特表2015-536730(P2015-536730A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-536730一体型針シールドを有する注射デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-536730(P2015-536730A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】一体型針シールドを有する注射デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   A61M5/20 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-544433(P2015-544433)
(86)(22)【出願日】2013年11月25日
(85)【翻訳文提出日】2015年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2013074611
(87)【国際公開番号】WO2014082959
(87)【国際公開日】20140605
(31)【優先権主張番号】12194739.4
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/733,065
(32)【優先日】2012年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ビーク, ヴィレム ヴァン ダー
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン, ローワ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066FF05
4C066GG12
4C066KK19
(57)【要約】
本発明は、外側ハウジング(1)と、注射器本体(10)と、針シールド(30)とを備える注射デバイスに関する。注射器本体(10)と針シールド(30)の両方が、ハウジング(1)に入れ子状に伸縮自在に可動装着され、これにより、針シールド(30)は、第1の位置と第2の位置との間でハウジング(1)に対して移動することができ、注射器本体(10)は、伸長位置と収縮位置との間でハウジング(1)に対して移動することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け可能な注射針を介して複数の設定可能な用量の液剤を注射するための注射デバイスであって、
外側ハウジング(1)と、
注射器本体(10)であって、
前記液剤用のカートリッジ(11)と、
注射されるべき用量を設定するための用量設定機構と、
設定された用量を排出するための用量注射機構と、
注射針(20)を取り付けることができる針インターフェース(12)と
を保持する注射器本体(10)と、
第1の位置と第2の位置との間で前記ハウジング(1)に対して入れ子状に伸縮自在にかつ反復可能に移動できる針シールド(30)であって、
前記第1の位置は、前記取り付けられた注射針(20)が前記針シールド(30)により軸方向に覆われる位置であり、
前記第2の位置は、前記取り付けられた注射針(20)の少なくとも一部が、すぐに注射を行うことができるように前記針シールド(30)を越えて延在する位置である、針シールド(30)と
を備え、
前記注射器本体(10)は、収縮位置と伸長位置との間で前記ハウジング(1)に対して入れ子状に伸縮自在にかつ反復可能に移動することができ、
前記収縮位置は、前記針インターフェース(12)が前記針シールド(30)により覆われる位置であり、
前記伸長位置は、前記針インターフェース(12)が前記針シールド(30)を越えて突出し、それによりユーザが前記注射針(20)を前記針インターフェース(12)に取り付けることを可能にする位置である、注射デバイス。
【請求項2】
前記針シールド(30)は、ばね手段(S)のような弾性要素により前記第1の位置の方へ促される、請求項1に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項3】
前記注射器本体(10)は、ばね手段(S)のような弾性要素により前記収縮位置の方へ促される、請求項1又は2に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項4】
前記針シールド(30)を前記第1の位置の方へ促し、前記注射器本体(10)を前記収縮位置の方へ促す前記ばね手段(S)は、単一のばね(S)である、請求項3に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項5】
前記ばね(S)は、前記針シールド(30)と前記注射器本体(10)との間に包含される引張ばね(S)である、請求項4に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項6】
