特表2015-535815(P2015-535815A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2015-535815ポリカーボネートに担持させた医薬用ペンダント型1級アミン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-535815(P2015-535815A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】ポリカーボネートに担持させた医薬用ペンダント型1級アミン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/785 20060101AFI20151120BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20151120BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20151120BHJP
   C08K 5/46 20060101ALI20151120BHJP
   C08G 64/12 20060101ALI20151120BHJP
   C08G 64/18 20060101ALI20151120BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20151120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20151120BHJP
   A61L 29/00 20060101ALI20151120BHJP
   A61K 31/43 20060101ALI20151120BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20151120BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20151120BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20151120BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20151120BHJP
【FI】
   A61K31/785
   C08L69/00
   C08K5/18
   C08K5/46
   C08G64/12
   C08G64/18
   A61P31/00
   A61P43/00 121
   A61L29/00 P
   A61K31/43
   A61K31/196
   A61K45/00
   A61M25/00 610
   A61F13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2015-531953(P2015-531953)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月11日
(86)【国際出願番号】US2013057980
(87)【国際公開番号】WO2014042924
(87)【国際公開日】20140320
(31)【優先権主張番号】13/611,116
(32)【優先日】2012年9月12日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【復代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック、ジェームズ、エル.
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタラマン、シリニバス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、イ、ヤン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C084
4C086
4C167
4C206
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4C081AB13
4C081BA14
4C081CA18
4C081CA20
4C081CC01
4C081CC02
4C081CC04
4C081CE02
4C081DA12
4C081DC03
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZB32
4C084ZB35
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CC04
4C086FA03
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB32
4C086ZB35
4C086ZC75
4C167AA01
4C167BB06
4C167FF01
4C167GG01
4C167GG16
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA31
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB32
4C206ZB35
4C206ZC75
4J002CG021
4J002EN066
4J002EN116
4J002EV317
4J002FD206
4J002FD207
4J002GB00
4J002GB04
4J029AA09
4J029AB07
4J029AC01
4J029AC02
4J029AC03
4J029AD01
4J029AE06
4J029HC06
4J029JC281
4J029JC311
4J029KA01
4J029KB05
4J029KB16
4J029KC01
4J029KE09
4J029KH05
4J029KH06
(57)【要約】
ドラッグ・デリバリーのためのプロトン化したアミン・ペンダントを有するカチオン性ポリカーボネートを提供する。抗微生物性組成物は、アニオン性の薬剤と、式(2)の第1の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーとを含んでいる。
【化1】

((上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、R′は、独立して、水素、メチル、エチル、およびそれらの組合せから選択される1価ラジカルである。G′は、単結合を含む基および少なくとも1つの炭素を含有する基から選択される2価架橋基である。Xは、負に帯電したカウンター・イオンである。前記薬剤と、前記アミン・ポリマーとが、非共有結合性の相互作用により結合する。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性の薬剤と、
式(2)の第1の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーと
を含む、抗微生物性組成物。
【化1】
(上記式中、
a′は、1または2に等しい整数であり、
b′は、1または2に等しい整数であり、
R′は、独立して、水素、メチル、エチル、およびそれらの組合せから選択される1価ラジカルであり、
G′は、単結合および少なくとも1つの炭素を含有する基からなる群から選択される2価架橋基であり、
は、負に帯電したカウンター・イオンであり、
前記薬剤と、前記アミン・ポリマーとが、非共有結合性の相互作用により結合する。)
【請求項2】
G′は、前記アミン・ポリマーの主鎖に結合する窒素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記a′は、1であり、b′は1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミン・ポリマーは、微生物に対して0mg/Lを超え、200mg/Lよりも小さい最小抑制濃度(MIC)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミン・ポリマーは、4級アミン基を含み繰り返し単位を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アミン・ポリマーは、ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート、またはそれら両方である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記アミン・ポリマーは、2ブロックのコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アミン・ポリマーは、3ブロックのコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記アミン・ポリマーは、6以上の独立したブロック・コポリマーのアームを有するスター型ポリマーであり、前記アームはそれぞれ、第1の繰り返し単位を有する第2ブロックに結合したポリ(アルキレン・オキシド)主鎖を含む第1ブロックを含み、前記第1ブロックは、末端基により前記スター型ポリマーの共有的に架橋されたミクロゲル・コアに結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記アミン・ポリマーは、共有結合的に架橋されたヒドロゲルのペンダント基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記薬剤は、ジクロフェナク(DCF)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記薬剤は、ペニシリンG(PenG)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記アミン・ポリマーは、下記構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【化2】
(上記式中、Xは、負に帯電したカウンター・イオンであり、n′は50以上であり、x′は、10以上であり、y′は、10以上である。)
【請求項14】
下記構造式(4)の第1の繰り返し単位を含む、抗微生物性のアミン・ポリマー。
【化3】
(上記式中、
a′は、1または2に等しい整数であり、
b′は、1または2に等しい整数であり、
R′は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、およびそれらの組合せから選択される1価ラジカルであり、
L′は、2〜10の炭素を含む2価の架橋性基であり、
は、負に帯電したカウンター・イオンである。)
【請求項15】
前記アミン・ポリマーは、第1の繰り返し単位のホモポリマーであり、前記ホモポリマーは、モノマー性のアルコキシ末端基またはモノマー性のアリロキシ末端基を有する、請求項14に記載のアミン・ポリマー。
【請求項16】
前記アミン・ポリマーは、15〜45の重合度を有する、請求項15に記載のアミン・ポリマー。
【請求項17】
前記アミン・ポリマーは、水中、Echerichia coliに対して30mg/L〜125mg/Lの最小抑制濃度(MIC)を有する、請求項15に記載のアミン・ポリマー。
【請求項18】
前記アミン・ポリマーは、水中、黄色ブドウ球菌に対して30mg/L〜125mg/Lの最小抑制濃度(MIC)を有する、請求項15に記載のアミン・ポリマー。
【請求項19】
前記第1の繰り返し単位が、下記式である、請求項15に記載のアミン・ポリマー。
【化4】
【請求項20】
前記アミン・ポリマーが、下記構造を有する、請求項15に記載のアミン・ポリマー。
【化5】
(上記式中、x′は、15〜30の値の正の整数である。)
【請求項21】
前記アミン・ポリマーは、
i)第1の繰り返し単位、
ii)エステルまたはカーボネート主鎖基を含む疎水性の第2の繰り返し単位、および
iii)単量体のアルコキシ末端基または単量体のアリロキシ末端基
からなる、請求項14に記載のアミン・ポリマー。
【請求項22】
前記直鎖ランダムコポリマーは、10〜30の重合度を有する、請求項21に記載のアミン・ポリマー。
【請求項23】
i)第1の環状カーボネート・モノマー、
ii)開環重合のための親核性開始剤、
iii)有機触媒、および
iv)溶媒
を含む混合物を調整することと、
前記混合物を攪拌して開環重合により保護されたアミン・ポリマーを形成することと、
前記保護されたアミン・ポリマーを脱保護して抗微生物性のアミン・ポリマーを形成すること
とを含み、
前記第1の環状カーボネート・モノマーが式(6)の構造を有する方法。
【化6】
(上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、各R′は、独立して水素、メチル、エチルおよびそれらの組み合わせから選択される1価ラジカルであり、L′は、炭素2〜10の2価架橋基であり、P″は、1級アミン保護基である。)
【請求項24】
式(2)の第1の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーの水性混合物を形成することと、
【化7】
(上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、各R′は、独立して水素、メチル、エチルおよびそれらの組み合わせから選択される1価ラジカルであり、G′は、単結合および少なくとも1つの炭素を含有する基を含む群から選択される2価架橋基であり、Xは、負に帯電したカウンター・イオンである。)
アニオン性薬剤を含む第2の水性混合物を形成することと、
前記第1の混合物と、前記第2の混合物とを組み合わせて、前記アミン・ポリマーと前記薬剤とが非共有性の相互作用によって結合した抗微生物組成物を形成することと、
を含む方法。
【請求項25】
微生物を請求項1の組成物に接触させて、前記微生物を死滅させる方法。
【請求項26】
請求項1の組成物を基材の表面に配置し、溶媒を除去して抗微生物層を、前記基材の表面に形成する方法。
【請求項27】
前記基材は、医療用デバイスである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
医療用デバイスの表面に配置された請求項1の組成物を含む、物体。
【請求項29】
前記医療用デバイスは、カテーテルである、請求項28に記載の物体。
【請求項30】
前記医療用デバイスは、巻き付けて装着するために好適な材料である、請求項28に記載の物体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
当事者の共同研究への合意:本発明は、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションと、サイエンス・テクノロジー・アンド・リサーチ・エージェンシーとの間の共同研究契約のもとになされたものである。
【0002】
本発明は、ポリカーボネートに担持させた医薬用ペンダント型1級アミンに関し、より詳細には、セリノール、トレオニノールといった化合物から誘導される繰り返し単位を有するポリカーボネート類に関する。
【0003】
生物医学的な用途に対する抗微生物性材料の好ましい特性は、生分解性および生物学的互換性である。ペプチドに基づいた抗微生物剤は、in vivoで簡単に分解し、そして血液循環時間が短い。これは、部分的には、それらの構造内に1級アミン基が存在していることに起因させることができる。抗微生物性ペプチドは、しかしながら製造コストが高いという問題がある。より安い代替物が必要とされている。
【0004】
