特表2015-534990(P2015-534990A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2015-534990誤制御されたeIF4Eに関連する疾患又は障害を治療又は予防するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534990(P2015-534990A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】誤制御されたeIF4Eに関連する疾患又は障害を治療又は予防するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/04 20060101AFI20151110BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20151110BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20151110BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   C07D417/04CSP
   C07D417/14
   A61K31/427
   A61K31/496
   A61K31/454
   A61K31/5377
   A61K31/541
   A61K45/00
   A61P25/00
   A61P35/00
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P25/04
   A61P25/14
   A61P25/02
   A61P25/18
   A61K31/551
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2015-538124(P2015-538124)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月1日
(86)【国際出願番号】US2013066041
(87)【国際公開番号】WO2014066304
(87)【国際公開日】20140501
(31)【優先権主張番号】61/735,458
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/716,987
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515108864
【氏名又は名称】イージェニックス インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ミルブルック ピー.オー.ボックス エル
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】パタネ マイケル
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 アンドーバー ウエストウインド ロード 6
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB02
4C063BB04
4C063CC62
4C063DD22
4C063DD47
4C063EE01
4C084AA19
4C084ZA012
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC82
4C086BC88
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA20
4C086ZB26
(57)【要約】
1つ又は複数の癌等の過剰増殖性障害又は神経疾患若しくは障害を治療又は予防するのに有用な、化合物、組成物、製剤、キット及び治療の方法を、本明細書に開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物であって、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
は、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
は、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつ
は、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される、化合物。
【請求項2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
表IV及び図16の構造体から成る群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がアリールである場合に、RがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式IIの化合物であって、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
2'は、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド、表Iに記載される構造及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
は、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつ
は、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される、化合物。
【請求項6】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式IIIの化合物であって、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
は、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
は、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつ
は、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される、化合物。
【請求項8】

である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、CN、CF及びClから成る群より選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
式IVの化合物であって、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
2'は、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド、表Iに記載される構造及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、
は、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつ
は、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される、化合物。
【請求項11】

である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、過剰増殖性障害又は神経疾患若しくは障害を治療又は予防する方法。
【請求項13】
対象が、過剰増殖性障害又は神経疾患若しくは障害を発症していると診断されているか、又はこれを発症するリスクがある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
過剰増殖性障害が癌である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、別の治療剤と組み合わせて投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項17】
過剰増殖性障害、神経変性疾患若しくは障害、又は自閉症の治療又は予防のための医薬を生産するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又は製剤の使用。
【請求項18】
過剰増殖性障害が癌である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
神経変性障害が、アルツハイマー病又はパーキンソン病である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、神経変性疾患又は障害を治療又は予防する方法。
【請求項21】
対象が、神経変性疾患又は障害を発症していると診断されているか、又はこれを発症するリスクがある、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
神経変性疾患又は障害が、アルツハイマー病又はパーキンソン病である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、別の治療剤と組み合わせて投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、自閉症スペクトラムの疾患又は障害を治療又は予防する方法。
【請求項25】
対象が、自閉症スペクトラムの疾患又は障害を発症していると診断されているか、又はこれを発症するリスクがある、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
疾患又は障害が、自閉症である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、別の治療剤と組み合わせて投与される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
