特表2015-536297(P2015-536297A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-536297三次元のガラスセラミック物品の作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-536297(P2015-536297A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】三次元のガラスセラミック物品の作製方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 19/06 20060101AFI20151124BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   C03B19/06 D
   C03C21/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-542862(P2015-542862)
(86)(22)【出願日】2013年11月18日
(85)【翻訳文提出日】2015年7月10日
(86)【国際出願番号】US2013070483
(87)【国際公開番号】WO2014081647
(87)【国際公開日】20140530
(31)【優先権主張番号】61/728,392
(32)【優先日】2012年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ウクラインツィク,リェルカ
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA15
4G059AC16
4G059HB00
(57)【要約】
ガラスセラミック物品の形成方法。いくつかの実施形態では、上記物品は三次元形状を有する。フリット形態のガラスセラミック及びガラスフリットを含有するフリット混合物を媒体中に分散させてスラリーを生成し、続いてこれを所望の形状に形成して本体素地を作製する。射出成形、焼結鍛造、鋳造、加圧鋳造、等方圧加圧等により形成してよい。続いて本体素地を高温で焼成してバインダを焼き切り、ガラスセラミック及びガラスフリットを中実ガラスセラミック本体へと溶融する。いくつかの実施形態では、ガラスセラミック粉末及びガラスフリット材料をイオン交換することで表面層の高い圧縮応力を達成でき、これにより物品の高い耐損傷性がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス‐セラミック本体の作製方法であって:
a. スラリーを提供するステップであって、前記スラリーは、媒体、ガラスフリット材料並びにガラス‐セラミック粉末及びセラミック粉末のうち少なくとも1つを含み、ここで前記ガラスセラミック粉末はイオン交換可能である、ステップ;
b. 前記スラリーを本体素地へと形成するステップ;及び
c. 前記本体素地を約880℃〜約1150℃の範囲の温度で焼成して、前記ガラスセラミック本体を形成し、ここで前記ガラスセラミック本体はイオン交換可能である、ステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記ガラスセラミック粉末は、LiO‐AlO‐SiO系、MgO‐Al‐SiO系及びZnO‐Al‐SiO系のうち少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスセラミック粉末は、ゼロ未満の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記セラミック粉末は、アルミナ、ジルコニア強化アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコン、イットリア及び酸化亜鉛のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラスフリットは、アルカリアルミノシリケートガラスを含むことを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスセラミック粉末及び前記セラミック粉末のうち少なくとも1つは、前記ガラスフリットに対して約0.5〜約0.90の範囲の比率で前記スラリー中に存在することを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記媒体は有機バインダを含み、該有機バインダは、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、コーンスターチ、セルロース誘導体又はこれらの組合せを含むことを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記本体素地の形成は、射出成形、焼結鍛造、鋳造及び加圧のうち少なくとも1つにより前記スラリーをある形状にするステップを含むことを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスセラミック本体をイオン交換するステップを更に含み、
