特表2016-505736(P2016-505736A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-505736(P2016-505736A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(54)【発明の名称】建築構造用パネル
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/26 20060101AFI20160129BHJP
【FI】
   E04C2/26 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-547018(P2015-547018)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2013076328
(87)【国際公開番号】WO2014090924
(87)【国際公開日】20140619
(31)【優先権主張番号】12290434.5
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13290132.3
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514151409
【氏名又は名称】セン・ゴバン プラコ エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホッチン,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ニコラス
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CA16
2E162CD04
2E162CD05
2E162CD06
(57)【要約】
【解決手段】建築構造に用いるためのパネルである。本発明のパネルは、互いに反対向きの二つの面を有するプラスターボードを備え、これらの面の一方にはポリマーベースの薄層が提供されている。ポリマーベースの薄層は、0.12までの引張り歪を達成するための一軸引張り応力下での仕事量が2.1MJ/mより大きい材料によって提供されることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造用のパネルであって、当該パネルは、互いに反対向きの二つの面を有するプラスターボードを備え、前記プラスターボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が設けられており、
前記ポリマーベースの薄層は、前記プラスターボードより薄いこと、及び、0.12までの引張り歪を達成するための一軸引張り応力下での仕事量が2.1MJ/mより大きい材料によって提供されることを特徴とする、パネル。
【請求項2】
前記ポリマーベースの薄層は、0.12までの引張り歪を達成するための一軸引張り応力下での仕事量が2.9MJ/mより大きい、好ましくは3.8MJ/mより大きい材料によって提供されることを特徴とする、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記ポリマーベースの薄層は、モノリシックポリマー、又は、ポリマーマトリクスを有する複合材料の何れかである、請求項1に記載のパネル。
【請求項4】
前記ポリマーベースの薄層は繊維強化ポリマーによって提供される、請求項2に記載のパネル。
【請求項5】
前記ポリマーベースの薄層は、主として熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項6】
前記ポリマーベースの薄層は、主として熱硬化性ポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記繊維強化ポリマーの繊維およびマトリクスは同じポリマーによって提供される、請求項6に記載のパネル。
【請求項8】
前記ポリマーベースの薄層は中実かつ無孔である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項9】
前記ポリマーベースの薄層の厚さは前記プラスターボードの厚さの20%未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項10】
前記ポリマーベースの薄層の厚さは5mm未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項11】
前記ポリマーベースの薄層は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイロン、アセタール、自己強化ポリプロピレン、ガラス繊維、及び、ベークライトからなる群から選択される、請求項1に記載のパネル。
【請求項12】
建築構造用のパネルであって、当該パネルは、互いに反対向きの二つの面を有するプラスターボードを備え、前記プラスターボードの一方の面上にガラス繊維シートが設けられており、
前記ガラス繊維シートは、樹脂で含浸された不織マットを含み、前記ガラス繊維シートのヤング率は、4500〜8000MPaの範囲内である、パネル。