前記外側ハウジング(1)は、前記針シールド(30)がその第1の位置にあるとき、前記針シールド(30)上の第1の停止面(31)に当接する遠位停止面(2)を画定する、請求項1から5の何れか一項に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項7】
前記外側ハウジング(1)は、前記針シールド(30)がその第2の位置にあるとき、前記針シールド(30)上の第2の停止面(32)に当接する近位停止面(3)を画定する、請求項1から6の何れか一項に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項8】
前記注射器本体(10)上の長手方向の突起(16)は、前記注射器本体(10)がその伸長位置にあるとき、前記ハウジング(1)に当接する遠位端部(17)を画定する、請求項1から7の何れか一項に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項9】
前記長手方向の突起(16)は、前記注射器本体(10)がその収縮位置にあるとき、前記ハウジング(1)に当接する近位端部(18)を画定する、請求項8に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項10】
前記第1の停止面(31)及び前記第2の停止面(32)は、前記針シールド(30)の近位延在部(33)上に提供される、請求項6から9の何れか一項に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項11】
前記近位延在部(33)は、前記注射器本体(10)の案内器具(15)に回転不能に案内される、請求項10に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項12】
前記ばね(S)は、前記近位延在部(33)と前記注射器本体(10)との間に包含される、請求項10又は11に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項13】
前記ばね(S)は、前記近位延在部(33)と前記注射器本体(10)に結合されたリング(25)との間に包含される、請求項12に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【請求項14】
その第2の位置の又はその第2の位置に近づいている前記針シールド(30)は、前記設定された用量を注射するための前記用量注射機構を作動させる、請求項1から13の何れか一項に記載の複数の設定可能な用量を注射するための注射デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射中に隠される取り付け可能な注射針を介して複数の用量の液剤を注射するための注射デバイスに関する。注射デバイスは、スライド可能な注射器本体を担持する外側ハウジングと、注射針を覆い、好ましくは、注射を行う自動ばね機構を始動及び解除するために使用されるスライド可能な針シールドとを有する。
【背景技術】
【0002】
WO2012/067583は、いわゆる単発注射デバイス、即ち、所定の用量の注射を1回だけ行う注射デバイスを開示する。使用に先立ちカートリッジの薬剤を混ぜると、外側要素が回転し、次に注射器本体が近位に移動するので、注射針は、入れ子状に伸縮自在に移動することができるシールドにより覆われる。注射中に、シールドはユーザの皮膚に押し付けられ、ゆえに近位に移動される。所定の用量は、ユーザが注射ボタンを押すと、放出される。シールドをユーザの皮膚から取り除くと、ばねは、遠位方向のシールドをロックされた位置に促す。したがって、注射器本体及びシールドは、注射デバイスが廃棄された時点でのみ、移動可能である。ゆえに、注射針を交換し、2回目の注射を行うことは不可能である。
【0003】
複数の設定可能な注射用の自動ねじりばね駆動式注射デバイスが、EP 338,806に開示される。1つの実施形態では、注射針は、入れ子状に伸縮自在に移動することができる針シールドにより覆われる。シールドがユーザの皮膚に押し付けられると、圧縮ばねがペンの本体を前方に駆動し、それによって、針カニューレの先端がユーザの皮膚を突き刺し、ねじりばねが解放されて、注射デバイスに含まれる液剤の注射が行われる。しかし、注射針の交換は、ユーザが、注射針にアクセスするために注射針シールドを取り外す必要があるため、手間がかかる。
【0004】
US7,112,187による、シールドされた注射針を有する異なるばね駆動式のペン形状注射デバイスが知られている。開示された注射デバイスは、ハウジングの内側に提供される圧縮ばね形態の作動ばねが、注射中にピストンロッドを前方に強く押す自動ばね駆動式の注射である。そのような自動注射デバイスの重要な特徴は、用量設定中に、注射デバイスから移動する要素がないということである。したがって、注射デバイスは、操作中に一定の長さを有する。この特定の注射デバイスは、3つの異なるモードから1つを選ぶために回転するモード選択器を有する。1つのモードでは、シールドはロックされ、異なるモードでは、シールドはロック解除される。ロック解除された位置で、シールドは、伸長位置と収縮位置との間で軸方向に移動することができる。収縮位置で、ユーザは、注射デバイスの遠位端部を利用できるので、注射針を着脱することができる。さらに、モード選択器は、シールドが注射中にその収縮位置に移動すると、設定された用量が放出される注射位置に対して回転することができる。
