特表2016-506254(P2016-506254A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-506254(P2016-506254A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(54)【発明の名称】空気除去試験ストリップ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/28 20060101AFI20160205BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20160205BHJP
   G01K 11/12 20060101ALI20160205BHJP
【FI】
   A61L2/28
   A61L2/07
   G01K11/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-545056(P2015-545056)
(86)(22)【出願日】2013年11月5日
(85)【翻訳文提出日】2015年7月14日
(86)【国際出願番号】US2013068464
(87)【国際公開番号】WO2014085038
(87)【国際公開日】20140605
(31)【優先権主張番号】13/687,888
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515144921
【氏名又は名称】ダナ・プロダクツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DANA PRODUCTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】バーラ、ハリー
【テーマコード(参考)】
2F056
4C058
【Fターム(参考)】
2F056VA01
2F056VA02
2F056VA05
2F056VA07
2F056VA10
4C058AA01
4C058BB05
4C058DD14
4C058EE26
(57)【要約】
プレバキューム式滅菌器の滅菌サイクル中に十分な空気の除去を確認する空気除去試験システムが試料ホルダ及び試験ストリップを含む。試験ストリップは固形の化学指示薬を含み、固形の化学指示薬は滅菌サイクル中に液化して吸上要素に沿って進む。試験ストリップは、窓を通して色の変化を示すことによって、滅菌サイクル中の空気の十分な除去を確認するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレバキューム式滅菌器の滅菌サイクル中に十分な空気の除去を確認する試験ストリップであって、
ある長さ及び幅を有する熱伝導材料から形成され、内部に凹部が形成されるベース要素と、
前記凹部内に堆積される固形の化学指示薬と、
前記固形の化学指示薬に少なくとも部分的に接触して位置し、前記ベース要素の前記長さ及び前記幅よりも短く延びる吸上材と、
前記ベース要素と前記吸上材と前記固形の化学指示薬とにわたって位置するフィルムと、
前記フィルムにわたって配置され、内部に窓を含むコート紙と
を備え、
前記窓は、前記吸上材の一部が前記窓を通して見えるように前記固形の化学指示薬から離れて配置され、
前記試験ストリップは、プレバキューム滅菌サイクル中に前記固形の化学指示薬が液化して前記吸上材に沿って吸上げられ、該吸上材の色を変化させるように構成され、前記試験ストリップは、前記色の変化が、前記窓を通して見える前記吸上材の一部を覆うと、十分な空気の除去を確認するように構成されている試験ストリップ。
【請求項2】
前記ベース要素は接着性裏材を有する、請求項1に記載の試験ストリップ。
【請求項3】
前記固形の化学指示薬はサリチルアミド又はエトキシベンズアミドである、請求項1または2に記載の試験ストリップ。
【請求項4】
前記固形の化学指示薬は染料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の試験ストリップ。
【請求項5】
前記染料は、前記化学指示薬の約0.01質量パーセントの濃度で存在する青色染料である、請求項4に記載の試験ストリップ。
【請求項6】
前記フィルムは無延伸ポリプロピレンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の試験ストリップ。
