) 前記当接部材が、前記第1及び第2の脚部の厚さよりも大きい、前記第1の方向に垂直の方向に沿って測定される厚さを有する、実施態様4に記載の骨固定器具。
【0054】
(6) 前記ステムが、前記第1の方向に垂直の第2の方向に沿って対向する第1及び第2の表面を有し、前記ステムが、前記第1の表面からのみ延在する複数の歯を含み、前記付勢部材が、前記ステムが前記第1の方向に沿って前記スロットを通して挿入されるとき、前記第2の表面に対して力を印加するように構成される、実施態様2〜5のいずれかに記載の骨固定器具。
(7) 前記ステムが、前記第1の端部における第1の連結部材、及び前記第1の連結部材から離間した場所において前記第1及び第2の表面からそれぞれ延在する一対の第2の連結部材を更に含み、第1及び第2の間隙が前記第1の連結部材と前記第2の連結部材との間でそれぞれ画定され、前記第1及び第2の間隙が、前記第1の固定部材の一部を受容して、それによって前記第1の固定部材を前記ステムに連結する、実施態様6に記載の骨固定器具。
(8) 前記第1の固定部材が、前記第1の外側表面内に延在する凹部を画定し、前記凹部が、前記第1の固定部材が前記ステムに連結されるとき、ディスクを受容するように構成されている、実施態様7に記載の骨固定器具。
(9) 前記第2の固定部材が、前記第2の固定部材が前記ステムに沿って前記第1の固定部材に向かって移動され、かつ前記第2の固定部材がそれぞれの解剖学的構造の外側表面に当接するときに屈曲するように構成される、複数の可撓性延長部を含む、実施態様1〜8のいずれかに記載の骨固定器具。
(10) 前記第2の固定部材が、前記本体から前記スロット内に延在する2つの歯を含む、実施態様1〜9のいずれかに記載の骨固定器具。
【0055】
(11) 前記第2の固定部材が、約1mm〜約2mmである、前記第1の方向に沿って測定される最大高さを有する、実施態様1〜10のいずれかに記載の骨固定器具。
(12) 前記付勢部材が、前記ステムに約10N〜約30Nである力を印加するように構成される、実施態様1〜11のいずれかに記載の骨固定器具。
(13) 前記ステムが、前記第1の方向に垂直の第2の方向に沿って対向する第1及び第2の表面を有し、前記ステムが、前記第1の表面からのみ延在する複数の歯を含み、前記付勢部材が、前記第2の表面から外へ延在する、実施態様1に記載の骨固定器具。
(14) 前記付勢部材が、前記第2の表面から外へ延在する一対の可撓性指部を含み、前記指部が、互いから離間し、かつ互いに向かって延在する、実施態様13に記載の骨固定器具。
(15) 各指部が、前記第2の表面に面する内側表面を画定する、実施態様14に記載の骨固定器具。
【0056】
(16) 前記ステムが、前記第1の方向に沿って互いから離間した複数の歯を含み、前記歯を含む前記ステムの部分が、係止領域を画定し、前記付勢部材が、前記係止領域全体に沿って延在する、実施態様14〜15のいずれかに記載の骨固定器具。
(17) 骨固定器具のための係止部材であって、
外側表面、前記外側表面と反対の内側骨接触表面、前記内側骨接触表面と前記外側表面との間に延在する内部表面、及び前記内部表面から延在する少なくとも1つの係止歯を画定する、係止本体と、
前記係止本体によって支持される付勢部材であって、前記内部表面に面する付勢表面を画定する、付勢部材と、
を備え、
前記係止本体が歯付部材を受容するように構成され、i)前記歯付部材が、前記内側表面から前記外側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを可能にするため、及びii)前記歯付部材が、前記外側表面から前記内側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを防止するため、前記付勢表面が前記歯付部材に当接して、それによって前記歯付部材を前記少なくとも1つの係止歯に向かって付勢する、係止部材。