ポリカーボネートに担持させたプロトン化アミン基は、ペプチドに基づく抗体のための生分解性および生物学的互換性またはそれらいずれか一方を備えた置換体として魅力的である。一例としては、L−トレオニノールから誘導される環状カーボネート・モノマーは、1級アミン基が、t−ブトキシカルボニル(tBoc)基、またはベンジロキシカルボニル(Z)基で保護されており、これらが金属触媒による開環重合により調整および重合されて、ペンダント・1級アミン類を含むホモポリマーが形成された(F.Sandaら、Macromolecules 2001, 34, 1564−1569頁)。しかしながら、ホモポリマーは、高い電荷密度の故に、典型的には、抗微生物剤としては弱い。
【0005】
1級アミン基を担持する、例えばメタ(アクリレート)モノマーから誘導される他のポリマーは、生分解性が無いか、細胞毒性が高いか、またはそれら両方において、それらの使用が制限されてしまう。既存の材料の多くは、非選択性の殺生物性(すなわち、微生物および哺乳動物細胞に対しても壊滅的)である。
【0006】
新規医薬候補の開発コストの天文学的な増加の故に、既存薬のカプセル化および放出性についてのイノベーティブな戦略を延長することが、治療有効性を改善するための鍵となるアプローチのうちの1つとして採用されてきた。新規なナノサイズ・ドラッグ・デリバリー機構の開発に焦点を当てるストラテジーは、薬剤の生理学利用性の改善において、大きな衝撃を有していることが示されてきている。療法論の生物学的利用性についてのこのような改善は、承認された薬剤の既存の負担を効果的に管理することを可能とする。
【0007】
薬剤投与を管理するための包括的なストラテジーは、具体的には以下の側面において重要である。抗生物質に関して言えば、耐性菌の出現および新規抗生物質の認定を受けることが低率であることは、既存の抗生物質を投与してそれらの有効性を最大化させる必要性を生じさせてきた。非ステロイド系の抗炎症薬(NSAID)に関しては、全世界的な老齢人口の増加が、痛みを緩和するためのNSAIDsの最適使用の必要性をもたらしてきた。上述した両方の状況において、不適切な使用は、長期間的にみて壊滅的な影響をもたらすことになる。不適切な感染性疾病管理は、微生物の耐性の変化の機会を、指数関数的に増加させてしまう。NSAIDsの場合、胃腸部の合併症など、他の副作用が顕在化する。
【0008】
したがって、生分解性、生物学的互換性を備えるポリマーに担持させたペンダント型の1級アミン類は、抗微生物用途のためのペプチドを基礎とした材料の代替物、またはアニオン性薬剤といった生物学的活性を有する物質のデリバリー、およびそれら両方のために探索されてきた。ポリマーの他の望ましい特性として、注射液、または架橋したヒドロゲル層またはそれらの両方を形成することができる能力、およびGram陽性菌に加えGram陰性菌に対する高い活性を挙げることができる。
【発明の概要】
【0009】
すなわち、
アニオン性の薬剤と、
式(2)の第1の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーと
を含む、抗微生物性組成物が開示される。
【0010】
【化1】
(上記式中、
a′は、1または2に等しい整数であり、
b′は、1または2に等しい整数であり、
R′は、独立して、水素、メチル、エチル、およびそれらの組合せから選択される1価ラジカルであり、
G′は、単結合および少なくとも1つの炭素を含有する基を含む群から選択される2価架橋基であり、
は、負に帯電したカウンター・イオンであり、
前記薬剤と、前記アミン・ポリマーとが、非共有結合性の相互作用により結合する。)
【0011】
また、抗微生物性のアミン・ポリマーであって、
下記構造式(4)の第1の繰り返し単位を含む、抗微生物性のアミン・ポリマーが、開示される。
【0012】
【化2】

(上記式中、
a′は、1または2に等しい整数であり、
b′は、1または2に等しい整数であり、
R′は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、およびそれらの組合せから選択される1価ラジカルであり、
L′は、2〜10の炭素を含む2価の架橋性基であり、
は、負に帯電したカウンター・イオンである。)
【0013】
また、i)第1の環状カーボネート・モノマー、
ii)開環重合のための親核性開始剤、
iii)有機触媒、および
iv)溶媒
を含む混合物を調整することと、
前記混合物を攪拌して開環重合により保護されたアミン・ポリマーを形成することと、
前記保護されたアミン・ポリマーを脱保護して抗微生物性のアミン・ポリマーを形成すること
とを含み、
前記第1の環状カーボネート・モノマーが式(6)の構造を有する方法が開示される。
【0014】
【化3】
(上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、各R′は、独立して水素、メチル、エチルおよびそれらの組み合わせから選択される1価ラジカルであり、L′は、炭素2〜10の2価架橋基であり、P″は、1級アミン保護基である。)
【0015】
さらに式(2)の第1の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーの水性混合物を形成することと、
【0016】
【化4】
(上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、各R′は、独立して水素、メチル、エチルおよびそれらの組み合わせから選択される1価ラジカルであり、G′は、単結合および少なくとも1つの炭素を含有する基を含む群から選択される2価架橋基であり、Xは、負に帯電したカウンター・イオンである。)
アニオン性薬剤を含む第2の水性混合物を形成することと、
前記第1の混合物と、前記第2の混合物とを組み合わせて、前記アミン・ポリマーと前記薬剤とが非共有性の相互作用によって結合した抗微生物組成物を形成することと、
を含む方法が開示される。
【0017】
また、微生物を上述の組成物に接触させて、前記微生物を死滅させる、微生物の処理方法が開示される。
【0018】
また、上述の組成物を基材の表面に配置し、溶媒を除去して抗微生物層を、前記基材の表面に形成する他の方法が開示される。
【0019】
医療用デバイスの表面に配置された上述の組成物を含む、物体が開示される。
【0020】
本発明の上述したおよびその他の特徴および効果は、上述する詳細な説明、図面および添付した請求項から当業者により認識され、理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】管状支持体10の内壁14に堆積した層42を形成する方法を示す概略的な層図のシリーズを示す図。層42は、ペンダント型プロトンかアミン基を含むアミン・ポリマーを有する。
図2】実施例47(DCFを担持したアミン・ポリマーAPC9)の担持ナノ粒子からのジクロフェナクDCFのpH依存放出を示す図であり、2つの異なる緩衝溶液:PBS(pH7.4)および20mM酢酸ナトリウム/酢酸バッファ(pH5.6)中、37℃で24時間モニタした。
図3】大腸菌に対するAPC10(薬剤無添加)の抗微生物活性を示すバー・グラフ。最小抑制濃度(MIC)は、125mg/molであった。
図4】黄色ブドウ球菌に対するAPC10(薬剤無添加)の抗微生物活性を示すバー・グラフ。最小抑制濃度(MIC)は、250mg/molであった。
図5】ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に対する、それぞれ(a)、(b)、(c)でラベルしたポリマーAPC9、APC8、APC25の非細胞毒性を示すバー・グラフ。細胞生存性は、濃度500mg/Lまで、>80%を維持している。
図6】22℃で30日維持した実施例46、47のDCF担持ナノ粒子の粒径を、時間の関数としてプロットしたグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のポリカーボネートを含む1級アミン、簡潔の目的で“アミン・ポリマー”として参照する、は、単独で抗微生物ポリマー、または遺伝子、タンパクや薬剤(例えばアニオン性抗微生物剤)、またはこれらいずれか1つまたは全部といった、アニオン性の生物学的活性を有する材料のキャリアのいずれか1つまたは両方としての用途を有する。ポリカーボネートは、有機触媒開環重合(ROP)により調整される。アミン・ポリマーは、生分解性、生物学的互換性であり、いくつかの場合には、Gram陰性およびGram陽性菌に対して活性を有する。
【0023】
用語“生分解性”とは、アメリカン・ソサエティ・フォア・テスティング・アンド・マテリアルズにより生物学的活性、特に酵素活性により引き起こされる、材料の化学構造における顕著な変化を生じさせる分解として規定される。本実施形態の目的として、材料は、ASTMD6400にしたがい、180日以内に生物学的に60%分解した場合、“生分解性”とされる。本実施形態において、材料は、酵素による触媒反応によって材料が分解可能(脱ポリマー化)である場合、“酵素的に生分解性”とされる。
【0024】
本実施形態において、“生物学的互換性”の材料とは、特定の用途に応じて適切なホストと共に適用可能な材料として定義される。
【0025】
本実施形態において、“限定された金属”とは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、ビスマス、テルリウム、ポロニウム、および周期律表の第3〜12族の金属のイオン性または非イオン性形態のものを挙げることができる。周期律表の第3〜第12族の金属としては、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタニウム、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホロニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、アクチニウム、トリウム、プロタクチニウム、ウラニウム、ネプチウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークレリウム、カルフォリウム、アインスタニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲリウム、コペルニシウムを挙げることができる。上述した限定された金属のそれぞれ1つは、アミン・ポリマー中に0部〜100ppm(百万分の1)、0部〜100ppb(10億分の1)、または0部から100ppt(一兆分の1)の濃度を有することができる。上述した限定された金属のそれぞれ1つは、アミン・ポリマー中で0部(すなわち、濃度が検出限界以下)の濃度を有することが好ましい。本実施形態では、アミン・ポリマーを調整するために使用する成分の化学式は、上述した限定した金属のいずれも含まない。
【0026】
アミン・ポリマー中におけるホウ素、シリコン、または如何なる個別的なアルカリ金属の濃度には、制限はない。
【0027】
該アミン・ポリマーは、式(1)の繰り返し単位を有する。
【0028】
【化5】
上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、R′は、独立して水素、メチル、エチル、およびそれらの組合せから選択される1価ラジカルであり、G′は、単結合を含む基、および少なくとも1つの炭素を含有する基から選択される2価の架橋基である。本実施形態では、G′は、ポリカーボネート主鎖に結合した窒素を含む2価の架橋基とされる。
【0029】
上記式(1)のペンダント型1級アミンは、下記式(2)の繰り返し単の通り、遊離塩基(-NH2)または水素化されたアンモニウム塩(-NH3+X-)を有することができる。
【0030】
【化6】
上記式中、a′、b′、R′およびG′は、上記同様であり、Xは、負に帯電したカウンター・イオン(例えば、酢酸基、トリフロロ酢酸基、塩素、臭素)である。Xは、生物学的に活性な物質とすることができる。
【0031】
さらに後述する実施例は、G′が単結合、アミン・ポリマーが単独では、弱いまたは非効性の抗微生物特性を有する場合について開示する。しかしながら、化合物は、i)G′が単結合であり、ii)アニオン性の抗微生物剤を含有し、これらが非共有結合性の相互作用(例えば、イオン化合物)によって結合して、生分解性および生物学的互換性を有する抗微生物剤の効能を提供するものである。これらの例示においては、アミン・ポリマーは、アニオン性抗微生物剤のキャリアを提供する。例えば、式(2)のXは、ジクロフェナクまたはパクリタクセルといった抗微生物剤で置換されて、抗微生物化合物を形成することもできる。本アミン・ポリマーの単独での抗微生物活性は、ポリマー主鎖から1つ以上の結合により、ペンダントされる1級アミン基の間隔が増加することによって増加する。
【0032】
より具体的なアミン・ポリマーは、式(3)の第1の繰り返し単位を有する。
【化7】
上記式中a′は、1または2の整数に等しく、b′は、1または2の整数に等しく、各R′は、独立して、水素、メチル、エチルおよびそれらの組合せから選択される1価ラジカルであり、L′は、2〜10の炭素数を有する2価架橋基である。
【0033】
式(3)の1級アミン基は、式(4)の繰り返し単位において、水素塩の形態とすることができる。
【0034】
【化8】
上記式中、a′、b′、R′およびG′は、上記同様であり、Xは、負に帯電したカウンター・イオン(例えば、塩素、臭素、酢酸基、トリフロロ酢酸基)である。Xは、生物学的に活性な物質とすることができる。
【0035】
負に帯電したカウンター・イオンXは、アニオン性種であり、かつアミン・ポリマーに対して共有結合しないことが好ましい。例示的な負帯電のカウンター・イオンとしては、例えば、プロトン酸の複合塩基を挙げることができる。プロトン酸は、供与されることでアミンの水素塩を形成する、1つ以上のプロトンを有する。水素塩は、正帯電のプロトン化アミン基と、負帯電のプロトン酸の複合塩基とを有する。例示的な物プロトン酸は、酢酸、トリフロロ酢酸、およびp−トルエンスルホン酸を挙げることができる。例示的な2プロトン酸としては、スルホン酸およびグルタミン酸を挙げることができる。1実施形態では、アミン・ポリマーの第1の繰り返し単位が、1級アミン基とトリフロロ酢酸との水素塩を有する。
【0036】
式(3)または式(4)またはそれら両方の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーは、単独で抗微生物物質の効能を有することができる(すなわち、Xが、アニオン性の抗微生物剤でなくとも)。さらに、これらのアミン・ポリマーは、ポリマーがペンダント化された4級アミン基を有しない場合でも抗微生物剤として活性を有することができる。加えて、これらのアミン・ポリマーは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)といったGram陽性菌、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、真菌類、酵母、およびこれらの組合せといったGram陰性菌に対して毒性を有することができる。
【0037】
式(3)または式(4)またはそれら両方の繰り返し単位を含むアミン・ポリマーは、また、アニオン性抗微生物剤または非共有結合性のナノ粒子化された担持コンプレックス、またはこれら両方の形態で、他の生物学的に活性な材料のキャリアを提供する。アミン・ポリマーと、アニオン性薬剤とのコンプレックスは、アミン・ポリマー単独よりも向上した抗微生物特性を示すことができる。
【0038】
生物学的に活性な物質としては、細胞、生物分子(例えば、DNA、遺伝子、ペプチド、タンパク、酵素、脂質、リン脂質、およびヌムレオチド)、天然または合成の有機化合物(例えば、薬剤、線量、合成ポリマー、オリゴマー、およびアミノ酸)、無機材料(例えば、金属および金属酸化物)、上述の放射性同位体および上述した物の組み合わせを挙げることができる。生物学的に活性な物質は、2つ以上の独立した療法上の機能(例えば、抗微生物性、遺伝子デリバリー性、またはドラッグ・デリバリー性、またはこれらに如何なる組み合わせ)を有する担持複合体を与えるために組み合わせて使用することができる。