【請求項7】
前記無延伸ポリプロピレンは約0.051〜0.056mm(2.0〜2.2ミル)の厚さを有する、請求項6に記載の試験ストリップ。
【請求項8】
前記無延伸ポリプロピレンは約0.076〜0.081mm(3.0〜3.2ミル)の厚さを有する、請求項6に記載の試験ストリップ。
【請求項9】
前記ベース要素は、約0.076mm(3ミル)の厚さを有するアルミニウムである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の試験ストリップ。
【請求項10】
前記コート紙は接着性裏材を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の試験ストリップ。
【請求項11】
前記コート紙はアクリルコーティングを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の試験ストリップ。
【請求項12】
前記ベース要素の接着性裏材はアクリル接着剤である、請求項2に記載の試験ストリップ。
【請求項13】
プレバキューム式滅菌器の滅菌サイクル中に十分な空気の除去を確認する空気除去試験システムであって、
内部チャンバを画定する筒状体と、
前記筒状体の第1の端において封止可能なクロージャキャップと、
前記筒状体の第2の端に配置され、前記内部チャンバの内外への単一の進入及び出口流路を提供する端部プラグと
を含む試料ホルダと、
ある長さ及び幅を有する熱伝導材料から形成され、内部に凹部が形成されるベース要素と、
前記凹部内に堆積される固形の化学指示薬と、
前記固形の化学指示薬に少なくとも部分的に接触して位置し、前記ベース要素の前記長さ及び前記幅よりも短く延びる吸上材と、
前記ベース要素と前記吸上材と前記固形の化学指示薬とにわたって位置するフィルムと、
前記フィルムにわたって配置され、内部に窓を含むコート紙と
を含む試験ストリップと
を備え、
前記窓は、前記吸上材の一部が前記窓を通して見えるように前記固形の化学指示薬から離れて配置され、前記試験ストリップは前記内部チャンバに配置され、前記試料ホルダは前記試験ストリップとともに前記プレバキューム式滅菌器に配置され、前記固形の化学指示薬は、プレバキューム滅菌サイクル中に液化して前記吸上材に沿って吸上げられ、該吸上材の色を変化させ、前記試験ストリップは、前記色の変化が、前記窓を通して見える前記吸上材の一部を覆うと、十分な空気の除去を確認するように構成されている空気除去試験システム。
【請求項14】
前記固形の化学指示薬はサリチルアミド又はエトキシベンズアミドであり、前記固形の化学指示薬は染料を含む、請求項13に記載の空気除去試験システム。
【請求項15】
前記染料は、前記化学指示薬の約0.01質量パーセントの濃度で存在する青色染料である、請求項14に記載の空気除去試験システム。
【請求項16】
前記フィルムは無延伸ポリプロピレンである、請求項13〜15のいずれか一項に記載の空気除去試験システム。
【請求項17】
前記ベース要素は、約0.076mm(3ミル)の厚さを有するアルミニウムである、請求項13〜16のいずれか一項に記載の空気除去試験システム。
【請求項18】
前記ベース要素は接着性裏材を有し、該ベース要素の接着性裏材はアクリル接着剤である、請求項13〜17のいずれか一項に記載の空気除去試験システム。
【請求項19】
前記コート紙は接着性裏材を有する、請求項13〜18のいずれか一項に記載の空気除去試験システム。
【請求項20】
前記コート紙はアクリルコーティングを有する、請求項13〜19のいずれか一項に記載の空気除去試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気除去試験ストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
熱が微生物を死滅させることは良く知られている。水分の存在は、微生物を構成するタンパク質を変性又は凝固させることによってこの死滅を加速させる。たいていの微生物は、十分な水を含むため、適度な熱のみ、例えば80℃〜100℃でも微生物を死滅させる。他方で、多くの細菌胞子は、実質的に水を含まず、乾熱が使用される場合にそれらを死滅させるには150℃を超える高温を必要とする。したがって、そのような生物の死滅は通常、蒸気滅菌器内の蒸気の存在下で行われる。
【0003】
