(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-536423(P2015-536423A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】弾性支持された転がり軸受装置
(51)【国際特許分類】
F16C 27/04 20060101AFI20151124BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20151124BHJP
F16C 33/58 20060101ALI20151124BHJP
F16C 35/067 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
F16C27/04
F16C19/06
F16C33/58
F16C35/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-543323(P2015-543323)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】DE2013200140
(87)【国際公開番号】WO2014079419
(87)【国際公開日】20140530
(31)【優先権主張番号】102012221369.4
(32)【優先日】2012年11月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ベデンク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン プレッシェル
【テーマコード(参考)】
3J012
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3J012AB07
3J012AB20
3J012BB01
3J012CB01
3J012CB03
3J012CB10
3J012DB07
3J012EB06
3J012FB10
3J012GB10
3J117AA01
3J117AA05
3J117AA10
3J117CA02
3J117CA06
3J117DA01
3J117DA02
3J117DB01
3J117DB10
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA54
3J701BA56
3J701BA77
3J701EA01
3J701EA31
3J701FA01
3J701FA60
3J701GA26
(57)【要約】
転がり軸受、特にガスタービンの転がり軸受は、内レース(2)と外レース(3)との間に配置される複数の転動体(4)と、ハウジング構造(8)と、を備え、ハウジング構造(8)に外レース(3)がばね弾性的に取り付けられており、外レース(3)は、一体的に形成されて、転動体(4)のための転動軌道(6)を形成する転動軌道部分(7)と、ばね部分(21)と、ハウジング構造(8)に螺止されるフランジ(10)とを有しており、ばね部分(21)は、複数のばねバー(12)から形成されており、ばねバー(12)は、一方では、端面側で転動軌道部分(7)に接続する変向部分(9)に、他方ではフランジ(10)に接続しており、半径方向で転動軌道部分(7)の外側に配置されていて、軸方向では、一方では変向部分(9)から張り出さず、他方では転動軌道部分(7)から張り出さないようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受、特にガスタービンの転がり軸受であって、
−内レース(2)と外レース(3)との間に配置される複数の転動体(4)と、
−ハウジング構造(8)と、
を備え、該ハウジング構造(8)に前記外レース(3)がばね弾性的に取り付けられており、該外レース(3)は、一体的に形成されて、前記転動体(4)のための転動軌道(6)を形成する転動軌道部分(7)と、ばね部分(21)と、前記ハウジング構造(8)に螺止されるフランジ(10)とを有している転がり軸受において、
前記ばね部分(21)は、複数のばねバー(12)から形成されており、該ばねバー(12)は、一方では、端面側で前記転動軌道部分(7)に接続する変向部分(9)に、他方では前記フランジ(10)に接続しており、半径方向で前記転動軌道部分(7)の外側に配置されていて、軸方向では、一方では前記変向部分(9)から張り出さず、他方では前記転動軌道部分(7)から張り出さないようになっていることを特徴とする、転がり軸受。