翻訳の開始においては、mRNA分子の5'末端に結合された特別なタグ、すなわち5'キャップと、ある特定の重要なタンパク質との相互作用が、通常、必要である。タンパク質因子は、リボソーム小サブユニット(40Sサブユニットとも呼ばれる)に結合し、これらの「開始因子」は、mRNAを適所に保持する。真核生物の開始因子3(eIF3)は、リボソーム小サブユニットに関連し、リボソーム大サブユニットが早期に結合しないようにする役割を果たす。また、eIF3は、3つの他の翻訳開始因子、すなわちeIF4A、eIF4E及びeIF4Gから成るeIF4F複合体と相互作用する。eIF4Gは、eIF3及びその他の2つの成分の双方に直接会合するスキャフォールドタンパク質である。eIF4Eは、キャップ結合タンパク質である。これは、キャップ依存的な翻訳開始の律速段階であり、しばしばウイルス性プロテアーゼによって複合体から切断され、それ自身の転写物を翻訳する細胞の能力が制限される。これは、ウイルスの(キャップ非依存的な)メッセージに有利な、宿主機構を乗っ取る方法である。
【発明の概要】
【0002】
概要
細胞の複製には、細胞増殖のために必要とされるタンパク質のキャップ依存的な翻訳開始が必要である。例えば癌等、異常な細胞増殖を特徴とする状況では、キャップ依存的な翻訳開始の阻害は、細胞増殖を妨げる。本明細書では、eIF4E/eIF4g相互作用に対して特異的に相互作用してこれを妨害し、それによってキャップ依存的な翻訳開始を選択的に妨げる分子が記載され、したがって、記載される分子は細胞の増殖に対する細胞傷害物質として特定される。3IF4Eの阻害剤は、例えば、eIF4E/eiF4G相互作用を妨害するその能力のために、又はeIF4E/4E−BP相互作用(4E−BP(結合タンパク質)が、eIF4Eに結合し、かつ、eIF4G結合をブロックする)を増大させるその能力のために、標的となり得る。
【0003】
一実施形態では、本開示は、式Iの化合物に関するものであり、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、Rは、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、Rは、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつRは、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される。特定の実施形態では、R
であり、ここで、当該基は、(*)において結合される。特定の実施形態では、化合物は、表IV及び図16の構造体から成る群より選択される。特定の実施形態では、Rがアリールである場合、RはHである。
【0004】
一実施形態では、本開示は、下記式IIの化合物に関するものであり、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、R2'は、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド、表Iに記載される構造及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、Rは、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつRは、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される。特定の実施形態では、R
であり、ここで、当該基は、(*)において結合される。
【0005】
一実施形態では、本開示は、式IIIの化合物に関するものであり、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、Rは、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、Rは、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつRは、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される。特定の実施形態では、R
であり、ここで、当該基は、(*)において結合される。特定の実施形態では、Rは、CN、CF及びClから成る群より選択される。
【0006】
一実施形態では、本開示は、式IVの化合物に関するものであり、
式中、Rは、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、R2'は、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド、表Iに記載される構造及びそれらの置換されていてもよい種から成る群より選択され、Rは、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノから成る群より選択され、かつRは、アリール、置換アリール及び表IIの置換基から成る群より選択される。特定の実施形態では、R
であり、ここで、当該基は、(*)において結合される。
【0007】
一実施形態は、過剰増殖性障害又は神経疾患若しくは障害を治療又は予防する方法に関し、この方法は、本明細書に記載される化合物の有効量を投与することを含む。特定の実施形態では、対象は過剰増殖性障害又は神経疾患若しくは障害を発症していると診断されているか、又はこれを発症するリスクがある。特定の実施形態では、過剰増殖性障害は、癌である。特定の実施形態では、本化合物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
【0008】
一実施形態は、本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物に関する。
【0009】
一実施形態は、過剰増殖性障害、神経変性疾患又は障害、又は自閉症の治療又は予防のための医薬を生産するための、本明細書に提供される化合物又は製剤の使用に関する。特定の実施形態の中に、過剰増殖性障害は、癌である。特定の実施形態では、神経変性障害は、アルツハイマー病又はパーキンソン病である。
【0010】
一実施形態は、本明細書に記載される化合物の有効量を投与することを含む、神経変性疾患又は障害を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態では、対象は、神経変性疾患又は障害を発症していると診断されているか、又はこれを発症するリスクがある。特定の実施形態では、神経変性疾患又は障害は、アルツハイマー病又はパーキンソン病である。特定の実施形態では、本化合物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
【0011】
一実施形態は、本明細書に記載される化合物の有効量を投与することを含む、自閉症スペクトラムの疾患又は障害を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態では、対象は、自閉症スペクトラムの疾患又は障害を発症していると診断されているか、又はこれを発症するリスクがある。特定の実施形態では、疾患又は障害は、自閉症である。特定の実施形態では、本化合物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】構造体1及び前駆体の合成の間の様々な段階を示す一連の概略図である。インダゾール酸の合成のプロセスを示す。
図1B】構造体1及び前駆体の合成の間の様々な段階を示す一連の概略図である。クロロチアゾール中間体の合成のプロセスを示す。
図1C】構造体1及び前駆体の合成の間の様々な段階を示す一連の概略図である。構造体2の合成の最終段階のプロセスを示す。
図2】構造体3、構造体4及び構造体5の合成経路の概略図である。
図3】構造体6系列の構造体の前駆体である分子の合成経路の概略図である。
図4】構造体6、構造体7及び構造体8の合成経路の概略図である。
図5】構造体9の合成経路の概略図である。
図6】構造体10の合成経路の概略図である。
図7】eIF4Eへの構造体10の結合を実証するNMRデータを示したプロットである。
図8】蛍光偏光(FP)アッセイからのデータを示す一連のプロットである。このプロットは、既知のeIF4E阻害剤である4EGI−1の有効性を示し、それにより、このアッセイをeIF4EからのeIF4Gの解離を計測する方法として実証する(実施例2を参照)。
図9】トリプトファン消光に対する様々な試験化合物の効果を示し、eIF4Eへの結合を示す(実施例3を参照)。
図10】翻訳開始に対する様々な試験化合物の効果を示すデータのバープロットである(実施例4を参照)。
図11】ショ糖勾配を通るポリソームの移動及び得られた日付を表す略図を示す(実施例5を参照)。
図12】構造体1、構造体2及び構造体10についての細胞増殖アッセイからのデータを示す一連のプロットである(実施例6を参照)。
図13】既知のeIF4E阻害剤である4EGI−1についての、プルダウンアッセイからのウエスタンブロット解析を示す。
図14】異種移植モデルにおけるタンパク質の発現(実施例7を参照)。4EGI−1は、成長促進及び発癌タンパク質のmRNAの翻訳を下方制御するが、ハウスキーピングタンパク質(例えば、アクチン及びチューブリン)には影響を及ぼさない。
図15】異種移植モデルからのタンパク質発現の免疫染色及び定量化データである(実施例7を参照)。
図16】本明細書に記載される構造体1〜10を表す一連の化学構造である。
図17】本明細書に記載される還元アミドの合成経路を示す。
図18】本明細書に記載される還元アミドを生成するのに成功した酸加水分解の経路を示す。
図19】本明細書に記載されるインダゾール構造の構造体及び適切なR基を示す。
図20】本明細書に記載される構造体の構造データ及び合成経路を示す。
図21】本明細書に記載される化合物の合成及び中間体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本明細書に記載されるものは、組成物、組成物を用いる方法、組成物を特定する及び設計する方法、並びに、細胞増殖障害(例えば、癌)、神経疾患若しくは障害(例えば、アルツハイマー病)又は自閉症スペクトラムからの疾患若しくは障害(例えば、自閉症)の治療のための治療製剤である。本明細書に記載される組成物及び方法は、翻訳開始因子4E(eIF4E)との相互作用を通じて翻訳開始をモジュレートするように設計される。異常な翻訳開始が、過剰増殖性障害、神経障害、及び自閉症スペクトラムからの障害の特質であるので、eIF4E及びeIF4Eを含む複合体の活性をモジュレートすることは、このような障害を治療するための効果的な標的を提示する。
【0014】
本明細書で用いられる場合、「増殖性疾患若しくは障害」、「細胞増殖性疾患若しくは障害」又は「過剰増殖性疾患若しくは障害」は、細胞が異常な増殖を示す対象の状態を指す。「過剰増殖性」疾患又は障害は、細胞が無病状態又は非障害状態におけるよりも速い速度で増殖するものである。腫瘍組織は、例えば、過剰増殖性である細胞を含む。また、癌及び腫瘍形成も、細胞過剰増殖を示す。本明細書に記載されるように、eIF4E依存的な翻訳(例えば、PI3K、Akt、mTOR、Ras、MAPK、MNK又はMyc経路)によって駆動される過剰増殖性疾患は、本明細書に記載される化合物及び方法によって治療可能である。
