(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-536054(P2015-536054A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって用いられる信号の送信電力制御
(51)【国際特許分類】
H04W 52/18 20090101AFI20151120BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20151120BHJP
H04W 52/38 20090101ALI20151120BHJP
H04W 52/32 20090101ALI20151120BHJP
【FI】
H04W52/18
H04W92/18
H04W52/38
H04W52/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-515317(P2015-515317)
(86)(22)【出願日】2013年9月13日
(85)【翻訳文提出日】2015年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2013005459
(87)【国際公開番号】WO2014050010
(87)【国際公開日】20140403
(31)【優先権主張番号】13/631,354
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.VISUAL BASIC
3.JAVASCRIPT
4.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コッシュネビス アーマッド
(72)【発明者】
【氏名】コワルスキー ジョン ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】山田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】イン ジャンペン
(72)【発明者】
【氏名】パーク ケネス ジェームス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】
方法、システム、およびデバイスは、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号の改善された電力制御を提供する。一態様において、ユーザ機器(「UE」)端末は、基地局によって提供された電力制御パラメータに基づいて、デバイス・ツー・デバイス(「D2D」)サービスに用いる信号の送信電力を制御する。UE端末は、基地局との通信に用いる信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するための第1の電力制御モジュールを含む。UE端末は、D2Dサービスに用いる信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するための第2の電力制御モジュールも含む。第1および第2の送信電力は、基地局から受信された少なくとも1つの電力制御パラメータに基づいて確定できる。UE端末は、第1の送信電力を用いて上りリンク/下りリンク通信に用いる信号を送信し、かつ、第2の送信電力を用いてD2Dサービスに用いる信号を送信するための信号トランシーバ・モジュールも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器端末であって、
前記ユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するように構成された第1の電力制御モジュールであって、前記第1の送信電力は、前記基地局から受信された少なくとも1つの第1の電力制御パラメータに基づいて確定される、前記第1の電力制御モジュールと、
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するように構成された第2の電力制御モジュールであって、前記第2の送信電力は、前記基地局から受信された少なくとも1つの第2の電力制御パラメータに基づいて確定される、前記第2の電力制御モジュールと、
前記第1の送信電力を用いて前記ユーザ機器端末と前記基地局との間の通信に用いる前記少なくとも1つの信号を送信し、かつ、前記第2の送信電力を用いてデバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号を送信するように構成された信号トランシーバ・モジュールと
を備える、前記ユーザ機器端末。
【請求項2】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号は、発見信号、サウンディング参照信号、通信信号、および制御信号のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のユーザ機器端末。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための最大電力を備え、前記第2の電力制御モジュールは、(i)デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための前記最大電力、ならびに、(ii)前記第2の電力制御モジュールによって適用される初期電力および電力調整の合計のうちの最小値を確定することによって前記第2の送信電力を制御するように構成される、請求項1に記載のユーザ機器端末。
【請求項4】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための前記最大電力は、最小電力閾値以上かつ最大電力閾値以下である、請求項3に記載のユーザ機器端末。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、前記初期電力を確定するための少なくとも1つのさらなる電力制御パラメータを備える、請求項3に記載のユーザ機器端末。
【請求項6】
前記初期電力は、前記ユーザ機器端末のユーザによって設定可能である、請求項3に記載のユーザ機器端末。
【請求項7】
前記初期電力は、前記ユーザ機器端末において記憶されたハードウェア仕様によって指定される、請求項3に記載のユーザ機器端末。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、前記少なくとも1つの第1の電力制御パラメータから独立している、請求項1に記載のユーザ機器端末。
【請求項9】
前記第2の電力制御モジュールは、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記信号の少なくとも1つに適用されることになる第3の送信電力を制御するようにさらに構成され、前記第3の送信電力は、前記基地局から受信された少なくとも1つの第3の電力制御パラメータに基づいて確定される、請求項1に記載のユーザ機器端末。
【請求項10】
前記第2の電力制御モジュールは、1つ以上のユーザ機器パラメータに基づいて前記第2の送信電力を制御するようにさらに構成される、請求項1に記載のユーザ機器端末。
【請求項11】
前記第2の電力制御モジュールは、1つ以上の運用、管理、および保守パラメータに基づいて前記第2の送信電力を制御するようにさらに構成される、請求項1に記載のユーザ機器端末。
【請求項12】
非一時的なコンピュータ可読媒体に取り込まれた1つ以上のモジュールを実行するように構成されたプロセッサを備えるシステムであって、前記1つ以上のモジュールは、
ユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するように構成された第1の電力制御モジュールであって、前記第1の送信電力は、少なくとも1つの第1の電力制御パラメータに基づいて確定される、前記第1の電力制御モジュールと、
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するように構成された第2の電力制御モジュールであって、前記第2の送信電力は、少なくとも1つの第2の電力制御パラメータに基づいて確定される、前記第2の電力制御モジュールと
を備える、前記システム。
【請求項13】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号は、発見信号、サウンディング参照信号、通信信号および制御信号のうちの少なくとも1つを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための最大電力を備え、前記第2の電力制御モジュールは、(i)デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための前記最大電力、ならびに、(ii)前記第2の電力制御モジュールによって適用される初期電力および電力調整の合計のうちの最小値を確定することによって、前記第2の送信電力を制御するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための前記最大電力は、最小電力閾値以上かつ最大電力閾値以下である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、前記初期電力を確定するための少なくとも1つのさらなる電力制御パラメータを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記初期電力は、ユーザによって設定可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記初期電力は、前記コンピュータ可読媒体に記憶されたハードウェア仕様によって指定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、前記少なくとも1つの第1の電力制御パラメータから独立している、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の電力制御モジュールは、1つ以上のユーザ機器パラメータに基づいて前記第2の送信電力を制御するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の電力制御モジュールは、1つ以上の運用、管理、および保守パラメータに基づいて前記第2の送信電力を制御するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
基地局であって、
ユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するための少なくとも1つの第1の電力制御パラメータを生成するように構成された第1の電力制御モジュールと、
デバイス・ツー・デバイス・サービスのために前記ユーザ機器端末によって用いられる少なくとも1つの信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するための少なくとも1つの第2の電力制御パラメータを生成するように構成された第2の電力制御モジュールと、
前記少なくとも1つの第1の電力制御パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータを前記ユーザ機器端末へ送信するように構成された信号トランシーバ・モジュールと
を備える、前記基地局。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータは、最小電力閾値および最大電力閾値を備える、請求項22に記載の基地局。
【請求項24】
前記最大電力閾値は、前記基地局および前記ユーザ機器端末によって利用される電気通信規格によって指定された電力を備える、請求項23に記載の基地局。
【請求項25】
前記少なくとも1つの第1の電力制御パラメータは、前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータから独立している、請求項22に記載の基地局。
【請求項26】