イオン交換されたガラスセラミック本体は、少なくとも300MPaの圧縮応力下の層を有し、該層は前記ガラスセラミック本体の表面から少なくとも約40マイクロメートルの層深さまで延在することを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラスセラミック本体は、湾曲表面部分、凹状表面部分、凸状表面部分のうち少なくとも1つを含む三次元形状を有することを特徴とする請求項1から9いずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2012年11月20日出願の米国仮特許出願第61/728392号の優先権を主張するものであり、本明細書は上記出願の内容に依存したものであり、また上記出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、民生用電子デバイス用のカバープレート等のガラスセラミック物品に関する。より具体的には、本開示はこのようなガラスセラミック物品の作製方法に関する。更に具体的には、本開示は、このようなガラスセラミックを含むフリット材料を用いたこのような物品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
成形ガラスセラミック物品は、携帯電話及びタブレット等の民生用電子機器における外装又は筐体要素としての使用に進出している。現在、これらの物品は、まず「素地(green)」即ち未焼成のシートを形成し、該シートの一部を結晶化(「セラミック化(ceramming)」)させてガラスセラミックを形成し、該ガラスセラミックを最終形状又は近似正味形状へと再形成し、必要であれば物品を最終形状へと機械加工することにより、作製される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複雑なガラスセラミック形状の機械加工は、ガラスセラミック物品の全体的な強度を低減する欠陥を招くという欠点を有する。また、いくつかの用途に関しては、許容誤差は厳しいものであり、典型的には±100マイクロメートル(μm)の範囲である。このような許容誤差を満たすことは、セラミック化プロセス中に生じる体積変化のために困難である。更に、セラミック化はガラスセラミック素地の軟化点を超える温度で実施されるため、精密な鋳型に保持していないと三次元形状が損なわれることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ガラスセラミック物品の形成方法を提供する。いくつかの実施形態では、物品は三次元形状を有する。ガラスセラミックはフリット粉末の形態であり、低融点を有するガラスフリットと混合される。いくつかの実施形態では、フリット混合物を媒体中に分散させてスラリーを生成し、続いてこれを所望の形状に形成して本体素地を作製する。この形成は、射出成形、焼結鍛造、鋳造、加圧鋳造、等方圧加圧等により達成してよい。続いて本体素地を高温で焼成してバインダを焼き切り、ガラスセラミック及びガラスフリットを中実ガラスセラミック本体へと溶融する。いくつかの実施形態では、ガラスセラミック粉末及びガラスフリット材料はイオン交換可能なアルカリを含み、従ってイオン交換することで高い圧縮応力を有する表面層を達成でき、これにより物品の高い耐損傷性がもたらされる。
【0006】
従って、本開示の一態様は、ガラス‐セラミック本体の作製方法を提供することである。本方法は:スラリーを提供するステップであって、該スラリーは、媒体、ガラスフリット材料並びにガラス‐セラミック粉末及びセラミック粉末のうち少なくとも1つを含む、ステップ;該スラリーを本体素地へと形成するステップ;及び該本体素地を焼成してガラスセラミック本体を形成するステップ、を含む。
【0007】
これらの及び他の態様、利点及び突出した特徴は、以下の詳細な説明、添付の図面及び添付の請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ガラスセラミック本体の作製方法についてのフローチャート
図2】皿状ガラスセラミック物品の2つの例の概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、図面に示す複数の図を通して、類似する又は対応する部品は類似の参照符号で示す。また、そうでないことが明記されていない限り、「上部(top)」「底部(bottom)」「外側(outward)」「内側(inward)」等の用語は便宜上使用する語句であり、限定する用語として解釈されるべきではないことを理解されたい。また、ある群が、複数の要素の群及びそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含むものとして記載されている場合、この群は、列挙された複数の要素のうち任意の数の要素を別個に又は互いに組み合わせて含むか、本質的に構成されるか、又は構成されることを理解されたい。