(18) 前記内部表面が、前記内側骨接触表面から前記外側表面に延在するスロットを少なくとも部分的に画定する、実施態様17に記載の係止部材。
(19) 前記スロットが、第1及び第2の対向する表面を有するステムを受容するように構成されるステム受容スロットであり、前記ステムが、前記第1の表面からのみ延在する複数の歯を含み、前記付勢部材が、前記ステムが前記スロットを通して挿入されるときに、前記第2の表面に対して力を印加するように構成される、実施態様18に記載の係止部材。
(20) 前記付勢表面が、湾曲した当接表面である、実施態様17〜19のいずれかに記載の係止部材。
【0057】
(21) 前記付勢部材が、前記当接表面を画定する当接部材によって接合される第1及び第2の湾曲した脚部を含み、前記第1及び第2の脚部が、前記スロットを少なくとも部分的に画定する対向する表面から延在する、実施態様20に記載の係止部材。
(22) 前記当接部材が、前記歯付部材に約10N〜約30Nである力を印加するように構成される、実施態様17〜21のいずれかに記載の係止部材。
(23) 前記係止本体が、屈曲するように構成される複数の可撓性延長部を含む、実施態様17〜22のいずれかに記載の係止部材。
(24) 2つの係止歯が、前記内部表面から前記スロット内に延在する、実施態様18に記載の係止部材。
(25) 前記係止本体が、約1mm〜約2mmである、前記外側表面から前記内側表面の方向に沿って測定される最大厚さを有する、実施態様17〜24のいずれかに記載の係止部材。
【0058】
(26) 前記係止本体が、断面において台形形状を有するスロットを画定し、前記スロットが、前記歯付部材を受容するように構成される、実施態様17〜25のいずれかに記載の係止部材。
(27) 骨固定器具であって、
第1の端部、及び第1の方向に沿って前記第1の端部から離間した第2の端部を含むステムであって、前記ステムが、ステム本体、及び前記ステム本体から外へ延在し、かつ前記第1の方向に沿って互いから離間した複数の歯を更に含み、前記ステムが、前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に沿った、前記ステム本体の外部表面から前記複数の歯のうちの少なくとも1つの最も外側の表面までの最大幅を画定する、ステムと、
前記第1の端部に近接する、前記ステムに連結される第1の部材と、
部材本体を含む第2の部材であって、前記第2の部材が、
前記第1の方向に沿って前記部材本体を通って延在するスロットであって、前記部材本体の少なくとも1つの内部表面によって画定される、スロットと、
前記第1の内部表面から前記スロット内に延在する少なくとも1つの歯と、
前記部材本体から前記スロット内に延在する付勢部材であって、前記第2の部材が、前記第2の方向に沿った、前記付勢部材と前記内部表面との間の部材距離を画定し、前記付勢部材が、第1の位置と第2の位置との間で可撓性であり、前記第1の位置にあるとき、前記部材距離が前記最大幅よりも小さくなる、付勢部材と、を備える、第2の部材と、
を備え、
前記ステムが前記付勢部材を前記第1の位置から前記第2の位置に屈曲させて、それによって前記部材距離が前記最大幅と実質的に等しくなるように、前記スロットが、前記ステムを受容するように構成され、前記複数の歯のうちの少なくとも1つを前記少なくとも1つの歯と相互係止するために、前記付勢部材が前記ステムを前記内部表面に向かって付勢する、骨固定器具。
(28) i)前記第2の部材が前記第1の部材に向かって前記ステムに沿って並進することを可能にするため、及びii)前記第2の部材が前記第1の部材から離れて前記ステムに沿って並進することを防止するため、前記付勢部材が前記ステムを前記内部表面に向かって付勢する、実施態様27に記載の骨固定器具。