前記少なくとも1つの第1の電力制御パラメータは、前記少なくとも1つの第2の電力制御パラメータによって指定されるような前記ユーザ機器端末によるデバイス・ツー・デバイス・サービスのための最大電力より大きい、前記ユーザ機器端末と前記基地局との間の通信のための最大電力を指定する、請求項25に記載の基地局。
【請求項27】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる送信電力を制御するための方法であって、前記方法は、
ユーザ機器端末によって、基地局からの少なくとも1つの電力制御パラメータを受信するステップと、
前記ユーザ機器端末によって、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号に適用されることになる前記送信電力を確定するステップであって、前記送信電力は、前記基地局から受信された前記少なくとも1つの電力制御パラメータに基づいて確定される、前記確定するステップと、
前記ユーザ機器端末によって、前記送信電力を用いてデバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号を送信するステップと
を備える、方法。
【請求項28】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号は、発見信号、サウンディング参照信号、通信信号および制御信号のうちの少なくとも1つを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの電力制御パラメータは、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための最大電力を備え、前記送信電力の確定は、(i)デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための前記最大電力、ならびに、(ii)前記ユーザ機器端末によって適用される初期電力および電力調整の合計のうちの最小値を確定するステップを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記少なくとも1つの信号のための前記最大電力は、最小電力閾値以上かつ最大電力閾値以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの電力制御パラメータは、前記初期電力を確定するための少なくとも1つのさらなる電力制御パラメータを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記初期電力は、前記ユーザ機器端末のユーザによって設定可能である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記初期電力は、前記ユーザ機器端末において記憶されたハードウェア仕様によって指定される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの電力制御パラメータは、前記ユーザ機器端末と前記基地局の間の通信に用いる信号に適用されることになるさらなる送信電力を制御するための少なくとも1つのさらなる電力制御パラメータから独立している、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる前記信号の少なくとも1つに適用されることになるさらなる送信電力を確定するステップをさらに備え、前記さらなる送信電力は、前記基地局から受信された少なくとも1つのさらなる電力制御パラメータに基づく、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記送信電力は、前記基地局から受信された前記少なくとも1つの電力制御パラメータに加えて、1つ以上のユーザ機器パラメータに基づいて確定される、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記送信電力は、前記基地局から受信された前記少なくとも1つの電力制御パラメータに加えて、1つ以上の運用、管理、および保守パラメータに基づいて確定される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電気通信に関し、より詳しくは、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号の改善された送信電力制御に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラーネットワークまたは他の電気通信システムの2つのユーザ機器端末(例えば、モバイル通信デバイス)が互いに通信を行うときに、それらのデータ経路は、通常、オペレータ・ネットワークを通過する。ネットワークを通るデータ経路は、基地局および/またはゲートウェイを含みうる。デバイスが互いにごく近接している場合、それらのデータ経路は、ローカル基地局を通して局所的にルーティングすることができる。
【0003】
互いにごく近接した2つのユーザ機器端末は、基地局を通過する必要なしに直接リンクを確立することも可能である。電気通信システムは、2つ以上のユーザ機器端末が互いに直接通信を行うデバイス・ツー・デバイス(「D2D:device−to−device」)通信を用いるか、または有効にできる。D2D通信では、1つのユーザ機器端末から1つ以上の他のユーザ機器端末への(本明細書では「通信信号」と呼ばれる)音声およびデータ・トラフィックは、電気通信システムの基地局または他のネットワーク制御デバイスを通して通信されなくてもよい。
【0004】
D2D通信を活用するサービスは、近接性ベースのサービス(「ProSe:proximity−based service)またはD2Dサービスと呼ばれる。かかるサービスは、典型的に2つのフェーズ、すなわち、発見フェーズおよび通信フェーズを含む。発見フェーズは、発見信号の送信および/または受信を伴い、ユーザ機器端末は、互いに近接した範囲内にあるときにこれらの信号を検出することが可能である。近接性は、所定の近接性基準を満たすときに確定される。通信フェーズは、直接に2つのユーザ機器端末の間、または複数のユーザ機器端末のうちでの送信および/または受信を伴う。D2Dサービスは、通信チャネルの品質を推定するために用いるサウンディング参照信号、通信チャネルを確立するために用いる制御信号などの信号を伴う他のシグナリング・フェーズも含むことができる。ワイヤレス通信ネットワークにおける速度、スループット、および効率の向上に対する要求の高まりは、D2Dサービスおよび他のD2Dアプリケーションとの係わりを含めて、ワイヤレス通信プロセス、システム、およびデバイスの継続的な改善を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気通信ネットワークのユーザ機器端末間の制御シグナリングに対する従来の解決策は、電気通信ネットワークの基地局または他のネットワーク制御デバイスが制御シグナリングを生成または別の方法で管理することを伴う。D2D発見および/または通信に係わる制御シグナリングは、基礎をなす電気通信ネットワーク(例えば、以下には限定されないが、進化型ユニバーサル地上無線アクセス・ネットワーク(「E−UTRAN:Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network」))の制御レベルに依存して、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって管理または生成される。かかる従来の解決法は、D2D発見および/または通信に用いる信号の送信電力を管理するユーザ機器端末をもたらさない。かかる従来の解決法は、D2D通信リンクの具体例を示しうる複数の重なり合ったネットワークにおける送信電力レベルの管理ももたらさない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号の送信電力制御を改善するためのシステム、デバイス、および方法が記載される。
【0007】
一態様において、ユーザ機器端末が提供される。ユーザ機器端末は、第1の電力制御モジュール、第2の電力制御モジュール、および信号トランシーバ・モジュールを含む。第1の電力制御モジュールは、ユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するように構成される。第1の送信電力は、基地局から受信された少なくとも1つの第1の電力制御パラメータに基づいて確定される。第2の電力制御モジュールは、デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって用いられる少なくとも1つの信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するように構成される。第2の送信電力は、基地局から受信された少なくとも1つの第2の電力制御パラメータに基づいて確定される。信号トランシーバ・モジュールは、第1の送信電力を用いてユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号を送信し、かつ、第2の送信電力を用いてデバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる少なくとも1つの信号を送信するように構成される。
【0008】
別の態様では、非一時的なコンピュータ可読媒体に取り込まれた1つ以上のモジュールを実行するように構成されたプロセッサを含むシステムが提供される。1つ以上のモジュールは、第1の電力制御モジュールおよび第2の電力制御モジュールを含む。第1の電力制御モジュールは、ユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するように構成される。第1の送信電力は、基地局によって生成された少なくとも1つの第1の電力制御パラメータに基づいて確定される。第2の電力制御モジュールは、デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって用いられる少なくとも1つの信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するように構成される。第2の送信電力は、基地局によって生成された少なくとも1つの第2の電力制御パラメータに基づいて確定される。
【0009】
別の態様では、基地局が提供される。基地局は、第1の電力制御モジュール、第2の電力制御モジュール、および信号トランシーバ・モジュールを含む。第1の電力制御モジュールは、ユーザ機器端末と基地局との間の通信に用いる少なくとも1つの信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するための少なくとも1つの第1の電力制御パラメータを生成するように構成される。第2の電力制御モジュールは、デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって用いられる少なくとも1つの信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するための少なくとも1つの第2の電力制御パラメータを生成するように構成される。信号トランシーバ・モジュールは、少なくとも1つの第1の電力制御パラメータ、および、少なくとも1つの第2の電力制御パラメータをユーザ機器端末へ送信するように構成される。
【0010】
別の態様では、デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって用いられる少なくとも1つの信号に適用されることになる送信電力を制御するための方法が提供される。方法は、ユーザ機器端末が少なくとも1つの電力制御パラメータを基地局から受信することを伴う。方法は、基地局から受信された少なくとも1つの電力制御パラメータに基づいて、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号に適用されることになる送信電力を確定することをさらに伴う。方法は、ユーザ機器端末が送信電力を用いてデバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号を送信することをさらに伴う。