【0015】
「癌」という用語は、典型的には、無制御の細胞増殖(すなわち、過剰増殖)によって特徴付けられる生理学的状態のことを指す、又は記載するものである。癌の非限定的な例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病又はリンパ性悪性疾患が挙げられる。このような癌のさらに特定の例としては、扁平上皮癌(squamous cell cancer)(例えば、上皮性扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer))、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の癌腫及び肺の扁平上皮癌(squamous carcinoma)を含む肺癌、HPV関連の癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化管癌を含む胃癌(gastric cancer)又は胃癌(stomach cancer)、膵癌、グリア芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路の癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌又は腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、及びB細胞リンパ腫、脳及び頭頚部癌、並びにこれらに関連する転移が挙げられる。
【0016】
本明細書で用いられる場合、「神経疾患又は障害」は、神経系のあらゆる障害のことを指す。症状の例としては、麻痺、筋力低下、協調運動不良、知覚の消失、発作、錯乱、痛み及び意識水準の変化を含む。多くの認識された神経障害があり、いくつかは比較的一般的なものであるが、多くは珍しいものである。神経障害は、例えば、アルツハイマー病、失語症、失行症、くも膜炎、毛細管拡張性運動失調、注意欠陥多動性障害、聴覚処理障害、自閉症、ベル麻痺、腕神経叢損傷、脳傷害、脳損傷、脳腫瘍、カナバン病、手根管症候群、カウザルギー、中枢性疼痛症候群、橋中心髄鞘崩壊、中心核病、頭部障害、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、脳萎縮、脳性巨人症、脳性麻痺、脳血管炎、頸椎脊椎管狭窄症、シャルコー−マリー−ツース病、キアリ奇形、舞踏病(chorea)、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)、慢性疼痛、コフィン−ローリー症候群、昏睡、複合性局所疼痛症候群、圧迫性ニューロパシー、先天性両側顔面神経麻痺、大脳皮質基底核変性症、頭蓋動脈炎、頭蓋骨癒合症、クロイツフェルト−ヤコブ病、蓄積外傷疾患、クッシング症候群、巨細胞性封入体病(cytomegalic inclusion body disease)(CIBD)、サイトメガロウイルス感染症、ダンディ−ウォーカー症候群、ドーソン病、ドモルシア症候群、ドゥジュリーヌ−クルンプケ麻痺、ドゥジュリーヌ−ソッタ病、遅延睡眠相症候群、認知症、皮膚筋炎、発達性統合運動障害、糖尿病性神経障害、びまん性硬化症、ドラベ症候群、自律神経障害、計算障害、書字障害、失読症、ジストニア、エンプティゼラ症候群、脳炎、脳ヘルニア、脳三叉神形領域血管腫症、遺糞、癲癇、エルブ麻痺、肢端紅痛症、本態性振戦、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性痙性麻痺、熱性発作、フィッシャー症候群、フリートライヒ運動失調、線維筋痛症、フォヴィル症候群、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、巨細胞性動脈炎、巨細胞封入体病(giant cell inclusion disease)、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異所性灰白質、ギラン−バレー症候群、HTLV−1関連ミエロパシー、ハレルフォルデン−シュパッツ病、頭痛、片側顔面痙攣、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳性帯状疱疹、帯状疱疹、ヒラヤマ症候群(Hirayama syndrome)、全前脳症、ハンチントン病、水無脳症、水頭症、副腎皮質ホルモン過剰症、低酸素症、免疫介在脳脊髄炎(immune−mediated encephalomyelitis)、封入体筋炎、色素失調、乳児フィタン酸蓄積症、乳児レフスム病、点頭痙攣、炎症性ミオパシー、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進、ジュベール症候群、カラック症候群(Karak syndrome)、カーンズ−セイヤー症候群、ケネディ病、キンスブルン症候群(Kinsbourne syndrome)、クリッペル−ファイル症候群、クラッベ病、クーゲルベルク−ヴェランダー、クールー、ラフォラ病、ランバート−イートン筋無力症症候群、ランドー−クレフナー症候群、外側髄(ヴァレンベルク)症候群、学習障害、リー病、レノックス−ガストー症候群、レッシュ−ナイハン症候群、白質ジストロフィー、レビー小体認知症、脳回欠損、閉じ込め症候群、ルー−ゲーリック病、腰部椎間板症、腰部脊椎管狭窄症、ライム病、マチャド−ジョセフ病(脊髄小脳失調3型)、巨大脳髄症(macrencephaly)、巨視症、巨大脳髄症(megalencephaly)、メルカーソン−ローゼンタール症候群、メニエール病、髄膜炎、メンケス病、異染性白質ジストロフィー、小頭症、小視症、片頭痛、ミラー−フィッシャー症候群、軽度の脳卒中(一過性脳虚血発作)、音恐怖症(misophonia)、ミトコンドリアミオパシー、メービウス症候群、単肢の筋萎縮、運動ニューロン疾患、運動能力障害、モヤモヤ病、ムコ多糖症、多発脳梗塞性認知症、多巣性運動ニューロパシー、多発性硬化症、多系統萎縮症、筋ジストロフィー、筋痛性脳脊髄炎、重症筋無力症、ミエリン分解性びまん性硬化症(myelinoclastic diffuse sclerosis)、乳児ミオクローヌス性脳症、ミオクローヌス、ミオパシー、筋細管ミオパシー、先天性ミオトニー、ナルコレプシー、神経線維腫症、神経弛緩薬性悪性症候群、エイズの神経症状、ループスの神経学的後遺症、神経ミオトニー、神経セロイドリポフスチノーシス、神経細胞移動障害、ニーマン−ピック病、非24時間睡眠覚醒症候群、非言語的学習障害、オサリヴァン−マクラウド症候群(O'Sullivan−McLeod syndrome)、後頭神経痛、潜在性脊椎癒合不全続発(occult spinal dysraphism sequence)、オータハラ症候群(Ohtahara syndrome)、オリーブ橋小脳萎縮、眼球クローヌス−ミオクローヌス症候群、視神経炎、起立性低血圧症、オーバーユース症候群、反復視、パニック障害、感覚異常、パーキンソン病、先天性パラミオトニア、腫瘍随伴疾患、発作(paroxysmal attack)、パリー−ロンベルク症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、周期性四肢麻痺、末梢神経障害、広汎性発達障害、光くしゃみ反射、フィタン酸蓄積症、ピック病、圧迫神経(pinched nerve)、下垂体腫瘍、PMG、ポリオ、多小脳回、多発性筋炎、孔脳症、ポリオ後症候群、ヘルペス後神経痛(PHN)、体位性低血圧症、プラダー−ウィリー症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性片側顔面萎縮、進行性多巣性白質脳症、進行性核上性麻痺、偽性脳腫瘍、狂犬病、ラムゼイ−ハント症候群I型、ラムゼイ−ハント症候群II型、ラムゼイ−ハント症候群III型、ラスムッセン脳炎、反射性神経血管性ジストロフィー(reflex neurovascular dystrophy)、レフスム病、反復性ストレス損傷、レストレスレッグス症候群、レトロウィルス関連ミエロパシー、レット症候群、ライエ症候群、律動性運動障害(rhythmic movement disorder)、ロンベルク症候群、舞踏病(Saint Vitus dance)、サンドホフ病、統合失調症、シルダー病、脳裂、感覚統合機能障害(sensory integration dysfunction)、中隔視神経異形成症、揺さぶられっこ症候群、帯状ヘルペス、シャイ−ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、睡眠病、スナチエーション(snatiation)、ソトス症候群、痙縮、脊椎披裂、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮、脊髄小脳失調、スティール−リチャードソン−オルスゼフスキー症候群、スティッフパーソン症候群、脳卒中、スタージ−ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、表層シデローシス(superficial siderosis)、シドナム舞踏病、仮死、共感覚、脊髄空洞症、足根管症候群、遅発性ジスキネジア、遅発性ディスフレニア(tardive dysphrenia)、ターロブ嚢胞、テイ−サックス病、側頭動脈炎、破傷風、脊髄係留症候群、トムゼン病、胸郭出口症候群、疼痛性チック、トッド麻痺、トゥレット症候群、中毒性脳症、一過性脳虚血発作、伝播性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺、トリパノソーマ症、結節硬化症、ユビシオシス(ubisiosis)、フォンヒッペル−リンダウ病(VHL)、ビリウスク脳脊髄炎(VE)、ウェルドニッヒ−ホフマン病、ウェスト症候群、むち打ち症、ウィリアムズ症候群、及びウイルソン病を含む。
【0017】
本明細書に記載される組成物及び方法は、例えば、アルツハイマー病を治療する、及び/又は、アルツハイマー病に関連する症状を改善するのに有用である。アルツハイマー病は、異常なキャップ依存的翻訳開始に起因することが実証されており、eIF4E阻害剤によって治療可能である(Bottley、A.ら,PLoS 1,5:pii e13030、2010)。
【0018】