同様に、群が複数の要素の群又はそれらの組み合わせの少なくとも1つから構成されるものとして記載されている場合、この群は、列挙された複数の要素のうち任意の数の要素を別個に又は互いに組み合わせて構成されることを理解されたい。そうではないことが明記されていない限り、値の範囲を記述する場合、この値の範囲は、この範囲の上限及び下限並びにその間の任意の範囲を含む。そうでないことが明記されていない限り、本明細書で用いる不定冠詞「ある(a、an)」及び対応する定冠詞「該(the)」は、「少なくとも1つの(at least one)」又は「1つ又は複数の(one or more)」を意味する。本明細書及び図面に開示された様々な特徴を、いずれの及び全ての組み合わせで用いてよいことも理解されたい。
【0010】
なお、「実質的には(substantially)」及び「約(about)」という用語は、任意の定量比較、値、測定値又は他の表現に帰することがある不確実性の固有の程度を表すために本明細書中で使用され得ることに留意されたい。これらの用語はまた、争点となる主題の基本的な機能に変更をもたらすことなく規定の基準から定量的な表現が変化し得る程度を表すために本明細書中で使用される。
【0011】
本明細書で使用する用語「ガラスセラミック粉末(glass ceramic powder)」又は「ガラスセラミックフリット(glass ceramic frit)」は、粉砕又は当該技術で既知の他の手段により、微粉末又は「フリット」へと形成されたガラスセラミックを指す。用語「ガラスフリット(glass frit)」は、ガラス粉砕により又は当該技術で既知の他の手段により形成された、ガラスの微粉末を指す。用語「本体素地(green body)」は、ガラスフリット並びにガラスセラミック粉末及びセラミック粉末のうち少なくとも1つを含む、焼成されていないスラリーを指す。いくつかの実施形態では、本体素地を最終物品の形状へと形成してよい。用語「ガラスセラミック本体(glass ceramic body)」は、本体素地の焼成後に得られる、中実の、連続的なガラスセラミック本体又は形状を指す。
【0012】
本明細書で使用する用語「ガラスセラミック(glass ceramic)」は、ガラス前駆体の少なくとも一部に亘って実質的に均一なパターンで熱的に成長させた少なくとも1つの結晶相を有する材料を指す。ガラスセラミックは、Robert W. Pfitzenmaier等による「Colored Glass‐Ceramics and Method」という題の1996年2月13日に発行された米国特許第5491115号明細書に記載されており、上記出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ガラスセラミックは、ガラス相に加えて非晶相も含む。ガラスセラミック材料は典型的には、まず原材料の混合物(一般的には核生成剤を含む)を溶解させてガラスを形成し;該ガラスから物品を形成し;該物品をガラスの転移温度より低い温度まで冷却し;適切な処理によりガラス物品の少なくとも一部を結晶化(「セラミック化」とも呼ぶ)させることにより生成される。ガラスセラミックは、体積比で約30%〜約90%の結晶性材料を含んでよく、低多孔率又はゼロの多孔率、高強度、半透明性、不透明性、色素沈着性及び乳白色等の様々な特性を有してよい。ガラスセラミックの非限定的な例としては、LiO‐AlO‐SiO系(「LAS系」とも呼ばれる)、MgO‐Al‐SiO系(「MAS系」とも呼ばれる)及びZnO‐Al‐SiO系(「ZAS系」とも呼ばれる)の化合物が挙げられる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ガラスセラミックは主(major)結晶又結晶相を有する;即ち、ガラスセラミックは、少なくとも約30体積%(vol%)の結晶性材料を含有する。他の実施形態では、ガラスセラミックは、少なくとも90体積%の結晶性材料を含有する。他の実施形態では、ガラスセラミックは、主な又は優勢な非晶相又はガラス相(本明細書で使用する「非晶相(amorphous phase)」及び「ガラス相(glass phase)」は同等の用語と見做され、相互交換可能に使用される)を有する。主非晶相を有するガラスセラミックは、約30体積%未満の結晶性材料を含有する。いくつかの実施形態では、ガラスセラミックは、最大約95体積%の非晶材料又は非晶相を含む。
【0014】
図面全般、及び特に図1を参照すると、これらの図面は、特定の実施形態の説明を目的としたものであり、本開示又は添付の請求項を限定することを意図したものではないことが理解されるであろう。図面は必ずしも実寸ではなく、特定の特徴及び特定の図は、明確さ及び簡潔さを目的として寸法について又は図式的に強調して示している場合がある。
【0015】