【請求項2】
前記ハウジング構造(8)は、少なくとも1つのハウジングディスク(15,16)を有する、請求項1記載の転がり軸受。
【請求項3】
前記ハウジング構造(8)は、前記外レース(3)の前記転動軌道部分(7)に対する半径方向のストッパ及び軸方向のストッパを形成する、請求項2記載の転がり軸受。
【請求項4】
前記ハウジング構造(8)は、前記外レース(3)の前記転動軌道部分(7)に対する軸方向両側のストッパを形成する、請求項3記載の転がり軸受。
【請求項5】
前記ハウジング構造(8)は、付加的に前記外レース(3)の前記転動軌道部分(7)に対する周方向のストッパを形成する、請求項3又は4記載の転がり軸受。
【請求項6】
前記ハウジング構造(8)は、複数の部分から形成されている、請求項5記載の転がり軸受。
【請求項7】
前記ハウジング構造(8)は、バヨネット継手の形態で前記外レース(3)の前記転動軌道部分(7)に設けられた切欠きに係合する、請求項5記載の転がり軸受。
【請求項8】
前記転動体(4)は、玉として形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の転がり軸受。
【請求項9】
前記転動軌道部分(7)と前記ばね部分(21)との間に配置される減衰要素(20)を備える、請求項1から8までのいずれか1項記載の転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受に係り、特にガスタービン、例えば航空機のジェットエンジンにおける使用に好適であり、ハウジングの一部に弾性的に結合される外レースを備える転がり軸受に関するものである。
【0002】
発明の背景
冒頭で述べた形態の転がり軸受は、例えば米国特許第7384199号明細書、米国特許第6443698号明細書及び米国特許第6413046号明細書において公知である。これらの公知の転がり軸受のいずれの場合においても、ころ軸受として形成されているラジアル転がり軸受の外レースは、軸方向でばね部分により延長されている。ばね部分は、ねじ締結によりハウジング部分に固定されている。
【0003】
発明の課題
本発明の根底にある課題は、弾性懸架される外レースを備える転がり軸受を従来技術に対して特に所要組付けスペースの面でさらに発展させることである。
【0004】
発明の概要
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する転がり軸受により解決される。この、特にガスタービンに好適な転がり軸受は、
−内レースと外レースとの間に配置される複数の転動体と、
−ハウジング構造と、
を備え、ハウジング構造に外レースがばね弾性的に取り付けられており、外レースは、一体的に形成されて、転動体のための転動軌道を形成する転動軌道部分と、ばね部分と、ハウジング構造に螺止されるフランジとを有しており、
ばね部分は、複数のばねバーから形成されており、ばねバーは、一方では、端面側で転動軌道部分に接続する変向部分に、他方ではフランジに接続しており、半径方向で転動軌道部分の外側に配置されていて、軸方向では、一方では変向部分から張り出さず、他方では転動軌道部分から張り出さないようになっている。
【0005】
本発明に係る転がり軸受の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。請求項1に挙げた「内レース」なる概念は、機能的に理解されるべきものであり、外レースの半径方向内側に配置される回転可能な構成部分であって、その上を転動体が転動するあらゆる構成部分を包含する。転がり軸受は、いずれにしてもラジアル軸受、好ましくは玉軸受として形成されている。
【0006】
変向部分は、外レースの一部をなし、環状に形成されているか、又はばねバーの、転動軌道部分に接続する部分により形成されていることができる。両態様では、変向部分によって、転動軌道部分と、ばねバー、あるいはばねバーの、転動軌道部分から半径方向で離間した部分との間の結合が形成されている。
【0007】
本発明は、高速回転するタービン軸の転がり支承時に、ハウジングへの振動の導入を緩和するには、ハウジング内での転がり軸受外レースの弾性懸架が有意義であるという考察から出発している。
【0008】