本明細書で用いられる場合、「自閉症スペクトラム」は、精神疾患診断統計マニュアル(DSM)において広汎性発達障害と分類される種々の状態を指す。広汎性発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)、小児崩壊性障害及びレット症候群を含む。これらの障害は、典型的には、社会性欠損、意思疎通上の困難、常同的又は反復的な挙動及び関心、並びに、場合により認知遅延によって特徴付けられる。これらの診断は、共通の特徴を共有するが、これらの障害をもつ個人は、これらの領域にわたる重症度の違いのため、「スペクトラム上」にあると考えられる。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「自閉症」とは、3歳以前に、以下の領域の1つ又は複数についての遅延又は異常な機能によって特徴付けられる発達障害を指す。(1)社会的交流;(2)コミュニケーション;及び(3)挙動、関心、及び活動の限定的、反復的、及び常同的パターン。社会性障害は、非言語的コミュニケーションの使用の不足、仲間関係の困難さ、社会的な感情的な交換の欠如、及び共有享楽の欠如により評価される。コミュニケーション欠損は、言語表現の障害、常同性又は遅延性反響言語の使用、並びに、会話維持の困難さを含む。社会性及びコミュニケーション障害は、記号的又は想像的な遊びの欠如を引き起こす。限定的かつ反復的な挙動は、狭い関心を伴う異常没頭、非機能的ルーチンへの剛直さ、常同性及び反復性衒奇、及び物体の一部への没頭を含む。自閉症は、誤制御された翻訳開始に関連づけられることが示されており、これは例えば、eIF4Eを阻害することにより、改善することができる(Neves Pereira, M. et al., J. Med. Genet., 46:759−65, 2009; Gkogkas, C. et al., Nature, 493:371−7, 2013; Santini, et al., Nature, 493:411−5, 2013)。
【0020】
本明細書に記載される組成物及び方法は、例えば、パーキンソン病を治療する及び/又はパーキンソン病に関連する症状を改善するのに有用である。パーキンソン病は、異常なキャップ依存的翻訳開始によって引き起こされることが実証されており、eIF4E阻害剤によって治療が可能である(Garber,K.,J.Natl.CancerInst.,102:371−4,2010;Devine,M.etal.,Nat.Rev.Cancer,11:812−23,2011;Santini,E.etal.,Sci.Signal.,2:ra36,2009;Kong,J.&Lasko,P.,Nat.Rev.Genet.,13:383−94,2012)。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「腫瘍」は、悪性又は良性のいずれを問わず、新生物性細胞成長及び増殖、並びに全ての前癌及び癌性細胞及び組織を指す。
【0022】
過剰増殖、特定の神経障害及び自閉症スペクトラムの障害の特質は、キャップ依存的な翻訳の必要性である。増殖の増加は、例えば、タンパク質合成の増加を必要とする。キャップ依存的な翻訳は、eIF4E及びeIF4G因子を備える翻訳開始複合体(eIF4F)によって開始される。eIF4EとeIF4Gとの相互作用が、キャップ依存的な翻訳開始のために必要である。この相互作用は、4E結合タンパク質(4E−BP)によって、内因的に減弱され、したがって、4E−BPへのeIF4Eの結合を増大させる化合物は、阻害剤としても作用する(Jacobson, B. et al., Cancer Res., 66:4256−4262, 2006)。
【0023】
eIF4Eを阻害する分子、例えば、4EGI−1は、いくらかの抗増殖特性を有している(Moerke, N. et al., Cell, 128:257−67, 2007; Chen, L. et al., Oncotarget, 3:869−81, 2012)。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「eIF4E」は、真核生物の翻訳開始因子4Eを指す。全ての真核生物の細胞mRNAは、7−メチルグアノシンキャップ構造mGpppX(Xはあらゆるヌクレオチドである)によって、その5'末端でブロックされる。この構造は、増大した翻訳効率、スプライシング、mRNA安定性及びRNA核外移行を含むいくつかの細胞プロセスに関与している。eIF4Eは、リボソームをmRNAのキャップ構造に向けることに関与する真核生物の翻訳開始因子である。それは、遊離形態として及びeIF4Fと呼ばれる多タンパク質複合体の一部としての両方で存在する24kDのポリペプチドである。eIF4Eポリペプチドは、真核生物の翻訳装置の進度制限要素であり、真核生物のタンパク質合成のmRNA−リボソーム結合ステップに関与している。eIF4Fの他のサブユニットは、eIF4Aと呼ばれる、ATPアーゼ及びRNAヘリカーゼ活性を有する50kDポリペプチド(Nielsen,P.&Trachsel,H.EMBO J., 7:2097−105, 1988)、及び220kDポリペプチドeIF4G(Rychlik, W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:945−9, 1987)である。eIF4Eの過剰発現は悪性形質転換を引き起こすように、eIF4Eは、細胞成長制御の役割を果たしている(Jones, R. et al., Somat. Cell Genet., 23:221−3, 1997)。
【0025】
本明細書に記載される結果は、式I〜IVとして表される一般式の置換インダゾール化合物を含む化合物及び製剤の有効性を示す。
【0026】
【0027】
は、例えば、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ又はそれらの置換されていてもよい種等の種々の置換基を含む。
【0028】
は、例えば、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシル、アルキルカルボキサミド又はそれらの置換されていてもよい種等の置換基を含む。
【0029】
は、例えば、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノ等の置換基を含み得る。
【0030】
は、例えば、アリール又は置換アリール(例えば、表II中に列挙したもの)等の置換基を含む。Rがアリールである場合、RはHであり得る。
【0031】
【0032】
は、例えば、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ又はそれらの置換されていてもよい種等の種々の置換基を含む。
【0033】
2'は、例えば、アミノ、置換アミノ、アミノスルホンアミド、ヘテロアリール又はアリール(表Iのアミンがその例である)等の置換基を含み得る。
【0034】
は、例えば、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノ等の置換基を含み得る。
【0035】
は、例えば、アリール又は置換アリール(例えば、表II中に列挙したもの)等の置換基を含む。Rがアリールである場合、RはHであり得る。
【0036】
【0037】
は、例えば、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ又はそれらの置換されていてもよい種等の種々の置換基を含む。
【0038】
は、例えば、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキサミド又はそれらの置換されていてもよい種等の置換基を含む。
【0039】
は、例えば、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノ等の置換基を含み得る。
【0040】
は、例えば、アリール又は置換アリール(例えば、表II中に列挙したもの)等の置換基を含む。Rがアリールである場合、RはHであり得る。
【0041】
【0042】
は、例えば、アルキル、ハロアルキル、ハライド、Cl、CF、CF、アルコキシ、アリール、スルホン、スルホキシド、ニトリル、カルボキシ、カルボキサミド、カルバメート、ウレタン、アミド、スルファミド、環式アルキル、アミノ又はそれらの置換されていてもよい種等の種々の置換基を含む。
【0043】
2'は、例えば、アミノ、置換アミノ、アミノスルホンアミド、ヘテロアリール又はアリール(表Iのアミンがその例である)等の置換基を含み得る。
【0044】
は、例えば、H、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノ等の置換基を含み得る。
【0045】
は、例えば、アリール又は置換アリール(例えば、表II中に列挙したもの)等の置換基を含む。Rがアリールである場合、RはHであり得る。
【0046】
(表I)
破線は、結合の場所を示す。
【0047】
(表II)
破線は、結合点を示す。
【0048】
また、式Iに関連した構造体も本明細書に開示され、ここで、置換チアゾール環は、例えばヘテロアリール環等の別の芳香環に置き換えられる。表IIIを参照のこと。
【0049】
(表III)
【0050】
は、典型的には、Hであるか、又は、それが結合される芳香環と同じ平面にとどまる基である。Rは、例えば、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアルコキシであり得る。
【0051】
具体的な構造体の例を、図16及び下記表IV中に示す。構造体3及び13〜16は全て、蛍光偏光アッセイにおいて活性を示した。
【0052】
(表IV)
【0053】
(表V)構造体の特性
【0054】
理論によって拘束されることを望むものではないが、例えば4EGI−1の推定上作用様式は、eIF4EとeIF4Gとの間の相互作用に干渉するものである。式Iの化合物は、4EGI−1を構造的に模倣しているため、式Iの化合物はeIF4Eに結合して、eIF4E及びeIF4Gの相互作用に干渉(直接的でも間接的でも)することにより、翻訳開始を防止する可能性がある。
【0055】
式I〜IVの構造に基づくさらなる小分子の設計が、本開示の範囲内に包含される。置換チアゾール環を、例えば、1つ又は複数の他のヘテロアリール又は複素環置換基に変えることができる。他の複素環置換基の選択は、例えば式I〜IVの構造に従った分子からのデータに基づき、予測された構造活性相関(SAR)によって、決定される。