【0011】
これらの例示的な態様および特徴は、本発明を限定または定義するためではなく、本明細書に記載され、開示される発明の概念を理解することを助ける例を提供するために言及される。本発明の他の態様、利点、および特徴は、添付図面および特許請求の範囲を含めて、本開示全体を吟味した後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に従って、デバイス・ツー・デバイス・サービスが可能なユーザ機器端末を含んだ電気通信システムの例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態に従って、電気通信システムの例を示し、デバイス・ツー・デバイス発見に携わるユーザ機器端末を示すブロック図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態に従って、発見信号をブロードキャストするか、または別の方法で送信するユーザ機器端末の例を示すモデリング図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態に従って、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号の送信電力を制御するように構成された基地局の例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の例示的な実施形態に従って、デバイス・ツー・デバイス・サービスに用いる信号の送信電力を制御するように構成されたユーザ機器端末の例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態に従って、デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって実行される送信電力制御手順に関する信号フローの例を示すモデリング図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態に従って、デバイス・ツー・デバイス・サービスのためにユーザ機器端末によって用いられる信号に適用されることになる送信電力を制御するための方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの態様および例は、D2D発見信号および/またはD2D通信信号の送信電力制御を含めて、ユーザ機器端末によって、デバイス・ツー・デバイス(「D2D」)サービスの送信電力制御を行うためのシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態において、ユーザ機器端末(例えば、モバイルデバイス)は、D2Dサービスに用いる信号に適用されることになる送信電力を制御するための1つ以上の電力制御モジュールを含むことができる。D2Dサービスのための電力制御モジュールは、ユーザ機器端末と、電気通信ネットワークにおける通信の集中処理、スケジューリングまたは他の管理を行うように構成された、基地局または他のネットワーク制御デバイスとの間の上りリンク通信および/または下りリンク通信の送信電力制御に用いる電力制御モジュール(単数または複数)とは、少なくとも機能的に、分離している。D2D通信のための1つ以上の電力制御モジュールは、デバイス・ツー・デバイス通信のためにユーザ機器端末によって送信される信号の送信電力を制御できる。
【0014】
D2Dサービスのためにユーザ機器端末によって用いられる信号の一例は、他のユーザ機器端末を発見するために用いる発見信号である。発見信号は、ネットワークデバイスの発見を可能にする1つ以上の信号を含むことができる。発見信号は、ブロードキャストするか、または別の方法で送信することができる。D2Dサービスのためにユーザ機器端末によって用いられる信号の別の例は、通信チャネルの品質を推定するために用いるサウンディング参照信号である。D2Dサービスのためにユーザ機器端末によって用いられる信号の別の例は、ユーザ機器端末間において通信データ(例えば、音声または非音声データ)を送信するための通信信号である。D2Dサービスのためにユーザ機器端末によって用いられる信号の別の例は、通信チャネルを確立するために用いる制御信号、例えば(以下には限定されないが)電力制御パラメータ、または、通信チャネルを確立するために用いる周波数識別である。
【0015】
本明細書では、用語「デバイス・ツー・デバイス(「D2D」)通信」は、セルラーネットワークまたは他の電気通信システム上で動作し、1つのユーザ機器端末から別のユーザ機器端末への通信データ・トラフィックがセルラーネットワークまたは他の電気通信システムにおける集中基地局または他のデバイスを通過しない、2つのユーザ機器端末の間、または複数のユーザ機器端末のうちでの通信のモードを指すことができる。通信データは、通信信号を用いて送られ、ユーザ機器端末のユーザによる消費を意図した音声通信またはデータ通信を含むことができる。通信信号は、第1のユーザ機器端末から第2のユーザ機器端末へD2D通信によって直接に送信される。様々な態様において、D2Dパケット送信に係わる制御シグナリングは、基礎をなすコアネットワークまたは基地局によって、すべて、いくらかが管理または生成されることもあり、あるいは何も管理または生成されないこともある。追加または代わりの態様では、受信ユーザ機器端末が通信データ・トラフィックを送信ユーザ機器端末と1つ以上のさらなる受信ユーザ機器端末との間でリレーすることもある。
【0016】
本明細書では、用語「コアネットワーク」は、電気通信ネットワークのユーザにサービスを提供する電気通信ネットワークにおけるデバイス、デバイス群、またはサブシステムを指すことができる。コアネットワークによって提供されるサービスの例は、アグリゲーション、認証、呼切り替え、サービス呼出し、他のネットワークへのゲートウェイなどを含む。
【0017】
D2D通信は、任意の適切な電気通信規格に従って実装されたネットワークにおいて用いることができる。かかる規格の非限定の例は、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(「3GPP:3rd Generation Partnership Project」)ロング・ターム・エボリューション(「LTE:Long Term Evolution」)である。3GPP規格は、第3および第4世代ワイヤレス通信システムに関する世界的に適用可能な技術仕様および技術レポートを規定することを目指した連携合意である。3GPPは、次世代モバイル・ネットワーク、システム、およびデバイスに関する仕様を規定する。3GPP LTEは、将来の要求に対処すべくユニバーサル・モバイル通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)モバイルフォンまたはデバイス規格を改善するためのプロジェクトに与えられた名称である。一態様において、UMTSは、進化型ユニバーサル地上無線アクセス(E−UTRA:Evolved Universal Terrestrial Radio Access)および進化型ユニバーサル地上無線アクセス・ネットワーク(E−UTRAN:Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)にサポートおよび仕様を提供するために修正された。E−UTRANは、D2D通信を用いることができる電気通信規格の別の非限定の例である。
【0018】
本明細書では、用語「ライセンス取得周波数スペクトル」は、所管官庁によって使用法が規制された周波数スペクトルを含むことができる。いくつかの態様において、ライセンス取得周波数スペクトルは、政府規制当局によってライセンスされ、特定の領域におけるスペクトルへのアクセスおよびその使用がライセンス取得者、例えば(以下には限定されないが)携帯電話会社によって制御されるスペクトルのアロケーションを指すことができる。周波数スペクトルのライセンス取得者は、政府機関、民間団体、例えば(以下には限定されないが)携帯電話会社などを含むことができる。例えば、米国では、ライセンス取得周波数スペクトルは、連邦通信委員会によって規制された通信に用いる周波数を含むことができる。例えば、ライセンス取得周波数スペクトルの様々な部分を軍事用途、公共安全、および商業サービス用に指定できる。そうする権利を有するエンティティのみがライセンス取得周波数スペクトルのそれぞれの部分の周波数バンドを用いてよい。商業用途の例は、広帯域ワイヤレス用途、パーソナル通信サービス(「PCS:Personal Communications Services」)セルラー用途、広帯域無線サービスなどを含むことができる。
【0019】
本明細書では、用語「D2Dサービス」、「近接サービス」または「ProSe」は、電気通信システムにおいてD2D発見および/またはD2D通信を実装するためのシステムおよび方法を指すことができる。
【0020】
本明細書では、用語「ユーザ機器(「UE:user equipment」)端末」は、電気通信システム、例えば(以下には限定されないが)セルラーネットワークによって、音声および/またはデータを通信するために用いられる電子デバイスを指すことができる。UE端末を指すために用いる他の用語およびかかるデバイスの非限定の例は、移動局、モバイルデバイス、アクセス端末、加入者局、移動端末、遠隔局、ユーザ端末、端末、加入者ユニット、セルラーフォン、スマートフォン、携帯情報端末(「PDA:personal digital assistant」)、ラップトップコンピュータ、ネットブック、電子書籍リーダ、ワイヤレス・モデムなどを含むことができる。
【0021】
本明細書では、用語「基地局」は、ワイヤレス通信を促進し、または、別の方法でUE端末と電気通信システムとの間のインターフェースを提供する任意のデバイスまたはデバイス群を指すことができる。基地局の非限定の例は、3GPP仕様では、Node B(「NB」)、enhanced Node B(「eNB」)、home eNB(「HeNB」)またはその他の同様の用語を含むことができる。基地局の別の非限定の例は、アクセスポイントである。アクセスポイントは、UE端末にデータ・ネットワーク、例えば(以下には限定されないが)ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)、インターネットなどへのアクセスを提供する電子デバイスである。本明細書に開示されるシステムおよび方法のいくつかの例が所定の規格(例えば、3GPPリリース8、9、10および/または11)に関して記載されるが、本開示の範囲は、この点で限定されるべきではない。本明細書に開示されるシステムおよび方法の少なくともいくつかの態様は、他のタイプのワイヤレス通信システムで利用されてもよい。
【0022】
本明細書では、用語「電気通信システム」は、情報を送信するために用いるデバイスの任意のネットワークを指すことができる。電気通信システムの非限定の例は、セルラーネットワークまたは他のワイヤレス通信システムである。
【0023】
本明細書では、用語「セルラーネットワーク」は、複数のセルにわたって分布し、各セルが少なくとも1つの固定位置トランシーバ、例えば、基地局によってサービスされるネットワークを指すことができる。「セル」は、インターナショナル・モバイル・テレコミュニケーションズ−アドバンスト(IMT−Advanced:International Mobile Telecommunications−Advanced)に用いるために規格化または規制団体によって仕様が定められた任意の通信チャネルである。基地局、例えば、Node BとUE端末との間の通信に用いるライセンス取得バンド(例えば、周波数バンド)として、セルのすべてまたはサブセットが3GPPによって採用される。ライセンス取得周波数バンドを用いたセルラーネットワークは、構成されたセルを含むことができる。構成されたセルは、UE端末が認識しており、情報を送信または受信することが基地局によって許可されたセルを含むことができる。
