特表2016-503791(P2016-503791A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-503791(P2016-503791A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(54)【発明の名称】非着色性練り歯磨き
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20160112BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20160112BHJP
【FI】
   A61K8/29
   A61Q11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-549337(P2015-549337)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月8日
(86)【国際出願番号】US2012071137
(87)【国際公開番号】WO2014098881
(87)【国際公開日】20140626
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・シェブチック
(72)【発明者】
【氏名】ニータ・アトゥール・パテル
(72)【発明者】
【氏名】スザンヌ・ジョグン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC782
4C083AC811
4C083AC812
4C083AC851
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB21
4C083BB24
4C083BB45
4C083CC41
4C083DD22
4C083EE03
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、歯ブラシのブラシ毛を過度に汚さない歯磨剤、例えば、(i)ブラッシングの間に放出される、1つまたはそれ以上の放出可能な顔料を含む溶解性または崩壊性フィルム、および(ii)二酸化チタンを含む顔料系を有する着色性の練り歯磨き配合物であって、該二酸化チタンのレベルが、該練り歯磨きの重量あたり0.01〜0.375%である、練り歯磨き配合物に関し、また、該練り歯磨きを製造する方法およびその使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたはそれ以上の顔料および二酸化チタンを含む顔料系を有する歯磨剤であって、該二酸化チタンの濃度は歯磨剤の重量あたり0.01〜0.375%である、歯磨剤。
【請求項2】
前記1つまたはそれ以上の顔料がオーラルケア器具でのブラッシングの間に放出可能である、請求項1に記載の歯磨剤。
【請求項3】
前記放出可能な顔料が、十分なブラッシングに関する色シグナルを使用者に与え、および前記二酸化チタンが該放出可能な顔料によるオーラルケア器具の着色を低減または防止する、請求項1または2に記載の歯磨剤。
【請求項4】
溶解性または崩壊性フィルムが、ブラッシングの間に放出される1つまたはそれ以上の放出可能な顔料を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項5】
前記1つまたはそれ以上の放出可能な顔料が不溶性の顔料を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項6】
前記1つまたはそれ以上の放出可能な顔料がピグメントブルー15:
【化1】
である、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項7】
前記二酸化チタンの量が0.05〜0.2%である、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項8】
分子量(M.W.)30,000〜1,000,000を有するメチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体を、1〜3%の量で含む、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項9】
1.5〜2.0%のラウリル硫酸ナトリウムおよび0.5〜2.0%のメチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項10】
a)約0.1%の二酸化チタン、
b)約0.3%のトリクロサン、
c)1.5〜2%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、
d)約0.24%のフッ化ナトリウム、
e)グリセリン、ソルビトールおよびプロピレングリコールの1つまたはそれ以上を含む45〜75%の湿潤剤、
f)キサンタンガム、カラギーナンおよびコロイド状シリカの1つまたはそれ以上を含む1〜10%のシックナー、
g)0.5〜3%のメチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体、および
h)15〜25%の水
を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項11】
前記放出可能な顔料が、水の存在下でのブラッシング後の30秒超ないし180秒未満で実質的に放出されて、該放出可能な顔料の放出が十分なブラッシングに関する色シグナルを使用者に与える、前記請求項のいずれか一項に記載の歯磨剤。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の歯磨剤で歯を清掃する方法。
【請求項13】