【請求項13】
建築構造用のパネルであって、当該パネルは、互いに反対向きの二つの面を有するプラスターボードを備え、前記プラスターボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が設けられており、
前記ポリマーベースの薄層は、その主たる重量成分が、0.06GPaより大きいビッカース圧痕硬度を有する熱可塑性材料である、パネル。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のパネルを少なくとも1つ備えてなる仕切りであって、
前記パネルは支持構造体上へ取り付けられ、前記ポリマーベースの薄層が提供されるパネル側面は、前記支持構造体に対面する、仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造(物)に用いるためのパネル、およびその製造に関する。具体的には本発明は、シンク、テレビまたは放熱器等のアイテム(備品)を取り付けることができる仕切り(パーティション)を提供するためのパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスターボード(例えば、石膏ボード)、ポリスチレンボードおよびファイバボード等の軽量パネルは、一般に、建物物内部に仕切りを提供するために使用される。この用途におけるこれらの優位点には、これらが軽量であって、迅速に設置できる、という事実が含まれる。
【0003】
しかしながら、所定の事例において、このような軽量パネルは、備品(例えば、シンク、テレビ、放熱器、消火器、棚、およびパネルへの取付けを要するその他の任意のアイテム)を支持するには強度不足である、という欠点を有する場合がある。こうした場合、備品の重量により、固定手段(例えば、ねじ)がパネルから抜け落ち、備品が仕切りから落ちることがある。
【0004】
典型的にはこの問題点は、合板シートを貼ってパネルの固定強度を高めることにより対処されている。この場合、合板シートは、備品を位置づける側面とは反対側のパネル側面に貼られる。合板シートは、備品をパネルへ固定するために使用される1つまたは複数の固定手段(例えば、ねじ)を保持するための増大された強度を与える場合がある。典型的には、合板シートは建築物の枠組み内に位置決めされ、次いでプラスターボードが合板へ固定され、その結果、プラスターボードは建築物の枠組みの外側に存在することになる。
【0005】
代替例として、金属製の支持手段が設けられる場合もある。これらは、固定板、チャネル、ストラップまたは金属ファスナを備えることがある。合板シートの場合と同様に、金属製支持手段も、概して、備品を固定する側面とは反対側のパネル側面に位置決めされ、備品をパネルへ取り付けるために使用される固定手段、例えば固定ねじ、を受け入れて固定する働きをする。
【0006】
これらの装置は共に、追加的な支持コンポーネントを現場でパネルに接合する必要がある、という欠点を有する。さらに、金属製支持手段が使用される場合、パネルへの備品の固定に必要なフルセットの固定手段を支持するために、複数のこのような支持手段が必要とされることがある。したがって、設置プロセスは、時間のかかる高価なものとなる。
【0007】
さらに、金属製支持手段または合板シートの追加は、仕切りの重量および厚さを増大させ、及び/又は、結果的に中空壁スペースを減少させる。概して合板は、それ自体が現場でサイズに合わせて切断されなければならず、よって、設置に要する時間が長くなり、かつ恐らくは、ほこりおよび有害である可能性のある成分が放出されることにも繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】(特になし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、固定手段を保持し且つ固定物(備品)を支持することができ、しかも時間のかかる設置プロセスを必要としない改良されたパネルを提供する必要がある。
【0010】
先に明示した問題点に加えて、本件の発明者らは、パネル用の補強材が何れも、ねじ固定具を確実かつ再生可能な方法で挿入できるように慎重に選択されなければならないことを見出した。具体的には、補強材は、ねじ固定具を締めつけすぎる可能性を減らすように選択されるべきであることが見出されている。「締め付けすぎ」(overtightening)という用語は、ねじを回し込み過ぎると、ねじ穴の内面がねじによって容易に剥ぎ取られる可能性があり、結果的に、ねじがもはやパネル内にしっかりと保持されなくなるプロセスに関連している。
【0011】
この問題は、補強材の材料を変形させるために必要とされる仕事量が、締め付けすぎに対する感度を限定するに足る高い量であるようなパネル用補強材を選択することにより低減され得ることが見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって全体的として、本発明は、裏張り薄層の材料の変形特性が、薄層内に形成されるねじ穴のねじ山の剥がれの発生を減らす類のものである、裏張り薄層で補強されるパネルを提供するものである。
【0013】