【0024】
本明細書では、用語「D2D発見」、「近接性発見」および「ProSe発見」は、第1のUE端末が第2のUE端末に近接していることを確定するためのプロセスを指すことができる。
【0025】
本明細書では、用語「D2D通信」、「近接通信」および「ProSe通信」は、UE端末とそれに近接した1つ以上の他のネットワークデバイスとの間の通信チャネルを確立して、用いるためのプロセスを指すことができる。
【0026】
一実施形態に従って、UE端末は、基地局によって提供された電力制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて、D2Dサービスに用いる信号の送信電力を制御できる。UE端末は、基地局との通信に用いる信号に適用されることになる第1の送信電力を制御するように構成された第1の電力制御モジュールを含むことができる。UE端末は、D2D発見および/または通信に用いる信号に適用されることになる第2の送信電力を制御するように構成された第2の電力制御モジュールも含むことができる。第1および第2の送信電力は、基地局または他のネットワーク制御デバイスから受信された少なくとも1つの電力制御パラメータに基づいて確定できる。いくつかの実施形態において、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって提供された電力制御パラメータは、UE端末によっても、UE端末によって実行されるアプリケーションによってもオーバーライドできない。他の実施形態では、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって提供された電力制御パラメータの値は、UE端末によって設定された電力制御パラメータの値が基地局または他のネットワーク制御デバイスによって指定された範囲内にある場合に、UE端末によって、またはUE端末によって実行されるアプリケーションによってオーバーライドできる。いくつかの実施形態において、D2Dサービスに用いる電力制御パラメータは、UE端末と基地局との間の上りリンクおよび下りリンク通信に用いる電力制御パラメータと異なってもよい。他の実施形態では、D2D発見、D2D通信、および基地局との上りリンク/下りリンク通信に同じ電力制御パラメータを用いることができる。UE端末は、また、第1の送信電力を用いて上りリンク/下りリンク通信に用いる信号を送信し、かつ、第2の送信電力を用いてD2D発見および/または通信に用いる信号を送信するように構成された信号トランシーバ・モジュールを含むことができる。
【0027】
追加または代わりの実施形態では、アプリケーション、デバイス、および/または基地局以外のエンティティによって1つ以上の電力制御パラメータを設定できる。一例において、特定の電気通信サービスに関連するオペレータまたはUE製造業者は、運用管理および保守手順を通じて、または、UE端末の加入者識別モジュールに電力制御パラメータ(単数または複数)を記憶することによって、UE端末に関する1つ以上の電力制御パラメータを設定できる。
【0028】
D2Dサービスのための電力制御モジュールは、UE端末と基地局との間の上りリンクおよび/または下りリンク通信に用いる電力制御手順とは独立した1つ以上の電力制御手順を実行できる。UE端末間のD2Dチャネルは、UE端末と基地局との間の上りリンクおよび下りリンク・チャネルとは異なることができる。このように、D2Dサービスに独立した電力制御手順を用いると、D2Dサービスにより大きい単位面積当りの容量を提供できて、UE端末の電力使用量および電池寿命を最適化できる。
【0029】
いくつかの実施形態において、D2Dサービスの発見フェーズおよび通信フェーズは、分離したプロセスとすることができる。例えば、所与のUE端末による他のUE端末の発見は、発見側UE端末と被発見側UE端末との間のD2D通信をもたらさない。他の実施形態では、通信フェーズは、発見フェーズから完全には分離していない。例えば、UE端末は、発見を目的としたそのアイデンティティおよび通信を目的としたペイロード・データ(例えば、アドバタイジング)の両方を周期的にブロードキャストする。このUE端末は、近接したUE端末と持続的な通信リンクを確立することも、および/または、それ自体を近接したUE端末に対して認証することもない。
【0030】
追加または代わりの実施形態では、基地局からの電力制御パラメータは、D2D発見信号および/またはD2D通信信号のための最大電力を含むことができる。最大電力は、UE端末がかかる信号の送信に割り当てることができる電力の上限とすることができる。D2Dサービスのための電力制御モジュールは、信号のための最大電力、ならびに、D2Dサービスのための電力制御モジュールによる初期電力および電力調整の合計のうちの最小値を確定することによって、D2Dサービスに用いる信号の送信電力を確定できる。
【0031】
いくつかの実施形態において、D2Dサービスに用いる信号の送信のためにUE端末が割り当てることができる最大電力は、最小電力閾値および最大電力閾値に基づいて確定できる。最大電力閾値は、いくつかの電力制御パラメータ、例えば、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって設定された最大電力、UE端末のユーザによって設定された最大電力、および/または、UE端末カテゴリによって確定された最大電力のうちの最小値とすることができる。いくつかの電力制御パラメータのうちの最小値を用いると、最大電力閾値が基地局によって設定された最大電力値を超えないことを保証できる。最小電力閾値は、UE端末に対する性能要件に基づいて、電力制御モジュールによって確定できる。性能要件の非限定の例は、最小または保証送信範囲、ビット誤り率、検出の確率、他のUE端末のフォールス・アラームまたは他の誤発見の確率、発見遅延要件などを含む。最小電力閾値は、上側電力閾値とUE端末が適用できる電力低減の最大量との間の差とすることができる。電力低減の最大量は、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって提供されるさらなる電力制御パラメータとすることができる。
【0032】
他の実施形態では、D2Dサービス信号の送信またはブロードキャストのためにUE端末が割り当てることができる最大電力は、単一の電力パラメータに基づいて選択できる。例えば、最大電力は、基地局によって設定された最大電力に等しくすることができる。
【0033】
電力制御モジュールは、1つ以上の電力制御パラメータに基づいて、D2Dサービス信号のための初期電力を選択できる。いくつかの実施形態において、初期電力は、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって設定できる。他の実施形態では、初期電力は、ユーザによって、またはUE端末によって実行されるアプリケーションによって設定できる。他の実施形態では、初期電力は、デフォルト値を有することができる。D2Dサービスのための電力制御モジュールは、初期電力を基地局によって設定された初期電力値、および、UE端末によって設定された初期電力値のうちの最小値に設定する。他の実施形態では、初期電力は、基地局によって、UE端末の製造業者によって、電気通信システムを用いるオペレータなどによって設定された固定値とすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、D2Dサービス信号に対する電力調整は、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって構成できる。一例において、基地局または他のネットワーク制御デバイスは、指定された電力調整によって電力を調整するためにUE端末へシグナリングを行う。指定された電力調整は、基地局または他のネットワーク制御デバイスによって示されるか、あるいは、サービス・プロバイダまたはデバイス製造業者によって設定された所定の値とすることができる。他の実施形態では、電力調整は、UE端末において実行されるアプリケーションによって設定できる。
【0035】
追加または代わりの実施形態では、D2Dサービスに用いる信号に適用される送信電力は、UE端末によって送信される信号の周波数バンド幅に基づいて確定できる。
【0036】
いくつかの実施形態において、D2D発見のための電力制御モジュールは、D2Dサービスに用いるD2D通信または他の信号のための電力制御モジュールと同じであってもよい。D2D発見のための電力制御モジュールがD2D通信のための電力制御モジュールと同じである場合、D2D発見およびD2D通信の両方の送信電力制御に1組のパラメータまたは構成を用いることができる。他の実施形態では、D2D発見のための電力制御モジュールは、D2D通信のための電力制御モジュールとは独立していてもよく、各モジュールは、同じか、または異なる電力制御パラメータおよび構成を用いることができる。
【0037】
一実施形態において、D2Dサービスのための送信電力制御は、開ループ電力制御手順を用いて実装される。開ループ電力制御では、受信UE端末から送信UE端末へのフィードバックは何も提供されない。送信UE端末は、受信機によって送信信号が受信されるかどうかを考慮することなく送信電力を調整する。例えば、送信UE端末は、特定の受信UE端末または受信UE端末群を対象としない発見および/または通信信号をブロードキャストする。このように、送信UE端末は、他のUE端末と通信するために利用できる物理通信チャネルに関する情報が欠如しており、それによって開ループ電力制御手順の使用が必要となる。
【0038】
別の実施形態では、D2Dサービスのための送信電力制御は、閉ループ電力制御手順を用いて実装される。閉ループ動力制御では、受信UE端末から送信UE端末へのフィードバックが存在する。送信UE端末は、送信UE端末と受信UE端末との間のチャネル状態に基づいて、または、受信UE端末から受信された肯定応答および/または否定応答に基づいて送信電力を調整できる。例えば、送信UE端末は、他のUE端末との通信に利用できる物理通信チャネルに関する情報を有する。閉ループ電力制御手順は、電力消費、単位面積当たりの容量などの観点からより効果的な通信チャネルの使用法を提供できる。
【0039】
上記の態様および例、ならびにさらなる態様および例の詳細な説明が以下に考察される。本明細書に記載される説明に役立つ例は、開示される概念の範囲を限定するものではない。以下の記載は、同様の数字が同様の要素を示す添付図面を参照し、例示的な態様を説明するために方向性を示す記載が用いられるが、これらの記載は、例示的な態様と同様に、本発明を限定するために用いるべきではない。
【0040】
図1は、いくつかの例示的な実施形態に従って、デバイス・ツー・デバイス・サービスが可能なユーザ機器端末を含んだ電気通信システム100の例を示すブロック図である。
【0041】
電気通信システム100は、基地局102および2つ以上のUE端末104a、104bを含むことができる。基地局102は、それぞれの通信リンク108a、108bを通じてUE端末104a、104bとそれぞれ通信することができる。通信リンク108a、108bは、基地局によってサービスされるサービスカバレージエリアにおいて基地局とUE端末との間で通信を行うための任意の適切な方法を用いて確立できる。それぞれの通信リンク108a、108bは、上りリンクおよび下りリンク・チャネルを含むことができる。いくつかの実施形態において、通信リンク108a、108bは、基地局102とUE端末104a、104bとの間の物理リンクである必要はない。例えば、通信リンク108a、108bの1つ以上が基地局102からUE端末104a、104bへ信号を物理的に送信するための送信ポイントを含んでもよい。送信ポイントは、基地局102と地理的にコロケートされなくてもよい。