2つの基本的な種類の蒸気滅菌器(オートクレーブ)、すなわち、重力置換オートクレーブ及びプレバキューム式滅菌器が存在する。重力置換オートクレーブでは、蒸気は滅菌チャンバの上部又は側部において入れられ、また、蒸気が空気よりも軽いため、排気口を通してチャンバの底部から空気を押し出す。重力置換オートクレーブは、研究室の媒体、水、医薬製品、規制薬物の廃棄物、及び、表面が蒸気に直接接触する非多孔質物品を処理するために主に用いられる。重力置換滅菌器の場合、多孔質のアイテムへの浸透時間は、不完全な空気の排除のために長くなる。例えば、4.5kg(10lbs)の微生物廃棄物の除染は、少なくとも121℃で45分を必要とし、これは、廃棄物の装填物中に残っている取り込まれた空気が、蒸気の浸透及び加熱効率を大幅に妨害するためである。
【0004】
プレバキューム式滅菌器は、蒸気を入れる前に滅菌チャンバ及び装填物からの空気の除去を確実にするために真空ポンプ(又は排出装置)が取り付けられる以外は、重力置換滅菌器と同様である。空気を除去することによって、多孔質の装填物にでさえも、ほぼ即座の蒸気浸透を提供することができる。
【0005】
ボウィー−ディック式の空気除去試験は、プレバキューム滅菌器における空気漏れ及び不十分な空気の除去を検出するために用いられる。ボウィー−ディック試験では、市販のボウィー−ディック式試験インジケータが、米国国家規格協会(ANSI)/医療器具開発協会(AAMI)/国際標準化機構(ISO)11140−5:2007のような標準試験方法に従って準備された、折り畳まれた綿100%の外科用タオルからなる試験パックの中央に配置される。試験パックは、そうでなければ空のチャンバ内の正面の、滅菌器ラックの底部セクションの、ドア付近にドレインにわたって水平に配置され、滅菌器が試験される。空気の除去の成功は、134℃で3.5分±5秒及び/又は121℃で15分±5秒の飽和蒸気への曝露後に、ボウィー−ディック式試験インジケータにおける均一な色変化によって確認される。
【0006】
不十分な空気の除去の結果として不十分な滅菌プロセスが生じる可能性があり、これは、チャンバから除去されない空気が蒸気の接触を妨げる可能性があるためである。したがって、空気除去試験は、最初の処理される装填物の前に、真空式蒸気滅菌器が使用される日ごとに行われる。試験パックは、洗濯したての綿の外科用タオルを用いて調製することができる。ANSI/AAMI/ISO11140−5:2007は、タオルを一方向に250mm±20mmのサイズまで、及び、他の方向に300mm±20mmのサイズまで折り畳むことと、試験パックの高さが250mm〜280mmであることとを必要とする。したがって、空気除去試験の準備は、使用者にとって、労働集約的であり、時間がかかり、法外な費用がかかる可能性がある。使い捨ての試験パックを含む使い捨ての空気除去試験システムが開発されているが、依然として費用がかかり、各使用後に試験パックを処分することから廃棄物が生じる。
【0007】
したがって、プレバキューム式滅菌器における空気の除去の成功の指示を提供することができる改良された空気除去試験システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
1つの態様では、プレバキューム式滅菌器の滅菌サイクル中に十分な空気の除去を確認する試験ストリップが提供される。試験ストリップは、ベース要素と、固形の化学指示薬と、吸上材と、フィルムと、コート紙とを備える。ベース要素は、ある長さ及び幅を有する熱伝導材料から形成され、内部に形成された凹部を有する。固形の化学指示薬は、凹部内に堆積される。吸上材は、固形の化学指示薬に少なくとも部分的に接触して位置し、ベース要素の長さ及び幅よりも短く延びる。フィルムは、ベース要素と吸上材と固形の化学指示薬とにわたって位置する。コート紙は、フィルムにわたって配置され、内部に窓を含む。窓は、吸上材の一部が窓を通して見えるように固形の化学指示薬から離れて配置され。試験ストリップは、プレバキューム滅菌サイクル中に固形の化学指示薬が液化して吸上材に沿って吸上げられ、吸上材の色を変化させるように構成される。試験ストリップは、色の変化が、窓を通して見える吸上材の一部を覆うと、十分な空気の除去を確認するように構成されている。
【0009】