前記顔料がオーラルケア器具を用いた十分なブラッシングに関する色シグナルを使用者に与え、前記二酸化チタンが該放出可能な顔料による該オーラルケア器具の着色を低減または防止する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フィルムが溶解または崩壊する前のブラッシング時間が30〜180秒の間である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記オーラルケア器具が歯ブラシであり、前記二酸化チタンがブラッシングの間に歯ブラシのブラシ毛が着色されることを低減または防止する、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
[0001]
子供は少なくとも45〜60秒間自分の歯を磨き、成人は少なくとも90〜120秒間自分の歯を磨くべきであると推奨される。ほとんどの人々は、特に子供は、最大の利益を得るのに十分な時間自分の歯を磨かず、さらに、歯を磨くのに必要な時間を正確に見積もるのが困難である。ブラッシング後30〜120秒に顔料を放出して十分なブラッシングに関する色調変化シグナルを与えるように設計された、顔料を含む溶解性フィルムまたはマイクロカプセルを含む練り歯磨き配合物が開発されてきた。しかしながら、これらの配合物の1つの課題は、該顔料が歯ブラシのブラシ毛を着色する傾向があることである。ブラシ毛を着色する可能性が低減されているが、十分なブラッシングの際に明瞭なシグナルを与えることもできる、改善された配合物に対する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(本発明の簡単な説明)
[0002]
系統的な試験、多種多様な配合物成分の変更に続いて、我々は、ポリマーシックナー(この場合、ガントレッズ(Gantrez))と二酸化チタン(一般的な不透明の白色顔料)との間に相互作用が存在することを、驚くべきことに見出した。予想外なことに、TiOレベルが低ければ低いほど、青色の顔料がブラシ毛上に堆積することがより少なくなる。理論に拘泥されることを意図するものではないが、我々は、これが電荷(分極化)現象によりもたらされると仮定する。
【0003】
[0003]
かくして、本発明は、該歯磨剤は顔料および二酸化チタンを含み、二酸化チタンのレベルは、該歯磨剤の重量あたり0.01〜0.375%である、歯磨剤のための顔料系を提供する。
【0004】
[0004]
本発明の応用性のさらなる領域は、以下に提供される詳しい説明から明らかとなるであろう。詳しい説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、例示を目的とするだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の詳しい説明)
[0005]
以下の好ましい実施形態(複数の実施形態)に関する説明は、性質上単なる例示であり、いかようにも本発明、その応用もしくは使用を限定することを意図するものではない。
【0006】
[0006]
かくして、本発明は、第一の実施形態において、1つまたはそれ以上の顔料および二酸化チタンを含む顔料系を有し、該二酸化チタンのレベルが歯磨剤の重量あたり0.01〜0.375%である、歯磨剤(歯磨剤1)を提供する。
例えば:
1.1. 1つまたはそれ以上の顔料が、1つまたはそれ以上の不溶性の色素、例えば赤色顔料、例えばD&Cレッド30、緑色顔料、例えばピグメントグリーン7、黄色顔料、例えば(Sensient社のNatpureLC128イエロー)、および青色顔料、例えばフタロシアニン、例えばピグメントブルー15:
【化1】
から選択される歯磨剤1。
1.2. 1つの実施形態において、1つまたはそれ以上の顔料は、組成物の総重量の約0.02〜約0.5%の量で存在する。1つの実施形態において、1つまたはそれ以上の顔料は、組成物の総重量の約0.05〜約0.3%の量で存在する。
1.3. 顔料がピグメントブルー15である前記歯磨剤のいずれか。
【0007】
1.4. 1つまたはそれ以上の顔料がオーラルケア器具でのブラッシングの間に放出可能である、前記歯磨剤のいずれか。この歯磨剤の他の実施形態において、溶解性または崩壊性フィルムが、ブラッシングの間に放出される1つまたはそれ以上の放出可能な顔料を含む。
1.5. 放出可能な顔料が十分なブラッシングに関する色シグナルを使用者に与え、二酸化チタンが該放出可能な顔料によるオーラルケア器具の着色を低減または防止する、前記歯磨剤のいずれか。
1.6. オーラルケア器具が歯ブラシである前記歯磨剤のいずれか。
1.7. 二酸化チタンの量が0.05〜0.375%、例えば0.05〜0.2、例えば約0.1%である、前記歯磨剤のいずれか。
1.8. 分子量(M.W.)約30,000〜約1,000,000、最も好ましくは約30,000〜約800,000を有するメチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体(例えばISPテクノロジー社(Bound Brook,N.J.08805)から入手可能な、商品名ガントレッズ(Gantrez 登録商標)のもとで販売される、例えばAN139(M.W.500,000)、AN119(M.W.250,000)および好ましくはS−97医薬品グレード(M.W.700,000))を、1〜3%、例えば2%の量で含む、前記歯磨剤のいずれか。
【0008】
1.9. 1.5〜2.0%のラウリル硫酸ナトリウムおよび0.5〜2.0%のメチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体を含む、前記歯磨剤のいずれか。