【0042】
D2D通信リンク110は、UE端末104a、104b間の直接リンクを提供できる。D2D通信リンク110は、UE端末104a、104bが、電気通信システム100の基地局102または他のインフラストラクチャを通って通信データをルーティングすることなく、通信データを交換することを可能にできる。いくつかの態様において、UE端末104a、104bは、ライセンス取得周波数スペクトルによってD2D通信リンク110を確立できる。他の態様では、UE端末104a、104bは、適切なライセンス未取得周波数スペクトルを用いてD2D通信リンク110を確立できる。ライセンス未取得周波数スペクトルを用いた通信リンク110の非限定の例は、WLANリンク、Bluetoothリンクなどを含む。D2Dリンクを確立する具体的な例は、コシュネビス(Khoshnevis)らによる「デバイス・ツー・デバイス・リンクのためのリソースの割り当ておよび確定(Allocating and Determining Resources for a Device−to−Device Link)」と題する、本出願と共通の譲受人に譲渡される米国特許出願第13/408,910号(代理人整理番号SLA3116)、および、山田(Yamada)らによる「ライセンス取得周波数スペクトルを用いた近接サービス発見(Proximity Service Discovery Using a Licensed Frequency Spectrum)」と題する、米国特許出願第13/560,725号(代理人整理番号SLA3209)に記載され、これらは、いずれもすべての目的においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。D2D通信リンク110の確立は、UE端末104a、104bが互いに十分に近接していることを確定することを含む。
【0043】
図2は、電気通信システム100を示し、近接サービス発見に携わるユーザ機器端末を示すブロック図である。
【0044】
2つ以上のピアが互いに十分に近接していることの確定(すなわち、近接性発見)は、複数のプロトコル・レイヤによって情報を交換することを含むことができる。ピアは、(以下には限定されないが)別のピア・デバイスと通信するデバイス、および/または、別のアプリケーションとのアプリケーション通信を含むことができる。異なるピアでは各レイヤが異なる長さまたはタイプのアイデンティティ情報を有してもよい。発見側または被発見側ピアは、UE端末、基地局、ネットワーク、サーバ、またはアプリケーションなどとすることができる。被発見側ピアを識別するために用いるレイヤは、どのピアが発見側または被発見側ピアであるかを確定できる。発見に用いるレイヤは、UE端末、基地局、ネットワーク、サーバ、またはアプリケーションのうちのどれが発見側または被発見側ピアであるかを確定できる。
【0045】
いくつかの様態において、UE端末の発見は、2つ以上のUE端末104a、104b間のシグナリング経路202を直接に用いることを含むことができる(すなわち、この信号経路は基地局102を通過しない。直接のシグナリング経路は、D2D発見信号(単数または複数)を用いて、被発見側UE端末、例えばUE端末104aと、発見側UE端末、例えばUE端末104bとの間で近接性情報204aを通信するために用いられる。直接のシグナリング経路202は、ライセンス取得周波数スペクトルまたは適切なライセンス未取得周波数スペクトルによって確立できる。直接のシグナリング経路202は、発見信号をブロードキャストするか、または別な方法で送信するために、デバイス、例えば、UE端末104aに割り当てられるか、または別の状況でそのデバイスによって用いられる、電気通信システム100のリソースを含むことができる。例えば、UE端末104bは、UE端末104aによってブロードキャストされた発見信号を対象として、周波数スペクトルの周波数を連続的にスキャンできる。他の態様では、UE端末の発見は、通信リンク108bを用いて基地局102と発見側UE端末104bとの間で近接性情報204bを通信することを含むことができる。他の態様では、UE端末の発見は、基地局102と発見側UE端末104aとの間の通信チャネル108aを用いることを含むことができる。
【0046】
いくつかの態様において、基地局102は、信号の三角測量または他のネットワーク・ベースの方法を用いてUE端末104a、104bの地理的な位置を確定できる。UE端末104a、104bの地理的な位置は、それらがD2D通信に携わるのに互いに十分に近接しているかどうかを判定するために用いることができる。例えば、電気通信システム100におけるデバイスは、UE端末と、最も近いワイヤレス・アクセスポイント(単数または複数)、基地局(単数または複数)などとの間で送られる信号の遅延に基づいて、UE端末の位置を確定する。かかるケースでは、UE端末の地理的な位置は、三角測量、到来時間差(「TDOA:time difference of arrival」)、または強化観測時間差(「E−OTD:Enhanced Observed Time Difference」)のような様々な技術によって確定される。当業者は、任意の他の位置ベースのサービス技術を用いてもよいことを理解するであろう。かかる他の技術の例は、通信デバイスの場所を確定するために局所範囲の技術、例えば、Bluetooth、WLAN、赤外線および/またはRFID/近距離通信技術を用いるNear LBS(「NLBS」)、電気通信シグナリング・プロトコル、例えば、SS7で提供されるオペレータに依存しない位置データの使用、ならびに、ローカル測位システム、例えば、COMAネットワークのためのコパイロット・ビーコン(Co−pilot Beacon)、Bluetooth、UWB、RFID、Wi−FiおよびWiMAXを含む。
【0047】
他の態様では、基地局102が、UE端末104a、104bから受信された位置情報に基づいて、これらのUE端末の位置を確定できる。位置情報は、全地球測位システム(「GPS:global positioning system」)または他の位置ベースのサービスを用いて生成できる。例えば、位置ベースのサービスは、全地球測位システムを用いて発呼デバイスの位置をモニタするためのGPSチップおよび関連ソフトウェアまたはファームウェアを含む。加えて、または代わりに、位置ベースのサービスは、電気通信システム100においてUE端末104aが他のデバイス(例えば、ワイヤレス・アクセスポイント、基地局など)と通信するときに、UE端末104aによって生成および/または受信された信号をモニタするために用いるソフトウェアを含む。この信号は、特定の時刻におけるUE端末104aの地理的な位置の指標を、例えば、三角測量またはTDOA、E−OTDなどのような技術によって提供し、または、提供するために用いられる。
【0048】
図3は、発見信号302をブロードキャストするか、または別な方法で送信するユーザ機器端末の例を示すモデリング図である。近接性ベースの発見は、被発見側UE端末104aと発見側UE端末104bとの間の到達可能性および近接性をチェックするための物理レイヤ信号、例えば、発見信号302を用いることを含むことができる。物理レイヤ信号は、発見信号送信手順を用いて発見できる被発見側UE端末104aからの無線信号とすることができる。
【0049】
例えば、発見されることが可能なUE端末104aは、無線信号ブロードキャストなどによって発見信号302を送信できる。発見信号302をこのようにブロードキャストすると、UE端末104aは、発見信号302を受信するか、または別の方法で検出するのに十分に被発見側UE端末104aに近接した範囲内にある発見側UE端末によって発見できる。発見側UE端末104bは、発見信号302を検出できる半径304内にあり、従って、被発見側UE端末104aに十分に近接した範囲内に位置することができる。UE端末104cは、発見信号302が検出できる半径304外に位置し、UE端末104cがUE端末104aを発見するのを防ぐことができる。追加または代わりの態様では、被発見側UE端末104aは、発見信号302をセンシングする基地局によって発見できる。発見信号302の例は、(以下には限定されないが)近接サービス・ビーコン、LTE上りリンク参照信号、LTE下りリンク参照信号などを含むことができる。理解すべきは、
図3の例における3つのデバイス104a、104b、および104cのすべてがモバイルデバイスである必要はないことである。
【0050】
いくつかの態様において、発見信号302は、UE端末104aを識別するための情報および/または構造を提供する。かかる情報は、例えば、UE端末104aに割り当てられた固有の識別子を含むことができる。他の態様では、発見信号302は、UE端末104a、104bによって用いられることになる発見のタイプを識別するための情報および/または構造を提供する。発見のタイプの非限定の例は、物理レイヤ発見、ネットワーク・アクセス・レイヤ発見、およびアプリケーション・サービス・レイヤ発見を含むことができる。
【0051】
他の態様では、発見信号302は、D2D通信チャネル110として用いることができる通信チャネルの推定チャネル品質またはチャネル状態を識別するための情報および/または構造を提供する。例えば、発見信号302は、チャネル品質(例えば、受信電力、推定パスロス、推定信号対雑音比、推定受信品質、プリコーディング・マトリックス、空間多重に用いる推定ランクなど)を推定するために用いることになるサウンディング参照信号を含むことができる。チャネル品質の推定は、送信機によって既知の信号、例えば、サウンディング参照信号を送信すること、受信機によってサウンディング参照信号を受信すること、および、受信信号に関するチャネル推定アルゴリズム、例えば(以下には限定されないが)平均二乗誤差(「MSE:mean squared error」)推定を行うことを含むことができる。
【0052】
いくつかの態様において、D2Dサービスのための発見フェーズおよび通信フェーズは、分離したプロセスとすることができる。例えば、UE端末104aによるUE端末104bの発見は、被発見側UE端末104aと発見側UE端末104bとの間のD2D通信をもたらさないか、または、D2D発見が完了し、確認されて始めてD2D通信が発生する。他の態様では、D2D通信フェーズは、発見フェーズから完全には分離していない。例えば、UE端末104aは、発見を目的としたUE端末104aのアイデンティティおよび通信を目的としたペイロード・データ(例えば、アドバタイジングまたは他のブロードキャスト・メッセージ)の両方を、信号302によって、周期的にブロードキャストする。UE端末104aは、UE端末104bと持続的な通信リンクを確立することも、UE端末104bに対して認証情報を提供することもない。
【0053】
図4は、D2Dサービスに用いる信号の送信電力を制御するように構成された基地局102の例を示すブロック図である。
【0054】
本明細書に記載される機能性を実装するために、基地局102は、プロセッサ402を含むことができ、プロセッサ402は、コンピュータ可読媒体、例えば、メモリ404に記憶されたコードを実行して、基地局102内の様々なモジュールに、電気通信システム100におけるD2DサービスのためにUE端末によって用いられる信号の送信電力を制御または別の方法で管理させることができる。プロセッサ402の非限定の例は、マイクロプロセッサ、周辺インターフェース・コントローラ(「PIC:peripheral interface controller」)、特定用途向け集積回路(「ASIC:application−specific integrated circuit」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA:field−programmable gate array」)、または他の適切なプロセッサを含む。プロセッサ402は、1つのプロセッサまたは任意の数のプロセッサを含んでもよい。
【0055】