【0005】
注射の始動が針シールドの後方移動により行われる用量が設定できる複数回の注射用の自動ばね駆動式注射デバイスにとって、無菌注射針の交換は、特に課題である。注射デバイスの針インターフェースを繰返し利用するために、針シールドを取り外されなければならず、したがって、ユーザは、注射針を連結又は連結解除するために、針ハブをインターフェース上へ回転する又はねじることができる。しかしながら、注射を行う際に、針シールドは、針カニューレの遠位部分が本体に突き刺さるときに、用量の放出を始動しなければならない。
【0006】
EP338,806で、この件は、注射針の交換中に針シールドを単に取り外すことにより解決されるが、US7,112,187では、モード選択器を含む複雑なメカニズムによって行われる。しかしながら、両方の例において、ユーザは、多くの異なるステップを実行し、注射を行うシーケンス中のどのステップをユーザが実行したのかを覚えていなければならないので、注射デバイスをどのように取り扱うかをユーザに説明することは難しい。
【0007】
複数回投与のための注射デバイスは、新たな注射ごとに装着される無菌注射針を有するために、複数回の注射と注射の間に常に注射針を交換できなければならない。注射と注射の間に注射針を交換することは、シールドされる注射針を有し、針シールドが注射を始動する注射デバイスにおいては特に手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、用量の薬剤の複数回の自動注射用のシールドで始動されるばね駆動式注射デバイスであって、隠れた注射針の交換が非常に簡単であり、ユーザへの広範な説明をまったく必要としないが、注射デバイスと針交換機構との操作が一目瞭然である注射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は請求項1において定義される。従って、本発明の1つの態様では、注射デバイスは、好ましくはシールドで始動され、3つの主要な構成要素、
外側ハウジングと、
針シールドと、
注射器本体と
を備える。
【0010】
外側ハウジングは、通常、操作中にユーザの手の中に保持される。
【0011】
注射器本体は、液剤を含むカートリッジを保持及び固定する。注射器本体は、注射されるべき用量を設定するための用量設定機構と、設定された用量を排出するための用量注射機構とをさらに有する。
【0012】
針シールドは、例えば、PCT/EP2013/063250に開示されるように、注射中に注射針を覆い、また好ましくは、設定された用量を放出するためにも使用される。
【0013】
針シールドと注射器本体の両方が、ハウジングに対して入れ子状に伸縮自在に移動することができ、注射器本体は、針シールドにより覆われる注射針を担持する。
【0014】
注射の準備ができた使用の第1の状況では、ユーザは、注射器本体を遠位方向に押し、これにより、注射器本体に提供される針インターフェースが針シールドを越えて延在し、ユーザの注射針の交換を可能にする。注射器本体での前方への押圧は、ユーザが指を注射器本体の近位端部に押しつけることにより、簡単に行われる。いったんユーザが自身の押力を注射器本体から取り除くと、ばね手段などが注射器本体を近位方向に促し、これにより注射針が持ち上がり、針シールドにより覆われる。したがって、注射器本体は、収縮位置と伸長位置との間で移動することができ、この場合、デフォルトの位置は、収縮位置である。
【0015】
注射針が装着され、注射器本体がその収縮位置にあると、ユーザは、注射を行う準備ができる。これは、針シールドをユーザの皮膚の表面に押しつけ、針シールドを第1の位置から第2の位置まで移動させることにより、行われる。これにより、針シールドが近位方向にスライドし、注射針がユーザの皮膚に突き刺さるのと同時に、注射機構を解除して注射器本体に含まれる設定された用量の薬剤を放出することができる。したがって、針シールドは、第1の位置と第2の位置との間で作動することができ、この場合、第1の位置がデフォルトの位置である。
【0016】
それゆえに、シールドが始動されることにより、シールドが第2の位置にあるとき、又はシールドが第2の位置に接近しているときには、設定された用量が、好ましくは自動的に注射されるように放出されるが、針シールドが第2の位置にあるときには、設定された用量の手動放出も予測できるだろうことが意味される。
【0017】
ばね手段は、針シールドをその第1の位置に及び/又は注射器本体をその収縮位置に付勢するために提供される。これらのばね手段は、好ましくは、注射器本体を近位に、針シールドを遠位に促す特定の位置に提供される螺旋状に巻かれたばねである。
【0018】
提供されるばね手段は、圧縮ばね又は引張ばねのどちらでもよい(若しくはそれらの組み合わせでもよい)。任意の数の異なるばねが提供されてもいいが、1つの同一のばねを両方の目的で利用することもできる。