【0039】
本実施形態において、“生物学的に活性”とは、参照する材料が、細胞中の化学構造または活性、またはそれら両方を好ましい仕方で変化させること、他の細胞タイプに比較して選択的に細胞タイプ中の化学構造または活性、またはそれら両方を好ましい仕方で変化させること、または画像改善といった医療診断機能を提供することのいずれか1つまたは、これらの如何なる組み合わせを意味する。細胞活性の望ましい変化は、トランスフェクトした遺伝子の発現とすることができる。細胞活性の他の変化は、望ましいホルモンまたは酵素の製造を誘導することとすることができる。これとは別に、細胞活性の望ましい変化は、他の細胞タイプに比較して1つの細胞タイプを選択指摘に死滅させることとすることができる。生物学的に活性な物質により生じる細胞活性の相対的変化には、変化が望ましく、また有用である限り、特に制限はない。さらに、生物学的に活性な物質についても、生物学的に活性な物質が、担持複合体から放出されたときに有用な細胞応答性を誘導する限り、制限はない。生物学的に活性な物質は、4級アミン基を含むことができる。
【0040】
アミン・ポリマーは、ホモポリマー、リニア・ランダム・ポリマー、2以上のブロックを有するブロック・コポリマー、6以上の腕を有するスター型ポリマー、複数の分岐を有する共有結合により架橋したハイドロジェル、または非架橋性の他の分岐ポリマーとすることができる。トリブロック構造を有するアミン・ポリマーは、水中で非供給結合性の相互作用により、電荷を帯びていない第2のトリブロック共重合体と抗微生物性の混合複合体を形成することができる。他の実施例として、スター型構造を有するアミン・ポリマーは、6以上の独立したブロック・コポリマーの腕を含んでいても良い。それぞれの腕は、ポリ(アルキレン・オキシド)主鎖を有する第1のブロックと、第1のブロックが結合される第1の繰り返し単位を含む第2のブロックをと含むことができ、このとき、第1のブロックは、スター型ポリマーの共有結合的に架橋されたミクロゲル・コアに末端基によって結合される。
【0041】
アミン・ポリマーは、非立体特異性、または立体特性、またはそれら両方の繰り返し単位を含むことができる。立体特異性の繰り返し単位は、i)重ね合わせることができない鏡像を有し、ii)1つ以上の非対称の4価炭素(すなわち、テトラヘドラルなsp炭素)を含む。それぞれの非対称4価炭素は、Cahn−Ingold−Prelog(CIP)対象規則に基づき、RまたはS対称が割り当てられる。例えば、ブロック共重合体A−B′のブロックB′が、1の非対称な4価炭素を有する立体特異的な第1の繰り返し単位を含む場合、ブロックB′中の第1の繰り返し構造単位は、実質的にR立体異性体、またはS立体異性体として存在し、これは、立体異性体が、90%〜100%、94%以上、またはより具体的には、98%〜100%の立体異性体純度で存在することを意味する。他の実施例では、立体特異性の繰り返し単位が、2つの非対称な4価炭素を有する場合、立体特性性の第1の繰り返し単位は、ブロックB′に実質的にR、R立体異性体、実質的にR、S立体異性体、実質的にS、S立体異性体、または実質的にS、R立体異性体として存在する。
【0042】
アミン・ポリマーは、好ましくは、保護された1級アミンを担持した第1の環状カーボネート・モノマーの有機触媒開環重合により調整される。開環重合のための反応混合物は、i)第1のカーボネート・モノマー、ii)開環重合のための求核開始剤、iii)有機触媒およびiv)溶媒を含む。開環重合は、ペンダント型の保護された1級アミンを有する第1の繰り返し単位を含む中間体アミン・ポリマーを製造する。保護された1級アミンは、穏和な条件下で脱保護されて、ポリカーボネート主鎖の顕著な劣化を伴わないアミン・ポリマーを形成する。
【0043】
第1の環状カーボネート・モノマーは、式(5)に従う構造を有する。
【0044】
【化9】
上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、各R′は、独立して水素、メチル、エチルおよびそれらの組み合わせから選択される1価ラジカルであり、G′は、単結合を含む群および少なくとも1の炭素を含む群から選択される2価架橋基であり、P″は、1級アミン保護基である。実施形態においては、G′は、環状カーボネート環に結合した窒素を備える2価架橋基である。
【0045】
余地具体的な第1の環状カーボネート・モノマーは、式(6)に従う構造を有する。
【0046】
【化10】
上記式中、a′は、1または2に等しい整数であり、b′は、1または2に等しい整数であり、各R′は、独立して水素、メチル、エチルおよびそれらの組み合わせから選択される1価ラジカルであり、L′は、炭素2〜10の2価架橋基であり、P″は、1級アミン保護基である。第1の環状カーボネートは、単独で、または異なる第1の環状カーボネート・モノマーと組み合わせて使用することができる。
【0047】
第1の環状カーボネート・モノマーは、立体特性であっても、非立体特性であっても良い。立体特異性の環状モノマーは、i)重ね合わせることができない鏡像を有し、ii)少なくとも1つの非対称な4価炭素を含む。立体特異性の環状モノマーは、環状カーボネートおよび環状のエステル・モノマーを含んでいて、90%以上、より具体的には、98%以上の立体異性体純度を有する。立体特異的な環状モノマーにおける非対称の4価炭素は、開環重合においてポリマーの主鎖炭素となる1以上の環を形成する炭素を含む。
【0048】
1級アミンの例示的な保護基としては、表1に示される、ベンジルオキシカルボニル基(Z)、tert−ブチロキシカルボニル基(tBoc、または、“Boc”基と記載される。)、およびフルオレニルオキシカルボニル(Fmoc)基を挙げることができる。
【0049】
【表1】
【0050】
Z保護基は、アシドリシスまたは触媒的な水素化により除去される。Boc保護基は、アシドリシスにより除去できる。Fmoc保護基は、塩基、典型的には第2アミンにより除去できる。実施形態では、式(5)または式(6)またはそれら両方のP″は、Boc基である。他の実施形態では、中間体アミン・ポリマーのBoc保護された1級アミンは、フッ素化したカルボン酸の処理で脱保護化される。好ましくは、フッ素化酢酸は、トリフロロ酢酸である。
【0051】
具体的な第1の環状カーボネート・モノマーとしては、下記の構造で示されるtBuODCを挙げることができる。
【0052】
【化11】
これらは、市販に利用できるN−Boc−セリノールのホスゲン化により調整できる。
【0053】
【化12】
【0054】
tBuODCから誘導されるアミン・ポリマーは、下記構造の第1の繰り返し単位(脱保護後)を有する。
【0055】
【化13】
上式中、Xは、負電荷のカウンター・イオンである。Xは、アニオン性薬剤とすることができる。
【0056】
同様に、tBuMODCは、下記構造を有し、
【0057】
【化14】
市販に利用可能なN−Boc−トレオニノールのホスゲン化で調整できる。
【化15】
【0058】
tBuMODCから誘導されるアミン・ポリマーは、下記構造の第1の繰り返し単位を有する。
【0059】
【化16】
上記式中、X−は、負電荷のカウンター・イオンであり、アニオン性薬剤とすることができる。立体化学性は示していない。
【0060】
下記のN−Boc−トレオニノールは、(R、R)の立体科学性を有しており、立体特性の環状カーボネート・モノマーである、L−tBuMODCを調整するのに使用でき、保護された1級アミン基を有する。
【0061】
【化17】
【0062】
第1の繰り返し単位は、プロトン化した1級アミン基を含み、アミン・ポリマー中に、アミン・ポリマーを調整するために使用する環状カルボニル・モノマーの全モル数に対して、約20mol%〜100mol%で存在する。
【0063】
第1の環状カーボネート・モノマーに加え、開環重合のための反応混合物は、また1以上の、環状カーボネート、環状エステル(ラクトン)、およびこれらの組み合わせから選択される環状カルボニル・コモノマーを含む。環状カルボニル・コモノマーは、例えば、開環ポリマー鎖の疎水性または親水性、またはそれら両方を調整するための希釈剤とされる。環状カルボニル・コモノマーは、立体特異性を有していても非立体特性であっても良い。環状カルボニル・コモノマーは、保護されたアミンを含むことができ、重合後に脱保護することができる。
【0064】
例示的な環状カルボニル・コモノマーとしては、表2の化合物を挙げることができる。
【0065】
【表2】
【0066】

【0067】
【0068】
【0069】
上述した環状カルボニル・コモノマーは、酢酸エチルといった溶媒からの再結晶、または他の知られた精製方法によって精製することができ、ここで、コモノマーからは、可能な限りの水分を除去することに留意されたい。コモノマーの水分含有量は、1〜10,000ppm、1〜1,000ppm、1〜500ppmとすることができ、モノマーの重量の1〜100ppmとすることが最も好ましい。
【0070】
ROP開始剤
ROP反応混合物は、開示剤を含んでいる。この開始剤は、開環重合したポリマー鎖の繰り返しユニットに共有結合した鎖フラグメントとなる。開環重合のための開始剤は、概ねアルコール、1級アミン、セカンダリー・アミン、チオール、およびこれらの組み合わせといった求核基を含む。開始剤は、少なくとも1つの活性な求核開始基を含むことができる。開始剤は、ポリマー性であっても非ポリマー性であっても良い。例えば、開始剤は、ポリマー性アルコール、ポリマー性アミン、またはポリマー性チオールとすることができる。
【0071】
より具体的には、開環重合反応の開始剤は、アルコールである。アルコール開始剤は、如何なる置換アルコールとすることができ、モノアルコール、示オール、トリオールまたは他のポリオールを挙げることができる。アルコールは、1以上の水酸基に加え、エーテル基、エステル基、アミド基、または他の機能性基を含んだ多機能性とすることができる。例示的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコールおよび他の脂肪族系飽和アルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノールおよび他の脂環式アルコール、フェノール、置換フェノール、ベンジルアルコール、置換ベンジルアルコール、ベンゼンジメタノール、トリメチルプロパン、サッカライドまたはこれらの組み合わせを挙げることができる。モノマー性のジオール開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ハイドロキノン、およびレゾルシノールを挙げることができる。他の例示的な示オールは、2,2−ジメチロールプロピオン酸から誘導されるBnMPAである。
【0072】
【化18】
BnMPAは、環状カーボネート・モノマーの調整における前駆体として使用される。
【0073】
開始剤は、プロトン化された求核性ROP開始剤基を挙げることができ、これらとしては、保護されたチオール、保護されたアミンおよび保護されたアルコールを挙げることができる。
【0074】
例示的なポリマー性のモノ−求核性ROP開始剤としては、モノ−末端キャップポリ(エチレングリコール)(例えば、モノ−メチルポリ(エチレングリコール)(mPEG−OH))類およびモノ−末端キャップポリ(プロピレングリコール)類を挙げることができる。
【0075】
例示的な2求核性ポリエーテルROP開始剤としては、構造HO−[CHCH]−OHを有するポリ(エチレングリコール)(PEGまたはHO−PEG−OHとして参照する。)および構造HO−[CH(CH)(CH)]−OH(HO−PEG−OH)を有するポリ(プロピレングリコール)(PPGまたはHO−PEG−OHとして参照する。)およびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド繰り返し単位を含む共重合体を挙げることができる。
【0076】
2求核性ポリエーテル開始剤の数平均分子量(Mn)は、100〜10000Da、より好ましくは、1000〜5000Daとすることができる。
【0077】
実施形態においては、開始剤は、mono−メチル末端キャップポリエチレングリコール(mPEG−OH)といったモノ−末端キャップポリ(アルキレングリコール)であり、これは、異なった平均分子量のものが市販で利用できる。
【0078】
エンドキャップ剤
中間体アミン・ポリマー(すなわち、脱保護化以前)またはアミン・ポリマーの、エンドキャップは、任意的である。エンドキャップ剤は、さらなる鎖の成長を防止し、反応性の末端基を安定化させる。例えば、エンドキャップ剤としては、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、または反応性エステル類(例えば、p−ニトロフェニルエステル類)末端の水酸基をエステルに変換する材料を挙げることができる。実施形態では、エンドキャップは、無水酢酸であり、これは、反応性水酸基末端基を酢酸エステル基に変換する。エンドキャップ基はまた、生物学的に活性な部分とすることができる。
【0079】
開環重合(ROP)
開環重合のための後述する方法、条件および材料は、抗微生物性組成物を調整するアミン・ポリマーおよび他のROPコンポーネントに適用される。
【0080】
開環重合は、室温若しくはより高い温度である15℃〜40℃、より好ましくは20℃〜40℃で行うことができる。反応時間は、溶媒、温度、攪拌速度、圧力および装置により変化するが、通常、重合は、1〜100時間で完了する。
【0081】
ROP反応は、溶媒を使用して行われる。溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、石油エーテル、アセトニトリル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または上述した溶媒の1つを含む組み合わせを挙げることができる。好適なモノマー濃度は、約0.1〜5mol/Lであり、約0.2〜4mol/Lが最も好ましい。
【0082】
ROP重合は、窒素またはアルゴンといった不活性(すなわち、乾燥)雰囲気中で、100〜500MPa(1〜5atm)、より典型的には、100〜200MPa(1〜2atm)の圧力で行われる。反応の完了で溶媒は、減圧して除去することができる。
【0083】
触媒は、その化学式が、上述した限定した金属をいずれも含まないものである。開環重合のための有機触媒の例は、トリアリルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ベンジルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、フォスフィン類、N−ヘテロ環式カルベン類(NHC)、2官能性アミノチオ尿素類、フォスファゼン類、アミジン類、およびグアニジン類を挙げることができる。
【0084】
より具体的な有機触媒は、N−ビス(3,5−トリフロロメチル)フェニル−N′−シクロへキシル−チオ尿素である。
【0085】
【化19】
【0086】
他のROP有機触媒は、少なくとも1の1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン−2−オール−2−イル(HFP)基を含む。単一供与性水素結合を提供する触媒は、式(7)を有する。
【0087】
【化20】
上記式中、Rは、水素または1〜20の炭素を有する単価ラジカル、例えばアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロシ環式アルキル基、置換ヘテロ環式アルキル基、アリル基、置換アリル基およびこれらの組み合わせを表す。例示的な単一供与性水素結合を提供する触媒を表3に挙げる。
【0088】
【表3】
【0089】
2供与性水素結合触媒は、2つのHFP基を有し、一般式(8)で示される。
【0090】
【化21】