ガラスセラミック本体の作製方法を提供する。図1に、本方法及び様々な実施形態に含まれる異なる複数のステップを示すフローチャートを示す。方法100は、スラリーを提供及び/又は形成するステップ(図1のステップ110)を含む。スラリーは、ガラスフリット及びガラスセラミック粉末、セラミック粉末又はこれらの組み合わせを含み、混合及び調整技術を含む当該技術で既知の方法を用いて形成してよい。スラリーは更に、例えばバインダ等の媒体を含み、この媒体中にガラスフリット及びガラスセラミック粉末及び/又はセラミック粉末を分散させる。
【0016】
スラリーが提供されると、該スラリーを、射出成形、焼結鍛造、鋳造、加圧鋳造、等方圧加圧又はこれらの組み合わせ等の、しかしこれらに限定されない当該技術で既知の方法を用いて、所望の形状を有する本体素地へと形成する(図1のステップ120)。いくつかの実施形態では、本体素地の形成中に圧縮即ち圧力を印加して本体素地の密度を高め、これにより空隙を含まない、強固な本体素地を形成する。いくつかの実施形態では、本体素地の所望の形状は、三次元形状である。このような三次元形状の非限定的な例としては、少なくとも1つの表面が皿状の外形、湾曲した外形、凸状の外形又は凹状の外形を有するような物品が挙げられる。皿状の物品は、少なくとも1つの側部において湾曲部分により縁取られた、略平坦な部分を有してよい。皿状ガラスセラミック物品の非限定的な実施例は、図2の断面図に概略的に示されている。皿状の物品200は、2つの主要な表面202、204を有し、これらの各表面は、いずれかの端部(あるいは両方の端部)において湾曲部分220により縁取られた、略平坦な又は平面の部分210を有することにより、皿状の外形又は見た目を提供する。他の実施形態では、皿状の物品230は、いずれかの端部(あるいは両方の端部)において湾曲部分220により縁取られた略平坦な又は平面の部分210を有する主要な表面234を1つだけ有する。残りの主要な表面232は、実質的に平坦又は平面である。
【0017】
本体素地が形成されると、続いてこれを十分に高い温度で焼成又は加熱し、本体から媒体/バインダを「焼き切る(burn out)」又は除去し、ガラスフリット、ガラスセラミック及び/又はセラミックを中実のガラスセラミック本体へと溶融する(図1のステップ130)。ガラス及びガラスセラミック(又はセラミック)を溶融する焼成ステップは、本体素地を「セラミック化する」ステップと呼んでもよい。本体素地の焼成を実施する際の実際の温度及び条件(例えば、加熱ステップの数及び焼成を実施する際の雰囲気)は、スラリー及び本体素地を含む、媒体/バインダ、ガラスフリット、ガラスセラミック粉末及び/又はセラミック粉末の性質に左右される。いくつかの実施形態では例えば、ガラスセラミック本体は、約880℃〜約1150℃の範囲の温度で本体素地を加熱することにより、他の実施形態では、約930℃〜約1050℃の範囲の温度で本体素地を加熱することにより形成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法100は、ガラスフリット、ガラスセラミック粉末及び/又はセラミック粉末のうち少なくとも1つを提供することを含んでよい(図1のステップ105)。これらの材料を提供するステップは、原材料から1つ又は複数の材料を合成し、精製して、粉末へと形成することを含んでよい。これらの材料は、当該技術で既知の方法により形成及び/又は粉砕してよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、得られたガラスセラミック本体はイオン交換可能である。このような実施形態では、方法100は、少なくとも1つの溶解塩浴へのガラスセラミック本体の浸漬等の、しかしこれらに限定されない当該技術で既知の方法を用いて、ガラスセラミック本体をイオン交換するステップ(図1のステップ140)を更に含んでよい。ステップ140は、単一又は複数のイオン交換ステップ、並びに各イオン交換の前又は後の追加の洗浄及びアニールステップを含んでよい。いくつかの実施形態では、イオン交換されたガラスセラミック本体は、圧縮応力下の層(「圧縮層」とも呼ばれる)を有し、この層は少なくとも1つの表面からガラスセラミック本体の層深さの大半まで延在する。いくつかの実施形態では、層深さはガラスセラミック本体の全体の厚さの2%以上である。圧縮応力は、いくつかの実施形態では少なくとも300MPa、他の実施形態では少なくとも500MPaである。特定の非限定的な一実施例では、ガラスセラミック本体は、2mmの全体の厚さを有し、40マイクロメートルの層深さ及び少なくとも500MPaの圧縮応力を有する圧縮層を有する。このようなイオン交換は、ガラスセラミック本体の耐損傷性を上昇させる。
【0020】