【0019】
好ましい実施形態では、1つの単一の、好ましくは、螺旋状に巻かれた、引張ばねは、針シールドが近位に移動するとき又は注射器本体が遠位に移動するときにばねが引張される、針シールドと注射器本体との間に包含することができる。引張ばねが引張されると、引張ばねが、引張される時に、引張される方向と反対の軸方向の力を提供するので、ばねにより、針シールドを遠位方向に、注射器本体を近位方向に促す力が加わる。
【0020】
1つの単一のばねのみを使用することにより、注射デバイスの機構を単純化することができ、生産コストを低減することができる。
【0021】
複数の停止面が提供される。1つの実施形態では、外側ハウジングは、針シールドがその第1の位置にあり、それにより針シールドの軸方向の移動が遠位方向に制限されるとき、針シールド上の第1の停止面に当接する遠位停止面を画定する。
【0022】
更に、外側ハウジングは、針シールドがその第2の位置にあり、それにより針シールドの軸方向の移動が近位方向に制限されるとき、針シールド上の第2の停止面に当接する近位停止面を画定する。
【0023】
ハウジングに対する注射器本体の軸方向の移動は、溝形係合(tongue and groove engagement)により調節することができる。1つの実施形態では、注射器本体の長手方向の凸部(longitudinal tongue)は、注射器本体がその伸長位置にあるとき、ハウジングの対応する溝の端部に当接する遠位端部を画定する。この長手方向の凸部は、注射器本体がその収縮位置にあるとき、ハウジングの対応する溝に当接する近位端部を更に画定する。
【0024】
針シールドには、止め具(stops)を担持する近位延在部を提供することができる。近位延在部は、例えば、針シールド上に提供される第1の停止面及び第2の停止面を担持することができる。
【0025】
近位延在部は、好ましくは、注射器本体の案内器具に回転不能に案内される。代替的には、延在部は、針シールドそれ自体の単なる延長部分とすることができ、それにより、延在部は,注射器本体周囲の360度全体に伸び、注射器本体の外側表面をスライドする。
【0026】
1つの実施例では、ばねは、例えば、シールドの近位延在部に結合されることにより、シールドに結合された1つの端部に存在する。ばねの反対の端部は、例えば、注射器本体に固定されたリング形状の要素に結合されることにより、注射器本体に固定される。ばねが針シールドと注射器本体との間で作動する引張ばねであるので、これら2つの部分は、常に反対の軸方向に促される。実施例において、ばねは、遠位方向の針シールドを第1の位置に促し、近位方向の注射器本体を収縮位置に促す引張ばねである。
【0027】
針シールドは、第2の位置の又は第2の位置に向かう途中のシールドが、設定された用量を注射するための自動用量注射機構を始動させるように設計される。しかしながら、始動している機構は、注射器本体が注射針を交換するために前方に移動するときには解除されず、シールドが第2の位置にスライドされるときにだけ解除されるように設計される。
【0028】
定義
「注射ペン」は、典型的には、書くための万年筆のような縦長の又は細長い形状を有する注射装置である。そのようなペンは通常管状断面を有するが、それらは、三角形、長方形又は正方形、若しくはこれらの幾何形状の任意の変形例などの異なる断面を容易に有することがある。
【0029】
本明細書で使用する場合、「薬剤(drug)」という用語は、制御された方法で中空針などの供給手段を通過することができる任意の薬剤含有流動可能薬物、例えば、液体、溶液、ジェル又は微細懸濁液などを包含することを意味する。代表的な薬剤は、ペプチド、タンパク質(例えば、インシュリン、インシュリン類似体、及びCペプチド)、及びホルモン、生物学的な由来の又は生物学的に活性な化学物質、ホルモン剤、及び遺伝子に基づく化学物質、栄養フォーミュラ、並びに固体(調剤される)又は液体の両方の形態をとる他の物質などの薬剤を含む。
【0030】
「カートリッジ」は、薬剤を包含する容器を説明するために使用される用語である。カートリッジは通常、ガラスから作られるが、任意の適切な高分子化合物から形成されることもある。カートリッジ又はアンプルは、好ましくは、例えば、注射針の後ろ側の端部によって突き通すことができる「隔膜」と呼ばれる、突き通すことができる膜によって一端部において密封される。反対側の端部は、典型的には、ゴム又は適切な高分子化合物から作られるプランジャー又はピストンによって閉じられる。プランジャー又はピストンは、カートリッジの内側でスライド可能に移動されることができる。突き通すことができる膜と移動可能なプランジャーとの間の空間は、薬品を保持する空間の容積をプランジャーが低減させることによって押し出される薬品を保持する。しかし、任意の種類の容器が、硬性でも可撓性でも、薬剤を包含するために使用できる。
【0031】
さらに、「注射針」という用語は、液体を供給又は除去する目的で、対象者の皮膚を突き刺すように適合される貫通部材を定義する。多くのペンシステムについて、注射針の針カニューレは、ユーザの皮膚を突き刺すための前方部分と、カートリッジの隔膜を突き刺し、カートリッジの内部とユーザの皮下層との間に液体の流れを形成する後方部分とを備える。