上記式中、Rは、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、置換シクロアルキレン基、ヘテロ環式アルキレン基、置換ヘテロ環式アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基、およびこれらの組み合わせといった1〜20炭素の2価ラジカル架橋基である。式(8)で示す例示的な2価水素結合触媒を表4に挙げる。特定の実施形態では、Rは、アリーレン基または置換アリーレン基であり、HFP基は、芳香族環の互いにメタの位置を占める。
【0091】
【表4】
【0092】
また、考慮されるべき触媒は、支持体に結合するHFP含有基を含む。1実施形態では、支持体は、ポリマー、架橋ポリマービーズ、無機粒子、または金属粒子を含む。HFP含有ポリマーは、HFP含有モノマー(例えば、メタクリレートモノマー、3,5−HFA−MAまたはスチリルモノマー、3,5−HFA−St)の直接重合を含む既知の方法によって形成することができる。直接重合(またはコモノマーとの重合)を生じさせるHFP含有モノマーとしては、アクリレート、メタクリレート、アルファ,アルファ,アルファ−トリフロロメタクリレート、アルファ−ハロメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ノルボルネン、ビニル、ビニルエーテル、および当業界で既知の他の基を挙げることができる。結合基の例としては、C−C12アルキル基、C−C12ヘテロアルキル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、エステル基、アミド基、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。また、考慮されるべきなのは、ポリマーまたは支持体表面の反対電荷のサイトにイオン的に連係する電荷を帯びたHFP含有基である。
【0093】
ROP反応混合物は、少なくとも1の有機触媒を含み、適切である場合、2またはそれ以上の有機触媒を共に含有する。ROP触媒は、環状カルボニル・モノマーに対して1/20〜1/40,000mol、好ましくは、環状カルボニル・モノマーに対して1/1,000〜1/20,000モルの割合で添加される。
【0094】
ROP促進剤
ROP重合は、任意的に促進剤、とりわけ窒素性塩基の存在下で行うことができる。例示的な窒素性塩基促進剤としては以下、ピリジン(Py)、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン(MeNCy)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トランス1,2−ビス(ジメチルアミノ)シクロヘキサン(TMCHD)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デク−5−エン(TBD)7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[ 4,4,0]デク−5−エン(MTBD)、(−)−スパルテイン(Sp)、1,3−ビス(2−プロピル)−4,5−ジメチルイミダゾールー2−イリデン(Im−1)、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(Im−2)、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル(イミダゾール−2−イリデン)(Im−3)、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾール−2−イリデン(Im−4)、1,3−ジ−i−プロピルイミダゾール−2−イリデン(Im−5)、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾール−2−イリデン(Im−6)、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン(Im−7)、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン(Im−8)、またはこれらの組み合わせを挙げることができ、これらを表5に示す。
【0095】
【表5】
【0096】
1実施形態においては、促進剤は、例えば(−)−スパルテインのように、それぞれが、Lewis塩基として機能することができる2または3の窒素を有する。より強い塩基は、通常重合速度を改善する。
【0097】
触媒および加速剤は、同一の材料であっても良い。例えば、いくつかの開環重合は、他の触媒や促進剤の存在無く、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)単独で行うことができる。
【0098】
触媒は、環状カルボニル・モノマーの全モル数の約0.2~20mol%、約0.5〜10mol%、1〜5mol%、または約1〜2.5mol%の量で添加されるのが好ましい。
【0099】
窒素基促進剤が使用される場合、環状カルボニル・モノマーの全モル数に対して0.1〜5.0mol%、0.1〜2.5mol%、0.1〜1.9mol%、0.2〜0.5mol%の量で添加されるのが好ましい。上述したように、触媒および窒素基促進剤のいくつかの例は、特定の環状カルボニル・モノマーに依存して、同一の化合物とすることができる。
【0100】
開始剤の量は、開環重合における関与する親核性の開始剤基と当量的な分子量に基づいて計算される。関与する開始剤基は、重合に使用する環状カルボニル・モノマーの全モル数に対して0.001〜10mol%、0.1〜2.5mol%、0.1〜1.0mol%、および0.2〜0.5mol%で添加されることが好ましい。例えば、開始剤の分子量が100g/molである場合、かつ開始剤が2つの関与する水酸開始基を有する場合、水酸基当たり当量の分子量は、50g/molとなる。重合が環状カルボニル・モノマーの1モル当たり5mol%の反応性水酸基を必要とする場合、開始剤の量は、環状カルボニル・モノマー1モル当たり、0.05×50=2.5gとなる。
【0101】
特定の実施形態においては、触媒は、約0.2〜20mol%の量で添加され、窒素基促進剤は、0.1〜5.0mol%の量で添加され、関与する開始剤の親核性開始基は、開始剤の関与する親核性開始剤機あたり、等量の分子量に対して0.1〜5.0mol%で存在する。
【0102】
触媒は、選択的な析出、または固体で保持された触媒の場合には、単純に濾過により除去することができる。中間体アミン・ポリマーは、前駆体アミン・ポリマーおよび残留触媒の全質量に対して0wt%(重量%)を超える量の残留触媒を含有することができる。残留触媒の量は、また、前駆体アミン・ポリマーおよび残留触媒の全重量に対して20wt%未満、15wt%未満、10wt%未満、5wt%未満、1wt%未満とすることができ、最も好ましくは、0.5wt%未満である。
【0103】
アミン・ポリマー、中間体アミン・ポリマーのいずれか、または両方は、分子排斥クロマトグラフィーで決定される数平均分子量(Mn)で、少なくとも1500g/mol、より具体的には、1500g/mol〜1,000,000g/mol、4000g/mol〜150000g/mol、または4000g/mol〜50000g/molを有することが好ましい。1実施例では、アミン・ポリマー、中間体アミン・ポリマーのいずれかまたは両方は、数平均分子量で、4,000〜15、000g/molを有する。アミン・ポリマー、中間体アミン・ポリマーのいずれかまたは両方は、また概ね1.01〜2.0、より好ましくは1.01〜1.30、およびより好ましくは、1.01〜1.25である小さな多分散指数(PDI)を有することが好ましい。
【0104】
工業上の利用可能性
本アミン・ポリマーは、単独で、または遺伝子、タンパク、薬剤のいずれかまたはこれらを含む広範な生物学的に活性な物質複合体(担持した複合体)の形態で使用することができる。方法は、アミン・ポリマーまたは担持複合体またはこれら両方に微生物を接触させることで、未成物を死滅させることを含む。アミン・ポリマーおよび生物学的に活性な物質は、非共有結合性の相互作用によって結合される。生物学的に活性な物質は、水中でアミン・ポリマーにより形成されるミセル状ナノ構造のコア内にカプセル化されることができる。例えば、ポリ(エチレンオキシド)鎖を有するアミン・ポリマーは、薬剤中に存在するアニオン性残基とカチオン性ポリマーとの間の静電的相互作用により、担持複合体を形成することができる。カプセル化プロセスは、潜在的に毒性の有機溶媒を使用することなく水性混合物中で行うことができる。ポリマーの生物学的互換性、構造的多様性、ナノサイズ薬剤を担持した粒子の組み合わせることにより、アニオン性治療薬の効果的なデリバリーを提供する。1実施形態では、担持複合体は、アミン・ポリマーと、ジクロフェナク(DCF)またはペニリシンG(PenG)薬とを含む。
【0105】
アミン・ポリマー、アミン・ポリマーの担持複合体、またはそれら両方を含む抗微生物性組成物は、粉末、流動性のある溶液(例えば、水性ミセル溶液)、粘性流体、ヒドロゲル、ペースト、クリーム、フィルムまたはこれらのいずれもといった種々の形態を有することができる。
【0106】
アミン・ポリマーおよび任意的な生物学的活性材料としては、これらの材料の広範な用途を提供する生物分解性の構造における化学的機能の多くのタイプのものを挙げることができる。例えば、組成物は、注射液または種々の医薬的に有用な基材上の抗微生物性フィルム層として配置される混合物とすることができる。この層は、少なくともGram陽性菌の成長を効果的に抑制することができる。
【0107】
基材としては、布、ガーゼ、金属、プラスチック、およびこれらの組み合わせといった材料を含む。基材は、組成物を配置するために適切な如何なる形状または輪郭を有していても良い。
【0108】
基材は、医療用デバイスとすることができる。医療用デバイスとしては、バンデージ、ガーゼ、カテーテル、スワブ、カテーテル、縫合糸、ステント、ベッドパン、手袋、顔用マスク、吸収パッド、吸収衣類、内部吸収デバイス、人工臓器、医用機器および挿入可能な機械的デバイスを挙げることができる。1実施例では、物体は、医用デバイスの表面に配置される、アミン・ポリマーおよび生物学的に活性な基材を含む層を有する。他の実施形態では、医療用デバイスは、カテーテルとすることができる。他の実施例では、医療用デバイスは、ガーゼといった、巻き付けて着用するために好適な材料とすることができる。
【0109】
図1の概略的な層ダイアグラムに示す例示的な方法は、アミン・ポリマーを含有する混合物が、管状基材10(カテーテル)の内壁14(凹面)に配置されて、アミン・ポリマーと生物学的に活性な材料とを含む増22を形成する。空気16および界面24が示されている。管状基材10は、また空気16に露出された外壁12(凸面)を有する。
【0110】
本組成物は、如何なる適切な技術、例えば、ディップ・コーティング、ブラシ・コーティング、インジェクション・コーティング、スピン・コーティング、スプレイ・コーティングおよびこれらの組み合わせを使用して溶液被覆混合物の形態(例えば、水性溶液)で基材上に配置することができる。
【0111】
市販に利用可能な薬剤としては、例示的に、13−シス−レチノイン酸(13-cis-Retinoic Acid),2−CdA,2−クロロデオキシアデノシン(2-Chlorodeoxyadenosine),5−アザシチジン(5-Azacitidine),5−フロロウラシル(5-Fluorouracil),5−FU,6−メルカプトプリン(6-Mercaptopurine),6−MP,6−TG,6−チオグアニン(6-Thioguanine),アブラキサン(Abraxane),アキュタン(Accutane)(登録商標),アクチノマイシン−D(Actinomycin-D),アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標),アドルシル(Adrucil)(登録商標),アフィニター(Afinitor)(登録商標),アグリリン(Agrylin)(登録商標),アラ−コート(Ala-Cort)(登録商標),アデスロイキン(Aldesleukin),アレムツズマブ(Alemtuzumab),ALIMTA,アリトレチノイン(Alitretinoin),アルカバン−AQ(Alkaban-AQ)(登録商標),アルケラン(Alkeran)(登録商標),オールトランスレチノイン酸(All-transretinoic Acid),αインターフェロン(Alpha Interferon),アルトレタミン(Altretamine),アメソプテリン(Amethopterin),アミフォスチン(Amifostine),アミノグルテチイミド(Aminoglutethimide),アナグレリド(Anagrelide),アナンドロン(Anandron)(登録商標),アナストロゾール(Anastrozole),アラビノシルシトシン(Arabinosylcytosine),Ara−C,アラネスプ(Aranesp)(登録商標),アレディア(Aredia)(登録商標),アリミデックス(Arimidex)(登録商標),アロマシン(Aromasin)(登録商標),アラノン(Arranon)(登録商標),アルセニックトリオキシド(Arsenic Trioxide),アスパラギナーゼ(Asparaginase),ATRA,アバスティン(Avastin)(登録商標),アザシチジン(Azacitidine),BCG,BCNU,ベンダムスチン(Bendamustine),ベバシズマブ(Bevacizumab),ベクサロテン(Bexarotene),BEXXAR(登録商標),ビカルタミド(Bicalutamide),BiCNU,ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標),ブレオマイシン(Bleomycin),ボルテゾミブ(Bortezomib),ブスルファン(Busulfan),ブスルフェクス(Busulfex)(登録商標),C225,カルシウムロイコボリン(Calcium Leucovorin),カンパス(Campath)(登録商標),カムプトサル(Camptosar)(登録商標),カムプトテシン−11(Camptothecin-11),カペシタビン(Capecitabine),カラク(Carac)(商標),カルボプラチン(Carboplatin),カルムスチン(Carmustine),カルムスチンウエハ(Carmustine Wafer),カソデックス(Casodex)(登録商標),CC−5013,CCI−779,CCNU,CDDP,CeeNU,セルビジン(Cerubidine)(登録商標),セツシキシマブ(Cetuximab),クロラムブシル(Chlorambucil),シスプラチン(Cisplatin),シトロボルムファクター(Citrovorum Factor),クラドリビン(Cladribine),コルチゾン(Cortisone),コスメゲン(Cosmegen)(登録商標),CPT−11,シクロフォスファミド(Cyclophosphamide),シタドレン(Cytadren)(登録商標),シタラビン(Cytarabine),シタラビンリポソマル(Cytarabine Liposomal),シトスター−U(Cytosar-U)(登録商標),シトキサン(Cytoxan)(登録商標),ダカルバジン(Dacarbazine),ダコゲン(Dacogen),ダクチノマイシン(Dactinomycin),ダルベポテインアルファ(Darbepoetin Alfa),ダサチニブ(Dasatinib),ダウノマイシン(Daunomycin),ダウノルビシン(Daunorubicin),ダウノルビシンハイドロクロリド(Daunorubicin Hydrochloride),ダウノルビシンリポソマール(Daunorubicin