従来技術に対して本発明は、ばねバーがちょうど転動軌道部分、すなわちより狭い意味での外レースの半径方向外側に配置されていることを特徴としている。これにより、弾性懸架なしの外レースを有する転がり軸受と比較しても、本発明に係る転がり軸受の軸方向での所要スペースは、精々僅かに拡大するにすぎない。「軸方向」及び「半径方向」の記載は、常に転がり軸受の回転軸線に関する。ばねバーは、大部分、好ましい態様では完全に、軸方向で延びている。隣り合う2つのばねバー間には、それぞれ1つの切欠きが存在している。転がり軸受の周方向で見て、切欠きの幅は、ばねバーの幅に対して任意の関係にあってよい。例えば切欠きの幅は、各ばねバーの幅に等しくてもよい。同様に、切欠きは、ばねバーよりも明らかに狭幅又は広幅であってもよい。ばねバーの長さ、すなわち軸方向での延在長さは、必ずしも、周方向で測定されるばねバーの幅より大きくなくてもよい。
【0009】
複数のばねバーから形成されるばね部分と同様に外レースの一部をなすフランジは、ばね部分の、変向部分とは反対側から、半径方向外向きに延在し、好ましくは、ハウジング構造の別の部分に固く結合されているハウジングディスクに固定されている。
【0010】
ハウジング構造、特にハウジングディスクは、好ましい態様において、半径方向及び少なくとも一方の軸方向、好ましくは両方の軸方向での、転動軌道部分に対するストッパを形成する。前者の場合、すなわち軸方向片側のストッパの場合、ハウジングディスクは、例えば外側から、転動軌道部分の端面に形成されている段部に突入する一方、軸方向両側のストッパの場合、ハウジングディスクは、例えば転動軌道部分の外周面に設けられた溝に係合する。
【0011】
ハウジング構造により転動軌道部分の変位を一方の側にて制限する場合も、二方の側にて制限する場合も、すなわち、軸方向の一方の側のストッパの場合も、軸方向の二方の側のストッパの場合も、好ましい態様では、ハウジング構造により付加的に、少なくとも一方の周方向、好ましくはまさに一方の周方向での転動軌道部分のストッパが提供されている。このような構成を可能にするために、ハウジング構造の、外レースと直接協働する部分が、複数の部分から形成されていてもよい。同様に、転動軌道部分及びハウジング構造を、外レースがバヨネット継手の形態でハウジング構造に組み付け可能であるように形成することもできる。
【0012】
好ましい態様では、転動軌道部分の略円筒状の外面と、この面から半径方向で離間したばね部分との間に減衰要素が存在している。減衰要素は、例えばポリマー材料又は発泡金属から製造されていてよい。
【0013】
本発明の利点は、特に、任意選択的には付加的な減衰機能を有していてもよい外レースの省スペースな弾性懸架によって、吸振と、重要なすべての負荷方向、すなわち半径方向、両軸方向及び周方向での過負荷防止とが提供されていることにある。
【0014】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に示した転がり軸受の別の部分図である。
【
図3】
図1に示した転がり軸受の別の部分図である。
【
図4】ガスタービン用の転がり軸受の別の態様の、
図1と同様の図である。
【
図5】ガスタービン用の転がり軸受の別の態様の、
図1と同様の図である。
【0016】
全図において、互いに対応する部分又は機能同一の部分には、同一の符号を付して示した。
【0017】
図1乃至
図3に全体として符号1を付して示した転がり軸受1は、玉軸受として形成されており、ガスタービンに組み付けられてタービン軸を軸支すべく設けられている。転がり軸受1の原理的な機能については、冒頭で引用した従来技術を参照されたい。
【0018】
転がり軸受1は、内レース2と外レース3との間に配置される複数の転動体4、すなわち複数の玉を有している。転動体4は、内レース2(図示の実施の形態では複数の部分から形成されている内レース2)上を転動する代わりに、直接軸上を転動するようになっていてもよい。個々の転動体4は、図示しないケージにより互いに離隔されており、鋼又はセラミックから製造されている。
【0019】
転動体4は、外レース3の転動軌道部分7上を転動する。転動軌道部分7は、「より狭い意味での外レース」と云える。転動軌道部分7の内面には、転動体4のための溝状の転動軌道6が存在している一方、転動軌道部分7の外面は、略円筒状である。外レース3の転動軌道部分7は、半径方向外向きの変向部分9に一体的に移行している。変向部分9は、端面側で転動軌道部分7に接続している。転動軌道部分7と変向部分9との間の移行領域には、外レース3のテーパ部5が形成されている。テーパ部5は、外レース3の内面において円錐状の形状をなしている。
【0020】