別の態様では、プレバキューム式滅菌器の滅菌サイクル中に十分な空気の除去を確認する空気除去試験システムが提供される。空気除去試験システムは、試料ホルダと、上述した試験ストリップとを備える。試料ホルダは、内部チャンバを画定する筒状体と、筒状体の第1の端において封止可能なクロージャキャップと、筒状体の第2の端に配置される端部プラグとを含む。端部プラグは、内部チャンバの内外への単一の進入及び出口流路を提供する。試験ストリップは試料ホルダの内部チャンバに配置され、試料ホルダはプレバキューム式滅菌器に配置される。プレバキューム式滅菌器において、固形の化学指示薬は、プレバキューム滅菌サイクル中に液化して吸上材に沿って吸上げられ、吸上材の色を変化させる。試験ストリップは、色の変化が、窓を通して見える吸上材の一部を覆うと、十分な空気の除去を確認するように構成されている。
【0010】
1つの実施形態では、ベース要素は接着性裏材、例えばアクリル接着剤を有する。固形の化学指示薬は、サリチルアミド又はエトキシベンズアミド若しくは同様の化学物質であり、染料を含むこともできる。例えば、固形の化学指示薬は、化学指示薬の約0.01質量パーセントの濃度で存在する青色染料を含むことができる。さらに、フィルムは無延伸ポリプロピレンであり、約0.051〜0.056mm(2.0〜2.2ミル)または約0.076〜0.081mm(3.0〜3.2ミル)の厚さを有する。ベース要素は、約0.076mm(3ミル)の厚さを有するアルミニウムであってもよい。さらに、コート紙は接着性裏材及びアクリルコーティングを有してもよい。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲と共に以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0012】
本発明の実施形態の恩恵及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を検討した後で当業者にはより容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】1つの実施形態による空気除去試験ストリップの平面図である。
図2図1の線2−2に沿った断面図である。
図3】紙層、接着剤層及びフィルム層が剥離された状態の、図1の試験ストリップの上方斜視図である。
図4】1つの実施形態による試料ホルダの分解図である。
図5図4の試料ホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、種々の形態での実施形態が可能であるが、現時点で好ましい実施形態が図面に示されているとともに以下で説明され、本開示は、本発明の例示とみなされるべきであって、本発明を、図示された特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解される。
【0015】
図1図3は、プレバキューム式滅菌器における空気漏れ及び不十分な空気の除去を検出する試験ストリップ10の1つの実施形態を示している。試験ストリップ10は、本願の譲受人に譲渡された米国特許第7,718,125号明細書、米国特許第7,740,802号明細書、米国特許第7,790,105号明細書及び米国特許第7,811,516号明細書に開示されているような、再使用可能な試料ホルダとともに働くように構成されており、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。1つの実施形態による試料ホルダ100が図4及び図5に示されている。使用時に、試験ストリップ10は、図5に示されるように試料ホルダ100内に配置され、試料ホルダ100は次に、プレバキューム滅菌サイクルのためにプレバキューム式滅菌器に配置され、滅菌における十分な空気の除去が達成されたか否かを判断する。
【0016】
図1に示されるように、試験ストリップ10は開口窓12を有し、開口窓12を通して、後述するように、化学指示薬14(図2)の吸上げを観察して、プレバキュームにおける十分な空気の除去が行われたか否かを判断することができる。図2は、試験ストリップ10の断面図である。試験ストリップ10は概して、ベース要素16と、接着剤層22と、吸上要素20と、フィルム層26と、接着剤層30と、紙層28と、固形の化学指示薬14とを含んでいる。ベース要素16は、箔又は他の高伝熱材料から形成されている。接着剤層22は、ベース要素16上に、ベース要素16の上面全体を実質的に覆う連続的な層として設けられている。ベース要素16は、長さL16及び幅W16を有している。この実施形態では、ベース要素16は、アルミニウム箔から形成されている。窪みすなわち凹部18がベース要素16及び接着剤層22に形成されている。温度感性の化学組成である化学指示薬14が、接着剤層22と吸上要素20との間で凹部18内に設けられている。