プロセッサ402は、メモリ404に記憶された命令にアクセスできる。メモリ404は、命令を具体的に実施することが可能な任意の非一時的なコンピュータ可読媒体であり、電子、磁気、または光デバイスを含むことができる。メモリ404の例は、ランダムアクセスメモリ(「RAM:random access memory」)、リードオンリーメモリ(「ROM:read−only memory」)、磁気ディスク、ASIC、構成されたプロセッサ、または他の記憶デバイスを含む。命令は、実行可能なコードとしてメモリ404に記憶できる。この命令は、任意の適切なコンピュータ・プログラミング言語、例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java、Python、Perl、JavaScript、およびActionScriptで書かれたコードからコンパイラおよび/またはインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含むことができる。
【0056】
基地局102は、電力制御モジュール406も含むことができる。電力制御モジュール406は、
図6および7に関して以下にさらに詳細に説明されるように、UE端末104a、104bの1つ以上と基地局102との間の通信に用いる信号に適用されることになる送信電力を制御するための1つ以上の電力制御パラメータを生成するための任意のデバイスまたはデバイス群および/または任意の適切なソフトウェアを含むことができる。
【0057】
基地局102は、D2D電力制御モジュール408も含むことができる。D2D電力制御モジュール408は、
図6および7に関して以下にさらに詳細に説明されるように、UE端末104a、104b間のD2Dサービスに用いる信号に適用されることになる送信電力を制御するための1つ以上の電力制御パラメータを生成するための任意のデバイスまたはデバイス群および/または任意の適切なソフトウェアを含むことができる。
【0058】
基地局102は、信号トランシーバ・モジュール410も含むことができる。信号トランシーバ・モジュール410は、送信機コンポーネントおよび受信機コンポーネントを含むことができる。信号トランシーバ・モジュール410は、アンテナ412を用いたUE端末104a、104bへの、または、他の基地局への送信のための信号を準備できる。送信のための信号の準備は、例えば、データを送信するためにキャリア信号を変調することを含むことができる。キャリア信号を変調するために、任意の適切な変調技術、例えば(以下には限定されないが)位相偏移変調(「PSK:phase shift modulation」)、直交振幅変調(「QAM:quadrature amplitude modulation」)などを用いることができる。信号トランシーバ・モジュール410は、アンテナ412を用いて信号を送受信できる。信号は、ライセンス取得周波数スペクトル、または、適切なライセンス未取得周波数スペクトルを用いて送受信できる。
【0059】
いくつかの態様の構成を示すために、基地局102のための構成の例が提供される。もちろん、他の構成が利用されてもよい。電力制御モジュール406、D2D電力制御モジュール408、および信号トランシーバ・モジュール410は、参照を容易にするために、分離した物理または論理モジュールとして
図4に示され、本明細書に記載されるが、他の実装も可能である。追加または代わりの態様では、電力制御モジュール406、D2D電力制御モジュール408、および/または信号トランシーバ・モジュール410の2つ以上を共通のデバイス、デバイス群、および/またはソフトウェアエンジンによって実装できる。基地局102に関する他の態様および代わりの実施形態は、先述のコシュネビス(Khoshnevis)らによる「デバイス・ツー・デバイス・リンクのためのリソースの割り当ておよび確定」と題する、本出願と共通の譲受人に譲渡される米国特許出願第13/408,910号(代理人整理番号SLA3116)、および、山田(Yamada)らによる「ライセンス取得周波数スペクトルを用いた近接サービス発見」と題する、米国特許出願第13/560,725号(代理人整理番号SLA3209)に記載され、これらは、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
図5は、D2Dサービスに用いる信号の送信電力を制御するように構成されたユーザ機器端末104の例を示すブロック図である。
【0061】
UE端末104は、プロセッサ502を含むことができ、プロセッサ502は、コンピュータ可読媒体、例えば、メモリ504に記憶された命令を実行して、UE端末104に、D2Dサービスに用いる信号の送信電力を制御または別の方法で管理させることができる。プロセッサ502の非限定の例は、マイクロプロセッサ、周辺インターフェース・コントローラ(「PIC」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、または他の適切なプロセッサを含む。プロセッサ502は、1つのプロセッサまたは任意の数のプロセッサを含んでもよい。
【0062】
プロセッサ502は、メモリ504に記憶された命令にアクセスできる。メモリ504は、命令を具体的に実施することが可能な任意の非一時的なコンピュータ可読媒体であり、電子、磁気、または光デバイスを含むことができる。メモリ504の例は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、リードオンリーメモリ(「ROM」)、磁気ディスク、ASIC、構成されたプロセッサ、または他の記憶デバイスを含む。命令は、実行可能なコードとしてメモリ504に記憶できる。この命令は、任意の適切なコンピュータ・プログラミング言語、例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java、Python、Perl、JavaScript、およびActionScriptで書かれたコードからコンパイラおよび/またはインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含むことができる。
【0063】
UE端末104は、電力制御モジュール506も含むことができる。いくつかの態様において、電力制御モジュール506は、
図6および7に関して以下にさらに詳細に説明されるように、UE端末104と基地局102との間の通信に用いる信号に適用されることになる送信電力を制御できる。電力制御モジュール506は、基地局102から受信された1つ以上の電力制御パラメータに基づいて、送信電力を確定できる。
【0064】
UE端末104は、D2D電力制御モジュール508も含むことができる。D2D電力制御モジュール508は、
図6および7に関して以下にさらに詳細に説明されるように、D2Dサービスに用いる信号に適用されることになる送信電力を制御できる。D2D電力制御モジュール508は、基地局102から受信された1つ以上の電力制御パラメータに基づいて、送信電力を確定できる。
【0065】
UE端末104は、信号トランシーバ・モジュール510も含むことができる。信号トランシーバ・モジュール510は、送信機コンポーネントおよび受信機コンポーネントを含むことができる。信号トランシーバ・モジュール510は、アンテナ512を用いた基地局102への送信のため、または、他のUE端末104a、104bによる受信のための信号を準備できる。送信のための信号の準備は、例えば、データを送信するためにキャリア信号を変調することを含むことができる。キャリア信号を変調するために、任意の適切な変調技術、例えば(以下には限定されないが)位相偏移変調(「PSK」)、直交振幅変調(「QAM」)などを用いることができる。信号トランシーバ・モジュール510は、ライセンス取得周波数スペクトル、または、適切なライセンス未取得周波数スペクトルを用いて信号を送受信できる。
【0066】
電力制御モジュール506、D2D電力制御モジュール508、および信号トランシーバ・モジュール510は、参照を容易にするために、分離した物理または論理モジュールとして
図5に示され、本明細書に記載されるが、他の実装も可能である。追加または代わりの態様では、電力制御モジュール506、D2D電力制御モジュール508、および/または信号トランシーバ・モジュール510の2つ以上を共通のデバイス、デバイス群、および/またはソフトウェアエンジンによって実装できる。
【0067】
UE端末104は、基地局102によって提供された電力制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて、D2Dサービスに用いる信号の送信電力を制御できる。
図6は、UE端末104によってD2Dサービスのために実行される電力制御手順に関する通信フローの例を示すモデリング図である。
【0068】
基地局102または別のネットワーク制御デバイスは、本明細書では「基地局パラメータ」602と呼ばれる、1つ以上の電力制御パラメータをUE端末104に提供できる。基地局パラメータ602は、UE端末104によっても、UE端末104によって実行されるアプリケーションによってもオーバーライドできない。いくつかの態様において、D2Dサービスに用いる基地局パラメータ602は、UE端末104と基地局102との間の上り下りリンク通信、例えば、通信リンク108a、108bによる通信に用いる、基地局102または他のネットワーク制御デバイスによって提供される他の電力制御パラメータとは異なってもよい。他の態様では、D2Dサービスおよび基地局102との上りリンク/下りリンク通信の両方に同じ電力制御パラメータを用いることができる。
【0069】
基地局102のD2D電力制御モジュール406は、任意の適切な判定基準に基づいて、基地局パラメータ602を生成できる。一例において、D2D電力制御モジュール406は、UE端末104の指定送信範囲に基づいて、UE端末104のための最大電力を確定できる。別の例では、D2D電力制御モジュール406は、基地局102によってサービスされるセルの所望の周波数再使用量に基づいて、UE端末104のための最大電力を確定できる。所望の周波数再使用量は、電気通信システム100または電気通信システム100のためのコアネットワークを用いるオペレータによって設定または確定できる。別の例では、D2D電力制御モジュール406は、基地局102およびUE端末104によって利用される電気通信規格、例えば、3GPPに基づいて、UE端末104のための最大電力を確定できる。
【0070】
追加または代わりの実施形態では、基地局102の電力制御モジュール404およびD2D電力制御モジュール406は、それぞれ上りリンク/下りリンク通信およびD2Dサービスのための独立した電力制御パラメータを生成できる。例えば、電力制御モジュール404によって生成された1つ以上の電力制御パラメータは、UE端末104と基地局102との間の上りリンク/下りリンク通信のための最大送信電力を指定する。D2D電力制御モジュール406によって生成された1つ以上のさらなる電力制御パラメータは、D2Dサービスのための異なる最大送信電力を指定する。上りリンク/下りリンク通信のための最大送信電力は、D2Dサービスのための最大電力最大送信電力より大きくすることができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、アプリケーション、デバイス、および/または、基地局102以外のエンティティによって1つ以上の電力制御パラメータを設定できる。
図6に示されるように、UE端末104は、また、UE端末のメモリ504に記憶された(本明細書では「UEパラメータ」と呼ばれる)1つ以上の電力制御パラメータ604、および/または、(本明細書では「OA&Mパラメータ」と呼ばれる)運用、管理、および保守(「OA&M:Operations,Administration,and Maintenance」)手順606を通じて設定された1つ以上の電力制御パラメータに基づいて、D2Dサービスに用いる送信電力610を確定できる。
【0072】