(29) 前記付勢部材が、前記第1の位置に向かって弾性的に付勢される、実施態様28に記載の骨固定器具。
(30) 前記部材本体が、約1mm〜約2mmである、前記第1の方向に沿って測定される最大厚を有する、実施態様29に記載の骨固定器具。
【0059】
(31) 前記付勢部材が、前記ステムに、約10N〜約30Nである力を印加するように構成される、実施態様27〜30のいずれかに記載の骨固定器具。
(32) 第1の解剖学的構造を周辺頭蓋部分に取り付ける方法であって、
(i)係止部材の第1のクランプ部材が、前記第1の解剖学的構造及び前記周辺頭蓋部分のそれぞれの内側表面に近接するように、並びに(ii)前記第1のクランプ部材から第1の方向に沿って延在する前記係止部材の歯付ステムが、前記第1の解剖学的構造と前記周辺頭蓋部分との間から外に突出し、前記歯付ステムの一部が、前記周辺頭蓋部分の外側にあるように、前記係止部材を位置付けることと、
第2のクランプ部材のステム受容スロット内に延在する前記第2のクランプ部材の付勢部材が、前記歯付ステムを、前記ステム受容スロット内に延在する前記第2のクランプ部材の少なくとも1つの歯に向かって付勢するように、前記歯付ステムを前記ステム受容スロットを通して挿入することと、
前記歯付ステムの少なくとも1つの歯が、前記第2のクランプ部材の前記少なくとも1つの歯に係合して、それによって前記第2のクランプ部材が前記第1のクランプ部材から離れて前記歯付ステムに沿って並進することを防止するように、前記歯付ステムに沿って、かつ前記第1のクランプ部材に向かって前記第2のクランプ部材を並進させることと、
を含む、方法。
(33) 前記第2のクランプ部材を並進させる前記工程が、前記第2のクランプ部材の骨接触表面が前記第1の解剖学的構造及び前記周辺頭蓋部分のそれぞれの外側表面に当接するように、前記第2のクランプ部材を移動させることを含む、実施態様32に記載の方法。
(34) 前記並進させる工程が、前記第2のクランプ部材の前記骨接触表面が、前記第1の解剖学的構造及び前記周辺頭蓋の前記それぞれの外側表面に当接して、それによって前記第2のクランプ部材の可撓性延長部を屈曲させるように、前記第2のクランプ部材を移動させることを更に含む、実施態様32に記載の方法。
(35) 骨固定器具のための係止部材であって、前記係止部材は、
外側表面、前記外側表面と反対の内側骨接触表面、前記内側骨接触表面と前記外側表面との間に延在する内部表面を画定する、係止本体と、
前記係止本体に移動可能に連結される歯付本体であって、前記内部表面に面する係合側、及び前記係合側と反対にある付勢側を有する、歯付本体と、
前記係止本体によって支持される付勢部材であって、前記付勢側に面する付勢表面を画定する、付勢部材と、
を備え、
前記係止本体が歯付部材を受容するように構成され、i)前記歯付部材が、前記内側表面から前記外側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを可能にするため、及びii)前記歯付部材が、前記外側表面から前記内側表面に延在する方向に沿って前記係止本体を通って並進することを防止するため、前記付勢表面が前記付勢側に当接して、それによって前記歯付本体を前記歯付部材に向かって移動させる、係止部材。
【0060】
(36) 前記歯付本体が、枢軸で前記係止本体に回転可能に連結され、前記係止本体が前記歯付部材を受容するとき、前記付勢表面が前記付勢側に当接して、それによって前記歯付本体を前記枢軸周囲で回転させる、実施態様35に記載の係止部材。
(37) 前記枢軸が前記内側骨接触表面に近接して配設され、前記付勢表面が前記外側表面に近接して前記付勢側と当接する、実施態様36に記載の係止部材。
(38) 前記歯付本体が、前記内部表面に向かって前記係合側から延在する少なくとも1つの歯を含む、実施態様36に記載の係止部材。
【国際調査報告】