【0056】
例えば、式I〜IVの構造の設計が、本開示の範囲内に包含され、ここで、構造は、インダゾールの6員アリール環に代えて、複素環又はヘテロアリール環を含む。この環は、例えば、式I〜IVのインダゾール環に表したCに代えて、N又はSを含むことができる。
【0057】
本開示の一実施形態では、本明細書において特定される、本明細書に記載されるスクリーニングを用いることにより特定される、又は本明細書に記載されるように設計される、特定された薬剤の1つ又は複数を用いて、例えば癌等の過剰増殖性障害又は神経疾患若しくは障害を治療することに関する。本明細書に記載される化合物及び製剤は、様々な方法により、当業者により適切に決定される用量で、送達可能である。
【0058】
「治療」は、予防(防止)のため、又は、患者が罹患している場合には、欠陥又は疾病の症状を治療する又は軽減するための、患者又は対象に対する薬の投与又は医療処置の実行を指す。1つ又は複数の、癌等の過剰増殖性障害、アルツハイマー病等の神経障害、又は自閉症等の自閉症スペクトラムの障害の予防は、この治療の範囲内に含まれる。本明細書に記載される、本明細書に記載される方法によって特定される、又は本明細書に記載されるように設計される化合物は、治療計画の一部として、治療有効量で、用いることができる。「治療有効量」とは、病状に関連した症状を軽減する、予防する若しくは改善する、又は病状を効率的に予防又は治療するのに十分な量のことである。本開示は、例えば、1つ又は複数の、癌等の過剰増殖性障害、アルツハイマー病等の神経障害、又は自閉症等の自閉症スペクトラムの障害を治療するのに十分な、治療有効量の化合物を用いた治療に向けられる。
【0059】
「患者」及び「対象」という用語は、ヒトを含む全ての哺乳類を意味する。
【0060】
本明細書に記載される治療は、本明細書において特定される、本明細書に記載される方法によって特定される、又は本明細書に記載されるように設計される化合物、並びに、例えばその化合物の塩、溶媒和物及び共結晶等を含む製剤を利用すると理解される。本開示の化合物は、例えば、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒で溶媒和された形態のみならず、溶媒和されていない形態で存在することも可能である。一般に、本開示の目的に対し、溶媒和された形態は溶媒和されていない形態と等価であると考えられる。
【0061】
「薬学的に許容される塩、エステル、アミド及びプロドラッグ」という用語は、本明細書で用いられる場合、本開示の化合物のカルボキシレート塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド、プロドラッグ及び包接化合物のことをいい、これらは、健全な医学判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等無しに患者の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合い、それらの使用目的に有効であり、さらには、可能な場面では本開示の化合物の両性イオン性の形態のこともいう。
【0062】
「プロドラッグ」という用語は、例えば、血中加水分解によって、インビボで迅速に変換され、上記の式の親化合物を生成する化合物を指す(T. Higuchi and V. Stella, "Pro−drugs as Novel Delivery Systems," Vol. 14 of the AC.S. Symposium Series; Bioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987;これら両方の全体は、参照として本明細書に組み入れられる)。インビボでの活性化は、化学作用により、又は酵素の媒介を通して生じてもよい。また、消化管内のミクロフローラが、インビボでの活性化に貢献することもできる。
【0063】
「溶媒和物」という用語は、固体状態の化合物のことをいい、ここでは適切な溶媒の分子が取り入れられる。治療投与のための適切な溶媒は、投与される投与量で生理的に許容される。治療投与のための適切な溶媒の例は、エタノール及び水である。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物と呼ばれる。一般に、適切な溶媒中に化合物を溶解し、冷却又は逆溶剤を用いて溶媒和物を単離することにより、溶媒和物は生成される。溶媒和物は、典型的には周囲条件下で乾燥又は共沸する。共結晶は、その物性が、純粋な成分とは物性の異なる独自の結晶形を形成するように配列された、二つ以上の異なる分子の組合せである(Remenar, J. et al., J. AM. Chem. Soc., 125:8456−7, 2003)。包接錯体は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 19.sup.th Ed. (1995) volume 1, page 176−7に記載される。最も一般に用いられる包接錯体は、米国特許第5,324,718号及び第5,472,954号に記載されているように、シクロデキストリン及び全てのシクロデキストリン複合体によるものであり、天然及び合成を含み、添加剤及びポリマーの添加の有無を問わない。Remenar、Remington及び'718号及び'954号の特許の開示の全体は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0064】
化合物は、塩として示すことができる。用語「薬学的に許容される塩」は、その対イオンが、薬学的に許容される無毒性の酸及び塩基に由来する塩を指す。本開示の化合物についての適切な薬学的に許容される塩基付加塩の非限定的な例としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から製造される金属塩、又はリジン、N,N−ジアルキルアミノ酸誘導体(例えば、N,N−ジメチルグリシン、ピペリジン−1−酢酸及びモルフォリン−4−酢酸)、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから製造される有機塩が挙げられる。化合物が塩基性残基を含む場合は、その化合物についての適切な薬学的に許容される塩基付加塩は、例えば、無機酸及び有機酸を含む。例としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、炭酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化物、塩化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩(mucate)、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等が挙げられる(Barge,Setal.,1977.J.Pharm.Sci.,66:1−19,その内容の全体は、参照として本明細書に組み入れられる)。
【0065】
本開示の医薬組成物での使用に適切な希釈液は、例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、ショ糖、フルクトース、ブドウ糖デキストロース、又はその他の糖類、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、エチルセルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、又はその他の糖アルコール、ドライスターチ、サッカライド、デキストリン、マルトデキストリン又はその他の多糖類、イノシトール又はそれらの混合物等の、薬学的に許容される不活性充填剤を含む。希釈液は、例えば、水溶性希釈液であってもよい。例えば、好ましい希釈液の例は、例えばFMC Corporationより入手可能なAvicel PH112、Avicel PH101及びAvicel PH102等の微結晶性セルロース;例えばラクトース一水和物、ラクトース無水物及びPharmatose DCL 21等のラクトース;Emcompress等の第二リン酸カルシウム;マンニトール;スターチ;ソルビトール;ショ糖;及びブドウ糖を含む。希釈液は、圧縮性に着目して具体的な組成に適合するよう、慎重に選択される。希釈液は、治療製剤の約2重量%〜約80重量%、約20重量%〜約50重量%、又は約25重量%の量で、用いることができる。
【0066】
治療製剤に使用可能な他の薬剤は、例えば、界面活性剤、溶解剤、及び/又はその他の可溶化材料を含む。本開示の医薬組成物への使用が適切な界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレンステアレート、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、安息香酸ベンジル、セトリミド、セチルアルコール、ドキュセートナトリウム、グリセロールモノオレート、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルパルミトステアレート、レシチン、中鎖脂肪酸、モノエタノールアミン、オレイン酸、ポロクサマー、ポリビニルアルコール及びソルビタン脂肪酸エステルを含む。溶解剤は、活性薬剤の溶解性を増加させることにより、活性薬剤の溶解速度及び機能を増加向上させる。適切な溶解剤は、例えば、クエン酸、フマル酸、酒石酸、琥珀酸、アスコルビン酸、酢酸、リンゴ酸、グルタル酸及びアジピン酸等の有機酸を含み、それらは単独で又は組み合わせて用いられてもよい。これらの薬剤は、例えばクエン酸ナトリウム等の酸の塩とクエン酸とを混合して、緩衝液系を生成することもできる。溶解において微小環境のpHを変えるために使用可能な他の薬剤には、無機酸の塩及び水酸化マグネシウムが含まれる。
【0067】
本開示の医薬組成物での使用に適切である崩壊剤は、例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、メタクリル酸カリウムジビニルベンゼンコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、エチルアミド、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、デンプン誘導体、デキストリン、ベータシクロデキストリン、デキストリン誘導体、酸化マグネシウム、クレー、ベントナイト及びこれらの混合物を含む。
【0068】