第1の態様において、本発明は、建築構造(物)において用いるためのパネルを提供することができ、当該パネルは、対向する(互いに反対向きの)2面を有するプラスターボード(plasterboard)を備え、プラスターボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が提供され、
前記ポリマーベースの薄層は、プラスターボードより薄いことと、0.12までの引張り歪を達成するための一軸引張り応力下での仕事量が2.1MJ/mより大きい材料によって提供されることを特徴とする。
【0014】
パネルは、仕切りを提供するための支持構造体上への取付けにおいて用いるものであり、よって、ポリマーベースの薄層が提供されるパネル側面は、支持構造体に面して設けられている。
【0015】
典型的には、一軸引張り応力下での仕事量は、具体的な材料に関して描かれる応力対歪曲線より下の面積を測定することによって計算される。
【0016】
材料が0.12未満の引張り歪で破損する場合、ポリマーベースの薄層は、被検物が破損するまでの仕事量によって特徴づけられる。
【0017】
材料が0.12より大きい引張り応力で破損する場合、ポリマーベースの薄層は、0.12の歪を達成するために必要とされる仕事量によって特徴づけられる。
【0018】
好ましくは、ポリマーベースの薄層は、0.12までの引張り歪を達成するための一軸引張り応力下での仕事量が2.9MJ/mより大きい、より好ましくは3.8MJ/mより大きい材料によって提供される。
【0019】
薄層は、パネルの不連続なコンポーネントを提供する層を表し、即ちこれは、基材と一体的には形成されない。効果的には、基材と薄層との間に、明確に画定された界面または境界が存在する。
【0020】
所定の事例において、ポリマーベースの薄層は、1つまたは複数の「固定部分」が設けられるように、ボード面の1つまたは複数の部分のみを覆ってもよい。
【0021】
好ましくは、ポリマーベースの薄層は、主として、熱可塑性ポリマーを含む。あるいは、ポリマーベースの薄層は、主として、熱硬化性ポリマーを含んでもよい。
【0022】
ポリマーベースの薄層は、モノリシックポリマーによって、即ち、単一の非複合材料によって提供されてもよい。あるいは、ポリマーベースの薄層は、ポリマーマトリクス、例えば繊維強化ポリマー、を有する複合材料によって提供されてもよい。この場合、ポリマーベースの薄層は、ポリマー繊維(例えば、セルロース繊維)によって強化されてもよい。あるいは、ポリマーベースの薄層は、無機繊維、例えばガラス繊維、によって強化されてもよい。所定の事例において、繊維強化ポリマーの繊維およびマトリクスは、同じポリマーによって提供される。このような複合材料の一例は、繊維およびマトリクスの双方がポリプロピレンより成る自己強化ポリプロピレン複合材料であり、この複合材料は、Curv(商標)の商品名で市販されている。
【0023】
典型的には、プラスターボードは、2つの紙繊維またはガラス繊維シート間で押し出される石膏プラスタを含む。石膏プラスタは、概して技術上知られるような様々な添加剤を含んでもよい。
【0024】
典型的には、ポリマーベースの薄層は、プラスターボードへ接着される。しかしながら、他の実施形態において、ポリマーベースの薄層は、ボード上へ蒸着されて硬化される樹脂から形成されてもよい。
【0025】
典型的には、薄層は、少なくとも0.25mmの、好ましくは少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも1mmの厚さを有する。このような厚さは、パネルの固定強度を向上させることができるように、薄層へ必要な剛性を与えることができる。
【0026】
典型的には、薄層の厚さは、4mm未満であり、好ましくは3mm未満、より好ましくは2.5mm未満である。所定の事例、例えば、ポリマーベースの薄層が複合マット(例えば、自己強化複合材料)である事例では、厚さは、2mm未満であってもよい。薄層の厚さは、パネルが例えば壁を提供するために設置される場合、建造物内のその設置面積が大きすぎないように制限されることが望ましい。参考として、合板補強材は、典型的には、約12mmの厚さを有する。
【0027】
典型的には、薄層の厚さは、プラスターボードの厚さより小さい。好ましくは、ポリマーベースの薄層の厚さは、プラスターボードの厚さの25%未満、より好ましくは20%未満である。
【0028】
ある典型的なパネルは、10〜20mm厚さの石膏ボードを含んでもよく、かつ約11〜25mmの合計厚さを有してもよい。
【0029】
典型的には、薄層は、中実かつ無孔(solid and non-porous)である。これは、パネルの固定強度を向上させるために、必要な剛性を有する薄層を提供する助けとなる場合がある。「中実かつ無孔」という言い回しは、3次元有孔アレイを含む薄層を除外することが意図されている。この言い回しは、薄層の厚さを介して広がる開口、切欠きまたは穿孔を有する薄層を除外するためのものではない。例えば、薄層は、厚さを貫通する開口の2次元分布を含み得ることが想定されている。
【0030】