【0017】
吸上紙のような吸上要素20が、接着剤層22によって取り付けられてベース要素20に位置している。図3は、ベース要素20及び接着剤層22上に配置された吸上要素20を示すために、フィルム層26と、接着剤層30と、紙層28とが剥離された状態のストリップの平面図を示している。図示されるように、吸上要素20は、ベース要素16の幅W16及び長さL16よりも小さい幅W20及び長さL20を有している。吸上要素20は、吸上要素20の端部32が化学指示薬14に接触するように、ベース要素16上に、凹部18内の化学指示薬14にわたって概ねセンタリングされている。吸上要素20は、吸上要素の少なくとも幾らかの部分が接着剤層22によってベース要素20にしっかりと取り付けられるように、ベース要素16に沿って長手方向に延びている。このように、化学指示薬14及び吸上要素20は試験ストリップ10の4辺内に納められている。
【0018】
フィルム層26は、吸上要素20にわたって貼り付けられ、接着剤層22によってベース要素16に接着されている。フィルム層26は、ベース要素16と実質的に同じ幅及び長さを有し、したがって、吸上要素20の周りの周辺領域において接着剤層22によってベース要素16に取り付けられている。フィルム層26は、以下でより詳細に説明するように、透明なフィルムである。紙層28には接着剤層30が設けられ、フィルム層26にわたって貼り付けられている。紙層28及び接着剤層30は開口窓12を含み、開口窓12は、(図1図3において分かるように)フィルム層26を通した開口窓12内の視覚的指示を可能にするための切り欠き部である。
【0019】
例示的な試験ストリップ10では、アルミニウム箔であるベース要素16及び接着剤層22は、0.076mm(3/1000インチ(3ミル))の厚さの接着性ラベルを用いて形成されている。(吸上要素20及びフィルム層26に接着するための)ベース要素16上の接着剤層22はアクリル接着剤である。紙層28及び接着剤層30は、アクリルコート紙から形成されている。
【0020】
フィルム層26は、約0.051〜0.056mm(2.0〜2.2ミル)又は0.076〜0.081mm(3.0〜3.2ミル)の厚さを有する無延伸ポリプロピレンから形成されている。吸上要素20は、例えばワットマン1の製品IDでワットマン社(ピスカタウェイ,ニュージャージー州)から市販されている吸上材である好適な吸上材から形成される。この吸上材は、約66グラム/平方メートル(g/m)の坪量と、約0.19mm(7.3/1000インチ(7.3ミル))の厚さとを有する低灰分の定性紙である。
【0021】
化学指示薬14は、約0.01質量パーセントの濃度で加えられる着色剤を有する、サリチルアミド、エトキシベンズアミド又は同様の化学物質である。1つの着色剤の例は青色染料である。
【0022】
紙層28及び接着剤層30に形成された開口窓12は、紙層28の長さ全体よりも小さい紙層28の表面の面積にわたって延びている。さらに、開口窓12は、吸上要素20の長さL20及び幅W20よりも小さい長さL12及び幅W12を有している。開口窓12は、吸上要素20の一部のみがフィルム層26及び開口窓12を通して見えるように、吸上要素20にわたって配置されている。
【0023】
試験ストリップ10は、試料ホルダ100に挿入されてプレバキューム式滅菌器のチャンバに配置されると、ANSI/AAMI/ISO11140−5:2007に従って準備されるボウィー−ディック式の試験インジケータシステムのように、134℃で3.5分±5秒及び/又は121℃で15分±5秒の飽和蒸気を提供する滅菌サイクル中に十分な空気の除去が行われたか否かを示すことができるように構成されている。滅菌サイクル中に、化学指示薬14は液化し、吸上要素20に沿って吸上げられる。好ましい実施形態では、液化した化学指示薬が開口窓12を通過して吸上げられると、十分な空気の除去が確認される。すなわち、液化した化学指示薬の色、例えば青は、プレバキューム滅菌サイクル中に空気が滅菌器のチャンバから十分に除去されたことを示すように開口窓12を通して見える吸上要素20の全体的な部分を実質的に覆わなければならない。したがって、開口窓12は、特定のプレバキューム蒸気滅菌パラメータに従って、化学指示薬14の位置から予め計算された距離にサイズが決められるとともに配置される。