本開示の活性成分は、薬学的に許容されかつ活性成分との適合性がある賦形剤と、本明細書に記載される治療方法での使用に適切な量で、混合可能である。様々な賦形剤は、当業者に知られるように、本開示の活性薬剤と均一に混合可能である。活性薬剤は、例えば、非限定的な例として、微結晶性セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ラクトース、デンプン、ソルビトール、シクロデキストリン及びこれらの組合せが挙げられる賦形剤と、混合又は組み合わせが可能である。
【0069】
本開示の組成物は、他の治療成分、固結防止剤、防腐剤、甘味剤、着色剤、香料、乾燥剤、可塑剤、色素等を任意に含むこともできる。
【0070】
特定の実施形態では、組成物は、第2の治療剤と組み合わせて投与される。
【0071】
この任意の成分はいずれも、無論、製剤の安定性を確実にするために、本開示の化合物との適合性がなければならない。成人のための投与量範囲は、経口で一般に、0.1μg〜10g/日である。個別の単位で提供される錠剤又は他の投与様式は、そのような投与量で有効である又はその倍数で有効となる本開示の化合物の量、例えば、0.1mg〜500mg、通常およそ5mg〜200mgを含む単位量を、都合よく含むことができる。患者への化合物の厳密な投与量は、主治医の責務である。用量は、例えば患者の年齢及び性別、治療しようとする正確な症状、そして、その重症度を含む、いくつかの因子に依存する。投与の頻度は、個々の化合物の薬力学及び剤形の製剤化に依存し、これらは、当該技術分野で知られる方法により最適化される(例えば、制御放出又は持続放出錠、腸溶性コーティング等)。
【0072】
本明細書に記載される組成物及び方法を、アッセイに関連して実施し、対象が治療に感受性であるか否かを決定することができる。例えば、癌患者、アルツハイマー患者又は自閉症患者の亜集団は、本明細書に記載されるように、eIF4Eの1つ又は複数の阻害剤に感受性であり得る一方、他の亜集団は、eIF4E阻害剤に対して抵抗性であるか又はeIF4E阻害剤の影響を受けないことがある。例えば、治療感受性は、血液検査、遺伝子スクリーニング、RNAプロファイリング等により、決定可能である。
【0073】
特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。「置換」という用語は、少なくとも1つの水素原子が置換基で置き換えられている分子を指す。置換されている場合、1つ又は複数の基は「置換基」である。1つの分子において、複数の置換がなされ得る。オキソ置換基(「=O」)の場合、2つの水素原子が置き換えられる。この文脈中の例示的な置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボシクリル(carbocyclyl)、カルボシクロアルキル、ヘテロカルボシクリル、ヘテロカルボシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロカルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−NRaRb、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRaNRb、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2Rb、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRaRb、−OC(=O)NRaRb、−ORa、−SRa、−SORa、−S(=O)2Ra、−OS(=O)2Ra及び−S(=O)2ORaが含まれる。この文脈におけるRa及びRbは、同一でも又は異なっていてもよく、かつ、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオール、カルボシクリル、カルボシクロアルキル、ヘテロカルボシクリル、ヘテロカルボシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであってもよい。「置換されていてもよい」との語は、本明細書で用いられる場合、置換は任意であり、したがって、指定された原子は置換可能である、又は化合物は非置換であることを意味する。
【0074】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」は、非環状の直鎖又は分枝、不飽和又は飽和の炭化水素、例えば1〜10個の炭素原子を含むものを意味し、一方、「低級アルキル」又は「C1〜6アルキル」の語は、アルキルとして同じ意味を持つが1〜6個の炭素原子を含むものを指す。用語「高級アルキル」は、アルキルとして同じ意味を持つが7〜10個の炭素原子を含むものを指す。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−セプチル、n−オクチル、n−ノニル等が含まれ、飽和分枝アルキルには、イソプロピル、第二級ブチル、イソブチル、第三級ブチル、イソペンチル等が含まれる。不飽和アルキルは、隣接した炭素原子同士の間に少なくとも1つの二重結合又は三重結合(それぞれ「アルケニル」又は「アルキニル」と呼ぶ)を含む。代表的な直鎖及び分枝のアルケニルは、例えば、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル等を含み、代表的な直鎖及び分枝のアルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル等を含む。
【0075】
本明細書で用いられる場合、「ハロアルキル」は、ハロ置換アルキル基を指す。
【0076】
非芳香族単環式又は多環式アルキルは、本明細書では、「炭素環(carbocycle)」又は「カルボシクリル」又は「環式アルキル」基と呼ばれる。代表的な飽和炭素環は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含み、不飽和炭素環は、例えば、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル、アリール等を含む。
【0077】
「ヘテロ炭素環」又は「ヘテロカルボシクリル」基は、例えば、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む炭素環(飽和でも又は不飽和でもよい(しかし芳香族でない))を含み、単環式又は多環式であり、ここで、窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は、任意に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意に四級化されてもよい。ヘテロ炭素環は、例えば、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル(primidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等を含む。
【0078】
「アリール」は、フェニル又はナフチル等の、芳香族炭素環式単環又は多環式環を意味する。
【0079】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロアリール」とは、例えば窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、かつ、少なくとも1つの炭素原子を含み、単環及び多環系を含む、芳香族ヘテロ炭素環を指す。多環系は、環の1つが芳香族である限り、1つ又は複数の非芳香環を含み得るが必須ではない。代表的なヘテロアリールは、例えば、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル及びキナゾリニルである。「ヘテロアリール」との語の使用は、例えば、1−メチルイミダゾール−5−イル置換基等のN−アルキル化された誘導体を含むと考えられる。
【0080】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、例えば窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、かつ、少なくとも1つの炭素原子を含む単環及び多環系を指す。単環及び多環系は、芳香族、非芳香族、又は芳香族環と非芳香族環の混在であってもよい。ヘテロ環は、ヘテロ炭素環、ヘテロアリール等を含む。
【0081】
「アルコキシ」は、酸素橋を介して結合される、示される数の炭素原子を有する上述のアルキル基を指す。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ及びs−ペントキシを含むが、これに限定されるものではない。
【0082】
「アルキルアミノ」は、アミノ橋を介して結合される、示される数の炭素原子を有する上述のアルキル基を指す。アルキルアミノの一例は、メチルアミノ(例えば、−NH−CH)である。
【0083】
「アルカノイル」は、カルボニル橋を介して結合される、示される数の炭素原子を有する上述のアルキル基(すなわち−(C=O)アルキル)を指す。
【0084】
本開示の化合物は、放射標識形態で存在可能であり、すなわち、化合物は、最も一般的に自然界で見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を含む1つ又は複数の原子を含むことができる。水素、炭素、リン、フッ素及び塩素の放射性同位体はそれぞれ、例えば、H、H、13C、14C、15N、35S、18F及び36Clを含む。これらの放射性同位体及び/又は他の原子の他の放射性同位体を含む化合物は、本開示の範囲内である。本開示の放射標識された化合物及びそのプロドラッグは、当業者に周知の方法によって一般に調製することができる。
【0085】
本明細書に記載される化合物は、不斉中心を含むことができ、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー及びその他の立体異性体の形態を発生させることができる。それぞれのキラル中心は、(R)−又は(S)−として、絶対立体化学に関して画定することができる。本開示は、全てのそのような可能な異性体に加えて、そのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意図するものである。光学的に活性な(R)−及び(S)−異性体はキラルシントン又はキラル試薬を用いて調製可能であるか、又は従来の技術を用いて分離可能である。本明細書に記載のあらゆる炭素−炭素二重結合の構成の説明は、便宜のためだけに選択され、明示しない限り、特定の構成を示すことを意図しない。したがって、Eとして任意に表される炭素−炭素二重結合は、Z、E、又はあらゆる割合でのこの2つの混在であってもよい。同様に、全ての互変異性型が含まれることも意図される。