図1に示した断面図で見て付設部状にU字形をなした変向部分9は、他方、複数のばねバー12に移行している。ばねバー12は、転がり軸受1の軸線に対して平行に配向され、しかも転動軌道部分7から離間している。
【0021】
すべてのばねバー12は、フランジ10と一体的に結合されている。フランジ10は、ハウジング構造8にねじ11により螺止されている。ばねバー12の全体は、外レース3のばね部分21と称呼される。外レース3は、鋼からなる被加工材の切削加工により製造されている。
【0022】
外レース3の、軸方向で省スペース化された形状は、特に有利である。外レース3のばね部分21は、半径方向でちょうど転動軌道部分7の外側に配置されており、その際、軸方向では転動軌道部分7から張り出さない。同様にフランジ10も、半径方向で転動軌道部分7の外側に配置されており、その際、軸方向では転動軌道部分7から張り出さない。
【0023】
外レース3のフランジ10が固定されているハウジング構造8は、
図1に示した実施の形態では1つのハウジングディスク15を有している。ハウジングディスク15は、半径方向内向きにも半径方向外向きにもフランジ10から張り出しており、その半径方向内側の縁部でもって、転動軌道部分7の外面に設けられた環状の溝13に係合している。ハウジングディスク15の内側の縁部と、溝13の底との間には、間隙が形成されている。この間隙は、半径方向での転動軌道部分7の若干の変位を許容する。これにより同時に、転動軌道部分7とハウジング構造8との間のストッパが形成されている。上述の間隙は、如何なる場合にも転動軌道部分7の略円筒状の外面がばね部分9又はフランジ10に当接しないように寸法設定されている。
【0024】
溝13は、転動軌道部分7の、変向部分9とは反対側の端面17に向かって、鍔14により画定されている。この鍔14は、
図3に看取可能であるように、複数の箇所で中断されている。鍔14の中断された部分では、溝底は、端面17まで達している。ハウジングディスク15は、その内側の縁部に複数のハウジングノーズ18を有している。ハウジングノーズ18は、鍔14の中断された部分に係合可能であり、これによりハウジングディスク15に外レース3を挿入することを可能にする。外レース3をハウジングディスク15に挿入した後も、外レース3は、外レース3とハウジングディスク15との間に形成される回動防止輪郭がさらなる回動を停止するまで、制限された所定の角度分だけ回動可能である。こうして、バヨネット継手状の外レース3とハウジングディスク15との間の協働関係が形成されている。ただし、このとき、相応の間隙により両軸方向、半径方向及び周方向での転動軌道部分7の自由度は、維持されたままである。周方向に関して、外レース3とハウジングディスク15との間の回動防止輪郭により、一方向、すなわち内レース2、ひいてはガスタービンの主軸の回転方向で回動を制限することで十分である。
【0025】
図4に示した実施の形態は、転がり軸受1の機械的な機能、すなわち外レースの弾性懸架については、
図1に示した実施の形態と一致している。ばね部分21内には、この場合、2つのばねバー12間の1つの貫通部19が看取可能である。さらに減衰要素20が看取可能である。減衰要素20は、半径方向で転動軌道部分7の外面とばね部分21との間に配置されており、例えばエラストマーからなるリングとして形成されている。
【0026】
図5に示した実施の形態において、ハウジング構造8の構成要素として、フランジ10から内向きに延びる第1のハウジングディスク15と、フランジ10から外向きに延びる第2のハウジングディスク16とが看取可能である。両ハウジングディスク15,16は、同じねじ11により外レース3に螺止されている。内側のハウジングディスク15は、それぞれ180°の角度にわたって延在している2つの個別部分から構成されている。これにより、この場合、バヨネット継手を設けなくても、溝13へのハウジングディスク15の係合、ひいては外レース3の転動軌道部分7の軸方向両側での保持が形成可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 転がり軸受
2 内レース
3 外レース
4 転動体
5 テーパ部
6 転動軌道
7 転動軌道部分
8 ハウジング構造
9 変向部分
10 フランジ
11 ねじ
12 ばねバー
13 溝
14 鍔
15 ハウジングディスク
16 ハウジングディスク
17 端面
18 ハウジングノーズ
19 貫通部
20 減衰要素
21 ばね部分
【国際調査報告】