【0032】
注射デバイスと併用される「自動」という用語の使用は、注射デバイスのユーザが投与時の薬剤の放出に必要な力を供給することなく、注射デバイスが注射を実行できることを意味する。力は、通常、電気モーター又はばねなどの自動手段により、自動で供給される。ばねには、通常、用量設定中にユーザによって張力がかけられるが、そのようなばねには通常、ごくわずかな用量を供給するという問題を回避するために、予め張力がかけられている。代替的には、ばねには、何回かの投与を通じて薬剤カートリッジ全体を空にするに十分な予荷重をもって、製造者により十分な予荷重を加えることができる。通常、ユーザは、注射を行うときに、ばねに蓄積された力を解放するために、例えば、注射デバイスのボタンの形状などのラッチ機構を始動させる。
【0033】
本明細書で引用される公報、特許出願及び特許を含む全てを参照することは、それら全体を参照することにより、かつ各参照が個々に、具体的に参照することにより組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されたのと同程度まで、援用される。
【0034】
全ての項目及び副項目は、本明細書の中において便宜上使用されているだけであり、本発明を任意の方法で限定するものとして構成されるべきではない。
【0035】
任意の及び全ての実施例の使用、又は本明細書中で提供される例示的な文言(例えば「など(such as)」)の使用は、単に発明の理解を容易にすることを企図するものであり、特許請求の範囲で主張されない限り、発明の範囲に限定を課するものではない。本明細書中のいかなる言語も、任意の特許請求されていない要素を本発明の実施に対する本質的なものとして解釈すべきではない。
【0036】
本明細書中の特許文献の引用及び援用は、便宜上行われるにすぎず、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使可能性のいかなる見解をも反映するものでもない。
【0037】
本発明は、適用法によって認められるように、本明細書に添付された特許請求の範囲の中で列挙される対象の全ての変形及び同等のものを含む。
【0038】
本発明は、好ましい実施形態に関連して、また以下の図面を参照して、下記により十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】1Aから1Cは、注射デバイスの断面図を示す。
図2】注射デバイスの主要部分の分解図を示す。
図3図1Aのデフォルトの位置での注射デバイスの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面は、明確にするために概略的かつ単純化されており、本発明の理解に本質的な詳細部分だけが示され、他の詳細部分は省略される。全体を通して、同一の参照番号は、一致又は対応する部分に対して使用される。
【0041】
以下において、「上」及び「下」、「右」及び「左」、「水平」及び「垂直」、「時計回り」及び「反時計回り」、若しくは類似の関連する表現が使用される場合、それらは添付図面に対してのみ言及され、実際の使用状況に対して言及されるものではない。示される図面は、種々の構造の構成及びそれらの相対的寸法が、例示目的のみの役割を果たすと意図される理由から、概略的表示である。
【0042】
以下の説明の文脈において、便宜上、添付図面における「遠位端部」という用語が、通常、注射針を担持する注射デバイスの端部を指すことを意味するのに対し、「近位端部」という用語は、注射針から離れた方を指すことを意味すると定義される。
【0043】
図1Aから1Cは、主に4つの部分:
外側ハウジング1と、注射器本体10と、針シールド30と、装着可能な注射針20とを備える注射デバイスを開示する。
【0044】
外側ハウジング1は、ユーザが手で保持する外側部分であり、注射器本体10と針シールド30との両方が、入れ子状に伸縮自在に移動できる方法でハウジング1に装着される。
【0045】
注射器本体10は、カートリッジ11を保持し、針受けインターフェース12が遠位に提供される。既知のペン針20は、針インターフェース12に装着され、これにより、針カニューレ22の後ろ部分21がカートリッジ11内に突き刺さり、前部分23は遠位方向を指す。針カニューレ22は、針インターフェース12と噛合する手段を有するハブ24に固定される。
【0046】
ピストン13は、カートリッジ11内部に提供され、その中で、ピストン13は、用量注射機構により制御される図示されないピストンロッドにより前方に移動する。この前方への移動により、任意の量の薬剤が、針カニューレ20の管状空洞(lumen)を通して漏れる。前方への移動とこの移動により放出される分量が、用量設定機構により制御される。用量注射機構は、好ましくは、針シールド30により起動される自動ばね駆動式機構を備える。
【0047】