【0086】
製剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内及び関節内を含む)、直腸及び局所(皮膚、頬側、舌下及び眼内を含む)投与のために適切なものを含む。最も適切なルートは、受給者の状態及び障害に依存する。製剤は、単位剤形で都合よく提示することができ、かつ薬学の当該技術分野で知られている方法のいずれによっても調製することができる。全ての方法は、本開示の少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物(「活性成分」)を、1つ又は複数のアクセサリー成分を構成する担体に関連させるステップを含む。一般には、活性成分を、液体担体若しくは微粉固体担体又はこれら両方に、一様かつ密接に関連させ、必要に応じて望ましい製剤に生産物を成形することにより、製剤は調製される。
【0087】
本開示の医薬調製物は、好ましくは単位剤形の形態であり、例えばボックス、ブリスター、バイアル、ビン、サッシェ、アンプル、又は、その他のあらゆる適切な単回投与量又は多回投与量のホルダー又は容器(適切にラベルをつけられてもよい)等に適切に包装することができ、任意で、生産物情報及び/又は使用説明書を含む1つ又は複数のリーフレットを添付する。このような単位投与量は、単位投与量当り、一般に1mg〜1000mg、通常は5mg〜500mg、例えば、約10、25、50、100、200、300又は400mgの、本開示の少なくとも1つの化合物を含む。
【0088】
経口投与のために適切な本開示の製剤は、活性成分の所定量を各々含んでいるカプセル、カシェ剤又は錠剤等の個別の単位として;粉末(微粉化粉末及びナノ粒子粉末を含む)又は顆粒として;溶液又は水性液体中若しくは非水性液体中の懸濁液として;又は水中油型液体エマルジョン又は油中水型液体エマルジョンとして、与えることができる。活性成分を、ボーラス、舐剤又はペーストとして与えることもできる。
【0089】
1つ又は複数のアクセサリー成分を任意に含む錠剤を、圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠剤は、任意で、結合剤、滑沢剤(lubricant)、不活性希釈液、滑沢(lubricating)剤、界面活性剤又は分散剤と混合した、粉末又は顆粒等の易流動性の形態の活性成分を、適切な機械内で圧縮することにより、調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈液でウェットにした粉末状の化合物の混合物を、適切な機械内で成形することにより、製造することができる。錠剤は任意にコーティング又はスコアされてもよく、その中の活性成分の放出を維持、遅延、又は制御することができるように製剤化可能である。
【0090】
本明細書に記載される治療(治療法)は、一部「併用療法」であってもよい。併用療法は、それぞれを別々に製剤化及び投与して二つ以上の薬剤を投与することにより、又は、1つの製剤中に2以上の薬剤を投与することにより、実現可能である。第2の活性成分は、本明細書において又は本明細書に記載したスクリーニングを通して特定され、本明細書に記載されたように設計される第2の化合物であってもよく、あるいは癌等の過剰増殖性障害、アルツハイマー病等の神経障害、又は自閉症等の自閉症スペクトラムからの障害、該疾患若しくは障害に関連した症状、又は第1の活性薬剤による治療に関連した症状(「副作用」)を治療するのに有用な活性成分、例えば、mTOR阻害剤又はHer2アンタゴニスト(例えば、トラスツズマブ)(Zindy, P. et al., Cancer Res., 71:4068−73, 2011)、サリドマイド又はサリドマイド誘導体(Li, S. et al., Blood, 117:5157−65, 2011)であってもよい。特に、本明細書に記載される方法及び組成物は、eIF4E又はキャップ依存的な翻訳のモジュレーションと相乗作用的に作用する1つ又は複数の治療剤と組み合わせて用いることができる。他の組合せもまた、併用療法に包含される。例えば、2つの薬剤は、一緒に製剤化することができ、また、第3の薬剤を含んだ別個の製剤とともに投与することができる。併用療法では2以上の薬剤を同時に投与することができるが、それは必須ではない。例えば、第1の薬剤(又は薬剤の組合せ)の投与は、第2の薬剤(又は薬剤の組合せ)の投与に数分間、数時間、数日間又は数週間先行することができる。したがって、2以上の薬剤を、数分間隔、又は、任意の時間数の間隔、任意の日数若しくは週数の間隔で、投与することができる。
【0091】
また、本開示は、本明細書において特定される化合物、本明細書に提供されるスクリーニング方法を通して特定される化合物、又は本明細書に記載されるように設計される化合物を含む、1つ又は複数の、癌等の過剰増殖性障害、アルツハイマー病等の神経障害、又は自閉症等の自閉症スペクトラムからの障害を治療又は予防するためのキットに関する。本開示のキットは、例えば、活性薬剤の治療有効量を送達するために必要な構成要素、使用説明書、及び/又は、活性薬剤の放出のための器具を含むことができる。
【0092】
また、本開示は、eIF4E活性をモジュレートする及び細胞傷害性を示す分子を特定するのに有用な、モデル及びスクリーニング方法に関する。特定された化合物は、本明細書に記載される方法、製剤及びキットに用いることができる。本明細書において特定される化合物は、1つ又は複数の、癌等の過剰増殖性障害、アルツハイマー病等の神経障害、又は自閉症等の自閉症スペクトラムからの障害を治療する際のその有効性を、例えば細胞、動物及び/又はヒトモデルを用いて実証することができる。簡潔には、本明細書に記載されるように設計される化合物又は式Iの構造を有する化合物を含み得る候補試験化合物が、その細胞傷害活性、及び/又は、eIF4Eと結合するその能力、及び/又は、eIF4EとeIF4Gとの相互作用を妨害するその能力に関して、アッセイされる。
【実施例】
【0093】
実施例1.化合物の合成
図1〜4は、本明細書に記載される様々な化合物を生成するための合成経路を表す。
【0094】
図1A〜Cは、構造体2の合成における様々な段階を示す。インダゾール酸の合成(図1A)は、Bocアニリンからバッチ式で進行した。グリオキシル酸は70〜85%の純度で得られ、精製なしで進行した。グリオキシル酸の酸性溶液を熱することにより、イサチンへの環化が実現された。イサチンは、1:2のEtO:イソヘキサンからのトリチュレーションにより精製され、3つのバッチ全てが、95%超の純度で得られた。インダゾール酸へのイサチンの変換の小規模試験が成功した後、材料は、3つのバッチで進行し、80%の純度で合計26.7gのインダゾール酸を提供した。
【0095】
クロロチアゾール基の合成は、酸化反応が困難であったため、骨の折れるものであり、活性MnOを大過剰で用いたにもかかわらず、必要な反応時間が長くなり、得られるケトンの収率は低かった。5gバッチのケトンが、クロロチアゾールに変換された。
【0096】
最終段階の合成(図1C)のために、この純度のインダゾール酸が予想通りに反応するか否かをチェックするため、1gの試験SNAr反応物を用いた。この反応は、ゆっくり進行し、3日後、LCMSで変換が37%であった。
【0097】
図2は、構造体3系列の構造体の合成を示す。必須のヨード中間体から、シアノ化は、良好な収率でニトリルを提供し、その後の加水分解は、標的構造体3を与えた。カルボニル化及び加水分解を2ステップで行い、良好な収率で標的構造体4を得た。CuIの存在下でナトリウムメタンスルフィネートとの置換を介して、スルホンの形成が実現され、エステル加水分解の後、標的構造体5を単離した。
【0098】
図3は、構造体6系列の構造体の一部の合成を示す。この合成の最初の試みにおいて、シュウ酸ジエチルによるリチウム化及びクエンチングを行い、ピルベートではなくピルビン酸が形成された。この材料は、イサチンに進行し、そして、この段階で試みられた精製は、どちらかと言えば失敗であった。不純イサチンでの進行の結果、必要なインダゾールは痕跡量しか得られなかった。合成を反復し、ピルベートを単離するため、変形ワークアップ(EtOHで反応物をクエンチングする)を用いたが、酸が得られた。SAXでの捕集及び放出を用いた酸の精製を行い、精製及びイサチンへの環化の両方に成功した。このバッチの純粋なイサチンの進行は、インダゾールの非常に改善された収率を与えた。
【0099】
図5は、具体的な構造体6化合物の合成を示す。エステル化の前のフェノール酸中間体の脱保護及び単離のための、BBrを用いた2段階の手順を、小規模で調査し、非常に改善された結果を得た。プロセスの規模拡張に成功し、更なる約650mgの材料を提供した。クロロエチルモルフォリン及びクロロエチルジメチルアミンによるアルキル化が、良好に進行し、後続の加水分解反応も同様であった。両方の材料を精製した。ブロモエタノールによるアルキル化は、不成功だった(反応は約20%で停止した)が、TBDMS保護ブロモエタノールを用いた場合は成功した。
【0100】
図6は、構造体9の合成を示す。チアゾールへの環化は、非常にゆっくり進行し、反応を7日後に停止し、21%の中間体を得た。アルコールのエステル還元及びクロル化を行い、その後引き続き、インダゾールアルキル化を行った。エステル加水分解により、良好な収率で標的化合物を得た。
【0101】
図7は、構造体10の合成を示す。酸は、良好な収率でアミドに進行した。引き続き、TFAによるBoc脱保護を行い、標的化合物である、塩酸塩としての構造体10を得た。
【0102】
実施例2.NMRによる結合の蛍光偏光アッセイ/実証
本明細書に記載される化合物である構造体10の、eIF4Eへの結合を、NMRによって実証した(図7)。結合した化合物の、eIF4eの活性に対する効果について、蛍光偏光(FP)アッセイを用いて、さらに取り組んだ。eIF4E/eIF4G相互作用をモニターするため、FPアッセイを用いた。eIF4E/eIF4G複合体を、構造体10に曝露し、FPアッセイを用いて、eIF4EからのeIF4Gの解離を計測した。
FPアッセイ材料
18アミノ酸FITC標識4Gペプチド(Moerke, N. et al., Cell, 128:257−67, 2007)
組み換え型eIF4E
FPバッファー