UEパラメータ604は、UE端末104またはUE端末104において実行されるアプリケーションによって設定可能な1つ以上のパラメータを含むことができる。いくつかの態様において、UEパラメータ604は、UE端末104のためのユーザ固有の電力設定を含むことができる。他の態様では、UEパラメータ604は、UE端末104において実行されるアプリケーションによって指定された性能要件を含むことができる。性能要件の非限定の例は、最小または保証送信範囲、ビット誤り率、検出の確率、フォールス・アラームの確率、発見遅延要件などを含む。
【0073】
OA&Mパラメータ606は、電気通信システム100のコアネットワーク、電気通信システム100を用いた電気通信サービスのオペレータ、および/または、UE端末104の製造業者によって設定可能な、または、設定された1つ以上のパラメータを含むことができる。一例において、特定の電気通信サービスに関連したオペレータは、電気通信システム100を通じて送信された信号を用いて、UE端末に関するOA&Mパラメータ606を設定できる。OA&Mパラメータ606は、オペレータにより基地局102または他のネットワーク制御デバイスを用いてUE端末104に提供できる。別の例では、UE端末104の製造業者がOA&Mパラメータ606を設定できる。OA&Mパラメータ606は、UE端末104のメモリ504(例えば、RAM,ROM、SIMカードなど)に記憶できる。
【0074】
D2D電力制御モジュール508は、送信電力610を確定するための1つ以上の電力制御手順を実行できる。電力制御手順は、電力制御関数608の実行を含むことができる。電力制御関数608への入力は、基地局パラメータ602、UEパラメータ604、およびOA&Mパラメータ606のうちの1つ以上を含むことができる。UE端末104の信号トランシーバ・モジュール510は、D2D電力制御モジュール508によって確定された送信電力610を用いてD2Dサービスのための信号を送信するように構成できる。
【0075】
上記のように、D2D電力制御モジュール508は、開ループ電力制御手順または閉ループ電力制御手順を用いて送信電力610を確定する。開ループ電力制御では、受信UE端末から送信UE端末104へフィードバックは何も供給されない。送信UE端末104は、送信信号が受信UE端末によって受信されるかどうかを考慮することなく、D2Dサービスに用いる信号のための送信電力を確定する。
【0076】
別の実施形態では、D2D電力制御モジュール508は、閉ループ電力制御手順を用いて送信電力610を確定する。閉ループ電力制御では、受信UE端末から送信UE端末104へのフィードバックが存在する。送信UE端末104は、送信UE端末と受信UE端末との間のチャネル状態に基づいて、または、受信機から受信された肯定応答および/または否定応答に基づいて、D2Dサービスのための信号に用いる送信電力を調整できる。
【0077】
図7は、D2Dサービスに用いる信号に適用されることになる送信電力610を制御するための方法の例700を示すフローチャートである。説明のために、方法700は、
図4および5に示される例示的なシステム実装を参照して記載される。しかしながら、他の実装も可能である。
【0078】
方法700は、ブロック710に示されるように、UE端末104が少なくとも1つの電力制御パラメータ、例えば、基地局パラメータ602を基地局102から受信することを伴う。基地局パラメータ602は、例えば、発見信号、サウンディング参照信号、通信信号および/または制御信号のうちの1つ以上のための最大電力を含むことができる。最大電力は、UE端末104がD2Dサービスに用いる発見信号、サウンディング参照信号、通信信号、および/または制御信号の送信に割り当てることができる電力に対する上限とすることができる。
【0079】
方法700は、ブロック720に示されるように、UE端末104がD2Dサービスに用いる信号に適用されることになる送信電力610を確定することをさらに伴う。UE端末104のプロセッサ502は、送信電力610を確定するためにD2D電力制御モジュール508を実行できる。D2D電力制御モジュール508は、基地局102から受信された少なくとも1つの電力制御パラメータに基づいて送信電力610を確定できる。いくつかの実施形態において、D2D電力制御モジュール508は、基地局102からの1つ以上の基地局パラメータ602、ならびに、1つ以上のUEパラメータ604および/または1つ以上のOA&Mパラメータ606に基づいて、送信電力610を確定できる。
【0080】
D2D電力制御モジュール508は、D2Dサービスに用いる信号のための最大電力、信号の初期電力、およびD2D電力制御モジュール508による電力調整を用いて、電力制御関数608を適用することにより送信電力610を確定できる。送信電力610を確定するための電力制御関数608は、数式
P
Tx=min(P
Tx,Max,P
0+delta
_P)
によって表すことができ、ここでP
Txは送信電力610であり、P
Tx,MaxはUE端末104が送信に割り当てることができる最大電力であり、P
0は送信電力610のベース値であり、delta
_Pは送信電力610に対する調整である。P
Tx、P
Tx,Max、P
0、およびdelta
_Pの電力値は、デシベルまたはワット単位とすることができる。P
Tx、P
Tx,Max、P
0、およびdelta
_Pの値は、以下に記載されるように、基地局パラメータ602に基づいて確定できる。いくつかの実施形態において、P
Tx、P
Tx,Max、P
0、およびdelta
_Pの値は、基地局パラメータ602ならびに1つ以上のUEパラメータ604および/またはより多くのOA&Mパラメータ606に基づいて確定できる。
【0081】
いくつかの実施形態において、UE端末104がD2Dサービスに用いるD2D発見信号または他の信号に割り当てることができる最大電力は、関数
P
Tx,Max_L≦P
Tx,Max≦P
Tx,Max_H
によって表されるように、最小電力閾値および最大電力閾値に基づくことができ、ここでP
Tx,Max_Lは最小電力閾値であり、P
Tx,Max_Hは最小電力閾値である。最小電力閾値P
Tx,Max_Lは、UE端末104に対する性能要件に基づいてD2Dサービスに用いることができる最小送信電力610である。性能要件の非限定の例は、最小または保証送信範囲、ビット誤り率、検出の確率、他のUE端末のフォールス・アラームまたは他の誤発見の確率、発見遅延要件などを含む。
【0082】
最大電力閾値P
Tx,Max_Hは、1つ以上の基地局パラメータ602、例えば、基地局102または他のネットワーク制御デバイスによって設定された最大電力、および/または、1つ以上のUEパラメータ604、例えば、UE端末104のユーザによって設定された最大電力、および/または、UE端末104カテゴリによって確定された最大電力に基づいて確定できる。UE端末カテゴリは、UE端末の製造業者によって提供された1つ以上のハードウェア仕様を含むことができる。いくつかの実施形態において、P
Tx,Max_Hは、関数
P
Tx,Max_H=min(P
eNB,Max,P
UE,Max,P
PowerClass)
によって表すことができる。
【0083】
P
eNB,Maxは、基地局102によって設定された最大電力である。いくつかの実施形態において、P
eNB,Maxは固定値とすることができる。他の実施形態では、P
eNB,Maxは基地局102によって設定できる。
【0084】
P
UE,Maxは、UE端末104のユーザによって、または、UE端末104において実行されるアプリケーションによって設定された最大電力である。P
UE,MaxのようなUEパラメータ604は、UE端末104の電池使用量を制御する際のフレキシビリティを提供でき、電気通信システム100の時間リソースおよび/または周波数リソースをより多く再使用することを可能にできる。
【0085】
いくつかのケースでは、P
eNB,Maxおよび/またはP
UE,Maxがゼロに等しい値を有するように基地局102がP
eNB,Maxを設定し損なうか、または、UE端末104がP
UE,Maxを設定し損ない、それによってP
Tx,Maxが誤って0に設定される結果になる。かかる誤りを防ぐために、P
eNB,Maxおよび/またはP
UE,Maxは、P
Max,Defaultのデフォルト値を有することができる。P
Max,Defaultは、UE端末104が基地局102への上りリンク送信に用いることが許可された最大電力の小部分に設定できる。
【0086】
P
powerClassは、UE端末104のデバイス・カテゴリに関して最大送信電力を指定するOA&Mパラメータ606である。P
powerClassパラメータは、設定可能でなくてもよい。P
powerClassパラメータは、コアネットワーク、電気通信システム100を用いるオペレータ、および/または、UE端末104の製造業者によって設定できる。
【0087】
P
Tx,Max_Hに関する数式に最小値演算を適用すると、UE端末104において設定された最大電力(すなわちP
UE,Max)が、基地局102によって設定された、および/または、P
PowerClassによって定義された最大電力をオーバーライドまたは超過するのを防ぐことができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、最小電力閾値P
Tx,Max_Lは、上側電力閾値P
Tx,Max_HおよびUE端末104が適用できる電力低減の最大量に基づいて確定できる。例えば、最小電力閾値P
Tx,Max_Lは、関数
P
Tx,Max_L=P
Tx,Max_H−delta
によって確定でき、ここでdelta(上記の調整delta
_Pとの差)は、UE端末104が適用できる電力低減の最大量である。いくつかの実施形態において、deltaの値は、基地局102によって設定された基地局パラメータ602とすることができる。他の実施形態では、deltaの値は、コアネットワーク、オペレータ、および/またはUE端末104の製造業者によって設定されたOA&Mパラメータ606とすることができる。
【0089】
他の実施形態では、UE端末104がD2Dサービスに用いる信号に割り当てることができる最大電力値P
Tx,Maxは、単一の電力パラメータに基づいて選択できる。例えば、この最大電力は、UE端末104および/または基地局102が用いる仕様におけるパラメータ、例えば、UE端末の上りリンク送信電力を基地局102によって設定された最大電力に制限するために用いる、3GPP仕様中のパラメータP−Maxに基づいて設定できる。
【0090】
電力制御モジュールは、1つ以上の電力制御パラメータに基づいて、初期電力を選択できる。いくつかの実施形態において、初期電力は、基地局102または他のネットワーク制御デバイスによって設定できる。他の実施形態では、初期電力は、ユーザによって、または、UE端末104によって実行されるアプリケーションによって設定できる。他の実施形態では、初期電力は、基地局102によって、UE端末104の製造業者によって、電気通信システムを用いるオペレータなどによって設定された固定値とすることができる。
【0091】
さらなる実施形態では、初期電力は、デフォルト値を有することができる。D2D電力制御モジュール508は、初期電力を基地局102によって設定された初期電力値およびUE端末104によって設定された初期電力値に基づいて設定する。一例において、初期電力は、数式
P
0=min(P
0,eNB,P
0,UE)
によって表すことができる。
【0092】
P
0,eNBは、基地局102によって上位レイヤ・シグナリング、例えば(以下には限定されないが)無線リソース制御(「RRC:radio resource control」)シグナリングを用いて設定された値とすることができる。UE端末104がRRC_Idleモードにある場合、基地局102は、電力を調整するためのシグナリングに先だってUE端末104の状態をRRC_Connectedへ変更するために、UE端末104をページングできる。P