1.10. 例えば、抗菌剤、例えばトリクロサンの有効量、例えば約0.3%;アニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、例えば1.5〜2%、フッ化物源の有効量、例えば可溶性のフッ化物塩、例えばフッ化ナトリウム、約0.24%;湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトールおよびプロピレングリコールのうちの1つまたはそれ以上、例えば45〜75%;シックナー、例えばキサンタンガム、カラギーナンおよびコロイド状シリカ、例えば1〜10%;陰イオン性ポリマー、例えばメチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体(例えばGantrez(登録商標))、例えば、0.5〜3%、約2%、および水、例えば15〜25%、例えば約20%をさらに含む、前記歯磨剤のいずれか。
1.11. 放出可能な顔料は、水の存在下、30秒超乃至180秒未満のブラッシング時間後に、子供用の練り歯磨きでは約45〜60秒、大人用の練り歯磨きでは約90〜120秒の時間後に、実質的に放出され、ここで、該放出可能な顔料の放出が、適切なブラッシングの色シグナルを使用者に与える、前記歯磨剤のいずれか。
1.12. 放出可能な顔料が使用の間に歯ブラシのブラシ毛を有意に着色しない、前記歯磨剤のいずれか。
【0009】
[0007]
本発明は、さらに、(i)ブラッシングの間に放出される1つまたはそれ以上の放出可能な顔料を含む溶解性または崩壊性フィルム、および(ii)二酸化チタンを含有する顔料系を有する歯磨剤を用いてブラッシングすることを含む、歯を清掃する方法を提供し、ここで、該二酸化チタン濃度は、歯磨剤、歯磨剤1、以下のもののいずれかの重量あたり、0.01〜0.375%であり、例えば、
a.フィルムが崩壊して、色素が適切なブラッシングに関する色シグナルを使用者に与えるまで、ブラッシングを継続する方法を提供し、例えば、
b.フィルムが崩壊する前のブラッシング時間が30秒から180秒の間、例えば子供用の練り歯磨きでは約45〜60秒、および大人用の練り歯磨きでは約90〜120秒である、前記方法を提供する。
【0010】
[0008]
経口的に許容される:
本発明の組成物は、口の中での局所的使用を意図しており、かくして、本発明で用いられる成分は経口的に許容されるべきであり、すなわち、提供される量および濃度において口の中での局所的使用で安全であるべきである。
【0011】
[0009]
本明細書を通じて用いられるように、範囲はその範囲内にある各数値およびすべての数値を表す短縮形として用いられる。該範囲内にある値はいずれも、該範囲の上限下限として選択され得る。加えて、本明細書中で引用されるすべての参考文献は、引用によりその完全な内容でここに含まれる。本開示の定義と引用の定義とに齟齬がある場合、本開示により調整される。
【0012】
[0010]
そうではないと特定されない限り、ここで及び本明細書中の他の箇所に示されるパーセンテージおよび量はすべて、重量パーセントを意味すると理解されるべきである。所定の量は、物質の有効重量(active weight)に基づく。
【0013】
[0011]
本発明の実施形態は、以下の実施例においてさらに記載される。当該実施例は単なる例示であり、下記または特許請求する本発明の範囲をいかようにも限定するものではない。
【0014】
実施例
[0012]
実施例1−配合の最適化
[0013]
練り歯磨きを改良した商用の歯磨剤ベースにピグメントブルー15を含む溶解性フィルム破片を混合することによって調製した初期の実験では、歯ブラシのブラシ毛は、度重なる使用および色素の放出に続いて、青色に着色される。ブラシ毛に対する青色の量は、Lab色空間(非線形に圧縮されたCIE XYZ色空間に基づく、座標明度に関する次元Lおよび反対色の次元に関するaおよびbを有する反対色空間)を用いて測定される。
【0015】
[0014]
ブラシ毛を着色する重要な配合物の推進物を決定するために、様々な配合物を用いて、初期の実験を実施する。実験設計(Design of Experiments)アプローチを利用し、3種の配合成分に着目し、配合物を洗い出して系統的に配合を最適化する。
【0016】
[0015]
この枠組みの中で種々変更して、25種類の配合物を調製し、性能およびブラシ毛を染色することに関して系統的に評価した。上記の中でGantrez(メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸の共重合体)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、および二酸化チタンを上記した範囲内で含む配合物を表1に下記する:
【表1】
【0017】
[0016]
Gantrez(メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体)とブラシ毛上に青色顔料の堆積を引き起こし得る二酸化チタンとの間に相互作用が存在することが、驚くべきことに見出される。予想外なことに、TiO濃度が低ければ低いほど、より少ない青色の顔料がブラシ毛上に堆積するようである。電荷(分極化)現象によって沈着が引き起こされ得ると仮定される。
【0018】
[0017]
このデータに基づき、以下の表2にて、最適化した配合物を調製する。
【表2】
【0019】
[0018]
この配合物を使用した後に歯ブラシのブラシ毛が着色されるかどうかについて、該配合物を試験する。元の配合物は着色された歯ブラシのブラシ毛を示したが(ΔE>20)、最適化した歯磨剤は、ブラッシングの際に良好な色変化を与えつつも、ほぼブラシ毛の着色を示さなかった(ΔE<5)。
【0020】
[0019]
当業者には理解されるように、本発明の精神を逸脱することなく数多くの変更および改変を本文に記載の実施形態に行うことができる。そのような変種はすべて添付する特許請求の範囲内にあると意図される。
【国際調査報告】