上述のLAS系、MAS系及びZAS系を含む、当該技術で既知の任意のガラスセラミック組成物を用いて、ガラスセラミックフリット粉末を形成してよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、ガラスセラミックは、主結晶相がβ‐スポジュメン固溶体である不透明な白色ガラスセラミックであり、該ガラスセラミックは:約62.0モル%〜約72.0モル%のSiO;約12.0モル%〜約17.0モル%のAl;約5.0モル%〜約13.0モル%のLiO;0モル%〜約2.0モル%のZnO;0モル%〜約2.5モル%のMgO;約3モル%〜約6モル%のTiO;0モル%〜約2モル%のB;約0.5モル%〜約5.0モル%のNaO;0〜1モル%のKO;0モル%〜約1モル%のZrO;0モル%〜約0.25モル%のFe;及び約0.05モル%〜約0.15モル%のSnOを含み、ここでモル比(LiO+NaO+KO+MgO+ZnO)/Al+B)は、0.7〜1.5、かつモル比(TiO+SnO)/(SiO+B)は0.04超である。ガラスセラミックは、β‐スポジュメン固溶体がモル比LiO:Al:nSiO=1:1:5〜1:1:8を有しかつ少なくとも70体積%の結晶相を含む、結晶相集合を有する。更に、ガラス‐セラミック材料は、0.5マイクロメートル以上の長さを有する針状結晶を含む副(minor)Ti含有結晶相を含む。最後に、ガラスセラミックは不透明であり、0.8mm厚について400〜700nmの波長範囲に亘って不透明度≧85%を呈する。ガラスセラミック材料は、George H. Beall等による「White, Opaque β‐Spodumene/Rutile Glass‐Ceramic Articles and Methods for Making the Same」という題の2012年4月13日出願の米国仮特許出願第61/623905号明細書に記載されており、上記出願の内容は参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
【0022】
他の実施形態では、ガラスセラミックは、約20体積%未満の1つ又は複数の酸化物ガラス相を含み、約50モル%〜約76モル%のSiO、約4モル%〜約25モル%のAl、約0モル%〜約14モル%のP+B、約0モル%〜約22モル%のRO(ここでROは少なくとも1つのアルカリ金属酸化物である)、及び約0モル%〜約5モル%の少なくとも1つの核生成剤を含む。いくつかの実施形態では、ガラスセラミックは色調整可能である。このようなガラスセラミックは、Matthew J. Dejneka等による「Glass‐Ceramic(s);Associated, Colorable and/or Formable Ceramable Glass(es), and Associated Process(es)」という題の2012年9月27日出願の米国仮特許出願第61/706733号明細書に記載されており、上記出願の内容は参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
【0023】
更なる強度を与えるために、ガラスセラミック粉末はイオン交換可能なガラスセラミックを含んでよく、これにより最終的なセラミック化されたガラスセラミック本体をイオン交換して高い圧縮応力(CS)を有する表面層を形成できる。いくつかの実施形態では、ガラスセラミック粉末又はフリットを、アルミナ、ジルコニア強化アルミナ、シリカ、ムライト又はこれらの組み合わせ等の、しかしこれらに限定されないセラミック材料粉末又はナノパウダーに完全に又は部分的に置き換えてよい。いくつかの実施形態では、セラミック粉末は、焼成処理中にガラスフリットと更に強固な結合を形成できるガラス形成セラミックを含む。しかしながら、ジルコン、イットリア又は酸化亜鉛等の他のセラミック粉末を添加して、ガラスセラミック本体の密度又は色等の特性を調整してよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、ガラスフリットは、ナトリウム‐ジシリケート‐アルバイト系において、高アルカリ含有の(特に、高濃度のナトリウム及びリチウム含有の)アルカリアルミノシリケートガラスを含む。しかしながら、良好なイオン交換特性を有する他の組成物(即ち、許容可能な圧縮応力及び層深さを有する表面層を達成できるガラス)をガラスフリット材料として使用してもよい。このようなガラスの非限定的な例としては、これらに限定されるものではないが:2007年5月18日出願の米国仮特許出願第60/930808号に対する優先権を主張する、Adam J. Ellison等による「Down‐Drawable, Chemically Strengthened Glass for Cover Plate」という題の2007年7月27日出願の米国特許第7666511号明細書;2008年11月29日出願の米国仮特許出願第61/004677号に対する優先権を主張する、Matthew J. Dejneka等による「Glasses Having Improved Toughness And Scratch Resistance」という題の2008年11月25日出願の米国特許出願第12/277573号明細書;2008年2月26日出願の米国仮特許出願第61/067130号に対する優先権を主張する、Sinue