【0024】
1つの実施形態では、試験ストリップ10は、約10cm(4インチ)の長さL16、及び、約1.9cm(3/4インチ)の幅W16を有している。吸上要素20は、約8.6cm(3と3/8インチ)の長さL20及び約0.635cm(1/4インチ)の幅W16を有し、図3に示されるようにベース要素16の概ね中央に配置されている。化学指示薬14は、図2に示されるように吸上要素20の端部32の下に配置されている。開口窓12は、約2.5cm(1インチ)の長さL12、及び、約0.48cm(3/16インチ)の幅W12を有し、化学指示薬14から長手方向に離れて配置されている。この実施形態では、開口窓12は、約2.4cm(15/16インチ)の距離L36だけ吸上要素20の端34から離れて位置している。開口窓12は、液化した化学指示薬14の吸上げを開口窓12を通して観察することができるように、吸上要素20にわたって配置されている。この実施形態では、蒸気滅菌サイクル中の十分な空気の除去は、液化した化学指示薬の吸上げから形成される色の変化又は暗色のバーが、開口窓12を通して見える吸上要素20の領域全体を実質的に覆うときに確認される。
【0025】
試験ストリップ10の種々の実施形態は、米国特許第7,718,125号明細書、米国特許第7,740,802号明細書、米国特許第7,790,105号明細書及び米国特許第7,811,516号明細書に開示されている滅菌試験試料ホルダのような再使用可能な試料ホルダとともに働くように構成することができ、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。例示的な試料ホルダ100が図4及び図5に示されている。試料ホルダ100は、中空の筒状体102と、クロージャキャップ104と、端部プラグ106とを含んでいる。筒状体102は、絶縁層(図示せず)で覆うか又は包むことができる。
【0026】
筒状体102は、一方の開口端122に雌ねじ120を含んでいる。クロージャキャップ104は、把持部124と、ホルダ100を閉じるために(雌ねじ120の開口に嵌まるように)雄ねじ128を有する垂下プラグ126とを含んでいる。図示されたOリングのようなシール130をクロージャキャップ104に装着して、クロージャキャップ104と筒状体102との間に気密なシールを提供することができる。本発明の試料ホルダ100では、把持部124は、クロージャキャップ104を回転させるか又は回すことを容易にするように(132で示されるような)テクスチャ加工が施されるか又は刻み付きである。把持部124は、平坦な部分(平坦部134)を含むことができるため、試料ホルダ100は、その側面を下にして置かれると、転がることが防止される。
【0027】
端部プラグ106は、クロージャキャップ104が筒状体102上の適所にあり、試料ホルダ100内に真空引きして蒸気のような滅菌流体を試料ホルダ100内に制御して導入することを可能にすると、内部すなわちチャンバ136の内外への単一の進入及び出口流路を提供する。端部プラグ106は、内壁142を画定する凹部すなわち窪み140が形成された本体138を含んでいる。本体138は、その外壁146に螺旋状に形成されたチャネルすなわち溝144を含んでいる。外壁146は、端部プラグ106の端152に封止リップ150に隣接して形成された外周凹部すなわちチャネル148を含んでいる。
【0028】
螺旋状に形成されたチャネル144は、第1の端152において外周凹部148内に開口しており、本体138の周囲で螺旋状になり、端部プラグ106の反対の端156あたりまで延びている。本発明の端部プラグ106では、(端部プラグ106のチャンバ136側の端である)反対の端156は、螺旋状に形成された溝144が終端する面取り部158を含んでいる。本発明の端部プラグ106では、外周チャネル148から溝付き領域145への遷移部も160で示されるように面取りされている。
【0029】
端部プラグ106は、外周凹部148において外壁146を通る開口162を含んでいる。開口162は、試料ホルダ100の外側(包囲部E)と試料ホルダ100の内部すなわちチャンバ136との間の連通を提供する。この連通は、包囲部Eから開口162を通って外周凹部148内に、螺旋状の溝144を通ってチャンバ136内に提供される。螺旋状の溝144(又は溝付き領域145)の両端における面取り部158、160は、溝144の内外への平滑な遷移部を提供し、溝144を通る流れに対する過度の抵抗を防止する。溝144は、機械加工によって形成されることにより平滑であるが、包囲部Eとチャンバ136との間に蛇行した進入及び出口経路を提供する。