Liposomal),ダウノゾーム(DaunoXome)(登録商標),デカドロン(Decadron),デシタビン(Decitabine),デルタ−コルテフ(Delta-Cortef)(登録商標),デルタゾーン(Deltasone)(登録商標),デニロイキンディフチトックス(Denileukin Diftitox),デポシト(DepoCyt)(商標),デキサメタゾン(Dexamethasone),デキサメタゾンアセテート(Dexamethasone Acetate),デキサメタゾンソジウムフォスフェート(Dexamethasone Sodium Phosphate),デキサゾン(Dexasone),デスクラゾキサン(Dexrazoxane),DHAD,DIC,ディオデックス(Diodex),ドセタクセル(Docetaxel),ドキシル(Doxil)(登録商標),ドキソルビシン(Doxorubicin),ドキソルビシンリポソマール(Doxorubicin Liposomal),ドロキシア(Droxia)(商標),DTIC,DTIC−DOME(登録商標),デュラローン(Duralone)(登録商標),エフデックズ(Efudex)(登録商標),エリガード(Eligard)(商標),エレンス(Ellence)(商標),エロキサチン(Eloxatin)(商標),エルスパー(Elspar)(登録商標),エムシト(Emcyt)(登録商標),エピルビシン(Epirubicin),エポエチンアルファ(Epoetin Alfa),エルビツックス(Erbitux),エルロチニブ(Erlotinib),エルウィニアL−アスパラギナーゼ(Erwinia L-asparaginase),エストラムスチン(Estramustine),エチオール(Ethyol),エトポフォス(Etopophos)(登録商標),エトポシド(Etoposide),エトポシドフォスフェート(Etoposide Phosphate),ユーレキシン(Eulexin)(登録商標),エベロリムス(Everolimus),エビスタ(Evista)(登録商標),エクセメスタン(Exemestane),ファレストン(Fareston)(登録商標),ファスロデックス(Faslodex)(登録商標),フェマラ(Femara)(登録商標),フィルグラスチム(Filgrastim),フロクスリジン(Floxuridine),フルダラ(Fludara)(登録商標),フルダラビン(Fludarabine),フルオロプレックス(Fluoroplex)(登録商標),フロロウラシル(Fluorouracil),フロロウラシル(クリーム)(Fluorouracil (cream)),フルオキシメステロン(Fluoxymesterone),フタミド(Flutamide),フォリニックアシッド(Folinic Acid),FUDR(登録商標),フルベストラント(Fulvestrant),G−CSF,ゲフィチニブ(Gefitinib),ゲムシタビン(Gemcitabine),ゲムツズマブオゾガミシン(Gemtuzumab ozogamicin),ゲムザール(Gemzar),グレベック(Gleevec)(商標),グリアデル(Gliadel)(登録商標) ウエハ(Wafer),GM−CSF,ゴセレリン(Goserelin),グラヌロシト−コロニー刺激ファクタ(Granulocyte - Colony Stimulating Factor),グラヌロシトマクロファージコロニー刺激ファクタ(Granulocyte Macrophage Colony Stimulating Factor),ハロテシン(Halotestin)(登録商標),ヘルセプチン(Herceptin)(登録商標),ヘキサドロール(Hexadrol),ヘキサレン(Hexalen)(登録商標),ヘキサメチルメラミン(Hexamethylmelamine),HMM,ヒカムチン(Hycamtin)(登録商標),ヒドレア(Hydrea)(登録商標),ヒドロコートアセテート(Hydrocort Acetate)(登録商標),ヒドロコルチゾン(Hydrocortisone),ヒドロコルチゾンソジウフォスフェート(Hydrocortisone Sodium Phosphate),ヒドロコルチゾンソジウムサクシネート(Hydrocortisone Sodium Succinate),ヒドロコルトンフォスファーゼ(Hydrocortone Phosphate),ヒドロキシウレア(Hydroxyurea),イブリツモマブ(Ibritumomab),イブリツモマブティウキセタンいだミシン(Ibritumomab Tiuxetan Idamycin)(登録商標),イダルビシン(Idarubicin),イフェックス(Ifex)(登録商標),IFN−アルファイフォスファミド(IFN-alpha Ifosfamide),IL−11 IL−2,イマチニブメシレート(Imatinib mesylate),イミダゾールカルボキシアミド(Imidazole Carboxamide),インタフェロンアルファ(Interferon alfa),インタフェロンアルファ−2b (Interferon Alfa-2b) (PEG 結合),インターロイキン−2(Interleukin - 2),インターロイキン−11(Interleukin-11),イントロンA(Intron A)(登録商標) (interferon alfa-2b),イレッサ(Iressa)(登録商標),イリノテカン(Irinotecan),イソトレチノイン(Isotretinoin),イクサベピロン(Ixabepilone),イクセムペラ(Ixempra)(商標),Kキドロラーゼ(t)(K Kidrolase (t)),ラナコート(Lanacort)(登録商標),ラパチニブ(Lapatinib),L−アスパラギナーゼ(L-asparaginase),LCR,レナリドミド(Lenalidomide),レトロゾール(Letrozole),ロイコボリン(Leucovorin),ロイケラン(Leukeran),ロイキン(Leukine)(商標),ロイプロリド(Leuprolide),ロイロクリスチン(Leurocristine),ロイスタチン(Leustatin)(商標),リポソマールアラ−C(Liposomal Ara-C),リキッドプレッド(Liquid Pred)(登録商標),ロムスチン(Lomustine),L−PAM,L−サルコリシン(L-Sarcolysin),ルプロン(Lupron)(登録商標),ルプロンデポ(Lupron Depot)(登録商標),マツラーン(Matulane)(登録商標),マキシデックス(Maxidex),メクロレタミン(Mechlorethamine),メクロエタミンヒドロクロリド(Mechlorethamine Hydrochloride),メドラロン (Medralone)(登録商標),メドロール(Medrol)(登録商標),メガース(Megace)(登録商標),メゲストロール(Megestrol),メゲストロールアセテート(Megestrol Acetate),メルファラン(Melphalan),メルカプトプリン(Mercaptopurine),メンサ(Mesna),メンセックス(Mesnex)(商標),メトトレキセート(Methotrexate),メトトレキセートソジウム(Methotrexate Sodium),メチルプレドニソロン(Methylprednisolone),メチコルテン(Meticorten)(登録商標),ミトマイシン(Mitomycin),ミトマイシン−C(Mitomycin-C),ミトキサントロン( Mitoxantrone),M−プレドニソール(M-Prednisol)(登録商標),MTC,MTX,ムスターゲン(Mustargen)(登録商標),ムスチンムタミシン(Mustine Mutamycin)(登録商標),マイレラン(Myleran)(登録商標),マイロセル(Mylocel)(商標),マイロターグ(Mylotarg)(登録商標),ナベリビン(Navelbine)(登録商標),ネララビン(Nelarabine),ネオスター(Neosar)(登録商標),ニューラスタ(Neulasta)(商標),ニューメガ(Neumega)(登録商標),ニュープロゲン(Neupogen)(登録商標),ネクサバー(Nexavar)(登録商標),ニランドロン(Nilandron)(登録商標),ニルタミド(Nilutamide),ニペント(Nipent)(登録商標),ニトロゲンマスタード(Nitrogen Mustard),ノバルデックス(Novaldex)(登録商標),ノバントロン(Novantrone)(登録商標),オクトレオチド(Octreotide),アクトレオチドアセテート(Octreotide acetate),オンコスパー(Oncospar)(登録商標),オンコビン(Oncovin)(登録商標),オンタック(Ontak)(登録商標),オンザール(Onxal)(商標),オプレベルキン(Oprevelkin),オラプレッド(Orapred)(登録商標),オラゾーン(Orasone)(登録商標),オキサリプラチン(Oxaliplatin),パクリタクセル(Paclitaxel),パクリタクセルプロテインバウンド(Paclitaxel Protein-bound),パミドロネート(Pamidronate),パニツムマブ(Panitumumab),パンレチン(Panretin)(登録商標),パラプラチン(Paraplatin)(登録商標),プレディアプレット(Pediapred)(登録商標),PEG インターフェロン,ペグアスパラガーゼ(Pegaspargase),ペグフィルグラスチム(Pegfilgrastim),PEG−イントロン(PEG-INTRON)(商標),PEG−L−アスパラギナーゼ(PEG-L-asparaginase),PEMETREXED,ペントスタチン(Pentostatin),フェニラニンマスタード(Phenylalanine Mustard),プラチノール(Platinol)(登録商標),プラチノール−AQ(Platinol-AQ)(登録商標),プレドニソロン(Prednisolone),プレドニゾン (Prednisone),プレローン(Prelone)(登録商標),プロカルバジン(Procarbazine),PROCRIT(登録商標),プロロイキン(Proleukin)(登録商標),カルムスチン・インプラントと併用するプロリフェプロスパン20(Prolifeprospan 20 with Carmustine Implant),プリネトール
(Purinethol)(登録商標),ラロキシフェン(Raloxifene),レブリミッド(Revlimid)(登録商標),リュウマトレックス(Rheumatrex)(登録商標),リツキサン(Rituxan)(登録商標),リツキシマブ(Rituximab),ロフェロン−A(Roferon-A)(登録商標) (Interferon Alfa-2a) ルーベックス(Rubex)(登録商標),ルビドマイシンヒドロクロリド(Rubidomycin hydrochloride),サンドスタチン(Sandostatin)(登録商標),サンドスタチンLAR(Sandostatin LAR)(登録商標),サルグラモスティム(Sargramostim),ソル−コルテフ(Solu-Cortef)(登録商標),ソル−メドロール(Solu-Medrol)(登録商標),ソラフェニブ(Sorafenib),SPRYCEL(商標),STI−571,ストレプトゾシン(Streptozocin),SU11248,サニチニブ(Sunitinib),ステント(Sutent)(登録商標),タモキシフェン(Tamoxifen),タルセバ(Tarceva)(登録商標),タルグレチン(Targretin)(登録商標),タキソール(Taxol)(登録商標),タキソテレ(Taxotere)(登録商標),テモダール(Temodar)(登録商標),テモゾロミド(Temozolomide),テムシロリムス(Temsirolimus),テニポシド(Teniposide),TESPA,タリドミド(Thalidomide),タロミド(Thalomid)(登録商標),テラシス(TheraCys)(登録商標),チオグアニン(Thioguanine),チオグアニンタブロイド(Thioguanine Tabloid)(登録商標),チオフォスフォアミド(Thiophosphoamide),チオプレックス(Thioplex)(登録商標),チオテパ(Thiotepa),TICE(登録商標),トポサール(Toposar)(登録商標),トポテカン(Topotecan),トレミフェン(Toremifene),トリセル(Torisel)(登録商標),トシツモマブ(Tositumomab),トラツズマブ(Trastuzumab),トレンダ(Treanda)(登録商標),トレチノイン(Tretinoin),トレキサール(Trexall)(商標),トリセノックス(Trisenox)(登録商標),TSPA,TYKERB(登録商標),VCR,ベクティビックス(Vectibix)(商標),ベルバン(Velban)(登録商標),ベルカード( Velcade)(登録商標),ベペシド(VePesid)(登録商標),ベサノイド(Vesanoid)(登録商標),ビアデュール(Viadur)(商標),ビダザ(Vidaza)(登録商標),ビンブラスチン(Vinblastine),ビンブラスチンスルフェート(Vinblastine Sulfate),ビンカサールPfs(Vincasar Pfs)(登録商標),ビンクリスチン(Vincristine),ビノレルビン(Vinorelbine),ビノレルビンタートレート(Vinorelbine tartrate),VLB,VM−26,ボリノスタット(Vorinostat),VP−16,ブモン(Vumon)(登録商標),ゼローダ(Xeloda)(登録商標),ザノサール(Zanosar)(登録商標),ゼバリン(Zevalin)(商標),ジネカード(Zinecard)(登録商標),ゾラデックス(Zoladex)(登録商標),ゾレドニック酸(Zoledronic acid),ゾリンザ(Zolinza)およびゾメタ( Zometa)を挙げることができる。
【0112】
1実施例では、担持複合体は、それぞれ感染性疾病および疼痛管理のためのβ−ラクタム抗体と非ステロイド性の抗炎症薬(NSAIDs)とからなる群から選択される薬剤を含む。
【0113】
後述するさらなる実施例は、大腸菌(E.Coli)といったGram陰性菌、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、真菌、および酵母といったGram陽性菌に対するアミン・ポリマーの抗微生物特性を示す。担持複合体は、ペニシリンG(PenG)またはジクロフェナク(DFC)を使用して調整した。
【0114】
いくつかの例においては、アミン・ポリマーは単独で有効な抗微生物剤である。特定の実施形態においては、抗微生物性のアミン・ポリマーは、式(4)の第1の繰り返し単位のホモポリマーである。このホモポリマーは、モノマー性のアルコキシ末端基またはモノマー性のアリロキシ末端基を有する(1のアルコール基を有する非ポリマー性のROP開始剤)。アミン・ポリマーは、約15〜45、より具体的には約20〜約40の重合度を有することができる。このアミン・ポリマーは、少なくともE.ColiおよびS.aureusに対する有効な抗微生物剤となる。
【0115】
他の特定の実施形態では、アミン・ポリマーは、本質的に式(4)の第1の繰り返し単位と、エステルまたはカーボネート主鎖基を含む疎水性の第2の繰り返し単位とを含み、直鎖のランダム共重合体は、モノマー性のアルコキシ末端基またはモノマー性のアリロキシ末端基を有するランダム共重合体である。直鎖のランダム共重合体は、約10〜約30、より具体的には約20〜約30の重合度を有することができる。直鎖のランダム共重合体は、直鎖のランダム共重合体鎖の繰り返し単位の全モル数に対して、第1の繰り返し単位を約45mol%〜約75mol%で含有することができる。この直鎖のランダム共重合体は、疎水性の第2の繰り返し単位を、直鎖のランダム共重合体鎖の繰り返し単位の全モル数に対して約55mol%〜約25mol%で含有することができる。このアミン・ポリマーは、少なくともE.ColiおよびS.aureusに対する有効な抗微生物剤となる。