0,UEは、ユーザのユーザ、および/またはユーザ、および/またはアプリケーションによって設定された値とすることができる。P
0,eNBおよびP
0,UEは、P
Tx、Maxの非ゼロの小部分であるデフォルト値をとる。いくつかの実施形態において、P
0,UEの値は、他のデバイスによって送信され、UE端末104において検出された発見信号の受信電力に基づいて確定できる。
【0093】
P
0に関する数式に最小値演算を適用すると、初期電力がUE端末104のユーザによって、または、UE端末104において実行されるアプリケーションによって設定された値を超過する値に設定されるのを防ぐことができる。
【0094】
別の例では、初期電力は、次の数式、すなわち、
ユーザ、UE端末104、またはUE端末104において実行されるアプリケーションがP
0,UEを設定する場合、P
0=P
0,UE;あるいは、
基地局102がP
0,eNBを設定する場合、P
0=P
0,eNB;あるいは、
0≦alpha≦1に対して、P
0=alpha
*P
Tx,Max
によって表すことができる。
【0095】
追加または代わりの態様では、初期電力P0は、P0=P0,eNBのようにP0,eNBパラメータによって定義できる。
【0096】
いくつかの実施形態において、電力調整delta_Pは、基地局102または他のネットワーク制御デバイスによって設定できる。一例において、基地局102または他のネットワーク制御デバイスは、指定された電力調整によって電力を調整するためにUE端末104へシグナリングを行う。指定された電力調整は、基地局102または他のネットワーク制御デバイスによって示されるか、あるいは、所定の値とすることができる。他の実施形態では、電力調整は、UE端末104において実行されるアプリケーションによって設定できる。
【0097】
いくつかの実施形態において、電力調整delta_Pは、スカラー値とすることができる。delta_Pのスカラー値に関して、D2D電力制御モジュール508は、送信電力610電力の初期値をdelta_Pだけ増加すべきか、または、送信電力610の初期値をdelta
_Pだけ減少すべきかを識別できる。例えば、送信電力610を確定するための電力制御関数608は、数式
P
Tx=min(P
Tx,Max,P
0+beta
*delta
_P)
によって表すことができ、ここでbetaは、{−1,+1}の値をとる。
【0098】
いくつかの実施形態において、電力調整delta
_Pは、ベクトル値とすることができる。delta
_Pのベクトル値は、正値または負値をとることができる。一例において、delta
_Pの値は、P
Txの値に基づくことができる。例えば、
0≦P
Tx≦T
1であれば、delta
_P={a
1,a
2,・・・,a
n}、
T
1≦P
Tx≦T
2であれば、delta
_P={b
1,b
2,・・・,b
n}、・・・である。
【0099】
電力調整delta
_Pベクトルの値は、その境界の関数とすることができる。例えば、
a
i=T
1/2+(i−n/2)
*T
1/n,1≦i≦n、
b
i=(T
2−T
1)/2+(i−n/2)(T
2−T
1)/n、・・・である。
【0100】
別の例では、電力調整delta
_Pは、P
TxまたはP
0から独立していることができる。例えば、電力調整は、delta
_P={−c,c}の値を有することができる。
【0101】
いくつかの態様において、delta
_Pは、基地局102によって設定できる。初期電力P
0を電力調整delta
_Pによって調整するために、任意の適切なメカニズムを用いることができる。一例において、基地局102は、電力を調整するためにUE端末104へシグナリングを行う。delta
_Pの値は、基地局102によって示されるか、または、所定の値とすることができる。基地局102において干渉を検出できるほど望ましくない干渉を引き起こすD2D送信に応答して、基地局102は、送信電力610を低下させるようにUE端末104へシグナリングを行うことができる。かかるシグナリングは、例えば、物理下りリンク制御チャネル(「PDCCH:physical downlink control channel」)を用いて、または上位レイヤ・シグナリングを用いて電力調整delta
_Pを送信することによって行うことができる。
【0102】
別の例では、基地局102がP
0,eNBおよびP
Max,eNBの値を調整できる。
【0103】
いくつかの様態では、delta
_Pは、UE端末104において実行されるアプリケーションによって直接的あるいは間接的に設定することもできる。例えば、電力調整delta
_Pは、cがP
0,UEおよびP
Max,UEに基づいて確定される、集合{−c,c}に含まれる。delta
_P=−cまたはdelta
_P=cであるかどうかの判定は、delta
_P=−cの確率が50%、delta
_P=cの確率が50%であるような、ランダムまたは擬似ランダム・プロセスに基づくことができる。
【0104】
追加または代わりの態様では、電力調整delta
_Pは、D2D発見またはD2D通信に係わるチャネルまたは信号の間で分離した電力制御ループとしてシグナリングを行うことができる。例えば、delta
_P_Discを発見信号に用い、および/または、delta
_P_Commを通信信号に用い、および/または、delta
_P_SRSをサウンディング参照信号に用いる。
【0105】
追加または代わりの実施形態では、電力制御関数608は、D2Dサービスに用いる発見信号302、通信信号、または他の信号の周波数バンド幅に基づいて、送信電力610を確定するために適用できる。異なるバンド幅をもつ信号の送信に対して同じ電力スペクトル密度を提供するために、電力制御関数608に特定の信号のバンド幅を含めることができる。周波数バンド幅に基づいて送信電力610を確定するための電力制御関数608の例は、数式
P
Tx=min(P
Tx,Max,P0+delta
_P+f(バンド幅))
によって表すことができ、ここでf(バンド幅)は、送信電力610に対するバンド幅の効果を取り入れたバンド幅関数である。バンド幅関数の例は、電力制御関数608を表す数式中のすべての項がデシベル単位であるときにlog()関数とすることができる。
【0106】
追加または代わりの実施形態では、D2D発見のための電力制御は、D2D通信と同じであっても、D2D通信に依存しても、あるいはD2D通信に依存しなくともよい。D2D発見のための電力制御が、D2D通信のための電力制御と同じ場合、D2D発見およびD2D通信の両方の電力制御に1組のパラメータおよび構成を用いることができる。D2D発見のための電力制御がD2D通信のための電力制御に依存する(またはその逆の)場合、電力制御関数におけるパラメータ、例えば、P
eNB,Maxおよび/またはP
PowerClassおよび/またはP
0,eNBのいくつかは同じであるが、D2D発見またはD2D通信のいずれかに関するそれぞれの電力制御関数は、異なるオフセット値を有することもある。
【0107】
追加または代わりの態様では、D2D通信のための電力制御関数608は、D2D発見のための電力制御関数608と数式
P
Tx,Comm=P
Tx,Disc+delta
_offset+(送信に依存する他のパラメータ)
によって関連付けることができ、ここでP
Tx,Discは、上記のP
Tx式と同じであるか、またはそれを含むことができる。
【0108】
D2D発見のための電力制御がD2D通信のための電力制御から独立している場合、それぞれのD2Dフェーズごとの電力制御関数608は、基地局パラメータ602および/またはOA&Mパラメータ606を必要とする。
【0109】
追加または代わりの態様では、電力制御関数608は、送信電力610を確定するためのさらなるパラメータを含むことができる。さらなるパラメータは、例えば、パスロス補償係数、符号化および変調度などを含むことができる。例えば、UE端末104は、D2D通信リンクまたはシグナリング経路におけるパスロスまたは他の信号電力低下を測定する。UE端末104は、パスロスまたは他の信号電力低下を基地局102に通知できる。基地局102は、UE端末104がパスロスまたは他の信号電力低下を補償できるように1つ以上の基地局パラメータ602を修正できる。
【0110】
方法700は、ブロック730に示されるように、UE端末104が送信電力を用いてD2Dサービスに用いる信号を送信することをさらに伴う。UE端末104の信号トランシーバ・モジュール510は、D2Dサービスのための1つ以上の信号を送信できる。
【0111】
一般的な考慮
本発明の態様の先の記載は、図示された態様を含めて、図示および記載のためにのみ提示され、網羅的であることも、本発明を開示される通りの形態に限定することも意図されない。本発明の範囲から逸脱しないこれらの態様の多くの修正、適応、および使用が当業者には明らかであろう。
【0112】
ソフトウェアまたはコードを備える、本明細書に記載される任意のロジックまたはアプリケーションは、計算システム、例えば、コンピュータシステムまたは他のシステムにおけるプロセッサによって、または計算システムに接続して用いるための非一時的なコンピュータ可読媒体に取り込むことができる。この意味で、ロジックは、例えば、コンピュータ可読媒体からフェッチして計算システムによって実行できる命令および宣言を含んだステートメントを備える。
【0113】
本開示のコンテキストでは、「コンピュータ可読媒体」は、計算システムによって、または計算システムに接続して用いるために、本明細書に記載されるロジックまたはアプリケーションを入れる、記憶する、保持する、または別の方法で含むことができる任意の媒体を含みうる。コンピュータ可読媒体は、例えば、磁気、光、または半導体メディアのような、多くの物理メディアのいずれか1つを備えることができる。適切なコンピュータ可読媒体のさらに具体的な例は、以下には限定されないが、磁気テープ、磁気フロッピーディスク、磁気ハードドライブ、メモリカード、ソリッドステートドライブ、USBフラッシュドライブ、光ディスクなどを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)であってもよい。RAMの例は、(以下には限定されないが)スタティックランダムアクセスメモリ(「SRAM:static random access memory」)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(「DRAM:dynamic random access memory」)、磁気ランダムアクセスメモリ(「MRAM:magnetic random access memory」)などを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、リードオンリーメモリ(「ROM」)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM:programmable read−only memory)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(「EPROM:erasable programmable read−only memory」)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(「EEPROM:electrically erasable programmable read−only memory」)、または他のタイプのメモリデバイスであってもよい。
【0114】
強調すべきは、上記の例が本開示の原理を明確に理解するために可能な実装を提示したに過ぎないことである。本開示の精神および原理から実質的に逸脱することなく、上記の例に多くの変更および修正がなされてもよい。すべてのかかる修正および変更は、本開示の範囲内で本明細書に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
【国際調査報告】