DMSO中の12.5mM溶液としての化合物
【0103】
NMRバッファー中、20nMペプチド、400μM組換え型4EGI−1のマスター混合物を作成した。このマスター混合物240μLを別のチューブへ移し、DMSO 3.2μLを加えた。次いで、この混合物の30μLアリコートを、384ウェルブラックプレートの6つのウェルのそれぞれに加えた。これらは、最大偏光ウェルである。最小偏光ウェルは、濃度20nMのペプチドのみを用いて決定した。マスター混合物に試験化合物12.5mM溶液をそれぞれ3.2μL加えることによって、実験ウェルを作成した。化合物混合物は、6点の用量反応曲線(それぞれの試験化合物の6つの異なる濃度で)を作成するために、段階希釈した。
【0104】
対照及び実験混合物を30分間インキュベートし、その後、蛍光偏光を計測することができる蛍光マイクロプレート内で読み取った。読み取りの3回繰り返しの平均を決定した。最大値と最小値の差が、アッセイのフルシグナル(100%対照)と考えられる正味偏光をもたらした。化合物の存在下でのFPシグナルを対照(化合物なし)値と比較することにより、それぞれの濃度の化合物の活性を決定した。阻害パーセントは、=100−((FP化合物/FP対照)×100)である。
【0105】
既知のeIF4E阻害剤である4EGI−1についての、このアッセイの使用を示した結果を、図8に示す。
【0106】
実施例3.蛍光消光アッセイ
曝露されたトリプトファン側鎖が、分光器で計測される。トリプトファンは、280nmで励起される際に、350nmの光を発する。トリプトファン側鎖が化合物結合の際に「埋められる」ので、トリプトファン発光が消光される程度は、試験化合物のeIF4Eへの結合の指標である。図9は、本明細書に記載される様々な化合物を用いてトリプトファン消光を様々な濃度で計測した結果を示す。
【0107】
実施例4.「細胞内」HeLa細胞ルシフェラーゼアッセイ
HeLa細胞に、バイシストロン性二重ルシフェラーゼ構築体(2×EMCV Lucプラスミドホタル及びEMCV IRES依存ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ)をトランスフェクトした。一方のレポーター構築体はキャップ依存的であったが、他方はそうではなかった。本明細書に記載される様々な化合物の存在下又は非存在下で、細胞をDMSOで10時間処理した(示された化合物は50μMの段階希釈である)。Promega Dual Gloのメーカー指示書に従い、細胞を、Luc活性について評価した。結果を、図10に示す。
【0108】
実施例5.ポリソームプロファイル
材料
140mmの培養皿に播いた細胞;成長の対数増殖期半ば(1処理につき4〜5プレート)
DMSO中の40mMマスター溶液としての試験化合物
溶解バッファー:15mMトリスpH7.4、15mM MgCl、150mM NaCl、1%TritonX−100、100μg/mLシクロヘキシミド、1mg/mLヘパリン
ポリソームバッファー:15mMトリスpH7.4、15mM MgCl、150mM NaCl、100μg/mLシクロヘキシミド
【0109】
1.細胞を、望ましい濃度のそれぞれの化合物と共に2時間インキュベートした。
2.細胞を、培地中100μg/mLシクロヘキシミドと共に37℃で5分間インキュベートし、その後、培地をプレートから除去し、プレートを氷上に置いた。
3.細胞を、5mL PBS+100μg/mL CHXで2回洗浄した。
4.細胞を採取し、1mM DTT及び100U/mL RNAsinを含む375μlのLSB中に再懸濁した。
5.溶解バッファー125μLを加え、細胞を、ホモジナイザーの10ストロークに供した。
6.溶解された細胞をスピンして細胞破片を除去し、その上清を、新しいチューブに移した。
7.5MのNaCl 15μLと、10mg/mLのヘパリン50μLとを加えた。20μLのアリコートを取り出し、保存した。上清混合物の残りを、1mLの体積に入れてOD260/280を読み取った。
8.次いで上清混合物のアリコートを、15〜50%のショ糖勾配に適用し、105分間スピンした。次いでショ糖勾配を分画し、OD254を計測した。
【0110】
図11は、ピューロマイシン及び4EGI−1の結果を示し、ポリソーム密度において顕著な差異を示した。「重い」ポリソームの減少は、翻訳のためのmRNAのリボソームローディングが減少していることを示す。
【0111】
実施例6.細胞増殖アッセイ
細胞:AU565(乳癌ER/PR、her2nue
1.細胞を、10%のFBS及び2×ゲンタマイシンを含む培地中で再懸濁した。再懸濁された細胞をアッセイプレートに移した(100μLアリコート;5,200個の細胞/ウェル)。
2.試験化合物を、アッセイ培地中に段階希釈した。試験化合物溶液の100μLのアリコートを、再懸濁された細胞に加え、全量200μLを作成した。
3.プレートを、37℃で91時間インキュベートした。
4.Promega Substrate CellTiter 96 Aqueous One Solution Reagentを20μL、それぞれのウェルに加えた。
5.プレートを37℃でインキュベートし、490nmで読み取った。
【0112】
データを、下記の表VI及び図12に示す。
【0113】
(表VI)
【0114】
(表VII)AU−565に対する抗増殖活性のまとめ
【0115】
実施例7.キャップ親和性「プルダウン」アッセイ
このアッセイは、インビトロおよびインビボにおけるeIF4GからのeIF4Eの排除を計測する。
材料:
細胞又は腫瘍ライセート
アガロースコンジュゲートmGTP(GDPを用いてもよい)
遊離GDP
遊離mGTP
DMSO中の40mMマスター溶液としての試験化合物
抗体及び他の検出試薬
【0116】
1.細胞を、25μM、50μM又は他の望ましい濃度の試験化合物(対照として同体積のDMSO)で8時間処理した。
2.細胞を、かき取って採取し、遠心分離によって収集し、細胞溶解バッファー中に溶解した。
3.細胞ライセートを、mGTPセファロースビーズ(Pharmacia)と共に4℃で1時間インキュベートした。
4.樹脂を溶解バッファーで洗浄した。
5.結合タンパク質を樹脂から溶出させることで、結合タンパク質を遊離mGTPから分離した。
6.SDS−PAGEを用いて溶出液を分解し、4E−BP1に対するポリクローナル抗体(Cell Signaling Technology)及びeIF4E及びeIF4Gに対するモノクローナル抗体(Transduction Laboratories)を用いたウエスタンブロッティングにより分析した。
7.インビボプルダウンに対しては、マウスから得られた腫瘍組織を溶解し、試験化合物又はDMSOで処理した。
【0117】
図13及び14は、様々な試験化合物及び細胞株又は組織試料を用いた結果を示す。
【0118】
実施例8.腫瘍成長阻害のインビボ異種移植研究
CRL−1500ヒト乳房異種移植の確立及び処置
材料
CRL−1500ヒト乳癌細胞
規則に従う麻酔薬
Matrigel
マウス手術のために適切な外科器材
徐放性エストロゲンペレット(60〜90日)
【0119】
1.ヒト乳癌細胞を成長させ、それぞれの腫瘍に対して約5×10個の細胞を得た。
2.細胞を、PBS中に採取し、洗浄した。
3.採取及び洗浄した細胞を、25μL中、約500万個の細胞の密度で50%のMatrigel(商標)/培地中に再懸濁した(常時氷上)。
4.雌のマウスを麻酔し、固定した。
5.固定したマウスに対して、肩甲下の領域に徐放性(60日)エストロゲンペレットを接種した。
6.乳腺脂肪パッドを切開によって露出させ、細胞懸濁液25μLを、第3〜第4の鼠径部乳腺脂肪パッドに注入した。
7.切開部を縫合して閉じ、腫瘍を、測定可能なサイズ(約120〜150mm)まで成長させた。
8.同等のサイズの腫瘍を有するマウスを選択し、処置群と対照群にランダムに割り当てた。マウスを毎日観察した。
9.短くとも10時間の投与間隔で1日2回、試験化合物又はビヒクルのみをマウスに注入した。
10.腫瘍寸法を、ノギスで、毎週計測した(最長軸及び最短軸、mm)。
11.腫瘍寸法から、NIHプロトコルに従って、長楕円の体積のための以下の式により、腫瘍体積を計算した(L×W/2、式中、Lは2軸のうちの長い方、Wは短い方である)。
12.実験の終わりにあたり、マウスを、CO窒息により殺処分した。
13.腫瘍を解剖し、取り出し、秤量した。
14.取り出した腫瘍を、ホルマリン溶液中に固定し、又は急速冷凍し、組織学/免疫細胞化学又はプルダウンのために処理した。
【0120】
CRL−2813ヒト黒色腫異種移植の確立及び処置
1.CRL−2813癌細胞を成長させ、それぞれの腫瘍に対して約5×10個の細胞を得た。
2.細胞を、PBS中に採取し、洗浄した。
3.採取及び洗浄した細胞を、100μL中、約5×10個の細胞の密度で50%のMatrigel(商標)/培地中に再懸濁した。
4.細胞懸濁液100μLを皮下に注入した。
5.腫瘍を、約150mmまで成長させた(およそ2週間)。
1.マウスを、ランダムに処理群と対照群に分配し、毎日観察を行った。
2.短くとも10時間の投与間隔で1日2回、試験化合物又はビヒクルのみを注入した。
注:ビヒクル:トウモロコシ油。薬物溶液:35mg/mLの化合物を最初にエタノール中に溶解し、トウモロコシ油と混合し、その後、エタノールを蒸発させた。投与量:各用量=125μLのビヒクル又は薬物懸濁液、i.p.
3.腫瘍体積を、毎週計測した。
4.実験の終わりにあたり、マウスを殺処分し、腫瘍を取り出し、秤量した。
5.腫瘍を取り出し秤量した。
6.取り出した腫瘍を、ホルマリン溶液中に固定し、又は急速冷凍し、組織学/免疫細胞化学又はプルダウンのために処理した。
【0121】
4EGI−1は、黒色腫腫瘍中における発癌タンパク質の発現を阻害する。CRL−2813ヒト黒色腫異種移植を、サイクリンD1、サイクリンE、c−myc、Bcl−2、VEGF又はPCNAに特異的な抗体で免疫染色した(図13)。棒グラフは、免疫染色データの定量である(図14)。
【0122】
他の実施形態
他の実施形態が、当業者に明らかとなるであろう。前述の詳細な説明は、明快さのために提供されており、単に例示的であるということが、理解されるべきである。本開示の精神及びその範囲は、上記の実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲によって包含される。本明細書に引用される全ての文献の内容の全体は、参照によりその全体が組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】