【実施例】
【0116】
後述する実施例で使用した材料を表6に示す。
【0117】
【表6】
【0118】
本明細書においては、Mnは、数平均分子量であり、Mwは、重量平均分子量であり、MWは、分子の分子量である。
【0119】
特に断らない限り、全材料は、シグマ−アルドリッチまたはTCIから購入した。全溶媒は、分析グレードであり、フィッシャー・サイエンティフィックまたはJ.T.ベーカーから購入し、納品のものを使用した。ベンジルアルコール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)および(−)−スパルテインは、乾燥N下でCaHから蒸留した。グローブ・ボックスに移動させる前に、モノマーおよび他の試薬(例えば、mPEG−OH)を、高真空下の冷凍乾燥により充分に乾燥させた。
【0120】
N−ビス(3,5−トリフロロメチル)フェニル−N′−シクロへキシル−チオ尿素(TU)は、R.C.Pratt、B.G.C.Lohmeijer.D.A.Long、P.N.P.Lundberg、A.Dove、H.Li、C.G.Wade、R.M.Waymouth、およびJ.L.Hendrick、Macromolecules、2006、39(23)、7863−7871頁の報告に従って調整し、CaH上で、THF中攪拌乾燥し、濾過して真空下で溶媒を除去した。
【0121】
核磁気共鳴(NMR)分光
このマーおよびポリマーのH−および13C−NMRスペクトルを、Bruker Avance 400分光計を用い、それぞれ400および100MHzで動作させて記録した。溶媒のプロトン信号を、内部参照標準とした。
【0122】
分子排除クロマトグラフィー(SEC)による分子量決定
ポリマーへの変換をモニタし、かつマクロ−トランスファー・エージェントのポリスチレン換算分子量を決定するため、THFを溶離液として使用してSECを行った。THFSECは、Waters2414差分屈折率計およびWatersHR−4E、HR−1カラムを搭載したWaters 2695D分離モジュールで記録した。システムをTHF中30℃で平衡化し、ポリマー溶液および溶離液を、1.0mL/分の流速で供給した。ポリマー溶液は、既知濃度(約3mg/mL)で調整し、200マイクロリットルの注入容量を使用した。データ収集および分析は、Astraソフトウェア(Wyatt Technology Corporation、USA、バージョン5.3.4.1.4)を使用して実行した。カラムは、Mp=360Da〜Mp=778jDaまでにわたるポリスチレン標準(Polymer Standard Service、USA)シリーズを使用して校正した。
【0123】
透過電子顕微鏡(TEM)
薬剤担持のナノ構造体のモルフォロジーを、200keVの加速電圧でEFI Tecnai G2 F20電子顕微鏡を使用して観測した。TEMサンプルを、まず水性ポリマー溶液(4.0マイクロリットル)の滴をformvar被覆された200メッシュの銅グリッド(Ted Pella Inc.,USA)上に滴下して調整した。1分後、過剰の溶液をフィルタ紙を使用して拭い取った。その後、染色剤であるリンタングステン酸(2%w/v、4.0マイクロリットル)をグリッド上に配置し、1分後、過剰の溶液を拭い去り、室内条件下にグリッドを置き、乾燥させた。
【0124】
モノマー合成
(実施例1)tert−ブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート(tBuODC)の合成
【0125】
【化22】
【0126】
tBoc保護されたペンダント型アミンを有するL−トレオニンから誘導した環状カーボネートは知られている。しかしながら、このモノマーは、トレオニンの疎水性メチル基である点で、対応するベンジル保護環状カーボネート・モノマーに比較して好ましいものではない。トレオニンに基づき環状カーボネートに対するこの制限は、後述するようにセリンに基づき環状カーボネート・モノマーに関しては存在しなかった。
【0127】
N−Boc−セリノール(2.00g、10.5mmol、1.0当量)を無水ジクロロメタン(15mL)に懸濁し、ピリジン(5.1mL、63.3mmol、6.0当量)を懸濁物に添加した。ピリジンの添加後、直ちにN−boc−セリノールを溶解して均一溶液を形成させ、ドライアイス−アセトン浴(−78℃)中で冷却した。この冷却した反応混合物に対し、トリホスゲン(1.78g、6.0mmol、トリホスゲンの機能当量に基づき、1.7当量)溶液(ジクロロメタン10mL中に溶解)を15分かけて滴下した。−78℃で1時間後、反応混合物を室温まで暖め、さらに2時間後、塩化アンモニウム水溶液(10mL)を添加することにより停止した。有機層を脱イオン(DI)水(50mL)で2回、10%NaCl溶液(50mL)で1回洗浄し、NaSOを使用して乾燥した。溶媒を真空除去することにより、黄色固体として粗生成物(1.82g、80%)を得た。この粗生成物を、さらにテトラヒドロフラン:ジエチルエーテル(10/90〜20:80v/v)(60mL)から再結晶して、白色結晶固体(1.29g、57%)を得た。
【0128】
モデル的な保護反応を、環状カーボネート官能基の開環を生じさせること無くtBoc基の切断に使用される穏和な酸であるTFAの存在下で、環状モノマーtBuODCに対して行った(反応は下記の通り)。
【0129】
【化23】
【0130】
マグネチック攪拌冒を備えた20mLのシンチレーション・バイアル中で、tBuODC(1.32g)をトリフロロ酢酸(TFA)(3.0mL)おおよびジクロロメタン(DCM)(3.0mL)と混合した。反応物を約1時間室温で攪拌したところ、反応混合物は、透明から濁りへと変化した。DCNおよび過剰のTFAを真空中で除去し、H NMR分光を使用してtBoc基が完全に除去され、5−アンモニオ−トリエチレンカーボネート(ATMC−TFA)が生成したことを確認した。
【0131】
この脱保護環状カーボネート・モノマーATMC−TFAは、感応性のiso(チオ)シアネート、酸、酸無水物、酸塩化物、ハロホルメート、アルデヒドおよびケトンとアミンの反応により、多くの官能性カーボネート・モノマーの製造の良好な開始点を提供する。
【0132】
(実施例2)エチル−1,3−示ヒドロキシプロパン−2−イル−カルバメート(EtDHPC)の合成
【0133】
【化24】
【0134】
マグネチック攪拌棒を装着した1リットルの丸底フラスコに、セリノール(10.0g)およびNaCO(25.0g)を、DI水(250mL)およびTHF(150mL)混合物中に溶解した。この反応混合物を、氷冷した。エチルクロロホルメート(10.5mL)を滴下して反応させ、氷冷下4時間保持し、続いて約16時間室温に保持した。さらに100mLのDI水を反応混合物に添加し、生成物を酢酸エチル(20×100mL)で抽出した。粗生成物(11.6g)をさらに、充填剤としてシリカ、溶離液としてCHOH:CHCl(1:9)混合物を使用してフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーにより精製した。透明粘調なオイル最終生成物を、トレースの酢酸エチル(1〜2mL)の存在下、スパチュラを使用して激しく引き掻きながら再結晶した。結晶化した生成物を、冷酢酸エチル:ヘキサン(1:1)混合物で洗浄し(1×100mL)、真空乾燥させて白色結晶固体(8.9g、54.5%)を得た。
【0135】
(実施例3)イソブチル1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル−カルバメート(iBuDHPC)を、実施例2で概ね説明した手順に従い、セリノールおよびクロロホルメートを使用して調整した。
【0136】
【化25】
【0137】
(実施例4)
エチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル−カルバメート(EtODC)を、実施例1で概ね説明した手順を使用して調整した。
【0138】
【化26】
【0139】
(実施例5)イソブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル−カルバメート(iBuODC)を実施例1で概ね説明した手順を使用して調整した。
【0140】
【化27】
【0141】
(実施例6)C5DHPAを、下記反応に従って調整した。
【0142】
【化28】
【0143】
マグネチック攪拌棒を装着した500mL丸底フラスコで、DI水(125mL)およびアセトニトリル(125mL)の混合物中に6−(Boc−アミノ)カプロン酸N−サクシンイミジルエステル(5.0g、Sigma Aldrich)(≧98.0%))およびセリノール(1.7g)を溶解した。反応混合物にトリエチルアミン(TEA)約20滴を添加して室温(RT)下、15時間反応させた。さらに100mLのDI水を反応混合物に添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した(6×200mL)。最終生成物であるC5DHPAを、白色固体として得た(3.7g、79.8%)。
【0144】
(実施例7)C5ODAを下記の通り調整した。
【0145】
【化29】
【0146】
(実施例8)
マグネチック攪拌棒を装着した500mL丸底フラスコ中で、THF(250mL)にC5DHPA(4.8g、18.3mmol、1.0当量)およびエチルクロロホルメート(7.0mL、8.0g、73.7mmol、4.0当量)を窒素雰囲気下、溶解した。反応混合物を氷冷条件で30分間平衡化し、TEA(10.2mL、7.4g、73.3mmol、4.0当量)を、冷却した反応混合物に滴下して加え(20分以上かけて)た。1時間後、反応混合物を室温まで暖め、反応物を約15時間攪拌した。続いてTEA.HCL塩が析出し、これを濾過により除去し、真空下で揮発分を除去して粗生成物として白っぽいワックス上の固体が得られた。粗生成物を、さらにテトラヒドロフラン:ジエチルエーテル(10:90、20:80v/v)(100mL)から再結晶して、白色固体(2.4g、48%)を得た。
【0147】
(実施例9)TMCOBuの製造
【0148】
【化30】
【0149】
A)マグネチック攪拌棒を装着した500mL丸底フラスコ中で、KOH(純度85%、14.5g、0.22mol)、ビス(2−メチロール)プロピオン酸(bis−MPA)(29.57g、0.22mol)およびDMF(150mL)を100℃で1.5時間加熱した。均一な溶液が形成され、1−ブロモブタン(22.0mL、0.2mol)を熱溶液に添加した。16時間、攪拌を加熱しながら行い、ほとんどのDMFを減圧下で除去し、得られた油状液体をその後クロロホルム(300mL)に溶解した。有機溶液を、飽和食塩水(100mL)および脱イオン水(100mL)の混合物で3度洗浄した。混合した有機層を、NaSOで乾燥し、真空中で溶媒を除去してジオール前駆体、n−Bu−MPAを、青白い油状液体(20.6g)として得た。
【0150】
B)マグネチック攪拌棒を装着した500mL丸底フラスコ中で、n−Bu−MPA(20.6g、108mmol)を、無水ジクロロメタン(200mL)に溶解した。ピリジン50。0mL、619mmol)を上記溶液に添加し、ドライアイスーアセトン浴(−78℃)内で冷却した。この冷却した反応混合物に1時間以上かけてトリホスゲン(15.4g、51.9mmol)溶液(ジクロロメタン100mLに溶解)を滴下した。1時間後、反応混合物を−78℃から室温まで暖め、2時間後、塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)を添加して反応を停止させた。有機層を1.0N HCL(100mL)で2度、次いで飽和NaHCO(100mL)、飽和NaCl(100ml)で洗浄した。溶媒を真空除去して、粗生成物TMCOBu(21.0g)を得、さらに酢酸エチルからの再結晶により精製した。
【0151】
(実施例10)BnMPAの調整
【0152】
【化31】
【0153】
BnMPAを、ブロモブタンをベンジルブロミドに変えて、nBu−MPAの調整についてパートA)で説明した概略手順に従って調整した。反応混合物を、100℃で15時間攪拌した(収率62%)。
【0154】
(実施例11)n−ブチル1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル−カルバメート(nBuDHPC)の合成
【0155】
【化32】
【0156】
実施例2で説明した概略的な手順を、セリノールおよびn−ブチルクロロホルメートを使用して適用し、nBuDHPCを調整した。
【0157】
(実施例12)n−ブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル−カルバメート(nBuODC)の合成
【0158】
【化33】
【0159】
実施例1の概略的手順に従ってnBuODCを調整した。
【0160】
(実施例13) 保護ポリカーボネートPPC1の調整
tBuODCで形成されるホモポリマーである保護ポリカーボネートPPC1、すなわち、ポリ(tert−ブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル−カルバメート)の調整は、ベンジルアルコールで開始され、保護ポリカーボネート・ホモポリマーおよびコポリマーを調整するための開環重合の代表例である。
【0161】
【化34】
【0162】
マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でtBuODC(532mg、2.447mmol、25.2当量)およびBzOH(10.0マイクロリットル、10.5mg、97.1マイクロモル、1.0当量)、およびTU(38.0mg、103マイクロモル、1.06当量)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解した。この溶液に、(−)−スパルテイン(22.3マイクロリットル、22.7mg、97.0マイクロモル、1.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取し、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。4時間後、反応を、20mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗生成物をTHF(<1mL)に溶解し、氷令したメタノール/DI水混合物(50:50、1×50mL)で析出させた。ポリカーボネートポリマーを、秤量したバイアル内で1日〜2日、サンプルの質量が一定になり、白色の粉末として得られるまで乾燥させた。
【0163】
(実施例14)PPC2、ポリ(tert−ブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル−カルバメート−コ−エチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イル−カルバメート)の調整
【0164】
【化35】
【0165】
マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でtBuODC(467mg、2.150mmol、22.1当量)およびEtODC(56.3mg、0.298mmol、3.1当量)、およびBzOH(10.0マイクロリットル、10.5mg、97.1マイクロモル、1.0当量)、およびTU(36.1mg、97.5マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解した。この溶液に(−)−スパルテイン(22.3マイクロリットル、22.7mg、97.0マイクロモル、1.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。4時間後、反応を、20mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗生成物をTHF(1mL)に溶解し、氷令したメタノール/DI水混合物(50:50、1×50mL)内で析出させた。ポリマーを、秤量したバイアル内で1日〜2日、サンプルの質量が一定になり、白色の粉末として得られるまで乾燥させた。後述する表7にxおよびyの値をリストする。
【0166】
(実施例15〜17)PPC3〜PPC5の調整
実施例14で説明した概略手順を使用して、種々の保護ポリカーボネート・ランダムコポリマーを、tBuODC(モノマー1)、EtODC(モノマー2)を、異なる量のモノマー1およびモノマー2を含む混合物を使用し、ベンジルアルコールにより開始されるROPにより調整した(表7)。
【0167】
(実施例18) PPC6、メトキシポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(tert−ブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート)ブロック・コポリマーの調整
【0168】
【化36】
【0169】
マグネチック攪拌棒を入れた20mLのバイアルに、tBuODC(877mg、4.04mmol、40.3当量)、mPEG−OH(5kDa、0.501mg、100マイクロモル、1.0当量、n′〜113)、およびTU(149mg、402マイクロモル、4.0当量)を、ジクロロメタン(8.6mL)に溶解した。この溶液にスパルテイン(91.9マイクロリットル、400マイクロモル、4.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取してH NMR分光法およびSECを使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。4時間後、反応を、100mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗生成物をTHF(<3mL)に溶解し、氷令したヘキサン/ジエチルエーテル混合物(50:50、1×100mL)内で析出させた。ポリマーPPC6を、秤量したバイアル内で1日〜2日、サンプルの質量が一定になり、白色の粉末として得られるまで乾燥させた。
【0170】
(実施例19)PPC7、メトキシポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(イソブチル2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イルカルバメート)ブロック・コポリマーの調整
【0171】
【化37】
【0172】
上記のブロック・コポリマーを、iBuODCおよびmPEG−OH(5kDa)を使用し、実施例18の概略手順に従って調整した。
【0173】
(実施例20および21)それぞれPPC8およびPPC9とした。tBuODC(モノマー1)、iBuODC(モノマー2)の混合物にモノ−メチルポリ(エチレングリコール)(mPEG−OH(5kDa)を開始剤として使用し、実施例18の概略手順に従って、2つの保護されたポリカーボネート・ブロックコポリマーを、下記に示す反応に従って調整した。
【0174】
【化38】
【0175】
ブロック・コポリマーPPC8、PPC9は、表7に示すように各モノマーの量が相違する。ブロック・コポリマーのポリカーボネート・ブロックは、ランダムコポリマーである。
【0176】
スターポリマー
(実施例22)4−アームスターポリマーPPC10
【0177】
【化39】
【0178】
マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でtBuODC(87mg、401マイクロモル、41当量)、iBuODC(87mg、401マイクロモル、41当量)、およびTU(7.4mg、20マイクロモル、2.1当量)、および4−アームPEG−OH(10kDa、97mg、9.7マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。この溶液に(−)−スパルテイン(4.6マイクロリットル、20マイクロモル、2.1当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。5時間後、反応を、10mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗生成物をTHF(<1mL)に溶解し、氷令したジエチルエーテル(2×50mL)内で2度析出させた。ポリカーボネートポリマーを、秤量したバイアル内で1日〜2日、サンプルの質量が一定になり、白色の粉末として得られるまで乾燥させた。NMR分析により、Mn=21kDa、PDI=1.30であった。PPC10の各アームは、ポリ(エチレンオキシド)の第1ブロックと、開環重合で形成されたランダムポリカーボネート・コポリマーの第2ブロックとを含むブロック・コポリマーである。
【0179】
(実施例23)ABAトリブロック・コポリマーPPC11の調整
【0180】
【化40】
【0181】
マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でtBuODC(88mg、405マイクロモル、18.2当量)、iBuODC(82mg、377マイクロモル、16.9当量)、およびTU(13.8mg、37.3マイクロモル、1.7当量)を、ジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。この溶液にBnMPA(500マイクロリットルの貯蔵溶液の25mg、DCM100マイクロリットル中で5.0mg、22.3マイクロモル、1.0当量)およびスパルテイン(7.7マイクロリットル、33.5マイクロモル、1.5当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。3.2時間後(全モノマー変換率>95%)、このポリマーを、D−ラクチド(DLA)モノマー(60mg、416マイクロモル、18.7当量)を添加することによって鎖を延長した。3時間後、反応を、20mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗生成物をTHF(<1mL)に溶解し、氷令したメタノール/DI水混合物(50:50、1×50mL)内で析出させた。ポリカーボネートポリマーを、秤量したバイアル内で1日〜2日、サンプルの質量が一定になり、白色の粉末として得られるまで乾燥させた。NMR分析により、Mn=11.5kDa、PDI=1.30であった。
【0182】
(実施例24)C5ODAおよびベンジルアルコール開始剤を使用し、実施例13の概略的手順を用いてPPC12を調整した。この反応は、以下の通りである。
【0183】
【化41】
【0184】
マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でC5ODA(161mg、0.487mmol、20.0当量)およびBzOH(2.5マイクロリットル、2.6mg、24.3マイクロモル、1.0当量)、およびTU(8.8mg、23.8マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解した。この溶液に、(−)−スパルテイン(5.6マイクロリットル、5.7mg、48.7マイクロモル、1.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。3時間後、反応を、20mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗ポリマーを直ちに実施例39の脱保護基ステップに使用した。
【0185】
(実施例25)実施例24の概略的手順に従ってPPC13を調整した。マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でC5ODA(320mg、0.969mmol、20.0当量)およびBzOH(25.0マイクロリットル、5.3mg、49.1マイクロモル、1.0当量)、およびTU(8.8mg、23.8マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解した。この溶液に、(−)−スパルテイン(11.2マイクロリットル、11.4mg、48.7マイクロモル、1.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。6時間後、反応を、25mgの安息香酸を添加して停止させた。ジクロロメタンを留去した。粗ポリマーを直ちに10−20当量のDCM中TFA(30−50%v/v)で1時間脱保護した。脱保護後、ポリマーを冷ジエチルエーテル(50mL)中で、2度析出させ、さらに乾燥(1−2日)乾燥させた後、湿り気のある白色粉末を得た。粗ポリマーを直ちに実施例40の脱保護ステップに使用した。
【0186】
(実施例26)実施例24の概略手順を使用して、PPC14を調整した。マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でC5ODA(320mg、0.969mmol、40.0当量)およびBzOH(2.5マイクロリットル、2.6mg、24.3マイクロモル、1.0当量)、およびTU(18.6mg、50.0マイクロモル、2.1当量)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解した。この溶液に、(−)−スパルテイン(11.2マイクロリットル、11.4mg、48.7マイクロモル、2.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。6時間後、反応を、25mgの安息香酸を添加して停止させた。粗ポリマーを直ちに実施例41の脱保護基ステップに使用した。
【0187】
(実施例27)下記反応を使用してPPC15を調整した。
【0188】
【化42】
【0189】
マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でC5ODA(160mg、0.484mmol、10.0当量)、nBuODC(111mg、0.511mmol、10.5当量)、BzOH(5.0マイクロリットル、5.3mg、48.5マイクロモル、1.0当量)、およびTU(18.0mg、48.6マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解した。この溶液に、(−)−スパルテイン(11.2マイクロリットル、11.4mg、48.7マイクロモル、1.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。6時間後、反応を、20mgの安息香酸を添加して停止させた。粗ポリマーを直ちに実施例42の脱保護基ステップに使用した。
【0190】
(実施例28)実施例27の概略手順を使用して、PPC16を調整した。マグネチック攪拌棒を含む7mLのバイアルにグローブ・ボックス内でC5ODA(233mg、0.705mmol、14.5当量)、nBuODC(63mg、0.299mmol、6.0当量)、BzOH(5.0マイクロリットル、5.3mg、48.5マイクロモル、1.0当量)、およびTU(18.0mg、48.6マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解した。この溶液に、(−)−スパルテイン(11.2マイクロリットル、11.4mg、48.7マイクロモル、1.0当量)を添加して重合を開始させた。反応混合物を室温で攪拌し、サンプルの試料を採取して、H NMR分光法および分子排斥クロマトグラフィー(SEC)を使用してモノマー変換および分子量の伸長をモニタした。3時間後、反応を、20mgの安息香酸を添加して停止させた。粗ポリマーを直ちに実施例43の脱保護基ステップに使用した。
【0191】
表7に、PPC1〜PPC16までの保護されたアミン・ポリマーの組成および特性をまとめる。
【0192】
【表7】
【0193】
tBoc保護ポリマー
後述する脱保護の実施例では、アミン・ポリマーAPC1〜APC14の構造の添え字x′、y′を、脱保護ステップ後にNMRで決定した。NMRで決定したAPC1〜APC14の数平均分子量(Mn)を表8に示す。
【0194】
(実施例30)PPC1を脱保護してAPC1を形成する。
【0195】
【化43】
【0196】
後述する手順は、代表的なものである。ポリマーPPC1をCHClに溶解し、これにトリフロロ酢酸(TFA、tBoc基に対して約10当量)を滴下し、反応混合物を、室温で1時間攪拌し、その後溶媒および過剰のTFAを溶液に窒素ガスをバブルさせて除去した。残留する揮発分を真空除去して、アミン・ポリカーボネートAPC1を得た。収率は、90%以上であった。
【0197】
(実施例31)PPC2を脱保護してAPC2を製造する。上述(実施例30)した手順を使用し、PPC2(実施例14)を脱保護してアミン・ポリカーボネートAPC2を、下記の通り形成した。
【0198】
【化44】
【0199】
(実施例32,33,34)APC3、APC4,APC5を保護ポリマーPPC3、PPC4、PPC5から実施例30の概略的手順を使用して下記の通り調整した。
【0200】
(実施例35)APC(n′〜113〜を、保護されたポリマーPPC6(実施例18)から、実施例30に記載した概略的手法に従い下記の様に調整した。
【0201】
【化45】
【0202】
(実施例36)比較例として、実施例30の概略的手法を、下記の通り、PPC7のイソブチルカルバメート基を除去する試みに使用した。反応は観測されなかった。すなわち、トリフロロ酢酸は、カルバメート基のアミンを脱保護化しない。
【0203】
【化46】
【0204】
(実施例37)実施例30の概略的手法を使用してPPC8(実施例20)からAPC8を調整した。APC8は、下記構造を有し、x′およびy′は、表8にリストした。
【0205】
【化47】
【0206】
(実施例38)実施例30の概略的手法を使用してPPC9(実施例21)からAPC9を調整した。APC9は、上記のAPC8の構造を有しており、表8に示すように、異なるx′、y′を有する。
【0207】
(実施例39〜41)PPC12〜PPC14(実施例24〜26)から、下記反応に従い、それぞれAPC10〜APC12を調整した。
【0208】
【化48】
【0209】
後述する脱保護化は、代表的なものである。実施例24の粗ポリマーを、その重合の後直ちに10〜20当量のDCM中、TFA(30−50%v/v)を使用してRTで1時間脱保護した。脱保護後、ポリマーAPC10を例ジエチルエーテル(50mL)中で2度析出させ、その後、さらに乾燥(1〜2日)して、水分を含んだ白色粉末を得た。
【0210】
APC11およびAPC12を、同一の手法を使用してそれぞれPPC13およびPPC14から調整した。APC10〜APC12は、表8にリストしたx′の値を有する。
【0211】
(実施例42および実施例43)PPC15およびPPC16(実施例27および28)から、それぞれAPC13およびAPC14を、実施例39の手法に従って調整した。反応を、下記に示す。
【0212】
【化49】
【0213】
APC13およびAPC14は、表8にリストしたx′およびy′を有する。アミン・ポリマーの特性を、表8にまとめる。
【0214】
【表8】
【0215】