概して、ポリマーベースの薄層は、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイロン、アセタール、自己強化ポリプロピレンおよびベークライト(Bakelite)(商標)を含むグループから選択される。
【0031】
概して、ポリマーベースの薄層の降伏引張り強さ(tensile strength at yield)は少なくとも50MPaであり、その薄層の引張り弾性率は少なくとも2500MPaである。
【0032】
所定の実施形態では、ポリマーベースの薄層の外面(即ち、プラスターボードより遠位)に、さらなる薄層が提供されてもよい。さらなる薄層は、例えば、絶縁層、紙の層または金属(例えば、銅)層であってもよい。
【0033】
他の実施形態では、プラスターボードの表面上に、ポリマーベースの薄層の内面に、またはポリマーベースの薄層の外面に、薄膜が直接的に提供されてもよい。
【0034】
さらなる実施形態では、ポリマーベースの薄層の外面を覆って紙の層が提供されてもよい。
【0035】
第2の態様において、本発明は、建築構造(物)において用いるためのパネルを提供することができ、前記パネルは、対向する(互いに反対向きの)2面を有するプラスターボードを備え、プラスターボードの一方の面上にガラス繊維シートが提供され、
前記ガラス繊維シートは、樹脂で含浸される不織マットを含み、ガラス繊維シートのヤング率は、4500〜8000MPaの範囲内である。
【0036】
好ましくは、ガラス繊維シートのヤング率は、5000〜7500MPaの範囲内であり、より好ましくは、6000〜7000MPaの範囲内である。
【0037】
好ましくは、ガラス繊維シートのガラス繊維含有率は、25重量%より多く、より好ましくは、30重量%より多い。
【0038】
好ましくは、樹脂のヤング率は、4500MPa未満であり、より好ましくは4000MPa未満である。
【0039】
概して、樹脂のヤング率は、2000MPaより大きく、好ましくは2500MPaより大きく、より好ましくは3000MPaより大きい。
【0040】
本発明の第2の態様によるパネルは、本発明の第1の態様によるパネルの1つまたは複数の特徴を含んでもよい。
【0041】
第3の態様において、本発明は、建築構造(物)において用いるためのパネルを提供することができ、前記パネルは、対向する(互いに反対向きの)2面を有するプラスターボードを備え、プラスターボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が提供され、
前記ポリマーベースの薄層は、その主たる重量成分が、0.06GPaより大きいビッカース圧痕硬度を有する熱可塑性材料であることを特徴とする。
【0042】
好ましくは、ビッカース硬度は、0.09GPaより大きく、より好ましくは0.11GPaより大きい。
【0043】
本発明の第3の態様によるパネルは、本発明の第1の態様によるパネルの1つまたは複数の特徴を含んでもよい。
【0044】
第4の態様において、本発明は、建築構造(物)において用いるためのパネルを提供することができ、前記パネルは、対向する(互いに反対向きの)2面を有する基材ボードを備え、基材ボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が提供され、
前記ポリマーベースの薄層は、10番木ねじ(No.10 woodscrew)が薄層内へねじ込まれたときに、ねじの締め付けにおける仕事量が最大トルク達成後に少なくとも7.7Jになるように構成されている。
【0045】
概して、ポリマーベースの薄層内へのねじの締め付けに必要とされるトルクは、少なくとも1.68Nmのピーク値を有する。
【0046】
木ねじの締め付けに必要とされる仕事量は、回転角ゼロ(ピークトルクに対応)と7.85ラジアンとの間で測定される、締付けトルクと回転角との関係を示すグラフより下の面積によって与えられる。7.85ラジアンという値は、これがねじの1.25回転に相当するという理由で選択される。備品を設置する際に、設置者は、典型的には、各ねじをピークトルクに到達後に約1回転余分に回すことがわかっている。したがって、薄層が、この角度範囲を超えるねじ回転に対する耐性を提供(即ち、ねじ山の剥がれを回避)し続けるように構成されなければならない点は、重要である。
【0047】
10番の木ねじは、長さ50mmおよび直径5mmを有する。
【0048】
第5の態様において、本発明は、建築構造(物)において用いるためのパネルを提供することができ、前記パネルは、対向する(互いに反対向きの)2面を有する基材ボードを備え、基材ボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が提供され、
ポリマーベースの薄層の降伏引張り強さは、少なくとも50MPaであり、かつ薄層の引張り弾性率は、少なくとも2500MPaである。
【0049】
第6の態様において、本発明は、建築構造(物)において用いるためのパネルを提供することができ、前記パネルは、対向する(互いに反対向きの)2面を有する基材ボードを備え、基材ボードの一方の面上にポリマーベースの薄層が提供され、
ポリマーベースの薄層は、1MPa.m1/2より大きい破壊靱性を有する材料によって提供される。