Gomez等による「Fining Agents for Silicate Glasses」という題の2009年2月25日出願の米国特許出願第12/392577号明細書;2009年8月29日出願の米国仮特許出願第61/235762号に対する優先権を主張する、Matthew J. Dejneka等による「Zircon Compatible Glasses for Down Draw」という題の2010年8月10日出願の米国特許出願第12/856840号明細書;米国仮特許出願第61/235767号に対する優先権を主張する、Kristen L. Barefoot等による「Crack And Scratch Resistant Glass and Enclosures Made Therefrom」という題の2010年8月18日出願の米国特許出願第12/858490号明細書;2010年11月30日出願の米国仮特許出願第61/417941号に対する優先権を主張する、Dana C. Bookbinder等による「Ion Exchangeable Glass with Deep Compressive Layer and High Damage Threshold」という題の2011年11月28日出願の米国特許出願第13/305271号明細書;Timothy M. Grossによる「Ion Exchangeable Glass with High Crack Initiation Threshold」という題の2011年11月16出願の米国仮特許出願第61/560434号明細書;Matthew J. Dejneka等による「Ion Exchangeable Glass with High Compressive Stress」という題の2011年7月1日出願の米国仮特許出願第61/503734号明細書に記載のガラスが挙げられ、上記出願の内容は参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、上記に記載のアルカリアルミノシリケートガラスは、リチウム、ホウ素、バリウム、ストロンチウム、ビスマス、アンチモン及びヒ素のうち少なくとも1つを実質的に含まない(即ち、これらを0モル%含む)。
【0025】
いくつかの実施形態では、ガラスフリットは、低液相線温度を有するガラス(例えばナトリウム‐ジシリケート‐アルバイトは767℃の液相線を有する)を含むことが望ましい。というのは、この特性により、低温で本体素地を焼成及び溶融でき、従って経費効率及びスループットを改善できるためである。
【0026】
ガラスセラミック本体の色及び不透明度の要件により、原料スラリー中のガラスフリットに対するガラスセラミックの比率を決定してよい。いくつかの実施形態では、ガラスフリットに対するガラスセラミックの比率は、5質量%〜90質量%である。いくつかの実施形態では、ガラスセラミック粉末は、低い又は負(<0)の熱膨張係数(CTE)を有し、これによりセラミックフリット/ガラスフリット混合物にゼロに近いCTEを与えて、焼成及び冷却の最終段階における、焼成後のガラスセラミック本体の歪みを最小化する。
【0027】
いくつかの実施形態では、ガラスセラミックフリットと軟質ガラスフリットとの混合物を、十分な量のガラス相を含有する部分的にセラミック化されたガラスセラミックフリットに置き換えることにより、例えば射出成型による本体素地の形成後に混合物を一体に溶融できるようにする。
【0028】
いくつかの実施形態では、媒体バインダは、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、コーンスターチ、セルロース誘導体又はこれらの組み合わせ等の、しかしこれらに限定されない有機バインダを含む。いくつかの実施形態では、有機バインダの量は比較的低く、約5質量%〜約30質量%の範囲であってよく、これにより焼成又は焼結中の空隙の形成を回避し、緻密なガラスセラミック本体の形成を可能にする。いくつかの実施形態では、必要な有機バインダの量を最小化しながら本体素地に可塑性を付与するために、形成中のスラリーに水ガラス(ナトリウムシリケート)を添加してよい。あるいは、有機バインダの量を最小化するために、湿った状態の時に可塑的な挙動を呈するカオリナイト、モンモリロナイト又は他の同様の無機材料をスラリーに添加することもできる。いくつかの実施形態では、媒体/バインダはUV硬化性であり、焼成/焼結前にUV照射にさらすことにより本体素地の表面を強化できるようにする。
【0029】
例示の目的のために典型的な実施形態について述べてきたが、前述の説明は本開示の範囲又は添付の請求項の制限と捉えられるべきものではない。従って、本開示又は添付の請求項の意図及び範囲から逸脱することなく、様々な修正案、適合案及び代替案が当業者には想起されてよい。
【符号の説明】
【0030】
200、230 皿状の物品
202、204、232、234 主要な表面
210 平坦な又は平面の部分
220 湾曲部分
図1
図2
【国際調査報告】