アミン・ポリマーを、S.aureus、S.epidemidis、E.coliおよびC.albicansに対して試験した。それらの結果を、表9にリストする。好ましいMICは、500mg/L、好ましくは、250mg/Lである。
【0216】
【表9】
【0217】
極限ミセル濃度・・蛍光測定
脱イオン水中でのポリマーの極限ミセル濃度(CMCs)を、プローブとしてピレンを使用して蛍光分光法により決定した。蛍光スペクトルは、LS50Bルミネッセンス分光計(Perkin Elmer、U.S.A)により25℃で記録した。ポリマー・サンプルを、測定の前に10分間平衡化した。ピレン試料のアセトン溶液(6.16×10−5M、10マイクロリットル)を、ガラス・バイアルに加え、空気乾燥してアセトンを除去した。濃度を変えたポリマー溶液をそれぞれ1mLピレンに加えて、24時間立てて放置した。各バイアル中の最終的なピレン濃度は、6.16×10−7Mであった。励起スペクトルを、395nmの発光を使用して300nmから360nmでスキャンした。励起および発光バンド幅を、2.5nmに設定した。励起スペクトルのI337/I334の強度比(ピーク高さ)を、ポリマー濃度の関数として分析した。CMCは、曲線の屈曲点での接線と、低濃度でのデータ点の接線とが交差する点とした。
ジクロフェナク(DFC)およびペニシリンG(PenG)の水溶液を、ナノ粒子にカプセル化した。
【0218】
アミン・ポリマー(10mg)を、HPLC1mL中に超音波溶解した。次いで薬剤(DCFまたはPenGのいずれか一方)3mgを、別のバイアル中でHPLC水9mLに溶解した。ポリマーを、その後、薬剤に加えて500rpmで5分間攪拌した。この混合物を、その後室温で5時間立て置きした。カプセル化されていない薬剤をその後、メンブラン超濾過(Vivaspin MWCO、10kDa、GE Healthcare、U.S.A.)により除去した。手順の最後に、得られたナノ粒子溶液を4000rpmで5分間遠心分離して、粗大な凝集体を除去し、その後、新しいバイアルに写した。ミセルは、658nmのHe−Neレーザ・ビームを搭載し、動的光散乱性(散乱各:90°)を用いるZetasizer(Malvern Instruments Zetasizer Nano ZS、U.K.を使用し、それらのサイズに関して特徴付けした。
【0219】
カプセル化効率および薬剤担持レベルを決定するために、薬剤を担持させたナノ粒子を、凍結乾燥し、移動相4mL中に再溶解した。DCFについては、移動相は、アセトニトリル/0.0025M酢酸ナトリウム(65:35v/v)からなり、氷酢酸でpH4.0に調整した。PenGのための移動相を、アセトニトリル/0.025Mリン酸カリウム(80:20%v/v)とし、リン酸でpH4に調整した。薬剤量は、高性能液層クロマトグラフィー(HPLC、Waters 996 PDA)を使用し、DCFおよびPenGについてそれぞれ、276nmおよび204nmのUV波長で分析した。ナノ粒子における薬剤担持レベルを、ナノ粒子の全質量に対するカプセル化された薬剤量の比にしたがって計算した。薬剤カプセル化効率は、ミセル形成プロセスの間に初期添加した薬剤量に対するナノ粒子に良好にカプセル化された薬剤量として決定した。
【0220】
In vitro DCF放出
DCF担持ナノ粒子からのDCF放出を、透析法を使用して検討した。DCFを担持したナノ粒子9mLを、1kDaのMWCO(Spectrum Laboratories、U.S.A)を有する透析メンブレンチューブに移し、PBS(pH7.4)40mLまたは酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH5.6)のいずれかに対して透析を行った。セットアップは、オービタル・シェイカーで37℃、100rpmにて振トウした。設定した時間間隔で、放出された媒体の1mLを除去し、フレッシュな媒体に置き換えた。媒体内に放出されたDCFの量を、上述したように、276nmでHPLCを使用して分析した。
【0221】
ATCCから入手したバクテリア(S.aureus、S.epodemis、およびE.coli)および酵母(C.albicans)を、製造者の手順に従ってその凍結乾燥形態から戻した。バクテリア試料を、37℃で、トリプチックソイブロス(T−SB)またはミューラー・ヒントン寒天培地(M−HB)で培養し、酵母細胞を、100rpmで振トウさせながら室温でYMBにより培養した。ポリマーのMICsを、微量液体希釈法を使用して測定した。概略的には、種々の濃度(15.6、31.3、62.5、125、250、500、1000、2000mg/L)でポリマーを含有するそれぞれの培養媒体を、96ウェルの組織カルチャー・プレートのそれぞれのウェルに配置した。等容量の微生物懸濁液(3×10CFU/mL)を、各ウェルに追加した。混合前に、微生物試料をまず、一晩培養して成長段階に入らせた。微生物溶液の濃度を、マイクロプレート・リーダ(TECAN、Swizerland)上で、600nmの波長で約0.07となる初期光学密度(O.D)を与えるように調整した。これは、Mc Farland 1溶液の濃度に相当する(3×10CFU/mL)。この微生物溶液をさらに1000倍に希釈して3×10CFU/mLの初期量とした。バクテリア試料を、培養器中で37℃、18時間保持した。酵母試料は、100rpmの一定な振トウ下、室温で42時間保持した。MICを、それぞれの培養時間の終了時に、裸眼およびマイクロプレート・リーダで微生物の成長が観測されないポリマーの濃度とした。微生物細胞だけを含む培養液を、ネガティブ対照群とし、各試験を6レプリカにおいて行った。
【0222】
MTTアッセイを使用した細胞毒性
ヒト真皮繊維芽細胞(HDF)を、96ウェル・プレートにウェル当たり、1.0×10セルの密度で播種し、成長媒体100マイクロリットル中で培養した。プレートを37℃で一晩培養し、処理前に70%〜80%の培養密度に到達させた。種々の濃度のポリマー溶液を調整した。所望する細胞の培養密度に達した時、使用済みの成長媒体を各ウェルから除去し、予め準備した溶液100マイクロリットルで置換し、培養器に戻した。2日の培養の後、培養媒体を除去し、MTT溶液10マイクロリットルを、100マイクロリットルのフレッシュな媒体と共に添加した。DMSO100マイクロリットルをその後各ウェルに添加して、内部の紫色のホルマザン結晶を溶解した。100マイクロリットルの試料を各ウェルから採取し、新たな95ウェル・プレートに移した。このプレートをその後、マイクロプレート・リーダ(TECAN、Swizerland)を使用して690nmを参照波長として550nmで定量した。ホルマザン結晶の吸収値は、690nmのもので、550nmのものを減じることによって得た。結果を、如何なる処理も受けていない対照細胞の吸収値に対するパーセンテージとして表現した。
【0223】
溶血性の定量
PBSに懸濁したラットの赤血球細胞100マイクロリットル(4容量%)をそれぞれ96ウェル・プレートの各ウェルに配置し、ポリマー溶液100マイクロリットルを各ウェルに添加した。このプレートを、37℃で培養した。細胞懸濁液を取り出し、1000rpm、5分間遠心分離した。上澄み試料(100マイクロリットル)を96ウェル・プレートに移し、ヘモグロビン放出を、マイクロプレート・リーダ(TECAN、Switzerland)を使用し、576nmでモニタした。PBS中赤血球細胞懸濁液を、ネガティブ対照群とした。0.1%TritonX−100に溶解した赤血球細胞によるウェルの吸収を、溶血100%とした。溶血のパーセンテージを、下記式を使用して計算した。(O.D.=光学密度):溶血(%)=[O.D.576nm(polymer solution)−O.D.576nm(0.1%TRITONX−100)−O.D.576nm(PBS)]×100
【0224】
棚段寿命安定性
脱イオン水中の新たに調整したDCF担持ナノ粒子のサイズを、22℃、30日間モニタした。初期サイズ測定の後、サンプルをそれらのそれぞれの貯蔵条件下で貯蔵した。直接サンプルチューブ内で分析する前に、指定した時間間隔で試料を、0.5時間室温に置いて温度平衡とした。
【0225】
APC1〜APC5は、親水性過ぎ、望ましくないMICを生じさせ、ナノ粒子が大きな流体力学的粒径を有するので、薬剤を担持させなかった。また、非担持のアミン・ポリマーPPC7は、PPC7にけるイオン結合性サイトが無いことから。アニオン性薬剤を担持させなかった。
【0226】
表10に、アミン・ポリマーについて得られた薬剤担持ナノ粒子の特性をまとめる。
【0227】
【表10】
【0228】
臨界ミセル濃度(CMC)の決定
両親媒性のコポリマーは、水溶液中で自己会合して、それらの臨界ミセル濃度として示されるようにミセル構造を形成する傾向にある。表10は、DI水中における3〜630mg/Lの範囲のCMC値をリストする。CMCの広いレンジは、ミセル構造がコポリマーの疎水性−親水性バランスに大きく依存することを示しており、低いCMC値のポリマーは、高い疎水性割合を有する。
【0229】
ジクロフェナク(DCF)およびペニシリンG(PenG)のナノ粒子への水性カプセル化
ジクロフェナク(DCF)およびペニシリンG(PenG)を、有機溶媒を使用することなく、直接ナノ粒子にカプセル化した。ナノ粒子は、それらのサイズおよび薬剤担持能力(表10)にしたがって特徴付けた。カチオン性アミン・ポリマーと、DCFおよびPenGのアニオン性のカルボキシ基との間のイオン性相互作用は、高い薬剤担持レベルおよびカプセル化効率を与えた。PenGのナノ粒子へのカプセル化は、また、サイズおよびブランクのナノ粒子に比較したDCFおよびPenGを担持したナノ粒子の多分散性の著しい減少により、より緊密な充填構造を与えた。表10に示されるように、担持させる前のミセルは、平均流体動力学的粒径が、包括的に192nmから288nmの範囲に有った。担持させたナノ粒子は、平均流体動力学的粒径が、包括的に80nmから168nmの範囲に有った。
【0230】
In vitroDCF放出
実施例47(APC9/DCF)のナノ粒子からのDCFのin vitro放出を2つの異なる緩衝溶液、PBS(pH7.4)または20mMの酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH5.6)内で(図2のグラフ)、37℃、24時間モニタした。2つのpHでの薬剤放出性の比較は、pH7.4におけるナノ粒子からのDCFの放出は、pH5.6におけるよりも、DCFの放出量で約30%高く、著しく速かった。他はいpHにおける放出速度の増加は、カチオン性アミン・ポリマーの−NH基の脱プロトン化が、アニオン性薬剤の結合を弱めているためのようであった。
【0231】
抗微生物活性の結果
脱保護したポリマーAPC9から製造した担持させたナノ粒子を、それらの対応するMICとして示される静菌抑制濃度に関連して評価した。APC9それ自身は、S.aureusの増殖を抑制しないが、PenG担持APC9ナノ粒子は、約0.05mg/LPenG当量のMICを有する。さらにAPC9ポリマーおよびPenG担持APC9ナノ粒子は、200倍の当量ポリマーおよびPenG濃度であっても、ほとんど無視できる溶血性しか示さない(〜2%溶血)。APC6、APC8は、CMCsの値が高いので、PenGを担持させるためには使用しなかったが、これは、静脈内注射の後の安定する可能性を示唆するものである。
【0232】
ホモポリマーAPC10は、アニオン性薬剤の添加が無くともE.Coli(MIC 125mg/L)およびS.aureus(MIC 250mg/L)に対して高い活性であった(それぞれ図3および4)。
【0233】
ヒト真皮繊維芽細胞に対するポリマーの影響
ポリマーAPC9,APC8、およびAPC6を、ヒト真皮繊維芽細胞(HDF)に対する毒性の点で試験した。ポリマーAPC7は、水溶性がないことから試験しなかった。図5の棒グラフ(APC9、APC8、APC6は、ぞれぞれ(a)、(b)、(c)としてラベルされている。)に示されるように、どのポリマーもHDF細胞に対して顕著な細胞毒性を示さなかった。HDF細胞生存性は、500mg/Lの濃度に至るまで>80%と高く維持されていた。
【0234】
棚段寿命安定性の結果
APC8およびAPC9をそれぞれ脱保護化した実施例46、47のDCF担持ナノ粒子を、22℃で30日間粒径の変化をモニタして棚段寿命安定性を試験した(図6のグラフ)。図6から、APC8の担持ナノ粒子は、より高い親水性含有量を有し、APC9から製造した担持ナノ粒子に比較して低い粒径安定性を示した。APC8担持ナノ粒子は、30日経過で、粒径の5倍の増加(212nmから978nm)を示した。粒径の大きなバラツキが、PDIとして観測され、PDIは、0.23〜1まで増加した。比較すると、脱保護したポリマーAPC9から調整した担持ナノ粒子は、30日の機関にわたり、高く安定で、粒径およびPDIの変化(粒径から125nm、PDI〜0.1)も無視できた。
【0235】
結論
保護されたセリノール由来の1級アミン官能基を含有する脂環式カーボネート・モノマーが調整され、このモノマーは、ホモポリマー化または他のカーボネート・モノマーとコポリマー化することができる。tBoc基の選択的な脱保護化においては、これらのカチオン性ポリマーは、抗微生物剤βラクタム・クラス(ペニリシンG ナトリウム塩)および鎮痛剤のNSAIDクラス(ジクロフェナクナトリウム塩)といったアニオン性薬剤をカプセル化するために使用された。ドラッグ・デリバリー用途から離れても、これらの材料は、ミセルと、添加される機能性材料との間のポリマー電解質間複合体形成に使用される。APC9は、アニオン性薬剤を含有する抗微生物組成物の形成のために最も有用なアミン・ポリマーであった。APC9のトリフロロ酢酸カウンター・イオンは、如何なる好適なカウンター・イオンXで置換でき、上述したAPC9構造のx′およびy′は、10以上とすることができ、より好ましくは、20以上とすることができる。ポリ(エチレンオキシド)鎖は、50以上、より好ましくは100〜150、に等しいn′または1000〜5000DaのMnを有することができる。
【0236】
加えて、APC10〜APC12のホモポリマーはそれぞれ、19〜40の重合度を有しており、E.ColiおよびS.aureusに対して単独で有効性の高い抗微生物剤であった。直鎖ランダムコポリマーAPC13、APC14は、それぞれ23および20の重合戸を有し、E.ColiおよびS.aureusに対し、最も有効であった。
【0237】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのみに使用され、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形態“a”、“an”、および“the”は、文脈が明らかに他を示さない限り、同様に複数形態を含むことを意図する。さらに本明細書における用語“含む”または“含んでいる”、またはそれら両方は、記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、またはコンポーネント、またはこれらの如何なる組み合わせの存在を規定するものであって1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネントまたはそれらのグループやこれらの如何なる組み合わせを排除するものではない。可能な値の範囲を表現するために2つの数値限定XおよびY(例えば、濃度XppmからYppm)を使用する場合、他のことが記述されない限り、値は、X,Y、またはXとYの間の如何なる数とすることができる。
【0238】
本発明の記述は、例示および説明の目的のために提示されたのであって、本発明を開示された形態に終止させるものであるとか、本発明を制限するものとかを意図するものではない。実施形態は、本発明の原理、実際的な適用を、当業者が本発明を理解することを可能とするため最適に説明するべく選択され、記述されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】