【0030】
端部プラグ106は、チャンバ本体102内に摩擦嵌めされている。このように、封止リップ150が筒状体102の内壁137に密接し、包囲部Eと外周凹部148との間に外部シールを提供する。さらに、(面取り部158、160間の)溝付き領域145におけるプラグ本体の外壁146も筒状体102の内壁137に密接し、外周凹部148とチャンバ136と溝144との間にシールを提供する。筒状体の内壁137は、端部プラグ106では、クロージャキャップ104の端に形成されるねじ120とは異なり、平滑であることが理解されるであろう。内壁137において機械加工が必要ではないという点で、端部プラグ106及び筒状体102の(ねじ山ではなく)平滑面の適切な「嵌め合い」が改善される。
【0031】
本発明の試料ホルダ100はアルミニウムから形成されている。種々の他の金属、鋼、合金等を含む多くの様々な材料が使用に意図される。当業者には理解されるように、好適なポリマーも使用することができる。試料ホルダ100が曝される熱的条件に起因して、本発明の試料ホルダ100の部品(筒状体102、クロージャキャップ104及び端部プラグ106)のそれぞれは、好ましくは同様の材料から形成される。これは、これらの部品が、異なる速さで、互いに異なる比率で膨張及び収縮することを防止するためである。適切であれば、同様の熱特性を有する異なる材料も使用できることも意図される。
【0032】
螺旋状の溝144をかなり厳しい公差内に形成又は機械加工しなければならないことも、上記で提供した説明から理解されるであろう。本発明の試料ホルダ100では、約1インチの全長を有する端部プラグ106には、0.20mm(0.00031平方インチ)の断面積を有する溝144が形成されている。溝144は、丸みを帯びているか又は湾曲したプロファイルを有する1.6mm(1/16インチ)の溝切り工具を用いて形成され、約0.28mm±0.014mm(0.011インチ±0.0005インチ)の深さ(1.6mm(1/16インチ)の径を有する円の約1/3)に切り込まれる。溝144は、約1.1mm(0.045インチ)の幅を有している。最大で約0.65mm(0.001平方インチ)の断面積を使用することができるが、端部プラグ106(及び螺旋状の溝144)の長さは、比例してより長く形成される。例えば、0.357mm(0.000553平方インチ)の断面積を有する溝144では、溝144は、(0.20mm(0.00031平方インチ)の面積の25mm(1インチ)の端部プラグ106と比較して)約51mm(2インチ)の長さを有する端部プラグ106に形成しなければならない。溝144の断面積を約0.35mm(5.5E−4平方インチ)未満に形成するのが最も良いことが分かっている。溝144は、端部プラグ106の直線インチ当たり約10回転のレート(密度)で端部プラグ106に形成されている。
【0033】
使用時に、試験ストリップ10は試料ホルダ100内に配置され、試料ホルダ100は滅菌器チャンバ内に配置される。滅菌器チャンバは排気され、次いで蒸気が装置内に導入される。滅菌サイクル後に、試料ホルダ100は滅菌器チャンバから取り出され、試験ストリップ10は、上述したように滅菌サイクル中に空気が十分に排気されたか否かを確認するためにチェックされる。
【0034】
本明細書において言及されている特許は全て、本開示の本文内で具体的に指摘されているかどうかにかかわらず、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
本開示において、「1つの」という語句は、単数及び複数の双方を含むものとみなされる。逆に、複数の部材へのいかなる言及も、適切な場合は単数を含む。
【0036】
上記から、本開示の新規の概念の真の精神及び範囲から逸脱することなく数多くの変更及び変形を行うことができることが分かるであろう。図示された特定の実施形態に関する何の限定も意図されないか又は推断されるべきではないことを理解されたい。本開示は、発明の範囲内のそのような全ての変更を包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】