【0050】
好ましくは、ポリマーベースの薄層は、1.5MPa.m1/2より大きい、より好ましくは2MPa.m1/2より大きい破壊靱性を有する材料によって提供される。
【0051】
第6の態様において、本発明は、これまでに述べたもののうちの何れか1つによる少なくとも1つのパネルを備える仕切りを提供することができ、前記パネルは、支持構造体上へ取り付けられ、ポリマーベースの薄層が提供されるパネル側面は、支持構造体に面する。
【0052】
したがって効果的には、パネルは、ポリマーベースの薄層がパネル裏面に提供されるように配向される。したがって備品(固定物)は、パネルの前面に取り付けられてもよく、一方で、ボード裏面のポリマーベースの薄層は、備品のボードへの改良された保持を提供する働きをしてもよい。
【0053】
典型的には、仕切りは、各々が支持構造体の個々の側面上に位置づけられる2つのパネルを備える。
【0054】
仕切りは、例えば壁を提供するために直立していてもよく、あるいは、例えば天井を提供するために水平に配置されてもよい。
【0055】
本発明の第6の態様は、本発明の第1の態様から第5の態様までの任意選択の特徴のうちの1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0056】
次に、以下の図面を参照して本発明の所定の態様および特徴を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、トルクと回転角との関係を概略的に示したグラフである。
図2図2は、実施例6、8および比較例2のトルクと回転角との関係を示すグラフである。
図3図3は、実施例1〜3、8、9及び16、並びに比較例2及び8についての、締付け時のピークトルクと、引張り試験時の0%から12%変形までの間の仕事量との関係を示すグラフである。
図4図4は、実施例1〜3,8および比較例8についての、締付け時のピークトルクと、ビッカース圧痕硬度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[実施例等(Examples)]
石膏ボードGyproc Duraline(商標)の各々が、接着剤Bostik Aquagrip 29860を用いて該ボード表面へ接着された薄層を伴って提供された。
【0059】
締め付けすぎへの耐性を定量化するために、ボード内へ挿入されるねじについて、トルクと回転角との関係を示すグラフを描いた。ねじは、長さ50mmおよび直径5mmを有する10番木ねじであった。図1は、このようなグラフの一例を示している。回転角ゼロ(ピークトルクに対応)と7.85ラジアンとの間で、曲線から下の面積を計算した。
【0060】
この面積は、ピークトルク達成後のねじの締付けにおける仕事量の指標となる。ピークトルク達成後の仕事量が大きいほど、ねじを締め付けすぎてねじ穴の内面から材料を剥ぎ取る危険性は低くなると思われる。
【0061】
ピークトルクはボード毎にも測定した。結果は、以下の表1等に提示される。
【0062】
[ビッカース硬度]
選択したサンプルについて、ビッカース硬度を測定した。薄層から50mm×50mmのサンプルを切り取り、サンプル表面へビッカースダイヤモンド圧子を負荷(F)20Nで34秒間押し付けた。ダイヤモンド圧子の速度は、50ミクロン/秒であった。
【0063】
圧子を外した後、サンプル表面に生成されたピラミッド形の跡を顕微鏡で観察し、その2つの側方寸法d、d(即ち、向かい合った角間の距離)をミリメートル単位で記録した。
【0064】
ビッカース硬度を、次式を用いて計算した。
硬度=0.001855F/d
【0065】
[一軸引張り応力下での仕事量]
回転鋸を用いて、薄層から40mm×200mmのサンプルを切り取った。次に、サンプルを機械的試験機Instron4405内へ挿入し、試験機のかみ合い部をサンプル上へ150mm離して位置合わせした。サンプルを、速度4.2mm/分の一軸引張り下で、50%歪に達するまで又は被検物が破損するまで試験した。
【0066】
力と変位との関係を示す曲線を取得し、0mmから18mm(歪0.12に対応)までの間の変形について、曲線より下の面積を計算した。サンプルが歪0.12への到達より前に破損した場合には、破損時の歪までの曲線下の面積を計算した。得た結果を、被検物の寸法、150mm(即ち、かみ合い部間の距離)×40mm×薄層の厚さ、を用いて正規化し、単位容積当たりの仕事量の値を求めた。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
図2は、実施例6、8および比較例2にそれぞれ従う、ボードへ挿入されるねじのトルクと回転角との関係を示すグラフである。
【0071】
図3は、引張り試験時の仕事量が、ねじの締付けプロセスの特徴的なパラメータであるピークトルクとの良好な相関性を表わすことを確認するものである。
【0072】
図4は、少なくとも熱可塑性薄層の場合、硬度が、ねじの締付けプロセスの特徴的なパラメータであるピークトルクとの良好な相関性を表わすことを確認するものである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】