注射器本体10は、ハウジング30に入れ子状に伸縮自在に装着され、これにより、注射器本体10は、2つの最遠位置、即ち、収縮位置と伸長位置との間で移動することができる。
【0048】
収縮位置は、注射器本体10に圧力が加えられないときに、注射器本体10が静止するであろうデフォルトの位置である。収縮位置は、図1A及び1Bに示される。
【0049】
ユーザは、ペン針20を交換したいときには、圧力を注射器本体10の近位端部14に加えることができ(図1Cの矢印Aにより示される)、これにより注射器本体10は、軸方向に前方に向かって、針インターフェース12全体が図1Cで示されるように針シールド30の範囲外にある伸長位置に移動するので、ユーザは、針インターフェース12にアクセスして、ペン針20を交換することができる。
【0050】
新たなペン針20が装着され、近位圧力(A)が取り除かれると、注射器本体10は、図1Aに示されるそのデフォルトの位置にスライドするだろう。これは、注射器本体10をハウジング1に対する近位位置に促すばね要素Sの力のためである。(ばね要素Sは、明確にするために直線で示されるが、好ましくは螺旋状に巻かれた引張ばねである。)
【0051】
同一のばね要素S又は代替的には第2のばね要素は、針カニューレ22を覆うために、針シールド30を遠位方向に促す。針シールド30がユーザの皮膚に押し付けられると(図1Bの矢印「B」により示される)、針シールド30は、図1Bで開示されるように近位に移動する。この近位移動は、好ましくは、薬剤の排出を行うために注射機構を解除する。
【0052】
この図示されない解除機構は、針シールド30の近位移動が解除を始動するのに対し、注射器本体10の遠位移動が解除を始動しないように提供される。
【0053】
図2は、4つの部分、即ち、外側ハウジング1、注射器本体10、装着可能なペン針20、及び針シールド30を開示する。これら4つの部分の内部関係が、図3に開示される。
【0054】
外側ハウジング1には、図3に開示されるように、遠位停止面2及び近位停止面3が内部に提供される。
【0055】
針シールド30には、作動中に注射器本体10に提供される案内器具15に案内される近位延在部33が提供される。近位延在部33は、第1の停止面31と第2の停止面32とを画定する。
【0056】
代替的には、針シールド30の近位延在部33は、360度囲むように、したがって、注射器本体10を完全に囲むように形成することができ、この場合、注射器本体10の外面により案内されるので、別個の案内手段は不要である。
【0057】
デフォルトの位置(図1A及び図3)において、第1の停止面31は、ハウジングの遠位停止面2と係合し、針シールド30がその第2の位置(図1B)に移動すると、第2の停止面32は、ハウジング1の近位停止面3に係合する。したがって、針シールド30は、外側ハウジング1で画定される遠位停止面2と近位停止面3との間で移動することができる。
【0058】
内部では、ハウジング1に溝4が提供され、この溝4では、注射器本体10の外面に提供される長手方向のナット16が案内される。この長手方向のナット16は、遠位端部17及び近位端部18を画定し、注射器本体10がハウジング1に対して移動できる軸方向の作動範囲を更に画定する。
【0059】
注射器本体10には、注射器本体に固定され、外側に向かう突起26が提供されるリング25が更に装備される。ばね要素Sは、好ましくは、図2の破線Sにより示されるように、リング25上のこの外側に向かう突起26と、針シールド30の近位延在部33に提供される内側に向かう突起34との間に提供される。このばね要素Sは、好ましくは、針シールド30が近位に移動するとき、又は注射器本体10が遠位に移動するときに引張される引張ばねである。
【0060】
更に図2及び図3で開示されるように、外側ハウジング1は、2つの部分1A、1Bから作られており、好ましくは、スナップ結合、接着、又は溶接により結合される。ハウジング1には、設定された用量が調べられる窓5が更に提供される。注射器本体10に密閉された用量設定機構の一部である目盛り表示器上で通常は担持されている用量を示す視覚的手段として、注射器本体10は、好ましくは透明であり、又は少なくとも窓5と位置合わせされた透明な領域を有する。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態が上記に示されたが、発明はこれらに限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲において定義される主題の範囲内で、他の方法においても実施され得ることが強調されるべきである。針シールドの相対的な軸方向の移動は、本発明の先述の例以外の方法でも設計することができるだろう。例えば、注射器本体を押すための代替案として、外側ハウジングと一体化されたスライダーの使用が挙げられる。代替的には、回転移動を軸方向移動に変換するために、ねじれ機構を提供することができるだろう。最後に、単に注射デバイスを傾けることにより重力が移動を実行できるように、ばねが適合されてもよいだろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
【国際調査報告】